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  • 特開-軟窒化部品の製造方法 図1
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024137532
(43)【公開日】2024-10-07
(54)【発明の名称】軟窒化部品の製造方法
(51)【国際特許分類】
   C21D 8/00 20060101AFI20240927BHJP
   C21D 9/00 20060101ALI20240927BHJP
   C21D 1/06 20060101ALI20240927BHJP
   C22C 38/00 20060101ALN20240927BHJP
   C22C 38/60 20060101ALN20240927BHJP
【FI】
C21D8/00 A
C21D9/00 A
C21D1/06 A
C22C38/00 301N
C22C38/60
【審査請求】未請求
【請求項の数】7
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023049081
(22)【出願日】2023-03-24
(71)【出願人】
【識別番号】000001258
【氏名又は名称】JFEスチール株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100147485
【弁理士】
【氏名又は名称】杉村 憲司
(74)【代理人】
【識別番号】230118913
【弁護士】
【氏名又は名称】杉村 光嗣
(74)【代理人】
【識別番号】100165696
【弁理士】
【氏名又は名称】川原 敬祐
(74)【代理人】
【識別番号】100213436
【弁理士】
【氏名又は名称】木下 直俊
(72)【発明者】
【氏名】今浪 祐太
【テーマコード(参考)】
4K032
4K042
【Fターム(参考)】
4K032AA01
4K032AA02
4K032AA03
4K032AA04
4K032AA05
4K032AA08
4K032AA11
4K032AA12
4K032AA14
4K032AA16
4K032AA19
4K032AA21
4K032AA22
4K032AA23
4K032AA27
4K032AA28
4K032AA29
4K032AA30
4K032AA31
4K032AA32
4K032AA33
4K032AA35
4K032AA36
4K032BA02
4K032CG01
4K032CG02
4K032CH04
4K042AA14
4K042AA16
4K042AA18
4K042AA19
4K042BA04
4K042BA05
4K042CA02
4K042CA03
4K042CA05
4K042CA06
4K042CA08
4K042CA09
4K042CA10
4K042CA12
4K042CA13
4K042CA15
4K042DA06
4K042DC02
4K042DC03
4K042DC04
(57)【要約】
【課題】低コストで曲げ疲労特性に優れた軟窒化部品の製造方法を提供する。
【解決手段】原料鋼材を冷間加工して逆極点図強度分布の強度の最大値が1.5以上の前駆体を得る冷間加工工程と、前駆体を窒化する窒化工程と、を含む軟窒化部品の製造方法。
【選択図】なし
【特許請求の範囲】
【請求項1】
原料鋼材を冷間加工して逆極点図強度分布の強度の最大値が1.5以上の前駆体を得る冷間加工工程と、
前記前駆体を窒化する窒化工程と、を含む軟窒化部品の製造方法。
【請求項2】
前記冷間加工が、冷間での引張加工、引抜加工及び鍛造のうち、少なくとも一つの要素を含む請求項1に記載の軟窒化部品の製造方法。
【請求項3】
前記冷間加工工程では、前記前駆体に、前記最大値が1.5以上の部分を形成する請求項1に記載の軟窒化部品の製造方法。
【請求項4】
前記冷間加工工程では、前記前駆体に、前記最大値が1.5以上の部分を形成する請求項2に記載の軟窒化部品の製造方法。
【請求項5】
前記冷間加工工程では、前記冷間加工を2回以上行う請求項1~4に記載の軟窒化部品の製造方法。
【請求項6】
前記冷間加工工程では、前記最大値が1.5以上となるまで前記冷間加工を繰り返す請求項1~4に記載の軟窒化部品の製造方法。
【請求項7】
前記冷間加工工程では、前記最大値が1.5以上となるまで前記冷間加工を繰り返す請求項5に記載の軟窒化部品の製造方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、軟窒化部品の製造方法に関する。
【背景技術】
【0002】
