(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024137412
(43)【公開日】2024-10-07
(54)【発明の名称】静電荷像現像用トナー、静電荷像現像剤、トナーカートリッジ、及び画像形成装置
(51)【国際特許分類】
G03G 9/087 20060101AFI20240927BHJP
【FI】
G03G9/087 331
G03G9/087 325
【審査請求】未請求
【請求項の数】20
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023048933
(22)【出願日】2023-03-24
(71)【出願人】
【識別番号】000005496
【氏名又は名称】富士フイルムビジネスイノベーション株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100104880
【弁理士】
【氏名又は名称】古部 次郎
(74)【代理人】
【識別番号】100125346
【弁理士】
【氏名又は名称】尾形 文雄
(72)【発明者】
【氏名】石塚 大輔
(72)【発明者】
【氏名】古田 努
(72)【発明者】
【氏名】齋藤 絵理奈
(72)【発明者】
【氏名】中嶋 与人
【テーマコード(参考)】
2H500
【Fターム(参考)】
2H500AA01
2H500BA12
2H500CA03
2H500CA06
2H500CA24
2H500EA12B
2H500EA32B
2H500EA39B
2H500EA40B
2H500EA41B
2H500EA42B
2H500EA44B
2H500EA52B
2H500EA57B
2H500EA61B
(57)【要約】
【課題】結晶性樹脂を添加したトナーにおいて、スチレン-アクリル系架橋樹脂粒子を添加し、架橋樹脂粒子の表面にアクリレート類を局在させない場合と比較して、ハーフトーン部の定着性と広範囲の温度域で後処理汚れ防止の両立を達成する。
【解決手段】結着樹脂と樹脂粒子を含む静電荷像現像用トナーであって、結着樹脂は非晶性樹脂と結晶性樹脂を含み、樹脂粒子は、スチレン-(メタ)アクリレート系共重合体を含み、樹脂粒子全体の構成モノマーの比率からFox式により求めたガラス転移温度をTg(C1)℃、示差走査熱量計によって実測したガラス転移温度をTg(E)℃としたとき、5.0≦Tg(E)-Tg(C1)≦20.0であり、樹脂粒子の表面分析から算出される構成モノマーの比率を用いてFox式により求めたガラス転移温度をTg(C2)℃としたとき、Tg(C1)>Tg(C2)である、静電荷像現像用トナー。
【選択図】
図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
結着樹脂と樹脂粒子を含む静電荷像現像用トナーであって、
前記結着樹脂は非晶性樹脂と結晶性樹脂を含み、
前記樹脂粒子は、スチレン-(メタ)アクリレート系共重合体を含み、
前記樹脂粒子全体の構成モノマーの比率からFox式により求めたガラス転移温度をTg(C1)℃、示差走査熱量計によって実測したガラス転移温度をTg(E)℃としたとき、
5.0≦Tg(E)-Tg(C1)≦20.0
であり、
前記樹脂粒子の表面分析から算出される構成モノマーの比率を用いてFox式により求めたガラス転移温度をTg(C2)℃としたとき、
Tg(C1)>Tg(C2)
である、
静電荷像現像用トナー。
【請求項2】
結着樹脂と樹脂粒子を含む静電荷像現像用トナーであって、
前記結着樹脂は非晶性樹脂と結晶性樹脂を含み、
前記樹脂粒子は、スチレン-(メタ)アクリレート系共重合体を含み、当該樹脂粒子中の(メタ)アクリレートモノマーから誘導される単位の割合をWa(B)モル%、当該樹脂粒子の表面分析による(メタ)アクリレートモノマーから誘導される単位の割合をWa(S)モル%としたとき、
Wa(S)は40モル%以上80モル%以下であり、かつ、
2≦Wa(S)-Wa(B)≦20
である、
静電荷像現像用トナー。
【請求項3】
前記Tg(E)が0℃以上30℃以下である、請求項1記載の静電荷像現像用トナー。
【請求項4】
前記樹脂粒子は架橋粒子である、請求項1記載の静電荷像現像用トナー。
【請求項5】
前記結着樹脂中の結晶性樹脂の割合が、15質量%以上40質量%以下である、請求項1記載の静電荷像現像用トナー。
【請求項6】
前記樹脂粒子を2質量%以上20質量%以下含む、請求項1記載の静電荷像現像用トナー。
【請求項7】
前記結晶性樹脂のトナー中の含有量w2に対する、前記樹脂粒子のトナー中の含有量w1の比w1/w2は、0.2以上2.0以下である、請求項1記載の静電荷像現像用トナー。
【請求項8】
前記非晶性樹脂は非晶性ポリエステル樹脂を含み、前記結晶性樹脂は結晶性ポリエステル樹脂を含む、請求項1記載の静電荷像現像用トナー。
【請求項9】
前記非晶性ポリエステル樹脂はイソフタル酸から誘導される単位を含み、当該非晶性ポリエステル樹脂の酸成分モノマーから誘導される単位のうちイソフタル酸から誘導される単位の割合が10モル%以上50モル%以下である、請求項8記載の静電荷像現像用トナー。
【請求項10】
前記非晶性ポリエステル樹脂の酸価が5mgKOH/g以上20mgKOH/g以下である、請求項8記載の静電荷像現像用トナー。
【請求項11】
前記非晶性ポリエステル樹脂を示差走査熱量計によって実測したガラス転移温度をTg(ap)としたとき、
40≦Tg(ap)-Tg(C1)≦90
である、請求項8記載の静電荷像現像用トナー。
【請求項12】
前記結着樹脂のFedors法により算出されるSP値をSP(ap)、前記樹脂粒子の表面分析によるモノマー組成からFedors法により算出されるSP値をSP(sa)としたとき、
|SP(ap)-SP(sa)|≦0.4
である、請求項2記載の静電荷像現像用トナー。
【請求項13】
前記樹脂粒子によって形成されるドメインの平均円相当径が50nm以上300nm以下である、請求項1記載の静電荷像現像用トナー。
【請求項14】
前記樹脂粒子によって形成されるドメインの平均形状係数SF-1が130以下である、請求項1記載の静電荷像現像用トナー。
【請求項15】
前記樹脂粒子は架橋粒子である、請求項2記載の静電荷像現像用トナー。
【請求項16】
前記非晶性樹脂は非晶性ポリエステル樹脂を含み、
前記非晶性ポリエステル樹脂を示差走査熱量計によって実測したガラス転移温度をTg(ap)℃、前記樹脂粒子全体の構成モノマーの比率からFox式により求めたガラス転移温度をTg(C1)℃としたとき、
40≦Tg(ap)-Tg(C1)≦90
である、請求項2記載の静電荷像現像用トナー。
【請求項17】
前記樹脂粒子によって形成されるドメインの平均円相当径が50nm以上300nm以下である、請求項2記載の静電荷像現像用トナー。
【請求項18】
請求項1~請求項17のいずれか1項に記載の静電荷像現像用トナーを含む静電荷像現像剤。
【請求項19】
請求項1~請求項17のいずれか1項に記載の静電荷像現像用トナーを収容し、
画像形成装置に着脱されるトナーカートリッジ。
【請求項20】
像保持体と、
前記像保持体の表面を帯電する帯電手段と、
帯電した前記像保持体の表面に静電荷像を形成する静電荷像形成手段と、
請求項18に記載の静電荷像現像剤を収容し、前記静電荷像現像剤により、前記像保持体の表面に形成された静電荷像をトナー画像として現像する現像手段と、
前記像保持体の表面に形成されたトナー画像を記録媒体の表面に転写する転写手段と、
前記記録媒体の表面に転写されたトナー画像を定着する定着手段と、
を備える画像形成装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、静電荷像現像用トナー、静電荷像現像剤、トナーカートリッジ、及び画像形成装置に関する。
【背景技術】
【0002】
特許文献1には、第1官能基を有する結着樹脂と、表面に第2官能基を有する有機微粒子と、着色剤とを含み、前記第1官能基と前記第2官能基とが架橋しており、前記有機微粒子は、該有機微粒子を構成する樹脂間で架橋する架橋構造を有し、設計ガラス転移温度が20℃以下であることを特徴とするトナーが開示されている。
特許文献2には、少なくとも、1種以上の樹脂粒子と着色剤粒子とを用いて水系媒体中で造粒して成るトナーの製造に用いるトナー用樹脂粒子であって、上記樹脂粒子の少なくとも1種は架橋樹脂微粒子を含んでおり、該架橋樹脂微粒子の粒子径が40~200nmであるトナー用樹脂粒子が開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2011-34013号公報
【特許文献2】特開2005-91704号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
電子写真を用いたオンデマンドパブリッシング等の分野が拡大し、ベタ画像のみでなく、ハーフトーン部の定着性も求められている。また、パブリッシング分野では、プリントした画像を裁断、製本等のプロセスを経て最終的な印刷物として提供されるため、プリント画像が種々の後処理機によるストレスを受けることがある。
定着性確保のために、トナーに結晶性樹脂を添加することが知られているが、結晶性樹脂の添加により画像の耐摩擦性が低下し、定着性と後処理機汚れ防止の両立が困難である。さらに従来技術では、後処理機で処理をした際の環境が低温環境から高温環境の幅広い温度で汚れ防止をすることが困難である。
本発明は、結晶性樹脂を添加したトナーにおいて、スチレン-アクリル系架橋樹脂粒子を添加し、架橋樹脂粒子の表面にアクリレート類を局在させない場合と比較して、ハーフトーン部の定着性と広範囲の温度域で後処理汚れ防止の両立を達成することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0005】
請求項1の発明は、結着樹脂と樹脂粒子を含む静電荷像現像用トナーであって、前記結着樹脂は非晶性樹脂と結晶性樹脂を含み、前記樹脂粒子は、スチレン-(メタ)アクリレート系共重合体を含み、前記樹脂粒子全体の構成モノマーの比率からFox式により求めたガラス転移温度をTg(C1)℃、示差走査熱量計によって実測したガラス転移温度をTg(E)℃としたとき、5.0≦Tg(E)-Tg(C1)≦20.0であり、前記樹脂粒子の表面分析から算出される構成モノマーの比率を用いてFox式により求めたガラス転移温度をTg(C2)℃としたとき、Tg(C1)>Tg(C2)である、静電荷像現像用トナーである。
請求項2の発明は、結着樹脂と樹脂粒子を含む静電荷像現像用トナーであって、前記結着樹脂は非晶性樹脂と結晶性樹脂を含み、前記樹脂粒子は、スチレン-(メタ)アクリレート系共重合体を含み、当該樹脂粒子中の(メタ)アクリレートモノマーから誘導される単位の割合をWa(B)モル%、当該樹脂粒子の表面分析による(メタ)アクリレートモノマーから誘導される単位の割合をWa(S)モル%としたとき、Wa(S)は40モル%以上80モル%以下であり、かつ、2≦Wa(S)-Wa(B)≦20である、静電荷像現像用トナーである。
請求項3の発明は、前記Tg(E)が0℃以上30℃以下である、請求項1記載の静電荷像現像用トナーである。
請求項4の発明は、前記樹脂粒子は架橋粒子である、請求項1記載の静電荷像現像用トナーである。
請求項5の発明は、前記結着樹脂中の結晶性樹脂の割合が、15質量%以上40質量%以下である、請求項1記載の静電荷像現像用トナーである。
請求項6の発明は、前記樹脂粒子を2質量%以上20質量%以下含む、請求項1記載の静電荷像現像用トナーである。
請求項7の発明は、前記結晶性樹脂のトナー中の含有量w2に対する、前記樹脂粒子のトナー中の含有量w1の比w1/w2は、0.2以上2.0以下である、請求項1記載の静電荷像現像用トナーである。
請求項8の発明は、前記非晶性樹脂は非晶性ポリエステル樹脂を含み、前記結晶性樹脂は結晶性ポリエステル樹脂を含む、請求項1記載の静電荷像現像用トナーである。
請求項9の発明は、前記非晶性ポリエステル樹脂はイソフタル酸から誘導される単位を含み、当該非晶性ポリエステル樹脂の酸成分モノマーから誘導される単位のうちイソフタル酸から誘導される単位の割合が10モル%以上50モル%以下である、請求項8記載の静電荷像現像用トナーである。
請求項10の発明は、前記非晶性ポリエステル樹脂の酸価が5mgKOH/g以上20mgKOH/g以下である、請求項8記載の静電荷像現像用トナーである。
請求項11の発明は、前記非晶性ポリエステル樹脂を示差走査熱量計によって実測したガラス転移温度をTg(ap)℃としたとき、40≦Tg(ap)-Tg(C1)≦90である、請求項8記載の静電荷像現像用トナーである。
請求項12の発明は、前記結着樹脂のFedors法により算出されるSP値をSP(ap)、前記樹脂粒子の表面分析によるモノマー組成からFedors法により算出されるSP値をSP(sa)としたとき、|SP(ap)-SP(sa)|≦0.4である、請求項2記載の静電荷像現像用トナーである。
請求項13の発明は、前記樹脂粒子によって形成されるドメインの平均円相当径が50nm以上300nm以下である、請求項1記載の静電荷像現像用トナーである。
請求項14の発明は、前記樹脂粒子によって形成されるドメインの平均形状係数SF-1が130以下である、請求項1記載の静電荷像現像用トナーである。
請求項15の発明は、前記樹脂粒子は架橋粒子である、請求項2記載の静電荷像現像用トナーである。
請求項16の発明は、前記非晶性樹脂は非晶性ポリエステル樹脂を含み、前記非晶性ポリエステル樹脂を示差走査熱量計によって実測したガラス転移温度をTg(ap)℃、前記樹脂粒子全体の構成モノマーの比率からFox式により求めたガラス転移温度をTg(C1)℃としたとき、40≦Tg(ap)-Tg(C1)≦90である、請求項2記載の静電荷像現像用トナーである。
請求項17の発明は、前記樹脂粒子によって形成されるドメインの平均円相当径が50nm以上300nm以下である、請求項2記載の静電荷像現像用トナーである。
請求項18の発明は、請求項1~請求項17のいずれか1項に記載の静電荷像現像用トナーを含む静電荷像現像剤である。
請求項19の発明は、請求項1~請求項17のいずれか1項に記載の静電荷像現像用トナーを収容し、画像形成装置に着脱されるトナーカートリッジである。
請求項20の発明は、像保持体と、前記像保持体の表面を帯電する帯電手段と、帯電した前記像保持体の表面に静電荷像を形成する静電荷像形成手段と、請求項18に記載の静電荷像現像剤を収容し、前記静電荷像現像剤により、前記像保持体の表面に形成された静電荷像をトナー画像として現像する現像手段と、前記像保持体の表面に形成されたトナー画像を記録媒体の表面に転写する転写手段と、前記記録媒体の表面に転写されたトナー画像を定着する定着手段と、を備える画像形成装置である。
【発明の効果】
【0006】
請求項1の発明によれば、結晶性樹脂とスチレン-(メタ)アクリレート系樹脂粒子を添加した静電荷像現像用トナーにおいて、樹脂粒子全体の構成モノマーの比率からFox式により求めたガラス転移温度をTg(C1)℃、樹脂粒子の表面分析から算出される構成モノマーの比率を用いてFox式により求めたガラス転移温度をTg(C2)℃としたとき、Tg(C2)がTg(C1)以上である場合に比べ、ハーフトーン部の定着性と広範囲温度域で後処理汚れ防止とを両立することができる。
請求項2の発明によれば、当該樹脂粒子中の(メタ)アクリレートモノマーから誘導される単位の割合をWa(B)モル%、当該樹脂粒子の表面分析による(メタ)アクリレートモノマーから誘導される単位の割合をWa(S)モル%としたとき、(Wa(S)-Wa(B))が2未満又は20超えである場合と比較して、ハーフトーン部の定着性と広範囲温度域で後処理汚れ防止とを両立した静電荷像現像用トナーを提供することができる。
請求項3の発明によれば、示差走査熱量計によって実測した樹脂粒子のガラス転移温度Tg(E)℃が0℃未満又は30℃超えである場合と比較して、広範囲の温度域で後処理機汚れが防止された静電荷像現像用トナーを提供することができる。
請求項4の発明によれば、樹脂粒子が架橋粒子でない場合と比較して、樹脂粒子が定着後も画像中で良好に分散し、後処理機汚れが防止された静電荷像現像用トナーを提供することができる。
請求項5の発明によれば、結着樹脂中の結晶性樹脂の割合が、15質量%未満又は40質量%超えである場合と比較して、定着時のトナー変形が適度な範囲で、特にハーフトーン部分で良好な定着性が得られる静電荷像現像用トナーを提供することができる。
請求項6の発明によれば、静電荷像現像用トナーが樹脂粒子を2質量%未満又は20質量%超えである場合と比較して、ハーフトーン部の定着性と広範囲の温度域で後処理機汚れ防止が両立された静電荷像現像用トナーを提供することができる。
請求項7の発明によれば、結晶性樹脂のトナー中の含有量w2に対する、樹脂粒子のトナー中の含有量w1の比w1/w2が、0.2未満又は2.0超えの場合と比較して、定着時に適度に変形し、低温定着性を得ることができる静電荷像現像用トナーを提供することができる。
請求項8の発明によれば、非晶性樹脂が非晶性ポリエステル樹脂を含まない場合、または、結晶性樹脂が結晶性ポリエステル樹脂を含まない場合と比較して、結着樹脂と樹脂粒子との親和性が確保された静電荷像現像用トナーを提供することができる。
請求項9の発明によれば、非晶性ポリエステル樹脂の酸成分モノマーから誘導される単位のうちイソフタル酸から誘導される単位の割合が10モル%未満又は50モル%超えである場合と比較して、結着樹脂と樹脂粒子との親和性が確保された静電荷像現像用トナーを提供することができる。
【0007】
請求項10の発明によれば、非晶性ポリエステル樹脂の酸価が5mgKOH/g未満又は20mgKOH/g超えである場合と比較して、結着樹脂と樹脂粒子との親和性が確保された静電荷像現像用トナーを提供することができる。
請求項11の発明によれば、非晶性ポリエステル樹脂を示差走査熱量計によって実測したガラス転移温度をTg(ap)、樹脂粒子全体の構成モノマーの比率からFox式により求めたガラス転移温度をTg(C1)℃としたとき、(Tg(ap)-Tg(C1))が40未満又は90超えである場合と比較して、結着樹脂と樹脂粒子との親和性が確保された静電荷像現像用トナーを提供することができる。
請求項12の発明によれば、結着樹脂のFedors法により算出されるSP値をSP(ap)、前記樹脂粒子の表面分析によるモノマー組成からFedors法により算出されるSP値をSP(sa)としたとき、|SP(ap)-SP(sa)|が0.4を超える場合と比較して、結着樹脂と樹脂粒子との親和性が確保された静電荷像現像用トナーを提供することができる。
請求項13の発明によれば、樹脂粒子によって形成されるドメインの平均円相当径が50nm未満又は300nm超えである場合と比較して、定着を阻害せず、後処理機汚れが防止された静電荷像現像用トナーを提供することができる。
請求項14の発明によれば、樹脂粒子によって形成されるドメインの平均形状係数SF-1が130超えである場合と比較して、定着を阻害せず、後処理機汚れが防止された静電荷像現像用トナーを提供することができる。
請求項15の発明によれば、樹脂粒子が架橋粒子でない場合と比較して、樹脂粒子が定着後も画像中で良好に分散し、後処理機汚れが防止された静電荷像現像用トナーを提供することができる。
請求項16の発明によれば、前記非晶性樹脂は非晶性ポリエステル樹脂を含み、前記非晶性ポリエステル樹脂を示差走査熱量計によって実測したガラス転移温度をTg(ap)℃、樹脂粒子全体の構成モノマーの比率からFox式により求めたガラス転移温度をTg(C1)℃としたとき、(Tg(ap)-Tg(C1))が40未満又は90超えである場合と比較して、結着樹脂と樹脂粒子との親和性が確保された静電荷像現像用トナーを提供することができる。
請求項17の発明によれば、樹脂粒子によって形成されるドメインの平均円相当径が50nm未満又は300nm超えである場合と比較して、定着を阻害せず、後処理機汚れが防止された静電荷像現像用トナーを提供することができる。
請求項18、19又は20の発明によれば、樹脂粒子全体の構成モノマーの比率からFox式により求めたガラス転移温度をTg(C1)℃、樹脂粒子の表面分析から算出される構成モノマーの比率を用いてFox式により求めたガラス転移温度をTg(C2)℃としたとき、Tg(C2)がTg(C1)以上である場合に比べ、ハーフトーン部の定着性と広範囲温度域で後処理機汚れ防止とを両立することができる静電荷像現像剤、トナーカートリッジ、又は画像形成装置を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0008】
【
図1】本実施形態に係る画像形成装置の一例を示す概略構成図である。
【
図2】本実施形態に係る画像形成装置に着脱されるプロセスカートリッジの一例を示す概略構成図である。
【発明を実施するための形態】
【0009】
以下に、発明の実施形態を説明する。これらの説明及び実施例等は実施形態を例示するものであり、発明の範囲を限定するものではない。
【0010】
本開示において、数値範囲を表す「〇〇以上〇〇以下」や「〇〇~〇〇」の記載は、特に断りのない限り、記載された上限及び下限を含む数値範囲を意味する。また、本開示において、組成物中の各成分の量について言及する場合、組成物中に各成分に該当する物質が複数種類存在する場合には、特に断らない限り、組成物中に存在する当該複数種類の物質の合計量を意味する。
