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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024013753
(43)【公開日】2024-02-01
(54)【発明の名称】テレスコピック型伸展ブーム
(51)【国際特許分類】
   G21C 17/013 20060101AFI20240125BHJP
   B25J 18/02 20060101ALI20240125BHJP
【FI】
G21C17/013
B25J18/02
【審査請求】未請求
【請求項の数】15
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022116088
(22)【出願日】2022-07-21
(71)【出願人】
【識別番号】304021417
【氏名又は名称】国立大学法人東京工業大学
(74)【代理人】
【識別番号】100100011
【弁理士】
【氏名又は名称】五十嵐 省三
(72)【発明者】
【氏名】遠藤 玄
(72)【発明者】
【氏名】永井 敏也
(72)【発明者】
【氏名】木倉 宏成
(72)【発明者】
【氏名】高橋 秀治
【テーマコード(参考)】
2G075
3C707
【Fターム(参考)】
2G075AA03
2G075BA12
2G075CA04
2G075DA17
2G075EA05
2G075GA04
3C707AS27
3C707HS27
3C707HT23
(57)【要約】
【課題】らせん溝が形成された可撓性チューブをウォームギヤで駆動するテレスコピック型伸展ブームを提供する。
【解決手段】円筒状の可撓性チューブ1をウォームホイールとし、可撓性チューブ1の外径部に3方向から同径のウォームギヤ2-1、2-2、2-3を接触させる。各ウォームギヤ2-1、2-2、2-3の外周には可撓性チューブ1のらせん溝1aに嵌合するらせん突起2-1a、2-2a、2-3aを有する。ウォームギヤ2-1、2-2の回転軸2-1b、2-2bの位置は固定され、ウォームギヤ2-3の回転軸2-3bの位置はトルクスプリング付きリンク3-1(3-2)によって上下方向に移動可能である。外径が変化する可撓性チューブ1はモータ4によって同一回転速度で駆動されたウォームギヤ2-1、2-2、2-3によって直動される。
【選択図】 図2
【特許請求の範囲】
【請求項1】
らせん溝が外径部に形成された円筒状の可撓性チューブと、
前記可撓性チューブを直動させるための可撓性チューブ直動機構と
を具備し、
前記可撓性チューブ直動機構は、
前記可撓性チューブの外径部に少なくとも3方向から接触し、前記可撓性チューブのらせん溝に嵌合するらせん突起が形成された同径の少なくとも3つのウォームギヤと、
前記少なくとも3つのウォームギヤを同一の回転速度で駆動させるための駆動手段と、
前記少なくとも3つのウォームギヤの少なくとも1つのウォームギヤの回転軸の位置を移動可能とさせるためのウォームギヤ移動可能手段と
を具備するテレスコピック型伸展ブーム。
【請求項2】
前記駆動手段は、
モータと、
前記モータの回転軸と前記少なくとも3つのウォームギヤの1つの回転軸との間とを接続するギヤ構造と、
前記少なくとも3つのウォームギヤの回転軸の相互間を接続する複数のタイミングベルト構造と
を具備する請求項1に記載のテレスコピック型伸展ブーム。
【請求項3】
前記駆動手段は、
モータと、
前記モータの回転軸及び前記少なくとも3つのウォームギヤの回転軸の相互間を接続する複数のタイミングベルト構造と
を具備する請求項1に記載のテレスコピック型伸展ブーム。
【請求項4】
前記ウォームギヤ移動可能手段は、
ダミー回転軸と、
前記ダミー回転軸と前記少なくとも1つの移動可能なウォームギヤの回転軸とを接続するトルクスプリング付リンクと
を具備する請求項1に記載のテレスコピック型伸展ブーム。
【請求項5】
