(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024137539
(43)【公開日】2024-10-07
(54)【発明の名称】画像形成装置
(51)【国際特許分類】
G03G 21/16 20060101AFI20240927BHJP
G03G 21/18 20060101ALI20240927BHJP
G03G 15/20 20060101ALI20240927BHJP
【FI】
G03G21/16 147
G03G21/18 139
G03G21/16 185
G03G15/20 515
【審査請求】未請求
【請求項の数】11
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023049094
(22)【出願日】2023-03-24
(71)【出願人】
【識別番号】000005267
【氏名又は名称】ブラザー工業株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110002217
【氏名又は名称】弁理士法人矢野内外国特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】蓑島 紗弥
(72)【発明者】
【氏名】渡邉 知範
【テーマコード(参考)】
2H033
2H171
【Fターム(参考)】
2H033AA42
2H033BA06
2H033BA11
2H033BA25
2H033BA26
2H033BB12
2H033BB18
2H033BB30
2H033BB33
2H033BB34
2H033BE00
2H171FA02
2H171FA03
2H171FA19
2H171GA11
2H171GA12
2H171JA12
2H171JA23
2H171JA29
2H171JA46
2H171KA05
2H171KA06
2H171KA22
2H171KA24
2H171KA25
2H171KA27
2H171QA02
2H171QA08
2H171QB32
2H171QC37
(57)【要約】
【課題】リンクの移動範囲を大きくせず、シャッタが開いたときにユーザのカートリッジ操作がシャッタの開閉状態に影響しない画像形成装置を提供する。
【解決手段】画像形成装置1は、加熱ユニット61と加圧ローラ62とを有する定着器6と、閉位置と開位置とに移動可能なシャッタ64と、プロセスカートリッジ50と当接可能でありシャッタ64を開位置および閉位置に移動させ、プロセスカートリッジ50が装着される前の状態において第1位置に位置し、プロセスカートリッジ50が装着された後の状態において第2位置に位置するリンク8とを備え、装置本体2に装着されるプロセスカートリッジ50とリンク8とが当接すると、シャッタ64が閉位置から開位置に向けて移動し、開位置にシャッタ64が移動する前にリンク8とプロセスカートリッジ50とは離間し、プロセスカートリッジ50と離間したリンク8がシャッタ64が開位置になる向きに向けて移動する。
【選択図】
図21
【特許請求の範囲】
【請求項1】
カートリッジが装着される画像形成装置であって、
加熱回転体と前記加熱回転体とニップを形成する加圧回転体とを有する定着器と、
前記ニップを覆う閉位置と、前記ニップを露出させる開位置と、に移動可能なシャッタと、
前記カートリッジと当接可能であり前記シャッタを開位置および閉位置に移動させるリンクであって、前記カートリッジが装着される前の状態において第1位置に位置し、前記カートリッジが装着された後の状態において第2位置に位置するよう移動可能なリンクと、
を備え、
前記画像形成装置に装着される前記カートリッジと前記リンクとが当接すると、前記シャッタが前記閉位置から前記開位置に向けて移動し、
さらに前記開位置に前記シャッタが移動する前に、前記リンクと前記カートリッジとは離間し、
前記カートリッジと離間した前記リンクが、さらに前記シャッタが前記開位置になる向きに向けて移動することを特徴とする画像形成装置。
【請求項2】
前記カートリッジを前記画像形成装置に装着するときにおいて、前記カートリッジと前記リンクとが当接した後に前記リンクと前記カートリッジとが離間すると、前記リンクを前記第2位置に向けて押圧する押圧部を更に有する請求項1に記載の画像形成装置。
【請求項3】
前記押圧部は、バネと、前記バネによって押圧される押圧アームと、をさらに備え、
前記リンクは、前記押圧アームによって押圧される被押圧面を有し、
前記被押圧面は、前記押圧アームによる押圧力が、前記リンクが前記第2位置に向かう向きに働かない第1被押圧面と、前記リンクが前記第2位置に向かう向きに働く第2被押圧面と、を有する請求項2に記載の画像形成装置。
【請求項4】
前記画像形成装置に装着される前記カートリッジと前記リンクとが当接すると、前記押圧アームと第1被押圧面とが当接し、
さらに前記リンクと前記カートリッジとが離間する前に前記第2被押圧面と前記押圧アームとが当接するように、前記リンクが前記第2位置に向かって移動する請求項3に記載の画像形成装置。
【請求項5】
前記リンクは、前記第1被押圧面を挟んで前記第2被押圧面と反対側に位置する第3被押圧面であって、前記押圧アームによる押圧力が、前記リンクが前記第1位置に向かう向きに働く第3被押圧面を有し、
前記カートリッジが前記画像形成装置に装着される前に、前記押圧アームと前記第3被押圧面とが当接しており、
前記カートリッジを前記画像形成装置に装着するときに、前記押圧アームは、前記第3被押圧面と当接した後に前記第1被押圧面と当接する請求項4に記載の画像形成装置。
【請求項6】
前記押圧アームは上方から前記リンクを押圧し、
前記リンクは、上面に前記被押圧面を有し、前記第1位置から前記第2位置に向けて第1向きに移動するものであり、
前記第1被押圧面は水平方向に延び、
前記第2被押圧面は前記第1向きに沿って下方から上方に向かって傾斜し、
前記第3被押圧面は前記第1向きに沿って上方から下方に向かって傾斜している請求項5に記載の画像形成装置。
【請求項7】
前記カートリッジはドラム軸を中心として回転する感光ドラムを有し、
前記リンクは、前記ドラム軸と当接する当接片と、前記被押圧面を有する第1リンクと、前記第1リンクと回動可能に連結し、かつ前記当接片と回動可能に連結する第2リンクと、を有する請求項3に記載の画像形成装置。
【請求項8】
前記ドラム軸をガイドする第1ガイド溝と、前記当接片をガイドする第2ガイド溝と、を有するフレームをさらに備え、
前記ドラム軸の軸方向において、前記第2ガイド溝は前記第1ガイド溝よりも外側に位置する請求項7に記載の画像形成装置。
【請求項9】
前記定着器は、前記加熱回転体を上方から覆う定着フレームをさらに有し、
前記定着フレームは、開位置にある前記シャッタと当接して、前記シャッタの位置を規制する規制面を有する請求項1に記載の画像形成装置。
【請求項10】
前記画像形成装置に装着された前記カートリッジが前記画像形成装置から離脱されるときには、前記リンクは前記カートリッジと当接することで、開位置にあるシャッタが閉位置へ移動する向きに移動する請求項1に記載の画像形成装置。
【請求項11】
前記カートリッジはドラム軸を中心として回転する感光ドラムを有し、
前記リンクは、前記ドラム軸と当接する当接片を有しており、
前記当接片は、前記画像形成装置に装着される前記カートリッジと当接する第1ボスと、前記画像形成装置から離脱される前記カートリッジと当接する第2ボスと、を有する請求項10に記載の画像形成装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、画像形成装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、着脱可能なカートリッジを備えた画像形成装置においては、加熱部材を有する定着器にユーザの手が接触することを防止するために、定着器の前にシャッタを設けることが行われている。
【0003】
例えば、特許文献1に開示される画像形成装置においては、シャッタに連結されカートリッジに当接可能なリンク部材を備えており、カートリッジが装着されるとリンク部材がカートリッジと当接して移動し、リンク部材の移動に沿ってシャッタが開くように構成されている。この場合、リンク部材は、シャッタが完全に開くまでカートリッジに押圧される構成となっている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
上述のように、シャッタが完全に開くまでリンク部材がカートリッジに押圧される構成の場合、ユーザのカートリッジ操作がシャッタの開閉状態に影響を与えないように、シャッタが開いた後にカートリッジがさらに装着方向へ押し込まれたときに、リンクのみが移動するように構成していた。従って、リンクの移動範囲を大きく設定する必要があった。
【0006】
そこで、本発明においては、リンクの移動範囲を大きくすることなく、シャッタが開いたときにおいてユーザのカートリッジ操作がシャッタの開閉状態に影響することがない画像形成装置を提供する。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記課題を解決する画像形成装置は、以下の特徴を有する。
