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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024137535
(43)【公開日】2024-10-07
(54)【発明の名称】リッド開閉装置
(51)【国際特許分類】
   B60K 15/05 20060101AFI20240927BHJP
【FI】
B60K15/05 B
【審査請求】未請求
【請求項の数】4
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023049087
(22)【出願日】2023-03-24
(71)【出願人】
【識別番号】000241463
【氏名又は名称】豊田合成株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110000604
【氏名又は名称】弁理士法人 共立特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】佐藤 花保
(72)【発明者】
【氏名】金子 健一郎
【テーマコード(参考)】
3D038
【Fターム(参考)】
3D038CA10
3D038CC16
(57)【要約】
【課題】リッド閉位置でリッドと車体ボデーとの凍結による固着を防止すること。
【解決手段】リッド開閉装置は、供給口を収容する収容空間と、収容空間を車体外部に露出させる開口部と、を有し、車体ボデーに取り付けられるリッドボックスと、開口部を開閉するリッドと、リッドの閉位置でリッドボックスとリッドとに挟まれて弾性変形するシール部と、リッドの閉位置で生じるリッドの外縁部と車体ボデーとの隙間箇所に配置され、リッドの閉位置でリッドの外縁部から離間しかつ車体ボデーに接する隙間配置部と、を備える。隙間配置部は、車体ボデーに比べて撥水性のある材料により形成されている。
【選択図】図4
【特許請求の範囲】
【請求項1】
供給口を収容する収容空間と、前記収容空間を車体外部に露出させる開口部と、を有し、車体ボデーに取り付けられるリッドボックスと、
前記開口部を開閉するリッドと、
前記リッドの閉位置で前記リッドボックスと前記リッドとに挟まれて弾性変形するシール部と、
前記リッドの閉位置で生じる前記リッドの外縁部と前記車体ボデーとの隙間箇所に配置され、前記リッドの閉位置で前記リッドの前記外縁部から離間しかつ前記車体ボデーに接する隙間配置部と、
を備え、
前記隙間配置部は、前記車体ボデーに比べて撥水性のある材料により形成されている、リッド開閉装置。
【請求項2】
前記リッドの閉位置で前記リッドボックスの前記開口部の周縁部と前記リッドとの間に介在するリップシールを備え、
前記リップシールは、前記シール部と前記隙間配置部とを一体に含む、請求項1に記載されたリッド開閉装置。
【請求項3】
前記リップシールの全体は、前記材料を含むゴムにより構成されている、請求項2に記載されたリッド開閉装置。
【請求項4】
前記隙間配置部は、前記車体ボデーにおける前記リッドの前記外縁部に対向する面に塗布され又は貼り付けられている、請求項1に記載されたリッド開閉装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、車体ボデーに取り付けられるリッドボックスの開口部をリッドを用いて開閉させるリッド開閉装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、車両に搭載され、リッドボックスの開口部をリッドを用いて開閉させるリッド開閉装置が知られている(例えば、特許文献1)。上記の特許文献1記載のリッド開閉装置は、リッドボックスと、リッドと、リップシールと、を備えている。
【0003】
リッドボックスは、車両の充電口や給油口などの供給口を収容すると共にその供給口を外部に露出させるベース部材である。リッドボックスは、車体ボデーに取り付けられている。リッドは、リッドボックスの開口部を開閉する蓋材である。リッドは、例えばヒンジ部材を介してリッドボックスに開閉動作可能に支持されている。リップシールは、リッド閉位置でリッドボックスの開口部の周縁部とリッドとの間に介在するシール部品である。
【0004】
