(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024137549
(43)【公開日】2024-10-07
(54)【発明の名称】給湯器用の中和器
(51)【国際特許分類】
F24H 9/00 20220101AFI20240930BHJP
F24H 9/16 20220101ALI20240930BHJP
【FI】
F24H9/00 B
F24H9/16 D
【審査請求】未請求
【請求項の数】3
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023049108
(22)【出願日】2023-03-25
(71)【出願人】
【識別番号】000112015
【氏名又は名称】株式会社パロマ
(74)【代理人】
【識別番号】100166017
【弁理士】
【氏名又は名称】鈴木 和政
(72)【発明者】
【氏名】柿崎 友助
【テーマコード(参考)】
3L036
【Fターム(参考)】
3L036AA13
3L036AA14
(57)【要約】
【課題】給湯器用の中和器に関し、簡易な構造で円滑にドレンを流しやすく、中和を効率的に行いやすい技術を提供する。
【解決手段】中和器1は、ケース本体部100と、蓋部150と、仕切部130と、を有する。ケース本体部100は、第1方向の幅が第2方向の幅よりも大きい偏平形状をなす。ケース本体部100内には、ドレンを流す流路140が構成される。流路140は、第1仕切壁131と第1起立壁111と底壁部108の第1部分108Aとによってドレンを第1方向一方側から他方側に導く第1流路141と、第1仕切壁131と第2起立壁112と底壁部108の第2部分108Bとによってドレンを第1方向他方側から一方側に導く第2流路142と、第1仕切壁131の第1方向他方側の端部寄りに設けられるとともにドレンを第2方向一方側から他方側に導く誘導路144と、を有する。
【選択図】
図6
【特許請求の範囲】
【請求項1】
ドレンを排出する排出口を備えた底壁部と、前記底壁部に連結される周壁部と、を備えるとともに、前記周壁部の内側に中和剤の収容部を構成するケース本体部と、
前記ドレンを導入する導入口を備え、前記収容部を上方から覆うように前記ケース本体部の上端側に連結される蓋部と、
前記ケース本体部の内部に設けられ、前記収容部内の空間を仕切る仕切部と、
を有し、
前記周壁部は、第1方向一方側から他方側に延びるとともに前記底壁部から立ち上がる第1起立壁及び第2起立壁と、前記底壁部から立ち上がる第3起立壁及び第4起立壁と、を備え、
前記第1起立壁と前記第2起立壁とが前記第1方向と直交する第2方向において互いに対向し、
前記第3起立壁及び前記第4起立壁が前記第1起立壁及び前記第2起立壁の前記第1方向両側にそれぞれ連結され、
前記ケース本体部は、前記第1方向の幅が前記第2方向の幅よりも大きい偏平形状をなし、
前記ケース本体部内に前記ドレンの流路が構成された給湯器用の中和器であって、
前記仕切部は、前記第1起立壁及び前記第2起立壁の各々から離間して配置されるとともに前記第1方向一方側から他方側に延びる第1仕切壁を備え、
前記流路は、前記第1仕切壁と前記第1起立壁と前記底壁部の第1部分とによって前記ドレンを前記第1方向一方側から他方側に導く第1流路と、前記第1仕切壁と前記第2起立壁と前記底壁部の第2部分とによって前記ドレンを前記第1方向他方側から一方側に導く第2流路と、前記第1仕切壁の前記第1方向他方側の端部寄りに設けられるとともに前記ドレンを前記第2方向一方側から他方側に導く誘導路と、を有し、
前記第2流路における前記第1方向一端寄りの前記第2部分に前記排出口が設けられ、
前記蓋部における前記第1方向一方側の端部寄りに前記導入口が設けられ、
更に、前記導入口から入り込んだ前記ドレンを前記第1流路内の前記第1方向一端側の領域に案内する案内部が設けられ、
前記案内部によって前記第1方向一端側の領域に案内した前記ドレンを、前記第1流路によって前記第1方向他方側に流し、前記誘導路によって前記第2流路側に流し、前記第2流路によって前記第1方向一方側に流し、前記排出口から排出する
給湯器用の中和器。
【請求項2】
前記第1仕切壁の前記第1方向一方側の端部と前記第2起立壁とを連結する第2仕切壁を有し、
前記案内部は、前記第2仕切壁と前記第3起立壁と前記底壁部の第3部分とによって構成される第3流路を備え、
前記第3流路は、前記導入口の下方に配置され、前記導入口から流れ落ちた前記ドレンを前記第1流路の前記第1方向一端側の領域に案内し、
前記蓋部において前記第1方向一方側且つ前記導入口よりも前記第2方向一方側の所定位置には、当該所定位置の下方の水位を検出する水位検知部が設けられている
請求項1に記載の給湯器用の中和器。
【請求項3】
前記誘導路又は前記第2流路において、ドレンを排出するための第2排出口が設けられている
請求項1又は請求項2に記載の給湯器用の中和器。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、給湯器用の中和器に関する。
【背景技術】
【0002】
特許文献1には、給湯器用の中和器の一例が開示される。特許文献1に開示される中和器は、燃焼式給湯装置の燃焼ガスが露点以下の温度になることにより生成されるドレンを中和剤で中和する中和器である。この中和器は、ドレンの導入口と、中和剤を収容する収容室と、ドレンの水位を検知するための1対の電極と、これら1対の電極の夫々を収容する第1電極室及び第2電極室と、ドレンの排水口とを備える。第1,第2電極室の夫々の側壁部には少なくともその上端部分と下端部分において収容室と連通する第1,第2スリットが設けられる。第1電極室には水抜き栓が設けられる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
特許文献1の中和器は、中和器内部に複数の仕切りが設けられ、中和器内部に入り込んだドレンを長手方向に流した後に折り返し、その後、短手方向に流して二度折り返して排出口室に導くように流路が構成される。この中和器は、ドレンの移動距離をある程度長く確保しやすく、ドレンをある程度効率的に中和しやすい構成ではあるが、折り返し回数が多くなるため、ドレンが出口側に円滑に流れにくいという問題がある。
【0005】
本開示の目的の一つは、給湯器用の中和器に関し、簡易な構造で円滑にドレンを流しやすく、中和を効率的に行いやすい技術を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本開示の一つである給湯器用の中和器は、
ドレンを排出する排出口を備えた底壁部と、前記底壁部に連結される周壁部と、を備えるとともに、前記周壁部の内側に中和剤の収容部を構成するケース本体部と、
前記ドレンを導入する導入口を備え、前記収容部を上方から覆うように前記ケース本体部の上端側に連結される蓋部と、
前記ケース本体部の内部に設けられ、前記収容部内の空間を仕切る仕切部と、
を有し、
前記周壁部は、第1方向一方側から他方側に延びるとともに前記底壁部から立ち上がる第1起立壁及び第2起立壁と、前記底壁部から立ち上がる第3起立壁及び第4起立壁と、を備え、
前記第1起立壁と前記第2起立壁とが前記第1方向と直交する第2方向において互いに対向し、
