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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024137419
(43)【公開日】2024-10-07
(54)【発明の名称】半導体装置および光検出装置
(51)【国際特許分類】
   H01L 27/146 20060101AFI20240927BHJP
   H01L 21/822 20060101ALI20240927BHJP
   H01L 21/8234 20060101ALI20240927BHJP
【FI】
H01L27/146 A
H01L27/04 P
H01L27/06 102A
H01L27/04 C
【審査請求】未請求
【請求項の数】20
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023048941
(22)【出願日】2023-03-24
(71)【出願人】
【識別番号】316005926
【氏名又は名称】ソニーセミコンダクタソリューションズ株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110001357
【氏名又は名称】弁理士法人つばさ国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】場色 正昭
【テーマコード(参考)】
4M118
5F038
5F048
【Fターム(参考)】
4M118AA10
4M118AB01
4M118BA14
4M118CA02
4M118DD04
4M118DD09
4M118FA06
4M118FA27
4M118FA28
4M118FA33
4M118FA38
4M118GD03
4M118HA22
4M118HA24
4M118HA25
4M118HA30
5F038AC05
5F038AC09
5F038AC14
5F038AC15
5F038AR07
5F038BH10
5F038CA16
5F038DF03
5F038EZ01
5F038EZ02
5F038EZ06
5F038EZ20
5F048AA01
5F048AB10
5F048AC03
5F048AC10
5F048BA01
5F048BA16
5F048BB05
5F048BB09
5F048BD06
5F048BF02
5F048BF07
5F048BG13
5F048BG14
5F048DA24
(57)【要約】
【課題】良好な性能を有する半導体装置を提供する。
【解決手段】本開示の一実施形態の半導体装置は、半導体層と、前記半導体層の第1面側に設けられる第1電極と、前記第1電極に積層される絶縁膜と、前記絶縁膜に積層される第1抵抗素子とを有する容量素子とを備える。
【選択図】図7
【特許請求の範囲】
【請求項1】
半導体層と、
前記半導体層の第1面側に設けられる第1電極と、前記第1電極に積層される絶縁膜と、前記絶縁膜に積層される第1抵抗素子とを有する容量素子と
を備える半導体装置。
【請求項2】
前記半導体層の前記第1面側に設けられるゲート電極を有するトランジスタをさらに備え、
前記第1電極は、前記ゲート電極と同じ材料からなる
請求項1に記載の半導体装置。
【請求項3】
前記半導体層の前記第1面側に設けられるトランジスタをさらに備え、
前記容量素子は、前記トランジスタに積層されている
請求項1に記載の半導体装置。
【請求項4】
前記第1電極は、前記トランジスタのゲート電極である
請求項3に記載の半導体装置。
【請求項5】
前記第1抵抗素子の周りに設けられる第2抵抗素子を含むシールド部をさらに備える
請求項3に記載の半導体装置。
【請求項6】
前記シールド部は、前記第2抵抗素子に電気的に接続される第2電極を有する
請求項5に記載の半導体装置。
【請求項7】
前記第1抵抗素子と前記第1電極との積層方向と直交する方向における前記第1抵抗素子の幅は、前記第1電極の幅よりも小さい
請求項1に記載の半導体装置。
【請求項8】
前記第1抵抗素子と前記絶縁膜との積層方向と直交する方向における前記第1抵抗素子の幅は、前記絶縁膜の幅よりも小さい
請求項1に記載の半導体装置。
【請求項9】
前記第1抵抗素子は、薄膜抵抗素子である
請求項1に記載の半導体装置。
【請求項10】
前記第1抵抗素子のシート抵抗は、200ohm/sq以上である
請求項1に記載の半導体装置。
【請求項11】
前記第1抵抗素子は、200ohm/sq以上からなる金属膜である
請求項1に記載の半導体装置。
【請求項12】
前記第1抵抗素子は、前記第1電極に対向するように設けられている
請求項1に記載の半導体装置。
【請求項13】
光を光電変換する光電変換素子と、
半導体層の第1面側に設けられる第1電極と、前記第1電極に積層される絶縁膜と、前記絶縁膜に積層される第1抵抗素子とを有する容量素子と
を備える光検出装置。
【請求項14】
前記半導体層の前記第1面側に設けられるトランジスタをさらに備え、
前記容量素子は、前記トランジスタに積層されている
請求項13に記載の光検出装置。
【請求項15】
前記第1電極は、前記トランジスタのゲート電極である
請求項14に記載の光検出装置。
【請求項16】
前記容量素子を有し、前記光電変換素子で光電変換された電荷に基づく第1信号をデジタル信号に変換可能なAD変換回路をさらに備える
請求項13に記載の光検出装置。
【請求項17】
前記AD変換回路は、前記容量素子を介して入力される前記第1信号と参照信号とを比較可能な比較回路を有する
請求項16に記載の光検出装置。
【請求項18】
前記比較回路は、前記半導体層の前記第1面側に設けられ、前記容量素子を介して前記第1信号が入力されるトランジスタを有し、
前記容量素子は、前記トランジスタに積層されている
請求項17に記載の光検出装置。
【請求項19】
前記第1抵抗素子は、200ohm/sq以上からなる金属膜である
請求項13に記載の光検出装置。
【請求項20】
前記半導体層は、第1面と、前記第1面とは反対側の第2面とを有し、
前記半導体層は、前記第1面と前記第2面との間に設けられるトレンチを有する
請求項13に記載の光検出装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、半導体装置および光検出装置に関する。
【背景技術】
【0002】
