IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

知財求人 - 知財ポータルサイト「IP Force」

▶ 株式会社東芝の特許一覧 ▶ 東芝デバイス&ストレージ株式会社の特許一覧

<>
  • 特開-半導体装置 図1
  • 特開-半導体装置 図2
  • 特開-半導体装置 図3
  • 特開-半導体装置 図4
  • 特開-半導体装置 図5
  • 特開-半導体装置 図6
  • 特開-半導体装置 図7
  • 特開-半導体装置 図8
  • 特開-半導体装置 図9
  • 特開-半導体装置 図10
< >
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024137536
(43)【公開日】2024-10-07
(54)【発明の名称】半導体装置
(51)【国際特許分類】
   H01L 29/78 20060101AFI20240927BHJP
   H01L 29/12 20060101ALI20240927BHJP
   H01L 29/739 20060101ALI20240927BHJP
【FI】
H01L29/78 652B
H01L29/78 652T
H01L29/78 652C
H01L29/78 652E
H01L29/78 652F
H01L29/78 652S
H01L29/78 652M
H01L29/78 655A
【審査請求】未請求
【請求項の数】10
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023049091
(22)【出願日】2023-03-24
(71)【出願人】
【識別番号】000003078
【氏名又は名称】株式会社東芝
(71)【出願人】
【識別番号】317011920
【氏名又は名称】東芝デバイス&ストレージ株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100119035
【弁理士】
【氏名又は名称】池上 徹真
(74)【代理人】
【識別番号】100141036
【弁理士】
【氏名又は名称】須藤 章
(74)【代理人】
【識別番号】100178984
【弁理士】
【氏名又は名称】高下 雅弘
(72)【発明者】
【氏名】朝羽 俊介
(72)【発明者】
【氏名】河野 洋志
(57)【要約】
【課題】寄生抵抗を低減できる半導体装置を提供する。
【解決手段】実施形態の半導体装置は、第1の面と第2の面とを有する炭化珪素層と、第1の面の側の第1及び第2のゲート電極と、第1導電形の第1の炭化珪素領域と、第1の炭化珪素領域と第1の面との間の第2導電形の第2の炭化珪素領域と、第2の炭化珪素領域と第1の面との間の第2導電形の第3の炭化珪素領域と、第3の炭化珪素領域と第1の面との間の第1導電形の第4の炭化珪素領域と、第1の面の側の第1の電極と、第2の面の側の第2の電極とを備える。第1の電極は、第1のゲート電極と第2のゲート電極との間の第1の部分を含み、第1の部分は、第4の炭化珪素領域に接する第1の接触面と、第4の炭化珪素領域に接する第2の接触面と、第4の炭化珪素領域及び第3の炭化珪素領域に接する第3の接触面と、第3の炭化珪素領域に接する第4の接触面とを、有する。
【選択図】図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
第1の面と前記第1の面と対向する第2の面とを有する炭化珪素層と、
前記炭化珪素層の前記第1の面の側に設けられた第1のゲート電極と、
前記炭化珪素層の前記第1の面の側に設けられた第2のゲート電極と、
前記炭化珪素層の中に設けられ、前記第1の面に接する第1の領域を有し、前記第1の領域は前記第1のゲート電極と対向する第1導電形の第1の炭化珪素領域と、
前記炭化珪素層の中に設けられ、前記第1の炭化珪素領域と前記第1の面との間に設けられ、前記第1の面に接する第2の領域を有し、前記第2の領域は前記第1のゲート電極と対向する第2導電形の第2の炭化珪素領域と、
前記炭化珪素層の中に設けられ、前記第2の炭化珪素領域と前記第1の面との間に設けられ、前記第2の炭化珪素領域の第2導電形不純物濃度よりも第2導電形不純物濃度の高い第2導電形の第3の炭化珪素領域と、
前記炭化珪素層の中に設けられ、前記第3の炭化珪素領域と前記第1の面との間に設けられた第1導電形の第4の炭化珪素領域と、
前記第1のゲート電極と前記第2の領域との間に設けられた第1のゲート絶縁層と、
前記炭化珪素層の前記第1の面の側に設けられた第1の電極であって、
前記第1のゲート電極と前記第2のゲート電極との間に設けられた第1の部分を含み、
前記第1の部分は、前記炭化珪素層に接し前記第1の面と交差する第1の接触面と、前記炭化珪素層に接し前記第1の接触面と交差する第2の接触面と、前記炭化珪素層に接し前記第2の接触面と交差する第3の接触面と、前記炭化珪素層に接し前記第3の接触面と交差する第4の接触面と、を有し、
前記第1の接触面は、前記第4の炭化珪素領域に接し、前記第2の領域と対向し、
前記第2の接触面は、前記第4の炭化珪素領域に接し、前記第2の面と対向し、
前記第3の接触面は、前記第4の炭化珪素領域及び前記第3の炭化珪素領域に接し、
前記第4の接触面は、前記第3の炭化珪素領域に接し、前記第2の面と対向する、第1の電極と、
前記炭化珪素層の前記第2の面の側に設けられた第2の電極と、
を備える半導体装置。
【請求項2】
前記第1の面から前記第2の接触面までの前記第1の面から前記第2の面に向かう第1の方向の距離は、前記第4の炭化珪素領域の前記第1の方向の深さの3分の1以上である、請求項1記載の半導体装置。
【請求項3】
前記第1の面から前記第2の接触面までの、前記第1の面から前記第2の面に向かう第1の方向の距離は50nm以上である、請求項1記載の半導体装置。