二酸化炭素排出量削減などの環境問題への対応のための、種々の工業製品の部品の軽量化が要請されている。窒化は浸炭焼入れ等と比較して熱処理ひずみが小さい利点を有しつつ鋼部品の疲労特性を向上させる熱処理である。窒化は、車両の歯車をはじめとし様々な鋼製の部品に適用されている。疲労特性の向上は、鋼製の部品の小型化を可能とし、これにより、車両などの工業製品の軽量化を実現する。そのため、鋼製の部品において、疲労特性の向上が望まれる。
【0003】
特許文献1には、軟窒化用構造用鋼が開示されている。この軟窒化用構造用鋼は、重量比で、C:0.20~0.50%、Si:0.03~0.50%、Mn:0.30~3.00%、Cr:0.10~1.00%、Mo:0.03~1.00%、Al:0.01~0.10%、V:0.03~0.50%、S:0.015~0.070%、Pb:0~0.040%、O:15ppm以下を含有し、残部がFeおよび不可避の不純物より成る。この軟窒化用構造用鋼では、S、Pb及び酸素の含有量と目標素材硬さや目標芯部硬さとに所定の関係が規定されている。この軟窒化用構造用鋼は、圧延まま、鍛造まま、焼きならし等の状態で機械加工を施した後、軟窒化処理とショットピーニングを施して使用するための疲労強度と被削性に優れているとされている。
【0004】
特許文献2には、曲げ疲労強度に優れた軟窒化用鋼が記載されている。この軟窒化用鋼は、合金元素が質量%で、C:0.01%~0.15%、Si:0.01%~1.5%、Mn:0.15%~2%、Cu:0.5%~2%を含有し、N:0.005%未満に制限し、Ti:0.01%~0.5%、Nb:0.005%~0.5%、V:0.05%~0.5%の中から1種以上含有し、且つC+N≦Ti/4.0+Nb/7.7+V/4.3であり、更に必要に応じて、Ni:0.5%~2%以下、Cr:0.1%~2%、Al:0.05%~0.5%以下、S:0.03%~0.1%、Pb:0.005%~0.3%の中から1種以上を含有させることができ、残部がFe及び不可避的不純物からなる。そして、フェライトの面積率が90%以上で、残りが炭化物及びパーライト組織からなる。パーライトの平均サイズは20μm以下である。この軟窒化用鋼では、Cuは軟窒化時における芯部硬さの時効硬化に寄与する元素であり、高い疲労強度を得るために必須であるとされている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開平09-227992号公報
【特許文献2】特開2002-069572号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
例えば特許文献2に開示された軟窒化用鋼のようにCuの多量添加が必須であると、鋼の製造コストを上昇させるだけでなく、鋼の高温脆化を招き、連続鋳造後の割れ増大による歩留まり低下及び手入れによる追加コストの上昇を招く場合がある。特許文献1に開示された軟窒化用鋼のようにVのようなレアメタルの添加を必須とすると、鋼の製造コストの上昇を招くとともに環境負荷を増大させる場合がある。そのため、低コストで曲げ疲労特性に優れた軟窒化部品の製造方法の提案が望まれる。
【0007】
本発明は、かかる実状に鑑みて為されたものであって、その目的は、低コストで曲げ疲労特性に優れた軟窒化部品の製造方法を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0008】
上記目的を達成するための、本発明に係る軟窒化部品の製造方法は以下のとおりである。
【0009】
[1] 原料鋼材を冷間加工して逆極点図強度分布の強度の最大値が1.5以上の前駆体を得る冷間加工工程と、
前記前駆体を窒化する窒化工程と、を含む軟窒化部品の製造方法。
【0010】
[2] 前記冷間加工が、冷間での引張加工、引抜加工及び鍛造のうち、少なくとも一つの要素を含む上記[1]に記載の軟窒化部品の製造方法。
【0011】
[3] 前記冷間加工工程では、前記前駆体に、前記最大値が1.5以上の部分を形成する上記[1]又は[2]に記載の軟窒化部品の製造方法。
【0012】
[4] 前記冷間加工工程では、前記冷間加工を2回以上行う[1]から[3]のいずれか一つに記載の軟窒化部品の製造方法。
【0013】
[5] 前記冷間加工工程では、前記最大値が1.5以上となるまで前記冷間加工を繰り返す[1]から[4]のいずれか一つに記載の軟窒化部品の製造方法。
【発明の効果】
【0014】
本発明によれば、低コストで曲げ疲労特性に優れた軟窒化部品の製造方法を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0015】
図1】試験片の形状を示す模式図である。
【発明を実施するための形態】
【0016】
以下、本実施形態に係る軟窒化部品の製造方法について説明する。
【0017】