前記可撓性チューブ直動機構は、
前記可撓性チューブを保持するためのアームを具備し、
前記可撓性チューブを前記アームから前記少なくとも3つのウォームギヤへ引出し、又は
前記可撓性チューブを前記少なくとも3つのウォームギヤから前記アームへ引込むようにした請求項1に記載のテレスコピック型伸展ブーム。
【請求項6】
前記アームは水平用であり、
前記可撓性チューブ直動機構の前記少なくとも3つのウォームギヤは前記アームに水平方向となるように固定される請求項5に記載のテレスコピック型伸展ブーム。
【請求項7】
前記アームは垂直用であり、
前記可撓性チューブ直動機構の前記少なくとも3つのウォームギヤは前記アームに垂直方向となるように固定される請求項5に記載のテレスコピック型伸展ブーム。
【請求項8】
前記可撓性チューブの外径は前記テレスコピック型伸展ブームの根元側より先端側の方が小さい請求項1に記載のテレスコピック型伸展ブーム。
【請求項9】
らせん溝が外径部に形成された円筒状の可撓性チューブを直動させるための可撓性チューブ直動機構であって、
平行に固定され、前記可撓性チューブを通過させるための可撓性チューブ用の開口を有する第1、第2の支持基板と、
前記第1、第2の支持基板間に回転軸が固定支持されたモータと、
前記第1、第2の支持基板間に回転軸が固定支持され、前記可撓性チューブのらせん溝に嵌合するらせん突起を有する少なくとも2つの固定ウォームギヤと、
前記第1、第2の支持基板間に回転軸が移動可能に支持され、前記可撓性チューブのらせん溝に嵌合するらせん突起を有する少なくとも1つの移動可能ウォームギヤと、
前記モータの回転軸、前記固定ウォームギヤ及び前記移動可能ウォームギヤを同期回転させる同期回転手段と、
前記移動可能ウォームギヤを移動可能とさせるための移動可能手段と、
を具備し、
前記第1、第2の支持基板は前記移動可能ウォームギヤの回転軸より大きい前記移動可能ウォームギヤ用の開口を有する可撓性チューブ直動機構。
【請求項10】
前記同期回転手段はギヤ構造及びタイミングベルト構造である請求項9に記載の可撓性チューブ直動機構。
【請求項11】
前記同期回転手段はタイミングベルト構造である請求項9に記載の可撓性チューブ直動機構。
【請求項12】
前記第1、第2の支持基板の一方に前記可撓性チューブを保持するためのアームを結合した請求項9に記載の可撓性チューブ直動機構。
【請求項13】
前記アームは水平用アームであり、前記水平用アームは前記第1、第2の支持基板の一方に垂直に結合された請求項12に記載の可撓性チューブ直動機構。
【請求項14】
前記アームは垂直用アームであり、前記垂直用アームの先端は90°屈曲して前記第1、第2の支持基板の一方に垂直に結合された請求項12に記載の可撓性チューブ直動機構。
【請求項15】
前記ウォームギヤ移動可能手段は、
ダミー回転軸と、
前記ダミー回転軸と前記少なくとも1つの移動可能ウォームギヤの回転軸とを接続するトルクスプリング付リンクと
を具備する請求項9に記載の可撓性チューブ直動機構。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明はらせん溝が形成された可撓性チューブをウォームギヤで駆動するテレスコピック型伸展ブームに関する。
【背景技術】
【0002】
たとえば損傷原子炉内の調査を行うために、伸展ブームが必要である。
【0003】
第1の従来のテレスコピック型伸展ブームは空気圧によって複数段のパイプを伸展させる空気圧駆動方式を用いる(参照:非特許文献1)。
【0004】
しかしながら、上述の第1の従来のテレスコピック型伸展ブームは、空気圧駆動のために各段のパイプの気密性を必要とし、先端部が細径のテレスコピック構造の場合、軽量化できずしかも摺動抵抗が大きくなる。また、先端部の断面積が小さいので、先端部に十分な推力が与えられず、この結果、長尺化が困難となる。さらに、収縮動作は気密性パイプから空気を抜きつつワイヤで行うので、収縮動作は遅い。