リップシールは、リッド閉位置でリッドの外縁部と車体ボデーとの間に生じる隙間箇所の手前側よりも奥側に配置されている。リップシールは、リッド閉位置において、リッドボックスの開口部の周縁部とリッドとに挟まれた状態になり、リッドボックスとリッドとの隙間を塞ぐ。このリップシールによれば、リッド閉位置で上記の隙間箇所の手前側からその隙間箇所へ進入する水や雪,塵などがリッドボックス内へ進入するのを防止することができる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】中国実用新案第211663189号明細書
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
しかしながら、上記のリップシールがリッドボックスの開口部の周縁部とリッドとの間に介在していても、リッド閉位置において上記の隙間箇所の手前側からリップシールのシール部に至るまでの空間形成部位で水の付着を防ぐことは困難である。このため、金属製の車体ボデーが空間形成部位として空間側に露出している構造では、0°以下の低温環境において車体ボデーに付着した水が凍結すると、凍結の進行によりリッドの外縁部と車体ボデーとが固着し易くなり、その結果として、リッドの開放が困難となるおそれがある。
【0007】
本発明は、このような点に鑑みてなされたものであり、リッド閉位置でリッドと車体ボデーとの凍結による固着を防止することが可能なリッド開閉装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明の一態様は、供給口を収容する収容空間と、前記収容空間を車体外部に露出させる開口部と、を有し、車体ボデーに取り付けられるリッドボックスと、前記開口部を開閉するリッドと、前記リッドの閉位置で前記リッドボックスと前記リッドとに挟まれて弾性変形するシール部と、前記リッドの閉位置で生じる前記リッドの外縁部と前記車体ボデーとの隙間箇所に配置され、前記リッドの閉位置で前記リッドの前記外縁部から離間しかつ前記車体ボデーに接する隙間配置部と、を備え、前記隙間配置部は、前記車体ボデーに比べて撥水性のある材料により形成されている、リッド開閉装置である。
【0009】
この構成によれば、リッド閉位置でリッドと車体ボデーとの凍結による固着を防止することができる。
【図面の簡単な説明】
【0010】
図1】本発明の一実施形態に係る車両に搭載されたリッド開閉装置のリッド閉位置での正面図である。
図2】一実施形態のリッド開閉装置のリッド開位置での正面図である。
図3】一実施形態のリッド開閉装置の分解図である。
図4】一実施形態のリッド開閉装置を図1に示すIV-IVで切断した際の断面図である。
図5】対比例のリッド開閉装置においてリッドと車体ボデーとの隙間箇所で凍結が生じる状況を表した図である。
図6】一実施形態のリッド開閉装置においてリッドと車体ボデーとの隙間箇所で凍結が生じ難い状況を表した図である。
【発明を実施するための形態】
【0011】
以下、図1図6を用いて、本発明に係るリッド開閉装置の具体的な実施形態について説明する。
【0012】
一実施形態に係るリッド開閉装置1は、車体ボデーに取り付けられるリッドボックスの開口部をリッドを用いて開閉させる装置である。
【0013】
リッド開閉装置1は、例えば、ガソリン車やディーゼル車,電気自動車,ハイブリッド自動車などの車両に搭載されている。リッド開閉装置1は、車体側部や車体前部のフェンダーなどの車体ボデー2に取付孔2a(図3参照)に嵌るように設置される。取付孔2aの奥側には、例えば車両へのエネルギ供給のための供給口(具体的には充電口や給油口など;図2参照)3が配置される。尚、本実施例においては、適宜、リッド開閉装置1を車両外側から見た場合を基準にして方向を示し、車両外側(手前側)と車両内側(奥側)を結ぶ方向を表裏方向とし、車体ボデー2の表面に沿った横方向を左右方向とし、車体ボデー2に沿った縦方向を上下方向とする。
【0014】
リッド開閉装置1は、図1図4に示す如く、リッドボックス10と、リッド20と、開閉機構30と、リップシール40と、を備えている。リッド開閉装置1は、開閉機構30の駆動により動力をリッド20に伝達することにより、リッド20をリッドボックス10に対して開閉動作させる。
【0015】
