(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024013760
(43)【公開日】2024-02-01
(54)【発明の名称】クレーン、および、クレーンの組立方法
(51)【国際特許分類】
B66C 23/26 20060101AFI20240125BHJP
【FI】
B66C23/26 C
B66C23/26 F
【審査請求】未請求
【請求項の数】6
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022116102
(22)【出願日】2022-07-21
(71)【出願人】
【識別番号】000246273
【氏名又は名称】コベルコ建機株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110001841
【氏名又は名称】弁理士法人ATEN
(72)【発明者】
【氏名】住本 宏治
(72)【発明者】
【氏名】前藤 鉄兵
【テーマコード(参考)】
3F205
【Fターム(参考)】
3F205AA07
3F205CA01
3F205DA01
3F205JA01
(57)【要約】
【課題】ストラットガイラインをブームの所定位置に接続する作業の作業性を向上させることが可能なクレーン、および、クレーンの組立方法を提供する。
【解決手段】ブーム24およびジブ25が地面上に倒伏された状態で、中間部材4に巻上ロープ32が接続され、ウインチで巻上ロープ32が巻き取られることで、倒伏されたストラット27が起立される。ウインチで巻上ロープ32が巻き取られ、中間部材4が接続部51に向かって移動された状態で、第2ストラットガイライン3の端が接続部51に接続される。
【選択図】
図3
【特許請求の範囲】
【請求項1】
クレーン本体と、
前記クレーン本体に起伏可能に取り付けられたブームと、
前記ブームの先端部に起伏可能に取り付けられたジブと、
前記ブームの先端部または前記ジブの基端部に起伏可能に取り付けられたストラットと、
前記クレーン本体または前記ブームに設けられたウインチと、
前記ウインチに巻回されたロープと、
前記ロープを接続可能な中間部材と、
前記ストラットと前記中間部材とを繋ぐ第1ストラットガイラインと、
一端が前記中間部材に接続され、前記ブームに設けられた接続部に他端を接続することが可能な第2ストラットガイラインと、
を有し、
前記ブームおよび前記ジブが地面上に倒伏された状態で、前記中間部材に前記ロープが接続され、前記ウインチで前記ロープが巻き取られることで、倒伏された前記ストラットが起立され、
前記ウインチで前記ロープが巻き取られ、前記中間部材が前記接続部に向かって移動された状態で、前記第2ストラットガイラインの前記他端が前記接続部に接続されることを特徴とするクレーン。
【請求項2】
前記第2ストラットガイラインは、前記ブームの幅方向における前記中間部材の両端部の各々に接続されており、
前記接続部は、2本の前記第2ストラットガイラインに対してそれぞれ設けられており、
前記中間部材の前記両端部に対してそれぞれ設けられて、互いの長さが等しく、前記中間部材の前記端部に一端が接続されたひも状部材を有し、
前記ロープの端部は、2本の前記ひも状部材の各々の他端に接続されることを特徴とする請求項1に記載のクレーン。
【請求項3】
前記第1ストラットガイラインは、第1ガイラインと、第2ガイラインと、を有し、
前記第1ストラットガイラインは、前記第1ガイラインと前記第2ガイラインとを接続した第1形態と、前記第1ガイラインと前記第2ガイラインとを分離した第2形態との間で使用形態を変更可能であり、
前記第1形態では、前記第1ガイラインおよび前記第2ガイラインによって前記ストラットと前記中間部材とが繋がれる一方、
前記第2形態では、前記第1ガイラインによって前記ストラットと前記中間部材とが繋がれる一方、前記第2ガイラインを介して前記第2ストラットガイラインが前記中間部材に接続されることを特徴とする請求項1又は2に記載のクレーン。
【請求項4】
