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特開2024-137528蛍光グリーントナー、静電荷像現像剤、トナーカートリッジ、プロセスカートリッジ、画像形成装置、画像形成方法、及び印刷物
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024137528
(43)【公開日】2024-10-07
(54)【発明の名称】蛍光グリーントナー、静電荷像現像剤、トナーカートリッジ、プロセスカートリッジ、画像形成装置、画像形成方法、及び印刷物
(51)【国際特許分類】
   G03G 9/09 20060101AFI20240927BHJP
   G03G 9/08 20060101ALI20240927BHJP
【FI】
G03G9/09
G03G9/08 391
【審査請求】未請求
【請求項の数】15
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023049077
(22)【出願日】2023-03-24
(71)【出願人】
【識別番号】000005496
【氏名又は名称】富士フイルムビジネスイノベーション株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110001519
【氏名又は名称】弁理士法人太陽国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】立川 貴久
(72)【発明者】
【氏名】中村 幸晃
(72)【発明者】
【氏名】真鍋 光平
【テーマコード(参考)】
2H500
【Fターム(参考)】
2H500AA06
2H500AA14
2H500CA29
2H500EA21C
2H500EA42C
2H500EA45C
2H500FA15
(57)【要約】
【課題】明度及び彩度に優れた画像を形成しうる蛍光グリーントナーを提供する。
【解決手段】分光反射率のピーク波長が500nm以上550nm以下の範囲内にある蛍光黄色染料Syと、黄色顔料Pyと、緑色顔料及びシアン色顔料からなる群より選択される1種以上の顔料Pgcと、を含有するトナー粒子を含み、前記トナー粒子中における、前記蛍光黄色染料Syの含有量をCSyとし、前記黄色顔料Pyの含有量をCPyとし、前記顔料Pgcの含有量をCPgcとしたとき、CSy/(CPy+CPgc)が0.01以上0.3以下を満たし、(CSy+CPy)/CPgcが0.3以上1.5以下を満たす、蛍光グリーントナー。
【選択図】図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
分光反射率のピーク波長が500nm以上550nm以下の範囲内にある蛍光黄色染料Syと、黄色顔料Pyと、緑色顔料及びシアン色顔料からなる群より選択される1種以上の顔料Pgcと、を含有するトナー粒子を含み、
前記トナー粒子中における、前記蛍光黄色染料Syの含有量をCSyとし、前記黄色顔料Pyの含有量をCPyとし、前記顔料Pgcの含有量をCPgcとしたとき、CSy/(CPy+CPgc)が0.01以上0.3以下を満たし、(CSy+CPy)/CPgcが0.3以上1.5以下を満たす、蛍光グリーントナー。
【請求項2】
前記CSy/(CPy+CPgc)が0.05以上0.2以下を満たし、前記(CSy+CPy)/CPgcが0.45以上1.0以下を満たす、請求項1に記載の蛍光グリーントナー。
【請求項3】
前記蛍光黄色染料Syの含有量CSyが0.1質量%以上2.0質量%以下であり、前記黄色顔料Pyの含有量CPyが1.5質量%以上5.0質量%以下であり、前記顔料Pgcの含有量CPgcが3.0質量%以上10.0質量%以下である、請求項1に記載の蛍光グリーントナー。
【請求項4】
前記蛍光黄色染料Syの含有量CSyが0.1質量%以上1.5質量%以下であり、前記黄色顔料Pyの含有量CPyが3.0質量%以上5.0質量%以下であり、前記顔料Pgcの含有量CPgcが5.0質量%以上8.0質量%以下である、請求項3に記載の蛍光グリーントナー。
【請求項5】
前記蛍光黄色染料Syのピーク波長Xにおける分光反射率をRSyとし、前記波長Xにおける前記黄色顔料Pyの分光反射率をRPyとし、前記波長Xにおける前記顔料Pgcの分光反射率をRPgcとしたとき、0.65RSy≦Rpyを満たし、0.55RSy≦RPgcを満たす、請求項1に記載の蛍光グリーントナー。
【請求項6】
0.8RPy≦RPgc≦1.2RPyを満たす、請求項5に記載の蛍光グリーントナー。
【請求項7】
前記顔料Pgcが緑色顔料であり、
前記蛍光黄色染料SyがC.I.ソルベントグリーン5又はC.I.ソルベントイエロー98であり、前記緑色顔料がC.I.ピグメントグリーン36又はC.I.ピグメントグリーン7である、請求項1に記載の蛍光グリーントナー。
【請求項8】
請求項1~請求項7のいずれか1項に記載の蛍光グリーントナーを含む静電荷像現像剤。
【請求項9】
請求項1~請求項7のいずれか1項に記載の蛍光グリーントナーを収容し、画像形成装置に着脱されるトナーカートリッジ。
【請求項10】
請求項8に記載の静電荷像現像剤を収容し、前記静電荷像現像剤により、像保持体の表面に形成された静電荷像をトナー画像として現像する現像手段を備え、画像形成装置に着脱されるプロセスカートリッジ。
【請求項11】
像保持体と、
前記像保持体の表面を帯電する帯電手段と、
帯電した前記像保持体の表面に静電荷像を形成する静電荷像形成手段と、
請求項8に記載の静電荷像現像剤を収容し、前記静電荷像現像剤により、前記像保持体の表面に形成された静電荷像をトナー画像として現像する現像手段と、
前記像保持体の表面に形成されたトナー画像を記録媒体の表面に転写する転写手段と、
前記記録媒体の表面に転写されたトナー画像を定着する定着手段と、
を備える画像形成装置。
【請求項12】
像保持体の表面を帯電する帯電工程と、
帯電した前記像保持体の表面に静電荷像を形成する静電荷像形成工程と、
請求項8に記載の静電荷像現像剤により、前記像保持体の表面に形成された静電荷像をトナー画像として現像する現像工程と、
前記像保持体の表面に形成されたトナー画像を記録媒体の表面に転写する転写工程と、
前記記録媒体の表面に転写されたトナー画像を定着する定着工程と、
を有する画像形成方法。
【請求項13】
ピンク、イエロー、マゼンタ、シアン、ブラック及びグリーンの各色の画像を形成する電子写真方式の第1乃至第6の画像形成ユニットを備え、
前記グリーンの画像を形成する画像形成ユニットが請求項8に記載の静電荷像現像剤を収容する画像形成装置。
【請求項14】
ピンク、イエロー、マゼンタ、シアン、ブラック及びグリーンの各色の画像を形成する電子写真方式の第1乃至第6の画像形成工程を有し、
前記グリーンの画像を形成する画像形成工程が請求項8に記載の静電荷像現像剤を用いる画像形成方法。
【請求項15】
記録媒体と、前記記録媒体表面に形成された、請求項1~請求項7のいずれか1項に記載の蛍光グリーントナーによる画像と、を有する印刷物。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、蛍光グリーントナー、静電荷像現像剤、トナーカートリッジ、プロセスカートリッジ、画像形成装置、画像形成方法、及び印刷物に関する。
【背景技術】
【0002】
特許文献1には、少なくとも結着樹脂と着色剤とを含有する静電荷像現像用グリーントナーにおいて、該着色剤がC.I.ソルベントグリーン5とフタロシアニン顔料である着色剤化合物Xを含み、着色剤総量中のC.I.ソルベントグリーン5の含有率が5質量%以上50質量%以下である静電荷像現像用グリーントナーが開示されている。
【0003】
特許文献2には、蛍光着色剤、及び、着色顔料を含み、樹脂粒子の色相角と前記蛍光着色剤の色相角とが異なり、前記蛍光着色剤の分光反射率における蛍光ピーク波長をA(nm)とした時、A(nm)±30nmの波長範囲における前記着色顔料の分光反射率(%)の積分値が、2500以上である樹脂粒子が開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2012-189989号公報
【特許文献2】特開2021―127433号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
本開示は、分光反射率のピーク波長が500nm以上550nm以下の範囲内にある蛍光黄色染料Syと、黄色顔料Pyと、緑色顔料及びシアン色顔料からなる群より選択される1種以上の顔料Pgcと、を含有するトナー粒子を含み、前記トナー粒子中における、前記蛍光黄色染料Syの含有量をCSyとし、前記黄色顔料Pyの含有量をCPyとし、前記顔料Pgcの含有量をCPgcとしたとき、CSy/(CPy+CPgc)が0.01未満又は0.3超であるか、(CSy+CPy)/CPgcが0.3未満又は1.5超である場合に比べ、明度及び彩度に優れた画像を形成しうる蛍光グリーントナーを提供することを課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
前記課題を解決するための具体的手段には、下記の態様が含まれる。
<1> 分光反射率のピーク波長が500nm以上550nm以下の範囲内にある蛍光黄色染料Syと、黄色顔料Pyと、緑色顔料及びシアン色顔料からなる群より選択される1種以上の顔料Pgcと、を含有するトナー粒子を含み、
前記トナー粒子中における、前記蛍光黄色染料Syの含有量をCSyとし、前記黄色顔料Pyの含有量をCPyとし、前記顔料Pgcの含有量をCPgcとしたとき、CSy/(CPy+CPgc)が0.01以上0.3以下を満たし、(CSy+CPy)/CPgcが0.3以上1.5以下を満たす、蛍光グリーントナー。
<2> 前記CSy/(CPy+CPgc)が0.05以上0.2以下を満たし、前記(CSy+CPy)/CPgcが0.45以上1.0以下を満たす、<1>に記載の蛍光グリーントナー。
<3> 前記蛍光黄色染料Syの含有量CSyが0.1質量%以上2.0質量%以下であり、前記黄色顔料Pyの含有量CPyが1.5質量%以上5.0質量%以下であり、前記顔料Pgcの含有量CPgcが3.0質量%以上10.0質量%以下である、<1>に記載の蛍光グリーントナー。
<4> 前記蛍光黄色染料Syの含有量CSyが0.1質量%以上1.5質量%以下であり、前記黄色顔料Pyの含有量CPyが3.0質量%以上5.0質量%以下であり、前記顔料Pgcの含有量CPgcが5.0質量%以上8.0質量%以下である、<3>に記載の蛍光グリーントナー。
<5> 前記蛍光黄色染料Syのピーク波長Xにおける分光反射率をRSyとし、前記波長Xにおける前記黄色顔料Pyの分光反射率をRPyとし、前記波長Xにおける前記顔料Pgcの分光反射率をRPgcとしたとき、0.65RSy≦Rpyを満たし、0.55RSy≦RPgcを満たす、<1>に記載の蛍光グリーントナー。
<6> 0.8RPy≦RPgc≦1.2RPyを満たす、<5>に記載の蛍光グリーントナー。
<7> 前記顔料Pgcが緑色顔料であり、
前記蛍光黄色染料SyがC.I.ソルベントグリーン5又はC.I.ソルベントイエロー98であり、前記緑色顔料がC.I.ピグメントグリーン36又はC.I.ピグメントグリーン7である、<1>に記載の蛍光グリーントナー。
【0007】
<8> <1>~<7>のいずれか1つに記載の蛍光グリーントナーを含む静電荷像現像剤。
<9> <1>~<7>のいずれか1つに記載の蛍光グリーントナーを収容し、画像形成装置に着脱されるトナーカートリッジ。
<10> <8>に記載の静電荷像現像剤を収容し、前記静電荷像現像剤により、像保持体の表面に形成された静電荷像をトナー画像として現像する現像手段を備え、画像形成装置に着脱されるプロセスカートリッジ。