まず、本実施形態に係る軟窒化部品の製造方法の概要を説明する。
【0018】
本実施形態に係る軟窒化部品の製造方法は、原料鋼材を冷間加工して逆極点図強度分布の強度の最大値が1.5以上の前駆体を得る冷間加工工程と、前駆体を窒化する窒化工程と、を含む。
【0019】
本実施形態に係る軟窒化部品の製造方法によれば、低コストで曲げ疲労特性に優れた軟窒化部品を提供することができる。
【0020】
以下、本実施形態に係る軟窒化部品の製造方法及びこの製造方法により実現される軟窒化部品について詳述する。
【0021】
本実施形態に係る軟窒化部品の製造方法により実現される軟窒化部品(以下、本実施形態に係る軟窒化部品と称する)の一例は、自動車などの車両を形成する部品である。例えば自動車分野における部品を例示すると、エンジンのクランクシャフト、タイミングギア等、変速機のミッションギア、リングギア、サンギア、プラネタリギア等、足回りのステアリングピニオン、ウォーム等、内装のパワーウインド用ウォーム等の部品を挙げられる。
【0022】
窒化とは、鋼に窒素のみを浸入させる窒化処理と、鋼に窒素と炭素を同時に浸入させる軟窒化処理と、の双方を含んであり、いずれも、鋼をマルテンサイト変態させない処理をいう。このうち、本実施形態における窒化とは、軟窒化処理のことを言う。
【0023】
本実施形態に係る軟窒化部品の製造方法では、上述のごとく、原料鋼材を窒化して軟窒化部品を製造する。すなわち、本実施形態に係る軟窒化部品の本体は、鋼が窒化された表面層を有する。この表面層は、一例として、本体の表面から0.5mm程度である。この表面層の厚みが0.5mmよりも大きい場合も本実施形態に含まれる。以下では、原料鋼材を単に鋼と称する場合がある。
【0024】
本実施形態に係る軟窒化部品は、この本体に、金属又は金属合金で形成されており、表面が窒化されていない、本体とは別の構造体が組み合わされたものであってもよい。本実施形態に係る軟窒化部品は、この本体に、金属製ではない別の構造体が組み合わされたものであってもよい。
【0025】
本実施形態に係る軟窒化部品の製造方法で用いる鋼は、主成分であるFe(鉄)と、その他の成分組成として、C(炭素)、Si(ケイ素)、Mn(マンガン)、P(リン)、S(硫黄)及び不純物とを含み得る。この鋼が後述する任意成分を更に含むことは排除されない。
【0026】
この鋼は、任意成分として、Al(アルミニウム)、N(窒素)、Cr(クロム)、Ti(チタン、Nb(ニオブ)、V(バナジウム)、Hf(ハフニウム)、Ta(タンタル)、Sn(スズ)、Sb(アンチモン)、Se(セレン)、Ca(カルシウム)、Pb(鉛、Bi(ビスマス)のうちから選ばれる一つ以上を含み得る。
【0027】
本実施形態に係る軟窒化部品の製造方法で用いることのできる鋼の一例は、JIS G4051に規定される機械構造用炭素鋼(S45C)である。
【0028】
以下では、本実施形態に係る軟窒化部品の製造方法で用いることのできる鋼のうち、特に好適な鋼における各成分の含有量や効果などについて詳述する。以下の説明において、単に含有量と記載した場合は、鋼における含有量(質量%)である。なお、本実施形態に係る軟窒化部品の製造方法で用いることのできる鋼は、以下で説明される鋼に限定されない。
【0029】
本実施形態に係る軟窒化部品の製造方法で用いることのできる鋼は、好ましくは、成分組成(化学成分)として、C:0.04質量%以上0.35質量%以下、Si:0.01質量%以上1.20質量%以下、Mn:0.30質量%以上1.80質量%以下、P:0.1質量%以下、S:0.5質量%以下、Al:0.010質量%以上0.300質量%以下及びN:0.0250質量%以下、を含んでよく、残部として、Fe(鉄)及び不純物を含んでよい。
【0030】
この鋼は、任意成分である成分組成として、Cr(クロム):2.0質量%以下、Mo(モリブデン):1.0質量%以下、Cu(銅):1.0質量%以下、Ni(ニッケル):1.0質量%以下及びB(ホウ素):0.01質量%以下、のうちから選ばれる一つ以上を含んでよい。
【0031】
また、この鋼は、任意成分である成分組成として、Ti(チタン):0.1質量%以下、Nb(ニオブ):0.1質量%以下、V(バナジウム):0.2質量%以下、Hf(ハフニウム):0.1質量%以下及びTa(タンタル):0.1質量%以下、のうちから選ばれる一つ以上を含んでよい。
【0032】
また、この鋼は、任意成分である成分組成として、Sn(スズ):0.1質量%以下及びSb(アンチモン):0.1質量%以下、のうちから選ばれる一つ以上を含んでよい。
【0033】
また、この鋼は、任意成分である成分組成として、Se(セレン):0.3質量%以下、Ca(カルシウム):0.1質量%以下、Pb(鉛):0.3質量%以下及びBi(ビスマス):0.3質量%以下、のうちから選ばれる一つ以上を含んでよい。