【0008】
即ち、画像形成装置は、カートリッジが装着される画像形成装置であって、加熱回転体と前記加熱回転体とニップを形成する加圧回転体とを有する定着器と、前記ニップを覆う閉位置と、前記ニップを露出させる開位置と、に移動可能なシャッタと、前記カートリッジと当接可能であり前記シャッタを開位置および閉位置に移動させるリンクであって、前記カートリッジが装着される前の状態において第1位置に位置し、前記カートリッジが装着された後の状態において第2位置に位置するよう移動可能なリンクと、を備え、前記画像形成装置に装着される前記カートリッジと前記リンクとが当接すると、前記シャッタが前記閉位置から前記開位置に向けて移動し、さらに前記開位置に前記シャッタが移動する前に、前記リンクと前記カートリッジとは離間し、前記カートリッジと離間した前記リンクが、さらに前記シャッタが前記開位置になる向きに向けて移動する。
【0009】
これにより、シャッタが開位置に移動したときには、リンクとカートリッジとは離間しているため、ユーザのカートリッジに対する操作がシャッタの開閉状態に影響することがない。また、シャッタが開位置に移動した後に、リンクをさらに移動させる必要がなく、リンクの移動範囲を小さく抑えることができる。
【0010】
また、前記カートリッジを前記画像形成装置に装着するときにおいて、前記カートリッジと前記リンクとが当接した後に前記リンクと前記カートリッジとが離間すると、前記リンクを前記第2位置に向けて押圧する押圧部を更に有する。
【0011】
これにより、リンクとカートリッジとが離間した後においても、リンクが押圧部によって第2位置へ向けて押圧されるため、押圧されるリンクによってシャッタを開位置に移動させることができる。
【0012】
また、前記押圧部は、バネと、前記バネによって押圧される押圧アームと、をさらに備え、前記リンクは、前記押圧アームによって押圧される被押圧面を有し、前記被押圧面は、前記押圧アームによる押圧力が、前記リンクが前記第2位置に向かう向きに働かない第1被押圧面と、前記リンクが前記第2位置に向かう向きに働く第2被押圧面と、を有する。
【0013】
これにより、押圧アームによってリンクの第2被押圧面を押圧することで、リンクを第2位置へ向けて移動させて、シャッタを開位置に移動させることができる。
【0014】
また、前記画像形成装置に装着される前記カートリッジと前記リンクとが当接すると、前記押圧アームと第1被押圧面とが当接し、さらに前記リンクと前記カートリッジとが離間する前に前記第2被押圧面と前記押圧アームとが当接するように、前記リンクが前記第2位置に向かって移動する。
【0015】
これにより、リンクとカートリッジとが離間したときには、押圧アームと第2被押圧面とが当接しているため、リンクとカートリッジとが離間した後においても、リンクによってシャッタを開位置に移動させることができる。
【0016】
また、前記リンクは、前記第1被押圧面を挟んで前記第2被押圧面と反対側に位置する第3被押圧面であって、前記押圧アームによる押圧力が、前記リンクが前記第1位置に向かう向きに働く第3被押圧面を有し、前記カートリッジが前記画像形成装置に装着される前に、前記押圧アームと前記第3被押圧面とが当接しており、前記カートリッジを前記画像形成装置に装着するときに、前記押圧アームは、前記第3被押圧面と当接した後に前記第1被押圧面と当接する。
【0017】
これにより、カートリッジが画像形成装置に装着される前においては、押圧アームは第3被押圧面に当接しており、シャッタが閉位置から開位置へ不用意に移動することがないため、シャッタの閉位置を安定して保持することができる。また、カートリッジを画像形成装置に装着するときに、押圧アームが第3被押圧面と当接した後に第1被押圧面と当接することにより、シャッタが閉位置から開位置側へ移動することの押圧部による規制を解除することができる。
【0018】
また、前記押圧アームは上方から前記リンクを押圧し、前記リンクは、上面に前記被押圧面を有し、前記第1位置から前記第2位置に向けて第1向きに移動するものであり、前記第1被押圧面は水平方向に延び、前記第2被押圧面は前記第1向きに沿って下方から上方に向かって傾斜し、前記第3被押圧面は前記第1向きに沿って上方から下方に向かって傾斜している。
【0019】
これにより、カートリッジを画像形成装置に装着するときに、リンクが第1向きに移動することで、シャッタが閉位置に保持される状態から、開位置へ移動可能となる状態へ切り換えることができる。
【0020】
また、前記カートリッジはドラム軸を中心として回転する感光ドラムを有し、前記リンクは、前記ドラム軸と当接する当接片と、前記被押圧面を有する第1リンクと、前記第1リンクと回動可能に連結し、かつ前記当接片と回動可能に連結する第2リンクと、を有する。
【0021】
これにより、当接片のドラム軸による移動が、第2リンクを介して第1リンクに伝達されるため、カートリッジの画像形成装置における装着位置とシャッタとの距離が離れていたしても、当接片からシャッタへ効率的に駆動力を伝達することができる。
【0022】
また、前記ドラム軸をガイドする第1ガイド溝と、前記当接片をガイドする第2ガイド溝と、を有するフレームをさらに備え、前記ドラム軸の軸方向において、前記第2ガイド溝は前記第1ガイド溝よりも外側に位置する。
【0023】
これにより、カートリッジが画像形成装置から離脱されたときに、ユーザが当接片に接触することを防ぐことができ、リンクが移動してシャッタが不用意に開くことを抑制できる。
【0024】
また、前記定着器は、前記加熱回転体を上方から覆う定着フレームをさらに有し、前記定着フレームは、開位置にある前記シャッタと当接して、前記シャッタの位置を規制する規制面を有する。
【0025】
これにより、シャッタが規制面に当接することで、シャッタを開位置に保持することができる。
【0026】
また、前記画像形成装置に装着された前記カートリッジが前記画像形成装置から離脱されるときには、前記リンクは前記カートリッジと当接することで、開位置にあるシャッタが閉位置へ移動する向きに移動する。
【0027】
これにより、カートリッジを画像形成装置から離脱させる動作に伴って、シャッタを閉位置に移動させることができる。
【0028】
また、前記カートリッジはドラム軸を中心として回転する感光ドラムを有し、前記リンクは、前記ドラム軸と当接する当接片を有しており、前記当接片は、前記画像形成装置に装着される前記カートリッジと当接する第1ボスと、前記画像形成装置から離脱される前記カートリッジと当接する第2ボスと、を有する。
【0029】
これにより、簡単な構成で、カートリッジの装着時および離脱時の両方でリンクを動作させることができる。
【発明の効果】
【0030】
本発明によれば、ユーザのカートリッジに対する操作がシャッタの開閉状態に影響することがなく、リンクの移動範囲を小さく抑えることができる。
【図面の簡単な説明】
【0031】
【
図2】フロントカバーが開位置にある状態の画像形成装置を示す斜視図である。
【
図4】定着器の加熱ユニットと加圧ローラとを示す斜視図である。
【
図5】(a)はシャッタが閉位置にある状態の定着器を示す斜視図であり、(b)はシャッタが開位置にある状態の定着器を示す斜視図である。
【
図6】(a)はシャッタが閉位置にある状態の定着器を示す側面図であり、(b)はシャッタが開位置にある状態の定着器を示す側面図である。
【
図7】(a)はシャッタが閉位置にある状態の定着器を示す側面断面図であり、(b)はシャッタが開位置にある状態の定着器を示す側面断面図である。
【
図10】第1本体フレームの左側面を示す側面図である。
【
図11】第1本体フレームの右側面を示す側面図である。
【
図12】当接片の第1ボスが当接片レールの中部に位置し、第2ボスが当接片レールの前部に位置している状態のリンクを示す側面図である。
【
図13】プロセスカートリッジが装着開始位置に位置し、当接片の第1ボスが当接片レールの中部に位置し、第2ボスが当接片レールの前部に位置している状態の第1本体フレームを示す側面図である。
【
図15】カートリッジレールの中部に進入したドラム軸が当接片の第1ボスに当接する様子を示す拡大側面図である。
【
図16】ドラム軸が当接片に当接し、当接片の第1ボスにおける後方の一部が当接片レールの後部に位置し、第2ボスが当接片レールの中部に位置している状態のリンクを示す側面図である。
【
図17】ドラム軸が当接片に当接し、当接片の第1ボスにおける後方の一部が当接片レールの後部に位置し、第2ボスが当接片レールの中部に位置している状態の第1本体フレームを示す側面図である。
【
図18】ドラム軸が当接片に当接し、当接片の第1ボスにおける後方の一部が当接片レールの後部に位置し、第2ボスが当接片レールの中部に位置している状態を示す拡大側面図である。
【
図19】ドラム軸が当接片に当接し、当接片の第1ボスが当接片レールの後部に位置し、第2ボスが当接片レールの中部に位置している状態のリンクを示す側面図である。
【