前記第3起立壁及び前記第4起立壁が前記第1起立壁及び前記第2起立壁の前記第2方向両側にそれぞれ連結され、
前記ケース本体部は、前記第1方向の幅が前記第2方向の幅よりも大きい偏平形状をなし、
前記ケース本体部内に前記ドレンの流路が構成された給湯器用の中和器であって、
前記仕切部は、前記第1起立壁及び前記第2起立壁の各々から離間して配置されるとともに前記第1方向一方側から他方側に延びる第1仕切壁を備え、
前記流路は、前記第1仕切壁と前記第1起立壁と前記底壁部の第1部分とによって前記ドレンを前記第1方向一方側から他方側に導く第1流路と、前記第1仕切壁と前記第2起立壁と前記底壁部の第2部分とによって前記ドレンを前記第1方向他方側から一方側に導く第2流路と、前記第1仕切壁の前記第1方向他方側の端部寄りに設けられるとともに前記ドレンを前記第2方向一方側から他方側に導く誘導路と、を有し、
前記第2流路における前記第1方向一端寄りの前記第2部分に前記排出口が設けられ、
前記蓋部における前記第1方向一方側の端部寄りに前記導入口が設けられ、
更に、前記導入口から入り込んだ前記ドレンを前記第1流路内の前記第1方向一端側の領域に案内する案内部が設けられ、
前記案内部によって前記第1方向一端側の領域に案内した前記ドレンを、前記第1流路によって前記第1方向他方側に流し、前記誘導路によって前記第2流路側に流し、前記第2流路によって前記第1方向一方側に流し、前記排出口から排出する。
【発明の効果】
【0007】
本開示に係る技術によれば、簡易な構造で円滑にドレンを流しやすく、中和を効率的に行いやすい。
【図面の簡単な説明】
【0008】
【
図1】
図1は、第1実施形態に係る給湯器用の中和器を備えた給湯器を例示する給湯回路図である。
【
図2】
図2は、
図1の給湯器における筐体の一部や中和器等を例示する斜視図である。
【
図3】
図3は、第1実施形態に係る給湯器用の中和器を斜め前方側且つ上方側から見た斜視図である
【
図4】
図4は、
図3の中和器を斜め後方側且つ上方側から見た斜視図である。
【
図5】
図5は、
図3の中和器を斜め前方側且つ下方側から見た斜視図である
【
図8】
図8は、
図3の中和器のケース本体部側の構造について、ケース本体部の上端部付近(
図7のA―A位置)において上下方向と直交する方向に切断した切断構造を斜め前方側且つ上方側から見た状態を示す断面斜視図である。
【
図9】
図9は、
図3の中和器のケース本体部側の構造の平面図である。
【
図10】
図10は、
図3の給湯器を水位検知部付近で、縦方向(左右方向と直交する平面方向)に切断した断面構造を斜め前方側且つ上方側から見た状態を概略的に示す断面斜視図である。
【
図11】
図11は、
図3の給湯器を導入口付近で縦方向(左右方向と直交する平面方向)に切断した断面構造を斜め前方側且つ上方側から見た状態を概略的に示す断面斜視図である。
【
図12】
図12は、各電極における固定部材の頭部の下端付近で上下方向と直交する方向に切断した断面を概略的に示す断面概略図である。
【
図13】
図13は、
図9の構造に対してフィルタ板を配置した状態を示す平面図である。
【発明を実施するための形態】
【0009】
以下の〔1〕~〔4〕の各々は、本開示に含まれる特徴的技術の一例である。
【0010】
〔1〕ドレンを排出する排出口を備えた底壁部と、前記底壁部に連結される周壁部と、を備えるとともに、前記周壁部の内側に中和剤の収容部を構成するケース本体部と、
前記ドレンを導入する導入口を備え、前記収容部を上方から覆うように前記ケース本体部の上端側に連結される蓋部と、
前記ケース本体部の内部に設けられ、前記収容部内の空間を仕切る仕切部と、
を有し、
前記周壁部は、第1方向一方側から他方側に延びるとともに前記底壁部から立ち上がる第1起立壁及び第2起立壁と、前記底壁部から立ち上がる第3起立壁及び第4起立壁と、を備え、
前記第1起立壁と前記第2起立壁とが前記第1方向と直交する第2方向において互いに対向し、
前記第3起立壁及び前記第4起立壁が前記第1起立壁及び前記第2起立壁の前記第2方向両側にそれぞれ連結され、
前記ケース本体部は、前記第1方向の幅が前記第2方向の幅よりも大きい偏平形状をなし、
前記ケース本体部内に前記ドレンの流路が構成された給湯器用の中和器であって、
前記仕切部は、前記第1起立壁及び前記第2起立壁の各々から離間して配置されるとともに前記第1方向一方側から他方側に延びる第1仕切壁を備え、
前記流路は、前記第1仕切壁と前記第1起立壁と前記底壁部の第1部分とによって前記ドレンを前記第1方向一方側から他方側に導く第1流路と、前記第1仕切壁と前記第2起立壁と前記底壁部の第2部分とによって前記ドレンを前記第1方向他方側から一方側に導く第2流路と、前記第1仕切壁の前記第1方向他方側の端部寄りに設けられるとともに前記ドレンを前記第2方向一方側から他方側に導く誘導路と、を有し、
前記第2流路における前記第1方向一端寄りの前記第2部分に前記排出口が設けられ、
前記蓋部における前記第1方向一方側の端部寄りに前記導入口が設けられ、
更に、前記導入口から入り込んだ前記ドレンを前記第1流路内の前記第1方向一端側の領域に案内する案内部が設けられ、
前記案内部によって前記第1方向一端側の領域に案内した前記ドレンを、前記第1流路によって前記第1方向他方側に流し、前記誘導路によって前記第2流路側に流し、前記第2流路によって前記第1方向一方側に流し、前記排出口から排出する
給湯器用の中和器。
【0011】
上記〔1〕の給湯器用の中和器では、導入口から入り込んで案内部によって第1方向一端側の領域に案内されたドレンは、第1流路内を第1方向一方側から他方側に流れた後、誘導路を介して折り返され、第2流路内を第1方向他方側から一方側に流れる。そして、第2流路における第1方向一端寄りの第2部分に設けられた排出口から排出される。このように、上記中和器は、ドレンと中和剤の接触時間を確保しやすく、ドレンを効率的に中和しやすい流路を、簡易な構造で実現できる。
【0012】
〔2〕前記第1仕切壁の前記第1方向一方側の端部と前記第2起立壁とを連結する第2仕切壁を有し、
前記案内部は、前記第2仕切壁と前記第3起立壁と前記底壁部の第3部分とによって構成される第3流路を備え、
前記第3流路は、前記導入口の下方に配置され、前記導入口から流れ落ちた前記ドレンを前記第1流路の前記第1方向一端側の領域に案内し、
前記蓋部において前記第1方向一方側且つ前記導入口よりも前記第2方向一方側の所定位置には、当該所定位置の下方の水位を検出する水位検知部が設けられている
〔1〕に記載の給湯器用の中和器。
【0013】
上記〔2〕の給湯器用の中和器は、導入口と水位検知部とを第1方向一方側に寄せて配置しつつ、導入口と水位検知部とを第2方向にずらして設けることができる。このような構成であれば、導入口に取り付けられる管(例えばドレンホース)と水位検知部との干渉を抑えやすい。
【0014】
〔3〕前記誘導路又は前記第2流路において、ドレンを排出するための第2排出口が設けられている
〔1〕又は〔2〕に記載の給湯器用の中和器。
【0015】
上記〔3〕の給湯器用の中和器は、例えば、凍結を予防するためにドレンを抜き出す際にある程度中和が進んだドレンを排出することができる。途中でドレン抜きを行わない場合には、第2排出口からの排出経路を閉じるように開閉栓を設けておけば、支障なく使用を継続することができる。