前記第2ストラットガイラインは、前記ブームの幅方向における前記中間部材の両端部の各々に接続されており、
前記接続部は、2本の前記第2ストラットガイラインに対してそれぞれ設けられており、
前記中間部材は、前記ブームの幅方向における長さが可変であることを特徴とする請求項1又は2に記載のクレーン。
【請求項5】
前記第2ストラットガイラインは、前記ブームの幅方向における前記中間部材の両端部の各々に接続されており、
前記接続部は、2本の前記第2ストラットガイラインに対してそれぞれ設けられており、
前記中間部材は、
前記ブームの幅方向に延びる横材と、
前記ブームの幅方向における前記横材の両端部にそれぞれ設けられ、前記横材にピンで接合されて、前記第1ストラットガイラインおよび前記第2ストラットガイラインがそれぞれ接続されたリンクと、
前記ピンとは別に設けられ、前記リンクから前記横材に、前記ブームの幅方向の内側向きの荷重を伝えることが可能な荷重伝達部材と、
を有することを特徴とする請求項1又は2に記載のクレーン。
【請求項6】
クレーン本体と、
前記クレーン本体に起伏可能に取り付けられたブームと、
前記ブームの先端部に起伏可能に取り付けられたジブと、
前記ブームの先端部または前記ジブの基端部に起伏可能に取り付けられたストラットと、
前記クレーン本体または前記ブームに設けられたウインチと、
前記ウインチに巻回されたロープと、
前記ロープを接続可能な中間部材と、
前記ストラットと前記中間部材とを繋ぐ第1ストラットガイケーブルと、
一端が前記中間部材に接続され、前記ブームに設けられた接続部に他端を接続することが可能な第2ストラットガイケーブルと、
を有するクレーンの組立方法であって、
前記ブームおよび前記ジブを地面上に倒伏させた状態で、前記中間部材に前記ロープを接続し、前記ウインチで前記ロープを巻き取ることで、倒伏された前記ストラットを起立させる起立ステップと、
前記ウインチで前記ロープを巻き取り、前記中間部材を前記接続部に向かって移動させた状態で、前記第2ストラットガイケーブルの他端を前記接続部に接続する接続ステップと、
を有することを特徴とするクレーンの組立方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、クレーン、および、クレーンの組立方法に関する。
【背景技術】
【0002】
特許文献1には、クレーンの組立時に、主巻ロープ(巻上ロープ)をジブマスト(ストラット)の吊りラグに接続し、ウインチで巻上ロープを巻き取ることで、倒伏状態のストラットを起立させる組立方法が開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
ところで、ストラットを起立させた後に、ストラットとブームの所定位置とを繋ぐストラットガイラインを、ブームの所定位置に接続する。しかし、ジブのオフセット角度や、クレーン自体の構成によっては、ストラットガイラインの長さに余裕がなく、作業者がストラットガイラインを引っ張りながらブームの所定位置に接続しなければならない場合がある。ブーム上の高所で、足場が悪い中、重いストラットガイラインを持ち運ぶのは重労働である。
【0005】
本発明の目的は、ストラットガイラインをブームの所定位置に接続する作業の作業性を向上させることが可能なクレーン、および、クレーンの組立方法を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明のクレーンは、クレーン本体と、前記クレーン本体に起伏可能に取り付けられたブームと、前記ブームの先端部に起伏可能に取り付けられたジブと、前記ブームの先端部または前記ジブの基端部に起伏可能に取り付けられたストラットと、前記クレーン本体または前記ブームに設けられたウインチと、前記ウインチに巻回されたロープと、前記ロープを接続可能な中間部材と、前記ストラットと前記中間部材とを繋ぐ第1ストラットガイラインと、一端が前記中間部材に接続され、前記ブームに設けられた接続部に他端を接続することが可能な第2ストラットガイラインと、を有し、前記ブームおよび前記ジブが地面上に倒伏された状態で、前記中間部材に前記ロープが接続され、前記ウインチで前記ロープが巻き取られることで、倒伏された前記ストラットが起立され、前記ウインチで前記ロープが巻き取られ、前記中間部材が前記接続部に向かって移動された状態で、前記第2ストラットガイラインの前記他端が前記接続部に接続されることを特徴とする。