図20】ドラム軸が当接片に当接し、当接片の第1ボスが当接片レールの後部に位置し、第2ボスが当接片レールの中部に位置している状態の第1本体フレームを示す側面図である。
【
図21】ドラム軸がカートリッジレールの中部から後部へ移動して、当接片とドラム軸とが離間した状態を示す拡大側面図である。
【
図22】押圧アームからの押圧力により、直動リンクが
図19に示した位置から後方へ移動した状態を示す側面図である。
【
図23】当接片の第1ボスが、
図21に示した位置から後方へ移動した状態を示す拡大側面図である。
【
図24】ドラム軸が当接片から離間した後に、プロセスカートリッジが装着位置に到達した状態の第1本体フレームを示す側面図である。
【発明を実施するための形態】
【0032】
次に、本発明を実施するための形態を、添付の図面を用いて説明する。
【0033】
[画像形成装置]
図1に示す画像形成装置1は、本発明に係るシート搬送装置を備えた画像形成装置の一実施形態であり、電子写真方式によりシートSに画像を形成するレーザプリンタである。
【0034】
以下の説明では、
図1における右側を画像形成装置1の前側、
図1における左側を画像形成装置1の後側と規定し、
図1おける紙面手前側を画像形成装置1の左側、
図1における紙面奥側を画像形成装置1の右側と規定する。また、
図1における上側および下側を、それぞれ画像形成装置1の上側および下側と規定する。
【0035】
画像形成装置1は、装置本体2と、給紙部3と、画像形成部5と、定着器6と、排紙部7とを備えている。
【0036】
装置本体2は、給紙部3、画像形成部5、定着器6、および排紙部7を収容している。装置本体2の前面には開口部2Aが開口しており、装置本体2は開口部2Aを開閉可能なフロントカバー21を有している。フロントカバー21は、下端部の回動軸21aを中心として回動可能に構成されており、回動軸21aを中心として回動することにより、開口部2Aを閉鎖する閉位置と、開口部2Aを開放する開位置との間を移動可能である。
【0037】
給紙部3は、シートSを支持する給紙トレイ10と、シート搬送部30と、搬送ローラ対34と、レジストローラ35aとを備えている。給紙部3は、装置本体2の下部に配置され、給紙トレイ10に支持されるシートSを画像形成部5に搬送する。画像形成装置1は、給紙部3から画像形成部5を経由して排紙部7へ至るシートSの搬送経路Pを有している。
【0038】
給紙トレイ10は、圧板12と、押圧板13とを有している。圧板12は、シートSを下方から支持する板状部材である。圧板12は、後端部の回動支点12aを中心として回動可能であり、回動支点12aを中心に回動することで、下降位置と上昇位置との間で昇降可能である。押圧板13は、圧板12の下方に位置しており、圧板12を下降位置と上昇位置との間で昇降させることが可能である。
【0039】
シート搬送部30は、給紙トレイ10に支持されるシートSを一枚ずつ分離して取り出し、画像形成部5へ向けて搬送する搬送機構であり、給紙ローラ31、および分離ローラ32、分離パッド33を備えている。
【0040】
給紙ローラ31は、給紙トレイ10に支持されるシートSを分離ローラ32へ向けて送り出すためのローラである。分離ローラ32は、給紙ローラ31よりもシート搬送方向の下流側に配置されており、分離パッド33は、分離ローラ32に対向して配置されるとともに分離ローラ32に向けて付勢されている。
【0041】
給紙ローラ31により分離ローラ32に向けて送り出されたシートSは、分離ローラ32と分離パッド33との間で1枚ずつに分離される。1枚ずつに分離されたシートSは、搬送経路Pに送り出される。
【0042】
搬送経路Pに送り出されたシートSは、搬送ローラ対34と、レジストローラ35aおよびレジストローラ35aに対向配置されるピンチローラ35bとによって、画像形成部5に向けて搬送される。レジストローラ35aは、搬送されるシートSの先端の移動を規制して一旦停止させた後、シートSを所定のタイミングにて画像形成部5に向けて搬送する。
【0043】
画像形成部5は、給紙部3よりもシート搬送方向の下流側に配置され、給紙部3から搬送されてきたシートSに画像を形成する。画像形成部5は、給紙部3から搬送されてきたシートSの表面に画像を転写するプロセスカートリッジ50と、プロセスカートリッジ50の感光ドラム54に対向配置される転写ローラ55と、感光ドラム54の表面を露光する露光ユニット56とを備えている。
【0044】
プロセスカートリッジ50は、装置本体2における給紙部3の上方に配置されており、現像剤収容室51と、供給ローラ52と、現像ローラ53と、感光ドラム54等とを備えている。プロセスカートリッジ50は、ピンチローラ35bを支持している。
【0045】
プロセスカートリッジ50は、感光ドラム54を有するドラムカートリッジと、ドラムカートリッジに装着され現像ローラ53を有する現像カートリッジとを備えており、装置本体2に着脱可能に装着されている。この場合、プロセスカートリッジ50は、ドラムカートリッジとドラムカートリッジに装着された現像カートリッジとを一体的に装置本体2に対して挿入することにより装置本体2に装着され、ドラムカートリッジとドラムカートリッジに装着された現像カートリッジとを一体的に装置本体2から抜き出すことにより装置本体2から離脱される。
【0046】
プロセスカートリッジ50はカートリッジの一例であり、感光ドラム、現像ローラ、およびトナー収容器の少なくとも一つを含んだ構成とすることができる。プロセスカートリッジ50は、フロントカバー21が開位置にあるときに、装置本体2に対して着脱することが可能である。
【0047】
感光ドラム54は、プロセスカートリッジ50が装置本体2に装着された状態において、軸心Xが左右方向に沿う姿勢で配置されている。感光ドラム54は、軸心X方向に沿って延びる金属製のドラム軸54aを有している。感光ドラム54は、ドラム軸54aを中心として回転する。
【0048】
プロセスカートリッジ50は、本実施形態においては感光ドラム54を有するドラムカートリッジと、ドラムカートリッジに装着され現像ローラ53を有する現像カートリッジとを備えているが、感光ドラム54および現像ローラ53を有するカートリッジと、カートリッジに装着されトナーを収容するトナーボックスとを備えた構成とすることもできる。
【0049】
また、画像形成装置においては、感光ドラム54を有するドラムカートリッジと、現像ローラ53を有する現像カートリッジとを、別々に装置本体2に装着するように構成することができる。すなわち、プロセスカートリッジ50は、感光ドラム、現像ローラ、およびトナー収容器の少なくとも一つを含み、装置本体に着脱可能に装着される構成とすることができる。
【0050】
露光ユニット56は、レーザダイオード、ポリゴンミラー、レンズ、及び反射鏡等を備えており、画像形成装置1に入力された画像データに基づいてレーザ光を感光ドラム54へ向けて照射することにより、感光ドラム54の表面を露光する。
【0051】
現像剤収容室51には現像剤となるトナーが収容されている。現像剤収容室51に収容されたトナーは、図示しない撹拌部材により撹拌されながら供給ローラ52に送られる。供給ローラ52は、現像剤収容室51から送られてくるトナーをさらに現像ローラ53へ供給する。
【0052】
現像ローラ53は、供給ローラ52に密着して配置されており、供給ローラ52から供給されるとともに図示しない摺接部材により正帯電されたトナーを担持する。また、現像ローラ53には、図示しないバイアス印加手段により現像バイアスが印加される。
【0053】
感光ドラム54は、現像ローラ53に隣接して配置されている。感光ドラム54の表面は、図示しない帯電器により一様に帯電された後、露光ユニット56により露光される。感光ドラム54の露光された部分は他の部分よりも電位が低くなり、感光ドラム54に画像データに基づく静電潜像が形成される。そして、静電潜像が形成された感光ドラム54の表面に、正に帯電されたトナーが現像ローラ53から供給されることにより、静電潜像が顕像化されてトナー像となる。
【0054】
転写ローラ55は、感光ドラム54に対向配置され、図示しないバイアス印加手段により転写バイアスが印加される。転写ローラ55の表面に転写バイアスがされている状態で、トナー像が形成された感光ドラム54と転写ローラ55との間でシートSを挟持しなから搬送することにより、感光ドラム54の表面に形成されたトナー像がシートSの表面に転写される。トナー像が転写されたシートSは定着器6に搬送される。
【0055】
定着器6は、加熱ユニット61と加圧ローラ62とを備えており、プロセスカートリッジ50によりシートSに転写された画像を定着させる。加熱ユニット61は図示しない電源から電力を供給することで加熱される。加熱ユニット61は加熱回転体の一例であり、加圧ローラ62は加圧回転体の一例である。加圧ローラ62は加熱ユニット61に対向配置されている。加熱ユニット61および加圧ローラ62の一方は、図示せぬ付勢機構によって他方に対して付勢されており、加熱ユニット61と加圧ローラ62とは密着している。
【0056】
