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特開2024-137579光学フィルム用粘着剤組成物、粘着シート、光学部材、及び表示装置
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024137579
(43)【公開日】2024-10-07
(54)【発明の名称】光学フィルム用粘着剤組成物、粘着シート、光学部材、及び表示装置
(51)【国際特許分類】
   C09J 133/14 20060101AFI20240927BHJP
   C09J 163/00 20060101ALI20240927BHJP
   C09J 175/04 20060101ALI20240927BHJP
   C09J 7/38 20180101ALI20240927BHJP
   B32B 27/00 20060101ALI20240927BHJP
   G02B 5/30 20060101ALI20240927BHJP
   G02F 1/1335 20060101ALN20240927BHJP
【FI】
C09J133/14
C09J163/00
C09J175/04
C09J7/38
B32B27/00 M
G02B5/30
G02F1/1335 510
【審査請求】未請求
【請求項の数】9
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023069183
(22)【出願日】2023-04-20
(31)【優先権主張番号】P 2023049043
(32)【優先日】2023-03-24
(33)【優先権主張国・地域又は機関】JP
(71)【出願人】
【識別番号】000004592
【氏名又は名称】日本カーバイド工業株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110001519
【氏名又は名称】弁理士法人太陽国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】岡崎 恭貴
(72)【発明者】
【氏名】今岡 剛
(72)【発明者】
【氏名】長谷川 良
(72)【発明者】
【氏名】福田 樹
【テーマコード(参考)】
2H149
2H291
4F100
4J004
4J040
【Fターム(参考)】
2H149AA13
2H149AB16
2H149BA02
2H149BA13
2H149CA02
2H149DA04
2H149DA05
2H149DA12
2H149EA02
2H149EA12
2H149EA22
2H149FA02X
2H149FA02Z
2H149FA03W
2H149FA04Z
2H149FA05X
2H149FA05Y
2H149FA08X
2H149FA12X
2H149FA12Z
2H149FA13Z
2H149FA14Z
2H149FA15Z
2H149FA66
2H149FD21
2H149FD22
2H149FD25
2H291FA22X
2H291FA22Z
2H291FA95X
2H291FA95Z
2H291FB02
2H291FD34
2H291FD35
2H291GA05
2H291LA40
4F100AH03A
4F100AH03H
4F100AK25A
4F100AK25J
4F100AL01A
4F100AL05A
4F100AL05G
4F100AT00
4F100BA02
4F100CA02A
4F100CA02H
4F100CB02A
4F100CB02G
4F100GB41
4F100JL04
4F100JN10
4J004AA10
4J004AA13
4J004AA14
4J004AB01
4J004FA08
4J040DF061
4J040EC001
4J040EF181
4J040EF281
4J040HD32
4J040JB09
4J040KA14
4J040NA17
(57)【要約】
【課題】高温低湿環境下における耐久性及び光学フィルムの収縮抑制、並びに、加工性に優れる粘着剤層を形成できる光学フィルム用粘着剤組成物等の提供。
【解決手段】水酸基を有する単量体単位を全構成単位に対して0質量%を超えて1.0質量%以下の割合で含み、カルボキシ基を有する単量体単位を含まない(メタ)アクリル系共重合体と、芳香族イソシアネート系架橋剤と、エポキシ系架橋剤と、を含み、芳香族イソシアネート系架橋剤の含有量が上記共重合体100質量部に対して0.5質量部~30質量部であり、式(A)により求められる官能基比率が0.020~4.0である光学フィルム用粘着剤組成物。
官能基比率=[NCO]×[OH]/[EP]・・・(A)
OH:共重合体中の水酸基のモル数
NCO:芳香族イソシアネート系架橋剤中のイソシアネート基のモル数
EP:エポキシ系架橋剤中のエポキシ基のモル数
【選択図】なし
【特許請求の範囲】
【請求項1】
水酸基を有する単量体に由来する構成単位を全構成単位に対して0質量%を超えて1.0質量%以下の割合で含み、かつ、カルボキシ基を有する単量体に由来する構成単位を含まない(メタ)アクリル系共重合体と、
芳香族イソシアネート系架橋剤と、
エポキシ系架橋剤と、
を含み、
前記芳香族イソシアネート系架橋剤の含有量が、前記(メタ)アクリル系共重合体100質量部に対して0.5質量部~30質量部であり、
下記式(A)により求められる官能基比率が、0.020~4.0である光学フィルム用粘着剤組成物。
官能基比率=[NCO]×[OH]/[EP]・・・(A)
OH:前記(メタ)アクリル系共重合体中の水酸基のモル数(mmol)
NCO:前記芳香族イソシアネート系架橋剤中のイソシアネート基のモル数(mmol)
EP:前記エポキシ系架橋剤中のエポキシ基のモル数(mmol)
【請求項2】
前記(メタ)アクリル系共重合体の重量平均分子量が、40万~250万である請求項1に記載の光学フィルム用粘着剤組成物。
【請求項3】
さらに、シランカップリング剤を含む請求項1に記載の光学フィルム用粘着剤組成物。
【請求項4】
さらに、架橋触媒を含む請求項1に記載の光学フィルム用粘着剤組成物。
【請求項5】
請求項1~請求項4のいずれか1項に記載の光学フィルム用粘着剤組成物により形成された粘着剤層を備える粘着シート。
【請求項6】
光学フィルムと、
前記光学フィルムの少なくとも片面に設けられ、かつ、請求項1~請求項4のいずれか1項に記載の光学フィルム用粘着剤組成物により形成された粘着剤層と、
を備える粘着シート。
【請求項7】
前記光学フィルムが、偏光板である請求項6に記載の粘着シート。
【請求項8】
ガラス基板と、
請求項1~請求項4のいずれか1項に記載の光学フィルム用粘着剤組成物により形成された粘着剤層と、
光学フィルムと、
をこの順に備える光学部材。
【請求項9】
請求項8に記載の光学部材を備える表示装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、光学フィルム用粘着剤組成物、粘着シート、光学部材、及び表示装置に関する。
【背景技術】
【0002】
液晶表示装置は、一般に、2枚の支持基板の間に液晶層が挟持された液晶セルと、偏光板、位相差フィルム、輝度向上フィルム等の光学フィルムとを備えている。液晶セルと光学フィルム、及び、光学フィルム同士を積層して液晶表示装置を製造する際には、これらの部材が粘着剤組成物により形成される粘着剤層を介して貼合される。液晶表示装置では、視認性を確保する観点から、(メタ)アクリル系の粘着剤組成物が多用されている。
【0003】
例えば、特許文献1には、カルボキシ基を実質的に含有しないアクリル系ポリマー100質量部と、1分子中にグリシジル基を2個以上有する分子量1000以下の化合物0.3質量部以上20質量部以下と、を含む光学用粘着剤組成物が開示されている。
また、特許文献2には、主成分モノマーの少なくとも2種以上の合計100重量部に対して、水酸基含有共重合性ビニルモノマー0.1重量部~3.5重量部を、カルボキシ基含有共重合性ビニルモノマー及びアミノ基含有(メタ)アクリレートを含有せずに共重合させた、酸価が0.1以下であり、重量平均分子量が100万以上の共重合体であるアクリル系ポリマーと、架橋剤としてイソシアネート化合物0.01重量部~0.8重量部と、シランカップリング剤0.01重量部~0.5重量部とを含有してなり、上記イソシアネート化合物が、トリレンジイソシアネートのトリメチロールプロパンアダクト体であり、架橋後のゲル分率が40%超過75%未満である粘着剤組成物が開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】国際公開第2014/163003号
【特許文献2】特開2019-073721号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
偏光板等の光学フィルムは、通常、収縮率の異なる複数の部材を積層して構成されているため、温度及び/又は湿度の変化によって寸法変化が生じやすい。このため、粘着剤層を介して光学フィルムを貼り合わせた被着体が高温環境下(例えば、高温低湿環境下及び高温高湿環境下)に置かれると、光学フィルムが収縮し、粘着剤層及び/又は光学フィルムにシワが生じる、粘着剤層が被着体から剥がれる等の不具合が発生することがある。特に近年、光学ディスプレイの大型化に伴い、必要とされる光学フィルムの面積が大きくなり、光学フィルムの総収縮量もこれまで以上に大きくなっているため、上記のような不具合が発生しやすい傾向にある。また、粘着剤層を介して光学フィルムを貼り合わせた被着体が高温環境下に置かれると、光学フィルム及び/又は粘着剤層に含まれる水分が揮発し、粘着剤層と、光学フィルム及び/又は被着体との界面で発泡が生じることもある。このため、光学フィルムに用いられる粘着剤組成物には、高温環境下において生じ得る上記のような発泡、シワ及び剥がれを抑制できる粘着剤層(所謂、耐久性に優れる粘着剤層)を形成できることが求められる。
【0006】
一般に、光学フィルムの収縮に起因して生じるシワ及び剥がれを抑制するためには、光学フィルムの収縮により生じた応力を粘着剤層により緩和することが考えられる。しかし、粘着剤層の応力緩和性を高めるために粘着剤層を柔らかくすると、発泡が生じやすくなる。また、粘着剤層を柔らかくすると、粘着剤層付きの光学フィルムを裁断加工する際に粘着剤層が切断面からはみ出し、裁断刃に付着しやすくなるため、光学フィルムの汚染が生じやすくなる。さらに、粘着剤層を柔らかくすると、光学フィルムの収縮量が大きくなるため、例えば、画像表示装置の画像表示可能領域が小さくなるという問題が生じ得る。
【0007】
粘着剤層の高温環境下における耐久性を向上させるためには、粘着剤層の凝集力を高めることも考えられる。粘着剤層の凝集力を高める方法としては、粘着剤組成物の成分としてカルボキシ基を有する樹脂を用いる方法がある。しかし、画像表示装置には、銅等の金属、酸化インジウムスズ(ITO:Indium-Tin Oxide)等の金属酸化物などが多く用いられている。カルボキシ基を有する成分は、酸性度が比較的高く、金属及び金属酸化物を腐食させる要因となり得る。このため、光学フィルムに用いられる粘着剤組成物には、カルボキシ基を有する成分を含まない設計が求められる。
【0008】