【0005】
第2の従来のテレスコピック型伸展ブームは連結された複数のリンクよりなり、各リンクの先端及び下端にプーリを設け、ワイヤ駆動によって前段の先端プーリと後段の下端プーリとの距離を変化させることにより伸展するワイヤ駆動方式を用いる(参照:特許文献1)。
【0006】
しかしながら、上述の第2の従来のテレスコピック型伸展ブームは、先端部のリンク内部のスペースが小さく、プーリを配置できないことがある。
【0007】
第3の従来のテレスコピック型伸展ブームはらせん溝が形成された可撓性チューブを送りねじ方式で駆動する送りねじ駆動方式を用いる(参照:特許文献2)。すなわち、らせん溝が形成された可撓性チューブを送りねじの内歯車側に通し、送りねじの外歯車に対して駆動ギヤ及び従動ギヤを接触させ、駆動ギヤをモータで駆動して送りねじを回転することにより可撓性チューブを直動させている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0008】
【特許文献1】特許6847344号
【特許文献2】特開平4-157351号公報(特許2558942号)
【非特許文献】
【0009】
【非特許文献1】堀米篤史、広瀬茂夫、“原発内点検を行う伸展ブーム搭載型クランク車輪ロボットの開発”、日本機械学会ロボティクス・メカトロニクス講演会2013、1A1-R09
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0010】
しかしながら、上述の第3の従来のテレスコピック型伸展ブームにおいては、送りねじの内歯車の径は一定であるので、可撓性チューブの外径も一定である。従って、可撓性チューブの外径が変化した場合には、伸展収縮が不可能であるという課題がある。たとえば、テレスコピック型伸展ブームにおいては、可撓性チューブの座屈を防止するために、可撓性チューブの先端部より根元部を大きく,たとえば先端部の外径に対して根元部の外径を不連続的に又は徐々に大きくする必要がある。このように、可撓性チューブの外径が変化した場合には、上述の第3の従来のテレスコピック型伸展ブームの伸展収縮は不可能である。
【課題を解決するための手段】
【0011】
上述の課題を解決するために、本発明に係るテレスコピック型伸展ブームは、らせん溝が外径部に形成された円筒状の可撓性チューブと、可撓性チューブを直動させるための可撓性チューブ直動機構とを具備し、可撓性チューブ直動機構は、可撓性チューブの外径部に少なくとも3方向から接触し、可撓性チューブのらせん溝に嵌合するらせん突起が形成された同径の少なくとも3つのウォームギヤと、少なくとも3つのウォームギヤを同一の回転速度で駆動させるための駆動手段と、少なくとも3つのウォームギヤの少なくとも1つのウォームギヤの回転軸の位置を移動可能とさせるためのウォームギヤ移動可能手段とを具備するものである。
【発明の効果】
【0012】
本発明によれば、少なくとも3つのウォームギヤによって規定される可撓性チューブの外径は少なくとも1つのウォームギヤの回転軸の位置が移動することによって変化できる。従って、可撓性チューブの外径が変化しても可撓性チューブを直動できるので、テレスコピック構造の長尺化、伸展収縮が可能となる。
【図面の簡単な説明】
【0013】
図1】本発明に係る可撓性チューブを示す斜視図である。
図2】本発明の原理を説明するための図であり、(A)は可撓性チューブの外径が小さい場合を示し、(B)は可撓性チューブの外径が大きい場合を示す。
図3】本発明に係るテレスコピック型伸展ブームの第1の実施の形態を示す斜視図であって、(A)は全体斜視図、(B)は一部欠いた斜視図である。
図4図3の側面図であって、(A)は右側面図、(B)は左側面図である。
図5図4の前側支持基板の詳細を示し、(A)は図4のA-A線矢印から見た図、(B)は図4のB-B線矢印から見た図である。
図6図5の(A)の部分拡大図である。