【0007】
また、本発明のクレーンの組立方法は、クレーン本体と、前記クレーン本体に起伏可能に取り付けられたブームと、前記ブームの先端部に起伏可能に取り付けられたジブと、前記ブームの先端部または前記ジブの基端部に起伏可能に取り付けられたストラットと、前記クレーン本体または前記ブームに設けられたウインチと、前記ウインチに巻回されたロープと、前記ロープを接続可能な中間部材と、前記ストラットと前記中間部材とを繋ぐ第1ストラットガイケーブルと、一端が前記中間部材に接続され、前記ブームに設けられた接続部に他端を接続することが可能な第2ストラットガイケーブルと、を有するクレーンの組立方法であって、前記ブームおよび前記ジブを地面上に倒伏させた状態で、前記中間部材に前記ロープを接続し、前記ウインチで前記ロープを巻き取ることで、倒伏された前記ストラットを起立させる起立ステップと、前記ウインチで前記ロープを巻き取り、前記中間部材を前記接続部に向かって移動させた状態で、前記第2ストラットガイケーブルの他端を前記接続部に接続する接続ステップと、を有することを特徴とする。
【発明の効果】
【0008】
本発明によると、ブームおよびジブが地面上に倒伏された状態で、ウインチでロープが巻き取られることで、倒伏されたストラットが起立される。そして、ウインチでロープが巻き取られ、中間部材が接続部に向かって移動された状態で、第2ストラットガイラインの他端が接続部に接続される。中間部材を接続部に向かって移動させることで、第2ストラットガイラインの他端と接続部との間の距離を短くすることができる。よって、第2ストラットガイラインの他端を接続部に接続する作業を容易に行うことができる。また、接続作業を行う際に、中間部材から接続部まで延びた第2ストラットガイラインのみをハンドリングすればよいので、ストラットから接続部まで延びた1本のストラットガイラインをハンドリングする場合に比べて、接続作業を容易に行うことができる。よって、ストラットガイラインをブームの所定位置に接続する作業の作業性を向上させることができる。
【図面の簡単な説明】
【0009】
【
図1】クレーンの側面図であり、ブームが起立した状態を示す図である。
【
図2】クレーンの側面図であり、ブームおよびジブが地面上に倒伏された状態を示す図である。
【
図6】中間部材を上方から見た図であり、長さの短い端部を基部に取り付けた状態を示す図である。
【
図7】中間部材を上方から見た図であり、長さの長い端部を基部に取り付けた状態を示す図である。
【
図11】
図2に示すクレーンよりもブームが長いクレーンの側面図であり、ブームおよびジブが地面上に倒伏された状態を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0010】
以下、本発明の好適な実施の形態について、図面を参照しつつ説明する。
【0011】
(クレーンの構成)
本実施形態のクレーン1は、クレーン1の側面図である
図1に示すように、クローラ式の下部走行体21に上部旋回体22が旋回可能に搭載された構成となっている。下部走行体21および上部旋回体22は、クレーン本体である。なお、クレーン1は、クローラ以外の移動手段(例えばホイール)を用いた移動式クレーンであってもよいし、移動手段を持たない固定式クレーンであってもよい。
【0012】
上部旋回体22は、運転室23と、ブーム24と、ジブ25と、ガントリ26と、ストラット27と、下部スプレッダ28と、フック用ウインチ43と、ブーム起伏用ウインチ45と、カウンタウエイト29と、ジブバックストップ装置47と、ストラットバックストップ装置48と、を有している。
【0013】
