(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024137526
(43)【公開日】2024-10-07
(54)【発明の名称】導電性部材、帯電装置、プロセスカートリッジ、及び画像形成装置
(51)【国際特許分類】
G03G 15/02 20060101AFI20240927BHJP
G03G 15/00 20060101ALI20240927BHJP
G03G 21/18 20060101ALI20240927BHJP
【FI】
G03G15/02 101
G03G15/00 551
G03G21/18 114
【審査請求】未請求
【請求項の数】12
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023049075
(22)【出願日】2023-03-24
(71)【出願人】
【識別番号】000005496
【氏名又は名称】富士フイルムビジネスイノベーション株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110001519
【氏名又は名称】弁理士法人太陽国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】山腰 健太
(72)【発明者】
【氏名】川畑 幸美
【テーマコード(参考)】
2H171
2H200
【Fターム(参考)】
2H171FA02
2H171FA11
2H171FA24
2H171FA25
2H171FA26
2H171FA27
2H171JA23
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2H171TB13
2H171UA02
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2H171VA02
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2H171VA06
2H200HA01
2H200HB12
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2H200HB45
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2H200MA17
2H200MB01
2H200MB04
2H200MC03
2H200MC11
2H200MC15
(57)【要約】
【課題】機械的強度を保ちつつ、色筋の発生を抑制する導電性部材の提供。
【解決手段】基材と、前記基材上に設けられた弾性層と、前記弾性層上に設けられた表面層と、を備え、前記表面層は、第1樹脂を含んで構成される海部と第2樹脂を含んで構成される島部とからなる海島構造を有すると共に、導電剤を含み、前記表面層の断面を観察したとき、前記表面層の表面から膜厚の20%の深さまでの領域Aにおける前記島部の面積率Aが25%以上45%以下である導電性部材。
【選択図】
図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
基材と、
前記基材上に設けられた弾性層と、
前記弾性層上に設けられた表面層と、
を備え、
前記表面層は、第1樹脂を含んで構成される海部と第2樹脂を含んで構成される島部とからなる海島構造を有すると共に、導電剤を含み、
前記表面層の断面を観察したとき、前記表面層の表面から膜厚の20%の深さまでの領域Aにおける前記島部の面積率Aが25%以上45%以下である導電性部材。
【請求項2】
前記島部の面積率Aが30%以上40%以下である請求項1に記載の導電性部材。
【請求項3】
前記表面層の断面を観察したとき、前記表面層の表面から膜厚の20%よりも深い領域Bにおける前記島部の面積率Bが40%以上50%以下である請求項1に記載の導電性部材。
【請求項4】
前記島部の面積率Bが45%以上50%以下である請求項3に記載の導電性部材。
【請求項5】
前記島部の面積率Aと前記島部の面積率Bとの差分が、絶対値で15%以内である請求項1に記載の導電性部材。
【請求項6】
前記島部の面積率Aと前記島部の面積率Bとの差分が、絶対値で10%以内である請求項5に記載の導電性部材。
【請求項7】
平均電流値が1.0×106μA以上である請求項1に記載の導電性部材。
【請求項8】
前記表面層の外周面の表面粗さRzが8.0μm以下である請求項1に記載の導電性部材。
【請求項9】
前記表面層の断面を観察したとき、前記表面層の表面から膜厚の20%よりも深い領域Bにおける前記島部の面積率Bが40%以上50%以下であり、
前記島部の面積率Aと前記島部の面積率Bとの差分が、絶対値で15%以内である請求項1に記載の導電性部材。
【請求項10】
請求項1~請求項9のいずれか1項に記載の導電性部材を備える帯電装置。
【請求項11】
請求項10に記載の帯電装置を備え、
画像形成装置に着脱されるプロセスカートリッジ。
【請求項12】
像保持体と、
前記像保持体の表面を帯電する請求項10に記載の帯電装置と、
帯電した前記像保持体の表面に静電潜像を形成する静電潜像形成装置と、
トナーを含む現像剤により、前記像保持体の表面に形成された静電潜像を現像してトナー像を形成する現像装置と、
前記トナー像を記録媒体の表面に転写する転写装置と、
を備える画像形成装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、導電性部材、帯電装置、プロセスカートリッジ、及び画像形成装置に関する。
【背景技術】
【0002】
特許文献1には、「基材と、基材上に配置される弾性層と、前記弾性層上に配置され、第1樹脂を含んで構成される海部と第2樹脂を含んで構成される島部とからなる海島構造を有すると共に、少なくとも前記島部の内部にカーボンブラックを含む表面層と、を有する導電性部材。」が提案されている。
特許文献2には、「基材と、前記基材上に設けられた弾性層と、前記弾性層上に設けられた表面層と、を備え、前記表面層が、少なくとも第1樹脂及び導電剤を含む海部と少なくとも第2樹脂を含む島部とからなる海島構造を有し、前記島部の平均径が、100nm以上且つ前記表面層の層厚の10分の1以下であり、前記海部に含まれる前記導電剤が、前記海部と前記島部との界面付近に偏在している、導電性部材。」が提案されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2011-022410号公報
【特許文献2】特開2017-15952号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
本発明の課題は、基材と、基材上に設けられた弾性層と、弾性層上に設けられた表面層と、を備え、表面層が、第1樹脂を含んで構成される海部と第2樹脂を含んで構成される島部とからなる海島構造を有すると共に、導電剤を含む導電性部材において、表面層の断面を観察したとき、表面層の表面から膜厚の20%の深さまでの領域Aにおける島部の面積率Aが25%未満又は45%超えである場合に比べ、機械的強度を保ちつつ、色筋の発生を抑制する導電性部材を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0005】
前記課題を解決するための具体的手段には、下記の態様が含まれる。
