(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024137423
(43)【公開日】2024-10-07
(54)【発明の名称】部品圧着装置および部品圧着方法
(51)【国際特許分類】
H01L 21/60 20060101AFI20240927BHJP
H05K 13/04 20060101ALI20240927BHJP
【FI】
H01L21/60 311R
H05K13/04 B
【審査請求】未請求
【請求項の数】6
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023048945
(22)【出願日】2023-03-24
(71)【出願人】
【識別番号】314012076
【氏名又は名称】パナソニックIPマネジメント株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100109210
【弁理士】
【氏名又は名称】新居 広守
(74)【代理人】
【識別番号】100137235
【弁理士】
【氏名又は名称】寺谷 英作
(74)【代理人】
【識別番号】100131417
【弁理士】
【氏名又は名称】道坂 伸一
(72)【発明者】
【氏名】辻澤 孝文
【テーマコード(参考)】
5E353
5F044
【Fターム(参考)】
5E353BC02
5E353JJ60
5E353MM08
5E353NN18
5E353QQ11
5E353QQ30
5F044KK01
5F044LL09
5F044PP11
(57)【要約】
【課題】歩留まりの低下を抑えることができる部品圧着装置を提供する。
【解決手段】部品圧着装置1は、筐体7と、筐体7内に配置され、部品5を基板3に圧着するための動作を行う第1狭域可動部111と、筐体7内のエアに含まれるパーティクルに関する測定を行い、そのパーティクルに関する測定値を出力する第1パーティクルセンサ121と、第1パーティクルセンサ121から出力される測定値に基づいて、第1狭域可動部111の動作の速度を制御する制御部150とを備える。
【選択図】
図5
【特許請求の範囲】
【請求項1】
筐体と、
前記筐体内に配置され、部品を基板に圧着するための動作を行う可動部と、
前記筐体内のエアに含まれるパーティクルに関する測定を行い、前記パーティクルに関する測定値を出力するパーティクルセンサと、
前記パーティクルセンサから出力される前記測定値に基づいて、前記可動部の動作の速度を制御する制御部と、
を備える部品圧着装置。
【請求項2】
前記測定値は、前記パーティクルの数が多いほど大きい値を示し、
前記可動部の動作モードには、
通常モードと、前記通常モードよりも前記可動部の最高速度が遅い低速モードとがあり、
前記制御部は、
前記可動部を前記通常モードで制御している場合に、前記測定値が第1閾値よりも大きくなったときには、前記動作モードを前記通常モードから前記低速モードに切り替える、
請求項1に記載の部品圧着装置。
【請求項3】
前記制御部は、
前記可動部を前記低速モードで制御している場合に、前記測定値が第2閾値以下になったときには、前記動作モードを前記低速モードから前記通常モードに切り替え、
前記第2閾値は前記第1閾値よりも小さい、
請求項2に記載の部品圧着装置。
【請求項4】
前記制御部は、
前記可動部を前記通常モードあるいは前記低速モードで制御している場合に、前記測定値が第3閾値よりも大きくなったときには、前記可動部を停止させ、
前記第3閾値は前記第1閾値よりも大きい、
請求項2または3に記載の部品圧着装置。
【請求項5】
前記可動部は、
前記筐体内に設けられる第1作業エリアと第2作業エリアとの間を移動する広域可動部と、
前記第1作業エリア内でのみ動作する第1狭域可動部と、
前記第2作業エリア内でのみ動作する第2狭域可動部と、を含み、
前記パーティクルセンサは、
前記第1作業エリアのエアに含まれるパーティクルに関する測定を行い、前記パーティクルに関する第1測定値を出力する第1パーティクルセンサと、
前記第2作業エリアのエアに含まれるパーティクルに関する測定を行い、前記パーティクルに関する第2測定値を出力する第2パーティクルセンサと、を含み、
前記可動部の動作モードには、
通常モードと、前記通常モードよりも前記可動部の最高速度が遅い低速モードとがあり、
前記制御部は、
(1)前記第1測定値に基づいて、前記第1狭域可動部の動作モードを、前記通常モードと前記低速モードとに切り替え、
(2)前記第2測定値に基づいて、前記第2狭域可動部の動作モードを、前記通常モードと前記低速モードとに切り替え、
(3)前記第1測定値および前記第2測定値に基づいて、前記広域可動部の動作モードを、前記通常モードと前記低速モードとに切り替える、
請求項1に記載の部品圧着装置。
【請求項6】
筐体内に配置される可動部が、部品を基板に圧着するための動作を行う動作工程と、
パーティクルセンサが前記筐体内のエアに含まれるパーティクルに関する測定を行い、前記パーティクルに関する測定値を出力する測定工程と、
前記パーティクルセンサから出力される前記測定値に基づいて、前記可動部の動作の速度を制御する制御工程と、
を含む部品圧着方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、基板に部品を圧着する部品圧着装置などに関する。
【背景技術】
【0002】
従来、液晶パネルなどのパネルに電子部品(以下、単に「部品」と呼称する)を圧着する部品圧着装置が提供されている。特許文献1では、このような部品圧着装置が液晶ドライバ実装機として開示されている。この液晶ドライバ実装機は、液晶パネルの端部に、異方性導電部材であるACF(Anisotropic Conductive Film)を介して部品を圧着する。つまり、その液晶パネルの端部には、接着部材としてACFが貼り付けられている。液晶ドライバ実装機は、液晶パネルのそのACFが貼り付けられている部分に部品を搭載して、その部品を液晶パネルに圧着する。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、上記特許文献1の液晶ドライバ実装機では、歩留まりが低下する可能性があるという課題がある。
【0005】
そこで、本開示では、歩留まりの低下を抑えることができる部品圧着装置などを提供する。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本開示の一態様に係る部品圧着装置は、筐体と、前記筐体内に配置され、部品を基板に圧着するための動作を行う可動部と、前記筐体内のエアに含まれるパーティクルに関する測定を行い、前記パーティクルに関する測定値を出力するパーティクルセンサと、前記パーティクルセンサから出力される前記測定値に基づいて、前記可動部の動作の速度を制御する制御部と、を備える。
【0007】
なお、これらの包括的または具体的な態様は、システム、方法、集積回路、コンピュータプログラムまたはコンピュータ読み取り可能なCD-ROMなどの記録媒体で実現されてもよく、システム、方法、集積回路、コンピュータプログラムおよび記録媒体の任意な組み合わせで実現されてもよい。また、記録媒体は、非一時的な記録媒体であってもよい。
【発明の効果】
【0008】
本開示の部品圧着装置は、歩留まりの低下を抑えることができる。
【0009】
本開示の一態様における更なる利点および効果は、明細書および図面から明らかにされる。かかる利点および/または効果は、いくつかの実施の形態並びに明細書および図面に記載された構成によって提供されるが、必ずしも全ての構成が必要とはされない。
【図面の簡単な説明】
【0010】
【
図1】
図1は、実施の形態における部品圧着装置の概略構成を示す図である。
【
図2】
図2は、実施の形態における部品圧着装置の平面図である。
【
図3】
図3は、実施の形態における部品圧着装置の外観の一例を示す斜視図である。
【
図4】
図4は、実施の形態における部品圧着装置の仮圧着部が有するパーティクルに関連する各構成要素の配置例を示す図である。
【
図5】
図5は、実施の形態における部品圧着装置のパーティクルに関連する構成の一例を示すブロック図である。
【
図6A】
図6Aは、実施の形態における第1狭域可動部の動作モードを説明するための図である。
【
図6B】
図6Bは、実施の形態における第1狭域可動部の動作モードの切り替えを説明するための図である。
【
図7】
図7は、実施の形態における第1作業エリア、第2作業エリア、および第3作業エリアのそれぞれにおける狭域可動部の動作モードの切り替え例を示す図である。
【
図8A】
図8Aは、実施の形態における制御部が第1狭域可動部を制御する処理動作を示すフローチャートである。
【
図8B】
図8Bは、実施の形態における制御部による第1狭域可動部111に対する通常/低速モード切替処理の一例を示すフローチャートである。
【
図9】
図9は、実施の形態における第1作業エリアと第2作業エリアとの間を移動する第1広域可動部の動作モードの切り替え例を示す図である。
【
図10A】
図10Aは、実施の形態における制御部が第1広域可動部を制御する処理動作を示すフローチャートである。
【
図10B】
図10Bは、実施の形態における制御部による第1広域可動部に対する通常/低速モード切替処理の一例を示すフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0011】
