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  • 特開-除菌装置 図1
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024137568
(43)【公開日】2024-10-07
(54)【発明の名称】除菌装置
(51)【国際特許分類】
   A61L 2/10 20060101AFI20240927BHJP
【FI】
A61L2/10
【審査請求】未請求
【請求項の数】4
【出願形態】書面
(21)【出願番号】P 2023063743
(22)【出願日】2023-03-22
(71)【出願人】
【識別番号】511116432
【氏名又は名称】株式会社バンブーケミカル研究所
(71)【出願人】
【識別番号】523127534
【氏名又は名称】金田 善夫
(72)【発明者】
【氏名】鶴羽 正幸
(72)【発明者】
【氏名】金田 善夫
【テーマコード(参考)】
4C058
【Fターム(参考)】
4C058AA28
4C058BB06
4C058DD01
4C058DD03
4C058DD11
4C058DD13
4C058DD16
4C058EE01
4C058KK02
4C058KK22
4C058KK23
4C058KK26
4C058KK33
4C058KK34
(57)【要約】      (修正有)
【課題】建物等の入り口付近に設置され、入室前に人体に付着したウィルスや細菌類を短時間にかつ安全に眼に異常を与えることなく除菌できる除菌装置を提供する。
【解決手段】装置内の人に周囲から波長200~230nmの深紫外線を照射する除菌装置において、発光面を死角に配置し、深紫外線の直射光が人の眼に当たらない構成とした。人の視野角内にある深紫外線光源11~14について、発光面を直視できないよう遮蔽物15~18を発光面上端付近に配し、かつ遮蔽物15~18が深紫外線光源の最大照度の30%乃至70%を閾値として、その閾値以上の照度の照射光束を遮らない位置、形状とした。移動用深紫外線光源21は遮蔽板22とともに移動装置20に積載され、検出器19が人の眼の高さを測定した結果に基づき、上下に移動し、直射光が眼に入らないよう遮蔽板22で遮りつつ眼の直下付近、特にマスクに深紫外線を照射できるようにした。
【選択図】図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
所定雰囲気を維持するべき制限領域の出入り箇所に配置される除菌装置であって、
天井面と、床面と、4面以上の側面壁と、側面壁の一部に人の出入りできる扉と、を有する本体と、前記天井面、前記側面壁の内面、前記扉の内面に前記本体の縦の中心軸に向けて複数の波長20 0~230nmの深紫外線光源を備え、前記深紫外線光源はすべての発光面が前記本体の内部に直立する人の眼に入らない死角に配置されたことを特徴とする除菌装置。
【請求項2】
前記深紫外線光源のうち前記本体の内部に直立する人の眼の視野角内にある少なくとも1個の深紫外線光源を略正立に設置し、視野に入ってくる該深紫外線光源の発光面を遮るべく、庇のように発光面上端付近を覆う遮蔽物が配置され、かつ前記遮蔽物が該深紫外線光源の最大照度の30%乃至70%を閾値として、その閾値以上の照度の照射光束を遮らない位置、形状であることを特徴とする請求項1に記載の除菌装置。
【請求項3】
前記本体の内部に直立する人の前記床面からの眼の高さを測定する検出器と、
前記側面壁のひとつに取り付けられ積載物を上下に移動可能な移動装置と、
さらに波長200~230nmの移動用深紫外線光源と、遮蔽板と、を備え、
前記移動用深紫外線光源と前記遮蔽板は前記移動装置に積載され、前記遮蔽板は前記移動用深紫外線光源の最大照度の30%乃至70%を閾値として、その閾値以下の照度の上方への照射光束を遮るように前記移動用深紫外線光源の発光面の上端位置付近に庇のように配置され、前記移動用深紫外線光源の発光面が前記遮蔽板によって前記本体の内部に直立する人の視線をぎりぎり遮るように前記検出器が検出した人の眼の高さに合わせて上記移動装置に積載された移動用深紫外線光源と前記遮蔽板を上下させることを特徴とする請求項1または請求項2に記載の除菌装置。
