(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024137571
(43)【公開日】2024-10-07
(54)【発明の名称】フィルムシートのロールからの繰り出し機構及びそれを用いたラミネータ
(51)【国際特許分類】
B65H 16/06 20060101AFI20240927BHJP
【FI】
B65H16/06 B
【審査請求】未請求
【請求項の数】3
【出願形態】書面
(21)【出願番号】P 2023064500
(22)【出願日】2023-03-24
(71)【出願人】
【識別番号】000105280
【氏名又は名称】ケイディケイ株式会社
(72)【発明者】
【氏名】木村 義和
(72)【発明者】
【氏名】土屋 雅人
【テーマコード(参考)】
3F052
【Fターム(参考)】
3F052AA03
3F052AB00
3F052BA16
3F052BA18
(57)【要約】 (修正有)
【課題】複数のロールを一本のシャフトに装着して、それぞれロールの両端を確実に支えることにより振動等を発生させることなく、また巻径や回転方向に関係なくスムーズに安定した引っ張りテンションでフィルムシートを繰り出し、さらにロールがシャフト上で左右に移動することがなく設置された位置を保持するフィルムシートのロールからの繰り出し機構を提供する。
【解決手段】紙管に巻き取られたフィルムシートのロールを固定されたシャフトに装着してロールを回転させながらフィルムシートを繰り出すフィルムシートのロールからの繰り出し機構であって、ベアリングとベアリングを内蔵したベアリングケースからなる軸受け構造体をロールの紙管の両端に装着し、紙管に装着された両端の軸受け構造体にシャフトを遊びなきように通し、軸受け構造体を介してロールを保持することによりロールの回転方向に制限されずにフィルムシートを繰り出せることを特徴とした。
【選択図】
図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
紙管に巻き取られたフィルムシートのロールを固定されたシャフトに装着して前記ロールを回転させながらフィルムシートを繰り出すフィルムシートのロールからの繰り出し機構であって、少なくともベアリングと前記ベアリングを内蔵したベアリングケースからなる軸受け構造体をロールの紙管の両端に装着し、前記紙管に装着された両端の軸受け構造体にシャフトを遊びなきように通し、前記軸受け構造体を介してロールを保持することによりロールの回転方向に制限されずにフィルムシートを繰り出せることを特徴としたフィルムシートのロールからの繰り出し機構。
【請求項2】
一本の固定されたシャフトに巻径の異なる複数のロールを装着し、前記ロールの巻径、繰り出し回転方向に制限されることなく前記複数のロールから同時にフィルムシートを繰り出せることを特徴とした請求項1に記載のフィルムシートのロールからの繰り出し機構。
【請求項3】
請求項1又は2に記載されたフィルムシートのロールからの繰り出し機構を用いたことを特徴としたラミネータ。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、例えばロールに巻き取られたフィルムシートをシャフトに装着し、印刷用紙等の順次繰り出されて通過する被着体に、前記フィルムシートを被覆するラミネータ等に利用されるフィルムシートのロールからの繰り出し手段とそれを用いたラミネータに関する。
【背景技術】
【0002】
一般にロールに巻き取られたフィルムシートの繰り出し工程を含む加工作業がある。例えばパッケージやポスター等の表面の艶出しや保護のために、前記パッケージやポスターが印刷された用紙の表面にOPPフィルムを被覆するラミネータ装置等に、前記フィルムシートをロールから繰り出し印刷用紙の表面と貼り合わせる工程がある。
【0003】
前記工程を含む現場では、それまで行われた作業で使用した様々な横幅のロールや途中まで使用してストックされた巻径の小さなロール等が数多く保管されている。現場としてはこれらストックされているロールを最後まで使用して無駄を省きたいところである。そのような状況の中で特開2020-158303号公報に記載される「フィルムシートのロールからの繰り出し手段」が開示されている。