【請求項4】
前記第3の接触面と前記第4の炭化珪素領域とが接する部分の、前記第1の面から前記第2の面に向かう第1の方向の長さは、
前記第3の接触面と前記第3の炭化珪素領域とが接する部分の、前記第1の方向の長さよりも長い、請求項1記載の半導体装置。
【請求項5】
前記第1の部分は、前記第1の接触面、前記第2の接触面、前記第3の接触面、及び、前記第4の接触面を有するシリサイド領域を含む、請求項1記載の半導体装置。
【請求項6】
前記シリサイド領域はニッケルシリサイドを含む、請求項5記載の半導体装置。
【請求項7】
前記第1の面から前記第4の接触面までの、前記第1の面から前記第2の面に向かう第1の方向の距離は150nm以上である、請求項1記載の半導体装置。
【請求項8】
前記第1のゲート電極及び前記第2のゲート電極は、前記第1の面に平行な第3の方向に延び、
前記第1の電極は、前記第1のゲート電極と前記第2のゲート電極との間に設けられ、前記第1の部分の前記第3の方向に位置する第2の部分を、更に含み、
前記第1の部分と前記第2の部分との間に前記第4の炭化珪素領域が設けられ、
前記第1の部分は、前記炭化珪素層に接し前記第4の接触面と交差する第5の接触面を更に有し、
前記第2の部分は、前記炭化珪素層に接する第6の接触面と、前記炭化珪素層に接し前記第6の接触面と交差する第7の接触面と、を有し、
前記第5の接触面は、前記第4の炭化珪素領域及び前記第3の炭化珪素領域に接し、
前記第6の接触面は、前記第4の炭化珪素領域及び前記第3の炭化珪素領域に接し、前記第5の接触面と対向し、
前記第7の接触面は、前記第3の炭化珪素領域に接し、前記第2の面と対向する、請求項1記載の半導体装置。
【請求項9】
前記第1の部分に接する前記第3の炭化珪素領域と、前記第2の部分に接する前記第3の炭化珪素領域は、前記第3の方向において連続する、請求項8記載の半導体装置。
【請求項10】
前記第1の電極は、前記第1のゲート電極と前記第2のゲート電極との間に設けられ、前記第1の部分と前記第2の部分との間に位置する第3の部分を、更に含み、
前記第3の部分は、前記炭化珪素層に接する第8の接触面を有し、
前記第8の接触面は、前記第4の炭化珪素領域に接し、前記第2の面と対向する、請求項8記載の半導体装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明の実施形態は、半導体装置に関する。
【背景技術】
【0002】
半導体デバイス用の材料として炭化珪素がある。炭化珪素はシリコンと比較して、バンドギャップが約3倍、破壊電界強度が約10倍、熱伝導率が約3倍と優れた物性を有する。この特性を活用すれば、例えば、高耐圧、低損失かつ高温動作可能なMOSFET(Metal Oxide Semiconductor Field Effect Transistor)を実現することができる。
【0003】
炭化珪素を用いたMOSFETの性能を向上させるために、オン抵抗を低減することが期待される。MOSFETのオン抵抗を低減するために、MOSFETの寄生抵抗を低減することが考えられる。MOSFETの寄生抵抗は、例えば、ソース領域の電気抵抗や、ソース電極とソース領域との間のコンタクト抵抗である。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2017-168668号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
本発明が解決しようとする課題は、寄生抵抗を低減できる半導体装置を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0006】
実施形態の半導体装置は、第1の面と前記第1の面と対向する第2の面とを有する炭化珪素層と、前記炭化珪素層の前記第1の面の側に設けられた第1のゲート電極と、前記炭化珪素層の前記第1の面の側に設けられた第2のゲート電極と、前記炭化珪素層の中に設けられ、前記第1の面に接する第1の領域を有し、前記第1の領域は前記第1のゲート電極と対向する第1導電形の第1の炭化珪素領域と、前記炭化珪素層の中に設けられ、前記第1の炭化珪素領域と前記第1の面との間に設けられ、前記第1の面に接する第2の領域を有し、前記第2の領域は前記第1のゲート電極と対向する第2導電形の第2の炭化珪素領域と、前記炭化珪素層の中に設けられ、前記第2の炭化珪素領域と前記第1の面との間に設けられ、前記第2の炭化珪素領域の第2導電形不純物濃度よりも第2導電形不純物濃度の高い第2導電形の第3の炭化珪素領域と、前記炭化珪素層の中に設けられ、前記第3の炭化珪素領域と前記第1の面との間に設けられた第1導電形の第4の炭化珪素領域と、前記第1のゲート電極と前記第2の領域との間に設けられた第1のゲート絶縁層と、前記炭化珪素層の前記第1の面の側に設けられた第1の電極であって、前記第1のゲート電極と前記第2のゲート電極との間に設けられた第1の部分を含み、前記第1の部分は、前記炭化珪素層に接し前記第1の面と交差する第1の接触面と、前記炭化珪素層に接し前記第1の接触面と交差する第2の接触面と、前記炭化珪素層に接し前記第2の接触面と交差する第3の接触面と、前記炭化珪素層に接し前記第3の接触面と交差する第4の接触面と、を有し、前記第1の接触面は、前記第4の炭化珪素領域に接し、前記第2の領域と対向し、前記第2の接触面は、前記第4の炭化珪素領域に接し、前記第2の面と対向し、前記第3の接触面は、前記第4の炭化珪素領域及び前記第3の炭化珪素領域に接し、前記第4の接触面は、前記第3の炭化珪素領域に接し、前記第2の面と対向する、第1の電極と、前記炭化珪素層の前記第2の面の側に設けられた第2の電極と、を備える。
【図面の簡単な説明】
【0007】
