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  • 特開-ゴルフ用パター練習装置 図1
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024013755
(43)【公開日】2024-02-01
(54)【発明の名称】ゴルフ用パター練習装置
(51)【国際特許分類】
   A63B 69/36 20060101AFI20240125BHJP
   E01C 13/08 20060101ALI20240125BHJP
【FI】
A63B69/36 512A
E01C13/08
【審査請求】未請求
【請求項の数】4
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022116091
(22)【出願日】2022-07-21
(71)【出願人】
【識別番号】522291898
【氏名又は名称】ClockFace株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100189865
【弁理士】
【氏名又は名称】下田 正寛
(74)【代理人】
【識別番号】100094215
【弁理士】
【氏名又は名称】安倍 逸郎
(72)【発明者】
【氏名】竹田 宜史
【テーマコード(参考)】
2D051
【Fターム(参考)】
2D051AB04
2D051HA10
(57)【要約】
【課題】実際のグリーンに近づけ、ゴルフ場以外の場所でパター練習することで、いわゆる時計文字盤理論を体得することができるゴルフ用パター練習装置を提供する。
【解決手段】硬質の土台部材の上面全面に人工芝を敷設することで人の歩行が可能な人工グリーンで構成される。人工グリーンを設置した際に、人工グリーン面には、人工グリーンの上面と水平面とのなす角度を所定角度とする傾斜を有することで、実際のグリーンにより近づけることができ、実践的なパター練習をすることができる。
【選択図】図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
ゴルフ場のグリーンを模し、人が歩行可能なゴルフ用パター練習装置であって、
硬質の土台部材の上面全面に人工芝を敷設した人工グリーンからなり、
前記人工グリーンを設置した際における人工グリーン面には、前記人工グリーンの上面と水平面とのなす角度を所定角度とする勾配が形成されたゴルフ用パター練習装置。
【請求項2】
上記土台部材は、プラスチック製の土台基材にモルタルを塗布し硬化させることによりモルタル層を形成したものであり、このモルタル層の上面に、上記人工芝が敷設される請求項1に記載のゴルフ用パター練習装置。
【請求項3】
上記土台部材は、プラスチック製の土台基材に硬化性樹脂を塗布し、硬化させることにより樹脂層を形成したものであり、この樹脂層の上面に、上記人工芝が敷設される請求項1に記載のゴルフ用パター練習装置。
【請求項4】
上記人工グリーンは、平面視して略矩形であり、この人工グリーンの四隅近傍に各1個のホールが形成される請求項1~請求項3のいずれか1項に記載のゴルフ用パター練習装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ゴルフ用パター練習装置、具体的には、実際のグリーンに近づけ、ゴルフ場以外の場所でパター練習(パット練習)することでいわゆる時計文字盤理論を体得することができるゴルフ用パター練習装置に関する。
【背景技術】
【0002】
ゴルフ用パター練習装置として一般的に知られているパット練習用マットは、実際のゴルフコースのグリーン上でパットを行う際の練習用として用いられる。パット練習用マットは、表面に人工芝を敷設した細長いマット本体のいったん部に設けられている疑似ホールを目指して他端部側からゴルフボールをパターヘッドで打球することができるように構成されている。
【0003】
このようなゴルフ用パター練習装置では、実際のグリーン上でパットを行う状況に即してパットの練習を行うことができることが必須の要求事項であり、今まで特許文献1に記載のパット練習用マットや特許文献2に記載のゴルフのパット練習器が提案されている。
特許文献1に記載のパット練習用マットでは、マット本体の外輪郭線を、パターヘッドのフェールの向き及び不利浮き方向を定める基準線として利用することができない曲線によって形作ることにより、練習時のパット環境が実際のゴルフコースのグリーン上でのパット環境に近づき、実際のグリーン上でパットを行う状況に即してパットの練習をすることができる。
