(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024137514
(43)【公開日】2024-10-07
(54)【発明の名称】微小気泡発生器具
(51)【国際特許分類】
B01F 23/23 20220101AFI20240927BHJP
B01F 23/2375 20220101ALI20240927BHJP
B01F 25/4314 20220101ALI20240927BHJP
B01F 25/10 20220101ALI20240927BHJP
【FI】
B01F23/23
B01F23/2375
B01F25/4314
B01F25/10
【審査請求】有
【請求項の数】1
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023049058
(22)【出願日】2023-03-24
(11)【特許番号】
(45)【特許公報発行日】2023-09-05
(71)【出願人】
【識別番号】516263915
【氏名又は名称】株式会社アルベール・インターナショナル
(74)【代理人】
【識別番号】100143096
【弁理士】
【氏名又は名称】山岸 忠義
(72)【発明者】
【氏名】二谷 欣哉
【テーマコード(参考)】
4G035
【Fターム(参考)】
4G035AC08
4G035AC44
4G035AE13
(57)【要約】
【課題】微小気泡の発生量が良好である微小気泡発生器具を提供すること。
【解決手段】微小気泡発生器具1は、給水系に配置するための器具であって、微小気泡発生体2、および、微小気泡発生体2を収容する筐体3を備える。微小気泡発生体2は、水流方向上流側に配置される第1部材4と、第1部材4に対して水流方向下流側に配置される第2部材5とを備える。第1部材4は、渦を発生させるための渦発生部7と、螺旋部7の水流方向上流側の面に、水流方向に向かって突出する複数の第1角柱8とを備える。第2部材5は、水流方向に伸びる円柱軸12と、円柱軸12の側面に、径方向に向かって突出する複数の第2角柱13とを備える。
【選択図】
図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
給水系に配置するための器具であって、
微小気泡発生体、および、前記微小気泡発生体を収容する筐体を備え、
前記微小気泡発生体は、
水流方向上流側に配置される第1部材と、
前記第1部材に対して水流方向下流側に配置される第2部材と
を備え、
前記第1部材は、
渦を発生させるための渦発生部と、
前記渦発生部の水流方向上流側の面に、水流方向に向かって突出する複数の第1角柱とを備え、
前記第2部材は、
水流方向に伸びる軸と、
前記軸の側面に、水流方向と交差する交差方向に向かって突出する複数の第2角柱と
を備えることを特徴とする微小気泡発生器具。
【請求項2】
前記第1部材は、前記渦発生部の水流方向下流側の面に、水流方向に向かって突出する複数の第1角柱をさらに備えることを特徴とする請求項1に記載の微小気泡発生器具。
【請求項3】
前記第1角柱の寸法は、前記第2角柱の寸法よりも小さいことを特徴とする請求項1に記載の微小気泡発生器具。
【請求項4】
前記第1角柱および前記第2角柱は、それぞれ、三角柱または四角柱であることを特徴とする請求項1に記載の微小気泡発生器具。
【請求項5】
前記複数の第2角柱が、前記軸から放射状に配置されるとともに、軸方向に螺旋状に配置されていることを特徴とする請求項1に記載の微小気泡発生器具。
【請求項6】
前記第1部材には、螺旋板が、放射状に、かつ、周方向に間隔を隔てて複数配置されていることを特徴とする請求項1に記載の微小気泡発生器具。
【請求項7】
前記第1部材は、交差方向に複数配置され、
前記第2部材は、交差方向に複数配置され、
前記複数の第1部材と、前記複数の第2部材とは、互いに対をなすことを特徴とする請求項1に記載の微小気泡発生器具。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、微小気泡発生器具に関する。
【背景技術】
【0002】
近年、1μm以下の微小気泡であるナノバブルを水に、多量に発生させたナノバブル水は、洗浄能力や美容効果など種々の効果が検証されており、注目されている。ナノバブル水の発生装置は、小型化や簡便性、取付容易性などの改良がなされ、家庭用にも使用できる装置が提供されている。このような発生装置としては、シャワーヘッドに微小気泡発生体を内蔵したシャワーヘッド内蔵タイプ(特許文献1参照)、微小気泡発生体をホース継ぎ手として、シャワーヘッドとホースとの間に取り付けるタイプ(特許文献2参照)などが知られている。