図1】第1の実施形態の半導体装置の模式断面図。
図2】第1の実施形態の模式上面図。
図3】第1の実施形態の半導体装置の模式断面図。
図4】第1の実施形態の半導体装置の拡大模式断面図。
図5】第1の比較例の半導体装置の拡大模式断面図。
図6】第2の比較例の半導体装置の拡大模式断面図。
図7】第2の実施形態の半導体装置の模式断面図。
図8】第2の実施形態の模式上面図。
図9】第2の実施形態の半導体装置の模式断面図。
図10】第2の実施形態の半導体装置の模式断面図。
【発明を実施するための形態】
【0008】
以下、図面を参照しつつ本発明の実施形態を説明する。なお、以下の説明では、同一又は類似の部材等には同一の符号を付し、一度説明した部材等については適宜その説明を省略する場合がある。
【0009】
また、以下の説明において、n、n、n及び、p、p、pの表記は、各導電形における不純物濃度の相対的な高低を表す。すなわちnはnよりもn形不純物濃度が相対的に高く、nはnよりもn形不純物濃度が相対的に低いことを示す。また、pはpよりもp形不純物濃度が相対的に高く、pはpよりもp形不純物濃度が相対的に低いことを示す。なお、n形、n形を単にn形、p形、p形を単にp形と記載する場合もある。
【0010】
実施形態の半導体装置の構成要素の厚さ、幅、間隔、深さなどの距離は、例えば、SEM(Scanning Electron Microscope)又はTEM(Transmission Electron Microscope)から得られる画像から求めることが可能である。
【0011】
実施形態の半導体装置の不純物濃度は、例えば、SIMS(Secondary Ion Mass Spectrometry)により測定することが可能である。また、不純物濃度の相対的な高低は、例えば、SCM(Scanning Capacitance Microscopy)で求められるキャリア濃度の高低から判断することも可能である。また、不純物領域の深さ、厚さなどの距離は、例えば、SIMSで求めることが可能である。また。不純物領域の深さ、厚さ、幅、間隔などの距離は、例えば、SCM像とAFM(Atomic Force Microscope)像との合成画像から求めることが可能である。また。不純物領域の深さ、厚さ、幅、間隔などの距離は、例えば、SEMで取得される画像から求めることが可能である。
【0012】
(第1の実施形態)
第1の実施形態の半導体装置は、第1の面と第1の面と対向する第2の面とを有する炭化珪素層と、炭化珪素層の第1の面の側に設けられた第1のゲート電極と、炭化珪素層の第1の面の側に設けられた第2のゲート電極と、炭化珪素層の中に設けられ、第1の面に接する第1の領域を有し、第1の領域は第1のゲート電極と対向する第1導電形の第1の炭化珪素領域と、炭化珪素層の中に設けられ、第1の炭化珪素領域と第1の面との間に設けられ、第1の面に接する第2の領域を有し、第2の領域は第1のゲート電極と対向する第2導電形の第2の炭化珪素領域と、炭化珪素層の中に設けられ、第2の炭化珪素領域と第1の面との間に設けられ、第2の炭化珪素領域の第2導電形不純物濃度よりも第2導電形不純物濃度の高い第2導電形の第3の炭化珪素領域と、炭化珪素層の中に設けられ、第3の炭化珪素領域と第1の面との間に設けられた第1導電形の第4の炭化珪素領域と、第1のゲート電極と第2の領域との間に設けられた第1のゲート絶縁層と、炭化珪素層の第1の面の側に設けられた第1の電極と、炭化珪素層の第2の面の側に設けられた第2の電極と、を備える。第1の電極は、第1のゲート電極と第2のゲート電極との間に設けられた第1の部分を含み、第1の部分は、炭化珪素層に接し第1の面と交差する第1の接触面と、炭化珪素層に接し第1の接触面と交差する第2の接触面と、炭化珪素層に接し第2の接触面と交差する第3の接触面と、炭化珪素層に接し第3の接触面と交差する第4の接触面と、を有する。第1の接触面は、第4の炭化珪素領域に接し、第2の領域と対向し、第2の接触面は、第4の炭化珪素領域に接し、第2の面と対向し、第3の接触面は、第4の炭化珪素領域及び第3の炭化珪素領域に接し、第4の接触面は、第3の炭化珪素領域に接し、第2の面と対向する。
【0013】
図1は、第1の実施形態の半導体装置の模式断面図である。図2は、第1の実施形態の模式上面図である。図2は、ゲート電極のパターンと、炭化珪素層表面の炭化珪素領域及びソース電極のパターンとを重ねた図である。図3は、第1の実施形態の半導体装置の模式断面図である。図4は、第1の実施形態の半導体装置の拡大模式断面図である。
【0014】
図1は、図2のAA’断面である。図3は、図2のBB’断面である。図4は、図1の一部の拡大断面図である。
【0015】
第1の実施形態の半導体装置は、炭化珪素を用いたプレーナゲート型の縦型MOSFET100である。第1の実施形態のMOSFET100は、例えば、ボディ領域とソース領域をイオン注入で形成する、Double Implantation MOSFET(DIMOSFET)である。
【0016】
以下、第1導電形がn形、第2導電形がp形である場合を例に説明する。MOSFET100は、電子をキャリアとする縦型のnチャネル型のMOSFETである。
【0017】
MOSFET100は、炭化珪素層10、ソース電極12、ドレイン電極14、第1のゲート絶縁層16、第2のゲート絶縁層17、第1のゲート電極18、第2のゲート電極19、及び、層間絶縁層20を備える。ソース電極12は、第1の電極の一例である。ドレイン電極14は、第2の電極の一例である。
【0018】
ソース電極は、シリサイド領域12aと金属領域12bを含む。ソース電極は、第1のコンタクト部分12xを含む。第1のコンタクト部分12xは、第1の部分の一例である。第1のコンタクト部分12xは、第1の接触面CP1、第2の接触面CP2、第3の接触面CP3、及び、第4の接触面CP4を含む。
