(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024137524
(43)【公開日】2024-10-07
(54)【発明の名称】情報処理システム及び画像形成システム
(51)【国際特許分類】
G03G 21/00 20060101AFI20240927BHJP
G03G 15/20 20060101ALI20240927BHJP
【FI】
G03G21/00 510
G03G15/20 555
G03G15/20 510
【審査請求】未請求
【請求項の数】11
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023049072
(22)【出願日】2023-03-24
(71)【出願人】
【識別番号】000005496
【氏名又は名称】富士フイルムビジネスイノベーション株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110001519
【氏名又は名称】弁理士法人太陽国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】高橋 潤一
【テーマコード(参考)】
2H033
2H270
【Fターム(参考)】
2H033AA35
2H033BA25
2H033BB03
2H033BB05
2H033BB06
2H033BB29
2H033BB30
2H033CA06
2H033CA07
2H033CA27
2H033CA34
2H033CA44
2H270KA35
2H270LA01
2H270LA25
2H270LA64
2H270LD01
2H270LD08
2H270LD14
2H270MA35
2H270MC44
2H270MG01
2H270MG02
2H270MH09
2H270NE01
2H270NE07
2H270NE17
2H270RA15
2H270RA24
2H270RC03
2H270ZC03
2H270ZC04
(57)【要約】
【課題】定着装置の不具合箇所を自動で出力させる。
【解決手段】情報処理システム44は、CPU51を備え、CPU51は、定着装置100の加熱部102に供給される電力を測定する電力測定部208が測定した電力値が、予め定められた第一閾値を超えたか否かを判断し、加熱部102の温度を測定する温度測定部200が測定した温度が、予め定められた第二閾値を超えたか否かを判断し、加熱部102の加熱を始めてから、電力値が第一閾値より小さい予め定められた下限値から第一閾値よりも大きい予め定められた上限値までで規定される数値範囲から逸脱した回数が、予め定められた第三閾値を超えたか否かを判断し、第一閾値、第二閾値及び第三閾値との比較による比較結果の組合せに応じて特定した故障箇所を出力する。
【選択図】
図4
【特許請求の範囲】
【請求項1】
プロセッサを備え、
前記プロセッサは、
定着装置の加熱部に供給される電力を測定する電力測定部が測定した電力値が、予め定められた第一閾値を超えたか否かを判断し、
前記加熱部の温度を測定する温度測定部が測定した温度が、予め定められた第二閾値を超えたか否かを判断し、
前記加熱部の加熱を始めてから、前記電力値が前記第一閾値より小さい予め定められた下限値から前記第一閾値よりも大きい予め定められた上限値までで規定される数値範囲から逸脱した回数が、予め定められた第三閾値を超えたか否かを判断し、
前記第一閾値、前記第二閾値及び前記第三閾値との比較による比較結果の組合せに応じて特定した故障箇所を出力する、
情報処理システム。
【請求項2】
前記加熱部は、前記温度測定部が有する複数の温度測定器により温度を測定され、
前記プロセッサは、
前記複数の温度測定器により測定されたそれぞれの温度の測定値の差が、予め定められた第四閾値を超えたか否かを判断し、
前記第一閾値、前記第二閾値、前記第三閾値及び前記第四閾値との比較による比較結果の組合せに応じて特定した故障箇所を出力する、
請求項1に記載の情報処理システム。
【請求項3】
前記プロセッサは、
前記電力値が前記第一閾値を超え、前記温度が前記第二閾値を超え、前記回数が前記第三閾値を超え、かつ前記差が前記第四閾値を超えない場合に、前記加熱部に電力を供給する電源又は前記加熱部を故障箇所として出力する、
請求項2に記載の情報処理システム。
【請求項4】
前記プロセッサは、
前記電力値が前記第一閾値を超え、前記温度が前記第二閾値を超え、かつ前記回数が前記第三閾値を超えない場合に、正常動作である旨を出力する、
請求項1に記載の情報処理システム。
【請求項5】
プロセッサを備え、
前記プロセッサは、
定着装置の加熱部に供給される多相の交流電力を測定する電力測定部が測定した電力値が、予め定められた第一閾値を超えたか否か判断し、
前記加熱部の温度を測定する温度測定部が測定した温度が、予め定められた第二閾値を超えたか否かを判断し、
前記多相の交流電力におけるそれぞれの相毎に供給される電力値の差が、予め定められた第五閾値を超えたか否かを判断し、
前記第一閾値、前記第二閾値及び前記第五閾値との比較による比較結果の組合せに応じて特定した故障箇所を出力する、
情報処理システム。
【請求項6】
前記プロセッサは、
前記複数の温度測定器により測定されたそれぞれの温度の測定値の差が、予め定められた第四閾値を超えたか否かをさらに判断し、
前記電力値が前記第一閾値以下であり、前記温度が前記第二閾値以下であり、前記温度の測定値の差が前記第四閾値を超えず、前記電力値の差が前記第五閾値を超えた場合に、前記加熱部に多相の交流電力を供給する電源又は前記加熱部を故障箇所として出力する、
請求項5に記載の情報処理システム。
【請求項7】
プロセッサを備え、
前記プロセッサは、
定着装置の加熱部に供給される電力を測定する電力測定部が測定した電力値が、予め定められた第一閾値を超えたか否かを判断し、
前記加熱部の温度を複数の温度測定器により測定する温度測定部が測定した温度が、予め定められた第二閾値を超えたか否かを判断し、
前記複数の温度測定器により測定されたそれぞれの温度の測定値の差が、予め定められた第四閾値を超えたか否かを判断し、
前記第一閾値、前記第二閾値、及び前記第四閾値との比較による比較結果の組合せに応じて特定した故障箇所を出力する、
情報処理システム。
【請求項8】
前記プロセッサは、
前記電力値が前記第一閾値以下であり、前記温度が前記第二閾値以下であり、前記温度の測定値の差が前記第四閾値を超えない場合に、漏電故障があったことを出力する、
請求項7に記載の情報処理システム。
【請求項9】
前記プロセッサは、故障箇所を特定した場合に、通知部へ通知する、
請求項1から請求項8のいずれか一項に記載の、情報処理システム。
【請求項10】
前記プロセッサは、故障箇所を特定した場合に、前記加熱部への電力の供給を遮断する、
請求項1から請求項9のいずれか一項に記載の、情報処理システム。
【請求項11】
像保持体に形成された静電潜像をトナー像として現像する現像装置と、
前記トナー像を記録媒体に転写する転写装置と、
請求項1から請求項10までのいずれか一項に記載の情報処理システムと、
前記情報処理システムの前記加熱部を有し、記録媒体に前記トナー像を定着させる定着装置と、
を備える、画像形成システム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、 情報処理システム及び画像形成システム。
【背景技術】
【0002】
特許文献1には、被記録材上に形成担持させた未定着トナー像をエンドレスフィルムからなる加熱用回転体、及び加圧用回転体によって形成されたニップ部内を通過させることにより永久定着する加熱定着手段を有する画像形成装置において、前記加熱用回転体と前記加圧用回転体とのニップ部に対向するエンドレスフィルム内周囲に接触し固定配置される加熱用ヒータと、前記加熱用ヒータの前記エンドレスフィルムとの接触面とは反対面に配置された前記加熱用ヒータの表面温度を検出する温度検出手段と、前記加熱用ヒータに電力を供給するヒータ駆動手段と、前記加熱用ヒータに流れる電流を予め設定された目標温度値になるように前記ヒータ駆動手段をコントロールする定着制御手段と、前記加熱用ヒータに流れる電流を検出する電流検出手段と、装置内を常時監視し機内の異常を検知する異常検知手段とを有し、前記異常検知手段は前記ヒータ駆動手段の駆動状況及び,前記電流検出手段と前記温度検出手段の検出結果によって異常検知詳細を検知することを特徴とする、を備える画像形成装置が開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
本開示の目的は、定着装置の不具合箇所を自動で出力させることである。
【課題を解決するための手段】
【0005】
第一態様の情報処理システムは、プロセッサを備え、前記プロセッサは、定着装置の加熱部に供給される電力を測定する電力測定部が測定した電力値が、予め定められた第一閾値を超えたか否かを判断し、前記加熱部の温度を測定する温度測定部が測定した温度が、予め定められた第二閾値を超えたか否かを判断し、前記加熱部の加熱を始めてから、前記電力値が前記第一閾値より小さい予め定められた下限値から前記第一閾値よりも大きい予め定められた上限値までで規定される数値範囲から逸脱した回数が、予め定められた第三閾値を超えたか否かを判断し、前記第一閾値、前記第二閾値及び前記第三閾値との比較による比較結果の組合せに応じて特定した故障箇所を出力する。
【0006】
第二態様の情報処理システムは、第一態様に記載の情報処理システムにおいて、前記加熱部は、前記温度測定部が有する複数の温度測定器により温度を測定され、前記プロセッサは、前記複数の温度測定器により測定されたそれぞれの温度の測定値の差が、予め定められた第四閾値を超えたか否かを判断し、前記第一閾値、前記第二閾値、前記第三閾値及び前記第四閾値との比較による比較結果の組合せに応じて特定した故障箇所を出力する。
【0007】
第三態様の情報処理システムは、第二態様に記載の情報処理システムにおいて、前記プロセッサは、前記電力値が前記第一閾値を超え、前記温度が前記第二閾値を超え、前記回数が前記第三閾値を超え、かつ前記差が前記第四閾値を超えない場合に、前記加熱部に電力を供給する電源又は前記加熱部を故障箇所として出力する。
【0008】
第四態様の情報処理システムは、第一態様に記載の情報処理システムにおいて、前記プロセッサは、前記電力値が前記第一閾値を超え、前記温度が前記第二閾値を超え、かつ前記回数が前記第三閾値を超えない場合に、正常動作である旨を出力する。
【0009】