【0003】
しかしながら、特許文献1では、台所や洗面台の蛇口の先端に後付けができず、特許文献2では、小型化に不向きであるという不具合が発生している。そのため、台所の蛇口などに取り付けることができ、ナノバブルを多量に発生できる発生装置が提案されている(特許文献3参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2020-11034号公報
【特許文献2】特許第6205099号
【特許文献3】特許第6984919号
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
特に最近では、ナノバブル発生量をより一層多くして、ナノバブルによる効果をさらに高めた器具の提供が要望されている。
【0006】
本発明は、微小気泡の発生量が良好である微小気泡発生器具を提供する。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明は、上記課題を解決するために、以下の発明を含む。
【0008】
本発明[1]は、給水系に配置するための器具であって、微小気泡発生体、および、前記微小気泡発生体を収容する筐体を備え、前記微小気泡発生体は、水流方向上流側に配置される第1部材と、前記第1部材に対して水流方向下流側に配置される第2部材とを備え、前記第1部材は、渦を発生させるための渦発生部と、前記渦発生部の水流方向上流側の面に、水流方向に向かって突出する複数の第1角柱とを備え、前記第2部材は、水流方向に伸びる軸と、前記軸の側面に、水流方向と交差する交差方向に向かって突出する複数の第2角柱と を備える微小気泡発生器具を含む。
【0009】
このような微小気泡発生器具によれば、給水系の上流から微小気泡発生器具へ流入する水は、第1部材の渦発生部によって渦状になりながらその上流面に配置される第1角柱に衝突するため、水中の気泡が細分化される。また、その後、第2部材の角柱と衝突するため、細分化された気泡がさらに細分化されて、微小気泡が多量に発生する。すなわち、渦を発生させながら、水流方向および交差方向に延びる2種類の複数の角柱の衝突によって水中の気泡が複数回細分化されるため、多量の微小気泡を発生させることができる。加えて、水流方向の長さやその交差方向の長さが小さくすることができるため、小型化が可能である。
【0010】
本発明[2]は、前記第1部材が、前記渦発生部の水流方向下流側の面に、水流方向に向かって突出する複数の第1角柱をさらに備える[1]に記載の微小気泡発生器具を含む。
【0011】
このような微小気泡発生器具によれば、第1部材に数多くの第1角柱を配置することができるため、第1角柱と水中の気泡との衝突を多くさせることできる。そのため、より一層多くの微小気泡を発生させることができる。
【0012】
本発明[3]は、前記第1角柱の寸法が、前記第2角柱の寸法よりも小さい[1]または[2]に記載の微小気泡発生器具を含む。
【0013】
このような微小気泡発生器具によれば、第1部材に数多くの小さい第1角柱を配置することができるため、第1角柱と水中の気泡との衝突を多くさせることできる。そのため、より一層多くの微小気泡を発生させることができる。
【0014】
本発明[4]は、前記第1角柱および前記第2角柱は、それぞれ、三角柱または四角柱である[1]~[3]のいずれか一項に記載の微小気泡発生器具を含む。
【0015】
このような微小気泡発生器具によれば、各角柱が角張っているために、より確実に微小気泡を発生させることができる。
【0016】
本発明[5]は、前記複数の第2角柱が、前記軸から放射状に配置されるとともに、軸方向に螺旋状に配置されている[1]~[4]のいずれか一項に記載の微小気泡発生器具を含む。
【0017】
このような微小気泡発生器具によれば、放射状かつ螺旋状に配置される複数の第2角柱によって、渦状に水流をスムーズに勢いよく流すことができるため、微小気泡発生器具から排出される水圧の過度の低下を抑制することができるとともに、第2角柱との衝突による勢いを増すことができるため、より多くの微小気泡を発生させることができる。
【0018】
本発明[6]は、第1部材では、螺旋板が、放射状に、かつ、周方向に間隔を隔てて複数配置されている[1]~[5]のいずれか一項に記載の微小気泡発生器具を含む。
