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特開2024-13746蒸気タービンプラントの制御システムおよび蒸気タービンプラント
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  • 特開-蒸気タービンプラントの制御システムおよび蒸気タービンプラント 図1
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024013746
(43)【公開日】2024-02-01
(54)【発明の名称】蒸気タービンプラントの制御システムおよび蒸気タービンプラント
(51)【国際特許分類】
   F01D 25/18 20060101AFI20240125BHJP
   F01D 25/12 20060101ALI20240125BHJP
   F01D 25/16 20060101ALI20240125BHJP
【FI】
F01D25/18 B
F01D25/12 Z
F01D25/16 H
F01D25/18 A
【審査請求】未請求
【請求項の数】7
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022116076
(22)【出願日】2022-07-21
(71)【出願人】
【識別番号】000003078
【氏名又は名称】株式会社東芝
(71)【出願人】
【識別番号】317015294
【氏名又は名称】東芝エネルギーシステムズ株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100111121
【弁理士】
【氏名又は名称】原 拓実
(74)【代理人】
【識別番号】100118474
【弁理士】
【氏名又は名称】寺脇 秀▲徳▼
(74)【代理人】
【識別番号】100141911
【弁理士】
【氏名又は名称】栗原 譲
(72)【発明者】
【氏名】竹丸 竜平
(72)【発明者】
【氏名】常川 拓浩
(72)【発明者】
【氏名】永石 晃一
(72)【発明者】
【氏名】早野 正洋
(57)【要約】
【課題】潤滑油の温度上昇を抑制する蒸気タービンプラントの制御システムおよび蒸気タービンプラントを提供することである。
【解決手段】実施形態の蒸気タービンプラントの制御システムは、共通油タンクから蒸気タービンの軸受に潤滑油としてタービン油を供給するとともに、前記軸受に供給された後のタービン油を前記共通油タンクに戻す潤滑油流路と、蒸気弁の開度を制御する制御機構に制御油として前記タービン油を供給するとともに、前記制御機構に供給された後のタービン油を前記共通油タンクに戻す制御油流路と、前記潤滑油流路のうち前記軸受よりも上流側から、前記制御油流路のうち前記制御機構よりも上流側へ分岐され、前記潤滑油流路を流れる前記タービン油の一部を前記制御油流路に供給する分岐流路と、前記潤滑油流路、前記分岐流路、および前記制御油流路の少なくとも一つ、かつ前記制御機構よりも上流側に設けられ、前記タービン油を冷却する油冷却器と、を備える。
【選択図】図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
共通油タンクから蒸気タービンの軸受に潤滑油としてタービン油を供給するとともに、前記軸受に供給された後のタービン油を前記共通油タンクに戻す潤滑油流路と、
蒸気弁の開度を制御する制御機構に制御油として前記タービン油を供給するとともに、前記制御機構に供給された後のタービン油を前記共通油タンクに戻す制御油流路と、
前記潤滑油流路のうち前記軸受よりも上流側から、前記制御油流路のうち前記制御機構よりも上流側へ分岐され、前記潤滑油流路を流れる前記タービン油の一部を前記制御油流路に供給する分岐流路と、
前記潤滑油流路、前記分岐流路、および前記制御油流路の少なくとも一つ、かつ前記制御機構よりも上流側に設けられ、前記タービン油を冷却する油冷却器と、
を備え、
前記制御油は、前記潤滑油流路から前記分岐流路を介して前記制御油流路に流入したタービン油である蒸気タービンプラントの制御システム。
【請求項2】
前記油冷却器は、前記潤滑油流路のうち前記分岐流路の分岐点よりも上流側に設けられる第1油冷却器である請求項1に記載の蒸気タービンプラントの制御システム。
【請求項3】
前記油冷却器は、前記分岐流路の分岐点と前記制御機構との間に設けられる第2油冷却器である請求項1または2に記載の蒸気タービンプラントの制御システム。
【請求項4】
前記油冷却器は、前記分岐流路の分岐点と前記制御機構との間に設けられる第2油冷却器であり、
前記潤滑油流路のうち前記分岐流路の分岐点と前記軸受との間に設けられ、前記軸受に供給される前に前記タービン油を冷却する第3油冷却器をさらに備える請求項1に記載の蒸気タービンプラントの制御システム。
【請求項5】
共通油タンクから蒸気タービンの軸受に潤滑油としてタービン油を供給するとともに、前記軸受に供給された後のタービン油を前記共通油タンクに戻す潤滑油流路と、
前記共通油タンクから蒸気弁の開度を制御する制御機構に制御油として前記タービン油を供給するとともに、前記制御機構に供給された後のタービン油を前記共通油タンクに戻す制御油流路と、