第五態様の情報処理システムは、プロセッサを備え、前記プロセッサは、定着装置の加熱部に供給される多相の交流電力を測定する電力測定部が測定した電力値が、予め定められた第一閾値を超えたか否か判断し、前記加熱部の温度を測定する温度測定部が測定した温度が、予め定められた第二閾値を超えたか否かを判断し、前記多相の交流電力におけるそれぞれの相毎に供給される電力値の差が、予め定められた第五閾値を超えたか否かを判断し、前記第一閾値、前記第二閾値及び前記第五閾値との比較による比較結果の組合せに応じて特定した故障箇所を出力する。
【0010】
第六態様の情報処理システムは、第五態様に記載の情報処理システムにおいて、前記プロセッサは、前記複数の温度測定器により測定されたそれぞれの温度の測定値の差が、予め定められた第四閾値を超えたか否かをさらに判断し、前記電力値が前記第一閾値以下であり、前記温度が前記第二閾値以下であり、前記温度の測定値の差が前記第四閾値を超えず、前記電力値の差が前記第五閾値を超えた場合に、前記加熱部に多相の交流電力を供給する電源又は前記加熱部を故障箇所として出力する。
【0011】
第七態様の情報処理システムは、プロセッサを備え、前記プロセッサは、定着装置の加熱部に供給される電力を測定する電力測定部が測定した電力値が、予め定められた第一閾値を超えたか否かを判断し、前記加熱部の温度を複数の温度測定器により測定する温度測定部が測定した温度が、予め定められた第二閾値を超えたか否かを判断し、前記複数の温度測定器により測定されたそれぞれの温度の測定値の差が、予め定められた第四閾値を超えたか否かを判断し、前記第一閾値、前記第二閾値、及び前記第四閾値との比較による比較結果の組合せに応じて特定した故障箇所を出力する。
【0012】
第八態様の情報処理システムは、第七態様に記載の情報処理システムにおいて、前記プロセッサは、前記電力値が前記第一閾値以下であり、前記温度が前記第二閾値以下であり、前記温度の測定値の差が前記第四閾値を超えない場合に、漏電故障があったことを出力する。
【0013】
第九態様の情報処理システムは、第一態様に記載の情報処理システムにおいて、前記プロセッサは、故障箇所を特定した場合に、通知部へ通知する。
【0014】
第十態様の情報処理システムは、第一態様に記載の情報処理システムにおいて、前記プロセッサは、故障箇所を特定した場合に、前記加熱部への電力の供給を遮断する。
【0015】
第十一態様の画像形成システムは、像保持体に形成された静電潜像をトナー像として現像する現像装置と、前記トナー像を記録媒体に転写する転写装置と、第一態様から第十態様までのいずれか一態様に記載の情報処理システムと、前記情報処理システムの前記加熱部を有し、記録媒体に前記トナー像を定着させる定着装置と、を備える。
【発明の効果】
【0016】
第一態様の情報処理システムによれば、電力が供給される加熱部を有する情報処理システムにおいて、不具合箇所を自動で出力させることができる。
【0017】
第二態様の情報処理システムによれば、温度測定部が一つの温度測定器により温度を測定する場合と比べて、不具合箇所をより特定しやすくなる。
【0018】
第三態様の情報処理システムによれば、情報処理システムにおける不具合箇所をユーザがより認知しやすくなる。
【0019】
第四態様の情報処理システムによれば、情報処理システムが正常に動作していることをユーザがより認知しやすくなる。
【0020】
第五態様の情報処理システムによれば、加熱部の状態をプロセッサが判断する情報処理システムにおいて、不具合箇所を自動で出力させることができる。
【0021】
第六態様の情報処理システムによれば、加熱部に供給される電力を一括で測定して判断する場合と比べて、プロセッサが加熱部又は電源に異常が発生したと判断することができる。
【0022】
第七態様の情報処理システムによれば、加熱部の状態をプロセッサが判断する情報処理システムにおいて、不具合箇所を自動で出力させることができる。
【0023】
第八態様の情報処理システムによれば、プロセッサが第一閾値のみで異常を判断する場合と比べて、漏電の異常が発生したことをより速やかに判断することができる。
【0024】
第九態様の情報処理システムによれば、異常が発生した場合に通知を行わない情報処理システムと比べて、ユーザが異常を認識することができる。
【0025】
第十態様の情報処理システムによれば、異常が発生した場合に電力の供給が続けられる情報処理システムと比べて、より安全になる。
【0026】
第十一態様の画像形成システムによれば、画像形成システム中の劣化や故障の箇所を自動で出力させることができる。
【図面の簡単な説明】
【0027】
【
図1】本開示に係る画像形成装置の構成を示す概略図である。
【
図2】本開示に係るトナー像形成部の構成を示す概略図である。
【
図3】本開示に係る定着ユニットの構成を示す概略図である。
【
図4】本開示に係る情報処理システムの回路構成を示す図である。
【
図5】本開示に係る制御装置のハードウェア構成の一例を示すブロック図である。
【
図6】本開示に係る情報処理システムの制御部が、画像形成装置の故障箇所を特定する判断方法を示すフローチャートである。
【
図7】本開示に係る情報処理システムの制御部が、加熱部に電力を供給する電源又は加熱部を故障箇所として出力する場合の電流の測定結果を示す図である。
【
図8】本開示に係る情報処理システムの制御部が、加熱部に電力を供給する電源又は加熱部を故障箇所として出力する場合の温度の測定結果を示す図である。
【
図9】本開示に係る情報処理システムの制御部が、加熱部に電力を供給する電源又は加熱部におけるいずれかの相を故障箇所として出力する場合の電流の測定結果を示す図である。
【
図10】本開示に係る情報処理システムの制御部が、加熱部に電力を供給する電源又は加熱部におけるいずれかの相を故障箇所として出力する場合の温度の測定結果を示す図である。
【
図11】本開示に係る情報処理システムの制御部が、加熱部におけるいずれかの相が漏電故障したことを故障箇所として出力する場合の電流の測定結果を示す図である。
【
図12】本開示に係る情報処理システムの制御部が、加熱部におけるいずれかの相が漏電故障したことを故障箇所として出力する場合の温度の測定結果を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0028】
以下に、本開示に係る実施形態の一例を図面に基づき説明する。なお、各図に示す矢印Hは鉛直方向であって装置上下方向を示し、矢印Wは、水平方向であって装置幅方向を示し、矢印Dは、装置前後方向(装置奥行方向)を示す。
【0029】
(画像形成装置10)
本実施形態に係る画像形成装置10の構成を説明する。
図1は、本実施形態に係る画像形成装置10の構成を示す概略図である。なお、画像形成装置10は、本実施形態に係る画像形成システムの一例である。
【0030】
図1に示される画像形成装置10は、シート状の被搬送材の一例としての記録媒体に画像を形成する画像形成装置である。さらに具体的には、画像形成装置10は、
図1に示されるように、収容部14と、排出部18と、画像形成部12と、定着装置100と、冷却部90と、搬送装置16と、を有している。以下、画像形成装置10の各部(収容部14、排出部18、画像形成部12、定着装置100、冷却部90及び搬送装置16)について説明する。
【0031】
(収容部14)
図1に示される収容部14は、記録媒体Pを収容する機能を有している。画像形成装置10では、収容部14は、複数(例えば2つ)が備えられている。この複数の収容部14から選択的に記録媒体Pが送り出される。記録媒体Pとしては、例えば、予め定められた大きさ(すなわちサイズ)とされた枚葉紙(いわゆるカット紙)が用いられる。
【0032】
(排出部18)
図1に示される排出部18は、画像が形成された記録媒体Pが排出される部分である。画像形成装置10では、定着装置100で画像が加熱された後に、冷却部90で冷却された記録媒体Pが排出部18に排出される。
【0033】
(画像形成部12)
図1に示される画像形成部12は、記録媒体にトナー画像を形成する形成部の一例である。具体的には、画像形成部12は、電子写真方式により記録媒体Pにトナー像を形成する機能を有している。さらに具体的には、画像形成部12は、
図1に示されるように、トナー像を形成するトナー像形成部20と、トナー像形成部20で形成されたトナー像を記録媒体Pに転写する転写装置30と、を有している。
【0034】
(トナー像形成部20)
トナー像形成部20は、色ごとにトナー像を形成するように複数備えられている。画像形成装置10では、イエロー(Y)、マゼンタ(M)、シアン(C)、ブラック(K)の計4色のトナー像形成部20が備えられている。
図1に示す(Y)、(M)、(C)、(K)は、上記各色に対応する構成部分を示している。
【0035】
各色のトナー像形成部20は、用いるトナーを除き基本的に同様に構成されている。具体的には、各色のトナー像形成部20は、
図2に示されるように、
図2における矢印A方向に回転する感光体ドラム21(像保持体)と、感光体ドラム21を帯電させる帯電器22と、を有している。さらに、各色のトナー像形成部20は、帯電器22によって帯電された感光体ドラム21を露光して感光体ドラム21に静電潜像を形成する露光装置23と、露光装置23によって感光体ドラム21に形成された静電潜像を現像してトナー像を形成する現像装置24と、を有している。
【0036】
(転写装置30)
図1に示される転写装置30は、各色の感光体ドラム21のトナー像を、中間転写体に重畳して一次転写し、該重畳されたトナー像を記録媒体Pに二次転写する機能を有している。具体的には、転写装置30は、
図1に示されるように、中間転写体としての転写ベルト31と、一次転写ロール33と、転写部35と、を備えている。
【0037】
一次転写ロール33は、感光体ドラム21に形成されたトナー像を、感光体ドラム21と一次転写ロール33との間の一次転写位置T(
図2参照)で転写ベルト31に転写する機能を有している。
【0038】
転写ベルト31は、
図1に示されるように、無端状を成し、複数のロール32に巻き掛けられて姿勢が決められている。転写ベルト31は、複数のロール32の少なくとも1つが回転駆動されることで、矢印B方向へ周回し、一次転写された画像を二次転写位置NTへ搬送する。
【0039】
転写部35は、転写ベルト31に転写されたトナー像を記録媒体Pに転写する機能を有している。転写部35は、具体的には、二次転写部34と、対向ロール36と、を有している。
【0040】
対向ロール36は、転写ベルト31に対向するように、転写ベルト31の下側に配置されている。二次転写部34は、