【0019】
このような微小気泡発生器具によれば、給水系の上流から流れてくる水は、第1部材の渦発生部に衝突して渦状になった後に、短い周方向距離内で、周方向に設けられた間隔を通過して、第2部材へと誘導される。すなわち、上流から流れてくる水の勢いを維持して、水流を第2部材に誘導することができる。よって、第2部材においても、水は勢いよく第2角柱に衝突することができるため、より多くの微小気泡を発生させることができる。
【0020】
本発明[7]は、前記第1部材は、交差方向に複数配置され、前記第2部材は、交差方向に複数配置され、前記複数の第1部材と、前記複数の第2部材とは、互いに対をなすことを特徴とする項[1]~[6]のいずれか一項に記載の微小気泡発生器具を含む。
【0021】
このような微小気泡発生器具によれば、複数対の第1部材および第2部材を備えるため、より多くの微小気泡を発生させることができる。
【発明の効果】
【0022】
本発明の微小気泡発生器具は、微小気泡の発生量が良好である。
【図面の簡単な説明】
【0023】
【
図1】
図1は、本発明の第1実施形態の分解斜視図を示す。
【
図2】
図2は、
図1の第1実施形態を示し、左図が平面図、右図が左図のA-A断面図を示す。
【
図3】
図3は、
図1の第1部材を示し、左上図が平面図、左下図が正面図、右上図が底面図、右下図が側面図を示す。
【
図4】
図4は、
図3において環状枠部を取り除いたときの第1部材を示し、左上図が平面図、左下図が正面図、右上図が斜視図、右下図が側面図を示す。
【
図7】
図7は、本発明の第2実施形態の分解斜視図を示す。
【
図8】
図8は、
図7の第2実施形態を示し、左図が平面図、右図が左図のB-B断面図を示す。
【
図9】
図9は、
図7の第1部材を示し、左上図が平面図、左下図が正面図、右下図が側面図を示す。
【
図11】
図11は、
図10の第3実施形態を示し、左図が平面図、右図が左図のC-C断面図を示す。
【
図12】
図12は、
図10の第1部材一体型収容体を示し、左上図が平面図、左下図が底面図、右上図が上流側から観察した斜視図、右下図が下流側から観察した斜視図を示す。
【
図13】
図13は、第4実施形態における第1部材一体型収容体を示し、左図が平面図、右上図が上側から観察した斜視図を示す。
【発明を実施するための形態】
【0024】
<第1実施形態>
図1~
図6を用いて、本発明の一例として、第1実施形態の微小気泡発生器具1を説明する。
【0025】
第1実施形態の微小気泡発生器具1(以下、「発生器具」と略する。)は、給水系、すなわち、水が流れる流路に配置して微小気泡を発生させる器具であって、
図1~
図2に示すように、微小気泡発生体2(以下、「発生体」と略する。)と、筐体3とを備えている。
【0026】
発生体2は、給水系の上流側から流れてくる水に対して微小気泡であるナノバブルを多量に発生させるための部材である。発生体2は、水流方向の上流側に配置される第1部材4と、その下流側に配置される第2部材4とを備えている。なお、水流方向とは、給水系から発生器具1に向かって水が流れる方向であって、後述する中心軸12の軸方向と一致する。また、水流方向と直交する直交方向(交差方向の一例)は、上記軸方向に対する径方向または周方向と一致する。
【0027】
第1部材4は、
図3~
図4に示すように、中心部6と、螺旋部(渦発生部の一例)7と、複数の第1角柱8と、環状枠部9とを一体的に備えている。第1部材4の外形は、水流方向に沿うように目視した際に、より具体的には、上流側から下流側に向かって目視した際に(以下、平面視において)、略円形状を有する。
【0028】
中心部6は、螺旋部7を支える部位である。中心部6は、第1部材4の平面視中央に配置されている。第1部材4は、円柱形状を有し、その上流側の端部が三角錐形状に形成されている。
【0029】
螺旋部7は、上流側から流れてくる水を渦状にして、第2部材5へ誘導する部位である。螺旋部7は、複数(3枚)の螺旋板から構成されている。各螺旋板は、螺旋状の板状部材であり、互いに略同一形状を有する。具体的には、螺旋板は、平面視において、中心角が120度である平面視扇形状を有し、径方向に沿うように目視した際に(以下、側面視において)、水流方向および径方向の両方と交差する斜め方向に傾斜した形状を有する。すなわち、螺旋板は、平面視において、周方向(具体的には、反時計方向)に進むに従って下流側に傾斜している。螺旋板の傾斜角θ1(側面視において、螺旋板と径方向とがなす角度)は、例えば、10度以上、30度以下である。