【0034】
Cの含有量は、0.04質量%以上0.35質量%以下としてよい。窒化処理後の中心部硬度を高めるために、Cの含有量は、0.04質量%以上であるとよい。Cの含有量が0.35質量%を超えると、冷間加工時の荷重が増大し金型の寿命低下を招く場合もある。Cの含有量は、好ましくは0.05質量%以上0.27質量%以下、より好ましくは0.10%以上0.25%以下である。
【0035】
Siの含有量は、0.01質量%以上1.20質量%以下としてよい。窒化鋼において、Siは、脱酸剤として寄与する。過剰にSiを鋼に含有させると鋼材の冷間加工性を低下させるとともに、鋼の靱性低下を通じて疲労強度を低下させる場合がある。Siの含有量は、好ましくは0.05質量%以上0.70質量%以下、より好ましくは0.10質量%以上0.50質量%以下である。
【0036】
Mnの含有量は、0.30質量%以上1.80質量%以下としてよい。Mnは、焼入れ性を向上させ、鋼の窒化前組織を高強度化する作用を通じ窒化後組織(窒化鋼)を高強度化する。十分な疲労強度を得るためには、Mnの含有量は、0.30質量%以上であるとよい。過剰にMnを鋼に含有させると、変形抵抗の上昇を招く場合がある。Mnの含有量は、好ましくは0.40質量%以上1.70質量%以下であり、より好ましくは0.50以上1.30質量%以下である。
【0037】
Pの含有量は0.1質量%以下としてよい。Pは、窒化鋼の結晶粒界に偏析し、靭性を低下させるため、その混入は低いほど望ましい。Pの含有量は、0.1質量%までは許容される。Pの含有量は、好ましくは0.02質量%以下である。なお、Pの含有量の下限については特に限定せずとも問題はないが、Pの含有は通常は不可避的であるので、無駄な低P化は精錬時間の増長や精錬コストを上昇させてしまう場合がある。そのため、Pの含有量は、0.003質量%以上とするのが合理的で好ましい。
【0038】
Sの含有量は0.5質量%以下としてよい。Sは、硫化物系介在物として存在し、被削性の向上に有効な元素である。過剰にSを鋼に含有させると冷間加工性の低下を招く場合がある。Sの含有量の下限については特に限定しないが、Sの含有は通常は不可避的であるので、過度の低S化は精錬コストを上昇させてしまう場合がある。そのため、Sの含有量は、0.003質量%以上とするのが合理的である。Sの含有量は、好ましくは0.004質量%以上0.3質量%以下であり、更に好ましくは0.005質量%以上0.09質量%以下である。
【0039】
Alの含有量は、0.010質量%以上0.300質量%以下としてよい。Alは、酸化物を形成し、窒化鋼の脱酸に有効な元素である。また、Alは、窒化鋼に粗大化な酸化物系介在物の生成を抑止する作用を有する。Alの含有量が0.010質量%未満であると、これらの効果が得られない場合がある。過剰にAlを鋼に含有させると介在物(Al酸化物)の増加を招き、疲労破壊の起点を増やし、低疲労強度の原因となる場合がある。
【0040】
Nの含有量は、0.0250質量%以下としてよい。Nは、Alと結合し、窒化物(AlN)を形成する。微細析出したAlNは鋼の窒化後(窒化鋼)の硬度を上昇させる作用がある。過剰にNを鋼に含有させると鋳造後の鋼片表面割れを招く場合がある。Nの含有量の下限については特に限定しないが、Nの含有は通常は不可避的であるので、過度の低N化は精錬コストを上昇させてしまう場合がある。Nの含有量は、0.0010質量%以上、好ましくは0.0015質量%以上である。Nの含有量は、好ましくは0.0180質量%以下、更に好ましくは0.0020質量%以上0.0150質量%以下である。
【0041】
Crの含有量は、2.0質量%以下としてよい。Crは、焼入性と焼戻し軟化抵抗の向上に寄与し、また、炭化物の球状化促進にも有用な元素である。Crの含有量が2.0質量%を超えると、軟窒化後の表面に生成するCr窒化物層が厚くなり、内部へのNの浸入を阻害し、硬度不足を招く場合がある。Crの含有量は、好ましくは0.40質量%以上1.90質量%以下であり、より好ましくは0.70質量%以上1.75質量%以下である。
【0042】
Moの含有量は、1.0質量%以下としてよい。Moは、焼入れ性を向上させ、窒化前組織を高強度化する作用を通じ窒化後組織を高強度化する。しかし、Moの含有量が1.0質量%以上では、焼入性が過剰となり、圧延後の硬度が上昇し、加工性や被削性が低下する場合がある。なお、Moによる鋼材強度の向上効果を発現させるためには、0.01質量%以上でMoを鋼に含有させることが好ましい。Moの含有量は、より好ましくは0.03質量%以上0.50質量%以下、更に好ましくは0.05質量%以上0.25質量%以下である。