運転室23は、上部旋回体22の前部に設けられている。ブーム24は、上部旋回体22の前部に、上部旋回体22に対して起伏可能に連結されている(取り付けられている)。ブーム24は、下部ブーム24aと、一又は複数の中間ブーム24bと、上部ブーム24cとで構成されている。ブーム24の先端には、ブームガイライン39の一端が接続されている。
図1では、ブーム24が起立した状態を図示している。
【0014】
ジブ25は、ブーム24の先端部に、ブーム24に対して起伏可能に連結されている(取り付けられている)。ジブ25は、下部ジブ25aと、一又は複数の中間ジブ25bと、上部ジブ25cとで構成されている。ジブ25の先端には、ジブポイントシーブ31が設けられている。このジブポイントシーブ31からは巻上ロープ32を介してフック装置(図示せず)が吊り下げられている。
【0015】
ガントリ26は、上部旋回体22の後部に取り付けられている。なお、ガントリ26の代わりにマストを備えた構成であってもよい。ストラット27は、ジブ25の基端部(下部ジブ25a)に、ジブ25に対して起伏可能に連結されている(取り付けられている)。なお、ストラット27は、ブーム24の先端部(上部ブーム24c)に取り付けられていてもよい。ストラット27の先端とジブ25の先端とは、ジブガイライン34により連結されている。また、ストラット27の先端と、ブーム24に設けられた接続部51とは、ストラットガイライン46により連結されている。ストラットガイライン46は、接続部51に対して着脱可能である。
【0016】
ストラット27の中央部には、シーブ52が設けられている。このシーブ52には、巻上ロープ32が掛けられる。
【0017】
下部スプレッダ28は、ガントリ26の上端に取り付けられている。下部スプレッダ28と、ブームガイライン39の他端に連結した上部スプレッダ40との間には、ブーム起伏ロープ41が掛け渡されている。
【0018】
フック用ウインチ43、および、ブーム起伏用ウインチ45は、上部旋回体22の中央部にそれぞれ配置されている。フック用ウインチ(ウインチ)43には、巻上ロープ(ロープ)32が巻回されている。ブーム起伏用ウインチ45には、ブーム起伏ロープ41が巻回されている。なお、フック用ウインチ43は、ブーム24の基部(下部ブーム24a)に配置されていてもよい。また、ブーム起伏用ウインチ45は、ガントリ26の下部に配置されていてもよい。
【0019】
フック用ウインチ43は、巻上ロープ32を巻き取り又は繰り出してフック装置の巻き上げ又は巻き下げを行う。ブーム起伏用ウインチ45は、ブーム起伏ロープ41を巻き取り又は繰り出すことで、ブーム24を、その支点であるブームフットピン42回りに起伏させる。
【0020】
カウンタウエイト29は、上部旋回体22の後部に搭載されている。
【0021】
ジブバックストップ装置47は、ジブ25の下部背面側に設けられている。ジブバックストップ装置47は、ストラット27に設けられたバックストップ受け(図示せず)に受けられることで、ジブ25の後側(ストラット27側)への回動を規制する。
【0022】
ストラットバックストップ装置48は、ストラット27の下部背面側に設けられている。ストラットバックストップ装置48は、ブーム24に設けられたバックストップ受け(図示せず)に受けられることで、ストラット27の後側(ブーム24側)への回動を規制する。
【0023】
このような構成において、クレーン1が分解・組立される際には、クレーン1の側面図である
図2に示すように、ブーム24およびジブ25が地面上に倒伏された状態にされる。なお、
図2に示すクレーン1は、
図1に示すクレーン1よりも、ブーム24およびジブ25の長さが短い。
【0024】
図2の要部Aの拡大図である
図3、および、
図3を上方から見た図である
図4に示すように、ストラットガイライン46は、第1ストラットガイライン2と、第2ストラットガイライン3とを有する。ストラット27の先端部には、幅変えリンク55が取り付けられている。ブーム24の幅方向(
図4の図中上下方向)において、幅変えリンク55の両端部には、第1ストラットガイライン2の一端がそれぞれ接続されている。