また、特許文献2に記載のパット練習器では、少なくとも2片の傾斜板で蘇生された傾斜道を備えることで、グリーンの傾斜を模することができる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2006-223696号公報
【特許文献2】特開2004-215831号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
従来から一般的に知られているゴルフ用パター練習装置では、確かに実際のグリーンに近づいているといえるが、少なくとも、パット練習を行う者が、ゴルフ用パター練習装置の上を歩くことができない点で、パット練習の最適化が図れていない点で問題となる。
また、実際のグリーン上でパットを行う場合、パットの成功はいわゆる時計文字盤理論を体得しているか否かにかかっているといっても過言ではない。このため、ゴルフ用パター練習装置では、この時計文字盤理論を体得することが目的となる。そのためには、ゴルフ用パター練習装置の上を歩くことができることが求められるだけでなく、グリーン面と水平面とのなす角度が2~4度の範囲内であり、かつグリーン面のどの位置であっても、グリーン面と水平面とのなす角度が等しいことが求められる。しかし、従来のゴルフ用パター練習装置においては、時計文字盤理論を体得するために最適化が図られていなかったのが現状である。
【0006】
そこで、発明者は、ゴルフ用パター練習装置の土台部分に着目し、ゴルフ用パター練習装置を硬質材料で構成された土台部材に着目した。土台部材を硬質材料とすることで、人の歩行が可能なゴルフ用パター練習装置の上を歩くことができ、ゴルフ用パター練習装置の上でパター練習(パット練習)をすることができることを知見し、本発明を完成させた。
本発明は、実際のグリーンに近づけ、ゴルフ場以外の場所でパター練習することでいわゆる時計文字盤理論を体得することができるゴルフ用パター練習装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
請求項1に記載の発明は、ゴルフ場のグリーンを模し、人が歩行可能なゴルフ用パター練習装置であって、硬質の土台部材の上面全面に人工芝を敷設した人工グリーンからなり、前記人工グリーンを設置した際における人工グリーン面には、前記人工グリーンの上面と水平面とのなす角度を所定角度とする勾配が形成されたゴルフ用パター練習装置である。
【0008】
請求項1に記載の発明によれば、土台部分を硬質にすることで、人の歩行が可能となる。その結果、ゴルフ用パター練習装置の上でパター練習をすることができる。また、人工グリーンを設置した際に、人工グリーン面には、人工グリーンの上面と水平面とのなす角度を所定角度とする傾斜を有することで、実際のグリーンにより近づけることができ、実践的なパター練習をすることができる。これにより、いわゆる時計文字盤理論を体得することができる。
【0009】
硬質の土台部材とは、土台部材には人の歩行によって変形しない程度の硬さを有していることをいう。2002年健康・栄養情報研究会の資料によると、我が国の30~39歳の成人男性の平均体重が68.2kgとされている。このため、安全率を考慮すると、120kg程度の荷重を加えても変形しない程度の硬さを有していればよいが、販売地域等により、基準強度が変わるため、使用強度(設計荷重)は適宜設計されるべきものである。
土台部材の材質は特に問わない。強化プラスチックや木材、モルタル系のものであってもよく、コンポジット材料であってもよい。強度面と軽量化を考えると、コンポジット材料が適している。
【0010】
人工芝は、市販されているものであり、特殊なものを用いる必要はない。
人工グリーンは、土台部材の上面全面に人工芝を敷設したものであり、ゴルフ用パター練習装置と実質的に同一である。人工グリーンにホールを形成してもよい。
人工グリーン面と水平面とのなす角度は、実際のグリーンの勾配が2~4%であるため、2~4%であることが好ましい。人工グリーンの勾配は、土台部材に勾配を形成し、その上面に平坦な人工芝(より正確には、人工芝の基布が平坦である。)を敷設することにより形成されることが製造の容易性の観点から好ましい。なお、人工グリーンの勾配は、グリーン面のどの位置であっても、グリーン面と水平面とのなす角度が等しいように形成される。
【0011】
請求項2に記載の発明は、上記土台部材は、プラスチック製の土台基材にモルタルを塗布し硬化させることによりモルタル層を形成したものであり、このモルタル層の上面に、上記人工芝が敷設される請求項1に記載のゴルフ用パター練習装置である。
【0012】