(本開示の基礎となった知見)
本発明者は、「背景技術」の欄において記載した上記特許文献1の液晶ドライバ実装機に関し、以下の課題が生じることを見出した。
【0012】
上記特許文献1の液晶ドライバ実装機は、ACFを基板に貼り付けるACF貼付装置と、ACFを介して部品を基板に仮圧着する仮圧着装置と、その仮圧着された部品に対する本圧着を行う部品実装機とを備える。そして、液晶ドライバ実装機は、これらのACF貼付装置、仮圧着装置および部品実装機による作業によって、基板に1以上の部品が実装された実装基板を生産する。
【0013】
ここで、これらのACF貼付装置、仮圧着装置および部品実装機は、液晶ドライバ実装機の筐体によって覆われている。この筐体内では、ACF貼付装置、仮圧着装置および部品実装機が作業を行うことによって、パーティクルが舞い上がる場合がある。パーティクルは、小片、粉塵などの粒子である。このようなパーティクルが基板と部品との接合部位に付着すると、実装不良を引き起こし、実装基板が不良品として生産されてしまう。その結果、実装基板の歩留まりが低下する。
【0014】
そこで、筐体内を換気する機構をその筐体に取り付けることが考えられる。その換気によって、その筐体内で舞い上がるパーティクルを筐体の外部に排出することができる。
【0015】
しかしながら、その換気だけでは、パーティクルに起因する実装基板の歩留まりの低下を十分に抑えることが難しい。
【0016】
このような課題を解決するために、本開示の第1態様に係る部品圧着装置は、筐体と、前記筐体内に配置され、部品を基板に圧着するための動作を行う可動部と、前記筐体内のエアに含まれるパーティクルに関する測定を行い、前記パーティクルに関する測定値を出力するパーティクルセンサと、前記パーティクルセンサから出力される前記測定値に基づいて、前記可動部の動作の速度を制御する制御部と、を備える。なお、パーティクルに関する測定値の一例は、パーティクルの数である。
【0017】
これにより、可動部の動作の速度が測定値に基づいて制御されるため、例えば、筐体内に漂うパーティクルの数が多い場合には、その可動部の動作を遅くすることができる。なお、可動部は、機械的に動く機構であればどのようなものであってもよい。その結果、例えば、筐体内におけるパーティクルの舞い上がりを抑えることができる。したがって、例えば、基板、または、その基板に貼り付けられるACFにパーティクルが付着することを困難にすることができる。また、基板への圧着のために供給される部品にパーティクルが付着することを困難にすることができる。また、基板に部品が仮圧着または本圧着されるときに、その基板と部品との接合部位にパーティクルが付着することを困難にすることができる。したがって、そのようなパーティクルの付着によって実装基板が不良品として生産されることを抑制することができ、実装基板の歩留まりの低下を抑えることができる。さらに、筐体内に漂うパーティクルの数が多い場合には、その可動部の動作を停止させることなく、遅い速度でその可動部を動作させ続けることができる。その結果、部品圧着装置の稼働率の低下を抑制することができ、生産効率の向上を図ることができる。
【0018】
また、第1態様に従属する第2態様に係る部品圧着装置では、前記測定値は、前記パーティクルの数が多いほど大きい値を示し、前記可動部の動作モードには、通常モードと、前記通常モードよりも前記可動部の最高速度が遅い低速モードとがあり、前記制御部は、前記可動部を前記通常モードで制御している場合に、前記測定値が第1閾値よりも大きくなったときには、前記動作モードを前記通常モードから前記低速モードに切り替えてもよい。
【0019】
これにより、低速モードでは、通常モードよりも最高速度が遅いため、効果的に実装基板の歩留まりの低下を抑えながら、生産効率の向上を図ることができる。
【0020】
また、第2態様に従属する第3態様に係る部品圧着装置では、前記制御部は、前記可動部を前記低速モードで制御している場合に、前記測定値が第2閾値以下になったときには、前記動作モードを前記低速モードから前記通常モードに切り替え、前記第2閾値は前記第1閾値よりも小さくてもよい。
【0021】
これにより、測定値が第1閾値よりも小さい第2閾値になったときに、動作モードが低速モードから通常モードに切り替えられるため、その切り替えのための測定値のマージンを広くすることができる。つまり、測定値が第1閾値よりも大きくなって動作モードが通常モードから低速モードに切り替えられた直後に、その測定値が第1閾値以下になっても、第2閾値以下でなければ、動作モードは切り替えられず、低速モードに維持される。その結果、動作モードの切り替えが頻繁に発生することを抑えることができ、可動部の動作を安定させることができる。
【0022】
また、第2態様または第3態様に従属する第4態様に係る部品圧着装置では、前記制御部は、前記可動部を前記通常モードあるいは前記低速モードで制御している場合に、前記測定値が第3閾値よりも大きくなったときには、前記可動部を停止させ、前記第3閾値は前記第1閾値よりも大きくてもよい。
【0023】
これにより、測定値が第3閾値よりも大きくなったときには、すなわち、筐体内に漂うパーティクルの数が非常に多い場合には、その可動部が停止するため、不良品の生産を高い確度で抑制することができる。
【0024】
また、第1態様から第4態様の何れか1つに従属する第5態様に係る部品圧着装置では、前記可動部は、前記筐体内に設けられる第1作業エリアと第2作業エリアとの間を移動する広域可動部と、前記第1作業エリア内でのみ動作する第1狭域可動部と、前記第2作業エリア内でのみ動作する第2狭域可動部と、を含み、前記パーティクルセンサは、前記第1作業エリアのエアに含まれるパーティクルに関する測定を行い、前記パーティクルに関する第1測定値を出力する第1パーティクルセンサと、前記第2作業エリアのエアに含まれるパーティクルに関する測定を行い、前記パーティクルに関する第2測定値を出力する第2パーティクルセンサと、を含み、前記可動部の動作モードには、通常モードと、前記通常モードよりも前記可動部の最高速度が遅い低速モードとがあり、前記制御部は、(1)前記第1測定値に基づいて、前記第1狭域可動部の動作モードを、前記通常モードと前記低速モードとに切り替え、(2)前記第2測定値に基づいて、前記第2狭域可動部の動作モードを、前記通常モードと前記低速モードとに切り替え、(3)前記第1測定値および前記第2測定値に基づいて、前記広域可動部の動作モードを、前記通常モードと前記低速モードとに切り替えてもよい。
【0025】
これにより、第1狭域可動部の動作モードは、その第1狭域可動部が動作する第1作業エリアで測定された第1測定値に基づいて切り替えられる。したがって、第1作業エリアにおける、第1狭域可動部の動作に起因する実装基板の歩留まりの低下を抑えることができ、かつ、稼働率の低下を抑制することができる。同様に、第2狭域可動部の動作モードは、その第2狭域可動部が動作する第2作業エリアで測定された第2測定値に基づいて切り替えられる。したがって、第2作業エリアにおける、第2狭域可動部の動作に起因する実装基板の歩留まりの低下を抑えることができ、かつ、稼働率の低下を抑制することができる。さらに、広域可動部の動作モードは、その広域可動部が移動する第1作業エリアおよび第2作業エリアで測定された第1測定値および第2測定値に基づいて切り替えられる。つまり、広域可動部の動作モードは、第1測定値のみに基づいて、あるいは、第2測定値のみに基づいて、切り替えられず、第1測定値および第2測定値に基づいて切り替えられる。したがって、第1測定値が大きくても第2測定値が小さい場合、あるいは、第2測定値が大きくても第1測定値が小さい場合には、広域可動部の動作モードを通常モードに維持することができる。その結果、第1狭域可動部および第2狭域可動部の一方の狭域可動部の動作モードのみが、低速モードに切り替えられた場合でも、他方の狭域可動部および広域可動部のそれぞれの動作モードは通常モードに維持される。したがって、一方の狭域可動部の動作の速度によって他方の狭域可動部が受ける影響を抑えることができ、他方の狭域可動部のスループットまたは稼働率の低下を抑止することができる。
【0026】
以下、実施の形態について、図面を参照しながら具体的に説明する。
【0027】
なお、以下で説明する実施の形態は、いずれも包括的または具体的な例を示すものである。以下の実施の形態で示される数値、形状、材料、構成要素、構成要素の配置位置および接続形態、ステップ、ステップの順序などは、一例であり、本開示を限定する主旨ではない。また、以下の実施の形態における構成要素のうち、最上位概念を示す独立請求項に記載されていない構成要素については、任意の構成要素として説明される。また、各図は、模式図であり、必ずしも厳密に図示されたものではない。また、各図において、同じ構成部材については同じ符号を付している。
【0028】
(実施の形態)
[部品圧着装置の概略構成]
図1は、本実施の形態における部品圧着装置の概略構成を示す図である。
【0029】
本実施の形態における部品圧着装置1は、液晶パネル、有機EL(Electro-Luminescence)パネルなどの基板3に部品5を圧着することによって、フラットディスプレイパネルなどの実装基板を製品として生産する装置である。なお、部品5は、例えば駆動回路などの電子部品である。具体的な一例では、部品5は、IC(Integrated Circuit)チップ、TCP(Tape Carrier Package)、COF(Chip on Film)、FPC(Flexible Printed Circuit)などである。