【0025】
クレーン1は、中間部材4を有している。第1ストラットガイライン2は、ストラット27(幅変えリンク55)と中間部材4とを繋いでいる。つまり、第1ストラットガイライン2の他端は、中間部材4に接続されている。中間部材4には、巻上ロープ32を接続可能である。
【0026】
中間部材4の両端部には、第2ストラットガイライン3の一端がそれぞれ接続されている。第2ストラットガイライン3の他端は、ブーム24に設けられた接続部51に接続可能である。接続部51は、2本の第2ストラットガイライン3に対してそれぞれ設けられている。
【0027】
中間部材4の周囲を上方から見た図である
図5に示すように、クレーン1は、2本のひも状部材5を有している。本実施形態において、ひも状部材5はスリングであるが、ロープやワイヤであってもよい。ひも状部材5は、中間部材4の両端部に対してそれぞれ設けられている。2本のひも状部材5は、互いの長さが等しい。ひも状部材5の一端は、中間部材4の端部に接続されている。巻上ロープ32の端部は、2本のひも状部材5の各々の他端に接続される。なお、2本のひも状部材5と巻上ロープ32との間にスリング等のひも状部材を介在させて、このひも状部材の一端を2本のひも状部材5の各々の他端に接続し、このひも状部材の他端を巻上ロープ32に接続してもよい。
【0028】
中間部材4を上方から見た図である
図6および
図7に示すように、中間部材4は、横材6と、リンク7と、を有している。横材6は、ブーム24の幅方向(図中左右方向)に延びている。リンク7は、ブーム24の幅方向における横材6の両端部にそれぞれ設けられ、横材6にピンで接合されている。リンク7には、第1ストラットガイライン2および第2ストラットガイライン3がそれぞれ接続されている。
【0029】
中間部材4は、ブーム24の幅方向の長さが可変である。具体的には、横材6は、基部6aと端部6bとを有している。基部6aは、ブーム24の幅方向における中央部に配置されている。端部6bは、基部6aの両端部の各々に着脱可能に接続されている。基部6aには、長さの異なる複数種類の端部6bのいずれかが接続される。基部6aは共通部材である。基部6aに対して端部6bを付け替えることで、横材6の長さが変更される。つまり、ブーム24の幅方向における中間部材4の長さが変更される。
図7に示す端部6bは、
図6に示す端部6bよりも長い。
【0030】
ブーム24の幅方向における中間部材4の長さを変えることで、幅の異なるブーム24であっても、その幅に合った中間部材4とすることができる。基部6aと端部6bとは、2本以上(
図6、
図7では2本)のピンで接合されている。そのため、基部6aに対して端部6bは回転しない。横材6(端部6b)とリンク7とを接合するピンの軸方向と、基部6aと端部6bとを接合するピンの軸方向とは、交差している。
【0031】
なお、横材6は、ブーム24の幅方向の長さが無段階で可変な構成にされていてもよい。例えば、横材6は外筒と内筒とを有し、一方に対して他方が進退することで、全体が伸縮する構成にされていてもよい。
【0032】
クレーン1が組立される際には、
図2に示すように、ストラット27とジブ25とが一体でブーム24に取り付けられる。このとき、ストラット27はジブ25上に倒伏されている。そして、ひも状部材5を介して中間部材4に巻上ロープ32が接続され、フック用ウインチ43で巻上ロープ32が巻き取られることで、倒伏状態のストラット27が起立される。
【0033】
図3に示すように、巻上ロープ32が巻き取られることで、中間部材4が接続部51に向かって移動されていく。第2ストラットガイライン3の他端と接続部51との間の距離が短くなった状態で、第2ストラットガイライン3の他端が接続部51に接続される。
【0034】