リッドボックス10は、供給口3を収容する容器部材である。リッドボックス10は、箱状に形成された筒状の有底部材である。リッドボックス10は、取付孔2aに嵌るように車体ボデー2に取り付けられる。リッドボックス10は、例えばポリプロピレンなどの樹脂により成形されている。リッドボックス10は、例えば射出成形体である。リッドボックス10は、底壁部11と、側壁部12と、収容空間13と、開口部14と、枠部15と、を有している。
【0016】
底壁部11は、車体ボデー2よりも奥側に配置される板状部位である。側壁部12は、底壁部11の周縁から立設しており、その底壁部11の周縁を取り囲んでいる。収容空間13は、供給口3を収容する空間である。収容空間13は、底壁部11及び側壁部12により区画されている。開口部14は、収容空間13ひいては供給口3を車体外部に露出させる部位である。開口部14は、収容空間13の手前側に設けられている。枠部15は、側壁部12の手前側端から枠外方向に向けて延出するフランジ状の部位である。枠部15は、開口部14の周縁に沿って環状に形成されている。
【0017】
供給口3は、燃料タンクやバッテリなどに一端が接続する配管やケーブルの他端に設けられている。燃料タンクやバッテリは、底壁部11よりも奥側に配置されている。供給口3は、底壁部11に設けられた貫通孔11aから手前側に露出するように配置されており、収容空間13に収容されている。供給口3は、リッド20の閉位置でそのリッド20の奥側に隠れる一方、リッド20の開位置で燃料供給や充電が可能となるように開口部14を介して車体外部に露出する。
【0018】
車体ボデー2は、鋼板やアルミニウムなどの金属により形成されている。尚、車体ボデー2は、車体外部側の表面に塗装が施されたものであってよい。車体ボデー2は、車体ボデー2表面の取付孔2a側の縁端から奥側へ折れ曲がり更に車体ボデー2表面に平行になるように折れ曲がることで断面L字状に形成されている。すなわち、車体ボデー2は、立壁部2bと、フランジ部2cと、を有している。
【0019】
立壁部2b及びフランジ部2cは、車体ボデー2における取付孔2aの周縁部に設けられており、環状に形成されている。立壁部2bは、車体ボデー2表面の取付孔2a側の縁端に接続して奥側へ延びている。フランジ部2cは、立壁部2bの奥側端に接続して内側へ延びている。フランジ部2cは、車体ボデー2表面よりも奥側に配置されている。
【0020】
リッドボックス10は、枠部15の裏面が車体ボデー2のフランジ部2cに対向して当接することにより車体ボデー2に位置決めされる。リッドボックス10は、取付孔2aに嵌りかつ車体ボデー2に位置決めされた状態でボルト締めや爪嵌合,接着剤などにより車体ボデー2に取り付け固定される。
【0021】
リッド20は、リッドボックス10の開口部14を開閉する蓋部材である。リッド20は、板状に形成されている。リッド20は、開口部14やその開口部14の周縁における枠部15に合わせた大きさを有している。リッド20は、リッド20の閉位置で車体ボデー2に面一になるように開口部14を閉じる。尚、リッド20の表面は、車体ボデー2に合わせて湾曲していてもよい。リッド20は、例えばポリプロピレンなどの樹脂により成形されている。リッド20は、例えば射出成形体である。また、リッド20は、車体外部側の表面に例えば車体ボデー2と同じ塗装が施されたものであってよい。
【0022】
リッド20は、閉位置と開位置との間で移動する開閉動作を行うことが可能である。尚、閉位置とは、リッド20が開口部14を閉じる位置のことである。また、開位置とは、リッド20が開口部14を開放する全開位置のことである。リッド20は、リッドボックス10に対して位置移動可能に支持されている。リッド20は、開閉機構30から伝達される動力により開閉動作することが可能である。
【0023】
開閉機構30は、リッド20をリッドボックス10に対して閉位置と開位置との間で開閉動作させる機構である。開閉機構30は、リッドボックス10とリッド20との間に介在している。開閉機構30は、リッドボックス10とリッド20とを繋ぐアームやリンクなどを含んで構成されている。
【0024】
尚、開閉機構30は、例えば、モータなどのアクチュエータの発生する動力を用いてリッド20を開閉動作させる機構であってもよいし、或いは、操作者の手動操作に伴う外力を動力として用いてリッド20を開閉動作させる機構であってもよく、それらのアクチュエータによる動力と外力とを選択的に用いてリッド20を開閉動作させる機構であってもよい。更には、開閉機構30は、リッド20を開動作させる動力源とリッド20を閉動作させる動力源とを、互いに異なる種類とする機構であってもよく、例えば、リッド20を開動作させる動力源がアクチュエータであり、リッド20を閉動作させる動力源が操作者の手動操作であってもよい。
