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特開2024-137504画像処理システム、及び画像処理プログラム
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024137504
(43)【公開日】2024-10-07
(54)【発明の名称】画像処理システム、及び画像処理プログラム
(51)【国際特許分類】
   G06T 7/00 20170101AFI20240927BHJP
   G06T 7/90 20170101ALI20240927BHJP
【FI】
G06T7/00 300G
G06T7/90 B
【審査請求】未請求
【請求項の数】9
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023049041
(22)【出願日】2023-03-24
(71)【出願人】
【識別番号】000005496
【氏名又は名称】富士フイルムビジネスイノベーション株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110001519
【氏名又は名称】弁理士法人太陽国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】田中 裕士郎
(72)【発明者】
【氏名】水村 政彦
(72)【発明者】
【氏名】白木 聖二
(72)【発明者】
【氏名】三須 長政
(72)【発明者】
【氏名】設樂 沙樹
【テーマコード(参考)】
5L096
【Fターム(参考)】
5L096AA02
5L096AA06
5L096CA02
5L096FA35
5L096GA41
5L096GA51
(57)【要約】
【課題】RGB色空間の画像情報に対しRGBの最大値のヒストグラムと最大差のヒストグラムを求めて原稿画像の非白紙判定を行う構成と比べて、原稿画像の非白紙判定の精度を向上させる。
【解決手段】画像処理システムは、原稿画像を読み取ってLab色空間の画像情報を生成する画像読取部と、プロセッサと、を有し、前記プロセッサは、前記画像情報に対し、L*、a*、b*それぞれのヒストグラムを求め、L*ヒストグラムを用いて前記画像情報におけるコントラストの有無を判定し、a*ヒストグラム及びb*ヒストグラムを用いて前記画像情報における色相差の有無を判定し、前記コントラストが有の場合及び前記色相差が有の場合の少なくとも一方の場合に、前記原稿画像を非白紙と判定する。
【選択図】図11
【特許請求の範囲】
【請求項1】
原稿画像を読み取ってLab色空間の画像情報を生成する画像読取部と、
プロセッサと、
を有し、
前記プロセッサは、
前記画像情報に対し、L*、a*、b*それぞれのヒストグラムを求め、
L*ヒストグラムを用いて前記画像情報におけるコントラストの有無を判定し、
a*ヒストグラム及びb*ヒストグラムを用いて前記画像情報における色相差の有無を判定し、
前記コントラストが有の場合及び前記色相差が有の場合の少なくとも一方の場合に、前記原稿画像を非白紙と判定する、画像処理システム。
【請求項2】
前記L*ヒストグラムは、前記画像情報のL*の予め定められた各区分に対する画素数を度数とするヒストグラムであり、
前記プロセッサは、前記L*ヒストグラムにおいて、予め定められた第一度数閾値を超えるピークが二つ以上の場合に、前記コントラストを有と判定する、請求項1に記載の画像処理システム。
【請求項3】
前記a*ヒストグラムは、前記画像情報のa*の予め定められた各区分に対する画素数を度数とするヒストグラムであり、
前記b*ヒストグラムは、前記画像情報のb*の予め定められた各区分に対する画素数を度数とするヒストグラムであり、
前記プロセッサは、
前記a*ヒストグラムにおいて予め定められた第二度数閾値を超えるピークが二つ以上の場合及び前記b*ヒストグラムにおいて予め定められた第三度数閾値を超えるピークが二つ以上の場合の少なくとも一方の場合に、前記画像情報の前記色相差を有と判定する、請求項1に記載の画像処理システム。
【請求項4】
前記プロセッサは、前記コントラストが無で且つ前記色相差が無の場合に、前記原稿画像を白色の白紙と判定する、請求項1に記載の画像処理システム。
【請求項5】
前記L*ヒストグラムは、前記画像情報のL*の予め定められた各区分に対する画素数を度数とするヒストグラムであり、
前記a*ヒストグラムは、前記画像情報のa*の予め定められた各区分に対する画素数を度数とするヒストグラムであり、
前記b*ヒストグラムは、前記画像情報のb*の予め定められた各区分に対する画素数を度数とするヒストグラムであり、
前記プロセッサは、
前記L*ヒストグラムにおいて予め定められた第一度数閾値を超えるピーク、前記a*ヒストグラムにおいて予め定められた第二度数閾値を超えるピーク、及び、前記b*ヒストグラムにおいて予め定められた第三度数閾値を超えるピークの数がいずれも一つの場合に、前記原稿画像を白紙と判定する、請求項1に記載の画像処理システム。
【請求項6】
前記プロセッサは、
前記原稿画像の判定が白紙であり、前記L*ヒストグラムにおいて、前記ピークが含まれる前記区分のL*値が予め定められた第一L*閾値以下の場合に、前記原稿画像を非白紙と判定する、請求項5に記載の画像処理システム。
【請求項7】
前記プロセッサは、前記L*ヒストグラムにおいて、前記ピークが含まれる前記区分のL*値が最大値の場合、前記原稿画像を白紙と判定する、請求項6に記載の画像処理システム。
【請求項8】
前記プロセッサは、
前記原稿画像の判定が白紙であり、前記a*ヒストグラムのピークと前記b*ヒストグラムのピークによって特定される色に予め指定された指定色が含まれる場合に、前記原稿画像を非白紙と判定する、請求項5又は請求項6に記載の画像処理システム。
【請求項9】
コンピュータに、
原稿画像を読み取ってLab色空間の画像情報を生成し、
前記画像情報に対し、L*、a*、b*それぞれのヒストグラムを求め、
L*ヒストグラムを用いて前記画像情報におけるコントラストの有無を判定し、
a*ヒストグラム及びb*ヒストグラムを用いて前記画像情報における色相差の有無を判定し、
前記コントラストが有の場合及び前記色相差が有の場合の少なくとも一方の場合に、前記原稿画像を非白紙と判定する、処理を実行させるための画像処理プログラム。


