(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024137464
(43)【公開日】2024-10-07
(54)【発明の名称】空気調和装置
(51)【国際特許分類】
F24F 11/74 20180101AFI20240927BHJP
F24F 8/30 20210101ALI20240927BHJP
F24F 8/80 20210101ALI20240927BHJP
【FI】
F24F11/74
F24F8/30
F24F8/80 300
F24F8/80 400
【審査請求】未請求
【請求項の数】9
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023048998
(22)【出願日】2023-03-24
(71)【出願人】
【識別番号】000005049
【氏名又は名称】シャープ株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100147304
【弁理士】
【氏名又は名称】井上 知哉
(74)【代理人】
【識別番号】100148493
【弁理士】
【氏名又は名称】加藤 浩二
(74)【代理人】
【識別番号】100168583
【弁理士】
【氏名又は名称】前井 宏之
(72)【発明者】
【氏名】藤井 貴英
【テーマコード(参考)】
3L260
【Fターム(参考)】
3L260AB14
3L260AB18
3L260BA06
3L260BA07
3L260CA17
3L260FA07
3L260FB67
3L260FC28
(57)【要約】
【課題】二酸化炭素の濃度情報に基づき空気を浄化することができる空気調和装置を提供する。
【解決手段】空気調和装置10は、フィルタ12と、送風部13と、取得部141と、送風制御部142とを備える。フィルタ12は、空気を濾過する。送風部13は、フィルタ12に空気を通過させる送風を行う。取得部141は、空気に含まれる二酸化炭素の濃度が増加した増加情報を取得する。送風制御部142は、取得部141が取得した増加情報に基づいて、二酸化炭素の濃度が増加する前よりも送風を強くするように送風部13を制御する。
【選択図】
図3
【特許請求の範囲】
【請求項1】
空気を濾過するフィルタと、
前記フィルタに前記空気を通過させる送風を行う送風部と、
前記空気に含まれる二酸化炭素の濃度が増加した増加情報を取得する取得部と、
前記取得部が取得した前記増加情報に基づいて、前記二酸化炭素の濃度が増加する前よりも送風を強くするように前記送風部を制御する送風制御部と
を備える、空気調和装置。
【請求項2】
前記取得部は、前記空気の汚染が増加した第2増加情報を取得し、
前記送風制御部は、前記取得部が取得した前記第2増加情報に基づいて、前記空気の送風量を増加するように前記送風部を制御する、請求項1に記載の空気調和装置。
【請求項3】
前記空気に含まれる二酸化炭素の濃度が増加した増加情報に基づいて、放出される単位時間当たりのイオンの量を増加させるイオン発生装置を更に備える、請求項1に記載の空気調和装置。
【請求項4】
前記増加情報は、前記空気調和装置よりも高い位置に設けられた他の空気調和装置が取得した前記増加情報を含む、請求項1又は請求項2に記載の空気調和装置。
【請求項5】
前記取得部は、前記空気に含まれる前記二酸化炭素の濃度を検出する濃度センサを有する、請求項1に記載の空気調和装置。
【請求項6】
前記送風制御部は、送風制御値に基づいて前記送風部に送風させ、
前記送風制御部は、前記増加情報に基づく前記送風制御値よりも前記第2増加情報に基づく前記送風制御値が小さい場合、前記増加情報に基づく前記送風制御値に応じた送風量を送出するように前記送風部を制御する、請求項2に記載の空気調和装置。
【請求項7】
前記二酸化炭素濃度の減少率を示す情報に基づいて換気を実施している換気状態であるか否かを判定する判定部を更に備え、
前記送風制御部は、前記判定部が前記換気状態であることを判定した場合、前記増加情報に基づく前記空気の送風量よりも多い送風量を送出するように前記送風部を制御する、請求項1に記載の空気調和装置。
【請求項8】
前記空気に湿度を与える加湿部を更に備え、
前記加湿部は、前記判定部が前記換気状態であることを判定した場合、前記空気に対する加湿を停止する、請求項7に記載の空気調和装置。
【請求項9】
前記加湿部は、前記判定部が前記換気状態から前記換気停止状態への変化を判定した場合、前記空気に対する加湿を再開し、
