(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024137422
(43)【公開日】2024-10-07
(54)【発明の名称】半導体装置及び半導体記憶装置
(51)【国際特許分類】
H10B 12/00 20230101AFI20240927BHJP
H01L 29/786 20060101ALI20240927BHJP
H01L 21/316 20060101ALI20240927BHJP
【FI】
H10B12/00 671A
H10B12/00 621B
H01L29/78 618B
H01L29/78 626A
H01L29/78 617U
H01L29/78 617T
H01L21/316 X
【審査請求】未請求
【請求項の数】20
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023048944
(22)【出願日】2023-03-24
(71)【出願人】
【識別番号】318010018
【氏名又は名称】キオクシア株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100119035
【弁理士】
【氏名又は名称】池上 徹真
(74)【代理人】
【識別番号】100141036
【弁理士】
【氏名又は名称】須藤 章
(74)【代理人】
【識別番号】100178984
【弁理士】
【氏名又は名称】高下 雅弘
(72)【発明者】
【氏名】戸田 将也
(72)【発明者】
【氏名】松尾 和展
(72)【発明者】
【氏名】高橋 恒太
(72)【発明者】
【氏名】虎谷 健一郎
(72)【発明者】
【氏名】藤井 章輔
(72)【発明者】
【氏名】株柳 翔一
(72)【発明者】
【氏名】田中 正幸
(72)【発明者】
【氏名】森山 和歌子
【テーマコード(参考)】
5F058
5F083
5F110
【Fターム(参考)】
5F058BA01
5F058BB01
5F058BC03
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5F110NN03
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5F110NN23
5F110NN24
5F110NN72
(57)【要約】
【課題】トランジスタ特性の優れた半導体装置を提供する。
【解決手段】実施形態の半導体装置は、第1の電極と、第2の電極と、第1の電極と第2の電極との間に設けられ、第1の領域と、第2の領域と、第1の領域と第2の領域との間に位置する第3の領域と、を含む酸化物半導体層と、第3の領域に対向するゲート電極と、第1の領域に対向する第1の絶縁層と、第2の領域に対向する第2の絶縁層と、ゲート電極と酸化物半導体層との間、第1の絶縁層と酸化物半導体層との間、及び、第2の絶縁層と酸化物半導体層との間に設けられ、Al、Hf、Zr、La、Y、Zn、In、Sn、及びGaから成る群から選ばれる少なくとも一つの金属元素と、酸素(O)とを含み、酸化物半導体層と異なる化学組成を有するゲート絶縁層と、を備える。
【選択図】
図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
第1の電極と、
第2の電極と、
前記第1の電極と前記第2の電極との間に設けられ、第1の領域と、第2の領域と、前記第1の領域と前記第2の領域との間に位置する第3の領域と、を含む酸化物半導体層と、
前記第3の領域に対向するゲート電極と、
前記第1の領域に対向する第1の絶縁層と、
前記第2の領域に対向する第2の絶縁層と、
前記ゲート電極と前記酸化物半導体層との間、前記第1の絶縁層と前記酸化物半導体層との間、及び、前記第2の絶縁層と前記酸化物半導体層との間に設けられ、アルミニウム(Al)、ハフニウム(Hf)、ジルコニウム(Zr)、ランタン(La)、イットリウム(Y)、亜鉛(Zn)、インジウム(In)、スズ(Sn)、及びガリウム(Ga)から成る群から選ばれる少なくとも一つの金属元素と、酸素(O)とを含み、前記酸化物半導体層と異なる化学組成を有するゲート絶縁層と、
を備える、半導体装置。
【請求項2】
前記第1の領域及び前記第2の領域の少なくともいずれか一方は、前記第3の領域の電気抵抗よりも電気抵抗の高い高抵抗部分を含む、請求項1記載の半導体装置。
【請求項3】
前記第1の領域が前記高抵抗部分と前記第1の電極との間に設けられた低抵抗部分を含むか、又は、前記第2の領域が前記高抵抗部分と前記第2の電極との間に設けられた低抵抗部分を含み、
前記低抵抗部分の電気抵抗は、前記第3の領域の電気抵抗よりも低い、請求項2記載の半導体装置。
【請求項4】
前記ゲート絶縁層は、シリコン(Si)を含む、請求項1記載の半導体装置。
【請求項5】
前記ゲート絶縁層は、シリコン(Si)及び窒素(N)を含む、請求項1記載の半導体装置。
【請求項6】
前記第1の絶縁層と前記酸化物半導体層との間に設けられた前記ゲート絶縁層の中の窒素の原子濃度は前記ゲート電極と前記酸化物半導体層との間に設けられた前記ゲート絶縁層の中の窒素の原子濃度よりも低い、又は、
前記第2の絶縁層と前記酸化物半導体層との間に設けられた前記ゲート絶縁層の中の窒素の原子濃度は前記ゲート電極と前記酸化物半導体層との間に設けられた前記ゲート絶縁層の中の前記窒素の原子濃度よりも低い、請求項5記載の半導体装置。
【請求項7】
前記第1の絶縁層と前記酸化物半導体層との間に設けられた前記ゲート絶縁層の中の前記少なくとも一つの金属元素の原子濃度の窒素の原子濃度に対する比は、前記ゲート電極と前記酸化物半導体層との間に設けられた前記ゲート絶縁層の中の前記少なくとも一つの金属元素の原子濃度の窒素の原子濃度に対する比よりも高い、又は、
前記第2の絶縁層と前記酸化物半導体層との間に設けられた前記ゲート絶縁層の中の前記少なくとも一つの金属元素の原子濃度の窒素の原子濃度に対する比は、前記ゲート電極と前記酸化物半導体層との間に設けられた前記ゲート絶縁層の中の前記少なくとも一つの金属元素の原子濃度の窒素の原子濃度に対する比よりも高い、請求項5記載の半導体装置。
【請求項8】
前記ゲート絶縁層は、シリコン(Si)及び酸素(O)を含む第1の部分と、シリコン(Si)及び窒素(N)を含む第2の部分と、前記第1の部分と前記第2の部分との間に設けられ前記少なくとも一つの金属元素と酸素(O)を含む第3の部分を含み、
前記第1の部分は前記酸化物半導体層と前記第2の部分との間に設けられる、請求項1記載の半導体装置。
【請求項9】
前記第3の部分の前記少なくとも一つの金属元素の原子濃度は、前記第1の部分及び前記第2の部分の前記少なくとも一つの金属元素の原子濃度よりも高く、
前記第2の部分の窒素(N)の原子濃度は、前記第1の部分及び前記第3の部分の窒素(N)の原子濃度よりも高い、請求項8記載の半導体装置。
【請求項10】
前記第3の部分の前記酸化物半導体層から前記ゲート電極に向かう方向の厚さは3nm以下である、請求項8記載の半導体装置。
【請求項11】
前記ゲート絶縁層は、窒素(N)、炭素(C)、水素(H)、及び塩素(Cl)からなる群から選ばれる少なくとの一つの元素を含む、請求項1記載の半導体装置。
【請求項12】
前記ゲート電極は前記第3の領域を囲み、前記第1の絶縁層は前記第1の領域を囲み、前記第2の絶縁層は前記第2の領域を囲む、請求項1記載の半導体装置。
【請求項13】
請求項1記載の半導体装置と、
前記第1の電極又は前記第2の電極に電気的に接続されたキャパシタと、
を備える半導体記憶装置。
【請求項14】
第1の電極と、
第2の電極と、
前記第1の電極と前記第2の電極との間に設けられ、前記第1の電極及び前記第2の電極に電気的に接続された酸化物半導体層と、
前記酸化物半導体層に囲まれたゲート電極と、
前記ゲート電極と前記酸化物半導体層との間に設けられ、アルミニウム(Al)、ハフニウム(Hf)、ジルコニウム(Zr)、ランタン(La)、イットリウム(Y)、亜鉛(Zn)、インジウム(In)、スズ(Sn)、及びガリウム(Ga)から成る群から選ばれる少なくとも一つの金属元素と、酸素(O)とを含み、前記酸化物半導体層と異なる化学組成のゲート絶縁層と、
を備える、半導体装置。
【請求項15】
前記ゲート絶縁層は、シリコン(Si)を含む、請求項14記載の半導体装置。
【請求項16】
前記ゲート絶縁層は、シリコン(Si)及び窒素(N)を含む、請求項14記載の半導体装置。
【請求項17】
前記ゲート絶縁層は、シリコン(Si)及び酸素(O)を含む第1の部分と、シリコン(Si)及び窒素(N)を含む第2の部分と、前記第1の部分と前記第2の部分との間に設けられ前記少なくとも一つの金属元素と酸素(O)を含む第3の部分を含み、
前記第1の部分は前記酸化物半導体層と前記第2の部分との間に設けられる、請求項14記載の半導体装置。
【請求項18】
前記第3の部分の前記少なくとも一つの金属元素の原子濃度は、前記第1の部分及び前記第2の部分の前記少なくとも一つの金属元素の原子濃度よりも高く、
前記第2の部分の窒素(N)の原子濃度は、前記第1の部分及び前記第2の部分の窒素(N)の原子濃度よりも高い、請求項17記載の半導体装置。
【請求項19】
前記第3の部分の前記酸化物半導体層から前記ゲート電極に向かう方向の厚さは3nm以下である請求項17記載の半導体装置。
【請求項20】
請求項14記載の半導体装置と、
前記第1の電極又は前記第2の電極に電気的に接続されたキャパシタと、
を備える半導体記憶装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明の実施形態は、半導体装置及び半導体記憶装置に関する。
【背景技術】
【0002】
酸化物半導体層にチャネルを形成する酸化物半導体トランジスタは、オフ動作時のチャネルリーク電流が極めて小さいという優れた特性を備える。このため、例えば、酸化物半導体トランジスタを、Dynamic Random Access Memory(DRAM)のメモリセルのスイッチングトランジスタに適用することが可能である。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】米国特許出願公開第2021/0408293明細書