<1>
基材と、
前記基材上に設けられた弾性層と、
前記弾性層上に設けられた表面層と、
を備え、
前記表面層は、第1樹脂を含んで構成される海部と第2樹脂を含んで構成される島部とからなる海島構造を有すると共に、導電剤を含み、
前記表面層の断面を観察したとき、前記表面層の表面から膜厚の20%の深さまでの領域Aにおける前記島部の面積率Aが25%以上45%以下である導電性部材。
<2>
前記島部の面積率Aが30%以上40%以下である<1>に記載の導電性部材。
<3>
前記表面層の断面を観察したとき、前記表面層の表面から膜厚の20%よりも深い領域Bにおける前記島部の面積率Bが40%以上50%以下である<1>又は<2>に記載の導電性部材。
<4>
前記島部の面積率Bが45%以上50%以下である<3>に記載の導電性部材。
<5>
前記島部の面積率Aと前記島部の面積率Bとの差分が、絶対値で15%以内である<1>~<4>のいずれか1項に記載の導電性部材。
<6>
前記島部の面積率Aと前記島部の面積率Bとの差分が、絶対値で10%以内である<5>に記載の導電性部材。
<7>
平均電流値が1.0×106μA以上である<1>~<6>のいずれか1項に記載の導電性部材。
<8>
前記表面層の外周面の表面粗さRzが8.0μm以下である<1>~<7>のいずれか1項に記載の導電性部材。
<9>
前記表面層の断面を観察したとき、前記表面層の表面から膜厚の20%よりも深い領域Bにおける前記島部の面積率Bが40%以上50%以下であり、
前記島部の面積率Aと前記島部の面積率Bとの差分が、絶対値で15%以内である<1>~<8>のいずれか1項に記載の導電性部材。
<10>
<1>~<9>のいずれか1項に記載の導電性部材を備える帯電装置。
<11>
<10>に記載の帯電装置を備え、
画像形成装置に着脱されるプロセスカートリッジ。
<12>
像保持体と、
前記像保持体の表面を帯電する<10>に記載の帯電装置と、
帯電した前記像保持体の表面に静電潜像を形成する静電潜像形成装置と、
トナーを含む現像剤により、前記像保持体の表面に形成された静電潜像を現像してトナー像を形成する現像装置と、
前記トナー像を記録媒体の表面に転写する転写装置と、
を備える画像形成装置。
【発明の効果】
【0006】
<1>に係る発明によれば、基材と、基材上に設けられた弾性層と、弾性層上に設けられた表面層と、を備え、表面層が、第1樹脂を含んで構成される海部と第2樹脂を含んで構成される島部とからなる海島構造を有すると共に、導電剤を含む導電性部材において、表面層の断面を観察したとき、表面層の表面から膜厚の20%の深さまでの領域Aにおける第2樹脂を含んで構成される島部の面積率Aが25%未満又は45%超えである場合に比べ、機械的強度を保ちつつ、色筋の発生を抑制する導電性部材が提供される。
<2>に係る発明によれば、島部の面積率Aが30%未満又は40%超えである場合に比べ、機械的強度を保ちつつ、色筋の発生を抑制する導電性部材が提供される。
<3>に係る発明によれば、表面層の断面を観察したとき、表面層の表面から膜厚の20%よりも深い領域Bにおける島部の面積率Bが40%未満又は50%超えである場合に比べ、機械的強度を保ちつつ、色筋の発生を抑制する導電性部材が提供される。
<4>に係る発明によれば、島部の面積率Bが45%未満又は50%超え場合に比べ、機械的強度を保ちつつ、色筋の発生を抑制する導電性部材が提供される。
【0007】
<5>に係る発明によれば、島部の面積率Aと島部の面積率Bとの差分が、絶対値で15%超えである場合に比べ、機械的強度を保ちつつ、色筋の発生を抑制する導電性部材が提供される。
<6>に係る発明によれば、島部の面積率Aと島部の面積率Bとの差分が、絶対値で10%超えである場合に比べ、機械的強度を保ちつつ、色筋の発生を抑制する導電性部材が提供される。
【0008】
<7>に係る発明によれば、平均電流値が1.0×106μA未満である場合に比べ、機械的強度を保ちつつ、色筋の発生を抑制する導電性部材が提供される。
<8>に係る発明によれば、基材と、基材上に設けられた弾性層と、弾性層上に設けられた表面層と、を備え、表面層が、第1樹脂を含んで構成される海部と島部とからなる海島構造を有すると共に、導電剤を含む導電性部材において、表面層の断面を観察したとき、表面層の表面から膜厚の20%の深さまでの領域Aにおける島部の面積率Aが25%未満又は45%超えである場合に比べ、表面層の外周面の表面粗さRzが5.0以上であっても8.0μm以下であれば、かぶりの発生を抑制する導電性部材が提供される。
<9>に係る発明によれば、表面層の断面を観察したとき、表面層の表面から膜厚の20%よりも深い領域Bにおける島部の面積率Bが40%未満又は50%超えである場合、又は、平均電流値が1.0×106μA未満である場合に比べ、機械的強度を保ちつつ、色筋の発生を抑制する導電性部材が提供される。
【0009】
<10>、<11>又は<12>に係る発明によれば、表面層が、第1樹脂を含んで構成される海部と島部とからなる海島構造を有すると共に、導電剤を含む導電性部材において、表面層の断面を観察したとき、表面層の表面から膜厚の20%の深さまでの領域Aにおける島部の面積率Aが25%未満又は45%超えである導電性部材を備える場合に比べ、色筋の発生を抑制する帯電装置、プロセスカートリッジ又は画像形成装置が提供される。
【図面の簡単な説明】
【0010】
【
図1】本実施形態に係る導電性部材の一例を示す概略斜視図である。
【
図2】本実施形態に係る導電性部材の一例を示す概略断面図であり、
図1のA-A断面図である。
【
図3】本実施形態に係る画像形成装置の一例を示す概略構成図である。
【発明を実施するための形態】
【0011】
以下、本発明の一例である実施形態について説明する。これらの説明および実施例は、実施形態を例示するものであり、発明の範囲を制限するものではない。
本明細書中に段階的に記載されている数値範囲において、一つの数値範囲で記載された上限値又は下限値は、他の段階的な記載の数値範囲の上限値又は下限値に置き換えてもよい。また、本明細書中に記載されている数値範囲において、その数値範囲の上限値又は下限値は、実施例に示されている値に置き換えてもよい。
【0012】
各成分は該当する物質を複数種含んでいてもよい。
組成物中の各成分の量について言及する場合、組成物中に各成分に該当する物質が複数種存在する場合には、特に断らない限り、組成物中に存在する当該複数種の物質の合計量を意味する。
【0013】
<導電性部材>
本実施形態に係る導電性部材は、基材と、基材上に設けられた弾性層と、弾性層上に設けられた表面層と、を備える。
また、表面層は、第1樹脂を含んで構成される海部と第2樹脂を含んで構成される島部とからなる海島構造を有すると共に、導電剤を含み、表面層の断面を観察したとき、表面層の表面から膜厚の20%の深さまでの領域Aにおける第2樹脂を含んで構成される島部の面積率Aが25%以上45%以下である。
【0014】
本実施形態に係る導電性部材は、上記構成により、機械的強度を保ちつつ、色筋の発生を抑制する。その理由は、次の通り推測される。
【0015】
基材と、基材上に設けられた弾性層と、弾性層上に設けられた表面層と、を備え、表面層が、第1樹脂を含んで構成される海部と第2樹脂を含んで構成される島部とからなる海島構造を有すると共に、導電剤を含む導電性部材が知られている。