【0030】
複数の螺旋板は、平面視において、中心部6から放射状に、かつ周方向に等間隔を隔てて延びている。すなわち、一の螺旋板における周方向一端縁(例えば、時計周り方向端縁;径方向に延びる端縁の一つ)と、その螺旋板と隣接する他の螺旋板における周方向他端縁(例えば、反時計回り方向端縁:径方向に延びる端縁の一つ)とは、周方向に間隔10を隔てている。間隔10は、側面視略矩形状に区画されており、第1部材4に流入した水が第2部材5へと流出する際に通過する水の出入り口となる。
【0031】
複数の第1角柱8は、上流側から流れてくる水の内部に含まれる気泡を、マイクロレベルまたはナノレベルの気泡に細分化する部位である。複数の第1角柱8は、螺旋部7の上流側の面において、上流側に向かって突出するように形成されており、周方向および径方向に間隔を隔てて配置されている。また、複数の第1角柱8は、螺旋部7の下流側の面においても、下流側に向かって突出するように形成されており、周方向および径方向に間隔を隔てて配置されている。第1角柱8の総数は、上流側の面および下流側の面のそれぞれにおいて、例えば、10個以上、100個以下である。複数の第1角柱8は、三角柱であり、複数の第1角柱8の平面視形状は、互いに同一であり、その高さ(水流方向長さ)も、互いに同一である。上流側の面に配置される複数の第1角柱8と、下流側の面に配置される複数の第1角柱8とは、同一形状であって、対をなす。すなわち、上流側の面に第1角柱8が配置されている箇所の下流側の面には、第1角柱8が配置されている。第1角柱8の寸法(体積)は、後述する第2部材5の寸法よりも小さい。具体的には、第1角柱8の高さ(水流方向長さ)は、第2角柱13の高さ(径方向長さ)よりも小さく、かつ、第1角柱8の三角形面積は、第2角柱13の四角形面積よりも小さい。
【0032】
環状枠部9は、螺旋部7を補強する部位である。環状枠部9の内周縁は、螺旋部7、すなわち、複数の螺旋板の径方向端縁と連続しており、その外周縁は、筐体3の内周縁とほぼ一致する。環状部9の外側面には、第1部材4が周方向に回転することを防止するための凸部11が形成されている。
【0033】
第2部材5は、
図5~
図6に示すように、円柱軸12と、複数の第2角柱13とを一体的に備えている。
【0034】
円柱軸12は、複数の第2角柱13を支持する部位である。円柱軸12は、水流方向と同一方向である軸方向に延びる円柱形状を有する。円柱軸12の上端は、第1部材4の中心軸6の下端と接触する。
【0035】
複数の第2角柱13は、第1部材4によって細分化された気泡を更に微細化して、ナノバブルにする部位である。複数の第2角柱13は、円柱軸12の周側面から径方向外側に突出するように形成されている。複数の第2角柱13は、互いに同一形状であって、略平行六面体である。すなわち、第2角柱13は、側面視において、略平行四辺形状を有する四角柱である。軸方向に直交する断面視においては、径方向に長尺な長方形状を有しており、軸方向他方側に向かうに従って長方形状が円柱軸12の周方向(具体的には、反時計回り)に回転するように形成されている。第2角柱13の外周縁は、平面視において、後述する筐体3の内周縁に沿うように湾曲している。すなわち、第2角柱13の径方向外側面(平行四辺形状を形成する面)は、円弧状に形成されている。
【0036】
第2角柱13は、円柱軸12の周側面に複数(35個)設けられ、円柱軸12の軸方向一端部から他端部にわたって規則正しく配置されている。具体的には、円柱軸12から放射状に突出する複数(5個)の角柱が、一組の放射状角柱群14を構成しており、放射状角柱群14が、軸方向に間隔を隔てて、複数(7組)配置されている。複数組の放射状角柱群14は、互いに平行となるように、軸方向に等間隔で配置されており、かつ、周方向に回転するように、すなわち螺旋状に、軸方向に等間隔で配置されている。
【0037】
また、複数の第2角柱13は、
図5に示すように、円柱軸12の軸方向(特に、円柱軸12の中心を通過する軸方向の直線)を螺旋軸Xとした螺旋状の線Yに沿うように、円柱軸12の側面に配置されている。すなわち、複数の第2角柱13は、緩やかな螺旋角θ
2(例えば、45度以下、5度以上)を持つ螺旋状に配置されている。具体的には、