以上のような事情から、高温環境下における耐久性及び光学フィルムの収縮抑制、並びに、加工性の全てを高いレベルで兼ね備える粘着剤層の形成を実現することは、従来困難であった。
【0009】
上述の点に関し、特許文献1及び特許文献2には、高温環境下における耐久性及び光学フィルムの収縮抑制、並びに、加工性を兼ね備える粘着剤層を形成することについての着目はない。
【0010】
本開示は、上記のような状況に鑑みてなされたものである。
本開示の一実施形態が解決しようとする課題は、高温低湿環境下における耐久性及び光学フィルムの収縮抑制、並びに、加工性に優れる粘着剤層を形成できる光学フィルム用粘着剤組成物を提供することにある。
本開示の他の実施形態によれば、高温低湿環境下における耐久性及び光学フィルムの収縮抑制、並びに、加工性に優れる粘着剤層を備える粘着シート、光学部材、及び表示装置を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0011】
課題を解決するための具体的手段には、以下の態様が含まれる。
<1> 水酸基を有する単量体に由来する構成単位を全構成単位に対して0質量%を超えて1.0質量%以下の割合で含み、かつ、カルボキシ基を有する単量体に由来する構成単位を含まない(メタ)アクリル系共重合体と、
芳香族イソシアネート系架橋剤と、
エポキシ系架橋剤と、
を含み、
上記芳香族イソシアネート系架橋剤の含有量が、上記(メタ)アクリル系共重合体100質量部に対して0.5質量部~30質量部であり、
下記式(A)により求められる官能基比率が、0.020~4.0である光学フィルム用粘着剤組成物。
官能基比率=[NCO]×[OH]/[EP]・・・(A)
OH:上記(メタ)アクリル系共重合体中の水酸基のモル数(mmol)
NCO:上記芳香族イソシアネート系架橋剤中のイソシアネート基のモル数(mmol)
EP:上記エポキシ系架橋剤中のエポキシ基のモル数(mmol)
<2> 上記(メタ)アクリル系共重合体の重量平均分子量が、40万~250万である<1>に記載の光学フィルム用粘着剤組成物。
<3> さらに、シランカップリング剤を含む<1>又は<2>に記載の光学フィルム用粘着剤組成物。
<4> さらに、架橋触媒を含む<1>~<3>のいずれか1つに記載の光学フィルム用粘着剤組成物。
<5> <1>~<4>のいずれか1つに記載の光学フィルム用粘着剤組成物により形成された粘着剤層を備える粘着シート。
<6> 光学フィルムと、
上記光学フィルムの少なくとも片面に設けられ、かつ、<1>~<4>のいずれか1つに記載の光学フィルム用粘着剤組成物により形成された粘着剤層と、
を備える粘着シート。
<7> 上記光学フィルムが、偏光板である<6>に記載の粘着シート。
<8> ガラス基板と、
<1>~<4>のいずれか1つに記載の光学フィルム用粘着剤組成物により形成された粘着剤層と、
光学フィルムと、
をこの順に備える光学部材。
<9> <8>に記載の光学部材を備える表示装置。
【発明の効果】
【0012】
本開示の一実施形態によれば、高温低湿環境下における耐久性及び光学フィルムの収縮抑制、並びに、加工性に優れる粘着剤層を形成できる光学フィルム用粘着剤組成物が提供される。
本開示の他の実施形態によれば、高温低湿環境下における耐久性及び光学フィルムの収縮抑制、並びに、加工性に優れる粘着剤層を備える粘着シート、光学部材、及び表示装置が提供される。
【発明を実施するための形態】
【0013】
以下、本開示の光学フィルム用粘着剤組成物、粘着シート、光学部材、及び表示装置について、詳細に説明する。以下に記載する要件の説明は、本開示の代表的な実施態様に基づいてなされることがあるが、本開示は、そのような実施態様に限定されるものではなく、本開示の目的の範囲内において、適宜、変更を加えて実施できる。
【0014】
本開示において「~」を用いて示された数値範囲は、「~」の前後に記載される数値をそれぞれ下限値及び上限値として含む範囲を意味する。
本開示に段階的に記載されている数値範囲において、ある数値範囲で記載された上限値又は下限値は、他の段階的な記載の数値範囲の上限値又は下限値に置き換えてもよい。また、本開示に記載されている数値範囲において、ある数値範囲で記載された上限値又は下限値は、実施例に示されている値に置き換えてもよい。
【0015】
本開示において、2以上の好ましい態様の組み合わせは、より好ましい態様である。
【0016】
本開示において、光学フィルム用粘着剤組成物中の各成分の量は、光学フィルム用粘着剤組成物中に各成分に該当する物質が複数存在する場合には、特に断らない限り、光学フィルム用粘着剤組成物中に存在する上記複数の物質の合計量を意味する。
【0017】
本開示において、「(メタ)アクリル系単量体」とは、(メタ)アクリロイル基を有する単量体を意味する。
本開示において、「(メタ)アクリル系共重合体」とは、(メタ)アクリル系単量体に由来する構成単位を含み、かつ、(メタ)アクリル系単量体に由来する構成単位の占める割合が50質量%以上である共重合体を意味する。
【0018】
本開示において、「(メタ)アクリル」は「アクリル」及び「メタクリル」の両方を包含する用語であり、「(メタ)アクリレート」は「アクリレート」及び「メタクリレート」の両方を包含する用語であり、「(メタ)アクリロイル」は「アクリロイル」及び「メタクリロイル」の両方を包含する用語であり、「(メタ)アクリルアミド」は、「アクリルアミド」及び「メタクリルアミド」の両方を包含する用語である。
【0019】
本開示において、「n-」はノルマルを意味し、「i-」はイソを意味し、「s-」はセカンダリーを意味し、「t-」はターシャリーを意味する。
【0020】
本開示において、「質量%」と「重量%」とは同義であり、「質量部」と「重量部」とは同義である。
【0021】
本開示において、「ポリマー」と「重合体」とは、同義である。
【0022】
本開示において、「室温」とは、20℃~35℃を意味する。
【0023】
本開示において「工程」との語は、独立した工程だけでなく、他の工程と明確に区別できない場合であっても、その工程の所期の目的が達成されれば、本用語に含まれる。
【0024】
本開示では、「水酸基を有する単量体に由来する構成単位を全構成単位に対して0質量%を超えて1.0質量%以下の割合で含み、かつ、カルボキシ基を有する単量体に由来する構成単位を含まない(メタ)アクリル系共重合体」を「特定(メタ)アクリル系共重合体」ともいう。また、本開示では、「式(A)により求められる官能基比率」を「官能基比率(A)」ともいう。
【0025】
[光学フィルム用粘着剤組成物]
本開示の光学フィルム用粘着剤組成物(以下、単に「粘着剤組成物」ともいう。)は、水酸基を有する単量体に由来する構成単位を全構成単位に対して0質量%を超えて1.0質量%以下の割合で含み、かつ、カルボキシ基を有する単量体に由来する構成単位を含まない(メタ)アクリル系共重合体〔即ち、特定(メタ)アクリル系共重合体〕と、芳香族イソシアネート系架橋剤と、エポキシ系架橋剤と、を含み、芳香族イソシアネート系架橋剤の含有量が、特定(メタ)アクリル系共重合体100質量部に対して0.5質量部~30質量部であり、式(A)により求められる官能基比率〔即ち、官能基比率(A)〕が、0.020~4.0である。
本開示の粘着剤組成物は、上記のような構成を有することで、高温低湿環境下における耐久性及び光学フィルムの収縮抑制、並びに、加工性に優れる粘着剤層を形成できる。
本開示の粘着剤組成物がこのような効果を奏し得る理由については明らかでないが、本発明者らは以下のように推測している。但し、以下の推測は、本開示の粘着剤組成物を限定的に解釈するものではなく、一例として説明するものである。
【0026】
本発明者らは、水酸基を有する単量体に由来する構成単位を含み、かつ、カルボキシ基を有する単量体に由来する構成単位を含まない(メタ)アクリル系共重合体、芳香族イソシアネート系架橋剤、及び、エポキシ系架橋剤の反応に着目した。詳細には、本発明者らは、水酸基を有する単量体に由来する構成単位を含み、かつ、カルボキシ基を有する単量体に由来する構成単位を含まない(メタ)アクリル系共重合体と、芳香族イソシアネート系架橋剤との反応、及び、芳香族イソシアネート系架橋剤とエポキシ系架橋剤との反応に着目し、この反応を制御することで、粘着剤層に適切な凝集力及び応力緩和性を発現させ、高温低湿環境下における耐久性及び光学フィルムの収縮抑制、並びに、加工性の全てを高いレベルで兼ね備える粘着剤層の形成を実現した。
本開示の粘着剤組成物は、(メタ)アクリル系共重合体と、芳香族イソシアネート系架橋剤及びエポキシ系架橋剤の2種類の架橋剤とを含み、(メタ)アクリル系共重合体は、水酸基を有する単量体に由来する構成単位を比較的少量含み、かつ、カルボキシ基を有する単量体に由来する構成単位を含まない。このため、本開示の粘着剤組成物では、(メタ)アクリル系共重合体と芳香族イソシアネート系架橋剤との架橋反応は、一般的な養生の温度条件(所謂、室温)でも速やかに進行するのに対し、(メタ)アクリル系共重合体とエポキシ系架橋剤との架橋反応は、(メタ)アクリル系共重合体と芳香族イソシアネート系架橋剤との架橋反応に比べて進行が遅い。一方で、芳香族イソシアネート系架橋剤とエポキシ系架橋剤との反応は、室温でも速やかに進行する。この反応によれば、これらの架橋剤同士の縮合物が生成される。
本開示の粘着剤組成物では、(メタ)アクリル系共重合体と芳香族イソシアネート系架橋剤とが反応し、架橋構造が形成されることで発現する粘着剤層の凝集力が、高温低湿環境下において生じ得る発泡の抑制、高温低湿環境下における光学フィルムの収縮抑制、及び、加工性の向上に寄与すると考えられる。また、本開示の粘着剤組成物では、架橋剤同士の縮合物の生成により発現する粘着剤層の応力緩和性が、高温低湿環境下において生じ得るシワ及び剥がれの抑制に寄与すると考えられる。
本開示の粘着剤組成物によれば、粘着剤層に適切な凝集力及び応力緩和性を発現させることができるため、本開示の粘着剤組成物により形成される粘着剤層は、高温低湿環境下における耐久性及び光学フィルムの収縮抑制、並びに、加工性に優れると推測される。
【0027】
また、本開示の粘着剤組成物は、(メタ)アクリル系共重合体がカルボキシ基を有する単量体に由来する構成単位を含まないため、例えば、透明導電膜(例えば、ITO膜)を表面に備える液晶セルのガラス基板と、偏光板との貼り合わせに用いた場合であっても、透明導電膜の腐食が起こり難い粘着剤層の形成も実現できる。
【0028】
〔特定(メタ)アクリル系共重合体〕
本開示の粘着剤組成物は、水酸基を有する単量体に由来する構成単位を全構成単位に対して0質量%を超えて1.0質量%以下の割合で含み、かつ、カルボキシ基を有する単量体に由来する構成単位を含まない(メタ)アクリル系共重合体〔即ち、特定(メタ)アクリル系共重合体〕を含む。
本開示の粘着剤組成物は、特定(メタ)アクリル系共重合体を1種のみ含んでいてもよく、2種以上含んでいてもよい。
【0029】
<水酸基を有する単量体に由来する構成単位>
特定(メタ)アクリル系共重合体は、水酸基を有する単量体に由来する構成単位を全構成単位に対して0質量%を超えて1.0質量%以下の割合で含む。本開示において、「水酸基を有する単量体に由来する構成単位」とは、水酸基を有する単量体が付加重合して形成される構成単位を意味する。
【0030】