このように、中間部材4を接続部51に向かって移動させることで、第2ストラットガイライン3の他端と接続部51との間の距離を短くすることができる。よって、第2ストラットガイライン3の他端を接続部51に接続する作業を容易に行うことができる。また、接続作業を行う際に、中間部材4から接続部51まで延びた第2ストラットガイライン3のみをハンドリングすればよいので、ストラット27から接続部51まで延びた1本のストラットガイライン46をハンドリングする場合に比べて、接続作業を容易に行うことができる。よって、ストラットガイライン46をブーム24の所定位置(接続部51)に接続する作業の作業性を向上させることができる。
【0035】
また、
図5に示すように、2本のひも状部材5の長さは等しいので、巻上ロープ32が引っ張られると、ブーム24の幅方向に対して中間部材4が傾斜するのが抑制されながら、中間部材4がフック用ウインチ43(
図2参照)の方に引っ張られる。よって、2本の第2ストラットガイライン3の各々の他端を、接続部51に対して容易に位置合わせすることができる。
【0036】
ここで、
図5の要部Bの拡大図である
図8に示すように、ひも状部材5の端部は、シャックル61を介して中間部材4のリンク7に接続されている。リンク7におけるシャックル61の取り付け部は、中間部材4の横材6の長手方向の延長線上に位置している。
【0037】
横材6の長手方向の延長線上に、リンク7におけるシャックル61の取り付け部が位置することで、巻上ロープ32によってひも状部材5が引っ張られる張力F1のうち、ブーム24の長手方向に平行な成分F1xと、第1ストラットガイライン2に掛る張力F2のうち、ブーム24の長手方向に平行な成分F2xとが釣り合う。これにより、横材6に対するリンク7の回転が抑制される。また、横材6が、張力F1のうち、ブーム24の幅方向に平行な成分F1yと、張力F2のうち、ブーム24の幅方向に平行な成分F2yとを受け持つので、リンク7の横材6の方への移動が抑制される。
【0038】
図5に示すように、第2ストラットガイライン3の他端が接続部51に接続された後には、ひも状部材5と巻上ロープ32との接続が解除される。そして、横材6とリンク7とを接合するピンが抜かれることで、横材6が取り外される。
【0039】
ここで、
図6の要部Cの拡大図である
図9に示すように、中間部材4は、スペーサ8を有している。スペーサ(荷重伝達部材)8は、ピン9とは別に設けられ、リンク7から横材6に、ブーム24の幅方向の内側向きの荷重を伝えることが可能である。
【0040】
ここで、第2ストラットガイライン3が接続部51に接続された状態のときに、中間部材4側における第2ストラットガイライン3同士の間隔よりも、接続部51側における第2ストラットガイライン3同士の間隔の方が狭い場合が想定される。この場合、第2ストラットガイライン3の張力によって、
図9に矢印で示すように、ピン9を介してリンク7が横材6をブーム24の幅方向の内側の方に押圧する。この場合、リンク7からの荷重がピン9に掛かり、ピン9が抜けにくくなる。そこで、スペーサ8を設けることで、ピン9に作用するブーム24の幅方向の荷重を抑制することができる。これにより、リンク7および横材6からピン9を好適に引き抜くことができる。
【0041】
図9のD-D断面図である
図10に示すように、横材6の端部に形成されたピン穴6cとピン9との間には、所謂ガタが形成されている。そのため、リンク7からの押圧力でスペーサ8の側面が横材6の端部に当接した状態で、ピン穴6cとピン9との間に隙間が生じる。よって、ピン9に荷重がかからないので、リンク7および横材6からピン9を容易に引き抜くことができる。
【0042】
図4に示すように、第1ストラットガイライン2は、第1ガイライン2aと、第2ガイライン2bと、を有している。第1ストラットガイライン2は、第1ガイライン2aと第2ガイライン2bとを接続した第1形態と、第1ガイライン2aと第2ガイライン2bとを分離した第2形態との間で使用形態を変更可能である。
図3、
図4では、第1ストラットガイライン2が第1形態の状態を示している。
【0043】
クレーン1の側面図である
図11に示すように、ブーム24が長い場合、ブーム24が短い場合(