前記送風制御部は、前記加湿部による前記加湿の再開後、前記空気の汚染情報に基づく前記空気の送風量を送出するように前記送風部を制御する、請求項8に記載の空気調和装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、空気調和装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来より、空気調和装置は知られている。特許文献1の空気調和装置は、空気清浄フィルタと、ファンと、コントローラーとを備える。空気調和装置は、空気調和装置の周囲の空気を吸い込み、吸い込んだ空気を吹き出す。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
花粉や塵埃はフィルタで除去可能であるため、空気調和装置は、専用のセンサで花粉や塵埃の空気中での増加を検出して送風量を増加する。しかし、二酸化炭素は除去の対象ではないため、空気調和装置は、二酸化炭素の濃度情報を送風量の制御に用いていない。つまり、特許文献1の空気調和装置は、二酸化炭素の濃度情報を有効に活用していない。
【0005】
本開示は上記課題に鑑みてなされたものであり、二酸化炭素の濃度情報に基づき空気を浄化することができる空気調和装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本開示の一局面によれば、空気調和装置は、フィルタと、送風部と、取得部と、送風制御部とを備える。前記フィルタは、空気を濾過する。前記送風部は、前記フィルタに前記空気を通過させる送風を行う。前記取得部は、前記空気に含まれる二酸化炭素の濃度が増加した増加情報を取得する。前記送風制御部は、前記取得部が取得した前記増加情報に基づいて、前記二酸化炭素の濃度が増加する前よりも送風を強くするように前記送風部を制御する。
【発明の効果】
【0007】
本開示の空気調和装置によれば、二酸化炭素の濃度情報に基づき空気を浄化することができる。
【図面の簡単な説明】
【0008】
【
図1】本開示の実施形態1に係る空気調和装置を含む空調システムの一例を示すブロック図である。
【
図2】実施形態1に係る空気調和装置の断面図である。
【
図3】空気調和装置の一例を示すブロック図である。
【
図4】空気調和装置の制御マップの一例を示す図である。
【
図5】実施形態1に係る空気調和装置の第1濃度処理におけるフローチャートである。
【
図6】実施形態1に係る空気調和装置の第2濃度処理におけるフローチャートである。
【
図7】実施形態2に係る空気調和装置の濃度処理におけるフローチャートである。
【
図8】変形例に係る空気調和装置の第1濃度処理におけるフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0009】
本開示の実施形態について、図面を参照しながら説明する。なお、図中、同一又は相当部分については同一の参照符号を付して説明を参酌する。
【0010】
[実施形態1]
図1から
図3を参照して、本開示の実施形態1に係る空調システム100について説明する。
図1は、本開示の実施形態1に係る空気調和装置を含む空調システムの一例を示すブロック図である。
図2は、実施形態1に係る空気調和装置の断面図である。
図3は、空気調和装置の一例を示すブロック図である。
【0011】
図1に示しているように、空調システム100は、空間1に配置された複数の電気機器を管理している。管理対象の空間1は、例えば、開閉可能な扉や窓を有し、扉や窓を閉鎖可能な部屋である。空間1には、例えば、空気調和機(以下、「エアコン」と記載する)5と、空気調和装置10とが配置されている。空気調和装置10は、例えば、空気清浄機である。
【0012】
エアコン5と空気調和装置10とは、ネットワークNeを介して相互に通信可能である。エアコン5と空気調和装置10とは、サーバ3によって管理され、運転状態がサーバ3の表示部(図示略)に表示される。但し、エアコン5と空気調和装置10との通信は、ネットワークNeを介して通信することに限定されない。エアコン5と空気調和装置10とは、直接的に通信可能であっても良い。
【0013】
空気調和装置10は、例えば、除湿機能と、加湿機能とを備える。除湿機能では、空気調和装置10は、周囲の空気を吸い込み、吸い込んだ空気に含まれる水分を除去して空気を吹き出す。加湿機能では、空気調和装置10は、吸い込んだ空気に含まれる水分を増加させて空気を吹き出す。
図1および
図2に示しているように、空気調和装置10は、筐体11と、フィルタ12と、送風部13と、制御部14と、記憶部15とを備える。
【0014】
筐体11は、中空の部材である。本実施形態において、筐体11は、例えば、箱形状を有する。筐体11は、設置面Gに設置される。設置面Gは、例えば、床である。筐体11の材質は、例えば、板金、又は合成樹脂を含む。ただし、筐体11の材質は特に限定されない。筐体11は、フロントカバー111、リアカバー112、および一対の側板113を含む。
