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特開2024-137614データ処理装置、データ処理方法及びプログラム
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024137614
(43)【公開日】2024-10-07
(54)【発明の名称】データ処理装置、データ処理方法及びプログラム
(51)【国際特許分類】
   G06Q 30/04 20120101AFI20240927BHJP
【FI】
G06Q30/04
【審査請求】未請求
【請求項の数】12
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023144137
(22)【出願日】2023-09-06
(62)【分割の表示】P 2023518850の分割
【原出願日】2023-03-23
(71)【出願人】
【識別番号】516380407
【氏名又は名称】ファーストアカウンティング株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110004222
【氏名又は名称】弁理士法人創光国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】葛 鴻鵬
(72)【発明者】
【氏名】松田 顕
(72)【発明者】
【氏名】小俣 智
(72)【発明者】
【氏名】森 啓太郎
(72)【発明者】
【氏名】早川 将和
【テーマコード(参考)】
5L030
5L049
【Fターム(参考)】
5L030BB11
5L049BB11
(57)【要約】      (修正有)
【課題】電子インボイスの内容を確認しやすくするデータ処理装置、データ処理方法及びプログラムを提供する。
【解決手段】データ処理装置1は、電子インボイスが送受信される電子インボイスネットワークN1を介して電子インボイスを取得するインボイス取得部131と、テンプレートデータを記憶する記憶部12と、電子インボイスに含まれている1以上のデータをテンプレートデータに配置することにより印刷データを作成する印刷データ作成部133と、印刷データを出力する出力部134と、を有する。
【選択図】図2
【特許請求の範囲】
【請求項1】
電子インボイスが送受信される電子インボイスネットワークを介して電子インボイスを取得するインボイス取得部と、
テンプレートデータを記憶する記憶部と、
前記電子インボイスに含まれている1以上のデータを前記テンプレートデータに配置することにより印刷データを作成する印刷データ作成部と、
前記印刷データを出力する出力部と、
を有するデータ処理装置。
【請求項2】
前記テンプレートデータは、請求書の発行元領域、請求対象名領域及び請求金額領域を少なくとも含み、
前記印刷データ作成部は、前記電子インボイスに含まれている当該電子インボイスの送信元を示す送信元データを前記発行元領域に配置し、前記電子インボイスに含まれている請求対象を示す請求対象データを前記請求対象名領域に配置し、前記電子インボイスに含まれている請求金額データを前記請求金額領域に配置することにより、前記印刷データを作成する、
請求項1に記載のデータ処理装置。
【請求項3】
前記印刷データ作成部は、前記電子インボイスネットワークを介して取得されたことを示すテキストを含む前記印刷データを作成する、
請求項1に記載のデータ処理装置。
【請求項4】
前記印刷データ作成部は、正規の請求書ではないことを示すテキストを含む前記印刷データを作成する、
請求項1に記載のデータ処理装置。
【請求項5】
ユーザの操作を受け付ける操作受付部をさらに有し、
前記記憶部は、前記テンプレートデータを識別するためのテンプレートIDに関連付けて複数の前記テンプレートデータを記憶し、
前記印刷データ作成部は、前記操作受付部が受け付けた前記ユーザの操作に基づいて特定した前記テンプレートIDに関連付けて前記記憶部に記憶された前記テンプレートデータに前記1以上のデータを配置することにより、前記印刷データを作成する、
請求項1に記載のデータ処理装置。
【請求項6】
ユーザの操作を受け付ける操作受付部をさらに有し、
前記インボイス取得部は、複数の前記電子インボイスを取得し、
前記印刷データ作成部は、複数の前記電子インボイスのうち、前記操作受付部が受け付けた条件を満たす1以上の前記電子インボイスに対応する1以上の前記印刷データを作成する、