負荷用のMOSトランジスタのゲート領域上に重ねて形成されたMOSキャパシタを備える半導体集積回路が提案されている(特許文献1)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開昭61-251064号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
半導体装置では、性能の改善が求められている。
【0005】
良好な性能を有する半導体装置を提供することが望まれる。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本開示の一実施形態の半導体装置は、半導体層と、容量素子とを備える。容量素子は、半導体層の第1面側に設けられる第1電極と、第1電極に積層される絶縁膜と、絶縁膜に積層される第1抵抗素子とを有する。
本開示の一実施形態の光検出装置は、光を光電変換する光電変換素子と、容量素子とを備える。容量素子は、半導体層の第1面側に設けられる第1電極と、第1電極に積層される絶縁膜と、絶縁膜に積層される第1抵抗素子とを有する。
【図面の簡単な説明】
【0007】
図1図1は、本開示の実施の形態に係る光検出装置の一例である撮像装置の概略構成の一例を示す図である。
図2図2は、本開示の実施の形態に係る撮像装置の構成例を示す図である。
図3A図3Aは、本開示の実施の形態に係る撮像装置のレイアウト例を示す図である。
図3B図3Bは、本開示の実施の形態に係る撮像装置のレイアウト例を示す図である。
図4図4は、本開示の実施の形態に係る撮像装置の画素の構成例を説明するための図である。
図5図5は、本開示の実施の形態に係る撮像装置の比較回路の構成例を示す図である。
図6図6は、本開示の実施の形態に係る撮像装置の比較回路のレイアウト例を説明するための図である。
図7図7は、本開示の実施の形態に係る撮像装置の比較回路の断面構成の一例を説明するための図である。
図8A図8Aは、本開示の実施の形態に係る撮像装置の比較回路の断面構成の別の例を説明するための図である。
図8B図8Bは、本開示の実施の形態に係る撮像装置の比較回路の断面構成の別の例を説明するための図である。
図9図9は、本開示の実施の形態に係る撮像装置の断面構成の一例を説明するための図である。
図10図10は、本開示の実施の形態に係る撮像装置の断面構成の別の例を説明するための図である。
図11A図11Aは、本開示の変形例1に係る撮像装置の構成例を説明するための図である。
図11B図11Bは、本開示の変形例1に係る撮像装置の構成例を説明するための図である。
図12図12は、本開示の変形例2に係る撮像装置の構成例を説明するための図である。
図13図13は、光検出装置の使用例を表す図である。
【発明を実施するための形態】
【0008】
以下、本開示の実施の形態について、図面を参照して詳細に説明する。なお、説明は以下の順序で行う。
1.実施の形態
2.変形例
3.使用例
【0009】
<1.の実施の形態>
図1は、本開示の実施の形態に係る光検出装置の一例である撮像装置の概略構成の一例を示すブロック図である。光検出装置は、入射する光を検出可能な装置である。光検出装置である撮像装置1は、光電変換部(光電変換素子)を有する複数の画素Pを有し、入射した光を光電変換して信号を生成するように構成される。撮像装置1は、イメージセンサ、測距センサ等に適用され得る。
【0010】
撮像装置1(光検出装置)は、光学レンズを含む光学系(不図示)を透過した光を受光して信号を生成し得る。撮像装置1の各画素Pの光電変換部は、例えばフォトダイオード(PD)であり、光を光電変換可能に構成される。撮像装置1は、複数の画素Pが行列状に2次元配置された領域(画素アレイ100)を、撮像エリアとして有する。画素アレイ100は、複数の画素Pが配置されるセンサ部(画素部)であり、受光領域ともいえる。
【0011】
撮像装置1は、光学レンズを含む光学系を介して、被写体からの入射光(像光)を取り込む。撮像装置1は、光学レンズにより形成される被写体の像を撮像する。撮像装置1は、受光した光を光電変換して画素信号を生成し得る。
【0012】
撮像装置1は、一例として、画素アレイ100と、画素アレイ100からの電気信号の読み取りや所定の信号処理を実行可能な周辺回路部200とを含む(図2も参照)。撮像装置1は、例えば、CMOS(Complementary Metal Oxide Semiconductor)イメージセンサである。
【0013】
撮像装置1は、入射した光を受光して信号を生成可能な装置であり、受光装置ともいえる。撮像装置1は、一例として、デジタルスチルカメラ、ビデオカメラ、携帯電話等の電子機器に利用可能である。
【0014】
図2は、実施の形態に係る撮像装置の構成例を示す図である。また、図3A及び図3Bは、撮像装置のレイアウト例を示す図である。図2に示すように、撮像装置1は、第1基板101及び第2基板102を備える。第1基板101及び第2基板102は、互いに重なり合って積層される。第1基板101及び第2基板102は、それぞれ、半導体基板(例えばシリコン基板)によって構成される。
【0015】
撮像装置1は、第1基板101と、第2基板102とがZ軸方向に積層された構造(積層構造)を有する。なお、図2に示すように、計測対象である被写体からの光の入射方向をZ軸方向、Z軸方向に直交する紙面左右方向をX軸方向、Z軸方向及びX軸方向に直交する方向をY軸方向とする。以降の図において、図2の矢印の方向を基準として方向を表記する場合もある。
【0016】
第1基板101には、画素アレイ100が設けられる。画素アレイ100では、複数の画素Pが、第1方向である水平方向(行方向)、及び第1方向と直交する第2方向である垂直方向(列方向)に配置される。第2基板102には、周辺回路部200が設けられる。周辺回路部200は、図1及び図3B等に示す行選択回路111、ADC群112、ランプ信号発生器113、タイミング制御回路114、水平転送走査回路116、アンプ回路117、信号処理回路118等を含む。
【0017】
周辺回路部200は、例えば、第2基板102に形成されたMOSFET、バイポーラトランジスタ、抵抗素子、容量素子などの半導体デバイスを多層配線により接続することで構成される。なお、周辺回路部200は、複数の基板、例えば第1基板101と第2基板102とに分けて設けてもよい。周辺回路部200のうち、例えば行選択回路111を、第1基板101に配置するようにしてもよい。