【0016】
<第1実施形態>
以下の説明は、第1実施形態に関する。
1-1.給湯器1の基本構成
図1は、給湯器1の概略回路図である。
図1に例示される給湯器1は、潜熱回収型の給湯器であり、浴槽への給湯や追い炊き機能を備えたふろ給湯器である。給湯器1は、筐体1A(
図2)内に収容される内胴2内において給湯燃焼室4と風呂燃焼室5とが設けられ、給湯燃焼室4と風呂燃焼室5とが仕切部材3によって仕切られた構成をなす。なお、
図2では、筐体1Aの前面カバーが省略して示され、筐体1A内の大部分の部品が省略して示されている。筐体1A(
図2)内において、
図1に示される各燃焼室4,5の下部には、複数のバーナからなる給湯バーナ6,6・・と風呂バーナ7とが設けられている。各燃焼室4,5には、点火プラグ8とフレームロッド9とがそれぞれ設けられている。内胴2の下部には、各バーナ6,7へ燃焼用空気を供給する燃焼ファン10が設けられている。給湯燃焼室4内の上部には、給湯バーナ6の燃焼排気が通過する給湯一次熱交換器11と給湯二次熱交換器12とが設けられている。風呂燃焼室5の上部には、風呂バーナ7の燃焼排気が通過する風呂一次熱交換器13と風呂二次熱交換器14とが設けられる。各二次熱交換器12,14は、内胴2の上部に設けられた排気フード15内に収容されている。排気フード15には、各二次熱交換器12,14を通過した燃焼排気を排出する排気口16が形成されている。
【0017】
図1のように、給湯器1には、外部からのガス配管が接続されるガス管17が設けられている。各給湯バーナ6と風呂バーナ7とには、ガス管17から分岐するガス分岐管18,18・・がそれぞれ接続されると共に、各ガス分岐管18には、ガス流路を開閉するガス電磁弁19がそれぞれ設けられている。分岐前のガス管17には、上流側から元ガス電磁弁20、ガス比例弁21がそれぞれ設けられている。
【0018】
図1に示される給湯二次熱交換器12の吸熱管の入口には、給水管22が接続される。給水管22には、上流側から、水抜き栓を備えたストレーナ23と、給水管22を流れる水量を検出する給湯水量センサ24と、入水温度を検出する給湯入水サーミスタ25と、水量制御モータ26とが設けられている。吸熱管の出口は、給湯一次熱交換器11の伝熱管の入口に接続され、伝熱管の出口には、筐体底面の湯出口に接続される出湯管27が接続される。出湯管27には、給湯一次熱交換器11からの出口温度を検出する給湯熱交換器サーミスタ28が設けられ、その下流側で器具からの出湯温度を検出する給湯出湯サーミスタ29とが設けられる。出湯管27における給湯出湯サーミスタ29の上流側と、給水管22における水量制御モータ26の下流側との間には、給湯一次、二次熱交換器11,12をバイパスするバイパス管30が接続され、バイパス管30には、バイパス流量を制御する水分配弁31が設けられている。筐体1A(
図2)内には、
図1のように、給水管22からの水が給湯二次熱交換器12、給湯一次熱交換器11の順に通過して給湯バーナ6の燃焼排気と熱交換して加熱された後、出湯管27から出湯されるように給湯回路Aが形成される。
【0019】
風呂二次熱交換器14の吸熱管の入口には、戻り管35が接続される。風呂戻り口は、外部戻り管36を介して浴槽37と接続される。また、戻り管35の下流側にはポンプ38が設けられ、ポンプ38の上流側には、風呂戻り温度を検出する風呂戻りサーミスタ39が設けられて、ポンプ38の下流側には、風呂水流スイッチ40と水位センサ41とが設けられる。風呂二次熱交換器14の吸熱管の出口は、風呂一次熱交換器13の伝熱管の入口に接続され、伝熱管の出口には往き管42が接続される。風呂戻り口は、外部往き管43を介して浴槽37と接続される。往き管42には、風呂往き温度を検出する風呂往きサーミスタ44が設けられている。筐体1A(
図2)内には、
図1のように、ポンプ38の運転によって浴槽37の湯水が戻り管35から風呂二次熱交換器14、風呂一次熱交換器13の順に通過して風呂バーナ7の燃焼排気と熱交換して加熱された後、往き管42から浴槽37に戻るように風呂回路B(循環回路)が形成される。
【0020】
出湯管27におけるバイパス管30より下流側と、戻り管35におけるポンプ38よりも上流側との間には、落とし込み管45が接続される。落とし込み管45には、落とし込み水電磁弁46及び風呂水量センサ47がそれぞれ設けられている。風呂水量センサ47の上流側と下流側とには、2つの逆止弁48,48がそれぞれ設けられ、上流側の逆止弁48と風呂水量センサ47との間には、縁切弁49が接続されている。縁切弁49は、筐体1A(
図2)の底面に設けられたオーバーフロー口に接続される排水管50と、給水管22におけるストレーナ23の下流側と接続された導入管51とが接続されて、戻り管35からの逆流で高まった落とし込み管45内の湯水の内圧が導入管51から加わる背圧より高くなると、落とし込み管45から逆流した湯水を、排水管50を介してオーバーフロー口へ排出するものである。
【0021】
図2のように、筐体1A内には、
図1に示される給湯二次熱交換器12及び風呂二次熱交換器14で生じたドレンを中和するための中和器55が設けられている。中和器55は、ドレン導入管57に接続され、ドレン導入管57によって案内されたドレンを中和する。ドレン導入管57は、排気フード15の底面に設けられたドレン受け56から流れ出たドレンを中和器55に誘導する。中和器55の詳細は後述される。
【0022】
コントローラ65は、各種情報処理や各種制御を行う制御装置である。コントローラ65は、例えば、各サーミスタやセンサ等の検出信号を受けて各弁等を動作させ、出湯温制御や浴槽37への湯張り制御等を行う。給湯リモコン66、風呂リモコン67は、給湯器本体(給湯器1から給湯リモコン66及び風呂リモコン67を除いた部分)を遠隔操作するための操作装置である。
【0023】
1-2.中和器55の詳細
中和器55は、
図3~
図5のような形状をなす。中和器55は、ケース本体部100と蓋部150とを備え、全体として上下に長い偏平の箱状形態をなす。
図6のように中和器55を平面視した形状は前後に長い長手状をなす。
図7のように、中和器55を側面視した形状は上下に長い長手状をなす。中和器55は、内部に中和剤が収容される器具であり、中和剤が収容される収容空間にドレンを流して中和を促進し、この収容空間を通ったドレンを排出口106から排出するように機能する。
【0024】
図8、
図9等のように、ケース本体部100は、ドレンを排出する排出口106(
図9)を備えた底壁部108と、底壁部108に連結される周壁部110とを備え、上下方向を長手方向とする有底の箱状形態をなす。
図9のように、ケース本体部100を平面視した形状は、前後に長い長手状であり、具体的には矩形形状をなす。
図7のようにケース本体部100を側面視した形状は、上下に長い長手状であり、具体的には矩形形状をなす。
図8、
図9のように、周壁部110は、第1方向一方側から他方側に延びるとともに底壁部108から立ち上がる第1起立壁111及び第2起立壁112と、底壁部108から立ち上がる第3起立壁113及び第4起立壁114と、を備える。ケース本体部100は、周壁部110の内側に中和剤を収容する収容部100Aを構成する。本明細書では、上下方向と直交する所定方向が第1方向である。そして、上下方向と第1方向とに直交する方向が第2方向である。
