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特開2024-137557農作物の栽培装置並びに農作物の栽培方法
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024137557
(43)【公開日】2024-10-07
(54)【発明の名称】農作物の栽培装置並びに農作物の栽培方法
(51)【国際特許分類】
   A01G 31/00 20180101AFI20240930BHJP
   A01G 24/12 20180101ALI20240930BHJP
   A01G 24/18 20180101ALI20240930BHJP
【FI】
A01G31/00 617
A01G31/00 601B
A01G24/12
A01G24/18
【審査請求】有
【請求項の数】6
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023049116
(22)【出願日】2023-03-25
(71)【出願人】
【識別番号】521127848
【氏名又は名称】青木 尚登
(71)【出願人】
【識別番号】000197126
【氏名又は名称】青木 尚行
(74)【代理人】
【識別番号】100097065
【弁理士】
【氏名又は名称】吉井 雅栄
(72)【発明者】
【氏名】青木 尚登
【テーマコード(参考)】
2B022
2B314
【Fターム(参考)】
2B022BA02
2B022BA06
2B022BB01
2B314NC07
2B314ND04
2B314ND07
2B314ND27
2B314PB18
2B314PB44
2B314PB47
2B314PB49
2B314PB55
2B314PC04
2B314PC18
2B314PC25
2B314PC46
(57)【要約】
【課題】水耕栽培と土耕栽培を並行して行うことができることとなるこれまでにない画期的な農作物の栽培装置並びに農作物の栽培方法を提供すること。
【解決手段】下部の貯水槽部1の水をくみ上げ上部の前記栽培槽部6に灌水することで、この栽培槽部6の培土5を通過して貯水槽部4に戻る灌水機構7が設けられていて、栽培槽部6の培土5に張る農作物の根2は、底部の根通過部3を介して支承部4下方の貯水槽部1に至りこの貯水槽部1でも根張りされるように構成されている農作物の栽培装置。
【選択図】図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
貯水槽部の上部に、発根する農作物の根が通過する根通過部が備えられている支承部が設けられていて、
この支承部の上部に、この支承部に培土を支承させて培土を収納する栽培槽部が設けられていて、
前記貯水槽部の水をくみ上げ前記栽培槽部に灌水することで、この栽培槽部の前記培土を通過して前記貯水槽部に戻る灌水機構が設けられていて、
発根し前記栽培槽部の前記培土に張る農作物の前記根は、前記根通過部を介して前記支承部下方の前記貯水槽部に至りこの貯水槽部でも根張りされるように構成されていることを特徴とする農作物の栽培装置。
【請求項2】
前記根通過部が備えられている前記支承部は、前記培土を支承し下方の前記貯水槽部にこの培土を落とさず且つ農作物の前記根は前記根通過部を介してこの貯水槽部に至り根張りする構成とされていることを特徴とする請求項1記載の農作物の栽培装置。
【請求項3】
前記灌水機構は、前記貯水槽部の水をくみ上げるポンプ部と、このポンプ部でくみ上げた水を前記栽培槽部の上部から前記培土に灌水する灌水部と、前記貯水槽部に水や栽培用水を補給する補給部と、前記ポンプ部を作動制御する灌水制御部とからなる構成であることを特徴とする請求項1記載の農作物の栽培装置。
【請求項4】
貯水槽部の上部に、発根する農作物の根が通過する根通過部が備えられている支承部が設けられていて、
この支承部の上部に、この支承部に培土を支承させて培土を収納する栽培槽部が設けられている農作物の栽培装置を用いる農作物の栽培方法であって、
灌水機構により前記貯水槽部の水をくみ上げ前記栽培槽部に灌水することで、この水は前記栽培槽部の前記培土を潤し通過し前記貯水槽部に戻り、この栽培槽部の前記培土で農作物を栽培するとともに、