【0015】
図2に示しているように、フロントカバー111は、ユーザが主として空気調和装置10を利用する向きに位置する。リアカバー112は、フロントカバー111と対向して配置される。側板113は、フロントカバー111とリアカバー112との間に位置する。リアカバー112は、複数の吸込口23を有する。吸込口23を通して、空気調和装置10の内部にリアカバー112の周辺の空気が吸い込まれる。
【0016】
フィルタ12は、空気を濾過する。フィルタ12は、例えば、不織布を紙状に形成したHEPA(High Efficiency Particulate Air)フィルタである。本実施形態では、定格流量で粒径が0.15μmの粒子に対して99.9995%以上の粒子捕獲率をもつエアフィルタを採用している。但し、フィルタ12の種類については特に限定されない。フィルタ12は、吸込口23から吸い込まれた気流F1を浄化する。
【0017】
送風部13は、フィルタ12に空気を通過させる送風を行う。送風部13は、例えば、モータのような駆動源から動力を伝達されることでファンを回転する。
図2に示しているように、送風部13はケース131に覆われている。ケース131は、吸込口132および吹出口133を有する。ケース131は、吹出口133側でダクト25に連結されている。本実施形態において、送風部13は、遠心方向に空気を排出する。ファンが回転することにより、吸込口23から空気が筐体11内に吸い込まれる。そして、吸込口23から吸い込まれた空気が移動して気流F1が発生する。気流F1は、フィルタ12、冷却部21、および放熱部22を通過する。そして、気流F1は、吸込口132に吸い込まれ、吹出口133からダクト25に排出される。また、気流F1は、フィルタ12、加湿フィルタ182を通過する。そして、気流F1は、送風部13に吸い込まれ、吹出口133からダクト25に排出される。なお、送風部13に換えてターボファンや高圧軸流ファンを使用してもよい。
【0018】
記憶部15は、記憶装置を含み、ソフトウェアのようなコンピュータプログラムおよび種々のデータを記憶する。具体的には、記憶部15は、ROM(Read Only Memory)、およびRAM(Random Access Memory)のような主記憶装置(例えば、半導体メモリ)と、ソリッドステートドライブ、および/又は、ハードディスクドライブのような補助記憶装置とを含む。記憶部15は、リムーバブルメディアを含んでいてもよい。記憶部15は、記憶媒体(例えば、非一時的コンピュータ読取可能記憶媒体)の一例である。記憶部15は、空気調和装置10の動作に必要な各種情報およびプログラムを記憶している。
【0019】
制御部14は、CPU(Central Processing Unit)およびMPU(Micro Processing Unit)のようなプロセッサを含む。制御部14のプロセッサは、記憶部15の記憶装置に記憶されたコンピュータプログラムを実行する。なお、プロセッサは、「コンピュータ」の一例に相当する。制御部14のプロセッサは、記憶部15の記憶装置に記憶されたコンピュータプログラムを実行する。ユーザは、入力部(図示略)の操作により所定の運転を選択する。なお、記憶部15および制御部14は、ASIC(Application Specific Integrated Circuit)、又はFPGA(Field-Programmable Gate Array)のような集積回路で構成されてもよい。
【0020】
図3に示しているように、制御部14は、取得部141と、送風制御部142とを含む。具体的には、制御部14は、記憶部15のコンピュータプログラムを実行することにより、取得部141および送風制御部142として機能する。
【0021】
取得部141は、空気に含まれる二酸化炭素の濃度(以下、CO
2濃度と記載する。)が増加した増加情報を取得する。CO
2濃度情報は、エアコン5からネットワークNeを介して受信する。
図1に示しているように、エアコン5は、CO
2濃度センサ51を有している。具体的には、制御部14は、CO
2濃度センサ51の検出値を入力し、入力された検出値に基づき増加情報を生成する。取得部141は、生成された増加情報を取得する。但し、CO
2濃度が増加した増加情報は、エアコン5から受信する情報に限らない。空気調和装置10が、独自にCO
2濃度センサを有し、独自が有するCO
2濃度センサからCO
2濃度の情報を入力してもよい。また、CO
2濃度の増加情報は、CO
2濃度の増加が判定できる情報を示す。ここで、増加とは、前よりも後の絶対量が増えた場合以外に、現時点の量が所定の閾値以上になった場合、変化割合が閾値以上である場合を意味している。
【0022】