本開示において、「静電荷像現像用トナー」を単に「トナー」と記載することがあり、「静電荷像現像用キャリア」を単に「キャリア」と記載することがあり、「静電荷像現像剤」を単に「現像剤」と記載することがある。
本開示において、(メタ)アクリルとは、アクリル及びメタクリルの双方を意味する。
【0011】
<静電荷像現像用トナー>
本実施形態に係る静電荷像現像用トナーは、結着樹脂と樹脂粒子を含む静電荷像現像用トナーであって、結着樹脂は非晶性樹脂と結晶性樹脂を含み、樹脂粒子は、スチレン-(メタ)アクリレート系共重合体を含み、樹脂粒子全体の構成モノマーの比率からFox式により求めたガラス転移温度をTg(C1)℃、示差走査熱量計によって実測したガラス転移温度をTg(E)℃としたとき、5.0≦Tg(E)-Tg(C1)≦20.0であり、樹脂粒子の表面分析から算出される構成モノマーの比率を用いてFox式により求めたガラス転移温度をTg(C2)℃としたとき、Tg(C1)>Tg(C2)である。
【0012】
電子写真を用いたオンデマンドパブリッシング等が拡大し、ベタ部に加えて、ハーフトーン部の低温定着性が求められている。また、パブリッシング分野では、プリントした画像を裁断、製本等のプロセスを経て最終的な印刷物として提供するために、プリント画像が後処理機による種々のストレスを受けることがある。
低温定着を確保するためにトナーに結晶性樹脂を添加することが知られている。しかし、当該結晶性樹脂を多く含んだトナーでは、定着工程を経た直後では、結晶化が進行していないために、後処理機での摺擦により画像の一部が欠損したり、後処理機の搬送部材に付着した画像成分が、白紙に再付着して用紙を汚したりすることがある。
本実施態様に係るトナーは、上記構成を有することにより、ハーフトーン部の低温定着性と広範囲の温度域で後処理汚れ防止の両立を達成することができる。その機序として、下記が推定される。
【0013】
本実施態様では、(1)トナー内部に広い温度幅で外部からの圧力を吸収する樹脂粒子を含むこと、かつ、(2)トナー内部にドメインとして存在する樹脂粒子が、結着樹脂と親和性が高くなること、を同時に満足することにより、前述した両立が可能と推測される。
(1)に関しては、例えば樹脂粒子などの、室温付近のガラス転移点を有する材料がトナー中に存在すると、当該ガラス転移点付近では樹脂の損失正接が大きくなるため、外部からの圧力を吸収することによって画像表面が受ける変形を吸収し、画像の移行を防止する効果が期待される。しかしながら、樹脂組成が均一である場合には、損失正接が大きくなる温度範囲が狭くなるため、用紙温度が変動する場合、後処理の速度が異なる場合、等に改善効果が得られない。
本実施態様の樹脂粒子のFox式によるガラス転移温度と実測によるガラス転移温度のずれは、モノマーとしてスチレンと(メタ)アクリレートがランダムに結合せずに、スチレンが主成分である配列と(メタ)アクリレートが主成分である配列が混在していることを意味する。このような配列が混在している構造をとると、樹脂粒子によるドメイン内で、相対的にガラス転移温度が低い領域と、相対的にガラス転移温度が高い領域が存在することになり、一層広い温度幅でガラス転移が起こる(ガラス転移が生じる温度幅が広くなる)ため、広い温度領域で衝撃を吸収することができると推測される。
(2)に関しては、樹脂粒子と結着樹脂の親和性が低い場合には、外部からの衝撃によって樹脂粒子と結着樹脂の界面でクラックが発生しやすくなる。従って、前述の親和性が低い場合に、後処理機で過剰なストレスを受けた部分において、画像の一部が破断し、後処理機汚れが発生する場合がある。後処理機汚れの発生を防ぐためには、樹脂粒子と結着樹脂との親和性を高めること、すなわち、(メタ)アクリレートが主成分として局在した部分を樹脂粒子の表面に配置することにより、結着樹脂と樹脂粒子表面との界面におけるクラック発生を防止できると推測される。
以上から、前記(1)と(2)の双方を満足することにより、ハーフトーン部の低温定着性と広範囲の温度域で後処理汚れ防止の両立を達成することができると推測される。
【0014】
以下、本実施形態に係る静電荷像現像用トナーの構成を詳細に説明する。
本実施形態に係る静電荷像現像用トナーは、結着樹脂と樹脂粒子を含む。トナー粒子は、例えば、結着樹脂と、樹脂粒子と、必要に応じて、着色剤と、離型剤と、その他添加剤と、を含んで構成される。
【0015】
-結着樹脂-
結着樹脂としては、例えば、スチレン類(例えばスチレン、パラクロロスチレン、α-メチルスチレン等)、(メタ)アクリル酸エステル類(例えばアクリル酸メチル、アクリル酸エチル、アクリル酸n-プロピル、アクリル酸n-ブチル、アクリル酸ラウリル、アクリル酸2-エチルヘキシル、メタクリル酸メチル、メタクリル酸エチル、メタクリル酸n-プロピル、メタクリル酸ラウリル、メタクリル酸2-エチルヘキシル等)、エチレン性不飽和ニトリル類(例えばアクリロニトリル、メタクリロニトリル等)、ビニルエーテル類(例えばビニルメチルエーテル、ビニルイソブチルエーテル等)、ビニルケトン類(ビニルメチルケトン、ビニルエチルケトン、ビニルイソプロペニルケトン等)、オレフィン類(例えばエチレン、プロピレン、ブタジエン等)等の単量体の単独重合体、又はこれら単量体を2種以上組み合せた共重合体からなるビニル系樹脂が挙げられる。
結着樹脂としては、例えば、エポキシ樹脂、ポリエステル樹脂、ポリウレタン樹脂、ポリアミド樹脂、セルロース樹脂、ポリエーテル樹脂、変性ロジン等の非ビニル系樹脂、これらと前記ビニル系樹脂との混合物、又は、これらの共存下でビニル系単量体を重合して得られるグラフト重合体等も挙げられる。
これらの結着樹脂は、1種類単独で用いてもよいし、2種以上を併用してもよい。
【0016】
結着樹脂はポリエステル樹脂を含有することが好ましい。
結着樹脂としてポリエステル樹脂を含有することで、後述するように樹脂粒子としてスチレン-(メタ)アクリル系共重合体を用いた場合に、結着樹脂と樹脂粒子との親和性が高くなり、樹脂粒子の分散性が低下することが抑制される。
結着樹脂は、非晶性樹脂及び結晶性樹脂を含有する。
ここで、非晶性樹脂とは、示差走査熱量測定(DSC)を用いた熱分析測定において、明確な吸熱ピークではなく、階段状の吸熱変化のみを有するものであり、常温固体で、ガラス転移温度以上の温度において熱可塑化するものを指す。
一方、結晶性樹脂とは、示差走査熱量測定(DSC)において、階段状の吸熱量変化ではなく、明確な吸熱ピークを有するものであり、例えば、昇温速度10℃/minで測定した際の吸熱ピークの半値幅が10℃以内である樹脂を意味する。
【0017】
非晶性樹脂について説明する。
非晶性樹脂としては、例えば、非晶性ポリエステル樹脂、非晶性ビニル樹脂(例えばスチレンアクリル樹脂等)、エポキシ樹脂、ポリカーボネート樹脂、ポリウレタン樹脂等の公知の非晶性樹脂が挙げられる。これらの中でも、非晶性ポリエステル樹脂、非晶性ビニル樹脂(特にスチレンアクリル樹脂)が好ましく、非晶性ポリエステル樹脂がより好ましい。
【0018】
・非晶性ポリエステル樹脂
非晶性ポリエステル樹脂としては、例えば、多価カルボン酸と多価アルコールとの縮重合体が挙げられる。なお、非晶性ポリエステル樹脂としては、市販品を使用してもよいし、合成したものを使用してもよい。
【0019】
多価カルボン酸としては、例えば、脂肪族ジカルボン酸(例えばシュウ酸、マロン酸、マレイン酸、フマル酸、シトラコン酸、イタコン酸、グルタコン酸、コハク酸、アルケニルコハク酸、アジピン酸、セバシン酸等)、脂環式ジカルボン酸(例えばシクロヘキサンジカルボン酸等)、芳香族ジカルボン酸(例えばテレフタル酸、イソフタル酸、フタル酸、ナフタレンジカルボン酸等)、これらの無水物、又はこれらの低級(例えば炭素数1以上5以下)アルキルエステルが挙げられる。これらの中でも、多価カルボン酸としては、例えば、芳香族ジカルボン酸が好ましく、特に結着樹脂と樹脂粒子との親和性を確保する観点からイソフタル酸を含んでいることが好ましい。イソフタル酸を用いる場合、イソフタル酸から誘導される単位が、非晶性ポリエステル樹脂の酸成分モノマーから誘導される単位のうち、10モル%以上50モル%以上が好ましく、更に15モル%以上40モル%以上が好ましい。
なお、2種以上の非晶性ポリエステル樹脂を併用する場合には、その加重平均においてイソフタル酸から誘導される単位が、10モル%以上50モル%以上含まれることが好ましい。
多価カルボン酸は、ジカルボン酸と共に、架橋構造又は分岐構造をとる3価以上のカルボン酸を併用してもよい。3価以上のカルボン酸としては、例えば、トリメリット酸、ピロメリット酸、これらの無水物、又はこれらの低級(例えば炭素数1以上5以下)アルキルエステル等が挙げられる。
多価カルボン酸は、1種単独で使用してもよいし、2種以上を併用してもよい。
【0020】
多価アルコールとしては、例えば、脂肪族ジオール(例えばエチレングリコール、ジエチレングリコール、トリエチレングリコール、プロピレングリコール、ブタンジオール、ヘキサンジオール、ネオペンチルグリコール等)、脂環式ジオール(例えばシクロヘキサンジオール、シクロヘキサンジメタノール、水添ビスフェノールA等)、芳香族ジオール(例えばビスフェノールAのエチレンオキサイド付加物、ビスフェノールAのプロピレンオキサイド付加物等)が挙げられる。これらの中でも、多価アルコールとしては、例えば、芳香族ジオール、脂環式ジオールが好ましく、より好ましくは芳香族ジオールである。
多価アルコールとしては、ジオールと共に、架橋構造又は分岐構造をとる3価以上の多価アルコールを併用してもよい。3価以上の多価アルコールとしては、例えば、グリセリン、トリメチロールプロパン、ペンタエリスリトールが挙げられる。
多価アルコールは、1種単独で使用してもよいし、2種以上を併用してもよい。
【0021】
非晶性ポリエステル樹脂の酸価は、結着樹脂と樹脂粒子との親和性を確保する観点から5mgKOH/g以上20mgKOH/g以下が好ましく、更には7mgKOH/g以上16mgKOH/g以下が好ましい。
非晶性ポリエステル樹脂の酸価は次の通り測定される。
測定対象のトナーをTHFに溶解させて不溶な成分を除去した後、非晶性ポリエステル樹脂を分離する。分離した非晶性ポリエステル樹脂を用い、JIS K0070-1992に定められた方法(中和滴定法)に準じて樹脂の酸価の測定を行う。
なお、酸価とは、試料1g中の酸基(例えばカルボキシル基)を中和するために要する水酸化カリウムのmg数を表す。
【0022】
非晶性ポリエステル樹脂のガラス転移温度(Tg)は、50℃以上80℃以下が好ましく、50℃以上70℃以下がより好ましい。
なお、実測により求めるガラス転移温度は、非晶性ポリエステル樹脂以外の場合も含めて、示差走査熱量測定(DSC)により得られたDSC曲線より求め、より具体的にはJIS K 7121-1987「プラスチックの転移温度測定方法」のガラス転移温度の求め方に記載の「補外ガラス転移開始温度」により求められる。非晶性ポリエステル樹脂のガラス転移温度は、前述した酸価と同様に、測定対象のトナーから分離した非晶性ポリエステル樹脂に対して測定する
【0023】
樹脂粒子の表面分析によるモノマー組成からFedors法により算出されるSP値をSP(sa)とし、結着樹脂全体についてFedors法により算出されるSP値をSP(ap)としたとき、
|SP(ap)-SP(sa)|≦0.4
であることが好ましく、更には
|SP(ap)-SP(sa)|≦0.3
が好ましい。このように、2種類のSP値の数値が近くなるほど、結着樹脂と樹脂粒子の親和性を確保することが可能となる。
なお、樹脂粒子の表面分析によるモノマー組成は、X線光電子分光装置(XPS)にて表面分析を行う。本開示においては、XPS測定装置としては、日本電子社製、JPS-9000MXを使用し、測定は、X線源としてMgKα線を用い、加速電圧を10kV、エミッション電流を30mAとする。 具体的には、樹脂粒子が架橋粒子である場合は、トナーからテトラヒドロフラン(THF)不溶分として取り出した樹脂粒子に対して、表面分析によりモノマー組成を測定することにより得られる。表面分析によるモノマー組成は、X線光電子分光装置(XPS)にて表面分析を行う。本開示においては、XPS測定装置としては、日本電子社製、JPS-9000MXを使用し、測定は、X線源としてMgKα線を用い、加速電圧を10kV、エミッション電流を30mAとする。
また、結着樹脂全体についてFedors法により算出されるSP値SP(ap)は、THFに溶解させ、不溶な成分を除去した後、抽出物のNMR測定からモノマー組成を求めることができる。
溶解度パラメータSP値 SP(ap)及びSP(sa)(単位:(cal/cm3)1/2)は、Fedorsの方法により算出する。具体的には下記の式によりSP値を算出する。
式:SP値=√(Ev/v)=√(ΣΔei/ΣΔvi)
(式中、Ev:蒸発エネルギー(cal/mol)、v:モル体積(cm3/mol)、Δei:各々の原子又は原子団の蒸発エネルギー、Δvi:各々の原子又は原子団のモル体積)
本計算方法の詳細は、Polym.Eng.Sci.,vol.14,p.147(1974)、向井淳二他著「技術者のための実学高分子」66頁(講談社、1981年)、ポリマーハンドブック(第4版、Willey-intersciencePublication)等に記載されており、本実施形態においても同様の方法を適用する。
本実施形態においてはSP値の単位として(cal/cm3)1/2を採用するが、慣行に従い単位を省略し無次元で表記する。
【0024】
非晶性ポリエステル樹脂の重量平均分子量(Mw)は、5000以上1000000以下が好ましく、7000以上500000以下がより好ましい。
非晶性ポリエステル樹脂の数平均分子量(Mn)は、2000以上100000以下が好ましい。
非晶性ポリエステル樹脂の分子量分布Mw/Mnは、1.5以上100以下が好ましく、2以上60以下がより好ましい。
なお、重量平均分子量及び数平均分子量は、ゲルパーミエーションクロマトグラフィ(GPC)により測定する。GPCによる分子量測定は、測定装置として東ソー製GPC・HLC-8120GPCを用い、東ソー製カラム・TSKgel SuperHM-M(15cm)を使用し、THF溶媒で行う。重量平均分子量及び数平均分子量は、この測定結果から単分散ポリスチレン標準試料により作成した分子量校正曲線を使用して算出する。
【0025】
非晶性ポリエステル樹脂は、周知の製造方法により得られる。具体的には、例えば、重合温度を180℃以上230℃以下とし、必要に応じて反応系内を減圧にし、縮合の際に発生する水やアルコールを除去しながら反応させる方法により得られる。
なお、原料の単量体が、反応温度下で溶解又は相溶しない場合は、高沸点の溶剤を溶解補助剤として加え溶解させてもよい。この場合、重縮合反応は溶解補助剤を留去しながら行う。相溶性の悪い単量体が存在する場合は、あらかじめ相溶性の悪い単量体とその単量体と重縮合予定の酸又はアルコールとを縮合させておいてから主成分と共に重縮合させるとよい。
【0026】
結晶性樹脂について説明する。
結晶性樹脂としては、結晶性ポリエステル樹脂、結晶性ビニル樹脂(例えば、ポリアル
キレン樹脂、長鎖アルキル(メタ)アクリレート樹脂等)等の公知の結晶性樹脂が挙げられる。これらの中でも、トナーの機械的強度および低温定着性の点から、結晶性ポリエステル樹脂が好ましい。
【0027】
・結晶性ポリエステル樹脂
結晶性ポリエステル樹脂は、例えば、多価カルボン酸と多価アルコールとの重縮合体が挙げられる。なお、結晶性ポリエステル樹脂としては、市販品を使用してもよいし、合成したものを使用してもよい。
ここで、結晶性ポリエステル樹脂は、結晶構造を容易に形成するため、芳香族を有する重合性単量体よりも直鎖状脂肪族を有する重合性単量体を用いた重縮合体が好ましい。
【0028】
多価カルボン酸としては、例えば、脂肪族ジカルボン酸(例えばシュウ酸、コハク酸、グルタル酸、アジピン酸、スベリン酸、アゼライン酸、セバシン酸、1,9-ノナンジカルボン酸、1,10-デカンジカルボン酸、1,12-ドデカンジカルボン酸、1,14-テトラデカンジカルボン酸、1,18-オクタデカンジカルボン酸等)、芳香族ジカルボン酸(例えばフタル酸、イソフタル酸、テレフタル酸、ナフタレン-2,6-ジカルボン酸等の二塩基酸等)、これらの無水物、又はこれらの低級(例えば炭素数1以上5以下)アルキルエステルが挙げられる。
多価カルボン酸は、ジカルボン酸と共に、架橋構造又は分岐構造をとる3価以上のカルボン酸を併用してもよい。3価のカルボン酸としては、例えば、芳香族カルボン酸(例えば1,2,3-ベンゼントリカルボン酸、1,2,4-ベンゼントリカルボン酸、1,2,4-ナフタレントリカルボン酸等)、これらの無水物、又はこれらの低級(例えば炭素数1以上5以下)アルキルエステルが挙げられる。
多価カルボン酸としては、これらジカルボン酸と共に、スルホン酸基を持つジカルボン酸、エチレン性二重結合を持つジカルボン酸を併用してもよい。
多価カルボン酸は、1種単独で使用してもよいし、2種以上を併用してもよい。
【0029】
多価アルコールとしては、例えば、脂肪族ジオール(例えば主鎖部分の炭素数が7以上20以下である直鎖型脂肪族ジオール)が挙げられる。脂肪族ジオールとしては、例えば、エチレングリコール、1,3-プロパンジオール、1,4-ブタンジオール、1,5-ペンタンジオール、1,6-ヘキサンジオール、1,7-ヘプタンジオール、1,8-オクタンジオール、1,9-ノナンジオール、1,10-デカンジオール、1,11-ウンデカンジオール、1,12-ドデカンジオール、1,13-トリデカンジオール、1,14-テトラデカンジオール、1,18-オクタデカンジオール、1,14-エイコサンデカンジオールなどが挙げられる。これらの中でも、脂肪族ジオールとしては、1,8-オクタンジオール、1,9-ノナンジオール、1,10-デカンジオールが好ましい。
多価アルコールは、ジオールと共に、架橋構造又は分岐構造をとる3価以上のアルコールを併用してもよい。3価以上のアルコールとしては、例えば、グリセリン、トリメチロールエタン、トリメチロールプロパン、ペンタエリスリトール等が挙げられる。
多価アルコールは、1種単独で使用してもよいし、2種以上を併用してもよい。
ここで、多価アルコールは、脂肪族ジオールの含有量を80モル%以上とすることがよく、好ましくは90モル%以上である。
【0030】
結晶性ポリエステル樹脂の融解温度は、50℃以上100℃以下が好ましく、55℃以上90℃以下がより好ましく、60℃以上85℃以下がさらに好ましい。
なお、融解温度は、示差走査熱量測定(DSC)により得られたDSC曲線から、JIS K7121-1987「プラスチックの転移温度測定方法」の融解温度の求め方に記載の「融解ピーク温度」により求める。
結晶性ポリエステル樹脂の重量平均分子量(Mw)は、6,000以上50,000以下が好ましい。
【0031】
結晶性ポリエステル樹脂は、例えば、非晶性ポリエステル樹脂と同様に、周知の製造方法により得られる。
【0032】
トナーが結晶性樹脂を含有する場合、結着樹脂全体に対する結晶性樹脂の含有率は、15質量%以上40質量%以下であることが好ましく、17質量%以上37質量%以下であることがより好ましい。
結晶性樹脂の含有率が上記範囲であることにより、定着時のトナー変形が適度な範囲となり、特にハーフトーン部分で良好な定着性が得られえる。
【0033】
また、結着樹脂は、結着樹脂と樹脂粒子との親和性を確保するために、非晶性ポリエステル樹脂と結晶性ポリエステル樹脂とを含むことが好ましい。結着樹脂が非晶性ポリエステル樹脂と結晶性ポリエステル樹脂とを含む場合には、その両者が脂肪族ジカルボン酸単位を有することで、より樹脂粒子を均一に分散させることができる。
なお、脂肪族ジカルボン酸としては、例えば、一般式「HOOC-(CH2)n-COOH」で表される飽和脂肪族ジカルボン酸を好ましく用いることができる。なお、上記一般式中のnは、4~20が好ましく、4~12がさらに好ましい。
【0034】
結着樹脂の含有量としては、例えば、トナー全体に対して、40質量%以上98質量%以下が好ましく、50質量%以上95質量%以下がより好ましく、60質量%以上93質量%以下がさらに好ましい。
【0035】
-樹脂粒子-
前述したように、本実施形態に係る静電荷像現像用トナーは、結着樹脂と結着樹脂と相溶しない樹脂粒子(以下、特定樹脂粒子とする)を含む。
特定樹脂粒子は架橋粒子であることが好ましい。架橋粒子であることにより、定着後も画像中で良好に分散し、後処理機汚れを防止できる。
架橋粒子としては、例えば、イオン結合により架橋された架橋粒子(イオン架橋粒子)、共有結合により架橋された架橋粒子(共有結合架橋粒子)等が挙げられる。これらの中でも、架橋粒子としては、共有結合により架橋された架橋粒子が好ましい。
【0036】
特定樹脂粒子に用いられる樹脂の種類としては、ポリオレフィン系樹脂(ポリエチレン、ポリプロピレン等)、スチレン系樹脂(ポリスチレン、αポリメチルスチレン等)、(メタ)アクリル系樹脂(ポリメチルメタアクリレート、ポリアクリロニトリル等)、エポキシ樹脂、ポリウレタン樹脂、ポリウレア樹脂、ポリアミド樹脂、ポリアミド樹脂、ポリカーボネート樹脂、ポリエーテル樹脂、ポリエステル樹脂及びこれらの共重合樹脂が挙げられる。これらの樹脂は、必要に応じて単独で用いても2種類以上を混合して用いてもよい。
【0037】