しかし、表面層を形成するとき、塗膜の表層から早く乾燥するため、表面層の表層の島部の割合が低下する。これは、2種の樹脂が層分離し、海島構造を形成するために必要となる時間を充分に確保できていないためと考えられるためである。
表面層の表層の島部の割合が低いと、表面層の表層に電流が流れに難く、導電性部材としての導電性が低い傾向がある。その結果、導電性部材を帯電部材として使用すると、色筋が発生することがある。一方、表層に電流が流れ易くするために、表面層の第2の樹脂量を過度に増やすと、表層の機械的強度が低下する。
【0016】
それに対して、本実施形態に係る導電性部材では、表面層の断面を観察したとき、表面層の表面から膜厚の20%の深さまでの領域Aにおける島部の面積率Aが25%以上45%以下とする。それにより、表層に適度な割合で、島部が存在し、機械的強度を保ちつつ、電流が流れ易くなる。
【0017】
以上から、本実施形態に係る導電性部材は、機械的強度を保ちつつ、色筋の発生を抑制すると推測される。
【0018】
以下、本実施形態に係る導電性部材について詳細に説明する。
【0019】
図1は、本実施形態に係る導電性部材の一例を示す概略斜視図である。
図2は、本実施形態に係る導電性部材の一例の概略断面図である。
図2は、
図1のA-A断面図である。
【0020】
本実施形態に係る導電性部材121Aは、
図1及び
図2に示すように、例えば、シャフト30(基材の一例)と、シャフト30の外周面に配設された弾性層31と、弾性層31の外周面に配設された表面層32と、を有するロール状部材である。
【0021】
以下、本実施形態に係る導電性部材の各構成要素について詳細に説明する。ただし、各構成要素に付した符号については省略することがある。
【0022】
(基材)
基材は、導電性の円筒状又は円柱状の部材であり、ここで導電性とは、体積抵抗率が1013Ωcm未満を意味する。
【0023】
基材の材質としては例えば、鉄(快削鋼等)、銅、真鍮、ステンレス、アルミニウム、ニッケル等の金属が挙げられる。基材としては、外周面にメッキ処理を施した部材(例えば樹脂やセラミック部材)、導電剤が分散された部材(例えば樹脂やセラミック部材)等も挙げられる。
【0024】
(弾性層)
弾性層は、例えば、弾性材料と導電剤とその他添加剤とを含む。
【0025】
弾性材料としては、イソプレンゴム、クロロプレンゴム、エピクロルヒドリンゴム、ブチルゴム、ポリウレタン、シリコーンゴム、フッ素ゴム、スチレン-ブタジエンゴム、ブタジエンゴム、ニトリルゴム、エチレンプロピレンゴム、エピクロルヒドリン-エチレンオキシド共重合ゴム、エピクロルヒドリン-エチレンオキシド-アリルグリシジルエーテル共重合ゴム、エチレン-プロピレン-ジエン3元共重合ゴム(EPDM)、アクリロニトリル-ブタジエン共重合ゴム(NBR)、天然ゴム、これらのブレンドゴムが挙げられる。中でも、ポリウレタン、シリコーンゴム、EPDM、エピクロルヒドリン-エチレンオキシド共重合ゴム、エピクロルヒドリン-エチレンオキシド-アリルグリシジルエーテル共重合ゴム、NBR、これらのブレンドゴムがましい。これらの弾性材料は、発泡したものであっても無発泡のものであってもよい。
【0026】
導電剤としては、電子導電剤やイオン導電剤が挙げられる。電子導電剤としては、ケッチェンブラック、アセチレンブラック等のカーボンブラック;熱分解カーボン、グラファイト;アルミニウム、銅、ニッケル、ステンレス鋼等の導電性金属又は合金;酸化スズ、酸化インジウム、酸化チタン、酸化スズ-酸化アンチモン固溶体、酸化スズ-酸化インジウム固溶体等の導電性金属酸化物;絶縁物質の表面を導電化処理した物;などの粉末が挙げられる。イオン導電剤としては、テトラエチルアンモニウム、ラウリルトリメチルアンモニウム等のオニウム類の過塩素酸塩又は塩素酸塩;リチウム、マグネシウム等のアルカ
リ金属又はアルカリ土類金属の過塩素酸塩又は塩素酸塩;などが挙げられる。導電剤は、1種を単独で用いてもよく、2種以上を組み合わせて用いてもよい。
【0027】
カーボンブラックとしては、具体的には、オリオンエンジニアドカーボンズ社製「スペシャルブラック350」、同「スペシャルブラック100」、同「スペシャルブラック250」、同「スペシャルブラック5」、同「スペシャルブラック4」、同「スペシャルブラック4A」、同「スペシャルブラック550」、同「スペシャルブラック6」、同「カラーブラックFW200」、同「カラーブラックFW2」、同「カラーブラックFW2V」、キャボット社製「MONARCH880」、同「MONARCH1000」、同「MONARCH1300」、同「MONARCH1400」、同「MOGUL-L」、同「REGAL400R」等が挙げられる。
【0028】
導電剤の配合量は、特に制限はないが、電子導電剤の場合は、弾性材料100質量部に対して、1質量部以上30質量部以下の範囲であることが望ましく、15質量部以上25質量部以下の範囲であることがより好ましい。イオン導電剤の場合は、弾性材料100質量部に対して、0.1質量部以上5.0質量部以下の範囲であることが望ましく、0.5質量部以上3.0質量部以下の範囲であることがより好ましい。
【0029】
弾性層に配合されるその他添加剤としては、例えば、軟化剤、可塑剤、硬化剤、加硫剤、加硫促進剤、酸化防止剤、界面活性剤、カップリング剤、充填剤(シリカ、炭酸カルシウム等)等の弾性層に配合され得る通常の材料が挙げられる。
【0030】
弾性層の層厚は、平均で1mm以上15mm以下程度が望ましく、2mm以上10mm以下程度がより好ましい。
弾性層の体積抵抗率は103Ωcm以上1014Ωcm以下が好ましい。
【0031】
(表面層)
-表面層の組成-
表面層は、第1樹脂を含んで構成される海部と第2樹脂を含んで構成される島部とからなる海島構造を有すると共に、導電剤を含む。
ここで「海島構造」とは、少なくとも2種類の樹脂が互いに非相溶の状態で混在し、連続相である海部の中に分散相である島部が含まれる構造を意味する。
【0032】
海島構造は、第1樹脂と第2樹脂との溶解度パラメータ(SP値)の差、及び、第1樹脂と第2樹脂との混合比を調整することで形成される。第1樹脂と第2樹脂とのSP値差は、海島構造が形成されやすい観点から、2以上10以下が好ましい。
第1樹脂と第2樹脂との混合比は、については後述する。
【0033】
溶解度パラメータ(SP値)の計算方法は「ポリマーハンドブック第4版John Wiley & Sons」VII680~683に記載されている方法である。主な樹脂の溶解度パラメータは上記文献のVII702~711に記載されている。
【0034】
第1樹脂としては、例えば、アクリル樹脂、セルロース樹脂、ポリアミド樹脂、共重合ナイロン、ポリウレタン樹脂、ポリカーボネート樹脂、ポリエステル樹脂、ポリエチレン樹脂、ポリビニル樹脂、ポリアリレート樹脂、スチレンブタジエン樹脂、メラミン樹脂、エポキシ樹脂、ウレタン樹脂、シリコーン樹脂、フッ素樹脂(例えばテトラフルオロエチレンパーフルオロアルキルビニルエーテル共重合体、四フッ化エチレン-六フッ化プロピレン共重合体、ポリフッ化ビニリデン等)、尿素樹脂等が挙げられる。共重合ナイロンは、610ナイロン、11ナイロン及び12ナイロンのいずれか1種又は複数種を重合単位