この栽培槽部の培土で栽培される農作物の前記根は、前記根通過部を介して前記貯水槽部に至りこの貯水槽部でも根張りすることで農作物を栽培し、農作物を土耕栽培および水耕栽培することを特徴とする農作物の栽培方法。
【請求項5】
前記根通過部が備えられている前記支承部は、前記培土を支承し下方の前記貯水槽部にこの培土を落とさず且つ農作物の前記根は前記根通過部を介してこの貯水槽部に至り根張りする構成とされていることを特徴とする請求項4記載の農作物の栽培方法。
【請求項6】
前記灌水機構は、前記貯水槽部の水をくみ上げるポンプ部と、このポンプ部でくみ上げた水を前記栽培槽部の上部に灌水する灌水部と、前記貯水槽部に水や栽培用水を補給する補給部と、前記ポンプ部を作動制御する灌水制御部とからなる構成であることを特徴とする請求項4記載の農作物の栽培方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、たとえばトマトなどの苗を植えた後又は種をまいた後、根付いて又は発芽し収穫に至るまでの過程において、土を用いた土耕栽培と水を用いた水耕栽培の2つの栽培方法により農作物を栽培する、すなわち農作物を土耕栽培しながらも水耕栽培することもできることとなる新規な農作物の栽培装置並びに栽培方法に関するものである。
【背景技術】
【0002】
トマトなどの農作物は畑の土を耕し畑底盤面上に培地(元肥の混ざった耕された培土)で畝をたて、この畝上面に苗を植え又は種をまいて、活着発芽本体を育てながら収穫する土耕栽培と、液肥を含んだ栽培用水を貯水しゆるやかな水流を発生させている水耕栽培槽(貯水槽部)に根を発生させて本体を育てながら収穫する水耕栽培と、ロックウールを培地とした溶液点滴栽培の3方法が主流となっている。しかし、これら栽培方法はそれぞれ長所・短所を併せ持っているが、この短所を排除して長所をより生かして育成栽培しようとすることはなされていない。
【0003】
すなわち、土耕栽培においては同じ畝培地に同じ作物を作り続けると発生する連作障害を回避するために輪作作付けを行わなければならない不都合、水耕栽培やロックウール培地による溶液点滴栽培においては培地として土を使用せず液肥を溶いた水で栽培するがその作物は総じて水っぽく、こくが出ず旨味が薄い不都合、またこの溶液点滴栽培においては作付け毎ロックウール培地の廃棄処理がSDGsに反する不都合、また近年のICTを用いた栽培方法においては多額の初期設備費用がかかる不都合、液肥による作物のこくのなさ、旨味の薄さの不都合などが存在する。これらを総じて排除できる栽培方法は生み出されてはいない。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
本発明は、このような問題を解決するもので、水耕栽培と土耕栽培を並行して行うことができることとなり、前記不都合を解決または軽減出来るこれまでにない画期的な農作物の栽培装置並びに農作物の栽培方法を提供することを目的としている。
【課題を解決するための手段】
【0005】
添付図面を参照して本発明の要旨を説明する。
【0006】
本発明は、貯水槽部1の上部に、発根する農作物の根2が通過する根通過部3が備えられている支承部4が設けられていて、この支承部4の上部に、この支承部4に培土5を支承させて培土5を収納する栽培槽部6が設けられていて、前記貯水槽部1の水をくみ上げ前記栽培槽部6に灌水することで、この栽培槽部6の前記培土5を通過して前記貯水槽部4に戻る灌水機構7が設けられていて、発根し前記栽培槽部6の前記培土5に張る農作物の前記根2は、前記根通過部3を介して前記支承部4下方の前記貯水槽部1に至りこの貯水槽部1でも根張りされるように構成されていることを特徴とする農作物の栽培装置に係るものである。
【0007】
また前記根通過部3が備えられている前記支承部4は、前記培土5を支承し下方の前記貯水槽部1にこの培土5を落とさず且つ農作物の前記根2は前記根通過部3を介してこの貯水槽部1に至り根張りする構成とされていることを特徴とする請求項1記載の農作物の栽培装置に係るものである。
【0008】