請求項1に記載のデータ処理装置。
【請求項7】
前記インボイス取得部は、複数の前記電子インボイスを取得し、
前記印刷データ作成部は、複数の前記電子インボイスそれぞれに含まれている前記1以上のデータが一覧表形式で配置された前記印刷データを作成する、
請求項1に記載のデータ処理装置。
【請求項8】
前記印刷データ作成部は、所定の日に、前記所定の日の前の所定の期間に前記インボイス取得部が取得した1以上の前記電子インボイスに対応する1以上の前記印刷データを作成する、
請求項1に記載のデータ処理装置。
【請求項9】
前記出力部は、前記電子インボイスに含まれている、通信先を示す通信先データを特定し、前記通信先データが示す通信先に宛てて、前記通信先データの種別に対応する通信手段で前記印刷データを送信する、
請求項1に記載のデータ処理装置。
【請求項10】
画像データを取得する画像データ取得部と、
前記画像データ取得部が取得した前記画像データに含まれている所定の文字列の位置を認識する文字列認識部と、
前記文字列認識部が認識した前記所定の文字列の位置を示す情報を含む前記テンプレートデータを作成するテンプレート作成部と、
をさらに有する、
請求項1から9のいずれか一項に記載のデータ処理装置。
【請求項11】
コンピュータが実行する、
電子インボイスが送受信される電子インボイスネットワークを介して電子インボイスを取得するステップと、
前記電子インボイスに含まれている1以上のデータを、記憶部に記憶されたテンプレートデータに配置することにより印刷データを作成するステップと、
前記印刷データを出力するステップと、
を有するデータ処理方法。
【請求項12】
コンピュータに、
電子インボイスが送受信される電子インボイスネットワークを介して電子インボイスを取得するステップと、
前記電子インボイスに含まれている1以上のデータを、記憶部に記憶されたテンプレートデータに配置することにより印刷データを作成するステップと、
前記印刷データを出力するステップと、
を実行させるためのプログラム。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、データ処理装置、データ処理方法及びプログラムに関する。
【背景技術】
【0002】
昨今、受発注や請求にかかる電子文書をネットワーク上でやり取りするための標準化が進められている。電子インボイスを送受信することができる電子インボイスネットワークとして、例えばPEPPOL(Pan-European Public Procurement Online)が知られている(例えば、特許文献1を参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特許第7041992号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
電子インボイスネットワークを介して受信する電子インボイスは、XML(Extensible Markup Language)形式で記述されたデータである。このような電子インボイスがコンピュータの画面に表示される場合、従来の請求書の形式と異なる形式で表示されることが想定される。従来の請求書を見慣れた人にとっては、このように表示された電子インボイスの内容を確認しづらいという問題が生じる。
【0005】
そこで、本発明はこれらの点に鑑みてなされたものであり、電子インボイスの内容を確認しやすくすることを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明の第1の態様のデータ処理装置は、電子インボイスが送受信される電子インボイスネットワークを介して電子インボイスを取得するインボイス取得部と、テンプレートデータを記憶する記憶部と、前記電子インボイスに含まれている1以上のデータを前記テンプレートデータに配置することにより印刷データを作成する印刷データ作成部と、前記印刷データを出力する出力部と、を有する。
【0007】
前記テンプレートデータは、請求書の発行元領域、請求対象名領域及び請求金額領域を少なくとも含み、前記印刷データ作成部は、前記電子インボイスに含まれている当該電子インボイスの送信元を示す送信元データを前記発行元領域に配置し、前記電子インボイスに含まれている請求対象を示す請求対象データを前記請求対象名領域に配置し、前記電子インボイスに含まれている請求金額データを前記請求金額領域に配置することにより、前記印刷データを作成してもよい。