トナー像が転写されたシートSが定着器6に搬送されてくると、加熱ユニット61と加圧ローラ62との間でシートSを挟持しながら搬送してシートSを加熱し、シートSにトナー像を定着させる。このように、定着器6は、搬送されるシートSに転写されたトナー像を定着させる。
【0057】
排紙部7は、画像形成部5よりもシート搬送方向の下流側に位置しており、画像形成部5にて画像が形成されたシートSを画像形成装置1の外部へ排紙する。排紙部7は、排紙ローラ対71と、排紙トレイ72とを備えている。排紙ローラ対71は、定着器6から搬送経路Pに沿って搬送されてきたシートSを装置本体2の外部へ向けて排紙可能に構成されている。排紙トレイ72は装置本体2の上面に形成されており、排紙ローラ対71によって装置本体2の外部に排紙されたシートSを支持する。
【0058】
図2に示すように、装置本体2は、左右方向に互いに離間して配置される第1本体フレーム24と、第2本体フレーム25とを備えている。第1本体フレーム24は装置本体2の右端部に位置しており、第2本体フレーム25は装置本体2の左端部に位置している。第1本体フレーム24は、前後方向および上下方向に延出しており、板面が左右方向に面する姿勢で配置されている。第2本体フレーム25は、前後方向および上下方向に延出しており、板面が左右方向に面する姿勢で配置されている。
【0059】
プロセスカートリッジ50および定着器6は、第1本体フレーム24と第2本体フレーム25との間に配置されている。第1本体フレーム24はプロセスカートリッジ50および定着器6の右方に配置されており、第2本体フレーム25は、プロセスカートリッジ50および定着器6の左方に配置されている。プロセスカートリッジ50は、第1本体フレーム24と第2本体フレーム25とによって着脱可能に支持されている。
【0060】
[定着器]
図3、
図4に示すように、定着器6の加熱ユニット61は、ヒータ611と、ホルダ612と、ステイ613と、ベルト614とを備えている。ヒータ611は、左右方向に延びる平板状のヒータである。ヒータ611は、第1面611Aと、第1面611Aの反対側の第2面611Bとを有しており、第1面611Aがホルダ612に支持されている。
【0061】
ホルダ612は、例えば樹脂部材からなり、ガイド面612aと、支持壁612bとを有している。ガイド面612aは、ベルト614の内周面614aに接触してベルト614を案内している。支持壁612bは、ヒータ611を支持する支持面612Aを有している。支持壁612bの支持面612Aは、ヒータ611の第1面611Aと当接している。ステイ613は、ホルダ612を支持する部材であり、ホルダ612よりも剛性が大きい板材、例えば鋼板等を断面視略U字状に折り曲げることにより形成されている。
【0062】
ベルト614は、耐熱性と可撓性とを有する無端状のベルトであり、ステンレス鋼等の金属からなる金属素管と、その金属素管を被覆するフッ素樹脂層とを有する。ヒータ611、ホルダ612、およびステイ613は、ベルト614の内側に配置されている。ベルト614は、ヒータ611、ホルダ612、およびステイ613の周りを回転するように構成されている。ベルト614の内周面614aは、ヒータ611と接触する。
【0063】
加圧ローラ62は、金属製のシャフト62Aと、シャフト62Aを被覆する弾性層62Bとを有している。加圧ローラ62は、ベルト614を介してヒータ611に押圧されている。加圧ローラ62はヒータ611との間でベルト614を挟むことで、シートSを加熱および加圧するためのニップNPを形成している。つまり、加圧ローラ62は加圧ローラ62とニップNPを形成しており、ニップNPにおいて、ヒータ611とともにシートSを加熱および加圧する。
【0064】
加圧ローラ62は、画像形成装置1が備えるモータ4からの駆動力が伝達されることにより回転駆動するように構成されている。加圧ローラ62は回転駆動することで、ベルト614、またはニップNPに挟まれたシートSとの摩擦力によりベルト614を従動回転させる。これにより、トナー像が転写されたシートSは、加圧ローラ62と加熱されたベルト614の間を搬送されることでトナー像が熱定着される。
【0065】
図1、
図5~
図7に示すように、定着器6は、加熱部材61および加圧ローラ62を覆う定着フレーム63と、定着フレーム63に支持されるシャッタ64とを有している。定着フレーム63は、加熱部材61および加圧ローラ62を保持している。定着フレーム63は、加熱部材61および加圧ローラ62の周囲を覆っており、加熱部材61および加圧ローラ62のシート搬送方向における上流側に形成される第1開口63aと、加熱部材61および加圧ローラ62のシート搬送方向における下流側に形成される第2開口63bとを有している。定着フレーム63は、加熱ユニット61を上方から覆っている。
【0066】
シャッタ64は、定着フレーム63における第1開口63aのシート搬送方向における上流側に位置しており、左右方向に沿って延びる回動軸641と、回動軸641と平行な向きに突出する連結軸642とを有している。回動軸641は定着フレーム63に回動可能に支持されている。回動軸641はシャッタ64の左右両端部に設けられており、連結軸642はシャッタ64の右端部から右方へ突出している。
【0067】
シャッタ64は、回動軸641を中心として回動可能に構成されており、回動軸641を中心として回動することで、第1開口63aを閉塞する閉位置(
図5(a)、
図6(a)、
図7(a)に示す位置)と第1開口63aを開放する開位置(
図5(b)、
図6(b)、
図7(b)に示す位置)との間で移動可能である。シャッタ64が閉位置にあるときには、加熱部材61と加圧ローラ62とのニップNPはシャッタ64により覆われ、シャッタ64が開位置にあるときには、加熱部材61と加圧ローラ62とのニップNPは、第1開口63aを通じて定着フレーム63の外部に露出する。
【0068】
シャッタ64は、閉位置にあるときに上端に位置する当接端部64aを有している。定着フレーム63は、開位置にあるシャッタ64が当接する当接面631を有している。当接面631は、シート搬送方向の上流側に面しており、シャッタ64が開位置にあるときに、シャッタ64の当接端部64aが当接する。シャッタ64の当接端部64aが当接面631に当接することで、シャッタ64がそれ以上開方向へ移動することが規制される。つまり、当接面631は、開位置にあるシャッタ64と当接して、シャッタ64の位置を規制する規制面である。
【0069】
なお、本実施形態においては、定着器6は、ヒータ611およびベルト614を有した加熱ユニット61と、加圧ローラ62とを備えているが、定着器6は、ヒータを内蔵した加熱ローラと、加熱ローラに押圧される加圧ローラとを備えた構成とすることもできる。また、定着器6は、ヒータを内蔵した加熱ローラと、弾性部材によって加熱ローラに押圧される加圧ベルトを備えた構成とすることもできる。
【0070】
[ドラム軸]
図8、
図9に示すように、感光ドラム54のドラム軸54aは、プロセスカートリッジ50の右端部から、軸心X方向に沿って右方に突出している。つまり、ドラム軸54aは、軸心X方向に沿って第1本体フレーム24側に突出している。
【0071】
[第1本体フレーム]
図10、
図11に示すように、第1本体フレーム24は、前方に位置する前フレーム24Aと、前フレーム24Aの後方に位置する後フレーム24Bとを有している。前フレーム24Aと後フレーム24Bとは、前後方向に連続して一体的に形成されている。第1本体フレーム24の前フレーム24Aは、フレームの一例である。
【0072】
第1本体フレーム24の前フレーム24Aは、カートリッジレール241と、当接片レール242とを有している。カートリッジレール241は、左側が開放される溝形状に形成されている。カートリッジレール241は前後方向に延出しており、前方から後方へ向かうに従って下降する方向に傾斜している。
【0073】
カートリッジレール241には感光ドラム54のドラム軸54aが進入可能であり、カートリッジレール241は、プロセスカートリッジ50を装置本体2に装着するとき、およびプロセスカートリッジ50を装置本体2から離脱するときに、ドラム軸54aをガイドする。カートリッジレール241にガイドされるドラム軸54aは、カートリッジレール241に左側から進入している。なお、プロセスカートリッジ50は、前方から後方へ向かって装置本体2に装着され、後方から前方へ向かって装置本体2から離脱される。
【0074】
このように、前フレーム24Aのカートリッジレール241は、プロセスカートリッジ50を装置本体2に装着するとき、および装置本体2から離脱するときにドラム軸54aをガイドする。カートリッジレール241は、ドラム軸をガイドする第1ガイド溝の一例である。
【0075】
当接片レール242は、右側が開放される溝形状に形成されている。当接片レール242は前後方向に延出しており、前方から後方へ向かうに従って下降する方向に傾斜している。当接片レール242は、左右方向においてカートリッジレール241よりも右側に位置している。つまり、左右方向において、当接片レール242はカートリッジレール241よりも外側に位置している。
【0076】