送風制御部142は、送風部13を制御する。送風制御部142は、送風部13に送風量に関する指令を出力する。具体的には、送風制御部142は、取得部141が取得した増加情報に基づいて、CO2濃度が増加する前よりも送風を強くするように送風部13を制御する。
【0023】
空気に含まれるCO2濃度によって、空間1の閉鎖度合を推測できる。従って、CO2濃度が増加した増加情報により、空気調和装置10が配置された空間が閉鎖状態であることを判定できる。よって、空間1が閉鎖状態であると判定された場合、空気調和装置10の保有する既存のフィルタ12を用いて空気を浄化できる。その結果、CO2の濃度情報に基づき空気を浄化することができる。
【0024】
空気調和装置10について、詳細に説明する。
図2および
図3に示しているように、空気調和装置10は、汚染センサ16と、イオン発生装置17と、加湿部18と、通信部20と、冷却部21と、放熱部22とを備える。
【0025】
汚染センサ16は、空気の汚れ(汚染度)を検出する。汚染センサ16は、空気調和装置10に装備される。汚染センサ16は、塵埃センサ161と臭いセンサ162とを含む。塵埃センサ161と臭いセンサ162とは、検出の感度を上昇調整或いは下降調整することが可能である。
【0026】
塵埃センサ161は、空気に含まれる塵埃を検出する。塵埃センサ161は、例えば、フィルタ12の送風方向における上流側に設けられる。具体的には、塵埃センサ161は、フィルタ12の上流側における空気中に含まれる塵埃濃度を検知している。塵埃センサ161は、例えば、発光素子および受光素子を有する光学センサにより構成される。塵埃センサ161は、受光素子から出力される出力パルス幅に基づいて空気中の塵埃の濃度を検出する。空気中の塵埃の濃度は、空気に含まれる塵埃に相当する。例えば、発光素子による発光は制御部14によって制御され、受光素子は、受光した反射光の光量に応じた信号を制御部14に与える。制御部14は、AD変換部(図示略)にて信号をAD変換し、反射光の光量を取得する。塵埃センサ161は、反射光の光量によって空気中の塵埃の濃度を検出する。
【0027】
臭いセンサ162は、空気に含有されている臭い物質の濃度を検出する。臭いセンサ162は、フィルタ12の上流側における空気中に含まれる臭い物質の濃度を検知している。具体的には、フィルタ12を通過する前の空気中に含まれる臭い物質の濃度を検知する。臭いセンサ162は、例えば、金属酸化物半導体を有する回路(図示略)を備え、臭い物質を吸着した際の金属酸化物半導体の抵抗値の変化に基づいて臭い物質の濃度を検知している。検出された臭い物質の濃度が高いほど、空気が臭い物質で汚染されている汚染度合が高い。以下、CO2濃度が増加した状態であることを判定するための情報を増加情報と記載し、空気の汚染が増加した状態であることを判定するための情報を第2増加情報と記載する。
【0028】
イオン発生装置17は、正イオンと負イオンとを生成する。イオンは、正イオン(例えば、H+(H2O)m(mは任意の整数))又は負イオン(例えば、O2
-(H2O)n(nは任意の整数))又はこれらの組み合わせが挙げられる。高電圧が印加された正電極および負電極は、コロナを発生する(何れも図示略)。その結果、正電極および負電極の各々は、放電して正イオンおよび負イオンを発生する。イオン発生装置17は、吹出口133の下流側位置に配置される。
【0029】
送風制御部142は、空気に含まれるCO2濃度が増加した増加情報に基づいて、CO2濃度が増加する前よりも送風が強くされる。よって、イオン発生量が一定に制御されるイオン発生装置17では、外部に放出される単位時間当たりのイオン量はCO2濃度が増加する前よりも多くなる。つまり、イオン発生装置17は、空気に含まれる二酸化炭素濃度が増加した増加情報に基づいて、放出される単位時間当たりのイオンの量を増加させる。従って、フィルタ12による空気の浄化作用に加えて、イオン発生装置17による空気の浄化作用を得ることができる。その結果、一層空気を浄化することができる。
【0030】
加湿部18は、空気に湿度を与える。
図2に示しているように、加湿部18は、加湿タンク181と、加湿フィルタ182と、ダンパ183と、駆動部184とを有する。加湿タンク181は、水を貯留可能である。加湿フィルタ182は、加湿タンク181に貯留された水を吸い上げる。ダンパ183は、吸込口23から加湿フィルタ182に向かう流路を開閉する。駆動部184は、空気に対して加湿するとき、ダンパ183を開操作し、空気に対して加湿を停止するとき、ダンパ183を閉操作する。駆動部184は、制御部14によって制御される。加湿運転時、空気は、水を吸い上げた加湿フィルタ182を通過するため、空気に含まれる水分が増加する。
【0031】