図1に示されるように、対向ロール36との間に転写ベルト31が配置されるように、転写ベルト31の内側に配置されている。二次転写部34は、具体的には、コロトロンで構成されている。転写部35では、転写ベルト31に転写されたトナー像が、二次転写部34の放電により発生された静電力により、二次転写位置NTを通過する記録媒体Pに転写される。
【0041】
(搬送装置16)
図1に示される搬送装置16は、記録媒体Pを搬送する装置であり、
図1に示されるように、搬送機構60と、反転機構80と、を有している。なお、搬送装置16が、記録媒体Pを搬送する動作を、搬送動作と称する。
【0042】
(搬送機構60)
図1に示される搬送機構60は、記録媒体Pを搬送する機構である。具体的には、搬送機構60は、収容部14に収容された記録媒体Pを画像形成部12へ搬送し、画像形成部12に記録媒体Pを通過させる。また、搬送機構60は、記録媒体Pを画像形成部12から定着装置100へ搬送し、定着装置100に記録媒体Pを通過させる。すなわち、搬送機構60は、画像が形成された記録媒体Pを定着装置100において搬送する機能を有している。
【0043】
また、搬送機構60では、画像形成部12及び定着装置100において、記録媒体Pの一方の面を上方側へ向けて搬送する。当該一方の面は、画像形成部12において、画像が形成される画像面であり、且つ定着装置100において加熱される面である。
【0044】
具体的には、搬送機構60は、
図1に示されるように、送出ロール62と、複数の搬送ロール64と、チェーングリッパ66と、を有している。
【0045】
送出ロール62は、収容部14に収容された記録媒体Pを送り出す。複数の搬送ロール64は、送出ロール62が送り出した記録媒体Pをチェーングリッパ66へ搬送する。
【0046】
チェーングリッパ66は、
図3に示されるように、記録媒体Pの前端部(すなわち、搬送方向の下流部)を保持して記録媒体Pを搬送する部材である。チェーングリッパ66は、具体的には、
図3に示されるように、一対のチェーン72と、グリッパ76と、を備えている。
【0047】
一対のチェーン72は、
図1に示されるように、環状に形成されている。この一対のチェーン72は、装置前後方向(
図1のD方向)に間隔をおいて配置されている。そして、一対のチェーン72の各々は、
図1に示されるように、対向ロール36に対する軸方向の一端側及び他端側に配置された一対のスプロケット(図示省略)と、装置前後方向に間隔をおいて配置された一対のスプロケットに巻き掛けられている。これらの一対のスプロケットのいずれかが回転することで、チェーン72が矢印C方向へ周回する構成とされている(
図1参照)。なお、各図では、スプロケットの外周に設けられる歯を省略して図示している。
【0048】
一対のチェーン72には、グリッパ76が取り付けられた取付部材75が装置前後方向に沿って掛け渡されている。取付部材75は、チェーン72の周方向(周回方向)に沿って予め定められた間隔で複数が一対のチェーン72に固定されている(
図1及び
図3参照)。なお、各図では、チェーン72の図示を簡略化するため、チェーン72をブロック状に示している。
【0049】
グリッパ76は、
図3に示されるように、装置前後方向に沿って予め定められた間隔で複数が取付部材75に取り付けられている。グリッパ76は、記録媒体Pの前端部を保持(把持)する機能を有している。具体的には、グリッパ76は、
図3に示されるように、爪76Aと爪台76Bとを有している。グリッパ76では、爪76Aと爪台76Bとの間に記録媒体Pの前端部を挟むことで記録媒体Pを保持する構成とされている。このグリッパ76は、例えば、爪76Aが爪台76Bに対してバネ等により押し付けられると共に、カム等の作用により爪76Aが爪台76Bに対して開閉される。このように、本実施形態では、記録媒体Pに対する搬送方向の下流側に配置されたグリッパ76が、記録媒体Pの搬送方向の下流側から記録媒体Pの前端部を保持する。
【0050】
そして、チェーングリッパ66は、
図3に示されるように、グリッパ76が記録媒体Pの前端部を保持した状態で、チェーン72が矢印C方向へ周回することで、記録媒体Pの一方の面を上方側へ向けた状態で該記録媒体Pを搬送する。このとき、チェーングリッパ66は、記録媒体Pの後端側部分を非保持の状態で該記録媒体Pを搬送する。すなわち、記録媒体Pは、後端側部分が拘束されずに、自由状態のまま搬送される。これにより、記録媒体Pは、一方の面を上方側へ向けた状態で画像形成部12及び定着装置100を通過する。なお、搬送機構60において記録媒体Pが搬送される搬送経路の一部が、
図1において一点鎖線にて示されている。
【0051】
(反転機構80)
図1に示される反転機構80は、定着装置100によって画像が加熱された記録媒体Pの表裏を反転させる機構である。具体的には、反転機構80は、
図1に示されるように、複数(例えば、2つ)の搬送ロール82と、反転装置84、複数(例えば、7つ)の搬送ロール86と、有している。
【0052】
複数の搬送ロール82は、定着装置100から送られた記録媒体Pを反転装置84へ搬送する。反転装置84は、記録媒体Pの表裏を反転させる。複数の搬送ロール86は、反転装置84で表裏が反転された記録媒体Pをチェーングリッパ66へ搬送する。すなわち、複数の搬送ロール86は、表裏が反転された記録媒体Pをチェーングリッパ66に受け渡す機能を有している。
【0053】
このように、反転機構80は、
図3に示す加熱部102と対向面181との間を通過した記録媒体Pの上下を反転させて、チェーングリッパ66に受け渡す。そして、チェーングリッパ66は、受け渡された記録媒体Pを、トナー画像が形成された面を下方側に向けて、再び、画像形成部12を経て、加熱部102と対向面181との間へ搬送する。なお、反転機構80において記録媒体Pが搬送される搬送経路の一部が、
図1において一点鎖線にて示されている。
【0054】
(冷却部90)
冷却部90は、
図1に示されるように、後述する定着装置100に対する搬送方向下流側に配置されている。この冷却部90は、搬送方向に並んでいる複数(例えば2つ)の冷却ロール92を備えている。
【0055】
冷却ロール92は、金属等により形成された円筒状のロールで構成されている。冷却ロール92は、その内部で空気や水などの冷媒が流通することで、冷媒との熱交換により記録媒体Pを冷却する構成とされている。
【0056】
後述する加熱部102でトナー像が加熱された記録媒体Pは、さらにチェーングリッパ66によって、定着ユニット120に搬送され、加熱ロール130及び加圧ロール140で挟まれて加圧及び加熱される。トナー像が定着された記録媒体Pは、
図1に示される冷却部90の冷却ロール92で冷却された後、排出部18へ排出される。
【0057】
(定着装置100)
図3は、定着装置100の構成を示す概略図である。定着装置100は、
図1に示されるように、画像形成部12に対する搬送方向下流側に配置されている。定着装置100は、定着ユニット120と、加熱部102と、送風装置160と、制御部40とを有している。
【0058】
(定着ユニット120)
図3に示される定着ユニット120は、記録媒体Pの画像を記録媒体Pに定着する部分であり、記録媒体Pに接触して記録媒体Pを加熱及び加圧することで、トナー像を記録媒体Pに定着する機能を有している。本実施形態では、定着装置100によって記録媒体Pが予備加熱され、定着ユニット120が該記録媒体Pを定着する。なお、定着装置100が記録媒体Pにトナー像を定着する動作を定着動作と称する。
【0059】
この定着ユニット120は、
図3に示されるように、記録媒体Pの搬送方向において、定着装置100の下流側に配置されている。具体的には、定着ユニット120は、加熱ロール130と、加圧ロール140と、従動ロール150と、を有している。
【0060】
(加熱ロール130)
図3に示される加熱ロール130は、後述する加熱部102に対する搬送方向下流側に配置され、記録媒体Pに接触して記録媒体Pを加熱する機能を有している。この加熱ロール130は、記録媒体Pの上面に接触するように、装置前後方向を軸方向として配置されている。
【0061】
また、加熱ロール130は、円筒状の基材132と、基材132の外周に形成されたゴム層134と、ゴム層134の外周に形成された離型層136と、基材132の内部に収容されたヒータ138(加熱源)と、を有している。ヒータ138は、例えば、単一又は複数のハロゲンランプで構成されている。
【0062】
(従動ロール150)
図3に示される従動ロール150は、加熱ロール130の外周面における記録媒体Pに対する接触領域以外の領域に接触するように、装置前後方向を軸方向として配置されている。また、従動ロール150は、円筒状の基材152と、基材152の内部に収容されたヒータ154(加熱源)と、を有している。この従動ロール150は、加熱ロール130に従動して回転し、加熱ロール130を加熱する。
【0063】
(加圧ロール140)
図3に示される加圧ロール140は、加熱ロール130との間に記録媒体Pを挟んで記録媒体Pを加圧する機能を有している。すなわち、加熱ロール130及び加圧ロール140は、回転しながら記録媒体を挟んで記録媒体を加熱する一対の回転体の一例である。この加圧ロール140は、加熱ロール130の下側に装置前後方向を軸方向として配置されている。
【0064】
加圧ロール140は、円筒状の基材142と、基材142の外周に形成されたゴム層144と、ゴム層144の外周に形成された離型層146と、を有している。
【0065】
加圧ロール140の周長は、グリッパ76がチェーン72に配置された配置間隔と同じとされている。また、
図3に示されるように、加圧ロール140の外周面には、装置前後方向に延びる凹部148が形成されている。
【0066】
そして、記録媒体Pの前端部を保持するグリッパ76が、加圧ロール140と加熱ロール130との間を通過する場合に、当該グリッパ76が凹部148に入り込むように構成されている。
【0067】
なお、定着ユニット120では、加圧ロール140が、駆動部(図示省略)によって回転駆動され、その加圧ロール140に従動して加熱ロール130が回転し、その加熱ロール130に従動して従動ロール150が回転する。
【0068】
(加熱部102)
