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特開2024-137586伝送損失を減らすための光ファイバリボンプリント間隔
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  • 特開-伝送損失を減らすための光ファイバリボンプリント間隔 図1
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024137586
(43)【公開日】2024-10-07
(54)【発明の名称】伝送損失を減らすための光ファイバリボンプリント間隔
(51)【国際特許分類】
   G02B 6/44 20060101AFI20240927BHJP
【FI】
G02B6/44 371
G02B6/44 311
【審査請求】有
【請求項の数】7
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023090588
(22)【出願日】2023-06-01
(31)【優先権主張番号】18/124,701
(32)【優先日】2023-03-22
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(71)【出願人】
【識別番号】509094034
【氏名又は名称】オーエフエス ファイテル,エルエルシー
(74)【代理人】
【識別番号】100094112
【弁理士】
【氏名又は名称】岡部 讓
(74)【代理人】
【識別番号】100106183
【弁理士】
【氏名又は名称】吉澤 弘司
(74)【代理人】
【識別番号】100114915
【弁理士】
【氏名又は名称】三村 治彦
(74)【代理人】
【識別番号】100125139
【弁理士】
【氏名又は名称】岡部 洋
(74)【代理人】
【識別番号】100209808
【弁理士】
【氏名又は名称】三宅 高志
(72)【発明者】
【氏名】エリック ティー. ジョイス
(72)【発明者】
【氏名】カリオフィリス コンスタディニディス
(72)【発明者】
【氏名】ヘン リ
(72)【発明者】
【氏名】デヴィッド ダブリュ. ペッカム
(72)【発明者】
【氏名】横溝 健二
【テーマコード(参考)】
2H201
2H250
【Fターム(参考)】
2H201AX17
2H201AX24
2H201BB03
2H201BB12
2H201BB23
2H201BB97
2H201DD06
2H201DD13
2H201DD23
2H201DD32
2H201DD34
2H201KK26A
2H201KK26B
2H201KK37A
2H201KK37B
2H201KK63
2H201MM22
2H250AB02
2H250BA32
2H250BB07
2H250BB33
2H250BC02
2H250BC03
2H250BD02
2H250BD12
(57)【要約】
【課題】光伝送損失の増加を抑えつつ、光ファイバケーブル内の個々の光ファイバリボンの識別を容易にすること。
【解決手段】本発明の実施形態は、光ファイバリボンを含む。光ファイバリボンは、複数の光ファイバが直線状に並んでいる。また、光ファイバリボンは、少なくとも2つの隣接する光ファイバの外周面の少なくとも一部に塗布された結合マトリックス材料を含む。光ファイバリボンは、少なくとも1つの光ファイバの外周面に塗布された少なくとも1つのマーキングも含む。少なくとも1つのマーキングは、光ファイバの光伝送損失を低減する方法で、少なくとも1つの光ファイバの外周面に塗布される。
【選択図】図2A
【特許請求の範囲】
【請求項1】
直線配列状に互いに隣接して配置された複数の光ファイバと、
少なくとも2つの隣接する光ファイバの前記外周面の少なくとも一部に塗布される結合マトリックス材料と、
少なくとも1つの光ファイバの前記外周面に塗布される少なくとも1つのマーキングとを備え、
前記光ファイバの前記光伝送損失を低減する方法で、前記少なくとも1つのマーキングは、少なくとも1つの光ファイバの前記外周面に塗布されることを特徴とする光ファイバリボン。
【請求項2】
前記少なくとも1つのマーキングは、一連のドットの複数の行を備え、前記ドットは、ドットの同じ行で前記ドットと隣接する少なくとも1つのドットに対して距離またはピッチを有することを特徴とする請求項1に記載の光ファイバリボン。