【0025】
また、開閉機構30は、通常時はアクチュエータを用いてリッド20開動作させるが、アクチュエータの故障などの緊急時に操作者の手動操作でリッド20を開動作させる機構であってもよい。
【0026】
更に、開閉機構30は、リッド20の開閉動作時にリッド20を開口部14に対して平行な状態に保ったまま移動させるスライド型の機構であってもよいし、或いは、リッド20の開閉動作時にリッド20を開口部14に対して略平行に延びる軸を中心にして回動させるグースネック型の機構であってもよい。また、開閉機構30がリッドボックス10に対してリッド20を開閉動作させる方向は、上下方向でもよいし或いは左右方向であってもよい。尚、図2及び図3においては、スライド型かつ左右方向開閉型の開閉機構30が示されている。
【0027】
リップシール40は、リッド20の閉位置でリッドボックス10の開口部14の周縁部とリッド20との間に介在するシール部品である。リップシール40は、車体ボデー2に比べて撥水性のある材料により形成されていると共に、弾性変形可能な材料により形成されている。リップシール40は、撥水性材料と弾性材料とを含むゴムにより構成されている。
【0028】
尚、撥水性とは、固体表面に対する水滴の濡れ難さやはじき度合い(すなわち、濡れ性)を示した指標のことである。撥水性の評価指標としては、例えば、固体面と液面とのなす角度である接触角が用いられる。この接触角としては、いわゆる静的接触角だけでなく、前進接触角や後退接触角などの動的接触角が用いられてよい。また、接触角を測定する手法としては、液滴法や拡張収縮法,滑落法,動的滑落法などが用いられる。
【0029】
リップシール40は、例えば、熱可塑性エラストマー(TPE)により構成されており、特に熱可塑性樹脂にゴムを架橋させることにより作られる動的架橋型熱可塑性エラストマー(TPV)などにより構成されていることが好ましい。このTPVとしては、例えば、ポリプロピレン(PP)とエチレンプロピレンジエンゴム(EPDM)との組み合わせなどが挙げられる。PPは、樹脂以外の材料と化学結合(すなわち、共有結合)しない性質を持つ。車体ボデー2の水に対する接触角は例えば90°未満であり、また、リップシール40の水に対する接触角は例えば90°以上である。
【0030】
リップシール40は、リッド20の外縁部の全周に亘るように環状に形成されている。リップシール40は、ボックス取付部41と、シール部42と、隙間配置部43と、を有している。ボックス取付部41、シール部42、及び隙間配置部43は、互いに一体に形成されている。すなわち、リップシール40は、ボックス取付部41とシール部42と隙間配置部43とを一体に含む。
【0031】
ボックス取付部41は、リップシール40をリッドボックス10に取り付けるための部位である。ボックス取付部41は、リッドボックス10の枠部15の外縁部を表裏方向で挟み込むように断面U字状或いは断面二股状に形成されている。すなわち、ボックス取付部41は、リッドボックス10の枠部15の外縁部が嵌る溝部41aを有している。溝部41aは、環状に形成されている。リップシール40は、溝部41aに枠部15の外縁部が嵌ることによりリッドボックス10に取り付けられる。
【0032】
ボックス取付部41は、溝部41aよりも奥側の部位において車体ボデー2のフランジ部2cの表面に接している。リッドボックス10は、ボックス取付部41の奥側部位を介して車体ボデー2のフランジ部2cに対向して接する。尚、リッドボックス10と車体ボデー2とは、リップシール40のボックス取付部41によりシールされていてもよい。
【0033】
シール部42は、リッド20の閉位置でリッドボックス10とリッド20とに挟まれて弾性変形する部位である。シール部42は、リッド20の閉位置直前でリッドボックス10の枠部15の表面とリッド20の外縁部の裏面とに挟まれて弾性変形を開始し、リッド20の閉位置で最大の弾性変形量となる。シール部42は、ボックス取付部41における溝部41aよりも手前側の部位の例えば内側端(図4における左端)に接続されている。シール部42は、その内側端から手前側かつ外方(図4における右方)に向けて湾曲し又は傾斜して延びている。シール部42は、いわゆる片持ち形状をなしている。