加熱部102は、搬送機構60によって搬送される記録媒体Pの搬送経路に配置されており、表面を非接触で加熱する機能を有している。具体的には、加熱部102は、画像形成部12によって画像が形成された記録媒体Pの上面を非接触で加熱する。加熱部102は、定着ユニット120での本定着(加熱)前の予備加熱装置と捉えることができる。さらに具体的には、加熱部102は、反射板104と、複数のヒータ106(加熱源)と、金網112と、を備えている。なお、送風装置160の構成については後述する。
【0069】
反射板104は、ヒータ106からの赤外線を下方側(すなわち、搬送機構60によって搬送される記録媒体P側)へ反射する機能を有している。この反射板104は、下方側が開放された箱状に形成されている。反射板104は、例えばアルミニウム板等の金属板を用いて形成されている。
【0070】
ヒータ106は、記録媒体Pの幅方向(以下「紙幅方向」という場合がある)に沿って長さを有する円柱状の赤外線ヒータである。ヒータ106は、反射板104の内部に搬送方向に沿って、複数並べられている。なお、紙幅方向は、搬送方向と交差する交差方向(具体的には、直交する方向)である。各図では、紙幅方向が矢印D方向にて示されている。なお、ヒータ106は、後述するように、三相交流電源ACに対して継電器48を介して電気的に接続されている。また本実施形態に係る加熱部102は、X相とY相とに接続されたヒータ106Z、Y相とZ相とに接続されたヒータ106X、Z相とX相とに接続されたヒータ106Yとが三相交流電源ACに対してΔ結線で接続されている。なお、ヒータ106X、ヒータ106Y、及びヒータ106Zを区別しない場合は、単にヒータ106と称する。
【0071】
なお、加熱部102が有するヒータ106は、いずれも実質的に同じ抵抗値とされており、本実施形態において、三相交流電源ACから供給される電力は、加熱部102において平衡する。また、加熱部102に供給される電力は、後述する電力測定部208によって測定される。また、加熱部102の温度は、後述する温度測定部200によって測定される。
【0072】
金網112は、反射板104の下方側の開口に配置されている。これにより、金網112は、反射板104の内部と、反射板104の外部とを仕切っている。そして、金網112は、搬送機構60によって搬送される記録媒体Pとヒータ106との接触を防止している。
【0073】
(送風装置160)
図3に示されるように、送風装置160は、加熱部102に対向して配置され、チェーングリッパ66によって搬送される記録媒体Pの裏面に向けて送風する装置である。具体的には、送風装置160は、
図3に示すように、チェーン72の内側(内周側)であって、記録媒体Pの搬送経路よりも下方に配置され、ファン161と、装置本体166と、送風板180と、を有している。装置本体166は、上方側が開放された箱状に形成されている。具体的には、装置本体166は、平面視にて枠状に形成された側壁163と、板状の底壁162と、を有している。底壁162の搬送方向の中央部であって、装置前後方向の中央部には、開口部164が形成されている。この開口部164に対してファン161が取り付けられている。ファン161は、回転駆動により、開口部164を通じて装置本体166の内部へ送風する。
【0074】
ファン161には、一例として、軸方向へ送風する軸流送風機が用いられている。なお、ファン161としては、多翼送風機(例えば、シロッコファン)などの、遠心方向へ送風する遠心送風機を用いてもよく、送風する送風機であればよい。なお、ファン161は、送風機の一例である。
【0075】
送風板180は、装置本体166の上部開口を塞ぐように、側壁163の上端に取り付けられている。これにより、装置本体166は、開口部164及び後述の送風孔182を除いて密閉されている。
【0076】
送風板180は、板状に形成されており、加熱部102に対向する対向面181を有している。対向面181は、上方側を向いており、加熱部102と送風板180との間を搬送される記録媒体Pの下面に対向する。
【0077】
送風板180は、金属板で構成されている。この送風板180は、ヒータ106からの赤外線を上方側(チェーングリッパ66によって搬送される記録媒体P側)へ反射する反射板としての機能も有している。
【0078】
送風板180には、送風板180の厚み方向に貫通する複数の送風孔182が形成されている。すなわち、複数の送風孔182は、対向面181に設けられており、加熱部102と送風板180との間を搬送される記録媒体Pの下面に対して開口している。
【0079】
この送風孔182は、搬送方向及び紙幅方向に沿って、二次元状(マトリックス状)に配置されている。
【0080】
送風装置160では、ファン161の駆動により、装置本体166の内部に流入した空気を、チェーングリッパ66によって搬送される記録媒体Pの下面に対して、複数の送風孔182を通じて送風する(
図3参照)。これにより、チェーングリッパ66で前端部が保持された記録媒体Pの後端側部分が、送風板180の対向面181から浮上し、送風板180の対向面181に対して非接触となる。すなわち、記録媒体Pは、チェーングリッパ66及び送風装置160により、送風板180の対向面181に対して非接触の状態で搬送される。
【0081】
ここで、
図3に示されるように、送風板180は、対向面181が水平方向(矢印W方向)に対して斜めを向くように配置されている。具体的には、対向面181は、搬送方向(矢印F方向)の上流側よりも下流側で高くされることで、水平方向に対して斜めに配置されている。すなわち、対向面181は、搬送方向の上流側から下流側へ向かって上り勾配を有する傾斜面とされている。言い換えれば、加熱部102と送風装置160とが対向している領域の記録媒体Pの搬送方向は、水平方向に対して傾いている、
【0082】
したがって、対向面181は、
図3に示されるように、紙幅方向視及び紙幅方向断面視において、斜めに配置されている。なお、対向面181は、搬送方向視及び搬送方向断面視において、水平方向に沿って配置されている。すなわち、対向面181は、搬送方向視及び搬送方向断面視において、傾きを有していない。なお、水平方向とは、鉛直方向に対して直交する方向である。
【0083】
対向面181は、
図3に示されるように、送風装置160の非送風時において、記録媒体Pの搬送方向の後端側部分が接触する角度に配置されている。該記録媒体Pには、画像形成装置10で用いられる最小サイズを含む全てのサイズの記録媒体Pが含まれる。該角度は、対向面181の水平方向に対する角度の上限を規定するものであり、対向面181が予め定められた角度を超えると、送風装置160の非送風時において、記録媒体Pが対向面181に対して非接触となる。
【0084】
送風孔182は、対向面181に対する垂直方向に形成されており、鉛直方向に対して斜めに配置されている。具体的には、送風孔182は、鉛直方向に対して搬送方向の上流側へ斜めに配置されている。
【0085】
本実施形態では、送風板180に加えて、ファン161及び装置本体166を含む送風装置160全体が、水平方向に対して斜めに配置されている。具体的には、装置本体166では、板状の底壁162が、送風板180に沿って配置されており、水平方向に対して斜めに配置されている。側壁163は、底壁162に対する垂直方向に上方側へ延びており、鉛直方向に対して斜めに配置されている。具体的には、側壁163は、鉛直方向に対して搬送方向の上流側へ斜めに配置されている。ファン161の送風方向(軸方向)は、鉛直方向に対して斜めに配置されている。具体的には、ファン161の送風方向(軸方向)は、鉛直方向に対して搬送方向の上流側へ斜めに配置されている。
【0086】
なお、本実施形態では、チェーン72は、加熱部102と送風装置160との間に配置された部分において、対向面181に沿って配置されており、対向面181上における記録媒体Pの搬送方向は、対向面181に沿った方向とされている。また、前述のように、ヒータ106は、搬送方向に沿って複数並べられており、ヒータ106の並び方向は、対向面181に沿った方向とされている。なお、対向面181上における記録媒体Pの搬送方向が、対向面181に対して角度を有していてもよい。また、ヒータ106の並び方向は、対向面181に対して角度を有していてもよい。
【0087】
続いて、本実施形態における加熱部102が接続された電気回路42、及び電気回路42の動作を制御する制御部40について
図4を適宜参照しながら説明する。
【0088】
(電気回路42)
本実施形態における電気回路42は、一例として
図4に示される様に、加熱部102に電力を供給する三相交流電源ACと、加熱部102に供給される電力を制御する制御部40とを有している。また、本実施形態における電気回路42の各相を、それぞれ
図4に示されるように、X相、Y相及びZ相と称する。X相、Y相及びZ相は、継電器48が閉路している状態(加熱部102に電力が供給されている状態)において、平衡している(電流及び電圧の実効値がそれぞれ実質的に等しく、位相が120°ずつ異なる)。
【0089】
(制御部40)
制御部40は、定着ユニット120、加熱部102、送風装置160と電気的に接続されており、後述するように画像形成装置10の搬送装置16、画像形成部12を含む各部を制御する各種の機能を実現する装置である。本実施形態における制御部40は、三相交流電源ACと電気的に接続された継電器48と、報知部49と、制御装置50と、電力測定部208と、温度測定部200と、を有する。
【0090】
継電器48は、
図4に示されるように三相交流電源ACと加熱部102とを電気的に遮断及び接続を可能とする要素であり、例えば電磁接触器、SSR(Solid State Relay)が用いられる。継電器48が閉路した場合(継電器48が一次側(三相交流電源ACの側)と二次側(加熱部102の側)とを電気的に接続した場合)には、加熱部102に交流電圧が印加されることで、加熱部102が加熱する。また、継電器48が開路した場合(継電器48が一次側と二次側とを電気的に遮断した場合)に、加熱部102の加熱が停止する。なお、継電器48が動作する具体的な条件については後述する。
【0091】
報知部49は、一例としてブザー等の鳴動する部品であり、電気回路42に故障が生じた場合に、制御装置50によって鳴動することによって、画像形成装置10のユーザに故障が生じていることを通知する。すなわち、報知部49は、本実施形態における通知部の一例である。なお、報知部49は、ブザーに変えて警告灯とすることにより視覚的に報知する構成としてもよく、画像形成装置10におけるユーザが入力する箇所に何らかの表示をすることによって報知をする構成としてもよい。
【0092】
(制御装置50)
図5は、本実施形態に係る制御装置50のハードウェア構成の一例を示すブロック図である。