【先行技術】
【0004】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
前記引用文献の発明では、固定された一本のシャフトに様々な幅或いは巻径のロールを複数装着して、ロールの回転方向に関係なく同時に繰り出し各ロールを最後まで使い切ることができるものである。具体的には
図10に示すように、例えば横幅と巻径が異なるロールR1、R2及びR3をそれぞれの紙管(主に3インチ)よりも径の小さな固定シャフトSに取り付けることにより空回り状態になり、お互いが回転による繰り出し動作を干渉することなく最後までフィルムシートF1、F2及びF3を繰り出し使い切ることができる。なおロールからの空回りによる繰り出しに際して、シャフトと紙管内面の接触部分に発生する摩擦が過剰になると作業に多大な悪影響を起こすため、前記引用文献には前記摩擦に対して多くの対策が記載されている。
【0006】
前記摩擦対策の中で構造上最も実現性が高く効果が得られる構想としてベアリングを使用する例が提示されている。具体的には紙管の内径よりも外形の小さいベアリングを複数並列に取り付けたシャフト状の紙管取り付け部材で、詳細には「前記ベアリングの外径は装着される紙管内径よりもやや小さめで若干の遊びを必要とする。そうすることで隣り合わせて装着されたロールが、お互いの異なる回転速度により干渉し、フィルムシートの繰り出しに支障をきたすことがなくなる。」としている。また「ベアリングの並列な並びにおいて、例えば一本のシャフトにベアリング同士が隣り合わせてほぼ接触するように装着されてもよく、また若干の間隔を置いて配置されていても構わない。」としている。
【0007】
しかし前記ベアリングの使用による対策を取ったとしても次のような支障が発生する。例えばベアリングの外径が紙管の内径よりも小さく遊びがあるため、回転するロールが前記遊びの空間分回転ごとにシャフト上へ落下し回転が落ちつかない。前記落下動作は回転速度が上がるにつれ強い振動となり、システム全体に悪影響を及ぼすと共にロールからのフィルムシートの繰り出しに掛かる引っ張りテンションや繰り出し方向が安定せず、フィルムシートと被覆する印刷用紙等の対象物に皺や破れが発生する。
【0008】
また引用文献の
図5(A)のように、一本のシャフトに並列にびっしりと複数のベアリングを配列すると、複数のロールの装着時に同じベアリングに隣り合わせたロールの端部が乗ってしまうケースがあり、仮に前記ロールの巻径が異なるとそれぞれのロールの回転速度が異なるためお互いが干渉して繰り出しが上手くいかなくなる。この傾向は特に繰り出し方向が逆の場合顕著に表れる。
【0009】
さらにベアリングを若干の間隔をおいて装着すると、ロール紙管の何れの位置に当接するのか分からず紙管の荷重が必ずしもベアリングに均等に支えられるわけではなく、不均一な支えになると前記遊びによる影響をさらに大きくしてしまう。その点を危惧していちいちベアリングの配置を操作するのでは非常に手間が掛かり、また既述の振動等によりロールやベアリングが回転に連れ左右に移動したりして作業に重大な支障を来すことになる。
【0010】
この発明は前記問題に鑑み、様々な幅や巻径の複数のロールを一本の固定されたシャフトに装着して、それぞれのロールの両端を確実に支えることにより遊びによる振動等を発生させることなく、また巻径や回転方向に関係なく無理なくスムーズに安定した引っ張りテンションでフィルムシートを繰り出し、さらにロールがシャフト上で左右に移動することがなく各実に設置された位置を保持するフィルムシートのロールからの繰り出し機構及びそれを用いたラミネータを提供するものである。
【課題を解決するための手段】
【0011】