として含む共重合体であり、他の重合単位として6ナイロン、66ナイロン等を含んでもよい。第1樹脂としては、弾性層に配合される弾性材料を適用してもよい。第1樹脂として、樹脂1種を単独で用いてもよく、樹脂2種以上を組み合わせて用いてもよい。
【0035】
第1樹脂は、表面層の電気特性、又は汚染への耐性;弾性層上に表面層が設けられることから表面層の適度な硬度、又は維持性;分散液を用いて表面層を形成する場合の導電剤の分散適性又は塗膜形成性;等の観点から、ポリアミド樹脂(例えば、ナイロン)が好ましく、メトキシメチル化ポリアミド樹脂(例えば、メトキシメチル化ナイロン)がより好ましい。
【0036】
第2樹脂としては、例えば、ポリビニルブチラール樹脂、ポリスチレン樹脂、ポリビニルアルコール等が挙げられる。第2樹脂として、樹脂1種を単独で用いてもよく、樹脂2種以上を組み合わせて用いてもよい。
【0037】
第2樹脂は、表面層の電気特性、又は汚染への耐性;弾性層上に表面層が設けられることから表面層の適度な硬度、又は維持性;分散液を用いて表面層を形成する場合の導電剤の分散適性又は塗膜形成性;等の観点から、ポリビニルブチラール樹脂であることが好ましい。
【0038】
導電剤としては、電子導電剤、及びイオン導電剤が挙げられる。電子導電剤としては、ケッチェンブラック、アセチレンブラック等のカーボンブラック;熱分解カーボン、グラファイト;アルミニウム、銅、ニッケル、ステンレス鋼等の導電性金属又は合金;酸化スズ、酸化インジウム、酸化チタン、酸化スズ-酸化アンチモン固溶体、酸化スズ-酸化インジウム固溶体等の導電性金属酸化物;絶縁物質の表面を導電化処理した物;などの粉末が挙げられる。イオン導電剤としては、テトラエチルアンモニウム、ラウリルトリメチルアンモニウム等のオニウム類の過塩素酸塩又は塩素酸塩;リチウム、マグネシウム等のアルカリ金属又はアルカリ土類金属の過塩素酸塩又は塩素酸塩;などが挙げられる。導電剤は、1種を単独で用いてもよく、2種以上を組み合わせて用いてもよい。
【0039】
導電剤としては、カーボンブラックが好適である。
導電剤としてカーボンブラックを用いることで、画像を形成した際に発生する軸方向の色筋の発生を抑制する導電性部材に更になりやすくなる。その理由は、次の通り推測される。
カーボンブラックはカーボンブラック以外の導電剤と比較して、表面層の島部の領域付近に更に偏在しやすくなる。そのため、島部の面積占有率が10%以上45%以下とし、又は島部の直径を100nm以上750nm以下とすることで、表面層における導電経路を増やす効果が更に高まる。
以上のことから、導電剤としてカーボンブラックを用いることで、画像を形成した際に発生する軸方向の色筋の発生を抑制する導電性部材に更になりやすくなると推測される。
【0040】
カーボンブラックとしては、ケッチェンブラック、アセチレンブラック、pH5以下の酸化処理カーボンブラック等が挙げられる。より具体的には、オリオンエンジニアドカーボンズ社製「スペシャルブラック350」、同「スペシャルブラック100」、同「スペシャルブラック250」、同「スペシャルブラック5」、同「スペシャルブラック4」、同「スペシャルブラック4A」、同「スペシャルブラック550」、同「スペシャルブラック6」、同「カラーブラックFW200」、同「カラーブラックFW2」、同「カラーブラックFW2V」、キャボット社製「MONARCH880」、同「MONARCH1000」、同「MONARCH1300」、同「MONARCH1400」、同「MOGUL-L」、同「REGAL400R」等が挙げられる。
【0041】
カーボンブラックの平均粒径は15nm以上30nm以下であることが好ましく、15nm以上25nm以下であることがより好ましく、15nm以上20nm以下であることが更に好ましい。
カーボンブラックの平均粒径を15nm以上30nm以下とすることで、画像を形成した際に発生する軸方向の色筋の発生を抑制する導電性部材に更になりやすくなる。その理由は、次の通り推測される。
カーボンブラックの平均粒径を15nm以上30nm以下とすることで、カーボンブラック同士がより密となって表面層の島部の領域付近に偏在しやすくなる。そのため、導電剤間で電流が更に流れやすくなる。これにより、島部の面積占有率が10%以上45%以下とし、又は島部の直径を100nm以上750nm以下とすることで、表面層における導電経路を増やす効果が更に高まる。
以上のことから、画像を形成した際に発生する軸方向の色筋の発生を抑制する導電性部材に更になりやすくなると推測される。
【0042】
カーボンブラックの平均粒径は、TEM(透過型電子顕微鏡)により測定される値である。
測定方法は以下の通りである。
まず、表面層をミクロトームにより切断し、得られた断面をTEM(透過型電子顕微鏡)により観察する。カーボンブラックの粒子50個の各々の投影面積に等しい円の直径を粒径とし、その平均値を平均粒径とする。
【0043】
導電剤の含有量は、第1樹脂と第2樹脂との合計100質量部に対して、10質量部以上15質量部以下であることが好ましい。
【0044】
導電剤の含有量を、第1樹脂と第2樹脂との合計100質量部に対して、10質量部以上15質量部以下とすることで、画像を形成した際に発生する軸方向の色筋の発生を抑制する導電性部材に更になりやすくなる。その理由は、次の通り推測される。
導電剤の含有量を、第1樹脂と第2樹脂との合計100質量部に対して、10質量部以上とすることで、表面層に含まれる導電剤の量が多くなる。導電剤同士が近接した状態をとりやすくなり、導電剤間で電流が更に流れやすくなる。これにより、島部の面積占有率が10%以上45%以下とし、又は島部の直径を100nm以上750nm以下とすることで、表面層における導電経路を増やす効果が更に高まる。
導電剤の含有量を、第1樹脂と第2樹脂との合計100質量部に対して、15質量部以下とすることで、表面層に含まれる海部全体に導電剤が点在しにくくなり、導電経路が分散して導電効果が低下することが抑制される。
以上のことから、画像を形成した際に発生する軸方向の色筋の発生を抑制する導電性部材に更になりやすくなると推測される。
【0045】
第2樹脂の含有量が、第1樹脂と第2樹脂との合計100質量部に対して、10質量部以上30質量部以下であることが好ましく、15質量部以上25質量部以下であることがより好ましく、20質量部以上25質量部以下であることが更に好ましい。
【0046】
第2樹脂の含有量を、第1樹脂と第2樹脂との合計100質量部に対して、10質量部以上30質量部以下とすることで、画像を形成した際に発生する軸方向の色筋の発生を抑制し、かつ繰返し変形しても割れにくい表面層を有する導電性部材に更になりやすくなる。その理由は、次の通り推測される。
第2樹脂の含有量を、第1樹脂と第2樹脂との合計100質量部に対して、10質量部以上とすることで、島部の面積占有率及び島部の直径が好ましい数値範囲になりやすくなる。そのため、表面層における導電経路が更に増えやすくなる。また第2樹脂の含有量を、表面層全体に対して、30質量部以下とすることで、島部と海部との界面で生じる亀裂
に起因する表面層の割れがより抑制される。これにより、更に繰返し変形しても割れにくい表面層を有する導電性部材となる。
以上のことから、画像を形成した際に発生する軸方向の色筋の発生を抑制し、かつ繰返し変形しても割れにくい表面層を有する導電性部材に更になりやすくなると推測される。
【0047】