【0008】
前記印刷データ作成部は、前記電子インボイスネットワークを介して取得されたことを示すテキストを含む前記印刷データを作成してもよい。
【0009】
前記印刷データ作成部は、正規の請求書ではないことを示すテキストを含む前記印刷データを作成してもよい。
【0010】
前記データ処理装置は、ユーザの操作を受け付ける操作受付部をさらに有し、前記記憶部は、前記テンプレートデータを識別するためのテンプレートIDに関連付けて複数の前記テンプレートデータを記憶し、前記印刷データ作成部は、前記操作受付部が受け付けた前記ユーザの操作に基づいて特定した前記テンプレートIDに関連付けて前記記憶部に記憶された前記テンプレートデータに前記1以上のデータを配置することにより、前記印刷データを作成してもよい。
【0011】
前記データ処理装置は、ユーザの操作を受け付ける操作受付部をさらに有し、前記インボイス取得部は、複数の前記電子インボイスを取得し、前記印刷データ作成部は、複数の前記電子インボイスのうち、前記操作受付部が受け付けた条件を満たす1以上の前記電子インボイスに対応する1以上の前記印刷データを作成してもよい。
【0012】
前記インボイス取得部は、複数の前記電子インボイスを取得し、前記印刷データ作成部は、複数の前記電子インボイスそれぞれに含まれている前記1以上のデータが一覧表形式で配置された前記印刷データを作成してもよい。
【0013】
前記印刷データ作成部は、所定の日に、前記所定の日の前の所定の期間に前記インボイス取得部が取得した1以上の前記電子インボイスに対応する1以上の前記印刷データを作成してもよい。
【0014】
前記出力部は、前記電子インボイスに含まれている、通信先を示す通信先データを特定し、前記通信先データが示す通信先に宛てて、前記通信先データの種別に対応する通信手段で前記印刷データを送信してもよい。
【0015】
前記データ処理装置は、画像データを取得する画像データ取得部と、前記画像データ取得部が取得した前記画像データに含まれている所定の文字列の位置を認識する文字列認識部と、前記文字列認識部が認識した前記所定の文字列の位置を示す情報を含む前記テンプレートデータを作成するテンプレート作成部と、をさらに有してもよい。
【0016】
本発明の第2の態様のデータ処理方法は、コンピュータが実行する、電子インボイスが送受信される電子インボイスネットワークを介して電子インボイスを取得するステップと、前記電子インボイスに含まれている1以上のデータを、記憶部に記憶されたテンプレートデータに配置することにより印刷データを作成するステップと、前記印刷データを出力するステップと、を有する。
【0017】
本発明の第3の態様のプログラムは、コンピュータに、電子インボイスが送受信される電子インボイスネットワークを介して電子インボイスを取得するステップと、前記電子インボイスに含まれている1以上のデータを、記憶部に記憶されたテンプレートデータに配置することにより印刷データを作成するステップと、前記印刷データを出力するステップと、を実行させるためのプログラムである。
【発明の効果】
【0018】
本発明によれば、電子インボイスの内容を確認しやすくなるという効果を奏する。
【図面の簡単な説明】
【0019】
図1】データ処理装置1の概要を説明するための図である。
図2】データ処理装置1の構成を示す図である。
図3】テンプレートデータの一例を模式的に示す図である。
図4】電子インボイスに含まれるXMLデータの例を示す図である。
図5】電子インボイスに含まれるXMLデータの例を示す図である。
図6】印刷データ作成部133が印刷データを作成する処理について説明するための図である。
図7】作成された印刷データの例を示す図である。
図8】データ処理装置1における処理の流れを示す図である。
図9】テンプレートデータを作成する機能を有するデータ処理装置1Aの構成を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0020】
[データ処理装置1の概要]
図1は、データ処理装置1の概要を説明するための図である。図1には、データ処理装置1と、請求書発行装置2と、プリンタ3と、FAX受信機4とが示されている。
【0021】