加湿運転時、送風部13により吸込口23から筐体11の内部へ空気が吸い込まれて気流F1が発生し、気流F1は、フィルタ12を通過する。フィルタ12を通過した気流F1は、加湿フィルタ182を通過して加湿される。加湿フィルタ182を通過した気流F1は送風部13の前面へ回り込み、ファン、および、吹出口133を通過して、外部に流出する。
【0032】
図3に示しているように、通信部20は、エアコン5と通信を行う。通信部20は、送信部と、受信部とを備える(何れも図示略)。受信部は、エアコン5で検出されたCO
2濃度をエアコン5からネットワークNeを介して受信する。
【0033】
冷却部21は、冷却部21を通過する気流F1を冷やす。冷却部21は、エバポレータを含む。冷却部21は、冷却部21を通過する空気を冷却して、空気に含まれる水分を結露させる。その結果、気流F1が除湿されると共に、水が生成される。
【0034】
放熱部22は、冷却部21に対向して配置される。放熱部22は、コンデンサを含む。放熱部22は、冷却部21を通過した気流F1と冷媒との間で熱交換する。その結果、冷却部21を通過した気流F1は、冷媒から熱を受け取って、気流F1の温度が上昇する。
【0035】
加湿停止時において、ダンパ183が閉操作されるため、フィルタ12に向かう流路は、閉鎖されている。吸込口23から筐体11の内部へ吸い込まれた空気は、気流F1として吸込口132に吸い込まれる。気流F1は、ファンおよび吹出口133を通過し、吹出口24から、空気調和装置10の外部に流出する。除湿運転時において、加湿タンク181には水が入っていない。また、ダンパ183も閉操作される。吸込口23から筐体11の内部へ吸い込まれた気流F1は、冷却部21および放熱部22を通過して除湿される。除湿された空気は、吹出口24から、空気調和装置10の外部に流出する。
【0036】
図1および
図3を参照して、エアコン5について説明する。
図1に示しているように、エアコン5は、空間1内において、空気調和装置10よりも高い位置に配置されている。
図3に示しているように、エアコン5は、CO
2濃度センサ51と、駆動部52と、通信部53と、記憶部54とを有する。
【0037】
CO2濃度センサ51は、空間1内の空気のCO2濃度を検出する。CO2濃度センサ51は、例えば、ガスの赤外線吸収を利用した非分散型赤外線吸収(NDIR)方式を利用したセンサである。但し、CO2濃度センサ51の種類については特に限定されない。
【0038】
エアコン5は、室外機(図示略)を室外に有する。室外機には、圧縮機、熱交換器、四方弁、室外ファン等が内装される(何れも図示略)。圧縮機等と室内側のエアコン5とが、冷凍サイクルを形成する。冷房運転では、室外機から、室内の空気温度よりも低温の冷媒が、熱交換器に供給される。室内の暖かい空気は、ファン(図示略)により吸い込まれ、熱交換器によって冷却される。冷却された空気は吹出口から吹き出される。暖房運転では、冷媒の流れが冷房運転のときと逆になる。駆動部52は、空気および冷媒のながれを制御するために、各機器を駆動する。
【0039】
通信部53は、空気調和装置10の通信部20と通信を行う。通信部53は、送信部と、受信部とを備える(何れも図示略)。送信部は、CO2濃度センサ51で検出されたCO2濃度の検出値をネットワークNeを介して空気調和装置10に送信する。通信部53から通信部20へのCO2濃度の送信は、例えば、所定の周期で行われる。但し、CO2濃度の送信タイミングは、所定の周期に限られない。CO2濃度の送信タイミングは、常時であっても良く、また、CO2濃度に所定値以上の変化があったときに送信しても良い。
【0040】
エアコン5は、空気調和装置10よりも高い位置に配置されている。従って、エアコン5のCO2濃度に基づくCO2濃度の増加情報は、空気調和装置10よりも高い位置に設けられた他の空気調和装置が取得した増加情報を含む。CO2の比重は、空気の比重よりも重い。よって、低い位置のCO2濃度よりも高い位置のCO2濃度は、ユーザに対する影響が大きい。従って、ユーザに対して影響の大きいCO2濃度に基づき空気を浄化できる。
【0041】
記憶部54は、記憶装置を含み、ソフトウェアのようなコンピュータプログラムおよび種々のデータを記憶する。記憶部54は、記憶部15と略同様の構成である。記憶部54は、エアコン5の動作に必要な各種情報およびプログラムを記憶している。
【0042】
空気調和装置10の説明に戻る。
図4を参照して、空気調和装置10の制御部14について詳細に説明する。
図4は、空気調和装置10の制御マップMの一例を示す図である。
図3に示しているように、制御部14は、取得部141と、送風制御部142と、判定部143と、出力部144とを含む。具体的には、制御部14は、記憶部15のコンピュータプログラムを実行することにより、取得部141、送風制御部142、判定部143、および出力部144として機能する。