図6に示すように、互いに軸方向に間隔を空けて隣接する2つの第2角柱13の位置関係において、一の第2角柱13および他の第2角柱13は、平面視において、互いに重複し、かつ、周方向に僅かにずれるように位置する。すなわち、軸方向他方側に配置される他の第2角柱13は、軸方向一方側に位置する一の第2角柱13に対して、反時計周りに僅かにずれている。このような螺旋状に配置される角柱群は、複数組存在する。すなわち、側面視においてに、軸方向に近接する複数(7個)の第2角柱13で、一列の螺旋状角柱群15を構成しており、螺旋状角柱群7は、周方向に等間隔で、複数列(5列)配置されている。これにより、多数の第2角柱13を配置しながら、螺旋状角柱群15の間に、複数(5個)の螺旋状の流路が区画される。
【0038】
発生体2の直径、すなわち、第1部材4および第2部材5の直径は、それぞれ、例えば、50mm以上、好ましくは、20mm以上であり、また、例えば、50mm以下、好ましくは、30mm以下である。発生体2の水流方向長さは、例えば、20mm以上、好ましくは、30mm以上であり、また、例えば、80mm以下、好ましくは、60mm以下である。各第1角柱8の水流方向長さ(三角柱の高さ)は、例えば、1mm以上、好ましくは、3mm以上であり、また、例えば、5mm以下、好ましくは、4mm以下である。各第2角柱13の径方向長さ(四角柱の高さ)は、第1角柱8の水流方向長さよりも長く、例えば、3mm以上、好ましくは、6mm以上であり、また、例えば、20mm以下、好ましくは、10mm以下である。
【0039】
筐体3は、発生体2を収容し、かつ、給水系の内部に配置するための部材である。筐体3は、本体部16と、蓋部17とを備えている。本体部16および蓋部17は、例えば、溶着、接着剤、嵌合、螺合などの従来方法により、互いに固定されている。筐体3は、給水系に配置ないし固定可能なように、上端部および下端部に、給水系の部材と螺合可能なように形成されている。すなわち、本体部16の下端および蓋部17の上端に、それぞれ、内ネジが形成されている。筐体3の上端部に、凸部11と嵌合する凹部21が形成され、筐体3の下端部に、径方向に縮径する絞り部18が形成されている。
【0040】
発生体2および筐体3の材料としては、それぞれ、例えば、ポリエチレン(PE)、ポリプロピレン(PP)、ポリエチレンテレフタレート(PET)、エチレン酢酸ビニル共重合体(EVA)、ポリ塩化ビニル(PVC)、ポリ塩化ビニリデン(PVDC)、ポリアセタール(POM)、シリコーンゴム、ABS樹脂などの樹脂、例えば、アルミニウム、ステンレス、真鍮などの金属などが挙げられ、好ましくは、樹脂が挙げられる。
【0041】
発生器具1は、給水系の途中または端部に配置して使用される。例えば、台所や洗面所、屋外などに配置されている蛇口パイプ(水栓パイプ)の先端、これらの蛇口パイプとホースとの間、水道管またはホースの途中などが挙げられる。より具体的な用途としては、台所用蛇口パイプの先端、洗濯ホースと洗濯機との間、シャワーヘッドとシャワーホースとの間などが挙げられる。
【0042】
この発生器具1によれば、多量のナノバブルを発生させることができる。これは、以下のメカニズムによるものと推測されるが、本発明は、このメカニズムに限定されない。すなわち、給水系の上流側から流れてくる水は、第1部材4の上面に流れ込み、螺旋部7によって渦状になるとともに第1角柱8に衝突することにより、水中の気泡が細分化され、マイクロレベルの微小な気泡となる。次いで、微小な気泡を含有する水は、渦を巻きながら、第2部材5に誘導され、複数の第2角柱13と多段的に衝突する。この際、第2角柱13は、螺旋状に形成されているため、渦状の水は、よりスムーズに進むとともに、勢いよく複数の第2角柱13と接触することによって、さらに微細化される。その結果、多量のナノバブル(直径が1000nm以下である微小気泡)が発生し、大幅に増量したナノバブル水が、発生器具1の下流端から放出される。特に、本発明は、突出方向の異なる2種類の角柱による衝突、螺旋部7や第2角柱13の螺旋配置などによる渦状のスムーズな水流によって、効率よくナノバブルを発生させることができる。加えて、この発生器具1は、水流方向長さおよび径方向長さが比較的小さくでき、小型可能である。
【0043】
また、この発生器具1によれば、第1部材4が、螺旋部7の下流側の面に、複数の第1角柱8をさらに備えている。このため、第1部材4に数多くの第1角柱8が配置されているため、第1角柱8と水中の気泡との衝突を多くさせることできる。そのため、より一層多くのナノバブルを発生させることができる。