【請求項3】
光伝送波長が約1550ナノメートルである場合および光伝送波長が約1625ナノメートルである場合、前記ドットの前記距離またはピッチは、450ミクロンから500ミクロンの間であることを特徴とする請求項2に記載の光ファイバリボン。
【請求項4】
光伝送波長が約1310ナノメートルである場合、前記ドットの前記距離またはピッチは、540ミクロンから620ミクロンの間であることを特徴とする請求項2に記載の光ファイバリボン。
【請求項5】
光伝送波長が約1310ナノメートル、1550ナノメートルおよび1625ナノメートルである場合、前記ドットの前記距離またはピッチは、620ミクロンから700ミクロンの間であることを特徴とする請求項2に記載の光ファイバリボン。
【請求項6】
前記ドットは、熱硬化性、溶剤硬化性またはUV硬化性インク材料の集まりであり、各々のドットは、直径300~400ミクロンの大きさを有することを特徴とする請求項2に記載の光ファイバリボン。
【請求項7】
光伝送波長が約1310ナノメートル、1550ナノメートルおよび1625ナノメートルである場合、前記ドットの前記距離またはピッチは、700ミクロンよりも大きいことを特徴とする請求項1に記載の光ファイバリボン。
【請求項8】
前記少なくとも1つのマーキングは、数字を表す少なくとも1つのバンドを備えることを特徴とする請求項1に記載の光ファイバリボン。
【請求項9】
前記光ファイバリボンは、ローラブル光ファイバリボンであり、前記結合マトリックス材料は、少なくとも2つの隣接する光ファイバの前記外周面の少なくとも一部に断続的に塗布される複数の結合マトリックス材料部を備えることを特徴とする請求項1に記載の光ファイバリボン。
【請求項10】
コア部と、
前記コア部の周囲に形成されるクラッド部と、
前記クラッド部の周囲に形成される少なくとも1つのコーティング部と、
前記少なくとも1つのコーティング部の前記外周面に塗布される少なくとも1つのマーキングとを備え、
光ファイバの前記光伝送損失を低減する方法で、前記少なくとも1つのマーキングは、前記少なくとも1つのコーディング部の前記外周面に塗布されることを特徴とする光ファイバ。
【請求項11】
前記少なくとも1つのマーキングは、一連のドットを備え、前記ドットの少なくとも1つは、ドットの同じ行で前記ドットと隣接する少なくとも1つのドットに対して距離またはピッチを有することを特徴とする請求項10に記載の光ファイバ。
【請求項12】
光伝送波長が約1550ナノメートルである場合および光伝送波長が約1625ナノメートルである場合、前記ドットの前記距離またはピッチは、450ミクロンから500ミクロンの間であることを特徴とする請求項11に記載の光ファイバ。
【請求項13】
光伝送波長が約1310ナノメートルである場合、前記ドットの前記距離またはピッチは、540ミクロンから620ミクロンの間であることを特徴とする請求項11に記載の光ファイバ。
【請求項14】
光伝送波長が約1310ナノメートル、1550ナノメートルおよび1625ナノメートルである場合、前記ドットの前記距離またはピッチは、620ミクロンから700ミクロンの間であることを特徴とする請求項11に記載の光ファイバ。
【請求項15】
前記ドットは、熱硬化性、溶剤硬化性またはUV硬化性インク材料の集まりであり、各々のドットは、直径300~400ミクロンの大きさを有することを特徴とする請求項11に記載の光ファイバ。
【請求項16】
光伝送波長が約1310ナノメートル、1550ナノメートルおよび1625ナノメートルである場合、前記ドットの前記距離またはピッチは、700ミクロンよりも大きいことを特徴とする請求項10に記載の光ファイバ。
【請求項17】
前記少なくとも1つのマーキングは、数字を表す少なくとも1つのバンドを備えることを特徴とする請求項10に記載の光ファイバ。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、光ファイバローラブルリボンなどの光ファイバリボンに関する。より具体的には、本発明は、光ファイバローラブルリボンなどの光ファイバリボンに適用されるプリントマーキングに関する。
【背景技術】
【0002】