上記目的を達成するために、本発明のフィルムシートのロールからの繰り出し機構は、紙管に巻き取られたフィルムシートのロールを固定されたシャフトに装着して前記ロールを回転させながらフィルムシートを繰り出すフィルムシートのロールからの繰り出し機構であって、少なくともベアリングと前記ベアリングを内蔵したベアリングケースからなる軸受け構造体をロールの紙管の両端に装着し、前記紙管に装着された両端の軸受け構造体にシャフトを遊びなきように通し、前記軸受け構造体を介してロールを保持することによりロールの回転方向に制限されずにフィルムシートを繰り出せことを特徴としている。
【0012】
前記機構は、単数のロールであっても或いは幅や巻径が異なる複数のロールであっても使用することができ、また一本の固定されたシャフトさえあれば、繰り出しに際するロールの回転方向等も関係なく安定して最後まで各ロールからフィルムシートを繰り出し使い切ることができる。
【0013】
また前記機構を組み込んだラミネータは、既述の通り通過する印刷紙表面に幅や巻径が異なると共にロールの繰り出しに際して回転方向が異なっていたとしても、一本の固定されたシャフトを設ければよいので、装置の構造が極めて単純になるためコスト的にも有利となり、さらに使用途中でストックしておいたロールも最後まで使い切ることができ極めて経済的であると共に至便である。
【0014】
さらにシャフトに複数のベアリングを装着する必要がないのでこの点においても経済的であり、また隣り合わせのロール同士がそれぞれの回転に影響を与え、その回転動作を阻害することもないので作業に対して悪影響は発生しない。
【0015】
本発明は、少なくともベアリングとそれを内包するベアリングケースで形成される軸受け構造体により、ロールの紙管の両端を支持するためロールが安定して回転することができる。前記ベアリングはその種類に制限はないが、例えばニードルベアリングが好適に用いられる。ボールベアリング等の複数の球体による回転体で構成されるベアリングでも構わないが、その場合ロールの重量をシャフト外周面で点(球体の頂点)で接触して支えることになる。それに対してニードルベアリングの場合、回転体が円柱で構成されているため線(円柱に沿った側面)で接触して支えるため、前記ボールベアリングと比して無理なくより安定した回転を得ることができる。
【0016】
ベアリングケースはその材質や形状に格別な制限はなく、後述するが内方されるベアリングが不用意にはずれ紙管内に脱落することがないよう、また紙管に装着した際にロールの端面に沿って固定できるような工夫が施されていても良い。例えばケース端部に沿って内方或いは外方に向けて鍔を設けるとベアリング或いは紙管の固定やずれ防止に至便である。
【0017】
軸受け構造体に関してはベアリングを内包する状態で外側のみを覆うオープンタイプ(注油が可能)でもよく、またベアリングの内径側にもドーナツ型のベアリングケースを設けベアリングを挟み込むタイプでもよく、さらに側面も含めて全体をシール(グリス、オイル漏れがない)するクローズタイプでも構わない。
【0018】
また軸受け構造体を装着したロールをシャフトに設置した際に、例えばドーナツ状のストッパをシャフトに通し軸受け構造体の両端部に外側からあてがい、止めねじ等で直にシャフトに固定することでロールが左右に移動しないように固定することができる。
【0019】
前記ストッパはシャフトに配置するロールが複数でお互いの間隔が広い場合、それぞれのロールの両端に装着して固定すればよいが、ロール間の間隔が狭い場合は装着せず当該間隔のスペーサ等に代えても構わない。そしてスペーサ挟み込んだ両ロールの外側からストッパで固定すれば不用意に移動することはない。この場合ロール間に挟まれるスペーサは滑りの良い材質から選択するのが好ましいが、ロールの端面が接触する部分に滑りが良くなる表面処理(フッ素処理等)を施しても構わない。またスペーサの形状や大きさには格別な制限はない。
【発明の効果】
【0020】
本発明のフィルムシートのロールからの繰り出し機構によれば、フィルムシートのロールをその幅、巻径、繰り出しの回転方向に制限されることなく、一本のシャフトに複数のロールを配置して同時に使用することができる。
またニードルベアリング等により構成される軸受け構造体は、ロールの両端に取り付けることで各ロールを独自に自由回転させることができ、滑らかで安定した回転や均一のテンションを保ちながらフィルムシートを各々のロールから最後まで繰り出すことができる。