<11> 像保持体と、
前記像保持体の表面を帯電する帯電手段と、
帯電した前記像保持体の表面に静電荷像を形成する静電荷像形成手段と、
<8>に記載の静電荷像現像剤を収容し、前記静電荷像現像剤により、前記像保持体の表面に形成された静電荷像をトナー画像として現像する現像手段と、
前記像保持体の表面に形成されたトナー画像を記録媒体の表面に転写する転写手段と、
前記記録媒体の表面に転写されたトナー画像を定着する定着手段と、
を備える画像形成装置。
<12> 像保持体の表面を帯電する帯電工程と、
帯電した前記像保持体の表面に静電荷像を形成する静電荷像形成工程と、
<8>に記載の静電荷像現像剤により、前記像保持体の表面に形成された静電荷像をトナー画像として現像する現像工程と、
前記像保持体の表面に形成されたトナー画像を記録媒体の表面に転写する転写工程と、
前記記録媒体の表面に転写されたトナー画像を定着する定着工程と、
を有する画像形成方法。
<13> ピンク、イエロー、マゼンタ、シアン、ブラック及びグリーンの各色の画像を形成する電子写真方式の第1乃至第6の画像形成ユニットを備え、
前記グリーンの画像を形成する画像形成ユニットが<8>に記載の静電荷像現像剤を収容する画像形成装置。
<14> ピンク、イエロー、マゼンタ、シアン、ブラック及びグリーンの各色の画像を形成する電子写真方式の第1乃至第6の画像形成工程を有し、
前記グリーンの画像を形成する画像形成工程が<8>に記載の静電荷像現像剤を用いる画像形成方法。
<15> 記録媒体と、前記記録媒体表面に形成された、<1>~<7>のいずれか1項に記載の蛍光グリーントナーによる画像と、を有する印刷物。
【発明の効果】
【0008】
<1>に係る発明によれば、分光反射率のピーク波長が500nm以上550nm以下の範囲内にある蛍光黄色染料Syと、黄色顔料Pyと、緑色顔料及びシアン色顔料からなる群より選択される1種以上の顔料Pgcと、を含有するトナー粒子を含み、前記CSy/(CPy+CPgc)が0.01未満又は0.3超であるか、前記(CSy+CPy)/CPgcが0.3未満又は1.5超である場合に比べ、明度及び彩度に優れた画像を形成しうる蛍光グリーントナーが提供される。
【0009】
<2>に係る発明によれば、前記CSy/(CPy+CPgc)が0.05未満又は0.2超であるか、前記(CSy+CPy)/CPgcが0.45未満又は1.0超である場合に比べ、明度及び彩度に優れた画像を形成しうる蛍光グリーントナーが提供される。
<3>に係る発明によれば、蛍光黄色染料Syの含有量CSyが0.1質量%未満又は2.0質量%超であるか、黄色顔料Pyの含有量CPyが1.5質量%未満又は5.0質量%超である場合に比べ、明度及び彩度に優れた画像を形成しうる蛍光グリーントナーが提供される。
<4>に係る発明によれば、蛍光黄色染料Syの含有量CSyが1.5質量%超であるか、黄色顔料Pyの含有量CPyが3.0質量%未満又は5.0質量%超であるか、顔料Pgcの含有量CPgcが5.0質量%未満又は8.0質量%超である場合に比べ、明度及び彩度に優れた画像を形成しうる蛍光グリーントナーが提供される。
<5>に係る発明によれば、蛍光黄色染料Syのピーク波長Xにおける分光反射率をRSyとし、波長Xにおける黄色顔料Pyの分光反射率をRPyとし、波長Xにおける顔料Pgcの分光反射率をRPgcとしたとき、0.65RSy>Rpyを満たすか、0.55RSy>RPgcを満たす場合に比べ、明度及び彩度に優れた画像を形成しうる蛍光グリーントナーが提供される。
<6>に係る発明によれば、0.8RPy≦RPgc≦1.2RPyを満たさない場合に比べ、明度及び彩度に優れた画像を形成しうる蛍光グリーントナーが提供される。
<7>に係る発明によれば、顔料Pgcがシアン色顔料である場合に比べ、明度及び彩度に優れた画像を形成しうる蛍光グリーントナーが提供される。
<8>、<9>、<10>、<11>、<12>、<13>、又は<14>に係る発明によれば、分光反射率のピーク波長が500nm以上550nm以下の範囲内にある蛍光黄色染料Syと、黄色顔料Pyと、緑色顔料及びシアン色顔料からなる群より選択される1種以上の顔料Pgcと、を含有するトナー粒子を含み、前記CSy/(CPy+CPgc)が0.01未満又は0.3超であるか、前記(CSy+CPy)/CPgcが0.3未満又は1.5超である場合に比べ、明度及び彩度に優れた画像を形成しうる蛍光グリーントナーを用いた静電荷像現像剤、トナーカートリッジ、プロセスカートリッジ、画像形成装置、又は画像形成方法が提供される。
<15>によれば、分光反射率のピーク波長が500nm以上550nm以下の範囲内にある蛍光黄色染料Syと、黄色顔料Pyと、緑色顔料及びシアン色顔料からなる群より選択される1種以上の顔料Pgcと、を含有するトナー粒子を含み、前記CSy/(CPy+CPgc)が0.01未満又は0.3超であるか、前記(CSy+CPy)/CPgcが0.3未満又は1.5超である場合に比べ、明度及び彩度に優れた画像を形成しうる蛍光グリーントナーによる画像を有する印刷物が提供される。
【図面の簡単な説明】
【0010】
図1】本実施形態に係る画像形成装置の一例を示す概略構成図である。
図2】本実施形態に係る画像形成装置に着脱されるプロセスカートリッジの一例を示す概略構成図である。
【発明を実施するための形態】
【0011】
以下に、本開示の実施形態について説明する。これらの説明及び実施例は実施形態を例示するものであり、実施形態の範囲を制限するものではない。
【0012】
本開示において「~」を用いて示された数値範囲は、「~」の前後に記載される数値をそれぞれ最小値及び最大値として含む範囲を示す。
本開示中に段階的に記載されている数値範囲において、一つの数値範囲で記載された上限値又は下限値は、他の段階的な記載の数値範囲の上限値又は下限値に置き換えてもよい。また、本開示中に記載されている数値範囲において、その数値範囲の上限値又は下限値は、実施例に示されている値に置き換えてもよい。
【0013】
本開示において「工程」との語は、独立した工程だけでなく、他の工程と明確に区別できない場合であってもその工程の目的が達成されれば、本用語に含まれる。
【0014】
本開示において実施形態を図面を参照して説明する場合、当該実施形態の構成は図面に示された構成に限定されない。また、各図における部材の大きさは概念的なものであり、部材間の大きさの相対的な関係はこれに限定されない。
【0015】
本開示において各成分は該当する物質を複数種含んでいてもよい。本開示において組成
物中の各成分の量について言及する場合、組成物中に各成分に該当する物質が複数種存在する場合には、特に断らない限り、組成物中に存在する当該複数種の物質の合計量を意味する。
本開示において各成分に該当する粒子は複数種含んでいてもよい。組成物中に各成分に該当する粒子が複数種存在する場合、各成分の粒子径は、特に断らない限り、組成物中に存在する当該複数種の粒子の混合物についての値を意味する。
【0016】
本開示において、「(メタ)アクリル」はアクリル及びメタクリルのいずれをも含む表現であり、「(メタ)アクリレート」はアクリレート及びメタクリレートのいずれをも含む表現である。
【0017】
本開示において、「蛍光グリーントナー」を「グリーントナー」ともいい、「静電荷像現像剤」を「現像剤」ともいい、「静電荷像現像用キャリア」を「キャリア」ともいう。
【0018】
<蛍光グリーントナー>
本実施形態に係る蛍光グリーントナーは、分光反射率のピーク波長が500nm以上550nm以下の範囲内にある蛍光黄色染料Syと、黄色顔料Pyと、緑顔料及びシアン顔料からなる群より選択される1種以上の顔料Pgcと、を含有するトナー粒子を含み、前記トナー粒子中における、前記蛍光黄色染料Syの含有量をCSyとし、前記黄色顔料Pyの含有量をCPyとし、前記顔料Pgcの含有量をCPgcとしたとき、CSy/(CPy+CPgc)が0.01以上0.3以下を満たし、(CSy+CPy)/CPgcが0.3以上1.5以下を満たす、蛍光グリーントナーである。
以下、「緑顔料及びシアン顔料からなる群より選択される1種以上の顔料Pgc」は、単に「顔料Pgc」ともいう。
【0019】
染料又は顔料の分光反射率のピーク波長は、以下の方法により測定するものとする。
まず、着色剤として測定対象となる染料又は顔料のみを含むトナー粒子を作製し、トナー粒子を含むトナーを作製する。試料トナーを製造する上で、トナー粒子に含まれる着色剤以外の成分、外添剤、トナーの製造方法の詳細は後述する内容を参照することができる。具体的には、例えば、着色剤として測定対象となる染料又は顔料のみを用いるようにした以外は、実施例1に記載のトナーの製造方法を用い、試料トナーを製造すればよい。
まず、富士フイルムビジネスイノベーション(株)製の画像形成装置Revoria Press PC1120の改造機を用意し、マゼンタ位置の現像器に試料トナーを収容した。温度22℃、湿度55%RHの環境下で、OSコート紙(王子製紙(株)製、商品名:OSコート127)に画像密度が0%の白紙画像を100枚出力した。その後、OSコート紙に画像密度100%(トナー載り量4.0g/m)で試料トナーのベタ画像を1枚出力した。
得られたベタ画像について、反射分光濃度計X-Rite939(アパーチャー径4mm、エックスライト(株)製)を用いて、画像内のランダム10箇所における可視光領域の分光反射率を測定する。
得られた分光反射率をもとに、そのピーク波長を求める。
【0020】
従来の蛍光グリーントナーは、単色で蛍光グリーン色を呈する着色剤がないため、多くの場合、蛍光黄色染料とフタロシアニン顔料とで調色している。しかし、従来の蛍光グリーントナーでは、高明度且つ高彩度の色(例えば、色見本TOKA FLASH VIVA DX 650に示される色)を再現しようとした場合、濃度消光により、蛍光黄色染料の蛍光性が損なわれることがあり、明度(蛍光性ともいう)において改良の余地があった。
【0021】
本実施形態に係る蛍光グリーントナーは、トナー粒子に、分光反射率のピーク波長が500nm以上550nm以下の範囲内にある蛍光黄色染料Syと、黄色顔料Pyと、緑顔料及びシアン顔料からなる群より選択される1種以上の顔料Pgcと、を含有する。
蛍光黄色染料Syと黄色顔料Pyとは発光ピーク波長が近いことで、蛍光黄色染料の反射率の低下を抑えつつ多くの黄色顔料を添加することができ、このようなトナーは、彩度と明度とを両立した黄色を実現することができる。また、この彩度と明度とを両立した黄色と、更に蛍光黄色染料の発光ピーク波長に近いピーク波長を持つ、緑顔料及びシアン顔料からなる群より選択される1種以上の顔料Pgcと、を特定の含有量の範囲にて組み合わせることで、明度の低下が抑制され、明度及び彩度に優れた狙いの色域を実現しやすくなる。
以上のことから、本実施形態に係る蛍光グリーントナーは、明度及び彩度に優れた画像を形成しうる。
【0022】
本実施形態において、蛍光顔料とは、外部からの光エネルギーによって発光する顔料をいい、蛍光染料とは、外部からの光エネルギーによって発光する染料をいう。対して、非蛍光顔料とは、外部からの光エネルギーによって発光しない顔料をいい、非蛍光染料とは、外部からの光エネルギーによって発光しない染料をいう。一般的に、蛍光顔料及び蛍光染料は反射光と発光とによって呈色し、非蛍光顔料及び非蛍光染料は反射光のみによって呈色する。
以下、単に、顔料、黄色顔料、緑色顔料、シアン色顔料と表記した場合には、いずれも、非蛍光顔料を意味する。
【0023】
以下、本実施形態に係る蛍光グリーントナーの構成を詳細に説明する。
【0024】
〔トナー粒子〕
トナー粒子は、分光反射率のピーク波長が500nm以上550nm以下の範囲内にある蛍光黄色染料Syと、黄色顔料Pyと、緑顔料及びシアン顔料からなる群より選択される1種以上の顔料Pgcと、を含有する。