前記制御油流路のうち前記制御機構よりも上流側に設けられ、前記タービン油を冷却する油冷却器と、
を備え、
前記制御油は、前記油冷却器で冷却された後に前記制御機構に供給される蒸気タービンプラントの制御システム。
【請求項6】
前記油冷却器は第4油冷却器であり、
前記潤滑油流路のうち前記軸受よりも上流側に設けられ、前記軸受に供給される前に前記タービン油を冷却する第5油冷却器をさらに備える請求項5に記載の蒸気タービンプラントの制御システム。
【請求項7】
請求項1または5に記載の蒸気タービンプラントの制御システム
を備える蒸気タービンプラント。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明の実施形態は、蒸気タービンプラントの制御システムおよび蒸気タービンプラントに関する。
【背景技術】
【0002】
ガスタービンや蒸気タービン等の原動機における制御システムは、各種原動機を駆動すべくこれら原動機の制御機構に制御油を導き循環させるための制御油用の流路と、蒸気タービンの軸受等の潤滑剤として軸受等に潤滑油を導き循環させるための潤滑油用の流路とを備える。これらの油を介して、制御システムは各種原動機の稼働を制御する。ここで、制御油としては制御性能の向上のために例えば10MPaG以上の高圧の制御油が用いられることがある。高圧の制御油としては、制御油の漏洩による火災を防ぐべく、難燃性を有するリン酸エステル系難燃油等を用いる。一方、潤滑油は例えば1.0~2.0MPaG程度と上述した制御油と比較して一般に低圧の条件で用いるため、必ずしも制御油のような難燃性を有する必要は無い。したがって、潤滑油には、タービン油と称される石油系の精製油に、必要に応じて酸化防止剤、消泡剤、さび止め剤などの添加剤を添加した潤滑油を用いる。
【0003】
ところで、火災の原因となる制御油の着火は、主に他の火源による引火と、自然着火とに大別される。しかし、人為的に可能な火源あるいは火気を制限するとの前提の下では、制御油の自然着火温度以下の蒸気温度で運転される蒸気タービンプラント、特に飽和蒸気圧に近い低圧の蒸気を駆動源とする地熱蒸気タービンプラントにおいて、制御油が万一漏洩したとしても着火・火災は発生しない。このような着想ならびに事実認識に基づいて、制御油と潤滑油を同一の油とし、同じ油タンクからの油によって、蒸気タービンプラントを構成する原動機を駆動する制御システムが知られている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2005―140082号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
上述した従来の蒸気タービンプラントの制御システムでは、軸受等で発生する摩擦熱によって、潤滑油の温度が例えば80℃程度まで上昇する。この潤滑油を制御油として使用する場合、潤滑油を昇圧することが必要なため、昇圧ポンプの機械摺動部分等からの発熱によって潤滑油の温度はさらに上昇する。このように高温となった潤滑油が制御機構に供給されると、制御機構に含まれる駆動装置のシール部材が劣化し、その劣化箇所から潤滑油が漏洩する可能性がある。また、温度が上昇した潤滑油を使用し続けると、潤滑油自体がより早く劣化することも知られており、シール部材や潤滑油を含むプラント全体のメンテナンスコストが増大する可能性がある。
【0006】
そこで、本発明が解決しようとする課題は、潤滑油の温度上昇を抑制する蒸気タービンプラントの制御システムおよび蒸気タービンプラントを提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記課題を解決するために、実施形態の蒸気タービンプラントの制御システムは、共通油タンクから蒸気タービンの軸受に潤滑油としてタービン油を供給するとともに、前記軸受に供給された後のタービン油を前記共通油タンクに戻す潤滑油流路と、蒸気弁の開度を制御する制御機構に制御油として前記タービン油を供給するとともに、前記制御機構に供給された後のタービン油を前記共通油タンクに戻す制御油流路と、前記潤滑油流路のうち前記軸受よりも上流側から、前記制御油流路のうち前記制御機構よりも上流側へ分岐され、前記潤滑油流路を流れる前記タービン油の一部を前記制御油流路に供給する分岐流路と、前記潤滑油流路、前記分岐流路、および前記制御油流路の少なくとも一つ、かつ前記制御機構よりも上流側に設けられ、前記タービン油を冷却する油冷却器と、を備え、前記制御油は、前記潤滑油流路から前記分岐流路を介して前記制御油流路に流入したタービン油である。
【図面の簡単な説明】
【0008】
図1】第1実施形態に係る蒸気タービンプラントの制御システムを示す系統図。
図2】第2実施形態に係る蒸気タービンプラントの制御システムを示す系統図。
図3】第3実施形態に係る蒸気タービンプラントの制御システムを示す系統図。
図4】第4実施形態に係る蒸気タービンプラントの制御システムを示す系統図。
【発明を実施するための形態】
【0009】