図3~
図9の例では、平坦に構成される第1起立壁111の長手方向が上下方向であり、第1起立壁111の短手方向が第1方向である。以下の説明では、第1方向は前後方向とも称される。第2方向は、左右方向とも称される。前後方向一方側は前方側とも称され、前後方向他方側は後方側とも称される。左右方向一方側は右方側とも称され、左右方向他方側は左方側とも称される。
【0025】
第1起立壁111と第2起立壁112とが第1方向(前後方向)と直交する第2方向(左右方向)において互いに対向する。第3起立壁113及び第4起立壁114は、第1起立壁111及び第2起立壁112の第1方向両側(前後両側)にそれぞれ連結される。本実施形態では、第1方向(前後方向)において第3起立壁113側が前側であり、第4起立壁114側が後ろ側である。第1起立壁111と第2起立壁112は、平坦な板状の構成をなし、いずれも板厚方向が左右方向とされる。第1起立壁111と第2起立壁112の各々は、上下方向の長さが前後方向の長さよりも大きい長手状をなしており、
図7のように側面視矩形状をなしている。第1起立壁111と第2起立壁112の各々は、第1方向に沿って延びるように配置される。第1起立壁111と第2起立壁112の各々の表面は、大部分の領域が左右方向と直交する平坦面として構成されている。第1起立壁111と第2起立壁112の各々の裏面(内面)も、大部分の領域が左右方向と直交する平坦面として構成されている。第3起立壁113と第4起立壁114の各々は、上下方向の長さが左右方向の長さよりも大きい長手状をなしている。ケース本体部100の内部空間は、第1起立壁111及び第2起立壁112によって左右両側から覆われ、第3起立壁113及び第4起立壁114によって前後両側から覆われ、底壁部108によって下側から覆われる。このような構成により、ケース本体部100は、上端部に開口部100Bが設けられた開放形状且つ箱状をなす。ケース本体部100は、第1方向の幅(前後幅)が第2方向の幅(左右幅)よりも大きい偏平形状をなしている。
【0026】
図8、
図9のように、ケース本体部100の内部には、収容部100A内の空間を仕切る仕切部130が設けられる。仕切部130は、第1仕切壁131、第2仕切壁132、第3仕切壁133、第4仕切壁134、第5仕切壁135を備える。
【0027】
図9のように、第1仕切壁131は、底壁部108から上方に立ち上がるように構成され、収容部100A内の空間を第2方向一方側の空間(右方側空間)と他方側の空間(左方側空間)とに仕切るように配置される。第1仕切壁131は、一方の板面が第2方向一方側(右側)を向き、他方の板面が第2方向他方側(左側)を向く板状形態をなし、具体的には、第2方向を板厚方向とする板状の構成をなす。第1仕切壁131は、第1起立壁111及び第2起立壁112の各々から離間して配置されるとともに第1方向一方側から他方側に延びるように配置され、排出室102の前端部の第2仕切壁132から第4起立壁114付近まで前後方向に沿って続く。第1仕切壁131における第1流路141側の板面の大部分及び第2流路142側の板面の大部分はいずれも平坦面とされており、これらの平坦面は、第2方向と直交する平坦面となっている。第1仕切壁131は、第1流路141内の空間と,第2流路142内の空間とを左右に仕切るように配置される。例えば、第1仕切壁131は、第2導入室101B内の空間である第2空間と排出室102内の空間である第3空間とを左右に仕切るように機能する。
【0028】
図9のように、第2仕切壁132は、底壁部108から上方に立ち上がるように構成され、第3起立壁113及び第4起立壁114から第1方向(前後方向)に離間して配置され、第2起立壁112、第1仕切壁131、底壁部108に連結される壁部である。第2仕切壁132の第2方向一方側の端部(右端部)は、第1仕切壁131における第1方向一方側の端部寄りの部位(具体的には前端部)に連結される。第2仕切壁132の第2方向他方側の端部(左端部)は、第2起立壁112に連結される。第2仕切壁132は、第2起立壁112の内壁を起点として第2方向一方側(右方側)に向かって延び、ケース本体部100の第2方向中央部付近で第1仕切壁131に連結される。第2仕切壁132は、導入室101及び排出室102のそれぞれの一部をなし、導入室101内の空間と排出室102内の空間とを仕切るように機能する。第2仕切壁132は、一方の板面が第1方向一方側(前方側)を向き、他方の板面が第1方向他方側(後方側)を向く板状形態をなし、具体的には、第1方向を板厚方向とする板状の構成をなす。第2仕切壁132は、第1導入室101A内の空間である第1空間と排出室102内の空間である第3空間とを前後に仕切るように機能する。第1仕切壁131と第2仕切壁132とによって平面視L字状の仕切壁が構成される。
【0029】
第3仕切壁133は、底壁部108から上方に立ち上がるように構成され、第3起立壁113及び第4起立壁114から第1方向に離間して配置される壁部である。第3仕切壁133は、第1起立壁111の内壁を起点として第2方向他方側に向かって延び、第3仕切壁133の第2方向他方側の端部(左端部)が第2仕切壁132よりも第1方向他方側(後方側)の位置且つケース本体部100の第2方向中央部付近で第1仕切壁131に連結される。第3仕切壁133は、導入室101の一部をなし、導入室101内の空間と案内流路145内の空間とを仕切るように機能する。第3仕切壁133は、一方の板面が第1方向一方側(前方側)を向き、他方の板面が第1方向他方側(後方側)を向く板状形態をなし、具体的には、第1方向を板厚方向とする板状の構成をなす。
【0030】
第4仕切壁134は、底壁部108から上方に立ち上がるように構成され、第3起立壁113及び第4起立壁114から第1方向に離間して配置される壁部であり、第2仕切壁132から第1方向他方側に離間して配置され、第2仕切壁132と第1方向に向かい合って配置される壁部である。第4仕切壁134は、第2起立壁112の内壁を起点として第2方向一方側(右方側)に向かって延び、第4仕切壁134の第2方向一方側の端部(右端部)が第2仕切壁132よりも第1方向他方側(後方側)の位置で第1仕切壁131に連結される。第4仕切壁134は、排出室102の一部をなし、排出室102内の空間と案内流路145内の空間とを仕切るように機能する。第4仕切壁134は、一方の板面が第1方向一方側(前方側)を向き、他方の板面が第1方向他方側(後方側)を向く板状形態をなし、具体的には、第1方向を板厚方向とする板状の構成をなす。
【0031】
第5仕切壁135は、第3起立壁113及び第4起立壁114から第1方向に離間して配置される壁部であり、第4仕切壁134から第1方向他方側(後方側)に離間して配置され、第4仕切壁134と第1方向に向かい合って配置される壁部である。第5仕切壁135は、第2起立壁112の内壁を起点として第2方向一方側(右方側)に向かって延び、第5仕切壁135の第2方向一方側の端部(右端部)が第4仕切壁134よりも第1方向他方側(後方側)の位置で第1仕切壁131に連結される。
【0032】
図8、