トナー粒子は、蛍光黄色染料Sy、黄色顔料Py、顔料Pgcの他、結着樹脂、離型剤、必要に応じて、その他添加剤を含んで構成される。
【0025】
[蛍光黄色染料Sy]
蛍光黄色染料Syとしては、分光反射率のピーク波長が500nm以上550nm以下の範囲内にある蛍光黄色染料であれば、特に制限はない。
蛍光黄色染料Syの分光反射率のピーク波長は、彩度と明度とが両立された画像を形成しやすくなる観点から、510nm以上530nm以下が好ましい。
【0026】
蛍光黄色染料Syの具体例としては、C.I.ソルベントグリーン5、C.I.ソルベントイエロー98、C.I.ソルベントイエロー160:1等が挙げられる。
中でも、彩度と明度とが両立された画像を形成しやすくなる観点から、C.I.ソルベントグリーン5又はC.I.ソルベントイエロー98が好ましい。
【0027】
[黄色顔料Py]
黄色顔料Pyとしては、特に制限はない。
黄色顔料Pyの分光反射率は520nm以上の可視光領域で70%以上であることがより好ましい。
【0028】
黄色顔料Pyは、公知の黄色顔料から適宜選択することができる。
黄色顔料としては、黄鉛、亜鉛黄、黄色酸化鉄、カドミウムイエロー、クロムイエロー、ハンザイエロー、ハンザイエロー10G、ベンジジンイエローG、ベンジジンイエローGR、スレンイエロー、キノリンイエロー、パーメネントイエローNCG、C.I.ピグメントイエロー17、C.I.ピグメントイエロー74、C.I.ピグメントイエロー93、C.I.ピグメントイエロー97、C.I.ピグメントイエロー154、C.I.ピグメントイエロー155、C.I.ピグメントイエロー180、C.I.ピグメントイエロー185等が挙げられる。
【0029】
中でも、彩度と明度とが両立された画像を形成しやすくなる観点から、C.I.ピグメントイエロー74、C.I.ピグメントイエロー180、C.I.ピグメントイエロー185等が好ましく、特に、C.I.ピグメントイエロー74又はC.I.ピグメントイエロー180が好ましい。
【0030】
[顔料Pgc]
顔料Pgcとしては、緑色顔料又はシアン色顔料であれば、特に制限はない。
顔料Pgcとしての緑色顔料の分光反射率のピーク波長は、480nm以上530nm以下であることが好ましく、490nm以上520nm以下であることがより好ましい。
また、顔料Pgcとしてのシアン色顔料の分光反射率のピーク波長は、450nm以上490nm以下であることが好ましく、460nm以上480nm以下であることがより好ましい。
【0031】
緑色顔料とは、公知の緑色顔料から適宜選択することができる。
緑色顔料としては、酸化クロム、クロムグリーン、マラカイトグリーンレーキ、ファイナルイエローグリーンG、C.I.ピグメントグリーン7、C.I.ピグメントグリーン36等が挙げられる。
中でも、彩度と明度とが両立された画像を形成しやすくなる観点から、C.I.ピグメントグリーン36又はC.I.ピグメントグリーン7が好ましい。
【0032】
シアン色顔料は、公知のシアン色顔料から適宜選択することができる。
シアン色顔料としては、紺青、コバルトブルー、アルカリブルーレーキ、ビクトリアブルーレーキ、ファストスカイブルー、インダスレンブルーBC、アニリンブルー、ウルトラマリンブルー、カルコオイルブルー、メチレンブルークロライド、フタロシアニンブルー、フタロシアニングリーン、マラカイトグリーンオクサレレート、C.I.ピグメントブルー15:1、C.I.ピグメントブルー15:3等が挙げられる。
中でも、彩度と明度とが両立された画像を形成しやすくなる観点から、C.I.ピグメントブルー15:3が好ましい。
【0033】
[含有量]
本実施形態に係る蛍光グリーントナーは、トナー粒子中における、蛍光黄色染料Syの含有量をCSyとし、黄色顔料Pyの含有量をCPyとし、顔料Pgcの含有量をCPgcとしたとき、CSy/(CPy+CPgc)が0.01以上0.3以下を満たし、(CSy+CPy)/CPgcが0.3以上1.5以下を満たす。
上述の含有量の関係を満たすことで、彩度と明度とが両立された画像を形成しうる。
このとき、蛍光黄色染料Sy、黄色顔料Py、及び顔料Pgcは、それぞれ、1種単独で含有していても、2種以上を含有していてもよい。顔料を2種以上用いる場合、その合計量が上記関係を満たす。
【0034】
CSy/(CPy+CPgc)は、彩度と明度とがより優れた画像を形成する観点から、0.05以上0.2以下を満たすことが好ましい。
また、(CSy+CPy)/CPgcは、彩度と明度とがより優れた画像を形成する観点から、0.45以上1.0以下を満たすことが好ましい。
つまり、彩度及び明度がより優れた画像を形成する観点から、CSy/(CPy+CPgc)が0.05以上0.2以下を満たし、前記(CSy+CPy)/CPgcが0.45以上1.0以下を満たす、ことが好ましい。
【0035】
なお、蛍光黄色染料Syの含有量CSy、黄色顔料Pyの含有量CPy、及び顔料Pgcの含有量CPgcは、以下のようにして求められる。
酢酸エチルなどの有機溶媒にトナーを溶解させ、液体クロマトグラフィー分析によるピーク強度から染料の量を算出する。また、顔料の場合は、同様に有機溶媒にトナーを溶解させ、溶媒に不溶である顔料を分離することで含有量を求める。
【0036】
[好ましい態様]
本実施形態に係る蛍光グリーントナーは、蛍光黄色染料Syの含有量CSyが0.1質量%以上2.0質量%以下であり、黄色顔料Pyの含有量CPyが1.5質量%以上5.0質量%以下であり、顔料Pgcの含有量CPgcが3.0質量%以上10.0質量%以下であることが好ましい。
また、本実施形態に係る蛍光グリーントナーは、蛍光黄色染料Syの含有量CSyが0.1質量%以上1.5質量%以下であり、前記黄色顔料Pyの含有量CPyが3.0質量%以上5.0質量%以下であり、前記顔料Pgcの含有量CPgcが5.0質量%以上8.0質量%以下であることがより好ましい。
蛍光黄色染料Syの含有量CSy、黄色顔料Pyの含有量CPy、及び顔料Pgcの含有量CPgcが、それぞれ、上記範囲にあることで、彩度及び明度がより優れた画像が形成しやすくなる。
【0037】
本実施形態に係る蛍光グリーントナーは、前記蛍光黄色染料Syのピーク波長Xにおける分光反射率をRSyとし、前記波長Xにおける前記黄色顔料Pyの分光反射率をRPyとし、前記波長Xにおける前記顔料Pgcの分光反射率をRPgcとしたとき、0.65RSy≦Rpyを満たし、0.55RSy≦RPgcを満たすことが好ましい。
また、分光反射率RSy及び分光反射率RPyは、0.65RSy≦Rpy≦1.0RSyを満たすことがより好ましく、0.70RSy≦Rpy≦1.0RSyを満たすことが更に好ましい。また、分光反射率RSy及び分光反射率RPgcは、0.55RSy≦RPgc≦1.0RSyを満たすことより好ましく、0.60RSy≦RPgc≦1.0RSyを満たすことが更に好ましい。
分光反射率RSy、分光反射率RPy、及び分光反射率をRPgcが、上記の関係を満たすことで、彩度及び明度がより優れた画像が形成しやすくなる。
【0038】
また、分光反射率RPy及び分光反射率をRPgcが、0.8RPy≦RPgc≦1.2RPyを満たす場合、好ましくは、0.9RPy≦RPgc≦1.1RPyを満たす場合、彩度及び明度がより優れた画像が形成しやすくなる。
【0039】
本実施形態に係る蛍光グリーントナーは、顔料Pgcが緑色顔料であり、蛍光黄色染料SyがC.I.ソルベントグリーン5又はC.I.ソルベントイエロー98であり、緑色顔料がC.I.ピグメントグリーン36又はC.I.ピグメントグリーン7であることが好ましい。
このように、顔料Pgcが緑色顔料であって、蛍光黄色染料Sy及び緑色顔料のそれぞれが上記の顔料であることで、彩度及び明度がより優れた画像が形成しやすくなる。
【0040】
本実施形態に係る蛍光グリーントナーにおいて、トナー粒子は、蛍光黄色染料Sy、黄色顔料Py、及び顔料Pgc以外の着色剤を含有していてもよい。
その場合、蛍光黄色染料Sy、黄色顔料Py、及び顔料Pgc以外の着色剤の含有量は、着色剤の総量に対して、20質量%以下が好ましく、10質量%以下がより好ましく、0質量%が特に好ましい。
【0041】
[結着樹脂]
結着樹脂としては、例えば、スチレン類(例えばスチレン、パラクロロスチレン、α-メチルスチレン等)、(メタ)アクリル酸エステル類(例えばアクリル酸メチル、アクリル酸エチル、アクリル酸n-プロピル、アクリル酸n-ブチル、アクリル酸ラウリル、アクリル酸2-エチルヘキシル、メタクリル酸メチル、メタクリル酸エチル、メタクリル酸n-プロピル、メタクリル酸ラウリル、メタクリル酸2-エチルヘキシル等)、エチレン性不飽和ニトリル類(例えばアクリロニトリル、メタクリロニトリル等)、ビニルエーテル類(例えばビニルメチルエーテル、ビニルイソブチルエーテル等)、ビニルケトン類(例えばビニルメチルケトン、ビニルエチルケトン、ビニルイソプロペニルケトン等)、オレフィン類(例えばエチレン、プロピレン、ブタジエン等)等の単量体の単独重合体、又はこれら単量体を2種以上組み合せた共重合体からなるビニル系樹脂が挙げられる。
結着樹脂としては、例えば、エポキシ樹脂、ポリエステル樹脂、ポリウレタン樹脂、ポリアミド樹脂、セルロース樹脂、ポリエーテル樹脂、変性ロジン等の非ビニル系樹脂、これらと前記ビニル系樹脂との混合物、又は、これらの共存下でビニル系単量体を重合して得られるグラフト重合体等も挙げられる。
これらの結着樹脂は、1種類単独で用いてもよいし、2種以上を併用してもよい。
【0042】
結着樹脂としては、ポリエステル樹脂が好適である。
ポリエステル樹脂としては、例えば、公知のポリエステル樹脂が挙げられる。
【0043】
ポリエステル樹脂としては、例えば、多価カルボン酸と多価アルコールとの縮重合体が挙げられる。ポリエステル樹脂としては、市販品を使用してもよいし、合成したものを使用してもよい。
【0044】
多価カルボン酸としては、例えば、脂肪族ジカルボン酸(例えばシュウ酸、マロン酸、マレイン酸、フマル酸、シトラコン酸、イタコン酸、グルタコン酸、コハク酸、アルケニルコハク酸、アジピン酸、セバシン酸等)、脂環式ジカルボン酸(例えばシクロヘキサンジカルボン酸等)、芳香族ジカルボン酸(例えばテレフタル酸、イソフタル酸、フタル酸、ナフタレンジカルボン酸等)、これらの無水物、又はこれらの低級(例えば炭素数1以上5以下)アルキルエステルが挙げられる。これらの中でも、多価カルボン酸としては、例えば、芳香族ジカルボン酸が好ましい。
多価カルボン酸としては、ジカルボン酸と共に、架橋構造又は分岐構造をとる3価以上のカルボン酸を併用してもよい。3価以上のカルボン酸としては、例えば、トリメリット酸、ピロメリット酸、これらの無水物、又はこれらの低級(例えば炭素数1以上5以下)アルキルエステル等が挙げられる。
多価カルボン酸は、1種単独で使用してもよいし、2種以上を併用してもよい。
【0045】
多価アルコールとしては、例えば、脂肪族ジオール(例えばエチレングリコール、ジエチレングリコール、トリエチレングリコール、プロピレングリコール、ブタンジオール、ヘキサンジオール、ネオペンチルグリコール等)、脂環式ジオール(例えばシクロヘキサンジオール、シクロヘキサンジメタノール、水添ビスフェノールA等)、芳香族ジオール(例えばビスフェノールAのエチレンオキサイド付加物、ビスフェノールAのプロピレンオキサイド付加物等)が挙げられる。これらの中でも、多価アルコールとしては、例えば、芳香族ジオール、脂環式ジオールが好ましく、より好ましくは芳香族ジオールである。
多価アルコールとしては、ジオールと共に、架橋構造又は分岐構造をとる3価以上の多価アルコールを併用してもよい。3価以上の多価アルコールとしては、例えば、グリセリン、トリメチロールプロパン、ペンタエリスリトールが挙げられる。
多価アルコールは、1種単独で使用してもよいし、2種以上を併用してもよい。
【0046】