さらに本発明のフィルムシートのロールからの繰り出し機構を用いたラミネータでは、通過する印刷用紙の印刷面をスポット的にフィルムシートで被覆するに当たり、ストックしていた様々な幅や巻径、繰り出しの回転方向が異なるロールであっても、単純な構成の一本のシャフトに取り付ければ最後まで使い切ることができるため極めて効率的で経済的である。
【図面の簡単な説明】
【0021】
【
図1】本発明のフィルムシートのロールからの繰り出し機構の基本的な構成を示す要部概略断面図である。
【
図2】本発明のフィルムシートのロールからの繰り出し機構を構成する軸受け構造体1の要部概略拡大断面図である。
【
図3】
図2における二点鎖線の楕円X部分の要部概略拡大断面図である。
【
図4】ニードルベアリング10がベアリングケース11に嵌め込まれた軸受け構造体1の斜視図と、前記軸受け構造体1の固定のために設置されるストッパ2の斜視図を示す。
【
図5】ニードルベアリング10の内方にベアリングケース13を設けた軸受け構造体1の要部概略拡大断面図である。
【
図6】複数の幅や巻径が異なるロール(ロールR1、ロールR2)間にスペーサ20を挟みシャフトSに設置した状態を示す要部概略断面図である。
【
図7】本発明のフィルムシートのロールからの繰り出し機構を用いたラミネータの要部概略工程図である。
【
図8】
図7の要部概略工程図における被覆工程を上方から見下ろした要部概略平面図である。
【
図9】
図1及び
図6と異なる軸受け構造体1やスペーサ20を使用した場合の各部材の取り付け状態を示す要部概略断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0022】
以下本発明を図面に沿って分かりやすく説明する。
図1は本発明のロールからの繰り出し機構の要部概略断面図である。この図は、フィルムシートFが巻き取られたロールRの紙管4の両端に軸受け構造体1を嵌め込んだ後に、前記軸受け構造体1をシャフトSに通してロールRを設置した図であり、その要部を断面図で表している。図中軸受構造体1(構成は後述する)はロールRの両側から紙管4に挿入され、鍔状の形状部分が紙管4の端面に押し当てられることで紙管4の内部に入りすぎないよう操作されている。従って紙管4はシャフトSに直接接触することなく前記軸受け構造体1を介して保持された状態となる。またロールRは前記軸受け構造体1の鍔状部を外側からドーナツ状のストッパ2で押さえつけられ、前記ストッパ2が押さえねじ3によりシャフトSに固定されることによりシャフトSの任意の個所に設置、固定される。
【0023】
前記軸受け構造体1は
図2の部分拡大断面図及び
図4の斜視図に示すように、ニードルベアリング10がベアリングケース11に嵌入されて構成されている。そしてニードルベアリング10の円柱状の回転体12が、挿入されるシャフトSの外周表面或いはベアリングケース11の内面と接触して回転することで、ロールRは回転方向を自在にがたつきなくスムーズに回転することができる。
【0024】
軸受け構造体1の構成をさらに詳述すると、
図2の二点鎖線の楕円Xに囲まれた部分の拡大断面図である
図3に示すように、ニードルベアリング10の円柱状の回転体12はシャフトSの外周表面に沿って安定して接触しながら回転すると共に、ベアリングケース11の内面に沿っても安定して接触しながら回転が可能なため、ロールRは回転に際して摩擦による抵抗をほとんど受けることがない。また前記円柱状の回転体12はシャフトSの外周面と隙間なく密着して接触するため遊びはなく、そのためがたつきやロールRの回転時の小刻みな落下で発生する振動等を起こすことはない。従って均一のテンションでフィルムシートFを安定して繰り出すことができるのである。
【0025】
なお
図2及び
図3に示すように、ベアリングケース11の紙管4の内方側の端部(図中左側端部)は、ストッパ2に押し当てられる鍔状部(外側へ広がっている)と異なり、ベアリングケース11の内方に向けた鍔状部が形成されている。これによりニードルベアリング10が移動して紙管4の内部に誤って脱落することがなくなる。またニードルベアリング10の紙管4の外方側の端部(図中右側)は前記紙管4の端面を押さえる鍔状部に外側から押し当てられるストッパ2により紙管4から外へ飛び出さないよう固定されている。