【0018】
撮像装置1には、図2に模式的に示すように、複数の電極96が設けられる。電極96は、例えば、銅(Cu)等の金属膜により構成される電極である。電極96は、金属電極間の接合に用いる電極であり、接合部ともいえる。一例として、Cuからなる複数の電極96間の接合、即ちCu-Cu接合によって、第1基板101と第2基板102とが接合面S1を介して貼り合わされる。
【0019】
撮像装置1では、接合面S1に配置される電極96によって、第1基板101に設けられた回路と、第2基板102に設けられた回路とが電気的に接続される。図3A及び図3Bに示す接続部95a及び接続部95bには、それぞれ、複数の接合用の電極96が設けられる。接続部95a,95bは、第1基板101の回路と第2基板102の回路とを接続する。なお、電極96は、銅以外の金属材料、例えばニッケル(Ni)、コバルト(Co)、金(Au)等により構成されてもよい。
【0020】
接続部95a及び接続部95bの複数の電極96には、例えば、画素Pと定電流源負荷91の電流源IS1とを信号線VSLを介して電気的に接続する電極96、タイミング制御回路114からの制御信号を伝送する電極96、DC供給回路92からの電圧を供給する電極96等が含まれる。
【0021】
DC供給回路92は、撮像装置1の各部に電圧及び電流を供給可能に構成される。DC供給回路92は、例えば、チャージポンプ回路を含み、降圧または昇圧した電圧を出力し得る。DC供給回路92は、電圧を供給可能な電圧生成回路(又は電源回路)ともいえる。
【0022】
図4は、実施の形態に係る撮像装置の画素の構成例を説明するための図である。画素Pは、光電変換部12(光電変換素子)と、転送トランジスタT1と、読み出し回路20とを有する。光電変換部12は、光を受光して信号を生成するように構成される。読み出し回路20は、光電変換された電荷に基づく信号を出力可能に構成される。
【0023】
光電変換部12は、受光部(受光素子)であり、光電変換により電荷を生成可能に構成される。図4に示す例では、光電変換部12は、フォトダイオード(PD)であり、入射する光を電荷に変換する。光電変換部12は、光電変換を行って受光量に応じた電荷を生成する。
【0024】
読み出し回路20は、一例として、フローティングディフュージョンFDと、リセットトランジスタT2と、増幅トランジスタT3と、選択トランジスタT4とを有する。転送トランジスタT1、リセットトランジスタT2、増幅トランジスタT3、及び選択トランジスタT4は、それぞれ、ゲート、ソース、ドレインの端子を有するMOSトランジスタ(MOSFET)である。
【0025】
図4に示す例では、転送トランジスタT1、増幅トランジスタT3、選択トランジスタT4、及びリセットトランジスタT2は、それぞれNMOSトランジスタにより構成される。なお、画素Pのトランジスタは、PMOSトランジスタにより構成されてもよい。なお、読み出し回路20は、転送トランジスタT1を含んでいてもよい。
【0026】
転送トランジスタT1は、光電変換部12で光電変換された電荷をフローティングディフュージョンFDに転送可能に構成される。図4に示すように、転送トランジスタT1は、信号TRGにより制御され、光電変換部12とフローティングディフュージョンFDとを電気的に接続または切断する。転送トランジスタT1は、光電変換部12で光電変換されて蓄積された電荷をフローティングディフュージョンFDに転送し得る。
【0027】
フローティングディフュージョンFDは、蓄積部であり、転送された電荷を蓄積可能に構成される。フローティングディフュージョンFDは、光電変換部12で光電変換された電荷を蓄積し得る。フローティングディフュージョンFDは、転送された電荷を保持可能な保持部ともいえる。フローティングディフュージョンFDは、転送された電荷を蓄積し、フローティングディフュージョンFDの容量に応じた電圧に変換する。
【0028】
増幅トランジスタT3は、フローティングディフュージョンFDに蓄積された電荷に基づく信号を生成して出力するように構成される。図4に示すように、増幅トランジスタT3のゲートは、フローティングディフュージョンFDと電気的に接続され、フローティングディフュージョンFDで変換された電圧が入力される。
【0029】
増幅トランジスタT3のドレインは、電源電圧VDDPIXが供給される電源線に接続され、増幅トランジスタT3のソースは、選択トランジスタT4を介して信号線VSLに接続される。増幅トランジスタT3のソースは、信号線VSLに対して設けられた定電流源負荷91の電流源IS1と電気的に接続される。
【0030】
定電流源負荷91は、例えば、信号線VSL毎に設けられる電流源IS1を有する。画素アレイ100において垂直方向(列方向)に並ぶ複数の画素Pにより構成される画素列ごとに、電流源IS1が設けられる。電流源IS1は、信号線VSLに電気的に接続される。
【0031】
電流源IS1は、増幅トランジスタT3に電流を供給可能に構成される。電流源IS1は、例えば、増幅トランジスタT3と共にソースフォロア回路を構成する。増幅トランジスタT3は、フローティングディフュージョンFDに蓄積された電荷に基づく信号、即ちフローティングディフュージョンFDの電圧に基づく信号を生成し、信号線VSLへ出力し得る。
【0032】
選択トランジスタT4は、画素の信号の出力を制御可能に構成される。選択トランジスタT4は、信号SELにより制御され、増幅トランジスタT3からの信号を信号線VSLに出力可能に構成される。
【0033】
選択トランジスタT4は、画素の信号の出力タイミングを制御し得る。なお、選択トランジスタT4は、電源電圧VDDPIXが与えられる電源線と増幅トランジスタT3との間に設けられてもよい。また、必要に応じて、選択トランジスタT4を省略してもよい。
【0034】
リセットトランジスタT2は、フローティングディフュージョンFDの電圧をリセット可能に構成される。図4に示す例では、リセットトランジスタT2は、電源電圧VDDPIXが与えられる電源線と電気的に接続され、画素Pの電荷のリセットを行うように構成される。
【0035】
リセットトランジスタT2は、信号RSTにより制御され、フローティングディフュージョンFDに蓄積された電荷をリセットし、フローティングディフュージョンFDの電圧をリセットし得る。なお、リセットトランジスタT2は、転送トランジスタT1を介して、光電変換部12に蓄積された電荷を排出し得る。