ポリエステル樹脂のガラス転移温度(Tg)は、50℃以上80℃以下が好ましく、50℃以上65℃以下がより好ましい。
ガラス転移温度は、示差走査熱量測定(DSC)により得られたDSC曲線より求め、より具体的にはJIS K7121-1987「プラスチックの転移温度測定方法」のガラス転移温度の求め方に記載の「補外ガラス転移開始温度」により求められる。
【0047】
ポリエステル樹脂の重量平均分子量(Mw)は、5000以上1000000以下が好ましく、7000以上500000以下がより好ましい。
ポリエステル樹脂の数平均分子量(Mn)は、2000以上100000以下が好ましい。
ポリエステル樹脂の分子量分布Mw/Mnは、1.5以上100以下が好ましく、2以上60以下がより好ましい。
重量平均分子量及び数平均分子量は、ゲルパーミエーションクロマトグラフィ(GPC)により測定する。GPCによる分子量測定は、測定装置として東ソー製GPC・HLC
-8120GPCを用い、東ソー製カラム・TSKgel SuperHM-M(15cm)を使用し、THF溶媒で行う。重量平均分子量及び数平均分子量は、この測定結果から単分散ポリスチレン標準試料により作成した分子量校正曲線を使用して算出する。
【0048】
ポリエステル樹脂は、公知の製造方法により得られる。具体的には、例えば、重合温度を180℃以上230℃以下とし、必要に応じて反応系内を減圧し、縮合の際に発生する水やアルコールを除去しながら反応させる方法により得られる。
原料の単量体が、反応温度下で溶解又は相溶しない場合は、高沸点の溶剤を溶解補助剤として加え溶解させてもよい。この場合、重縮合反応は溶解補助剤を留去しながら行う。相溶性の悪い単量体が存在する場合は、あらかじめ相溶性の悪い単量体とその単量体と重縮合予定の酸又はアルコールとを縮合させておいてから主成分と重縮合させるとよい。
【0049】
結着樹脂の含有量は、トナー粒子全体に対して、40質量%以上95質量%以下が好ましく、50質量%以上90質量%以下がより好ましく、60質量%以上85質量%以下が更に好ましい。
【0050】
-離型剤-
離型剤としては、例えば、炭化水素系ワックス;カルナバワックス、ライスワックス、キャンデリラワックス等の天然ワックス;モンタンワックス等の合成又は鉱物・石油系ワックス;脂肪酸エステル、モンタン酸エステル等のエステル系ワックス;などが挙げられる。離型剤は、これに限定されるものではない。
中でも、得られる画像のグロス段差抑制性の観点から、炭化水素系ワックスであることが好ましく、パラフィンワックス又はポリエチレンワックスであることがより好ましい。
【0051】
離型剤の融解温度は、50℃以上110℃以下が好ましく、60℃以上100℃以下がより好ましい。
融解温度は、示差走査熱量測定(DSC)により得られたDSC曲線から、JIS K7121-1987「プラスチックの転移温度測定方法」の融解温度の求め方に記載の「融解ピーク温度」により求める。
【0052】
前記トナー粒子中の前記離型剤のドメイン径は、得られる画像のグロス段差抑制性の観点から、前記トナー粒子の粒径の40%以下であることが好ましく、前記トナー粒子の粒径の25%以下であることがより好ましく、前記トナー粒子の粒径の5%以上15%以下であることが特に好ましい。
【0053】
以下、離型剤のドメイン径の測定方法を説明する。
離型剤のドメイン径は、トナーの断面観察により求められる。
【0054】
トナー粒子の断面観察の方法は、次の通りである。
トナー粒子(又は外添剤が付着したトナー粒子)をエポキシ樹脂に混合して包埋し、エポキシ樹脂を固化する。得られた固化物を、ウルトラミクロトーム装置(Leica社製UltracutUCT)により切断し、厚さ80nm以上130nm以下の薄片試料を作製する。次に、得られた薄片試料を30℃のデシケータ内で四酸化ルテニウムにより3時間染色する。そして、超高分解能電界放出形走査電子顕微鏡(FE-SEM。日立ハイテクノロジーズ社製S-4800)にて、染色された薄片試料の透過像モードのSTEM観察画像(加速電圧:30kV、倍率:20,000倍)を得る。
トナー粒子中、コントラストと形状から結着樹脂(結晶性樹脂及び非晶性樹脂)と離型剤の判断を実施する。STEM観察画像において、離型剤以外の結着樹脂は二重結合部分を多く有し四酸化ルテニウムによって染色されるため、離型剤部分と離型剤以外の樹脂部分が識別される。より具体的には、ルテニウム染色により、離型剤が一番薄く染色され、
次いで結晶性樹脂(例えば、結晶性ポリエステル樹脂)が染色され、非晶性樹脂(例えば、非晶性ポリエステル樹脂)が一番濃く染色される。コントラストを調整することで、離型剤は白色に、非晶性樹脂は黒色に、結晶性樹脂はライトグレー色のように観察される。このようにすることで、離型剤のドメインが判別される。
【0055】
離型剤のドメイン径は、以下の方法で求める。
まず、前記STEM観察画像を用いて、1個のトナー粒子につき0.5μm以上のドメインを有する離型剤のドメインを抽出し、そのドメインの最大径を求め、その算術平均値をそれぞれ算出する。同様の作業を、100個分のトナー粒子について行い、100個分のトナー粒子にて得られた値の算術平均値を算出し、これを「離型剤のドメイン径」とする。
【0056】
離型剤の含有量は、トナー粒子の全質量に対して、1質量%以上20質量%以下が好ましく、2質量%以上20質量%以下がより好ましく、3質量%以上15質量%以下が更に好ましい。
【0057】
-その他の添加剤-
その他の添加剤としては、例えば、磁性体、帯電制御剤、無機粉体等の公知の添加剤が挙げられる。これらの添加剤は、内添剤としてトナー粒子に含まれる。
【0058】
-トナー粒子の特性等-
トナー粒子は、単層構造のトナー粒子であってもよいし、芯部(コア粒子)と芯部を被覆する被覆層(シェル層)とで構成された所謂コア・シェル構造のトナー粒子であってもよい。
コア・シェル構造のトナー粒子は、例えば、結着樹脂と必要に応じて着色剤及び離型剤等のその他添加剤とを含んで構成された芯部と、結着樹脂を含んで構成された被覆層と、で構成されていることがよい。
【0059】
トナー粒子の体積平均粒径(D50v)は、2μm以上10μm以下が好ましく、4μm以上8μm以下がより好ましい。
【0060】
トナー粒子の各種平均粒径、及び各種粒度分布指標は、コールターマルチサイザーII(ベックマン・コールター社製)を用い、電解液はISOTON-II(ベックマン・コールター社製)を使用して測定される。
測定に際しては、分散剤として、界面活性剤(アルキルベンゼンスルホン酸ナトリウムが好ましい)の5質量%水溶液2ml中に測定試料を0.5mg以上50mg以下加える。これを電解液100ml以上150ml以下中に添加する。
試料を懸濁した電解液は超音波分散器で1分間分散処理を行い、コールターマルチサイザーIIにより、アパーチャー径100μmのアパーチャーを用いて2μm以上60μm以下の範囲の粒径の粒子の粒度分布を測定する。サンプリングする粒子数は50000個である。
測定される粒度分布を基にして分割された粒度範囲(チャンネル)に対して体積、数をそれぞれ小径側から累積分布を描いて、累積16%となる粒径を体積粒径D16v、数粒径D16p、累積50%となる粒径を体積平均粒径D50v、累積数平均粒径D50p、累積84%となる粒径を体積粒径D84v、数粒径D84pと定義する。
これらを用いて、体積粒度分布指標(GSDv)は(D84v/D16v)1/2、数粒度分布指標(GSDp)は(D84p/D16p)1/2として算出される。
【0061】
トナー粒子の平均円形度は、0.94以上1.00以下が好ましく、0.95以上0.98以下がより好ましい。
【0062】
トナー粒子の平均円形度は、(円相当周囲長)/(周囲長)[(粒子像と同じ投影面積をもつ円の周囲長)/(粒子投影像の周囲長)]により求められる。具体的には、次の方法で測定される値である。
まず、測定対象となるトナー粒子を吸引採取し、扁平な流れを形成させ、瞬時にストロボ発光させることにより静止画像として粒子像を取り込み、その粒子像を画像解析するフロー式粒子像解析装置(シスメックス社製のFPIA-3000)によって求める。そして、平均円形度を求める際のサンプリング数は3500個とする。
トナーが外添剤を有する場合、界面活性剤を含む水中に、測定対象となるトナー(現像剤)を分散させた後、超音波処理を行って外添剤を除去したトナー粒子を得る。
【0063】
〔外添剤〕
外添剤としては、例えば無機粒子が挙げられる。無機粒子として、SiO、TiO、Al、CuO、ZnO、SnO、CeO、Fe、MgO、BaO、CaO、KO、NaO、ZrO、CaO・SiO、KO・(TiO、Al・2SiO、CaCO、MgCO、BaSO、MgSO等が挙げられる。
【0064】
外添剤としての無機粒子の表面は、疎水化処理が施されていることがよい。疎水化処理は、例えば疎水化処理剤に無機粒子を浸漬する等して行う。疎水化処理剤は特に制限されないが、例えば、シラン系カップリング剤、シリコーンオイル、チタネート系カップリング剤、アルミニウム系カップリング剤等が挙げられる。これらは1種単独で使用してもよいし、2種以上を併用してもよい。
疎水化処理剤の量は、通常、例えば、無機粒子100質量部に対して、1質量部以上10質量部以下である。
【0065】
外添剤としては、樹脂粒子(ポリスチレン、ポリメチルメタクリレート、メラミン樹脂等の樹脂粒子)、クリーニング活剤(例えば、ステアリン酸亜鉛に代表される高級脂肪酸の金属塩、フッ素系高分子量体の粒子)等も挙げられる。
【0066】
外添剤の外添量は、トナー粒子に対して、0.01質量%以上5質量%以下が好ましく、0.01質量%以上2.0質量%以下がより好ましい。
【0067】
本実施形態に係る蛍光グリーントナーは、コート紙に形成したベタ画像について、分光反射スペクトルにおける反射ピークの反射率が70%以上であることが好ましい。
【0068】
〔蛍光グリーントナーの製造方法〕
本実施形態に係る蛍光グリーントナーは、トナー粒子を製造後、トナー粒子に外添剤を外添することで得られる。
【0069】
トナー粒子は、乾式製法(例えば、混練粉砕法等)、湿式製法(例えば、凝集合一法、懸濁重合法、溶解懸濁法等)のいずれにより製造してもよい。これらの製法に特に制限はなく、公知の製法が採用される。これらの中でも、凝集合一法により、トナー粒子を得ることがよい。
【0070】
トナー粒子を凝集合一法により製造する場合、下記の製造方法が好ましい。
結着樹脂となる樹脂粒子が分散した樹脂粒子分散液を準備する工程(樹脂粒子分散液準備工程)と;
蛍光黄色染料Syで着色された着色粒子が分散した分散液を準備する工程(染料着色粒子分散液準備工程)と;
黄色顔料Py及び顔料Pgcのそれぞれが分散した顔料分散液を準備する工程(顔料分散液準備工程)と;
樹脂粒子分散液と着色含有粒子分散液と着色含有粒子分散液とを混合した混合分散液中で、混合した粒子を凝集させ、凝集粒子を形成する工程(凝集粒子形成工程)と;
凝集粒子が分散した凝集粒子分散液を加熱し、凝集粒子を融合・合一して、グリーントナー粒子を形成する工程(融合・合一工程)と;を有する製造方法。
【0071】
以下、各工程の詳細について説明する。
【0072】
-樹脂粒子分散液準備工程-
樹脂粒子分散液は、例えば、結着樹脂となる樹脂粒子を界面活性剤により分散媒中に分散させることにより調製する。
【0073】
樹脂粒子分散液に用いる分散媒としては、例えば水系媒体が挙げられる。
水系媒体としては、例えば、蒸留水、イオン交換水等の水、アルコール類等が挙げられる。これらは、1種単独で使用してもよいし、2種以上を併用してもよい。
【0074】