【特許文献2】特開2022-147872号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
本発明が解決しようとする課題は、トランジスタ特性の優れた半導体装置を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0005】
実施形態の半導体装置は、第1の電極と、第2の電極と、前記第1の電極と前記第2の電極との間に設けられ、第1の領域と、第2の領域と、前記第1の領域と前記第2の領域との間に位置する第3の領域と、を含む酸化物半導体層と、前記第3の領域に対向するゲート電極と、前記第1の領域に対向する第1の絶縁層と、前記第2の領域に対向する第2の絶縁層と、前記ゲート電極と前記酸化物半導体層との間、前記第1の絶縁層と前記酸化物半導体層との間、及び、前記第2の絶縁層と前記酸化物半導体層との間に設けられ、アルミニウム(Al)、ハフニウム(Hf)、ジルコニウム(Zr)、ランタン(La)、イットリウム(Y)、亜鉛(Zn)、インジウム(In)、スズ(Sn)、及びガリウム(Ga)から成る群から選ばれる少なくとも一つの金属元素と、酸素(O)とを含み、前記酸化物半導体層と異なる化学組成を有するゲート絶縁層と、を備える。
【図面の簡単な説明】
【0006】
【
図3】第1の実施形態の半導体装置の製造方法の一例を示す模式断面図。
【
図4】第1の実施形態の半導体装置の製造方法の一例を示す模式断面図。
【
図5】第1の実施形態の半導体装置の製造方法の一例を示す模式断面図。
【
図6】第1の実施形態の半導体装置の製造方法の一例を示す模式断面図。
【
図7】第1の実施形態の半導体装置の製造方法の一例を示す模式断面図。
【
図8】第1の実施形態の半導体装置の作用及び効果の説明図。
【
図9】第1の実施形態の第1の変形例の半導体装置の模式断面図。
【
図10】第1の実施形態の第2の変形例の半導体装置の模式断面図。
【
図11】第2の実施形態の半導体記憶装置の等価回路図。
【
図12】第2の実施形態の半導体記憶装置の模式断面図。
【
図13】第3の実施形態の半導体装置の模式断面図。
【
図14】第3の実施形態の半導体装置の模式断面図。
【
図15】第3の実施形態の半導体装置の模式断面図。
【
図16】第4の実施形態の半導体記憶装置の模式断面図。
【発明を実施するための形態】
【0007】
以下、図面を参照しつつ本発明の実施形態を説明する。なお、以下の説明では、同一又は類似の部材などには同一の符号を付し、一度説明した部材などについては適宜その説明を省略する場合がある。
【0008】
また、本明細書中、便宜上「上」、又は、「下」という用語を用いる場合がある。「上」、又は、「下」とはあくまで図面内での相対的位置関係を示す用語であり、重力に対する位置関係を規定する用語ではない。
【0009】
本明細書中の半導体装置及び半導体記憶装置を構成する部材の化学組成の定性分析及び定量分析は、例えば、二次イオン質量分析法(Secondary Ion Mass Spectrometry:SIMS)、エネルギー分散型X線分光法(Energy Dispersive X-ray Spectroscopy:EDX)、ラザフォード後方散乱分析法(Rutherford Back-Scattering Spectroscopy:RBS)により行うことが可能である。また、半導体装置及び半導体記憶装置を構成する部材の材料の同定は、例えば、X線光電子分光法(X-ray Photoelectron Spectroscopy:XPS)により行うことが可能である。また、半導体装置及び半導体記憶装置を構成する部材の厚さ、部材間の距離、結晶粒径等の測定には、例えば、透過型電子顕微鏡(Transmission Electron Microscope:TEM)を用いることが可能である。また、本明細書中の半導体装置及び半導体記憶装置を構成する部材の電気抵抗の測定は、例えば、走査型拡がり抵抗顕微鏡法(Scannning Spreading Resistance Microscopy:SSRM)により行うことが可能である。
【0010】
(第1の実施形態)
第1の実施形態の半導体装置は、第1の電極と、第2の電極と、第1の電極と第2の電極との間に設けられ、第1の領域と、第2の領域と、第1の領域と第2の領域との間に位置する第3の領域と、を含む酸化物半導体層と、第3の領域に対向するゲート電極と、第1の領域に対向する第1の絶縁層と、第2の領域に対向する第2の絶縁層と、ゲート電極と酸化物半導体層との間、第1の絶縁層と酸化物半導体層との間、及び、第2の絶縁層と酸化物半導体層との間に設けられ、アルミニウム(Al)、ハフニウム(Hf)、ジルコニウム(Zr)、ランタン(La)、イットリウム(Y)、亜鉛(Zn)、インジウム(In)、スズ(Sn)、及びガリウム(Ga)から成る群から選ばれる少なくとも一つの金属元素と、酸素(O)とを含み、酸化物半導体層と異なる化学組成を有するゲート絶縁層と、を備える。
【0011】
図1及び
図2は、第1の実施形態の半導体装置の模式断面図である。
図2は、
図1のAA’断面図である。
図1において、上下方向を第1の方向と称する。
図1において、左右方向を第2の方向と称する。第2の方向は、第1の方向に垂直である。
【0012】
第1の実施形態の半導体装置は、トランジスタ100を備える。トランジスタ100は、酸化物半導体にチャネルが形成される酸化物半導体トランジスタである。トランジスタ100は、ゲート電極が、チャネルが形成される酸化物半導体層を囲んで設けられる。トランジスタ100は、いわゆるSurrounding Gate Transistor(SGT)である。トランジスタ100は、いわゆる縦型トランジスタである。
【0013】
トランジスタ100は、第1の電極12、第2の電極14、酸化物半導体層16、ゲート電極18、ゲート絶縁層20、第1の絶縁層22、及び第2の絶縁層24を備える。酸化物半導体層16は、第1の領域16a、第2の領域16b、及び第3の領域16cを含む。ゲート絶縁層20は、第1の部分20a、第2の部分20b、及び第3の部分20cを含む。
【0014】
第1の電極12は、トランジスタ100のソース電極又はドレイン電極として機能する。
【0015】
第1の電極12は、導電体である。第1の電極12は、例えば、酸化物導電体又は金属を含む。第1の電極12は、例えば、インジウム(In)、スズ(Sn)、及び酸素(O)を含む酸化物導電体である。第1の電極12は、例えば、酸化インジウムスズである。第1の電極12は、例えば、タングステン(W)、モリブデン(Mo)、銅(Cu)、アルミニウム(Al)、チタン(Ti)、ニッケル(Ni)、プラチナ(Pt)、又はタンタル(Ta)を含む金属である。第1の電極12は、例えば、窒化チタン又は硫化ニッケルである。
【0016】
第1の電極12は、例えば、複数の導電体が積層された積層構造を有していても構わない。
【0017】
第2の電極14は、トランジスタ100のソース電極又はドレイン電極として機能する。第1の電極12から第2の電極14に向かう方向は第1の方向である。
【0018】
第2の電極14は、導電体である。第2の電極14は、例えば、酸化物導電体又は金属を含む。第2の電極14は、例えば、インジウム(In)、スズ(Sn)、及び酸素(O)を含む酸化物導電体である。第2の電極14は、例えば、酸化インジウムスズである。第2の電極14は、例えば、タングステン(W)、モリブデン(Mo)、銅(Cu)、アルミニウム(Al)、チタン(Ti)、ニッケル(Ni)、プラチナ(Pt)、又はタンタル(Ta)を含む金属である。第2の電極14は、例えば、窒化チタン又は硫化ニッケルである。
【0019】
第2の電極14は、例えば、複数の導電体が積層された積層構造を有していても構わない。
【0020】
第1の電極12と第2の電極14とは、例えば、同一の材料で形成される。第1の電極12及び第2の電極14は、例えば、インジウム(In)、スズ(Sn)、及び酸素(O)を含む酸化物導電体である。第1の電極12及び第2の電極14は、例えば、酸化インジウムスズである。
【0021】
酸化物半導体層16は、第1の電極12と第2の電極14との間に設けられる。酸化物半導体層16は、第1の電極12に接する。酸化物半導体層16は、第2の電極14に接する。酸化物半導体層16は、第1の電極12及び第2の電極14に電気的に接続される。
【0022】
酸化物半導体層16の第1の方向の長さは、例えば、80nm以上200nm以下である。酸化物半導体層16の第2の方向の幅は、例えば、20nm以上50nm以下である。
【0023】
酸化物半導体層16は、酸化物半導体である。酸化物半導体層16は、例えば、アモルファスである。
【0024】
酸化物半導体層16は、例えば、インジウム(In)、ガリウム(Ga)、シリコン(Si)、アルミニウム(Al)、及びスズ(Sn)からなる群から選ばれる少なくとも一つの元素と、亜鉛(Zn)と、酸素(O)を含む。酸化物半導体層16は、例えば、インジウム(In)、ガリウム(Ga)、及び亜鉛(Zn)を含む。酸化物半導体層16は、例えば、インジウム(In)、アルミニウム(Al)、及び亜鉛(Zn)を含む。
【0025】
酸化物半導体層16は、例えば、チタン(Ti)、亜鉛(Zn)、及びタングステン(W)からなる群から選ばれる少なくとも一つの元素を含む。酸化物半導体層16は、例えば、酸化チタン、酸化亜鉛、又は酸化タングステンを含む。
【0026】
酸化物半導体層16は、第1の電極12の化学組成、及び、第2の電極14の化学組成と異なる化学組成を有する。
【0027】
酸化物半導体層16は、例えば、酸素空孔(Oxgen Vacancy)を含む。酸化物半導体層16の中の酸素空孔は、酸化物半導体層16に電子を供給するドナーとして機能する。酸化物半導体層16の酸素空孔密度が高いほど、酸化物半導体層16の電気抵抗は低くなる。