カートリッジレール241は、前方に位置する前部241aと、後方に位置する後部241cと、前部241aと後部241cとの間に位置する中部241bとを有している。当接片レール242は、前方に位置する前部242aと、後方に位置する後部242cと、前部242aと後部242cとの間に位置する中部242bとを有している。
【0077】
カートリッジレール241の中部241bと当接片レール242の中部242bとは重複しており、互いに連通している。中部241bと中部242bとによって、前フレーム24Aを左右方向に貫通する貫通孔24Cが形成されている。
【0078】
つまり、カートリッジレール241の一部である中部241bと、当接片レール242の一部である中部242bとは重複しており、カートリッジレール241と当接片レール242との重複部分は貫通孔24Cである。このように、カートリッジレール241と当接片レール242との一部が重複していることにより、カートリッジレール241を形成する部材と当接片レール242を形成する部材とを共通化することが可能となっている。
【0079】
貫通孔24Cには、カートリッジレール241は、プロセスカートリッジ50を装置本体2に装着するとき、およびプロセスカートリッジ50を装置本体2から離脱するときに、ドラム軸54aが進入する。
【0080】
当接片レール242の前部242aは、カートリッジレール241の前部241aよりも上方に位置し、当接片レール242の後部242cはカートリッジレール241の後部241cよりも上方に位置している。
【0081】
[リンク]
図6、
図12、
図13に示すように、装置本体2は、プロセスカートリッジ50と当接可能であり、シャッタ64を開位置および閉位置に移動させるリンク8を備えている。リンク8は、シャッタ64と連結している。リンク8は、プロセスカートリッジ50が装置本体2に装着されるときに、プロセスカートリッジ50と当接することでシャッタ64を閉位置から開位置に移動させ、プロセスカートリッジ50が装置本体2から離脱されるときに、プロセスカートリッジ50と当接することでシャッタ64を開位置から閉位置に移動させる。
【0082】
つまり、リンク8は、プロセスカートリッジ50の装置本体2に対する着脱に応じてシャッタ64が開閉する構成である。リンク8は、左右方向において、第1本体フレーム24の前フレーム24Aに対して、装置本体2に装着されているプロセスカートリッジ50の反対側に位置している。
【0083】
リンク8は、プロセスカートリッジ50が装置本体2に装着される前の状態において第1位置に位置するように移動可能である。リンク8が第1位置にあるときには、シャッタ64は閉位置に移動している。リンク8は、プロセスカートリッジ50が装置本体2に装着された後の状態において第2位置に位置するように移動可能である。リンク8が第2位置にあるときには、シャッタ64は開位置に移動している。リンク8は、シャッタ64を閉位置から開位置に移動させるときに、第1位置から第2位置に向けて第1向きに移動する。
【0084】
リンク8は、当接片80と、第1回動リンク81と、直動リンク82と、第2回動リンク83と、第3回動リンク84と、シャッタリンク85と、コイルバネ86とを有している。直動リンク82は第1リンクの一例であり、第1回動リンク81は第2リンクの一例である。
【0085】
当接片80は、感光ドラム54のドラム軸54aと当接して移動する。当接片80は、当接片レール242に摺動可能に嵌装されており、当接片レール242は、ドラム軸54aと当接して移動する当接片80をガイドする。当接片レール242は、当接片をガイドする第2ガイド溝の一例である。
【0086】
図14に示すように、当接片80は、本体部801と、連結部802と、第1ボス803と、第2ボス804とを有している。本体部801は、板面が左右方向に面する板状部材にて形成されている。連結部802は、本体部801の右面から右方へ向かって突出する突起である。
【0087】
第1ボス803および第2ボス804は、本体部801の左面から左方へ向かって突出する突起である。第1ボス803および第2ボス804は、第1本体フレーム24の当接片レール242に右側から進入しており、当接片レール242にガイドされる。
【0088】
第1ボス803および第2ボス804が当接片レール242に進入した状態において、第2ボス804は、第1ボス803よりもプロセスカートリッジ50の装置本体2に対する装着方向における上流側に位置している。なお、装着方向とは、プロセスカートリッジ50を装置本体2に対して装着する際に、装置本体2に挿入されるプロセスカートリッジ50が装着位置へ向けて移動する方向である。
【0089】
当接片80は、第1本体フレーム24の前フレーム24Aに対して、装置本体2に装着されているプロセスカートリッジ50の反対側に位置している。第1ボス803および第2ボス804は、当接片レール242に進入した状態において、第1本体フレーム24の前フレーム24Aよりもプロセスカートリッジ50側へ突出しない位置に位置している。
【0090】
第1ボス803は、プロセスカートリッジ50が装置本体2に装着されるときにドラム軸54aと当接し、第2ボス804は、プロセスカートリッジ50が装置本体2から離脱されるときにドラム軸54aと当接する。つまり、第1ボス803は、装置本体2に装着されるプロセスカートリッジ50のドラム軸54aと当接し、第2ボス804は、装置本体2から離脱されるプロセスカートリッジ50のドラム軸54aと当接する。
【0091】
この場合、第1ボス803は、当接片レール242の中部242b(貫通孔24C)に位置するときに、貫通孔24Cを介して、装置本体2に装着されるプロセスカートリッジ50のドラム軸54aと当接する。また、第2ボス804は、当接片レール242の中部242b(貫通孔24C)に位置するときに、貫通孔24Cを介して、装置本体2から離脱されるプロセスカートリッジ50のドラム軸54aと当接する。
【0092】
貫通孔24Cを介して第1ボス803および第2ボス804と当接するドラム軸54aは、貫通孔24Cの内部において第1ボス803および第2ボス804と当接してもよく、左右方向において貫通孔24Cよりも右方に出た位置で第1ボス803および第2ボス804と当接してもよい。
【0093】
なお、本実施形態においては、当接片80はドラム軸54aと当接して移動するように構成されているが、プロセスカートリッジ50に、ドラム軸54aとは別に第1本体フレーム24側に突出するカートリッジ突起を形成し、当接片80がこのカートリッジ突起と当接して移動するように構成することもできる。
【0094】
第1回動リンク81は、当接片80と回動可能に連結する略直線状の部材である。第1回動リンク81は、左右方向において、第1本体フレーム24の前フレーム24Aよりも右側に位置している。第1回動リンク81は、前端部に位置し、当接片80の連結部802が回動可能に嵌合する嵌合部811と、後端部に位置し、左方へ突出するボス812とを有している。第1回動リンク81は、嵌合部811がボス812よりも上方かつ前方に位置する傾斜姿勢で配置されている。第1回動リンク81は、嵌合部811に連結部802が嵌合することで当接片80と連結されており、当接片80の移動に沿って回動する。
【0095】
直動リンク82は、第1回動リンク81と回動可能に連結し、前後方向に延出する略直線状の部材である。直動リンク82は、左右方向において、第1本体フレーム24の前フレーム24Aよりも右側に位置している。直動リンク82は、前端部に位置し、第1回動リンク81のボス812が回動可能に嵌合する嵌合部821と、後端部に位置する連結孔822とを有している。直動リンク82は、嵌合部821にボス812が嵌合することで第1回動リンク81と連結されており、第1回動リンク81の回動に沿って前後方向へ直線的に移動する。
【0096】
直動リンク82は、リンク8がシャッタ64を閉位置から開位置に移動させるときに、前方から後方へ向かって移動する。つまり、本実施形態においては、直動リンク82の第1向きは後向きである。
【0097】
第2回動リンク83は、直動リンク82と連結され、第1本体フレーム24に支持されている。第2回動リンク83は、第1本体フレーム24に回動可能に支持される支持部831と、支持部831から略下方へ延出する第1アーム832と、支持部831から略上方へ延出する第2アーム833とを有している。第1アーム832の先端部には左方へ突出する係合ピン832aが形成されており、第2アーム833の先端部には連結孔833aが形成されている。
【0098】
第1アーム832の係合ピン832aは、直動リンク82の連結孔822に右方から進入しており、直動リンク82の前後方向への移動に沿って連結孔822と係合する。第2回動リンク83は、係合ピン832aと連結孔822とが係合することで直動リンク82と連結され、直動リンク82の移動に沿って支持部831を中心として回動する。
【0099】
第3回動リンク84は、第2回動リンク83と連結され、定着器6の支持軸65に回動可能に支持されている。第3回動リンク84は、支持軸65に回動可能に支持される支持部841と、支持部841から右方へ突出する係合ピン842と、支持部841の周方向における係合ピン842とは異なる位相に形成される操作カム843と、操作カム843に形成される連結孔844とを有している。連結孔844は、操作カム843を左右方向に沿って貫通している。