界面活性剤としては、例えば、硫酸エステル塩系、スルホン酸塩系、リン酸エステル系、せっけん系等のアニオン界面活性剤;アミン塩型、4級アンモニウム塩型等のカチオン界面活性剤;ポリエチレングリコール系、アルキルフェノールエチレンオキサイド付加物系、多価アルコール系等の非イオン系界面活性剤等が挙げられる。これらの中でも特に、アニオン界面活性剤、カチオン界面活性剤が挙げられる。非イオン系界面活性剤は、アニオン界面活性剤又はカチオン界面活性剤と併用してもよい。
界面活性剤は、1種単独で使用してもよいし、2種以上を併用してもよい。
【0075】
樹脂粒子分散液において、樹脂粒子を分散媒に分散する方法としては、例えば回転せん断型ホモジナイザーや、メディアを有するボールミル、サンドミル、ダイノミル等の一般的な分散方法が挙げられる。また、樹脂粒子の種類によっては、転相乳化法によって分散媒に樹脂粒子を分散させてもよい。転相乳化法とは、分散すべき樹脂を、その樹脂が可溶な疎水性有機溶剤中に溶解せしめ、有機連続相(O相)に塩基を加えて中和したのち、水系媒体(W相)を投入することによって、W/OからO/Wへの転相を行い、樹脂を水系媒体中に粒子状に分散する方法である。
【0076】
樹脂粒子分散液中に分散する樹脂粒子の体積平均粒径としては、例えば0.01μm以上1μm以下が好ましく、0.08μm以上0.8μm以下がより好ましく、0.1μm以上0.6μm以下が更に好ましい。樹脂粒子の体積平均粒径は、レーザ回折式粒度分布測定装置(例えば、堀場製作所製LA-700)の測定によって得られた粒度分布を用い、分割された粒度範囲(チャンネル)に対し、体積について小粒径側から累積分布を引き、全粒子に対して累積50%となる粒径を体積平均粒径D50vとして測定される。なお、他の分散液中の粒子の体積平均粒径も同様に測定される。
【0077】
樹脂粒子分散液に含まれる樹脂粒子の含有量は、5質量%以上50質量%以下が好ましく、10質量%以上40質量%以下がより好ましい。
【0078】
離型剤粒子分散液の調製方法は、樹脂粒子分散液と同様である。離型剤粒子分散液に含まれる離型剤粒子の含有量は、5質量%以上50質量%以下が好ましく、10質量%以上40質量%以下がより好ましい。
【0079】
-染料着色粒子分散液準備工程-
染料着色粒子分散液は、例えば、蛍光黄色染料Syを樹脂と加熱混合した後、混合物を粉砕することで得られた着色粒子を、界面活性剤により分散媒中に分散させることにより調製する。
蛍光黄色染料Syと加熱混合する樹脂は、結着樹脂となる樹脂が用いられる。
【0080】
混合物の粉砕には、バンバリーミキサー、ジェットミル等の公知の粉砕機が用いられ、複数の粉砕機を組み合わせてもよい。
【0081】
染料着色粒子に用いる分散媒としては、例えば、水系媒体が挙げられる。
水系媒体としては、例えば、蒸留水、イオン交換水等の水、アルコール類等が挙げられる。これらは、1種単独で使用してもよいし、2種以上を併用してもよい。
【0082】
界面活性剤としては、例えば、硫酸エステル塩系、スルホン酸塩系、リン酸エステル系、せっけん系等のアニオン界面活性剤;アミン塩型、4級アンモニウム塩型等のカチオン界面活性剤;ポリエチレングリコール系、アルキルフェノールエチレンオキサイド付加物系、多価アルコール系等の非イオン系界面活性剤等が挙げられる。これらの中でも特に、アニオン界面活性剤、カチオン界面活性剤が挙げられる。非イオン系界面活性剤は、アニオン界面活性剤又はカチオン界面活性剤と併用してもよい。
界面活性剤は、1種単独で使用してもよいし、2種以上を併用してもよい。
【0083】
染料着色粒子を分散媒に分散する方法としては、例えば、回転せん断型ホモジナイザー、メディアを有するボールミル、サンドミル、ダイノミル、キーミル等を用いた分散方法が挙げられる。
【0084】
染料着色粒子分散液に含まれる染料着色粒子の体積平均粒径としては、例えば、0.05μm以上5μm以下が好ましく、0.1μm以上2μm以下がより好ましい。染料着色粒子の粒径は、例えば、分散処理の方法及び時間によって調整することができる。
【0085】
染料着色粒子分散液に含まれる染料着色粒子は、5質量%以上50質量%以下が好ましく、10質量%以上40質量%以下がより好ましい。
【0086】
-顔料分散液準備工程-
顔料分散液は、例えば、黄色顔料Py及び顔料Pgcのそれぞれを界面活性剤により分散媒中に分散させることにより調製する。
【0087】
顔料分散液に用いる分散媒としては、例えば、水系媒体が挙げられる。
水系媒体としては、例えば、蒸留水、イオン交換水等の水、アルコール類等が挙げられる。これらは、1種単独で使用してもよいし、2種以上を併用してもよい。
【0088】
界面活性剤としては、例えば、硫酸エステル塩系、スルホン酸塩系、リン酸エステル系、せっけん系等のアニオン界面活性剤;アミン塩型、4級アンモニウム塩型等のカチオン界面活性剤;ポリエチレングリコール系、アルキルフェノールエチレンオキサイド付加物系、多価アルコール系等の非イオン系界面活性剤等が挙げられる。これらの中でも特に、アニオン界面活性剤、カチオン界面活性剤が挙げられる。非イオン系界面活性剤は、アニオン界面活性剤又はカチオン界面活性剤と併用してもよい。
界面活性剤は、1種単独で使用してもよいし、2種以上を併用してもよい。
【0089】
黄色顔料Py及び顔料Pgcのそれぞれを分散媒に分散する方法としては、例えば、回転せん断型ホモジナイザー、メディアを有するボールミル、サンドミル、ダイノミル、キーミル等を用いた分散方法が挙げられる。
【0090】
黄色顔料Py及び顔料Pgcの体積平均粒径としては、例えば、50nm以上800nm以下が好ましく、150nm以上600nm以下がより好ましく、250nm以上400nm以下が更に好ましい。黄色顔料Py及び顔料Pgcの粒径は、例えば、分散処理の方法及び時間によって調整することができる。
【0091】
顔料分散液に含まれる黄色顔料Py及び顔料Pgcのそれぞれの含有量は、5質量%以上50質量%以下が好ましく、10質量%以上40質量%以下がより好ましい。
【0092】
-凝集粒子形成工程-
樹脂粒子分散液と親水性基を有する蛍光顔料分散液とハロゲン原子を有する顔料分散液と離型剤粒子分散液とを混合する。そして、混合分散液中で、樹脂粒子と親水性基を有する蛍光顔料とハロゲン原子を有する顔料と離型剤粒子とをヘテロ凝集させ目的とするトナー粒子の径に近い径を持つ、樹脂粒子と親水性基を有する蛍光顔料とハロゲン原子を有する顔料と離型剤粒子とを含む凝集粒子を形成する。
【0093】
具体的には、例えば、混合分散液に凝集剤を添加すると共に、混合分散液のpHを酸性(例えばpH2以上5以下)に調整し、必要に応じて分散安定剤を添加した後、樹脂粒子のガラス転移温度に近い温度(具体的には、例えば、樹脂粒子のガラス転移温度-30℃以上ガラス転移温度-10℃以下)に加熱し、混合分散液に分散した粒子を凝集させて、凝集粒子を形成する。
凝集粒子形成工程においては、例えば、混合分散液を回転せん断型ホモジナイザーで攪拌下、室温(例えば25℃)で凝集剤を添加し、混合分散液のpHを酸性(例えばpH2以上5以下)に調整し、必要に応じて分散安定剤を添加した後に、加熱を行ってもよい。
【0094】
凝集剤としては、例えば、混合分散液に含まれる界面活性剤と逆極性の界面活性剤、無機金属塩、2価以上の金属錯体が挙げられる。凝集剤として金属錯体を用いた場合には、界面活性剤の使用量が低減され、帯電特性が向上する。
凝集剤と共に、該凝集剤の金属イオンと錯体もしくは類似の結合を形成する添加剤を必要に応じて用いてもよい。この添加剤としては、キレート剤が好適に用いられる。
【0095】
無機金属塩としては、例えば、塩化カルシウム、硝酸カルシウム、塩化バリウム、塩化マグネシウム、塩化亜鉛、塩化アルミニウム、硫酸アルミニウム等の金属塩;ポリ塩化アルミニウム、ポリ水酸化アルミニウム、多硫化カルシウム等の無機金属塩重合体;などが挙げられる。
キレート剤としては、水溶性のキレート剤を用いてもよい。キレート剤としては、例えば、酒石酸、クエン酸、グルコン酸等のオキシカルボン酸;イミノ二酸酢(IDA)、ニトリロ三酢酸(NTA)、エチレンジアミン四酢酸(EDTA)等のアミノカルボン酸;などが挙げられる。
キレート剤の添加量は、樹脂粒子100質量部に対して0.01質量部以上5.0質量部以下が好ましく、0.1質量部以上3.0質量部未満がより好ましい。
【0096】
-融合・合一工程-
次に、凝集粒子が分散した凝集粒子分散液を、例えば、樹脂粒子のガラス転移温度以上(例えば樹脂粒子のガラス転移温度より10℃から30℃高い温度)に加熱して、凝集粒子を融合・合一し、トナー粒子を形成する。
【0097】
以上の工程を経て、トナー粒子が得られる。
凝集粒子が分散された凝集粒子分散液を得た後、当該凝集粒子分散液と、樹脂粒子が分散された樹脂粒子分散液とをさらに混合し、凝集粒子の表面にさらに樹脂粒子を付着するように凝集して、第2凝集粒子を形成する工程と、第2凝集粒子が分散された第2凝集粒子分散液に対して加熱をし、第2凝集粒子を融合・合一して、コア・シェル構造のトナー
粒子を形成する工程と、を経て、トナー粒子を製造してもよい。
【0098】
融合・合一工程終了後、分散液中のトナー粒子に、公知の洗浄工程、固液分離工程、及び乾燥工程を施して乾燥した状態のトナー粒子を得る。洗浄工程は、帯電性の観点から、イオン交換水による置換洗浄を充分に施すことがよい。固液分離工程は、生産性の観点から、吸引濾過、加圧濾過等を施すことがよい。乾燥工程は、生産性の観点から、凍結乾燥、気流乾燥、流動乾燥、振動型流動乾燥等を施すことがよい。
【0099】
本実施形態に係るトナーは、例えば、得られた乾燥状態のトナー粒子に、外添剤を添加し、混合することにより製造される。混合は、例えばVブレンダー、ヘンシェルミキサー、レーディゲミキサー等によって行うことがよい。更に、必要に応じて、振動篩分機、風力篩分機等を使ってトナーの粗大粒子を取り除いてもよい。
【0100】
<静電荷像現像剤>
本実施形態に係る静電荷像現像剤は、本実施形態に係るグリーントナーを少なくとも含むものである。
本実施形態に係る静電荷像現像剤は、本実施形態に係るグリーントナーのみを含む一成分現像剤であってもよいし、当該グリーントナーとキャリアとを混合した二成分現像剤であってもよい。
【0101】
キャリアとしては、特に制限はなく、公知のキャリアが挙げられる。キャリアとしては、例えば、磁性粉からなる芯材の表面に樹脂を被覆した被覆キャリア;マトリックス樹脂中に磁性粉が分散して配合された磁性粉分散型キャリア;多孔質の磁性粉に樹脂を含浸させた樹脂含浸型キャリア;などが挙げられる。
磁性粉分散型キャリア及び樹脂含浸型キャリアは、当該キャリアの構成粒子を芯材とし、この表面を樹脂で被覆したキャリアであってもよい。
【0102】
磁性粉としては、例えば、鉄、ニッケル、コバルト等の磁性金属;フェライト、マグネタイト等の磁性酸化物;などが挙げられる。
【0103】
被覆用の樹脂及びマトリックス樹脂としては、例えば、ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリスチレン、ポリビニルアセテート、ポリビニルアルコール、ポリビニルブチラール、ポリ塩化ビニル、ポリビニルエーテル、ポリビニルケトン、塩化ビニル-酢酸ビニル共重合体、スチレンアクリル酸エステル共重合体、オルガノシロキサン結合を含んで構成されるストレートシリコーン樹脂又はその変性品、フッ素樹脂、ポリエステル、ポリカーボネート、フェノール樹脂、エポキシ樹脂等が挙げられる。被覆用の樹脂及びマトリックス樹脂には、導電性粒子等、その他添加剤を含ませてもよい。導電性粒子としては、金、銀、銅等の金属、カーボンブラック、酸化チタン、酸化亜鉛、酸化スズ、硫酸バリウム、ホウ酸アルミニウム、チタン酸カリウム等の粒子が挙げられる。
【0104】
芯材の表面を樹脂で被覆するには、被覆用の樹脂、及び各種添加剤(必要に応じて使用する)を適当な溶媒に溶解した被覆層形成用溶液により被覆する方法等が挙げられる。溶媒としては、特に限定されるものではなく、使用する樹脂の種類や、塗布適性等を勘案して選択すればよい。