【0030】
このような部品圧着装置1は、
図1に示すように、貼着部20と、仮圧着部30と、本圧着部40と、部品供給部50とを有する。貼着部20、仮圧着部30および本圧着部40はこの順で連結され、部品供給部50は仮圧着部30に連結されている。
【0031】
貼着部20は、他の装置などから搬入された例えば矩形状の基板3を受け取り、その基板3の周縁にある複数の電極部4のそれぞれに、接着部材であるACFを貼着する。言い換えれば、貼着部20は、基板3の電極部4にACFを貼り付ける。そして、貼着部20は、そのACFが貼着された基板3を、仮圧着部30に搬出する。なお、複数の電極部4のそれぞれは、例えば、複数の電極から構成されている。
【0032】
部品供給部50は、仮圧着部30に部品5を供給する。仮圧着部30は、貼着部20から搬出された基板3を受け取り、その基板3のACFが貼着されている部位に、部品供給部50から供給された部品5を搭載して仮圧着する。そして、仮圧着部30は、その部品5が仮圧着された基板3を、本圧着部40に搬出する。
【0033】
本圧着部40は、仮圧着部30から搬出された基板3を受け取り、その基板3に仮圧着された部品5に対して本圧着を行う。この本圧着は、熱圧着とも呼ばれる。そして、本圧着部40は、その本圧着が行われた基板3を、他の装置などに搬出する。
【0034】
このように、部品圧着装置1は、搬入された基板3の周縁に設けられた複数の電極部4のそれぞれに部品5を圧着し、部品5が圧着された基板3を実装基板として搬出する。
【0035】
ここで、本実施の形態における部品圧着装置1は、第1パーティクルセンサ121、第2パーティクルセンサ122、第3パーティクルセンサ123、および第4パーティクルセンサ124を備える。これらのパーティクルセンサはそれぞれ、部品圧着装置1の筐体内のエアに含まれるパーティクルに関する測定を行い、そのパーティクルに関する測定値を出力する。具体的には、第1パーティクルセンサ121は、貼着部20に備えられ、その貼着部20において舞い上がるパーティクルに関する測定を行う。第2パーティクルセンサ122は、仮圧着部30に備えられ、その仮圧着部30において舞い上がるパーティクルに関する測定を行う。第3パーティクルセンサ123は、本圧着部40に備えられ、その本圧着部40において舞い上がるパーティクルに関する測定を行う。第4パーティクルセンサ124は、部品供給部50に備えられ、その部品供給部50において舞い上がるパーティクルに関する測定を行う。
【0036】
本実施の形態では、パーティクルに関する測定は、パーティクルの数の測定であって、測定値は、そのパーティクルの数である。つまり、測定値は、パーティクルの数が多いほど大きい値を示す。しかし、パーティクルに関する測定は、これに限定されることなく、パーティクルのサイズの測定であってもよい。この場合、測定値は、パーティクルのサイズである。あるいは、パーティクルに関する測定では、所定のサイズごとに、そのサイズを有するパーティクルの数が測定されてもよい。例えば、直径が1μmを有するパーティクルの数、および、直径0.3μmを有するパーティクルの数が測定されてもよい。
【0037】
[部品圧着装置の詳細構成]
図2は、本実施の形態における部品圧着装置1の平面図である。具体的には、
図2は、部品圧着装置1を上方から見た構成を示す。なお、本実施の形態において、基板3の搬送方向、すなわち左右方向をX軸方向と称し、鉛直方向、すなわち上下方向をZ軸方向と称し、X軸方向およびZ軸方向に垂直な方向、すなわち奥行き方向をY軸方向と称す。また、X軸方向の負側および正側は、基板3の搬送方向の上流側および下流側にそれぞれ相当し、Z軸方向の負側および正側は、鉛直方向の下側および上側にそれぞれ相当し、Y軸方向の負側および正側は、奥行き方向の手前側および奥側、または、前側および後側にそれぞれ相当する。なお、
図2では、説明の簡略化のために、上述の各パーティクルセンサは省略されている。
【0038】
貼着部20は、上述のように、基板3の電極部4にACFを貼着する貼着作業を行う。このような貼着部20は、それぞれ基台1a上に配置されている基板移動機構21と、貼着機構22と、搬送機構62Aとを備える。
【0039】
基板移動機構21は、基板3を移動させる機構であって、基板3を保持するステージ23を有する。ステージ23の上面には、複数の吸着孔23aが設けられている。基板移動機構21は、そのステージ23上に載置された基板3をその複数の吸着孔23aによって真空吸着して保持する。そして、基板移動機構21は、基板3を吸着保持するステージ23を水平面内(具体的には、X軸方向およびY軸方向)で移動させ、上下方向(すなわちZ軸方向)に昇降させるとともにZ軸回りに回転させる。
【0040】
貼着機構22は、基台1aの上方に、X軸方向に並んだ例えば2つの貼着ヘッドを備えている。各貼着ヘッドは、ACFを供給する供給部と、ACFを基板3に貼着するための貼着ツールとを備えている。2つの貼着ヘッドのそれぞれは、基板3上の電極部4に対応する位置にACFを貼着する。
【0041】
搬送機構62Aは、基台1aのX軸方向にわたって延びた移動ベース61上に配置されている。搬送機構62Aは、基部63と、2つのアームユニット64とを備える。基部63は、移動ベース61上をX軸方向に自在に移動する。2つのアームユニット64は、基部63上にX軸方向に並んで設けられている。アームユニット64は、基板3を上方から真空吸着する。このような搬送機構62Aは、貼着部20のステージ23に載置された基板3を受け取り、仮圧着部30のステージ37に受け渡す。
【0042】
部品供給部50は、仮圧着部30の奥側(すなわちY軸方向正側)に設けられ、仮圧着部30に部品5を供給する部品供給作業を行う。例えば、部品供給部50は、それぞれ基台1b上に配置されている供給リール51と、打ち抜き部52と、可動ステージ53と、レール54とを備える。供給リール51には、TCPなどのテープが巻き付けられている。可動ステージ53は、レール54に沿って移動する。このような部品供給部50は、打ち抜き部52によってテープから部品5を打ち抜き、その部品5を可動ステージ53に載置して仮圧着部30に順次供給する。
【0043】
仮圧着部30は、基板3のACFが貼着された領域(すなわち圧着対象部位)に部品5を搭載して仮圧着する仮圧着作業を行う。仮圧着部30は、それぞれ基台1a上に配置されている基板移動機構31と、部品搭載機構32と、部品移送機構35と、搬送機構62Bとを備える。
【0044】
基板移動機構31は、貼着部20の基板移動機構21と同様の構造を有する。具体的には、基板移動機構31は、基板3を保持するステージ37を有する。ステージ37の上面には、複数の吸着孔37aが設けられている。基板移動機構31は、そのステージ37上に載置された基板3をその複数の吸着孔37aによって真空吸着して保持する。また、基板移動機構31は、基板3を吸着保持するステージ37を水平面内で移動させ、上下方向に昇降させるとともにZ軸回りに回転させる機能を備える。基板移動機構31は、そのステージ37の移動および回転によって、吸着保持されている基板3のACFが貼着された領域を、部品搭載機構32のバックアップステージ36の上方に位置させる。
【0045】
部品移送機構35は、部品供給部50から供給される部品5を、部品搭載機構32に含まれる圧着ツール34側に移動させる。
【0046】
部品搭載機構32は、基台1a上に設けられ、圧着ツール34とバックアップステージ36とを備える。バックアップステージ36は、ステージ37に保持されている基板3の縁部を下方から支持する。なお、この縁部には、基板3においてACFが貼着されている圧着対象部位が含まれている。圧着ツール34は、部品5を保持し、バックアップステージ36によって支持されている基板3の上面に部品5を圧着する。つまり、圧着ツール34は、基板3の圧着対象部位に部品5を圧着する。具体的には、圧着ツール34は、Z軸方向に昇降し、部品移送機構35によって移動された部品5を上方から吸着(つまり、ピックアップ)する。そして、圧着ツール34は、吸着した部品5をACF上に搭載して基板3ごとバックアップステージ36に押し付けることで、基板3に部品5を仮圧着する。
【0047】
搬送機構62Bは、搬送機構62Aと同様の構成を有し、移動ベース61上に配置される。このような搬送機構62Bは、仮圧着部30のステージ37に載置された基板3を受け取り、本圧着部40のステージ49に受け渡す。
【0048】
本圧着部40は、仮圧着部30によって基板3に仮圧着された部品5を基板3に本圧着(つまり、熱圧着)する本圧着作業を行う。こうすることで、基板3に形成された電極部4と部品5とはACFを介して電気的に接続される。このような本圧着部40は、基板移動機構41と、圧着機構42と、搬送機構62Cとを備える。
【0049】
基板移動機構41は、貼着部20の基板移動機構21と同様の構造を有する。具体的には、基板移動機構41は、ステージ49を有する。ステージ49の上面には、複数の吸着孔49aが設けられている。基板移動機構41は、そのステージ49上に載置された基板3をその複数の吸着孔49aによって真空吸着して保持する。また、基板移動機構41は、基板3を吸着保持するステージ49を水平面内で移動させ、上下方向に昇降させるとともにZ軸回りに回転させる機能を備える。基板移動機構41は、そのステージ49の移動および回転によって、吸着保持されている基板3の部品5が仮圧着された領域を、圧着機構42の圧着支持部46の上方に位置させる。