【0026】
既述の軸受け構造体1はベアリングケース11の内部にニードルベアリング10が嵌め込まれる構成だが、
図5に示すように、さらにニードルベアリング10の内方にベアリングケース13を追加することで、ニードルベアリング10をサンドイッチ状に挟み込む構造でも構わない。この場合シャフトSと軸受け構造体1はニードルベアリング10ではなくベアリングケース13を介して接触していることになる。
【0027】
前記各構成部材により、軸受け構造体1を装着したロールRがシャフトSの任意の個所に設置、固定され、フィルムシートFの繰り出しに際してもその位置を確実に保持することができるのであるが、本願発明は一本の固定されたシャフトSに複数の幅や外径が異なるロールを、自由な回転方向で安定的に繰り出すことに大きなメリットがある。例えば
図6に示すように、幅及び巻径が異なるロールR4及びロールR5が軸受け構造体1と両ロールを外側から挟み込むストッパ2により移動することがないように設置されている。この場合シャフトS、各軸受け構造体1、各紙管4の間は隙間なく密接に取り付けられているため回転によるがたつきはない。このような構成で軸受け構造体1が取り付けられた各ロールのフィルムシートは、図中下側から繰り出すことも或いは逆回転させて上側ら繰り出すことも自在である。
【0028】
なお両ロールの中間に挟み込まれている濃い網点で示すドーナツ型のスペーサ20は、隣り合うロールが接近しすぎてストッパ2を取り付ける隙間が無い場合に使用する任意の厚みの円盤状のもので、回転速度が異なる両ロールの接触による干渉を防いでいる。前記スペーサ20の材質、形状、厚み及び大きさ等に格別な制限はないが、ロールとの接触による摩擦を軽減するために滑りやすい材質が好ましく、また表面を滑りやすくするために表面処理(フッ素処理等)を施しておいても構わない。
【0029】
次に本発明のフィルムシートのロールからの繰り出し機構を用いたラミネータについて
図7及び
図8に沿って説明する。
図7は印刷用紙Xの印刷表面の3個所にフィルムシートF6、F7及びF8をスポット的に被覆する本発明のラミネータの要部概略側面図である。なお図中左側が工程の上流で、印刷用紙Xは左から右へと移動する。
【0030】
最初に用紙載せ台Yに印刷用紙Xがブロック状に棒積みされる。そしてフィードローラ30により最上面の印刷用紙Xから一枚ずつ右側の搬送テーブルへ繰り出される。(印刷用紙の繰り出し工程)なお印刷用紙Xを繰り出す手段は、既述のフィードローラ30に限らずエアーで吸い上げる吸着パッドを使用した方式や静電ベルトを用いた方式等公知の方式が採用される。また連続して繰り出される印刷用紙Xの前後端の間隔は、一定の距離を開けていても、また付き合わされた状態でも、或いは重ね合わされた状態の何れでも構わない。本実施例では一定の距離を開けて繰り出されるため前後する印刷用紙Xに間隔があくことになる。従って空いている部分にまたがって被覆されたフィルムにより、前後の印刷用紙Xは連接された状態になっている。なお本実施例は枚葉用紙の場合を参考に記載しているが、連続用紙をピントラクタ等の公知の連続用紙搬送手段により繰り出しても構わない。
【0031】
前記搬送テーブルへ繰り出された印刷用紙Xは右側に配置されている一対の搬送ローラ31a、31bに銜えられると右側の一対の搬送ローラ32a、32bを介してさらに右側の一対のヒートローラ33a、33bへと送り込まれる。そして前記一対のヒートローラ33a、33bへ、上方のシャフトSに並列状態で設置され待機している3種類のロールR6、R7及びR8から繰り出されるフィルムシートF6、F7及F8が引き込まれると、前記一対のヒートローラ33a、33bの間を通過する印刷用紙Xの任意の3個所に、
図8に示すようにスポット的にフィルムシートF6、F7及びF8が被覆されるのである。(フィルムシートの被覆工程)
【0032】