また前記灌水機構7は、前記貯水槽部1の水をくみ上げるポンプ部8と、このポンプ部8でくみ上げた水を前記栽培槽部6の上部から前記培土5に灌水する灌水部9と、前記貯水槽部1に水や栽培用水を補給する補給部10と、前記ポンプ部8を作動制御する灌水制御部11とからなる構成であることを特徴とする請求項1記載の農作物の栽培装置に係るものである。
【0009】
また貯水槽部1の上部に、発根する農作物の根2が通過する根通過部3が備えられている支承部4が設けられていて、この支承部4の上部に、この支承部4に培土5を支承させて培土5を収納する栽培槽部6が設けられている農作物の栽培装置を用いる農作物の栽培方法であって、灌水機構7により前記貯水槽部1の水をくみ上げ前記栽培槽部6に灌水することで、この水は前記栽培槽部6の前記培土5を潤し通過し前記貯水槽部1に戻り、この栽培槽部6の前記培土5で農作物を栽培するとともに、この栽培槽部6の培土5で栽培される農作物の前記根2は、前記根通過部3を介して前記貯水槽部1に至りこの貯水槽部1でも根張りすることで農作物を栽培し、農作物を土耕栽培および水耕栽培することを特徴とする農作物の栽培方法に係るものである。
【0010】
また前記根通過部3が備えられている前記支承部4は、前記培土5を支承し下方の前記貯水槽部1にこの培土5を落とさず且つ農作物の前記根2は前記根通過部3を介してこの貯水槽部1に至り根張りする構成とされていることを特徴とする請求項4記載の農作物の栽培方法に係るものである。
【0011】
また前記灌水機構7は、前記貯水槽部1の水をくみ上げるポンプ部8と、このポンプ部8でくみ上げた水を前記栽培槽部6の上部に灌水する灌水部9と、前記貯水槽部1に水や栽培用水を補給する補給部10と、前記ポンプ部8を作動制御する灌水制御部11とからなる構成であることを特徴とする請求項4記載の農作物の栽培方法に係るものである。
【発明の効果】
【0012】
本発明は上述のように構成したから、水耕栽培と土耕栽培を並行して行うことができることとなり、前記不都合を解決または軽減出来るこれまでにない画期的な農作物の栽培装置並びに農作物の栽培方法となる。
【図面の簡単な説明】
【0013】
図1】本実施例の概略構成説明正断面図である。
図2】本実施例の説明側断面図である。
図3】本実施例の説明斜視断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0014】
本発明の最適な実施形態を図面に基づいて本発明の作用を示し簡単に説明する。
【0015】
貯水槽部1に液肥などを含んだ(栽培用)水を貯水し、その上部の栽培槽部6には底部に設けた支承部4に支承させて堆肥や有機質肥料を含んだ(栽培用)培土5を収納し、これを畝にして農作物を栽培する。
【0016】
この発根する農作物の根2は、前記栽培槽部6の培土5(畝培土5)内に張り、この農作物はこの栽培槽部6で土耕栽培されることとなる。
【0017】
またさらにこの農作物の根2は、栽培槽部6の底部の支承部4に備えられている根通過部3を通過しさらに下方の前記貯水槽部1に至り根張りしこの貯水槽部1で水耕栽培されることにもなる。
【0018】
さらに説明すると、本発明は、前記貯水槽部1の水をくみ上げ前記栽培槽部6に灌水することで、この栽培槽部6の前記培土5を通過し前記貯水槽部4に戻る灌水機構7を設けた構成とし、この灌水機構7により貯水槽部1の(栽培用)水をくみ上げ栽培槽部6に灌水することで、この水は栽培槽部6の培土5を潤し通過し貯水槽部1に戻り、循環させることができ、液肥を含ませても無駄に排水されることがないようにすることができ、またその肥料の効果を維持でき、また貯水槽部1内に水流を生じさせることも容易となる。
【0019】
すなわち、この栽培槽部6の培土5で栽培される農作物の根2は、前記根通過部3を介して前記貯水槽部1に至りこの貯水槽部1でも根張りすることで、農作物を土耕栽培および水耕栽培することができることとなり、土を介して土耕栽培用液肥の肥料成分をゆっくりと根2に吸収させることができ、土耕栽培をおこないながら、土耕の培土5を通過した水耕栽培用水は下方に落ちるけれど、これを無駄に排水せずくみ上げて再び培土5に灌水することで無駄なく根2への吸収を促進させることができ、さらにはこの貯水槽部1にも根張りするため、この水に液肥などを補充添加すれば、すみやかに根2に所望の肥料を吸収させることができる水耕栽培もおこなうことができることになる。
