(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024137578
(43)【公開日】2024-10-07
(54)【発明の名称】路面成型補助部材、及び、路面成型方法
(51)【国際特許分類】
E01C 23/02 20060101AFI20240927BHJP
【FI】
E01C23/02
【審査請求】有
【請求項の数】4
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023067866
(22)【出願日】2023-04-18
(62)【分割の表示】P 2023045138の分割
【原出願日】2023-03-22
(11)【特許番号】
(45)【特許公報発行日】2023-06-09
(71)【出願人】
【識別番号】520110250
【氏名又は名称】PUMP MAN株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100176256
【弁理士】
【氏名又は名称】相田 隆敬
(72)【発明者】
【氏名】小澤 辰矢
【テーマコード(参考)】
2D053
【Fターム(参考)】
2D053AA27
2D053EA21
(57)【要約】
【課題】 排水路か形成された路面を容易かつ美しく成型することが可能な路面成型補助部材を提供する。
【解決手段】 路面成型補助部材1は、路面の成型時に使用されるものであって、本体部2と、複数の筒状部3と、を備えている。筒状部3は、本体部2が載置面上に載置された状態で下方に位置する第1の筒状部3Aと、上方に位置する第2の筒状部3Bと、第1の筒状部3Aと第2の筒状部3Bを上下方向に連接させる連接部37と、を備えており、連接部37は、筒状部3の高さを調整するために、第1の筒状部3Aと第2の筒状部3Bの上下方向での連接位置を変更可能である。本体部2上に打ち込まれた路面成型材料が形状が崩れない程度に硬化した後に、開放機構34を用いて各筒状部3の上面を開放させることで第2の貫通孔31、第1の貫通孔22及び連通管32により排水路が形成される。
【選択図】
図8
【特許請求の範囲】
【請求項1】
路面の成型時に使用される路面成型補助部材であって、
複数の連通管が網状に配置され、前記網状に配置された複数の連通管の少なくとも複数の交差部に複数の第1の貫通孔がそれぞれ形成された本体部と、
前記複数の第1の貫通孔にそれぞれ連通する複数の第2の貫通孔を有し、前記本体部からそれぞれ突出した複数の筒状部と、
を備え、
前記複数の筒状部は、前記本体部が載置面上に載置された状態で上方に向けて突出しており、
各筒状部の上面は、各筒状部の側面に接続された上面部材により閉塞されており、各側面と各上面部材との間には、前記上面を開放させるための開放機構が設けられており、
前記筒状部は、
前記本体部が載置面上に載置された状態で下方に位置する第1の筒状部と、
前記本体部が載置面上に載置された状態で上方に位置する第2の筒状部と、
前記第1の筒状部と前記第2の筒状部を上下方向に連接させる連接部と、
を備え、
前記連接部は、前記筒状部の高さを調整するために、前記第1の筒状部と前記第2の筒状部の上下方向での連接位置を変更可能であり、
前記載置面上に載置された前記本体部上に打ち込まれた路面成型材料が形状が崩れない程度に硬化した後に、前記開放機構を用いて各筒状部の上面を開放させることで前記第2の貫通孔、前記第1の貫通孔及び前記連通管により排水路が形成されることを特徴とする路面成型補助部材。
【請求項2】
前記筒状部は、前記本体部が載置面上に載置された状態で、前記閉塞している上面部材よりも上方に向けて立ち上がった立ち上がり部を備えていることを特徴とする請求項1に記載の路面成型補助部材。
【請求項3】
前記上面部材には、前記本体部が載置面上に載置された状態で、前記側面の上端よりも上方に向けて突出した目印部が形成されていることを特徴とする請求項1に記載の路面成型補助部材。
【請求項4】
複数の連通管が網状に配置され、前記網状に配置された複数の連通管の少なくとも複数の交差部に複数の第1の貫通孔がそれぞれ形成された本体部と、前記複数の第1の貫通孔にそれぞれ連通する複数の第2の貫通孔を有し、前記本体部からそれぞれ突出した複数の筒状部と、を有し、前記複数の筒状部は、前記本体部が載置面上に載置された状態で上方に向けて突出しており、各筒状部の上面は、各筒状部の側面に接続された上面部材により閉塞されており、前記筒状部は、前記本体部が載置面上に載置された状態で下方に位置する第1の筒状部と、前記本体部が載置面上に載置された状態で上方に位置する第2の筒状部と、前記第1の筒状部と前記第2の筒状部を上下方向に連接させる連接部と、を有し、前記連接部は、前記筒状部の高さを調整するために、前記第1の筒状部と前記第2の筒状部の上下方向での連接位置を変更可能であり、各側面と各上面部材との間には、前記上面を開放させるための開放機構が設けられた路面成型補助部材を用いた路面成型方法であって、