【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、画像処理システム、及び画像処理プログラムに関する。
【背景技術】
【0002】
特許文献1には、複数の画素で構成される画像データに基づいて、画像データが無地画像であるかどうかを判定する画像処理装置において、前記画像データから算出した特徴量と、閾値とを比較して画像データが無地画像であるかどうかを判定する判定部と、原稿から画像データを読み取るときの読み取り方式、または画像データを印字出力するときの出力方式の少なくとも1つが入力されると、入力された方式に応じて前記判定に用いる閾値を設定する設定部とを備えることを特徴とする画像処理装置が開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2009-094903号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
ところで、プロセッサがRGB色空間の画像情報からRGBの最大値のヒストグラムと最大差のヒストグラムを求めて原稿画像の白紙判定を行う場合、原稿の地色に対して文字や模様の色が異なっていてもRGBの最大値と最大差が全て同じ場合、非白紙を白紙と判定してしまう。ここで白紙とは原稿に文字や模様等の記載がない、無地の原稿である。
【0005】
そこで、本開示は、RGB色空間の画像情報に対しRGBの最大値のヒストグラムと最大差のヒストグラムを求めて原稿画像の非白紙判定を行う構成と比べて、原稿画像の非白紙判定の精度を向上させる、ことを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記目的を達成するために、第1態様に係る画像処理システムは、原稿画像を読み取ってLab色空間の画像情報を生成する画像読取部と、プロセッサと、を有し、前記プロセッサは、前記画像情報に対し、L*、a*、b*それぞれのヒストグラムを求め、L*ヒストグラムを用いて前記画像情報におけるコントラストの有無を判定し、a*ヒストグラム及びb*ヒストグラムを用いて前記画像情報における色相差の有無を判定し、前記コントラストが有の場合及び前記色相差が有の場合の少なくとも一方の場合に、前記原稿画像を非白紙と判定する。
【0007】
第2態様に係る画像処理システムは、第1態様に係る画像処理システムにおいて、前記L*ヒストグラムは、前記画像情報のL*の予め定められた各区分に対する画素数を度数とするヒストグラムであり、前記プロセッサは、前記L*ヒストグラムにおいて、予め定められた第一度数閾値を超えるピークが二つ以上の場合に、前記コントラストを有と判定する。
【0008】
第3態様に係る画像処理システムは、第1態様に係る画像処理システムにおいて、前記a*ヒストグラムは、前記画像情報のa*の予め定められた各区分に対する画素数を度数とするヒストグラムであり、前記b*ヒストグラムは、前記画像情報のb*の予め定められた各区分に対する画素数を度数とするヒストグラムであり、前記プロセッサは、前記a*ヒストグラムにおいて予め定められた第二度数閾値を超えるピークが二つ以上の場合及び前記b*ヒストグラムにおいて予め定められた第三度数閾値を超えるピークが二つ以上の場合の少なくとも一方の場合に、前記画像情報の前記色相差を有と判定する。
【0009】
第4態様に係る画像処理システムは、第1態様に係る画像処理システムにおいて、前記プロセッサは、前記コントラストが無で且つ前記色相差が無の場合に、前記原稿画像を白色の白紙と判定する。
【0010】
第5態様に係る画像処理システムは、第1態様に係る画像処理システムにおいて、前記L*ヒストグラムは、前記画像情報のL*の予め定められた各区分に対する画素数を度数とするヒストグラムであり、前記a*ヒストグラムは、前記画像情報のa*の予め定められた各区分に対する画素数を度数とするヒストグラムであり、前記b*ヒストグラムは、前記画像情報のb*の予め定められた各区分に対する画素数を度数とするヒストグラムであり、前記プロセッサは、前記L*ヒストグラムにおいて予め定められた第一度数閾値を超えるピーク、前記a*ヒストグラムにおいて予め定められた第二度数閾値を超えるピーク、及び、前記b*ヒストグラムにおいて予め定められた第三度数閾値を超えるピークの数がいずれも一つの場合に、前記原稿画像を白紙と判定する。
【0011】
第6態様に係る画像処理システムは、第5態様に係る画像処理システムにおいて、前記プロセッサは、前記原稿画像の判定が白紙であり、前記L*ヒストグラムにおいて、前記ピークが含まれる前記区分のL*値が予め定められた第一L*閾値以下の場合に、前記原稿画像を非白紙と判定する。
【0012】
第7態様に係る画像処理システムは、第6態様に係る画像処理システムにおいて、前記プロセッサは、前記L*ヒストグラムにおいて、前記ピークが含まれる前記区分のL*値が最大値の場合、前記原稿画像を白紙と判定する。
【0013】
第8態様に係る画像処理システムは、第5態様に係る画像処理システムにおいて、前記プロセッサは、前記原稿画像の判定が白紙であり、前記a*ヒストグラムのピークと前記b*ヒストグラムのピークによって特定される色に予め指定された指定色が含まれる場合に、前記原稿画像を非白紙と判定する。
【0014】
第9態様に係る画像処理プログラムは、コンピュータに、原稿画像を読み取ってLab色空間の画像情報を生成し、前記画像情報に対し、L*、a*、b*それぞれのヒストグラムを求め、L*ヒストグラムを用いて前記画像情報におけるコントラストの有無を判定し、a*ヒストグラム及びb*ヒストグラムを用いて前記画像情報における色相差の有無を判定し、前記コントラストが有の場合及び前記色相差が有の場合の少なくとも一方の場合に、前記原稿画像を非白紙と判定する、処理を実行させる。
【発明の効果】
【0015】
第1態様によれば、RGB色空間の画像情報に対しRGBの最大値のヒストグラムと最大差のヒストグラムを求めて原稿画像の非白紙判定を行う構成と比べて、原稿画像の非白紙判定の精度を向上させることができる。
【0016】
第2態様によれば、L*ヒストグラムにおいて第一度数閾値を超えるピークが三つ以上の場合にコントラストを有と判定する構成と比べて、原稿画像の非白紙判定の精度を向上させることができる。
【0017】