【0036】
行選択回路111(図1等参照)は、各画素Pの転送トランジスタT1、リセットトランジスタT2、選択トランジスタT4等のゲートに制御信号を供給し、トランジスタをオン状態(導通状態)又はオフ状態(非導通状態)とする。
【0037】
転送トランジスタT1、リセットトランジスタT2、及び、選択トランジスタT4等は、行選択回路111によってオンオフ制御される。行選択回路111は、各画素Pの転送トランジスタT1及び読み出し回路20を制御することによって、各画素Pから画素信号を信号線VSLに出力させる。行選択回路111は、各画素Pの画素信号を信号線VSLへ読み出す制御を行い得る。
【0038】
図1に示す例では、撮像装置1は、周辺回路部200として、行選択回路111、ADC群112、ランプ信号発生器113、タイミング制御回路114、水平転送走査回路116、アンプ回路117、信号処理回路118等を有する。また、撮像装置1には、複数の信号線VSLが設けられる。
【0039】
信号線VSLは、画素Pからの信号を伝えることが可能な信号線であり、画素アレイ100の画素PとADC群112とに接続される。例えば、撮像装置1では、画素列ごとに、信号線VSLが配線される。信号線VSLは、垂直信号線であり、画素Pから出力される信号を伝送するように構成される。
【0040】
行選択回路111は、駆動回路であり、例えば、バッファ、シフトレジスタ、アドレスデコーダ等を含む複数の回路によって構成される。行選択回路111は、画素アレイ100の各画素Pを駆動可能に構成される。行選択回路111は、画素Pを駆動するための信号を生成し、画素アレイ100の各画素Pへ出力する。行選択回路111は、タイミング制御回路114により制御され、画素アレイ100の画素Pの制御を行う。
【0041】
行選択回路111は、例えば、上述した画素Pの転送トランジスタT1を制御する信号、リセットトランジスタT2を制御する信号、及び選択トランジスタT4を制御する信号等の画素Pを制御するための信号を生成し、画素アレイ100の各画素Pに供給する。行選択回路111は、各画素Pから画素信号を読み出す制御を行い得る。
【0042】
ADC群112は、複数のAD変換回路50を含み、AD変換回路50によってデジタル信号に変換された画素信号を出力し得る。AD変換回路50は、ADC(Analog to Digital Converter)である。AD変換回路50は、複数の信号線VSLの各々に対して設けられる。画素アレイ100の画素列ごとに、AD変換回路50が設けられる。
【0043】
AD変換回路50は、入力されるアナログ信号をデジタル信号に変換するように構成される。AD変換回路50は、各画素Pから信号線VSLを介して入力されるアナログ信号である画素の信号に対して、AD変換処理を行う。
【0044】
ランプ信号発生器113は、参照信号を生成可能に構成される。ランプ信号発生器113は、信号生成部であり、時間経過に応じて信号レベルが変化する信号を生成し得る。ランプ信号発生器113は、例えば、各AD変換回路50に共通に接続され、AD変換に用いる参照信号(基準信号)を生成し、各AD変換回路50に供給する。
【0045】
ランプ信号発生器113は、例えば、DA変換回路(DAC:Digital to Analog Converter)を含み、タイミング制御回路114からの制御信号に応じて、アナログ信号であるランプ信号を生成するように構成される。図1に示す例では、ランプ信号発生器113は、タイミング制御回路114から制御信号として出力されるパルス信号、クロック信号に基づき、時間経過と共に変化する参照信号であるランプ信号RAMPを生成する。
【0046】
AD変換回路50は、比較回路30とカウンタ40とラッチ45とを有する。AD変換回路50は、入力される画素の信号を、所定のビット数のデジタル信号に変換可能に構成される。AD変換回路50は、例えば、シングルスロープADCである。
【0047】
比較回路30は、コンパレータにより構成され、画素の信号と参照信号(基準信号)とを比較可能に構成される。比較回路30(比較部)は、変換対象となるアナログ信号である画素の信号と、比較対象となる参照信号とを比較し得る。
【0048】
図5は、実施の形態に係る撮像装置の比較回路の構成例を示す図である。比較回路30は、例えば、入力部31と入力部32と出力部33を有し、信号を増幅可能な差動増幅器を用いて構成される。図5に示す例では、比較回路30は、差動対35を構成するトランジスタT11及びトランジスタT12と、カレントミラー36を構成するトランジスタT21及びトランジスタT22とを含む差動増幅器を有する。
【0049】
カレントミラー36と差動対35は、電源電圧VDDLOGICが供給される電源線と、接地線(GND線)との間に電気的に接続される。なお、電源電圧VDDLOGICと、GND(グランド)線との間には、バイパスコンデンサである容量素子60cが接続されている。
【0050】
トランジスタT11及びトランジスタT12は、差動入力トランジスタである。トランジスタT11及びトランジスタT12は、例えば、それぞれ、NMOSトランジスタにより構成される。トランジスタT21及びトランジスタT22は、能動負荷トランジスタである。トランジスタT21及びトランジスタT22は、例えば、それぞれ、PMOSトランジスタにより構成される。
【0051】
また、比較回路30は、トランジスタT30と、電流源IS2と、電流源IS3とを有する。電流源IS2は、差動対35及びカレントミラー36に電流を供給可能に構成される。トランジスタT30は、出力トランジスタであり、トランジスタT11及びトランジスタT21と電気的に接続される。トランジスタT30は、例えば、PMOSトランジスタにより構成される。電流源IS3は、トランジスタT30に電流を供給可能に構成される。
【0052】
比較回路30の入力部31は、第1入力端子であり、比較回路30の入力部32は、第2入力端子である。入力部31には、容量素子60aが電気的に直列に接続され、入力部32には、容量素子60bが電気的に直列に接続されている。入力部31には、容量素子60aを介して、画素Pから信号線VSLに出力される画素信号が入力される。また、入力部32には、容量素子60bを介して、ランプ信号発生器113からランプ信号RAMPが入力される。
【0053】