【0020】
よって、本発明は、栽培用水のくみ上げ灌水循環による培土5を用いた土耕栽培をおこないながらも、栽培用水に適宜作物所望の液肥による肥料成分を補充して速やかにこれを吸収させることができる水耕栽培もおこなうことができるこれまでにない画期的な栽培を実現できるものである。
【0021】
たとえば、実を美味しくする骨粉、油粕、魚粉、有機を水に溶いておくと、水が腐ってしまうが、土耕栽培であるから、これを培土5に含ませれば腐りにくく、土に張る根2にゆっくりではあるが吸収させることができ、灌水循環させるためにさらに吸収させることができ、また水耕栽培でもあるから、いわば農作物には栄養満点な前記液肥を含ませた栽培用水により、即座に人間でいえば血管からの点滴による栄養補給のように根2に吸収させることができ、また余分なこの栽培用水はくみ上げられて再び培土5に灌水されるから腐りにくいことにもなり、またこれも再びゆっくりではあるが培土5内の根2に無駄なく吸収させることもできることとなる。
【実施例0022】
本発明の具体的な実施例1について図1図3に基づいて説明する。
【0023】
本実施例では、貯水槽部1の上部に、発根する農作物の根2が通過する根通過部3を備えた支承部4を設け、この支承部4の上部に培土5を支承させて収納する栽培槽部6を設けた構成としている。
【0024】
本実施例のこの根通過部3を備えた支承部4は、前記培土5を支承し下方の前記貯水槽部1にこの培土5を落とさず且つ農作物の前記根2は前記根通過部3(多数の根通過孔)を介してこの貯水槽部1に至り根張りするように構成している。
【0025】
具体的には、畝を形成することになる横長の(畝方向に長い)貯水槽部1(貯水できる栽培槽基体)の上部に、この長さ方向に沿って栽培槽部6を形成するための土収納ケース12を、貯水槽部1の底部に立設状態に設けた支持脚部13を介して浮上状態に設けて、この土収納ケース12の下部空間、すなわち栽培槽基体に貯水部を設けてこれを前記貯水槽部1とし、これに水耕栽培用の水を灌水(給水)する構成とし、この土収納ケース12の底部に前記根通過部3を備えた前記支承部4を形成した構成としている。
【0026】
さらに説明すると本実施例では、前述のとおりこの土収納ケース12の底部に前記根通過部3を備えた前記支承部4を形成した構成としているが、具体的には土収納ケース12の底部は、水も根2も土も通過する多数の開口部を有する底板部で形成し、この底板部を覆うようにして細かい土以外は通さない網目の網部14を付設し、さらにこの土収納ケース12の底板部上の網部14の上に、細かい土も通さないが水や根2は通すロックウール培地15を付設して、前記根通過部3を設けた前記支承部4を貯水槽部1の上部であって栽培槽部6の下部に設けた構成としている。
【0027】
また本実施例では、前記貯水槽部1の水をくみ上げ前記栽培槽部6に灌水(散水)することで、この栽培槽部6の前記培土5を通過し前記支承部4も通過し前記貯水槽部1に戻る灌水機構7を設けた構成としている。
【0028】
具体的には、本実施例の前記灌水機構7は、前記貯水槽部1の水をくみ上げるポンプ部8と、このポンプ部8でくみ上げた水を前記栽培槽部6の上部に配設した散水管(灌水チューブ)から培土5に灌水(散水)する灌水部9と、前記貯水槽部1に水や栽培用水、すなわち給水管と開閉弁を介してつないでこの開閉弁の開閉制御により給水する水、液肥などを含んだ栽培用水を栽培用水タンク(液肥タンク)から手動あるいは開閉弁の開閉制御などにより給水する栽培用水を適宜補給する補給部10と、前記ポンプ部8を作動制御するとともに前記各開閉弁も適宜開閉制御する灌水制御部11とからなる構成としている。
【0029】
これにより本実施例では、この灌水機構7により貯水槽部1の栽培用水をくみ上げ栽培槽部6に灌水チューブから灌水することで、この水は栽培槽部6の培土5を潤しさらに培土5を通り貯水槽部1に戻り、循環させることができ、この循環させる栽培用水に適宜作物所望の液肥による肥料成分を補充し含ませてもこれが無駄に排水されることがなく循環灌水することができ、それゆえその肥料の効果を維持でき、また貯水槽部1内に水流を生じさせることも容易となる。