データ処理装置1は、PEPPOLのような電子インボイスネットワークを経由して受信した電子インボイスに基づいて、電子インボイスを受けた企業の担当者(以下、「ユーザ」という場合がある)が見やすい形式で電子インボイスの内容を印刷できるようにするためのコンピュータである。担当者が見やすい形式とは、例えば、従来の紙の請求書の形式である。当該形式の例については後述する。
【0022】
請求書発行装置2は、電子インボイスを発行する企業で使用されているコンピュータである。当該企業の担当者が、請求書発行装置2を操作することにより、請求対象の商品名、数量、金額などの情報を入力すると、請求書発行装置2は入力された情報を含む電子インボイスを作成する。電子インボイスは、例えばXML形式のデータにより構成される。請求書発行装置2は、担当者が入力した宛先に電子インボイスを送信する。請求書発行装置2が送信した電子インボイスは、電子インボイスネットワークN1を介してデータ処理装置1に送信される。
【0023】
データ処理装置1は、受信した電子インボイスに基づいて印刷データを作成し、作成した印刷データをプリンタ3に送信することにより、プリンタ3により紙の請求書が印刷される。データ処理装置1は、印刷データをFAX通信用の画像データに変換し、通信ネットワークN2(例えば公衆電話網)を介してFAX受信機4に送信してもよい。この場合、FAX受信機4が、受信した画像データを印刷することにより、紙の請求書が印刷される。
【0024】
[データ処理装置1の構成]
図2は、データ処理装置1の構成を示す図である。データ処理装置1は、通信部11と、記憶部12と、制御部13と、を有する。制御部13は、インボイス取得部131と、操作受付部132と、印刷データ作成部133と、出力部134と、を有する。
【0025】
通信部11は、電子インボイスネットワークN1を介して電子インボイスを送受信するための通信インターフェースを有する。通信部11は、電子インボイスネットワークN1を介して受信した電子インボイスをインボイス取得部131に入力する。通信部11は、通信ネットワークN2を介して画像データを送受信するための通信インターフェースをさらに有してもよい。通信部11は、データ処理装置1が使用される企業のイントラネットを介して、当該企業のユーザの情報端末(例えばコンピュータ)との間でデータを送受信するための通信インターフェースをさらに有してもよい。
【0026】
記憶部12は、ROM(Read Only Memory)、RAM(Random Access Memory)及びSSD(Solid State Drive)等の記憶媒体を有する。記憶部12は、制御部13が実行するプログラムを記憶する。また、記憶部12は、通信部11が受信した電子インボイスに基づいて、紙に請求書を印刷するための各種のデータを記憶している。記憶部12は、例えば、電子インボイスに基づいて印刷する際の請求書の形式を規定するテンプレートデータを記憶する。記憶部12は、テンプレートデータを識別するためのテンプレートIDに関連付けて複数のテンプレートデータを記憶してもよい。
【0027】
図3は、テンプレートデータの一例を模式的に示す図である。図3に示すテンプレートデータにおいては、予め印刷されることが決められている文字列(「請求書」、「登録番号」、「消費税」、「合計」)の他に、電子インボイスによって異なる文字列を配置する複数の領域が含まれている。テンプレートデータは、請求書の発行元領域、請求対象名領域及び請求金額領域を少なくとも含む。発行元領域は、請求書を発行した組織の名称、住所又は連絡先の少なくともいずれかが配置される領域である。請求対象名領域は、請求の対象となる商品又はサービスの名称が配置される領域である。請求金額領域は、請求の対象となる商品又はサービスそれぞれの金額、又は合計請求額が配置される領域である。
【0028】
図3に示す例において、領域R1は、電子インボイスの発行元に付与されている適格請求書発行事業者の登録番号を配置する領域である。領域R2は、電子インボイスの発行元の名称が配置される領域である。領域R3は、発行元の住所が配置される領域である。領域R4は、発行元の電話番号が配置される領域である。領域R5は、電子インボイスの件名が配置される領域である。件名には、例えば、請求の対象となる年月が含まれる。
【0029】
領域R6は、請求の対象となる商品又はサービスの名称が配置される領域である。領域R7は、請求の対象となる商品又はサービスの個数が配置される領域である。領域R8は、請求の対象となる商品又はサービスの金額が配置される領域である。領域R6から領域R8は、電子インボイスの内容によって行が増減される。図3においては、3行分が表示されている。