比較回路30は、画素Pから出力される信号と電圧(電位)が変化するランプ信号RAMPとを比較し、比較結果である信号VoutをトランジスタT30によって出力する。比較回路30から出力される信号Voutは、画素Pから出力される信号とランプ信号RAMPとの大小関係を示す信号となる。
【0054】
図1に示すカウンタ40は、入力される信号に応じてカウント(計数)を行うように構成される。カウンタ40(カウンタ回路)は、タイミング制御回路114からの信号CLKと比較回路30からの信号Voutに基づき、比較回路30での比較結果が反転するまでの時間を計測し、カウント値を示す信号を、ラッチ45(ラッチ回路)へ出力し得る。
【0055】
ラッチ45は、比較回路30による比較開始から比較結果が反転する(変化する)までの期間に応じたカウント値を示すデジタル信号を、AD変換後の画素の信号として保持し得る。各画素Pから順次出力される画素信号は、AD変換回路50におけるAD変換によってデジタル信号に変換される。
【0056】
水平転送走査回路116は、例えば、バッファ、シフトレジスタ、アドレスデコーダ等によって構成される。水平転送走査回路116は、ADC群112の各AD変換回路50から水平転送線115への画素信号の出力を制御するように構成される。水平転送走査回路116は、例えば、AD変換回路50毎に配置される水平選択スイッチを駆動可能に構成される。
【0057】
水平転送走査回路116は、各水平選択スイッチを走査しつつ順番に駆動する。信号線VSLの各々を通して伝送される各画素Pの画素信号は、デジタル信号に変換され、水平転送走査回路116による選択走査によって順に水平転送線115(水平信号線)に出力される。
【0058】
アンプ回路117は、水平転送線115を介して伝送される信号を出力可能に構成される。撮像装置1では、伝送する信号の数(ビット数等)に対応して、複数の水平転送線115及び複数のアンプ回路117が設けられる。アンプ回路117は、出力回路であり、ADC群112から水平転送線115を介して順次入力される画素の信号に対してバッファリング等の信号処理を行い、処理後の画素の信号を信号処理回路118へ出力し得る。
【0059】
信号処理回路118は、入力される信号に対して信号処理を実行可能に構成される。信号処理回路118(信号処理部)は、例えば、画素信号に対して各種の信号処理を施す回路により構成される。信号処理回路118は、プロセッサ及びメモリを含んでいてもよい。信号処理回路118は、アンプ回路117から入力される画素の信号に対して信号処理を行い、処理後の画素の信号を出力する。信号処理回路118は、例えば、ノイズ低減処理、階調補正処理等の各種の信号処理を行い得る。
【0060】
タイミング制御回路114は、撮像装置1の各部を制御可能に構成される。タイミング制御回路114は、外部から与えられるクロック、動作モードを指令するデータ等を受け取り、また、撮像装置1の内部情報等のデータを出力し得る。
【0061】
タイミング制御回路114は、例えば、各種のタイミング信号を生成可能に構成されたタイミングジェネレータを有する。タイミング制御回路114は、タイミングジェネレータで生成された各種のタイミング信号(パルス信号、クロック信号等)に基づき、行選択回路111及び水平転送走査回路116等の駆動制御を行う。
【0062】
画素アレイ100、行選択回路111、ADC群112、ランプ信号発生器113、タイミング制御回路114、水平転送走査回路116、アンプ回路117、信号処理回路118等は、複数の半導体基板に分けて設けられていてもよいし、1つの半導体基板に設けられていてもよい。画素アレイ100と周辺回路部200とが、1つの基板に設けられていてもよい。
【0063】
図6は、実施の形態に係る撮像装置の比較回路のレイアウト例を説明するための図である。また、図7は、図6に示したA-A’線の方向における比較回路の断面構成の一例を表している。撮像装置1では、図6に示すように、複数の比較回路30が、画素Pのサイズに応じたピッチP1(配置間隔)で並んで設けられる。例えば、画素Pのサイズ(又はピッチ)が小さくなるほど、比較回路30のピッチP1は小さくなる。
【0064】
各比較回路30には、図6に示すように、図5を用いて上述した差動対35、カレントミラー36、電流源IS2等が設けられる。差動対35のトランジスタT11及びトランジスタT12は、それぞれ、NMOSトランジスタである。また、カレントミラー36のトランジスタT21及びトランジスタT22は、それぞれ、PMOSトランジスタである。なお、図6に示す例では、電流源IS2は、例えば、NMOSトランジスタを用いて構成される。
【0065】
撮像装置1は、図7に示すように、半導体層110と、配線層120とを有する。半導体層110は、例えば、撮像装置1を構成する基板、例えば、上述した第2基板102である。半導体層110及び配線層120には、比較回路30を含むAD変換回路50等が設けられる。
【0066】
半導体層110は、例えば、半導体基板、例えばSi(シリコン)基板により構成される。なお、半導体層110は、SOI(Silicon On Insulator)基板、SiGe(シリコンゲルマニウム)基板、他の化合物半導体材料等を用いて構成されてもよい。
【0067】
半導体層110は、図7に示すように、対向する第1面11S1及び第2面11S2を有する。第2面11S2は、第1面11S1とは反対側の面である。半導体層110の第1面11S1は、トランジスタ等の素子が形成される素子形成面である。
【0068】
半導体層110の第1面11S1には、ゲート電極、ゲート絶縁膜(不図示)等が設けられる。半導体層110の第1面11S1側には、トランジスタT11、トランジスタT12、トランジスタT21、トランジスタT22等が設けられる。図7では、トランジスタT11のゲート電極61及びサイドウォール75を図示している。トランジスタのゲート電極61は、ゲート絶縁膜(不図示)を介して、半導体層110の第1面11S1側に設けられる。
【0069】
また、半導体層110には、トレンチ70が設けられる。トレンチ70は、分離部(溝部)であり、例えば絶縁材料を用いて構成される。トレンチ70は、STI(Shallow Trench Isolation)構造を有し、半導体層110の第1面11S1と第2面11S2との間に設けられている。トレンチ70内には、一例として、酸化膜(例えばシリコン酸化膜)、窒化膜(例えばシリコン窒化膜)等の絶縁膜(絶縁体)が埋め込まれる。
【0070】