水酸基を有する単量体の種類は、特に限定されない。
水酸基を有する単量体としては、例えば、1分子中に少なくとも1つの水酸基とエチレン性不飽和基とを有する単量体が挙げられる。
エチレン性不飽和基としては、特に限定されず、例えば、ビニル基、アリル基、ビニルフェニル基、(メタ)アクリルアミド基、及び(メタ)アクリロイル基が挙げられる。
エチレン性不飽和基としては、(メタ)アクリロイル基が好ましい。
【0031】
水酸基を有する単量体の具体例としては、2-ヒドロキシエチル(メタ)アクリレート、2-ヒドロキシプロピル(メタ)アクリレート、3-ヒドロキシプロピル(メタ)アクリレート、4-ヒドロキシブチル(メタ)アクリレート、6-ヒドロキシヘキシル(メタ)アクリレート、10-ヒドロキシデシル(メタ)アクリレート、12-ヒドロキシラウリル(メタ)アクリレート、3-メチル-3-ヒドロキシブチル(メタ)アクリレート、1,1-ジメチル-3-ヒドロキシブチル(メタ)アクリレート、1,3-ジメチル-3-ヒドロキシブチル(メタ)アクリレート、2,2,4-トリメチル-3-ヒドロキシペンチル(メタ)アクリレート、2-エチル-3-ヒドロキシヘキシル(メタ)アクリレート、N-ヒドロキシエチル(メタ)アクリルアミド、グリセリンモノ(メタ)アクリレート、ポリプロピレングリコールモノ(メタ)アクリレート、ポリエチレングリコールモノ(メタ)アクリレート、及びポリ(エチレングリコール-プロピレングリコール)モノ(メタ)アクリレートが挙げられる。
水酸基を有する単量体としては、ヒドロキシアルキル(メタ)アクリレートが好ましく、炭素数が2~4のヒドロキシアルキル基を有するヒドロキシアルキル(メタ)アクリレートがより好ましく、2-ヒドロキシエチルアクリレート又は4-ヒドロキシブチルアクリレートが更に好ましく、2-ヒドロキシエチルアクリレートが特に好ましい。
【0032】
特定(メタ)アクリル系共重合体は、水酸基を有する単量体に由来する構成単位を1種のみ含んでいてもよく、2種以上含んでいてもよい。
【0033】
特定(メタ)アクリル系共重合体における水酸基を有する単量体に由来する構成単位の含有率は、特定(メタ)アクリル系共重合体の全構成単位に対して、0質量%を超えて1.0質量%以下である。
特定(メタ)アクリル系共重合体における水酸基を有する単量体に由来する構成単位の含有率が、特定(メタ)アクリル系共重合体の全構成単位に対して0質量%を超えるとは、特定(メタ)アクリル系共重合体が水酸基を有する単量体に由来する構成単位を含むことを意味する。特定(メタ)アクリル系共重合体が水酸基を有する単量体に由来する構成単位を含むことで、架橋反応が進行し得る。本開示の粘着剤組成物において、特定(メタ)アクリル系共重合体中の水酸基を有する単量体に由来する構成単位は、高温低湿環境下における耐久性及び光学フィルムの収縮抑制、並びに、加工性に優れる粘着剤層の形成に寄与する。特定(メタ)アクリル系共重合体における水酸基を有する単量体に由来する構成単位の含有率は、例えば、特定(メタ)アクリル系共重合体の全構成単位に対して、0.01質量%以上であることが好ましく、0.05質量%以上であることがより好ましく、0.1質量%以上であることが更に好ましい。
特定(メタ)アクリル系共重合体における水酸基を有する単量体に由来する構成単位の含有率が、特定(メタ)アクリル系共重合体の全構成単位に対して1.0質量%以下であると、形成される粘着剤層が高温低湿環境下において優れた耐久性を示す傾向にある。この理由としては、以下のことが考えられる。特定(メタ)アクリル系共重合体とエポキシ系架橋剤との架橋反応が起こり難くなり、架橋剤同士の縮合物、すなわち、芳香族イソシアネート系架橋剤及びエポキシ系架橋剤の縮合物が生成される。この生成される縮合物により発現する粘着剤層の応力緩和性が、高温低湿環境下において生じ得るシワ及び剥がれの抑制に寄与すると考えられる。
特定(メタ)アクリル系共重合体における水酸基を有する単量体に由来する構成単位の含有率は、特定(メタ)アクリル系共重合体の全構成単位に対して、0.8質量%以下であることが好ましく、0.6質量%以下であることがより好ましく、0.4質量%以下であることが更に好ましい。
特定(メタ)アクリル系共重合体における水酸基を有する単量体に由来する構成単位の含有率は、ある態様では、0.01質量%~1.0質量%であってもよく、0.05質量%~1.0質量%であってもよく、0.05質量%~0.8質量%であってもよく、0.1質量%~0.6質量%であってもよく、0.1質量%~0.4質量%であってもよい。
【0034】
<カルボキシ基を有する単量体に由来する構成単位>
特定(メタ)アクリル系共重合体は、カルボキシ基を有する単量体に由来する構成単位を含まない。本開示において、「カルボキシ基を有する単量体に由来する構成単位」とは、カルボキシ基を有する単量体が付加重合して形成される構成単位を意味する。
【0035】
カルボキシ基を有する成分は、酸性度が比較的高く、金属を腐食させる要因となり得る。本開示の粘着剤組成物は、特定(メタ)アクリル系共重合体がカルボキシ基を有する単量体に由来する構成単位を含まないため、形成される粘着剤層を、例えば、透明導電膜(例えば、ITO膜)を表面に備える液晶セルのガラス基板と、偏光板との貼り合わせに用いた場合であっても、透明導電膜の腐食が起こり難い。
【0036】
カルボキシ基を有する単量体の種類は、特に限定されない。
カルボキシ基を有する単量体としては、例えば、1分子中に少なくとも1つのカルボキシ基とエチレン性不飽和基とを有する単量体が挙げられる。
エチレン性不飽和基としては、特に限定されず、例えば、ビニル基、アリル基、ビニルフェニル基、(メタ)アクリルアミド基、及び(メタ)アクリロイル基が挙げられる。
【0037】
カルボキシ基を有する単量体の具体例としては、(メタ)アクリル酸、クロトン酸、マレイン酸、フマル酸、イタコン酸、グルタコン酸、シトラコン酸、ω-カルボキシ-ポリカプロラクトンモノ(メタ)アクリレート〔例えば、ω-カルボキシ-ポリカプロラクトン(n≒2)モノアクリレート〕、及びコハク酸誘導体(例えば、2-アクリロイルオキシエチル-コハク酸)が挙げられる。
【0038】
<(メタ)アクリル酸アルキルエステル単量体に由来する構成単位>
特定(メタ)アクリル系共重合体は、(メタ)アクリル酸アルキルエステル単量体に由来する構成単位を含むことが好ましい。本開示において、「(メタ)アクリル酸アルキルエステル単量体に由来する構成単位」とは、(メタ)アクリル酸アルキルエステル単量体が付加重合して形成される構成単位を意味する。
なお、本開示における「(メタ)アクリル酸アルキルエステル単量体」には、水酸基を有する単量体に該当する単量体、及び、カルボキシ基を有する単量体に該当する単量体は包含されないものとする。すなわち、水酸基を有する単量体が(メタ)アクリル酸アルキルエステル単量体にも該当する場合は、水酸基を有する単量体として分類する。また、カルボキシ基を有する単量体が(メタ)アクリル酸アルキルエステル単量体にも該当する場合は、カルボキシ基を有する単量体として分類する。
【0039】
(メタ)アクリル酸アルキルエステル単量体の種類は、特に限定されない。
(メタ)アクリル酸アルキルエステル単量体は、アクリル酸アルキルエステル単量体であってもよく、メタクリル酸アルキルエステル単量体であってもよい。
(メタ)アクリル酸アルキルエステル単量体が有するアルキル基は、無置換であってもよく、置換基(但し、水酸基及びカルボキシ基を除く。)を有していてもよいが、無置換であることが好ましい。
(メタ)アクリル酸アルキルエステル単量体が有するアルキル基は、直鎖状、分岐鎖状、又は環状のいずれであってもよい。
(メタ)アクリル酸アルキルエステル単量体が有するアルキル基の炭素数は、例えば、1~18であることが好ましく、1~12であることがより好ましく、1~8であることが更に好ましく、1~4であることが特に好ましい。
【0040】
(メタ)アクリル酸アルキルエステル単量体の具体例としては、メチル(メタ)アクリレート、エチル(メタ)アクリレート、n-ブチル(メタ)アクリレート、i-ブチル(メタ)アクリレート、s-ブチル(メタ)アクリレート、t-ブチル(メタ)アクリレート、n-オクチル(メタ)アクリレート、i-オクチル(メタ)アクリレート、2-エチルヘキシル(メタ)アクリレート、n-ノニル(メタ)アクリレート、i-ノニル(メタ)アクリレート、n-デシル(メタ)アクリレート、ステアリル(メタ)アクリレート、ラウリル(メタ)アクリレート、シクロヘキシル(メタ)アクリレート、及びイソボルニル(メタ)アクリレートが挙げられる。
(メタ)アクリル酸アルキルエステル単量体としては、n-ブチルアクリレート及びメチルアクリレートから選ばれる少なくとも1種が好ましい。
【0041】
特定(メタ)アクリル系共重合体は、(メタ)アクリル酸アルキルエステル単量体に由来する構成単位を含む場合、(メタ)アクリル酸アルキルエステル単量体に由来する構成単位を1種のみ含んでいてもよく、2種以上含んでいてもよい。
【0042】
特定(メタ)アクリル系共重合体が(メタ)アクリル酸アルキルエステル単量体に由来する構成単位を含む場合、(メタ)アクリル酸アルキルエステル単量体に由来する構成単位の含有率は、特に限定されないが、例えば、特定(メタ)アクリル系共重合体の全構成単位に対して、50質量%以上であることが好ましく、50質量%~99.99質量%であることがより好ましく、60質量%~99.99質量%であることが更に好ましく、70質量%~99.99質量%であることが好ましく、
ここで、特定(メタ)アクリル系共重合体における(メタ)アクリル酸アルキルエステル単量体に由来する構成単位の含有率が、特定(メタ)アクリル系共重合体の全構成単位に対して50質量%以上であることは、(メタ)アクリル酸アルキルエステル単量体に由来する構成単位が、特定(メタ)アクリル系共重合体の構成単位の主成分として含まれていることを意味する。
【0043】
<その他の単量体に由来する構成単位>
特定(メタ)アクリル系共重合体は、水酸基を有する単量体及び(メタ)アクリル酸アルキルエステル単量体のいずれにも該当しない単量体(所謂、その他の単量体)に由来する構成単位を含んでいてもよい。本開示において、「その他の単量体に由来する構成単位」とは、その他の単量体が付加重合して形成される構成単位を意味する。
【0044】
その他の単量体に由来する構成単位としては、例えば、ベンジル(メタ)アクリレート及びフェノキシエチル(メタ)アクリレートに代表される芳香族環を有する(メタ)アクリレートに由来する構成単位;メトキシエチル(メタ)アクリレート及びエトキシエチル(メタ)アクリレートに代表されるアルコキシアルキル(メタ)アクリレートに由来する構成単位;スチレン、α-メチルスチレン、t-ブチルスチレン、p-クロロスチレン、クロロメチルスチレン及びビニルトルエンに代表される芳香族モノビニルに由来する構成単位;アクリロニトリル及びメタクリロニトリルに代表されるシアン化ビニルに由来する構成単位;蟻酸ビニル、酢酸ビニル、プロピオン酸ビニル及びバーサチック酸ビニルに代表されるビニルエステルに由来する構成単位;等が挙げられる。
【0045】