具体的な樹脂被覆方法としては、芯材を被覆層形成用溶液中に浸漬する浸漬法;被覆層形成用溶液を芯材表面に噴霧するスプレー法;芯材を流動エアーにより浮遊させた状態で被覆層形成用溶液を噴霧する流動床法;ニーダーコーター中でキャリアの芯材と被覆層形成用溶液とを混合し、その後に溶剤を除去するニーダーコーター法;等が挙げられる。
【0105】
二成分現像剤におけるグリーントナーとキャリアとの混合比(質量比)は、グリーント
ナー:キャリア=1:100乃至30:100が好ましく、3:100乃至20:100がより好ましい。
【0106】
<画像形成装置、画像形成方法>
本実施形態に係る画像形成装置及び画像形成方法について説明する。
本実施形態に係る画像形成装置は、像保持体と、像保持体の表面を帯電する帯電手段と、帯電した像保持体の表面に静電荷像を形成する静電荷像形成手段と、静電荷像現像剤を収容し、静電荷像現像剤により、像保持体の表面に形成された静電荷像をトナー画像として現像する現像手段と、像保持体の表面に形成されたトナー画像を記録媒体の表面に転写する転写手段と、記録媒体の表面に転写されたトナー画像を定着する定着手段と、を備える。そして、静電荷像現像剤として、本実施形態に係る静電荷像現像剤が適用される。
【0107】
本実施形態に係る画像形成装置では、像保持体の表面を帯電する帯電工程と、帯電した像保持体の表面に静電荷像を形成する静電荷像形成工程と、本実施形態に係る静電荷像現像剤により、像保持体の表面に形成された静電荷像をトナー画像として現像する現像工程と、像保持体の表面に形成されたトナー画像を記録媒体の表面に転写する転写工程と、記録媒体の表面に転写されたトナー画像を定着する定着工程と、を有する画像形成方法(本実施形態に係る画像形成方法)が実施される。
【0108】
本実施形態に係る画像形成装置は、像保持体の表面に形成されたトナー画像を直接記録媒体に転写する直接転写方式の装置;像保持体の表面に形成されたトナー画像を中間転写体の表面に一次転写し、中間転写体の表面に転写されたトナー画像を記録媒体の表面に二次転写する中間転写方式の装置;トナー画像の転写後、帯電前の像保持体の表面をクリーニングするクリーニング手段を備えた装置;トナー画像の転写後、帯電前に像保持体の表面に除電光を照射して除電する除電手段を備える装置;等の公知の画像形成装置が適用される。
本実施形態に係る画像形成装置が中間転写方式の装置の場合、転写手段は、例えば、表面にトナー画像が転写される中間転写体と、像保持体の表面に形成されたトナー画像を中間転写体の表面に一次転写する一次転写手段と、中間転写体の表面に転写されたトナー画像を記録媒体の表面に二次転写する二次転写手段と、を有する構成が適用される。
【0109】
本実施形態に係る画像形成装置において、例えば、現像手段を含む部分が、画像形成装置に着脱するカートリッジ構造(プロセスカートリッジ)であってもよい。プロセスカートリッジとしては、例えば、本実施形態に係る静電荷像現像剤を収容し、現像手段を備えるプロセスカートリッジが好適に用いられる。
【0110】
以下、本実施形態に係る画像形成装置の一例を示すが、これに限定されるわけではない。以下の説明においては、図に示す主要部を説明し、その他はその説明を省略する。
【0111】
以下の説明においては、本実施形態に係る画像形成装置の一例として、画像形成ユニットを6つ並べた6連タンデム型画像形成装置を説明する。タンデム型画像形成装置はこれに限られず、画像形成ユニットを5つ並べた5連タンデム型画像形成装置、画像形成ユニットを4つ並べた4連タンデム型画像形成装置などであってもよい。
【0112】
図1は、本実施形態に係る画像形成装置を示す概略構成図であり、6連タンデム方式且つ中間転写方式の画像形成装置を示す図である。
図1に示す画像形成装置は、色分解された画像データに基づく、ピンク(P)、イエロー(Y)、マゼンタ(M)、シアン(C)、ブラック(K)、グリーン(G)の各色の画像を出力する電子写真方式の画像形成手段である第1乃至第6の画像形成ユニット10P、10Y、10M、10C、10K、10Gを備えている。これらの画像形成ユニット(
以下、単に「ユニット」と称する場合がある)10P、10Y、10M、10C、10K、10Gは、水平方向に互いに予め定められた距離離間して並設されている。これらユニット10P、10Y、10M、10C、10K、10Gは、画像形成装置に着脱するプロセスカートリッジであってもよい。
【0113】
各ユニット10P、10Y、10M、10C、10K、10Gの下方には、各ユニットを通して中間転写ベルト(中間転写体の一例)20が延設されている。中間転写ベルト20は、中間転写ベルト20の内面に接する、駆動ロール22、支持ロール23、及び対向ロール24に巻きつけて設けられ、第1ユニット10Pから第6ユニット10Gに向う方向に走行するようになっている。中間転写ベルト20の像保持面側には、駆動ロール22と対向して中間転写体クリーニング装置21が備えられている。
【0114】
各ユニット10P、10Y、10M、10C、10K、10Gの現像装置(現像手段の一例)4P、4Y、4M、4C、4K、4Gのそれぞれには、トナーカートリッジ8P、8Y、8M、8C、8K、8Gに収められたピンク、イエロー、マゼンタ、シアン、ブラック、グリーンの各トナーの供給がなされる。
【0115】
第1乃至第6のユニット10P、10Y、10M、10C、10K、10Gは、同等の構成及び動作を有しているため、ここではグリーンの画像を形成する第6ユニット10Gについて代表して説明する。
【0116】
第6ユニット10Gは、像保持体として作用する感光体1Gを有している。感光体1Gの周囲には、感光体1Gの表面を予め定められた電位に帯電させる帯電ロール(帯電手段の一例)2G、帯電された表面を色分解された画像信号に基づくレーザ光線によって露光して静電荷像を形成する露光装置(静電荷像形成手段の一例)3G、静電荷像にトナーを供給して静電荷像を現像する現像装置(現像手段の一例)4G、現像したトナー画像を中間転写ベルト20上に転写する一次転写ロール(一次転写手段の一例)5G、及び一次転写後に感光体1Gの表面に残存するトナーを除去する感光体クリーニング装置(クリーニング手段の一例)6Gが順に配置されている。
【0117】
一次転写ロール5Gは、中間転写ベルト20の内側に配置され、感光体1Gに対向した位置に設けられている。各ユニットの一次転写ロール5Y、5P、5M、5C、5G、5Kには、一次転写バイアスを印加するバイアス電源(図示せず)がそれぞれ接続されている。各バイアス電源は、図示しない制御部による制御によって、各一次転写ロールに印加する転写バイアスの値を変える。
【0118】
以下、第6ユニット10Gにおいてグリーンの画像を形成する動作について説明する。
まず、動作に先立って、帯電ロール2Gによって感光体1Gの表面が-600V乃至-800Vの電位に帯電される。
感光体1Gは、導電性(例えば20℃における体積抵抗率1×10-6Ωcm以下)の基体上に感光層を積層して形成されている。この感光層は、通常は高抵抗(一般の樹脂の抵抗)であるが、レーザ光線が照射されると、レーザ光線が照射された部分の比抵抗が変化する性質を持っている。そこで、帯電した感光体1Gの表面に、図示しない制御部から送られてくるグリーンの画像データに従って、露光装置3Gからレーザ光線を照射する。それにより、グリーンの画像パターンの静電荷像が感光体1Gの表面に形成される。
【0119】
静電荷像とは、帯電によって感光体1Gの表面に形成される像であり、露光装置3Gからのレーザ光線によって、感光層の被照射部分の比抵抗が低下し、感光体1Gの表面の帯電した電荷が流れ、一方、レーザ光線が照射されなかった部分の電荷が残留することによって形成される、いわゆるネガ潜像である。
感光体1G上に形成された静電荷像は、感光体1Gの走行に従って予め定められた現像位置まで回転する。そして、この現像位置で、感光体1G上の静電荷像が、現像装置4Gによってトナー画像として現像され可視化される。
【0120】
現像装置4G内には、例えば、少なくともグリーントナーとキャリアとを含む静電荷像現像剤が収容されている。グリーントナーは、現像装置4Gの内部で撹拌されることで摩擦帯電し、感光体1G上に帯電した帯電荷と同極性(負極性)の電荷を有して現像剤ロール(現像剤保持体の一例)上に保持されている。そして、感光体1Gの表面が現像装置4Gを通過していくことにより、感光体1G表面上の除電された潜像部にグリーントナーが静電的に付着し、潜像がグリーントナーによって現像される。グリーンのトナー画像が形成された感光体1Gは、引続き予め定められた速度で走行され、感光体1G上に現像されたトナー画像が予め定められた一次転写位置へ搬送される。
【0121】
感光体1G上のグリーンのトナー画像が一次転写位置へ搬送されると、一次転写ロール5Gに一次転写バイアスが印加され、感光体1Gから一次転写ロール5Gに向う静電気力がトナー画像に作用し、感光体1G上のトナー画像が中間転写ベルト20上に転写される。このとき印加される転写バイアスは、トナーの極性(-)と逆極性の(+)極性であり、第1ユニット10Gでは制御部(図示せず)によって例えば+10μAに制御されている。
【0122】
トナー画像を中間転写ベルト20に転写した後の感光体1Gは、回転を続け、感光体クリーニング装置6Gが備えるクリーニングブレードと接触する。感光体1G上に残留したトナーは、感光体クリーニング装置6Gで除去されて回収される。
【0123】
中間転写ベルト20は、第1乃至第6の画像形成ユニット10P、10Y、10M、10C、10K、10Gを通して順次搬送され、各色のトナー画像が重ねられて多重転写される。
【0124】
第1乃至第6のユニットを通して6色のトナー画像が多重転写された中間転写ベルト20は、中間転写ベルト20と、中間転写ベルトの内面に接する対向ロール24と、中間転写ベルト20の像保持面側に配置された二次転写ロール(二次転写手段の一例)26とから構成された二次転写部へと至る。一方、記録紙(記録媒体の一例)Pが供給機構を介して二次転写ロール26と中間転写ベルト20とが接触した隙間に予め定められたタイミングで給紙され、二次転写バイアスが対向ロール24に印加される。このとき印加される転写バイアスは、トナーの極性(-)と同極性の(-)極性であり、中間転写ベルト20から記録紙Pに向う静電気力がトナー画像に作用し、中間転写ベルト20上のトナー画像が記録紙P上に転写される。この際の二次転写バイアスは二次転写部の抵抗を検出する抵抗検出手段(図示せず)により検出された抵抗に応じて決定されるものであり、電圧制御されている。
【0125】
トナー画像を記録紙Pに転写した後の中間転写ベルト20は、走行を続け、中間転写体クリーニング装置21が備えるクリーニングブレードと接触する。中間転写ベルト20上に残留したトナーは、中間転写体クリーニング装置21で除去されて回収される。
【0126】
トナー画像が転写された記録紙Pは定着装置(定着手段の一例)28における一対の定着ロールの圧接部(ニップ部)へと送り込まれ、トナー画像が記録紙P上へ定着され、定着画像が形成される。
【0127】
トナー画像を転写する記録紙Pとしては、例えば、電子写真方式の複写機、プリンター等に使用される普通紙が挙げられる。記録媒体としては、記録紙P以外にも、OHPシート等も挙げられる。
定着後における画像表面の平滑性をさらに向上させるには、記録紙Pの表面も平滑であることが好ましく、例えば、普通紙の表面を樹脂等でコーティングしたコート紙、印刷用のアート紙等が好適に使用される。
【0128】
カラー画像の定着が完了した記録紙Pは、排出部へ向けて搬出され、一連のカラー画像形成動作が終了される。
【0129】
<プロセスカートリッジ、トナーカートリッジ>