なおシャフトSはシステムのフレーム40に固定されているので回転することはない。また並列に設置された各ロールから繰り出されるフィルムシートは、ロールR6においてはロールの下方から、ロールR7及びR8においては上方から繰り出されている。また
図7において、ロールR6は並列に配置された手前のロールR7に隠れているため図中では見えない。
【0033】
なお
図8は印刷用紙Xの印刷表面と各ロールから繰り出される各フィルムシートの被覆状況を分かりやすく説明するものなので、その他にも配置されている一対の搬送ローラや断裁刃36a及び固定刃36bからなる断裁装置は、複雑化を避けるために省略している。またシャフトSに並列に配置された各ロールから左下方に配置されたヒートローラ33aへ各フィルムシートが引き込まれる方向は図中右から左となり(黒の矢印方向)、その後前記ヒートローラ33aで反転させられた後に、各ロールの下を右方向へ通過する印刷用紙Xに被覆され左から右(網点の矢印方向)へと進むのである。
【0034】
既述の通り任意の3個所にフィルムシートが被覆された印刷用紙Xは、右側に設置されている一対の搬送ローラ34a、34b及び35a、35bによりさらに右側に配置されている断裁刃36a及び固定刃36bから成る断裁装置を通過する際に、印刷用紙Xの前後端の何れか或いは両側を正確に切除した(断裁工程)後に、右側のストッカZへ排出する(積載工程)のである。なお前記切除装置はロータリカッタを使用してもよい。また前後する印刷用紙Xの前後端部を重ね合わせながら繰り出し、重ね合わされた端部でフィルムシートFのエッジに切り込みを入れて引っ張り破断する等他の公知の手段を用いても構わない。
このようにして本発明のラミネータにより印刷用紙Xの印刷表面に、幅や巻径或いはロールからの繰り出し方向が異なる種々のロールからフィルムシートを繰り出して、最後まで被覆を行い使い切ることができるのである。
【0035】
なお前記断裁装置では、センサーにより印刷用紙Xの前端或いは後端等を読み取り正確に切除が行われる。従ってストッカZ上に溜まった印刷用紙Xを次に施される断裁機等による化粧裁ち等の加工に供しても何ら影響を与えることはない。
【0036】
なお本発明は上記実施例に限定されるものではない。
例えば、
図1から
図6に示す軸受け構造体1の紙管内への侵入を防ぐための両側の鍔状部は必ずしも必要とせず、前記鍔状部が省略された円筒状のベアリングケース(図示省略)でもよい。前記ベアリングケースのように紙管外側に当接する鍔状部が無い場合はロールRの外側からストッパ2を押し当てて軸受け構造体1が紙管4から外側へ脱落するのを防止すればよく、さらに
図9に濃い網点で示す円筒状のスペーサ20を合わせて設けることにより軸受け構造体1が不用意に移動することがなくなり定位置に固定される。
【0037】
また本実施例ではニードルベアリング10をベアリングケース11内に単品で装着した事例を記しているが、複数のニードルベアリングをベアリングケース11内に並列に配置してもよく、ニードルベアリング以外にボールベアリングと組み合わせたり、ボールベアリングで構成したりしても構わない。何れにしてもがたつきがなくロールがスムーズに回転する構成であれば良いのである。
【0038】
さらにストッパ2は必ずしも必要とせず、フィルムシートが均一のテンションで巻き取られていれば、スムーズに抵抗なく回転するロールRは何もせずともシャフトの一定位置で動かない。そのような場合は軸受け構造体1をロールRの両紙管に脱落しないように嵌め込んでおくだけで済み極めて至便である。
【符号の説明】
【0039】
R、R1、R2、R3、R4、R5、R6、R7、R8 ロール
F F1、F2、F3、F6、F7、F8 フィルムシート
S シャフト
X 印刷用紙
Y 用紙載せ台
Z ストッカ
1 軸受け構造体
2 ストッパ
3 押さえねじ
4 紙管
10 ニードルベアリング
11、13 ベアリングケース
12 円柱状の回転体
30 フィードローラ
31a、31b、32a、32b、34a、34b、35a、35b 搬送ローラ
33a、33b ヒートローラ
36a 断裁刃
36b 固定刃
40 フレーム