前記複数の筒状部が上方になるように前記路面成型補助部材を載置面上に載置する工程と、
前記本体部上に路面成型材料を打ち込む工程と、
前記打ち込まれた路面成型材料が形状が崩れない程度に硬化した後に、前記開放機構を用いて各筒状部の上面を開放させる工程と、
を備えたことを特徴とする路面成型方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、排水路が形成された路面を容易かつ美しく成型することが可能な路面成型補助部材に関する。
【背景技術】
【0002】
従来より、網状に配置された複数の連通管21の複数の交差部に複数の第1の貫通孔22がそれぞれ形成された本体部2と、複数の第1の貫通孔22にそれぞれ連通する複数の第2の貫通孔31を有し、本体部2からそれぞれ突出した複数の筒状部3と、を備え、載置面上に載置された本体部2上の第2の貫通孔31以外の部分にコンクリート等が打ち込まれることで、第2の貫通孔31、第1の貫通孔22及び連通管21により排水路が形成されることを特徴とする路面成型補助部材1が提案されている。(例えば、特許文献1参照)。
【0003】
一方、本体部2上の第2の貫通孔31以外の部分にのみコンクリート等を正確に打ち込むことは困難であり、排水路内にコンクリート等が流れ込んでしまうという問題があったため、上記技術では、筒状部3の第2の貫通孔31の上端に第1の蓋部材4が取り付けられた(嵌め込まれた)状態でコンクリート等が打ち込まれ、コンクリート等の打ち込み後に第1の蓋部材4が取り外されることが開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、上記技術を用いた場合でも、「多数の第1の蓋部材4の取り付け、取り外しを行わなければならない」、「コンクリート等が固まってしまうと第1の蓋部材4の取り外しが難しい(路面もきれいに形成できない」、「コンクリート等が第1の蓋部材4にまで流れた場合、第1の蓋部材4の位置が分からなくなってしまう」という問題があった。
【0006】
そこで、本発明は、排水路が形成された路面を容易かつ美しく成型することが可能な路面成型補助部材を提供することを目的としている。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明は、路面の成型時に使用される路面成型補助部材であって、複数の連通管が網状に配置され、前記網状に配置された複数の連通管の少なくとも複数の交差部に複数の第1の貫通孔がそれぞれ形成された本体部と、前記複数の第1の貫通孔にそれぞれ連通する複数の第2の貫通孔を有し、前記本体部からそれぞれ突出した複数の筒状部と、を備え、前記複数の筒状部は、前記本体部が載置面上に載置された状態で上方に向けて突出しており、各筒状部の上面は、各筒状部の側面に接続された上面部材により閉塞されており、各側面と各上面部材との間には、前記上面を開放させるための開放機構が設けられており、前記載置面上に載置された前記本体部上に打ち込まれた路面成型材料が形状が崩れない程度に硬化した後に、前記開放機構を用いて各筒状部の上面を開放させることで前記第2の貫通孔、前記第1の貫通孔及び前記連通管により排水路が形成されることを特徴とする路面成型補助部材を提供している。
【0008】
このような構成によれば、打ち込まれた路面成型材料が形状が崩れない程度に硬化した後に、開放機構を用いて、多数の筒状部の上面を容易に開放させることが可能となる。また、路面成型材料が硬化してから上面を開放させれば良いので、路面成型材料が排水路内に流れ込むおそれがなくなると共に、硬化する前に上面を開放する必要もない(路面成型材料を放置しておくだけで良い)。
【0009】
また、本発明の別の観点によれば、上記路面成型補助部材を用いた路面成型方法を提供している。
【発明の効果】
【0010】
本発明の路面成型補助部材によれば、排水路が形成された路面を容易かつ美しく成型することが可能となる。
【図面の簡単な説明】
【0011】
【
図1】本発明の実施の形態による路面成型補助部材の使用状態の説明図