以下、発明を実施するための実施形態について説明する。本実施形態における蒸気タービンプラントは、地熱発電プラントなど主に低圧の蒸気タービンプラントに好適に適用できるが、高油圧制御機構により制御される蒸気タービンプラントであればその種類は低圧の蒸気タービンプラントに限定されるものではなく、例えば冷媒を用いたタービンのほか、高圧や中圧の蒸気タービンプラントにも適用可能である。
【0010】
(第1実施形態)
図1を用いて第1実施形態を説明する。蒸気タービンプラント1は、蒸気発生ユニット10と、蒸気タービン20と、発電機30と、制御システム40とを備える。
【0011】
蒸気発生ユニット10は、蒸気タービンプラント1の作動流体である主蒸気を発生させる装置であり、蒸気発生ユニット10の下流側は主蒸気配管12に接続される。この主蒸気は、ほぼ飽和蒸気圧としての約0.2~1.0MPaGの圧力および約100~200℃の温度を有する状態で、後述する蒸気タービン20に供給される。
【0012】
蒸気タービン20は、蒸気発生ユニット10から主蒸気配管12と蒸気加減弁11を経て供給される主蒸気の膨張仕事によって回転駆動する蒸気タービンである。蒸気タービン20は、軸受21aおよび21b(以下総称して軸受21とする)によって支持される回転軸を介して、後述する発電機30に連結される。蒸気タービン20が回転駆動する際には、軸受21に後述するタービン油70を潤滑油として供給する。
【0013】
発電機30は、回転軸を介して蒸気タービン20に連結される。蒸気タービン20が回転駆動すると、回転軸を介して蒸気タービン20の回転エネルギが発電機30に伝達され、発電機30は回転エネルギを電気エネルギに変換する。
【0014】
制御システム40は、蒸気タービンプラント1における後述するタービン油70の循環を制御することで、軸受21への潤滑油の供給や、蒸気加減弁11の弁開度の調整をする。制御システム40の詳細は後述する。
【0015】
蒸気発生ユニット10で発生した主蒸気は、主蒸気配管12と蒸気加減弁11を経て蒸気タービン20へ供給される。この際、制御システム40を介して蒸気加減弁11の弁開度を調整することで、蒸気タービン20に供給される主蒸気の供給量が制御される。蒸気タービン20では、主蒸気による膨張仕事を受けて回転エネルギが発生し、回転軸を介してこの回転エネルギを発電機30に伝達する。蒸気タービン20で膨張仕事をした後の主蒸気は、排気として復水器(図示省略)へ供給される。一方、発電機30は、蒸気タービン20から伝達された回転エネルギを電気エネルギに変換して発電する。
【0016】
次に、制御システム40について説明する。制御システム40は、高油圧制御機構50と、共通油タンク60と、タービン油70と、潤滑油流路80と、制御油流路180とを備える。
【0017】
高油圧制御機構50は、主に蒸気加減弁11の弁開度を制御する油圧機構である。蒸気加減弁11は、弁体(図示省略)と、弁棒(図示省略)と、後述するタービン油70が制御油として供給されるシリンダ(図示省略)と、シリンダに設けられ弁棒を介して弁体に連結されたピストン(図示省略)とを含み、高油圧制御機構50は、蒸気加減弁11のシリンダに供給されるタービン油70(制御油)の供給量を制御する。高油圧制御機構50が蒸気加減弁11のシリンダに供給するタービン油70(制御油)の供給量に応じて、シリンダに設けられたピストンが変位し、その変位量によって、蒸気加減弁11の弁体の開度である弁開度が調整される。
【0018】
なお、本実施形態では、主に蒸気加減弁11の弁開度を制御する油圧機構として高油圧制御機構50を説明しているが、この高油圧制御機構50は、蒸気加減弁11に加えて、蒸気タービンプラント1の各種蒸気弁(図示や説明を省略)を制御する油圧機構としての機能を備えた構成でもよい。
【0019】
共通油タンク60は、潤滑油および制御油として用いるタービン油70を収容するための油タンクである。共通油タンク60は、共通油タンク60および軸受21からの油漏れを防止するために共通油タンク60内を負圧に保つガス抽出機61と、共通油タンク60内のタービン油70のレベルを表示する油面計62とを備える。共通油タンク60は、ガス流路(図1の共通油タンク60とガス抽出機61とをつなぐ点線)を介してガス抽出機61に接続される。
【0020】
タービン油70は、例えば石油系の精製油に、酸化防止剤、消泡剤、さび止め剤などの添加剤を添加した潤滑油である。タービン油70は、軸受21の潤滑油または高油圧制御機構50の制御油として機能する。タービン油70を潤滑油または制御油として用いる場合のより詳細な説明は後述する。
【0021】
潤滑油流路80は、流路80a、80b、80c、および80dと、モータ82a、82b、および82cと、潤滑油ポンプ84a、84b、および84cと、潤滑油ポンプ出口流路86a、86b、および86cと、逆止弁88a、88b、および88cと、第1油冷却器90と、潤滑油フィルタ92とを含む。
【0022】
流路80a、80b、80c、および80dと、潤滑油ポンプ出口流路86a、86b、および86cとは、タービン油70が流れる流路である。流路80a、80b、および80cは、共通油タンク60内のタービン油70を軸受21に供給する流路であり、流路80dは、軸受21において潤滑油として機能した後のタービン油70を共通油タンク60内に戻す流路である。タービン油70が潤滑油として機能する場合の流れに関する詳細な説明は後述する。