【0019】
炭化珪素層10の中には、n形のドレイン領域22、n形のドリフト領域24、p形のボディ領域26、p形のボディコンタクト領域27、n形のソース領域28が設けられる。ドリフト領域24は、第1の炭化珪素領域の一例である。ボディ領域26は、第2の炭化珪素領域の一例である。ボディコンタクト領域27は、第3の炭化珪素領域の一例である。ソース領域28は、第4の炭化珪素領域の一例である。
【0020】
ドリフト領域24は、JFET領域24xを含む。ボディ領域26は、チャネル領域26xを含む。JFET領域24xは、第1の領域の一例である。チャネル領域26xは、第2の領域の一例である。
【0021】
以下、第1の面P1から第2の面P2に向かう方向を第1の方向と定義する。また、第1の面に平行な方向を第2の方向、第1の面P1に平行で第2の方向に直交する方向を第3の方向と定義する。
【0022】
炭化珪素層10は、ソース電極12とドレイン電極14との間に設けられる。炭化珪素層10は、第1のゲート電極18及び第2のゲート電極19とドレイン電極14との間に設けられる。炭化珪素層10は、単結晶のSiCである。炭化珪素層10は、例えば、4H-SiCである。
【0023】
炭化珪素層10は、第1の面(図1中“P1”)と第2の面(図1中“P2”)とを備える。以下、第1の面を表面、第2の面を裏面と称する場合がある。なお、以下、「深さ」とは、第1の面を基準とする深さを意味する。
【0024】
第1の面P1は、例えば、(0001)面に対し0度以上8度以下傾斜した面である。また、第2の面P2は、例えば、(000-1)面に対し0度以上8度以下傾斜した面である。(0001)面はシリコン面と称される。(000-1)面はカーボン面と称される。
【0025】
形のドレイン領域22は、炭化珪素層10の裏面側に設けられる。ドレイン領域22は、例えば、窒素(N)をn形不純物として含む。ドレイン領域22のn形不純物濃度は、例えば、1×1018cm-3以上1×1021cm-3以下である。
【0026】
形のドリフト領域24は、ドレイン領域22と第1の面P1との間に設けられる。ドリフト領域24は、ソース電極12とドレイン電極14との間に設けられる。
【0027】
ドリフト領域24は、ドレイン領域22上に設けられる。ドリフト領域24は、例えば、ドレイン領域22の上にエピタキシャル成長法を用いて形成された炭化珪素領域である。
【0028】
ドリフト領域24は、第1の面P1に接するJFET領域24xを含む。JFET領域24xは、第2の方向において隣り合うボディ領域26の間に挟まれる。JFET領域24xは、第1のゲート電極18と対向する。JFET領域24xは、第1のゲート絶縁層16に接する。
【0029】
ドリフト領域24は、例えば、窒素(N)をn形不純物として含む。ドリフト領域24のn形不純物濃度は、ドレイン領域22のn形不純物濃度よりも低い。ドリフト領域24のn形不純物濃度は、例えば、4×1014cm-3以上1×1018cm-3以下である。ドリフト領域24の厚さは、例えば、5μm以上150μm以下である。
【0030】
p形のボディ領域26は、ドリフト領域24と第1の面P1との間に設けられる。ボディ領域26は、第1の面P1において、第3の方向に延びる。複数のボディ領域26が、第2の方向に離隔して配置される。
【0031】
ボディ領域26は、第1の面P1に接するチャネル領域26xを含む。チャネル領域26xは、MOSFET100がオン動作する際に、キャリアが流れるチャネルが形成される領域である。
【0032】
チャネル領域26xは、第2の方向においてJFET領域24xとソース領域28の間に挟まれる。チャネル領域26xは、第1のゲート電極18と対向する。チャネル領域26xは、第1のゲート絶縁層16に接する。
【0033】
ボディ領域26は、例えば、アルミニウム(Al)をp形不純物として含む。ボディ領域26のp形不純物濃度は、例えば、1×1017cm-3以上1×1018cm-3以下である。
【0034】
ボディ領域26の深さは、例えば、500nm以上1200nm以下である。
【0035】
ボディ領域26は、例えば、ソース電極12の電位に固定される。
【0036】
形のボディコンタクト領域27は、ボディ領域26と第1の面P1との間に設けられる。ボディコンタクト領域27は、第3の方向に延びる。
【0037】
ボディコンタクト領域27のp形不純物濃度は、ボディ領域26のp形不純物濃度よりも高い。
【0038】
ボディコンタクト領域27は、例えば、アルミニウム(Al)をp形不純物として含む。ボディコンタクト領域27のp形不純物濃度は、例えば、1×1019cm-3以上1×1021cm-3以下である。
【0039】
ボディコンタクト領域27の深さは、例えば、300nm以上600nm以下である。
【0040】
ボディコンタクト領域27は、ソース電極12に接する。ボディコンタクト領域27とソース電極12との間の接合は、例えば、オーミック接合である。
【0041】
形のソース領域28は、ボディ領域26と第1の面P1との間に設けられる。ソース領域28は、ボディコンタクト領域27と第1の面P1との間に設けられる。ソース領域28は、第1の面P1において、第3の方向に延びる。
【0042】
ソース領域28は、例えば、リン(P)をn形不純物として含む。ソース領域28のn形不純物濃度は、ドリフト領域24のn形不純物濃度よりも高い。
【0043】
ソース領域28のn形不純物濃度は、例えば、1×1019cm-3以上1×1021cm-3以下である。ソース領域28の深さは、ボディ領域26の深さ及びボディコンタクト領域27の深さよりも浅い。ソース領域28の深さは、150nm以上300nm以下である。
【0044】