第3態様によれば、a*ヒストグラムにおいて第二度数閾値を超えるピークが三つ以上の場合及びb*ヒストグラムにおいて第三度数閾値を超えるピークが三つ以上の場合の少なくとも一方の場合に色相差を有と判定する構成と比べて、原稿画像の非白紙判定の精度を向上させることができる。
【0018】
第4態様によれば、原稿画像の地色を判定することができる。
【0019】
第5態様によれば、本構成を有しない場合と比べて、原稿画像の白紙判定の精度を向上させることができる。
【0020】
第6態様によれば、本構成を有しない場合と比べて、原稿画像の非白紙判定の精度を向上させることができる。
【0021】
第7態様によれば、本構成を有しない場合と比べて、原稿画像の白紙判定の精度を向上させることができる。
【0022】
第8態様によれば、本構成を有しない場合と比べて、原稿画像の非白紙判定の精度を向上させることができる。
【0023】
第9態様によれば、RGB色空間の画像情報に対しRGBの最大値のヒストグラムと最大差のヒストグラムを求めて原稿画像の非白紙判定を行う構成と比べて、原稿画像の非白紙判定の精度を向上させることができる。
【図面の簡単な説明】
【0024】
図1】本実施形態に係る画像形成システムの一例である画像形成装置の外観を示す斜視図である。
図2】本実施形態に係る画像形成システムの一例である画像形成装置の電気系の要部構成を示すブロック図である。
図3】本実施形態に係る画像形成システムの一例である画像形成装置の制御部の機能構成の一例を示す機能ブロック図である。
図4A】読み取り対象の原稿の一例を示す図である。
図4B図4Aの原稿から読み取った原稿のLab色空間の画像情報から求めたL*ヒストグラムである。
図4C】読み取った原稿のLab色空間の画像情報から求めたa*ヒストグラム及びb*ヒストグラムである。
図5A】読み取り対象の原稿の一例を示す図である。
図5B図5Aの原稿から読み取ったLab色空間の画像情報から求めたL*ヒストグラム、a*ヒストグラム及びb*ヒストグラムである。
図6A】読み取り対象の原稿の一例を示す図である。
図6B図6Aの原稿から読み取ったLab色空間の画像情報から求めたL*ヒストグラム、a*ヒストグラム及びb*ヒストグラムである。
図7A】読み取り対象の原稿の一例を示す図である。
図7B図7Aの原稿から読み取ったLab色空間の画像情報から求めたL*ヒストグラム、a*ヒストグラム及びb*ヒストグラムである。
図8A】読み取り対象の原稿の一例を示す図である。
図8B図8Aの原稿から読み取ったLab色空間の画像情報から求めたL*ヒストグラム、a*ヒストグラム及びb*ヒストグラムである。
図9A】読み取り対象の原稿の一例を示す図である。
図9B図9Aの原稿から読み取ったLab色空間の画像情報から求めたL*ヒストグラム、a*ヒストグラム及びb*ヒストグラムである。
図10A】読み取り対象の原稿の一例を示す図である。
図10B図10Aの原稿から読み取ったLab色空間の画像情報から求めたL*ヒストグラム、a*ヒストグラム及びb*ヒストグラムである。
図11】本実施形態に係る画像形成装置の制御部で行われる処理の流れの一例を示すフローチャートである。
図12】本実施形態に係る画像形成装置の制御部で行われる処理の流れの第一変形例を示すフローチャートである。
図13】本実施形態に係る画像形成装置の制御部で行われる処理の流れの第二変形例を示すフローチャートである。
図14】本実施形態に係る画像形成システムの変形例を示す図である。
図15】本実施形態に係る画像形成システムの変形例を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0025】
以下、図面を参照して本開示の実施形態の一例を詳細に説明する。なお、本実施形態では、画像形成装置を画像処理システムの一例として説明する。図1は、本実施形態に係る画像形成装置20の外観を示す斜視図である。本実施形態に係る画像形成装置20は、ネットワーク等の通信回線を介して各種データを受信し、受信したデータに基づく画像形成処理を行うプリント機能を有する。また、本実施形態に係る画像形成装置20は、原稿を読み取って原稿を表す画像情報を得る読取機能、原稿に記録された画像を用紙に複写する複写機能、図示しない電話回線を介して各種データの送受信を行うファクシミリ機能、読取機能等によって読み取った画像情報等の文書情報を転送する転送機能、読み取った画像情報等の文書情報を蓄積する蓄積機能等の複数の機能を有する。
【0026】
また、本実施形態に係る画像形成装置20は、装置上部に画像読取部の一例としての原稿読取部30を備え、原稿読取部30の下方に画像形成部40が配置されている。原稿読取部30は、原稿カバー32内に原稿搬送部(図示省略)を備えている。原稿搬送部は、原稿カバー32に設けられている原稿給紙部32A上に載せられた原稿150を順に引き込み、プラテンガラス(図示シ省略)上に搬送する。原稿読取部30は、搬送された原稿150に記録された画像の読み取りを行う。そして原稿搬送部は、画像の読み取りが終了した原稿150を原稿カバー32に設けられている原稿排出部32B上に排出する。なお、原稿読取部30は、読み取られた原稿画像からLab色空間の画像情報を生成する。
【0027】
また、原稿読取部30には、ユーザによる各種の指示操作を受け付けるユーザインタフェース34が設けられている。このユーザインタフェース34は、ソフトウエアプログラ
ムによって指示操作の受け付けを実現する表示ボタンや各種情報が表示されるディスプレイ34A、テンキー等のハードウエアキー34B等が設けられている。ディスプレイ34Aは、液晶パネル等の表示装置とタッチパッド等の位置入力装置を組み合わせたタッチパネル式のものが適用される。ユーザインタフェース34は、ディスプレイ34Aの表示ボタンやハードウエアキー34Bによって複写機能を用いるときの複写枚数の設定や倍率設定、ファクシミリ機能を用いるときの電話機のダイヤルキー等として用いられる。なお、ハードウエアキー34Bは省略してもよい。
【0028】
一方、画像形成部40は、画像形成用の記録媒体となる用紙が収容される給紙格納部42を備えている。画像形成部40では、給紙格納部42に収容されている用紙を、1枚ずつ取り出し、例えば、電子写真プロセスによって画像データに基づいた画像を用紙に形成する。また、画像形成部40では、画像形成を行った用紙を順に図示しない排紙部上へ排出する。