【0100】
第3回動リンク84の係合ピン842は、第2回動リンク83の連結孔833aに左方から進入しており、第2回動リンク83の回動に沿って連結孔833aと係合する。第3回動リンク84は、係合ピン842と連結孔833aとが係合することで第2回動リンク83と連結され、第2回動リンク83の回動に沿って支持軸65を中心として回動する。
【0101】
図5、
図6に示すように、シャッタリンク85は、第3回動リンク84と連結され、定着器6の支持軸65に回動可能に支持されている。シャッタリンク85は、第3回動リンク84の移動に沿って移動して、定着器6のシャッタ64を閉位置と開位置との間で移動させる。シャッタリンク85は、定着器6の右端部に位置しており、支持部851と、アーム部852と、係合部853と、係合ピン854とを有している。
【0102】
支持部851は、定着フレーム63の右端部から右方に突出する支持軸65に回動可能に支持されている。アーム部852は、支持部851から前方へ延出するアーム部材である。係合部853はアーム部852の前端部に位置しており、前後方向に長い長円形状の係合孔853aを有している。係合孔853aには、シャッタ64の右端部から右方へ突出する連結軸642が係合している。
【0103】
シャッタリンク85は、支持部851を中心として係合部853が上下移動する方向へ回動可能であり、シャッタリンク85が回動して係合部853が下方へ移動した状態ではシャッタ64が閉位置に移動し(
図5(a)、
図6(a)参照)、シャッタリンク85が回動して係合部853が上方へ移動した状態ではシャッタ64が開位置に移動する(
図5(b)、
図6(b)参照)。
【0104】
係合ピン854は、アーム部852の支持部851側端部から右方へ突出している。シャッタリンク85の係合ピン854は、第3回動リンク84の連結孔844に左方から進入している。
【0105】
コイルバネ86は、第3回動リンク84の支持部841に支持されている。コイルバネ86は腕部861を有している。腕部861は、連結孔844の内径側から外径側へ向けて延出しており、連結孔844内に進入している。
【0106】
腕部861は、連結孔844内において係合ピン854の上方に位置している。コイルバネ86は第3回動リンク84の回動に沿って回動可能である。第3回動リンク84の操作カム843における連結孔844の下端の縁部は、係合面844aを形成している。係合面844aは、係合ピン854の下方に位置している。
【0107】
連結孔844の係合面844aは、操作カム843が上方へ移動する側に第3回動リンク84が回動することにより、係合ピン854と係合する。コイルバネ86の腕部861は、操作カム843が下方へ移動する側に第3回動リンク84が回動することにより、係合ピン854と係合する。
【0108】
シャッタリンク85は、係合ピン854が腕部861または係合面843aと係合することで第3回動リンク84と連結され、第3回動リンク84の回動に沿って移動して、シャッタ64を閉位置と開位置との間で移動させる。
【0109】
画像形成装置1においては、プロセスカートリッジ50を装置本体2に対して装着または離脱する際に、リンク8の当接片80がドラム軸54aと当接して当接片レール242に沿って移動することで、リンク8を介してシャッタ64に駆動力が伝達され、シャッタ64が閉位置と開位置との間で移動する。
【0110】
本実施形態では、リンク8は、当接片80と、第1回動リンク81と、直動リンク82と、第2回動リンク83と、第3回動リンク84と、シャッタリンク85と、コイルバネ86とを有する構成であったが、これに限定されず、シャッタ64と連結しかつプロセスカートリッジ50と当接することでシャッタ64を開閉する1つのリンクで構成されてもよい。また、リンク8の動きも、回動やスライドに限定されず、プロセスカートリッジ50の挿抜に応じて、適した動作でシャッタ64を開閉するものであればよい。
【0111】
[押圧部]
図12に示すように、装置本体2は、押圧部9を備えている。押圧部9は、リンク8がシャッタ64を閉位置から開位置へ移動させる過程において、シャッタ64が開位置に移動する前に、リンク8をシャッタ64が開位置になる向きに向けて押圧する。また、押圧部9は、リンク8を押圧することにより、シャッタ64を開位置または閉位置に移動させたリンク8の移動を規制する。
【0112】
押圧部9は、押圧バネ92と、押圧バネ92によって押圧されて、直動リンク82の上面82Aに当接する押圧アーム91とを有している。押圧バネ92は、押圧アーム91の先端を直動リンク82の上面82A側へ向けて押圧する。直動リンク82の上面82Aは、押圧アームによって押圧される被押圧面の一例である。
【0113】
押圧アーム91は、押圧アーム91の基端に位置し、第1本体フレーム24に回動可能に支持される支持部911と、押圧アーム91の先端に位置し、直動リンク82の上面82Aに当接する当接部912と、押圧バネ92が嵌合する嵌合部913とを有している。押圧アーム91は前後方向に延出しており、前端に支持部911が位置し、後端に当接部912が位置している。嵌合部913は、当接部912の上方に位置している。当接部912は支持部911を中心として上下方向に回動可能である。
【0114】
押圧バネ92は第1本体フレーム24に支持されており、下端部が押圧アーム91の嵌合部913に嵌合している。押圧バネ92は、押圧アーム91の当接部912を直動リンク82の上面82A側となる下側へ向けて付勢しており、当接部912は上方から上面82Aに押圧されている。
【0115】
直動リンク82の上面82Aは、嵌合部821と連結孔822との間において、押圧部9側となる上側へ向けて突出するリンク突起823を有している。リンク突起823は、第1被押圧面823aと、第2被押圧面823bと、第3被押圧面823cと、を有した山形形状に形成されている。
【0116】
第1被押圧面823aは山形形状の頂点部分に位置しており、水平方向に延びている。第2被押圧面823bは、第1被押圧面823aの前方に位置しており、後方へいくに従って上昇する傾斜面に形成されている。つまり、第2被押圧面823bは、後向きに沿って下方から上方に向かって傾斜している。第2被押圧面823bの後端は、第1被押圧面823aの前端と接続されている。
【0117】
第3被押圧面823cは、第1被押圧面823aの後方に位置しており、後方へいくに従って下降する傾斜面に形成されている。つまり、第3被押圧面823cは、後向きに沿って上方から下方に向かって傾斜している。第3被押圧面823cの前端は、第1被押圧面823aの後端と接続されている。第3被押圧面823cは、前後方向において第1被押圧面823aを挟んで第2被押圧面823bと反対側に位置している。
【0118】
直動リンク82は、前後方向へ移動することによって、押圧アーム91の当接部912が第1被押圧面823aを押圧する位置と、押圧アーム91の当接部912が第2被押圧面823bを押圧する位置と、押圧アーム91の当接部912が第3被押圧面823cを押圧する位置と、に位置することが可能である。
【0119】
第1被押圧面823aは水平方向に延びる面であるため、押圧アーム91が第1被押圧面823aを上方から押圧した場合、押圧アーム91による押圧力は、直動リンク82が第2位置に向かう向きとなる後向き、および直動リンク82が第1位置に向かう向きとなる前向きの両方に働かない。
【0120】
第2被押圧面823bは後向きに沿って下方から上方に向かって傾斜する面であるため、押圧アーム91が第2被押圧面823bを上方から押圧した場合、押圧アーム91による押圧力は、直動リンク82が第2位置に向かう向きとなる後向きに働く。また、押圧アーム91が第2被押圧面823bを上方から押圧している状態では、押圧アーム91の当接部912と第2被押圧面823bとが係止して、直動リンク82の前向きの移動が規制される。
【0121】
第3被押圧面823cは後向きに沿って上方から下方に向かって傾斜する面であるため、押圧アーム91が第3被押圧面823cを上方から押圧した場合、押圧アーム91による押圧力は、直動リンク82が第1位置に向かう向きとなる前向きに働く。また、押圧アーム91が第3被押圧面823cを上方から押圧している状態では、押圧アーム91の当接部912と第3被押圧面823cとが係止して、直動リンク82の後向きの移動が規制される。
【0122】
[リンクの動作]
次に、リンク8の動作について説明する。
【0123】
(プロセスカートリッジ装着時の動作)
まず、プロセスカートリッジ50を装置本体2に装着するときのリンク8の動作について説明する。
【0124】
図12、
図13に示すように、プロセスカートリッジ50が装置本体2から離脱された、装置本体2に装着される前の状態にあるとき、およびプロセスカートリッジ50の挿入方向の先端50Aが装置本体2に挿入された装着開始位置(