【0050】
圧着機構42は、圧着ツール43および圧着支持部46を備え、例えば約200℃に加熱された圧着ツール43で基板3の部品5を圧着支持部46側に押圧する。これにより、部品5は本圧着され、基板3に形成された電極部4と部品5とはACFを介して電気的に接続される。
【0051】
搬送機構62Cは、搬送機構62Aと同様の構成を有し、移動ベース61上に配置される。このような搬送機構62Cは、本圧着部40のステージ49に載置された基板3を受け取り、部品圧着装置1の外部にある装置などに受け渡す。
【0052】
図3は、部品圧着装置1の外観の一例を示す斜視図である。
【0053】
部品圧着装置1は、筐体7を備える。筐体7は、
図2に示す貼着部20、仮圧着部30、本圧着部40、および部品供給部50を収容する。また、このような筐体7には、複数の吸気部71と、複数の排気部72とが取り付けられている。例えば、その複数の吸気部71は、筐体7の上部に取り付けられ、複数の排気部72は、筐体7の側部に取り付けられている。より具体的な一例では、1つの吸気部71が、筐体7における貼着部20、仮圧着部30、本圧着部40、および部品供給部50のそれぞれの上方の部位に取り付けられている。また、例えば、複数の排気部72が、筐体7における貼着部20、仮圧着部30、本圧着部40、および部品供給部50のそれぞれの側方の部位に取り付けられている。
【0054】
吸気部71は、モータと、そのモータによって回動するファンと、例えばHEPA(High Efficiency Particulate Air)フィルタなどのフィルタとを備える。モータによって回動するファンは、部品圧着装置1の周囲、すなわち筐体7の外部にあるエアをその筐体7の内部に供給する。このとき、その外部のエアは、フィルタを通過して筐体7の内部に送り込まれる。その結果、外部のエアに含まれる粉塵などのパーティクルはそのフィルタによって取り除かれる。したがって、その外部のエアは、浄化され、清浄エアとして筐体7の内部に供給される。
【0055】
排気部72は、吸気部71と同様、モータと、そのモータによって回動するファンとを備える。モータによって回動するファンは、筐体7の内部にあるエアをその筐体7の外部に排出する。このようなエアの排出、すなわち排気によって、そのエアに含まれているパーティクルも筐体7の外部に排出される。
【0056】
[パーティクルに関する制御]
図4は、部品圧着装置1の仮圧着部30が有するパーティクルに関連する各構成要素の配置例を示す図である。
【0057】
基板移動機構31に含まれるステージ37は、そのステージ37に載置されている基板3を保持しながら移動することによって、基板3の縁部をバックアップステージ36上に配置する。その結果、バックアップステージ36は、その基板3の縁部を下方から支持する。そして、部品5を保持する圧着ツール34は、その部品5を基板3の縁部にある圧着対象部位に搭載し、さらに、その部品5を基板3と共にバックアップステージ36に押し付ける。これにより、部品5が基板3の圧着対象部位に圧着される。
【0058】
ここで、吸気部71は、筐体7の外部にあるエアをその筐体7の内部に供給する。このとき、上述のように、外部のエアに含まれるパーティクルは、吸気部71内のHEPAフィルタによって取り除かれる。したがって、筐体7内にある作業部110には、清浄エアが供給される。なお、作業部110は、圧着ツール34と、バックアップステージ36と、ステージ37を具備する基板移動機構31と含む構成要素群からなる。また、排気部72は、筐体7の内部にあるエアをその筐体7の外部に排出する。したがって、例えば、作業部110の周囲でパーティクルが舞い上がることによって、その周囲のエアにパーティクルが含まれている場合であっても、そのようなパーティクルを含むエアは、排気部72によって筐体7の外部に排出される。
【0059】
また、本実施の形態では、第2パーティクルセンサ122は、
図4に示すように、作業部110の周囲にあるエアに含まれるパーティクルの数を測定する。具体的には、第2パーティクルセンサ122は、作業部110の周囲に配置されている吸気口81から配管82を介して、その作業部110の周囲にあるエアを取り込み、そのエアに含まれるパーティクルの数を測定する。なお、そのパーティクルは、粒子または小片とも呼ばれる。例えば、第2パーティクルセンサ122は、その筐体7内の単位体積あたりのエアに含まれるパーティクルの数を測定する。単位体積は、例えば1立方フィートであってもよく、1立方メートルであってもよい。また、測定されるパーティクルの直径または最大幅は、例えば0.5μm以上であってもよく、0.5μm以下であってもよく、そのパーティクルのサイズは限定されない。そして、第2パーティクルセンサ122は、その測定されたパーティクルの数である測定値を示すセンシング信号を後述の制御部に出力する。制御部は、そのセンシング信号を受信し、そのセンシング信号によって示される測定値に基づいて、作業部110を制御する。
【0060】
図5は、本実施の形態における部品圧着装置1のパーティクルに関連する構成の一例を示すブロック図である。
【0061】
本実施の形態における貼着部20、仮圧着部30、本圧着部40、および部品供給部50は、筐体7内における第1作業エリア20a、第2作業エリア30a、第3作業エリア40a、および第4作業エリア50aにそれぞれ配置されている。
【0062】
第1作業エリア20aには、第1狭域可動部111、第1パーティクルセンサ121、および第1エア制御機構131が配置されている。つまり、第1作業エリア20aに配置されている貼着部20が、第1狭域可動部111、第1パーティクルセンサ121、および第1エア制御機構131を備える。第1狭域可動部111は、第1作業エリア20a内でのみ動作する機構であって、例えば、基板移動機構21である。第1エア制御機構131は、筐体7の貼着部20に対応する部位にそれぞれ取り付けられている吸気部71および複数の排気部72を含む機構である。
【0063】
第2作業エリア30aには、第2狭域可動部112、第2パーティクルセンサ122、および第2エア制御機構132が配置されている。つまり、第2作業エリア30aに配置されている仮圧着部30が、第2狭域可動部112、第2パーティクルセンサ122、および第2エア制御機構132を備える。第2狭域可動部112は、第2作業エリア30a内でのみ動作する機構であって、例えば、基板移動機構31である。第2エア制御機構132は、筐体7の仮圧着部30に対応する部位にそれぞれ取り付けられている吸気部71および複数の排気部72を含む機構である。
【0064】
第3作業エリア40aには、第3狭域可動部113、第3パーティクルセンサ123、および第3エア制御機構133が配置されている。つまり、第3作業エリア40aに配置されている本圧着部40が、第3狭域可動部113、第3パーティクルセンサ123、および第3エア制御機構133を備える。第3狭域可動部113は、第3作業エリア40a内でのみ動作する機構であって、例えば、基板移動機構41である。第3エア制御機構133は、筐体7の本圧着部40に対応する部位にそれぞれ取り付けられている吸気部71および複数の排気部72を含む機構である。
【0065】
第4作業エリア50aには、第4狭域可動部114、第4パーティクルセンサ124、および第4エア制御機構134が配置されている。つまり、第4作業エリア50aに配置されている部品供給部50が、第4狭域可動部114、第4パーティクルセンサ124、および第4エア制御機構134を備える。第4狭域可動部114は、第4作業エリア50a内でのみ動作する機構であって、例えば、可動ステージ53である。第4エア制御機構134は、筐体7の部品供給部50に対応する部位にそれぞれ取り付けられている吸気部71および複数の排気部72を含む機構である。
【0066】
また、部品圧着装置1は、第1広域可動部141、第2広域可動部142、および第3広域可動部143を備える。第1広域可動部141は、第1作業エリア20aおよび第2作業エリア30aにおいて動作する機構であって、例えば、搬送機構62Aである。つまり、第1広域可動部141は、第1作業エリア20aと第2作業エリア30aとの間を移動する。第2広域可動部142は、第2作業エリア30aおよび第3作業エリア40aにおいて動作する機構であって、例えば、搬送機構62Bである。つまり、第2広域可動部142は、第2作業エリア30aと第3作業エリア40aとの間を移動する。第3広域可動部143は、第4作業エリア50aおよび第2作業エリア30aにおいて動作する機構であって、例えば、部品移送機構35である。つまり、第3広域可動部143は、第4作業エリア50aと第2作業エリア30aとの間を移動する。
【0067】
このように、本実施の形態における部品圧着装置1は、それぞれ筐体7内に配置され、部品5を基板3に圧着するための動作を行う第1狭域可動部111、第2狭域可動部112、第3狭域可動部113、および第4狭域可動部114を備える。同様に、部品圧着装置1は、それぞれ筐体7内に配置され、部品5を基板3に圧着するための動作を行う第1広域可動部141、第2広域可動部142、および第3広域可動部143を備える。なお、本実施の形態では、第1狭域可動部111、第2狭域可動部112、第3狭域可動部113、および第4狭域可動部114のそれぞれは、狭域可動部と総称される。また、第1広域可動部141、第2広域可動部142、および第3広域可動部143のそれぞれは、広域可動部と総称される。さらに、狭域可動部および広域可動部のそれぞれは、可動部と総称される。なお、可動部の動作は、可動部自体の移動であってもよく、可動部に具備される構成要素の移動であってもよい。また、可動部は、第1狭域可動部111、第2狭域可動部112、第3狭域可動部113、および第4狭域可動部114と、第1広域可動部141、第2広域可動部142、および第3広域可動部143とを備えているとも言える。