【0029】
図2は、本実施形態に係る画像形成装置20の電気系の要部構成を示すブロック図である。
【0030】
本実施形態に係る画像形成装置20は、図2に示すように、CPU(Central Processing Unit)50A、ROM(Read Only Memory)50B、及びRAM(Random Access Memory)50Cを含む制御部50を備えている。CPU50Aは、画像形成装置20の全体の動作を司る。RAM50Cは、CPU50Aによる各種プログラムの実行時のワークエリア等として用いられる。ROM50Bは、画像処理プログラム等の各種制御プログラムや各種パラメータ等が予め記憶される。そして、画像形成装置20は、制御部50の各部がシステムバス58によって電気的に接続されている。
【0031】
一方、本実施形態に係る画像形成装置20は、各種のデータやアプリケーション・プログラム等を記憶する記憶部52を備えている。また、画像形成装置20は、ユーザインタフェース34に接続され、ユーザインタフェース34のディスプレイ34Aへの各種の操作画面等の表示を制御する表示制御部54を備えている。また、画像形成装置20は、ユーザインタフェース34に接続され、ユーザインタフェース34を介して入力される操作指示を検出する操作入力検出部56を備えている。そして、画像形成装置20では、記憶部52、表示制御部54、及び操作入力検出部56がシステムバス58に電気的に接続されている。なお、記憶部52は、一例として、HDD(hard disk drive)を適用してもよいし、フラッシュメモリ等の不揮発性の記憶部を適用してもよい。
【0032】
また、本実施形態に係る画像形成装置20は、原稿光学読取部60による光学的な画像の読み取り動作、及び原稿搬送部による原稿送り動作を制御する読取制御部62と、画像形成部40による画像形成処理、及び搬送部44による画像形成部40への用紙の搬送を制御する画像形成制御部64と、を備えている。また、画像形成装置20は、図示しない通信回線に接続され、当該通信回線に接続されたサーバ等の他の外部装置と通信データの送受信を行う通信回線I/F(インタフェース)部66、及び各種画像処理を行う画像処理部68を備えている。また、画像形成装置20は、図示しない電話回線に接続され、当該電話回線に接続されているファクシミリ装置とファクシミリデータの送受信を行うファクシミリI/F(インタフェース)部70を備えている。また、画像形成装置20は、ファクシミリI/F部70を介したファクシミリデータの送受信を制御する送受信制御部72を備えている。そして、画像形成装置20では、送受信制御部72、読取制御部62、画像形成制御部64、通信回線I/F部66、ファクシミリI/F部70、及び画像処理部68がシステムバス58に電気的に接続されている。
【0033】
以上の構成により、本実施形態に係る画像形成装置20は、CPU50Aにより、RA
M50C、ROM50B、及び記憶部52へのアクセスを各々実行する。また、画像形成装置20は、CPU50Aにより、表示制御部54を介したユーザインタフェース34のディスプレイ34Aへの操作画面、各種のメッセージ等の情報の表示の制御を実行する。また、画像形成装置20は、CPU50Aにより、読取制御部62を介した原稿光学読取部60及び原稿搬送部の作動の制御を実行する。また、画像形成装置20は、CPU50Aにより、画像形成制御部64を介した画像形成部40及び搬送部44の作動の制御と、通信回線I/F部66を介した通信データの送受信の制御と、を各々実行する。また、画像形成装置20は、CPU50Aにより、送受信制御部72によるファクシミリI/F部70を介したファクシミリデータの送受信の制御を実行する。さらに、画像形成装置20は、CPU50Aにより、操作入力検出部56によって検出された操作情報に基づくユーザインタフェース34における操作内容の把握が行われ、この操作内容に基づく各種の制御を実行する。
【0034】
続いて、本実施形態に係る画像形成装置20において、制御部50のCPU50AがROM50Bに記憶されたプログラムをRAM50Cに展開して実行することにより実現される機能構成について説明する。図3は、本実施形態に係る画像形成装置20の制御部50の機能構成の一例を示す機能ブロック図である。
【0035】
制御部50は、L*ヒストグラム作成部80、a*ヒストグラム作成部82、b*ヒストグラム作成部84、コントラスト有無判定部86、色相差判定部88及び白紙判定部90の機能を有する。なお、本実施形態では、図3の機能構成を制御部50の機能として説明するが、これに限るものではなく、例えば、画像処理部68の機能構成としてもよい。
【0036】
L*ヒストグラム作成部80は、原稿光学読取部60が原稿画像を読み取ることによって得られるLab色空間の画像情報に対し、L*ヒストグラムを求める。例えば、図4Aに示す原稿150を読み取って得られるLab色空間の画像情報から、図4Bに示すL*ヒストグラムを作成する。なお、図4Bに示す、閾値Lth1は、本開示における第一度数閾値の一例である。
【0037】
L*ヒストグラム作成部80で作成されるL*ヒストグラムは、Lab色空間の画像情報のL*の予め定められた各区分(「ビン」ともいう)に対する画素数を度数とするヒストグラムである。
【0038】
a*ヒストグラム作成部82は、Lab色空間の画像情報に対し、a*ヒストグラムを求める。例えば、図4Aに示す原稿150を読み取って得られるLab色空間の画像情報から、図4Cに示すa*ヒストグラムを作成する。なお、図4Cに示す、閾値ath1は、本開示における第二度数閾値の一例である。
【0039】
a*ヒストグラム作成部82で作成されるa*ヒストグラムは、Lab色空間の画像情報のa*の予め定められた各区分(「ビン」ともいう)に対する画素数を度数とするヒストグラムである。
【0040】
b*ヒストグラム作成部84は、Lab色空間の画像情報に対し、b*ヒストグラムを求める。例えば、図4Aに示す原稿150を読み取って得られるLab色空間の画像情報から、図4Cに示すb*ヒストグラムを作成する。なお、図4Cに示す、閾値bth1は、本開示における第三度数閾値の一例である。
【0041】
b*ヒストグラム作成部84で作成されるb*ヒストグラムは、Lab色空間の画像情報のb*の予め定められた各区分(「ビン」ともいう)に対する画素数を度数とするヒストグラムである。