図13に示す位置)にあるときには、ドラム軸54aは当接片80から前方に離間しており、当接片80は、当接片レール242の前部242aと中部241bとに亘って位置している。
【0125】
具体的には、当接片80は、第1ボス803が当接片レール242の中部242b(貫通孔24C)に位置し、第2ボス804が当接片レール242の前部242aに位置する状態で当接片レール242に嵌装されている。なお、プロセスカートリッジ50の挿入方向は、装着方向と同じ方向である。
【0126】
当接片80が
図13に示す位置にあるときには、
図6(a)に示すように、シャッタ64はリンク8により閉位置に移動された状態にある。これにより、プロセスカートリッジ50が装置本体2から離脱された状態にあるときに、ユーザが開口部2Aから装置本体2内に手を差し入れたとしても、定着器6の加熱ユニット61にユーザの手が触れることをシャッタ64によって抑制することができる。
【0127】
また、当接片80が
図13に示す位置にあるときには、
図12に示すように、押圧アーム91の当接部912は直動リンク82の第3被押圧面823cに当接しており、直動リンク82の後向きへの移動が規制される。これにより、シャッタ64がリンク8により閉位置に移動された状態で直動リンク82が押圧部9により固定され、シャッタ64が閉位置から開位置へ不用意に移動することがないため、シャッタ64の閉位置を安定して保持することができる。
【0128】
さらに、当接片80をガイドする前フレーム24Aの当接片レール242は、左右方向においてカートリッジレール241よりも外側に位置しており、当接片80の第1ボス803および第2ボス804は、前フレーム24Aよりもプロセスカートリッジ50側へ突出しない位置にある。従って、プロセスカートリッジ50が装置本体2から離脱されたときに、ユーザが当接片80に接触することを防ぐことができ、リンク8が移動してシャッタ64が不用意に開くことを抑制できる。
【0129】
装着開始位置にあるプロセスカートリッジ50を装着位置へ向けてさらに挿入すると、ドラム軸54aはカートリッジレール241の前部241aに進入し、カートリッジレール241内を移動する。
図15に示すように、カートリッジレール241内を移動するドラム軸54aが中部241b(貫通孔24C)に進入すると、ドラム軸54aは当接片80の第1ボス803に当接する。
【0130】
図16~
図18に示すように、カートリッジレール241の中部241b(貫通孔24C)内を移動するドラム軸54aと当接した当接片80は、ドラム軸54aにより押圧されてプロセスカートリッジ50の装着方向における下流側へ移動する。
【0131】
中部241b(貫通孔24C)内を移動するドラム軸54aと当接して移動した当接片80の第1ボス803は、後方の一部が当接片レール242の後部241cに位置し、その他の部分が当接片レール242の中部242b(貫通孔24C)に位置している。また、第2ボス804は、当接片レール242の中部242b(貫通孔24C)に位置している。
【0132】
当接片80が移動すると、当接片80と連結している第1回動リンク81は、水平方向に対する傾斜角度が小さくなる方向に回動しながら後方へ移動する。第1回動リンク81が回動および移動すると、第1回動リンク81と連結している直動リンク82が後方へ直線的に移動する。
【0133】
直動リンク82が後方へ移動すると、直動リンク82の連結孔822と第2回動リンク83の係合ピン832aとが係合して、第2回動リンク83は係合ピン832aが後方へ移動する方向に回動する。第2回動リンク83が回動すると、第2回動リンク83の連結孔833aと第3回動リンク84の係合ピン842とが係合して、第3回動リンク84は係合ピン842が前方へ移動する方向に回動する。
【0134】
この場合、直動リンク82が後方へ移動することにより、押圧部9における押圧アーム91の当接部912は、押圧バネ92の押圧力に抗して直動リンク82の第3被押圧面823cを上っていき、第3被押圧面823cから第1被押圧面823aに乗り上げる。つまり、押圧アーム91は、プロセスカートリッジ50を装置本体2に装着するときに、第3被押圧面823cと当接した後に第1被押圧面823aと当接する。押圧アーム91が水平方向に延びる面である第1被押圧面823aと当接した状態においては、シャッタ64が閉位置から開位置側へ移動することの押圧部9による規制が解除される。
【0135】
このように、プロセスカートリッジ50を装置本体2に装着するときに、直動リンク82が押圧アーム91からの押圧力に抗して第1向きである後方に移動することで、シャッタ64が閉位置に保持される状態から、開位置へ移動可能となる状態へ切り換えることが可能となっている。
【0136】
図19、
図20に示すように、プロセスカートリッジ50を
図17に示す位置から装着位置へ向けてさらに挿入すると、当接片80は、カートリッジレール241の中部241b(貫通孔24C)内を移動するドラム軸54aによって、さらに装着方向の下流側へ移動される。
図20においては、当接片80の第1ボス803は当接片レール242の後部241cに位置し、第2ボス804は当接片レール242の中部241b(貫通孔24C)に位置している。
【0137】
図21に示すように、第1ボス803が当接片レール242の後部241cに位置するまで当接片80を移動させたドラム軸54aは、カートリッジレール241の中部241bから後部241cへ移動し、当接片80とドラム軸54aとは離間する。
【0138】
当接片80が移動すると、第1回動リンク81は、さらに水平方向に対する傾斜角度が小さくなる方向に回動しながら後方へ移動する。第1回動リンク81が回動および移動すると、直動リンク82はさらに後方へ直線的に移動する。直動リンク82が移動すると、第2回動リンク83は係合ピン832aが後方へ移動する方向にさらに回動する。第2回動リンク83が回動すると、第3回動リンク84は係合ピン842が前方へ移動する方向にさらに回動する。
【0139】
第3回動リンク84が回動すると、操作カム843における連結孔844の係合面844aが下方からシャッタリンク85の係合ピン854に係合する。連結孔844の係合面844aが係合ピン854に係合することで、係合部853が上方へ移動する方向へシャッタリンク85が回動し、シャッタ64が閉位置から開位置に向けて移動する。
【0140】
この場合、当接片80のドラム軸54aによる移動が、第1回動リンク81を介して直動リンク82に伝達されるため、プロセスカートリッジ50の装置本体2における装着位置とシャッタ64との距離が離れていたしても、当接片80からシャッタ64へ効率的に駆動力を伝達することが可能となっている。
【0141】
ドラム軸54aが、第1ボス803が当接片レール242の後部241cに位置するまで当接片80を移動させることによって、直動リンク82が後方へ移動すると、押圧部9における押圧アーム91の当接部912は、押圧バネ92の押圧力により直動リンク82の第1被押圧面823aから第2被押圧面823bに乗り移る。
【0142】
ドラム軸54aによって第1ボス803が当接片レール242の後部241cに位置するまで当接片80が移動したときの、押圧アーム91における当接部912の第2被押圧面823bに対する当接位置は、リンク8を構成する各部材の寸法公差および各部材の連結位置の公差等によって変化する。
【0143】
この場合、ドラム軸54aによって第1ボス803が当接片レール242の後部241cに位置するまで当接片80が移動したときには、押圧アーム91の当接部912が必ず第2被押圧面823bに当接するように、押圧アーム91とリンク8との位置関係を設定している。また、リンク8を構成する各部材の公差の範囲内において、押圧アーム91の当接部912が第2被押圧面823bの最も下側に当接した場合でも、当接部912は、第2被押圧面823bよりも前方に位置する上面82Aに接触しないように設定している。
【0144】
第1ボス803が当接片レール242の後部241cに位置するまで当接片80が移動して、当接部912が第2被押圧面823bに当接した後は、第1ボス803とドラム軸54aとは離間しているため、ドラム軸54aが当接片80を移動させることはない。しかし、
図22に示すように、押圧アーム91の当接部912が第2被押圧面823bに当接しているため、押圧アーム91から直動リンク82に対して第2位置に向かう向きの押圧力がかかり、直動リンク82が後方へ移動する。
【0145】
図6(b)に示すように、押圧アーム91からの押圧力によって直動リンク82が後方へ移動すると、係合部853が上方へ移動する方向へシャッタリンク85が回動し、シャッタ64が開位置に移動する。
【0146】
この場合、直動リンク82が、押圧アーム91からの押圧力によって、シャッタ64が開位置に移動するまで後方へ移動した場合においても、押圧アーム91の当接部912は、第2被押圧面823bよりも前方に位置する上面82Aに接触しないように設定している(
図22参照)。これにより、押圧アーム91からの押圧力によって、シャッタ64を開位置に保持することが可能となっている。
【0147】
また、