撮像装置1には、容量素子60aが設けられる。本実施の形態に係る容量素子60aは、抵抗素子からなる電極を用いて構成される。容量素子60aは、例えば、抵抗素子(抵抗体)を上部電極として用いるMIM(Metal-Insulator-Metal)キャパシタである。なお、容量素子60bは、容量素子60aと同様の構成を有し得る。
【0071】
図7に示す例では、容量素子60aは、トランジスタT11に積層される。容量素子60aは、上部電極である抵抗素子63と、絶縁膜62とを有する。また、容量素子60aは、トランジスタT11のゲート電極61を、下部電極として有する。トランジスタT11のゲート電極61は、容量素子60aの電極を兼ねている。
【0072】
絶縁膜62は、下部電極であるゲート電極61に積層して設けられる。絶縁膜62は、抵抗素子63とゲート電極61との間に位置する。絶縁膜62は、例えば、酸化シリコン(SiO)、窒化シリコン(SiN)等の絶縁材料により構成される。
【0073】
絶縁膜62は、絶縁性を有する他の誘電体材料を用いて形成されてもよい。絶縁膜62は、例えば、酸化シリコンの誘電率よりも高い誘電率を有する高誘電率材料(例えばハフニウム系絶縁膜)により構成され得る。
【0074】
絶縁膜62は、希土類元素を含む誘電膜により構成されてもよい。絶縁膜62は、例えば、ニオブ(Nb)、タンタル(Ta)、チタン(Ti)、ジルコニウム(Zr)、ハフニウム(Hf)、ランタノイド(La)元素等の少なくとも1つを含むように形成されてもよい。
【0075】
抵抗素子63は、例えば、薄膜抵抗素子であり、金属材料により構成される。抵抗素子63は、一例として、チタン(Ti)を用いて形成される金属膜である。上部電極である抵抗素子63は、絶縁膜62を介して、下部電極であるゲート電極61に対向するように設けられる。抵抗素子63の幅は、例えば、ゲート電極61のX軸方向(又はY軸方向)の幅よりも小さくなっている(図6図7等参照)。
【0076】
抵抗素子63は、抵抗体(抵抗部材)であり、例えば、200ohm/Sq以上のシート抵抗を有する。抵抗素子63は、200ohm/Sq以上からなる金属膜から構成されてもよい。なお、抵抗素子63のシート抵抗値は、例えば、容量素子60aの特性に応じて適宜設定され得る。
【0077】
抵抗素子63は、例えば、チタン(Ti)、酸化チタン(TiO)、タンタル(Ta)、窒化タンタル(TaN)、タングステン(W)、マンガン(Mn)、ルテニウム(Ru)、モリブデン(Mo)、コバルト(Co)、ニッケル(Ni)、アルミニウム(Al)元素等の少なくとも1つを含んで構成され得る。
【0078】
また、ゲート電極61は、一例として、ポリシリコン(Poly-Si)により構成される。ゲート電極61は、希土類元素を含む金属膜により構成されてもよい。ゲート電極61は、例えば、チタン、ニッケル、ジルコニウム、タンタル、タングステン、アルミニウム、ハフニウム、ランタノイド元素等の少なくとも1つを含む金属膜であってもよい。
【0079】
本実施の形態に係る撮像装置1では、上述のように、容量素子60aが設けられる。容量素子60aは、抵抗素子からなる電極を用いて構成されるMIM容量である。このため、容量素子60aにおいてリーク電流が生じることを抑制することができ、高性能な容量素子を実現することが可能となる。
【0080】
容量素子60aは、トランジスタT11に積層して設けられる。また、容量素子60bは、容量素子60aと同様の構成を有し、トランジスタT12に積層して設けられ得る(図6参照)。このため、比較回路30のレイアウト面積を削減することができる。撮像装置1のチップ面積を低減することが可能となる。
【0081】
比較回路30に配置するトランジスタT11,T12の面積(ゲート長、ゲート幅等)を大きくすることができ、画素の信号に混入するランダムノイズを抑制することが可能となる。また、例えば、トランジスタT11,T12のFinger数を多くすることもでき、画素信号の品質が低下することを抑制することができる。画像の画質低下を抑制することが可能となる。比較回路30の面積の増大を回避しつつ、ランダムノイズの悪化を防ぐことが可能となる。
【0082】
また、容量素子60aがトランジスタT11に積層して設けられることで、容量素子60aとトランジスタT11の間に付加される寄生容量を非常に小さくすることができ、画素信号に混入するノイズ成分を低減することが可能となる。配線等によって大きな寄生容量が付加されることを防ぎ、信号対ランダム雑音比の悪化を低減することが可能となる。
【0083】
さらに、本実施の形態では、図6及び図7等に示す例のように、抵抗素子63の幅は、下部電極であるゲート電極61のX軸方向(又はY軸方向)の幅よりも小さくなっている。上部電極の縁(縁部)が下部電極の縁より内側に位置するように、容量素子60a(及び容量素子60b)が設けられる。このため、上部電極と下部電極との位置ずれに起因する容量値のバラつきを低減することができる。信号対ランダム雑音比の製造バラつきを低減することが可能となる。。
【0084】
また、撮像装置1は、図7に示す例のように、シールド部80を有していてもよい。シールド部80は、例えば、容量素子60a(又は容量素子60b)と同様の構成を有し得る。シールド部80は、一例として、抵抗素子83と絶縁膜82と電極81を有する。シールド部80の抵抗素子83は、容量素子60aの抵抗素子63に対応し、抵抗素子63と同じ材料により構成され得る。
【0085】
シールド部80の絶縁膜82は、容量素子60aの絶縁膜62に対応し、絶縁膜62と同じ材料により構成され得る。また、シールド部80の電極81は、容量素子60aの下部電極であるゲート電極61と同じ材料により構成され得る。なお、シールド部80は、シールド層(シールド部材)ともいえる。
【0086】
撮像装置1では、シールド部80の少なくとも一部は、隣り合う複数の比較回路30の境界に設けられ得る。図7に示す例では、シールド部80は、隣り合うトランジスタT11の間に位置する。
【0087】
撮像装置1では、シールド部80が設けられることで、隣り合う複数の比較回路30間のクロストークを抑制することができる。例えば、隣り合うトランジスタT11間のノイズ干渉を抑制することができ、画像の画質劣化を防ぐことが可能となる。
【0088】