【0023】
モータ82a、82b、および82cは、共通油タンク60の上面に設けられる。モータ82aは潤滑油ポンプ84aを、モータ82bは潤滑油ポンプ84bを、モータ82cは潤滑油ポンプ84cを、それぞれ駆動するためのモータである。
【0024】
潤滑油ポンプ84a、84b、および84cは、吸入口にサクションフィルタ(図示省略)を備えた遠心ポンプであり、潤滑油ポンプ84aは潤滑油ポンプ出口流路86aを、潤滑油ポンプ84bは潤滑油ポンプ出口流路86bを、潤滑油ポンプ84cは潤滑油ポンプ出口流路86cを介して、それぞれ流路80aに接続される。潤滑油ポンプ84a、84b、84cは、共通油タンク60内でタービン油70に浸されるように設けられる。
【0025】
通常時は、潤滑油ポンプ84aと84bの少なくとも一方が駆動し、潤滑油ポンプ84aと84bが共に駆動できない時(例えばAC電源喪失時やプラント起動前等)には、バックアップポンプとして潤滑油ポンプ84cが駆動するように構成される。潤滑油ポンプ84aはモータ82aに、潤滑油ポンプ84bはモータ82bに、潤滑油ポンプ84cはモータ82cに駆動されることで、これらのポンプがサクションフィルタを介して共通油タンク60内のタービン油70を吸入する。吸入されたタービン油70は、潤滑油ポンプ出口流路86a、86b、86cに流れる。
【0026】
逆止弁88aは潤滑油ポンプ出口流路86aに、逆止弁88bは潤滑油ポンプ出口流路86bに、逆止弁88cは潤滑油ポンプ出口流路86cにそれぞれ設けられる弁であり、流路80aから潤滑油ポンプ84a、84b、および84cの側にタービン油70が流れることを防ぐ。なお、図1においては、逆止弁88a、88b、および88cの白抜きは開状態を、黒塗りは閉状態をそれぞれ示している。つまり、図1は、逆止弁88aが開状態、逆止弁88bおよび88cが閉状態であり、タービン油70が潤滑油ポンプ出口流路86aだけを流れて流路80aに供給される場合を図示している。
【0027】
第1油冷却器90は、流路80aと流路80bとの間に設けられる。第1油冷却器90は、タービン油70を、軸受21を冷却する潤滑油として適した温度まで冷却する。
【0028】
潤滑油フィルタ92は、流路80bと流路80cとの間に設けられ、タービン油70を濾過する。
【0029】
なお、第1油冷却器90と潤滑油フィルタ92とは、それぞれを逆の位置に並び換えてもよく、並び替えた場合でも上述の構成と同様の作用が得られる。
【0030】
制御油流路180は、流路180a、180b、および180cと、分岐流路182と、モータ184aおよび184bと、制御油ポンプ186aおよび186bと、制御油ポンプ出口流路188aおよび188bと、逆止弁190aおよび190bと、制御油フィルタ192と、アキュムレータ194とを含む。
【0031】
流路180a、180b、および180cと、分岐流路182と、制御油ポンプ出口流路188aおよび188bとは、タービン油70が流れる流路である。分岐流路182は、潤滑油フィルタ92よりも下流側である流路80cから分岐し、流路80cを流れるタービン油70の少なくとも一部が流入する流路である。流路180aおよび180bは、分岐流路182内のタービン油70を高油圧制御機構50に供給する流路であり、流路180cは、高油圧制御機構50で制御油として機能したタービン油70を共通油タンク60内に戻す流路である。タービン油70が制御油として機能する場合の流れに関する詳細な説明は後述する。
【0032】
なお、分岐流路182は、潤滑油流路80のうち第1油冷却器90よりも下流側から分岐すればよく、例えば流路80bに分岐点を設けてもよい。つまり、潤滑油流路80は分岐流路182の分岐点よりも上流側に第1油冷却器90を備える構成とすればよい。
【0033】
また、本実施形態の変形例として、制御油流路180が、高油圧制御機構50よりも上流側である分岐流路182、制御油ポンプ出口流路188aおよび188b、流路180a、または流路180bに、第1油冷却器90とは別の第2油冷却器(図示省略)を備えた構成としてもよい。つまり、本実施形態の変形例として、分岐流路182の分岐点よりも下流側、かつ高油圧制御機構50よりも上流側の制御油流路180に第2油冷却器を備えてもよい。加えて、本実施形態の別の変形例として、上述した第2油冷却器を備える場合に、潤滑油流路80が、分岐流路182の分岐点よりも上流側に第1油冷却器90を備えた構成としてもよいし、第1油冷却器90に代えて、分岐流路182の分岐点よりも下流側かつ軸受21よりも上流側に第3油冷却器(図示省略)を備えた構成としてもよい。
【0034】
これらの変形例を採用しても良い理由は、後述するようにタービン油70を潤滑油と制御油どちらで機能させる場合でも、そのいずれかの前に第1油冷却器90、第2油冷却器、または第3油冷却器でタービン油70を冷却できる構成とすれば良いからである。
【0035】
モータ184aおよび184bは、共通油タンク60の上面に設けられる。モータ184aは制御油ポンプ186aを、モータ184bは制御油ポンプ186bを、それぞれ駆動するためのモータである。
【0036】