【0034】
シール部42は、リッド20の開位置では、リッド20の外縁部の裏面に接触されないことで、ボックス取付部41の手前側部位の内側端を基点にして手前側に立つような姿勢状態にある。一方、シール部42は、リッド20の閉位置では、リッド20の外縁部の裏面に接触されて奥側へ押圧されることで弾性変形して、ボックス取付部41の手前側部位の内側端を基点にして外側に横たわるような姿勢状態になる。
【0035】
尚、リッド20は、図4に示す如く、外縁部の裏面から奥側に突出する形状に形成された突出部21を有していてもよく、その突出部21にてシール部42に接触するものとすればよい。
【0036】
隙間配置部43は、リッド20の閉位置で生じるリッド20の外縁部と車体ボデー2との隙間箇所S(図4参照)に配置される部位である。隙間箇所Sは、例えば3mm程度の大きさである。また、隙間箇所Sは、リッド20及び車体ボデー2の表面から裏側に奥行きのある空間を占めており、リッド20の外縁部の外側に全周に亘って取り囲むように設けられている。
【0037】
尚、隙間配置部43は、上記の隙間箇所Sのうち表裏方向の一部に限定して設けられていてもよい。すなわち、隙間配置部43は、上記の隙間箇所Sのうち表裏方向の一部に配置されていてよい。例えば、車体ボデー2の表面側の意匠性確保のため、隙間配置部43は、車体ボデー2の表面側から視認され難いように、その表面側の付近(例えばその表面から1mm程度の範囲)を除いた隙間箇所Sに配置されていてよい。隙間配置部43の手前側端(すなわち、先端)は、リッド20の裏面(奥側端面)よりも手前側に位置しており、上記のシール部42の先端よりも手前側に位置している。
【0038】
隙間配置部43は、リッド20の閉位置でリッド20の外縁部から外側に離間しかつ車体ボデー2に接している。すなわち、リッド20の閉位置では、隙間配置部43とリッド20の外縁部とは、互いに離れて配置されている。そして、隙間配置部43は、リッド20が閉位置を含めた何れの位置にあっても車体ボデー2の立壁部2bに接している。尚、隙間配置部43は、その手前側端部(すなわち、先端部)が例えば0.3mm程度の厚さを有していればよく、また、その厚さが奥側端部の厚さに比べて小さくなるものであってもよい。
【0039】
尚、隙間配置部43は、ボックス取付部41の例えば外側端(図4における右端)に接続されていてよく、上記の隙間箇所Sでない箇所すなわち隙間配置部43がリッド20の外縁部に対向しない箇所に配置される部位を含んでいてもよい。隙間配置部43は、立壁部2bに対向するように面状に形成されている。リッド20の外縁部と隙間配置部43の内端部との間には、概ね隙間箇所Sの大きさ(幅)よりも隙間配置部43の手前側端部の厚さ分だけ小さな隙間が形成される。
【0040】
また、リッドボックス10と車体ボデー2との間のシール性を確保するうえでは、隙間配置部43が、立壁部2bの少なくとも一部に接していればよく、全体に接するものであってもよい。また、車体ボデー2側の意匠性確保のためには、隙間配置部43が立壁部2bの手前側端部に接していることすなわち隙間配置部43の手前側端部が車体ボデー2に接していることが好ましい。リッドボックス10が車体ボデー2に取り付け固定されると、隙間配置部43が車体ボデー2の立壁部2bに接して内側(図4において右方)へ押圧されることで弾性変形する。これにより、リッドボックス10と車体ボデー2との間のシール性を確保すると共に、車体ボデー2側の意匠性を確保する。
【0041】
次に、リッド開閉装置1の動作について説明する。
リッド開閉装置1において、リッド20が閉位置にあるときは、リッド20は、リッドボックス10に対して位置決めされている。この場合、リッド20と車体ボデー2との隙間箇所Sには、リップシール40の隙間配置部43が、リッド20の外縁部から離間しつつ車体ボデー2の立壁部2bに接した状態に配置される。この構造においては、車体ボデー2自体がリッド20の外縁部側に露出せず、或いは、車体ボデー2におけるリッド20の外縁部に対向する立壁部2bのうちリッド20の外縁部側に露出する領域が制限される。このため、車体ボデー2におけるリッド20の外縁部に対向する立壁部2bのうちに水が直接に付着できる領域が無く或いはその立壁部2bの全領域よりも狭い。