【0030】
領域R9は、消費税が配置される領域である。領域R10は、合計請求額が配置される領域である。図3に示すテンプレートデータにおいては商品又はサービスの単価が配置される領域がないが、テンプレートデータには、単価が配置される領域又は他の領域が設けられていてもよい。
【0031】
なお、図3に示すテンプレートデータにおいては、それぞれの領域の位置が破線で示しているが、テンプレートデータにおいては、電子インボイス内の文字列を配置する複数の項目それぞれと、それぞれの項目に対応する領域の座標とが関連付けられていてもよい。座標は、例えば印刷領域の左上を原点とする、横方向・縦方向の座標である。
【0032】
制御部13は、例えばCPU(Central Processing Unit)を有する。制御部13は、記憶部12に記憶されたプログラムを実行することにより、インボイス取得部131、操作受付部132及び印刷データ作成部133として機能する。
【0033】
インボイス取得部131は、電子インボイスが送受信される電子インボイスネットワークN1を介して電子インボイスを取得する。インボイス取得部131は、取得した電子インボイスを印刷データ作成部133に入力する。インボイス取得部131は、取得した電子インボイスを記憶部12に記憶させることにより、電子インボイスに含まれるデータを印刷データ作成部133が処理できるようにしてもよい。
【0034】
操作受付部132は、ユーザの操作を受け付ける。操作受付部132は、例えば、複数のテンプレートデータから1つのテンプレートデータを選択する操作を受け付ける。この場合、操作受付部132は、テンプレートデータの名称、又はテンプレートデータにおける各文字列の配置領域を示す画像データをユーザの情報端末に表示させることにより、ユーザに所望のテンプレートデータを選択させる。操作受付部132は、印刷データ作成部133が印刷データを作成するための条件を受け付けてもよい。操作受付部132は、操作の内容を印刷データ作成部133に通知する。
【0035】
操作受付部132は、テンプレートデータをカスタマイズするための操作を受け付けてもよい。テンプレートデータをカスタマイズするための操作は、例えば、図2に示した各領域の大きさを変更したり、各領域の位置を変更したりする操作である。操作受付部132は、当該操作に応じて、記憶部12に記憶されているテンプレートデータを更新したり、カスタマイズしたテンプレートデータを識別するための情報に関連付けて、カスタマイズしたテンプレートデータを記憶部12に記憶させたりしてもよい。
【0036】
印刷データ作成部133は、電子インボイスに含まれている1以上のデータをテンプレートデータに配置することにより印刷データを作成する。印刷データ作成部133は、例えば、電子インボイスに含まれている当該電子インボイスの送信元を示す送信元データを発行元領域に配置し、電子インボイスに含まれている請求対象を示す請求対象データを請求対象名領域に配置し、電子インボイスに含まれている請求金額データを請求金額領域に配置することにより、印刷データを作成する。印刷データ作成部133は、適格請求書発行事業者の登録番号を、登録番号領域に配置してもよい。
【0037】
図4及び図5は、電子インボイスに含まれるXMLデータの例を示す図である。図4においては、<cac:PartyName>という文字列の後に、請求書の発行元の名称「田中商事株式会社」が記載されており、<cac:PostalAddress>という文字列の後に、請求書の発行元の住所「東京都千代田区内神田5-10-X 田中商事ビル」が記載されており、<cbc:CompanyID>という文字列の後に、適格請求書発行事業者の登録番号「T1234567890123」が記載されている。
【0038】
図5においては、<cac:Item>という文字列の後に、請求対象の商品の名称「デスクチェア」が記載されており、<cac:Price>という文字列の後に、請求対象の商品の単価「50000」が記載されている。また、<cbc:InvoicedQuantity unitCode= “H87”>という文字列の後に、個数「5」が書かれており、<cbc:LineExtensionAmount currencyID= “JPY”>という文字列の後に、金額「250000」が記載されている。