図2参照)に比べて、フック用ウインチ43で巻上ロープ32が巻き取られているときの中間部材4の高さが高くなる。この場合、第1ストラットガイライン2が第1形態の状態で、中間部材4から第2ストラットガイライン3のみが垂れ下がっていたのでは、第2ストラットガイライン3の他端を接続部51に十分に近づけることができない場合がある。
【0044】
そこで、ブーム24が長い場合、第1ストラットガイライン2が第2形態にされる。つまり、第1ガイライン2aによってストラット27と中間部材4とが繋がれる一方、第2ガイライン2bを介して第2ストラットガイライン3が中間部材4に接続される。これにより、中間部材4から第2ガイライン2bおよび第2ストラットガイライン3が垂れ下がった状態になるので、第2ストラットガイライン3の他端を接続部51に十分に近づけることができる。これにより、第2ストラットガイライン3の他端を接続部51に好適に接続することができる。
【0045】
(クレーンの動作)
次に、クレーン1の動作について、図面を参照しつつ説明する。なお、ここでは、倒伏させたブーム24にジブ25を取り付け、ブーム24およびジブ25を起立させるまでを述べる。
【0046】
まず、
図2に示すように、ブーム24が地面上に倒伏された状態で、下部ジブ25aとストラット27とを一体でブーム24に取り付ける。次に、下部ジブ25aに対して、中間ジブ25b、上部ジブ25cをこの順番で取り付ける。
【0047】
次に、ひも状部材5を介して中間部材4に巻上ロープ32を接続する。そして、フック用ウインチ43で巻上ロープ32を巻き取って、倒伏状態のストラット27を起立させていく。
【0048】
巻上ロープ32が巻き取られることで、中間部材4が接続部51に向かって移動されていく。
図3に示すように、第2ストラットガイライン3の他端と接続部51との間の距離が短くなった状態で、第2ストラットガイライン3の他端を接続部51に接続する。
【0049】
このように、中間部材4を接続部51に向かって移動させることで、第2ストラットガイライン3の他端と接続部51との間の距離を短くすることができる。よって、第2ストラットガイライン3の他端を接続部51に接続する作業を容易に行うことができる。また、接続作業を行う際に、中間部材4から接続部51まで延びた第2ストラットガイライン3のみをハンドリングすればよいので、ストラット27から接続部51まで延びた1本のストラットガイライン46をハンドリングする場合に比べて、接続作業を容易に行うことができる。よって、ストラットガイライン46をブーム24の所定位置(接続部51)に接続する作業の作業性を向上させることができる。
【0050】
ストラット27を起立させた後には、ジブバックストップ装置47を、ストラット27に設けられたバックストップ受けで受けるとともに、ストラットバックストップ装置48を、ブーム24に設けられたバックストップ受けで受ける。
【0051】
次に、ひも状部材5と巻上ロープ32との接続を解除し、中間部材4から横材6を取り外す。そして、ブーム起伏ロープ41を巻き取ることで、
図1に示すように、ブーム24を起立させる。なお、
図11に示すように、ブーム24の長さが長いために、中間部材4の高さが高い場合には、中間部材4から横材6を取り外さなくてもよい。
【0052】
(効果)
以上に述べたように、本実施形態に係るクレーン1によると、ブーム24およびジブ25が地面上に倒伏された状態で、フック用ウインチ43で巻上ロープ32が巻き取られることで、倒伏されたストラット27が起立される。そして、フック用ウインチ43で巻上ロープ32が巻き取られ、中間部材4が接続部51に向かって移動された状態で、第2ストラットガイライン3の他端が接続部51に接続される。中間部材4を接続部51に向かって移動させることで、第2ストラットガイライン3の他端と接続部51との間の距離を短くすることができる。よって、第2ストラットガイライン3の他端を接続部51に接続する作業を容易に行うことができる。また、接続作業を行う際に、中間部材4から接続部51まで延びた第2ストラットガイライン3のみをハンドリングすればよいので、ストラット27から接続部51まで延びた1本のストラットガイライン46をハンドリングする場合に比べて、接続作業を容易に行うことができる。よって、ストラットガイライン46をブーム24の所定位置(接続部51)に接続する作業の作業性を向上させることができる。