【
図2】本発明の実施の形態による路面成型補助部材の平面図
【
図3】本発明の実施の形態による本体部(連通管)の部分側面図
【
図4】本発明の実施の形態による本体部の接続の説明図
【
図7】本発明の実施の形態による路面成型方法のフローチャート
【発明を実施するための形態】
【0012】
以下、本発明の実施の形態による路面成型補助部材1及び路面成型方法について、
図1-
図7を参照して説明する。
【0013】
路面成型補助部材1は、コンクリート、モルタル、セメント、又は、アスファルトによる路面成型時に使用されるものであって、
図1及び
図2に示すように、本体部2と、複数の筒状部3と、を備えている。以下では、コンクリート、モルタル、セメント、又は、アスファルトを路面成型材料と称す。
【0014】
本体部2は、載置面上に載置されるものであり、
図1では、本体部2が、地面Xに敷かれた砕石Y(“載置面”に相当)上に載置された例が示されている。本体部2の素材としては、可撓性を有するものが好ましく、樹脂や生分解性プラスチック等が考えられる。但し、路面成型材料としてアスファルトを用いる場合には、耐熱性の素材を用いることが好ましい。
【0015】
図2に示すように、本体部2は、複数の連通管21が網状に配置され、当該網状に配置された複数の連通管21の少なくとも複数の交差部に複数の第1の貫通孔22がそれぞれ形成されている。網状に配置された複数の連通管21間には空間Sが設けられている。
【0016】
本実施の形態では、
図2に示すように、複数の連通管21は、格子形状を有するように配置されており、複数の第1の貫通孔22は、上下方向(
図2におけす紙面方向)に貫通しており、複数の連通管21全体で、上面23と下面24を有する略平板形状(シート形状)を有している。
【0017】
また、
図1及び
図3に示すように、各連通管21は、下部が開放された凹形状を有している。後述するように、連通管21と載置面との間には貯水が可能であるが、本実施の形態では、複数の連通管21全体で10リットル以上の貯水が可能となるように連通管21のサイズ、本数等が設定されている。
【0018】
本体部2は、
図2及び
図3に示すように、各連通管21の下端部から当該連通管21の外側に向けて略水平方向に延出したリブ部25を備えている。リブ部25は、略水平方向に延出しているので、本体部2が載置面(地面Xに敷かれた砕石Y)に載置された際に、載置面(地面Xに敷かれた砕石Y)に当接することとなる。
【0019】
また、空間Sは、リブ部25の端部によって画定されることとなる。本実施の形態では、空間Sは、上下方向から見て略四角形状に画定されている(
図2では、煩雑化を防ぐために中心部にのみリブ部25を示している)。
【0020】
なお、後述するように、本体部2上には、コンクリート、モルタル、セメント、又は、アスファルト等の路面成型材料が打ち込まれるが、これらの路面成型材料は、空間Sを介して載置面(地面Xに敷かれた砕石Y)と一体に硬化されるので、空間Sは、路面成型材料が通過可能なサイズであることが好ましい。
【0021】
この空間Sのサイズは、使用する路面成型材料に応じて設計することが考えられる。例えば、路面成型材料として生コンクリートを使用する場合、生コンクリートに使用する砂利の大きさは、「最大寸法40mm」「最大寸法20mm(25mm)」の2種類に大きく分けられる。40mmの砂利は、土木工事で多く使用され、20mm(25mm)の砂利は、建築工事で多く使用される。
【0022】
従って、生コンクリートを使用する場合には、空間Sは、砂利が通過可能なサイズであることが好ましい。例えば、20mmの砂利を使用し、対向する連通管21の端部間の距離が40mmの場合には、
図3に示すように、各リブ部25の延出距離は、10mm未満となるように設定することが考えられる。
【0023】
複数の連通管21上には鉄筋等の棒状の補強部材を掛け渡して載置可能であり、連通管21上の補強部材が載置されるべき位置には、補強部材を保持するための保持溝26が形成されている(
図2では、煩雑化を防ぐために一部にのみ保持溝26を示している)。
【0024】
本体部2の端部には、
図2に示すように、接続部27が形成されており、
図4に示すように、一の本体部2Aの端部に形成された接続部27と他の本体部2Bの端部に形成された接続部27とは、互いに接続可能であり、一の本体部2Aの連通管21は、接続部27同士が接続された際に、他の本体部2Bの連通管21と連通する位置に形成されている。
【0025】