【0028】
酸化物半導体層16は、第1の領域16a、第2の領域16b、及び第3の領域16cを含む。第3の領域16cは、第1の領域16aと第2の領域16bとの間に設けられる。
【0029】
第1の領域16aは、第3の領域16cと第1の電極12との間に設けられる。第1の領域16aは、例えば、第1の電極12に接する。
【0030】
第2の領域16bは、第3の領域16cと第2の電極14との間に設けられる。第2の領域16bは、例えば、第2の電極14に接する。
【0031】
第1の領域16a及び第2の領域16bは、トランジスタ100のソース領域又はドレイン領域として機能する。第3の領域16cには、トランジスタ100のオン動作時に、電流経路となるチャネルが形成される。
【0032】
第1の領域16a及び第2の領域16bの少なくともいずれか一方は、第3の領域16cの電気抵抗よりも電気抵抗の高い高抵抗部分を含む。例えば、第1の領域16aは、第3の領域16cの電気抵抗よりも電気抵抗の高い高抵抗部分を含む。また、例えば、第2の領域16bは、第3の領域16cの電気抵抗よりも電気抵抗の高い高抵抗部分を含む。
【0033】
第1の領域16a、第2の領域16b、又は第3の領域16cの電気抵抗とは、第1の電極12、第2の電極14、及びゲート電極18に電圧が印加されていない状態での電気抵抗を意味する。
【0034】
例えば、第1の領域16aの任意の位置での電気抵抗は、第3の領域16cの任意の位置での電気抵抗よりも高い。また、例えば、第2の領域16bの任意の位置での電気抵抗は、第3の領域16cの任意の位置での電気抵抗よりも高い。
【0035】
例えば、第1の領域16aの全体が高抵抗部分の一例である。また、例えば、第2の領域16bの全体が高抵抗部分の一例である。
【0036】
例えば、第1の領域16aの中のゲート絶縁層20に接する部分が高抵抗部分である。例えば、第1の領域16aの中のゲート絶縁層20に接する部分の電気抵抗は、第3の領域16cのゲート絶縁層20に接する部分の電気抵抗より高い。
【0037】
例えば、第2の領域16bの中のゲート絶縁層20に接する部分が高抵抗部分である。例えば、第2の領域16bの中のゲート絶縁層20に接する部分の電気抵抗は、第3の領域16cのゲート絶縁層20に接する部分の電気抵抗より高い。
【0038】
高抵抗部分の電気抵抗は、例えば、第3の領域16cの電気抵抗の1.1倍以上2倍以下である。
【0039】
第1の領域16a及び第2の領域16bの少なくともいずれか一方は、第3の領域16cの酸素空孔密度よりも酸素空孔密度の低い低酸素空孔密度部分を含む。例えば、第1の領域16aは、第3の領域16cの酸素空孔密度よりも酸素空孔密度の低い低酸素空孔密度部分を含む。また、例えば、第2の領域16bは、第3の領域16cの酸素空孔密度よりも酸素空孔密度の低い低酸素空孔密度部分を含む。
【0040】
酸化物半導体の中の酸素空孔はドナーとして機能するため、酸素空孔密度が低くなると酸化物半導体の電気抵抗が高くなる。第1の領域16a及び第2の領域16bの低酸素空孔密度部分は、例えば、第1の領域16a及び第2の領域16bの高抵抗部分に対応する。
【0041】
例えば、第1の領域16aの任意の位置での酸素空孔密度は、第3の領域16cの任意の位置での酸素空孔密度よりも低い。また、例えば、第2の領域16bの任意の位置での酸素空孔密度は、第3の領域16cの任意の位置での酸素空孔密度よりも低い。
【0042】
例えば、第1の領域16aの中のゲート絶縁層20に接する部分が低酸素空孔密度部分である。例えば、第1の領域16aの中のゲート絶縁層20に接する部分の酸素空孔密度は、第3の領域16cのゲート絶縁層20に接する部分の酸素空孔密度より低い。
【0043】
例えば、第2の領域16bの中のゲート絶縁層20に接する部分が低酸素空孔密度部分である。例えば、第2の領域16bの中のゲート絶縁層20に接する部分の酸素空孔密度は、第3の領域16cのゲート絶縁層20に接する部分の酸素空孔密度より低い。
【0044】
ゲート電極18は、酸化物半導体層16に対向する。ゲート電極18は、酸化物半導体層16の第3の領域16cに対向する。
【0045】
図2に示すように、ゲート電極18は、酸化物半導体層16を囲む。ゲート電極18は、酸化物半導体層16の周囲に設けられる。ゲート電極18は、第3の領域16cを囲む。
【0046】
ゲート電極18は、導電体である。ゲート電極18は、例えば、金属、金属化合物、又は半導体である。ゲート電極18は、例えば、タングステン(W)を含む。
【0047】
ゲート電極18の第1の方向の長さは、例えば、20nm以上100nm以下である。
【0048】
ゲート絶縁層20は、ゲート電極18と酸化物半導体層16との間に設けられる。ゲート絶縁層20は、第1の絶縁層22と酸化物半導体層16との間に設けられる。ゲート絶縁層20は、第2の絶縁層24と酸化物半導体層16との間に設けられる。
【0049】
ゲート絶縁層20は、酸化物半導体層16を囲んで設けられる。ゲート絶縁層20は、第1の領域16a、第2の領域16b、及び第3の領域16cを囲む。
【0050】
ゲート絶縁層20は、酸化物半導体層16に接する。ゲート絶縁層20は、第1の領域16a、第2の領域16b、及び第3の領域16cに接する。
【0051】
ゲート絶縁層20は、酸化物半導体層16と異なる化学組成を有する。
【0052】
ゲート絶縁層20は、アルミニウム(Al)、ハフニウム(Hf)、ジルコニウム(Zr)、ランタン(La)、イットリウム(Y)、亜鉛(Zn)、インジウム(In)、スズ(Sn)、及びガリウム(Ga)から成る群から選ばれる少なくとも一つの金属元素と、酸素(O)とを含む。ゲート絶縁層20は、例えば、上記少なくとも一つの金属元素の酸化物である金属酸化物を含む。
【0053】
ゲート絶縁層20は、例えば、酸化アルミニウム、酸化ハフニウム、酸化ジルコニウム、酸化ランタン、酸化イットリウム、酸化亜鉛、酸化インジウム、酸化スズ、及び酸化ガリウムからなる群から選ばれる少なくとも一つの金属酸化物を含む。
【0054】
以下、上記少なくとも一つの金属元素がアルミニウム(Al)である場合を例に説明する。
【0055】
ゲート絶縁層20は、例えば、シリコン(Si)を含む。ゲート絶縁層20は、例えば、酸化シリコンを含む。
【0056】
ゲート絶縁層20は、例えば、シリコン(Si)及び窒素(N)を含む。ゲート絶縁層20は、例えば、窒化シリコン又は酸窒化シリコンを含む。
【0057】
例えば、第1の絶縁層22と酸化物半導体層16との間に設けられたゲート絶縁層20の中の窒素の原子濃度は、ゲート電極18と酸化物半導体層16との間に設けられたゲート絶縁層20の中の窒素の原子濃度よりも低い。
【0058】
例えば、第1の絶縁層22と酸化物半導体層16との間に設けられたゲート絶縁層20の中の窒素の原子濃度は、ゲート電極18と酸化物半導体層16との間に設けられたゲート絶縁層20の中の窒素の原子濃度の0.1倍以上0.8倍以下である。
【0059】
また、例えば、第2の絶縁層24と酸化物半導体層16との間に設けられたゲート絶縁層20の中の窒素の原子濃度は、ゲート電極18と酸化物半導体層16との間に設けられたゲート絶縁層20の中の窒素の原子濃度よりも低い。
【0060】
また、例えば、第2の絶縁層24と酸化物半導体層16との間に設けられたゲート絶縁層20の中の窒素の原子濃度は、ゲート電極18と酸化物半導体層16との間に設けられたゲート絶縁層20の中の窒素の原子濃度の0.1倍以上0.8倍以下である。
【0061】
ゲート絶縁層20は、例えば、第1の部分20a、第2の部分20b、及び第3の部分20cを含む。第3の部分20cは、第1の部分20aと第2の部分20bとの間に設けられる。第1の部分20aは、酸化物半導体層16と第2の部分20bとの間に設けられる。
【0062】
第1の部分20a、第2の部分20b、及び第3の部分20cは、例えば、三層構造を形成する。第1の部分20a、第2の部分20b、及び第3の部分20cは、例えば、積層構造(stacked structure)を形成する。
【0063】
第1の部分20aは、例えば、酸化物半導体層16に接する。第2の部分20bは、例えば、ゲート電極18に接する。
【0064】
第1の部分20aは、シリコン(Si)及び酸素(O)を含む。第1の部分20aは、例えば、酸化シリコンを含む。第1の部分20aは、例えば、酸化シリコンである。
【0065】
第2の部分20bは、シリコン(Si)及び窒素(N)を含む。第2の部分20bは、例えば、窒化シリコン又は酸窒化シリコンを含む。第2の部分20bは、例えば、窒化シリコン又は酸窒化シリコンである。
【0066】
第3の部分20cは、アルミニウム(Al)、ハフニウム(Hf)、ジルコニウム(Zr)、ランタン(La)、イットリウム(Y)、亜鉛(Zn)、インジウム(In)、スズ(Sn)、及びガリウム(Ga)から成る群から選ばれる少なくとも一つの金属元素と、酸素(O)とを含む。ゲート絶縁層20は、例えば、上記少なくとも一つの金属元素の酸化物である金属酸化物を含む。
【0067】
第3の部分20cは、例えば、酸化アルミニウム、酸化ハフニウム、酸化ジルコニウム、酸化ランタン、酸化イットリウム、酸化亜鉛、酸化インジウム、酸化スズ、及び酸化ガリウムからなる群から選ばれる少なくとも一つの金属酸化物を含む。第3の部分20cは、例えば、酸化アルミニウム、酸化ハフニウム、酸化ジルコニウム、酸化ランタン、酸化イットリウム、酸化亜鉛、酸化インジウム、酸化スズ、又は酸化ガリウムである。
【0068】
例えば、第3の部分20cの上記少なくとも一つの金属元素の原子濃度は、第1の部分20a及び第2の部分の上記少なくとも一つの金属元素の原子濃度よりも高い。例えば、上記少なくとも一つの金属元素がアルミニウム(Al)の場合、第3の部分20cのアルミニウム(Al)の原子濃度は、第1の部分20a及び第2の部分のアルミニウム(Al)の原子濃度よりも高い。