【0093】
制御装置50は、コンピュータとしての機能を備え、
図5に示されるように、プロセッサの一例であるCPU(Central Processing Unit)51、ROM(Read Only Memory)52、RAM(Random Access Memory)53、ストレージ54を備えている。なお、制御装置50は、汎用的なプロセッサを備える上記構成に代えて、専用のプロセッサ(例えば、ASIC:Application Specific Integrated Circuit、FPGA:Field Programmable Gate Array、プログラマブル論理デバイス、等))を備えて構成されていてもよい。
【0094】
CPU51、ROM52、RAM53、及びストレージ54の各々は、バス59により相互に接続されている。CPU51は、制御装置50の全体を統括し、制御する。ROM52は、本実施形態で用いる制御プログラムを含む各種プログラム及び各種データ等を記憶している。RAM53は、各種プログラムの実行時のワークエリアとして用いられるメモリである。CPU51は、ROM52に記憶されたプログラムをRAM53に展開して実行することにより、各種処理を行う。
【0095】
ストレージ54は、一例としてHDD(Hard Disk Drive)、SSD(Solid State Drive)、又はフラッシュメモリ等で構成され、各種プログラム及び各種データ等を記憶している。なお、制御プログラムは、ストレージ54に記憶されていてもよい。
【0096】
制御装置50において、CPU51が制御プログラムを実行することにより、画像形成装置10の搬送装置16、画像形成部12を含む各部を制御する各種の機能を実現する。例えば、本実施形態におけるCPU51は、温度測定部200が取得した加熱部102における温度の経時測定データを、RAM53に記録する。また、CPU51は、電力測定部208が取得したX相及びY相に流れる電流の経時測定データを、RAM53に記録する。また、CPU51は、電力測定部208が取得したX相及びY相に流れる電流から求められた加熱部102に出力される電力が、予め定められた上限値から下限値の範囲を逸脱した回数を、RAM53に記録する。
【0097】
また、本実施形態における制御装置50は、CPU51が制御プログラムを実行することにより、電気回路42における故障の箇所を特定する。そして、CPU51が故障の箇所を特定した場合には、CPU51は、特定した故障の箇所に応じて異なる態様(音色、間隔など)で報知部49を鳴動させる。すなわち、本実施形態において、報知部49を鳴動させることは、通知部へ通知することの一例であり、本実施形態において正常動作である旨、故障箇所を出力することの一例である。なお、CPU51が電気回路42における故障の箇所を特定する手順については、後述する。
【0098】
電力測定部208は、
図4に示されるように、一例として、三相交流電源ACと加熱部102とを繋ぐ三相の電線のうち、二相に流れる電流値を測定する。より具体的には、電力測定部208は、三相の電線のうちX相及びY相に取り付けられた2個の変流器であり、それぞれの相に流れる電流(相電流)の値を制御装置50に出力する。すなわち、本実施形態において、電線に流れる電流を測定することは、加熱部に供給される電力を測定することの一例である。
【0099】
温度測定部200は、
図4に示されるように、一例として、加熱部102の近傍に設けられた第一熱電対202A及び第二熱電対202Bと、アンプ204と、AD変換器206とを有する。アンプ204は、
図4に示されるように二個用意され、第一熱電対202A及び第二熱電対202Bのそれぞれと接続される。また、AD変換器206は、
図4に示されるように二個用意され、それぞれのアンプ204に接続されている。
【0100】
第一熱電対202A及び第二熱電対202Bは、加熱部102の温度に応じて生じた熱起電力をアンプ204に出力する。なお、以後の説明において、第一熱電対202A及び第二熱電対202Bを区別しない場合は、単に熱電対202と称する。アンプ204は、熱電対202から出力された熱起電力、すなわち加熱部102の温度をAD変換器206に出力する。AD変換器206は、アンプ204から出力された加熱部102の温度をデジタル値に変換し、制御装置50に出力する。なお、第一熱電対202A及び第二熱電対202Bは、本実施形態における温度測定器の一例である。
【0101】
なお、本実施形態において、熱電対202、アンプ204及びAD変換器206は、
図4に示されるように、それぞれ二つずつ設けられている。本実施形態では第一熱電対202A及び第二熱電対202Bは、一例として加熱部102において奥行方向に対して対称となるように予め定められた距離だけ互いに離隔して配置される。言い換えれば、本実施形態において、熱電対202が二つ設けられることにより、温度測定部200は、加熱部102の温度を二箇所で測定する。
【0102】
なお、本実施形態において、制御装置50は、加熱部102における温度の測定箇所について区別しない場合には、第一熱電対202A及び第二熱電対202Bが測定した温度の測定値を、相加平均して得た値を用いる。以後の説明において、第一熱電対202A及び第二熱電対202Bが測定した温度の測定値における相加平均した値を、単に温度測定値と称する場合がある。
【0103】
続いて本実施形態における制御装置50が、故障箇所を特定する手順について
図6を適宜参照しながら説明する。なお、本実施形態において制御装置50は、加熱部102の加熱を始めた場合に、
図6に示される、故障箇所を特定する手順を開始する。
【0104】
(故障の箇所を特定する手順)
図6に示されるように、CPU51は、ステップS102において、電力測定部208から二相の電線に流れる電流値を測定する。そして、電力測定部208が測定した電流値から得られた値が、予め定められた第一閾値を超える場合に、CPU51は、ステップS102において肯定判定をする。また、電力測定部208が測定した電流値が、第一閾値以下である場合に、CPU51は、ステップS102において否定判定をする。なお、第一閾値は、画像形成装置10が有する加熱部102の出力等に合わせて適宜設定されるが、一例として1500Wである。
【0105】
そして、CPU51は、ステップS102において、肯定判定した場合に、ステップS104へ移行する。また、CPU51は、ステップS102において否定判定した場合に、ステップS122へ移行する。
【0106】
続いて、CPU51は、ステップS104において、温度測定部200から得られた加熱部102の温度と、ステップS102において測定された電流値、及び加熱部102の加熱を始めてから経過した時間から期待される予め定められた第二閾値と、を比較する。また、CPU51は、ステップS104において、加熱部102の温度が第二閾値を超えた場合に肯定判定をする。また、CPU51は、加熱部102の温度と、推測される温度との差が第二閾値以下である場合に、否定判定をする。なお、第二閾値は、画像形成装置10が有する加熱部102の出力等に合わせて適宜設定されるが、一例として873Kである。
【0107】
そして、CPU51は、ステップS104において肯定判定した場合に、ステップS106へ移行する。また、CPU51は、ステップS104において否定判定した場合に、ステップS116へ移行する。
【0108】
続いて、CPU51は、ステップS106において、電力測定部208から二相の電線に流れる電流値を測定する。また、CPU51は、電力測定部208が測定した電流値から得られた値が、予め定められた上限値から下限値までの範囲から逸脱した回数を計測する。より具体的にはCPU51は、電力測定部208が測定した電力値が、逸脱するたびに、RAM53に記憶した逸脱回数の値を1だけ加算する。そして、CPU51は、ステップS106において、逸脱回数の値が、予め定められた第三閾値以下である場合に肯定判定する。また、CPU51は、ステップS106において、逸脱回数の値が、第三閾値を超えた場合に否定判定する。なお、第三閾値は、画像形成装置10が有する加熱部102の出力等に合わせて適宜設定されるが、一例として5回である。
【0109】
そして、CPU51は、ステップS106において、肯定判定した場合に、ステップS108へ移行する。また、CPU51は、ステップS106において、否定判定した場合に、ステップS110へ移行する。
【0110】
(正常動作の出力)
続いて、CPU51は、ステップS108において、電気回路42が正常に動作していると判断する。そして、CPU51は、ステップS102へ移行する。
【0111】
また、CPU51は、ステップS110において、温度測定部200が測定した温度の値の差を比較する。より具体的には、第一熱電対202A及び第二熱電対202Bから出力された加熱部102の温度の差分値が、予め定められた第四閾値以下であるか判定する。そして、CPU51は、ステップS106において、第一熱電対202A及び第二熱電対202Bから出力された加熱部102の温度の差分値が、第四閾値以下である場合に、肯定判定する。また、CPU51は、ステップS106において、第一熱電対202A及び第二熱電対202Bから出力された加熱部102の温度の差が、第四閾値を超えた場合に、否定判定する。なお、第四閾値は、画像形成装置10が有する加熱部102の出力等に合わせて適宜設定されるが、一例として50Kである。
【0112】
そして、CPU51は、ステップS110において、肯定判定した場合に、ステップS112へ移行する。また、CPU51は、ステップS110において、否定判定した場合に、ステップS114へ移行する。
【0113】
(三相交流電源AC又はヒータ106の故障の出力)
続いて、CPU51は、ステップS112において、電気回路42における三相交流電源AC又は、加熱部102が故障していると判定する。そして、CPU51は、報知部49に、三相交流電源AC又はヒータ106の故障を通知する鳴動を報知部49にさせる。また、CPU51は、継電器48を開路させ、加熱部102への電力の供給を遮断する。
【0114】
(温度測定部200又は制御装置50の故障の出力)
また、CPU51は、ステップS114において、電気回路42における温度測定部200又は制御装置50が故障していると判定する。そして、CPU51は、報知部49に、温度測定部200又は制御装置50の故障を通知する鳴動を報知部49にさせる。また、CPU51は、継電器48を開路させ、加熱部102への電力の供給を遮断する。
【0115】