図23に示すように、押圧アーム91からの押圧力によって直動リンク82が後方へ移動すると、当接片80は第1回動リンク81に引っ張られて後方へ移動し、当接片80の第1ボス803は、
図21に示した位置から当接片レール242の後部241cに沿って後方へ移動する。
【0148】
シャッタ64は開位置に移動すると、当接端部64aが定着フレーム63の当接面631に当接して、それ以上の移動が規制され、リンク8の移動も停止する。シャッタ64は当接面631に当接することでそれ以上の移動が規制されるため、シャッタ64を開位置に保持することが可能である。また、リンク8の移動も停止するため、リンク8の移動範囲を小さく抑えることができる。
【0149】
また、押圧アーム91が第2被押圧面823bに当接している状態では、押圧アーム91の当接部912と第2被押圧面823bとが係止して、直動リンク82の前向きへの移動が規制される。これにより、シャッタ64が開位置に移動した状態で、直動リンク82の位置が押圧部9により固定され、シャッタ64が開位置から閉位置に不用意に移動することを抑制できる。
【0150】
このように、画像形成装置1においては、装置本体2に装着されるプロセスカートリッジ50のドラム軸54aとリンク8の当接片80とが当接して、ドラム軸54aが当接片80を移動させると、シャッタ64が閉位置から開位置に向けて移動し、さらに開位置にシャッタ64が移動する前に当接片80とドラム軸54aとが離間し、ドラム軸54aと離間した当接片80が、さらにシャッタ64が開位置になる向きに向けて移動するように構成している。
【0151】
このような構成においては、シャッタ64が開位置に移動したときには、当接片80を有するリンク8とドラム軸54aを有するプロセスカートリッジ50とは離間しているため、ユーザのプロセスカートリッジ50に対する操作がシャッタ64の開閉状態に影響することがない。また、シャッタ64が開位置に移動した後に、リンク8をさらに移動させる必要がなく、リンク8の移動範囲を小さく抑えることができる。
【0152】
また、プロセスカートリッジ50を装置本体2に装着するときにおいて、プロセスカートリッジ50とリンク8とが当接した後に、リンク8とプロセスカートリッジ50とが離間すると、押圧部9の押圧アーム91によって直動リンク82を第2位置に向けて押圧するように構成している。
【0153】
これにより、リンク8とプロセスカートリッジ50とが離間した後においても、リンク8が押圧部9によって第2位置へ向けて押圧されるため、押圧されるリンク8によってシャッタ64を開位置に移動させることができる。
【0154】
特に、押圧アーム91によって直動リンク82の第2被押圧面823bを押圧することで、リンク8を第2位置へ向けて移動させて、シャッタ64を開位置に移動させることができる。
【0155】
また、装置本体2に装着されるプロセスカートリッジ50とリンク8の当接片80とが当接すると、押圧アーム91とリンク8の第1被押圧面823aとが当接し、さらにリンク8とプロセスカートリッジ50とが離間する前に、リンク8の第2被押圧面823bと押圧アーム91とが当接するように、リンク8が第2位置に向かって移動するように構成している。
【0156】
これにより、リンク8とプロセスカートリッジ50とが離間したときには、押圧アーム91と第2被押圧面823bとが当接しているため、リンク8とプロセスカートリッジ50とが離間した後においても、リンク8によってシャッタ64を開位置に移動させることが可能となっている。
【0157】
プロセスカートリッジ50を
図20に示す位置から装着位置へ向けてさらに挿入すると、ドラム軸54aはカートリッジレール241の中部241bから後部241cへ移動し、後部241c内を装着方向へ移動する。その後、プロセスカートリッジ50は、
図24に示すように装着位置に到達し、装置本体2に装着された状態となる。
【0158】
(プロセスカートリッジ離脱時の動作)
次に、装着位置にあるプロセスカートリッジ50を装置本体2から離脱させるときのリンク8の動作について説明する。リンク8は、プロセスカートリッジ50を離脱させるときには、プロセスカートリッジ50を装着するときの動作とは逆に動作する。
【0159】
図24に示す装着位置にあるプロセスカートリッジ50を装置本体2から前方へ向けて離脱させると、ドラム軸54aがカートリッジレール241の後部241c内を離脱方向の下流側へ向けて移動する。なお、離脱方向とは、プロセスカートリッジ50を装置本体2から離脱させる際に、装着本体2から抜き出されるプロセスカートリッジ50が装着本体2の外部へ向けて移動する方向である。
図20に示すように、カートリッジレール241内を移動するドラム軸54aが中部241b(貫通孔24C)に達すると、ドラム軸54aが当接片80の第2ボス804に当接する。
【0160】
図17に示すように、ドラム軸54aと当接した当接片80は、ドラム軸54aにより押圧されてプロセスカートリッジ50の離脱方向における下流側へ移動する。つまり、当接片80は、第1ボス803が当接片レール242の後部242cにある位置から中部242b(貫通孔24C)にある位置へ移動する。
【0161】
当接片80が移動すると、第1回動リンク81は水平方向に対する傾斜角度が大きくなる方向に回動しながら前方へ移動し、直動リンク82は前方へ直線的に移動する。直動リンク82が移動すると、直動リンク82の連結孔822と第2回動リンク83の係合ピン832aとが係合して、第2回動リンク83は係合ピン832aが前方へ移動する方向に回動する。第2回動リンク83が回動すると、第2回動リンク83の連結孔833aと第3回動リンク84の係合ピン842とが係合して、第3回動リンク84は係合ピン842が後方へ移動する方向に回動する。
【0162】
プロセスカートリッジ50を装置本体2からさらに離脱させると、当接片80は、カートリッジレール241の中部241b(貫通孔24C)内を移動するドラム軸54aによって、さらに離脱方向の下流側へ移動される。
【0163】
この当接片80の移動により、第3回動リンク84が、係合ピン842が後方へ移動する方向にさらに回動する。第3回動リンク84が回動すると、第3回動リンク84の回動に沿ってコイルバネ86が回動し、コイルバネ86の腕部861が上方からシャッタリンク85の係合ピン854に係合する。腕部861が係合ピン854に係合することで、係合部853が下方へ移動する方向へシャッタリンク85が回動する。これにより、シャッタ64が開位置から閉位置側へ向けて移動する。
【0164】
このように、装置本体2に装着されたプロセスカートリッジ50が装置本体2から離脱されるときに、リンク8の当接片80がプロセスカートリッジ50のドラム軸54aと当接することで、リンク8は開位置にあるシャッタ64が閉位置へ移動する向きに移動する。従って、プロセスカートリッジ50を装置本体2から離脱させる動作に伴って、シャッタ64を閉位置に移動させることが可能となる。
【0165】
以上のように、画像形成装置1においては、プロセスカートリッジ50を装置本体2に装着するときに、ドラム軸54aが当接片80の第1ボス803に当接して、リンク8をシャッタ64が閉位置から開位置へ移動する方向へ動作させ、プロセスカートリッジ50を装置本体2から離脱させるときに、ドラム軸54aが当接片80の第2ボス804に当接して、リンク8をシャッタ64が開位置から閉位置へ移動する方向へ動作させる。このような構成により、簡単な構成で、プロセスカートリッジ50の装着時および離脱時の両方でリンク8を動作させることが可能となっている。
【0166】
本実施形態において、リンク8は、当接片80と、第1回動リンク81と、直動リンク82と、第2回動リンク83と、第3回動リンク84と、シャッタリンク85と、コイルバネ86とを有していたが、これに限らず、例えば、シャッタ64と連結した1つのリンクが、プロセスカートリッジ50と当接する構成であってもよい。
【0167】
本実施形態においては、プロセスカートリッジ50のドラム軸54aがリンク8の当接片80と当接することで、シャッタ64を開閉していたが、これに限らず、プロセスカートリッジ50の他の部分がリンク8と当接する構成であってもよい。
【0168】
本実施形態において、押圧部9は、押圧バネ92と、押圧バネ92によって押圧されて、直動リンク82の上面82Aに当接する押圧アーム91とを有していたが、これに限らず、リンク8を押圧する構成であれば、バネやアーム形状でなくてもよい。
【符号の説明】
【0169】
1 画像形成装置
2 装置本体
6 定着器
8 リンク
9 押圧部
24 第1本体フレーム
24A 前フレーム
50 プロセスカートリッジ
54 感光ドラム
54a ドラム軸
61 加熱ユニット
62 加圧ローラ
63 定着フレーム
64 シャッタ
80 当接片
81 第1回動リンク
82 直動リンク
82A 上面
91 押圧アーム
92 押圧バネ
241 カートリッジレール
242 当接片レール
631 当接面
803 第1ボス
804 第2ボス
823 リンク突起
823a 第1被押圧面
823b 第2被押圧面
823c 第3被押圧面
NP ニップ