【0044】
また、この発生器具1によれば、第1角柱8の寸法は、第2角柱13の寸法よりも小さい。このため、第1部材4の螺旋部7の上流側の面に数多くの第1角柱8を配置することができ、第1角柱8と、上流から流れてくる水中の気泡とを、より多く衝突させることできる。その結果、より一層多くのナノバブルを発生させることができる。
【0045】
また、この発生器具1によれば、複数の第2角柱13が、中心軸12から放射状に配置されるとともに、軸方向に螺旋状に配置されている。このため、螺旋状に配置される複数の第2角柱13によって、渦状に水流をスムーズに勢いよく流すことができる。その結果、発生器具1から排出される水圧の過度の低下を抑制することができるとともに、第2角柱13との衝突による勢いを増すことができるため、より多くのナノバブルを発生させることができる。
【0046】
また、この発生器具1によれば、螺旋部7が複数の螺旋板から構成されており、かつ、その螺旋板が、放射状に、かつ、周方向に間隔10を隔てて複数配置されている。このため、給水系の上流から流れてくる水は、第1部材4の螺旋部7に衝突して渦状になった後に、短い周方向距離内で、周方向に設けられた間隔を通過して、第2部材5へと誘導される。すなわち、上流から流れてくる水の勢いを維持(または、勢いの大幅な低下を抑制)して、水流を第2部材5に誘導することができる。よって、第2部材5においても、水は勢いよく第2角柱13に衝突することができるため、より多くのナノバブルを発生させることができる。
【0047】
また、この発生器具1によれば、筐体3の下端部に、径方向に縮径する絞り部18を有する。このため、筐体3の内圧を高めることにより、気泡と第2角柱13との衝突圧力を高めることができるため、より多くのナノバブルを発生させることができる。
【0048】
<第2実施形態>
図7~
図9を用いて、本発明の一例として、第2実施形態の微小気泡発生器具1を説明する。なお、第1実施形態と同一の部材については同一の符号を付して説明を省略する。
【0049】
第2実施形態の発生器具1は、
図7~
図8に示すように、複数(3つ)の発生体2と、収容体19と、筐体3とを備えている。
【0050】
複数の発生体2は、周方向(直交方向)に複数配置されている。具体的には、複数の発生体2は、周方向に互いの距離が同一となるように均等に配置されている。
【0051】
複数の発生体2は、いずれも同一部材であり、それぞれ、第1部材4と、第2部材5とを備えている。すなわち、発生器具1は、複数の第1部材4と、複数の第2部材5とを備え、複数の第1部材4と複数の第2部材5とは、互いに対をなす。
【0052】
複数の第1部材4は、周方向に複数配置されている。各第1部材4は、それぞれ、
図9に示すように、螺旋部7と、複数の第1角柱8と、環状枠部9とを備えている。螺旋部7は、1枚の螺旋板から構成されており、周方向を略一周するように形成されている。平面視において、螺旋部7の周方向一端縁と、その周方向他端縁との間に、僅かな間隔10が区画されている。複数の第1角柱8は、螺旋部7の上流側の面および下流側の面において、それぞれ上流側または下流側に向かって突出するように形成されており、周方向および径方向に間隔を隔てて配置されている。環状枠部9の上端は、螺旋部7の外周端縁の下面と一致するように形成されており、環状部9の外側面には、凸部11が形成されている。
【0053】
複数の第2部材4は、周方向に複数配置され、かつ、複数の第1部材4の下流側に、対をなすように配置されている。各第2部材4は、それぞれ、円柱軸12と、複数の第2角柱3とを備えている。
【0054】
第2実施形態の第2部材5は、第1実施形態の第2部材5と比して、軸方向長さは略同一であり、周方向および径方向の長さが小さくなっている。第2実施形態の第2部材5の周方向および径方向長さは、例えば、第1実施形態の第2部材5の周方向および径方向長さの10%以上、50%以下である。
【0055】
収容体19は、複数の発生体2、すなわち第1部材4および第2部材5を収容し、かつ、筐体3内に収容される部材である。収容体19は、筐体3よりも小さい略円筒形状を有し、その外周縁は、筐体3の内周縁とほぼ一致する。収容体19は、複数の発生体2を収容するための複数(3つ)の円筒状収容部20が形成されている。円筒状収容部20は、円形状であって水流方向に延びるように形成されている。円筒状収容部20の内周面は、螺旋部7の外周面および第2角柱13の外周面とほぼ一致する。円筒状収容部20の軸方向長さは、発生体2の軸方向長さと略同一である。各収容部20の上端に、凸部11と嵌合する凹部21が形成され、各収容部20の下端部に、径方向に縮径する絞り部18が形成されている。