制御油ポンプ186aおよび186bは、例えば約3.0~35.0MPaGの高油圧力を発生する自圧式のコンペンセータ(図示省略)を有しており、吐出圧力を一定に保持し安定かつ一定の高圧制御油を供給可能なピストンポンプ(図示省略)である。制御油ポンプ186aは制御油ポンプ出口流路188aを、制御油ポンプ186bは制御油ポンプ出口流路188bを介して、それぞれ流路180aに接続される。制御油ポンプ186aおよび186bは、共通油タンク60の上面に設けられる。
【0037】
通常時は、制御油ポンプ186aと186bの少なくとも一方が駆動するように構成される。制御油ポンプ186aはモータ184aに、制御油ポンプ186bはモータ184bにそれぞれ駆動されることで、このポンプが分岐流路182内のタービン油70を吸入する。吸入されたタービン油70は、制御油ポンプ出口流路188aおよび188bに流れる。
【0038】
なお、制御油ポンプ186aおよび186bは、共通油タンク60内でタービン油70に浸されるように設けてもよい。
【0039】
逆止弁190aは制御油ポンプ出口流路188aに、逆止弁190bは制御油ポンプ出口流路188bにそれぞれ設けられる弁であり、流路180aから制御油ポンプ186aおよび186bの側にタービン油70が流れることを防ぐ。なお、図1においては、逆止弁190aおよび190bの白抜きは開状態を、黒塗りは閉状態をそれぞれ示している。つまり、図1は、逆止弁190aが開状態、逆止弁190bが閉状態であり、タービン油70が制御油ポンプ出口流路188aだけを流れて流路180aに供給される場合を図示している。
【0040】
制御油フィルタ192は、流路180aと流路180bとの間に設けられ、タービン油70を濾過する。
【0041】
アキュムレータ194は、流路180bに設けられ、流路180b内のタービン油70の油圧変動を吸収する。
【0042】
次に、タービン油70の流れについて順次説明する。なお、以降は図1に示す場合、つまり、タービン油70は共通油タンク60から潤滑油ポンプ出口流路86aを通過して流路80aへ、分岐流路182から制御油ポンプ出口流路188aを通過して流路180aへそれぞれ流れる場合を例示して説明する。
【0043】
(タービン油70が潤滑油として機能する場合の流れ)
【0044】
共通油タンク60内のタービン油70は、モータ82aに駆動される潤滑油ポンプ84aによって吸入され、潤滑油ポンプ出口流路86a、逆止弁88a、流路80aを順次通過して第1油冷却器90に流入する。第1油冷却器90において低温状態に冷却されたタービン油70は、流路80bを経て潤滑油フィルタ92で濾過された後、流路80cを通過して軸受21に流入する。軸受21に流入したタービン油70は、軸受21と蒸気タービン20のタービンロータ(図示省略)との間で生じる摩耗を防止し、その接触面における振動や騒音を防ぐ潤滑油として機能する。潤滑油として機能した後のタービン油70は、温度が上昇した状態で流路80dを流れて共通油タンク60に戻る。
【0045】
(タービン油70が制御油として機能する場合の流れ)
【0046】
共通油タンク60内のタービン油70は、モータ82aに駆動される潤滑油ポンプ84aによって吸入され、潤滑油ポンプ出口流路86a、逆止弁88a、流路80aを順次通過して第1油冷却器90に流入する。第1油冷却器90において低温状態に冷却されたタービン油70は、流路80bを経て潤滑油フィルタ92で濾過された後、流路80cを流れるタービン油70の少なくとも一部が流路80cから分岐流路182に流入する。分岐流路182を流れるタービン油70は、モータ184aに駆動される制御油ポンプ186aによって例えば約3.0~35.0MPaGに昇圧され、制御油ポンプ出口流路188a、逆止弁190a、流路180aを順次通過して制御油フィルタ192で濾過される。濾過されたタービン油70は、流路180bを流れてアキュムレータ194により圧力変動が調整された後、高油圧制御機構50に流入する。高油圧制御機構50に流入したタービン油70は、高油圧制御機構50で供給量が制御されて蒸気加減弁11のシリンダに流入する。蒸気加減弁11のシリンダに流入したタービン油70は、蒸気加減弁11の弁体の弁開度を制御する制御油として機能する。制御油として機能した後のタービン油70は、温度が上昇した状態で流路180cを流れて共通油タンク60に戻る。
【0047】
潤滑油または制御油として機能した後に温度が上昇した状態で共通油タンク60へ戻ったタービン油70は、再度、上記の流れを経て潤滑油または制御油として循環する。
【0048】
以上説明した第1実施形態では、第1油冷却器90よりも下流側の流路80cから分岐流路182が分岐する構成とすることによって、一度低温状態に冷却されたタービン油70を軸受21や蒸気加減弁11のシリンダに供給できる。よって、本実施形態では、その前の油の流れで制御油として機能し蒸気加減弁11のピストンの変位(往復運動)による摺動箇所からの発熱を受けてタービン油70が温度上昇していた場合でも、潤滑油として機能し軸受21で生じる摩擦熱を受けてタービン油70が温度上昇していた場合でも、制御油や潤滑油として機能して温度が上昇した状態で共通油タンク60へ戻ったタービン油70は、再度制御油や潤滑油として機能する前に第1油冷却器90でタービン油70を低温状態に冷却できるので、タービン油70が高温であることに起因する高油圧制御機構50のシール部材(図示省略)や蒸気加減弁11の油圧各機器の損傷、この損傷箇所からの油漏れ、およびタービン油70自体の劣化を防ぐことができる。その結果、シール部材やタービン油70を含む、蒸気タービンプラント1の各構成の運用コストやメンテナンスコストを削減できる。