データ伝送の需要が高まるにつれて、所定の光ファイバケーブルにより多くの光ファイバを有することの需要もまた高まってる。このような需要により、現在、最大6912本の光ファイバ(例えば、光ファイバリボンあたり12本のファイバを持つ576本の光ファイバリボン)が単一の光ファイバケーブルにまとめられている。これだけ多くの光ファイバが同じ光ファイバケーブルにまとめられているため、同じ光ファイバケーブル内で個々の光ファイバリボンを区別することは比較的困難になっている。
【0003】
同じ光ファイバケーブル内の個々の光ファイバリボンを識別する方法の1つは、光ファイバケーブル内の各々の光ファイバリボンの1つまたは複数の光ファイバの表面に何らかのマーキングインクまたはその他の適切な材料を塗布する(例えばプリントする)ことだ。各々のマーキングインクまたはその他の適切な材料は、光ファイバケーブル内の各々の光ファイバリボンに固有であるため、光ファイバケーブル内の他の光ファイバリボンと比較して、各々の光ファイバリボンを一意に識別できる。
【0004】
ただし、所定の光ファイバの光ファイバ伝送損失は、それぞれの光ファイバの表面に塗布されるマーキングインクまたはその他の適切な材料に比較的敏感であり得るため、光ファイバの表面にマーキングインクまたはその他の適切な材料を塗布すると、最終的に光ファイバの伝送性能に影響を与え得る。このことは、ローラブル光ファイバリボンまたはフレキシブル光ファイバリボンの一部である光ファイバ、すなわち、光ファイバリボンの長さに沿った断続的なマトリックス結合材料を有する光ファイバリボンに特に当てはまる。現在の光ファイバケーブルの多くは、光ファイバケーブル内の充填密度を高めるために、ローラブル光ファイバリボンまたはフレキシブル光ファイバリボンを採用している。
【発明の概要】
【0005】
本発明は、光ファイバリボンにおいて具体化される。光ファイバリボンは、直線状配列で互いに隣接して配置された複数の光ファイバを含む。また、光ファイバリボンは、少なくとも2つの隣接する光ファイバの外周面の少なくとも一部に塗布された結合マトリックス材料を含む。また、光ファイバリボンは、少なくとも1つの光ファイバの外周面に塗布された少なくとも1つのマーキングを含む。少なくとも1つのマーキングは、光ファイバの光伝送損失を低減する方法で、少なくとも1つの光ファイバの外周面に塗布される。
【図面の簡単な説明】
【0006】
図1図1は、従来の光ファイバの断面図である。
図2A図2Aは、本発明の実施形態による、識別のためにマーキングインクがプリントされた光ファイバリボンの斜視図である。
図2B図2Bは、本発明の実施形態による、マーキングインクがプリントされた光ファイバリボン内のいくつかの光ファイバの平面図であり、マーキングインクが、各行の隣接するプリントドット間のピッチを持つ一連のプリントドットの行として示されている。
図2C図2Cは、図2Bの光ファイバリボン内のいくつかの光ファイバの拡大された平面図であり、本発明の実施形態による、マーキングインクが、各行の隣接するプリントドット間のピッチを持つ一連のプリントドット行として示されている。
図3図3は、本発明の実施形態による、隣接するプリントドット間の異なるピッチに対して、1550ナノメートル(nm)の光伝送速度で動作する光ファイバの追加された光伝送損失のグラフである。
図4図4は、本発明の実施形態による、隣接するプリントドット間の異なるピッチに対して1310ナノメートル(nm)の光伝送速度で動作する光ファイバの追加された光伝送損失のグラフである。
【発明を実施するための形態】
【0007】
以下の説明において、参照番号のようなものは、図面の説明を通じて発明の理解を深めるための同様の構成要素を示す。また、以下では具体的な特徴、構成および配置について説明するが、説明のためにのみ行われることを理解すべきである。関連する技術の当業者は、他のステップ、構成および配置が、本発明の思想および範囲から逸脱することなく有用であることを認識するであろう。
【0008】
図1は、従来の光ファイバ10の断面図である。光ファイバ10は、コア部12と、コア部12を囲むクラッド部14と、クラッド部14を囲む1つまたは複数のコーティング部であって、例えば、クラッド部14を囲むプライマリコーティング部16と、プライマリコーティング部16を囲むセカンダリコーティング部18とを含む。