【0056】
円筒状収容部20の直径は、例えば、5mm以上、好ましくは、10mm以上であり、また、例えば、30mm以下、好ましくは、20mm以下である。
【0057】
この第2実施形態の発生器具1によれば、第1実施形態と同様に、多量のナノバブルを発生させることができる。特に、この発生器具1によれば、第1部材4および第2部材5が、それぞれ、周方向に複数配置され、これらの複数の第1部材4と複数の第2部材5とは、互いに対をなす。このため、水が発生体2と衝突する面積が多くなり、より一層多くのナノバブルを発生させることができる。
【0058】
<第3~第4実施形態>
図10~
図13を用いて、本発明の一例として、第3実施形態および第4実施形態の微小気泡発生器具1を説明する。なお、第1実施形態および第2実施形態と同一の部材については同一の符号を付して説明を省略する。
【0059】
第3実施形態の発生器具1は、
図10~
図12に示すように、複数(3つ)の発生体2と、収容体19と、筐体3とを備えており、発生体2を構成する複数の第1部材4が、収容体19と一体的に形成されている。換言すると、第3実施形態の発生器具1は、複数(3つ)の第2部材5と、第1部材一体型収容体22と、筐体3とを備えている。
【0060】
第1部材一体型収容体22は、複数(3つ)の第2部材5を個別に収容し、かつ、筐体3内に収容される部材である。第1部材一体型収容体22は、筐体3よりも小さい略円筒形状を有し、その外周縁は、筐体3の内周縁とほぼ一致する。第1部材一体型収容体22は、複数(3つ)の第1部材4と、複数(3つ)の円筒状収容部20とを一体的に備えている。
【0061】
第1部材一体型収容体22の第1部材4は、それぞれ、第1部材一体型収容体22の上面に形成されている開口23の内側に配置されている。第1部材4は、開口23の内周縁から開口の内側に向かって突出する螺旋部7と、螺旋部7の上流側の面に形成される複数の第1角柱8とを備えている。螺旋部7は、下流側に向かって縮径する円錐台形状の筒体であって、その上流側の面に、螺旋状凸部24が形成されている。螺旋状凸部24は、螺旋部7の外周縁から回転しながら内側に向かって延びており、一周以上回転している。第1部材一体型収容体22において、螺旋部7の周方向中心には、第2部材導入口25が形成されている。第1部材4の上流側から流れてくる水は、第1部材4において、螺旋状凸部8によって誘導されて第1角柱8と衝突した後、第2部材導入口25を通過して、第2部材5へと移動する。
【0062】
円筒状収容部20は、各第1部材5の下側に、対となるように配置されている。第2部材導入口25は、下流側から上流側に向かって目視した際、円筒状収容部20の中心からずれるように配置されている。すなわち、第2部材導入口24は、平面視において、円柱軸12と重複せず、第2角柱13と重複するように配置される。これにより、円筒状収容部20に到達した水は、円柱軸12ではなく第2角柱13へとスムーズに誘導されるため、効率よく第2角柱13と衝突することができる。円筒状収容部20の下流側端部には、絞り部18が脱着可能なように配置されている。
【0063】
第3実施形態では、1つの螺旋部7において螺旋状凸部24の数が単数であるが、第4実施形態においては、
図13に示すように、1つの螺旋部7において螺旋状凸部24の数が複数(4つ)である。
【0064】
この第3実施形態および第4実施形態の発生器具1によれば、第1実施形態と同様に、多量のナノバブルを発生させることができる。特に、この発生器具1によれば、第1部材4と収容体19と一体的に形成されている第1部材一体型収容体22を備えているため、部品数が少なくでき、組み立てが容易である。
【0065】
<変形例>
第1~4実施形態において、発生体2の第1角柱8および第2角柱13の個数は限定的でない。例えば、第2角柱13において、図示しないが、軸方向に間隔を隔てて配置される角柱の数は、例えば、3個以上、10個以下としてもよく、放射状に位置する角柱数(一の放射状角柱群14が有する角柱の数)は、例えば、3個以上、7個以下としてもよい。また、第1の実施形態において、螺旋部7を構成する螺旋板の数も限定されない。