【0043】
制御部14は、エアコン5からCO2濃度の検出情報を取得する。制御部14は、CO2濃度の増加情報および減少情報を生成する。ここで、減少とは、前よりも後の絶対量が減った場合以外に、現時点の量が所定の閾値以下になった場合、変化割合が閾値以下である場合を意味している。取得部141は、CO2濃度の増加情報および減少情報を取得する。換言すれば、取得部141は、エアコン5からCO2濃度の増加情報を取得する。また、取得部141は、エアコン5からCO2濃度の減少情報を取得する。取得部141は、汚染センサ16から空気の汚染が増加した第2増加情報を取得する。
【0044】
図3および
図4に示しているように、送風制御部142は、制御マップMに基づいて送風量が制御される。制御マップMは、記憶部15に記憶されている。
図4に示しているように、制御マップMは、横軸に空気の汚染度が規定され、縦軸に送風制御値が規定されている。空気の汚染度は、汚染センサ16が検出する空気の汚れである。送風制御値は、送風量に対応する制御値である。送風部13は、送風制御値に基づき駆動される。
【0045】
制御マップMは、2種類の制御特性を有する。第1の制御特性L1は、通常実行される基本制御モードである。第1の制御特性L1は、例えば、初期値として送風制御値f1が規定される。第1の制御特性L1は、汚染度が増加するほど、送風制御値が増加する。取得部141が取得した汚染度に相当する第2増加情報と、第1の制御特性L1とを用いて送風制御値を設定する。換言すれば、送風制御部142は、取得部141が取得した第2増加情報に基づいて、空気の送風量を増加するように送風部13を制御する。従って、CO2の濃度情報に加えて、空気の汚染の検出に基づき空気の汚れを浄化できる。
【0046】
第2の制御特性L2は、例えば、花粉対策用の制御モードである。第2の制御特性L2は、例えば、初期値として送風制御値f2が規定される。第2の制御特性L2は、汚染度が増加するほど、送風制御値が増加する。送風制御値f2は、送風制御値f1よりも大きい。第2の制御特性L2の変化率は、第1の制御特性L1の変化率よりも大きい。なお、花粉対策用の制御モードは、例えば、汚染センサ16によって、花粉に相当する3μmの粒子が検出された頻度が高い場合に実行される。但し、粉対策用の制御モードの実行は、3μmの粒子が検出された頻度による判定に限らない。手動による切替スイッチ(図示略)を設置しても良い。
【0047】
判定部143は、取得部141が取得したCO
2濃度と第1閾値T1とを比較する。判定部143は、CO
2濃度と第1閾値T1とを比較した結果、CO
2濃度の増加情報が第1閾値T1よりも大きい場合、CO
2濃度の増加を判定する。判定部143がCO
2濃度の増加を判定した場合、送風制御部142は、送風制御値f3以上の送風制御値である第3の制御特性L3を用いて送風部13を制御する。判定部143がCO
2濃度の増加を判定しない場合、送風制御部142は、現在の制御を維持する。
図4に示しているように、第3の制御特性L3は、汚染度が汚染度t以下の場合、送風制御値f3に維持され、汚染度が汚染度t以上の場合、第1の制御特性L1に沿って増加する。つまり、送風制御部142は、増加情報に基づく送風制御値よりも空気の汚染情報に基づく送風制御値が小さい場合、増加情報に基づく送風制御値に応じた送風量を送出するように送風部13を制御する。従って、CO
2濃度が増加した増加情報により、汚染センサ16により検出されない空気の汚れを推測できる。その結果、汚染センサ16により検出されない空気の汚れを浄化できる。
【0048】
判定部143は、CO2濃度の減少率を示す情報に基づいて換気を実施している換気状態であるか否かを判定する。具体的には、判定部143は、CO2濃度の減少率を算出する。
【0049】
判定部143は、取得部141が取得したCO2濃度の減少率と第2閾値T2とを比較する。一般に、CO2濃度の減少率が第2閾値T2よりも大きい場合、窓或いは扉の開放を推測することができる。判定部143は、CO2濃度の減少率と第2閾値T2とを比較した結果、CO2濃度の減少率が第2閾値T2よりも大きい場合、換気状態であることを判定する。送風制御部142は、判定部143が換気状態であることを判定した場合、増加情報に基づく空気の送風量よりも多い送風量を送出するように送風部13を制御する。具体的には、送風制御部142は、第2の制御特性L2で送風部13を制御する。従って、CO2濃度の減少により窓或いは扉の開放を推測できる。よって、外部から空間1内への粉塵等の侵入を予測できる。その結果、外部から浸入する粉塵等を浄化できる。送風制御部142は、判定部143が換気状態であることを判定しない場合、現在の制御を維持する。