【0039】
印刷データ作成部133は、電子インボイスに含まれる複数の文字列のうち、テンプレートデータに配置するべき文字列として規定されている文字列を検索する。印刷データ作成部133は、例えば、テンプレートデータに発行元領域が含まれている場合、電子インボイスにおいて、発行元に対応するcac:PartyName又はcac:PostalAddressという文字列を検索する。印刷データ作成部133は、これらの文字列に対して所定の位置(例えば直後)に含まれている文字列が発行元の名称又は連絡先であると特定する。同様に、印刷データ作成部133は、cbc:CompanyIDという文字列に対して所定の位置に含まれている文字列が、適格請求書発行事業者の登録番号であると特定する。
【0040】
印刷データ作成部133は、テンプレートデータに請求対象名領域が含まれている場合、電子インボイスにおいて、請求対象名に対応するcac:Itemという文字列を検索する。印刷データ作成部133は、この文字列に対して所定の位置に含まれている文字列が請求対象の商品の名称であると特定する。
【0041】
同様に、印刷データ作成部133は、テンプレートデータに請求金額領域が含まれている場合、電子インボイスにおいて、請求金額に対応するcbc:LineExtensionAmountという文字列を検索する。印刷データ作成部133は、この文字列に対して所定の位置に含まれている文字列が請求金額であると特定する。印刷データ作成部133は、電子インボイスにおいて、請求対象品の単価に対応する文字列、及び請求対象品の数量に対応する文字列を特定し、特定した文字列が示す単価に数量を乗算することにより請求金額を特定してもよい。
【0042】
印刷データ作成部133は、このようにして特定した文字列を、テンプレートデータにおける特定した文字列に対応する領域に配置することにより印刷データを作成する。
【0043】
図6は、印刷データ作成部133が印刷データを作成する処理について説明するための図である。図6に示すように、印刷データ作成部133は、図3に示した複数の領域(領域R1~領域R10)のうち、各領域に対応する文字列が電子インボイスに含まれている場合に、各領域に対応する文字列を配置する。図6に示す例においては、発行元の登録番号、発行元の名称、発行元の住所及び電話番号、請求対象の商品の名称、数量及び金額、消費税額、並びに合計請求額が、それぞれに対応する領域に配置されている。
【0044】
図7は、作成された印刷データの例を示す図である。図7においては、図6に示されていた領域を示す破線が表示されておらず、商品の名称、数量及び金額の欄が、表形式で表示されている。また、請求書の下部には、「この請求書はPEPPOLで受信した電子インボイスの控えです」という文字列が記載されている。このように、印刷データ作成部133は、電子インボイスネットワークを介して取得されたことを示すテキスト、又は正規の請求書ではないことを示すテキストの少なくともいずれかを含む印刷データを作成してもよい。印刷データ作成部133がこのような印刷データを作成することで、紙に印刷された請求書を見たユーザが、その請求書が正規の請求書であると誤解してしまうことを防げる。
【0045】
記憶部12に複数の種類のテンプレートデータが記憶されている場合、印刷データ作成部133は、操作受付部132が受け付けたユーザの操作に基づいて特定したテンプレートIDに関連付けて記憶部12に記憶されたテンプレートデータに、電子インボイスに含まれている1以上のデータを配置することにより、印刷データを作成してもよい。印刷データ作成部133がこのように動作することで、複数のユーザがデータ処理装置1を利用する場合に、ユーザが、自身が確認しやすい形式で印刷された紙の請求書を得ることができる。
【0046】
ところで、多くの電子インボイスが送信されてくる企業において、電子インボイスが送られるたびに請求書が印刷されると、印刷された請求書の処理が煩雑になる場合がある。そこで、印刷データ作成部133は、複数の電子インボイスのうち、操作受付部132が受け付けた条件を満たす1以上の電子インボイスに対応する1以上の印刷データを作成してもよい。
【0047】