【0049】
また、本実施形態の変形例として、制御油流路180のうち高油圧制御機構50よりも上流側に第2油冷却器が設けられる構成や、第2油冷却器に加えて、第1油冷却器90が分岐流路182の分岐点よりも上流側に設けられる構成、第1油冷却器90に代えて分岐流路182の分岐点よりも下流側かつ軸受21よりも上流側に第3油冷却器が設けられる構成でも、本実施形態と同様の効果が得られる。つまり、制御油や潤滑油として機能してタービン油70が温度上昇しても、再度制御油や潤滑油として機能する前に第1油冷却器90、第2油冷却器、または第3油冷却器でタービン油70を低温状態に冷却できる。その結果、タービン油70が高温であることに起因する高油圧制御機構50のシール部材や蒸気加減弁11の油圧各機器の損傷、この損傷箇所からの油漏れ、およびタービン油70自体の劣化を防ぐことができるので、シール部材やタービン油70を含む、蒸気タービンプラント1の各構成の運用コストやメンテナンスコストを削減できる。
【0050】
(第2実施形態)
図2を参照して、第2実施形態について、第1実施形態と異なる点を主に説明する。第2実施形態と第1実施形態との主な相違点は、潤滑油ポンプ84a、84b、および84cから分離したサクションフィルタ81a、81b、および81cが共通油タンク60内に設けられた点と、モータ82a、82b、82c、184a、および184bと、潤滑油ポンプ84a、84b、および84cと、制御油ポンプ186aおよび186bとが、共通油タンク60から離間して設けられた点である。その他の構成については第1実施形態と同様であるとして同じ番号を付し、その説明を省略する。
【0051】
サクションフィルタ81aは潤滑油ポンプ82aの吸入口に、サクションフィルタ81bは潤滑油ポンプ82bの吸入口に、サクションフィルタ81cは潤滑油ポンプ82cの吸入口にそれぞれ設けられ、共通油タンク60内でタービン油70に浸されるように配置される。サクションフィルタ81a、81b、および81cは、潤滑油ポンプ82a、82b、および82cに吸入されるタービン油70を濾過する。
【0052】
モータ82a、82b、82c、184a、および184bと、潤滑油ポンプ84a、84b、および84cと、制御油ポンプ186aおよび186bとは、例えば共通油タンク60の外に近接する基礎(図示省略)等に固定されている。また、潤滑油ポンプ84a、84b、および84cは、共通油タンク60から離間してかつ共通油タンク60内のタービン油70の油面高さよりも低い高さに設けられる。
【0053】
つまり、モータ82a、82b、82c、184a、および184bと、潤滑油ポンプ84a、84b、および84cと、制御油ポンプ186aおよび186bとは、共通油タンク60の外部に、共通油タンク60から離間して設けられる。さらに、潤滑油ポンプ84a、84b、および84cは、共通油タンク60の外部であり、共通油タンク60内のタービン油70の油面高さよりも低い位置に設けられる。
【0054】
以上説明した第2実施形態では、モータ82a、82b、82c、184a、および184bと、潤滑油ポンプ84a、84b、および84cと、制御油ポンプ186aおよび186bとが、共通油タンク60から離間して設けられる構成とすることにより、第1実施形態と同様の効果に加えて、各種モータおよびポンプの駆動によって生じる振動が共通油タンク60に伝わることを抑制できる。結果として、これらモータおよびポンプと共通油タンク60とが共振しないので、出力が大きいモータおよびポンプを使用しても安定して蒸気タービンプラント1を運用することができる。さらに、これらモータおよびポンプが共通油タンク60の外に設けられるので、第1実施形態よりもこれらモータおよびポンプへのアクセス性がよく、モータおよびポンプに不具合等が生じた場合に作業員等が迅速に対応することができる。
【0055】
また、潤滑油ポンプ84a、84b、および84cが共通油タンク60から離間してかつ共通油タンク60内のタービン油70の油面高さよりも低い高さに設けられるので、潤滑油ポンプ84a、84b、および84cがタービン油70を吸入する駆動力を低減することができる。したがって、遠心ポンプ以外のポンプを潤滑油ポンプ84a、84b、および84cとして使用することもできる。たとえば、ギアポンプを採用すると、共通油タンク60内のタービン油70の油面高さよりも低い高さに設けられた状態であっても、ギアポンプよりも下流側に設けられた流路や機器に破損が生じた場合に、ギアポンプのギア自体が共通油タンク60からのタービン油70の流出を閉止するように作用するので、共通油タンク60周辺への油漏洩を防止することができる。
【0056】
(第3実施形態)