第2樹脂の含有量が、第1樹脂100質量部に対して、11質量部以上43質量部以下であることが好ましく、15質量部以上35質量部以下であることがより好ましく、20質量部以上35質量部以下であることが更に好ましい。
【0048】
第2樹脂の含有量を、第1樹脂100質量部に対して、11質量部以上43質量部以下とすることで、画像を形成した際に発生する軸方向の色筋の発生を抑制し、かつ繰返し変形しても割れにくい表面層を有する導電性部材に更になりやすくなる。その理由は、次の通り推測される。
第2樹脂の含有量を、第1樹脂100質量部に対して、11質量部以上43質量部以下とすることで、海島構造を形成しやすくなり、かつ島部の面積占有率及び島部の直径が好ましい数値範囲になりやすくなる。そのため、表面層における導電経路が更に増えやすくなり、かつ、島部と海部との界面で生じる亀裂に起因する表面層の割れが更に抑制される。
以上のことから、画像を形成した際に発生する軸方向の色筋の発生を抑制し、かつ繰返し変形しても割れにくい表面層を有する導電性部材に更になりやすくなると推測される。
【0049】
色筋抑制及び耐割れ性の観点から、第1樹脂及び第2樹脂の合計の含有量は、表面層全体に対して、50質量%以上95質量%以下であることが好ましく、60質量%以上90質量%以下であることがより好ましく、70質量%以上85質量%以下であることが更に好ましい。
【0050】
-島部の面積率-
表面層の断面を観察したとき、表面層の表面から膜厚の20%の深さまでの領域Aにおける島部の面積率Aは、25%以上45%以下である。機械的強度低下抑制及び色筋の発生抑制の観点から、島部の面積率Aは、30%以上40%以下が好ましく、35%以上40%以下がより好ましい。
【0051】
表面層全体の島部の面積率が適度な範囲となることで、機械的強度を保ちつつ、色筋の発生が抑制され易くなる。
そのため、表面層の断面を観察したとき、表面層の表面から膜厚の20%よりも深い領域Bにおける島部の面積率Bは、械的強度低下抑制及び色筋の発生抑制の観点から、40%以上50%以下が好ましく、42.5%以上50%以下がより好ましく、45以上50%以下が更に好ましい。
また、島部の面積率Aと島部の面積率Bとの差分は、械的強度低下抑制及び色筋の発生抑制の観点から、絶対値で15%以内が好ましく、10%以内がより好ましく、5%以内がさらに好ましい。
【0052】
島部の面積率は、以下の通り測定される値である。
クライオミクロトーム法により、厚さ方向に切った表面層の切片試料を調製する。この切片試料のうち、クライオミクロトーム法によって切断した表面層の切断面を走査型電子顕微鏡により観察する。
そして、観察画像において、表面層の表面から膜厚の20%の深さまでの領域Aに該当する領域の面積、及び領域Aにおける島部の面積を測定する。領域Aに該当する領域の面積に対する領域Aにおける島部の面積の割合を、島部の面積率Aとして算出する。
同様に、表表面層の表面から膜厚の20%よりも深い領域Bに該当する領域の面積、及び領域Bにおける島部の面積を測定し、領域Bに該当する領域の面積に対する領域Bにおける島部の面積の割合を、島部の面積率Bとして算出する。
【0053】
-島部の直径-
本実施形態に係る導電性部材は、表面層の断面(領域A及び領域Bのいずれの断面)における島部の直径は、100nm以上750nm以下が好ましく、150nm以上650nm以下がより好ましく、200nm以上600nm以下が更に好ましく、300nm以上400nm以下が特に好ましい。
【0054】
島部の直径は、以下の通り測定される値である。
クライオミクロトーム法により、厚さ方向に切った表面層の切片試料を調製する。この切片試料のうち、クライオミクロトーム法によって切断した表面層の切断面を走査型電子顕微鏡により観察する。島部を任意に10個選択する。10個の島部それぞれについて、島部の輪郭線上の任意の2点に引いた最大の長さ(いわゆる長径)を測定し、10個の長径の平均値を島部の直径(nm)とする。
【0055】
-表面層の外周面の表面粗さRz-
表面層の外周面の表面粗さRzは、8.0μm以下であってもよい。
従来、表面層の外周面の表面粗さRzが5.0μmを超えると、かぶりが発生し易くなる。しかし、本実施形態に係る導電性部材は、表面層の外周面の表面粗さRzは、5.0μmを超えても、8.0μm以下であれば、かぶりの発生が抑制される。
【0056】
表面粗さRzは、温度23℃且つ相対湿度55%の環境下において、接触式表面粗さ測定装置(サーフコム570A、(株)東京精密製)と、先端がダイヤモンド(5μmR、90°円錐)の接触針を用いて測定する。測定距離は2.5mmであり、測定部位は、放電領域の末端から5mmの位置から7.5mmの位置までである。ロール状の帯電部材の周方向に90度きざみで4箇所かつ放電領域の両端を測定し、合計8箇所の平均値を算出する。
【0057】
-表面層の層厚-
表面層の層厚は、3μm以上25μm以下が好ましく、5μm以上20μm以下がより好ましく、6μm以上15μm以下が更に好ましい。
【0058】
表面層の層厚は、表面層を厚さ方向に切断し、得られた断面を光学顕微鏡にて観測することで測定する。
【0059】
(導電性部材の平均電流値)
本実施形態に係る導電性部材の平均電流値は、色筋の発生抑制の観点から、1.0×106μA以上が好ましく、1.5×106μA以上がより好ましく、2.0×106μA以上が更に好ましい。
ただし、電流リークの観点から、導電性部材の平均電流値は、例えば、5.0×106μA以下がよい。
【0060】
平均電流値の測定方法は、次の通りである。
導電性部材を温度23±2℃且つ相対湿度50±5%の環境に24時間以上置いた後、同環境下で測定を行った。測定箇所は、導電性部材の軸方向に3箇所(両端近傍と中央部)かつ周方向に90°刻みで4箇所の合計12箇所とし、各測定箇所の測定範囲は、表面層の外周面において50μm×50μmの正方形(二辺が導電性部材の軸方向に平行な正方形)とした。先端直径20nmの円錐形探針(タングステン製)を表面層の外周面に接触させ、基材との間に3V印加し、円錐形探針を導電性部材の軸方向に速度1μm/secで移動させ電流値を測定した。円錐形探針を導電性部材の周方向にずらして該測定を繰り返し、50μm四方の領域全体の電流値を測定した。
上記の測定によって、50μm四方の範囲に流れる総電流量を求め、全測定箇所(12箇所)の総電流量を平均し、平均電流値(μA)とした。
【0061】
(導電性部材の製造方法)
本実施形態に係る導電性部材の製造方法の一例について以下に記載する。
円筒状又は円柱状の基材の外周面に弾性層が設けられたロール状部材を用意する。本ロール状部材の製造方法は、特に限定されない。例えば、ゴム材料と、必要に応じて、導電剤と、その他の添加剤とを含む混合物を基材に巻き付け、加熱し加硫させて弾性層を形成する製造方法が挙げられる。
【0062】
弾性層の外周面に表面層を設ける方法は、特に限定されないが、溶剤に第1樹脂、第2樹脂及び導電剤を溶解及び分散した分散液を弾性層の外周面に塗布し、塗布した前記分散液を乾燥させて設けることが好ましい。前記分散液の塗布方法としては、例えば、ブレード塗布法、マイヤーバー塗布法、スプレー塗布法、浸漬塗布法、ビード塗布法、エアーナ
イフ塗布法、カーテン塗布法等が挙げられる。