請求項2に記載の発明によれば、プラスチック製の土台基材にモルタル層を形成し、このモルタル層の上面に人工芝を敷設する。これにより、土台部材の硬さが高まり、人工グリーン(つまりは、ゴルフ用パター練習装置)の上面を歩行しても変形しない程度の硬さが得られるだけでなく、軽量化を図ることができる。
【0013】
土台基材の材質は、ポリエチレン、ポリウレタン、ポリスチレン、ウレタン等、プラスチック製であれば特に問わず、発泡プラスチック製、例えば、発泡ポリスチレン、発泡ウレタン、発泡ポリエチレン、発泡ポリウレタン等であってもよい。
モルタル層の種類については特に問わず、必要な硬度が得られるならば、セメントモルタル、ポリマーセメントモルタル、樹脂モルタルであってもよい。
モルタル層の形成方法は特に問わず、バーコーティング、ディッピング、鏝塗りなどが挙げられる。土台部材の強度の最適化・製造の容易性の観点から、土台基材をモルタルに浸漬する方法または、鏝塗りする方法が好ましい。なお、土台基材に少なくとも人工芝を敷設する面はモルタル層を形成する必要があるが、それ以外の面については、モルタル層の形成については任意である。土台部材の強度の最適化・製造の容易性の観点から、土台基材全面にモルタル層を形成するか、土台基材の下面(人工グリーンの下面)以外の面のみにモルタル層を形成することが好ましい。なお、モルタル層と土台基材との加工時に発生する残留応力による反りを防ぐために、土台基材全面にモルタル層を形成することがより好ましい。
モルタル層の層厚については、土台部材の上を人が歩行しても変形しない程度の硬さの硬さを保持できる程度の厚さがあれば充分である。
【0014】
請求項3に記載の発明は、上記土台部材は、プラスチック製の土台基材に硬化性樹脂を塗布し、硬化させることにより樹脂層を形成したものであり、この樹脂層の上面に、上記人工芝が敷設される請求項1に記載のゴルフ用パター練習装置である。
【0015】
請求項3に記載の発明によれば、モルタル層の代わりに樹脂層を形成し、この樹脂層の上面に人工芝を敷設する。これにより、土台部材の硬さが高まり、人工グリーン(つまりは、ゴルフ用パター練習装置)の上面を歩行しても変形しない程度の硬さが得られるだけでなく、軽量化を図ることができ、かつ、製造が容易であるため、安価にゴルフ用パター練習装置を製造することができる。
【0016】
樹脂層の原料である硬化性樹脂の種類は特に問わず、光硬化性樹脂、熱硬化性樹脂であってもよく、即硬化性樹脂であってもよい。ただし、ゴルフ用パター練習装置の製造の容易性を考慮し、タック性を有さない(タック性の低い)ものが好ましい。
樹脂層の形成方法は特に問わず、バーコーティング、ディッピングなどが挙げられる。土台部材の強度の最適化・製造の容易性の観点から、土台基材を樹脂に浸漬する方法または刷毛などで塗布する方法が好ましい。なお、土台基材に少なくとも人工芝を敷設する面は樹脂層を形成する必要があるが、それ以外の面については、樹脂層の形成については任意である。土台部材の強度の最適化・製造の容易性の観点から、土台基材全面に樹脂層を形成するか、土台基材の下面(人工グリーンの下面)以外の面のみに樹脂層を形成することが好ましい。なお、樹脂層と土台基材との加工時に発生する残留応力による反りを防ぐために、土台基材全面に樹脂層を形成することがより好ましい。
樹脂層の層厚については、土台部材の上を人が歩行しても変形しない程度の硬さの硬さを保持できる程度の厚さがあれば充分である。
【0017】
請求項4に記載の発明は、上記人工グリーンは、平面視して略矩形であり、この人工グリーンの四隅近傍に各1個のホールが形成される請求項1~請求項3のいずれか1項に記載のゴルフ用パター練習装置である。
【0018】
請求項4に記載の発明によれば、人工グリーンの四隅近傍に各1個のホールを形成することにより、対角線上にあるホールを目標にパター練習を行うことができることから、様々な距離のパター練習を行うことが可能なゴルフ用パター練習装置を小型化することができる。
【発明の効果】
【0019】
本発明によれば、土台部分を硬質にすることで、人の歩行が可能となる。その結果、ゴルフ用パター練習装置の上でパター練習をすることができる。また、人工グリーンを設置した際に、人工グリーン面には、人工グリーンの上面と水平面とのなす角度を所定角度とする傾斜を有することで、実際のグリーンにより近づけることができ、実践的なパター練習をすることができる。これにより、いわゆる時計文字盤理論を体得することができる。
【0020】
特に、請求項2,請求項3に記載の発明によれば、プラスチック製の土台基材にモルタル層を形成し、このモルタル層や樹脂層の上面に人工芝を敷設することにより、土台部材の硬さが高まり、人工グリーンの上面を歩行しても変形しない程度の硬さが得られるだけでなく、軽量化を図ることができる。