【0009】
コア部12とクラッド部14はガラスからなる。コーティング部16、18はプラスチックまたは紫外線(UV)硬化性アクリレート材料でできており、コア部12とクラッド部14を破損から保護する。セカンダリコーティング部18は、例えば同じ光ファイバリボン内で、光ファイバ10を他の光ファイバから区別するために特定の色にすることができ、あるいは、光ファイバ10は、例えば同じ光ファイバリボン内で、光ファイバ10を他の光ファイバから区別するために、セカンダリコーティング部18を囲むカラー層17を含んでもよい。
【0010】
図2Aは、光ファイバリボン20を形成するために、互いに隣接して配置され、マトリックス材料または結合マトリックス材料と結合された光ファイバ10の配列22を有する光ファイバリボン20の斜視図である。光ファイバリボンには、通常、4本から24本の光ファイバがあり、通常はリボンごとに12本または24本の光ファイバがある。
【0011】
各々の光ファイバ10は、コア部12と、コア部12の周囲に形成されたクラッド部14と、クラッド部14の周囲に形成された1つまたは複数のコーティング部16、18とを有する。この光ファイバリボン20において、光ファイバ10の周囲がリボンマトリックス部24で断続的に覆われている。光ファイバリボンにおいて、光ファイバの周囲がリボンマトリックス部で完全に覆われているものもあることを理解されたい。
【0012】
光ファイバケーブルは、複数の光ファイバリボン20を含むことができる。光ファイバリボンを互いに一意に分類および/または識別するために、光ファイバリボン、すなわち光ファイバリボン20の1本以上の光ファイバ10の外周面にマーキングがプリントまたはその他の方法で塗布される。これらのマーキングは、光ファイバリボンを他の光ファイバリボンから一意に識別する任意の適切な印とすることができる。例えば、図2Aに示すように、いくつかの光ファイバ10には、光ファイバリボン20を他の光ファイバリボン(不図示)から識別する目的で、マーキングインクまたは他の適切な印19がプリントされている。
【0013】
一例として、光ファイバリボン20の光ファイバ10の1つまたは複数にプリントされたマーキングインクまたは他の適切な印19は、1つまたは複数の比較的広いバンドおよび/または1つまたは複数の狭いバンドの形をとることができ、各々の幅の広いバンドは数字の5を表し、各々の幅の狭いバンドは数字の1を表す。このようにして、図示のように、光ファイバリボン「6」として指定された光ファイバリボン20は、1つの広いバンド(1×5=5)および1つの狭いバンド(1×1=1)(5+1=「6」)の形で光ファイバ10にマーキングインクまたは他の適切な印19をプリントする。同様に、光ファイバリボン「33」(不図示)として指定された光ファイバリボン20は、6つの広いバンド(6×5=30)と3つの狭いバンド(3×1=3)(30+3=「33」)の形で光ファイバ10にマーキングインクまたはその他の適切な印19がプリントされている。
【0014】
図2Bは、本発明の実施形態による、マーキングインクまたはその他の適切な印19がプリントされているか、またはその他の方法で塗布されている光ファイバリボン20内のいくつかの光ファイバ10の平面図である。図2Cは、図2Bの光ファイバリボン内のいくつかの光ファイバの拡大された平面図である。
【0015】
マーキングインクまたはその他の印19は、光ファイバ10の表面にプリントまたはその他の方法で塗布された一連のドット26の行を含む。各々のドット26は通常、直径300~400ミクロン(μm)の大きさを有する。ドット26は、それぞれのドット行内の他の隣接するドット26に対して距離またはピッチ28を有する。ドット26は通常、光ファイバ10および/または光ファイバ10を結合するマトリックス材料の表面上または表面に一定の凹凸または凹凸を示すことができる熱硬化性、溶剤硬化性、またはUV硬化性インク材料の集まりである。
【0016】