特定(メタ)アクリル系共重合体は、例えば、白抜け抑制の観点から、その他の単量体に由来する構成単位として、芳香族環を有する(メタ)アクリレートに由来する構成単位を含むことが好ましく、フェノキシエチル(メタ)アクリレートに由来する構成単位を含むことがより好ましく、フェノキシエチルアクリレートに由来する構成単位を含むことが更に好ましい。ここで、「白抜け」とは、例えば、液晶表示装置において光漏れが生じて白くなる現象を指す。
【0046】
特定(メタ)アクリル系共重合体は、その他の単量体に由来する構成単位を含む場合、その他の単量体に由来する構成単位を1種のみ含んでいてもよく、2種以上含んでいてもよい。
【0047】
特定(メタ)アクリル系共重合体がその他の単量体に由来する構成単位を含む場合、その他の単量体に由来する構成単位の含有率は、本開示の粘着剤組成物の効果を損なわない範囲において、適宜設定できる。
【0048】
<<特定(メタ)アクリル系共重合体の重量平均分子量>>
特定(メタ)アクリル系共重合体の重量平均分子量(「Mw」ともいう。)は、特に限定されないが、例えば、40万~250万であることが好ましく、60万~250万であることがより好ましく、80万~250万であることが更に好ましく、100万~250万であることが特に好ましい。
特定(メタ)アクリル系共重合体の重量平均分子量が40万以上であると、粘着剤層の凝集力が向上し、形成される粘着剤層の耐久性が良化する傾向にある。
特定(メタ)アクリル系共重合体は、重量平均分子量が250万以下であると、製造しやすい傾向にある。
【0049】
特定(メタ)アクリル系共重合体の重量平均分子量は、下記の方法により測定される値である。具体的には、下記の(1)~(3)に従って測定する。
(1)特定(メタ)アクリル系共重合体の溶液を剥離紙に塗布し、100℃で1分間乾燥し、フィルム状の特定(メタ)アクリル系共重合体を得る。
(2)上記(1)で得られたフィルム状の特定(メタ)アクリル系共重合体とテトラヒドロフランとを用いて、固形分濃度が0.2質量%である試料溶液を得る。なお、ここでいう「固形分濃度」とは、試料溶液に占める特定(メタ)アクリル系共重合体の質量割合を意味する。
(3)下記の条件のゲルパーミエーションクロマトグラフィー(GPC)により、標準ポリスチレン換算値として、特定(メタ)アクリル系共重合体の重量平均分子量を求める。
【0050】
~条件~
測定装置:高速GPC〔型番:HLC-8420 GPC、東ソー(株)製〕
検出器:示差屈折率計(RI)〔HLC-8420に組込、東ソー(株)製〕
カラム:TSKgel GMHXL〔東ソー(株)製〕を2本使用
カラム温度:40℃
溶離液:テトラヒドロフラン
試料溶液の注入量:100μL
流量:0.8mL/分
【0051】
特定(メタ)アクリル系共重合体の重量平均分子量は、単量体を重合させる際に、重合温度、重合時間、有機溶剤の使用量、重合開始剤の種類、重合開始剤の使用量等を調整することにより、所望の値にできる。
【0052】
<<特定(メタ)アクリル系共重合体の含有率>>
本開示の粘着剤組成物における特定(メタ)アクリル系共重合体の含有率は、特に限定されないが、例えば、粘着剤組成物中の全固形分量に対して、50.0質量%~98.0質量%であることが好ましく、55.0質量%~95.0質量%であることがより好ましく、60.0質量%~95.0質量%であることが更に好ましい。
【0053】
本開示において、「粘着剤組成物中の全固形分量」とは、粘着剤組成物が溶媒を含まない場合には、粘着剤組成物の全質量を意味し、粘着剤組成物が溶媒を含む場合には、粘着剤組成物から溶媒を除いた残渣の質量を意味する。
本開示において、「溶媒」とは、水及び有機溶剤を意味する。
【0054】
〔特定(メタ)アクリル系共重合体の製造方法〕
特定(メタ)アクリル系共重合体の製造方法は、特に限定されない。
特定(メタ)アクリル系共重合体は、例えば、溶液重合法、乳化重合法、懸濁重合法、及び塊状重合法に代表される公知の重合方法で、既述の単量体を重合することにより製造できる。
重合方法としては、製造後に本開示の粘着剤組成物を調製するにあたり、処理工程が比較的簡単であり、かつ、短時間で行える点で、溶液重合法が好ましい。
【0055】
溶液重合法では、一般に、重合槽内に所定の有機溶剤、単量体、重合開始剤、及び、必要に応じて用いられる連鎖移動剤を仕込み、例えば、有機溶剤の還流温度で、撹拌しながら数時間加熱反応させる。この場合、有機溶剤、単量体、重合開始剤、及び、必要に応じて用いられる連鎖移動剤の少なくとも一部を逐次添加してもよい。また、窒素気流中で反応させてもよい。
【0056】
重合反応時に用いられる有機溶剤としては、例えば、芳香族炭化水素化合物、脂肪族系炭化水素化合物、脂環族系炭化水素化合物、エステル化合物、ケトン化合物、グリコールエーテル化合物、及びアルコール化合物が挙げられる。
重合反応時に用いられる有機溶剤としては、より具体的には、例えば、ベンゼン、トルエン、エチルベンゼン、n-プロピルベンゼン、t-ブチルベンゼン、o-キシレン、m-キシレン、p-キシレン、テトラリン、デカリン、及び芳香族ナフサに代表される芳香族炭化水素化合物、n-ヘキサン、n-ヘプタン、n-オクタン、i-オクタン、n-デカン、ジペンテン、石油スピリット、石油ナフサ、及びテレピン油に代表される脂肪族系又は脂環族系炭化水素化合物、酢酸メチル、酢酸エチル、酢酸n-ブチル、酢酸n-アミル、酢酸2-ヒドロキシエチル、酢酸2-ブトキシエチル、酢酸3-メトキシブチル、及び安息香酸メチルに代表されるエステル化合物、アセトン、メチルエチルケトン、メチル-i-ブチルケトン、イソホロン、シクロヘキサノン、及びメチルシクロヘキサノンに代表されるケトン化合物、エチレングリコールモノメチルエーテル、エチレングリコールモノエチルエーテル、エチレングリコールモノブチルエーテル、ジエチレングリコールモノメチルエーテル、ジエチレングリコールモノエチルエーテル、及びジエチレングリコールモノブチルエーテルに代表されるグリコールエーテル化合物、並びに、メチルアルコール、エチルアルコール、n-プロピルアルコール、i-プロピルアルコール、n-ブチルアルコール、i-ブチルアルコール、s-ブチルアルコール、及びt-ブチルアルコールに代表されるアルコール化合物が挙げられる。
【0057】
特定(メタ)アクリル系共重合体の製造に際しては、芳香族炭化水素化合物、エステル化合物、ケトン化合物等の重合反応中に連鎖移動を生じ難い有機溶剤の使用が好ましく、特に、特定(メタ)アクリル系共重合体の溶解性、重合反応の容易さ等の観点から、酢酸メチル及び/又は酢酸エチルの使用が好ましい。
【0058】
重合反応時には、有機溶剤を1種のみ用いてもよく、2種以上用いてもよい。
【0059】
重合開始剤としては、例えば、通常の溶液重合法で用いられる有機過酸化物及びアゾ化合物が挙げられる。
有機過酸化物の具体例としては、t-ブチルペルオキシ-2-エチルヘキサノエート、t-ブチルヒドロペルオキシド、クメンヒドロペルオキシド、ジクミルペルオキシド、ベンゾイルペルオキシド、ラウロイルペルオキシド、カプロイルペルオキシド、ジ-i-プロピルペルオキシジカルボナート、ジ-2-エチルヘキシルペルオキシジカルボナート、t-ブチルペルオキシピバレート、2,2-ビス(4,4-ジ-t-ブチルペルオキシシクロヘキシル)プロパン、2,2-ビス(4,4-ジ-t-アミルペルオキシシクロヘキシル)プロパン、2,2-ビス(4,4-ジ-t-オクチルペルオキシシクロヘキシル)プロパン、2,2-ビス(4,4-ジ-α-クミルペルオキシシクロヘキシル)プロパン、2,2-ビス(4,4-ジ-t-ブチルペルオキシシクロヘキシル)ブタン、及び2,2-ビス(4,4-ジ-t-オクチルペルオキシシクロヘキシル)ブタンが挙げられる。
アゾ化合物の具体例としては、2,2’-アゾビスイソブチロニトリル〔AIBN〕、2,2’-アゾビス(2,4-ジメチルバレロニトリル)〔ABVN〕、2,2’-アゾビス(4-メトキシ-2,4-ジメチルバレロニトリル)、1,1’-アゾビス(シクロヘキサン-1-カルボニトリル)、及び2,2’-アゾビス(イソ酪酸)ジメチルが挙げられる。
【0060】
重合反応時には、重合開始剤を1種のみ用いてもよく、2種以上用いてもよい。
【0061】
重合開始剤の使用量は、特に限定されず、例えば、目的とする特定(メタ)アクリル系共重合体の分子量に応じて、適宜設定できる。
【0062】
特定(メタ)アクリル系共重合体の製造に際しては、必要に応じて、連鎖移動剤を用いてもよい。
連鎖移動剤としては、例えば、シアノ酢酸、シアノ酢酸の炭素数1~8のアルキルエステル化合物、ブロモ酢酸、ブロモ酢酸の炭素数1~8のアルキルエステル化合物、α-メチルスチレン、アントラセン、フェナントレン、フルオレン、及び9-フェニルフルオレンに代表される芳香族化合物、p-ニトロアニリン、ニトロベンゼン、ジニトロベンゼン、p-ニトロ安息香酸、p-ニトロフェノール、及びp-ニトロトルエンに代表される芳香族ニトロ化合物、ベンゾキノン及び2,3,5,6-テトラメチル-p-ベンゾキノンに代表されるベンゾキノン誘導体、トリブチルボランに代表されるボラン誘導体、四臭化炭素、四塩化炭素、1,1,2,2-テトラブロモエタン、トリブロモエチレン、トリクロロエチレン、ブロモトリクロロメタン、トリブロモメタン、及び3-クロロ-1-プロペンに代表されるハロゲン化炭化水素化合物、クロラール及びフラルデヒドに代表されるアルデヒド化合物、炭素数1~18のアルキルメルカプタン化合物、チオフェノール及びトルエンメルカプタンに代表される芳香族メルカプタン化合物、メルカプト酢酸、メルカプト酢酸の炭素数1~10のアルキルエステル化合物、炭素数1~12のヒドロキシアルキルメルカプタン化合物、並びに、ピネン及びターピノレンに代表されるテルペン化合物が挙げられる。
【0063】
特定(メタ)アクリル系共重合体の製造に際し、連鎖移動剤を用いる場合、連鎖移動剤の使用量は、特に限定されず、例えば、目的とする特定(メタ)アクリル系共重合体の分子量に応じて、適宜設定できる。
【0064】
重合温度は、特に限定されず、例えば、目的とする特定(メタ)アクリル系共重合体の分子量に応じて、適宜設定できる。
【0065】
〔芳香族イソシアネート系架橋剤〕
本開示の粘着剤組成物は、芳香族イソシアネート系架橋剤を含み、芳香族イソシアネート系架橋剤の含有量が、特定(メタ)アクリル系共重合体100質量部に対して0.5質量部~30質量部である。
本開示において、「芳香族イソシアネート系架橋剤」とは、1分子中に1以上の芳香族構造と2以上のイソシアネート基を有する化合物(所謂、芳香族ポリイソシアネート系化合物)を指す。
【0066】
芳香族イソシアネート系架橋剤の種類は、特に限定されない。
芳香族イソシアネート系架橋剤には、例えば、芳香族ポリイソシアネート化合物、芳香族ポリイソシアネート化合物の多量体、芳香族ポリイソシアネート化合物とポリオール系化合物とのアダクト体、及び芳香族ポリイソシアネート化合物のビウレット体が包含される。
芳香族ポリイソシアネート化合物の具体例としては、トリレンジイソシアネート(TDI)、キシリレンジイソシアネート(XDI)、及び4,4’-ジフェニルメタンジイソシアネートが挙げられる。
【0067】
芳香族イソシアネート系架橋剤としては、トリレンジイソシアネート系化合物及びキシリレンジイソシアネート系化合物からなる群より選ばれる少なくとも1種が好ましい。