撮像装置1は、シールド部80に電気的に接続される電極84を有し得る。電極84は、例えば、所定の電圧を供給可能な配線、端子等と電気的に接続される。シールド部80の抵抗素子83は、電極84を介して、例えばGND線に電気的に接続される。シールド部80の遮蔽効果によって、回路間のクロストークを抑制し、画質の劣化を抑制することが可能となる。
【0089】
なお、シールド部80の抵抗素子83には、一定の電圧(電位)として、電極84を介して、接地電圧が与えられてもよく、電源電圧が与えられてもよい。また、シールド部80は、図8A又は図8Bに示す構成を有していてもよい。
【0090】
例えば、図8Aに示す例のように、シールド部80は、電極81を有していなくてもよい。また、例えば、図8Bに示す例のように、シールド部80は、電極81と、電極81に電気的に接続される電極84とによって構成されてもよい。
【0091】
図7等に示す素子構造は、他の容量素子にも適用可能であり、例えば、比較回路30の容量素子60cに適用可能である。図9は、実施の形態に係る撮像装置の断面構成の一例を説明するための図である。容量素子60cは、容量素子60a(又は容量素子60b)と同様の構成を有し得る。
【0092】
容量素子60cは、例えば、抵抗素子63と絶縁膜62とゲート電極61を有する。図9に示す例のように、容量素子60cは、トランジスタに積層して設けられてもよい。容量素子60cは、例えば、絶縁膜(例えば酸化膜)を用いて形成される容量(CI容量)に積層されてもよい。また、絶縁膜62に高誘電率材料(High―k材料)を用いてもよい。この場合、容量素子60c容量値を十分に大きくすることが可能となる。
【0093】
上部電極である抵抗素子63の幅は、例えば、下部電極であるゲート電極61の幅よりも小さい。また、例えば、図10に示す例のように、上部電極である抵抗素子63の幅は、絶縁膜62の幅よりも小さくてもよい。このように構成されることで、電極及び絶縁膜(誘電膜)の位置ずれに起因する容量値のバラつきを低減することが可能となる。
【0094】
また、図9又は図10に示す例のように、容量素子60aの抵抗素子63、シールド部80の抵抗素子83、容量素子60cの抵抗素子63等は、他の回路(例えば、上述したDC供給回路92、ランプ信号発生器113等)に配置される抵抗素子R1(図9図10参照)と同じ材料を用いて構成され得る。この場合、容量素子の上部電極と、半導体層110に混載される抵抗素子とを同時に形成することが可能となり、工程数を削減することが可能となる。撮像装置1の製造コストの増大を抑制することが可能となる。
【0095】
[作用・効果]
本実施の形態に係る半導体装置は、半導体層(半導体層110)と、容量素子(例えば容量素子60a)とを備える。容量素子は、半導体層の第1面側に設けられる第1電極(例えばゲート電極61)と、第1電極に積層される絶縁膜(絶縁膜62)と、絶縁膜に積層される第1抵抗素子(抵抗素子63)とを有する。
【0096】
本実施の形態に係る半導体装置では、抵抗素子63からなる電極を有する容量素子60aが設けられる。このため、容量素子におけるリーク電流を抑制することができる。良好な性能を有する半導体装置を実現することが可能となる。
【0097】
次に、本開示の変形例について説明する。以下では、上記実施の形態と同様の構成要素については同一の符号を付し、適宜説明を省略する。
【0098】
<2.変形例>
(2-1.変形例1)
図11A及び図11Bは、本開示の変形例1に係る撮像装置の構成例を説明するための図である。上述した実施の形態では、容量素子がトランジスタに積層される例について説明したが、容量素子はトランジスタに積層されていなくてもよい。図11Aに示す例のように、トランジスタ(MOSFET)とは別に、容量素子(図11Aでは容量素子60d)を設けてもよい。
【0099】
容量素子60dは、例えば、抵抗素子63と絶縁膜62と電極65を有する。容量素子60dの下部電極である電極65は、例えば、トランジスタのゲート電極61と同じ材料により構成され得る。例えば、上述した容量素子60a又は容量素子60bとして、図11A又は図11Bに示す容量素子60dを配置してもよい。
【0100】
なお、図11Bに示す例のように、絶縁膜62は、容量素子またはトランジスタ毎に加工(分離)されていなくてもよい。絶縁膜62は、複数の素子に共通に設けられてもよい。図11Bに示す例では、絶縁膜62は、トランジスタのゲート電極61と容量素子60dの電極65とを覆うように形成される。この場合、絶縁膜62のエッジ不良が生じることを回避することができ、絶縁膜62の信頼性を向上させることが可能となる。
【0101】
(2-2.変形例2)
上述した実施の形態では、撮像装置1の構成例について説明したが、あくまでも一例であって、撮像装置1の構成は、上述した例に限られない。撮像装置1に配置するトランジスタは、プレーナ型のトランジスタであってもよいし、3Dトランジスタ、例えばFin型トランジスタ(Fin FET)であってもよい。
【0102】
図12は、変形例2に係る撮像装置の構成例を説明するための図である。例えば、比較回路30のトランジスタ(トランジスタT11,T12等)は、図12に模式的に示す例のように、Fin型トランジスタであってもよい。本変形例の場合も、上記した実施の形態と同様の効果を得ることができる。
【0103】
(2-3.変形例3)
本開示に係る容量素子は、容量素子を用いる様々な回路、装置に適用することができる。例えば、本開示に係る容量素子は、バイパスコンデンサ、ホールドコンデンサ、フィルタ回路、平滑用コンデンサ、積分回路、容量素子型のD/Aコンバータ回路など様々な用途に使用可能である。本開示に係る容量素子は、様々な電子機器に適用可能である。
【0104】
<3.使用例>
図13は、上記した光検出装置の使用例を表す図である。上述した光検出装置(撮像装置)は、例えば、以下のように、可視光や、赤外光、紫外光、X線等の光をセンシングする様々なケースに使用することができる。
・ディジタルカメラや、カメラ機能付きの携帯機器等の、鑑賞の用に供される画像を撮影する装置
・自動停止等の安全運転や、運転者の状態の認識等のために、自動車の前方や後方、周囲、車内等を撮影する車載用センサ、走行車両や道路を監視する監視カメラ、車両間等の測距を行う測距センサ等の、交通の用に供される装置
・ユーザのジェスチャを撮影して、そのジェスチャに従った機器操作を行うために、テレビジョンや、冷蔵庫、エアーコンディショナ等の家電に供される装置
・内視鏡や、赤外光の受光による血管撮影を行う装置等の、医療やヘルスケアの用に供される装置