本発明の実施形態によれば、ドット26の各々の行は通常、10から50のドット26を含む。例えば、上記で議論したように、マーキングインクまたは他の印19の比較的広いバンド(バンド21として図2Bに示されている)は一連のドット26の行を含み、各々のドット行は5から30のドット26を有する。同様に、マーキングインクまたは他の印19のより狭いバンド(バンド23として図2Bに示されている)は一連のドット26の行を含み、各々のドット行は2~10のドット26を有する。ここで議論したように、識別のために、マーキングインクまたは他の印19の比較的広いバンド21は数字の5を表すことができ、マーキングインクまたは他の印19のより狭いバンド23は数字の1を表すことができる。したがって、図2Bに示す光ファイバリボン20は、1つの比較的広いバンド21と1つのより狭いバンド23を持つことが示されており、光ファイバリボン「6」(1×5+1×1=「6」)と指定することができる。
【0017】
上記で説明したように、所定の光ファイバの光ファイバ伝送損失は、それぞれの光ファイバの表面に塗布されたマーキングインクまたは他の適切な材料に比較的敏感である可能性があるため、光ファイバの表面にマーキングインクまたは他の適切な材料を塗布することは、それらの光ファイバの伝送性能に影響を与える可能性がある。これは、ローラブル光ファイバリボンまたはフレキシブル光ファイバリボンの一部である光ファイバ、すなわち、光ファイバリボンの長さに沿って断続的なマトリックス結合材料を持つ光ファイバリボンに特に当てはまる。現在の多くの光ファイバケーブルは、光ファイバケーブル内のより大きな充填密度を実現するために、ローラブル光ファイバリボンまたはフレキシブル光ファイバリボンを採用している。
【0018】
本発明の一実施形態によれば、例えば光ファイバリボン20において、光ファイバ10の表面に塗布されるマーキングインクまたは他の印19のドット間の間隔またはピッチは、光ファイバ10の光伝送損失に影響を与える。光伝送損失は、単一の光ファイバでは個別に生じ、光ファイバケーブル内の光ファイバリボンではまとめて生じ得る。また、光ファイバの光伝送損失は、光ファイバの光伝送波長によって異なる場合がある。
【0019】
本発明の一実施形態によれば、マーキングインクまたは他の印のドット間のピッチまたは間隔が450から500ミクロン(μm)の光ファイバでは、光伝送波長が1310ナノメートル(nm)で、ピッチまたは間隔が620から700μmのマーキングインクまたは他の印を有する光ファイバと比較して、光伝送損失が増加した。しかし、マーキングインクまたは他の印のドット間のピッチまたは間隔が450から500μmの他の印を持つ光ファイバでは、光伝送損失は、波長が1550nmで、ピッチまたは間隔が620から700μmの光ファイバと比較して増加しなかった。
【0020】
また、本発明の一実施形態によれば、マーキングインクまたは他の印のドット間のピッチまたは間隔が540から600μmの光ファイバでは、光伝送損失は、波長が1310nmで、ピッチまたは間隔が450から500μmのマーキングインクまたは他の印を有する光ファイバと比較して減少した。しかし、マーキングインクまたは他の印のドット間のピッチまたは間隔が540から620μmの他の印を有する光ファイバでは、光伝送損失は、波長が1550nmで、ピッチまたは間隔が450から500μmの他の印を有する光ファイバと比較して増加しなかった。
【0021】
本発明の一実施形態によれば、光伝送損失を低減し、および/または様々な光伝送波長における追加の光伝送損失を防止するために、マーキングインクまたは他の印は、マーキングインクまたは他の印のドット間のピッチまたは間隔が620から700μmの間である。すなわち、マーキングインクまたは他の印のドット間のピッチまたは間隔が620から700μmの光ファイバに塗布されるマーキングインクまたは他の印は、1310nm、1550nmおよび1625nmの光伝送波長における光ファイバにおける追加の光伝送損失を回避する。
【0022】
また、本発明の実施形態によれば、マーキングインクまたは他の印は、マーキングインクまたは他の印のドット間のピッチまたは間隔を700μmより大きくすることができ、これにより光伝送損失を低減し、または様々な光伝送波長における追加の光伝送損失を防止することができることを理解すべきである。例えば、マーキングインクまたは他の印は、マーキングインクまたは他の印のドット間のピッチまたは間隔を約1500μmにすることができる。
【0023】