ソース領域28は、ソース電極12に接する。ソース領域28とソース電極12との間の接合は、例えば、オーミック接合である。
【0045】
ソース領域28は、ソース電極12の電位に固定される。
【0046】
第1のゲート電極18は、炭化珪素層10の第1の面P1の側に設けられる。図2に示すように、第1のゲート電極18は、第1の面P1に平行な第3の方向に延びる。
【0047】
第2のゲート電極19は、炭化珪素層10の第1の面P1の側に設けられる。図2に示すように、第2のゲート電極19は、第1の面P1に平行な第3の方向に延びる。第2のゲート電極19は、第1のゲート電極18に対し、第2の方向に設けられる。
【0048】
第1のゲート電極18及び第2のゲート電極19は、導電層である。第1のゲート電極18及び第2のゲート電極19は、例えば、p形不純物又はn形不純物を含む多結晶質シリコンである。
【0049】
第1のゲート絶縁層16は、第1のゲート電極18と、ドリフト領域24及びボディ領域26との間に設けられる。第1のゲート絶縁層16は、第1のゲート電極18と、JFET領域24x及びチャネル領域26xとの間に設けられる。
【0050】
第2のゲート絶縁層17は、第2のゲート電極19と、ドリフト領域24及びボディ領域26との間に設けられる。
【0051】
第1のゲート絶縁層16及び第2のゲート絶縁層17は、例えば、酸化シリコンである。第1のゲート絶縁層16及び第2のゲート絶縁層17には、例えば、High-k絶縁材料(高誘電率絶縁材料)が適用可能である。
【0052】
層間絶縁層20は、第1のゲート電極18上、第2のゲート電極19上、及び炭化珪素層10上に設けられる。層間絶縁層20は、例えば、酸化シリコンである。
【0053】
ソース電極12は、炭化珪素層10の第1の面P1の側に設けられる。ソース電極12は、ソース領域28に接する。ソース電極12は、ボディコンタクト領域27に接する。
【0054】
ソース電極12は、シリサイド領域12a及び金属領域12bを含む。シリサイド領域12aは、金属領域12bと炭化珪素層10との間に設けられる。
【0055】
シリサイド領域12aは、炭化珪素層10に接する。シリサイド領域12aは、ソース領域28に接する。シリサイド領域12aは、ボディコンタクト領域27に接する。
【0056】
ソース電極12は、金属を含む。シリサイド領域12aは、例えば、ニッケルシリサイド又はチタンシリサイドである。金属領域12bは、例えば、チタン(Ti)とアルミニウム(Al)の積層構造である。
【0057】
ソース電極12は、第1のコンタクト部分12xを含む。第1のコンタクト部分12xは、第1のゲート電極18と第2のゲート電極19との間に設けられる。第1のコンタクト部分12xは、例えば、炭化珪素層10に形成されたトレンチの中に設けられる。図3に示すように、第1のコンタクト部分12xは、例えば、第3の方向に延びる。
【0058】
第1のコンタクト部分12xは、図4に示すように、炭化珪素層10に接する第1の接触面CP1、炭化珪素層10に接する第2の接触面CP2、炭化珪素層10に接する第3の接触面CP3、及び、炭化珪素層10に接する第4の接触面CP4を有する。第1の接触面CP1、第2の接触面CP2、第3の接触面CP3、及び、第4の接触面CP4は、第1のコンタクト部分12xの一部である。第1のコンタクト部分12xのシリサイド領域12aが、第1の接触面CP1、第2の接触面CP2、第3の接触面CP3、及び、第4の接触面CP4を有する。
【0059】
第1の接触面CP1は、第1の面P1と交差する。第1の接触面CP1と第1の面P1のなす角度は、例えば、45度以上90度以下である。
【0060】
第1の接触面CP1は、ソース領域28に接する。第1の接触面CP1は、チャネル領域26xと対向する。第2の方向において、チャネル領域26xは、JFET領域24xと第1の接触面CP1との間に設けられる。
【0061】
第2の接触面CP2は、第1の接触面CP1と交差する。第2の接触面CP2は、第1の接触面CP1と連続する。第2の接触面CP2と、第1の面P1とのなす角度は、例えば、0度以上30度以下である。
【0062】
第2の接触面CP2は、ソース領域28に接する。第2の接触面CP2は、第2の面P2と対向する。第2の接触面CP2は、ボディコンタクト領域27と対向する。第2の接触面CP2とボディコンタクト領域27との間に、ソース領域28が設けられる。
【0063】
第3の接触面CP3は、第2の接触面CP2と交差する。第3の接触面CP3は、第2の接触面CP2と連続する。第3の接触面CP3と、第2の接触面CP2とのなす角度は、例えば、45度以上90度以下である。第3の接触面CP3と、第1の面P1とのなす角度は、例えば、45度以上90度以下である。
【0064】
第3の接触面CP3は、ソース領域28及びボディコンタクト領域27に接する。第3の接触面CP3とボディ領域26との間に、ソース領域28が設けられる。第3の接触面CP3とボディ領域26との間に、ボディコンタクト領域27が設けられる。
【0065】
第4の接触面CP4は、第3の接触面CP3と交差する。第4の接触面CP4は、第3の接触面CP3と連続する。第4の接触面CP4と、第1の面P1とのなす角度は、例えば、0度以上30度以下である。
【0066】
第4の接触面CP4は、ボディコンタクト領域27に接する。第4の接触面CP4は、第2の面P2と対向する。第4の接触面CP4とボディ領域26との間に、ボディコンタクト領域27が設けられる。
【0067】
第1の面P1から第2の接触面CP2までの第1の方向の距離(図4中のd1)は、例えば、第1の面P1を基準とするソース領域28の第1の方向の深さ(図4中のd2)の3分の1以上4分の3以下である。
【0068】
第1の面P1から第2の接触面CP2までの第1の方向の距離(図4中のd1)は、例えば、50nm以上150nm以下である。