特定樹脂粒子に用いられる樹脂としては、上記の樹脂の中でも、スチレン-(メタ)アクリル系共重合体を含む。具体的には、樹脂粒子中にスチレン-(メタ)アクリル系共重合体を主成分として50質量%以上含み、80質量%以上が好ましく、より好ましくは90質量%以上、特には、実質的にすべてスチレン-(メタ)アクリル系共重合体であることが好ましい。また、共重合体を構成する単量体として、スチレン系単量体及び(メタ)アクリル系単量体の合計として80質量%以上が好ましく、90質量%以上がさらに好ましく、特に95質量%以上が好ましい。なお、残部は後述する架橋剤で、特定樹脂粒子が架橋粒子となることが特に好ましい。
特定樹脂粒子がスチレン-(メタ)アクリル系共重合体の粒子であることで、ハーフトーン部の定着性と広範囲の温度域で後処理機汚れ防止が良質したトナーが得られやすくなる。
【0038】
スチレン-(メタ)アクリル系共重合体は、例えば、次のスチレン系単量体及び(メタ)アクリル酸系単量体をラジカル重合によって重合した樹脂が挙げられる。
【0039】
スチレン系単量体としては、例えば、スチレン、α-メチルスチレン、ビニルナフタレンや、2-メチルスチレン、3-メチルスチレン、4-メチルスチレン、2-エチルスチレン、3-エチルスチレン、4-エチルスチレン等のアルキル鎖を持つアルキル置換スチレン、2-クロロスチレン、3-クロロスチレン、4-クロロスチレン等のハロゲン置換スチレン、4-フルオロスチレン、2,5-ジフルオロスチレン等のフッ素置換スチレン等が挙げられる。その中でも、スチレン、α-メチルスチレンが好ましい。
【0040】
(メタ)アクリル酸系単量体としては、(メタ)アクリル酸、(メタ)アクリル酸n-メチル、(メタ)アクリル酸n-エチル、(メタ)アクリル酸n-プロピル、(メタ)アクリル酸n-ブチル、(メタ)アクリル酸n-ペンチル、(メタ)アクリル酸n-ヘキシル、(メタ)アクリル酸n-ヘプチル、(メタ)アクリル酸n-オクチル、(メタ)アクリル酸n-デシル、(メタ)アクリル酸n-ドデシル、(メタ)アクリル酸n-ラウリル、(メタ)アクリル酸n-テトラデシル、(メタ)アクリル酸n-ヘキサデシル、(メタ)アクリル酸n-オクタデシル、(メタ)アクリル酸イソプロピル、(メタ)アクリル酸イソブチル、(メタ)アクリル酸t-ブチル、(メタ)アクリル酸イソペンチル、(メタ)アクリル酸アミル、(メタ)アクリル酸ネオペンチル、(メタ)アクリル酸イソヘキシル、(メタ)アクリル酸イソヘプチル、(メタ)アクリル酸イソオクチル、(メタ)アクリル酸2-エチルヘキシル、(メタ)アクリル酸フェニル、(メタ)アクリル酸ビフェニル、(メタ)アクリル酸ジフェニルエチル、(メタ)アクリル酸t-ブチルフェニル、(メタ)アクリル酸ターフェニル、(メタ)アクリル酸シクロヘキシル、(メタ)アクリル酸t-ブチルシクロヘキシル、(メタ)アクリル酸ジメチルアミノエチル、(メタ)アクリル酸ジエチルアミノエチル、(メタ)アクリル酸メトキシエチル、(メタ)アクリル酸2-ヒドロキシエチル、(メタ)アクリル酸2-カルボキシエチル、(メタ)アクリロニトリル、(メタ)アクリルアミド等が挙げられる。その中でも、(メタ)アクリル酸n-ブチル、(メタ)アクリル酸2-カルボキシエチル、が好ましい。
【0041】
架橋粒子において、樹脂を架橋するための架橋剤としては、例えば、ジビニルベンゼン、ジビニルナフタレン等の芳香族の多ビニル化合物類;フタル酸ジビニル、イソフタル酸ジビニル、テレフタル酸ジビニル、ホモフタル酸ジビニル、トリメシン酸ジビニル、トリメシン酸トリビニル、ナフタレンジカルボン酸ジビニル、ビフェニルカルボン酸ジビニル等の芳香族多価カルボン酸の多ビニルエステル類;ピリジンジカルボン酸ジビニル等の含窒素芳香族化合物のジビニルエステル類;ピロムチン酸ビニル、フランカルボン酸ビニル、ピロール-2-カルボン酸ビニル、チオフェンカルボン酸ビニル等の不飽和複素環化合物カルボン酸のビニルエステル類;ブタンジオールジアクリレート、ブタンジオールジメタクリレート、ヘキサンジオールジアクリレート、ヘキサンジオールジメタクリレート、オクタンジオールジアクリレート、オクタンジオールジメタクリレート、ノナンジオールジアクリレート、ノナンジオールジメタクリレート、デカンジオールジアクリレート、デカンジオールジメタクリレート、ドデカンジオールジアクリレート、ドデカンジオールジメタクリレート等の直鎖多価アルコールの(メタ)アクリル酸エステル類;ネオペンチルグリコールジメタクリレート、2-ヒドロキシ、1、3-ジアクリロキシプロパン等の分枝、置換多価アルコールの(メタ)アクリル酸エステル類;ポリエチレングリコールジ(メタ)アクリレート、ポリプロピレンポリエチレングリコールジ(メタ)アクリレート類、コハク酸ジビニル、フマル酸ジビニル、マレイン酸ビニル、マレイン酸ジビニル、ジグリコール酸ジビニル、イタコン酸ビニル、イタコン酸ジビニル、アセトンジカルボン酸ジビニル、グルタル酸ジビニル、3,3’-チオジプロピオン酸ジビニル、trans-アコニット酸ジビニル、trans-アコニット酸トリビニル、アジピン酸ジビニル、ピメリン酸ジビニル、スベリン酸ジビニル、アゼライン酸ジビニル、セバシン酸ジビニル、ドデカン二酸ジビニル、ブラシル酸ジビニル等の多価カルボン酸の多ビニルエステル類等が挙げられる。架橋剤は1種単独で用いてもよく、2種以上を併用して用いてもよい。
【0042】
これらの中でも、特定樹脂粒子を架橋するための架橋剤として、炭素数6以上のアルキレン鎖を有する2官能アルキルアクリレートを用いることが好ましい。つまり、架橋した特定樹脂粒子は、2官能アルキルアクリレートを構成単位として有し、前記2官能アルキルアクリレートにおけるアルキレン鎖の炭素数が6以上であることが好ましい。
2官能アルキルアクリレートを構成単位として有し、アルキレン鎖の炭素数が6以上である架橋粒子を使用することでより、定着時のトナー変形が適度な範囲であり、特にハーフトーン部の定着性が良いトナーが得られやすくなる。樹脂粒子の架橋密度が高い(つまり、架橋点間距離が短い)場合には、弾性が高くなり過ぎてしまうのに対し、架橋剤として長鎖のアルキレン鎖を有する2官能アクリレートを使用した場合には、架橋密度が低く(つまり、架橋点間距離が長く)なり、特定樹脂粒子の弾性が高くなり過ぎるのを抑制することができる。
【0043】
架橋密度を適度な範囲に調整する観点から、2官能アルキルアクリレートにおけるアルキレン鎖の炭素数としては、6以上が好ましく、6以上12以下がより好ましく、8以上12以下がさらに好ましい。より具体的な2官能アルキルアクリレートとしては、1,6-ヘキサンジオールアクリレート、1,6-ヘキサンジオールメタクリレート、1,8-オクタンジオールジアクリレート、1,8-オクタンジオールジメタクリレート、1,9-ノナンジオールジアクリレート、1,9-ノナンジオールジメタクリレート、1,10-デカンジオールジアクリレート、1,10-デカンジオールジメタクリレート、1,12-ドデカンジオールジアクリレート、1,12-ドデカンジオールジメタクリレートが挙げられ、その中でも1,10-デカンジオールジアクリレート、1,10-デカンジオールジメタクリレートであることが好ましい。
なお、特定樹脂粒子が、スチレン系単量体、(メタ)アクリル酸系単量体、及び架橋剤を含む樹脂粒子形成用組成物の重合体である場合、組成物中に含まれる架橋剤の量を調整することにより、樹脂粒子の定着性を制御してもよい。例えば、組成物に含まれる架橋剤の量を多くすることで、定着性が良い特定樹脂粒子が得られやすくなる。特定樹脂粒子形成用組成物における架橋剤の含有量としては、例えば、スチレン系単量体、(メタ)アクリル酸系単量体、及び架橋剤の合計100質量部に対し、0.3質量部以上5.0質量部以下であることが好ましく、0.5質量部以上3.0質量部以下であることがより好ましく、0.8質量部以上2.5質量部以下であることがさらに好ましい。
その他の架橋剤として、アクリル酸2-カルボキシエチルも挙げられ、前述の2官能アルキルアクリレートと少なくとも一方を用いることが好ましい。
【0044】
特定樹脂粒子の示差走査熱量計によって実測したガラス転移温度Tg(E)は、0℃以上30℃以下であることが好ましく、より好ましくは5℃以上25℃以下である。特定樹脂粒子のガラス転移温度Tg(E)が高すぎる場合と比較して、低温で衝撃を吸収する効果が得られず、後処理機汚れ改善を防ぐことが可能となる。また、ゴム粒子等のガラス転移温度が0℃以下の粒子を使用すると、衝撃を吸収する機能が無いため内部からの反発により摩擦熱が発生し、汚れを悪化させる場合がある。従って、ガラス転移温度Tg(E)は0℃以上30℃以下である場合、広範囲の温度域で後処理機汚れが防止されたトナーが得られる傾向にあり、好ましい。
【0045】
本実施形態では、特定樹脂粒子全体の構成モノマーの比率からFox式により求めたガラス転移温度をTg(C1)℃としたとき、樹脂粒子を実測したガラス転移温度Tg(E)℃との差は、
5.0≦Tg(E)-Tg(C1)≦20.0
であり、また、樹脂粒子の表面分析から算出される構成モノマーの比率を用いてFox式により求めたガラス転移温度をTg(C2)℃としたとき、
Tg(C1)>Tg(C2)
である。前記2つの式が条件を満たすと、トナーにおいてハーフトーン部の定着性と広範囲の温度域で後処理機汚れ防止の両立が可能となる。さらには
8.0≦Tg(E)-Tg(C1)≦18.0
であることが好ましい。
【0046】
5.0≦Tg(E)-Tg(C1)≦20.0の式は、前述したように実測値のガラス転移温度Tg(E)がFox式により求めたガラス転移温度Tg(C1)より低いことを示す。前述したように、Fox式によるガラス転移温度と実測によるガラス転移温度のずれは、スチレンと(メタ)アクリレートがランダムに結合せずに、スチレンが主成分である配列と(メタ)アクリレートが主成分である配列が混在していることを意味する。
次にTg(C1)>Tg(C2)の式は、Fox式により求めたガラス転移温度のうち、特定樹脂粒子全体についてのガラス転移温度Tg(C1)が表面分析から算出される構成モノマーによるガラス転移温度Tg(C2)より高いことを示す。ポリスチレン樹脂のガラス転移温度は100℃程度、(メタ)アクリル系樹脂のガラス転移温度は通常それより低く、例えばポリアクリル酸エチルは-20℃程度、であることからTg(C1)>Tg(C2)の式は(メタ)アクリル系単位が多い配列の領域が、特定樹脂粒子の表面に偏在することを示すと考えられる。
【0047】
また、本発明の実施形態の別の表現として、結着樹脂と特定樹脂粒子を含む静電荷像現像用トナーであって、結着樹脂は非晶性樹脂と結晶性樹脂を含み、特定樹脂粒子は、スチレン-(メタ)アクリレート系共重合体を含み、特定樹脂粒子中の(メタ)アクリレートモノマーから誘導される単位の割合をWa(B)モル%、特定樹脂粒子の表面分析による(メタ)アクリレートモノマーから誘導される単位の割合をWa(S)モル%としたとき、
Wa(S)は40モル%以上80モル%以下であり、かつ、
2≦Wa(S)-Wa(B)≦20
である、静電荷像現像用トナーが挙げられる。
さらには、Wa(S)は45モル%以上75モル%以下が好ましく、
5≦Wa(S)-Wa(B)≦15
であることが好ましい。
前述の式2≦Wa(S)-Wa(B)≦20も、特定樹脂粒子全体の(メタ)アクリレートモノマーから誘導される単位よりも、表面に存在する(メタ)アクリレートモノマーから誘導される単位が多く、特定樹脂粒子内で偏在していることを示す。
【0048】
なお、スチレン-(メタ)アクリル系共重合体からなる特定樹脂粒子において、Tg(E)、Tg(C2)、Wa(S)等の調整は、共重合体の重合条件の調整により達成できる。例えば、乳化重合法によりスチレン-(メタ)アクリル系共重合を調製する場合には、スチレンと(メタ)アクリレート比の異なるエマルジョンを順次滴下することにより、調整することができる。さらに、重合温度、重合時間、重合開始剤の添加方法等の調整を併用して、反応の進行を制御することも可能である。
【0049】
特定樹脂粒子全体の構成モノマーの比率及び特定樹脂粒子中の(メタ)アクリレートモノマーから誘導される単位の割合Wa(B)モル%は、溶剤に対する溶解性の差を利用して両者を分離し、分離された成分をNMRで同定することにより求められる。
表面分析による(メタ)アクリレートモノマーから誘導される単位の割合Wa(S)は次のように求める。
特定樹脂粒子を乾燥させ、X線光電子分光装置(XPS)にて表面組成分析を行い、特定樹脂粒子における炭素元素と酸素元素の合計に対する酸素元素の比率O(p)を次式により求める。
O(p)=酸素元素数/(炭素元素数+酸素元素数)
また、(メタ)アクリレートのみからなる樹脂を作製し、同様にして(メタ)アクリレート中の酸素元素の比率O(a)を求める。
これらの測定結果から、スチレンと(メタ)アクリレートの和が1となるようにした時、表面(メタ)アクリレート比率Wa(S)、表面スチレン比率Ws(S)は以下の式で求めることができる。
Wa(S)=O(p)/ O(a)
Ws(S)=1-(O(p)/ O(a))
そして、これらの比率を用いてTg(C2)を求めることができる。
【0050】
特定樹脂粒子の含有率は、トナー全体に対し、2質量%以上20質量%以下であることが好ましく、5質量%以上15質量%以下であることがより好ましい。
樹脂粒子の含有率が上記範囲であることにより、ハーフトーン部の定着性と広範囲の温度域で後処理機汚れ防止の両立が可能となる。
また、結晶性樹脂のトナー中の含有量w2に対する、樹脂粒子のトナー中の含有量w1の比率w1/w2は、0.2以上2.0以下が好ましく、更には0.3以上1.5以下が好ましい。
w1/w2が上記範囲にあることにより、結晶性樹脂と特定樹脂粒子の比率が特定範囲にあり、定着時のトナーが適度に変形し、トナーの低温定着性を得ることができる。
【0051】
非晶性樹脂が非晶性ポリエステル樹脂を含む場合に、非晶性ポリエステル樹脂を示差走査熱量計によって実測したガラス転移温度をTg(ap)℃としたとき、特定樹脂粒子全体の構成モノマーの比率からFox式により求めたガラス転移温度Tg(C1)℃との差は、
40≦Tg(ap)-Tg(C1)≦90
であることが好ましい。この式を満たすことにより、結着樹脂と特定樹脂粒子との親和性を確保することができる。
なお、非晶性ポリエステル樹脂の実測したガラス転移温度Tg(ap)は、トナー中からテトラヒドロフラン(THF)に溶解させ、不溶な成分を除去した後、抽出物を例えば40℃~55℃の環境で保管し、十分に結晶化を促進させた後、示差走査熱量計による測定に得られるTgを非晶性ポリエステル樹脂とみなすことができる。特定樹脂粒子全体の構成モノマー比率は、樹脂粒子が架橋粒子である場合は、トナーからTHF不溶分として取り出した樹脂粒子に対して、構成するモノマー比を測定することにより得られる。
【0052】
個々の特定樹脂粒子によってトナーに形成されるドメインの平均円相当径は50nm以上300nm以下が好ましく、更には80nm以上250nm以下が好ましい。平均円相当径がこの範囲となることにより、定着を阻害せず、後処理機汚れを防止することができる。
測定は以下の方法により行う。
トナーをエポキシ樹脂に混合して包埋し、エポキシ樹脂を固化する。得られた固化物を、ウルトラミクロトーム装置(Leica社製UltracutUCT)により切断し、厚さ80nm以上130nm以下の薄片試料を作製する。次に、得られた薄片試料を30℃のデシケータ内で四酸化ルテニウムにより3時間染色する。そして、超高分解能電界放出形走査電子顕微鏡(FE-SEM、日立ハイテクノロジーズ社製、S-4800)にて、染色された薄片試料のSEM画像を得る。離型剤、スチレン-(メタ)アクリル樹脂、ポリエステル樹脂は、四酸化ルテニウムでのに染色され易さが異なるため、染色度合いに起因する濃淡により、各成分を識別する。試料の状態などにより濃淡が判別しにくい場合は、染色時間を調整する。
なお、トナー粒子の断面において、着色剤のドメインは、離型剤のドメイン及び特定樹脂粒子のドメインよりも小さいので、大きさによって区別される。
個々の特定樹脂粒子のドメインの平均円相当径は、次の方法により測定される値である。
SEM画像において、最大長がトナー粒子の体積平均粒径の85%以上であるトナー断面を30個選択し、染色された樹脂粒子のドメインを合計100個観察する。ドメインそれぞれの最大長を測定し、最大長をドメインの直径とみなし、その算術平均を平均円相当径とする。
【0053】
特定樹脂粒子のドメインの平均円相当径の調整は、例えば、トナー粒子を凝集合一で製造し、製造の際に使用する特定樹脂粒子分散液に含まれる樹脂粒子の体積平均粒径を調整すること;体積平均粒径の異なる特定樹脂粒子分散液を複数用意し、それを組み合せて使用すること;等によって制御する方法が挙げられる。
【0054】
個々の特定樹脂粒子のドメインの平均形状係数SF―1は130以下が好ましい。SF―1が130以下であることにより、定着を阻害せず、後処理機汚れを防止することができる。
平均形状係数SF―1は下記式により求められる。
SF―1=(ML/A) × (π/4)×100
上記式中、MLはトナーの絶対最大長、Aはトナーの投影面積を各々示す。
具体的には、上記ドメインの平均円相当径の測定と同様にサンプル調整する。SEM画像において、最大長がトナー粒子の体積平均粒径の85%以上であるトナー断面を30個選択し、染色された樹脂粒子のドメインを合計100個観察する。観察したSEM画像をを画像解析処理システムルーゼックス(ニレコ社製)に取り込み、100個の粒子の最大長と投影面積を求め、上記式によって計算し、その平均値を求めることにより得られる。
【0055】
-着色剤-
着色剤としては、例えば、カーボンブラック、クロムイエロー、ハンザイエロー、ベンジジンイエロー、スレンイエロー、キノリンイエロー、ピグメントイエロー、パーマネントオレンジGTR、ピラゾロンオレンジ、バルカンオレンジ、ウオッチヤングレッド、パーマネントレッド、ブリリアントカーミン3B、ブリリアントカーミン6B、デュポンオイルレッド、ピラゾロンレッド、リソールレッド、ローダミンBレーキ、レーキレッドC、ピグメントレッド、ローズベンガル、アニリンブルー、ウルトラマリンブルー、カルコオイルブルー、メチレンブルークロライド、フタロシアニンブルー、ピグメントブルー、フタロシアニングリーン、マラカイトグリーンオキサレートなどの種々の顔料、又は、アクリジン系、キサンテン系、アゾ系、ベンゾキノン系、アジン系、アントラキノン系、チオインジコ系、ジオキサジン系、チアジン系、アゾメチン系、インジコ系、フタロシアニン系、アニリンブラック系、ポリメチン系、トリフェニルメタン系、ジフェニルメタン系、チアゾール系などの各種染料等が挙げられる。
着色剤は、1種類単独で用いてもよいし、2種以上を併用してもよい。
【0056】
着色剤は、必要に応じて表面処理された着色剤を用いてもよく、分散剤と併用してもよい。また、着色剤は、複数種を併用してもよい。
着色剤の含有量としては、例えば、トナー粒子全体に対して、1質量%以上30質量%以下が好ましく、3質量%以上15質量%以下がより好ましい。
【0057】
-離型剤-
離型剤としては、例えば、炭化水素系ワックス;カルナバワックス、ライスワックス、キャンデリラワックス等の天然ワックス;モンタンワックス等の合成又は鉱物・石油系ワックス;脂肪酸エステル、モンタン酸エステル等のエステル系ワックスなどが挙げられる。離型剤は、これに限定されるものではない。
【0058】
離型剤の融解温度は、50℃以上110℃以下が好ましく、60℃以上100℃以下がより好ましい。
なお、融解温度は、示差走査熱量測定(DSC)により得られたDSC曲線から、JIS K 7121-1987「プラスチックの転移温度測定方法」の融解温度の求め方に記載の「融解ピーク温度」により求める。
離型剤の含有量としては、例えば、トナー粒子全体に対して、1質量%以上20質量%以下が好ましく、4質量%以上15質量%以下がより好ましい。
【0059】
-その他の添加剤-
その他の添加剤としては、例えば、磁性体、帯電制御剤、無機粉体等の周知の添加剤が挙げられる。これらの添加剤は、内添剤としてトナー粒子に含まれる。
【0060】
-トナー粒子の特性等-
トナー粒子は、単層構造のトナー粒子であってもよいし、芯部(コア粒子)と芯部を被覆する被覆層(シェル層)とで構成された所謂コア・シェル構造のトナー粒子であってもよい。
ここで、コア・シェル構造のトナー粒子は、例えば、結着樹脂と特定樹脂粒子と必要に応じて着色剤及び離型剤等のその他添加剤とを含んで構成された芯部と、結着樹脂を含んで構成された被覆層と、で構成されていることがよい。
【0061】
トナー粒子の体積平均粒径(D50v)としては、2μm以上10μm以下が好ましく、4μm以上8μm以下がより好ましく、4μm以上7μm以下がさらに好ましい。
【0062】
なお、トナー粒子の体積平均粒径(D50v)は、コールターマルチサイザー3(ベックマン・コールター社製)を用い、電解液はISOTON-II(ベックマン・コールター社製)を使用して測定される。
【0063】
測定に際しては、分散剤として、界面活性剤(アルキルベンゼンスルホン酸ナトリウムが好ましい)の5%水溶液2ml中に測定試料を0.5mg以上50mg以下加える。これを電解液100ml以上150ml以下中に添加する。
試料を懸濁した電解液は超音波分散器で1分間分散処理を行い、コールターマルチサイザー3により、アパーチャー径として100μmのアパーチャーを用いて2μm以上60μm以下の範囲の粒径の粒子の粒度分布を測定する。なお、サンプリングする粒子数は50000個である。
【0064】
トナー粒子の平均円形度としては、0.94以上1.00以下が好ましく、0.95以上0.98以下がより好ましい。