【0050】
判定部143が換気状態であることを判定した場合、汚染センサ16の感度を高くする。従って、外部から浸入する粉塵等の検知を早期化できる。その結果、空気の浄化を早期化できる。また、判定部143は、例えば、CO2濃度の減少が停止した場合、換気の終了を判定する。
【0051】
判定部143が換気状態であることを判定した場合、制御部14は、駆動部184を駆動してダンパ183を閉操作させる。つまり、判定部143が換気状態であることを判定した場合、加湿部18は、空気に対する加湿を停止する。従って、窓或いは扉の開放が推測された場合、加湿を停止できる。その結果、電力消費を抑制できる。
【0052】
判定部143が換気状態から換気停止状態への変化を判定した場合、制御部14は、駆動部184を駆動してダンパ183を開操作させる。つまり、判定部143が換気状態から換気停止状態への変化を判定した場合、加湿部18は、空気に対する加湿を再開する。送風制御部142は、加湿部18による加湿の再開後、空気の汚染情報に基づく空気の送風量を送出するように送風部13を制御する。従って、湿度の低下を抑制できる。また、換気終了後、浄化時間を確保することにより、空気の浄化を確実に行うことができる。
【0053】
出力部144は、送風制御部142が制御マップMに基づいて設定した送風制御値を送風部13に出力する。
【0054】
次に、
図5および
図6を参照して、空気調和装置10の濃度処理について説明する。
図5は、実施形態1に係る空気調和装置10の第1濃度処理におけるフローチャートである。
図6は、実施形態1に係る空気調和装置10の第2濃度処理におけるフローチャートである。
図5および
図6に示すように、制御部14の処理は、ステップS1からステップS2、およびステップS11からステップS13を含む。制御部14のプロセッサがコンピュータプログラムを実行することによって、ステップS1からステップS2、およびステップS11からステップS13が実行される。
【0055】
図5の第1濃度処理におけるフローチャートに示しているように、ステップS1において、空間1のCO
2濃度が第1閾値T1よりも大きいか否かについて判定部143が判定する。空間1のCO
2濃度が第1閾値T1よりも大きくないと判定部143が判定した場合(ステップS1のNo)、処理は終了する。空間1のCO
2濃度が第1閾値T1よりも大きいと判定部143が判定した場合(ステップS1のYes)、処理はステップS2に進む。
【0056】
ステップS2において、送風制御部142は、制御マップMを参照して、第3の制御特性L3で送風部13を所定時間制御する。所定時間経過後、処理は終了する。なお、送風部13を第3の制御特性L3で制御する所定時間は、例えば、経験値、或いは実験により予め設定されている。
【0057】
次に、
図6を参照して、空気調和装置10の第2濃度処理について説明する。制御部14は、第1濃度処理と第2濃度処理とを独立して並行に処理する。
【0058】
図6の第2濃度処理におけるフローチャートに示しているように、ステップS11において、空間1が換気中か否かについて判定部143が判定する。空間1が換気中ではないと判定部143が判定した場合(ステップS11のNo)、処理は終了する。空間1が換気中であると判定部143が判定した場合(ステップS11のYes)、処理はステップS12に進む。
【0059】
ステップS12において、制御部14は、汚染センサ16の検出感度を上昇する。汚染センサ16は、空気中の汚染物質を検出し易くなる。送風制御部142は、制御マップMを参照して、第1の制御特性L1で送風部13を制御する。処理はステップS13に進む。
【0060】
ステップS13において、換気が終了したか否かについて判定部143が判定する。換気の終了を判定部143が判定していない場合(ステップS13のNo)、ステップS12にリターンする。汚染センサ16の検出感度の上昇を維持する。換気の終了を判定部143が判定している場合(ステップS13のYes)、処理は終了する。処理の終了に同期して、汚染センサ16の検出感度を元に戻す。
【0061】
[実施形態2]
図7を参照して、空気調和装置10の実施形態2を説明する。実施形態2では、第1濃度処理と第2濃度処理とを連続して直列的に処理する点で実施形態1と主に異なる。以下、実施形態2が実施形態1と異なる点を説明し、その他の実施形態1の説明を実施形態2に援用するものとする。
【0062】
図7は、実施形態2に係る空気調和装置10の濃度処理におけるフローチャートである。
【0063】