【0030】
またこのように、灌水機構7の制御や手動操作で、諸条件や農作物に応じて灌水循環させるタイミングや量も調整設定でき、この栽培用水の補充灌水だけでなく、適宜所望の液肥を容易に補充でき、これを貯水槽部1に補充することで、即効性のある水耕栽培の利点を得ることができ、さらに所定時間後に培土5に灌水循環させることで、腐らせないでゆっくりではあるが無駄なく効果的に根2に肥料をさらに吸収させることができ、前述したように土耕栽培と水耕栽培とをそれぞれの短所を軽減しながら長所を得て併用栽培できることとなる。
【0031】
またこのように栽培用水を灌水循環させることで容易に水耕栽培する貯水槽部1に水流を生じさせることができるため、良好な水耕栽培となり、またさらにこの灌水循環させる栽培用水を加温する加温装置を設けることで、従来土耕栽培の培土5を加温するには培土5中に細かい鉄管を埋め温水を通すか培土5中に温床線を埋める方法しかなかったが容易に培土温度を上げることができ、冬場や早春の栽培に役立つこととなり、土耕栽培も水耕栽培も加温状態でおこなうことも容易に実現できる。
【0032】
したがって、本実施例の栽培装置によれば、栽培槽部6に培土5を収納して畝を作りこれに種をまいて発芽させ発根させると、前記栽培槽部6の培土5に張るこの農作物の根2は、前記根通過部3を介して前記支承部4下方の前記貯水槽部1に至りこの貯水槽部1でも根張りされることとなる。
【0033】
そして、適宜灌水機構7により前記貯水槽部1の水をくみ上げ前記栽培槽部6に灌水することで、この栽培用水は栽培槽部6の培土5を潤し通過して貯水槽部1に戻ることになり、このように適宜循環灌水させながら、この栽培槽部6の培土5で農作物を栽培するとともに、この栽培槽部6の培土5で栽培される農作物の根2は、前記根通過部3を介して前記貯水槽部1にも至りこの貯水槽部1でも根張りすることになり、農作物を水耕栽培することもできることとなる。
【0034】
ゆえに、農作物を土耕栽培および水耕栽培することができることとなるため、土を介して液肥などの肥料成分をゆっくりと根2に吸収させることができ、水耕栽培だけの場合のように腐るような問題を軽減できる土耕栽培をおこないながら、その培土5に灌水した栽培用水は下方に落ちるが、これを無駄に排水せず再度くみ上げて再び培土5に灌水することで無駄なく根2への吸収を促進させることができ、さらには根2は前述のようにこの貯水槽部1にも根張りするため、この貯水槽部1の水(栽培用水)に液肥を補充添加すれば、たとえば液肥を入れてある栽培用水タンクから補給灌水すれば、すみやかにこの貯水槽部1にも根張りしている根2に吸収されることができる水耕栽培もおこなうことができることになる。
【0035】
すなわち、土を用いた土耕栽培しながらも水耕栽培することもできることとなるこれまでにない画期的な栽培を実現できるものである。さらに繰り返しとなるが、農作物を土耕栽培および水耕栽培することができることとなり、土を介して液肥などの肥料をゆっくりと根2に吸収させていきながら、腐るような問題を軽減できる土耕栽培をおこないながら、その栽培用の水は下方に落ちるが、これを無駄に排水せずくみ上げて再び培土5に灌水することで無駄をなくし、根2への吸収を促進させることができ、さらにこの貯水槽部1にも根張りするため、この水に液肥を添加すれば、たとえば補給灌水すればすみやかに根2に吸収される水耕栽培もおこなうことができることになる。
【0036】
またさらに図面に基づいて本実施例を説明すると、本実施例はトマト等を栽培するための栽培装置であって、断面U字状の畝のように長く形成した栽培槽基体を設置し、この箱型の栽培槽基体内側に防水ビニールを施して前記貯水槽部1を形成し、この片端部底に前記ポンプ部8のくみ上げ部を設置し、このポンプ部8を用いてこの貯水槽部1の上部に設けた前記栽培槽部6の培土5上に配置した前記灌水部9としての散水管、たとえば灌水チューブに貯水槽部1の水を送水し、培土5の上部から灌水するように構成している。
【0037】