【0068】
また、本実施の形態における部品圧着装置1は、制御部150を備える。この制御部150は、第1パーティクルセンサ121、第2パーティクルセンサ122、第3パーティクルセンサ123、および第4パーティクルセンサ124のそれぞれから出力されるセンシング信号を取得する。そして、制御部150は、それらのセンシング信号によって示される測定値に基づいて、第1狭域可動部111、第2狭域可動部112、第3狭域可動部113、および第4狭域可動部114のそれぞれの動作の速度を制御する。具体的には、制御部150は、第1パーティクルセンサ121の測定値に基づいて、第1狭域可動部111の動作の速度を制御し、第2パーティクルセンサ122の測定値に基づいて、第2狭域可動部112の動作の速度を制御する。同様に、制御部150は、第3パーティクルセンサ123の測定値に基づいて、第3狭域可動部113の動作の速度を制御し、第4パーティクルセンサ124の測定値に基づいて、第4狭域可動部114の動作の速度を制御する。
【0069】
さらに、制御部150は、それらのセンシング信号によって示される測定値に基づいて、第1広域可動部141、第2広域可動部142、および第3広域可動部143のそれぞれの動作の速度を制御する。具体的には、制御部150は、第1パーティクルセンサ121の測定値と、第2パーティクルセンサ122の測定値とに基づいて、第1広域可動部141の動作の速度を制御する。また、制御部150は、第2パーティクルセンサ122の測定値と、第3パーティクルセンサ123の測定値とに基づいて、第2広域可動部142の動作の速度を制御する。また、制御部150は、第4パーティクルセンサ124の測定値と、第2パーティクルセンサ122の測定値とに基づいて、第3広域可動部143の動作の速度を制御する。
【0070】
このように、本実施の形態における制御部150は、各パーティクルセンサから出力される測定値に基づいて、各可動部の動作の速度を制御する。
【0071】
図6Aは、第1狭域可動部111の動作モードを説明するための図である。なお、
図6Aのグラフの縦軸は、第1狭域可動部111の動作速度を示し、横軸は、第1狭域可動部111の移動方向に沿う各位置を示す。なお、動作速度は、第1狭域可動部111の移動速度であるとも言える。
【0072】
第1狭域可動部111の動作モードには、通常モード、低速モード、および停止モードがある。制御部150は、これらの動作モードを切り替え、切り替えられた動作モードで第1狭域可動部111の動作速度を制御する。
【0073】
通常モードでは、第1狭域可動部111は、例えば位置aから位置bまで、最高速度v1で移動する。低速モードでは、第1狭域可動部111は、例えば位置aから位置bまで、最高速度v2で移動する。その最高速度v2は、最高速度v1よりも遅い。つまり、低速モードにおける第1狭域可動部111の最高速度は、通常モードよりも遅い。また、停止モードでは、第1狭域可動部111は停止する。つまり、停止モードでは、第1狭域可動部111の動作速度は0である。制御部150は、このような動作モードにしたがって第1狭域可動部111を移動または動作させる。
【0074】
図6Bは、第1狭域可動部111の動作モードの切り替えを説明するための図である。なお、
図6Bのグラフは、第1パーティクルセンサ121の測定値と時間との関係を示す。具体的には、
図6Bのグラフの縦軸は、第1パーティクルセンサ121から出力されるセンシング信号によって示される測定値を示す。この測定値は、第1作業エリア20aのエアに含まれるパーティクルの数である。
図6Bのグラフの横軸は、時間を示す。
【0075】
例えば、測定値は、
図6Bに示すように、時刻t0から時刻t2過ぎまで上昇し、その後、減少する。制御部150は、時刻t0から時刻t1の直前までは、その測定値が第1閾値以下であるため、第1狭域可動部111を通常モードで制御する。そして、制御部150は、時刻t1において測定値が第1閾値よりも大きくなると、第1狭域可動部111の動作モードを、通常モードから低速モードに切り替える。つまり、制御部150は、第1狭域可動部111の動作を遅くする。その後、制御部150は、時刻t2において測定値が第3閾値よりも大きくなると、第1狭域可動部111の動作モードを、低速モードから停止モードに切り替える。つまり、制御部150は、第1狭域可動部111を停止させる。なお、第3閾値は、第1閾値よりも大きい値である。
【0076】
そして、制御部150は、時刻t3において測定値が第1閾値以下になると、第1狭域可動部111の動作モードを、停止モードから低速モードに切り替える。つまり、制御部150は、停止してる第1狭域可動部111をゆっくり動かす。さらに、制御部150は、時刻t4において測定値が第2閾値以下になると、第1狭域可動部111の動作モードを、低速モードから通常モードに切り替える。つまり、制御部150は、第1狭域可動部111の動作を速くする。なお、第2閾値は、第1閾値よりも小さい値である。なお、停止モードから低速モードに切り替わる閾値は、第1閾値と同じでなくてもよい。
【0077】
また、本実施の形態では、制御部150は、第2狭域可動部112、第3狭域可動部113、および第4狭域可動部114のそれぞれも、第1狭域可動部111と同様、
図6Aに示す各動作モードで制御してもよい。さらに、制御部150は、第2狭域可動部112、第3狭域可動部113、および第4狭域可動部114のそれぞれの動作モードを、第1狭域可動部111と同様、
図6Bに示す例のように切り替えてもよい。
【0078】
具体的には、制御部150は、第1狭域可動部111、第2狭域可動部112、第3狭域可動部113、および第4狭域可動部114のそれぞれの動作モードを、その狭域可動部が動作する作業エリアの測定値に基づいて切り替える。例えば、第1作業エリア20aの第1パーティクルセンサ121が測定値として第1測定値を出力し、第2作業エリア30aの第2パーティクルセンサ122が測定値として第2測定値を出力する。この場合、制御部150は、第1測定値に基づいて、第1狭域可動部111の動作モードを、通常モードと低速モードと停止モードとに切り替える。そして、制御部150は、第2測定値に基づいて、第2狭域可動部112の動作モードを、通常モードと低速モードと停止モードとに切り替える。
【0079】
図7は、第1作業エリア20a、第2作業エリア30a、および第3作業エリア40aのそれぞれにおける狭域可動部の動作モードの切り替え例を示す図である。なお、
図7の(a)のグラフは、第1作業エリア20aにおける第1パーティクルセンサ121の測定値と時間との関係を示す。
図7の(b)のグラフは、第2作業エリア30aにおける第2パーティクルセンサ122の測定値と時間との関係を示す。
図7の(c)のグラフは、第3作業エリア40aにおける第3パーティクルセンサ123の測定値と時間との関係を示す。
【0080】
図7の(b)および(c)に示すように、第2作業エリア30aおよび第3作業エリア40aのそれぞれでは、時刻t10~t13まで測定値は、第1閾値以下である。したがって、制御部150は、時刻t10~t13まで、第2作業エリア30aの第2狭域可動部112と、第3作業エリア40aの第3狭域可動部113とを、通常モードで制御する。一方、
図7の(a)に示すように、第1作業エリア20aのみ、時刻t10から時刻t11の直前まで、測定値は第1閾値以下であるが、時刻t11にその測定値が第1閾値よりも大きくなり、時刻t12にその測定値が第2閾値以下になる。この場合、制御部150は、時刻t11から時刻t12の直前までの間では、第2作業エリア30aおよび第3作業エリア40aの各狭域可動部を通常モードで制御しながら、第1作業エリア20aの第1狭域可動部111のみ低速モードで制御する。
【0081】
図8Aは、制御部150が第1狭域可動部111を制御する処理動作を示すフローチャートである。
【0082】
まず、制御部150は、第1パーティクルセンサ121からセンシング信号を取得する。つまり、制御部150は、そのセンシング信号によって示される測定値を取得する(ステップS11)。次に、制御部150は、その測定値が第2閾値以下であるか否かを判定する(ステップS12)。ここで、制御部150は、測定値が第2閾値以下ではないと判定すると(ステップS12のNo)、ステップS11からの処理を繰り返し実行する。一方、制御部150は、測定値が第2閾値以下であると判定すると(ステップS12のYes)、通常モードによる第1狭域可動部111の制御を開始する(ステップS13)。なお、制御部150は、ステップS11の前に低速モードでの第1狭域可動部111の制御を開始し、その後、ステップS11およびステップS12を実行して、測定値が第2閾値以下であると判定された場合に通常モードでの第1狭域可動部111の制御を開始してもよい。
【0083】