図7図5の(B)の斜視図である。
図8図4の後側支持基板の詳細を示し、(A)は図4のC-C線矢印から見た図、(B)は図4のD-D線矢印から見た図である。
図9図3のテレスコピック型伸展ブームの水平動作を説明するための斜視図であって、(A)は動作初期、(B)は動作中を示す。
図10図3のテレスコピック型伸展ブームの垂直動作を説明するための図である。
図11】本発明に係るテレスコピック型伸展ブームの第2の実施の形態を示す斜視図である。
図12図11のテレスコピック型伸展ブームの水平動作を説明するための図である。
図13】本発明に係るテレスコピック型伸展ブームの第3の実施の形態を示す側面図である。
図14図13のテレスコピック型伸展ブームの垂直動作を説明するための図である。
【発明を実施するための形態】
【0014】
図1は本発明に係る可撓性チューブを示す斜視図である。
【0015】
図1において、可撓性チューブ1は円筒状のステンレス製であり、気密性が不要の噛み合わせ部分によりらせん溝1aを形成してある(たとえば株式会社ハギテック製ステンレスフレキシブルチューブSABR-13N)。すなわち、気密性を必要としないので、軽量である。また、外径はブーム先端でたとえば16.4mm、ブーム根元でたとえば31mm、不連続的に又は徐々に変化し、たとえば全長は4m以上である。
【0016】
図2は本発明の原理を説明するための図であり、(A)は可撓性チューブの外径が小さい場合を示し、(B)は可撓性チューブの外径が大きい場合を示す。
【0017】
図2に示すごとく、可撓性チューブ1をウォームホイールとし、可撓性チューブ1の外径部に3方向からたとえばほぼ120°間隔で同径のウォームギヤ2-1、2-2、2-3を接触させ、これにより、ウォームギヤ2-1、2-2、2-3と可撓性チューブ1とが3つのウォームギヤ構造を構成する。この場合、各ウォームギヤ2-1、2-2、2-3の外周には可撓性チューブ1のらせん溝1aに嵌合するらせん突起2-1a、2-2a、2-3aを有する。また、ウォームギヤ2-1、2-2の回転軸2-1b、2-2bの位置は固定され、他方、ウォームギヤ2-3の回転軸2-3bの位置は移動可能手段たとえばトルクスプリング(ねじりコイルばね)付きリンク3-1(3-2)によっておおよそ上下方向に移動可能である。さらに、ウォームギヤ2-1、2-2、2-3の回転軸2-1b、2-2b、2-3bは駆動手段たとえばモータ4に同一回転速度で駆動される。従って、図2の(A)に示すごとく、ウォームギヤ2-3の回転軸2-3bが下方位置にあるときには、可撓性チューブ1の外径D1は小さく、他方、図2の(B)に示すごとく、ウォームギヤ2-3の回転軸2-3bが上方位置にあるときには、可撓性チューブ1の外径D2は大きくなる。この結果、外径が変化する可撓性チューブ1はモータ4によって同一回転速度で駆動されたウォームギヤ2-1、2-2、2-3によって直動される。尚、トルクスプリング付きリンク3-1(3-2)はたとえば固定されたダミー回転軸とウォームギヤ2-3の回転軸2-3bとの間に接続される。
【0018】
図3は本発明に係るテレスコピック型伸展ブームの第1の実施の形態を示す斜視図であって、(A)は全体斜視図、(B)は一部欠いた斜視図である。図3においては、可撓性チューブ1を後方より入力にして前方へ出力するものとし、後方から見て右方、左方を定義し、上下方向を定義する。尚、前後左右上下方向は3方向を相対的に定めるものであり、任意に定めることができる。
【0019】
図3に示すように、可撓性チューブ1を直動するための可撓性チューブ直動機構Mは、平行な支持基板5-1、5-2及び支持基板5-1、5-2間を固定する4つの支持棒6-1、6-2、6-3、6-4(6-4は図4の(B)に図示)よりなる。すなわち、支持基板5-1、5-2は支持棒6-1、6-2、6-3、6-4によって一定距離に保持される。
【0020】