図3を参照して、第3実施形態について、第1および第2実施形態と異なる点を主に説明する。本実施形態と第1および第2実施形態との主な相違点は、分岐流路182に代えて、潤滑油80と制御油流路280とが独立して設けられた点と、制御油流路280のうち高油圧制御機構50よりも上流側に第4油冷却器291を、潤滑油流路80のうち軸受21よりも上流側に第5油冷却器94をそれぞれ設けた点である。その他の構成については第1および第2実施形態と同様であるとして同じ番号を付し、その説明を省略する。
【0057】
第5油冷却器94は、潤滑油流路80の流路80aと流路80bとの間に設けられ、流路80aから流入したタービン油70が、軸受21を冷却する潤滑油として適した温度になるように冷却する。なお、第5油冷却器94はタービン油70を軸受に供給する前に冷却すれば良いので、潤滑油流路80のうち軸受21の上流側に設けられていれば良い。例えば、第5油冷却器94は、流路80a、流路80b、流路80cのいずれか、またはこれら流路の間に設けられても良い。
【0058】
制御油流路280は、流路280a、280b、および280cと、サクションフィルタ283aおよび283bと、モータ284aおよび284bと、制御油ポンプ286aおよび286bと、制御油ポンプ出口流路288aおよび288bと、逆止弁290aおよび290bと、第4油冷却器291と、制御油フィルタ292と、アキュムレータ294とを含む。
【0059】
サクションフィルタ283aは制御油ポンプ286aの吸入口に、サクションフィルタ283bは制御油ポンプ286bの吸入口にそれぞれ設けられ、共通油タンク60内でタービン油70に浸されるように配置される。サクションフィルタ283aおよび283bは、制御油ポンプ286aおよび286bに吸入されるタービン油70を濾過する。
【0060】
第4油冷却器291は、制御油フィルタ292の上流側にある流路280aに設けられ、流路280aを流れるタービン油70を制御油として適した温度に冷却する。
【0061】
なお、第4油冷却器291と制御油フィルタ292とは、それぞれ逆の位置に並び換えてもよく、並び替えた場合でも上述の構成と同様の作用が得られる。
【0062】
さらに、第4油冷却器291は、制御油流路280のうち高油圧制御機構50よりも上流側に設けられていればよい。例えば制御油ポンプ出口流路288aおよび288bそれぞれに第4油冷却器に相当する冷却器を設けてもよいし、流路280bに第4冷却器を設けてもよい。これは、後述するようにタービン油70を制御油として機能させる場合に、その前に第4油冷却器291でタービン油70を冷却できる構成とすればよいからである。
【0063】
次に、タービン油70が制御油として機能する場合の流れについて、タービン油70が制御油ポンプ出口流路288aを通過して流路280aへ流れる場合を例示して説明する。なお、タービン油70が潤滑油として機能する場合の流れは第1実施形態と同様なため、詳細な説明は省略する。
【0064】
共通油タンク60内のタービン油70は、モータ284aに駆動される制御油ポンプ286aによってサクションフィルタ283aを介して吸入され、制御油ポンプ出口流路288a、逆止弁290a、流路280aを順次通過して第4油冷却器291に流入する。第4油冷却器291において低温状態に冷却されたタービン油70は、流路280aを流れ制御油フィルタ292で濾過された後、流路280bを通過してアキュムレータ294により圧力変動が調整されて、高油圧制御機構50に流入する。高油圧制御機構50に流入したタービン油70は、高油圧制御機構50において蒸気加減弁11の弁開度を制御する制御油として機能する。制御油として機能した後のタービン油70は、流路280cを流れて共通油タンク60に戻る。
【0065】
制御油として機能した後に共通油タンク60へ戻ったタービン油70は、再度、上記の流れを経て潤滑油または制御油として循環する。
【0066】
以上説明した第3実施形態によれば、潤滑油流路80と制御油流路280とが独立して設けられたとしても、制御油流路280のうち高油圧制御機構50よりも上流側に第4油冷却器291が設けられる構成とすることによって、第4油冷却器291で一度低温状態に冷却されたタービン油70を、蒸気加減弁11のシリンダに供給できる。一方、潤滑油流路80では、第5油冷却器94で低温状態に冷却されたタービン油70を軸受21に供給できる。よって、第1および第2実施形態と同様に、タービン油70が高温であることに起因する高油圧制御機構50のシール部材(図示省略)や蒸気加減弁11の油圧各機器の損傷、この損傷箇所からの油漏れ、およびタービン油70自体の劣化を防ぐことができる。その結果、シール部材やタービン油70を含む、蒸気タービンプラント1の各構成の運用コストやメンテナンスコストを削減できる。
【0067】
(第4実施形態)
図4を参照して、第4実施形態について、第1、第2、および第3実施形態と異なる点を主に説明する。第4実施形態と第1および第2実施形態との主な相違点は、分岐流路182に代えて、潤滑油80と制御油流路280とが潤滑油流路80から独立して設けられた点と、制御油流路280のうち高油圧制御機構50よりも上流側に第4油冷却器291が、潤滑油流路80のうち軸受21よりも上流側に第5油冷却器94がそれぞれ設けられた点である。また、第4実施形態と第3実施形態との主な相違点は、モータ284aおよび284bと、制御油ポンプ286aおよび286bとが、共通油タンク60から離間して設けられた点である。その他の構成については第1、第2、および第3実施形態と同様であるとして同じ番号を付し、その説明を省略する。