【0042】
なお、L*ヒストグラム、a*ヒストグラム、b*ヒストグラムの各区分は実験等により最適なものを求めて予め設定されている。また、L*ヒストグラムと、a*ヒストグラム及びb*ヒストグラムとは、区分の数が異なっていてもよい。ただし、a*ヒストグラムとb*ヒストグラムの区分の数は同じ数に設定する。
【0043】
コントラスト有無判定部86は、L*ヒストグラムを用いてLab色空間の画像情報におけるコントラストの有無を判定する。具体的には、コントラスト有無判定部86は、L*ヒストグラムにおいて、予め定められた閾値Lth1を超えるピークが二つ以上の場合に、コントラストを有と判定する。言い換えると、コントラスト有無判定部86は、L*ヒストグラムにおいて、閾値Lth1を超えるピークが一つの場合に、コントラストを無と判定する。なお、閾値Lth1を超えるピークを含むビンに隣接するビンの度数が閾値Lth1を超えていても、ピークは一つとしてカウントされる。
【0044】
色相差判定部88は、a*ヒストグラム及びb*ヒストグラムを用いてLab色空間の画像情報における色相差の有無を判定する。具体的には、色相差判定部88は、a*ヒストグラムにおいて予め定められた閾値ath1を超えるピークが二つ以上の場合及びb*ヒストグラムにおいて予め定められた閾値bth1を超えるピークが二つ以上の場合の少なくとも一方の場合に、Lab色空間の画像情報の色相差を有と判定する。言い換えると、色相差判定部88は、a*ヒストグラムにおいて閾値ath1を超えるピークが一つの場合及びb*ヒストグラムにおいて閾値bth1を超えるピークが一つの場合に、色相差を無と判定する。なお、閾値ath1を超えるピークを含むビンに隣接するビンの度数が閾値ath1を超えていても、ピークは一つとしてカウントされる。同様に、閾値bth1を超えるピークを含むビンに隣接するビンの度数が閾値bth1を超えていても、ピークは一つとしてカウントされる。
【0045】
白紙判定部90は、原稿150を白紙判定あるいは非白紙判定する機能を有する。具体的には、白紙判定部90は、コントラスト有無判定部86によるコントラストの有無の判定結果が有の場合及び色相差判定部88による色相差の有無の判定結果が有の場合の少なくとも一方の場合に、原稿画像を非白紙と判定する。
一方、白紙判定部90は、コントラスト有無判定部86によるコントラストの有無の判定結果が無の場合で且つ色相差判定部88による色相差の有無の判定結果が無の場合に原稿画像を無地(白紙)と判定する。具体的には、L*ヒストグラムにおいて閾値Lth1を超えるピーク、a*ヒストグラムにおいて閾値ath1を超えるピーク、及び、b*ヒストグラムにおいて閾値bth1を超えるピークの数がいずれも一つの場合に、原稿画像を白紙と判定する。
【0046】
また白紙判定部90は、原稿画像の判定が白紙であり、L*ヒストグラムにおいて、ピークが含まれるビンのL*値が予め定められた閾値Lth1以下の場合に、原稿画像を非白紙と判定する。一方で、白紙判定部90は、原稿画像の判定が白紙であり、L*ヒストグラムにおいて、ピークが含まれるビンのL*値が予め定められた閾値Lth3を超える場合に、原稿画像を白色の白紙と判定する。
【0047】
例えば、図5Aに示すように、原稿152が白色の白紙の場合、図5Bに示すように、L*ヒストグラムにおいて閾値Lth1を超えるピークが一つとなる。また、原稿152が白色のため、ピークが含まれるビンのL*値が最大値となる。なお、ここでいう「ビンのL*値が最大値」とは、ビンに含まれるL*値の範囲のうち最大の値をいう。本実施形態では、例えば、白色におけるL*値を255としているため、L*ヒストグラムにおいてピークが含まれるビンのL*値の最大値は255となる。
また、図5Bに示すように、a*ヒストグラムにおいて閾値ath1を超えるピークが一つとなり、b*ヒストグラムにおいて閾値bth1を超えるピークが一つとなる。なお、a*ヒストグラム及びb*ヒストグラムはともにヒストグラム中央(言い換えると、グレー軸近傍)のビンに度数が集まる。
図5Bに示すように、L*ヒストグラムにおいて閾値Lth1を超えるピークが一つ、a*ヒストグラムにおいて閾値ath1を超えるピークが一つ、b*ヒストグラムにおいて閾値bth1を超えるピークが一つとなるため、制御部50で原稿152が白紙(無地)であると判定される。なお、白色の白紙原稿は、白色の無地原稿と言い換えてもよい。
【0048】
例えば、図6Aに示すように、原稿154が白色で黒文字有りの紙の場合、図6Bに示すように、L*ヒストグラムにおいて閾値Lth1を超えるピークが二つとなる。また、原稿152が白色で黒文字有りのため、一つ目のピークが含まれるビンのL*値が最小値となり、二つ目のピークが含まれるビンのL*値が最大値となる。なお、ここでいう「ビンのL*値が最小値」とは、ビンに含まれるL*値の範囲のうち最小の値をいう。本実施形態では、例えば、黒色におけるL*値を0としているため、L*ヒストグラムにおいて一つ目のピークが含まれるビンのL*値の最小値は0となる。
また、図6Bに示すように、a*ヒストグラムにおいて閾値ath1を超えるピークが一つとなり、b*ヒストグラムにおいて閾値bth1を超えるピークが一つとなる。なお、a*ヒストグラム及びb*ヒストグラムはともにヒストグラム中央(言い換えると、グレー軸近傍)のビンに度数が集まる。
図6Bに示すように、L*ヒストグラムにおいて閾値Lth1を超えるピークが二つあるため、制御部50の白紙判定部90で原稿154が非白紙と判定される。
【0049】
例えば、図7Aに示すように、原稿156がピンク色の色紙で黒文字有りの場合、図7Bに示すように、L*ヒストグラムにおいて閾値Lth1を超えるピークが二つとなる。
また、図7Bに示すように、a*ヒストグラムにおいて閾値ath1を超えるピークが二つとなり、b*ヒストグラムにおいて閾値bth1を超えるピークが一つとなる。
図7Bに示すように、L*ヒストグラムにおいて閾値Lth1を超えるピークが二つあり、a*ヒストグラムにおいて閾値ath1を超えるピークが二つあるため、制御部50の白紙判定部90で原稿156が非白紙と判定される。
【0050】
例えば、図8Aに示すように、原稿158がピンク色の色紙で水色文字有りの場合(言い換えると、色文字色紙で輝度値類似の場合)、図8Bに示すように、L*ヒストグラムにおいて閾値Lth1を超えるピークが一つとなる。