【請求項4】
前記移動用深紫外線光源の最大照度の30%乃至70%の照度の照射光束の上辺側が略水平になるように前記移動用深紫外線光源をやや下側に傾けたことを特徴とする請求項3に記載の除菌装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、店舗、ビル、ホールなどの建物の入り口や狭小閉鎖空間の乗り物の搭乗口前に設置され、人体に付着したウィルスを不活性化し細菌類を除菌する除菌装置に関する。
【背景技術】
【0002】
建物の入り口等に設置される除菌装置は一般にクリーンゲートもしくは除菌ゲートと呼ばれ、除菌液やオゾンガスを人体に向けて噴霧したり紫外線を照射したりする。しかし除菌力の高い除菌液、オゾンガス、紫外線は人体に有害であり、逆に人体に無害な除菌液は除菌能力が低い。しかし最新の研究では波長222nm近傍の深紫外線がウィルス不活性化と除菌に効果があり、かつ人体に無害であることが実証されてきている。(そこでこの波長222nm近傍の深紫外線を使用した除菌装置が提案されている(例えば特許文献1、特許文献2参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2022-20122号公報
【特許文献2】特開2022-118401号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら特許文献1のような除菌装置では天井面、床面、側面に205~230nmの波長の深紫外線光源を多数個設置し、人にくまなく照射するため、効果的にウィルスの不活性化と除菌ができるが、必然的に深紫外線が直接人の眼に入ることになり、その結果致命的な悪影響は出ないものの多量の涙が出る、不快感があるといった眼の異常を引き起こす可能性がある(特許文献2参照)。
【0005】
この問題を回避するため特許文献2の除菌装置では人の眼における波長200~235nmの深紫外線の実効入射照度が一定の照度範囲となるように光源を制御することが提案されている。具体的には照射される深紫外線は1μW/cm以上3.5μW/cm以下の照度に制限される。しかしこのような低照度ではウィルス不活性化と除菌に必要な積算光量を得るには10数分以上要する。したがって室内を常時照射し、人を含む室内全体を、時間をかけて除菌する用途に限定され、建物の入り口等に設置されて遅くとも数十秒以内に除菌しなければならない除菌ゲート用途には適用できない。
【0006】
本発明は上記課題に鑑みてなされたものである。すなわち店舗、ビル、ホールなどの建物の入り口や狭小閉鎖空間の乗り物の搭乗口前に設置され、人に付着した新型コロナウィルスなどのウィルスその他の細菌類を波長200~230nmの深紫外線により短時間で不活性化、除菌し、入室した閉鎖空間内での感染症発症リスクを減少することができる、安全でかつ一般の人が眼に異常を感じることなく安心して使用できる除菌装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記課題を解決するための本発明の請求項1に記載の除菌装置は、天井面と、床面と、4面以上の側面壁と、側面壁の一部に人の出入りできる扉と、を有する本体と、前記天井面、前記側面壁の内面、前記扉の内面に前記本体の縦の中心軸に向けて複数の波長200~230nmの深紫外線光源を備え、前記深紫外線光源はすべての発光面が前記本体の内部に直立する人の眼に入らない死角に配置されたことを特徴とする。
【0008】
請求項2に記載の除菌装置は、さらに、前記深紫外線光源のうち前記本体の内部に直立する人の眼の視野角内にある少なくとも1個の深紫外線光源を略正立に設置し、視野に入ってくる該深紫外線光源の発光面を遮るべく、庇のように発光面上端付近を覆う遮蔽物が配置され、かつ前記遮蔽物が該深紫外線光源の最大照度の30%乃至70%を閾値として、その閾値以上の照度の照射光束を遮らない位置、形状であることを特徴とする。
【0009】