【0069】
第3の接触面CP3がソース領域28と接する部分の第1の方向の長さ(図4中のd3)は、例えば、第3の接触面CP3がボディコンタクト領域27と接する部分の第1の方向の長さ(図4中のd4)よりも長い。
【0070】
第2の接触面CP2の第2の方向の長さ(図4中のd5)は、例えば、第1の面P1から第2の接触面CP2までの第1の方向の距離(図4中のd1)よりも長い。
【0071】
ドレイン電極14は、炭化珪素層10の第2の面P2の側に設けられる。ドレイン電極14は、炭化珪素層10の裏面上に設けられる。ドレイン電極14は、ドレイン領域22に接する。
【0072】
ドレイン電極14は、例えば、金属又は金属半導体化合物である。ドレイン電極14は、例えば、ニッケルシリサイド、チタン(Ti)、ニッケル(Ni)、銀(Ag)、及び、金(Au)から成る群から選ばれる少なくとも一つの材料を含む。
【0073】
次に、第1の実施形態の半導体装置の作用及び効果について説明する。
【0074】
炭化珪素を用いたMOSFETの性能を向上させるために、オン抵抗を低減することが期待される。MOSFETのオン抵抗を低減するために、MOSFETの寄生抵抗を低減することが考えられる。MOSFETの寄生抵抗は、例えば、ソース領域の電気抵抗や、ソース電極とソース領域の間のコンタクト抵抗である。
【0075】
図5は、第1の比較例の半導体装置の拡大模式断面図である。図5は、第1の実施形態の図4に対応する図である。
【0076】
第1の比較例の半導体装置は、MOSFET901である。MOSFET901は、第1のコンタクト部分12xが、第2の接触面CP2を備えない点で、第1の実施形態のMOSFET100と異なる。
【0077】
第1のコンタクト部分12xは、ソース領域28及びボディコンタクト領域27の両方に接する。第1のコンタクト部分12xとソース領域28とのコンタクト抵抗と、第1のコンタクト部分12xとボディコンタクト領域27とのコンタクト抵抗のうち、MOSFET901の寄生抵抗となるのは、前者の第1のコンタクト部分12xとソース領域28とのコンタクト抵抗である。したがって、MOSFET901の寄生抵抗を低減するためには、第1のコンタクト部分12xとソース領域28との接触面積を大きくすることが好ましい。
【0078】
MOSFET901では、図5で示す断面において、第1の接触面C1と、第3の接触面C3の一部のみが第1のコンタクト部分12xとソース領域28との接触面積に寄与する。この場合、第1のコンタクト部分12xとソース領域28とのコンタクト抵抗が大きく、MOSFET901の寄生抵抗が十分に下がらないおそれがある。
【0079】
図6は、第2の比較例の半導体装置の拡大模式断面図である。図6は、第1の実施形態の図4に対応する図である。
【0080】
第2の比較例の半導体装置は、MOSFET902である。MOSFET902は、第1のコンタクト部分12xが、第1の接触面CP1を備えない点で、第1の実施形態のMOSFET100と異なる。
【0081】
第1のコンタクト部分12xから、チャネル領域26xとの間に存在するソース領域28の距離が大きくなると、ソース領域28の電気抵抗が大きくなることで、MOSFET902の寄生抵抗が大きくなる。
【0082】
MOSFET902では、図6に点線の矢印で示す経路でキャリアが流れる。この経路が長くなると、ソース領域28の実効的な電気抵抗が大きくなり、MOSFET902の寄生抵抗が十分に下がらないおそれがある。
【0083】
第1の実施形態のMOSFET100の第1のコンタクト部分12xは、第1の接触面CP1及び第2の接触面CP2を有する。第1の実施形態のMOSFET100は、第2の接触面CP2を有することで、第1の比較例のMOSFET901と比較して、第1のコンタクト部分12xとソース領域28との接触面積を大きくすることができる。したがって、MOSFET100の寄生抵抗を低減することができる。
【0084】
また、第1の実施形態のMOSFET100は、第1の接触面CP1を有することで、第2の比較例のMOSFET902と比較して、第1のコンタクト部分12xからチャネル領域26xとの間に存在するソース領域28の距離を小さくすることができる。したがって、MOSFET100のソース領域28の実効的な電気抵抗を小さくすることができる。よって、MOSFET100の寄生抵抗を低減することができる。
【0085】
以上、第1の実施形態のMOSFET100によれば、寄生抵抗を低減することで、オン抵抗を低減することが可能となる。
【0086】
第1の面P1から第2の接触面CP2までの第1の方向の距離(図4中のd1)は、第1の面P1を基準とするソース領域28の第1の方向の深さ(図4中のd2)の3分の1以上であることが好ましく、2分の1以上であることがより好ましい。上記下限値を上回ることで、第1のコンタクト部分12xの中で、チャネル領域26xまでの距離が短い部分が多くなる。したがって、MOSFET100のソース領域28の実効的な電気抵抗を更に小さくできる。よって、MOSFET100の寄生抵抗を更に低減することができる。
【0087】
第1の面P1から第2の接触面CP2までの第1の方向の距離(図4中のd1)は、50nm以上であることが好ましく、80nm以上であることがより好ましく、100nm以上であることが更に好ましい。上記下限値を上回ることで、第1のコンタクト部分12xの中で、チャネル領域26xまでの距離が短い部分が多くなる。したがって、MOSFET100のソース領域28の実効的な電気抵抗を更に小さくできる。よって、MOSFET100の寄生抵抗を更に低減することができる。
【0088】