また、CPU51は、ステップS116において、温度測定部200が測定した温度の値の差を比較する。より具体的には、第一熱電対202A及び第二熱電対202Bから出力された加熱部102の温度の差が、第四閾値以下であるか判定する。そして、CPU51は、ステップS106において、第一熱電対202A及び第二熱電対202Bから出力された加熱部102の温度の差が、第四閾値以下である場合に、肯定判定する。また、CPU51は、ステップS106において、第一熱電対202A及び第二熱電対202Bから出力された加熱部102の温度の差が、第四閾値を超えた場合に、否定判定する。
【0116】
そして、CPU51は、ステップS116において、肯定判定した場合に、ステップS118へ移行する。また、CPU51は、ステップS116において、否定判定した場合に、ステップS120へ移行する。
【0117】
(漏電故障の出力)
続いて、CPU51は、ステップS118において、電気回路42が漏電故障していると判定する。そして、CPU51は、報知部49に、電気回路42の漏電故障を通知する鳴動を報知部49にさせる。また、CPU51は、継電器48を開路させ、加熱部102への電力の供給を遮断する。
【0118】
(温度測定部200、電力測定部208、又は、制御装置50の故障の出力)
また、CPU51は、ステップS120において、電気回路42における温度測定部200、電力測定部208又は制御装置50が故障していると判定する。そして、CPU51は、報知部49に、温度測定部200、電力測定部208又は制御装置50の故障を通知する鳴動を報知部49にさせる。また、CPU51は、継電器48を開路させ、加熱部102への電力の供給を遮断する。
【0119】
また、CPU51は、ステップS122において、ヒータ106に接続される三相交流のうち二相の電線に流れる電流値を測定する。そしてCPU51は、二相の電線に流れる電流値の差が、第五閾値以下であるか判定することにより、X相、Y相、及びZ相のいずれかの相に故障があるかを推定し、推定結果をRAM53に記憶する。
【0120】
より具体的には、CPU51は、ステップS122においてX相及びY相の電線に流れる電流値を比較する。例えばX相の電線に流れる電流値が、Y相の電線に流れる電流値よりも小さく、その電流値の差が第五閾値を超える場合、CPU51は、Y相の電線、又はヒータ106Yが故障していると推定する。また例えばY相の電線に流れる電流値が、X相の電線に流れる電流値よりも小さく、その電流値の差が第五閾値を超える場合、CPU51は、X相の電線、又はヒータ106Xが故障していると推定する。また例えばX相の電線に流れる電流値と、Y相の電線に流れる電流値の差が第五閾値以下である場合、CPU51は、Z相の電線、又はヒータ106Zが故障していると推定する。このように、CPU51は、X相、Y相、及びZ相のいずれかの相に故障があるか推定した結果をRAM53に記憶する。
【0121】
そして、CPU51は、ステップS124へ移行する。なお、第五閾値は、画像形成装置10が有するヒータ106の出力等に合わせて適宜設定されるが、一例として6.71Aである。
【0122】
また、CPU51は、ステップS124において、温度測定部200が測定した温度の値の差を比較する。より具体的には、第一熱電対202A及び第二熱電対202Bから出力された加熱部102の温度の差が、第四閾値以下であるか判定する。そして、CPU51は、ステップS106において、第一熱電対202A及び第二熱電対202Bから出力された加熱部102の温度の差が、第四閾値以下である場合に、肯定判定する。また、CPU51は、ステップS106において、第一熱電対202A及び第二熱電対202Bから出力された加熱部102の温度の差が、第四閾値を超えた場合に、否定判定する。
【0123】
そして、CPU51は、ステップS124において、肯定判定した場合に、ステップS128へ移行する。また、CPU51は、ステップS124において、否定判定した場合に、ステップS126へ移行する。
【0124】
(三相交流電源AC又はヒータ106の異常の推定)
続いて、CPU51は、ステップS128において、電気回路42における三相交流電源AC又はヒータ106うち、ステップS122において推定した相に異常があると推定する。そして、CPU51は、報知部49に、三相交流電源AC又はヒータ106のうちステップS122において推定した相に異常がある可能性を通知する鳴動を報知部49にさせる。なお、本実施形態において、ステップS122において推定した相に異常がある可能性とは、電線又はヒータ106が断線した場合及び、電線又はヒータ106が劣化し、断線しかけた状態となることによって、電流が流れにくくなる場合を含む。言い換えれば、本実施形態では異常の推定とは、電線又はヒータ106において、故障の程度が、断線した場合よりも小さいことを含む。なお、本実施形態において、ステップS128では、三相交流電源AC又はヒータ106に異常がある可能性を通知した場合において、CPU51は、継電器48の閉路状態を変化させず、加熱部102への電力の供給を遮断しない。
【0125】
また、CPU51は、ステップS126において、温度測定部200が測定した温度の値の差を比較する。より具体的には、第一熱電対202A及び第二熱電対202Bから出力された加熱部102の温度の差が、第四閾値以下であるか判定する。そして、CPU51は、ステップS106において、第一熱電対202A及び第二熱電対202Bから出力された加熱部102の温度の差が、第四閾値以下である場合に、肯定判定する。また、CPU51は、ステップS106において、第一熱電対202A及び第二熱電対202Bから出力された加熱部102の温度の差が、第四閾値を超えた場合に、否定判定する。
【0126】
そして、CPU51は、ステップS126において、肯定判定した場合に、ステップS130へ移行する。また、CPU51は、ステップS126において、否定判定した場合に、ステップS132へ移行する。
【0127】
(三相交流電源AC又はヒータ106の故障の出力)
続いて、CPU51は、ステップS130において、電気回路42における三相交流電源AC又は、加熱部102のうち、ステップS122において推定した相が故障していると判定する。そして、CPU51は、報知部49に、三相交流電源AC又はヒータ106のうち、ステップS122において推定した相が故障していることを通知する鳴動を報知部49にさせる。また、CPU51は、継電器48を開路させ、加熱部102への電力の供給を遮断する。
【0128】
(温度測定部200又は制御装置50の故障の出力)
また、CPU51は、ステップS132において、電気回路42における温度測定部200又は制御装置50が故障していると判定する。そして、CPU51は、報知部49に、温度測定部200又は制御装置50の故障を通知する鳴動を報知部49にさせる。また、CPU51は、継電器48を開路させ、加熱部102への電力の供給を遮断する。
【0129】
続いて、電気回路42に故障が生じた場合に、本実施形態における制御装置50が、上述の故障箇所を特定する手順について故障が生じた箇所を特定する例を
図7から
図12を適宜参照しながら説明する。なお、
図7、9、及び
図11では特に図示されないが、本実施形態における第一閾値は、下限値から目標値の間に適宜設定される。また
図7、及び
図11において示される電流値は、X相又はY相のいずれの相に流れる電流値でもよい。なお、
図8、10、及び
図12では特に図示されないが、本実施形態における第二閾値は、目標温度よりも低い側に適宜設定される。また、
図8、10、及び
図12では特に図示されないが、本実施形態における第四閾値は、第一熱電対202A及び第二熱電対202Bのいずれの測定値も第二閾値を下回らないように、目標温度と第二閾値との差分よりも小さく設定される。
【0130】
(三相交流電源ACに異常が生じた場合)
図7及び
図8は、一例として、三相交流電源ACに異常が生じた場合における、電力測定部208及び温度測定部200の検出結果が示されている。
【0131】
三相交流電源ACが正常である場合には、継電器48が閉路した場合に、
図7において実線で示されるように、電力測定部208が検出した電流値は、設定値に対して上限値から下限値までの範囲となる。
【0132】
一方、三相交流電源ACに異常が生じた場合は、
図7において破線で示されるように、設定値に対して上限値を超えるか、又は下限値未満となる場合がある。ただし、
図8に示されるように、三相交流電源ACに異常が生じても、温度測定部200が検出した加熱部102の温度は、目標値の近傍に保たれる場合がある。
【0133】
ここで、本実施形態に係る制御装置50は、上述のように、
図7において破線で示されるように電力測定部208が検出した電流値が、上限値から下限値の範囲から逸脱した回数を逸脱回数として記憶する。そして、逸脱回数が第三閾値以上となった場合に、三相交流電源ACに異常が生じたことを通知する。
【0134】
より具体的には、三相交流電源ACに異常が生じた場合、まずCPU51は、ステップS102において肯定判定し、ステップS104に移行する。また、CPU51は、ステップS104において肯定判定し、ステップS106に移行する。ここで、ステップS106において否定判定し、ステップS110に移行する。そして、CPU51は、ステップS110において肯定判定し、ステップS112に移行する。
【0135】
このようにして、電気回路42における三相交流電源ACに故障が生じた場合、CPU51は、ステップS112に移行することによって、三相交流電源ACに故障が生じたことを通知する。
【0136】
(加熱部102のヒータ106が故障した場合)
図9及び
図10は、一例として、加熱部102が有する3つのヒータ106のうち、いずれか1つが故障(断線)した場合における、電力測定部208及び温度測定部200の検出結果が示されている。
【0137】
図9に示されるように、加熱部102が有するヒータ106X、ヒータ106Yのうち、いずれか一方が故障した場合、電力測定部208における変流器が出力する結果は、二相で異なる値となる。また、
図10に示されるように、加熱部102が有するヒータ106X、ヒータ106Y、ヒータ106Zのうち、いずれか1つが故障した場合、加熱部102の加熱量が減少するため、温度測定部200が測定した温度は、正常時の場合と比べて上がりにくくなる。すなわち、
図10に示されるように、測定温度は、判断時刻において目標温度よりも小さくなる。
【0138】
ここで、本実施形態に係る制御装置50は、上述のように、二相の電線に流れる電流値を測定し、