接続部27は、本体部2の各辺に設けられ、四方に所望の数だけ他の本体部2(路面成型補助部材1)と接続可能であることが好ましい。接続部27の接続方式としては、様々なものが考えらえるが、後述する不陸にも対応可能なように、接続部27は、本体部2同士が接続された際に多少の遊びを有するように設計されていることが好ましい。
【0026】
複数の筒状部3は、
図1及び
図2に示すように、複数の第1の貫通孔22にそれぞれ連通する複数の第2の貫通孔31を有し、本体部2(上面23)からそれぞれ突出している。複数の筒状部3は、本体部2が載置面上に載置された状態で上方に向けて突出している。筒状部3の素材としては、本体部2と同様に、可撓性を有するものが好ましく、樹脂や生分解性プラスチック等が考えられる。但し、路面成型材料としてアスファルトを用いる場合には、耐熱性の素材を用いることが好ましい。
【0027】
また、上記したように、複数の連通管21上には鉄筋等の補強部材を掛け渡して載置可能であるが、筒状部3の高さは、補強部材の直径よりも高いことが好ましい。保持溝26が形成されている場合には、筒状部3の高さは、(補強部材の直径-保持溝26の深さ)よりも高ければ良い。
【0028】
上記構成の下、本体部2上の第2の貫通孔31以外の部分に(
図1では、筒状部3の上端まで)路面成型材料(
図1では、コンクリートZ)を打ち込むことで、排水路(第2の貫通孔31及び第1の貫通孔22)が形成された路面が成型され、路面上の地表水は、この排水路を介して載置面(砕石Y及び地面X)に排水される。
【0029】
ここで、筒状部3の上端の位置が路面の高さとなるため、筒状部3の上端まで路面成型材料を打ち込む必要があるが、路面成型材料を筒状部3の上端ギリギリまで正確に打ち込むことは難しいため、多くの場合、筒状部3上に路面成型材料が流れてしまう。しかしながら、本実施の形態では、各筒状部3の上面は、
図5及び
図6に示すように、各筒状部3の側面32に接続された上面部材33により閉塞されており、各側面32と各上面部材33との間には、上面を開放させるための開放機構34が設けられている。
【0030】
本実施の形態では、開放機構34として、各側面32と各上面部材33との間に切れ込みが形成されているものとし、ハンマー等で上面部材33を叩くことで、上面部材33を側面32から取り外すことが可能となっている。
【0031】
これにより、打ち込まれた路面成型材料が形状が崩れない程度に硬化した後に、開放機構34を用いて、多数の筒状部3の上面を容易に開放させることが可能となる。また、路面成型材料が硬化してから上面を開放させれば良いので、路面成型材料が排水路内に流れ込むおそれがなくなると共に、硬化する前に上面を開放する必要もない(路面成型材料を放置しておくだけで良い)。
【0032】
また、本実施の形態では、筒状部3は、本体部2が載置面上に載置された状態で、閉塞している上面部材33よりも上方に向けて立ち上がった立ち上がり部35を備えている。
【0033】
これにより、上面を開放させた際に、硬化した路面成型材料が立ち上がり部35を境に綺麗に割れるので、路面を美しく成型することが可能となる。
【0034】
更に、上面部材33には、本体部2が載置面上に載置された状態で、筒状部3の上端よりも上方に向けて突出した目印部36が形成されている。本実施の形態では、立ち上がり部35が筒状部3の上端に相当し、目印部36は、上面部材33の略中央に形成されているものとする。
【0035】
これにより、路面成型材料が上面部材33上に打ち込まれた場合でも、上面部材33の位置を容易に発見することが可能となる。
【0036】
このようにして排水路が形成された結果、路面の下方にある地中に地表水がしみ込むこととなり、地中の水分不足による地盤沈下等の環境問題が生じることが抑制される。また、路面成型補助部材1を用いることで、排水のための水勾配を設ける必要がなくなるので、水平な路面を成型することが可能となる。これにより、地表水が所定の場所に集中して排水されることが防止されるので、河川の氾濫等の環境問題が生じることが抑制されると共に、路面を水平にしたいという要望に応えることも可能となる。
【0037】
また、本実施の形態では、第1の貫通孔22間が連通管21により連通されている。これにより、一の第1の貫通孔22や第2の貫通孔31が外部からの粉塵等によって目詰まりしたとしても、他の第1の貫通孔22や第2の貫通孔31から排水が行われるので、排水機能が損なわれることが抑制される。また、地表水は、連通管21により本体部2全体及び周囲に分散されるので、地表水を地中に満遍なくしみ込ませることが可能となる。更に、地中の水量が多い場合には、連通管21と載置面との間に貯水されるので、地中の水量が自動的に調節される。