ウォームギヤ2-1、2-2、2-3の回転軸2-1b、2-2b、2-3bは支持基板5-1、5-2間に回転可能に支持される。この場合、ウォームギヤ2-1、2-2の回転軸2-1b、2-2bの位置は固定であり、他方、ウォームギヤ2-3の回転軸2-3bの位置はおおよそ上下方向にトルクスプリング付リンク3-1、3-2(図4参照)によって移動可能である。
【0021】
モータ4のモータ軸4aも支持基板5-1、5-2間に回転可能に支持され、その位置は固定である。
【0022】
図4図3の側面図であって、(A)は右側面図、(B)は左側面図である。また、図5図4の前側支持基板5-1の詳細を示し、(A)は図4のA-A線矢印から見た前側支持基板5-1、(B)は図4のB-B線矢印から見た前側支持基板5-1を示し、図6図5の(A)の部分拡大図、図7図5の(B)の斜視図である。さらに、図8図4の後側支持基板5-2の詳細を示し、(A)は図4のC-C線矢印から見た後側支持基板5-2、(B)は図4のD-D線矢印から見た後側支持基板5-2を示す。
【0023】
図4図5の(B)、図7に示すごとく、モータ4のモータ軸4aに設けられたギヤ7-1とウォームギヤ2-2の回転軸2-2bに設けられたギヤ7-2とが噛み合わされて、ウォームギヤ2-2はモータ4と同期回転する。この場合、ギヤ7-1の歯数とギヤ7-2の歯数との比は任意である。たとえばギヤ7-1の歯数とギヤ7-2の歯数とを同一とすれば、モータ4の回転速度とウォームギヤ2-2の回転速度とはギヤ7-1、7-2によるギヤ構造によって同一となる。
【0024】
図4図5の(A)に示すごとく、ウォームギヤ2-1に固定された固定プーリ8-1とウォームギヤ2-2に固定された固定プーリ8-2とはタイミングベルト8-3によって結合されている。なお、8-4はベルト寄せプーリである。従って、ウォームギヤ2-1とウォームギヤ2-2とはプーリ8-1、8-2、タイミングベルト8-3によるタイミングベルト構造によって同一回転速度つまりモータ4の回転速度で駆動される。
【0025】
図4図5の(B)に示すごとく、前側支持基板5-1にはダミー回転軸9が回転可能に固定され、ウォームギヤ2-2に固定された固定プーリ9-1とダミー回転軸9に固定された固定プーリ9-2とがタイミングベルト9-3によって結合されている。なお、9-4はベルト寄せプーリである。従って、ウォームギヤ2-2とダミー回転軸9とはプーリ9-1、9-2、タイミングベルト9-3によるタイミングベルト構造によって同一回転速度つまりモータ4の回転速度で駆動される。さらに、図4図5の(A)、図6に示すごとく、ダミー回転軸9に固定された固定プーリ9’-1とウォームギヤ2-3の回転軸2-3bに設けられた移動プーリ9’-2とが タイミングベルト9’-3によって結合されている。なお、9’-4はベルト寄せプーリである。従って、ダミー回転軸9とウォームギヤ2-3とはプーリ9’-1、9’-2、タイミングベルト9’-3によるタイミングベルト構造によって同一回転速度つまりモータ4の回転速度で駆動される。
【0026】
このようにして、ウォームギヤ2-1、2-2、2-3及びダミー回転軸9はすべてモータ4の回転速度で駆動される。尚、上述のギヤ7-1、7-2のギヤ比を1としたが、ギヤ比を変化させても、ウォームギヤ2-1、2-2、2-3及びダミー回転軸9はすべて同一の回転速度で駆動される。
【0027】
他方、図4図5の(A)、図6に示すごとく、前側支持基板5-1において、固定されたダミー回転軸9と移動可能なウォームギヤ2-3の回転軸2-3bとは トルクスプリング(ねじりコイルばね)付きリンク3-1によって接続され、ウォームギヤ2-3の回転軸2-3bは下方へ押圧されている。従って、ダミー回転軸9を中心としてウォームギヤ2-3が回転する、すなわち、おおよそ上下方向に移動する。この場合、ウォームギヤ2-3の回転軸2-3bが上下移動できるように、支持基板5-1に上下方向に細長い開口12-1が設けられている。