そして、分散液を弾性層の外周面に塗布し、塗布した前記分散液を乾燥させる工程における環境の露点を、12℃以上18℃以下とすることで、本実施形態に係る導電性部材が得られる。なお、通常、塗布した前記分散液を乾燥させる工程における環境の露点は5℃程度である。
【0063】
(導電性部材の用途)
本実施形態に係る導電性部材は、例えば、電子写真複写機、静電プリンター等における像保持体上の表面を帯電するための帯電ロール、像保持体上に形成されたトナー像を転写媒体に転写するための転写ロール、像保持体上にトナーを搬送するためのトナー搬送ロール、用紙を静電搬送させる導電ベルトと組み合わせて給電又は駆動するための導電ロール、像保持体上のトナーを除去するためのクリーニングロール等に使用される。また、インクジェット方式の画像形成装置において、インクがインクジェットヘッドから吐出される前の中間転写体を帯電するための給電ロール等に使用される。
【0064】
以上、本実施形態に係る導電性部材としてロール状部材である導電性部材121Aの形態を説明したが、本実施形態に係る導電性部材はこれに限られず、無端ベルト状部材であってもよいし、シート状部材であってもよい。
また、本実施形態に係る導電性部材は、例えば、基材と弾性層との間に配設される接着層(プライマー層)、弾性層と表面層との間に配設される抵抗調整層又は移行防止層、表面層の外側(最表面)に配設されるコーティング層(保護層)を設けた構成であってもよい。
【0065】
<帯電装置、画像形成装置、及び、プロセスカートリッジ>
本実施形態に係る帯電装置は、本実施形態に係る導電性部材を備える。
本実施形態に係る帯電装置は、本実施形態に係る導電性部材を備え、接触帯電方式により像保持体を帯電させる帯電装置であることが好ましい。
上記像保持体に対する前記導電性部材の周方向における接触幅(すなわち、像保持体と導電性部材とが接触している領域における、導電性部材の周方向の幅)は、特に限定されるものではなく、例えば0.5mm以上5mm以下の範囲が挙げられ、1mm以上3mm以下の範囲が好ましい。
【0066】
本実施形態に係るプロセスカートリッジは、例えば、下記構成の画像形成装置に着脱され、像保持体の表面を帯電する帯電装置を備える。そして、帯電装置として、上記本実施形態に係る帯電装置を適用する。
本実施形態に係るプロセスカートリッジは、必要に応じて、例えば、像保持体、帯電した像保持体の表面に静電潜像を形成する静電潜像形成装置、像保持体の表面に形成された潜像をトナーにより現像してトナー像を形成する現像装置、像保持体の表面に形成されたトナー像を記録媒体に転写する転写装置、及び像保持体表面をクリーニングするクリーニング装置からなる群より選択される少なくとも一種を備えていてもよい。
【0067】
本実施形態に係る画像形成装置は、像保持体と、像保持体の表面を帯電する帯電装置と、帯電した像保持体の表面に静電潜像を形成する静電潜像形成装置と、トナーを含む現像剤により、像保持体の表面に形成された静電潜像を現像してトナー像を形成する現像装置と、トナー像を記録媒体の表面に転写する転写装置と、を備える。そして、帯電装置として、上記本実施形態に係る帯電装置を適用する。
【0068】
次に、本実施形態に係る画像形成装置、及びプロセスカートリッジについて図面を参照しつつ説明する。
【0069】
図3は、本実施形態に係る画像形成装置を示す概略構成図である。なお、図中に示す矢印UPは、鉛直方向上方を示している。
【0070】
画像形成装置210は、
図3に示すように、各構成部品が内部に収容される画像形成装
置本体211を備えている。画像形成装置本体211の内部には、用紙等の記録媒体Pが収容される収容部212と、記録媒体Pに画像を形成する画像形成部214と、収容部212から画像形成部214へ記録媒体Pを搬送する搬送部216と、画像形成装置210の各部の動作を制御する制御部220と、が設けられている。また、画像形成装置本体211の上部には、画像形成部214によって画像が形成された記録媒体Pが排出される排出部218が設けられている。
【0071】
画像形成部214は、イエロー(Y)、マゼンタ(M)、シアン(C)、ブラック(K)の各色のトナー像を形成する画像形成ユニット222Y、222M、222C、222K(以下、222Y~222Kと示す)と、画像形成ユニット222Y~222Kで形成されたトナー像が転写される中間転写ベルト224(被転写物の一例)と、画像形成ユニット222Y~222Kで形成されたトナー像を中間転写ベルト224に転写する第1転写ロール226(転写ロールの一例)と、第1転写ロール226によって中間転写ベルト224に転写されたトナー像を中間転写ベルト224から記録媒体Pへ転写する第2転写ロール228(転写部材の一例)と、を備えている。なお、画像形成部214は、上記の構成に限られず、他の構成であってもよく、記録媒体P(転写物の一例)に画像を形成するものであればよい。
ここで、中間転写ベルト224、第1転写ロール226、及び第2転写ロール228からなるユニットが、転写装置の一例に相当する。なお、このユニットは、カートリッジ化されていてもよい(プロセスカートリッジ)。
【0072】
画像形成ユニット222Y~222Kは、水平方向に対して傾斜した状態で、画像形成装置210の上下方向中央部に並んで配置されている。また、画像形成ユニット222Y~222Kは、一方向(例えば、
図3における時計回り方向)へ回転する感光体232(像保持体の一例)をそれぞれ有している。なお、画像形成ユニット222Y~222Kは、同様に構成されているので、
図3において、画像形成ユニット222M、222C、222Kの各部の符号を省略している。
【0073】
各感光体232の周囲には、感光体232の回転方向上流側から順に、感光体232を帯電させる帯電ロール223A(帯電部材の一例)を有する帯電装置223と、帯電装置223によって帯電した感光体232を露光して感光体232に静電潜像を形成する露光装置236(静電潜像形成装置の一例)と、露光装置236によって感光体232に形成された潜像を現像してトナー像を形成する現像装置238と、感光体232に接触して感光体232に残留しているトナーを除去する除去部材(クリーニングブレード等)240と、が設けられている。
【0074】
ここで、感光体232、帯電装置223、露光装置236、現像装置238、及び除去部材240は、ハウジング(筐体)222Aにより一体的に保持されてカートリッジ化されている(プロセスカートリッジ)。
【0075】
露光装置236は、自己走査型のLEDプリントヘッドが適用されている。なお、露光装置236は、光源からポリゴンミラーを介して感光体232を露光する光学系の露光装置であってもよい。
露光装置236は、制御部220から送られた画像信号に基づき潜像を形成するようになっている。制御部220から送られる画像信号としては、例えば、制御部220が外部装置から取得した画像信号がある。
【0076】
現像装置238は、感光体232へ現像剤を供給する現像剤供給体238Aと、現像剤供給体238Aへ付与される現像剤を攪拌しながら搬送する複数の搬送部材238Bと、を備えている。
【0077】
中間転写ベルト224は、環状に形成されると共に、画像形成ユニット222Y~222Kの上側に配置されている。中間転写ベルト224の内周側には、中間転写ベルト224が巻き掛けられる巻掛ロール242・244が設けられている。中間転写ベルト224は、巻掛ロール242・244のいずれかが回転駆動することによって、感光体232と接触しながら一方向(例えば、