また、図8Bに示すように、a*ヒストグラムにおいて閾値ath1を超えるピークが二つとなり、b*ヒストグラムにおいて閾値bth1を超えるピークが二つとなる。
図8Bに示すように、a*ヒストグラムにおいて閾値ath1を超えるピークが二つあり、b*ヒストグラムにおいて閾値bth1を超えるピークが二つあるため、制御部50の白紙判定部90で原稿158が非白紙と判定される。
【0051】
例えば、図9Aに示すように、原稿160がピンク色の色紙で赤文字有りの場合(言い換えると、色文字色紙で色相類似の場合)、図9Bに示すように、L*ヒストグラムにおいて閾値Lth1を超えるピークが二つとなる。
また、図9Bに示すように、a*ヒストグラムにおいて閾値ath1を超えるピークが一つとなり、b*ヒストグラムにおいて閾値bth1を超えるピークが一つとなる。
図9Bに示すように、L*ヒストグラムにおいて閾値Lth1を超えるピークが二つあるため、制御部50の白紙判定部90で原稿158が非白紙と判定される。
【0052】
例えば、図10Aに示すように、原稿162がピンク色の色紙で黒文字有りの場合(地色面積より文字が多い場合)、図10Bに示すように、L*ヒストグラムにおいて閾値Lth1を超えるピークが二つとなる。
また、図10Bに示すように、a*ヒストグラムにおいて閾値ath1を超えるピークが二つとなり、b*ヒストグラムにおいて閾値bth1を超えるピークが一つとなる。
図10Bに示すように、L*ヒストグラムにおいて閾値Lth1を超えるピークが二つあり、a*ヒストグラムにおいて閾値ath1を超えるピークが二つあるため、制御部50の白紙判定部90で原稿162が非白紙と判定される。
【0053】
続いて、上述のように構成された本実施形態に係る画像形成装置20で行われる具体的な処理について説明する。図11は、本実施形態に係る画像形成装置20の制御部50で行われる処理の流れの一例を示すフローチャートである。なお、図11の処理は、例えば、ユーザインタフェース34を操作して画像情報に対して予め定めた指示が行われた場合に開始する。なお、画像情報は、原稿光学読取部60によって読み取ることによって得られる画像情報でもよいし、読み取って記憶部52に予め保存した画像情報でもよい。
【0054】
ステップS200では、CPU50Aが、原稿光学読取部60で読み取った原稿150のLab色空間の画像情報を生成し、ステップS202へ移行する。
【0055】
ステップS202では、CPU50Aが、L*、a*、b*の各ヒストグラムを求める。すなわち、CPU50Aが、L*ヒストグラム、a*ヒストグラム、b*ヒストグラムをそれぞれ作成し、ステップS204へ移行する。
【0056】
ステップS204では、CPU50Aが、L*ヒストグラムにおいて、度数が閾値Lth1を超えているビンの数が閾値Lth2以上あるか否かを判定する。なお、本実施形態では、閾値Lth2は2に設定されている。すなわち、度数が閾値Lth1を超えているビンの数が二つ以上あるか否かを判定する。CPU50Aは、L*ヒストグラムにおいて、度数が閾値Lth1を超えているビンの数が二つ以上の場合、ステップS214へ移行し、ビンの数が一つの場合、ステップS206へ移行する。
【0057】
ステップS206では、CPU50Aが、a*ヒストグラムにおいて、度数が閾値ath1を超えているビンの数が閾値ath2以上あるか否かを判定する。なお、本実施形態では、閾値ath2は2に設定されている。すなわち、度数が閾値ath1を超えているビンの数が二つ以上あるか否かを判定する。CPU50Aは、a*ヒストグラムにおいて、度数が閾値ath1を超えているビンの数が二つ以上の場合、ステップS214へ移行し、ビンの数が一つの場合、ステップS208へ移行する。
【0058】
ステップS208では、CPU50Aが、b*ヒストグラムにおいて、度数が閾値bth1を超えているビンの数が閾値bth2以上あるか否かを判定する。なお、本実施形態では、閾値bth2は2に設定されている。すなわち、度数が閾値bth1を超えているビンの数が二つ以上あるか否かを判定する。CPU50Aは、b*ヒストグラムにおいて、度数が閾値bth1を超えているビンの数が二つ以上の場合、ステップS214へ移行し、ビンの数が一つの場合、ステップS210へ移行する。
【0059】
ステップS210では、CPU50Aが、L*ヒストグラムにおいて、度数が閾値Lth1を超えている一つのビン(すなわち、ピークが含まれるビン)のL*値が閾値Lth3以下である否かを判定する。CPU50Aは、L*ヒストグラムにおいて、ピークが含まれるビンのL*値が閾値Lth3以下の場合、ステップS214へ移行し、ピークが含まれるビンのL*値が閾値Lth3を超えている場合、ステップS212へ移行する。
【0060】
ステップS212では、CPU50Aは、原稿150を白紙(白色の白紙)と判定し、一連の処理を終了する。
【0061】
ステップS214では、CPU50Aは、原稿150を非白紙と判定し、一連の処理を終了する。
【0062】
続いて、本実施形態に係る画像形成装置20の制御部50で行われる処理の流れの変形例について説明する。図12及び図13は、本実施形態に係る画像形成装置20の制御部50で行われる処理の流れの各変形例を示すフローチャートである。なお、図11と同一処理は同一符号を付して詳細な説明を省略する。
【0063】
第一変形例では、図11の処理に対し、ステップS210及びステップS212の処理に代えて、ステップS220の処理が追加されている。すなわち、ステップS208において、b*ヒストグラムの度数が閾値bth1を超えているビンの数が一つと判定された場合、ステップS220へ移行する。ステップS220では、CPU50Aは、原稿150を白紙(無地)と判定し、一連の処理を終了する。このように原稿150が白紙であることまで判定する構成としてもよい。
【0064】
第二変形例では、図11の処理に対し、ステップS230の処理が追加されている。すなわち、ステップS210において、L*ヒストグラムのピークが含まれるビンのL*値が閾値Lth3を超えていると判定された場合、ステップS230へ移行する。ステップS230では、CPU50Aは、a*ヒストグラムの一つのピークとb*ヒストグラムの一つのピークとで特定される色が予め指定された指定色である否かを判定する。CPU50Aは、特定される色が予め指定された指定色の場合、ステップS214へ移行し、特定される色が予め指定された指定色に該当しない場合、ステップS212へ移行する。このように原稿150が色紙の場合に、特定の色を非白紙と判定してもよい。