図9のように、二相の電線に流れる電流値の差が、第五閾値以下であるか判定する。
【0139】
より具体的には、電気回路42又はヒータ106に異常が生じた場合、まずCPU51は、ステップS102において否定判定し、ステップS122に移行する。そして、CPU51は、二相の電線に流れる電流値の差が、第五閾値以下であるか判定し、異常がある相を推定したうえでステップS124へ移行する。また、CPU51は、ステップS124において否定判定し、ステップS126に移行する。ここで、ステップS126において肯定判定し、ステップS130に移行する。
【0140】
このようにして、電気回路42における加熱部102に故障が生じた場合、CPU51は、ステップS130に移行することによって、電気回路42における異常があると推定された相が故障していると判定する。そして、CPU51は、報知部49に、三相交流電源AC又はヒータ106のうち異常があると推定された相の故障を通知する。
【0141】
(三相交流電源ACに異常が生じた場合)
図11及び
図12は、一例として、電気回路42が漏電故障した場合における、電力測定部208及び温度測定部200の検出結果が示されている。
【0142】
電気回路42が漏電故障した場合、
図11に示されるように、電流値は、設定値に対して上限値を超える。ただし、
図12に示されるように、電気回路42が漏電故障しても、温度測定部200が検出した加熱部102の温度は、継電器48の閉路以後も上昇しない。このため、第一熱電対202A及び第二熱電対202Bが測定した加熱部102の温度測定値には差が生じにくい。
【0143】
ここで、本実施形態に係る制御装置50は、上述のように、
図11に示されるように第一熱電対202A及び第二熱電対202Bが測定した温度測定値の差が、第四閾値を超えない場合に、電気回路42が漏電故障したことを通知する。
【0144】
より具体的には、電気回路42が漏電故障した場合、まずCPU51は、ステップS102において肯定判定し、ステップS104に移行する。また、CPU51は、ステップS104において否定判定し、ステップS116に移行する。そして、CPU51は、ステップS116において肯定判定し、ステップS118に移行する。
【0145】
このようにして、電気回路42が漏電故障した場合、CPU51は、ステップS118に移行することによって、電気回路42が漏電故障したことを通知する。
【0146】
続いて、本実施形態における画像形成装置10による作用及び効果について説明する。
【0147】
(作用及び効果)
本実施形態の情報処理システム44では、CPU51は、定着装置100の加熱部102に供給される電力を測定する電力測定部208が測定した電流値が、第一閾値を超えたか否かを判断する。またCPU51は、加熱部102の温度を測定する温度測定部200が測定した温度が、第二閾値を超えたか否かを判断する。またCPU51は、加熱部102の加熱を始めてから、電流値が第一閾値より小さい下限値から第一閾値よりも大きい上限値までで規定される数値範囲から逸脱した回数が、第三閾値を超えたか否かを判断する。そしてCPU51は、第一閾値、第二閾値及び第三閾値との比較による比較結果の組合せに応じて特定した故障箇所を出力する。
【0148】
本実施形態の情報処理システム44によれば、電力が供給される加熱部102を有する情報処理システム44において、不具合箇所を自動で出力させることができる。
【0149】
また、本実施形態の情報処理システム44では、加熱部102は、温度測定部200が有する複数の熱電対202により温度を測定され、CPU51は、複数の熱電対202により測定されたそれぞれの温度の測定値の差が、第四閾値を超えたか否かを判断する。またCPU51は、第一閾値、第二閾値、第三閾値及び第四閾値との比較による比較結果の組合せに応じて特定した故障箇所を出力する。
【0150】
本実施形態の情報処理システム44によれば、温度測定部200が一つの熱電対202により温度を測定する場合と比べて、不具合箇所をより特定しやすくなる。
【0151】
また、本実施形態の情報処理システム44では、CPU51は、電流値が第一閾値を超え、温度が第二閾値を超え、回数が第三閾値を超え、かつ差が第四閾値を超えない場合に、加熱部102に三相交流電源AC又は加熱部102を故障箇所として出力する。
【0152】
本実施形態の情報処理システム44によれば、情報処理システム44における不具合箇所をユーザがより認知しやすくなる。
【0153】
また、本実施形態の情報処理システム44では、CPU51は、電流値が第一閾値を超え、温度が第二閾値を超え、かつ回数が第三閾値を超えない場合に、正常動作である旨を出力する。
【0154】
本実施形態の情報処理システム44によれば、情報処理システム44が正常に動作していることをユーザがより認知しやすくなる。
【0155】
また、本実施形態の情報処理システム44では、CPU51は、定着装置100の加熱部102に供給される三相交流電力を測定する電力測定部208が測定した電流値が、第一閾値を超えたか否か判断する。またCPU51は、加熱部102の温度を測定する温度測定部200が測定した温度が、第二閾値を超えたか否かを判断し、三相交流電力の相毎に供給される電流値の差が、第五閾値を超えたか否かを判断する。そしてCPU51は、第一閾値、第二閾値及び第五閾値との比較による比較結果の組合せに応じて特定した故障箇所を出力する。
【0156】
本実施形態の情報処理システム44によれば、加熱部102の状態をCPU51が判断する情報処理システム44において、不具合箇所を自動で出力させることができる。
【0157】
また、本実施形態の情報処理システム44では、CPU51は、複数の熱電対202により測定されたそれぞれの温度の測定値の差が、第四閾値を超えたか否かをさらに判断する。そしてCPU51は、電流値が第一閾値以下であり、温度が第二閾値以下であり、温度の測定値の差が第四閾値を超えず、電流値の差が第五閾値を超えた場合に、加熱部102に三相交流電源AC又は加熱部102を故障箇所として出力する。
【0158】
本実施形態の情報処理システム44によれば、加熱部102に供給される電力を一括で測定して判断する場合と比べて、CPU51が加熱部102又は電源に異常が発生したと判断することができる。
【0159】
また、本実施形態の情報処理システム44では、CPU51を備え、CPU51は、定着装置100の加熱部102に供給される電力を測定する電力測定部208が測定した電流値が、第一閾値を超えたか否かを判断する。またCPU51は、加熱部102の温度を複数の熱電対202により測定する温度測定部200が測定した温度が、第二閾値を超えたか否かを判断する。またCPU51は、複数の熱電対202により測定されたそれぞれの温度の測定値の差が、第四閾値を超えたか否かを判断する。そしてCPU51は、第一閾値、第二閾値、及び第四閾値との比較による比較結果の組合せに応じて特定した故障箇所を出力する。
【0160】
本実施形態の情報処理システム44によれば、加熱部102の状態をCPU51が判断する情報処理システム44において、不具合箇所を自動で出力させることができる。
【0161】
また、本実施形態の情報処理システム44では、CPU51は、電流値が第一閾値以下であり、温度が第二閾値以下であり、温度の測定値の差が第四閾値を超えない場合に、漏電故障があったことを出力する。
【0162】
本実施形態の情報処理システム44によれば、CPU51が第一閾値のみで異常を判断する場合と比べて、漏電の異常が発生したことをより速やかに判断することができる。
【0163】
また、本実施形態の情報処理システム44では、CPU51は、故障箇所を特定した場合に、報知部49へ通知する。
【0164】
本実施形態の情報処理システム44によれば、異常が発生した場合に通知を行わない情報処理システム44と比べて、ユーザが異常を認識することができる。
【0165】
また、本実施形態の情報処理システム44では、CPU51は、故障箇所を特定した場合に、加熱部102への電力の供給を遮断する。
【0166】
本実施形態の情報処理システム44によれば、異常が発生した場合に電力の供給が続けられる情報処理システム44と比べて、より安全になる。
【0167】
また、本実施形態の画像形成装置10は、現像装置24と、トナー像を記録媒体Pに転写する転写装置30と、情報処理システム44と、情報処理システム44の加熱部102を有し、記録媒体Pにトナー像を定着させる定着装置100と、を備える。
【0168】
本実施形態の画像形成装置10によれば、画像形成装置10中の劣化や故障の箇所を自動で出力させることができる。
【0169】
(変形例)
なお、上述の説明では、CPU51が故障箇所を特定した場合に、継電器48を開路させていたが、本実施形態におけるCPU51の動作は、これに限らない。例えば、故障箇所を特定した場合において、特定された故障が実質的に軽微であり、記録媒体Pへの画像の形成に影響がないと判断された場合、CPU51は、継電器48を開路させなくてもよい。
【0170】
また、上述の説明では、CPU51が故障箇所を特定した場合に、報知部を鳴動させていたが、本実施形態におけるCPU51の動作は、これに限らない。例えば、故障箇所を特定した場合において、特定された故障が実質的に軽微であり、記録媒体Pへの画像の形成に影響がないと判断された場合、CPU51は、報知部を鳴動させなくてもよい。
【0171】
また、上述の説明では、CPU51は、電力値が第一閾値以下であり、温度測定値が第二閾値以下であり、第一熱電対202Aと第二熱電対202Bとの測定値の差分が第四閾値以下である場合に、電気回路42の漏電故障があったことを出力していた。しかし、本実施形態におけるCPU51の動作は、これに限らない。例えば、制御装置50は、温度測定値が第二閾値以下である場合に、漏電、温度測定部200、電力測定部208又は制御装置50の故障を出力してもよい。この場合においても、加熱部102の状態をCPU51が判断する情報処理システム44において、不具合箇所を自動で出力させることができる。
【0172】
また、上述の説明では、X相及びY相の電力値の差が第五閾値を超えた場合に、CPU51が加熱部102の故障を特定していたが、本実施形態におけるCPU51の動作は、これに限らない。例えば、CPU51は、第一熱電対202Aと第二熱電対202Bとが測定した温度の測定値の差分によってのみ、加熱部102の故障を特定してもよい。この場合においても、加熱部102の状態をCPU51が判断する電気回路42において、不具合箇所を自動で出力させることができる。