トナー粒子の平均円形度は、(円相当周囲長)/(周囲長)[(粒子像と同じ投影面積をもつ円の周囲長)/(粒子投影像の周囲長)]により求められる。具体的には、次の方
法で測定される値である。
まず、測定対象となるトナー粒子を吸引採取し、扁平な流れを形成させ、瞬時にストロボ発光させることにより静止画像として粒子像を取り込み、その粒子像を画像解析するフロー式粒子像解析装置(シスメックス社製のFPIA-3000)によって求める。そして、平均円形度を求める際のサンプリング数は4500個とする。
なお、トナーが外添剤を有する場合、界面活性剤を含む水中に、測定対象となるトナー(現像剤)を分散させた後、超音波処理を行って外添剤を除去したトナー粒子を得る。
【0065】
-外添剤-
外添剤としては、例えば、無機粒子が挙げられる。該無機粒子として、SiO2、TiO2、Al2O3、CuO、ZnO、SnO2、CeO2、Fe2O3、MgO、BaO、CaO、K2O、Na2O、ZrO2、CaO・SiO2、K2O・(TiO2)n、Al2O3・2SiO2、CaCO3、MgCO3、BaSO4、MgSO4等が挙げられる。
【0066】
外添剤としての無機粒子の表面は、疎水化処理が施されていることがよい。疎水化処理は、例えば疎水化処理剤に無機粒子を浸漬する等して行う。疎水化処理剤は特に制限されないが、例えば、シラン系カップリング剤、シリコーンオイル、チタネート系カップリング剤、アルミニウム系カップリング剤等が挙げられる。これらは1種単独で使用してもよいし、2種以上を併用してもよい。
疎水化処理剤の量としては、通常、例えば、無機粒子100質量部に対して、1質量部以上10質量部以下である。
【0067】
外添剤としては、樹脂粒子(ポリスチレン、ポリメチルメタクリレート(PMMA)、メラミン樹脂等の樹脂粒子)、クリーニング活剤(例えば、ステアリン酸亜鉛に代表される高級脂肪酸の金属塩、フッ素系高分子量体の粒子)等も挙げられる。
外添剤の外添量としては、例えば、トナー粒子に対して、0.01質量%以上8.0質量%以下が好ましく、0.2質量%以上6.0質量%以下がより好ましい。
【0068】
(トナーの製造方法)
次に、本実施形態に係るトナーの製造方法について説明する。
本実施形態に係るトナーは、トナー粒子を製造後、必要に応じて、トナー粒子に対して、外添剤を外添することで得られる。
【0069】
トナー粒子は、乾式製法(例えば、混練粉砕法等)、湿式製法(例えば凝集合一法、懸濁重合法、溶解懸濁法等)のいずれにより製造してもよい。トナー粒子の製法は、これらの製法に特に制限はなく、周知の製法が採用される。
これらの中でも、凝集合一法により、トナー粒子を得ることがよい。
【0070】
具体的には、例えば、トナー粒子を凝集合一法により製造する場合、結着樹脂となる樹脂粒子が分散された結着樹脂粒子分散液、及び特定樹脂粒子となる特定樹脂粒子分散液を準備する工程(特定樹脂粒子分散液準備工程)と、結着樹脂粒子分散液中で(必要に応じて他の粒子分散液を混合した後の分散液中で)、特定樹脂粒子(必要に応じて他の粒子)を凝集させ、凝集粒子を形成する工程(凝集粒子形成工程)と、凝集粒子が分散された凝集粒子分散液に対して加熱し、凝集粒子を融合・合一して、トナー粒子を形成する工程(融合・合一工程)と、を経て、トナー粒子を製造する。
【0071】
以下、各工程の詳細について説明する。
なお、以下の説明では、着色剤、及び離型剤を含むトナー粒子を得る方法について説明するが、着色剤、離型剤は、必要に応じて用いられるものである。無論、着色剤、離型剤以外のその他添加剤を用いてもよい。
【0072】
-結着樹脂粒子分散液準備工程-
まず、結着樹脂となる樹脂粒子が分散された樹脂粒子分散液と共に、例えば、着色剤粒子が分散された着色剤粒子分散液、離型剤粒子が分散された離型剤粒子分散液を準備する。
ここで、結着樹脂粒子分散液は、例えば、結着樹脂を乳化し、必要に応じて界面活性剤を添加することにより分散媒中に分散させることにより調製する。
結着樹脂粒子分散液に用いる分散媒としては、例えば水系媒体が挙げられる。
水系媒体としては、例えば、蒸留水、イオン交換水等の水、アルコール類等が挙げられる。これらは、1種単独で使用してもよいし、2種以上を併用してもよい。
【0073】
界面活性剤としては、例えば、硫酸エステル塩系、スルホン酸塩系、リン酸エステル系、せっけん系等のアニオン界面活性剤;アミン塩型、4級アンモニウム塩型等のカチオン界面活性剤;ポリエチレングリコール系、アルキルフェノールエチレンオキサイド付加物系、多価アルコール系等の非イオン系界面活性剤等が挙げられる。これらの中でも特に、アニオン界面活性剤、カチオン界面活性剤が挙げられる。非イオン系界面活性剤は、アニオン界面活性剤又はカチオン界面活性剤と併用してもよい。
界面活性剤は、1種単独で使用してもよいし、2種以上を併用してもよい。
【0074】
結着樹脂粒子分散液において、結着樹脂粒子を分散媒に分散する方法としては、例えば回転せん断型ホモジナイザーや、メディアを有するボールミル、サンドミル、ダイノミル等の一般的な分散方法が挙げられる。また、結着樹脂の種類によっては、例えば転相乳化法を用いて結着樹脂粒子分散液中に結着樹脂粒子を分散させてもよい。
なお、転相乳化法とは、分散すべき樹脂を、その樹脂が可溶な疎水性有機溶剤中に溶解させ、有機連続相(O相)に塩基を加えて、中和したのち、水媒体(W相)を投入することによって、W/OからO/Wへの、樹脂の変換(いわゆる転相)が行われて不連続相化し、樹脂を、水媒体中に粒子状に分散する方法である。
【0075】
結着樹脂粒子分散液中に分散する樹脂粒子の体積平均粒径としては、例えば0.01μm以上1μm以下が好ましく、0.08μm以上0.8μm以下がより好ましく、0.1μm以上0.6μm以下がさらに好ましい。
なお、結着樹脂粒子の体積平均粒径は、レーザー回折式粒度分布測定装置(例えば、堀場製作所製、LA-700)の測定によって得られた粒度分布を用い、分割された粒度範囲(チャンネル)に対し、体積について小粒径側から累積分布を引き、全粒子に対して累積50%となる粒径を体積平均粒径D50vとして測定される。なお、他の分散液中の粒子の体積平均粒径も同様に測定される。
【0076】
結着樹脂粒子分散液に含まれる樹脂粒子の含有量としては、例えば、5質量%以上50質量%以下が好ましく、10質量%以上45質量%以下がより好ましい。
【0077】
なお、結着樹脂粒子分散液と同様にして、例えば、着色剤粒子分散液、離型剤粒子分散液も調製される。つまり、樹脂粒子分散液における粒子の体積平均粒径、分散媒、分散方法、及び粒子の含有量に関しては、着色剤粒子分散液中に分散する着色剤粒子、及び離型剤粒子分散液中に分散する離型剤粒子についても同様である。
【0078】
・特定樹脂粒子分散液の調製
樹脂粒子分散液の調製方法としては、例えば、乳化重合法、バンバリーミキサーやニーダー等を用いる溶融混練法、懸濁重合法、噴霧乾燥法等、公知の方法が適用されるが、粒子表面に(メタ)アクリレートモノマーから誘導される単位を偏在させるため乳化重合法が好ましい。
単量体としてスチレン系単量体及び(メタ)アクリル酸系単量体を用い、架橋剤存在下で重合することが好ましい。
また、特定樹脂粒子の製造において、複数回の乳化重合を行うことが好ましい。
以下、特定樹脂粒子の製造方法についてより具体的に説明する。
【0079】
特定樹脂粒子分散液の調製方法は、
単量体、架橋剤、界面活性剤、及び水を含む乳化液を得る工程(乳化液調製工程)と、
乳化液に対して重合開始剤を添加し、加熱することで単量体を重合する工程(第一乳化重合工程)と、
第一乳化重合工程後の反応溶液に、単量体及び架橋剤を含む乳化液を追加して、加熱することで単量体を重合する工程(第二乳化重合工程)と、を含むことが好ましい。
さらに、第二乳化重合工程では、粒子表面の組成を調整するため、スチレンモノマーと(メタ)アクリレートモノマーの比率を変更して乳化液を調整した上で、複数回乳化液を追加しても良い。
【0080】
-乳化液調整工程-
単量体、架橋剤、界面活性剤、及び水を含む乳化液を得る工程である。
単量体、架橋剤、界面活性剤、及び水を、乳化機により乳化することで乳化液を得ることが好ましい。
乳化機としては、例えば、プロペラ型、アンカー型、パドル型、又はタービン型の撹拌羽根を備えた回転式撹拌機、スタティックミキサー等の静止型混合器、ホモジナイザー、クレアミックス等のローター・ステーター型乳化機、磨砕機能を備えたミル型乳化機、マントンゴーリン式圧力乳化機等の高圧乳化機、高圧下でキャビテーションを発生させる高圧ノズル型乳化機、マイクロフルイダイザー等の高圧下で液同士を衝突させることによりせん断力を与える高圧衝突型乳化機、超音波でキャビテーションを発生させる超音波乳化機、細孔を通して均一乳化を行う膜乳化機等が例示される。
【0081】
単量体としてはスチレン系単量体及び(メタ)アクリル酸系単量体を用いることが好ましい。
架橋剤としては既述のものが適用される。
【0082】
界面活性剤としては、例えば、硫酸エステル塩系、スルホン酸塩系、リン酸エステル系、せっけん系等のアニオン界面活性剤;アミン塩型、4級アンモニウム塩型等のカチオン界面活性剤;ポリエチレングリコール系、アルキルフェノールエチレンオキサイド付加物系、多価アルコール系等の非イオン系界面活性剤等が挙げられる。非イオン系界面活性剤は、アニオン界面活性剤又はカチオン界面活性剤と併用してもよい。これらの中でも、アニオン界面活性剤が好ましい。界面活性剤は、1種単独で使用してもよいし、2種以上を併用してもよい。
【0083】
乳化液は連鎖移動剤を含んでいても良い。連鎖移動剤としては特に制限はないが、チオール成分を有する化合物を用いることができる。具体的には、ヘキシルメルカプタン、ヘプチルメルカプタン、オクチルメルカプタン、ノニルメルカプタン、デシルメルカプタン、ドデシルメルカプタン等のアルキルメルカプタン類が好ましい。
乳化液中のスチレン系単量体及び(メタ)アクリル酸系単量体の質量比(スチレン系単量体/(メタ)アクリル酸系単量体)は、0.2以上1.1以下であることが好ましい。
また、乳化液全体に対する架橋剤の含有量は0.5質量%以上3質量%以下であることが好ましい。
【0084】
-第一乳化重合工程-
乳化液に対して重合開始剤を添加し、加熱することで単量体を重合する工程である。
ここで、重合する際、重合開始剤を含んだ乳化液(反応溶液)を撹拌機により撹拌することが好ましい。
撹拌機としては、プロペラ型、アンカー型、パドル型、又はタービン型の撹拌羽根を備えた回転式撹拌機が挙げられる。
重合開始剤としては、過硫酸アンモニウムを用いることが好ましい。
【0085】
-第二乳化重合工程-
第一乳化重合工程後の反応溶液に、単量体を含む乳化液を追加して、加熱することで単量体を重合する工程である。
重合する際、第一乳化重合工程と同様に反応溶液を撹拌することが好ましい。
本工程では、単量体を含む乳化液中のスチレンモノマーと(メタ)アクリレートモノマーの比率を変更して複数回に分割して乳化液を追加しても良い。
単量体を含む乳化液は、例えば、単量体、界面活性剤、及び水を乳化機により乳化することで乳化液を得ることが好ましい。
【0086】
-凝集粒子形成工程-
次に、結着樹脂粒子分散液と共に、着色剤粒子分散液と、離型剤粒子分散液と、特定樹脂粒子分散液と、を混合する。
そして、混合分散液中で、樹脂粒子と着色剤粒子と離型剤粒子とをヘテロ凝集させ目的とするトナー粒子の径に近い径を持つ、樹脂粒子と着色剤粒子と離型剤粒子とを含む凝集粒子を形成する。
【0087】
具体的には、例えば、混合分散液に凝集剤を添加すると共に、混合分散液のpHを酸性(例えばpHが2以上5以下)に調整し、必要に応じて分散安定剤を添加した後、結着樹脂粒子のガラス転移温度(具体的には、例えば、結着樹脂粒子のガラス転移温度-30℃以上ガラス転移温度-10℃以下)の温度に加熱し、混合分散液に分散された粒子を凝集させて、凝集粒子を形成する。
凝集粒子形成工程においては、例えば、混合分散液を回転せん断型ホモジナイザーで撹拌下、室温(例えば25℃)で上記凝集剤を添加し、混合分散液のpHを酸性(例えばpHが2以上5以下)に調整し、必要に応じて分散安定剤を添加した後に、上記加熱を行ってもよい。
【0088】
本工程では、凝集剤を添加する際における混合分散液の温度を調整することで、得られるトナー粒子における特定樹脂粒子の分散状態を制御してもよい。例えば、混合分散液の温度を低くすることで、樹脂粒子の分散性が良好となる。混合分散液の温度としては、例えば、5℃以上40℃以下の範囲が挙げられる。
また、本工程では、凝集剤を添加した後の撹拌速度を調整することで、得られるトナー粒子における樹脂粒子の分散状態を制御してもよい。例えば、凝集剤を添加した後の撹拌速度を速くすることで、樹脂粒子の分散性が良好となる。
【0089】
凝集剤としては、例えば、混合分散液に添加される分散剤として用いる界面活性剤と逆極性の界面活性剤、無機金属塩、2価以上の金属錯体が挙げられる。特に、凝集剤として金属錯体を用いた場合には、界面活性剤の使用量が低減され、帯電特性が向上する。
凝集剤の金属イオンと錯体もしくは類似の結合を形成する添加剤を必要に応じて用いてもよい。この添加剤としては、キレート剤が好適に用いられる。
【0090】
無機金属塩としては、例えば、塩化カルシウム、硝酸カルシウム、塩化バリウム、塩化マグネシウム、塩化亜鉛、塩化アルミニウム、硫酸アルミニウム等の金属塩、及び、ポリ塩化アルミニウム、ポリ水酸化アルミニウム、多硫化カルシウム等の無機金属塩重合体等が挙げられる。
キレート剤としては、水溶性のキレート剤を用いてもよい。キレート剤としては、例えば、酒石酸、クエン酸、グルコン酸等のオキシカルボン酸、イミノジ酢酸(IDA)、ニトリロトリ酢酸(NTA)、エチレンジアミンテトラ酢酸(EDTA)等が挙げられる。
キレート剤の添加量としては、例えば、樹脂粒子100質量部に対して0.01質量部以上5.0質量部以下が好ましく、0.1質量部以上3.0質量部未満がより好ましい。
【0091】
-融合・合一工程-
次に、凝集粒子が分散された凝集粒子分散液に対して、例えば、結着樹脂粒子のガラス転移温度以上(例えば特定樹脂粒子のガラス転移温度より10℃から30℃高い温度以上)に加熱して、凝集粒子を融合・合一し、トナー粒子を形成する。
【0092】
以上の工程を経て、トナー粒子が得られる。
なお、凝集粒子が分散された凝集粒子分散液を得た後、当該凝集粒子分散液と、樹脂粒子が分散された樹脂粒子分散液と、他の樹脂粒子が分散された他の樹脂粒子分散液と、をさらに混合し、凝集粒子の表面にさらに樹脂粒子と他の樹脂粒子とを付着するように凝集して、第2凝集粒子を形成する工程と、第2凝集粒子が分散された第2凝集粒子分散液に対して加熱をし、第2凝集粒子を融合・合一して、コア/シェル構造のトナー粒子を形成する工程と、を経て、トナー粒子を製造してもよい。
【0093】
第2凝集粒子を形成する工程では、樹脂粒子分散液の添加と、凝集粒子の表面への樹脂粒子の付着と、を複数回繰り返してもよい。
【0094】
ここで、融合・合一工程終了後は、溶液中に形成されたトナー粒子を、公知の洗浄工程、固液分離工程、乾燥工程を経て乾燥した状態のトナー粒子を得る。
洗浄工程は、帯電性の点から充分にイオン交換水による置換洗浄を施すことがよい。また、固液分離工程は、特に制限はないが、生産性の点から吸引濾過、加圧濾過等を施すことがよい。また、乾燥工程も特に方法に制限はないが、生産性の点から凍結乾燥、気流乾燥、流動乾燥、振動型流動乾燥等を施すことがよい。
【0095】
そして、本実施形態に係るトナーは、例えば、得られた乾燥状態のトナー粒子に、外添剤を添加し、混合することにより製造される。混合は、例えばVブレンダー、ヘンシェルミキサー、レーディゲミキサー等によって行うことがよい。更に、必要に応じて、振動篩分機、風力篩分機等を使ってトナーの粗大粒子を取り除いてもよい。
【0096】
<静電荷像現像剤>
本実施形態に係る静電荷像現像剤は、本実施形態に係るトナー又は第2の実施形態に係るトナーを少なくとも含むものである。
本実施形態に係る静電荷像現像剤は、本実施形態又は第2の実施形態に係るトナーのみを含む一成分現像剤であってもよいし、当該トナーとキャリアと混合した二成分現像剤であってもよい。
【0097】
キャリアとしては、特に制限はなく、公知のキャリアが挙げられる。キャリアとしては、例えば、磁性粉からなる芯材の表面に被覆樹脂を被覆した被覆キャリア;マトリックス樹脂中に磁性粉が分散・配合された磁性粉分散型キャリア;多孔質の磁性粉に樹脂を含浸させた樹脂含浸型キャリア等が挙げられる。
なお、磁性粉分散型キャリア、及び樹脂含浸型キャリアは、当該キャリアの構成粒子を芯材とし、これに被覆樹脂により被覆したキャリアであってもよい。
【0098】
磁性粉としては、例えば、鉄、ニッケル、コバルト等の磁性金属、フェライト、マグネタイト等の磁性酸化物等が挙げられる。
【0099】
被覆樹脂、及びマトリックス樹脂としては、例えば、ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリスチレン、ポリビニルアセテート、ポリビニルアルコール、ポリビニルブチラール、ポリ塩化ビニル、ポリビニルエーテル、ポリビニルケトン、塩化ビニル-酢酸ビニル共重合体、スチレン-アクリル酸エステル共重合体、オルガノシロキサン結合を含んで構成されるストレートシリコーン樹脂又はその変性品、フッ素樹脂、ポリエステル、ポリカーボネート、フェノール樹脂、エポキシ樹脂等が挙げられる。
なお、被覆樹脂、及びマトリックス樹脂には、導電性粒子等、その他添加剤を含ませてもよい。
導電性粒子としては、金、銀、銅等の金属、カーボンブラック、酸化チタン、酸化亜鉛、酸化スズ、硫酸バリウム、ホウ酸アルミニウム、チタン酸カリウム等の粒子が挙げられる。
【0100】
ここで、芯材の表面に被覆樹脂を被覆するには、被覆樹脂、及び必要に応じて各種添加剤を適当な溶媒に溶解した被覆層形成用溶液により被覆する方法等が挙げられる。溶媒としては、特に限定されるものではなく、使用する被覆樹脂、塗布適性等を勘案して選択すればよい。
具体的な樹脂被覆方法としては、芯材を被覆層形成用溶液中に浸漬する浸漬法、被覆層形成用溶液を芯材表面に噴霧するスプレー法、芯材を流動エアーにより浮遊させた状態で被覆層形成用溶液を噴霧する流動床法、ニーダーコーター中でキャリアの芯材と被覆層形成用溶液とを混合し、溶剤を除去するニーダーコーター法等が挙げられる。
【0101】
二成分現像剤における、トナーとキャリアとの混合比(質量比)は、トナー:キャリア
=1:100乃至30:100が好ましく、3:100乃至20:100がより好ましい。
【0102】
<画像形成装置、画像形成方法>
本実施形態に係る画像形成装置/画像形成方法について説明する。
本実施形態に係る画像形成装置は、像保持体と、像保持体の表面を帯電する帯電手段と、帯電した像保持体の表面に静電荷像を形成する静電荷像形成手段と、静電荷像現像剤を収容し、静電荷像現像剤により、像保持体の表面に形成された静電荷像をトナー画像として現像する現像手段と、像保持体の表面に形成されたトナー画像を記録媒体の表面に転写する転写手段と、記録媒体の表面に転写されたトナー画像を定着する定着手段と、を備える。そして、静電荷像現像剤として、本実施形態に係る静電荷像現像剤が適用される。
【0103】
本実施形態に係る画像形成装置では、像保持体の表面を帯電する帯電工程と、帯電した像保持体の表面に静電荷像を形成する静電荷像形成工程と、本実施形態に係る静電荷像現像剤により、像保持体の表面に形成された静電荷像をトナー画像として現像する現像工程と、像保持体の表面に形成されたトナー画像を記録媒体の表面に転写する転写工程と、記録媒体の表面に転写されたトナー画像を定着する定着工程と、を有する画像形成方法(本実施形態に係る画像形成方法)が実施される。
【0104】
本実施形態に係る画像形成装置は、像保持体の表面に形成されたトナー画像を直接記録媒体に転写する直接転写方式の装置;像保持体の表面に形成されたトナー画像を中間転写体の表面に一次転写し、中間転写体の表面に転写されたトナー画像を記録媒体の表面に二次転写する中間転写方式の装置;トナー画像の転写後、帯電前の像保持体の表面をクリーニングするクリーニング手段を備えた装置;トナー画像の転写後、帯電前に像保持体の表面に除電光を照射して除電する除電手段を備える装置;等の公知の画像形成装置が適用される。
本実施形態に係る画像形成装置が中間転写方式の装置の場合、転写手段は、例えば、表面にトナー画像が転写される中間転写体と、像保持体の表面に形成されたトナー画像を中間転写体の表面に一次転写する一次転写手段と、中間転写体の表面に転写されたトナー画像を記録媒体の表面に二次転写する二次転写手段と、を有する構成が適用される。
【0105】
本実施形態に係る画像形成装置において、例えば、現像手段を含む部分が、画像形成装置に対して着脱するカートリッジ構造(プロセスカートリッジ)であってもよい。プロセスカートリッジとしては、例えば、本実施形態に係る静電荷像現像剤を収容した現像手段を備えるプロセスカートリッジが好適に用いられる。
【0106】
以下、本実施形態に係る画像形成装置の一例を説明するが、これに限定されるわけではない。以下の説明においては、図に示す主要部を説明し、その他はその説明を省略する。
【0107】
図1は、本実施形態に係る画像形成装置を示す概略構成図である。