当該条件は、例えば、印刷する対象とする電子インボイスの受領日の範囲、印刷する対象とする電子インボイスの発行元、印刷する対象とする電子インボイスの宛名、又は印刷する対象とする電子インボイスに含まれている合計請求額の範囲のうちの少なくともいずれかである。当該条件は、これらのいずれかの組み合わせであってもよい。印刷データ作成部133がこのように動作することで、ユーザは、印刷して確認したい電子インボイスに限って印刷された状態で確認することができるので、多くの印刷物を扱う煩雑さが軽減する。
【0048】
操作受付部132から受け付けた条件は、印刷を実行する日であってもよい。印刷データ作成部133は、例えば、所定の日に、所定の日の前の所定の期間にインボイス取得部131が取得した1以上の電子インボイスに対応する1以上の印刷データを作成する。具体的には、印刷データ作成部133は、特定の曜日又は月内の特定の日(例えば月末日)等の印刷指定日に、その直前に電子インボイスを印刷した日(すなわち前回の印刷指定日)から印刷指定日までの間にインボイス取得部131が取得した電子インボイスの印刷データを作成してもよい。
【0049】
このように複数の電子インボイスの印刷データを作成する際、印刷データ作成部133は、複数の電子インボイスそれぞれに含まれている1以上のデータ(例えば、請求書の発行元、請求対象商品名、個数、請求金額)が一覧表形式で配置された印刷データを作成してもよい。印刷データ作成部133は、所定の条件を満たす複数の電子インボイスを選択し、選択した複数の電子インボイスに含まれている1以上のデータが一覧表形式で配置された印刷データを作成してもよい。印刷データ作成部133がこのような一覧表形式の印刷データを作成することで、ユーザが複数の電子インボイスの内容を一度に確認できるので、作業効率が向上する。
【0050】
出力部134は、印刷データ作成部133が作成した印刷データを出力する。具体的には、出力部134は、プリンタ3が印刷できる形式の印刷データを出力する。出力部134は、通信部11を介して、データ処理装置1にインストールされているプリンタ3のプリンタドライバが処理できる形式の印刷データを出力する。出力部134は、USB(Universal Serial Bus)のようなインターフェースを介して印刷データをプリンタ3に出力してもよい。
【0051】
出力部134は、例えば、電子インボイスに含まれている、通信先を示す通信先データを特定し、特定した通信先データが示す通信先に宛てて、通信先データの種別に対応する通信手段で印刷データを送信してもよい。通信先データがFAX番号である場合、出力部134は、FAX送信をできる形式の画像データにより構成された印刷データをFAX番号宛てに送信するように通信部11を制御する。通信先データがメールアドレスである場合、出力部134は、例えばpdfファイル形式の印刷データをメールアドレス宛に送信するように通信部11を制御する。出力部134がこのように動作することで、ユーザの近くにプリンタ3がない場合であっても、ユーザが従来の紙の形式で電子インボイスを確認することができる。
【0052】
[データ処理装置1における処理の流れ]
図8は、データ処理装置1における処理の流れを示す図である。インボイス取得部131が電子インボイスを取得すると(S11)、印刷データ作成部133はテンプレートデータを選択する(S12)。印刷データ作成部133は、上述のとおりユーザの指示に基づいてテンプレートデータを選択してもよく、電子インボイス内のデータ(例えば発行元)に基づいてテンプレートデータを選択してもよい。
【0053】
印刷データ作成部133は、選択したテンプレートデータに含まれている抽出対象項目に対応する文字列を電子インボイスから抽出する(S13)。印刷データ作成部133は、抽出した文字列を、テンプレートデータにおける対応する領域に配置する(S14)。印刷データ作成部133は、電子インボイスネットワークを介して取得されたことを示すテキスト、又は正規の請求書ではないことを示すテキストを付加した印刷データを作成し(S15)、作成した印刷データを出力する(S16)。
【0054】
[テンプレートデータのカスタマイズ]
以上の説明においては、テンプレートデータが予め記憶部12に記憶されている場合を説明したが、ユーザが、自身の好みに合ったテンプレートデータを作成したいという場合がある。そこで、ユーザの好みの形式の請求書の画像データに基づいてデータ処理装置1がテンプレートデータを作成すると、ユーザが電子インボイスの内容をさらに確認しやすくなる。
【0055】