図3は、本発明の実施形態による、隣接するプリントドット間の異なるピッチについて、1550ナノメートル(nm)の光伝送速度で動作する光ファイバの追加された光伝送損失のグラフ30である。グラフに示されている光ファイバへの追加光伝送損失は、光ファイバケーブル内に配置された光ファイバリボンの一部として、光ファイバが光ファイバケーブルに含まれている状態で測定される。光ファイバは、光ファイバケーブル内に配置されている場合、光ファイバケーブル内に配置されている場合、光ファイバにかかる応力により、光伝送損失が大きくなる傾向がある。したがって、光ファイバケーブル内に光ファイバを配置した後に測定された光ファイバの伝送損失と、光ファイバケーブル内に光ファイバを配置する前に測定された光ファイバの伝送損失との差が、追加された光伝送損失となる。
【0024】
グラフ30は、マーキングインクまたはその他の印のドット間のピッチ間隔が450から500μmの間にある、マーキングインクまたはその他の印(32として示されている)を使用した光ファイバの追加された損失(x軸)の発生周波数(y軸)をデシベル/キロメートル(dB/km)で示している。グラフ30は、マーキングインクまたはその他の印のドット間のピッチ間隔が620から700μmの間にある、マーキングインクまたはその他の印(34として示されている)を使用した光ファイバの追加損失(x軸)の発生周波数(y軸)をデシベル/キロメートル(dB/km)で示している。
【0025】
図3に示すように、マーキングインクまたはその他の印のドット間のピッチ間隔が450から500μmの間にある、マーキングインクまたはその他の印(32として示されている)を使用した光ファイバでは、各種の追加された損失(例えば、0.00から0.05dB/km)の発生周波数は、マーキングインクまたは他の印のドット間のピッチまたは間隔が620から700μmの間にあるマーキングインクその他の印(34として示されている)を使用した光ファイバの場合とほぼ同じである。
【0026】
図4は、本発明の実施形態による、隣接するプリントドット間の異なるピッチについて、1310ナノメートル(nm)の光伝送速度で動作する光ファイバの追加された光伝送損失のグラフ40である。このグラフに示されている光ファイバへの追加損失は、光ファイバが、例えば、光ファイバケーブル内に配置された光ファイバリボンの一部として、光ファイバケーブルに含まれている状態で測定される。上述のように、光ファイバケーブル内に光ファイバを配置すると、光ファイバケーブル内に配置したときに光ファイバにかかる応力などにより、光伝送損失が大きくなる傾向がある。
【0027】
グラフ40は、マーキングインクまたはその他の印(42として示されている)のドット間のピッチまたは間隔が450から500μmであるマーキングインクまたはその他の印を有する光ファイバについて、追加された損失(x軸)の発生周波数(y軸)をデシベル/キロメートル(dB/km)で示されている。グラフ40は、マーキングインクまたはその他の印(44として示されている)のドット間のピッチまたは間隔が620から700μmであるマーキングインクまたはその他の印である光ファイバについて、追加された損失(x軸)の発生周波数(y軸)をデシベル/キロメートル(dB/km)で示されている。
【0028】
図4に示すように、マーキングインクまたはその他の印(44として示されている)のドット間のピッチまたは間隔が620から700μmであるマーキングインクまたはその他の印を有する光ファイバについては、マーキングインクまたはその他の印のドット間のピッチが450から500μm(42として示されている)である光ファイバよりも、低い追加された損失(例えば、0.00から0.01dB/km)の発生周波数が高くなる。また、マーキングインクまたはその他の印(42として示されている)のドット間のピッチまたは間隔が450から500μmであるマーキングインクまたはその他の印を有する光ファイバについては、マーキングのドット間のピッチ間隔が620から700μm(44として示されている)である光ファイバについてより高い追加損失(例えば、0.01から0.03dB/km)の発生周波数が高くなる。したがって、マーキングインクまたはその他の印のドット間のピッチまたは間隔が620から700μmであるマーキングインクまたはその他の印を有する光ファイバの全体的な追加された損失は、一般に、マーキングインクまたは他の印のドット間のピッチまたは間隔が450から500μmのマーキングインクまたは他の印を有する光ファイバよりも低い。