【0069】
例えば、第2の部分20bの窒素(N)の原子濃度は、第1の部分20a及び第3の部分20cの窒素(N)の原子濃度よりも高い。
【0070】
例えば、第1の絶縁層22と酸化物半導体層16との間に設けられたゲート絶縁層20の中の上記少なくとも一つの金属元素の原子濃度の窒素の原子濃度に対する比は、ゲート電極18と酸化物半導体層16との間に設けられたゲート絶縁層20の中の上記少なくとも一つの金属元素の原子濃度の窒素の原子濃度に対する比よりも高い。例えば、上記少なくとも一つの金属元素がアルミニウム(Al)の場合、第1の絶縁層22と酸化物半導体層16との間に設けられたゲート絶縁層20の中のアルミニウム(Al)の原子濃度の窒素(N)の原子濃度に対する比(Al/N)は、ゲート電極18と酸化物半導体層16との間に設けられたゲート絶縁層20の中のアルミニウム(Al)の原子濃度の窒素(N)の原子濃度に対する比(Al/N)よりも高い。
【0071】
例えば、第1の絶縁層22と酸化物半導体層16との間に設けられたゲート絶縁層20の中の上記少なくとも一つの金属元素の原子濃度の窒素の原子濃度に対する比は、ゲート電極18と酸化物半導体層16との間に設けられたゲート絶縁層20の中の上記少なくとも一つの金属元素の原子濃度の窒素の原子濃度に対する比の1.2倍以上10倍以下である。
【0072】
例えば、第2の絶縁層24と酸化物半導体層16との間に設けられたゲート絶縁層20の中の上記少なくとも一つの金属元素の原子濃度の窒素の原子濃度に対する比は、ゲート電極18と酸化物半導体層16との間に設けられたゲート絶縁層20の中の上記少なくとも一つの金属元素の原子濃度の窒素の原子濃度に対する比よりも高い。例えば、上記少なくとも一つの金属元素がアルミニウム(Al)の場合、第2の絶縁層24と酸化物半導体層16との間に設けられたゲート絶縁層20の中のアルミニウム(Al)の原子濃度の窒素(N)の原子濃度に対する比(Al/N)は、ゲート電極18と酸化物半導体層16との間に設けられたゲート絶縁層20の中のアルミニウム(Al)の原子濃度の窒素(N)の原子濃度に対する比(Al/N)よりも高い。
【0073】
例えば、第2の絶縁層24と酸化物半導体層16との間に設けられたゲート絶縁層20の中の上記少なくとも一つの金属元素の原子濃度の窒素の原子濃度に対する比は、ゲート電極18と酸化物半導体層16との間に設けられたゲート絶縁層20の中の上記少なくとも一つの金属元素の原子濃度の窒素の原子濃度に対する比の1.2倍以上10倍以下である。
【0074】
ゲート絶縁層20は、例えば、窒素(N)、炭素(C)、水素(H)、及び塩素(Cl)からなる群から選ばれる少なくとの一つの元素を含む。
【0075】
ゲート絶縁層20の酸化物半導体層16からゲート電極18に向かう方向の厚さは、例えば、2nm以上10nm以下である。例えば、ゲート絶縁層20の第2の方向の厚さは、2nm以上10nm以下である。
【0076】
第3の部分20cの酸化物半導体層16からゲート電極18に向かう方向の厚さは、例えば、0.5nm以上3nm以下である。例えば、第3の部分20cの第2の方向の厚さは、0.5nm以上3nm以下である。
【0077】
第1の絶縁層22は、第1の電極12とゲート電極18との間に設けられる。第1の絶縁層22は、酸化物半導体層16に対向する。第1の絶縁層22は、第1の領域16aに対向する。
【0078】
第1の絶縁層22は、酸化物半導体層16を囲む。第1の絶縁層22は、第1の領域16aを囲む。
【0079】
第1の絶縁層22と酸化物半導体層16との間に、ゲート絶縁層20が設けられる。第1の絶縁層22と第1の領域16aとの間に、ゲート絶縁層20が設けられる。第1の絶縁層22は、例えば、ゲート絶縁層20に接する。
【0080】
第1の絶縁層22は、例えば、ゲート絶縁層20を囲む。
【0081】
第1の絶縁層22は、例えば、酸素(O)を含む。第1の絶縁層22は、例えば、酸化物を含む。
【0082】
第1の絶縁層22は、例えば、シリコン(Si)及び酸素(O)を含む。第1の絶縁層22は、例えば、酸化シリコンを含む。第1の絶縁層22は、例えば、酸化シリコンである。
【0083】
第2の絶縁層24は、第2の電極14とゲート電極18との間に設けられる。第2の絶縁層24は、酸化物半導体層16に対向する。第2の絶縁層24は、第2の領域16bに対向する。
【0084】
第2の絶縁層24は、酸化物半導体層16を囲む。第2の絶縁層24は、第2の領域16bを囲む。
【0085】
第2の絶縁層24と酸化物半導体層16との間にゲート絶縁層20が設けられる。第2の絶縁層24と第2の領域16bとの間に、ゲート絶縁層20が設けられる。第2の絶縁層24は、例えば、ゲート絶縁層20に接する。
【0086】
第2の絶縁層24は、例えば、ゲート絶縁層20を囲む。
【0087】
第2の絶縁層24は、例えば、酸素(O)を含む。第2の絶縁層24は、例えば、酸化物を含む。
【0088】
第2の絶縁層24は、例えば、シリコン(Si)及び酸素(O)を含む。第2の絶縁層24は、例えば、酸化シリコンを含む。第2の絶縁層24は、例えば、酸化シリコンである。
【0089】
次に、第1の実施形態の半導体装置の製造方法の一例について説明する。
【0090】
図3、
図4、
図5、
図6、及び
図7は、第1の実施形態の半導体装置の製造方法の一例を示す模式断面図である。
図3~
図7は、それぞれ、
図1に対応する断面を示す。
図3~
図7は、トランジスタ100の製造方法の一例を示す図である。
【0091】
最初に、図示しない基板の上に、第1の酸化インジウムスズ膜31、第1の酸化シリコン膜32、タングステン層33、及び第2の酸化シリコン膜34を、この順に第1の方向に積層する。第1の酸化インジウムスズ膜31、第1の酸化シリコン膜32、タングステン層33、及び第2の酸化シリコン膜34は、例えば、Chemical Vapor Deposition法(CVD法)により形成する。
【0092】
第1の酸化インジウムスズ膜31は、最終的に第1の電極12となる。第1の酸化シリコン膜32の一部は、最終的に第1の絶縁層22となる。タングステン層33の一部は、最終的にゲート電極18となる。第2の酸化シリコン膜34の一部は、最終的に第2の絶縁層24となる。
【0093】
次に、第2の酸化シリコン膜34の表面から、第2の酸化シリコン膜34、タングステン層33、及び第1の酸化シリコン膜32を貫通する開口部35を形成する(
図3)。開口部35は、例えば、リソグラフィ法、及び、Reactive Ion Etching法(RIE法)を用いて形成する。
【0094】
次に、開口部35の内部に、窒化シリコン膜36、酸化アルミニウム膜37、及び酸化シリコン膜38をこの順に形成する(
図4)。窒化シリコン膜36、酸化アルミニウム膜37、及び酸化シリコン膜38は、例えば、CVD法及びRIE法を用いて形成する。
【0095】
窒化シリコン膜36は、最終的にゲート絶縁層20の第2の部分20bとなる。酸化アルミニウム膜37は、最終的にゲート絶縁層20の第3の部分20cとなる。酸化シリコン膜38は、最終的にゲート絶縁層20の第1の部分20aとなる。
【0096】
次に、開口部35を酸化物半導体膜39で埋め込む(
図5)。酸化物半導体膜39は、最終的に酸化物半導体層16となる。
【0097】
酸化物半導体膜39は、例えば、インジウム(In)、ガリウム(Ga)、及び、亜鉛(Zn)を含む。酸化物半導体膜39は、例えば、CVD法で形成する。その後、例えば、Chemical Mechanical Polishing法(CMP法)を用いて、第2の酸化シリコン膜34の上の酸化物半導体膜39を除去する。
【0098】
次に、第2の酸化インジウムスズ膜40を形成する(
図6)。第2の酸化インジウムスズ膜40は、例えば、CVD法により形成する。第2の酸化インジウムスズ膜40は、最終的に第2の電極14となる。
【0099】
次に、酸化性雰囲気中で熱処理を行う(
図7)。熱処理により、第1の低酸素空孔密度領域39a、第2の低酸素空孔密度領域39b、及び高酸素空孔密度領域39cが形成される。
【0100】
酸化性雰囲気中での熱処理の際に、第1の酸化シリコン膜32及び第2の酸化シリコン膜34を通って、酸化物半導体膜39に酸素が供給される。酸化物半導体膜39に酸素が供給されることで、酸素空孔密度の低い第1の低酸素空孔密度領域39a及び第2の低酸素空孔密度領域39bが形成される。
【0101】
第1の低酸素空孔密度領域39aは、最終的に第1の領域16aとなる。第2の低酸素空孔密度領域39bは、最終的に第2の領域16bとなる。高酸素空孔密度領域39cは、最終的に第3の領域16cとなる。
【0102】
以上の製造方法により、
図1及び
図2に示すトランジスタ100が製造される。
【0103】
以下、第1の実施形態の半導体装置の作用及び効果について説明する。
【0104】
酸化物半導体層にチャネルを形成する酸化物半導体トランジスタは、オフ動作時のチャネルリーク電流が極めて小さいという優れた特性を備える。このため、例えば、酸化物半導体トランジスタをDRAMのメモリセルのスイッチングトランジスタに適用できる。酸化物半導体トランジスタをスイッチングトランジスタに適用することで、DRAMの電荷保持特性が向上する。
【0105】
例えば、DRAMの書き込み・読み出し速度を向上させるためには、スイッチングトランジスタのオン電流の増加が望まれる。酸化物半導体トランジスタの閾値電圧とオン電流との間にはトレードオフの関係がある。言い換えれば、酸化物半導体トランジスタの閾値電圧が高くなればオン電流は低減し、閾値電圧が低くなればオン電流は増加する。
【0106】
第1の実施形態のトランジスタ100のゲート絶縁層20は、アルミニウム(Al)、ハフニウム(Hf)、ジルコニウム(Zr)、ランタン(La)、イットリウム(Y)、亜鉛(Zn)、インジウム(In)、スズ(Sn)、及びガリウム(Ga)から成る群から選ばれる少なくとも一つの金属元素と、酸素(O)とを含む。