図9は、テンプレートデータを作成する機能を有するデータ処理装置1Aの構成を示す図である。データ処理装置1Aは、制御部13が画像データ取得部135と、文字列認識部136と、テンプレート作成部137と、を有する点で図2に示したデータ処理装置1と異なり、他の点で同じである。
【0056】
画像データ取得部135は、例えば請求書がスキャナによって読み取られた画像データを取得する。画像データ取得部135は、通信部11を介して、ユーザのコンピュータから画像データを取得してもよく、スキャナから画像データを取得してもよい。
【0057】
文字列認識部136は、画像データ取得部135が取得した画像データに含まれている所定の文字列の位置を認識する。所定の文字列は、図2に示したようなテンプレートデータに含めるべき項目に対応する文字列である。文字列認識部136は、例えば、「請求書」という文字列の位置、発行元名の位置、発行元住所の位置、発行元連絡先の位置、請求対象の商品名の位置、商品の数量の位置、商品の金額の位置等を認識する。文字列認識部136は、操作受付部132がユーザから受け付けた項目に対応する文字列の位置を認識してもよい。
【0058】
テンプレート作成部137は、文字列認識部136が認識した所定の文字列の位置を示す情報を含むテンプレートデータを作成する。具体的には、テンプレート作成部137は、所定の文字列に対応する項目名と、それぞれの文字列に対応する領域の座標とが関連付けられた、図2に示すようなテンプレートデータを作成する。所定の文字列に対応する項目名は、発行元名、発行元住所、発行元連絡先、商品名、数量、金額等のように、電子インボイスにおいて文字列を検索する対象となる項目の名称である。
【0059】
テンプレート作成部137は、作成したテンプレートデータを記憶部12に記憶させる。操作受付部132は、作成したテンプレートデータを識別するための情報(例えばユーザ名)の入力を受け付けて、テンプレート作成部137は、当該情報に関連付けてテンプレートデータを記憶部12に記憶させてもよい。テンプレート作成部137は、作成したテンプレートデータをユーザの情報端末に表示させ、操作受付部132が、各領域の大きさを変更したり、各領域の位置を変更したりする操作を受け付けたことに応じて、作成したテンプレートデータを更新してもよい。テンプレート作成部137は、更新されたテンプレートデータを記憶部12に記憶させる。
【0060】
このように画像データ取得部135、文字列認識部136及びテンプレート作成部137が動作することで、ユーザが、見慣れた形式の紙の請求書に基づいてテンプレートデータを作成することができるので、ユーザが電子インボイスをさらに確認しやすくなる。
【0061】
[データ処理装置1による効果]
以上説明したように、データ処理装置1は、電子インボイスネットワークを介して受信された電子インボイスに含まれている1以上のデータを、記憶部12に記憶されたテンプレートデータに配置することにより印刷データを作成する。データ処理装置1がこのような印刷データを作成することにより、電子インボイスを受信した企業のユーザが、紙に印刷された状態で電子インボイスの内容を確認することができるので、電子インボイスを確認しやすくなる。その結果、電子インボイスを受け取った企業の担当者が、電子インボイスを受信したことを見落とすことを防ぐことができる。また、担当者が、書面による請求書と同じ確認手順によって処理することが可能になる。
【0062】
以上、実施の形態を用いて本発明を説明したが、本発明の技術的範囲は上記実施の形態に記載の範囲には限定されず、その要旨の範囲内で種々の変形及び変更が可能である。例えば、装置の全部又は一部は、任意の単位で機能的又は物理的に分散・統合して構成することができる。また、複数の実施の形態の任意の組み合わせによって生じる新たな実施の形態も、本発明の実施の形態に含まれる。組み合わせによって生じる新たな実施の形態の効果は、もとの実施の形態の効果を併せ持つ。
【符号の説明】
【0063】
1 データ処理装置
2 請求書発行装置
3 プリンタ
4 受信機
11 通信部
12 記憶部
13 制御部
131 インボイス取得部
132 操作受付部
133 印刷データ作成部
134 出力部
135 画像データ取得部
136 文字列認識部
137 テンプレート作成部
図1
図2
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図9