図7のフローチャートに示しているように、ステップS21において、空間1が換気中か否かについて判定部143が判定する。空間1が換気中ではないと判定部143が判定した場合(ステップS21のNo)、処理はステップS12に進む。空間1が換気中であると判定部143が判定した場合(ステップS21のYes)、処理はステップS22に進む。
【0064】
ステップS22において、送風制御部142は、制御マップMを参照して、第2の制御特性L2で送風部13を制御する。処理はステップS23に進む。
【0065】
ステップS23において、換気が終了したか否かについて判定部143が判定する。換気の終了を判定部143が判定していない場合(ステップS23のNo)、処理はステップS22に戻る。送風制御部142は、第2の制御特性L2による制御を継続する。換気の終了を判定部143が判定している場合(ステップS23のYes)、処理はステップS24に進む。
【0066】
ステップS24において、空間1のCO2濃度が第1閾値T1よりも大きいか否かについて判定部143が判定する。空間1のCO2濃度が第1閾値T1よりも大きくないと判定部143が判定した場合(ステップS24のNo)、処理は終了する。空間1のCO2濃度が第1閾値T1よりも大きいと判定部143が判定した場合(ステップS24のYes)、処理はステップS25に進む。
【0067】
ステップS25において、送風制御部142は、制御マップMを参照して、第3の制御特性L3で送風部13を所定時間制御する。所定時間経過後、処理は終了する。
【0068】
以上、図面を参照しながら本開示の実施形態を説明した。但し、本開示は、上記の実施形態に限られるものではなく、その要旨を逸脱しない範囲で種々の態様において実施することが可能である。図面は、理解しやすくするために、それぞれの構成要素を主体に模式的に示しており、図示された各構成要素の厚み、長さ、個数、間隔等は、図面作成の都合上から実際とは異なる。また、上記の実施形態で示す各構成要素の材質、形状、寸法等は一例であって、特に限定されるものではなく、本開示の構成から実質的に逸脱しない範囲で種々の変更が可能である。
【0069】
(1)実施形態1および実施形態2の空気調和装置10では、エアコン5が有するCO2濃度センサ51が検出したCO2濃度の増加情報を取得して送風部13を制御する例を示した。しかし、これに限らない。空気調和装置10が、CO2濃度センサを保有し、空気調和装置10が保有するCO2濃度センサが検出したCO2濃度の増加情報を取得して第1濃度処理を実行しても良い。
【0070】
図8を参照して、空気調和装置10が保有するCO
2濃度センサが検出したCO
2濃度の増加情報を取得して第1濃度処理を実行する変形例を説明する。
図8は、変形例に係る空気調和装置の第1濃度処理におけるフローチャートである。
【0071】
図8の第1濃度処理におけるフローチャートに示しているように、ステップS31において、空間1のCO
2濃度が第1閾値T1よりも大きいか否かについて判定部143が判定する。空間1のCO
2濃度が第1閾値T1よりも大きくないと判定部143が判定した場合(ステップS31のNo)、処理は終了する。空間1のCO
2濃度が第1閾値T1よりも大きいと判定部143が判定した場合(ステップS31のYes)、処理はステップS32に進む。
【0072】
ステップS32において、送風制御部142は、制御マップMを参照して、第3の制御特性L3で送風部13を制御する。処理はステップS33に進む。
【0073】
ステップS33において、空間1のCO2濃度が第3閾値T3よりも小さいか否かについて判定部143が判定する。第3閾値T3は、第1閾値T1よりも小さい閾値である。第1閾値T1と第3閾値T3との間に幅を設けることで、送風制御部142によるオンオフの作動変動を抑制している。空間1のCO2濃度が第3閾値T3よりも小さくないと判定部143が判定した場合(ステップS33のNo)、処理はステップS32に戻る。送風制御部142は、第3の制御特性L3による制御を継続する。空間1のCO2濃度が第3閾値T3よりも小さいと判定部143が判定した場合(ステップS33のYes)、処理は終了する。
【0074】
空気調和装置10は、自身が保有するCO2濃度センサが検出したCO2濃度の増加情報を取得している。換言すれば、取得部141は、空気に含まれるCO2濃度を検出する濃度センサを有する。従って、CO2濃度の変化を送風制御に対して早期に反映できる。その結果、CO2濃度の増加直後に、空気の浄化を図れる。また、CO2濃度の減少直後に、第1濃度処理を終了できる。
【産業上の利用可能性】
【0075】
本開示は、空気調和装置を提供するものであり、産業上の利用可能性を有する。
【符号の説明】
【0076】
10 :空気調和装置
12 :フィルタ
13 :送風部
14 :制御部
17 :イオン発生装置
18 :加湿部
141 :取得部
142 :送風制御部
143 :判定部