【0107】
第1の実施形態のトランジスタ100は、ゲート絶縁層20が上記少なくとも一つの金属元素と、酸素(O)とを含むことにより、閾値電圧とオン電流との間のトレードオフが改善される。したがって、所望の閾値電圧におけるオン電流を増加させることが可能となる。
【0108】
ゲート絶縁層20が上記少なくとも一つの金属元素と酸素(O)を含むことにより、閾値電圧とオン電流との間のトレードオフが改善されるのは、ゲート絶縁層20の中に固定電荷又はダイポールが形成され、トランジスタ100の閾値電圧が高くなるためであると考えられる。
【0109】
また、ゲート絶縁層20が上記少なくとも一つの金属元素と酸素(O)を含むことにより、閾値電圧とオン電流との間のトレードオフが改善されるのは、第1の領域16a又は第2の領域16bが、第3の領域16cの電気抵抗よりも電気抵抗の高い高抵抗部分を含む構造となるためであると考えられる。
【0110】
発明者らの検討により、酸化物半導体層16のドレイン電極側の領域のゲート電極18の端部に近い部分は、ドレイン電圧の影響により、局所的にチャネルが形成されにくくなることが明らかとなった。したがって、酸化物半導体層16のドレイン電極側の領域に酸素空孔密度が低く電気抵抗の高い高抵抗部分を設けることで、トランジスタ100の閾値電圧を高くできる。酸化物半導体層16のドレイン電極側の領域に高抵抗部分を設けて、トランジスタ100の閾値電圧を高くすることで、閾値電圧とオン電流との間のトレードオフが改善されると考えられる。
【0111】
例えば、第1の電極12がソース電圧が印加されるソース電極、第2の電極14がドレイン電圧が印加されるドレイン電極として機能する場合、第2の領域16bに高抵抗部分を設けることでトランジスタ100の閾値電圧が高くなる。また、例えば、第2の電極14がソース電極、第1の電極12がドレイン電圧が印加されるドレイン電極として機能する場合、第1の領域16aに高抵抗部分を設けることでトランジスタ100の閾値電圧が高くなる。
【0112】
ゲート絶縁層20が上記少なくとも一つの金属元素と酸素(O)を含むことにより、第1の領域16a又は第2の領域16bに電気抵抗の高い高抵抗部分を含む構造が形成される理由は以下のように考えられる。半導体基板の上に、上記少なくとも一つの金属元素と酸素(O)を含む膜を形成し、酸化性雰囲気中で熱処理した場合、半導体基板の増速酸化が起こる。言い換えれば、上記少なくとも一つの金属元素と酸素(O)を含む膜を設けることにより、半導体基板への酸素(O)の供給が促進される。
【0113】
図8は、第1の実施形態の半導体装置の作用及び効果の説明図である。
図8は、
図1及び
図7に対応する断面図である。
図8に示すように、第2の酸化インジウムスズ膜40を形成した後の酸化性雰囲気中での熱処理の際に、酸化アルミニウム膜37が設けられることで、酸化物半導体膜39への酸素(O)の供給が促進される。なお、酸化物半導体膜39の中のタングステン層33に対向する領域への酸素(O)の供給は、タングステン層33によって抑制される。
【0114】
したがって、
図7及び
図8に示すように、酸化物半導体膜39中に第1の低酸素空孔密度領域39a、第2の低酸素空孔密度領域39b、及び高酸素空孔密度領域39cが形成される。第1の低酸素空孔密度領域39a及び第2の低酸素空孔密度領域39bの酸素空孔密度は、高酸素空孔密度領域39cの酸素空孔密度より低い。したがって、第1の低酸素空孔密度領域39a及び第2の低酸素空孔密度領域39bの電気抵抗は、高酸素空孔密度領域39cの電気抵抗より高い。よって、トランジスタ100は、ゲート絶縁層20が上記少なくとも一つの金属元素と酸素(O)を含むことにより、第1の領域16a又は第2の領域16bに電気抵抗の高い高抵抗部分を含む構造を備えることになる。
【0115】
ゲート絶縁層20の第3の部分20cの酸化物半導体層16からゲート電極18に向かう方向の厚さは、例えば、0.5nm以上3nm以下であることが好ましい。第3の部分20cの厚さが0.5nm以上3nm以下であることで、酸化物半導体膜39への酸素(O)の供給が促進され、第1の領域16a又は第2の領域16bに電気抵抗の高い高抵抗部分を形成することが容易となる。
【0116】
第1の実施形態のトランジスタ100のゲート絶縁層20は、シリコン(Si)及び酸素(O)を含む第1の部分20aを含むことが好ましい。第1の部分20aを設けることにより、例えば、ゲート絶縁層20中のトラップ準位が低減できる。したがって、例えば、トランジスタ100のゲートリーク電流を低減できる。
【0117】
また、例えば、第1の部分20aを設けることにより、ゲート絶縁層20と酸化物半導体層16の界面の界面準位が低減できる。したがって、例えば、キャリアの移動度が向上し、トランジスタ100のオン電流が増加する。
【0118】
第1の実施形態のトランジスタ100のゲート絶縁層20は、シリコン(Si)及び窒素(N)を含む第2の部分20bを含むことが好ましい。第2の部分20bを設けることにより、例えば、ゲート電極18に含まれる金属がゲート絶縁層20に拡散し、ゲート絶縁層20のリーク電流が増大したり、ゲート絶縁層20の信頼性が低下したりすることを抑制できる。
【0119】
第1の絶縁層22と酸化物半導体層16との間に設けられたゲート絶縁層20の中の窒素の原子濃度は、ゲート電極18と酸化物半導体層16との間に設けられたゲート絶縁層20の中の窒素の原子濃度よりも低いことが好ましい。ゲート電極18と酸化物半導体層16との間に設けられたゲート絶縁層20の中の窒素の原子濃度が高いことで、ゲート電極18に含まれる金属がゲート絶縁層20に拡散することを抑制できる。また、第1の絶縁層22と酸化物半導体層16との間に設けられたゲート絶縁層20の中の窒素の原子濃度が低いことで、酸化物半導体膜39への酸素(O)の供給が促進され、第1の領域16aに電気抵抗の高い高抵抗部分を形成することが容易となる。
【0120】
第2の絶縁層24と酸化物半導体層16との間に設けられたゲート絶縁層20の中の窒素の原子濃度は、ゲート電極18と酸化物半導体層16との間に設けられたゲート絶縁層20の中の窒素の原子濃度よりも低いことが好ましい。ゲート電極18と酸化物半導体層16との間に設けられたゲート絶縁層20の中の窒素の原子濃度が高いことで、ゲート電極18に含まれる金属がゲート絶縁層20に拡散することを抑制できる。また、第2の絶縁層24と酸化物半導体層16との間に設けられたゲート絶縁層20の中の窒素の原子濃度が低いことで、酸化物半導体膜39への酸素(O)の供給が促進され、第2の領域16bに電気抵抗の高い高抵抗部分を形成することが容易となる。
【0121】
第1の絶縁層22と酸化物半導体層16との間に設けられたゲート絶縁層20の中の上記少なくとも一つの金属元素の原子濃度の窒素の原子濃度に対する比は、ゲート電極18と酸化物半導体層16との間に設けられたゲート絶縁層20の中の上記少なくとも一つの金属元素の原子濃度の窒素の原子濃度に対する比よりも高いことが好ましい。第1の絶縁層22と酸化物半導体層16との間に設けられたゲート絶縁層20の中の上記少なくとも一つの金属元素の原子濃度の窒素の原子濃度に対する比が高いことで、酸化物半導体膜39への酸素(O)の供給が促進され、第1の領域16aに電気抵抗の高い高抵抗部分を形成することが容易となる。
【0122】
第2の絶縁層24と酸化物半導体層16との間に設けられたゲート絶縁層20の中の上記少なくとも一つの金属元素の原子濃度の窒素の原子濃度に対する比は、ゲート電極18と酸化物半導体層16との間に設けられたゲート絶縁層20の中の上記少なくとも一つの金属元素の原子濃度の窒素の原子濃度に対する比よりも高いことが好ましい。第2の絶縁層24と酸化物半導体層16との間に設けられたゲート絶縁層20の中の上記少なくとも一つの金属元素の原子濃度の窒素の原子濃度に対する比が高いことで、酸化物半導体膜39への酸素(O)の供給が促進され、第2の領域16bに電気抵抗の高い高抵抗部分を形成することが容易となる。
【0123】
なお、ゲート絶縁層20の中の窒素の原子濃度や、上記少なくとも一つの金属元素の原子濃度の窒素の原子濃度に対する比は、例えば、シリコン(Si)及び窒素(N)を含む膜を、開口部35の内部に形成する際の成膜条件を制御することで制御することができる。例えば、シリコン(Si)及び窒素(N)を含む膜が窒化シリコン膜36の場合、タングステン層33の上の膜厚と、第1の酸化シリコン膜32及び第2の酸化シリコン膜34の上の膜厚とを異なる膜厚とする条件で窒化シリコン膜36を成膜することで、ゲート絶縁層20の中の窒素の原子濃度や、上記少なくとも一つの金属元素の原子濃度の窒素の原子濃度に対する比を変化させることができる。窒化シリコン膜36の膜厚の下地層に依存した変化は、例えば、成膜時のインキュベーションタイムが下地層によって異なる条件を適用することで実現できる。
【0124】
ゲート絶縁層20は、窒素(N)、炭素(C)、水素(H)、及び塩素(Cl)からなる群から選ばれる少なくとの一つの元素を含むことが好ましい。
【0125】
ゲート絶縁層20が窒素(N)又は炭素(C)を含むことで、例えば、ゲート電極18に含まれる金属がゲート絶縁層20に拡散することが抑制され、ゲート絶縁層20のリーク電流の低減やゲート絶縁層20の信頼性の向上が実現できる。
【0126】
ゲート絶縁層20が水素(H)又は塩素(Cl)を含むことで、例えば、ゲート絶縁層20の中のトラップ準位が低減し、ゲート絶縁層20のリーク電流の低減やゲート絶縁層20の信頼性の向上が実現できる。
【0127】
なお、ゲート絶縁層20に含まれる上記少なくとも一つの金属元素がアルミニウム(Al)である場合を主に説明したが、上記少なくとも一つの金属元素がアルミニウム(Al)以外であっても、アルミニウム(Al)と同様の作用及び効果が実現できる。
【0128】
また、ゲート電極18が第3の領域16cを囲むSGTの場合を例に説明したが、第3の領域16cの領域の一部とゲート電極18が対向する構造とすることも可能である。