「トリレンジイソシアネート系化合物」には、例えば、TDI、TDIの多量体、TDIとポリオール系化合物とのアダクト体、及びTDIのビウレット体が包含される。
トリレンジイソシアネート系化合物としては、TDIとTMPとのアダクト体が好ましい。
「キシリレンジイソシアネート系化合物」には、例えば、XDI、XDIの多量体、XDIとポリオール系化合物とのアダクト体、及びXDIのビウレット体が包含される。
キシリレンジイソシアネート系化合物としては、XDIとTMPとのアダクト体が好ましい。
【0068】
芳香族イソシアネート系架橋剤としては、市販品を使用できる。
芳香族イソシアネート系架橋剤の市販品の例としては、「コロネート(登録商標) L」、「コロネート(登録商標) L-45E」、「コロネート(登録商標) 2031」、「コロネート(登録商標) 2037」、及び「コロネート(登録商標) 4370」、「ミリオネート(登録商標) MR-100」〔以上、東ソー(株)製〕、並びに、「タケネート(登録商標) D-110N」、「タケネート(登録商標) D-101E」、「タケネート(登録商標) D-120N」、及び「タケネート(登録商標) D-262」〔以上、三井化学(株)製〕が挙げられる。
【0069】
本開示の粘着剤組成物は、芳香族イソシアネート系架橋剤を1種のみ含んでいてもよく、2種以上含んでいてもよい。
【0070】
本開示の粘着剤組成物における芳香族イソシアネート系架橋剤の含有量は、特定(メタ)アクリル系共重合体100質量部に対して、0.5質量部~30質量部である。
本開示の粘着剤組成物における芳香族イソシアネート系架橋剤の含有量が、特定(メタ)アクリル系共重合体100質量部に対して0.5質量部以上であると、形成される粘着剤層が高温低湿環境下における光学フィルムの収縮抑制に優れる傾向を示す。また、形成される粘着剤層が優れた加工性を示す傾向にある。理由としては、形成される粘着剤層の凝集力が十分に高まるためと考えられる。
本開示の粘着剤組成物における芳香族イソシアネート系架橋剤の含有量は、特定(メタ)アクリル系共重合体100質量部に対して、1質量部以上であることが好ましく、3質量部以上であることがより好ましく、5質量部以上であることが更に好ましい。
本開示の粘着剤組成物における芳香族イソシアネート系架橋剤の含有量が、特定(メタ)アクリル系共重合体100質量部に対して30質量部以下であると、形成される粘着剤層が高温低湿環境下において優れた耐久性を示す傾向にある。理由としては、形成される粘着剤層が適度な応力緩和性を示すためと考えられる。
本開示の粘着剤組成物における芳香族イソシアネート系架橋剤の含有量は、特定(メタ)アクリル系共重合体100質量部に対して、25質量部以下であることが好ましく、20質量部以下であることがより好ましい。
本開示の粘着剤組成物における芳香族イソシアネート系架橋剤の含有量は、ある態様では、特定(メタ)アクリル系共重合体100質量部に対して、1質量部~30質量部であってもよく、3質量部~30質量部であってもよく、5質量部~30質量部であってもよく、5質量部~25質量部であってもよく、5質量部~20質量部であってもよい。
【0071】
〔エポキシ系架橋剤〕
本開示の粘着剤組成物は、エポキシ系架橋剤を含む。
本開示において、「エポキシ系架橋剤」とは、1分子中に2以上のエポキシ基を有する化合物(所謂、2官能以上のエポキシ系化合物)を指す。
【0072】
エポキシ系架橋剤の種類は、特に限定されない。
エポキシ系架橋剤としては、例えば、エチレングリコールジグリシジルエーテル、ジエチレングリコールジグリシジルエーテル、ポリエチレングリコールジグリシジルエーテル、プロピレングリコールジグリシジルエーテル、トリプロピレングリコールジグリシジルエーテル、ポリプロピレングリコールジグリシジルエーテル、ネオペンチルグリコールジグリシジルエーテル、1,6-ヘキサンジオールジグリシジルエーテル、ポリテトラメチレングリコールジグリシジルエーテル、グリセロールジグリシジルエーテル、グリセロールトリグリシジルエーテル、ジグリセロールポリグリシジルエーテル、ポリグリセロールポリグリシジルエーテル、レゾルシンジグリシジルエーテル、2,2-ジブロモネオペンチルグリコールジグリシジルエーテル、トリメチロールプロパントリグリシジルエーテル、ペンタエリスリトールポリグリシジルエーテル、ソルビトールポリグリシジルエーテル、アジピン酸ジグリシジルエステル、フタル酸ジグリシジルエステル、トリス(グリシジル)イソシアヌレート、トリス(グリシドキシエチル)イソシアヌレート、1,3-ビス(N,N-グリシジルアミノメチル)シクロヘキサン、N,N,N’,N’-テトラグリシジル-1,3-ベンゼンジ(メタンアミン)等の2官能以上のエポキシ系化合物が挙げられる。
【0073】
エポキシ系架橋剤としては、市販品を使用できる。
エポキシ系架橋剤の市販品の例としては、「TETRAD(登録商標)-X」及び「TETRAD(登録商標)-C」〔以上、三菱ガス化学(株)製〕、「デナコール(登録商標) EX-201」、「デナコール(登録商標) EX-811」、「デナコール(登録商標) EX-821」、「デナコール(登録商標) EX-851」、及び「デナコール(登録商標) EX-931」〔以上、ナガセケムテックス(株)製〕、並びに、「EPICLON(登録商標) 860」、「EPICLON(登録商標) HP-4770」、「EPICLON(登録商標) HP-7200」、「EPICLON(登録商標) HP-9500」、及び「EPICLON(登録商標) EXA-850CRP」〔以上、DIC(株)製〕が挙げられる。
【0074】
本開示の粘着剤組成物は、エポキシ系架橋剤を1種のみ含んでいてもよく、2種以上含んでいてもよい。
【0075】
本開示の粘着剤組成物におけるエポキシ系架橋剤の含有量は、官能基比率(A)が0.020~4.0になる含有量であれば、特に限定されない。
官能基比率(A)の詳細については、後述する。
本開示の粘着剤組成物におけるエポキシ系架橋剤の含有量は、ある態様では、特定(メタ)アクリル系共重合体100質量部に対して、5質量部~30質量部であってもよく、10質量部~30質量部であってもよく、5質量部~20質量部であってもよく、10質量部~20質量部であってもよく、5質量部~10質量部であってもよい。
【0076】
<<官能基比率(A)>>
本開示の粘着剤組成物は、下記式(A)により求められる官能基比率〔即ち、官能基比率(A)〕が0.020~4.0である。
本開示の粘着剤組成物における官能基比率(A)が0.020以上であると、形成される粘着剤層が高温低湿環境下における光学フィルムの収縮抑制に優れる傾向を示す。また、本開示の粘着剤組成物における官能基比率(A)が0.020以上であると、形成される粘着剤層が加工性に優れる傾向を示す。理由としては、形成される粘着剤層の凝集力が高まるためと考えられる。
本開示の粘着剤組成物における官能基比率(A)は、0.050以上であることが好ましく、0.10以上であることがより好ましく、0.45以上であることが更に好ましい。
本開示の粘着剤組成物における官能基比率(A)が4.0以下であると、形成される粘着剤層が高温低湿環境下において優れた耐久性を示す傾向にある。理由としては、形成される粘着剤層に十分な応力緩和性が発現するためと考えられる。
本開示の粘着剤組成物における官能基比率(A)は、3.0以下であることが好ましく、2.0以下であることがより好ましく、1.5以下であることが更に好ましい。
本開示の粘着剤組成物における官能基比率(A)は、ある態様では、0.050~3.0であってもよく、0.10~2.0であってもよく、0.45~1.5であってもよい。
【0077】
官能基比率=[NCO]×[OH]/[EP]・・・(A)
【0078】
式(A)中、OHは、本開示の粘着剤組成物に含まれる特定(メタ)アクリル系共重合体中の水酸基のモル数〔単位:mmol〕を表す。
OHは、以下の計算式(a1)により求められる。
なお、水酸基を有する単量体である2-ヒドロキシエチルアクリレートに由来する構成単位の分子量は、116g/molであり、4-ヒドロキシブチルアクリレートに由来する構成単位の分子量は、144g/molである。
【0079】
OH〔単位:mmol〕
=特定(メタ)アクリル系共重合体中の水酸基を有する単量体に由来する構成単位の含有率〔単位:質量%〕/100×特定(メタ)アクリル系共重合体の配合量〔単位:g〕/水酸基を有する単量体に由来する構成単位の分子量〔単位:g/mol〕×水酸基を有する単量体に由来する構成単位中の水酸基の個数(所謂、価数)×1000・・・(a1)
【0080】
式(A)中、NCOは、本開示の粘着剤組成物に含まれる芳香族イソシアネート系架橋剤中のイソシアネート基のモル数〔単位:mmol〕を表す。
NCOは、以下の計算式(a2)により求められる。
なお、イソシアネート基のモル質量は、42g/molである。
【0081】
NCO〔単位:mol〕
=[芳香族イソシアネート系架橋剤中のイソシアネート基の含有率〔単位:質量%〕/芳香族イソシアネート系架橋剤の固形分濃度〔単位:質量%〕×芳香族イソシアネート系架橋剤の配合量〔固形分としての量〕(単位:g)]/イソシアネート基のモル質量〔単位:g/mol〕×1000・・・(a2)
【0082】
式(A)中、EPは、本開示の粘着剤組成物に含まれるエポキシ系架橋剤中のエポキシ基のモル数〔単位:mmol〕を表す。
EPは、以下の計算式(a3)により求められる。
【0083】
EP〔単位:mmol〕
=エポキシ系架橋剤の配合量〔固形分としての量〕(単位:g)/(エポキシ系架橋剤の分子量〔単位:g/mol〕/エポキシ系架橋剤1分子中のエポキシ基の個数)[所謂、エポキシ当量(単位:g/eq)]×1000・・・(a3)
【0084】
〔シランカップリング剤〕
本開示の粘着剤組成物は、さらに、シランカップリング剤を含むことが好ましい。
本開示の粘着剤組成物において、シランカップリング剤は、形成される粘着剤層の高温低湿環境下における耐久性の向上に寄与し得る。この理由としては、シランカップリング剤のアルコキシ基が、加水分解によりシラノール基となり、ガラス表面の水酸基と反応することで、粘着剤層のガラスに対する密着性が高まるためと考えられる。
【0085】
シランカップリング剤の種類は、特に限定されない。
シランカップリング剤としては、例えば、ビニルトリメトキシシラン、ビニルトリエトキシシラン、及び3-メタクリロキシプロピルトリメトキシシランに代表される重合性不飽和基含有シラン化合物、3-メルカプトプロピルトリメトキシシラン、3-メルカプトプロピルトリエトキシシラン、及び3-メルカプトプロピルジメトキシメチルシランに代表されるチオール基含有シラン系化合物、3-グリシドキシプロピルトリメトキシシラン及び2-(3,4-エポキシシクロヘキシル)エチルトリメトキシシランに代表されるエポキシ基含有シラン化合物、3-アミノプロピルトリメトキシシラン、N-(2-アミノエチル)-3-アミノプロピルトリメトキシシラン、及びN-(2-アミノエチル)-3-アミノプロピルメチルジメトキシシランに代表されるアミノ基含有シラン化合物、並びに、トリス-(3-トリメトキシシリルプロピル)イソシアヌレートが挙げられる。また、シランカップリング剤としては、例えば、重合性不飽和基、チオール基、エポキシ基、アミノ基等の反応性官能基を複数有するシラン化合物(所謂、多官能基型シラン化合物)が挙げられる。