【0028】
また、図4図8の(A)に示すごとく、後側支持基板5-2において、ダミー回転軸11を固定し、ダミー回転軸11と移動可能なウォームギヤ2-3の回転軸2-3bとは トルクスプリング(ねじりコイルばね)付きリンク3-2によって接続され、ウォームギヤ2-3の回転軸2-3bは下方へ押圧されている。従って、ダミー回転軸11を中心としてウォームギヤ2-3が回転する、すなわち、おおよそ上下方向に移動する。この場合、ウォームギヤ2-3の回転軸2-3bが上下移動できるように、支持基板5-2に上下方向に細長い開口12-2が設けられている。
【0029】
尚、図5図7図8に示すように、可撓性チューブ1を通過させるために、支持基板5-1、5-2に比較的大きい可撓性チューブ用の開口13-1、13-2が設けられている。この場合、開口12-1(12-2)と開口13-1(13-2)とは、図示のごとく、一体に形成してもよい。
【0030】
このように、可撓性チューブ直動機構Mは、ウォームギヤ2-1、2-2、2-3、トルクスプリング付きリンク3-1、3-2、モータ4、支持基板5-1、5-2、支持棒6-1、6-2、6-3、6-4、ギヤ構造(7-1、7-2)、タイミングベルト構造(8-1、8-2、8-3、8-4)及びタイミングベルト構造(9-1、9-2、9-3、9-4)によって構成される。
【0031】
図9図3のテレスコピック型伸展ブームの水平動作を説明するための斜視図である。
【0032】
始めに、図9の(A)に示すごとく、先端部の外径より根元部の外径が大きい可撓性チューブ1を可撓性チューブ直動機構Mの後方より挿入する。この状態では、ウォームギヤ2-1(2-2)、2-3の回転軸2-1b(2-2b)、2-3bはすべて水平である。次いで、モータ4を駆動すると、ウォームギヤ2-1(2-2)の回転軸2-1b(2-2b)は水平であるのに対し、ウォームギヤ2-3の回転軸2-3bは傾斜する。たとえば、前側支持基板5-1でのトルクスプリング付きリンク7-1によってウォームギヤ2-3の回転軸2-3bの位置が比較的大きく低下し、後側支持基板5-2でのトルクスプリング付きリンク7-2によってウォームギヤ2-3の回転軸2-3bの位置が比較的小さく低下する。このように、ウォームギヤ2-1、2-2の回転軸2-1b、2-2bの位置は水平に固定する一方、ウォームギヤ2-3の回転軸2-3bの位置は可撓性チューブ1の外径に応じて変化する。この場合、ウォームギヤ2-3の回転軸2-3bは傾斜もすることになる。
【0033】
図10図3のテレスコピック型伸展ブームの垂直動作を説明するための図である。
【0034】
図10においては、可撓性チューブ1における伸展時の長さは4250mm、収縮時の長さは700mmであった。また、可撓性チューブ1の伸展時の根元部の外径は31mm、先端部の外径は16.4mm、さらに、先端部のペイロードは600gであった。つまり、垂直方向伸展高さは4m以上を確保できた。
【0035】
図11は本発明に係るテレスコピック型伸展ブームの第2の実施の形態を示す斜視図である。
【0036】
図11においては、図3の可撓性チューブ直動機構Mの代りに可撓性チューブ直動機構M’を設ける。可撓性チューブ直動機構M’においては、支持基板5-1、5-2の一方たとえば支持基板5-1側に可撓性チューブ1を保管するための水平調査用アーム15を結合し、調査の便宜を図る。この場合、可撓性チューブ直動機構M’は水平調査用アーム15から支持基板5-1を介して可撓性チューブ1を入力し、支持基板5-2側から可撓性チューブ1を出力する。
【0037】
図12図11のテレスコピック型伸展ブームの水平動作を説明するための図である。図12に示すごとく、可撓性チューブ1の長さ715mmから8000mmまでの伸展時間は343sであった。尚、可撓性チューブ直動機構M’は調査台車(図示せず)に装着できる。
【0038】
図13は本発明に係るテレスコピック型伸展ブームの第3の実施の形態を示す側面図である。