【0129】
また、ゲート絶縁層20が、第1の部分20a、第2の部分20b、及び第3の部分20cを含む三層構造の場合を例に説明したが、ゲート絶縁層20は、上記三層構造に限定されない。例えば、ゲート絶縁層20は、単層構造であっても構わないし、二層構造又は四層以上の構造であっても構わない。
【0130】
第1の実施形態のトランジスタ100によれば、所望の閾値電圧におけるオン電流を増加させることが可能となる。
【0131】
(第1の変形例)
図9は、第1の実施形態の第1の変形例の半導体装置の模式断面図である。第1の実施形態の第1の変形例の半導体装置は、第1の領域が高抵抗部分と第1の電極との間に設けられた低抵抗部分を含むか、又は、第2の領域が高抵抗部分と第2の電極との間に設けられた低抵抗部分を含み、低抵抗部分の電気抵抗は、第3の領域の電気抵抗よりも低い点で、第1の実施形態の半導体装置と異なる。
【0132】
第1の実施形態の第1の変形例の半導体装置は、トランジスタ101を備える。
【0133】
酸化物半導体層16は、第1の領域16a、第2の領域16b、及び第3の領域16cを含む。第3の領域16cは、第1の領域16aと第2の領域16bとの間に設けられる。
【0134】
例えば、第1の領域16aは高抵抗部分16axと低抵抗部分16ayを含む。低抵抗部分16ayは、高抵抗部分16axと第1の電極12との間に設けられる。
【0135】
高抵抗部分16axの電気抵抗は、低抵抗部分16ayの電気抵抗よりも高い。高抵抗部分16axの電気抵抗は、第3の領域16cの電気抵抗よりも高い。また、低抵抗部分16ayの電気抵抗は、第3の領域16cの電気抵抗よりも低い。
【0136】
高抵抗部分16axの電気抵抗は、例えば、第3の領域16cの電気抵抗の1.1倍以上2倍以下である。また、低抵抗部分16ayの電気抵抗は、例えば、第3の領域16cの電気抵抗の0.5倍以上0.9倍以下である。
【0137】
また、例えば、第2の領域16bは高抵抗部分16bxと低抵抗部分16byを含む。低抵抗部分16byは、高抵抗部分16bxと第1の電極12との間に設けられる。
【0138】
高抵抗部分16bxの電気抵抗は、低抵抗部分16byの電気抵抗よりも高い。高抵抗部分16bxの電気抵抗は、第3の領域16cの電気抵抗よりも高い。また、低抵抗部分16byの電気抵抗は、第3の領域16cの電気抵抗よりも低い。
【0139】
高抵抗部分16bxの電気抵抗は、例えば、第3の領域16cの電気抵抗の1.1倍以上2倍以下である。また、低抵抗部分16byの電気抵抗は、例えば、第3の領域16cの電気抵抗の0.5倍以上0.9倍以下である。
【0140】
第1の実施形態の第1の変形例の半導体装置は、例えば、第1の電極12又は第2の電極14に、酸化物半導体層16から酸素を引き抜きやすい材料を適用することで実現できる。酸化物半導体層16から酸素を引き抜くことで、第1の電極12又は第2の電極14に接する部分の酸素空孔密度を高くし、低抵抗部分16ay又は低抵抗部分16byを形成することができる。
【0141】
第1の変形例のトランジスタ101によれば、低抵抗部分16ay又は低抵抗部分16byを備えることで、トランジスタ101の寄生抵抗が低減する。したがって、所望の閾値電圧におけるオン電流を更に増加させることが可能となる。
【0142】
(第2の変形例)
図10は、第1の実施形態の第2の変形例の半導体装置の模式断面図である。第1の実施形態の第2の変形例の半導体装置は、酸化物半導体層がテーパ形状を有する点で、第1の実施形態の半導体装置と異なる。
【0143】
第1の実施形態の第2の変形例の半導体装置は、トランジスタ102を備える。
【0144】
酸化物半導体層16は、テーパ形状を有する。酸化物半導体層16の第2の方向の幅は、第1の電極12から第2の電極14に向かって大きくなる。
【0145】
以上、第1の実施形態及び変形例によれば、所望の閾値電圧におけるトランジスタのオン電流が増加し、トランジスタ特性の優れた半導体装置が実現される。
【0146】
(第2の実施形態)
第2の実施形態の半導体記憶装置は、第1の実施形態の半導体装置と、第1の電極又は第2の電極に電気的に接続されたキャパシタと、を備える。
【0147】
第2の実施形態の半導体記憶装置は、半導体メモリ200である。第2の実施形態の半導体記憶装置は、DRAMである。半導体メモリ200は、第1の実施形態のトランジスタ100を、DRAMのメモリセルのスイッチングトランジスタとして使用する。
【0148】
以下、第1の実施形態と重複する内容については、一部記述を省略する。
【0149】
図11は、第2の実施形態の半導体記憶装置の等価回路図である。
図11は、メモリセルMCが1個の場合を例示しているが、メモリセルMCは、例えばアレイ状に複数個設けられていても構わない。また、メモリセルMCは、例えば3次元状に複数個配列されていても構わない。
【0150】
半導体メモリ200は、メモリセルMC、ワード線WL、ビット線BL、及びプレート線PLを備える。メモリセルMCは、スイッチングトランジスタTR及びキャパシタCAを含む。
図11で、破線で囲まれた領域がメモリセルMCである。
【0151】
ワード線WLは、スイッチングトランジスタTRのゲート電極に電気的に接続される。ビット線BLは、スイッチングトランジスタTRのソース・ドレイン電極の一方に電気的に接続される。キャパシタCAの一方の電極は、スイッチングトランジスタTRのソース・ドレイン電極の他方に電気的に接続される。キャパシタCAの他方の電極は、プレート線PLに接続される。
【0152】
メモリセルMCは、キャパシタCAに電荷を蓄積することで、データを記憶する。データの書き込み及び読出しは、スイッチングトランジスタTRをオン動作させることにより行う。
【0153】
例えば、ビット線BLに所望の電圧を印加した状態でスイッチングトランジスタTRをオン動作させ、メモリセルMCへのデータの書き込みを行う。
【0154】
また、例えば、スイッチングトランジスタTRをオン動作させ、キャパシタに蓄積された電荷量に応じたビット線BLの電圧変化を検知し、メモリセルMCのデータの読み出しを行う。
【0155】
図12は、第2の実施形態の半導体記憶装置の模式断面図である。
図12は、半導体メモリ200のメモリセルMCの断面を示す。
【0156】
半導体メモリ200は、シリコン基板10、スイッチングトランジスタTR、キャパシタCA、第1の層間絶縁層50、及び第2の層間絶縁層52を含む。
【0157】
シリコン基板10は、例えば、単結晶シリコンである。基板は、例えば、シリコン基板以外の半導体基板であっても構わない。基板は、例えば、絶縁基板であっても構わない。
【0158】
スイッチングトランジスタTRは、第1の電極12、第2の電極14、酸化物半導体層16、ゲート電極18、ゲート絶縁層20、第1の絶縁層22、及び第2の絶縁層24を備える。ゲート絶縁層20は、第1の部分20a、第2の部分20b、及び第3の部分20cを含む。
【0159】
スイッチングトランジスタTRは、第1の実施形態のトランジスタ100と同様の構造を有する。
【0160】
キャパシタCAは、シリコン基板10とスイッチングトランジスタTRとの間に設けられる。キャパシタCAは、シリコン基板10と第1の電極12との間に設けられる。キャパシタCAは、第1の電極12に電気的に接続される。
【0161】
キャパシタCAは、セル電極71、プレート電極72、キャパシタ絶縁膜73を備える。セル電極71は、第1の電極12に電気的に接続される。セル電極71は、例えば、第1の電極12に接する。
【0162】
セル電極71及びプレート電極72は、例えば、窒化チタンである。キャパシタ絶縁膜73は、例えば、酸化ジルコニウム、酸化アルミニウム、酸化ジルコニウムの積層構造を有する。
【0163】
ゲート電極18は、例えば、図示しないワード線WLに電気的に接続される。第2の電極14は、例えば、図示しないビット線BLに電気的に接続される。プレート電極72は、例えば、図示しないプレート線PLに電気的に接続される。
【0164】
半導体メモリ200は、オフ動作時のチャネルリーク電流が極めて小さい酸化物半導体トランジスタをスイッチングトランジスタTRに適用する。したがって、電荷保持特性に優れたDRAMが実現する。
【0165】
また、半導体メモリ200は、オン電流の増加したスイッチングトランジスタTRを備える。したがって、例えば、書き込み・読み出し速度の向上したDRAMが実現する。
【0166】
以上、第1の実施形態のトランジスタが適用される半導体メモリ200を例に説明したが、半導体メモリは、第1の実施形態の第1の変形例又は第2の変形例のトランジスタが適用される半導体メモリであっても構わない。
【0167】
なお、キャパシタCAは、スイッチングトランジスタTRの上に設けられる構造であっても構わない。キャパシタCAは、第2の電極14に電気的に接続されても構わない。シリコン基板10とキャパシタCAとの間に、スイッチングトランジスタTRが設けられる構造であっても構わない。
【0168】
以上、第2の実施形態の半導体メモリ200によれば、スイッチングトランジスタTRのオン電流が増加し、動作特性の優れた半導体記憶装置が実現できる。
【0169】
(第3の実施形態)
第3の実施形態の半導体装置は、第1の電極と、第2の電極と、第1の電極と第2の電極との間に設けられ、第1の電極及び第2の電極に電気的に接続された酸化物半導体層と、酸化物半導体層に囲まれたゲート電極と、ゲート電極と酸化物半導体層との間に設けられ、アルミニウム(Al)、ハフニウム(Hf)、ジルコニウム(Zr)、ランタン(La)、イットリウム(Y)、亜鉛(Zn)、インジウム(In)、スズ(Sn)、及びガリウム(Ga)から成る群から選ばれる少なくとも一つの金属元素と、酸素(O)とを含み、酸化物半導体層と異なる化学組成のゲート絶縁層と、を備える。
【0170】
【0171】
図13において、上下方向を第1の方向と称する。