・防犯用途の監視カメラや、人物認証用途のカメラ等の、セキュリティの用に供される装置
・肌を撮影する肌測定器や、頭皮を撮影するマイクロスコープ等の、美容の用に供される装置
・スポーツ用途等向けのアクションカメラやウェアラブルカメラ等の、スポーツの用に供される装置
・畑や作物の状態を監視するためのカメラ等の、農業の用に供される装置
【0105】
以上、実施の形態、変形例および使用例を挙げて本開示を説明したが、本技術は上記実施の形態等に限定されるものではなく、種々の変形が可能である。例えば、上述した変形例は、上記実施の形態の変形例として説明したが、各変形例の構成を適宜組み合わせることができる。
【0106】
上記実施の形態等では、撮像装置を例示して説明するようにしたが、本開示の光検出装置は、例えば、入射する光を受光し、光を電荷に変換するものであればよい。出力される信号は、画像情報の信号でもよいし、測距情報の信号でもよい。光検出装置(撮像装置)は、イメージセンサ、測距センサ等に適用され得る。また、本開示に係る半導体装置(容量素子等)は、光検出装置だけでなく、様々な回路、装置に適用することができる。
【0107】
本開示に係る光検出装置は、TOF(Time Of Flight)方式の距離計測が可能な測距センサとしても適用され得る。光検出装置(撮像装置)は、イベントを検出可能なセンサ、例えば、イベント駆動型のセンサ(EVS(Event Vision Sensor)、EDS(Event Driven Sensor)、DVS(Dynamic Vision Sensor)等と呼ばれる)としても適用され得る。
【0108】
本開示の一実施形態の半導体装置は、半導体層と、容量素子とを備える。容量素子は、半導体層の第1面側に設けられる第1電極と、第1電極に積層される絶縁膜と、絶縁膜に積層される第1抵抗素子とを有する。このため、良好な性能を有する半導体装置を実現することが可能となる。
【0109】
本開示の一実施形態の光検出装置は、光を光電変換する光電変換素子と、容量素子とを備える。容量素子は、半導体層の第1面側に設けられる第1電極と、第1電極に積層される絶縁膜と、絶縁膜に積層される第1抵抗素子とを有する。このため、良好な性能を有する光検出装置を実現することが可能となる。
【0110】
なお、本明細書中に記載された効果はあくまで例示であってその記載に限定されるものではなく、他の効果があってもよい。また、本開示は以下のような構成をとることも可能である。
(1)
半導体層と、
前記半導体層の第1面側に設けられる第1電極と、前記第1電極に積層される絶縁膜と、前記絶縁膜に積層される第1抵抗素子とを有する容量素子と
を備える半導体装置。
(2)
前記半導体層の前記第1面側に設けられるゲート電極を有するトランジスタをさらに備え、
前記第1電極は、前記ゲート電極と同じ材料からなる
前記(1)に記載の半導体装置。
(3)
前記半導体層の前記第1面側に設けられるトランジスタをさらに備え、
前記容量素子は、前記トランジスタに積層されている
前記(1)または(2)に記載の半導体装置。
(4)
前記第1電極は、前記トランジスタのゲート電極である
前記(3)に記載の半導体装置。
(5)
前記第1抵抗素子の周りに設けられる第2抵抗素子を含むシールド部をさらに備える
前記(1)から(4)のいずれか1つに記載の半導体装置。
(6)
前記シールド部は、前記第2抵抗素子に電気的に接続される第2電極を有する
前記(5)に記載の半導体装置。
(7)
前記第1抵抗素子と前記第1電極との積層方向と直交する方向における前記第1抵抗素子の幅は、前記第1電極の幅よりも小さい
前記(1)から(6)のいずれか1つに記載の半導体装置。
(8)
前記第1抵抗素子と前記絶縁膜との積層方向と直交する方向における前記第1抵抗素子の幅は、前記絶縁膜の幅よりも小さい
前記(1)から(7)のいずれか1つに記載の半導体装置。
(9)
前記第1抵抗素子は、薄膜抵抗素子である
前記(1)から(8)のいずれか1つに記載の半導体装置。
(10)
前記第1抵抗素子のシート抵抗は、200ohm/sq以上である
前記(1)から(9)のいずれか1つに記載の半導体装置。
(11)
前記第1抵抗素子は、200ohm/sq以上からなる金属膜である
前記(1)から(10)のいずれか1つに記載の半導体装置。
(12)
前記第1抵抗素子は、前記第1電極に対向するように設けられている
前記(1)から(11)のいずれか1つに記載の半導体装置。
(13)
光を光電変換する光電変換素子と、
半導体層の第1面側に設けられる第1電極と、前記第1電極に積層される絶縁膜と、前記絶縁膜に積層される第1抵抗素子とを有する容量素子と
を備える光検出装置。
(14)
前記半導体層の前記第1面側に設けられるトランジスタをさらに備え、
前記容量素子は、前記トランジスタに積層されている
前記(13)に記載の光検出装置。
(15)
前記第1電極は、前記トランジスタのゲート電極である
前記(14)に記載の光検出装置。
(16)
前記容量素子を有し、前記光電変換素子で光電変換された電荷に基づく第1信号をデジタル信号に変換可能なAD変換回路をさらに備える
前記(13)から(15)のいずれか1つに記載の光検出装置。
(17)
前記AD変換回路は、前記容量素子を介して入力される前記第1信号と参照信号とを比較可能な比較回路を有する
前記(16)に記載の光検出装置。
(18)
前記比較回路は、前記半導体層の前記第1面側に設けられ、前記容量素子を介して前記第1信号が入力されるトランジスタを有し、
前記容量素子は、前記トランジスタに積層されている
前記(17)に記載の光検出装置。
(19)
前記第1抵抗素子は、200ohm/sq以上からなる金属膜である
前記(13)から(18)のいずれか1つに記載の光検出装置。
(20)
前記半導体層は、第1面と、前記第1面とは反対側の第2面とを有し、
前記半導体層は、前記第1面と前記第2面との間に設けられるトレンチを有する
前記(13)から(19)のいずれか1つに記載の光検出装置。
【符号の説明】
【0111】
1…撮像装置、12…光電変換部、30…比較回路、50…AD変換回路、60a,60b,60c…容量素子、61…ゲート電極、62…絶縁膜、63…抵抗素子、70…トレンチ、80…シールド部、110…半導体層。
図1
図2
図3A
図3B
図4
図5
図6
図7
図8A
図8B
図9
図10
図11A
図11B
図12
図13