【0042】
また、上記の構造においては、リップシール40ひいては隙間配置部43が、リッド20の外縁部側に露出するが、車体ボデー2に比べて撥水性のある材料により形成されている。この構造においては、隙間配置部43におけるリッド20の外縁部に露出する領域において水が付着し難く、その付着量は、隙間箇所Sに隙間配置部43が配置されていない場合すなわち車体ボデー2がリッド20の外縁部に露出している場合に比べて少ない。
【0043】
更には、リッド20は、樹脂製である。このため、リッド20が金属製である場合に比べて、リッド20における隙間配置部43に対向する外縁部に水が付着し難く、その付着量が少ない。
【0044】
このように、リッド開閉装置1によれば、リッド20の閉位置でリッド20と車体ボデー2との間に生じる隙間箇所S(具体的には、リッド20の外縁部と車体ボデー2におけるリッド20の外縁部側に接するリップシール40の隙間配置部43との隙間)に水が溜まり難い(図5及び図6参照)。このため、低温環境下、リッド20の外縁部と車体ボデー2との間の隙間箇所Sにおいて水が凍結して氷50(図5参照)となって成長することは回避されるので、リッド20の閉位置でリッド20の外縁部と車体ボデー2との凍結による固着を防止することができる。従って、低温環境において、リッド20の閉位置から開位置への開放が損なわれるのを防止することができ、リッド20の良好な開閉操作性を確保することができる。
【0045】
[変形形態]
ところで、上記の実施形態においては、リッド20の閉位置でリッドボックス10とリッド20とに挟まれて弾性変形するシール部42と、リッド20の閉位置で生じるリッド20の外縁部と車体ボデー2との隙間箇所Sに配置され、リッド20の閉位置でリッド20の外縁部から離間しかつ車体ボデー2に接する、車体ボデー2に比べて撥水性のある材料により形成された隙間配置部43と、が同じリップシール40に一体に含まれている。しかしながら、本発明はこれに限定されるものではなく、シール部42及び隙間配置部43がそれぞれ別々の部品に設けられていてもよい。すなわち、シール部42をなすシール部品と、隙間配置部43をなす隙間配置部品と、が別個独立していてもよい。
【0046】
また、上記の実施形態においては、リップシール40の全体が、撥水性材料と弾性材料とを含むゴムにより形成されている。しかしながら、本発明はこれに限定されるものではなく、上記の変形形態の如くシール部42をなすシール部品と、隙間配置部43をなす隙間配置部品と、が別個独立している場合は、シール部品が少なくとも弾性材料を含むものであり、隙間配置部品が少なくとも撥水性材料を含むものであればよい。
【0047】
また、上記の実施形態においては、隙間配置部43がリップシール40の一部として設けられている。しかしながら、本発明はこれに限定されるものではなく、隙間配置部43が、車体ボデー2におけるリッド20の外縁部に対向する立壁部2bの面に塗布され又は貼り付けられていてもよい。
【0048】
また、上記の実施形態においては、リップシール40がリッドボックス10に取り付けられるので、リップシール40がリッドボックス10及び車体ボデー2に対して位置変化することなく位置固定されている。しかしながら、本発明はこれに限定されるものではなく、リップシール40がリッド20に取り付けられることで、リップシール40がリッド20に連動してリッドボックス10及び車体ボデー2に対して位置変化することとしてもよい。
【0049】
尚、本発明は、上述した実施形態や変形形態に限定されるものではなく、本発明の趣旨を逸脱しない範囲で種々の変更を施すことが可能である。また、本明細書は、出願当初に各請求項に記載された引用関係で示される技術思想を開示するだけでなく、各請求項に記載された事項を適宜組み合わせた技術思想を開示するものである。
【符号の説明】
【0050】
1:リッド開閉装置、2:車体ボデー、2a:取付孔、2b:立壁部、2c:フランジ部、3:供給口、10:リッドボックス、13:収容空間、14:開口部、20:リッド、30:開閉機構、40:リップシール、41:ボックス取付部、41a:溝部、42:シール部、43:隙間配置部、S:隙間箇所。
図1
図2
図3
図4
図5
図6