図3における反時計回り方向)へ循環移動(回転)するようになっている。なお、巻掛ロール242は、第2転写ロール228に対向する対向ロールとされている。
【0078】
第1転写ロール226は、中間転写ベルト224を挟んで感光体232に対向している。第1転写ロール226と感光体232との間が、感光体232に形成されたトナー像が中間転写ベルト224に転写される第1転写位置とされている。
【0079】
第2転写ロール228は、中間転写ベルト224を挟んで巻掛ロール242に対向している。第2転写ロール228と巻掛ロール242との間が、中間転写ベルト224に転写されたトナー像が記録媒体Pに転写される第2転写位置とされている。
【0080】
搬送部216は、収容部212に収容された記録媒体Pを送り出す送出ロール246と、送出ロール246に送り出された記録媒体Pが搬送される搬送路248と、搬送路248に沿って配置され送出ロール246によって送り出された記録媒体Pを第2転写位置へ搬送する複数の搬送ロール250と、が設けられている。
【0081】
第2転写位置より搬送方向下流側には、画像形成部214によって記録媒体Pに形成されたトナー像を記録媒体Pに定着させる定着装置260が設けられている。
【0082】
定着装置260は、記録媒体P上の画像を加熱する加熱ロール264と、加圧部材の一例としての加圧ロール266と、が設けられている。加熱ロール264の内部には、加熱源264Bを備えててる。
【0083】
定着装置260より搬送方向下流側には、トナー像が定着された記録媒体Pを排出部218へ排出する排出ロール252が設けられている。
【0084】
次に、画像形成装置210における、記録媒体Pへ画像を形成する画像形成動作について説明する。
【0085】
画像形成装置210では、収容部212から送出ロール246によって送り出された記録媒体Pが、複数の搬送ロール250によって第2転写位置へ送り込まれる。
【0086】
一方、画像形成ユニット222Y~222Kでは、帯電装置223によって帯電した感光体232が、露光装置236によって露光されて感光体232に潜像が形成される。その潜像が現像装置238によって現像されて感光体232にトナー像が形成される。画像形成ユニット222Y~222Kで形成された各色のトナー像は、第1転写位置にて中間転写ベルト224に重ねられて、カラー画像が形成される。そして、中間転写ベルト224に形成されたカラー画像が、第2転写位置にて記録媒体Pへ転写される。
【0087】
トナー像が転写された記録媒体Pは、定着装置260へ搬送され、転写されたトナー像が定着装置260により定着される。トナー像が定着された記録媒体Pは、排出ロール252によって排出部218に排出される。以上のように、一連の画像形成動作が行われる。
【0088】
なお、本実施形態に係る画像形成装置210は、上記構成に限られず、例えば、画像形成ユニット222Y~222Kの各感光体232に形成されたトナー像を直接記録媒体Pに転写する直接転写方式の画像形成装置等、周知の画像形成装置を採用してもよい。
【実施例0089】
以下に実施例について説明するが、本発明はこれらの実施例に何ら限定されるものではない。なお、以下の説明において、特に断りのない限り、「部」及び「%」はすべて質量基準である。
【0090】
<実施例1:導電性部材の作製>
(弾性層の形成)
弾性材料(エピクロルヒドリン-エチレンオキシド-アリルグリシジルエーテル共重合ゴム)100質量部に対して、導電剤(カーボンブラック、旭カーボン社製アサヒサーマル)15質量部、弾性層に配合されるその他添加剤として加硫剤(硫黄、200メッシュ。鶴見化学工業社製)1質量部、及び弾性層に配合されるその他添加剤として加硫促進剤(大内新興化学工業社製ノクセラーDM)2.0質量部を加えた混合物を、オープンロールで混練りし、弾性層形成用組成物を得た。SUS303を材質とする直径8mmのシャフト(基材)の外周面に、接着層を介して、プレス成形機を用いて弾性層形成用組成物を巻き付け、温度180℃の炉に入れて30分間加熱処理を施し、シャフト上に層厚3.5mmの弾性層を形成した。この弾性層の外周面を研磨して、層厚3.0mmの弾性層を有する直径14mmの導電性弾性ロールを得た。
【0091】
(表面層の形成)
第1樹脂としてポリアミド樹脂(N-メトキシメチル化ナイロン、ナガセケムテックス社製/F30K)76質量部、第2樹脂としてポリビニルブチラール樹脂(エスレックBL-1/積水化学工業社製)24質量部、導電剤としてカーボンブラック(MONARCH1000/キャボット社製)13質量部、フィラーとして多孔質ポリアミドフィラー(Orgasol2001UDNAT1/アルケマ社製)10質量部、酸触媒(NACURE4167/キングインダストリー社製)1.0質量部、レベリング剤(ポリエーテル変性ポリシロキサンとしてポリエーテル変性ポリジメチルシロキサン(BYK307/BYK社製)1質量部からなる組成物15質量部をメタノール85質量部で希釈し、ビーズミルにて分散して分散液を得た。温度24℃、露点15℃環境下において、得られた分散液を導電性弾性ロールの弾性層の外周面に浸漬塗布して風乾乾燥した後、140℃で30分間加熱して架橋させ、厚さ10μmの表面層を形成し、導電性部材を得た。
【0092】
<実施例2~12、比較例1~8>
表面層の形成において、表1に従って、第1樹脂の量(部数)、第2樹脂の量(部数)、レベリング剤の量(部数)、フィラーの量、及び塗布及び乾燥の露点を変更した以外は、実施例1と同様に、導電性部材を得た。
【0093】
表1中の略称は以下の通りである。
-第1樹脂-
・PA1:ポリアミド樹脂(ナガセケムテックス社製/F30K)
-第2樹脂-
・PVB1:ポリビニルブチラール樹脂(エスレックBM-1/積水化学工業社製)
【0094】
各例で得られた導電性部材の下記特性を既述の方法に従って測定した。得られた結果を表1に示す。
・「島部の面積A」
・「島部の面積B」
・「平均電流値」
・「表面層の外周面の表面粗さRz」
【0095】
<評価>
(色筋評価)
画像形成装置(DocuCentre-V C7776、富士フイルムビジネスイノベーション株式会社製)の改造機に、帯電装置の帯電ロールとして、上記実施例又は比較例で得られた導電性部材を組みこんで、28℃、85%RHの条件下にて画像密度30%のA4画像を5000枚出力した。5000枚目に出力した上に発生した、感光体の軸方向に延びる色筋のレベルから、G0~G3で評価した。G0~G2で使用上問題無いレベルである。表2に評価結果を示す。
G0 :感光体の軸方向に延びる色筋の発生が認められない。
G0.5:感光体の軸方向に延びる色筋が1個以下である。
G1 :感光体の軸方向に延びる色筋が2個以上4個以下である。
G1.5:感光体の軸方向に延びる色筋が5個以上7個以下である。
G2 :感光体の軸方向に延びる色筋が8個以上10個以下である。
G2.5:感光体の軸方向に延びる色筋が11個以上13個以下である。
G3 :感光体の軸方向に延びる色筋が14個以上である。
【0096】
(かぶり評価)
色筋評価と同じ画像形成を実施し、5000枚目に出力した用紙を観察して、かぶりが発生していない場合を「OK」、発生していた場合を「NG」と評価した。