【0043】
Cuの含有量は、1.0質量%以下としてよい。Cuは、焼入れ性を向上させ、窒化前組織を高強度化する作用を通じ窒化後組織を高強度化する。この効果を得るためには、0.01質量%以上でCuを鋼に含有させることが好ましい。Cu含有量が1.0質量%を超えると、圧延材の表面肌が荒れてしまい、疵として残存する懸念がある。Cuの含有量は、より好ましくは0.015質量%以上0.5質量%以下、更に好ましくは0.03質量%以上0.3質量%以下である。
【0044】
Niの含有量は、1.0質量%以下としてよい。Niは、靱性の向上に有用な元素である。これらの効果を得るためには、0.01質量%以上でNiを鋼に含有させることが好ましい。1.0質量%を超えてNiを鋼に含有させても上記の効果は飽和する。Niの含有量は、より好ましくは0.015質量%以上0.5質量%以下、更に好ましくは0.03質量%以上0.3質量%以下である。
【0045】
Bの含有量は、0.01質量%以下としてよい。Bは、粒界に偏析し、拡散型変態を抑制することで、焼入性の向上に有効であり、加えて粒界を強化し、疲労亀裂の発生および進展を抑制し疲労強度を向上させる効果もある。Bによるこの効果を得るためには、0.0003質量%以上でBを鋼に含有させることが好ましい。Bの含有量が0.01質量%を超えると、鋼の靱性が低下するため、Bの含有量は0.01質量%以下とすることが好ましい。Bの含有量は、より好ましくは0.0005質量%以上0.005質量%以下、更に好ましくは0.0007質量%以上0.002質量%以下である。
【0046】
Tiの含有量は、0.1質量%以下としてよい。Tiは炭素や窒素と結合し、軟窒化時に微細析出物を形成する作用により、鋼材強度を向上させる。しかし、0.1質量%を超えてTiを鋼に含有させても、その効果は飽和する。Tiの含有量は、好ましくは0.005質量%以上0.08質量%以下、更に好ましくは0.01質量%以上0.06質量%以下である。
【0047】
Nbの含有量は、0.1質量%以下としてよい。Nbは炭素や窒素と結合し、軟窒化時に微細析出物を形成する作用により、鋼材強度を向上させる。しかし、0.1質量%を超えてNbを鋼に含有させても、その効果は飽和する。Nbの含有量は、好ましくは0.005質量%以上0.08質量%以下、更に好ましくは0.01質量%以上0.06質量%以下である。
【0048】
Vの含有量は、0.2質量%以下としてよい。Vは炭素や窒素と結合し、軟窒化時に微細析出物を形成する作用により、鋼材強度を向上させる。Vによるこの効果を得るためには、少なくとも0.003質量%以上でVを鋼に含有させることが好ましい。0.2質量%を超えてVを鋼に含有させても合金コストが高価となるばかりであり、効果は飽和する。Vの含有量は、より好ましくは0.005質量%以上0.15質量%以下、更に好ましくは0.01質量%以上0.10質量%以下である。
【0049】
Hfの含有量は、0.1質量%以下としてよい。Hfは炭素や窒素と結合し、軟窒化時に微細析出物を形成する作用により、鋼材強度を向上させる。Hfによるこの効果を得るためには、少なくとも0.003質量%以上でHfを鋼に含有させることが好ましい。0.1質量%を超えてHfを鋼に含有させると、鋳造凝固時に粗大な析出物を生成し、疲労強度の劣化を招く場合がある。Hfの含有量は、より好ましくは0.005質量%以上0.06質量%以下、更に好ましくは0.01質量%以上0.05質量%以下である。
【0050】
Taの含有量は、0.1質量%以下としてよい。Taは炭素や窒素と結合し、軟窒化時に微細析出物を形成する作用により、鋼材強度を向上させる。Taによるこの効果を得るためには、少なくとも0.003質量%以上でTaを鋼に含有させることが好ましい。一方、0.1質量%を超えてTaを鋼に含有させると、鋳造凝固時に割れを生じやすくなり、圧延および鍛造後でも疵が残存する場合がある、Taの含有量は、より好ましくは0.005質量%以上0.06質量%以下、更に好ましくは0.01質量%以上0.05質量%以下である。
【0051】
Sbの含有量は、0.1質量%以下としてよい。Sbは、鋼材表面の脱炭を抑制し、表面硬度の低下を防止するために有効な元素である。この効果を発現させるためには、0.0003質量%以上でSbを鋼に含有させることが好ましい。過剰にSbを鋼に含有させると鋼の加工性が低下する。Sbの含有量は、より好ましくは0.001質量%以上0.05質量%以下であり、更に好ましくは0.0015質量%以上0.035質量%以下である。
【0052】