【0038】
ところで、地面Xに敷かれた砕石Y等の載置面には、多少なりとも不陸が生じる。そのため、その載置面上に載置された路面成型補助部材1上にコンクリートZ等が打ち込まれると、本体部2は、不陸により歪んだ状態や負荷が強くかけられた状態で周りをコンクリートZ等で固められてしまうこととなり、本体部2の強度が低下してしまうおそれがある。
【0039】
しかしながら、本実施の形態では、網状に配置された複数の連通管21間には空間Sが設けられており、この空間Sの存在により、可撓性を有する連通管21は、不陸に応じて容易に撓むことが可能である。従って、不陸の影響により連通管21の強度が低下し、排水路としての機能が損なわれることが抑制される。更には、各連通管21は、不陸に応じて容易に変形することのできる下部が開放された凹形状を有しているので、これによっても、連通管21の強度が低下し、排水路としての機能が損なわれることが抑制される。また、コンクリート等は、本体部2上に打ち込まれるので、本体部2の分までコンクリート等の強度を増加させることができる。従って、本体部2として、厚みの大きいものを採用すれば、より強度を増加させることが可能となる。
【0040】
一方、上記したように、連通管21は、下部が開放された凹形状を有しており、連通管21間には空間Sが設けられているため、コンクリート等の路面成型材料が打ち込まれた際に、路面成型材料は空間Sから連通管21内に流れ込んでしまい、排水路としての機能が損なわれてしまうおそれがある。
【0041】
しかしながら、本実施の形態では、リブ部25が、各連通管21の下端部から当該連通管21の外側に向けて略水平方向に延出しており、このリブ部25が載置面(地面Xに敷かれた砕石Y)に当接するので、路面成型材料が空間Sから連通管21内に流れ込むことが抑制されている。
【0042】
続いて、
図7のフローチャートを用いて、路面成型補助部材1を用いた路面成型方法について説明する。
【0043】
まず、複数の筒状部3が上方となるように路面成型補助部材1を載置面上に載置する(S1)。
【0044】
続いて、本体部2上に路面成型材料を打ち込む(S2)。この際、路面成型材料は、筒状部3の上端の高さまで打ち込まれることとなるが、筒状部3の上端ギリギリまで打ち込むことは難しいので、本体部2上から溢れた路面成型材料は、上面部材33上に流れ込むこととなる。
【0045】
続いて、打ち込まれた路面成型材料が形状が崩れない程度に硬化した後に(S3:YES)、開放機構34を用いて各筒状部3の上面を開放させることで(S4)、路面の完成とする。本実施の形態では、目印部36付近をハンマー等で叩いて上面部材33を側面32から取り外すものとする。なお、取り外された上面部材33は筒状部3内に落下する可能性もあるが、その場合にはトングやペンチ等で拾えば良い。
【0046】
以上説明したように、本実施の形態による路面成型補助部材1では、各筒状部3の上面は、各筒状部3の側面32に接続された上面部材33により閉塞されており、各側面32と各上面部材33との間には、上面を開放させるための開放機構34が設けられている。
【0047】
このような構成によれば、打ち込まれた路面成型材料が形状が崩れない程度に硬化した後に、開放機構34を用いて、多数の筒状部3の上面を容易に開放させることが可能となる。また、路面成型材料が硬化してから上面を開放させれば良いので、路面成型材料が排水路内に流れ込むおそれがなくなると共に、硬化する前に上面を開放する必要もない(路面成型材料を放置しておくだけで良い)。
【0048】
また、本実施の形態による路面成型補助部材1では、筒状部3は、本体部2が載置面上に載置された状態で、閉塞している上面部材33よりも上方に向けて立ち上がった立ち上がり部35を備えている。
【0049】
このような構成によれば、上面を開放させた際に、硬化した路面成型材料が立ち上がり部35を境に綺麗に割れるので、路面を美しく成型することが可能となる。
【0050】
また、本実施の形態による路面成型補助部材1では、上面部材33には、本体部2が載置面上に載置された状態で、筒状部3の上端よりも上方に向けて突出した目印部36が形成されている。
【0051】
このような構成によれば、路面成型材料が上面部材33上に打ち込まれた場合でも、上面部材33の位置を容易に発見することが可能となる。
【0052】