図1に示す画像形成装置は、色分解された画像データに基づく、イエロー(Y)、マゼンタ(M)、シアン(C)、ブラック(K)の各色の画像を出力する電子写真方式の第1乃至第4の画像形成ユニット10Y、10M、10C、10K(画像形成手段)を備えている。これらの画像形成ユニット(以下、単に「ユニット」と称する場合がある)10Y、10M、10C、10Kは、水平方向に互いに予め定められた距離離間して並設されている。これらユニット10Y、10M、10C、10Kは、画像形成装置に対して着脱するプロセスカートリッジであってもよい。
【0108】
各ユニット10Y、10M、10C、10Kの上方には、各ユニットを通して中間転写ベルト(中間転写体の一例)20が延設されている。中間転写ベルト20は、中間転写ベルト20の内面に接する、駆動ロール22及び支持ロール24に巻きつけて設けられ、第1のユニット10Yから第4のユニット10Kに向う方向に走行するようになっている。支持ロール24は、図示しないバネ等により駆動ロール22から離れる方向に力が加えられており、両者に巻きつけられた中間転写ベルト20に張力が与えられている。中間転写ベルト20の像保持面側には、駆動ロール22と対向して中間転写ベルトクリーニング装置30が備えられている。
各ユニット10Y、10M、10C、10Kの現像装置(現像手段の一例)4Y、4M、4C、4Kのそれぞれには、トナーカートリッジ8Y、8M、8C、8Kに収められたイエロー、マゼンタ、シアン、ブラックの各トナーの供給がなされる。
【0109】
第1乃至第4のユニット10Y、10M、10C、10Kは、同等の構成及び動作を有しているため、ここでは中間転写ベルト走行方向の上流側に配設されたイエローの画像を形成する第1のユニット10Yについて代表して説明する。
【0110】
第1のユニット10Yは、像保持体として作用する感光体1Yを有している。感光体1Yの周囲には、感光体1Yの表面を予め定められた電位に帯電させる帯電ロール(帯電手段の一例)2Y、帯電された表面を色分解された画像信号に基づくレーザ光線3Yによって露光して静電荷像を形成する露光装置(静電荷像形成手段の一例)3、静電荷像に帯電したトナーを供給して静電荷像を現像する現像装置(現像手段の一例)4Y、現像したトナー画像を中間転写ベルト20上に転写する一次転写ロール(一次転写手段の一例)5Y、及び一次転写後に感光体1Yの表面に残存するトナーを除去する感光体クリーニング装置(像保持体クリーニング手段の一例)6Yが順に配置されている。
【0111】
一次転写ロール5Yは、中間転写ベルト20の内側に配置され、感光体1Yに対向した位置に設けられている。各ユニットの一次転写ロール5Y、5M、5C、5Kには、一次転写バイアスを印加するバイアス電源(図示せず)がそれぞれ接続されている。各バイアス電源は、図示しない制御部による制御によって、各一次転写ロールに印加する転写バイアスの値を変える。
【0112】
以下、第1のユニット10Yにおいてイエロー画像を形成する動作について説明する。
まず、動作に先立って、帯電ロール2Yによって感光体1Yの表面が-600V乃至-800Vの電位に帯電される。
感光体1Yは、導電性(例えば20℃における体積抵抗率1×10-6Ωcm以下)の基体上に感光層を積層して形成されている。この感光層は、通常は高抵抗(一般の樹脂の抵抗)であるが、レーザ光線が照射されると、レーザ光線が照射された部分の比抵抗が変化する性質を持っている。そこで、帯電した感光体1Yの表面に、図示しない制御部から送られてくるイエロー用の画像データに従って、露光装置3からレーザ光線3Yを照射する。それにより、イエローの画像パターンの静電荷像が感光体1Yの表面に形成される。
【0113】
静電荷像とは、帯電によって感光体1Yの表面に形成される像であり、レーザ光線3Yによって、感光層の被照射部分の比抵抗が低下し、感光体1Yの表面の帯電した電荷が流れ、一方、レーザ光線3Yが照射されなかった部分の電荷が残留することによって形成される、いわゆるネガ潜像である。
感光体1Y上に形成された静電荷像は、感光体1Yの走行に従って予め定められた現像位置まで回転する。そして、この現像位置で、感光体1Y上の静電荷像が、現像装置4Yによってトナー画像として現像され可視化される。
【0114】
現像装置4Y内には、例えば、少なくともイエロートナーとキャリアとを含む静電荷像現像剤が収容されている。イエロートナーは、現像装置4Yの内部で撹拌されることで摩擦帯電し、感光体1Y上に帯電した帯電荷と同極性(負極性)の電荷を有して現像剤ロール(現像剤保持体の一例)上に保持されている。そして、感光体1Yの表面が現像装置4Yを通過していくことにより、感光体1Y表面上の除電された潜像部にイエロートナーが静電的に付着し、潜像がイエロートナーによって現像される。イエローのトナー画像が形成された感光体1Yは、引続き予め定められた速度で走行され、感光体1Y上に現像されたトナー画像が予め定められた一次転写位置へ搬送される。
【0115】
感光体1Y上のイエローのトナー画像が一次転写位置へ搬送されると、一次転写ロール5Yに一次転写バイアスが印加され、感光体1Yから一次転写ロール5Yに向う静電気力がトナー画像に作用し、感光体1Y上のトナー画像が中間転写ベルト20上に転写される。このとき印加される転写バイアスは、トナーの極性(-)と逆極性の(+)極性であり、第1のユニット10Yでは制御部(図示せず)によって例えば+10μAに制御されている。
一方、感光体1Y上に残留したトナーは、感光体クリーニング装置6Yで除去されて回収される。
【0116】
第2ユニット10M以降の一次転写ロール5M、5C、5Kに印加される一次転写バイアスも、第1のユニットに準じて制御されている。
こうして、第1のユニット10Yにてイエローのトナー画像が転写された中間転写ベルト20は、第2乃至第4のユニット10M、10C、10Kを通して順次搬送され、各色のトナー画像が重ねられて多重転写される。
【0117】
第1乃至第4のユニットを通して4色のトナー画像が多重転写された中間転写ベルト20は、中間転写ベルト20と、中間転写ベルトの内面に接する支持ロール24と、中間転写ベルト20の像保持面側に配置された二次転写ロール(二次転写手段の一例)26とから構成された二次転写部へと至る。一方、記録紙(記録媒体の一例)Pが供給機構を介して二次転写ロール26と中間転写ベルト20とが接触した隙間に予め定められたタイミングで給紙され、二次転写バイアスが支持ロール24に印加される。このとき印加される転写バイアスは、トナーの極性(-)と同極性の(-)極性であり、中間転写ベルト20から記録紙Pに向う静電気力がトナー画像に作用し、中間転写ベルト20上のトナー画像が記録紙P上に転写される。この際の二次転写バイアスは二次転写部の抵抗を検出する抵抗検出手段(図示せず)により検出された抵抗に応じて決定されるものであり、電圧制御されている。
【0118】
トナー画像が転写された記録紙Pは定着装置(定着手段の一例)28における一対の定着ロールの圧接部(ニップ部)へと送り込まれ、トナー画像が記録紙P上へ定着され、定着画像が形成される。カラー画像の定着が完了した記録紙Pは、排出部へ向けて搬出され、一連のカラー画像形成動作が終了される。
【0119】
トナー画像を転写する記録紙Pとしては、例えば、電子写真方式の複写機、プリンター等に使用される普通紙が挙げられる。記録媒体としては、記録紙P以外にも、OHPシート等も挙げられる。
定着後における画像表面の平滑性をさらに向上させるには、記録紙Pの表面も平滑であることが好ましく、例えば、普通紙の表面を樹脂等でコーティングしたコート紙、印刷用のアート紙等が好適に使用される。
【0120】
<プロセスカートリッジ/トナーカートリッジ>
本実施形態に係るプロセスカートリッジについて説明する。
本実施形態に係るプロセスカートリッジは、本実施形態に係る静電荷像現像剤を収容し、静電荷像現像剤により、像保持体の表面に形成された静電荷像をトナー画像として現像する現像手段を備え、画像形成装置に着脱されるプロセスカートリッジである。
本実施形態に係るプロセスカートリッジは、現像手段と、必要に応じて、例えば、像保持体、帯電手段、静電荷像形成手段、及び転写手段等のその他手段から選択される少なくとも一つと、を備える構成であってもよい。
【0121】
以下、本実施形態に係るプロセスカートリッジの一例を示すが、これに限定されるわけではない。以下の説明においては、図に示す主要部を説明し、その他はその説明を省略する。
図2は、本実施形態に係るプロセスカートリッジの一例を示す概略構成図である。
図2に示すプロセスカートリッジ200は、例えば、取り付けレール116及び露光のための開口部118が備えられた筐体117により、感光体107(像保持体の一例)と、感光体107の周囲に備えられた帯電ロール108(帯電手段の一例)、現像装置111(現像手段の一例)、及び感光体クリーニング装置113(クリーニング手段の一例)を一体的に組み合わせて保持して構成し、カートリッジ化されている。
図2中、109は露光装置(静電荷像形成手段の一例)、112は転写装置(転写手段の一例)、115は定着装置(定着手段の一例)、300は記録紙(記録媒体の一例)を示している。
【0122】
次に、本実施形態に係るトナーカートリッジについて説明する。
本実施形態に係るトナーカートリッジは、本実施形態に係るトナーを収容し、画像形成装置に着脱されるトナーカートリッジである。トナーカートリッジは、画像形成装置内に設けられた現像手段に供給するための補給用のトナーを収容するものである。
【0123】
なお、
図1に示す画像形成装置は、トナーカートリッジ8Y、8M、8C、8Kの着脱される構成を有する画像形成装置であり、現像装置4Y、4M、4C、4Kは、各々の現像装置(色)に対応したトナーカートリッジと、図示しないトナー供給管で接続されている。また、トナーカートリッジ内に収容されているトナーが少なくなった場合には、このトナーカートリッジが交換される。
【実施例0124】
以下、実施例により発明の実施形態を詳細に説明するが、発明の実施形態は、これら実施例に何ら限定されるものではない。以下の説明において、特に断りのない限り、「部」、「%」は質量基準である。
【0125】
[乳化液(1-1~1-4)の調製]
<乳化液(1-1)>
・スチレン: 60部
・アクリル酸n-ブチル: 38.5部
・1,10-デカンジオールジアクリレート: 1.5部
・アニオン性界面活性剤(エレミノールMON-2、三洋化成工業(株)製):1.2部
・イオン交換水: 98.8部
攪拌装置を備えた混合容器に上記の材料を仕込み、攪拌することで乳化液(1-1)を調製した。
【0126】
<乳化液(1-2)>
・スチレン: 55部
・アクリル酸n-ブチル: 43.5部
・1,10-デカンジオールジアクリレート: 1.5部
・アニオン性界面活性剤(エレミノールMON-2):1.2部
・イオン交換水: 98.8部
攪拌装置を備えた混合容器に上記の材料を仕込み、攪拌することで乳化液(1-2)を調製した。
【0127】
<乳化液(1-3)>
・スチレン: 45部
・アクリル酸n-ブチル: 53.5部
・1,10-デカンジオールジアクリレート: 1.5部
・アニオン性界面活性剤(エレミノールMON-2):1.2部
・イオン交換水: 98.8部
攪拌装置を備えた混合容器に上記の材料を仕込み、攪拌することで乳化液(1-3)を調製した。
【0128】
<乳化液(1-4)>
・スチレン: 40部
・アクリル酸n-ブチル: 58.5部
・1,10-デカンジオールジアクリレート: 1.5部
・アニオン性界面活性剤(エレミノールMON-2):1.2部
・イオン交換水: 98.8部
攪拌装置を備えた混合容器に上記の材料を仕込み、攪拌することで乳化液(1-4)を調製した。
【0129】
[スチレン-(メタ)アクリレート共重合体粒子分散液(1)の調製]
攪拌装置及び窒素導入管を備えた反応容器に、反応容器内を窒素置換した後、アニオン性界面活性剤(エレミノールMON-2)1.1部及びイオン交換水400部を添加した。反応溶液を攪拌しながらオイルバスで加熱し、反応溶液の温度を70℃とした。乳化液(1-1)10部を加えた後、さらに10質量%に濃度を調整した過硫酸アンモニウム水溶液20部を添加し、30分間保持した。
その後、反応溶液の温度を70℃に維持した状態で、反応容器に乳化液(1-1)190部をポンプにより30分間かけて徐々に滴下した。更に乳化液(1-2)200部を30分間かけて滴下した。続いて、乳化液(1-3)200部を40分、乳化液(1-4)200部を40分かけて滴下した。
滴下終了後に、60分間保持した後、10質量%の濃度の過硫酸アンモニウム2部を追加し、さらに3時間保持した後、室温に冷却した。その後、固形分濃度が20質量%となるようにイオン交換水と硝酸を加え、スチレン-(メタ)アクリレート共重合体粒子分散液(1)とした。
得られた樹脂粒子の体積平均粒径は165nmであった。また、示差走査熱量計によって測定したガラス転移温度は17℃であった。
【0130】
[スチレン-(メタ)アクリレート共重合体粒子分散液(2)の調製]
[乳化液(2-1~2-4)の調製]
<乳化液(2-1)>
・スチレン: 52部
・アクリル酸n-ブチル: 46.5部
・1,10-デカンジオールジアクリレート: 1.5部
・アニオン性界面活性剤(エレミノールMON-2、三洋化成工業(株)製):1.2部
・イオン交換水: 98.8部
攪拌装置を備えた混合容器に上記の材料を仕込み、攪拌することで乳化液(2-1)を調製した。
<乳化液(2-2)>
・スチレン: 51部
・アクリル酸n-ブチル: 47.5部
・1,10-デカンジオールジアクリレート: 1.5部
・アニオン性界面活性剤(エレミノールMON-2、三洋化成工業(株)製):1.2部
・イオン交換水: 98.8部
攪拌装置を備えた混合容器に上記の材料を仕込み、攪拌することで乳化液(2-2)を調製した。
<乳化液(2-3)>
・スチレン: 49部
・アクリル酸n-ブチル: 49.5部
・1,10-デカンジオールジアクリレート: 1.5部
・アニオン性界面活性剤(エレミノールMON-2、三洋化成工業(株)製):1.2部
・イオン交換水: 98.8部
攪拌装置を備えた混合容器に上記の材料を仕込み、攪拌することで乳化液(2-3)を調製した。
<乳化液(2-4)>
・スチレン: 47部
・アクリル酸n-ブチル: 51.5部
・1,10-デカンジオールジアクリレート: 1.5部
・アニオン性界面活性剤(エレミノールMON-2、三洋化成工業(株)製):1.2部
・イオン交換水: 98.8部
攪拌装置を備えた混合容器に上記の材料を仕込み、攪拌することで乳化液(2-4)を調製した。
【0131】
スチレン-(メタ)アクリレート共重合体粒子分散液(1)の調製において、乳化液(1-1)を乳化液(2-1)に、乳化液(1-2)を乳化液(2-2)に、乳化液(1-3)を乳化液(2-3)に、乳化液(1-4)を乳化液(2-4)に変更した以外は同様にして、スチレン-(メタ)アクリレート共重合体粒子分散液(2)とした。
得られた樹脂粒子の体積平均粒径は170nmであった。また、示差走査熱量計によって測定したガラス転移温度は9℃であった。
【0132】
[スチレン-(メタ)アクリレート共重合体粒子分散液(3)の調製]
[乳化液(3-1~3-4)の調製]
<乳化液(3-1)>
・スチレン: 53部
・アクリル酸n-ブチル: 45.5部
・1,10-デカンジオールジアクリレート: 1.5部
・アニオン性界面活性剤(エレミノールMON-2、三洋化成工業(株)製):1.2部
・イオン交換水: 98.8部
攪拌装置を備えた混合容器に上記の材料を仕込み、攪拌することで乳化液(3-1)を調製した。
<乳化液(3-2)>
・スチレン: 51部
・アクリル酸n-ブチル: 47.5部
・1,10-デカンジオールジアクリレート: 1.5部
・アニオン性界面活性剤(エレミノールMON-2、三洋化成工業(株)製):1.2部
・イオン交換水: 98.8部
攪拌装置を備えた混合容器に上記の材料を仕込み、攪拌することで乳化液(3-2)を調製した。
<乳化液(3-3)>
・スチレン: 49部
・アクリル酸n-ブチル: 49.5部
・1,10-デカンジオールジアクリレート: 1.5部
・アニオン性界面活性剤(エレミノールMON-2、三洋化成工業(株)製):1.2部
・イオン交換水: 98.8部
攪拌装置を備えた混合容器に上記の材料を仕込み、攪拌することで乳化液(3-3)を調製した。
<乳化液(3-4)>
・スチレン: 47部
・アクリル酸n-ブチル: 51.5部
・1,10-デカンジオールジアクリレート: 1.5部
・アニオン性界面活性剤(エレミノールMON-2、三洋化成工業(株)製):1.2部
・イオン交換水: 98.8部
攪拌装置を備えた混合容器に上記の材料を仕込み、攪拌することで乳化液(3-4)を調製した。
【0133】
スチレン-(メタ)アクリレート共重合体粒子分散液(1)の調製において、乳化液(1-1)を乳化液(3-1)に、乳化液(1-2)を乳化液(3-2)に、乳化液(1-3)を乳化液(3-3)に、乳化液(1-4)を乳化液(3-4)に変更した以外は同様にして、スチレン-(メタ)アクリレート共重合体粒子分散液(3)とした。
得られた樹脂粒子の体積平均粒径は160nmであった。また、示差走査熱量計によって測定したガラス転移温度は12℃であった。
【0134】
[スチレン-(メタ)アクリレート共重合体粒子分散液(4)の調製]
[乳化液(4-1~4-4)の調製]
<乳化液(4-1)>
・スチレン: 63部
・アクリル酸n-ブチル: 35.5部
・1,10-デカンジオールジアクリレート: 1.5部
・アニオン性界面活性剤(エレミノールMON-2、三洋化成工業(株)製):1.2部
・イオン交換水: 98.8部
攪拌装置を備えた混合容器に上記の材料を仕込み、攪拌することで乳化液(4-1)を調製した。
<乳化液(4-2)>
・スチレン: 52部
・アクリル酸n-ブチル: 46.5部
・1,10-デカンジオールジアクリレート: 1.5部
・アニオン性界面活性剤(エレミノールMON-2、三洋化成工業(株)製):1.2部
・イオン交換水: 98.8部
攪拌装置を備えた混合容器に上記の材料を仕込み、攪拌することで乳化液(4-2)を調製した。
<乳化液(4-3)>
・スチレン: 45部
・アクリル酸n-ブチル: 53.5部
・1,10-デカンジオールジアクリレート: 1.5部
・アニオン性界面活性剤(エレミノールMON-2、三洋化成工業(株)製):1.2部
・イオン交換水: 98.8部
攪拌装置を備えた混合容器に上記の材料を仕込み、攪拌することで乳化液(4-3)を調製した。
<乳化液(4-4)>
・スチレン: 40部
・アクリル酸n-ブチル: 58.5部
・1,10-デカンジオールジアクリレート: 1.5部
・アニオン性界面活性剤(エレミノールMON-2、三洋化成工業(株)製):1.2部
・イオン交換水: 98.8部
攪拌装置を備えた混合容器に上記の材料を仕込み、攪拌することで乳化液(4-4)を調製した。
【0135】
スチレン-(メタ)アクリレート共重合体粒子分散液(1)の調製において、乳化液(1-1)を乳化液(4-1)に、乳化液(1-2)を乳化液(4-2)に、乳化液(1-3)を乳化液(4-3)に、乳化液(1-4)を乳化液(4-4)に変更した以外は同様にして、スチレン-(メタ)アクリレート共重合体粒子分散液(4)とした。
得られた樹脂粒子の体積平均粒径は170nmであった。また、示差走査熱量計によって測定したガラス転移温度は17℃であった。
【0136】
[スチレン-(メタ)アクリレート共重合体粒子分散液(5)の調製]
[乳化液(5-1~5-4)の調製]
<乳化液(5-1)>
・スチレン: 66部
・アクリル酸n-ブチル: 32.5部
・1,10-デカンジオールジアクリレート: 1.5部
・アニオン性界面活性剤(エレミノールMON-2、三洋化成工業(株)製):1.2部
・イオン交換水: 98.8部
攪拌装置を備えた混合容器に上記の材料を仕込み、攪拌することで乳化液(5-1)を調製した。
<乳化液(5-2)>
・スチレン: 52部
・アクリル酸n-ブチル: 46.5部
・1,10-デカンジオールジアクリレート: 1.5部
・アニオン性界面活性剤(エレミノールMON-2、三洋化成工業(株)製):1.2部
・イオン交換水: 98.8部
攪拌装置を備えた混合容器に上記の材料を仕込み、攪拌することで乳化液(5-2)を調製した。
<乳化液(5-3)>
・スチレン: 42部
・アクリル酸n-ブチル: 56.5部
・1,10-デカンジオールジアクリレート: 1.5部
・アニオン性界面活性剤(エレミノールMON-2、三洋化成工業(株)製):1.2部
・イオン交換水: 98.8部
攪拌装置を備えた混合容器に上記の材料を仕込み、攪拌することで乳化液(5-3)を調製した。
<乳化液(5-4)>
・スチレン: 40部
・アクリル酸n-ブチル: 58.5部
・1,10-デカンジオールジアクリレート: 1.5部
・アニオン性界面活性剤(エレミノールMON-2、三洋化成工業(株)製):1.2部
・イオン交換水: 98.8部
攪拌装置を備えた混合容器に上記の材料を仕込み、攪拌することで乳化液(5-4)を調製した。
【0137】
スチレン-(メタ)アクリレート共重合体粒子分散液(1)の調製において、乳化液(1-1)を乳化液(5-1)に、乳化液(1-2)を乳化液(5-2)に、乳化液(1-3)を乳化液(5-3)に、乳化液(1-4)を乳化液(5-4)に変更した以外は同様にして、スチレン-(メタ)アクリレート共重合体粒子分散液(5)とした。
得られた樹脂粒子の体積平均粒径は170nmであった。また、示差走査熱量計によって測定したガラス転移温度は22℃であった。
【0138】