Snの含有量は、0.1質量%以下としてよい。Snは、鋼材表面の耐食性を向上させるために有効な元素である。耐食性向上の観点からは、0.003質量%以上でSnを鋼に含有させることが好ましい。過剰にSnを鋼に含有させると加工性を低下させる。Snの含有量は、より好ましくは0.0010質量%以上0.050質量%以下であり、更に好ましくは0.0015質量%以上0.035質量%以下である。
【0053】
Seの含有量は、0.3質量%以下としてよい。Seは、MnやCuと結合し、鋼中に析出物として分散することで被削性を向上させる。この効果を得るためには、少なくとも0.001質量%以上でSeを鋼に含有させることが好ましい。0.3質量%を超えてSeを鋼に含有させても効果は飽和する。Se含有量は、より好ましくは0.005質量%以上0.1質量%以下、更に好ましくは0.008質量%以上0.09質量%以下である。
【0054】
Caの含有量は、0.1質量%以下としてよい。Caは、Sと結合し、鋼中に硫化物として分散することで被削性を向上させる。この効果を得るためには、少なくとも0.0005質量%以上でCaを鋼に含有させることが好ましい。0.1質量%を超えてCaを鋼に含有させても効果は飽和する。Ca含有量は、より好ましくは0.0010質量%以上0.0500質量%以下、更に好ましくは0.0015質量%以上0.0300質量%以下である。
【0055】
Pbの含有量は、0.3質量%以下としてよい。Pbは、切削時の切屑を微細化する効果がある。切屑処理性を向上させたい場合、Pbの添加が有効である。この効果を得るためには、0.01質量%以上でPbを鋼に含有させることが好ましい。過度にPbを鋼に含有させても切屑処理性の向上効果は飽和する。Pbの含有量は好ましくは0.01質量%以上0.2質量%以下、更に好ましくは0.01質量%以上0.1質量%以下である。
【0056】
Biの含有量は、0.3質量%以下としてよい。Biは、切削時の切屑を微細化する効果がある。切屑処理性を向上させたい場合、Biの添加が有効である。この効果を得るためには、0.01質量%以上でBiを含有させることが好ましい。過度にBiを鋼に含有させても切屑処理性の向上効果は飽和する。Biの含有量は好ましくは0.01質量%以上0.2質量%以下、更に好ましくは0.01質量%以上0.1質量%以下である。
【0057】
以上説明した元素以外の残部はFe及び不純物である。不純物とは、鋼材を工業的に製造する際に、原料としての鉱石、スクラップ、または製造環境などから混入されるものであって、本実施形態の特性に悪影響を与えない範囲で許容される。
【0058】
鋼を冷間加工すると、加工様式に応じた結晶方位回転が生じる。加工量が増大するほど結晶方位回転が顕著となり、結晶方位の集積が進行する。EBSD法(電子線後方散乱回折法)で得られる逆極点図強度分布は、結晶方位の集積度合いを示す代表的な指標である。逆極点図強度分布における強度の最大値が1.5以上のとき、鋼の疲労強度が向上する。鋼の疲労強度を十分に向上させたい場合、逆極点図強度分布における強度の最大値は、好ましくは1.7以上であり、より好ましくは2.0以上である。
【0059】
本実施形態における軟窒化部品では、その本体の表面から0.5mmの深さにおいて部品表面と平行な方向で測定した逆極点図強度分布における強度の最大値が1.5以上である。
【0060】
本実施形態における冷間加工には、冷間での引張加工(冷間引張加工)、冷間での引抜加工及び冷間での鍛造(冷間鍛造)のうち、少なくとも一つの要素を含む加工が含まれる。具体的には、例えば、冷間鍛造での歯車成形、スプライン成形、しぼり(縮径)成形、前方押出成形、後方押出成形や、冷間での転造による歯車成形、スプライン成形も本実施形態における冷間加工に含まれる。
【0061】
鋼に対して行う冷間加工の回数は制限されない。例えば、鋼に対して1回のみの冷間加工を行って前駆体の逆極点図強度分布における強度の最大値を1.5以上としてよい。
【0062】
また、たとえば、鋼に対して複数回(2回以上)の冷間加工を行って前駆体の逆極点図強度分布における強度の最大値を1.5以上としてもよい。
【0063】
また、前駆体の逆極点図強度分布における強度の最大値を目安として、この最大値が1.5以上となるまで冷間加工を繰り返すようにしてもよい。
【0064】
鋼に対して冷間加工を行う場合における、1回の冷間加工あたりの変形量は任意である。
【0065】
冷間加工による結晶方位回転は、鋼の成分及び組織に関わらず発生し、方位集積挙動は加工様式に依存する。このため、本実施形態に係る軟窒化部品の製造方法、原料鋼材としての鉄鋼材料全般に適用可能であり、本実施形態の例示に制限されない。
【実施例0066】
以下、実施例に基づいて本実施形態に係る鋼について説明する。なお、本実施形態に係る鋼は、この実施例に制限されない。
【0067】
(実施例1)
JIS G4051に規定される機械構造用炭素鋼(S45C)を熱間圧延により直径20mmの丸棒(原料鋼材の一例)に成形した。