図9のように、ケース本体部100内には、ドレンを流す流路140が構成されている。流路140は、第1流路141,第2流路142、第3流路143、誘導路144を備える。本実施形態では、第3流路143は、左右方向他方側から一方側に向かう左右方向の流路として構成され、第3流路143に入り込んだドレンが、第3流路143から第1流路141の上流側(前端側)に送り込まれる。第1流路141の上流側に入り込んだドレンは第1流路141を通って第1方向他方側(後方側)に向かって流れ、誘導路144を通って第2方向他方側(左方側)に流れる。誘導路144を通って第2方向他方側に流れたドレンは、第2流路142を通って第1方向一方側(前方側)に流れ、最終的に排出室102に案内されて排出口106から排出されるようになっている。
【0033】
図8、
図9のように、第3流路143は、第3起立壁113と第2仕切壁132とによって第1方向(前後方向)を規制し且つ底壁部108の第3部分108Cによって下方側を規制し、第2起立壁112によって第2方向他方側(左方側)を規制し、ドレンを第2方向一方側(右方側)に導く流路である。第3流路143は、第2方向に沿って延びる直線的な流路である。第3流路143の右端部は斜め後方に導くように流路が構成され、第1流路141の前端部に連通する。第3流路143は、導入口160の下方に配置され、導入口160から流れ落ちたドレンを第1流路141の第1方向一端側の領域(前端側の領域である第2導入室101B)に案内する。
【0034】
図8、
図9のように、第1流路141は、左右に向かい合う第1仕切壁131と第1起立壁111とによって第2方向(左右方向)両側へのドレンの移動を規制し且つ底壁部108の第1部分108Aによって下方側へのドレンの移動を規制し、ドレンを第1方向一方側(前方側)から他方側(後方側)に導く流路である。第1流路141は、第1方向に沿って延びる直線的な流路である。第1流路141は、導入室101側の流路(第3仕切壁133よりも前側の流路)と案内流路145側の流路(第3仕切壁133よりも後ろ側の流路)とを備え、これらの流路が第3仕切壁133によって前後に仕切られる。
【0035】
図8、
図9のように、誘導路144は、第1仕切壁131の第1方向他方側(後方側)の端部寄りに設けられるとともにドレンを第2方向一方側(右方側)から他方側(左方側)に導く流路である。誘導路144は、第1仕切壁131の第1方向他方側の端部(後端部)と、第1起立壁111における第1方向他方側の端部寄りの部分(具体的には、第1起立壁111における第1仕切壁131の後端部よりも後方位置の部分)と、第4起立壁114の全体と、第2起立壁112における第1方向他方側の端部寄りの部分(具体的には、第2起立壁112における第1仕切壁131の後端部よりも後方位置の部分)と、底壁部108における第1方向他方側の端部寄りの部分(具体的には、底壁部108における第1仕切壁131の後端部よりも後方位置の部分)とよって構成される。
【0036】
図8、
図9のように、第2流路142は、左右に向かい合う第1仕切壁131と第2起立壁112とによって第2方向(左右方向)両側へのドレンの移動を規制し且つ底壁部108の第2部分108Bによって下方側へのドレンの移動を規制し、ドレンを第1方向他方側(後方側)から一方側(前方側)に導く流路である。第2流路142は第1方向に沿って延びる直線的な流路である。第2流路142は、案内流路145側の流路(第5仕切壁135よりも後ろ側の流路)と、中間室103内の流路と、排出室102内の流路とを備え、案内流路145側の流路と中間室103内の流路とが第5仕切壁135によって前後に仕切られ、中間室103内の流路と排出室102内の流路とが第4仕切壁134によって前後に仕切られている。底壁部108の第2部分102B(第2流路142における第1方向一端寄り(前端寄り)の部分であって、排出室102の底部分)には、排出口106が設けられる。
【0037】
図8、
図9のように、導入室101は、導入口160から導入されたドレンが送り込まれるようにケース本体部100の内部に配置される個別収容部であり、上端部が平面視L字状に開口した形態をなす。導入室101は、収容部100Aにおける前端部寄りに設けられる。導入室101は、第1導入室101Aと第2導入室101Bとを備える。第1導入室101Aは、収容部100Aの前端部を構成するとともに左方側から右方側に延びるように構成される。第1導入室101Aは、第3起立壁113、第2仕切壁132、第2起立壁112における前端部寄りの一部(具体的には、第2仕切壁132よりも前側の部分)、及び底壁部108の前端部寄りの一部(具体的には、第1仕切壁131の前端よりも前側の部分)によって構成される。第1導入室101Aは、第3流路143として構成される。第2導入室101Bは、第1導入室101Aに連通するとともに収容部100Aの第2方向一端部を構成し且つ第1方向他方側(後方側)に向かって延びるように構成される。第2導入室101Bは、第1仕切壁131における前端寄りの部分(具体的には、第3仕切壁133よりも前側の部分)、第1起立壁111における前端寄りの部分(具体的には、第3仕切壁133よりも前側の部分)、及び底壁部108における前端寄り且つ右端寄りの部分(具体的には、第1仕切壁131の前端よりも後方側、第3仕切壁133よりも前方側、第1仕切壁131よりも右方側の部分)によって構成される。導入室101は、平面視L字状の収容空間を構成する。導入室101の上端部の開口領域は、後述のフィルタ板95(
図13)によって部分的に塞がれ、フィルタ板95の上方側から流下又は落下してきたドレンがフィルタ板95に形成された孔部を通って導入室101内に入り込むようになっている。
【0038】
導入室101内の空間と案内流路145内の空間とを仕切る第3仕切壁133において、下端部付近には、下側連通口133Aが開口して設けられている。
図8、
図10のように、下側連通口133Aは、第3仕切壁133の下端側に設けられた切り欠き部と底壁部108の一部とによって構成される。下側連通口133Aは、前後方向に貫通した貫通孔であり、導入室101内の空間と案内流路145内の空間とを連通させる。導入室101内のドレンは、下側連通口133Aを通って下側から案内流路145へと流れる。下側連通口133Aの上端よりも上側は、第3仕切壁133によって導入室101と案内流路145との間のドレンの移動が遮断される。導入室101内に中和剤が充填され、導入室101から案内流路145へドレンが移動するためには、底壁部108付近の下側連通口133Aを通る必要がある。従って、フィルタ板95を通過したドレンが下側連通口133Aに至る過程で、導入室101において上下方向の広い範囲で中和剤に接触することになる。
【0039】
図8、