[スチレン-(メタ)アクリレート共重合体粒子分散液(6)の調製]
[乳化液(6-1~6-4)の調製]
<乳化液(6-1)>
・スチレン: 58部
・アクリル酸n-ブチル: 40.5部
・1,10-デカンジオールジアクリレート: 1.5部
・アニオン性界面活性剤(エレミノールMON-2、三洋化成工業(株)製):1.2部
・イオン交換水: 98.8部
攪拌装置を備えた混合容器に上記の材料を仕込み、攪拌することで乳化液(6-1)を調製した。
<乳化液(6-2)>
・スチレン: 49部
・アクリル酸n-ブチル: 49.5部
・1,10-デカンジオールジアクリレート: 1.5部
・アニオン性界面活性剤(エレミノールMON-2、三洋化成工業(株)製):1.2部
・イオン交換水: 98.8部
攪拌装置を備えた混合容器に上記の材料を仕込み、攪拌することで乳化液(6-2)を調製した。
<乳化液(6-3)>
・スチレン: 48部
・アクリル酸n-ブチル: 50.5部
・1,10-デカンジオールジアクリレート: 1.5部
・アニオン性界面活性剤(エレミノールMON-2、三洋化成工業(株)製):1.2部
・イオン交換水: 98.8部
攪拌装置を備えた混合容器に上記の材料を仕込み、攪拌することで乳化液(6-3)を調製した。
<乳化液(6-4)>
・スチレン: 47部
・アクリル酸n-ブチル: 51.5部
・1,10-デカンジオールジアクリレート: 1.5部
・アニオン性界面活性剤(エレミノールMON-2、三洋化成工業(株)製):1.2部
・イオン交換水: 98.8部
攪拌装置を備えた混合容器に上記の材料を仕込み、攪拌することで乳化液(6-4)を調製した。
【0139】
スチレン-(メタ)アクリレート共重合体粒子分散液(1)の調製において、乳化液(1-1)を乳化液(6-1)に、乳化液(1-2)を乳化液(6-2)に、乳化液(1-3)を乳化液(6-3)に、乳化液(1-4)を乳化液(6-4)に変更した以外は同様にして、スチレン-(メタ)アクリレート共重合体粒子分散液(6)とした。
得られた樹脂粒子の体積平均粒径は160nmであった。また、示差走査熱量計によって測定したガラス転移温度は18℃であった。
【0140】
[スチレン-(メタ)アクリレート共重合体粒子分散液(7)の調製]
[乳化液(7-1~7-2)の調製]
<乳化液(7-1)>
・スチレン: 51部
・アクリル酸n-ブチル: 47.5部
・1,10-デカンジオールジアクリレート: 1.5部
・アニオン性界面活性剤(エレミノールMON-2、三洋化成工業(株)製):1.2部
・イオン交換水: 98.8部
攪拌装置を備えた混合容器に上記の材料を仕込み、攪拌することで乳化液(7-1)を調製した。
<乳化液(7-2)>
・スチレン: 144.0部
・アクリル酸n-ブチル: 151.5部
・1,10-デカンジオールジアクリレート: 4.5部
・アニオン性界面活性剤(エレミノールMON-2、三洋化成工業(株)製):3.6部
・イオン交換水: 296.4部
攪拌装置を備えた混合容器に上記の材料を仕込み、攪拌することで乳化液(7-2)を調製した。
【0141】
攪拌装置及び窒素導入管を備えた反応容器に、反応容器内を窒素置換した後、アニオン性界面活性剤(エレミノールMON-2)1.1部及びイオン交換水400部を添加した。反応溶液を攪拌しながらオイルバスで加熱し、反応溶液の温度を70℃とした。乳化液(7-1)10部を加えた後、さらに10質量%に濃度を調整した過硫酸アンモニウム水溶液20部を添加し、30分間保持した。 その後、反応溶液の温度を70℃に維持した状態で、反応容器に乳化液(7-1)190部をポンプにより30分間かけて徐々に滴下した。更に乳化液(7-2)600部を100分間かけて滴下した。
滴下終了後に、60分間保持した後、10質量%の濃度の過硫酸アンモニウム2部を追加し、さらに3時間保持した後、室温に冷却した。その後、固形分濃度が20質量%となるようにイオン交換水と硝酸を加え、スチレン-(メタ)アクリレート共重合体粒子分散液(7)とした。
得られた樹脂粒子の体積平均粒径は170nmであった。また、示差走査熱量計によって測定したガラス転移温度は7℃であった。
【0142】
[スチレン-(メタ)アクリレート共重合体粒子分散液(8)の調製]
[乳化液(8-1~8-4)の調製]
<乳化液(8-1)>
・スチレン: 60部・アクリル酸n-ブチル: 38.5部
・1,10-デカンジオールジアクリレート: 1.5部
・アニオン性界面活性剤(エレミノールMON-2、三洋化成工業(株)製):1.2部
・イオン交換水: 98.8部
攪拌装置を備えた混合容器に上記の材料を仕込み、攪拌することで乳化液(8-1)を調製した。
<乳化液(8-2)>
・スチレン: 59.5部
・アクリル酸n-ブチル: 38部
・1,10-デカンジオールジアクリレート: 1.5部
・アニオン性界面活性剤(エレミノールMON-2、三洋化成工業(株)製):1.2部
・イオン交換水: 98.8部
攪拌装置を備えた混合容器に上記の材料を仕込み、攪拌することで乳化液(8-2)を調製した。
<乳化液(8-3)>
・スチレン: 55部
・アクリル酸n-ブチル: 43.5部
・1,10-デカンジオールジアクリレート: 1.5部
・アニオン性界面活性剤(エレミノールMON-2、三洋化成工業(株)製):1.2部
・イオン交換水: 98.8部
攪拌装置を備えた混合容器に上記の材料を仕込み、攪拌することで乳化液(8-3)を調製した。
<乳化液(8-4)>
・スチレン: 53部
・アクリル酸n-ブチル: 45.5部
・1,10-デカンジオールジアクリレート: 1.5部
・アニオン性界面活性剤(エレミノールMON-2、三洋化成工業(株)製):1.2部
・イオン交換水: 98.8部
攪拌装置を備えた混合容器に上記の材料を仕込み、攪拌することで乳化液(8-4)を調製した。
【0143】
スチレン-(メタ)アクリレート共重合体粒子分散液(1)の調製において、乳化液(1-1)を乳化液(8-1)に、乳化液(1-2)を乳化液(8-2)に、乳化液(1-3)を乳化液(8-3)に、乳化液(1-4)を乳化液(8-4)に変更した以外は同様にして、スチレン-(メタ)アクリレート共重合体粒子分散液(8)とした。
得られた樹脂粒子の体積平均粒径は165nmであった。また、示差走査熱量計によって測定したガラス転移温度は12℃であった。
【0144】
[スチレン-(メタ)アクリレート共重合体粒子分散液(9)の調製]
[乳化液(9-1~9-4)の調製]
<乳化液(9-1)>
・スチレン: 60部
・アクリル酸n-ブチル: 38.5部
・1,10-デカンジオールジアクリレート: 1.5部
・アニオン性界面活性剤(エレミノールMON-2、三洋化成工業(株)製):1.2部
・イオン交換水: 98.8部
攪拌装置を備えた混合容器に上記の材料を仕込み、攪拌することで乳化液(9-1)を調製した。
<乳化液(9-2)>
・スチレン: 55部
・アクリル酸n-ブチル: 43.5部
・1,10-デカンジオールジアクリレート: 1.5部
・アニオン性界面活性剤(エレミノールMON-2、三洋化成工業(株)製):1.2部
・イオン交換水: 98.8部
攪拌装置を備えた混合容器に上記の材料を仕込み、攪拌することで乳化液(9-2)を調製した。
<乳化液(9-3)>
・スチレン: 54部
・アクリル酸n-ブチル: 44.5部
・1,10-デカンジオールジアクリレート: 1.5部
・アニオン性界面活性剤(エレミノールMON-2、三洋化成工業(株)製):1.2部
・イオン交換水: 98.8部
攪拌装置を備えた混合容器に上記の材料を仕込み、攪拌することで乳化液(9-3)を調製した。
<乳化液(9-4)>
・スチレン: 48.5部
・アクリル酸n-ブチル: 50部
・1,10-デカンジオールジアクリレート: 1.5部
・アニオン性界面活性剤(エレミノールMON-2、三洋化成工業(株)製):1.2部
・イオン交換水: 98.8部
攪拌装置を備えた混合容器に上記の材料を仕込み、攪拌することで乳化液(9-4)を調製した。
【0145】
スチレン-(メタ)アクリレート共重合体粒子分散液(1)の調製において、乳化液(1-1)を乳化液(9-1)に、乳化液(1-2)を乳化液(9-2)に、乳化液(1-3)を乳化液(9-3)に、乳化液(1-4)を乳化液(9-4)に変更した以外は同様にして、スチレン-(メタ)アクリレート共重合体粒子分散液(9)とした。
得られた樹脂粒子の体積平均粒径は160nmであった。また、示差走査熱量計によって測定したガラス転移温度は13℃であった。
【0146】
[スチレン-(メタ)アクリレート共重合体粒子分散液(10)の調製]
[乳化液(10-1~10-4)の調製]
<乳化液(10-1)>
・スチレン: 40部
・アクリル酸エチル: 58.5部
・1,10-デカンジオールジアクリレート: 1.5部
・アニオン性界面活性剤(エレミノールMON-2、三洋化成工業(株)製):1.2部
・イオン交換水: 98.8部
攪拌装置を備えた混合容器に上記の材料を仕込み、攪拌することで乳化液(10-1)を調製した。
<乳化液(10-2)>
・スチレン: 35部
・アクリル酸エチル: 63.5部
・1,10-デカンジオールジアクリレート: 1.5部
・アニオン性界面活性剤(エレミノールMON-2、三洋化成工業(株)製):1.2部
・イオン交換水: 98.8部
攪拌装置を備えた混合容器に上記の材料を仕込み、攪拌することで乳化液(10-2)を調製した。
<乳化液(10-3)>
・スチレン: 32部
・アクリル酸エチル: 66.5部
・1,10-デカンジオールジアクリレート: 1.5部
・アニオン性界面活性剤(エレミノールMON-2、三洋化成工業(株)製):1.2部
・イオン交換水: 98.8部
攪拌装置を備えた混合容器に上記の材料を仕込み、攪拌することで乳化液(10-3)を調製した。
<乳化液(10-4)>
・スチレン: 31.5部
・アクリル酸エチル: 67部
・1,10-デカンジオールジアクリレート: 1.5部
・アニオン性界面活性剤(エレミノールMON-2、三洋化成工業(株)製):1.2部
・イオン交換水: 98.8部
攪拌装置を備えた混合容器に上記の材料を仕込み、攪拌することで乳化液(10-4)を調製した。
【0147】
スチレン-(メタ)アクリレート共重合体粒子分散液(1)の調製において、乳化液(1-1)を乳化液(10-1)に、乳化液(1-2)を乳化液(10-2)に、乳化液(1-3)を乳化液(10-3)に、乳化液(1-4)を乳化液(10-4)に変更した以外は同様にして、スチレン-(メタ)アクリレート共重合体粒子分散液(10)とした。
得られた樹脂粒子の体積平均粒径は160nmであった。また、示差走査熱量計によって測定したガラス転移温度は10℃であった。
【0148】
[スチレン-(メタ)アクリレート共重合体粒子分散液(11)の調製]
[乳化液(11-1~11-4)の調製]
<乳化液(11-1)>
・スチレン: 40部
・アクリル酸エチル: 58.5部
・1,10-デカンジオールジアクリレート: 1.5部
・アニオン性界面活性剤(エレミノールMON-2、三洋化成工業(株)製):1.2部
・イオン交換水: 98.8部
攪拌装置を備えた混合容器に上記の材料を仕込み、攪拌することで乳化液(11-1)を調製した。
<乳化液(11-2)>
・スチレン: 35部
・アクリル酸エチル: 63.5部
・1,10-デカンジオールジアクリレート: 1.5部
・アニオン性界面活性剤(エレミノールMON-2、三洋化成工業(株)製):1.2部
・イオン交換水: 98.8部
攪拌装置を備えた混合容器に上記の材料を仕込み、攪拌することで乳化液(11-2)を調製した。
<乳化液(11-3)>
・スチレン: 30部
・アクリル酸エチル: 68.5部
・1,10-デカンジオールジアクリレート: 1.5部
・アニオン性界面活性剤(エレミノールMON-2、三洋化成工業(株)製):1.2部
・イオン交換水: 98.8部
攪拌装置を備えた混合容器に上記の材料を仕込み、攪拌することで乳化液(11-3)を調製した。
<乳化液(11-4)>
・スチレン: 21.5部
・アクリル酸エチル: 77部
・1,10-デカンジオールジアクリレート: 1.5部
・アニオン性界面活性剤(エレミノールMON-2、三洋化成工業(株)製):1.2部
・イオン交換水: 98.8部
攪拌装置を備えた混合容器に上記の材料を仕込み、攪拌することで乳化液(11-4)を調製した。
【0149】
スチレン-(メタ)アクリレート共重合体粒子分散液(1)の調製において、乳化液(1-1)を乳化液(11-1)に、乳化液(1-2)を乳化液(11-2)に、乳化液(1-3)を乳化液(11-3)に、乳化液(1-4)を乳化液(11-4)に変更した以外は同様にして、スチレン-(メタ)アクリレート共重合体粒子分散液(11)とした。
得られた樹脂粒子の体積平均粒径は170nmであった。また、示差走査熱量計によって測定したガラス転移温度は9℃であった。
【0150】
[スチレン-(メタ)アクリレート共重合体粒子分散液(12)の調製]
[乳化液(12-1~12-4)の調製]
<乳化液(12-1)>
・スチレン: 55部
・アクリル酸n-ブチル: 43.5部
・1,10-デカンジオールジアクリレート: 1.5部
・アニオン性界面活性剤(エレミノールMON-2、三洋化成工業(株)製):1.2部
・イオン交換水: 98.8部
攪拌装置を備えた混合容器に上記の材料を仕込み、攪拌することで乳化液(12-1)を調製した。
<乳化液(12-2)>
・スチレン: 54.5部
・アクリル酸n-ブチル: 44部
・1,10-デカンジオールジアクリレート: 1.5部
・アニオン性界面活性剤(エレミノールMON-2、三洋化成工業(株)製):1.2部
・イオン交換水: 98.8部
攪拌装置を備えた混合容器に上記の材料を仕込み、攪拌することで乳化液(12-2)を調製した。
<乳化液(12-3)>
・スチレン: 52.5部
・アクリル酸n-ブチル: 46部
・1,10-デカンジオールジアクリレート: 1.5部
・アニオン性界面活性剤(エレミノールMON-2、三洋化成工業(株)製):1.2部
・イオン交換水: 98.8部
攪拌装置を備えた混合容器に上記の材料を仕込み、攪拌することで乳化液(12-3)を調製した。
<乳化液(12-4)>
・スチレン: 30部
・アクリル酸n-ブチル: 68.5部
・1,10-デカンジオールジアクリレート: 1.5部
・アニオン性界面活性剤(エレミノールMON-2、三洋化成工業(株)製):1.2部
・イオン交換水: 98.8部
攪拌装置を備えた混合容器に上記の材料を仕込み、攪拌することで乳化液(12-4)を調製した。
【0151】
スチレン-(メタ)アクリレート共重合体粒子分散液(1)の調製において、乳化液(1-1)を乳化液(12-1)に、乳化液(1-2)を乳化液(12-2)に、乳化液(1-3)を乳化液(12-3)に、乳化液(1-4)を乳化液(12-4)に変更した以外は同様にして、スチレン-(メタ)アクリレート共重合体粒子分散液(12)とした。
得られた樹脂粒子の体積平均粒径は155nmであった。また、示差走査熱量計によって測定したガラス転移温度は9℃であった。
【0152】
[スチレン-(メタ)アクリレート共重合体粒子分散液(13)の調製]
[乳化液(13-1~13-4)の調製]
<乳化液(13-1)>
・スチレン: 55部
・アクリル酸2-エチルヘキシル: 43.5部
・1,10-デカンジオールジアクリレート: 1.5部
・アニオン性界面活性剤(エレミノールMON-2、三洋化成工業(株)製):1.2部
・イオン交換水: 98.8部
攪拌装置を備えた混合容器に上記の材料を仕込み、攪拌することで乳化液(13-1)を調製した。
<乳化液(13-2)>
・スチレン: 54.5部
・アクリル酸2-エチルヘキシル: 44部
・1,10-デカンジオールジアクリレート: 1.5部
・アニオン性界面活性剤(エレミノールMON-2、三洋化成工業(株)製):1.2部
・イオン交換水: 98.8部
攪拌装置を備えた混合容器に上記の材料を仕込み、攪拌することで乳化液(13-2)を調製した。
<乳化液(13-3)>
・スチレン: 50.5部
・アクリル酸2-エチルヘキシル: 48部
・1,10-デカンジオールジアクリレート: 1.5部
・アニオン性界面活性剤(エレミノールMON-2、三洋化成工業(株)製):1.2部
・イオン交換水: 98.8部
攪拌装置を備えた混合容器に上記の材料を仕込み、攪拌することで乳化液(13-3)を調製した。
<乳化液(13-4)>
・スチレン: 37部
・アクリル酸2-エチルヘキシル: 61.5部
・1,10-デカンジオールジアクリレート: 1.5部
・アニオン性界面活性剤(エレミノールMON-2、三洋化成工業(株)製):1.2部
・イオン交換水: 98.8部
攪拌装置を備えた混合容器に上記の材料を仕込み、攪拌することで乳化液(13-4)を調製した。
【0153】
スチレン-(メタ)アクリレート共重合体粒子分散液(1)の調製において、乳化液(1-1)を乳化液(13-1)に、乳化液(1-2)を乳化液(13-2)に、乳化液(1-3)を乳化液(13-3)に、乳化液(1-4)を乳化液(13-4)に変更した以外は同様にして、スチレン-(メタ)アクリレート共重合体粒子分散液(13)とした。
得られた樹脂粒子の体積平均粒径は160nmであった。また、示差走査熱量計によって測定したガラス転移温度はー1℃であった。
【0154】
[スチレン-(メタ)アクリレート共重合体粒子分散液(14)の調製]
[乳化液(14-1~14-4)の調製]
<乳化液(14-1)>
・スチレン: 45部
・アクリル酸エチル: 53.5部
・1,10-デカンジオールジアクリレート: 1.5部
・アニオン性界面活性剤(エレミノールMON-2、三洋化成工業(株)製):1.2部
・イオン交換水: 98.8部
攪拌装置を備えた混合容器に上記の材料を仕込み、攪拌することで乳化液(14-1)を調製した。
<乳化液(14-2)>
・スチレン: 42部
・アクリル酸エチル: 56.5部
・1,10-デカンジオールジアクリレート: 1.5部
・アニオン性界面活性剤(エレミノールMON-2、三洋化成工業(株)製):1.2部
・イオン交換水: 98.8部
攪拌装置を備えた混合容器に上記の材料を仕込み、攪拌することで乳化液(14-2)を調製した。
<乳化液(14-3)>
・スチレン: 40部
・アクリル酸エチル: 58.5部
・1,10-デカンジオールジアクリレート: 1.5部
・アニオン性界面活性剤(エレミノールMON-2、三洋化成工業(株)製):1.2部
・イオン交換水: 98.8部
攪拌装置を備えた混合容器に上記の材料を仕込み、攪拌することで乳化液(14-3)を調製した。
<乳化液(14-4)>
・スチレン: 34部
・アクリル酸エチル: 64.5部
・1,10-デカンジオールジアクリレート: 1.5部
・アニオン性界面活性剤(エレミノールMON-2、三洋化成工業(株)製):1.2部
・イオン交換水: 98.8部
攪拌装置を備えた混合容器に上記の材料を仕込み、攪拌することで乳化液(14-4)を調製した。
【0155】
スチレン-(メタ)アクリレート共重合体粒子分散液(1)の調製において、乳化液(1-1)を乳化液(14-1)に、乳化液(1-2)を乳化液(14-2)に、乳化液(1-3)を乳化液(14-3)に、乳化液(1-4)を乳化液(14-4)に変更した以外は同様にして、スチレン-(メタ)アクリレート共重合体粒子分散液(14)とした。
得られた樹脂粒子の体積平均粒径は170nmであった。また、示差走査熱量計によって測定したガラス転移温度は31℃であった。
【0156】
[スチレン-(メタ)アクリレート共重合体粒子分散液(15)の調製]
スチレン-(メタ)アクリレート共重合体粒子分散液(1)の調製において、反応容器に添加するアニオン性界面活性剤(エレミノールMON-2)量を1.1部から3.5部に変更した以外は同様にして、スチレン-(メタ)アクリレート共重合体粒子分散液(15)とした。
得られた樹脂粒子の体積平均粒径は45nmであった。また、示差走査熱量計によって測定したガラス転移温度は17℃であった。
【0157】
[スチレン-(メタ)アクリレート共重合体粒子分散液(16)の調製]
スチレン-(メタ)アクリレート共重合体粒子分散液(1)の調製において、反応容器に添加するアニオン性界面活性剤(エレミノールMON-2)量を1.1部から0.2部に変更した以外は同様にして、スチレン-(メタ)アクリレート共重合体粒子分散液(16)とした。
得られた樹脂粒子の体積平均粒径は310nmであった。また、示差走査熱量計によって測定したガラス転移温度は17℃であった。
【0158】
[スチレン-(メタ)アクリレート共重合体粒子分散液(17)の調製]
[乳化液(17-1~17-4)の調製]
<乳化液(17-1)>
・スチレン: 60部
・アクリル酸n-ブチル: 38部
・1,10-デカンジオールジアクリレート: 2部
・アニオン性界面活性剤(エレミノールMON-2、三洋化成工業(株)製):1.2部
・イオン交換水: 98.8部
攪拌装置を備えた混合容器に上記の材料を仕込み、攪拌することで乳化液(17-1)を調製した。
<乳化液(17-2)>
・スチレン: 55部
・アクリル酸n-ブチル: 43.2部
・1,10-デカンジオールジアクリレート: 1.8部
・アニオン性界面活性剤(エレミノールMON-2):1.2部
・イオン交換水: 98.8部
攪拌装置を備えた混合容器に上記の材料を仕込み、攪拌することで乳化液(17-2)を調製した。
<乳化液(17-3)>
・スチレン: 45部
・アクリル酸n-ブチル: 53.6部