【0086】
シランカップリング剤としては、市販品を使用できる。
シランカップリング剤の市販品の例としては、「KBM-803」、「KBM-802」、「X-41-1810」、「X-41-1805」、「X-41-1818」、「KBM-403」、「KBM-303」、「KBM-402」、「KBE-402」、「KBE-403」、「KBE-9007N」、「X-41-1053」、「X-41-1056」、「KBM-903」、「KBM-9659」、及び「KBM-573」〔以上、信越化学工業(株)製〕が挙げられる。
【0087】
本開示の粘着剤組成物は、シランカップリング剤を含む場合、シランカップリング剤を1種のみ含んでいてもよく、2種以上含んでいてもよい。
【0088】
本開示の粘着剤組成物がシランカップリング剤を含む場合、シランカップリング剤の含有量は、特に限定されないが、例えば、特定(メタ)アクリル系共重合体100質量部に対して、0.1質量部~1質量部であることが好ましく、0.2質量部~0.9質量部であることがより好ましく、0.3質量部~0.8質量部であることが更に好ましい。
【0089】
〔架橋触媒〕
本開示の粘着剤組成物は、さらに、架橋触媒を含んでいてもよい。
架橋触媒の種類は、特に限定されない。
架橋触媒としては、例えば、1,2-ジメチルイミダゾール、1-ベンジル-2-メチルイミダゾール、1-ベンジル-2-フェニルイミダゾール、及び2,3-ジヒドロ-1H-ピロロ[1,2-a]ベンズイミダゾールに代表されるイミダゾール化合物、ジオクチルチンジラウレート、及び1,3-ジアセトキシテトラブチルスタノキサンに代表される有機金属化合物、並びに、トリエチレンジアミン及びN-メチルモルホリンに代表される第3級アミン化合物が挙げられる。
【0090】
架橋触媒としては、市販品を使用できる。
架橋触媒の市販品の例としては、「キュアゾール(登録商標)1B2MZ」、「キュアゾール(登録商標)1B2PZ」、「キュアゾール(登録商標)TBZ」、及び「キュアゾール(登録商標)1,2DMZ」〔以上、四国化成工業(株)製〕が挙げられる。
【0091】
本開示の粘着剤組成物は、架橋触媒を含む場合、架橋触媒を1種のみ含んでいてもよく、2種以上含んでいてもよい。
【0092】
本開示の粘着剤組成物が架橋触媒を含む場合、架橋触媒の含有量は、例えば、特定(メタ)アクリル系共重合体100質量部に対して、0.01質量部~1.5質量部であることが好ましく、0.05質量部~1.0質量部であることがより好ましく、0.1質量部~0.5質量部であることが更に好ましい。
本開示の粘着剤組成物における架橋触媒の含有量が、上記範囲内であると、養生時間をより短縮できる傾向にある。
【0093】
〔有機溶剤〕
本開示の粘着剤組成物は、有機溶剤を含んでいてもよい。
本開示の粘着剤組成物は、有機溶剤を含むと、塗布性及びポットライフが向上し得る。
有機溶剤としては、例えば、既述の特定(メタ)アクリル系共重合体の重合反応時に用いられる有機溶剤と同様のものが挙げられる。
【0094】
本開示の粘着剤組成物は、有機溶剤を含む場合、有機溶剤を1種のみ含んでいてもよく、2種以上含んでいてもよい。
【0095】
本開示の粘着剤組成物が有機溶剤を含む場合、有機溶剤の含有量は、特に限定されず、目的に応じて、適宜設定できる。
【0096】
〔その他の成分〕
本開示の粘着剤組成物は、その効果を損なわない範囲で、必要に応じて、既述した成分以外の成分(所謂、その他の成分)を含んでいてもよい。
その他の成分としては、酸化防止剤、光安定剤(例えば、紫外線吸収剤)、帯電防止剤等の各種添加剤が挙げられる。
【0097】
本開示の粘着剤組成物がその他の成分を含む場合、その他の成分の含有量は、本開示の粘着剤組成物の効果を損なわない範囲で、適宜設定できる。
【0098】
<<粘着剤組成物の用途>>
本開示の粘着剤組成物は、光学フィルムに用いられる粘着剤組成物(即ち、光学フィルム用粘着剤組成物)である。本開示の粘着剤組成物は、高温低湿環境下における耐久性及び光学フィルムの収縮抑制、並びに、加工性に優れる粘着剤層を形成できるため、光学フィルム用途に好適である。また、本開示の粘着剤組成物は、金属及び/又は金属酸化物を含む被着体、例えば、ITO膜に代表される透明導電膜を腐食させ難い粘着剤層を形成できる点においても、光学フィルム用途に適している。本開示の粘着剤組成物は、光学フィルムの中でも偏光板に用いられる粘着剤組成物(即ち、偏光板用粘着剤組成物)として特に好適である。
本開示の粘着剤組成物の具体的な用途としては、偏光板と液晶セルのガラス基板(好ましくは、表面に透明導電膜を備えたガラス基板)とを貼り合わせる用途、光学フィルム同士を貼り合わせる用途等が挙げられる。
【0099】
[粘着シート]
本開示の粘着シートは、本開示の粘着剤組成物により形成された粘着剤層を備える。
本開示の粘着シートが備える粘着剤層は、本開示の粘着剤組成物の硬化物を含む。硬化物には、例えば、芳香族イソシアネート系架橋剤によって架橋硬化してなる特定(メタ)アクリル系共重合体の架橋物が含まれる。
本開示の粘着シートは、既述の本開示の粘着剤組成物により形成された粘着剤層を備えるため、高温低湿環境下において、光学フィルムの収縮に起因する不具合、詳細には、粘着剤層及び光学フィルムのシワ、粘着剤層の被着体からの剥がれ等が生じ難い。また、本開示の粘着シートは、既述の本開示の粘着剤組成物により形成された粘着剤層を備えるため、高温低湿環境下において、粘着剤層と、光学フィルム及び/又は被着体との界面で発泡が生じ難い。また、本開示の粘着シートは、既述の本開示の粘着剤組成物により形成された粘着剤層を備えるため、高温低湿環境下において、光学フィルムが収縮し難い。また、本開示の粘着シートは、既述の本開示の粘着剤組成物により形成された粘着剤層を備えるため、加工性に優れ、粘着剤層を備える光学フィルムを裁断加工する際に、粘着剤層がはみ出す現象が生じ難い。また、本開示の粘着シートは、既述の本開示の粘着剤組成物により形成された粘着剤層を備えるため、金属及び/又は金属酸化物を含む被着体、具体的には、透明導電膜(例えば、ITO膜)を表面に備える液晶セルと、偏光板との貼り合わせに用いた場合であっても、透明導電膜の腐食が起こり難い。
本開示の粘着シートの被着体としては、例えば、液晶セルのガラス基板(所謂、光学ガラス)が挙げられ、表面に透明導電膜を備えたガラス基板が好ましい。
【0100】
本開示の粘着シートが備える粘着剤層の厚さは、特に限定されない。
粘着剤層の厚さは、一般には、1μm~100μmであり、5μm~50μmであることが好ましく、10μm~30μmであることがより好ましい。
【0101】
本開示における「粘着剤層の厚さ」は、粘着剤層の平均厚さを意味する。
粘着剤層の平均厚さは、以下の方法により求められる値である。
粘着剤層の厚み方向において無作為に選択した10箇所の厚さを、膜厚計を用いて測定する。測定値の算術平均値を求め、得られた値を粘着剤層の平均厚さとする。
【0102】
本開示の粘着シートは、基材を有しない無基材タイプの粘着シートでもよく、基材の片面又は両面に粘着剤層を備える有基材タイプの粘着シートでもよい。
本開示の粘着シートが、基材を有しない無基材タイプの粘着シートである場合、又は、基材の片面に粘着剤層を備える有基材タイプの粘着シートである場合、本開示の粘着シートにおいて、露出した粘着剤層の面は、剥離シートによって保護されていてもよい。
一般に、剥離シートは、粘着シートを実用に供するまでの間、粘着剤層の表面を保護し、使用時に剥離される。
【0103】
剥離シートは、粘着剤層から容易に剥離できるものであれば、特に限定されない。
剥離シートとしては、例えば、片面又は両面に剥離処理剤による表面処理(所謂、易剥離処理)が施された樹脂フィルム、紙、合成紙、及びこれらの2種以上を積層した複合シートが挙げられる。
本開示では、樹脂フィルムの片面又は両面に剥離処理剤による表面処理(所謂、易剥離処理)が施された態様の剥離シートを「剥離フィルム」ともいう。
剥離処理剤としては、例えば、シリコーン系剥離処理剤(例:シリコーン)、ワックス系剥離処理剤(例:パラフィンワックス)、及びフッ素系剥離処理剤(例:フッ素系樹脂)が挙げられる。
樹脂フィルムとしては、例えば、ポリエチレンテレフタレート(PET)フィルムに代表されるポリエステルフィルムが挙げられる。
紙としては、例えば、上質紙及びコート紙が挙げられる。
剥離シートの膜厚は、特に限定されず、一般には20μm~180μmである。
【0104】
本開示の粘着シートが基材を備える場合、基材は、その上に粘着剤層を形成できるものであれば、特に限定されない。
基材としては、例えば、ポリオレフィン系樹脂〔例えば、ポリエチレン(PE)及びポリプロピレン(PP)〕、ポリエステル系樹脂〔例えば、ポリエチレンテレフタレート(PET)〕、アセテート系樹脂(例えば、トリアセチルセルロース)、ポリエーテルサルホン系樹脂、ポリカーボネート系樹脂、ポリアミド系樹脂、ポリイミド系樹脂、ポリウレタン系樹脂、(メタ)アクリル系樹脂、塩化ビニル系樹脂、ABS(Acrylonitrile Butadiene Styrene)樹脂、フッ素系樹脂等の樹脂を含むフィルムが挙げられる。
【0105】
基材の粘着剤層が設けられる側の面には、基材と粘着剤層との密着性を向上させる観点から、コロナ放電処理、プラズマ放電処理等の表面処理(所謂、易接着処理)が施されていてもよい。
【0106】
基材は、可塑剤、着色剤(例えば、染料及び顔料)、熱安定剤、光安定剤、帯電防止剤、難燃剤、酸化防止剤、充填剤等の各種添加剤を含んでいてもよい。
基材は、一部又は全体に、模様が施されていてもよい。
【0107】
本開示の粘着シートが基材を備える場合、基材は、光学フィルムであることが好ましい。この場合、本開示の粘着シートの態様としては、光学フィルムと、光学フィルムの少なくとも片面に設けられ、かつ、本開示の粘着剤組成物により形成された粘着剤層と、を備える態様が好ましい。
【0108】
光学フィルムの種類は、特に限定されない。
光学フィルムの具体例としては、偏光板、AG(Anti-Glare)偏光板、波長板(例えば、1/2波長板及び1/4波長板)、上記波長板を含む位相差フィルム、視角補償フィルム、光学補償フィルム、輝度向上フィルム、導光板、反射フィルム、反射防止フィルム、プリズムシート、レンズシート、拡散板、透明導電性フィルムなどが挙げられる。
【0109】
光学フィルムとしては、偏光板(所謂、偏光フィルム)が好ましい。
偏光板は、少なくとも偏光子を含んで構成されるものであり、偏光子単体であってもよく、偏光子と保護フィルムとを積層したものであってもよい。すなわち、偏光板は、偏光子単独の1層構造であってもよく、偏光子の片面に保護フィルムを有する2層構造であってもよく、偏光子の両面に保護フィルムを有する3層構造であってもよい。
【0110】
本開示の粘着シートが基材を備え、かつ、基材が偏光板である場合の層構成としては、例えば、粘着剤層/偏光板[保護フィルム/偏光子/保護フィルム]、粘着剤層/偏光板[位相差フィルム/偏光子/保護フィルム]、粘着剤層/偏光板[位相差フィルム/保護フィルム/偏光子/保護フィルム]等の態様が挙げられる。
【0111】
保護フィルムには、例えば、トリアセチルセルロース(TAC)、ポリシクロオレフィン(COP)、ポリエチレンテレフタレート(PET)、ポリメタクリル酸メチル(PMMA)等の樹脂を含むフィルムが用いられる。