次に、制御部150は、第1パーティクルセンサ121からセンシング信号を取得することによって、そのセンシング信号によって示される測定値を取得する(ステップS14)。そして、制御部150は、現在の第1狭域可動部111の動作モードが停止モードであるか否かを判定する(ステップS15)。ここで、制御部150は、その動作モードが停止モードであると判定すると(ステップS15のYes)、さらに、ステップS14で取得された測定値が第1閾値よりも大きいか否かを判定する(ステップS16)。制御部150は、動作モードが停止モードであるときに、測定値が第1閾値よりも大きいと判定すると(ステップS16のYes)、その停止モードを維持する(ステップS17)。一方、制御部150は、動作モードが停止モードであるときに、測定値が第1閾値以下であると判定すると(ステップS16のNo)、その動作モードを低速モードに切り替える(ステップS18)。
【0084】
また、制御部150は、ステップS15において、現在の第1狭域可動部111の動作モードが停止モードではないと判定すると(ステップS15のNo)、ステップS14で取得された測定値が第3閾値よりも大きいか否かを判定する(ステップS19)。ここで、制御部150は、測定値が第3閾値よりも大きいと判定すると(ステップS19のYes)、第1狭域可動部111の動作モードを停止モードに切り替える(ステップS20)。一方、制御部150は、測定値が第3閾値以下であると判定すると(ステップS19のNo)、通常/低速モード切替処理を実行する(ステップS21)。
【0085】
制御部150は、ステップS17、S18、S20、またはS21の処理を実行すると、処理動作を終了するか否かを判定し(ステップS22)、終了しないと判定すると(ステップS22のNo)、ステップS14からの処理を繰り返し実行する。
【0086】
図8Bは、制御部150による第1狭域可動部111に対する通常/低速モード切替処理の一例を示すフローチャートである。つまり、
図8Bは、
図8AのステップS21の処理を詳細に示すフローチャートである。
【0087】
まず、制御部150は、現在の第1狭域可動部111の動作モードが通常モードであるか否かを判定する(ステップS211)。このときには、
図8AのステップS15において既に、その動作モードは、停止モードではないと判定されているため、ステップS211では、その動作モードが通常モードであるか、低速モードであるかが判定される。
【0088】
ここで、制御部150は、動作モードが通常モードであると判定すると(ステップS211のYes)、さらに、
図8AのステップS14で取得された測定値が第1閾値よりも大きいか否かを判定する(ステップS212)。制御部150は、測定値が第1閾値よりも大きいと判定すると(ステップS212のYes)、第1狭域可動部111の動作モードを通常モードから低速モードに切り替える(ステップS213)。一方、制御部150は、測定値が第1閾値以下であると判定すると(ステップS212のNo)、第1狭域可動部111の動作モードを通常モードに維持する(ステップS214)。
【0089】
また、制御部150は、動作モードが通常モードではないと判定すると、すなわち、動作モードが低速モードであると判定すると(ステップS211のNo)、さらに、
図8AのステップS14で取得された測定値が第2閾値以下であるか否かを判定する(ステップS215)。制御部150は、測定値が第2閾値以下であると判定すると(ステップS215のYes)、第1狭域可動部111の動作モードを低速モードから通常モードに切り替える(ステップS216)。一方、制御部150は、測定値が第2閾値以下ではないと判定すると(ステップS215のNo)、第1狭域可動部111の動作モードを低速モードに維持する(ステップS217)。
【0090】
このように、本実施の形態における制御部150は、第1パーティクルセンサ121から出力される測定値に基づいて、第1狭域可動部111の動作の速度を制御する。これにより、第1狭域可動部111の動作の速度が測定値に基づいて制御されるため、例えば、筐体7内に漂うパーティクルの数が多い場合には、その第1狭域可動部111の動作を遅くすることができる。その結果、例えば、筐体7内におけるパーティクルの舞い上がりを抑えることができる。したがって、基板3、または、その基板3に貼り付けられるACFにパーティクルが付着することを困難にすることができる。さらに、そのようなパーティクルの付着によって実装基板が不良品として生産されることを抑制することができ、実装基板の歩留まりの低下を抑えることができる。さらに、筐体7内に漂うパーティクルの数が多い場合には、その第1狭域可動部111の動作を停止させることなく、低速モード、すなわち遅い速度で第1狭域可動部111を動作させ続けることができる。その結果、部品圧着装置1の稼働率の低下を抑制することができ、生産効率の向上を図ることができる。
【0091】
なお、上述の例では、第1狭域可動部111が制御されるが、第4狭域可動部114も同様に制御されてもよい。この場合には、基板3への圧着のために供給される部品5にパーティクルが付着することを困難にすることができる。また、第2狭域可動部112または第3狭域可動部113も同様に制御されてもよい。この場合には、基板3に部品5が仮圧着または本圧着されるときに、その基板3と部品5との接合部位にパーティクルが付着することを困難にすることができる。
【0092】
また、本実施の形態における制御部150は、第1狭域可動部111を通常モードで制御している場合に、第1パーティクルセンサ121の測定値が第1閾値よりも大きくなったときには、第1狭域可動部111の動作モードを通常モードから低速モードに切り替える。これにより、低速モードでは、通常モードよりも最高速度が遅いため、効果的に実装基板の歩留まりの低下を抑えながら、生産効率の向上を図ることができる。
【0093】
また、本実施の形態における制御部150は、第1狭域可動部111を低速モードで制御している場合に、第1パーティクルセンサ121の測定値が第2閾値以下になったときには、第1狭域可動部111の動作モードを低速モードから通常モードに切り替える。これにより、測定値が第1閾値よりも小さい第2閾値になったときに、動作モードが低速モードから通常モードに切り替えられるため、その切り替えのための測定値のマージンを広くすることができる。つまり、測定値が第1閾値よりも大きくなって動作モードが通常モードから低速モードに切り替えられた直後に、その測定値が第1閾値以下になっても、第2閾値以下でなければ、動作モードは切り替えられず、低速モードに維持される。その結果、動作モードの切り替えが頻繁に発生することを抑えることができ、第1狭域可動部111の動作を安定させることができる。
【0094】
また、本実施の形態における制御部150は、第1狭域可動部111を通常モードあるいは低速モードで制御している場合に、第1パーティクルセンサ121の測定値が第3閾値よりも大きくなったときには、第1狭域可動部111を停止させる。つまり、第1狭域可動部111の動作モードが、通常モードあるいは低速モードから停止モードに切り替えられる。これにより、測定値が第3閾値よりも大きくなったときには、すなわち、筐体7内に漂うパーティクルの数が非常に多い場合には、第1狭域可動部111が停止するため、不良品の生産を高い確度で抑制することができる。
【0095】
一方、第1広域可動部141、第2広域可動部142および第3広域可動部143のそれぞれについては、制御部150は、その広域可動部が移動する複数の作業エリアの測定値に基づいて、その広域可動部の動作モードを切り替える。
【0096】
図9は、第1作業エリア20aと第2作業エリア30aとの間を移動する第1広域可動部141の動作モードの切り替え例を示す図である。なお、
図9の(a)のグラフは、第1作業エリア20aにおける第1パーティクルセンサ121の測定値と時間との関係を示す。
図9の(b)のグラフは、第2作業エリア30aにおける第2パーティクルセンサ122の測定値と時間との関係を示す。
【0097】
時刻t20から時刻t21の直前まで、
図9の(b)に示す第2作業エリア30aの測定値は、第1閾値よりも大きいが、
図9の(a)に示す第1作業エリア20aの測定値は、第1閾値以下である。したがって、制御部150は、時刻t20から時刻t21の直前まで、第1広域可動部141を通常モードで制御する。そして、制御部150は、時刻t21に、第1作業エリア20aおよび第2作業エリア30aのそれぞれの測定値が第1閾値よりも大きくなると、第1広域可動部141の動作モードを、通常モードから低速モードに切り替える。その後、時刻t22に、第1作業エリア20aの測定値が第1閾値よりも大きい状況で、第2作業エリア30aの測定値のみが、第2閾値以下になる。このとき、制御部150は、第1広域可動部141の動作モードを、低速モードから通常モードに切り替える。
【0098】
つまり、制御部150は、第1広域可動部141を通常モードで制御しているときに、第1広域可動部141が移動する全ての作業エリアの測定値が第1閾値よりも大きくなると、その第1広域可動部141の動作モードを通常モードから低速モードに切り替える。また、制御部150は、第1広域可動部141を低速モードで制御しているときに、その全ての作業エリアのうちの1つの作業エリアの測定値でも、第2閾値以下になると、その第1広域可動部141の動作モードを低速モードから通常モードに切り替える。なお、