本実施形態に係るプロセスカートリッジについて説明する。
本実施形態に係るプロセスカートリッジは、本実施形態に係る静電荷像現像剤を収容し、静電荷像現像剤により、像保持体の表面に形成された静電荷像をトナー画像として現像する現像手段を備え、画像形成装置に着脱されるプロセスカートリッジである。
【0130】
本実施形態に係るプロセスカートリッジは、上記構成に限らず、現像手段と、その他、必要に応じて、例えば、像保持体、帯電手段、静電荷像形成手段、及び転写手段等のその他手段から選択される少なくとも一つと、を備える構成であってもよい。
【0131】
以下、本実施形態に係るプロセスカートリッジの一例を示すが、これに限定されるわけではない。以下の説明においては、図に示す主要部を説明し、その他はその説明を省略する。
【0132】
図2は、本実施形態に係るプロセスカートリッジを示す概略構成図である。
図2に示すプロセスカートリッジ200は、例えば、取り付けレール116及び露光のための開口部118が備えられた筐体117により、感光体107(像保持体の一例)と、感光体107の周囲に備えられた帯電ロール108(帯電手段の一例)、現像装置111(現像手段の一例)、及び感光体クリーニング装置113(クリーニング手段の一例)を一体的に組み合わせて保持して構成し、カートリッジ化されている。
図2中、109は露光装置(静電荷像形成手段の一例)、112は転写装置(転写手段の一例)、115は定着装置(定着手段の一例)、300は記録紙(記録媒体の一例)を示している。
【0133】
次に、本実施形態に係るトナーカートリッジについて説明する。
本実施形態に係るトナーカートリッジは、本実施形態に係る蛍光グリーントナーを収容し、画像形成装置に着脱されるトナーカートリッジである。トナーカートリッジは、画像形成装置内に設けられた現像手段に供給するための補給用のトナーを収容するものである。
【0134】
図1に示す画像形成装置は、トナーカートリッジ8Y、8P、8M、8C、8G、8Kが着脱される構成を有する画像形成装置であり、現像装置4Y、4P、4M、4C、4G、4Kは、各々の色に対応したトナーカートリッジと、図示しないトナー供給管で接続されている。また、トナーカートリッジ内に収容されているトナーが少なくなった場合には、このトナーカートリッジが交換される。本実施形態に係るトナーカートリッジの一例が、トナーカートリッジ8Gであり、本実施形態に係るグリーントナーが収容されている。トナーカートリッジ8P、8Y、8M、8C、8Kにはそれぞれ、ピンク、イエロー、マゼンタ、シアン、ブラックの各トナーが収容されている。
【0135】
<印刷物>
本実施形態に係る印刷物は、記録媒体と、前記記録媒体表面に形成された、本実施形態に係る蛍光グリーントナーによる画像と、を有する。
本実施形態に係る印刷物は、既述の、本実施形態に係る画像形成装置又は画像形成方法により得られる。
ここで、本実施形態に係る蛍光グリーントナーによる画像とは、本実施形態に係る蛍光グリーントナーを少なくとも用いて得られた画像(即ち、定着画像)であればよい。そのため、本実施形態に係る蛍光グリーントナーによる画像は、本実施形態に係る蛍光グリーントナーのみを用いて得られた画像であってもよいし、本実施形態に係る蛍光グリーントナーと、他の色のトナーとを用いて得られた画像であってもよい。
本実施形態に係る印刷物は、記録媒体の表面に、本実施形態に係る蛍光グリーントナーによる画像を有していればよく、更に、本実施形態に係る蛍光グリーントナー以外の色(例えば、上述のピンク、イエロー、マゼンタ、シアン、ブラック等)による画像を有していてもよい。
また、本実施形態に係る印刷物における記録媒体は、既述のように、記録紙Pであってもよいし、OHPシート等であってもよい。
【実施例0136】
以下、実施例により発明の実施形態を詳細に説明するが、発明の実施形態は、これら実施例に限定されるものではない。
以下の説明において、特に断りのない限り、「部」及び「%」は質量基準である。
合成、処理、製造などは、特に断りのない限り、室温(25℃±3℃)で行った。
【0137】
(実施例1)
<染料着色粒子の作製>
・ポリエステル樹脂(DIC(株)製、ファインディック M-8020):95部
・蛍光黄色染料Sy(C.I. Solvent Green 5、有本化学工業(株)製、Plast Yellow 8025):5部
上記成分を加熱混合し(170℃、2時間)、バンバリーミキサーで粗粉砕し、更に、粉砕機AFG100(ホソカワミクロン(株)製)で1.9μmまで粉砕し、ポリエステル樹脂を蛍光黄色染料Syで着色してなる染料着色粒子を得た。
【0138】
<染料着色粒子分散液(1)の調製>
・染料着色粒子:200部
・界面活性剤(第一工業製薬(株)製、ネオゲンRK):15部(固形分濃度20%)
・純水:785部
上記の材料を混合し、ホモジナイザー(IKA社、商品名ウルトラタラックスT50)で分散して、染料着色粒子分散液(1)(固形分濃度20%)を作製した。
【0139】
<顔料粒子分散液(1)の調製>
・黄色顔料Py(C.I. Pigment Yellow 3、ZEYACHEM社製、コリマックスイエロー10G):70部
・アニオン性界面活性剤(第一工業製薬(株)製、ネオゲンRK):30部(固形分濃度20%)
・イオン交換水:200部
上記成分を混合し、連続式キーミル(KMC-3、(株)井上製作所製)で0.2μmまで粉砕し、固形分量を20質量%に調整し、顔料粒子分散液(1)を得た。
【0140】
<顔料粒子分散液(2)の調製>
・緑色顔料Pgc(C.I. Pigment Green 36、トーヨーカラー(株)製、LIONOL GREEN 8624):70部
・アニオン性界面活性剤(第一工業製薬(株)製、ネオゲンRK):30部(固形分濃度20%)
・イオン交換水:200部
上記成分を混合し、連続式キーミル(KMC-3、(株)井上製作所製)で0.2μmまで粉砕し、固形分量を20質量%に調整し、顔料粒子分散液(2)を得た。
【0141】
<樹脂粒子分散液(1)の調製>
・テレフタル酸:30モル部
・フマル酸:70モル部
・ビスフェノールAエチレンオキサイド付加物:5モル部
・ビスフェノールAプロピレンオキサイド付加物:95モル部
撹拌装置、窒素導入管、温度センサ及び精留塔を備えたフラスコに、上記の材料を仕込み、1時間かけて温度を220℃まで上げ、上記材料100部に対してチタンテトラエトキシド1部を投入した。生成する水を留去しながら30分間かけて230℃まで温度を上げ、該温度で1時間脱水縮合反応を継続した後、反応物を冷却した。こうして、重量平均分子量18,000、ガラス転移温度60℃のポリエステル樹脂を得た。
温度調節手段及び窒素置換手段を備えた容器に、酢酸エチル40部及び2-ブタノール25部を投入し、混合溶剤とした後、ポリエステル樹脂100部を徐々に投入し溶解させ、ここに、10質量%アンモニア水溶液(樹脂の酸価に対してモル比で3倍量相当量)を入れて30分間撹拌した。次いで、容器内を乾燥窒素で置換し、温度を40℃に保持して、混合液を攪拌しながらイオン交換水400部を2部/分の速度で滴下した。滴下終了後、室温(20℃乃至25℃)に戻し、撹拌しつつ乾燥窒素により48時間バブリングを行うことにより、酢酸エチル及び2-ブタノールを1,000ppm以下まで低減させた樹脂粒子分散液を得た。前記樹脂粒子分散液にイオン交換水を加え、固形分量を20質量%に調整し、樹脂粒子分散液(1)を得た。
【0142】
<離型剤粒子分散液(1)の調製>
・パラフィンワックス(日本精蝋(株)製、HNP-9):100部
・アニオン性界面活性剤(第一工業製薬(株)製、ネオゲンRK):1部
・イオン交換水:350部
上記の材料を混合して100℃に加熱し、ホモジナイザー(IKA社、商品名ウルトラタラックスT50)を用いて分散した後、マントンゴーリン高圧ホモジナイザー(ゴーリン社)で分散処理し、体積平均粒径200nmの離型剤粒子が分散された離型剤粒子分散液(1)(固形分量20質量%)を得た。
【0143】
<トナー粒子(1)の作製>
・樹脂粒子分散液(1):335部
・染料着色粒子分散液(1):100部
・顔料粒子分散液(1):15部
・顔料粒子分散液(2):25部
・離型剤粒子分散液(1):25部
・アニオン界面活性剤(第一工業製薬(株):ネオゲンRK、20%):10部
上記の材料を丸型ステンレス製フラスコに入れ、0.1N(=mol/L)の硝酸を添加してpHを3.5に調整した後、ポリ塩化アルミニウム濃度が10質量%の硝酸水溶液30部を添加した。次いで、ホモジナイザー(IKA社製、商品名ウルトラタラックスT50)を用いて液温30℃において分散した後、加熱用オイルバス中で45℃まで加熱し30分間保持した。その後、樹脂粒子分散液(1)50部を追加し1時間保持し、0.1N水酸化ナトリウム水溶液を添加してpHを8.5に調整した後、84℃まで加熱し2.5時間保持した。次いで、20℃/分の速度で20℃まで冷却し、固形分を濾別し、イオン交換水で充分に洗浄し、乾燥させることによりトナー粒子(1)を得た。トナー粒子(1)の体積平均粒径は5.8μmであった。
【0144】
<トナーの作製>
得られたトナー粒子(1)100質量部に対して疎水性シリカ(日本アエロジル(株)製、RY50)を1.5質量部と疎水性酸化チタン(日本アエロジル(株)製、T805)を1.0質量部とを、サンプルミルを用いて10,000rpm(revolutions per minute)で30秒間混合ブレンドした。
その後、目開き45μmの振動篩いで篩分して、蛍光グリーントナー(1)を調製した。
得られた蛍光グリーントナー(1)の体積平均粒径は、5.8μmであった。
【0145】
<静電荷像現像剤の作製>
蛍光グリーントナー(1)を8部と、下記の方法で得られたキャリア(1)を92部とを、Vブレンダーにて混合し、現像剤(静電荷像現像剤)(1)を作製した。
【0146】
<キャリア(1)の作製>
・フェライト粒子(平均粒径35μm):100部
・トルエン:14部
・ポリメチルメタクリレート(MMA、重量平均分子量75,000):5部
・カーボンブラック(VXC-72、キャボット社製、体積抵抗率:100Ωcm以下):0.2部
フェライト粒子を除く上記材料をサンドミルにて分散して分散液を調製し、この分散液をフェライト粒子とともに真空脱気型ニーダに入れ、攪拌しながら減圧し乾燥させることによりキャリア(1)を得た。
【0147】
<実施例2~実施例26、比較例1~比較例5>
染料着色粒子分散液(1)を調製する際に用いた蛍光黄色染料Sy、黄色顔料粒子分散液(1)を調製する際に用いた黄色顔料Py、及び、緑色顔料粒子分散液(1)を調製する際に用いた緑色顔料Pgcについて、適宜、表1及び表2のいずれかに示す染料又は顔料に変更し、それぞれの分散液を調製した。
得られた分散液を用い、また、その量を調整することで、実施例1~実施例26のトナー粒子、並びに、比較例1~比較例5のトナー粒子を得た。
また、得られたトナー粒子を用い、実施例1と同様にして、トナーを作製し、更にこれを用いて、実施例1~実施例の現像剤、並びに、比較例1~比較例5の現像剤を得た。
【0148】
〔評価(1):明度及び彩度〕
富士フイルムビジネスイノベーション(株)製の画像形成装置Revoria Press PC1120の改造機を用意し、マゼンタ位置の現像器にグリーン色の現像剤1を収容した。温度22℃、湿度55%RHの環境下で、OSコート紙(王子製紙(株)製、商品名:OSコート127)に画像密度が0%の白紙画像を100枚出力した。その後、OSコート紙に画像密度100%(トナー載り量4.0g/m)で蛍光グリーントナーのベタ画像を1枚出力した。
得られたベタ画像について、反射分光濃度計X-Rite939(アパーチャー径4mm、エックスライト株式会社)を用いて、ベタ画像内の10か所においてCIE1976L表色系におけるL値、a値及びb値を測定し、L値、a値及びb値の平均値を算出した。更に下記の式から彩度Cを算出した。明度L及び彩度Cは大きな値程好ましい。