【0173】
また、上述の説明では、CPU51は、電力値の逸脱回数が第三閾値を超えなかった場合に、正常動作である旨を出力していたが、本実施形態におけるCPU51の動作は、これに限らない。すなわち、CPU51は、電力値の逸脱回数が第三閾値を超えなかった場合に、正常動作である旨を出力しなくてもよい。この場合においても、電力が供給される加熱部102を有する電気回路42において、不具合箇所を自動で出力させることができる。
【0174】
また、上述の説明では、CPU51は、第一熱電対202Aと第二熱電対202Bとが測定した温度の測定値の差分が第四閾値以下である場合に、三相交流電源AC又は加熱部102の故障を出力したが、本実施形態におけるCPU51の動作は、これに限らない。例えば、制御装置50は、電力値の逸脱回数が第三閾値を超えた場合に、三相交流電源AC、加熱部102、温度測定部200、又は制御装置50の故障を出力してもよい。この場合においても、温度測定部200が一つの熱電対202により温度を測定する場合と比べて、不具合箇所をより特定しやすくなる。
【0175】
また、上述の説明では、CPU51が第一熱電対202Aと第二熱電対202Bとが測定した温度の測定値の差分に基づいて故障の箇所を出力していたが、本実施形態におけるCPU51の動作は、これに限らない。例えば、温度測定部200は、一つの熱電対202を有し、CPU51が一つの熱電対202が測定した温度に基づいて故障の箇所を出力してもよい。この場合においても、電力が供給される加熱部102を有する情報処理システム44において、不具合箇所を自動で出力させることができる。
【0176】
(その他の変形例)
なお、上述の説明では、熱電対202は、第一熱電対202A及び第二熱電対202Bの二つとされていたが、これに限らず、熱電対202の個数は、三つ以上とされていてもよい。
【0177】
また、上述の説明では、電力測定部208は、X相及びY相の二相の電流値を測定することによって電力値を求めていたが、これに限らず、Z相を含めた三相の電流値を測定することによって電力値を求めてもよい。また、電力測定部208は、電流値のみではなく、電圧値、力率等の値を測定してもよい。
【0178】
なお、上述の説明では、画像形成装置10の一例としてトナー画像を電子写真方式により記録媒体Pにトナー像を形成する機能を有していたが、これに限定されない。例えば、インクを用いて記録媒体Pに画像を形成するインクジェット式の画像形成装置10においても、インクが塗布された記録媒体Pの表面を加熱し、インクの溶媒を揮散させて画像を定着させる定着装置100として適用される。
【0179】
また、上述の説明では、記録媒体Pとは、一例として枚葉紙とされていたが、これに限定されず、例えば、耐熱樹脂製のフィルムや、金属フィルムなどであってもよい。
【0180】
以上、添付図面を参照しながら本開示の実施形態を説明したが、本開示の属する技術の分野における通常の知識を有する者であれば、特許請求の範囲に記載された技術的思想の範疇内において、各種の変更例又は応用例に想到し得ることは明らかであり、これらについても、当然に本開示の技術的範囲に属するものと了解される。
【0181】
なお、以下に本開示の好ましい態様を更に示す。
【0182】
(((1)))
プロセッサを備え、
前記プロセッサは、
定着装置の加熱部に供給される電力を測定する電力測定部が測定した電力値が、予め定められた第一閾値を超えたか否かを判断し、
前記加熱部の温度を測定する温度測定部が測定した温度が、予め定められた第二閾値を超えたか否かを判断し、
前記加熱部の加熱を始めてから、前記電力値が前記第一閾値より小さい予め定められた下限値から前記第一閾値よりも大きい予め定められた上限値までで規定される数値範囲から逸脱した回数が、予め定められた第三閾値を超えたか否かを判断し、
前記第一閾値、前記第二閾値及び前記第三閾値との比較による比較結果の組合せに応じて特定した故障箇所を出力する、
情報処理システム。
【0183】
(((2)))
前記加熱部は、前記温度測定部が有する複数の温度測定器により温度を測定され、
前記プロセッサは、
前記複数の温度測定器により測定されたそれぞれの温度の測定値の差が、予め定められた第四閾値を超えたか否かを判断し、
前記第一閾値、前記第二閾値、前記第三閾値及び前記第四閾値との比較による比較結果の組合せに応じて特定した故障箇所を出力する、
(((1)))に記載の情報処理システム。
【0184】
(((3)))
前記プロセッサは、
前記電力値が前記第一閾値を超え、前記温度が前記第二閾値を超え、前記回数が前記第三閾値を超え、かつ前記差が前記第四閾値を超えない場合に、前記加熱部に電力を供給する電源又は前記加熱部を故障箇所として出力する、
(((2)))に記載の情報処理システム。
【0185】
(((4)))
前記プロセッサは、
前記電力値が前記第一閾値を超え、前記温度が前記第二閾値を超え、かつ前記回数が前記第三閾値を超えない場合に、正常動作である旨を出力する、
(((1)))に記載の情報処理システム。
【0186】
(((5)))
プロセッサを備え、
前記プロセッサは、
定着装置の加熱部に供給される多相の交流電力を測定する電力測定部が測定した電力値が、予め定められた第一閾値を超えたか否か判断し、
前記加熱部の温度を測定する温度測定部が測定した温度が、予め定められた第二閾値を超えたか否かを判断し、
前記多相の交流電力におけるそれぞれの相毎に供給される電力値の差が、予め定められた第五閾値を超えたか否かを判断し、
前記第一閾値、前記第二閾値及び前記第五閾値との比較による比較結果の組合せに応じて特定した故障箇所を出力する、
情報処理システム。
【0187】
(((6)))
前記プロセッサは、
前記複数の温度測定器により測定されたそれぞれの温度の測定値の差が、予め定められた第四閾値を超えたか否かをさらに判断し、
前記電力値が前記第一閾値以下であり、前記温度が前記第二閾値以下であり、前記温度の測定値の差が前記第四閾値を超えず、前記電力値の差が前記第五閾値を超えた場合に、前記加熱部に多相の交流電力を供給する電源又は前記加熱部を故障箇所として出力する、
(((5)))に記載の情報処理システム。
【0188】
(((7)))
プロセッサを備え、
前記プロセッサは、
定着装置の加熱部に供給される電力を測定する電力測定部が測定した電力値が、予め定められた第一閾値を超えたか否かを判断し、
前記加熱部の温度を複数の温度測定器により測定する温度測定部が測定した温度が、予め定められた第二閾値を超えたか否かを判断し、
前記複数の温度測定器により測定されたそれぞれの温度の測定値の差が、予め定められた第四閾値を超えたか否かを判断し、
前記第一閾値、前記第二閾値、及び前記第四閾値との比較による比較結果の組合せに応じて特定した故障箇所を出力する、
情報処理システム。
【0189】
(((8)))
前記プロセッサは、
前記電力値が前記第一閾値以下であり、前記温度が前記第二閾値以下であり、前記温度の測定値の差が前記第四閾値を超えない場合に、漏電故障があったことを出力する、
(((7)))に記載の情報処理システム。
【0190】
(((9)))
前記プロセッサは、故障箇所を特定した場合に、通知部へ通知する、
(((1)))から(((8)))のいずれか1に記載の、情報処理システム。
【0191】
(((10)))
前記プロセッサは、故障箇所を特定した場合に、前記加熱部への電力の供給を遮断する、
(((1)))から(((9)))のいずれか1に記載の、情報処理システム。
【0192】
(((11)))
像保持体に形成された静電潜像をトナー像として現像する現像装置と、
前記トナー像を記録媒体に転写する転写装置と、
(((1)))から(((10)))までのいずれか1に記載の情報処理システムと、
前記情報処理システムの前記加熱部を有し、記録媒体に前記トナー像を定着させる定着装置と、
を備える、画像形成システム。
【0193】
((((1))))の情報処理システムによれば、電力が供給される加熱部を有する情報処理システムにおいて、不具合箇所を自動で出力させることができる。
((((2))))の情報処理システムによれば、温度測定部が一つの温度測定器により温度を測定する場合と比べて、不具合箇所をより特定しやすくなる。
((((3))))の情報処理システムによれば、情報処理システムにおける不具合箇所をユーザがより認知しやすくなる。
((((4))))の情報処理システムによれば、情報処理システムが正常に動作していることをユーザがより認知しやすくなる。
((((5))))の情報処理システムによれば、加熱部の状態をプロセッサが判断する情報処理システムにおいて、不具合箇所を自動で出力させることができる。
((((6))))の情報処理システムによれば、加熱部に供給される電力を一括で測定して判断する場合と比べて、プロセッサが加熱部又は電源に異常が発生したと判断することができる。
((((7))))の情報処理システムによれば、加熱部の状態をプロセッサが判断する情報処理システムにおいて、不具合箇所を自動で出力させることができる。
((((8))))の情報処理システムによれば、プロセッサが第一閾値のみで異常を判断する場合と比べて、漏電の異常が発生したことをより速やかに判断することができる。
((((9))))の情報処理システムによれば、異常が発生した場合に通知を行わない情報処理システムと比べて、ユーザが異常を認識することができる。
((((10))))の情報処理システムによれば、異常が発生した場合に電力の供給が続けられる情報処理システムと比べて、より安全になる。
((((11))))の画像形成システムによれば、画像形成システム中の劣化や故障の箇所を自動で出力させることができる。
【符号の説明】
【0194】
10 画像形成装置
12 画像形成部
14 収容部
16 搬送装置
18 排出部
20 トナー像形成部
30 転写装置
31 転写ベルト
34 二次転写部
40 制御部
42 電気回路
44 情報処理システム
48 継電器
49 報知部
50 制御装置
51 CPU
54 ストレージ
59 バス
60 搬送機構
62 送出ロール
64 搬送ロール
66 チェーングリッパ
72 チェーン
76 グリッパ
80 反転機構
90 冷却部
100 定着装置
102 加熱部
104 反射板
106 ヒータ
112 金網
120 定着ユニット
130 加熱ロール
140 加圧ロール
150 従動ロール
160 送風装置
161 ファン
180 送風板
200 温度測定部
202 熱電対
202A 第一熱電対
202B 第二熱電対
204 アンプ
206 AD変換器
208 電力測定部