・1,10-デカンジオールジアクリレート: 1.4部
・アニオン性界面活性剤(エレミノールMON-2):1.2部
・イオン交換水: 98.8部
攪拌装置を備えた混合容器に上記の材料を仕込み、攪拌することで乳化液(17-3)を調製した。
<乳化液(17-4)>
・スチレン: 40部
・アクリル酸n-ブチル: 59.2部
・1,10-デカンジオールジアクリレート: 0.8部
・アニオン性界面活性剤(エレミノールMON-2):1.2部
・イオン交換水: 98.8部
攪拌装置を備えた混合容器に上記の材料を仕込み、攪拌することで乳化液(17-4)を調製した。
【0159】
スチレン-(メタ)アクリレート共重合体粒子分散液(1)の調製において、乳化液(1-1)を乳化液(17-1)に、乳化液(1-2)を乳化液(17-2)に、乳化液(1-3)を乳化液(17-3)に、乳化液(1-4)を乳化液(17-4)に変更した以外は同様にして、スチレン-(メタ)アクリレート共重合体粒子分散液(17)とした。
得られた樹脂粒子の体積平均粒径は185nmであった。また、示差走査熱量計によって測定したガラス転移温度は18℃であった。
【0160】
[スチレン-(メタ)アクリレート共重合体粒子分散液(18)の調製]
[乳化液(18-1~18-4)の調製]
<乳化液(18-1)>
・スチレン: 55部
・アクリル酸2-エチルヘキシル: 43.5部
・1,10-デカンジオールジアクリレート: 1.5部
・アニオン性界面活性剤(エレミノールMON-2、三洋化成工業(株)製):1.2部
・イオン交換水: 98.8部
攪拌装置を備えた混合容器に上記の材料を仕込み、攪拌することで乳化液(18-1)を調製した。
<乳化液(18-2)>
・スチレン: 51部
・アクリル酸2-エチルヘキシル: 47.5部
・1,10-デカンジオールジアクリレート: 1.5部
・アニオン性界面活性剤(エレミノールMON-2、三洋化成工業(株)製):1.2部
・イオン交換水: 98.8部
攪拌装置を備えた混合容器に上記の材料を仕込み、攪拌することで乳化液(18-2)を調製した。
<乳化液(18-3)>
・スチレン: 40部
・アクリル酸2-エチルヘキシル: 58.5部
・1,10-デカンジオールジアクリレート: 1.5部
・アニオン性界面活性剤(エレミノールMON-2、三洋化成工業(株)製):1.2部
・イオン交換水: 98.8部
攪拌装置を備えた混合容器に上記の材料を仕込み、攪拌することで乳化液(18-3)を調製した。
<乳化液(18-4)>
・スチレン: 30.5部
・アクリル酸2-エチルヘキシル: 68部
・1,10-デカンジオールジアクリレート: 1.5部
・アニオン性界面活性剤(エレミノールMON-2、三洋化成工業(株)製):1.2部
・イオン交換水: 98.8部
攪拌装置を備えた混合容器に上記の材料を仕込み、攪拌することで乳化液(18-4)を調製した。
【0161】
スチレン-(メタ)アクリレート共重合体粒子分散液(1)の調製において、乳化液(1-1)を乳化液(18-1)に、乳化液(1-2)を乳化液(18-2)に、乳化液(1-3)を乳化液(18-3)に、乳化液(1-4)を乳化液(18-4)に変更した以外は同様にして、スチレン-(メタ)アクリレート共重合体粒子分散液(18)とした。
得られた樹脂粒子の体積平均粒径は185nmであった。また、示差走査熱量計によって測定したガラス転移温度は1℃であった。
【0162】
[スチレン-(メタ)アクリレート共重合体粒子分散液(19)の調製]
[乳化液(19-1~19-4)の調製]
<乳化液(19-1)>
・スチレン: 60部
・アクリル酸2-エチルヘキシル: 38.5部
・1,10-デカンジオールジアクリレート: 1.5部
・アニオン性界面活性剤(エレミノールMON-2、三洋化成工業(株)製):1.2部
・イオン交換水: 98.8部
攪拌装置を備えた混合容器に上記の材料を仕込み、攪拌することで乳化液(19-1)を調製した。
<乳化液(19-2)>
・スチレン: 55部
・アクリル酸2-エチルヘキシル: 43.5部
・1,10-デカンジオールジアクリレート: 1.5部
・アニオン性界面活性剤(エレミノールMON-2、三洋化成工業(株)製):1.2部
・イオン交換水: 98.8部
攪拌装置を備えた混合容器に上記の材料を仕込み、攪拌することで乳化液(19-2)を調製した。
<乳化液(19-3)>
・スチレン: 45部
・アクリル酸2-エチルヘキシル: 53.5部
・1,10-デカンジオールジアクリレート: 1.5部
・アニオン性界面活性剤(エレミノールMON-2、三洋化成工業(株)製):1.2部
・イオン交換水: 98.8部
攪拌装置を備えた混合容器に上記の材料を仕込み、攪拌することで乳化液(19-3)を調製した。
<乳化液(19-4)>
・スチレン: 40部
・アクリル酸2-エチルヘキシル: 58部
・1,10-デカンジオールジアクリレート: 1.5部
・アニオン性界面活性剤(エレミノールMON-2、三洋化成工業(株)製):1.2部
・イオン交換水: 98.8部
攪拌装置を備えた混合容器に上記の材料を仕込み、攪拌することで乳化液(19-4)を調製した。
【0163】
スチレン-(メタ)アクリレート共重合体粒子分散液(1)の調製において、乳化液(1-1)を乳化液(19-1)に、乳化液(1-2)を乳化液(19-2)に、乳化液(1-3)を乳化液(19-3)に、乳化液(1-4)を乳化液(19-4)に変更した以外は同様にして、スチレン-(メタ)アクリレート共重合体粒子分散液(19)とした。
得られた樹脂粒子の体積平均粒径は165nmであった。また、示差走査熱量計によって測定したガラス転移温度は3℃であった。
【0164】
<乳化液(20)>
・スチレン: 200部
・アクリル酸n-ブチル: 194部
・1,10-デカンジオールジアクリレート: 6部
・アニオン性界面活性剤(エレミノールMON-2):5部
・イオン交換水: 395部
攪拌装置を備えた混合容器に上記の材料を仕込み、攪拌することで乳化液(20)を調製した。
【0165】
[スチレン-(メタ)アクリレート共重合体粒子分散液(20)の調製]
攪拌装置及び窒素導入管を備えた反応容器に、反応容器内を窒素置換した後、アニオン性界面活性剤(エレミノールMON-2)1.1部及びイオン交換水400部を添加した。反応溶液を攪拌しながらオイルバスで加熱し、反応溶液の温度を75℃とした。乳化液(20)10部を加えた後、さらに10質量%に濃度を調整した過硫酸アンモニウム水溶液50部を添加し、30分間保持した。
その後、反応溶液の温度を75℃に維持した状態で、反応容器に乳化液(20)390部をポンプにより30分間かけて徐々に滴下した。
滴下終了後に、反応溶液の温度を80℃とし3時間保持した後、室温に冷却した。その後、固形分濃度が20質量%となるようにイオン交換水と硝酸を加え、スチレン-(メタ)アクリレート共重合体粒子分散液(20)とした。
得られた樹脂粒子の体積平均粒径は170nmであった。また、示差走査熱量計によって測定したガラス転移温度は5℃であった。
【0166】
[スチレン-(メタ)アクリレート共重合体粒子分散液(21)の調製]
[乳化液(21-1~21-4)の調製]
<乳化液(21-1)>
・スチレン: 52部
・アクリル酸n-ブチル: 46.5部
・1,10-デカンジオールジアクリレート: 1.5部
・アニオン性界面活性剤(エレミノールMON-2、三洋化成工業(株)製):1.2部
・イオン交換水: 98.8部
攪拌装置を備えた混合容器に上記の材料を仕込み、攪拌することで乳化液(21-1)を調製した。
<乳化液(21-2)>
・スチレン: 45部
・アクリル酸n-ブチル: 53.5部
・1,10-デカンジオールジアクリレート: 1.5部
・アニオン性界面活性剤(エレミノールMON-2、三洋化成工業(株)製):1.2部
・イオン交換水: 98.8部
攪拌装置を備えた混合容器に上記の材料を仕込み、攪拌することで乳化液(21-2)を調製した。
<乳化液(21-3)>
・スチレン: 40部
・アクリル酸n-ブチル: 58.5部
・1,10-デカンジオールジアクリレート: 1.5部
・アニオン性界面活性剤(エレミノールMON-2、三洋化成工業(株)製):1.2部
・イオン交換水: 98.8部
攪拌装置を備えた混合容器に上記の材料を仕込み、攪拌することで乳化液(21-3)を調製した。
<乳化液(21-4)>
・スチレン: 48部
・アクリル酸n-ブチル: 50.5部
・1,10-デカンジオールジアクリレート: 1.5部
・アニオン性界面活性剤(エレミノールMON-2、三洋化成工業(株)製):1.2部
・イオン交換水: 98.8部
攪拌装置を備えた混合容器に上記の材料を仕込み、攪拌することで乳化液(21-4)を調製した。
【0167】
スチレン-(メタ)アクリレート共重合体粒子分散液(1)の調製において、乳化液(1-1)を乳化液(21-1)に、乳化液(1-2)を乳化液(21-2)に、乳化液(1-3)を乳化液(21-3)に、乳化液(1-4)を乳化液(21-4)に変更した以外は同様にして、スチレン-(メタ)アクリレート共重合体粒子分散液(21)とした。 得られた樹脂粒子の体積平均粒径は160nmであった。また、示差走査熱量計によって測定したガラス転移温度は6℃であった。
【0168】
[スチレン-(メタ)アクリレート共重合体粒子分散液(22)の調製]
[乳化液(22-1~22-4)の調製]
<乳化液(22-1)>
・スチレン: 59部
・アクリル酸n-ブチル: 39.5部
・1,10-デカンジオールジアクリレート: 1.5部
・アニオン性界面活性剤(エレミノールMON-2、三洋化成工業(株)製):1.2部
・イオン交換水: 98.8部
攪拌装置を備えた混合容器に上記の材料を仕込み、攪拌することで乳化液(22-1)を調製した。
<乳化液(22-2)>
・スチレン: 56部
・アクリル酸n-ブチル: 42.5部
・1,10-デカンジオールジアクリレート: 1.5部
・アニオン性界面活性剤(エレミノールMON-2、三洋化成工業(株)製):1.2部
・イオン交換水: 98.8部
攪拌装置を備えた混合容器に上記の材料を仕込み、攪拌することで乳化液(22-2)を調製した。
<乳化液(22-3)>
・スチレン: 55.5部
・アクリル酸n-ブチル: 43部
・1,10-デカンジオールジアクリレート: 1.5部
・アニオン性界面活性剤(エレミノールMON-2、三洋化成工業(株)製):1.2部
・イオン交換水: 98.8部
攪拌装置を備えた混合容器に上記の材料を仕込み、攪拌することで乳化液(22-3)を調製した。
<乳化液(22-4)>
・スチレン: 55部
・アクリル酸n-ブチル: 43.5部
・1,10-デカンジオールジアクリレート: 1.5部
・アニオン性界面活性剤(エレミノールMON-2、三洋化成工業(株)製):1.2部
・イオン交換水: 98.8部
攪拌装置を備えた混合容器に上記の材料を仕込み、攪拌することで乳化液(22-4)を調製した。
【0169】
スチレン-(メタ)アクリレート共重合体粒子分散液(1)の調製において、乳化液(1-1)を乳化液(22-1)に、乳化液(1-2)を乳化液(22-2)に、乳化液(1-3)を乳化液(22-3)に、乳化液(1-4)を乳化液(22-4)に変更した以外は同様にして、スチレン-(メタ)アクリレート共重合体粒子分散液(22)とした。
得られた樹脂粒子の体積平均粒径は170nmであった。また、示差走査熱量計によって測定したガラス転移温度は25℃であった。
[スチレン-(メタ)アクリレート共重合体粒子分散液(23)の調製]
[乳化液(23-1~23-4)の調製]
<乳化液(23-1)>
・スチレン: 53部
・アクリル酸エチル: 45.5部
・1,10-デカンジオールジアクリレート: 1.5部
・アニオン性界面活性剤(エレミノールMON-2、三洋化成工業(株)製):1.2部
・イオン交換水: 98.8部
攪拌装置を備えた混合容器に上記の材料を仕込み、攪拌することで乳化液(23-1)を調製した。
<乳化液(23-2)>
・スチレン: 24部
・アクリル酸エチル: 74.5部
・1,10-デカンジオールジアクリレート: 1.5部
・アニオン性界面活性剤(エレミノールMON-2、三洋化成工業(株)製):1.2部
・イオン交換水: 98.8部
攪拌装置を備えた混合容器に上記の材料を仕込み、攪拌することで乳化液(23-2)を調製した。
<乳化液(23-3)>
・スチレン: 22部
・アクリル酸エチル: 76.5部
・1,10-デカンジオールジアクリレート: 1.5部
・アニオン性界面活性剤(エレミノールMON-2、三洋化成工業(株)製):1.2部
・イオン交換水: 98.8部
攪拌装置を備えた混合容器に上記の材料を仕込み、攪拌することで乳化液(23-3)を調製した。
<乳化液(23-4)>
・スチレン: 19.5部
・アクリル酸エチル: 79部
・1,10-デカンジオールジアクリレート: 1.5部
・アニオン性界面活性剤(エレミノールMON-2、三洋化成工業(株)製):1.2部
・イオン交換水: 98.8部
攪拌装置を備えた混合容器に上記の材料を仕込み、攪拌することで乳化液(23-4)を調製した。
【0170】
スチレン-(メタ)アクリレート共重合体粒子分散液(1)の調製において、乳化液(1-1)を乳化液(23-1)に、乳化液(1-2)を乳化液(23-2)に、乳化液(1-3)を乳化液(23-3)に、乳化液(1-4)を乳化液(23-4)に変更した以外は同様にして、スチレン-(メタ)アクリレート共重合体粒子分散液(23)とした。
得られた樹脂粒子の体積平均粒径は175nmであった。また、示差走査熱量計によって測定したガラス転移温度は19℃であった。
【0171】
[スチレン-(メタ)アクリレート共重合体粒子分散液(24)の調製]
[乳化液(24-1~24-4)の調製]
<乳化液(24-1)>
・スチレン: 68部
・アクリル酸n-ブチル: 30.5部
・1,10-デカンジオールジアクリレート: 1.5部
・アニオン性界面活性剤(エレミノールMON-2、三洋化成工業(株)製):1.2部
・イオン交換水: 98.8部
攪拌装置を備えた混合容器に上記の材料を仕込み、攪拌することで乳化液(24-1)を調製した。
<乳化液(24-2)>
・スチレン: 57部
・アクリル酸n-ブチル: 41.5部
・1,10-デカンジオールジアクリレート: 1.5部
・アニオン性界面活性剤(エレミノールMON-2、三洋化成工業(株)製):1.2部
・イオン交換水: 98.8部
攪拌装置を備えた混合容器に上記の材料を仕込み、攪拌することで乳化液(24-2)を調製した。
<乳化液(24-3)>
・スチレン: 45部
・アクリル酸n-ブチル: 53.5部
・1,10-デカンジオールジアクリレート: 1.5部
・アニオン性界面活性剤(エレミノールMON-2、三洋化成工業(株)製):1.2部
・イオン交換水: 98.8部
攪拌装置を備えた混合容器に上記の材料を仕込み、攪拌することで乳化液(24-3)を調製した。
<乳化液(24-4)>
・スチレン: 30部
・アクリル酸n-ブチル: 68.5部
・1,10-デカンジオールジアクリレート: 1.5部
・アニオン性界面活性剤(エレミノールMON-2、三洋化成工業(株)製):1.2部・イオン交換水: 98.8部
攪拌装置を備えた混合容器に上記の材料を仕込み、攪拌することで乳化液(24-4)を調製した。
【0172】
スチレン-(メタ)アクリレート共重合体粒子分散液(1)の調製において、乳化液(1-1)を乳化液(24-1)に、乳化液(1-2)を乳化液(24-2)に、乳化液(1-3)を乳化液(24-3)に、乳化液(1-4)を乳化液(24-4)に変更した以外は同様にして、スチレン-(メタ)アクリレート共重合体粒子分散液(24)とした。
得られた樹脂粒子の体積平均粒径は160nmであった。また、示差走査熱量計によって測定したガラス転移温度は17℃であった。
【0173】
[スチレンブタジエンゴム粒子分散液(1)の調製]
・スチレン:48部
・ブタジエン:50部
・アクリル酸:1.9部
・tert-ドデカンチオール 0.1部
・アニオン界面活性剤(ダウ・ケミカル製Dowfax2a-1)1.2部
・イオン交換水:200部
・過硫酸カリウム:1部
重合反応器に上記材料を入れ、窒素雰囲気下かつ50℃の温度下で2時間重合し、その後反応を3時間継続して重合を終了させた。得られた分散液にイオン交換水を追加し、固形分濃度20%に調整してゴム粒子分散液(1)を得た。
【0174】
得られた樹脂粒子の体積平均粒径は200nmであった。また、示差走査熱量計によって測定したガラス転移温度は-24℃であった。
【0175】
[非晶性ポリエステル樹脂分散液(1)の調製]
・テレフタル酸: 28モル部
・イソフタル酸: 15モル部
・アジピン酸: 5モル部
・無水トリメリット酸: 2モル部
・ビルフェノールAプロピレンオキサイド2モル付加物:50モル部
攪拌装置、窒素導入管、温度センサ及び精留塔を備えた反応容器に上記の材料を仕込み、1時間かけて温度を190℃まで上げ、上記材料100部に対してジブチル錫オキサイド1.2部を投入した。生成する水を留去しながら6時間かけて温度を240℃まで上げ、次に240℃を維持して3時間脱水縮合反応を継続した後冷却し、非晶性ポリエステル樹脂(1)を得た。
・非晶性ポリエステル樹脂(1):100部
・メチルエチルケトン : 60部
・イソプロパノール : 10部
・10%アンモニア水溶液 : 3.5部
コンデンサー、温度計、水滴下装置及びアンカー翼を備えたジャケット付き反応槽に上記の材料を投入し、水循環式恒温槽にて液温を50℃に維持しながら、100rpmで攪拌混合している中で非晶性ポリエステル樹脂(1)を溶解させた。次いで、水循環式恒温槽を40℃に設定し、40℃に保温されたイオン交換水を3部/分の速度で合計300部滴下して転相させて、乳化液とした。
得られた乳化液をナスフラスコに入れ、トラップ球を介して真空制御ユニットを備えたエバポレーターにセットした。ナスフラスコを回転させながら60℃の湯バスで加温し、突沸に注意しつつ7kPaまで減圧し溶剤を除去した後、常圧に戻し、ナスフラスコを水冷して分散液を得た。得られた分散液にイオン交換水を加えて、固形分量20質量%の非晶性ポリエステル樹脂分散液(1)を得た。非晶性ポリエステル樹脂分散液(1)における非晶性ポリエステル樹脂粒子の体積平均粒径は180nmであった。
【0176】
[非晶性ポリエステル樹脂分散液(2)の調製]
非晶性ポリエステル樹脂分散液(1)の調製において、材料の仕込み量を以下のように変更した以外は同様にして、非晶性ポリエステル樹脂分散液(2)を得た。
・テレフタル酸: 38.5モル部
・イソフタル酸: 4.5モル部
・アジピン酸: 5モル部
・無水トリメリット酸: 2モル部
・ビルフェノールAプロピレンオキサイド2モル付加物:50モル部
非晶性ポリエステル樹脂分散液(2)における非晶性ポリエステル樹脂粒子の体積平均粒径は180nmであった。
【0177】
[非晶性ポリエステル樹脂分散液(3)の調製]
非晶性ポリエステル樹脂分散液(1)の調製において、材料の仕込み量を以下のように変更した以外は同様にして、非晶性ポリエステル樹脂分散液(3)を得た。
・テレフタル酸: 17モル部
・イソフタル酸: 26モル部
・アジピン酸: 5モル部
・無水トリメリット酸: 2モル部
・ビルフェノールAプロピレンオキサイド2モル付加物:50モル部
非晶性ポリエステル樹脂分散液(3)における非晶性ポリエステル樹脂粒子の体積平均粒径は180nmであった。
【0178】
[非晶性ポリエステル樹脂分散液(4)の調製]
非晶性ポリエステル樹脂分散液(1)の調製において、ビルフェノールAプロピレンオキサイド2モル付加物の仕込み量を50モル部から52モル部に変更した以外は同様にして、非晶性ポリエステル樹脂分散液(4)を得た。
非晶性ポリエステル樹脂分散液(4)における非晶性ポリエステル樹脂粒子の体積平均粒径は190nmであった。
【0179】
[非晶性ポリエステル樹脂分散液(5)の調製]
非晶性ポリエステル樹脂分散液(1)の調製において、ビルフェノールAプロピレンオキサイド2モル付加物の仕込み量を50モル部から48モル部に変更した以外は同様にして、非晶性ポリエステル樹脂分散液(5)を得た。
非晶性ポリエステル樹脂分散液(5)における非晶性ポリエステル樹脂粒子の体積平均粒径は170nmであった。
【0180】
[非晶性ポリエステル樹脂分散液(6)の調製]
非晶性ポリエステル樹脂分散液(1)の調製において、材料の仕込み量を以下のように変更した以外は同様にして、非晶性ポリエステル樹脂分散液(6)を得た。
・テレフタル酸: 28モル部
・イソフタル酸: 15モル部
・アジピン酸: 5モル部
・無水トリメリット酸: 2モル部
・ビルフェノールAプロピレンオキサイド2モル付加物:35モル部
・ビルフェノールAプロピレンオキサイド2モル付加物:15モル部
非晶性ポリエステル樹脂分散液(6)における非晶性ポリエステル樹脂粒子の体積平均粒径は180nmであった。
【0181】
[非晶性ポリエステル樹脂分散液(7)の調製]
非晶性ポリエステル樹脂分散液(1)の調製において、材料の仕込み量を以下のように変更した以外は同様にして、非晶性ポリエステル樹脂分散液(7)を得た。
・テレフタル酸: 18モル部
・イソフタル酸: 15モル部
・アジピン酸: 5モル部
・フマル酸: 5モル部
・アルケニルコハク酸無水物:7モル部
・無水トリメリット酸: 2モル部
非晶性ポリエステル樹脂分散液(7)における非晶性ポリエステル樹脂粒子の体積平均粒径は190nmであった。
【0182】
[非晶性ポリエステル樹脂分散液(8)の調製]