【0029】
したがって、上記で議論したように、本発明の一実施形態によれば、光伝送損失を低減しおよび/または様々な光伝送波長における追加の光伝送損失を防止するために、マーキングインクまたは他の印は、620から700μmの間のマーキングインクまたは他の印のドット間のピッチまたは間隔を有する。すなわち、マーキングインクまたは他の印のドット間のピッチまたは間隔が620から700μmの光ファイバに塗布されるマーキングインクまたは他の印は、光伝送波長が1310nm、1550nmおよび1625nmの光ファイバにおける追加の光伝送損失を回避する。
【0030】
添付の特許請求の範囲およびそれらの同等物の全範囲によって定義される本発明の思想および範囲から逸脱することなく、ここに記載される本発明の実施形態に多くの変更および置換を加えることができることは、当業者には明らかであろう。
図1
図2A
図2B
図2C
図3
図4
【手続補正書】
【提出日】2024-08-20
【手続補正1】
【補正対象書類名】特許請求の範囲
【補正対象項目名】全文
【補正方法】変更
【補正の内容】
【特許請求の範囲】
【請求項1】
直線配列状に互いに隣接して配置された複数の光ファイバと、
少なくとも2つの隣接する光ファイバの外周面の少なくとも一部に塗布される結合マトリックス材料と、
少なくとも1つの光ファイバの前記外周面に塗布される少なくとも1つのマーキングとを備え、
前記光ファイバの光伝送損失を低減する方法で、前記少なくとも1つのマーキングは、少なくとも1つの光ファイバの前記外周面に塗布され
前記少なくとも1つのマーキングは、一連のドットの複数の行を備え、前記ドットは、ドットの同じ行で前記ドットと隣接する少なくとも1つのドットに対して距離またはピッチを有し、
光伝送波長が約1310ナノメートルである場合、光伝送波長が約1550ナノメートルである場合、および光伝送波長が約1625ナノメートルである場合に、前記ドットの前記距離またはピッチは、620ミクロンから700ミクロンの間であることを特徴とする光ファイバリボン。
【請求項2】
前記ドットは、熱硬化性、溶剤硬化性またはUV硬化性インク材料の集まりであり、各々のドットは、直径300~400ミクロンの大きさを有することを特徴とする請求項に記載の光ファイバリボン。
【請求項3】
前記少なくとも1つのマーキングは、数字を表す少なくとも1つのバンドを備えることを特徴とする請求項1に記載の光ファイバリボン。
【請求項4】
前記光ファイバリボンは、ローラブル光ファイバリボンであり、前記結合マトリックス材料は、少なくとも2つの隣接する光ファイバの前記外周面の少なくとも一部に断続的に塗布される複数の結合マトリックス材料部を備えることを特徴とする請求項1に記載の光ファイバリボン。
【請求項5】
コア部と、
前記コア部の周囲に形成されるクラッド部と、
前記クラッド部の周囲に形成される少なくとも1つのコーティング部と、
前記少なくとも1つのコーティング部の外周面に塗布される少なくとも1つのマーキングとを備え、
光ファイバの光伝送損失を低減する方法で、前記少なくとも1つのマーキングは、前記少なくとも1つのコーティング部の前記外周面に塗布され
前記少なくとも1つのマーキングは、一連のドットを備え、前記ドットの少なくとも1つは、ドットの同じ行で前記ドットと隣接する少なくとも1つのドットに対して距離またはピッチを有し、
光伝送波長が約1310ナノメートルである場合、光伝送波長が約1550ナノメートルである場合、および光伝送波長が約1625ナノメートルである場合に、前記ドットの前記距離またはピッチは、620ミクロンから700ミクロンの間であることを特徴とする光ファイバ。
【請求項6】
前記ドットは、熱硬化性、溶剤硬化性またはUV硬化性インク材料の集まりであり、各々のドットは、直径300~400ミクロンの大きさを有することを特徴とする請求項に記載の光ファイバ。
【請求項7】
前記少なくとも1つのマーキングは、数字を表す少なくとも1つのバンドを備えることを特徴とする請求項に記載の光ファイバ。