請求項3に記載の除菌装置は、前記本体の内部に直立する人の前記床面からの眼の高さを測定する検出器と、前記側面壁のひとつに取り付けられ積載物を上下に移動可能な移動装置と、さらに波長200~230nmの移動用深紫外線光源と、遮蔽板と、を備え、前記移動用深紫外線光源と前記遮蔽板は前記移動装置に積載され、前記遮蔽板は前記移動用深紫外線光源の最大照度の30%乃至70%を閾値として、その閾値以下の照度の上方への照射光束を遮るように前記移動用深紫外線光源の発光面の上端位置付近に庇のように配置され、前記移動用深紫外線光源の発光面が前記遮蔽板によって前記本体の内部に直立する人の視線をぎりぎり遮るように前記検出器が検出した人の眼の高さに合わせて上記移動装置を上下させることを特徴とする。
【0010】
請求項4に記載の除菌装置は、前記移動装置上で、前記移動用深紫外線光源の最大照度の30%乃至70%の照度の照射光束の上辺側が略水平になるように前記移動用深紫外線光源をやや下側に傾けたことを特徴とする。
【0011】
例えば新型コロナウィルスSARS-COV-2の場合、広島大学の検証によると波長222nm深紫外線を3mJ/cm照射すると新型コロナウィルス不活性化99.7%という結果が得られている。前述の人の眼に異常を起こさせない実効入射照度を上限の3.5μW/cmとするとウィルス99.7%不活性化に必要な時間は、
3(mJ/cm)/3.5(μW/cm)=857s=14.3min
すなわち、14分と少々必要である。
しかし、これでは建物入口の設置される除菌ゲートとして役に立たない。仮に30秒で除菌しようとすると
3(mJ/cm)/30s=0.1(mW/cm
すなわち100μW/cmの照度が必要で、これは許容値の29倍にもなる。
【0012】
本発明者らは短時間の除菌と人の眼に異常を起こさないことを両立させる解決策は、ウイルスの不活化と除菌に必要な照度を維持しつつ、深紫外線光源からの発光が人の眼に直接当たらないことであると考え、本発明に至った。
およそ人の視野角は水平方向耳側に90~100°、水平方向鼻側に60°、上側60°、下側70°である。この視野角に入らない位置、すなわち最初から死角にある深紫外線光源はそのまま人体に向けて照射しても何ら問題はない。一方、視野角内に配置される深紫外線光源は主に除菌室内に直立する人の正面の壁にあって、光源の発光面を見ないもっとも簡便な方法は除菌対象である人にアイマスクか、紫外線を通さないサングラスをかけてもらうことである。しかし、これは一般の人を対象とする除菌ゲートでは抵抗感が高く、受け入れてもらえない。装置側でできるもっとも簡便な方法は鉛直平面における視線角度と深紫外線光源の発光面を一致させるか、もしくは深紫外線光源の手前をさらに下方に傾けて発光面をまったく見えなくする、すなわち深紫外線光源の発光面を死角に配置することである。以上の構成が請求項1に記載の除菌装置である。
【0013】
しかし、深紫外線光源は直立している人の体に対して光軸が垂直になるように、すなわち地面に対して光軸が水平になるよう配置するのが最も照度が高くなり、除菌効果が高い。光源の発光面を視線角度と一致させると、光軸は斜め下を向き、人の体には斜め上方から角度がついた状態で照射することになり、照度が低下する。そして視線が水平に近いほど、すなわち上半身にいくほど照度の低下が著しい。
請求項2の構成は上記欠点を解消する。まず正面壁の視野角内にある深紫外線光源の光軸は地面に水平に、すなわち深紫外線光源は正立の状態で設置し、最適な照度で人の体に照射する。次にこれらの深紫外線光源の上部には家の軒先の庇のような遮蔽物を設け、光源からの発光が直接人の眼に当たらないようにする。
【0014】
一般に深紫外線光源の光束はおよそ円錐状の広がりを持っており、中心軸上が最も照度が高く、中心軸から離れるほど照度は下がっていく。
深紫外線光源の中心部最高照度の70%より大きい値を閾値として、それ以下の照度の上辺部光束を前記遮蔽物で覆ってしまうと人への有効照射範囲が狭くなり、結果多数の深紫外線光源が必要となり、また遮蔽された周辺の光束が有効活用されず無駄にエネルギーを消費する。よって前記遮蔽物が遮蔽する閾値は中心部最高照度の70%以下であることが望ましい。
深紫外線光源の中心部最高照度の30%より小さい値を閾値として、それ以下の照度の上辺部光束を前記遮蔽物で覆うと光源からの発光が直接眼に当たらないで済む視線の角度が急になりすぎて人の眼と光源の高さ方向の距離が広がる。その結果、眼の直下付近には漏れ光しか当たらず、胸付近には中心部最高照度の30%より弱い照度の深紫外線しか当たらないことになり、除菌に必要な積算光量が不足する。逆に眼の直下付近や胸部分で十分な光量を得ようとすると光軸中心部付近は必要な光量の3倍以上の過剰照度となり、これまた効率が悪く無駄にエネルギーを消費してしまう。よって遮蔽する閾値は中心部最高照度の30%以上が望ましい。