【0065】
さらに図11の処理に対し、ステップS210に代えて、以下のステップを入れてもよい。このステップは、例えば、L*ヒストグラムにおいて、ピークが含まれるビンのL*値が最大値か否かを判定するステップである。このステップによりL*ヒストグラムにおいて、ピークが含まれるビンのL*値が最大値と判定された場合、ステップS212へ移行し、ピークが含まれるビンのL*値が最大値でないと判定された場合、ステップS214へ移行する。これにより、原稿150が白色の白紙か否かを精度よく判定することができる。
【0066】
なお、上述のステップS204、ステップS206、ステップS208については、適宜入れ替えてもよい。
【0067】
次に本実施形態の作用について説明する。
本実施形態では、コントラストが有の場合及び色相差が有の場合の少なくとも一方の場合に、原稿画像を非白紙と判定する。このため、RGB色空間の画像情報に対しRGBの最大値のヒストグラムと最大差のヒストグラムを求めて原稿画像の非白紙判定を行う構成と比べて、原稿画像の非白紙判定の精度を向上させることができる。
【0068】
また、L*ヒストグラムにおいて、予め定められた閾値Lth1を超えるピークが二つ以上の場合に、コントラストを有と判定する場合、例えば、L*ヒストグラムにおいて閾値Lth1を超えるピークが三つ以上の場合にコントラストを有と判定する構成と比べて、原稿画像の非白紙判定の精度を向上させることができる。
【0069】
また、コントラストを無で且つ色相差を無と判定する場合に、原稿画像を白紙と判定する場合、原稿画像の地色を判定することができる。
【0070】
また、原稿画像の判定が白紙であり、L*ヒストグラムにおいて、ピークが含まれる区分のL*値が閾値Lth3以下の場合に、原稿画像を非白紙と判定する場合、原稿画像の非白紙判定の精度を向上させることができる。
【0071】
また、L*ヒストグラムにおいて、ピークが含まれる区分のL*値が最大値の場合に、稿画像を白紙と判定する場合、原稿画像の白紙判定の精度を向上させることができる。
【0072】
また、原稿画像の判定が白紙であり、a*ヒストグラムのピークとb*ヒストグラムのピークによって特定される色に予め指定された指定色が含まれる場合に、原稿画像を非白紙と判定する場合、原稿画像の非白紙判定の精度を向上させることができる。
【0073】
なお、上記の実施形態では、画像形成装置20が図11図12図13の処理を行う例を説明したが、これに限定されるものではない。例えば、図14に示すように、画像形成装置122と、クラウドサーバ等のサーバ124及びクライアントコンピュータ126の少なくとも一方と、を通信回線128に接続した画像処理システム120としてもよい。この場合、画像形成装置122を画像読取装置とし、サーバ124又はクライアントコンピュータ126を画像処理装置として、図11の処理、図11の処理及び図12の処理の少なくとも一方をサーバ124又はクライアントコンピュータ126が行う形態としてもよい。サーバ124及びクライアントコンピュータ126を共に含む画像形成システムの場合には、サーバ124とクライアントコンピュータ126とが連係して図11の処理、図11の処理及び図12の処理を行ってもよい。
【0074】
上記の実施形態では、画像処理システムの一例としての画像形成装置20が図11図12図13の処理を行う例を説明したが、これに限定されるものではない。例えば、図15に示すように、画像処理システム130が、画像形成装置132と、画像検査装置134と、白紙除去部136とを備えていてもよい。画像形成装置132は用紙に画像を形成した原稿170を下流へ向けて排出する。画像検査装置134は、画像が形成された原稿170の画像を読み取って検査する。具体的には、画像検査装置134は原稿170が白紙か否かを判定する。そして、白紙除去部136は、画像検査装置134で原稿170が非白紙と判定された場合に、原稿170を搬送経路から外して、搬送経路上から除去する。これにより、白紙原稿を下流へ搬送するのを抑制することができる。なお、画像処理システム130における制御部は、画像検査装置134に搭載されてもよいし、画像形成装置132に搭載されてもよいし、白紙除去部136に搭載されてもよい。
【0075】
また、上記の実施形態において、CPUをプロセッサの一例として説明したが、プロセッサとは広義的なプロセッサを指し、汎用的なプロセッサ(例えばCPU等)や、専用のプロセッサ(例えばGPU:Graphics Processing Unit、ASIC:Application Specific Integrated Circuit、FPGA:Field Programmable Gate Array、プログラマブル論理デバイス等)を含むものである。
【0076】
また、上記の実施形態におけるプロセッサの動作は、1つのプロセッサによって成すのみでなく、物理的に離れた位置に存在する複数のプロセッサが協働して成すものであってもよい。また、プロセッサの各動作の順序は上記各実施形態において記載した順序のみに限定されるものではなく、適宜変更してもよい。
【0077】
また、上記の実施形態に係る画像形成装置20で行われる処理は、ソフトウエアで行われる処理としてもよいし、ハードウエアで行われる処理としてもよいし、双方を組み合わせた処理としてもよい。また、画像形成装置20で行われる処理は、プログラムとして記憶媒体に記憶して流通させるようにしてもよい。
【0078】
また、本開示は、上記に限定されるものでなく、上記以外にも、その主旨を逸脱しない範囲内において種々変形して実施可能であることは勿論である。
【0079】
以上の実施形態に関し、更に以下の付記を開示する。
(((1)))
原稿画像を読み取ってLab色空間の画像情報を生成する画像読取部と、
プロセッサと、
を有し、
前記プロセッサは、
前記画像情報に対し、L*、a*、b*それぞれのヒストグラムを求め、
L*ヒストグラムを用いて前記画像情報におけるコントラストの有無を判定し、