非晶性ポリエステル樹脂分散液(1)の調製において、材料の仕込み量を以下のように変更した以外は同様にして、非晶性ポリエステル樹脂分散液(8)を得た。
・テレフタル酸: 28モル部
・イソフタル酸: 15モル部
・アジピン酸: 5モル部
・無水トリメリット酸: 2モル部
・ビルフェノールAプロピレンオキサイド2モル付加物:35モル部
・ネオペンチルグリコール:15モル部
非晶性ポリエステル樹脂分散液(8)における非晶性ポリエステル樹脂粒子の体積平均粒径は150nmであった。
【0183】
[非晶性ポリエステル樹脂分散液(9)の調製]
非晶性ポリエステル樹脂分散液(1)の調製において、材料の仕込み量を以下のように変更した以外は同様にして、非晶性ポリエステル樹脂分散液(9)を得た。
・テレフタル酸: 18モル部
・イソフタル酸: 15モル部
・アジピン酸: 15モル部
・無水トリメリット酸: 2モル部
・ビルフェノールAプロピレンオキサイド2モル付加物:50モル部
非晶性ポリエステル樹脂分散液(9)における非晶性ポリエステル樹脂粒子の体積平均粒径は165mであった。
【0184】
[結晶性ポリエステル樹脂粒子分散液(1)の調製]
・ドデカン二酸 : 50モル部
・1,6-ヘキサンジオール: 50モル部
攪拌装置、窒素導入管、温度センサ及び精留塔を備えた反応容器に上記の材料を仕込み、1時間かけて温度を160℃まで上げ、上記材料100部に対してジブチル錫オキサイド0.8部を投入した。生成する水を留去しながら6時間かけて180℃まで温度を上げ、180℃を維持して5時間攪拌をしながら、容器内で還流して反応を進行させた。次いで、減圧下(3kPa)に230℃まで徐々に温度を上げ、230℃を維持して2時間攪拌を行った。続いて、反応物を冷却した。冷却後、固液分離を行い、固形物を乾燥し、結晶性ポリエステル樹脂(1)を得た。結晶性ポリエステル樹脂(1)の重量平均分子量は29,000であった。
【0185】
・結晶性ポリエステル樹脂(1): 100部
・メチルエチルケトン : 70部
・イソプロパノール : 12部
・10%アンモニア水溶液 : 3部
コンデンサー、温度計、水滴下装置及びアンカー翼を備えたジャケット付き反応槽に上記の材料を投入し、水循環式恒温槽にて液温を80℃に維持しながら、100rpmで攪拌混合しつつ結晶性ポリエステル樹脂(1)を溶解させた。次いで、水循環式恒温槽を60℃に設定し、60℃に保温されたイオン交換水を3部/分の速度で合計300部滴下し転相させて、乳化液を得た。
得られた乳化液をナスフラスコに入れ、トラップ球を介して真空制御ユニットを備えたエバポレーターにセットした。ナスフラスコを回転させながら60℃の湯バスで加温し、突沸に注意しつつ7kPaまで減圧し溶剤を除去した後、常圧に戻し、ナスフラスコを水冷して分散液を得た。分散液にイオン交換水を加えて、固形分量20質量%の結晶性ポリエステル樹脂粒子分散液(1)を得た。結晶性ポリエステル樹脂粒子分散液(1)における結晶性ポリエステル樹脂粒子の体積平均粒径は160nmであった。
【0186】
[着色剤粒子分散液の調製]
・カーボンブラック(Regel330、キャボットコーポレーション製):110部
・アニオン性界面活性剤(ネオペレックスG-65、花王(株)) : 6部
・イオン交換水 :300部
上記の材料を混合し、ホモジナイザー(ウルトラタラックスT50、IKA社製)を用いて10分間分散した。得た分散液にイオン交換水を加え、固形分量20質量%の着色剤粒子分散液を得た。着色剤粒子分散液における着色剤粒子の体積平均粒径は220nmであった。
【0187】
[離型剤粒子分散液の調製]
・フィッシャートロプシュワックス(サゾールワックスH1、サゾール社):100部
・アニオン性界面活性剤(ネオペレックスG-65): 6部
・イオン交換水 :300部
上記の材料を混合して100℃に加熱し、ホモジナイザー(ウルトラタラックスT50)を用いて分散した。さらにマントンゴーリン高圧ホモジナイザー(ゴーリン社製)で分散処理し、分散液にイオン交換水を加えて、固形分量20質量%の離型剤粒子分散液を得た。離型剤粒子分散液における離型剤粒子の体積平均粒径は230nmであった。
【0188】
[実施例1]
(トナー1の作製)
・非晶性ポリエステル樹脂分散液(1)(固形分量20質量%): 30部
・スチレン-(メタ)アクリレート共重合体粒子分散液(1)(固形分量20質量%): 9部
・結晶性ポリエステル樹脂分散液(固形分量20質量%): 18部
・着色剤粒子分散液 (固形分量20質量%): 6部
・離型剤粒子分散液 (固形分量20質量%): 8部
・アニオン性界面活性剤(エレミノールMON-2):0.7部
・イオン交換水 : 50部
温度計、pH計及び攪拌機を備えた反応容器に上記の材料を入れ、反応容器の温度を20℃に保ったまま、回転数150rpmで攪拌しながら30分間保持した。ついて、0.3N硝酸水溶液を添加しpHを5.0に調整した後、ホモジナイザー(ウルトラタラックスT50)で分散しながら2%硫酸アルミニウム水溶液を添加した。次いで攪拌しながら、0.4℃/分の速度で45℃まで昇温し30分間保持した。
次いで、非晶性ポリエステル樹脂粒子分散液(1)29部を追加し30分間保持した。次いで、0.1N水酸化ナトリウム水溶液を添加してpHを8.5に調整し15分間保持した後、攪拌を継続しながら1℃/分の速度で80℃まで昇温し、80℃を5時間保持した。次いで、冷却、固液分離し、イオン交換水により固形物の洗浄を行った後、凍結真空乾燥機にて24時間乾燥を行い、体積平均粒径5.5μmのトナー粒子(1)を得た。
トナー粒子(1)100部と、疎水性シリカ(日本アエロジル製:商品名 RY200)2.0部とを、へンシェルミキサーで混合しトナー1を得た。
【0189】
[実施例2~30及び比較例1~6]
(トナー2~30,及びトナーC1~C6の作製)
トナー1の作製において、各材料の仕込み量(添加量)を表1の通りに変更した以外は同様にして、トナー2~30,及びトナーC1~C6を得た。
【0190】
【0191】
実施例1~30及び比較例1~6で得たトナー1~30及びトナーC1~C6について、次の値を求め、スチレンー(メタ)アクリレート共重合体樹脂粒子に関する項目を表2に、非晶性樹脂及び結晶性樹脂に関する項目を表3に示す。いずれも前述した方法又は慣用される方法に従って測定した。
「樹脂粒子に関する項目」
なお、比較例1の樹脂粒子分散液は、スチレンブタジエンゴム粒子分散液を使用した。比較例1に関する「-」は、該当する数値が存在しないことを示す。
・実測したガラス転移温度Tg(E)℃
・Tg(E)-Tg(C1)(樹脂粒子の構成モノマー比からFox式により求めたガラス転移温度)
・Tg(C1)-Tg(C2)(樹脂粒子表面分析からの構成モノマー比からFox式により求めたガラス転移温度)
・Wa(S):表面分析により求めた(メタ)アクリレートからの割合
・Wa(S)-Wa(B)(樹脂粒子全体中の(メタ)アクリレートからの割合)
・樹脂粒子のトナー中含有量
・ドメイン平均円相当径:「ドメイン円相当径」と記す。
・ドメインの平均形状係数SF―1:「ドメインSF―1」と記す。
「非晶性樹脂に関する項目」
・酸モノマー中のイソフタル酸割合:
・酸価
・Tg(ap)(非晶性樹脂のガラス転移温度実測値)-Tg(C1)(樹脂粒子全体の構成モノマー比率から求めたガラス転移温度)
・|SP(ap)-SP(sa)|:ともにFedors法により算出されるSP値で、SP(ap)は結着樹脂のSP値、SP(sa)は樹脂粒子の表面分析によるモノマー組成から求めたSP値。
「結晶性樹脂に関する項目」
・結着樹脂中割合
・w1(樹脂粒子のトナー中含有量)/w2(結晶性樹脂のトナー中含有量)
【0192】
(現像剤の作製)
得られた各トナー8部と下記キャリア92部とを混合して、現像剤を得た。得られた現像剤を次に記載する評価に用いた。
(キャリアの作製)
・フェライト粒子(平均粒径35μm) :100部
・トルエン : 14部
・スチレン/メチルメタクリレート共重合体(共重合比15/85): 3部
・カーボンブラック :0.2部
フェライト粒子を除く上記成分をサンドミルにて分散して分散液を調製し、この分散液をフェライト粒子とともに真空脱気型ニーダに入れ、攪拌しながら減圧し乾燥させることによりキャリアを得た。
【0193】
[評価]
<画像定着性>
モノクロプリンターRevoria Press E1136(富士フイルムビジネスイノベーション(株)製)の改造機にて30%ハーフトーン画像を作製した。
得られたハーフトーン画像に対して、摩擦試験機FR-G(スガ試験機(株)製)を用い、摩擦子に白布を貼り付け、画像サンプル上を10往復した白布に付いた汚れを評価した。評価基準は次の通りであり、結果を表3に示す。
A:汚れが全く見られなかった。
B:薄く汚れが付いたが、軽微であり許容範囲である。
C:明らかに汚れが付いたが、許容範囲である。
D:汚れが付き、許容できないレベルである。
【0194】
<画像の耐摩擦性>
モノクロプリンターRevoria Press E1136の改造機にて縦、横共に30mmの大きさのベタ画像を作製した。
得られたベタ画像に対して、摩擦試験機FR-Gを用い、摩擦子にニトリルゴム(NRB)シート(製品名:NB27ON-0.5-1000-100、亜木津工業社製)を貼り付け、画像サンプル上を20往復した画像サンプルに生じた欠陥を評価した。評価は10℃及び30℃の環境で行った。
評価基準は次の通りであり、結果を表3に示す。
A:10℃及び30℃の双方で画像に欠陥が全く見られなかった。
B:10℃又は30℃の一方の条件で、画像にわずかな筋が見られたが、軽微であり許容範囲である。
C:10℃又は30℃の少なくとも一方の条件で、明らかに汚れが付いたが、許容範囲である。
D:10℃及び30℃双方の条件で、画像に筋が明確につき、許容できないレベルである。
【0195】
【0196】
【0197】
表3に示すように、実施例の静電荷像現像用トナーは、比較例の静電荷像現像用トナーと比較して、ハーフトーン画像の定着性に優れ、かつ、広い温度範囲で後処理汚れが抑制されることがわかった。
【0198】
(付記)
(((1)))
結着樹脂と樹脂粒子を含む静電荷像現像用トナーであって、
前記結着樹脂は非晶性樹脂と結晶性樹脂を含み、
前記樹脂粒子は、スチレン-(メタ)アクリレート系共重合体を含み、
前記樹脂粒子全体の構成モノマーの比率からFox式により求めたガラス転移温度をTg(C1)℃、示差走査熱量計によって実測したガラス転移温度をTg(E)℃としたとき
5.0≦Tg(E)-Tg(C1)≦20.0
であり、
前記樹脂粒子の表面分析から算出される構成モノマーの比率を用いてFox式により求めたガラス転移温度をTg(C2)℃としたとき、
Tg(C1)>Tg(C2)
である、
静電荷像現像用トナー。
(((2)))
結着樹脂と樹脂粒子を含む静電荷像現像用トナーであって、
前記結着樹脂は非晶性樹脂と結晶性樹脂を含み、
前記樹脂粒子は、スチレン-(メタ)アクリレート系共重合体を含み、当該樹脂粒子中の(メタ)アクリレートモノマーから誘導される単位の割合をWa(B)モル%、当該樹脂粒子の表面分析による(メタ)アクリレートモノマーから誘導される単位の割合をWa(S)モル%としたとき、
Wa(S)は40モル%以上80モル%以下であり、かつ
2≦Wa(S)-Wa(B)≦20
である、
静電荷像現像用トナー。
(((3)))
前記Tg(E)が0℃以上30℃以下である、(((1)))又は(((2)))記載の静電荷像現像用トナー。
(((4)))
前記樹脂粒子は架橋粒子である、(((1)))又は(((3)))記載の静電荷像現像用トナー。
(((5)))
前記結着樹脂中の結晶性樹脂の割合が、15質量%以上40質量%以下である(((1)))から(((4)))のいずれか1項に記載の静電荷像現像用トナー。
(((6)))
前記樹脂粒子を2質量%以上20質量%以下含む、(((1)))から (((5)))のいずれか1項に記載の静電荷像現像用トナー。
(((7)))
前記結晶性樹脂のトナー中の含有量w2に対する、前記樹脂粒子のトナー中の含有量w1の比w1/w2は、0.2以上2.0以下である、 (((1)))から(((6)))のいずれか1項に記載の静電荷像現像用トナー。
(((8)))
前記非晶性樹脂は非晶性ポリエステル樹脂を含み、前記結晶性樹脂は結晶性ポリエステル樹脂を含む、 (((1)))から(((7)))のいずれか1項に記載の静電荷像現像用トナー。
(((9)))
前記非晶性ポリエステル樹脂はイソフタル酸から誘導される単位を含み、当該非晶性ポリエステル樹脂の酸成分モノマーから誘導される単位のうちイソフタル酸から誘導される単位の割合が10モル%以上50モル%以下である、(((8)))記載の静電荷像現像用トナー。
(((10)))
前記非晶性ポリエステル樹脂の酸価が5mgKOH/g以上20mgKOH/g以下である、 (((8)))又は (((9)))記載の静電荷像現像用トナー。
【0199】
(((11)))
前記非晶性ポリエステル樹脂を示差走査熱量計によって実測したガラス転移温度をTg(ap)℃としたとき、
40≦Tg(ap)-Tg(C1)≦90
である、(((8))) から(((10)))のいずれか1項に記載の静電荷像現像用トナー。
(((12)))
前記結着樹脂のFedors法により算出されるSP値をSP(ap)、前記樹脂粒子の表面分析によるモノマー組成からFedors法により算出されるSP値をSP(sa)としたとき、
|SP(ap)-SP(sa)|≦0.4
である、 (((1)))から(((11)))のいずれか1項に記載の静電荷像現像用トナー。
(((13)))
前記樹脂粒子によって形成されるドメインの平均円相当径が50nm以上300nm以下である、(((1)))から(((12)))のいずれか1項に記載の静電荷像現像用トナー。
(((14)))
前記樹脂粒子によって形成されるドメインの平均形状係数SF-1が130以下である、(((1)))から(((13)))のいずれか1項に記載の静電荷像現像用トナー。
(((15))) 前記樹脂粒子は架橋粒子である、(((2)))記載の静電荷像現像用トナー。
(((16)))
前記非晶性樹脂は非晶性ポリエステル樹脂を含み、
前記非晶性ポリエステル樹脂を示差走査熱量計によって実測したガラス転移温度をTg(ap)℃、前記樹脂粒子全体の構成モノマーの比率からFox式により求めたガラス転移温度をTg(C1)℃としたとき、
40≦Tg(ap)-Tg(C1)≦90
である、(((2)))又は(((15)))記載の静電荷像現像用トナー。
(((17)))
前記樹脂粒子によって形成されるドメインの平均円相当径が50nm以上300nm以下である、(((2)))、(((15)))および(((16)))のいずれか1項に記載の静電荷像現像用トナー。
(((18)))
(((1)))から(((17)))のいずれか1項に記載の静電荷像現像用トナーを含む静電荷像現像剤。
(((19)))
(((1)))から(((17)))のいずれか1項に記載の静電荷像現像用トナーを収容し、
画像形成装置に着脱されるトナーカートリッジ。
(((20)))
像保持体と、
前記像保持体の表面を帯電する帯電手段と、
帯電した前記像保持体の表面に静電荷像を形成する静電荷像形成手段と、
(((18)))に記載の静電荷像現像剤を収容し、前記静電荷像現像剤により、前記像保持体の表面に形成された静電荷像をトナー画像として現像する現像手段と、
前記像保持体の表面に形成されたトナー画像を記録媒体の表面に転写する転写手段と、
前記記録媒体の表面に転写されたトナー画像を定着する定着手段と、
を備える画像形成装置。
【0200】
(((1)))の発明によれば、結晶性樹脂とスチレン-(メタ)アクリレート系樹脂粒子を添加した静電荷像現像用トナーにおいて、樹脂粒子全体の構成モノマーの比率からFox式により求めたガラス転移温度をTg(C1)℃、樹脂粒子の表面分析から算出される構成モノマーの比率を用いてFox式により求めたガラス転移温度をTg(C2)℃としたとき、Tg(C2)がTg(C1)以上である場合に比べ、ハーフトーン部の定着性と広範囲温度域で後処理機汚れ防止とを両立することができる。
(((2)))の発明によれば、当該樹脂粒子中の(メタ)アクリレートモノマーから誘導される単位の割合をWa(B)モル%、当該樹脂粒子の表面分析による(メタ)アクリレートモノマーから誘導される単位の割合をWa(S)モル%としたとき、(Wa(S)-Wa(B))が2未満又は20超えである場合と比較して、ハーフトーン部の定着性と広範囲温度域で後処理機汚れ防止とを両立した静電荷像現像用トナーを提供することができる。
(((3)))の発明によれば、示差走査熱量計によって実測した樹脂粒子のガラス転移温度Tg(E)℃が0℃未満又は30℃超えである場合と比較して、広範囲の温度域で後処理機汚れが防止された静電荷像現像用トナーを提供することができる。
(((4)))の発明によれば、樹脂粒子が架橋粒子でない場合と比較して、樹脂粒子が定着後も画像中で良好に分散し、後処理機汚れが防止された静電荷像現像用トナーを提供することができる。
(((5)))の発明によれば、結着樹脂中の結晶性樹脂の割合が、15質量%未満又は40質量%超えである場合と比較して、定着時のトナー変形が適度な範囲で、特にハーフトーン部分で良好な定着性が得られる静電荷像現像用トナーを提供することができる。
(((6)))の発明によれば、静電荷像現像用トナーが樹脂粒子を2質量%未満又は20質量%超えである場合と比較して、ハーフトーン部の定着性と広範囲の温度域で後処理機汚れ防止が両立された静電荷像現像用トナーを提供することができる。
(((7)))の発明によれば、結晶性樹脂のトナー中の含有量w2に対する、樹脂粒子のトナー中の含有量w1の比w1/w2が、0.2未満又は2.0超えの場合と比較して、定着時に適度に変形し、低温定着性を得ることができる静電荷像現像用トナーを提供することができる。
(((8)))の発明によれば、非晶性樹脂が非晶性ポリエステル樹脂を含まない場合、又は、結晶性樹脂が結晶性ポリエステル樹脂を含まない場合と比較して、結着樹脂と樹脂粒子との親和性が確保された静電荷像現像用トナーを提供することができる。
(((9)))の発明によれば、非晶性ポリエステル樹脂の酸成分モノマーから誘導される単位のうちイソフタル酸から誘導される単位の割合が10モル%未満又は50モル%超えである場合と比較して、結着樹脂と樹脂粒子との親和性が確保された静電荷像現像用トナーを提供することができる。
【0201】
(((10)))の発明によれば、非晶性ポリエステル樹脂の酸価が5mgKOH/g未満又は20mgKOH/g超えである場合と比較して、結着樹脂と樹脂粒子との親和性が確保された静電荷像現像用トナーを提供することができる。
(((11)))の発明によれば、非晶性ポリエステル樹脂を示差走査熱量計によって実測したガラス転移温度をTg(ap)℃、樹脂粒子全体の構成モノマーの比率からFox式により求めたガラス転移温度をTg(C1)℃としたとき、(Tg(ap)-Tg(C1))が40未満又は90超えである場合と比較して、結着樹脂と樹脂粒子との親和性が確保された静電荷像現像用トナーを提供することができる。
(((12)))の発明によれば、結着樹脂のFedors法により算出されるSP値をSP(ap)、樹脂粒子の表面分析によるモノマー組成からFedors法により算出されるSP値をSP(sa)としたとき、|SP(ap)-SP(sa)|が0.4を超える場合と比較して、結着樹脂と樹脂粒子との親和性が確保された静電荷像現像用トナーを提供することができる。
(((13)))の発明によれば、樹脂粒子によって形成されるドメインの平均円相当径が50nm未満又は300nm超えである場合と比較して、定着を阻害せず、後処理機汚れが防止された静電荷像現像用トナーを提供することができる。
(((14)))の発明によれば、樹脂粒子によって形成されるドメインの平均形状係数SF-1が130超えである場合と比較して、定着を阻害せず、後処理機汚れが防止された静電荷像現像用トナーを提供することができる。
(((15)))の発明によれば、樹脂粒子が架橋粒子でない場合と比較して、樹脂粒子が定着後も画像中で良好に分散し、後処理機汚れが防止された静電荷像現像用トナーを提供することができる。
(((16)))の発明によれば、前記非晶性樹脂は非晶性ポリエステル樹脂を含み、前記非晶性ポリエステル樹脂を示差走査熱量計によって実測したガラス転移温度をTg(ap)℃、樹脂粒子全体の構成モノマーの比率からFox式により求めたガラス転移温度をTg(C1)℃としたとき、(Tg(ap)-Tg(C1))が40未満又は90超えである場合と比較して、結着樹脂と樹脂粒子との親和性が確保された静電荷像現像用トナーを提供することができる。
(((17)))の発明によれば、樹脂粒子によって形成されるドメインの平均円相当径が50nm未満又は300nm超えである場合と比較して、定着を阻害せず、後処理機汚れが防止された静電荷像現像用トナーを提供することができる。
(((18)))、(((19)))又は(((20)))の発明によれば、樹脂粒子全体の構成モノマーの比率からFox式により求めたガラス転移温度をTg(C1)℃、樹脂粒子の表面分析から算出される構成モノマーの比率を用いてFox式により求めたガラス転移温度をTg(C2)℃としたとき、Tg(C2)がTg(C1)以上である場合に比べ、ハーフトーン部の定着性と広範囲温度域で後処理機汚れ防止とを両立することができる静電荷像現像剤、トナーカートリッジ、又は画像形成装置を提供することができる。