また、本実施例では適宜所定タイミングで所定時間この灌水チューブより灌水された(土中に散水管を埋めて潜水する場合も含む)水は、培土5を潤しこの培土5および前記支承部4を通過して貯水槽部1に滴り落ちながら貯水槽部1を一定水位に回復していくが、次の灌水開始までの所定時間までに一定水位に回復しない時は前記灌水機構7を用いて一定水位となるように補充灌水を行った後、次の散水をスタートさせるように構成している。
【0038】
また本実施例では前記灌水機構7により、この操作を栽培する作物に適した所定回数を所定時間内におこなうことで、貯水槽部1にポンプ部8のくみ上げ部を設置した片端の反対側方向よりこのポンプ部8側に所定時間内に所定回数の水流が発生し、上部の栽培槽部6の培土5より突き抜けて進根してきた根群を貯水槽部1で良好に水耕栽培することができ、1つの栽培装置でその上部の栽培槽部6で土耕栽培を行い下部の貯水槽部1では水耕栽培をおこなうことができることとなる。
【0039】
さらに説明すると、本実施例では、畝長さ方向を左右方向とした場合の側断面がU字状の前記栽培槽基体の底面よりその栽培槽深さ1/3位に、前記根通過部3を備えた支承部4を設けた構成としているが、前述のようにこの高さに底板部が位置するように前記土収納ケース12を左右方向に並べて構成してもよいし、たとえば根通過部3として根の通る穴が多数開いている仕切板を設置し、この仕切板上全面に厚さ3センチ程のロックウール培地15を前記支承部4として敷いた後、このロックウール培地15の上に培土5を、栽培する作物に適した厚さ(深さ)投込した構成としてもよい。
【0040】
またこの貯水槽部1の片端部であって栽培槽部6の片端部隣接位置底に前記散水管(灌水チューブ)に送水する為の前記ポンプ部8のくみ上げ部を水没設置し、このポンプ部8と灌水チューブを接続しくみ上げ送水すると、灌水チューブより出た水は培土5を潤しながら根の張り渡った培土5と支承部4を通過した後、余り水となった分の水はきれいになり栽培槽部6の下部の貯水槽部1に溜まり水耕栽培用循環水として用いられる構成としている。すなわち下部の貯水槽部1で水耕栽培を行いつつ上部の栽培槽部6で土耕栽培を行うことができ、良好な生育が可能となる。
【0041】
またトマト、メロン等の農作物は、姿、形、こく、旨味などが、作物の良し悪しを決めるため土耕部に培地として培土5を用いるが、こく、旨味等が表れず姿、形が皆同じく、1度株を植えると同じ株から2回、3回と刈り取り収穫できるニラ等の農作物は、土耕部の培地として培土5ではなくロックウール培地を用いる事も有用である。また本栽培法の一部を出願人の特許7017211号に用いる事で特許7017211の無駄をなくしより良く特許7017211号を用いることに役立つ、つまり培土5上面に苗を植え又は種をまいてからこれらの根が今だわずかしか出ていない段階で培土5上面まで満水、排水することは無駄であるため、根が多方行き渡るまでの間は、満水、排水は行わず、畝上面に灌水チューブを渡しポンプ部8と灌水チューブとを接ぎ灌水する方法でより特許7017211号を活かすことができる。
【0042】
したがって、本実施例では前述したように、1つの栽培槽の上部で土耕栽培をおこないつつ下部で水耕栽培をおこなうことができ、作物にこくと旨味を付与する事が出来ると共に、土耕部で発生する連作障害要因での発根不足を補うべく上部の土耕培土及びロックウール培地を濾材として用いながら通過して清水になった灌水余り水の落ち溜まった貯水層域で多くの根を発根増殖することにより土耕の連鎖障害、土中の病害虫による発根不足を補いつつ作物栽培ができ、作付け毎のロックウールの入れ替えや作付け毎の使い捨てロックウール培地を必要とせず秀品農作物を育成できる画期的な栽培方法となるものである。
【0043】
尚、本発明は、本実施例に限られるものではなく、各構成要件の具体的構成は適宜設計し得るものである。
【符号の説明】
【0044】
1 貯水槽部
2 (農作物の)根
3 根通過部
4 支承部
5 培土
6 栽培槽部
7 灌水機構
8 ポンプ部
9 灌水部
10 補給部
11 灌水制御部
12 土収納ケース
13 支持脚部
14 網部
15 ロックウール培地
図1
図2
図3