a*ヒストグラム及びb*ヒストグラムを用いて前記画像情報における色相差の有無を判定し、
前記コントラストが有の場合及び前記色相差が有の場合の少なくとも一方の場合に、前記原稿画像を非白紙と判定する、画像処理システム。
【0080】
(((2)))
前記L*ヒストグラムは、前記画像情報のL*の予め定められた各区分に対する画素数を度数とするヒストグラムであり、前記プロセッサは、前記L*ヒストグラムにおいて、予め定められた第一度数閾値を超えるピークが二つ以上の場合に、前記コントラストを有と判定する、(((1)))に記載の画像処理システム。
【0081】
(((3)))
前記a*ヒストグラムは、前記画像情報のa*の予め定められた各区分に対する画素数を度数とするヒストグラムであり、
前記b*ヒストグラムは、前記画像情報のb*の予め定められた各区分に対する画素数を度数とするヒストグラムであり、
前記プロセッサは、
前記a*ヒストグラムにおいて予め定められた第二度数閾値を超えるピークが二つ以上の場合及び前記b*ヒストグラムにおいて予め定められた第三度数閾値を超えるピークが二つ以上の場合の少なくとも一方の場合に、前記画像情報の前記色相差を有と判定する、(((1)))又は(((2)))に記載の画像処理システム。
【0082】
(((4)))
前記プロセッサは、前記コントラストが無で且つ前記色相差が無の場合に、前記原稿画像を白色の白紙と判定する、(((1)))~(((3)))のいずれか1項に記載の画像処理システム。
【0083】
(((5)))
前記L*ヒストグラムは、前記画像情報のL*の予め定められた各区分に対する画素数を度数とするヒストグラムであり、
前記a*ヒストグラムは、前記画像情報のa*の予め定められた各区分に対する画素数を度数とするヒストグラムであり、
前記b*ヒストグラムは、前記画像情報のb*の予め定められた各区分に対する画素数を度数とするヒストグラムであり、
前記プロセッサは、
前記L*ヒストグラムにおいて予め定められた第一度数閾値を超えるピーク、前記a*ヒストグラムにおいて予め定められた第二度数閾値を超えるピーク、及び、前記b*ヒストグラムにおいて予め定められた第三度数閾値を超えるピークの数がいずれも一つの場合に、前記原稿画像を白紙と判定する、(((1)))~(((3)))のいずれか1項に記載の画像処理システム。
【0084】
(((6)))
前記プロセッサは、
前記原稿画像の判定が白紙であり、前記L*ヒストグラムにおいて、前記ピークが含まれる前記区分のL*値が予め定められた第一L*閾値以下の場合に、前記原稿画像を非白紙と判定する、(((5)))に記載の画像処理システム。
【0085】
(((7)))
前記プロセッサは、前記L*ヒストグラムにおいて、前記ピークが含まれる前記区分のL*値が最大値の場合、前記原稿画像を白紙と判定する、(((6)))に記載の画像処理システム。
【0086】
(((8)))
前記プロセッサは、
前記原稿画像の判定が白紙であり、前記a*ヒストグラムのピークと前記b*ヒストグラムのピークによって特定される色に予め指定された指定色が含まれる場合に、前記原稿画像を非白紙と判定する、(((5)))又は(((6)))に記載の画像処理システム。
【0087】
(((9)))
コンピュータに、
原稿画像を読み取ってLab色空間の画像情報を生成し、
前記画像情報に対し、L*、a*、b*それぞれのヒストグラムを求め、
L*ヒストグラムを用いて前記画像情報におけるコントラストの有無を判定し、
a*ヒストグラム及びb*ヒストグラムを用いて前記画像情報における色相差の有無を判定し、
前記コントラストが有の場合及び前記色相差が有の場合の少なくとも一方の場合に、前記原稿画像を非白紙と判定する、処理を実行させるための画像処理プログラム。
【0088】
(((1)))によれば、RGB色空間の画像情報に対しRGBの最大値のヒストグラムと最大差のヒストグラムを求めて原稿画像の非白紙判定を行う構成と比べて、原稿画像の非白紙判定の精度を向上させることができる。
【0089】
(((2)))によれば、L*ヒストグラムにおいて第一度数閾値を超えるピークが三つ以上の場合にコントラストを有と判定する構成と比べて、原稿画像の非白紙判定の精度を向上させることができる。
【0090】
(((3)))によれば、a*ヒストグラムにおいて第二度数閾値を超えるピークが三つ以上の場合及びb*ヒストグラムにおいて第三度数閾値を超えるピークが三つ以上の場合の少なくとも一方の場合に色相差を有と判定する構成と比べて、原稿画像の非白紙判定の精度を向上させることができる。
【0091】
(((4)))によれば、原稿画像の地色を判定することができる。
【0092】
(((5)))によれば、本構成を有しない場合と比べて、原稿画像の白紙判定の精度を向上させることができる。
【0093】
(((6)))によれば、本構成を有しない場合と比べて、原稿画像の非白紙判定の精度を向上させることができる。
【0094】
(((7)))によれば、本構成を有しない場合と比べて、原稿画像の白紙判定の精度を向上させることができる。
【0095】
(((8)))によれば、本構成を有しない場合と比べて、原稿画像の非白紙判定の精度を向上させることができる。
【0096】
(((9)))によれば、RGB色空間の画像情報に対しRGBの最大値のヒストグラムと最大差のヒストグラムを求めて原稿画像の非白紙判定を行う構成と比べて、原稿画像の非白紙判定の精度を向上させることができる。
【符号の説明】
【0097】
20 画像形成装置(画像処理システムの一例)
30 原稿読取部(画像読取部の一例)
40 画像形成部
50 制御部
68 画像処理部
80 L*ヒストグラム作成部
82 a*ヒストグラム作成部
84 b*ヒストグラム作成部
86 コントラスト有無判定部
88 色相差判定部
90 白紙判定部
120 画像処理システム
122 画像形成装置
130 画像処理システム
132 画像形成装置
134 画像検査装置
136 白紙除去部
150 原稿
Lth1 閾値(第一度数閾値の一例)
Lth3 閾値(第一L*閾値の一例)
ath1 閾値(第二度数閾値の一例)
bth1 閾値(第三度数閾値の一例)
図1
図2
図3
図4A
図4B
図4C
図5A
図5B
図6A
図6B
図7A
図7B
図8A
図8B
図9A
図9B
図10A
図10B
図11
図12
図13
図14
図15