偏光子には、例えば、ヨウ素を含浸させたポリビニルアルコール(PVA)の延伸フィルムが用いられる。
位相差フィルムには、例えば、ポリシクロオレフィン(COP)等の樹脂を含むフィルムが用いられる。
【0112】
基材の厚さは、特に限定されないが、一般には、10μm~500μmであり、10μm~300μmであることが好ましく、10μm~200μmであることがより好ましく、10μm~130μmであることが更に好ましい。
【0113】
本開示における「基材の厚さ」は、基材の平均厚さを意味する。
基材の平均厚さは、以下の方法により求められる値である。
基材の厚み方向において無作為に選択した10箇所の厚さを、膜厚計を用いて測定する。測定値の算術平均値を求め、得られた値を基材の平均厚さとする。
【0114】
[粘着シートの作製方法]
本開示の粘着シートの作製方法は、特に限定されない。
本開示の粘着シートは、公知の方法により作製できる。
本開示の粘着シートを作製する方法としては、例えば、以下の方法が挙げられる。
【0115】
本開示の粘着シートが無基材タイプの粘着シートの場合、まず、本開示の粘着剤組成物を剥離シートの易剥離処理面に塗布することにより、剥離シート上に塗布膜を形成する。次いで、形成した塗布膜を乾燥させることにより、剥離シート上に粘着膜を形成する。次いで、形成した粘着膜の露出した面を、別途、準備した剥離シートの易剥離処理面に重ねて貼り合わせた後、養生を行うことにより、剥離シート/粘着剤層/剥離シートの積層構造を有する本開示の粘着シートを作製できる。
【0116】
本開示の粘着シートが有基材タイプの粘着シートの場合、まず、本開示の粘着剤組成物を基材の易接着処理面に塗布することにより、基材上に塗布膜を形成する。次いで、形成した塗布膜を乾燥させることにより、基材上に粘着膜を形成する。次いで、形成した粘着膜の露出した面を、剥離シートの易剥離処理面に重ねて貼り合わせた後、養生を行うことにより、基材/粘着剤層/剥離シートの積層構造を有する本開示の粘着シートを作製できる。
【0117】
本開示の粘着シートが有基材タイプの粘着シートの場合、別の方法としては、例えば、以下の方法も挙げられる。本開示の粘着剤組成物を剥離シートの易剥離処理面に塗布することにより、剥離シート上に塗布膜を形成する。次いで、形成した塗布膜を乾燥させることにより、剥離シート上に粘着膜を形成する。次いで、形成した粘着膜の露出した面を、基材の易接着処理面に重ねて貼り合わせた後、養生を行うことにより、基材/粘着剤層/剥離シートの積層構造を有する本開示の粘着シートを作製できる。
【0118】
粘着剤組成物の塗布方法は、特に限定されない。
粘着剤組成物の塗布方法としては、例えば、グラビアロールコーター、リバースロールコーター、キスロールコーター、ディップロールコーター、ナイフコーター、スプレーコーター、バーコーター、アプリケーター等を用いる公知の方法が挙げられる。
粘着剤組成物の塗布量は、特に限定されず、例えば、形成する粘着剤層の厚さに応じて、適宜設定される。
【0119】
塗布膜の乾燥方法は、特に限定されない。
塗布膜の乾燥方法としては、例えば、自然乾燥、加熱乾燥、熱風乾燥、真空乾燥等の方法が挙げられる。
塗布膜の乾燥温度及び乾燥時間は、特に限定されず、塗布膜の厚さ、塗布膜中の有機溶剤の量等に応じて、適宜設定される。
乾燥条件の一例としては、熱風循環式乾燥機を用いて、60℃~130℃の空気を風速3m/秒~5m/秒で30秒間~300秒間吹き付けて乾燥させる条件が挙げられる。
【0120】
養生の方法としては、例えば、雰囲気温度20℃~35℃及び相対湿度45%~55%の環境下に2日間~7日間静置する方法が挙げられる。
【0121】
[光学部材]
本開示の光学部材は、ガラス基板と、既述の本開示の粘着剤組成物により形成された粘着剤層と、光学フィルムと、をこの順に備える。
本開示の光学部材は、既述の本開示の粘着剤組成物により形成された粘着剤層を備えるため、高温低湿環境下において、光学フィルムの収縮に起因する不具合、詳細には、粘着剤層及び光学フィルムのシワ、粘着剤層のガラス基板からの剥がれ等が生じ難い。また、本開示の光学部材は、既述の本開示の粘着剤組成物により形成された粘着剤層を備えるため、高温低湿環境下において、粘着剤層と、光学フィルム及び/又はガラス基板との界面で発泡が生じ難い。また、本開示の光学部材は、既述の本開示の粘着剤組成物により形成された粘着剤層を備えるため、高温低湿環境下において、光学フィルムが収縮し難い。また、本開示の光学部材は、既述の本開示の粘着剤組成物により形成された粘着剤層を備えるため、透明導電膜(例えば、ITO膜)を表面に備えるガラス基板と、偏光板との貼り合わせに用いた場合であっても、透明導電膜の腐食が起こり難い。
【0122】
ガラス基板の厚さは、特に限定されず、一般には、0.3mm~0.7mmであり、0.3mm~0.5mmであることが好ましい。
【0123】
ガラス基板としては、例えば、ソーダガラス、無アルカリガラス、及びITO膜付ガラスが挙げられる。
【0124】
本開示の光学部材における粘着剤層及び光学フィルムは、本開示の粘着シートにおける粘着剤層及び光学フィルムと同義であり、好ましい態様も同様であるため、ここでは説明を省略する。
【0125】
本開示の光学部材は、例えば、表示装置の部材として、好適に使用できる。
表示装置としては、例えば、液晶ディスプレイ及び有機EL(Electro-Luminescence)ディスプレイが挙げられる。
【0126】
本開示の光学部材の製造方法は、特に限定されない。
本開示の光学部材は、例えば、基材として光学フィルムを用い、既述の方法により、本開示の粘着シートを作製した後、粘着シートの粘着剤層と、ガラス基板と、を貼り合わせることにより製造できる。
【0127】
[表示装置]
本開示の表示装置は、既述の本開示の光学部材を備える。
本開示の表示装置は、本開示の光学部材を備えるため、高温低湿環境下に置かれた場合でも、粘着剤層と、光学フィルム及び/又はガラス基板との界面で発泡が生じ難く、粘着剤層とガラス基板との間で剥がれが生じ難く、粘着剤層及び/又は光学フィルムにシワが生じ難い。また、本開示の表示装置は、本開示の光学部材を備えるため、透明導電膜の腐食が起こり難い。
【0128】
表示装置の具体例は、既述のとおりである。
【実施例0129】
以下、本開示の粘着剤組成物を実施例により更に具体的に説明する。本開示はその主旨を越えない限り、以下の実施例に限定されるものではない。
【0130】
[(メタ)アクリル系共重合体の製造]
〔製造例A-1〕
温度計、撹拌機、窒素導入管、及び還流冷却器を備えた反応器内に、n-ブチルアクリレート〔n-BA〕75.3質量部、メチルアクリレート〔MA〕24.5質量部、2-ヒドロキシエチルアクリレート〔2HEA〕0.2質量部、酢酸エチル〔有機溶剤〕25.0質量部、及び酢酸メチル〔有機溶剤〕50.0質量部を入れて混合し、混合物を得た後、反応器内を窒素置換した。次いで、反応器内の混合物を撹拌しながら70℃に昇温した後、反応器内の混合物に、2,2’-アゾビス(2,4-ジメチルバレロニトリル)〔ABVN;重合開始剤〕0.01質量部と、酢酸エチル140.0質量部と、を逐次添加した。添加終了後に6時間保持して重合反応させ、重合反応物を得た。得られた重合反応物を、酢酸エチルを用いて固形分濃度15.5質量%に希釈した後、冷却し、(メタ)アクリル系共重合体A-1の溶液を得た。
【0131】
ここでいう「固形分濃度」とは、(メタ)アクリル系共重合体A-1の溶液に占める(メタ)アクリル系共重合体A-1の質量割合を意味する。以下において製造した(メタ)アクリル系共重合体A-2~A-11の各溶液についても同様である。
【0132】
〔製造例A-2~A-4及びA-6~A-11〕
製造例A-2~A-4及びA-6~A-11では、(メタ)アクリル系共重合体の単量体組成を表1に示す単量体組成に変更したこと以外は、製造例A-1と同様の操作を行い、固形分濃度が15.5質量%である(メタ)アクリル系共重合体A-2~A-4及びA-6~A-11の各溶液を得た。
【0133】
〔製造例A-5〕
製造例A-5では、(メタ)アクリル系共重合体の単量体組成を表1に示す単量体組成に変更したこと、並びに、有機溶剤の使用量及び重合開始剤の使用量の少なくとも一方を調整して(メタ)アクリル系共重合体の重量平均分子量を表1に示す重量平均分子量に調整したこと以外は、製造例A-1と同様の操作を行い、固形分濃度が15.5質量%である(メタ)アクリル系共重合体A-5の溶液を得た。
【0134】
(メタ)アクリル系共重合体A-1~A-11の単量体組成〔単位:質量%〕及び重量平均分子量(「Mw」と表記)を表1に示す。
【0135】
(メタ)アクリル系共重合体A-1~A-11の重量平均分子量は、既述の特定(メタ)アクリル系共重合体の重量平均分子量の測定方法と同様の方法により測定した。
【0136】
(メタ)アクリル系共重合体A-1~A-11のうち、(メタ)アクリル系共重合体A-1~A-7は、本開示における特定(メタ)アクリル系共重合体に該当する。
【0137】
【表1】
【0138】
表1に記載の各単量体の詳細は、以下に示すとおりである。
<(メタ)アクリル酸アルキルエステル単量体>
「n-BA」:n-ブチルアクリレート
「MA」:メチルアクリレート
<カルボキシ基を有する単量体>
「AA」:アクリル酸
<水酸基を有する単量体>
「2HEA」:2-ヒドロキシエチルアクリレート
「4HBA」:4-ヒドロキシブチルアクリレート
<その他の単量体>
「PHEA」:フェノキシエチルアクリレート
【0139】
表1中、単量体組成の欄に記載の「-」は、その欄に該当する単量体を使用していないことを意味する。
【0140】
[粘着剤組成物の調製]
〔実施例1〕
(メタ)アクリル系共重合体A-1の溶液645.16質量部(固形分として100質量部)と、芳香族イソシアネート系架橋剤としてコロネート(登録商標) L-45E〔商品名、トリレンジイソシアネート(TDI)とトリメチロールプロパン(TMP)とのアダクト体、固形分濃度:45質量%、東ソー(株)製〕44.44質量部(固形分として20質量部)と、エポキシ系架橋剤としてTETRAD-X〔商品名、N,N,N’,N’-テトラグリシジル-1,3-ベンゼンジ(メタンアミン)、固形分濃度:100質量%、三菱ガス化学(株)製〕5.00質量部(固形分として5質量部)と、シランカップリング剤としてX-41-1810〔商品名、チオール基含有シラン系化合物、固形分濃度:100質量%、信越化学工業(株)製〕0.55質量部(固形分として0.55質量部)と、架橋触媒としてキュアゾール(登録商標) 1B2PZ〔商品名、1-ベンジル-2-フェニルイミダゾール、固形分濃度:100質量%、四国化成工業(株)〕、0.20質量部(固形分として0.20質量部)と、適量の酢酸エチル〔有機溶剤〕と、を十分に混合して、実施例1の粘着剤組成物を得た。
【0141】
〔実施例2~19〕
実施例2~19では、(メタ)アクリル系共重合体、芳香族イソシアネート系架橋剤、エポキシ系架橋剤、及び、シランカップリング剤について、種類及び配合量を表2に示すとおりにしたこと以外は、実施例1と同様の操作を行い、実施例2~19の各粘着剤組成物を得た。
【0142】
〔比較例1~11〕