第3の接触面CP3がソース領域28と接する部分の第1の方向の長さ(図4中のd3)は、第3の接触面CP3がボディコンタクト領域27と接する部分の第1の方向の長さ(図4中のd4)よりも長いことが好ましい。第3の接触面CP3がソース領域28と接する部分の長さd3が長くなることで、第1のコンタクト部分12xとソース領域28との接触面積が更に大きくなる。したがって、第1のコンタクト部分12xとソース領域28とのコンタクト抵抗が、更に低減する。よって、MOSFET100の寄生抵抗が更に低減する。
【0089】
第2の接触面CP2の第2の方向の長さ(図4中のd5)は、第1の面P1から第2の接触面CP2までの第1の方向の距離(図4中のd1)よりも長いことが好ましい。第2の接触面CP2の長さd5が長くなることで、第1のコンタクト部分12xとソース領域28との接触面積が更に大きくなり、第1のコンタクト部分12xとソース領域28とのコンタクト抵抗が、更に低減する。したがって、MOSFET100の寄生抵抗が更に低減する。
【0090】
以上、第1の実施形態によれば、寄生抵抗を低減することで、オン抵抗を低減できる半導体装置を提供することが可能となる。
【0091】
(第2の実施形態)
第2の実施形態の半導体装置は、第1の電極は、第1のゲート電極と第2のゲート電極との間に設けられ、第1の部分の第3の方向に位置する第2の部分を、更に含む。第1の部分と第2の部分との間に第4の炭化珪素領域が設けられる。第1の部分は、炭化珪素層に接し第4の接触面と交差する第5の接触面を更に有し、第2の部分は、炭化珪素層に接する第6の接触面と、炭化珪素層に接し第6の接触面と交差する第7の接触面と、を有する。そして、第5の接触面は、第4の炭化珪素領域及び第3の炭化珪素領域に接し、第6の接触面は、第4の炭化珪素領域及び第3の炭化珪素領域に接し、第5の接触面と対向し、第7の接触面は、第3の炭化珪素領域に接し、第2の面と対向する点で、第1の実施形態の半導体装置と異なる。以下、第1の実施形態と重複する内容については、一部記述を省略する場合がある。
【0092】
図7は、第2の実施形態の半導体装置の模式断面図である。図8は、第2の実施形態の模式上面図である。図8は、ゲート電極のパターンと、炭化珪素層表面の炭化珪素領域及びソース電極のパターンとを重ねた図である。図9図10は、第2の実施形態の半導体装置の模式断面図である。
【0093】
図7は、図8のCC’断面である。図9は、図8のDD’断面である。図10は、図8のEE’断面である。
【0094】
第2の実施形態の半導体装置は、炭化珪素を用いたプレーナゲート型の縦型MOSFET200である。第2の実施形態のMOSFET200は、例えば、ボディ領域とソース領域をイオン注入で形成する、DIMOSFETである。
【0095】
MOSFET200は、炭化珪素層10、ソース電極12、ドレイン電極14、第1のゲート絶縁層16、第2のゲート絶縁層17、第1のゲート電極18、第2のゲート電極19、及び、層間絶縁層20を備える。ソース電極12は、第1の電極の一例である。ドレイン電極14は、第2の電極の一例である。
【0096】
ソース電極は、シリサイド領域12aと金属領域12bを含む。
【0097】
ソース電極は、第1のコンタクト部分12xを含む。第1のコンタクト部分12xは、第1の部分の一例である。第1のコンタクト部分12xは、第1の接触面CP1、第2の接触面CP2、第3の接触面CP3、第4の接触面CP4、及び、第5の接触面CP5を含む。
【0098】
ソース電極は、第2のコンタクト部分12yを含む。第2のコンタクト部分12yは、第2の部分の一例である。第2のコンタクト部分12yは、第6の接触面CP6、及び、第7の接触面CP7を含む。
【0099】
ソース電極は、第3のコンタクト部分12zを含む。第3のコンタクト部分12zは、第3の部分の一例である。第3のコンタクト部分12zは、第8の接触面CP8を含む。
【0100】
炭化珪素層10の中には、n形のドレイン領域22、n形のドリフト領域24、p形のボディ領域26、p形のボディコンタクト領域27、n形のソース領域28が設けられる。ドリフト領域24は、第1の炭化珪素領域の一例である。ボディ領域26は、第2の炭化珪素領域の一例である。ボディコンタクト領域27は、第3の炭化珪素領域の一例である。ソース領域28は、第4の炭化珪素領域の一例である。
【0101】
ドリフト領域24は、JFET領域24xを含む。ボディ領域26は、チャネル領域26xを含む。JFET領域24xは、第1の領域の一例である。チャネル領域26xは、第2の領域の一例である。
【0102】
ソース電極12は、第1のコンタクト部分12x、第2のコンタクト部分12y、及び、第3のコンタクト部分12zを含む。第1のコンタクト部分12x、第2のコンタクト部分12y、及び、第3のコンタクト部分12zは、第1のゲート電極18と第2のゲート電極19との間に設けられる。
【0103】
図10に示すように、第2のコンタクト部分12yは、第1のコンタクト部分12xに対し第3の方向に位置する。第1のコンタクト部分12x及び第2のコンタクト部分12yは、例えば、炭化珪素層10の中に第3の方向に離隔して形成された2つのトレンチの中に、それぞれ設けられる。第1のコンタクト部分12xと第2のコンタクト部分12yとの間に、ソース領域28及びボディコンタクト領域27が設けられる。
【0104】
図10に示すように、第3のコンタクト部分12zは、第1のコンタクト部分12xと第2のコンタクト部分12yの間に位置する。
【0105】
第1のコンタクト部分12xは、炭化珪素層10に接する第1の接触面CP1、炭化珪素層10に接する第2の接触面CP2、炭化珪素層10に接する第3の接触面CP3、炭化珪素層10に接する第4の接触面CP4、及び、炭化珪素層10に接する第5の接触面CP5を有する。第1の接触面CP1、第2の接触面CP2、第3の接触面CP3、第4の接触面CP4、及び、第5の接触面CP5は、第1のコンタクト部分12xの一部である。第1のコンタクト部分12xのシリサイド領域12aが、第1の接触面CP1、第2の接触面CP2、第3の接触面CP3、第4の接触面CP4、及び、第5の接触面CP5を有する。