彩度C={(a+(b0.5
また、同様にベタ画像の分光反射率のピーク値を計測した。
結果を表1及び表2に示す。
【0149】
〔評価(2):色差ΔE〕
上記評価(1)で得られたベタ画像をもとに、色差ΔEを求めた。
下記の式に基づき、ベタ画像と色見本TOKA FLASH VIVA DX 650((株)T&K TOKA)との間の色差ΔEを算出した。
結果を表1及び表2に示す。
【0150】
【数1】
【0151】
、a、bは、色見本TOKA FLASH VIVA DX 650のL値、a値、b値であり、L、a、bは、実施例のベタ画像のL値、a値、b値である。色見本TOKA FLASH VIVA DX 650は、L値77.7、a値-69.0、b値65.9であった。
【0152】
【表1】
【0153】
【表2】
【0154】
表1及び表2中の記号は次の顔料又は染料を意味する。
・SG5:C.I.ソルベントグリーン5(蛍光黄色顔料Sy、有本化学工業(株)製、Plast Yellow 8025)
・SY98:C.I.ソルベントイエロー98(蛍光黄色顔料Sy、有本化学工業(株)製、Plast Yellow DY-436)
・PY74:C.I.ピグメントイエロー74(黄色顔料Py:非蛍光顔料、ZEYACHEM社製、コリマックスイエロー2GX-70)
・PY180:C.I.ピグメントイエロー180(黄色顔料Py:非蛍光顔料、ZEYACHEM社製、コリマックスイエローHG)
・PG36:C.I.ピグメントグリーン36(顔料Pgc、緑色顔料:非蛍光顔料、トーヨーカラー(株)製、LIONOL GREEN 8624)
・PB15:3:C.I.ピグメントブルー15:3(顔料Pgc、シアン色顔料:非蛍光顔料、トーヨーカラー(株)製、LIONOL BLUE FG-7330)
【0155】
【表3】
【0156】
表3から、実施例のトナーを用いた場合、比較例のトナーを用いた場合に比べ、明度Lを下げることなく、彩度Cに優れた画像が得られることが分かる。
また、実施例のトナーを用いた場合、色見本TOKA FLASH VIVA DX 650に対し、色差ΔEの少ない画像が得られることも分かる。
【0157】
以下に、本開示における好ましい態様について付記する。
(((1))) 分光反射率のピーク波長が500nm以上550nm以下の範囲内にある蛍光黄色染料Syと、黄色顔料Pyと、緑色顔料及びシアン色顔料からなる群より選択される1種以上の顔料Pgcと、を含有するトナー粒子を含み、
前記トナー粒子中における、前記蛍光黄色染料Syの含有量をCSyとし、前記黄色顔料Pyの含有量をCPyとし、前記顔料Pgcの含有量をCPgcとしたとき、CSy/(CPy+CPgc)が0.01以上0.3以下を満たし、(CSy+CPy)/CPgcが0.3以上1.5以下を満たす、蛍光グリーントナー。
(((2))) 前記CSy/(CPy+CPgc)が0.05以上0.2以下を満たし、前記(CSy+CPy)/CPgcが0.45以上1.0以下を満たす、(((1)))に記載の蛍光グリーントナー。
(((3))) 前記蛍光黄色染料Syの含有量CSyが0.1質量%以上2.0質量%以下であり、前記黄色顔料Pyの含有量CPyが1.5質量%以上5.0質量%以下であり、前記顔料Pgcの含有量CPgcが3.0質量%以上10.0質量%以下である、(((1)))に記載の蛍光グリーントナー。
(((4))) 前記蛍光黄色染料Syの含有量CSyが0.1質量%以上1.5質量%以下であり、前記黄色顔料Pyの含有量CPyが3.0質量%以上5.0質量%以下であり、前記顔料Pgcの含有量CPgcが5.0質量%以上8.0質量%以下である、(((3)))に記載の蛍光グリーントナー。
(((5))) 前記蛍光黄色染料Syのピーク波長Xにおける分光反射率をRSyとし、前記波長Xにおける前記黄色顔料Pyの分光反射率をRPyとし、前記波長Xにおける前記顔料Pgcの分光反射率をRPgcとしたとき、0.6RSy≦Rpyを満たし、0.5RSy≦RPgcを満たす、(((1)))に記載の蛍光グリーントナー。
(((6))) 0.8RPy≦RPgc≦1.2RPyである、(((5)))に記載の蛍光グリーントナー。
(((7))) 前記顔料Pgcが緑色顔料であり、
前記蛍光黄色染料SyがC.I.ソルベントグリーン5又はC.I.ソルベントイエロー98であり、前記緑色顔料がC.I.ピグメントグリーン36又はC.I.ピグメントグリーン7である、(((1)))に記載の蛍光グリーントナー。
【0158】
(((8))) (((1)))~(((7)))のいずれか1つに記載の蛍光グリーントナーを含む静電荷像現像剤。
(((9))) (((1)))~(((7)))のいずれか1つに記載の蛍光グリーントナーを収容し、画像形成装置に着脱されるトナーカートリッジ。
(((10))) (((8)))に記載の静電荷像現像剤を収容し、前記静電荷像現像剤により、像保持体の表面に形成された静電荷像をトナー画像として現像する現像手段を備え、画像形成装置に着脱されるプロセスカートリッジ。
(((11))) 像保持体と、
前記像保持体の表面を帯電する帯電手段と、
帯電した前記像保持体の表面に静電荷像を形成する静電荷像形成手段と、
(((8)))に記載の静電荷像現像剤を収容し、前記静電荷像現像剤により、前記像保持体の表面に形成された静電荷像をトナー画像として現像する現像手段と、
前記像保持体の表面に形成されたトナー画像を記録媒体の表面に転写する転写手段と、
前記記録媒体の表面に転写されたトナー画像を定着する定着手段と、
を備える画像形成装置。
(((12))) 像保持体の表面を帯電する帯電工程と、
帯電した前記像保持体の表面に静電荷像を形成する静電荷像形成工程と、
(((8)))に記載の静電荷像現像剤により、前記像保持体の表面に形成された静電荷像をトナー画像として現像する現像工程と、
前記像保持体の表面に形成されたトナー画像を記録媒体の表面に転写する転写工程と、
前記記録媒体の表面に転写されたトナー画像を定着する定着工程と、
を有する画像形成方法。
(((13))) ピンク、イエロー、マゼンタ、シアン、ブラック及びグリーンの各色の画像を形成する電子写真方式の第1乃至第6の画像形成ユニットを備え、
前記グリーンの画像を形成する画像形成ユニットが(((8)))に記載の静電荷像現像剤を収容する画像形成装置。
(((14))) ピンク、イエロー、マゼンタ、シアン、ブラック及びグリーンの各色の画像を形成する電子写真方式の第1乃至第6の画像形成工程を有し、
前記グリーンの画像を形成する画像形成工程が(((8)))に記載の静電荷像現像剤を用いる画像形成方法。
(((15))) 記録媒体と、前記記録媒体表面に形成された、(((1)))~(((7)))のいずれか1項に記載の蛍光グリーントナーによる画像と、を有する印刷物。
【0159】
(((1)))に係る発明によれば、分光反射率のピーク波長が500nm以上550nm以下の範囲内にある蛍光黄色染料Syと、黄色顔料Pyと、緑色顔料及びシアン色顔料からなる群より選択される1種以上の顔料Pgcと、を含有するトナー粒子を含み、前記CSy/(CPy+CPgc)が0.01未満又は0.3超であるか、前記(CSy+CPy)/CPgcが0.3未満又は1.5超である場合に比べ、明度及び彩度に優れた画像を形成しうる蛍光グリーントナーが提供される。
【0160】
(((2)))に係る発明によれば、前記CSy/(CPy+CPgc)が0.05未満又は0.2超であるか、前記(CSy+CPy)/CPgcが0.45未満又は1.0超である場合に比べ、明度及び彩度に優れた画像を形成しうる蛍光グリーントナーが提供される。
(((3)))に係る発明によれば、蛍光黄色染料Syの含有量CSyが0.1質量%未満又は2.0質量%超であるか、黄色顔料Pyの含有量CPyが1.5質量%未満又は5.0質量%超である場合に比べ、明度及び彩度に優れた画像を形成しうる蛍光グリーントナーが提供される。
(((4)))に係る発明によれば、蛍光黄色染料Syの含有量CSyが1.5質量%超であるか、黄色顔料Pyの含有量CPyが3.0質量%未満又は5.0質量%超であるか、顔料Pgcの含有量CPgcが5.0質量%未満又は8.0質量%超である場合に比べ、明度及び彩度に優れた画像を形成しうる蛍光グリーントナーが提供される。
(((5)))に係る発明によれば、蛍光黄色染料Syのピーク波長Xにおける分光反射率をRSyとし、波長Xにおける黄色顔料Pyの分光反射率をRPyとし、波長Xにおける顔料Pgcの分光反射率をRPgcとしたとき、0.6RSy>Rpyを満たすか、0.5RSy>RPgcを満たす場合に比べ、明度及び彩度に優れた画像を形成しうる蛍光グリーントナーが提供される。
(((6)))に係る発明によれば、0.8RPy≦RPgc≦1.2RPyを満たさない場合に比べ、明度及び彩度に優れた画像を形成しうる蛍光グリーントナーが提供される。
(((7)))に係る発明によれば、顔料Pgcがシアン色顔料である場合に比べ、明度及び彩度に優れた画像を形成しうる蛍光グリーントナーが提供される。
(((8)))、(((9)))、(((10)))、(((11)))、(((12)))、(((13)))、又は(((14)))に係る発明によれば、分光反射率のピーク波長が500nm以上550nm以下の範囲内にある蛍光黄色染料Syと、黄色顔料Pyと、緑色顔料及びシアン色顔料からなる群より選択される1種以上の顔料Pgcと、を含有するトナー粒子を含み、前記CSy/(CPy+CPgc)が0.01未満又は0.3超であるか、前記(CSy+CPy)/CPgcが0.3未満又は1.5超である場合に比べ、明度及び彩度に優れた画像を形成しうる蛍光グリーントナーを用いた静電荷像現像剤、トナーカートリッジ、プロセスカートリッジ、画像形成装置、又は画像形成方法が提供される。
(((15)))によれば、分光反射率のピーク波長が500nm以上550nm以下の範囲内にある蛍光黄色染料Syと、黄色顔料Pyと、緑色顔料及びシアン色顔料からなる群より選択される1種以上の顔料Pgcと、を含有するトナー粒子を含み、前記CSy/(CPy+CPgc)が0.01未満又は0.3超であるか、前記(CSy+CPy)/CPgcが0.3未満又は1.5超である場合に比べ、明度及び彩度に優れた画像を形成しうる蛍光グリーントナーによる画像を有する印刷物が提供される。
【符号の説明】
【0161】
1P、1Y、1M、1C、1K、1G 感光体(像保持体の一例)
2P、2Y、2M、2C、2K、2G 帯電ロール(帯電手段の一例)
3P、3Y、3M、3C、3K、3G 露光装置(静電荷像形成手段の一例)
4P、4Y、4M、4C、4K、4G 現像装置(現像手段の一例)
5P、5Y、5M、5C、5K、5G 一次転写ロール(一次転写手段の一例)
6P、6Y、6M、6C、6K、6G 感光体クリーニング装置(クリーニング手段の一例)
8P、8Y、8M、8C、8K、8G トナーカートリッジ
10P、10Y、10M、10C、10K、10G 画像形成ユニット
20 中間転写ベルト(中間転写体の一例)
21 中間転写体クリーニング装置
22 駆動ロール
23 支持ロール
24 対向ロール
26 二次転写ロール(二次転写手段の一例)
28 定着装置(定着手段の一例)
P 記録紙(記録媒体の一例)
【0162】
107 感光体(像保持体の一例)
108 帯電ロール(帯電手段の一例)
109 露光装置(静電荷像形成手段の一例)
111 現像装置(現像手段の一例)
112 転写装置(転写手段の一例)
113 感光体クリーニング装置(クリーニング手段の一例)
115 定着装置(定着手段の一例)
116 取り付けレール
117 筐体
118 露光のための開口部
200 プロセスカートリッジ
300 記録紙(記録媒体の一例)
図1
図2