比較例1~11では、(メタ)アクリル系共重合体、芳香族イソシアネート系架橋剤、エポキシ系架橋剤、及び、シランカップリング剤について、種類及び配合量を表3に示すとおりにしたこと以外は、実施例1と同様の操作を行い、比較例1~11の各粘着剤組成物を得た。
【0143】
実施例1~19及び比較例1~11の各粘着剤組成物における、(メタ)アクリル系共重合体の種類及び配合量、芳香族イソシアネート系架橋剤の種類及び配合量、エポキシ系架橋剤の種類及び配合量、並びに、シランカップリング剤の種類及び配合量を、表2及び表3に示す。
【0144】
実施例1~19及び比較例1~11の各粘着剤組成物に含まれる、(メタ)アクリル系共重合体中の水酸基のモル数〔OH、単位:mmol〕、芳香族イソシアネート系架橋剤中のイソシアネート基のモル数〔NCO、単位:mmol〕、及び、エポキシ系架橋剤中のエポキシ基のモル数〔EP、単位:mmol〕を、表2及び表3に示す。また、実施例1~19及び比較例1~11の各粘着剤組成物における官能基比率を、表2及び表3に示す。
OH、NCO、EP、及び、官能基比率は、既述の式により求めた。
【0145】
【表2】
【0146】
【表3】
【0147】
表2及び表3に記載の成分の詳細は、以下に示すとおりである。
<芳香族イソシアネート系架橋剤>
「コロネート L-45E」〔商品名、トリレンジイソシアネート(TDI)とトリメチロールプロパン(TMP)とのアダクト体、固形分濃度:45質量%、イソシアネート基の含有率(カタログ値):7.9質量%、東ソー(株)製〕
「タケネート D-110N」〔商品名、キシリレンジイソシアネート(XDI)とトリメチロールプロパン(TMP)とのアダクト体、固形分濃度:75質量%、イソシアネート基の含有率(カタログ値):11.5質量%、三井化学(株)製〕
上記「コロネート」及び「タケネート」は、いずれも登録商標である。
【0148】
<エポキシ系架橋剤>
「TETRAD-X」〔商品名、N,N,N’,N’-テトラグリシジル-1,3-ベンゼンジ(メタンアミン)、固形分濃度:100質量%、エポキシ当量(カタログ値):95.0g/eq、三菱ガス化学(株)製〕
「EPICLON 860」〔商品名、固形分濃度:100質量%、エポキシ当量(カタログ値):235.0g/eq、DIC(株)製〕
「デナコール EX-821」〔商品名、エチレングリコールジグリシジルエーテル、固形分濃度:100質量%、エポキシ当量(カタログ値):185.0g/eq、ナガセケムテック(株)製〕
上記「TETRAD」、「EPICLON」、及び「デナコール」は、いずれも登録商標である。
【0149】
<シランカップリング剤>
「X-41-1810」〔商品名、チオール基含有シラン系化合物、固形分濃度:100質量%、信越化学工業(株)製〕
【0150】
表2及び表3中、「配合量」の欄に記載の数値は、いずれも固形分換算値である。
表2及び表3中、「-」は、その欄に該当する成分を配合していないことを意味する。
【0151】
[粘着剤層付き偏光板の作製]
シリコーン系剥離処理剤で表面処理(所謂、易剥離処理)された剥離フィルム〔タイプ:MRF、厚さ:38μm、三菱ケミカル(株)製〕の易剥離処理面に、上記にて調製した粘着剤組成物を塗布し、塗布膜を形成した。なお、粘着剤組成物の塗布量は、後述の粘着膜の厚さが20μmとなる量とした。次いで、形成した塗布膜に対し、熱風循環式乾燥機を用いて、100℃の空気を風速3m/秒で60秒間吹き付けることにより、塗布膜を乾燥させ、剥離フィルム上に厚さ20μmの粘着膜を形成した。次いで、形成した粘着膜の露出した面と、トリアセチルセルロース(TAC)層/偏光子を含むポリビニルアルコール(PVA)層/TAC層の構成を有する偏光板(厚さ:100μm)の一方のTAC層の面と、を重ねて貼り合わせた。次いで、貼り合わせにより得られた積層体を雰囲気温度23℃及び50%RHの環境下に7日間(所謂、養生期間)静置し、粘着膜を養生させた。以上のようにして、剥離フィルム/粘着剤層/偏光板(TAC層/PVA層/TAC層)の構成を有する粘着剤層付き偏光板を作製した。
【0152】
[評価]
1.高温低湿環境下における耐久性
(1)耐久性評価用サンプルの作製
上記にて作製した粘着剤層付き偏光板を、偏光板の吸収軸に対して長辺が0°になるように切断し、60mm(短辺)×130mm(長辺)の大きさの試験片を作製した。次いで、試験片の剥離フィルムを剥離した。剥離により露出した粘着剤層の面と、ガラス板〔種類:ソーダガラス、松浪硝子工業(株)製〕の一方の面と、が接するように重ねた後、ラミネーターを用いて圧着し、試験片とガラス板とを貼り合わせた。
以上のようにして、ガラス板/粘着剤層/偏光板(TAC層/PVA層/TAC層)の構成を有する耐久性評価用サンプルを作製した。
【0153】
(2)耐久性評価試験
上記にて作製した耐久性評価用サンプルを、処理温度50℃及び処理圧力5kg/cmの条件で20分間オートクレーブ処理した後、雰囲気温度23℃及び50%RHの環境下に24時間静置した。この24時間静置した後の耐久性評価用サンプルを、雰囲気温度115℃及び10%RHの環境下(所謂、高温低湿環境下)に500時間静置した。この500時間静置した後の耐久性評価用サンプルの状態を目視により観察し、下記の評価基準に従って評価を行った。評価結果を表4及び表5に示す。
下記の評価基準において、「A」、「B」及び「C」は、実用可能なレベルであり、「A」であることが最も好ましい。
【0154】
-評価基準-
A:耐久性評価用サンプルに発泡、シワ及び剥がれが全く確認されなかった。
B:耐久性評価用サンプルに発泡、シワ及び剥がれのうちの少なくとも1つ以上が僅かに確認されたが、実用上問題ないレベルであった。
C:耐久性評価用サンプルに発泡、シワ及び剥がれのうちの少なくとも1つ以上が確認されたが、実用上許容されるレベルであった。
D:耐久性評価用サンプルに発泡、シワ及び剥がれのうちの少なくとも1つ以上が顕著に確認され、実用上許容できないレベルであった。
【0155】
2.高温低湿環境下における光学フィルムの収縮抑制
(1)収縮抑制評価用サンプルの作製
上記にて作製した粘着剤層付き偏光板を、偏光板の吸収軸に対して長辺が0°になるように切断し、60mm(短辺)×130mm(長辺)の大きさの試験片を作製した。次いで、試験片の剥離フィルムを剥離した。剥離により露出した粘着剤層の面と、ガラス板〔種類:ソーダガラス、松浪硝子工業(株)製〕の一方の面と、が接するように重ねた後、ラミネーターを用いて圧着し、試験片とガラス板とを貼り合わせた。
以上のようにして、ガラス板/粘着剤層/偏光板(TAC層/PVA層/TAC層)の構成を有する収縮抑制評価用サンプルを作製した。
【0156】
(2)収縮抑制評価試験
上記にて作製した収縮抑制評価用サンプルを、処理温度50℃及び処理圧力5kg/cmの条件で20分間オートクレーブ処理した後、雰囲気温度23℃及び50%RHの環境下に24時間静置した。この24時間静置した後の収縮抑制評価用サンプルを、雰囲気温度115℃及び10%RHの環境下(所謂、高温低湿環境下)に200時間静置した。この200時間静置した後の収縮抑制評価用サンプルの長辺(即ち、吸収軸に対して0°になる方)の長さを、デジタルマイクロスコープ〔型式:VHX-100F、(株)キーエンス製〕を用いて測定し、下記の計算式により、収縮率を算出した。なお、算出した値は、小数点以下2桁目を四捨五入した。
【0157】
収縮率(単位:%)
=[〔評価試験前の収縮抑制評価用サンプルの長辺の長さ(単位:mm)〕-〔評価試験後の収縮抑制評価用サンプルの長辺の長さ(単位:mm)〕]/評価試験前の収縮抑制評価用サンプルの長辺の長さ(単位:mm)×100
【0158】
上記にて求めた収縮率に基づき、下記の評価基準に従って評価を行った。結果を表4及び表5に示す。
下記の評価基準において、「A」、「B」及び「C」は、実用可能なレベルであり、「A」であることが最も好ましい。
【0159】
-評価基準-
A:収縮率が0.4%未満であった。
B:収縮率が0.4%以上0.8%未満の範囲であった。
C:収縮率が0.8%以上1.1%未満の範囲であった。
D:収縮率が1.1%以上であった。
【0160】
3.加工性
上記にて作製した粘着剤層付き偏光板を切断し、1cm×1cmの大きさの試験片を作製した。作製した試験片に対して剥離フィルム側から偏光板の延伸方向と平行の向きでフェザー刃を当て、試験片を裁断した。裁断面を、デジタルマイクロスコープ〔型番:VHX7000、倍率:500倍、(株)キーエンス製〕を用いて観察し、粘着剤層のはみ出しの有無及び程度を確認した。そして、下記の評価基準に従って評価を行った。結果を表4及び表5に示す。
下記の評価基準において、「A」及び「B」は、実用可能なレベルであり、「A」であることが最も好ましい。
【0161】
-評価基準-
A:粘着剤層のはみ出しが全く確認されなかった。
B:粘着剤層のはみ出しが確認されたが、実用上問題ないレベルであった。
C:粘着剤層のはみ出しが大きく、実用上許容できないレベルであった。
【0162】
4.被着体の腐食性
20mm×25mmの大きさの導電膜(ITO膜;以下、同じ。)付きガラスを準備した。この準備した導電膜付きガラスの導電膜部分にテスターのリード棒を当て、抵抗値を測定した。この測定により得られた抵抗値を「試験前の抵抗値」とする。
次に、上記にて作製した粘着剤層付き偏光板を、25mm×30mmの大きさに切断した。次いで、切断した粘着剤層付き偏光板の剥離フィルムを剥離した。剥離により露出した粘着剤層の面に、上記にて抵抗値を測定した導電膜付きガラスの導電膜面を重ねた後、2kgのローラーを用いて圧着し、導電膜付きガラスからはみ出た粘着剤層付き偏光板を切除することにより腐食性評価用サンプルを作製した。次いで、作製した腐食性評価用サンプルを、雰囲気温度60℃及び90%RHの環境下に1週間静置した。この1週間静置した腐食性評価用サンプルの導電膜部分に、テスターのリード棒を当て、抵抗値を測定した。この測定により得られた抵抗値を「試験後の抵抗値」とする。
試験前の抵抗値と試験後の抵抗値とから、抵抗値の変化率を以下の式により算出した。
抵抗値の変化率(%)
=[(試験後の抵抗値-試験前の抵抗値)÷試験前の抵抗値]×100
【0163】
算出した抵抗値の変化率(%)に基づき、下記の評価基準に従って評価を行った。結果を表4及び表5に示す。粘着剤層が導電膜を腐食すると、抵抗値の変化率が大きくなる。 下記の評価基準において、「A」は、実用可能なレベルである。
【0164】
-評価基準-
A:抵抗値の変化率が3%以下であった。
B:抵抗値の変化率が3%を超えていた。
【0165】
【表4】
【0166】
【表5】
【0167】
表4に示す結果から、実施例1~19の粘着剤組成物によれば、高温低湿環境下における耐久性及び光学フィルムの収縮抑制、並びに、加工性に優れる粘着剤層を形成できることが明らかとなった。また、実施例1~19の粘着剤組成物により形成される粘着剤層は、導電膜を腐食させ難いことが確認された。
一方、表5に示すように、比較例1~11の粘着剤組成物により形成される粘着剤層は、高温低湿環境下における耐久性、高温低湿環境下における光学フィルムの収縮抑制、及び、加工性の少なくとも1つ以上の評価において、実施例の粘着剤組成物により形成される粘着剤層よりも劣る結果を示した。