【0106】
第2のコンタクト部分12yは、炭化珪素層10に接する第6の接触面CP6、及び、炭化珪素層10に接する第7の接触面CP7を有する。第2のコンタクト部分12yのシリサイド領域12aが、第7の接触面CP7を有する。
【0107】
第3のコンタクト部分12zは、炭化珪素層10に接する第8の接触面CP8を有する。第3のコンタクト部分12zのシリサイド領域12aが、第8の接触面CP8を有する。
【0108】
第5の接触面CP5は、第4の接触面CP4と交差する。第5の接触面CP5と第4の接触面CP4のなす角度は、例えば、45度以上90度以下である。第5の接触面CP5は、ソース領域28及びボディコンタクト領域27に接する。
【0109】
第6の接触面CP6は、第6の接触面CP6は、ソース領域28及びボディコンタクト領域27に接する。第6の接触面CP6は、第3の方向において、第5の接触面CP5と対向する。第5の接触面CP5と第6の接触面CP6との間に、ソース領域28及びボディコンタクト領域27が設けられる。
【0110】
第7の接触面CP7は、第6の接触面CP6と交差する。第7の接触面CP7と、第6の接触面CP6とのなす角度は、例えば、45度以上90度以下である。第7の接触面CP7は、第6の接触面CP6と連続する。
【0111】
第7の接触面CP7は、ボディコンタクト領域27に接する。第7の接触面CP7は、第2の面P2と対向する。第7の接触面CP7とボディ領域26との間に、ボディコンタクト領域27が設けられる。
【0112】
第8の接触面CP8は、ソース領域28に接する。第8の接触面CP8は、第2の面P2と対向する。第8の接触面CP8は、第5の接触面CP5及び第6の接触面CP6と交差する。第8の接触面CP8とボディコンタクト領域27との間に、ソース領域28が設けられる。
【0113】
図10に示すように、第1のコンタクト部分12xに接するボディコンタクト領域27と、第2のコンタクト部分12yに接するボディコンタクト領域27は、第3の方向において連続する。
【0114】
第2の実施形態のMOSFET200によれば、ソース電極12が第1のコンタクト部分12x、第2のコンタクト部分12y、及び第3のコンタクト部分12zを備えることで、ソース電極12とソース領域28との接触面積を、第1の実施形態のMOSFET100と比較して、更に大きくすることができる。したがって、MOSFET200の寄生抵抗を低減することができる。
【0115】
以上、第2の実施形態によれば、寄生抵抗を低減することで、オン抵抗を低減できる半導体装置を提供することが可能となる。
【0116】
第1及び第2の実施形態では、SiCの結晶構造として4H-SiCの場合を例に説明したが、本発明は6H-SiC、3C-SiC等、その他の結晶構造のSiCを用いたデバイスに適用することも可能である。また、炭化珪素層10の表面に(0001)面以外の面を適用することも可能である。
【0117】
第1及び第2の実施形態では、第1導電形がn形、第2導電形がp形の場合を例に説明したが、第1導電形をp形、第2導電形をn形とすることも可能である。
【0118】
第1及び第2の実施形態では、p形不純物としてアルミニウム(Al)を例示したが、ボロン(B)を用いることも可能である。また、n形不純物として窒素(N)及びリン(P)を例示したが、砒素(As)、アンチモン(Sb)等を適用することも可能である。
【0119】
また、第1及び第2の実施形態では、ゲート電極が一方向に延びるMOSFETを例に説明したが、例えば、ゲート電極が格子形状を有するMOSFETであっても構わない。
【0120】
第1及び第2の実施形態では、半導体装置がMOSFETの場合を例に説明したが、半導体装置は、Insulated Gate Bipolar Transistor(IGBT)であっても構わない。
【0121】
本発明のいくつかの実施形態を説明したが、これらの実施形態は、例として提示したものであり、発明の範囲を限定することは意図していない。これら新規な実施形態は、その他の様々な形態で実施されることが可能であり、発明の要旨を逸脱しない範囲で、種々の省略、置き換え、変更を行うことができる。例えば、一実施形態の構成要素を他の実施形態の構成要素と置き換え又は変更してもよい。これら実施形態やその変形は、発明の範囲や要旨に含まれるとともに、特許請求の範囲に記載された発明とその均等の範囲に含まれる。
【符号の説明】
【0122】
10 炭化珪素層
12 ソース電極(第1の電極)
12x 第1のコンタクト部分(第1の部分)
12y 第2のコンタクト部分(第2の部分)
12z 第3のコンタクト部分(第3の部分)
14 ドレイン電極(第2の電極)
16 第1のゲート絶縁層
17 第2のゲート絶縁層
18 第1のゲート電極
19 第2のゲート電極
24 ドリフト領域(第1の炭化珪素領域)
24x JFET領域(第1の領域)
26 ボディ領域(第2の炭化珪素領域)
26x チャネル領域(第2の領域)
27 ボディコンタクト領域(第3の炭化珪素領域)
28 ソース領域(第4の炭化珪素領域)
100 MOSFET(半導体装置)
200 MOSFET(半導体装置)
CP1 第1の接触面
CP2 第2の接触面
CP3 第3の接触面
CP4 第4の接触面
CP5 第5の接触面
CP6 第6の接触面
CP7 第7の接触面
CP8 第8の接触面
P1 第1の面
P2 第2の面
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10