また、請求項3に記載の発明によれば、製造が容易であるため、安価にゴルフ用パター練習装置を製造することができる。
【0021】
請求項4に記載の発明によれば、人工グリーンの四隅近傍に各1個のホールを形成することにより、対角線上にあるホールを目標にパター練習を行うことができることから、様々な距離のパター練習を行うことが可能なゴルフ用パター練習装置を小型化することができる。
【図面の簡単な説明】
【0022】
図1】本発明の実施例に係るゴルフ用パター練習装置の全体斜視図である。
図2】本発明の実施例に係るゴルフ用パター練習装置における土台部材の一部断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0023】
本発明の実施例に係るゴルフ用パター練習装置10は、図1に示すように、土台部材11の上面に人工芝12が敷設されたものである。
【0024】
土台部材11は、平面視して縦2m、横2mの矩形であり、側面視して高さ方向に延びる辺が平行である台形の部材である。土台部材11を設置場所に設置したとき、水平面と土台部材11の上面とによりなす角度が2~4%となるように、土台部材の高さが調整されている。土台部材11は、図2に示すように、発泡ポリスチレン(いわゆる発泡スチロール)製の土台基材11aと、土台基材の表面全面に均等な厚さでコーティングされたモルタル層11cから構成されている。
土台基材11aの素材である発泡ポリスチレンは、素材自体を曲線上に大きく折り曲げることが可能であり、特別な工具等を必要とせずカッター等で切削できる程度に容易に加工することができる。
この土台基材11aの表面全域にモルタル層11cをコーティングする。具体的には、土台基材11aの表面全域にベースコートを塗布し、ベースコート層11bを形成する。その後、モルタルを塗布することによりモルタル層11cを形成する。その後、人工芝12を敷設する面以外の面を仕上げ加工することにより、土台部材11を製造することができる。
【0025】
人工芝12は、市販のものを使用している。人工芝12は、平坦な基布に耐光性を有するプラスチック製の芝糸を縫い付けることにより製造される。人工芝12は、土台部材11に敷設される。詳しくは、モルタル層11cの上面に人工芝12を、接着剤を介して固定する。
【0026】
人工芝12に土台部材11を敷設することにより、人工グリーンが製造される。この人工グリーンをゴルフ用パター練習装置の設置個所に設置した場合、人工芝の基布の上面と水平面とのなす角度は、2~4%となる。
この人工グリーンにホール13を形成することによりゴルフ用パター練習装置10を製造することができる。
ホール13の位置は、人工グリーンの四隅近傍及び中央より下方の5か所に形成されている。ホール13の直径は、公式ルールに則り、4.25インチ(108ミリメートル)である。
【0027】
このように構成されたゴルフ用パター練習装置10は、人工グリーン上に人が歩行しても変形することはなく、人工グリーンの外縁近傍の任意の位置にボールを置き、ホール13にボールを落とすためのパット練習を行うことができる。
このとき、ボールの近傍にあるホール13に向けてパット練習する(ボールとホール13との距離が1~2m程度のパット練習を行う)ことができるだけでなく、四隅のいずれか1つの隅の近傍にボールを置き、対角線上にあるホール13に向けてパッティングすることにより、ボールとホール13との距離が約3mのパット練習を行うことも可能である。加えて、様々な方向からホールに向けてボールを打つことから、状況に応じたパッティング練習、例えば、傾斜の下方から傾斜の上方にあるホールに向けてのパッティングや、ホールとボールとの間に傾斜は有さないものの、全体的に傾斜が形成されているときのパッティング練習等が可能となる。
【0028】
なお、別の実施例として、人工グリーンにホール13を形成しなくても、ゴルフ用パター練習装置10として、パット練習を行うことが可能である。この場合、ホールの位置にピン等を立てて、そのピンにボールを接触させることで、パットの練習とすることができる。
【0029】
さらに、別の実施例として、モルタル層11cの代わりにエポキシ樹脂(例えばビスフェノールF型エポキシ樹脂を主原料とする)ものを使用しても同様の効果を発揮することができる。なお、エポキシ樹脂を土台基材11aに塗布する場合には、ベースコート層は不要である。
【符号の説明】
【0030】
10 ゴルフ用パター練習装置、
11 土台部材、
11a 土台基材、
11c モルタル層、
12 人工芝、
13 ホール。
図1
図2