図9のように、案内流路145は、導入室101から後方側に流れたドレンを案内する個別収容部である。案内流路145は、第2導入室101Bの第1方向他方側(後方側)且つ収容部100Aにおける第2方向一方側(右方側)において第1方向他方側(後方側)に向かって延びるとともに第2導入室101Bから流入するドレンを第1方向他方側に導く一方側流路145Aと、収容部100Aにおける第1方向他方側(後端側)に設けられるとともに一方側流路145Aを流れたドレンを第2方向他方側(左方側)に導く折り返し流路である誘導路144と、収容部100Aにおける第2方向他方側(左方側)において第1方向一方側(前方側)に向かって延びるとともに折り返し流路(誘導路144)から流入するドレンを第1方向一方側(前方側)に導く他方側流路145Bと、を備える。第1流路141のうちの第3仕切壁133よりも後方側の部分が一方側流路145Aである。第2流路142のうちの排出室102を除く部分(第4仕切壁134よりも後方側の部分)が他方側流路145Bである。
【0040】
他方側流路145Bは、第5仕切壁135によって中間室103と中間室103以外の部分(中間室103よりも後方側の部分)とに仕切られる。第5仕切壁135において、下端部付近には、下側連通口135Aが開口して設けられている。下側連通口135Aは、第5仕切壁135の下端側に設けられた切り欠き部と底壁部108の一部とによって構成される。下側連通口135Aは、前後方向に貫通した貫通孔であり、中間室103内の空間と他方側流路145Bにおける中間室103以外の空間(中間室103よりも後方側の空間)とを連通させる。他方側流路145Bでは、下側連通口135Aを通って中間室103の後方側の空間から中間室103へとドレンが流れる。下側連通口135Aの上端よりも上側は、第5仕切壁135によって他方側流路145Bと中間室103との間のドレンの移動が遮断される。
【0041】
排出室102は、案内流路145の下流端に位置する中間室103から更に後方側に流れたドレンを中和器55外に排出するための個別収容部であり、排出口106を備える流路である。排出室102は、上述の他方側流路145Bおよび第1導入室101Aにより第1方向の両側(前後方向両側)から挟まれた位置で、且つ第2導入室101Bの第2方向他方側(左方側)に配置される。排出室102は、第2起立壁112の一部(具体的には、第2仕切壁132よりも後方側且つ第4仕切壁134よりも前方側の部分)、第2仕切壁132、第4仕切壁134、第1仕切壁131における前端部寄りの一部(具体的には、第2仕切壁132よりも後方側且つ第4仕切壁134よりも前方側の部分)、及び底壁部108の前端部寄りの一部(具体的には、第2仕切壁132よりも後方側、第4仕切壁134よりも前方側、第1仕切壁131よりも左方側の部分)によって上端部が開口して構成され、上端部の開口が蓋板151によって閉塞して構成される。
【0042】
排出室102内の空間は、左側、右側、前側へのドレンの移動が遮断される。排出室102内の空間と案内流路145内の空間(具体的には、中間室103内の空間)とを仕切る第4仕切壁134において、上端部付近には、上側連通口134Aが開口して設けられている。上側連通口134Aの下端部より下側は、第4仕切壁134によって中間室103と排出室102との間のドレンの移動が遮断される。
図8、
図11のように、上側連通口134Aは、第4仕切壁134の上端側に設けられた切り欠き部によって構成される。上側連通口134Aは、前後方向に貫通した貫通孔を構成し、中間室103内の空間と排出室102の空間とを連通させる。中間室103内のドレンは、上側連通口134Aを通って上側から排出室102へと流れる。第4仕切壁134は、オーバーフロー壁となっており、中間室103のドレンの水位が上側連通口134Aの下端部を超える程度に一定以上上昇した場合に上側連通口134Aを通って中間室103から排出室102へとドレンが流れる。即ち、案内流路145の水位が一定以上上昇するまでは、案内流路145においてドレンが中和剤と接触して中和が促進され、案内流路145の水位が一定以上上昇すると中間室103から排出室102へとドレンが流れて排出口106から排出されるようになっている。
【0043】
排出室102において底壁部108には、排出口106が設けられる。排出口106には、ドレン排出管58(
図1)が接続される。排出口106は、中和器55内を流れて排出室102に達したドレンを排出する出口であり、底壁部108に設けられた貫通孔部として構成される。排出室102内のドレンは、排出口106を通って流れ落ちるように外部に排出される。排出口106を通って排出されたドレンは、ドレン排出管58を流れて給湯器1の外部に排出される。
【0044】
本実施形態では、誘導路144において、ドレンを排出するための第2排出口107が設けられる。第2排出口107は、底壁部108において誘導路144を構成する部分に設けられ、上下に貫通した貫通孔を有している。なお、第2排出口107を介しての排出経路を閉じる構成で開閉栓90(
図1)が設けられている。
図1では、開閉栓90が概念的に示される。開閉栓90は、第2排出口107からの排出経路を開閉する部品である。開閉栓90が上記排出経路を閉じた状態では第2排出口107からの排出が止められ、上記排出経路を開放するように開閉栓90(
図1)が取り外されると、第2排出口107から流れ落ちるようにドレンが排出される。開閉栓90は、第2排出口107から流れ出る経路を開放及び遮断し得る栓であればよく、第2排出口107の孔を塞いだり開放したりする栓であってもよく、第2排出口107に接続された管を閉塞したり開放したりする栓であってもよい。
【0045】
図6、
図10、
図11のように、蓋部150は、ケース本体部100の上端部に設けられた開口部100Bを閉塞する蓋として機能する。蓋部150は、平面視矩形形状をなす。蓋部150は、前後方向を長手方向とし、左右方向を短手方向とする長手状に構成される。蓋部150は、ケース本体部100の収容部100Aを上方から覆うようにケース本体部100の上端側に連結され、開口部100Bを閉塞する。
【0046】
図6,
図10、
図11のように、蓋部150は、中和器55の外部からドレンを導入する導入口160を備える。蓋部150において、第1方向一方側の端部寄り(前端部寄り)に導入口160が設けられる。導入口160は、ドレン導入管57が接続される部位である。導入口160は、ドレン導入管57の端部の開口に差し込まれる構成で接続される。導入口160は、上方側に突出し、上端側に開口部が設けられる管部162を備える。管部162は、上位置となるにつれて第1方向他方側(後方側)となるように上下方向に対して傾斜して設けられる。なお、
図10、
図11の例では、管部162にドレン導入管57が接続された状態でこれらを固定する固定部材158も設けられている。管部162の上端の開口部は、上側且つ後方側に向いた構成で配置される。管部162の下端部の開口部は、下側且つ前方側に向いた構成で配置される。管部162の下端部の開口部は、第1導入室101Aの上位置において第1導入室101Aと上下に重なって配置される。
【0047】
図6、
図10、
図12のように、蓋部150において第1方向一方側(前端側)且つ導入口160よりも第2方向一方側(右方側)の所定位置には、当該所定位置の下方の水位を検出する水位検知部59が設けられている。水位検知部59は、複数の電極181,182を備える。複数の電極181,182の各々は、互いに離間して配置され、蓋部150に固定される。複数の電極181,182は、蓋部150における第1方向一端部寄り且つ導入口160よりも第2方向一方側(右方側)において導入室101と上下に重なり、第1方向に沿って並んで配置される。