【0053】
また、巻上ロープ32の端部は、2本のひも状部材5の各々の他端に接続されている。2本のひも状部材5の長さは等しいので、巻上ロープ32が引っ張られると、ブーム24の幅方向に対して中間部材4が傾斜するのが抑制されながら、中間部材4がフック用ウインチ43の方に引っ張られる。よって、2本の第2ストラットガイライン3の各々の他端を、接続部51に対して容易に位置合わせすることができることができる。
【0054】
また、第1ストラットガイライン2は、第1ガイライン2aと第2ガイライン2bとを接続した第1形態と、第1ガイライン2aと第2ガイライン2bとを分離した第2形態との間で使用形態を変更可能である。ブーム24が長い場合、ブーム24が短い場合に比べて、フック用ウインチ43で巻上ロープ32が巻き取られているときの中間部材4の高さが高くなる。この場合、第1ストラットガイライン2が第1形態の状態で、中間部材4から第2ストラットガイライン3のみが垂れ下がっていたのでは、第2ストラットガイライン3の他端を接続部51に十分に近づけることができない場合がある。そこで、ブーム24が長い場合、第1ストラットガイライン2を第2形態にすることで、中間部材4から第2ガイライン2bおよび第2ストラットガイライン3が垂れ下がった状態になるので、第2ストラットガイライン3の他端を接続部51に十分に近づけることができる。これにより、第2ストラットガイライン3の他端を接続部51に好適に接続することができる。
【0055】
また、中間部材4は、ブーム24の幅方向における長さが可変である。ブーム24の幅方向における中間部材4の長さを変えることで、幅の異なるブーム24であっても、その幅に合った中間部材4とすることができる。
【0056】
また、スペーサ8で、リンク7から横材6に、ブーム24の幅方向の内側向きの荷重を伝えることが可能である。第2ストラットガイライン3が接続部51に接続された状態のときに、中間部材4側における第2ストラットガイライン3同士の間隔よりも、接続部51側における第2ストラットガイライン3同士の間隔の方が狭い場合が想定される。この場合、第2ストラットガイライン3の張力によって、ピン9を介してリンク7が横材6をブーム24の幅方向の内側の方に押圧する。この場合、リンク7からの荷重がピン9に掛かり、ピン9が抜けにくくなる。そこで、スペーサ8を設けることで、ピン9に作用するブーム24の幅方向の荷重を抑制することができる。これにより、リンク7および横材6からピン9を好適に引き抜くことができる。
【0057】
以上、本発明の実施形態を説明したが、具体例を例示したに過ぎず、特に本発明を限定するものではなく、具体的構成などは、適宜設計変更可能である。また、発明の実施の形態に記載された、作用及び効果は、本発明から生じる最も好適な作用及び効果を列挙したに過ぎず、本発明による作用及び効果は、本発明の実施の形態に記載されたものに限定されるものではない。
【符号の説明】
【0058】
1 クレーン
2 第1ストラットガイライン
2a 第1ガイライン
2b 第2ガイライン
3 第2ストラットガイライン
4 中間部材
5 ひも状部材
6 横材
7 リンク
8 スペーサ(荷重伝達部材)
9 ピン
21 下部走行体
22 上部旋回体
23 運転室
24 ブーム
25 ジブ
26 ガントリ
27 ストラット
28 下部スプレッダ
29 カウンタウエイト
31 ジブポイントシーブ
32 巻上ロープ(ロープ)
34 ジブガイライン
39 ブームガイライン
40 上部スプレッダ
41 ブーム起伏ロープ
42 ブームフットピン
43 フック用ウインチ(ウインチ)
45 ブーム起伏用ウインチ
46 ストラットガイライン
47 ジブバックストップ装置
48 ストラットバックストップ装置
51 接続部
52 シーブ
55 幅変えリンク
61 シャックル