【0068】
モータ284aおよび284bと、制御油ポンプ286aおよび286bとは、例えば共通油タンク60の外に近接する基礎(図示省略)等に固定されている。また、制御油ポンプ286aおよび286bは、共通油タンク60から離間してかつ共通油タンク60内のタービン油70の油面高さよりも低い高さに設けられる。
【0069】
つまり、モータ284aおよび284bと、制御油ポンプ286aおよび286bとは、共通油タンク60の外部に、共通油タンク60から離間して設けられる。さらに、制御油ポンプ286aおよび286bは、共通油タンク60の外部であり、共通油タンク60内のタービン油70の油面高さよりも低い位置に設けられる。
【0070】
なお、モータ82a、82b、および82cと、潤滑油ポンプ86a、86b、および86cとは、第2実施形態の変形例と同様に、共通油タンク60から離間して設けられてもよい。
【0071】
以上説明した第4実施形態では、モータ284aおよび284bと、制御油ポンプ286aおよび286bとが、共通油タンク60から離間して設けられる構成とすることにより、第3実施形態と同様の効果に加えて、各種モータおよびポンプの駆動によって生じる振動が共通油タンク60に伝わることを抑制できる。結果として、これらモータおよびポンプと共通油タンク60とが共振しないので、出力が大きいモータおよびポンプを使用しても安定して蒸気タービンプラント1を運用することができる。さらに、これらモータおよびポンプが共通油タンク60の外に設けられるので、第1および第3実施形態よりもこれらモータおよびポンプへのアクセス性がよく、モータおよびポンプに不具合等が生じた場合に作業員等が迅速に対応することができる。
【0072】
さらに、制御油ポンプ286aおよび286bが共通油タンク60から離間してかつ共通油タンク60内のタービン油70の油面高さよりも低い高さに設けられるので、制御油ポンプ286aおよび286bがタービン油70を吸入する駆動力を低減することができる。したがって、ピストンポンプ以外の廉価なギアポンプ等のポンプを制御油ポンプ286aおよび286bとして使用することもできる。
【0073】
なお、第4実施形態の変形例として、第2実施形態のように、モータ82a、82b、および82cと、潤滑油ポンプ86a、86b、および86cとが、共通油タンク60から離間して設けられる構成とした場合は、第2実施形態と同様の効果も得られる。つまり、各種モータおよびポンプの駆動によって生じる振動が共通油タンク60に伝わることを抑制できる。結果として、これらモータおよびポンプと共通油タンク60とが共振しないので、出力が大きいモータおよびポンプを使用しても安定して蒸気タービンプラント1を運用することができる。さらに、これらモータおよびポンプが共通油タンク60の外に設けられるので、第1および第3実施形態よりもこれらモータおよびポンプへのアクセス性がよく、モータおよびポンプに不具合等が生じた場合に作業員等が迅速に対応することができる。
【0074】
さらに、潤滑油ポンプ84a、84b、および84cが共通油タンク60から離間し、かつ共通油タンク60内のタービン油70の油面高さよりも低い高さに設けられるので、潤滑油ポンプ84a、84b、および84cがタービン油70を吸入する駆動力を低減することができる。したがって、遠心ポンプ以外のポンプを潤滑油ポンプ84a、84b、および84cとして使用することもできる。
【0075】
本発明のいくつかの実施形態を説明したが、これらの実施形態は、例として提示したものであり、発明の範囲を限定することは意図していない。これら新規な実施形態は、その他の様々な形態で実施されることが可能であり、発明の要旨を逸脱しない範囲で、種々の省略、置き換え、変更を行うことができる。これら実施形態やその変形は、発明の範囲や要旨に含まれるとともに、特許請求の範囲に記載された発明とその均等の範囲に含まれる。
【符号の説明】
【0076】
1…蒸気タービンプラント、10…蒸気発生ユニット、11…蒸気加減弁、12…主蒸気配管、20…蒸気タービン、21a、21b…軸受、30…発電機、40…制御システム、50…高油圧制御機構、60…共通油タンク、61…ガス抽出機、62…油面計、70…タービン油、80…潤滑油流路、81a、81b、81c、283a、283b…サクションフィルタ、82a、82b、82c、184a、184b、284a、284b…モータ、84a、84b、84c…潤滑油ポンプ、86a、86b、86c…潤滑油ポンプ出口流路、88a、88b、88c、190a、190b、290a、290b…逆止弁、90…第1油冷却器、92…潤滑油フィルタ、94…第5油冷却器、180、280…制御油流路、182…分岐流路、186a、186b、286a、286b…制御油ポンプ、188a、188b、288a、288b…制御油ポンプ出口流路、192、292…制御油フィルタ、194、294…アキュムレータ、291…第4油冷却器。
図1
図2
図3
図4