【0068】
次に、この丸棒を冷間引抜加工(冷間加工の一例)して丸棒状の前駆体を製造した。前駆体は、表1に示すように、冷間引抜加工の回数を1回から3回に変更して製造したものと、冷間引抜加工のダイスの径を違えて製造したものと、を製造した(前駆体No.2から6)。なお、冷間引抜加工して製造した前駆体の比較対象として、冷間引抜加工していない丸棒を確保した(前駆体No.1)。
【0069】
前駆体No.1から6は、それぞれ15本準備した。
【0070】
前駆体No.2から6の直径と、繰り返した冷間引抜加工における累積断面減少率(%)とを併せて表1に示す。なお、累積断面減少率とは、直径20mmの丸棒を前駆体に加工した際の、軸方向に交差する断面の面積の減少率である。
【0071】
次に、これら丸棒又は前駆体(前駆体No.1から6)一部を切削して、平行部の直径が10mmの小野式回転曲げ疲労試験片(以下、単に試験片と称する)を採取した。
【0072】
なお、図1には、試験片の形状を示す模式図を示している。試験片は、軸心Gに沿う直線状で、軸心Gに直交する断面が、軸心Gと中心が重複する円形の棒状である。試験片における軸心Gに沿う方向の両端部は後述する掴み部1,1である。軸心Gに沿う方向における掴み部1,1間に平行部2が配置されている。本実施例において、図1に示す平行部2の直径が10mmである。また、掴み部1,1の直径が12mmである。平行部2を含む掴み部1,1間の長さは30mmである。平行部2の軸心Gに沿う方向における両端部は、掴み部1の端部から軸方向における中央部にかけてR15の曲面状に絞られている。
【0073】
【表1】
【0074】
次に、各前駆体に対応する15本の試験片のうち、無作為に選択した5本の試験片について、EBSD法による計測をおこなって逆極点図強度分布を求め、各試験片の強度の最大値を求めた。そして、各前駆体に対応する5本の試験片の強度の最大値の平均値(以下、強度平均値と称する場合がある)を求めた。逆極点図強度分布は、試験片の掴み部における、長手方向に直交する断面の中心軸(図1に示す軸心G)と重複する断面について求めた。
【0075】
なお、この断面の計測は、掴み部を長手方向に沿って切断して当該断面を露出させて行った。
【0076】
EBSD法による計測結果に基づく逆極点図強度分布の算出は、TSL社製結晶方位解析ソフトウェアOIMを用い行った。なお、EBSD法による計測には、走査型電子顕微鏡(日本電子株式会社製、型式:JSM-7001F)を用いた。
【0077】
EBSD法での測定視野範囲は一辺が0.5mm正方形の領域とし、逆極点図強度分布は、上記中心軸(軸心G)に沿う方向(後述する疲労試験における引張軸方向と同じ)について、球面調和関数法でSeries Rank:13、Gaussian Smoothing:5.0°、Sample Symmetry:Triclinicの条件で解析した。
【0078】
次に、各前駆体に対応する15本の試験片のうち、残りの10本の試験片に570℃で3時間のガス軟窒化熱処理を施して(窒化して)、処理後試験片(軟窒化部品の一例)を得た(窒化工程の一例)。窒化処理は、アンモニア、一酸化炭素を含む混合ガス中で行った。
【0079】
次に、各前駆体に対応する処理後試験片を応力振幅500MPaにて回転曲げ疲労試験に供し、それぞれ疲労強度として疲労破壊寿命(回)を計測して、各前駆体に対応する処理後試験片10本の疲労破壊寿命の平均値(疲労強度の平均値、回)を求めた。なお、疲労破壊寿命の平均値は大きいほど曲げ疲労特性に優れており好ましい。各前駆体に対応する疲労破壊寿命の平均値を併せて表1に示す。
【0080】
更に、前駆体No.2から6に対応する各処理後試験片について、冷間引抜加工による疲労破壊寿命向上率を算出した。なお、冷間引抜加工による疲労破壊寿命向上率とは、前駆体No.2から6の疲労破壊寿命の各平均値を、丸棒(前駆体No.1)の疲労破壊寿命の各平均値で割った値である。なお、疲労破壊寿命向上率は大きいほど曲げ疲労特性に優れており好ましい。各前駆体に対応する疲労破壊寿命向上率を併せて表1に示す。
【0081】
冷間引抜加工を行わずに窒化した処理後試験片(前駆体No.1)の疲労破壊寿命と比較して、処理後試験片(軟窒化部品)の疲労破壊寿命が延びた場合(すなわち、疲労破壊寿命向上率が1を超えている場合)、処理後試験片の曲げ疲労特性が優れているといえる。
【0082】
表1に示すように、試験片(前駆体)の強度平均値が大きくなると、疲労破壊寿命向上率が大きくなっている。したがって、強度平均値が大きくなると、処理後試験片(軟窒化部品)の曲げ疲労特性が優れたものとなることがわかる。
【0083】