すなわち本発明の請求項2に記載の除菌装置の前記遮蔽物は前記深紫外線光源の中心部最高照度の30%乃至70%を閾値としてその閾値以上の照度の照射光束を遮らない形状寸法であることが望ましい。
【0015】
請求項3に記載の除菌装置は、請求項1または請求項2の構成に加えて、人の顔付近前方にある深紫外線光源と遮蔽板を一体で、除菌対象の人の眼の高さに合わせて上下方向に移動を可能にしたものである。これにより除菌対象の人の背の高さに関わらず眼の下付近から下方を効率的に照射できる。
人の背の高さは子供を別にしたとしても150cm~185cmとかなり幅広く分布する。そのため人の顔付近前方にある深紫外線光源が固定設置だと185cmの人に位置を合わせた場合、150cmの人が来たとき深紫外線光源の発光面が視野に入ってしまう。逆に150cmの人に高さを合わせると185cmの人が来た場合、胸から上方の領域に深紫外線が当たらない。
検出器により除菌対象者の眼の位置を測定し、その眼の高さに合わせて深紫外線光源を最適に上下させれば身長の異なる人が来ても安全に眼の下付近まで除菌できる。
【0016】
請求項4に記載の除菌装置は、請求項3の構成において、移動用深紫外線光源をやや下側に傾けて設置することにより、マスクの除菌効果を高めるものである。
ウィルスや細菌類が付着するのは衣服だけではなく人が着用しているマスクにもウィルスや細菌類が付着している。新型コロナウィルスの例では衣服に付着したウィルスの生存期間2~3日に対し、マスク外層では14日以上生存するとの報告がなされている。飲食店に限らずマスクに手で触れる機会は多く、マスクにウィルスや細菌が付着していると接触感染のリスクが高まる。よって眼の直下にあるマスクの除菌が必要である。
しかし前記移動用深紫外線光源を正立設置した場合は眼の直下、マスク付近は漏れ光のみとなり十分な照度を得ることができない。ここで深紫外線の最大照度の30%乃至70%照射光束の上側が略水平になるように光源をやや下向きに傾けると、眼の下、マスク付近は最大照度の30%乃至70%以上の照度となり、マスクに対して有効な除菌効果が得られる。
【発明の効果】
【0017】
本発明によれば、衣服やマスクに付着しているウィルスや細菌類を安全に、眼に異常をきたすことなく短時間で除菌できるという効果が得られる。
【図面の簡単な説明】
【0018】
図1】本発明の第一の実施形態による除菌装置の側面断面図
図2】本発明の第一の実施形態による除菌装置の平面断面図
【発明を実施するための形態】
【0019】
以下、本発明の実施形態を図面にもとづいて説明する。尚、以下の全ての図面においては、理解を容易にする為、各構成要素の寸法や比率などは適宜異ならせて図示している。
【0020】
本実施形態における除菌装置は本発明を実施するための最良の形態であり、図1は側面断面図、図2は平面断面図を示す。
【0021】
除菌装置の本体1は天井面2と、床面3と、正面壁4と、右側面壁5と、左側面壁6と、背面壁7と、で囲まれた箱形状をしており、内部に人一人が入れる大きさの除菌室8がある。左側面壁6には扉9があり、人が出入りできる。
天井面2に1個、および右側面壁5の内面、背面壁7の内面、扉9の内側には人の全身を照射するよう、それぞれ縦一列に複数個の波長200~230nmの深紫外線光源10が除菌室8の中心軸に向けて設置されている。
正面壁4の内面には胸付近を照射する深紫外線光源11、腹部付近を照射する深紫外線光源12、太もも付近を照射する深紫外線光源13、膝から下と靴を照射する深紫外線光源14が固定設置される。これら正面壁4に設置される深紫外線光源は人の視野角内に位置する光源である。
深紫外線光源11の上方には遮蔽物15が、深紫外線光源12の上方には遮蔽物16が、深紫外線光源13の上方には遮蔽物17が、深紫外線光源14の上方には遮蔽物18が、それぞれ構築され、光源の発光面が見えないように視野を遮り、かつ光源の60%強度光束を遮らない位置に置かれている。なお深紫外線光源14は視線角度よりやや下向きに設置されており、そのままでも深紫外線光源14の発光面は眼に入らない死角にあるため、遮蔽物18はなくてもよい。