図9に示す例では、全ての作業エリアは、2つの作業エリア(すなわち第1作業エリア20aおよび第2作業エリア30a)であるが、第1広域可動部141が3つ以上の作業エリアで動作する場合には、3つ以上の作業エリアであってもよい。また、第2広域可動部142および第3広域可動部143についても、第1広域可動部141と同様に制御されてもよい。
【0099】
図10Aは、制御部150が第1広域可動部141を制御する処理動作を示すフローチャートである。
【0100】
まず、制御部150は、第1パーティクルセンサ121および第2パーティクルセンサ122のそれぞれからセンシング信号を取得する。つまり、制御部150は、それらのセンシング信号によって示される第1測定値および第2測定値を取得する(ステップS31)。
【0101】
なお、第1測定値は、第1パーティクルセンサ121のセンシング信号によって示される測定値であり、第1作業エリア20aの測定値である。つまり、第1パーティクルセンサ121は、第1作業エリア20aのエアに含まれるパーティクルに関する測定を行い、そのパーティクルに関する第1測定値を出力している。また、第2測定値は、第2パーティクルセンサ122のセンシング信号によって示される測定値であり、第2作業エリア30aの測定値である。つまり、第2パーティクルセンサ122は、第2作業エリア30aのエアに含まれるパーティクルに関する測定を行い、そのパーティクルに関する第2測定値を出力している。
【0102】
次に、制御部150は、ステップS31で取得された第1測定値および第2測定値が第1条件を満たすか否かを判定する(ステップS32)。第1条件は、「第1測定値が第2閾値th2a以下であって、かつ、第2測定値が第2閾値th2b以下である」という条件である。第2閾値th2aは、第1作業エリア20aの第2閾値であり、第2閾値th2bは、第2作業エリア30aの第2閾値である。また、第2閾値th2aと第2閾値th2bとは、同じ値であってもよく、互に異なる値であってもよい。
【0103】
ここで、制御部150は、第1測定値および第2測定値が第1条件を満たさないと判定すると(ステップS32のNo)、ステップS31からの処理を繰り返し実行する。例えば、第1測定値が第2閾値th2aよりも大きい場合、または、第2測定値が第2閾値th2bよりも大きい場合、制御部150は、ステップS31からの処理を繰り返し実行する。あるいは、第1測定値が第2閾値th2aよりも大きく、かつ、第2測定値も第2閾値th2bよりも大きい場合、制御部150は、ステップS31からの処理を繰り返し実行する。
【0104】
一方、制御部150は、第1測定値および第2測定値が第1条件を満たすと判定すると(ステップS32のYes)、通常モードによる第1広域可動部141の制御を開始する(ステップS33)。
【0105】
次に、制御部150は、第1パーティクルセンサ121および第2パーティクルセンサ122のそれぞれからセンシング信号を取得することによって、それらのセンシング信号によって示される第1測定値および第2測定値を取得する(ステップS34)。そして、制御部150は、現在の第1広域可動部141の動作モードが停止モードであるか否かを判定する(ステップS35)。ここで、制御部150は、その動作モードが停止モードであると判定すると(ステップS35のYes)、さらに、ステップS34で取得された第1測定値および第2測定値が第2条件を満たすか否かを判定する(ステップS36)。その第2条件は、「第1測定値が第1閾値th1aよりも大きく、かつ、第2測定値が第1閾値th1bよりも大きい」という条件である。第1閾値th1aは、第1作業エリア20aの第1閾値であり、第1閾値th1bは、第2作業エリア30aの第1閾値である。また、第1閾値th1aと第1閾値th1bとは、同じ値であってもよく、互に異なる値であってもよい。
【0106】
制御部150は、動作モードが停止モードであるときに、第1測定値および第2測定値が第2条件を満たすと判定すると(ステップS36のYes)、その停止モードを維持する(ステップS37)。一方、制御部150は、動作モードが停止モードであるときに、第1測定値および第2測定値が第2条件を満たさないと判定すると(ステップS36のNo)、その動作モードを低速モードに切り替える(ステップS38)。
【0107】
また、制御部150は、ステップS35において、現在の第1広域可動部141の動作モードが停止モードではないと判定する(ステップS35のNo)、ステップS34で取得された第1測定値および第2測定値が第3条件を満たすか否かを判定する(ステップS39)。その第3条件は、「第1測定値が第3閾値th3aよりも大きく、かつ、第2測定値が第3閾値th3bよりも大きい」という条件である。第3閾値th3aは、第1作業エリア20aの第3閾値であり、第3閾値th3bは、第2作業エリア30aの第3閾値である。また、第3閾値th3aと第3閾値th3bとは、同じ値であってもよく、互に異なる値であってもよい。
【0108】
ここで、制御部150は、第1測定値および第2測定値が第3条件を満たすと判定すると(ステップS39のYes)、第1広域可動部141の動作モードを停止モードに切り替える(ステップS40)。一方、制御部150は、第1測定値および第2測定値が第3条件を満たさない判定すると(ステップS39のNo)、通常/低速モード切替処理を実行する(ステップS41)。
【0109】
制御部150は、ステップS37、S38、S40、またはS41の処理を実行すると、処理動作を終了するか否かを判定し(ステップS42)、終了しないと判定すると(ステップS42のNo)、ステップS34からの処理を繰り返し実行する。
【0110】
図10Bは、制御部150による第1広域可動部141に対する通常/低速モード切替処理の一例を示すフローチャートである。つまり、
図10Bは、
図10AのステップS41の処理を詳細に示すフローチャートである。
【0111】
まず、制御部150は、現在の第1広域可動部141の動作モードが通常モードであるか否かを判定する(ステップS411)。このときには、
図10AのステップS35において既に、その動作モードは、停止モードではないと判定されているため、ステップS411では、その動作モードが通常モードであるか、低速モードであるかが判定される。
【0112】
ここで、制御部150は、動作モードが通常モードであると判定すると(ステップS411のYes)、さらに、
図10AのステップS34で取得された第1測定値および第2測定値が上述の第2条件を満たしているか否かを判定する(ステップS412)。なお、その第2条件は、「第1測定値が第1閾値th1aよりも大きく、かつ、第2測定値が第1閾値th1bよりも大きい」という条件である。制御部150は、第1測定値および第2測定値が第2条件を満たすと判定すると(ステップS412のYes)、動作モードを通常モードから低速モードに切り替える(ステップS413)。一方、制御部150は、第1測定値および第2測定値が第2条件を満たさないと判定すると(ステップS412のNo)、動作モードを通常モードに維持する(ステップS414)。
【0113】
また、制御部150は、動作モードが通常モードではないと判定すると、すなわち、動作モードが低速モードであると判定すると(ステップS411のNo)、さらに、
図10AのステップS34で取得された第1測定値および第2測定値が第4条件を満たすか否かを判定する(ステップS415)。第4条件は、「第1測定値が第2閾値th2aよりも大きく、かつ、第2測定値が第2閾値th2bよりも大きい」という条件である。制御部150は、第1測定値および第2測定値が第4条件を満たすと判定すると(ステップS415のYes)、動作モードを低速モードに維持する(ステップS416)。一方、制御部150は、第1測定値および第2測定値が第4条件を満たさないと判定すると(ステップS415のNo)、動作モードを低速モードから通常モードに切り替える(ステップS417)。つまり、第1測定値および第2測定値のうちの一方でも第2閾値以下になれば、動作モードが低速モードから通常モードに切り替えられる。
【0114】
このように、本実施の形態では、第1狭域可動部111の動作モードは、その第1狭域可動部111が動作する第1作業エリア20aで測定された第1測定値に基づいて切り替えられる。したがって、第1作業エリア20aにおける、第1狭域可動部111の動作に起因する実装基板の歩留まりの低下を抑えることができ、かつ、稼働率の低下を抑制することができる。同様に、第2狭域可動部112の動作モードは、その第2狭域可動部112が動作する第2作業エリア30aで測定された第2測定値に基づいて切り替えられる。したがって、第2作業エリア30aにおける、第2狭域可動部112の動作に起因する実装基板の歩留まりの低下を抑えることができ、かつ、稼働率の低下を抑制することができる。また、本実施の形態における制御部150は、第1測定値および第2測定値に基づいて、第1広域可動部141の動作モードを、通常モードと低速モードとに切り替える。つまり、第1広域可動部141の動作モードは、その第1広域可動部141が移動する第1作業エリア20aおよび第2作業エリア30aで測定された第1測定値および第2測定値に基づいて切り替えられる。このように、第1広域可動部141の動作モードは、第1測定値のみに基づいて、あるいは、第2測定値のみに基づいて、切り替えられず、第1測定値および第2測定値に基づいて切り替えられる。したがって、第1測定値が大きくても第2測定値が小さい場合、あるいは、第2測定値が大きくても第1測定値が小さい場合には、第1広域可動部141の動作モードを通常モードに維持することができる。その結果、第1狭域可動部111および第2狭域可動部112の一方の狭域可動部の動作モードのみが、低速モードに切り替えられた場合でも、他方の狭域可動部および第1広域可動部141のそれぞれの動作モードは通常モードに維持される。したがって、一方の狭域可動部の動作の速度によって他方の狭域可動部が受ける影響を抑えることができ、他方の狭域可動部のスループットまたは稼働率の低下を抑止することができる。