このうち、冷間引抜加工を行わずに窒化した処理後試験片(前駆体No.1)の疲労破壊寿命と比較して、処理後試験片(軟窒化部品)の疲労破壊寿命が2倍以上(すなわち、疲労破壊寿命向上率が2以上)である場合、処理後試験片の曲げ疲労特性が特に優れているといえる。
【0084】
表1に示すように、試験片(前駆体)の強度平均値が1.5以上である場合に、疲労破壊寿命向上率が2以上となっている。したがって、強度平均値が1.5以上である場合に、処理後試験片(軟窒化部品)の曲げ疲労特性が優れたものとなることがわかる。また、試験片(前駆体)の強度平均値が大きくなるほど、疲労破壊寿命向上率は向上しており、試験片(前駆体)の強度平均値が大きくなるほど、処理後試験片(軟窒化部品)の曲げ疲労特性が優れたものとなることがわかる。
【0085】
(実施例2)
まず、表2に示す成分組成の鋼(鋼No.1から31)を溶製し、熱間圧延により直径20mmの丸棒(原料鋼材の一例)に成形した。
【0086】
そして、この丸棒を冷間引張加工(冷間加工の一例)して直径16mmの丸棒状の前駆体とした後(冷間加工工程の一例)、この前駆体の一部を切削して、平行部の直径が10mmの小野式回転曲げ疲労試験片(以下、単に試験片と称する)を採取した。
【0087】
なお、本実施例において、試験片は、実施例1に係る試験片と同一形状である(図1参照)。
【0088】
【表2】
【0089】
そして、この試験片について、EBSD法による計測をおこなって逆極点図強度分布を求め、その強度の最大値を求めた。逆極点図強度分布は、試験片の掴み部における、長手方向に直交する断面の中心軸(図1に示す軸心G)と重複する断面について求めた。
【0090】
なお、この断面の計測は、掴み部を長手方向に沿って切断して当該断面を露出させて行った。
【0091】
EBSD法による計測結果に基づく逆極点図強度分布の算出は、実施例1と同様にして行った。
【0092】
EBSD法での測定視野範囲及び逆極点図強度分布の解析の条件も、実施例1と同様にして行った。
【0093】
次に、この試験片に570℃で3時間のガス軟窒化熱処理を施して(窒化して)、処理後試験片(軟窒化部品の一例)を得た(窒化工程の一例)。窒化処理は、アンモニア、一酸化炭素を含む混合ガス中で行った。
【0094】
次に、各成分組成の処理後試験片について、逆極点図強度分布における強度の最大値が1.5以上の処理後試験片と、そうでない処理後試験片とを分別した。そして、極点図強度分布における強度の最大値が1.5以上の処理後試験片と、そうでない処理後試験片とを区別して回転曲げ疲労試験に供し、それぞれ疲労限度(1×10回相当応力)を評価した。
【0095】
表2に示すように、本実施形態に従う軟窒化部品の製造方法で製造された処理後試験片(軟窒化部品、極点図強度分布における強度の最大値が1.5以上のもの)は、本実施形態に従わない製造方法で製造されたものに比べて、有意に曲げ疲労特性に優れることが分かる。
【0096】
このように、本実施形態に従う処理後試験片(軟窒化部品の本体)を形成する鋼は、Cuのような比較的高価な金属を多量に含有することを要せず低コストであるにもかかわらず、疲労特性に優れている。
【0097】
また、本実施形態に従う処理後試験片(軟窒化部品の本体)を形成する鋼は、Vのようなレアメタルの添加を必須とするものではなく低コストであるにもかかわらず、疲労特性に優れている。
【0098】
なお処理後試験片について、EBSD法による計測をおこなって逆極点図強度分布を求め、その強度の最大値を求めたところ、各処理後試験片における逆極点図強度分布の強度の最大値は、それぞれ対応する窒化前の試験片(それぞれの処理後試験片の窒化前の状態)における逆極点図強度分布の強度の最大値と同じであった。
【0099】
なお、逆極点図強度分布は、処理後試験片の掴み部における表面から0.5mmの深さの部分について求めた。処理後試験片の掴み部における表面から0.5mmの深さの部分の計測は、掴み部の表面の一部(一例として、図1に示す位置3)を表面下0.5mm切削して当該部分を露出させて行った。
【0100】
すなわち、試験片の窒化前後において、試験片の内部(本実施形態では、表面から0.5mmの深さの部分)の逆極点図強度分布の強度の最大値は同じであった。
【0101】
以上のようにして、低コストで曲げ疲労特性に優れた軟窒化部品の製造方法を提供することができる。
【0102】
なお、本明細書において開示された実施形態は例示であって、本発明の実施形態はこれに限定されず、本発明の目的を逸脱しない範囲内で適宜改変することが可能である。
【産業上の利用可能性】
【0103】
本発明は、軟窒化部品の製造方法に適用できる。
【符号の説明】
【0104】
1 :掴み部
2 :平行部
G :軸心
図1