図13において、左右方向を第2の方向と称する。
図14において、上下方向を第3の方向と称する。第3の方向は、第1の方向及び第2の方向に垂直な方向である。
【0172】
第3の実施形態の半導体装置は、トランジスタ300を備える。トランジスタ300は、酸化物半導体にチャネルが形成される酸化物半導体トランジスタである。トランジスタ300は、チャネルが形成される酸化物半導体層がゲート電極を囲んで設けられる。
【0173】
トランジスタ300は、第1の電極12、第2の電極14、酸化物半導体層16、ゲート電極18、ゲート絶縁層20、及び絶縁層25を備える。ゲート絶縁層20は、第1の部分20a、第2の部分20b、及び第3の部分20cを含む。
【0174】
第1の電極12は、トランジスタ300のソース電極又はドレイン電極として機能する。
【0175】
第1の電極12は、導電体である。第1の電極12は、例えば、酸化物導電体又は金属を含む。第1の電極12は、例えば、インジウム(In)、スズ(Sn)、及び酸素(O)を含む酸化物導電体である。第1の電極12は、例えば、酸化インジウムスズである。第1の電極12は、例えば、タングステン(W)、モリブデン(Mo)、銅(Cu)、アルミニウム(Al)、チタン(Ti)、ニッケル(Ni)、プラチナ(Pt)、又はタンタル(Ta)を含む金属である。第1の電極12は、例えば、窒化チタン又は硫化ニッケルである。
【0176】
第1の電極12は、例えば、複数の導電体が積層された積層構造を有していても構わない。
【0177】
第2の電極14は、トランジスタ300のソース電極又はドレイン電極として機能する。第1の電極12から第2の電極14に向かう方向は第1の方向である。
【0178】
第2の電極14は、導電体である。第2の電極14は、例えば、酸化物導電体又は金属を含む。第2の電極14は、例えば、インジウム(In)、スズ(Sn)、及び酸素(O)を含む酸化物導電体である。第2の電極14は、例えば、酸化インジウムスズである。第2の電極14は、例えば、タングステン(W)、モリブデン(Mo)、銅(Cu)、アルミニウム(Al)、チタン(Ti)、ニッケル(Ni)、プラチナ(Pt)、又はタンタル(Ta)を含む金属である。第2の電極14は、例えば、窒化チタン又は硫化ニッケルである。
【0179】
第2の電極14は、例えば、複数の導電体が積層された積層構造を有していても構わない。
【0180】
第1の電極12と第2の電極14とは、例えば、同一の材料で形成される。第1の電極12及び第2の電極14は、例えば、インジウム(In)、スズ(Sn)、及び酸素(O)を含む酸化物導電体である。第1の電極12及び第2の電極14は、例えば、酸化インジウムスズである。
【0181】
酸化物半導体層16は、第1の電極12と第2の電極14との間に設けられる。酸化物半導体層16は、第1の電極12に接する。酸化物半導体層16は、第2の電極14に接する。酸化物半導体層16は、第1の電極12及び第2の電極14に電気的に接続される。
【0182】
図13に示すように、酸化物半導体層16は、第1の方向及び第2の方向に平行な断面において、ゲート電極18を囲む。
【0183】
酸化物半導体層16は、酸化物半導体である。酸化物半導体層16は、例えば、アモルファスである。
【0184】
酸化物半導体層16は、例えば、インジウム(In)、ガリウム(Ga)、シリコン(Si)、アルミニウム(Al)、及びスズ(Sn)からなる群から選ばれる少なくとも一つの元素と、亜鉛(Zn)と、酸素(O)を含む。酸化物半導体層16は、例えば、インジウム(In)、ガリウム(Ga)、及び亜鉛(Zn)を含む。酸化物半導体層16は、例えば、インジウム(In)、アルミニウム(Al)、及び亜鉛(Zn)を含む。
【0185】
酸化物半導体層16は、例えば、チタン(Ti)、亜鉛(Zn)、及びタングステン(W)からなる群から選ばれる少なくとも一つの元素を含む。酸化物半導体層16は、例えば、酸化チタン、酸化亜鉛、又は酸化タングステンを含む。
【0186】
酸化物半導体層16は、例えば、第1の電極12の化学組成、及び、第2の電極14の化学組成と異なる化学組成を有する。
【0187】
酸化物半導体層16は、例えば、酸素空孔(Oxgen Vacancy)を含む。酸化物半導体層16の中の酸素空孔は、酸化物半導体層16に電子を供給するドナーとして機能する。
【0188】
ゲート電極18は、酸化物半導体層16に対向する。
図13に示すように、ゲート電極18は、酸化物半導体層16に囲まれる。
【0189】
ゲート電極18は、例えば、金属、金属化合物、又は半導体である。ゲート電極18は、例えば、タングステン(W)を含む。
【0190】
ゲート絶縁層20は、ゲート電極18と酸化物半導体層16との間に設けられる。
図13に示すように、ゲート絶縁層20は、酸化物半導体層16に囲まれる。ゲート絶縁層20は、酸化物半導体層16に接する。
【0191】
ゲート絶縁層20は、酸化物半導体層16と異なる化学組成を有する。
【0192】
ゲート絶縁層20は、アルミニウム(Al)、ハフニウム(Hf)、ジルコニウム(Zr)、ランタン(La)、イットリウム(Y)、亜鉛(Zn)、インジウム(In)、スズ(Sn)、及びガリウム(Ga)から成る群から選ばれる少なくとも一つの金属元素と、酸素(O)とを含む。ゲート絶縁層20は、例えば、上記少なくとも一つの金属元素の酸化物である金属酸化物を含む。
【0193】
ゲート絶縁層20は、例えば、酸化アルミニウム、酸化ハフニウム、酸化ジルコニウム、酸化ランタン、酸化イットリウム、酸化亜鉛、酸化インジウム、酸化スズ、及び酸化ガリウムからなる群から選ばれる少なくとも一つの金属酸化物を含む。
【0194】
ゲート絶縁層20は、例えば、シリコン(Si)を含む。ゲート絶縁層20は、例えば、酸化シリコンを含む。
【0195】
ゲート絶縁層20は、例えば、シリコン(Si)及び窒素(N)を含む。ゲート絶縁層20は、例えば、窒化シリコン又は酸窒化シリコンを含む。
【0196】
ゲート絶縁層20は、例えば、第1の部分20a、第2の部分20b、及び第3の部分20cを含む。第3の部分20cは、第1の部分20aと第2の部分20bとの間に設けられる。第1の部分20aは、酸化物半導体層16と第2の部分20bとの間に設けられる。
【0197】
第1の部分20a、第2の部分20b、及び第3の部分20cは、例えば、三層構造を形成する。第1の部分20a、第2の部分20b、及び第3の部分20cは、例えば、積層構造(stacked structure)を形成する。
【0198】
第1の部分20aは、例えば、酸化物半導体層16に接する。第2の部分20bは、例えば、ゲート電極18に接する。
【0199】
第1の部分20aは、シリコン(Si)及び酸素(O)を含む。第1の部分20aは、例えば、酸化シリコンを含む。第1の部分20aは、例えば、酸化シリコンである。
【0200】
第2の部分20bは、シリコン(Si)及び窒素(N)を含む。第2の部分20bは、例えば、窒化シリコン又は酸窒化シリコンを含む。第2の部分20bは、例えば、窒化シリコン又は酸窒化シリコンである。
【0201】
第3の部分20cは、アルミニウム(Al)、ハフニウム(Hf)、ジルコニウム(Zr)、ランタン(La)、イットリウム(Y)、亜鉛(Zn)、インジウム(In)、スズ(Sn)、及びガリウム(Ga)から成る群から選ばれる少なくとも一つの金属元素と、酸素(O)とを含む。ゲート絶縁層20は、例えば、上記少なくとも一つの金属元素の酸化物である金属酸化物を含む。
【0202】
第3の部分20cは、例えば、酸化アルミニウム、酸化ハフニウム、酸化ジルコニウム、酸化ランタン、酸化イットリウム、酸化亜鉛、酸化インジウム、酸化スズ、及び酸化ガリウムからなる群から選ばれる少なくとも一つの金属酸化物を含む。第3の部分20cは、例えば、酸化アルミニウム、酸化ハフニウム、酸化ジルコニウム、酸化ランタン、酸化イットリウム、酸化亜鉛、酸化インジウム、酸化スズ、又は酸化ガリウムである。
【0203】
例えば、第3の部分20cの上記少なくとも一つの金属元素の原子濃度は、第1の部分20a及び第2の部分の上記少なくとも一つの金属元素の原子濃度よりも高い。例えば、上記少なくとも一つの金属元素がアルミニウム(Al)の場合、第3の部分20cのアルミニウム(Al)の原子濃度は、第1の部分20a及び第2の部分のアルミニウム(Al)の原子濃度よりも高い。
【0204】
例えば、第2の部分20bの窒素(N)の原子濃度は、第1の部分20a及び第3の部分20cの窒素(N)の原子濃度よりも高い。
【0205】
ゲート絶縁層20は、例えば、窒素(N)、炭素(C)、水素(H)、及び塩素(Cl)からなる群から選ばれる少なくとの一つの元素を含む。
【0206】
ゲート絶縁層20の酸化物半導体層16からゲート電極18に向かう方向の厚さは、例えば、2nm以上10nm以下である。例えば、ゲート絶縁層20の第2の方向の厚さは、2nm以上10nm以下である。
【0207】
第3の部分20cの酸化物半導体層16からゲート電極18に向かう方向の厚さは、例えば、0.5nm以上3nm以下である。例えば、第3の部分20cの第2の方向の厚さは、0.5nm以上3nm以下である。
【0208】
絶縁層25は、例えば、酸素(O)を含む。絶縁層25は、例えば、酸化物を含む。
【0209】
絶縁層25は、例えば、シリコン(Si)及び酸素(O)を含む。絶縁層25は、例えば、酸化シリコンを含む。絶縁層25は、例えば、酸化シリコンである。
【0210】
以下、第3の実施形態の半導体装置の作用及び効果について説明する。
【0211】
酸化物半導体層にチャネルを形成する酸化物半導体トランジスタは、オフ動作時のチャネルリーク電流が極めて小さいという優れた特性を備える。このため、例えば、酸化物半導体トランジスタをDRAMのメモリセルのスイッチングトランジスタに適用できる。酸化物半導体トランジスタをスイッチングトランジスタに適用することで、DRAMの電荷保持特性が向上する。
【0212】