【0022】
正面壁4の顔の高さ付近には、人の顔を認識し眼の高さを計測できる検出器19が設置される。
正面壁4の上部にはモータ駆動で上下に移動可能なステージを持つ移動装置20が取り付けられている。
移動装置20の移動ステージには波長200~230nmの移動用深紫外線光源21と遮蔽板22が取り付けられている。移動用深紫外線光源21は光源の60%強度光束の上辺が略水平になるように発光面をやや下向きにして設置されている。遮蔽板22は移動用深紫外線光源21の上部を覆うように少し張り出して、かつ光源の60%強度光束の上辺を遮らないように設置される。
なお、胸付近を照射する深紫外線光源11は低身長の人の場合は眼に直接光が入らず、高身長の人の場合は移動用深紫外線光源21の光源の60%強度光束下辺部と深紫外線光源11の光源60%強度光束上辺部が体の前面で重なる位置に設置される。
【0023】
正面壁4には肘の高さあたりに手指Fが差し入れられる空隙23があり、空隙23の上面に手指上面除菌用の深紫外線光源24が、下面に手指下面除菌用の深紫外線光源25が仕込まれている。
正面壁4外側に制御装置26が設置されている。
なお、図1図2においてHは除菌対象となる人を、Eは眼の位置を、図1においてMは人Hが着用しているマスクを模式的に表している。
【0024】
以上のように構成された除菌装置において、人Hが除菌室に入ると検出器19が人Hの入室を検知し、次に眼Eの高さを測定する。測定結果を元に制御装置26は移動装置20のモータを駆動し、移動用深紫外線光源21と遮蔽板22を所定の高さに移動させる。所定の高さとは移動用深紫外線光源21の最大照度の60%光束の上辺部分が眼Eに入らず、かつ眼Eの直下、マスクM周辺を照射する位置である。
移動装置20の動作完了後、制御装置26はすべての深紫外線光源を発光させ除菌を行う。またその際、人Hは正面壁4の腰の高さ付近にある空隙23に手指Fを差し入れ、アルコール消毒の代わりに手指Fの除菌を行う。
予め設定された時間を経過後、制御装置26はすべての深紫外線光源の発光を停止し、ブザーやランプ、もしくは音声案内やメッセージ表示で人に除菌終了を知らせ、人Hは除菌室8を退去する。
【0025】
以上のように本実施例によれば、人の背の高さによらず衣服およびマスクに付着しているウィルスや細菌類を安全に、眼に異常を与えることなく短時間で除菌できるという効果が得られる。
なお、本実施例では本体の側面壁を4面としたが、6面または8面でもよく、それぞれの側面壁に深紫外線光源を設置すれば多方面から深紫外線を照射でき、より効率的に除菌できる。多角形の極限として円形もしくは楕円形でもよい。
また、本実施例では床面には深紫外線光源を設置していないが、床面をグレーチングもしくは深紫外線を透過する透明体で構成し、床下に深紫外線光源を設置すれば靴底を除菌することができる。
また、本実施例では深紫外線光源を小さな面状の点光源に近いものとしたが、長い管状のものでもよい。その場合、少なくとも視野角内の深紫外線光源は横方向に設置される。
【産業上の利用可能性】
【0026】
本発明の目的は、店舗、ビル、ホールなどの建物の入り口や狭小閉鎖空間の乗り物の搭乗口前に設置され、人体に付着した新型コロナウィルスなどのウィルスその他の細菌を深紫外線により短時間で除菌し、入室した建物内や乗り物内での感染症発症リスクを減少することのできる、安全でかつ一般の人が簡便に安心して使用できる除菌装置を提供することである。また深紫外線照射時間を長くとることによりウィルス不活性化・除菌効果がさらに高まり、病院や保健機関、介護施設等医療機関で、入室時により無菌に近い高い水準を要求される場合にも利用できる。
【符号の説明】
【0027】
1 本体
2 天井面
3 床面
4 正面壁
5 右側面壁
6 左側面壁
7 背面壁
9 扉
10~14 深紫外線光源
15~18 遮蔽物
19 検出器
20 移動装置
21 移動用深紫外線光源
22 遮蔽板
23 空隙
24 手指上面除菌用の深紫外線光源
25 手指下面除菌用の深紫外線光源
26 制御装置
図1
図2