図10のように、複数の電極181,182の各々は、蓋部150に設けられた孔部に差し込まれ、各々が導入室101の上方の案内空間内に露出して配置される。案内空間は、案内部104内の空間の一部であり、フィルタ板95の上方の空間である。具体的には、案内空間は、膨出部152内の空間であり、フィルタ板95の開口を介して導入室101内の空間と連通する空間である。
図12のように、電極181は、貫通孔を有する端子181Aとこの端子181Aを固定する固定部材181B(例えばねじ部材)とを備え、端子181Aの貫通孔に固定部材181Bが差し込まれた状態で互いに短絡し、蓋部150の孔部(固定部材181Bが挿入される孔部)に固定される。電極182は、貫通孔を有する端子182Aとこの端子を固定する固定部材182B(例えばねじ部材)とを備え、端子182Aの貫通孔に固定部材182Bが差し込まれた状態で互いに短絡し、蓋部150の孔部(固定部材182Bが挿入される孔部)に固定される。
【0048】
導入室101及び膨出部152の内部空間では、導入室101内に貯留されたドレンの上端がフィルタ板95よりも下であり、導入室101内に貯留されたドレンの水位がフィルタ板95の高さ以下であれば、導入室101内に貯留されたドレンは導入室101から溢れずに導入室101内に収まる。導入室101内に貯留されたドレンの上端がフィルタ板95よりも上となり、水位がフィルタ板95の高さを超えると、ドレンは導入室101から溢れてドレンの一部は膨出部152内の案内空間に存在することになる。複数の電極181,182は、導入室101内の空間及び上記案内空間においてドレンの水位が所定位置よりも高い位置まで上昇した場合(具体的には、ドレンが複数の電極181,182のいずれにも接触する位置まで水位が上昇した場合)には、第1の電気的状態(導通状態)となり、複数の電極181,182の間がドレンを介して導通する。従って、複数の電極181,182に電気的に接続された装置では、複数の電極181,182間が導通状態となったことを検出することで、ドレンの水位が複数の電極181,182の位置に達したことを検出することができる。一方、導入室101内の空間及び上記案内空間においてドレンの水位が所定位置よりも下であり、貯留されたドレンが複数の電極181,182の間で連続していない状態(例えば、貯留されたドレンが複数の電極181,182のいずれかに接触していない状態)で複数の電極181,182間が絶縁されている場合には、第2の電気的状態(非導通状態)となり、複数の電極181,182間で電流が流れない状態となる。従って、複数の電極181,182に電気的に接続された装置では、複数の電極181,182間が非導通状態となっていることを検出することで、ドレンの水位が複数の電極181,182の位置に達していないことを検出することができる。
【0049】
図6のように、複数の電極181,182のうち、第1方向一方側に配置された電極182の端子182Aは、固定部材182Bの頭部(端子182Aを覆う部分)に大部分が重なる「外縁が円形状の被固定部」を有し、この被固定部から延出部が第2方向他方側(左方側)及び第1方向他方側(後方側)に向かって延びる形態をなしている。第1方向(前後方向)において、端子182Aの被固定部の第1方向一方側の端部(前端)は、導入口160の第1方向他方側の端部(後端)に対して同位置又は第1方向一方側(前側)の位置となっている。そして、端子182Aの被固定部の第2方向他方側の端部(左端)は、導入口160の第2方向一方側の端部(右端)よりも、第2方向一方側(右側)となっている。蓋部150において固定部材182Bの頭部及び端子182Aの被固定部の周囲には、これらを部分的に囲む環状壁部が上方に突出した形態で設けられており、この環状壁部には部分的に切り欠き部が設けられている。端子182Aの延出部は、端子182Aの周囲の環状壁部に設けられた切り欠き部内を通って上記環状壁部の内側と外側とに跨っている。
図6の構成では、端子182Aの周囲の環状壁部に設けられた切り欠き部を通すように端子182Aの延出部を配置すると、端子182Aの延出部が、端子182Aの被固定部から第2方向他方側(左方側)及び第1方向他方側(後方側)に向かって延びるように位置決めされる。このような配置であるため、端子182Aをより前側に配置しても、端子182Aや端子182Aに接続される電線が、導入口160に接続されるドレン導入管57と干渉しにくい。
【0050】
図6のように、複数の電極181,182のうち、第1方向他方側に配置された電極181の端子181Aは、固定部材181Bの頭部(端子181Aを覆う部分)に大部分が重なる「外縁が円形状の被固定部」を有し、この被固定部から延出部が第2方向他方側(左方側)に向かって延びる形態をなしている。端子181Aの被固定部の第2方向他方側の端部(左端)は、導入口160の第2方向一方側の端部(右端)よりも、第2方向一方側(右側)となっている。蓋部150において固定部材181Bの頭部及び端子181Aの被固定部の周囲には、これらを部分的に囲む環状壁部が上方に突出した形態で設けられており、この環状壁部には部分的に切り欠き部が設けられている。端子181Aの延出部は、端子181Aの周囲の環状壁部に設けられた切り欠き部内を通って上記環状壁部の内側と外側とに跨っている。
図6の構成では、端子181Aの周囲の環状壁部に設けられた切り欠き部を通すように端子181Aの延出部を配置すると、端子181Aの延出部が、端子181Aの被固定部から第2方向他方側(左方側)に向かって延びるように位置決めされる。
【0051】
蓋部150は、案内流路や収容室を閉塞する板状の蓋板151と、蓋板151から上方に盛り上がるように膨出する膨出部152とを備える。蓋板151は、案内流路145及び排出室102の領域の上端の開口を閉塞する。
図10、
図11のように、膨出部152は、導入室101の上方において膨出するように設けられ、内部には、導入口160内の空間に連通する空間(ドレンを案内する案内空間)が構成される。膨出部152内を通るドレンは、直接的に案内流路145や排出室102には導かれず、導入室101に導かれる。膨出部152の内壁部と、上述の第3流路143は、案内部104として機能する。案内部104は、導入口160内に入り込んだドレンを第1流路141内の第1方向一端側の領域(具体的には、前端側の領域である第2導入室101B内)に案内する。案内部104を通るドレンは、膨出部152から直接的に第2導入室101Bに流れ込む場合もあれば、膨出部152から一旦第3流路143に流れ込んだ後、第2導入室101Bに流れ込む場合もある。中和器55では、案内部104によって第1流路141の第1方向一端側の領域(具体的には、第2導入室101Bの領域)に案内されたドレンを、第1流路141によって第1方向他方側(後方側)に流して誘導路144における第2方向一方側(右方側)の領域に送り込む。そして、誘導路144における第2方向一方側(右方側)の領域に送り込まれたドレンを、誘導路144によって第2方向他方側(左方側)である第2流路142側に流し、第2流路142における第1方向他方側(後方側)の領域に送り込む。そして、第2流路142における第1方向他方側(後方側)の領域に送り込まれたドレンを、第2流路142によって第1方向一方側(前方側)に流し、第2流路142の第1方向一方側(前方側)の端部付近に設けられた排出口106から排出するようになっている。