例えば、DRAMの書き込み・読み出し速度を向上させるためには、スイッチングトランジスタのオン電流の増加が望まれる。酸化物半導体トランジスタの閾値電圧とオン電流との間にはトレードオフの関係がある。言い換えれば、酸化物半導体トランジスタの閾値電圧が高くなればオン電流は低減し、閾値電圧が低くなればオン電流は増加する。
【0213】
第3の実施形態のトランジスタ300のゲート絶縁層20は、アルミニウム(Al)、ハフニウム(Hf)、ジルコニウム(Zr)、ランタン(La)、イットリウム(Y)、亜鉛(Zn)、インジウム(In)、スズ(Sn)、及びガリウム(Ga)から成る群から選ばれる少なくとも一つの金属元素と、酸素(O)とを含む。
【0214】
第3の実施形態のトランジスタ300は、ゲート絶縁層20が上記少なくとも一つの金属元素と、酸素(O)とを含むことにより、閾値電圧とオン電流との間のトレードオフが改善される。したがって、所望の閾値電圧におけるオン電流を増加させることが可能となる。
【0215】
ゲート絶縁層20が上記少なくとも一つの金属元素と酸素(O)を含むことにより、閾値電圧とオン電流との間のトレードオフが改善されるのは、ゲート絶縁層20の中に固定電荷又はダイポールが形成され、トランジスタ300の閾値電圧が高くなるためであると考えられる。
【0216】
第3の実施形態のトランジスタ300のゲート絶縁層20は、シリコン(Si)及び酸素(O)を含む第1の部分20aを含むことが好ましい。第1の部分20aを設けることにより、例えば、ゲート絶縁層20中のトラップ準位が低減できる。したがって、例えば、トランジスタ300のゲートリーク電流を低減できる。
【0217】
また、例えば、第1の部分20aを設けることにより、例えば、ゲート絶縁層20と酸化物半導体層16の界面の界面準位が低減できる。したがって、例えば、キャリアの移動度が向上し、トランジスタ300のオン電流が増加する。
【0218】
第3の実施形態のトランジスタ300のゲート絶縁層20は、シリコン(Si)及び窒素(N)を含む第2の部分20bを含むことが好ましい。第2の部分20bを設けることにより、例えば、ゲート電極18に含まれる金属がゲート絶縁層20に拡散し、ゲート絶縁層20のリーク電流が増大したり、ゲート絶縁層20の信頼性が低下したりすることを抑制できる。
【0219】
第3の実施形態のトランジスタ300のゲート絶縁層20は、窒素(N)、炭素(C)、水素(H)、及び塩素(Cl)からなる群から選ばれる少なくとの一つの元素を含むことが好ましい。
【0220】
ゲート絶縁層20が窒素(N)又は炭素(C)を含むことで、例えば、ゲート電極18に含まれる金属がゲート絶縁層20に拡散することが抑制され、ゲート絶縁層20のリーク電流の低減やゲート絶縁層20の信頼性の向上が実現できる。
【0221】
ゲート絶縁層20が水素(H)又は塩素(Cl)を含むことで、例えば、ゲート絶縁層20の中のトラップ準位が低減し、ゲート絶縁層20のリーク電流の低減やゲート絶縁層20の信頼性の向上が実現できる。
【0222】
なお、ゲート絶縁層20に含まれる上記少なくとも一つの金属元素がアルミニウム(Al)である場合を主に説明したが、上記少なくとも一つの金属元素がアルミニウム(Al)以外であっても、アルミニウム(Al)と同様の作用及び効果が実現できる。
【0223】
また、ゲート絶縁層20が、第1の部分20a、第2の部分20b、及び第3の部分20cを含む三層構造の場合を例に説明したが、ゲート絶縁層20は、上記三層構造に限定されない。例えば、ゲート絶縁層20は、単層構造であっても構わないし、二層構造又は四層以上の構造であっても構わない。
【0224】
第3の実施形態のトランジスタ300によれば、所望の閾値電圧におけるオン電流を増加させることが可能となる。
【0225】
以上、第3の実施形態によれば、所望の閾値電圧におけるトランジスタのオン電流が増加し、トランジスタ特性の優れた半導体装置が実現される。
【0226】
(第4の実施形態)
第4の実施形態の半導体記憶装置は、第3の実施形態の半導体装置と、第1の電極又は第2の電極に電気的に接続されたキャパシタと、を備える。
【0227】
第4の実施形態の半導体記憶装置は、半導体メモリ400である。第4の実施形態の半導体記憶装置は、DRAMである。半導体メモリ400は、第3の実施形態のトランジスタ300を、DRAMのメモリセルのスイッチングトランジスタとして使用する。
【0228】
以下、第3の実施形態と重複する内容については、一部記述を省略する。
【0229】
第4の実施形態の半導体記憶装置の等価回路図は、第2の実施形態で示した
図11と同様である。
図11は、メモリセルMCが1個の場合を例示しているが、メモリセルMCは、例えばアレイ状に複数個設けられていても構わない。また、メモリセルMCは、例えば3次元状に複数個配列されていても構わない。
【0230】
半導体メモリ400は、
図11に示すように、メモリセルMC、ワード線WL、ビット線BL、及びプレート線PLを備える。メモリセルMCは、スイッチングトランジスタTR及びキャパシタCAを含む。
【0231】
ワード線WLは、スイッチングトランジスタTRのゲート電極に電気的に接続される。ビット線BLは、スイッチングトランジスタTRのソース・ドレイン電極の一方に電気的に接続される。キャパシタCAの一方の電極は、スイッチングトランジスタTRのソース・ドレイン電極の他方に電気的に接続される。キャパシタCAの他方の電極は、プレート線PLに電気的に接続される。
【0232】
メモリセルMCは、キャパシタCAに電荷を蓄積することで、データを記憶する。データの書き込み及び読出しは、スイッチングトランジスタTRをオン動作させることにより行う。
【0233】
例えば、ビット線BLに所望の電圧を印加した状態でスイッチングトランジスタTRをオン動作させ、メモリセルMCへのデータの書き込みを行う。
【0234】
また、例えば、スイッチングトランジスタTRをオン動作させ、キャパシタに蓄積された電荷量に応じたビット線BLの電圧変化を検知し、メモリセルMCのデータの読み出しを行う。
【0235】
図16は、第4の実施形態の半導体記憶装置の模式断面図である。
図16は、半導体メモリ400のメモリセルMCの断面を示す。
【0236】
半導体メモリ400は、シリコン基板10、スイッチングトランジスタTR、キャパシタCA、及び層間絶縁層54を含む。
【0237】
シリコン基板10は、例えば、単結晶シリコンである。基板は、例えば、シリコン基板以外の半導体基板であっても構わない。基板は、例えば、絶縁基板であっても構わない。
【0238】
スイッチングトランジスタTRは、第1の電極12、第2の電極14、酸化物半導体層16、ゲート電極18、ゲート絶縁層20を備える。ゲート絶縁層20は、第1の部分20a、第2の部分20b、及び第3の部分20cを含む。
【0239】
スイッチングトランジスタTRは、第3の実施形態のトランジスタ300と同様の構造を有する。
【0240】
第1の電極12から第2の電極14に向かう第1の方向は、例えば、シリコン基板10の表面に平行である。ゲート電極18は、例えば、シリコン基板10の表面に垂直な第3の方向に延びる。
【0241】
キャパシタCAは、スイッチングトランジスタTRの第1の方向に設けられる。キャパシタCAは、第1の電極12に電気的に接続される。
【0242】
キャパシタCAは、セル電極71、プレート電極72、キャパシタ絶縁膜73を備える。セル電極71は、第1の電極12に電気的に接続される。セル電極71は、例えば、第1の電極12に接する。
【0243】
セル電極71及びプレート電極72は、例えば、窒化チタンである。キャパシタ絶縁膜73は、例えば、酸化ジルコニウム、酸化アルミニウム、酸化ジルコニウムの積層構造を有する。
【0244】
ゲート電極18は、例えば、図示しないワード線WLに電気的に接続される。第2の電極14は、例えば、図示しないビット線BLに電気的に接続される。プレート電極72は、例えば、図示しないプレート線PLに接続される。
【0245】
半導体メモリ400は、オフ動作時のチャネルリーク電流が極めて小さい酸化物半導体トランジスタをスイッチングトランジスタTRに適用する。したがって、電荷保持特性に優れたDRAMが実現する。
【0246】
また、半導体メモリ400は、オン電流の増加したスイッチングトランジスタTRを備える。したがって、例えば、書き込み・読み出し速度の向上したDRAMが実現する。
【0247】
なお、例えば、
図16において、シリコン基板10の表面に垂直な第3の方向に、ゲート電極18及びプレート電極72が共通化された複数のメモリセルMCを、積層させても構わない。
【0248】
以上、第4の実施形態の半導体メモリ400によれば、スイッチングトランジスタTRのオン電流が増加し、動作特性の優れた半導体記憶装置が実現できる。
【0249】
以上、本発明のいくつかの実施形態を説明したが、これらの実施形態は、例として提示したものであり、発明の範囲を限定することは意図していない。これら新規な実施形態は、その他の様々な形態で実施されることが可能であり、発明の要旨を逸脱しない範囲で、種々の省略、置き換え、変更を行うことができる。例えば、一実施形態の構成要素を他の実施形態の構成要素と置き換え又は変更してもよい。これら実施形態やその変形は、発明の範囲や要旨に含まれるとともに、特許請求の範囲に記載された発明とその均等の範囲に含まれる。
【符号の説明】
【0250】
12 第1の電極
14 第2の電極
16 酸化物半導体層
16a 第1の領域
16ax 高抵抗部分
16ay 低抵抗部分
16b 第2の領域
16bx 高抵抗部分
16by 低抵抗部分
16c 第3の領域
18 ゲート電極
20 ゲート絶縁層
20a 第1の部分
20b 第2の部分
20c 第3の部分
22 第1の絶縁層
24 第2の絶縁層
100 トランジスタ(半導体装置)
200 半導体メモリ(半導体記憶装置)
300 トランジスタ(半導体装置)
400 半導体メモリ(半導体記憶装置)
CA キャパシタ