尚、本発明の路面成型補助部材、及び、路面成型方法は、上述した実施の形態に限定されず、特許請求の範囲に記載した範囲で種々の変形や改良が可能である。
【0053】
例えば、筒状部3の高さを調整可能にしても良い。
【0054】
この場合、
図8に示すように、筒状部3は、本体部2が載置面上に載置された状態で下方に位置する第1の筒状部3Aと、本体部2が載置面上に載置された状態で上方に位置する第2の筒状部3Bと、第1の筒状部3Aと第2の筒状部3Bを上下方向に連接させる連接部37と、を備え、連接部37は、筒状部3の高さを調整するために、第1の筒状部3Aと第2の筒状部3Bの上下方向での連接位置を変更可能である構成が考えられる。
【0055】
図8では、連接部37として、第1の筒状部3Aの内側面と、第2の筒状部3Bの外側面に互いに嵌合するネジが切られており、ネジを回す量を調整することで第1の筒状部3Aと第2の筒状部3Bの上下方向での連接位置を変更する例が示されている。
【0056】
このような構成によれば、筒状部3の高さを調整可能となるので、地盤の状況等に応じて、路面成型材料の打ち込み量や排水路の貯水量を調整することが可能となる。
【0057】
なお、ネジを回す量により複数の筒状部3間で高さに差異が生じる可能性があるので、第1の筒状部3Aと第2の筒状部3Bが、設定された複数の連接位置に容易に位置できるように連接部37を構成しても良い。例えば、双方のネジ山に僅かな突起等を設け、設定された連接位置で突起同士が当接することで、ネジの回転がいったん停止する構成等が考えられる。また、ネジがどれくらい回転されたかを把握可能とするために、回転位置を示す目印を筒状部3に設けても良い。
【0058】
また、上記実施の形態では、筒状部3は円筒形状を有していたが、
図9に示すように円錐台形状を有していても良い。この場合、排水口を小さくしながら、排水路の貯水量を大きくすることが可能となる。また、筒状部3の耐荷重も増加させることが可能となる。なお、この場合にも、筒状部3を、第1の筒状部3A、第2の筒状部3B、及び、連接部37から構成し、筒状部3の高さを調整可能にしても良いことはもちろんである。
【0059】
また、上記実施の形態では、筒状部3は、立ち上がり部35を備えていたが、必ずしも備えていなくても良い。この場合には、上面部材33は、側面32の上端に接続されることとなる。
【0060】
また、上記実施の形態では、開放機構34として、切れ込みを採用したが、点線や蝶番等の他の部材を採用しても良い。
【0061】
また、上記実施の形態では、網状に配置された複数の連通管21の全ての交差部に第1の貫通孔22がそれぞれ形成されていたが、一部の交差部にのみ形成されていても良い。
【0062】
また、上記実施の形態では、連通管21は、矩形の本体部2の辺に平行に延びる格子を形成していたが、斜め等の他の方向に延びる格子を形成しても良い。また、連通管21は、必ずしも格子を形成する必要もなく、網状であれば様々なパターンで形成することができる。
【0063】
また、上記実施の形態では、鉄筋等の補強部材は、連通管21と略平行に連通管21上に載置されたが、連通管21に対して斜め(約45度等)に載置しても良い。この場合、補強部材が載置されるべき位置(保持溝26)が多くなるので、補強部材を、より確実に支持することが可能となる。
【0064】
また、上記実施の形態では、連通管21として、凹状溝を例に説明したが、筒状等の他の構造を用いても良い。筒状の場合には、下部に排水孔が形成されていることが好ましい。
【0065】
また、上記実施の形態では、本体部2は、地面Xに敷かれた砕石Y(“載置面”に相当)上に載置されたが、地面Xに直接載置されても良く、この場合には、地面Xが“載置面”に相当することとなる。
【0066】
また、上記実施の形態では、本体部2及び筒状部3に、可撓性を有する素材が用いられたが、必ずしも可撓性を有する素材には限定されない。
【0067】
また、上記実施の形態では、網状に配置された複数の連通管21間には空間Sが設けられていたが、必ずしも設けられていなくても良い。
【符号の説明】
【0068】
1 路面成型補助部材
2 本体部
3 筒状部
3A 第1の筒状部
3B 第2の筒状部
4 第1の蓋部材
21 連通管
22 第1の貫通孔
23 上面
24 下面
25 リブ部
26 保持溝
27 接続部
31 第2の貫通孔
32 側面
33 上面部材
34 開放機構
35 立ち上がり部
36 目印部
37 連接部
S 空間
X 地面
Y 砕石
Z コンクリート