【0097】
(強度評価)
MIT試験により、表面層の強度評価を行った。
MIT試験は、JIS P 8115:2001(MIT試験機法)に準拠した。
具体的には、導電性部材の表面層から、周方向に幅15mm、長さ200mmの短冊状試験片(試験片の厚さは、表面層の層厚とする)を切り出した。この短冊状試験片の両端を固定し1kgfの引張張力をかけて、曲率半径R=0.05を有するクランプを支点と
して左右90°方向に繰返し屈曲(折り曲げ)させた。このときに短冊状試験片が破断したときの屈曲回数を耐折れ回数とし、耐折れ回数を基に下記評価基準で強度を評価した。
なお、温度22℃、湿度55%RHの環境下でMIT試験を行った。
G0~G2で評価した。表2に評価結果を示す。
G0:耐折れ回数が10万回以上である。
G1:耐折れ回数が10万回未満5万回以上である。
G2:耐折れ回数が5万回未満1万回以上である。
G3:耐折れ回数が1万回未満である。
【0098】
【0099】
上記結果から、本実施例の導電性部材は、機械的強度を保ちつつ、色筋の発生を抑制することがわかる。
【0100】
本実施形態は、下記態様を含む。
(((1)))
基材と、
前記基材上に設けられた弾性層と、
前記弾性層上に設けられた表面層と、
を備え、
前記表面層は、第1樹脂を含んで構成される海部と第2樹脂を含んで構成される島部とからなる海島構造を有すると共に、導電剤を含み、
前記表面層の断面を観察したとき、前記表面層の表面から膜厚の20%の深さまでの領域Aにおける前記島部の面積率Aが25%以上45%以下である導電性部材。
(((2)))
前記島部の面積率Aが30%以上40%以下である(((1)))に記載の導電性部材。
(((3)))
前記表面層の断面を観察したとき、前記表面層の表面から膜厚の20%よりも深い領域Bにおける前記島部の面積率Bが40%以上50%以下である(((1)))又は(((2)))に記載の導電性部材。
(((4)))
前記島部の面積率Bが45%以上50%以下である(((3)))に記載の導電性部材。
(((5)))
前記島部の面積率Aと前記島部の面積率Bとの差分が、絶対値で15%以内である(((1)))~(((4)))のいずれか1項に記載の導電性部材。
(((6)))
前記島部の面積率Aと前記島部の面積率Bとの差分が、絶対値で10%以内である(((5)))に記載の導電性部材。
(((7)))
平均電流値が1.0×106μA以上である(((1)))~(((6)))のいずれか1項に記載の導電性部材。
(((8)))
前記表面層の外周面の表面粗さRzが8.0μm以下である(((1)))~(((7)))のいずれか1項に記載の導電性部材。
(((9)))
前記表面層の断面を観察したとき、前記表面層の表面から膜厚の20%よりも深い領域Bにおける前記島部の面積率Bが40%以上50%以下であり、
前記島部の面積率Aと前記島部の面積率Bとの差分が、絶対値で15%以内である(((1)))~(((8)))のいずれか1項に記載の導電性部材。
(((10)))
(((1)))~(((9)))のいずれか1項に記載の導電性部材を備える帯電装置。
(((11)))
(((10)))に記載の帯電装置を備え、
画像形成装置に着脱されるプロセスカートリッジ。
(((12)))
像保持体と、
前記像保持体の表面を帯電する(((10)))に記載の帯電装置と、
帯電した前記像保持体の表面に静電潜像を形成する静電潜像形成装置と、
トナーを含む現像剤により、前記像保持体の表面に形成された静電潜像を現像してトナー像を形成する現像装置と、
前記トナー像を記録媒体の表面に転写する転写装置と、
を備える画像形成装置。
【0101】
上記態様の効果は、次の通りである。
(((1)))に係る発明によれば、基材と、基材上に設けられた弾性層と、弾性層上に設けられた表面層と、を備え、表面層が、第1樹脂を含んで構成される海部と第2樹脂を含んで構成される島部とからなる海島構造を有すると共に、導電剤を含む導電性部材において、表面層の断面を観察したとき、表面層の表面から膜厚の20%の深さまでの領域Aにおける第2樹脂を含んで構成される島部の面積率Aが25%未満又は45%超えである場合に比べ、機械的強度を保ちつつ、色筋の発生を抑制する導電性部材が提供される。
(((2)))に係る発明によれば、島部の面積率Aが30%未満又は40%超えである場合に比べ、機械的強度を保ちつつ、色筋の発生を抑制する導電性部材が提供される。
(((3)))に係る発明によれば、表面層の断面を観察したとき、表面層の表面から膜厚の20%よりも深い領域Bにおける島部の面積率Bが40%未満又は50%超えである場合に比べ、機械的強度を保ちつつ、色筋の発生を抑制する導電性部材が提供される。
(((4)))に係る発明によれば、島部の面積率Bが45%未満又は50%超え場合に比べ、機械的強度を保ちつつ、色筋の発生を抑制する導電性部材が提供される。
【0102】
(((5)))に係る発明によれば、島部の面積率Aと島部の面積率Bとの差分が、絶対値で15%超えである場合に比べ、機械的強度を保ちつつ、色筋の発生を抑制する導電性部材が提供される。
(((6)))に係る発明によれば、島部の面積率Aと島部の面積率Bとの差分が、絶対値で10%超えである場合に比べ、機械的強度を保ちつつ、色筋の発生を抑制する導電性部材が提供される。
【0103】
(((7)))に係る発明によれば、平均電流値が1.0×106μA未満である場合に比べ、機械的強度を保ちつつ、色筋の発生を抑制する導電性部材が提供される。
(((8)))に係る発明によれば、基材と、基材上に設けられた弾性層と、弾性層上に設けられた表面層と、を備え、表面層が、第1樹脂を含んで構成される海部と島部とからなる海島構造を有すると共に、導電剤を含む導電性部材において、表面層の断面を観察したとき、表面層の表面から膜厚の20%の深さまでの領域Aにおける島部の面積率Aが25%未満又は45%超えである場合に比べ、表面層の外周面の表面粗さRzが5.0以上であっても8.0μm以下であれば、かぶりの発生を抑制する導電性部材が提供される。
(((9)))に係る発明によれば、表面層の断面を観察したとき、表面層の表面から膜厚の20%よりも深い領域Bにおける島部の面積率Bが40%未満又は50%超えである場合、又は、平均電流値が1.0×106μA未満である場合に比べ、機械的強度を保ちつつ、色筋の発生を抑制する導電性部材が提供される。
【0104】
(((10)))、(((11)))又は(((12)))に係る発明によれば、表面層が、第1樹脂を含んで構成される海部と島部とからなる海島構造を有すると共に、導電剤を含む導電性部材において、表面層の断面を観察したとき、表面層の表面から膜厚の20%の深さまでの領域Aにおける島部の面積率Aが25%未満又は45%超えである導電性部材を備える場合に比べ、色筋の発生を抑制する帯電装置、プロセスカートリッジ又は画像形成装置が提供される。
30 シャフト、31 弾性層、32 表面層、121A 導電性部材、210 画像形成装置、214 画像形成部、216 搬送部、218 排出部、220 制御部、222 画像形成ユニット、223 帯電装置、223A 帯電ロール、224 中間転写ベルト、226 第1転写ロール、228 第2転写ロール、232 感光体、236 露光装置、238 現像装置、240 除去部材、260 定着装置