【0052】
中和器55では、導入室101内の一部の空間(具体的には、第1導入室101A内の空間であり第3流路143内の空間である第2空間)と導入口160とが上下に重なって配置される。具体的には、第1導入室101Aの底部(底壁部108の一部)の真上に導入口160の一部又は全部が配置される。一方、導入室101内の他の一部の空間(具体的には、第2導入室101B内の空間であり第1流路141内の空間である第1空間)と複数の電極181,182とが上下に重なって配置される。具体的には、第2導入室101Bの底部(底壁部108の他の一部)の真上に、複数の電極181,182の一部又は全部が配置される。
【0053】
中和器55では、ケース本体部100内の導入室101、案内流路145、及び排出室102において中和剤が充填されており、このように中和剤が充填された状態で蓋部150によって上端の開口部100Bが閉塞されている。
【0054】
1-3.中和器55によるドレンの中和及び排出作用の説明
給湯回路A或いは風呂回路Bが使用されて排気フード15内で発生したドレンは、ドレン受け56からドレン導入管57を通り、導入口160からケース本体部100内に流下する。
図10、
図13のように、導入口160の下方側の位置でケース本体部100と蓋部150との間には、複数のスリットを備えたフィルタ板95が設けられる。フィルタ板95を通ってケース本体部100内に落下したドレンは、導入室101に入り込み、導入室101の底面付近を通って案内流路145に流れ込む。案内流路145を流れたドレンは中間室103にも流れる。ケース本体部100内においてドレンの流入が進行すると、導入室101及び案内流路145内の空間で貯留されて略同等の水位となり、この空間内に収容された中和剤によって中和される。
【0055】
ケース本体部100内のドレンの水位が上がり、第4仕切壁134の上側連通口134Aに達すると、中和されたドレンが第4仕切壁134(オーバーフロー壁)を乗り越えて排出室102内の領域に落下する。このようにオーバーフローが生じると、排出室102の底部の排出口106からドレンが排出され、ドレン排出管58を介して器具外部へ排出される。
【0056】
第2排出口107は、ケース本体部100の底面から下方へ突出して構成されるとともに、ケース本体部100の内部と外部とを連通させる貫通孔を有しており、例えば、下方から上記貫通孔に対して開閉栓90(
図1参照)を差し込むことで閉塞することができる。開閉栓90は、第2排出口107からの排出経路を塞ぎうる栓であればよい。この場合、凍結予防のためにドレン抜きを行う際には、開閉栓90を第2排出口107から抜き取れば、ケース本体部100内に貯まったドレンを第2排出口107から排出することができる。このとき前述のように導入室101や案内流路145は下側連通口143A,143Bによって互いに連通しているため、1箇所の第2排出口107から各空間のドレンを排出することができる。
【0057】
1-4.効果の例
中和器55では、導入口160から入り込んで案内部104によって第1方向一端側の領域に案内されたドレンが、第1流路141内を第1方向一方側から他方側に流れた後、誘導路144を介して折り返され、第2流路142内を第1方向他方側から一方側に流れる。そして、第2流路142における第1方向一端(第1方向一方側の端部)寄りの第2部分108Bに設けられた排出口106から排出される。このように、中和器55は、ドレンと中和剤の接触時間を確保しやすく、ドレンを効率的に中和しやすい流路を、簡易な構造で実現できる。
【0058】
中和器55は、導入口160と水位検知部59とを第1方向一方側(前側)に寄せて配置しつつ、導入口160と水位検知部59とを第2方向(左右方向)にずらして設けることができる。このような構成であれば、導入口160に取り付けられる管(例えばドレンホース)と水位検知部59との干渉を抑えやすい。
【0059】
中和器55では、案内流路145において開閉可能な第2排出口107が設けられるため、例えば、凍結を予防するためにドレンを抜き出す際にある程度中和が進んだドレンを排出することができる。
【0060】
中和器55は、導入口160、導入室101、及び複数の電極181,182をいずれも長手方向一端部寄り(前端寄り)に設けることで、偏平構造のものにおいて配置の効率化を図ることができる。更に、導入口160と複数の電極181,182とが第2方向(左右方向)にずれて配置されるため、スペース的な制約が懸念される偏平構造のものにおいて導入口160付近と複数の電極181,182との干渉が抑えられ、導入口160付近の作業の容易化が図られやすい。
【0061】
中和器55では、導入口160を構成する管部162が、上位置となるにつれて第1方向他方側(後方側)となるように斜めに延びるため、管部162に対してホースなどの管を接続する作業を行う際に電極181,182付近が邪魔になりにくい。
【0062】
中和器55は、ドレンと中和剤の接触時間を確保しやすく、ドレンを効率的に中和しやすい流路を、簡易な構造で実現しつつ、導入口160と複数の電極181,182とを、いずれも導入室101上方に配置し、且つ効果的にずらして配置することができる。
【0063】
<他の実施形態>
本発明は、上記記述及び図面によって説明された実施形態に限定されるものではない。例えば、上述又は後述の実施形態の特徴は、矛盾しない範囲であらゆる組み合わせが可能である。また、上述又は後述の実施形態のいずれの特徴も、必須のものとして明示されていなければ省略することもできる。さらに、上述された実施形態は、次のように変更されてもよい。
【0064】
上述された実施形態では、給湯器1に風呂側回路が設けられているが、風呂側回路が設けられていなくてもよい。つまり、風呂側回路を有さない給湯器において、上述の中和器55が設けられていてもよい。
【0065】
上述された実施形態では、第2排出口107が誘導路144に設けられるが、排出口106(第1排出口)よりも上流側であれば、第1流路141に設けられていてもよく、第2流路142に設けられていてもよい。
【0066】
なお、今回開示された実施の形態は全ての点で例示であって制限的なものではないと考えられるべきである。本発明の範囲は、今回開示された実施の形態に限定されるものではなく、特許請求の範囲によって示された範囲内又は特許請求の範囲と均等の範囲内での全ての変更が含まれることが意図される。
【符号の説明】
【0067】
1 :給湯器
1A :筐体
55 :中和器
59 :水位検知部
100 :ケース本体部
100A :収容部
101 :導入室
101A :第1導入室
101B :第2導入室
102 :排出室
104 :案内部
106 :排出口
107 :第2排出口
108 :底壁部
110 :周壁部
111 :第1起立壁
112 :第2起立壁
113 :第3起立壁
114 :第4起立壁
130 :仕切部
131 :第1仕切壁
132 :第2仕切壁
140 :流路
141 :第1流路
142 :第2流路
144 :誘導路
145 :案内流路
150 :蓋部
160 :導入口
162 :管部
181 :電極
182 :電極