【0066】
第1~4実施形態において、第1角柱8は、三角柱であり、第2角柱13は、四角柱であったが、これらは角形であればよく、互いに同一の角柱であっても異なる角柱であってもよい。例えば、第1角柱8および第2角柱13は、それぞれ独立に、三角柱、四角柱、五角柱、六角柱などであってもよい。好ましくは、微小気泡発生量の多さの観点から、第1角柱8および第2角柱13は、それぞれ、三角柱または四角柱のいずれかである。
【0067】
第1~4実施形態では、軸方向に対する第2角柱13の螺旋状の螺旋角θ2が、45度以下としているが、図示しないが、45度を超過してもよい。より多くの微小気泡をスムーズに発生することができる観点から、45度以下が好ましい。
【0068】
第1~4実施形態において、さらに、アダプターや散水盤などを備えていてもよい。例えば、発生器具1を蛇口パイプの先端に取り付ける場合、筐体3の上端の内ネジを蛇口パイプの先端の外ネジに直接またはアダプターを介して取り付け、筐体3の下端に散水盤を取り付けてもよい。
【0069】
第2~4実施形態では、複数の発生体2が全て同じ形状であったが、例えば、図示しないが、複数の発生体2の大きさや形状が互いに異なっていてもよい。例えば、円柱軸12の長さや第2角柱13の数が異なっている発生体2を備えていてもよい。
【実施例0070】
以下に実施例および比較例を挙げて本発明を詳細に説明するが、本発明の範囲はこれらによって限定されない。
【0071】
<実施例1>
図1~6に記載の発生器具を実施例1として作製した。なお、第1部材4および第2部材5の直径は28mm、発生体2の軸方向長さは40mm、第1角柱8の水流方向長さは3mm、第2角柱13の径方向長さは8mmとした。
【0072】
測定装置としては、NANOSIGHT(ナノ粒子解析システム)を用いた。まず、水道水をサンプル水として、これらに含まれる気泡を測定した。次いで、サンプル液を実施例1の発生器具に通過させ、通過したナノバブル水に含まれる気泡を測定した。これらサンプル水とナノバブル水とを比較した。その結果、ナノバブル水の気泡の平均粒子径D50は、サンプル水のD50よりも小さくなり、73.6nmであった。また、ナノバブル水の気泡総量は、サンプル水の気泡総量よりも多くなり、3.58×108個増加していた。
【0073】
<比較例1>
実施例1の発生器具から第1部材4を除去した器具を、比較例1とした。実施例1と同様に、サンプル水と、サンプル水に比較例1の器具を通過させたナノバブル水とを比較した。その結果、ナノバブル水の気泡の平均粒子径D50は、サンプル水のD50よりも小さくなり、88.9nmであった。また、ナノバブル水の気泡総量は、サンプル水の気泡総量よりも多くなり、1.89×108個増加していた。
【0074】
実施例1で得たナノバブル水の方が、比較例1で得たナノバブル水よりも、気泡の平均粒子径D50が小さく、かつ、気泡総量の増加量も格段に多かった。よって、実施例1の発生器具は、比較例1の発生器具よりも、より多くのナノバブル水を発生させることが出来ることが分かった。
【0075】
<実施例2>
図7~9に記載の発生器具を実施例2として作製した。なお、3つの第1部材4および3つの第2部材5の直径は各10mm、第2部材5の軸方向長さは28mm、第1角柱8の水流方向長さは1mm、第2角柱13の径方向長さは4mm、円筒状収容部20の直径は11mmとした。実施例1と同様に、サンプル水と、サンプル水に実施例2の器具を通過させたナノバブル水とを比較した。その結果、ナノバブル水の気泡の平均粒子径D50は、サンプル水のD50よりも小さくなり、70.6nmであった。また、ナノバブル水の気泡総量は、サンプル水の気泡総量よりも多くなり、4.16×10
8個増加していた。
【0076】
<比較例2>
実施例2の発生器具から第1部材4を除去した器具を、比較例2とした。実施例2と同様に、サンプル水と、サンプル水に比較例1の器具を通過させたナノバブル水とを比較した。その結果、ナノバブル水の気泡の平均粒子径D50は、80.7nmであった。また、ナノバブル水の気泡総量は、サンプル水の気泡総量よりも多くなり、2.79×108個増加していた。
【0077】
実施例2で得たナノバブル水の方が、比較例2で得たナノバブル水よりも、気泡の平均粒子径D50が小さく、かつ、気泡総量の増加量も格段に多かった。よって、実施例2の発生器具は、比較例2の発生器具よりも、より多くのナノバブル水を発生させることが出来ることが分かった。