【0039】
図13においては、図3の可撓性チューブ直動機構Mの代りに可撓性チューブ直動機構M”を設ける。可撓性チューブ直動機構M”においては、支持基板5-1、5-2の一方たとえば支持基板5-2側に可撓性チューブ1を保管するための垂直調査用アーム16を結合し、調査の便宜を図る。垂直調査用アーム16の先端部は90°屈曲し、その先端部において可撓性チューブ直動機構M”は垂直上方に向く。この場合、可撓性チューブ直動機構M”は垂直調査用アーム16から支持基板5-2を介して可撓性チューブ1を入力し、支持基板5-1側から可撓性チューブ1を出力する。
【0040】
図14図13のテレスコピック型伸展ブームの垂直動作を説明するための図である。
【0041】
図14に示すごとく、図13のテレスコピック型伸展ブームは、過酷事故の沸騰水型炉(BWR)の格納容器17内の圧力容器18から溶融した燃料制御棒19を取出すための調査をするために用いる。この場合、格納容器17に格納容器貫通孔17aを予め開けておく。次いで、可撓性チューブ1を収縮した状態の可撓性チューブ直動機構M”を格納容器貫通孔17aに挿入する。次いで、可撓性チューブ直動機構M”のモータ4を一方向に駆動すると、図示のごとく、可撓性チューブ1は垂直調査用アーム16から垂直に伸展する。この場合、可撓性チューブ1の先端にカメラ、照明を設けておく。次いで、可撓性チューブ直動機構M”のモータ4を他方向に駆動すると、可撓性チューブ1は収縮して垂直調査用アーム16に収まる。最後に、可撓性チューブ直動機構M”を格納容器貫通孔17aから引出す。尚、可撓性チューブ直動機構M”は調査台車(図示せず)に装着できる。
【0042】
尚、本発明に係るテレスコピック型伸展ブームには、先端荷重が可能であり、中心孔に電線等を通すことによりブーム先端部にカメラ、照明等を設けることもできる。
【0043】
また、上述の実施の形態においては、モータ4の回転軸4aとウォームギヤ2-1の回転軸2-1bとの接続をギヤ構造で行い、ウォームギヤ2-1の回転軸2-1bとウォームギヤ2-2、2-3の回転軸2-2b、2-3bとの接続をタイミングベルト構造で行っているが、モータ4の回転軸4aとウォームギヤ2-1、2-2、2-3の回転軸2-1b、2-2b、2-3bとの間をすべてタイミングベルト構造で接続してもよい。
【0044】
さらに、上述の実施の形態においては、ウォームギヤを4つ以上設けてもよい。この場合、少なくとも1つのウォームギヤを移動可能とする。
【産業上の利用可能性】
【0045】
本発明は上述の損傷原子炉内の調査以外に、放射能汚染施設内の除染処理、農業の5m程度の種苗散布処理、農業の散布処理、雪国の尾根上の5m程度の融雪剤散布処理、車の屋外アンテナ、天井に設けられたスプリンクラーの天井裏からの点検、床下に埋設された管等の点検等に利用することができる。
【符号の説明】
【0046】
M、M’、M”:可撓性チューブ直動機構
1:可撓性チューブ(ウォームホイール)
1a:らせん溝
2-1、2-2、2-3:ウォームギヤ
2-1a、2-2a、2-3a:らせん突起
2-1b、2-2b、2-3b:回転軸
3-1、3-2:トルクスプリング付リンク
4:モータ
4a:モータ軸
5-1、5-2:支持基板
6-1、6-2、6-3、6-4:支持棒
7-1、7-2:ギヤ
8-1、8-2:固定プーリ
8-3:タイミングベルト
8-4:ベルト寄せプーリ
9:ダミー回転軸
9-1:固定プーリ
9-2:移動プーリ
9-3:タイミングベルト
9-4:ベルト寄せプーリ
11:ダミー回転軸
12-1、12-2:回転軸2-3b用の開口
13-1、13-2:可撓性チューブ用の開口
15:水平調査用アーム
16:垂直調査用アーム
17:格納容器
17a:格納容器貫通孔
18:圧力容器
19:燃料制御棒
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