【0115】
以上、一つまたは複数の態様に係る部品圧着装置について、上記実施の形態に基づいて説明したが、本開示は、この実施の形態に限定されるものではない。本開示の趣旨を逸脱しない限り、当業者が思いつく各種変形を上記実施の形態に施したものも、本開示の範囲内に含まれてもよい。
【0116】
例えば、上記実施の形態の
図10Aおよび
図10Bの例では、制御部150は、第1広域可動部141を通常モードで制御している場合に、第1測定値および第2測定値が第1閾値よりも大きくなると、第1広域可動部141の動作モードを通常モードから低速モードに切り替える。つまり、制御部150は、第1測定値が第1閾値th1aよりも大きく、かつ、第2測定値が第1閾値th1bよりも大きくなると、第1広域可動部141の動作モードを通常モードから低速モードに切り替える。しかし、制御部150は、第1測定値および第2測定値のうちの何れか一方の測定値が第1閾値よりも大きくなると、第1広域可動部141の動作モードを通常モードから低速モードに切り替えてもよい。つまり、制御部150は、第1測定値が第1閾値th1aよりも大きくなると、あるいは、第2測定値が第1閾値th1bよりも大きくなると、第1広域可動部141の動作モードを通常モードから低速モードに切り替えてもよい。このように、制御部150は、第1広域可動部141を通常モードで制御しているときに、第1広域可動部141が移動する全ての作業エリアの測定値のうちの1つでも第1閾値よりも大きくなると、その第1広域可動部141の動作モードを通常モードから低速モードに切り替えてもよい。なお、全ての作業エリアは3つ以上の作業エリアであってもよい。
【0117】
また、上記実施の形態の
図10Aおよび
図10Bの例では、制御部150は、第1広域可動部141を低速モードで制御している場合に、第1測定値および第2測定値のうちの何れか一方の測定値が第2閾値以下になると、第1広域可動部141の動作モードを低速モードから通常モードに切り替える。つまり、制御部150は、第1測定値が第2閾値th2a以下になると、あるいは、第2測定値が第2閾値th2b以下になると、第1広域可動部141の動作モードを低速モードから通常モードに切り替える。しかし、制御部150は、第1測定値および第2測定値が第2閾値以下になると、第1広域可動部141の動作モードを低速モードから通常モードに切り替えてもよい。つまり、制御部150は、第1測定値が第2閾値th2a以下で、かつ、第2測定値が第2閾値th2b以下になると、第1広域可動部141の動作モードを低速モードから通常モードに切り替えてもよい。このように、制御部150は、第1広域可動部141を低速モードで制御しているときに、第1広域可動部141が移動する全ての作業エリアの測定値が第2閾値以下になると、その第1広域可動部141の動作モードを低速モードから通常モードに切り替えてもよい。なお、全ての作業エリアは3つ以上の作業エリアであってもよい。
【0118】
また、上記実施の形態の
図10Aおよび
図10Bの例に用いられる第1閾値th1aは、第1狭域可動部111の制御に用いられる第1閾値と同じであってもよく、異なっていてもよい。同様に、第1閾値th1bは、第2狭域可動部112の制御に用いられる第1閾値と同じであってもよく、異なっていてもよい。さらに、上記実施の形態の
図10Aおよび
図10Bの例に用いられる第2閾値th2aは、第1狭域可動部111の制御に用いられる第2閾値と同じであってもよく、異なっていてもよい。同様に、第2閾値th2bは、第2狭域可動部112の制御に用いられる第2閾値と同じであってもよく、異なっていてもよい。さらに、上記実施の形態の
図10Aおよび
図10Bの例に用いられる第3閾値th3aは、第1狭域可動部111の制御に用いられる第3閾値と同じであってもよく、異なっていてもよい。同様に、第3閾値th3bは、第2狭域可動部112の制御に用いられる第3閾値と同じであってもよく、異なっていてもよい。
【0119】
また、部品圧着装置1が備える各可動部の通常モードの最高速度は、互に異なっていてもよく、同じであってもよい。同様に、各可動部の低速モードの最高速度は、互に異なっていてもよく、同じであってもよい。また、第1閾値、第2閾値、および第3閾値のそれぞれは、第1作業エリア20a、第2作業エリア30a、第3作業エリア40a、および第4作業エリア50aにおいて同一であってもよく、作業エリアごとに異なっていてもよい。
【0120】
また、上記実施の形態において、4つの狭域可動部は、基板移動機構21、基板移動機構31、基板移動機構41、および可動ステージ53であるが、これらに限定されることなく、作業エリア内でのみ動作する機構でれば、どのような機構であってもよい。また、3つの広域可動部は、搬送機構62A、搬送機構62B、および部品移送機構35であるが、これらに限定されることなく、複数の作業エリア間を移動する機構でれば、どのような機構であってもよい。
【0121】
また、上記実施の形態の
図4の例では、第2パーティクルセンサ122は、作業部110の周囲に配置されている吸気口81から配管82を介して、その作業部110の周囲にあるエアを取り込むが、そのエアを直接取り込んでもよい。この場合、第2パーティクルセンサ122は、作業部110に近い位置に取り付けられる。そして、第2パーティクルセンサ122は、吸気口81および配管82を介することなく、その作業部110の周囲のエアを直接的に取り込み、その取り込まれたエアに含まれるパーティクルの数を測定する。第1パーティクルセンサ121、第3パーティクルセンサ123、および第4パーティクルセンサ124のそれぞれも、第2パーティクルセンサ122と同様に、そのパーティクルセンサが配置されている作業エリアのエアを取り込んでもよい。
【0122】
また、上記実施の形態では、基板3は液晶パネルであって、その液晶パネルに部品5が仮圧着および本圧着されるが、基板3は液晶パネル以外の基板であってもよい。
【0123】
また、上記実施の形態における部品供給部50は、TCPなどのテープから打ち抜かれた部品5を仮圧着部30に供給するが、トレイなどによってICなどの部品5を仮圧着部30に供給してもよい。
【0124】
また、上記実施の形態では、部品圧着装置1は、第1エア制御機構131、第2エア制御機構132、第3エア制御機構133、および第4エア制御機構134を備えているが、これらのエア制御機構を備えていなくてもよい。
【0125】
また、制御部150は、1つまたは複数の電子回路またはプロセッサで構成されてもよい。1つまたは複数の電子回路は、それぞれ、汎用的な回路でもよいし、専用の回路でもよい。1つまたは複数の電子回路には、例えば、半導体装置、IC(Integrated Circuit)またはLSI(Large Scale Integration)等が含まれてもよい。ICまたはLSIは、1つのチップに集積されてもよく、複数のチップに集積されてもよい。ここでは、ICまたはLSIと呼んでいるが、集積の度合いによって呼び方が変わり、システムLSI、VLSI(Very Large Scale Integration)、または、ULSI(Ultra Large Scale Integration)と呼ばれるかもしれない。また、LSIの製造後にプログラムされるFPGA(Field Programmable Gate Array)も同じ目的で使うことができる。
【産業上の利用可能性】
【0126】
本開示は、例えば液晶ディスプレイなどを生産する部品圧着装置に利用可能である。
【符号の説明】
【0127】
1 部品圧着装置
1a、1b 基台
3 基板
4 電極部
5 部品
7 筐体
20 貼着部
20a 第1作業エリア
21 基板移動機構
22 貼着機構
23 ステージ
23a 吸着孔
30 仮圧着部
30a 第2作業エリア
31 基板移動機構
32 部品搭載機構
34 圧着ツール
35 部品移送機構
36 バックアップステージ
37 ステージ
37a 吸着孔
40 本圧着部
40a 第3作業エリア
41 基板移動機構
42 圧着機構
43 圧着ツール
46 圧着支持部
49 ステージ
49a 吸着孔
50 部品供給部
50a 第4作業エリア
51 供給リール
52 打ち抜き部
53 可動ステージ
54 レール
61 移動ベース
62A 搬送機構
62B 搬送機構
62C 搬送機構
63 基部
64 アームユニット
71 吸気部
72 排気部
81 吸気口
82 配管
110 作業部
111 第1狭域可動部
112 第2狭域可動部
113 第3狭域可動部
114 第4狭域可動部
121 第1パーティクルセンサ
122 第2パーティクルセンサ
123 第3パーティクルセンサ
124 第4パーティクルセンサ
131 第1エア制御機構
132 第2エア制御機構
133 第3エア制御機構
134 第4エア制御機構
141 第1広域可動部
142 第2広域可動部
143 第3広域可動部
150 制御部