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特開2024-137618カテーテルハンドルおよびそれを備えたカテーテル
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024137618
(43)【公開日】2024-10-07
(54)【発明の名称】カテーテルハンドルおよびそれを備えたカテーテル
(51)【国際特許分類】
   A61M 25/092 20060101AFI20240927BHJP
【FI】
A61M25/092 510
A61M25/092 500
【審査請求】未請求
【請求項の数】10
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023162985
(22)【出願日】2023-09-26
(31)【優先権主張番号】P 2023047542
(32)【優先日】2023-03-24
(33)【優先権主張国・地域又は機関】JP
(71)【出願人】
【識別番号】000000941
【氏名又は名称】株式会社カネカ
(74)【代理人】
【識別番号】110002837
【氏名又は名称】弁理士法人アスフィ国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】金子 卓弥
【テーマコード(参考)】
4C267
【Fターム(参考)】
4C267AA32
4C267BB04
4C267BB52
4C267GG05
4C267GG06
4C267GG07
4C267GG08
4C267GG23
(57)【要約】
【課題】新規の構造を有し、ハンドルの遠位側に設けられたチューブを反応性良く操作することができるカテーテルハンドルとそれを備えたカテーテルを提供する。
【解決手段】ハンドル本体2と、ハンドル本体2の内腔に配置され、らせん状に延びる第1係合部21を外面に有し、シャフト3に沿って軸方向に変位可能に設けられたスライダー4と、ハンドル本体2に対して回転可能に設けられ、第1係合部21に係合する第2係合部22を内面に有する回転ノブ5と、第1部分6Aと第2部分6Bがチューブ32の内腔に配置され、これらの間の中間部分6Cがハンドル本体2の内腔に配置された線状部材6と、線状部材6の中間部分6Cが当接した反転ガイド7とを備え、反転ガイド7との当接部分より第1部分6A側で線状部材6がスライダー4に固定され、反転ガイド7は軸方向の異なる位置でハンドル本体2に固定可能となっているカテーテルハンドル1。
【選択図】図2
【特許請求の範囲】
【請求項1】
カテーテルのチューブを操作するためのハンドルであって、
近位側から遠位側に軸方向に延びる内腔を有するハンドル本体と、
前記ハンドル本体の内腔に配置され、前記軸方向に延び、前記ハンドル本体に固定されたシャフトと、
前記シャフトの外側に配置され、らせん状に延びる第1係合部を外面に有しており、前記シャフトに沿って前記軸方向に変位可能に設けられたスライダーと、
前記軸方向に延びる回転軸を有し、前記ハンドル本体に対して回転可能に設けられた回転ノブであって、前記軸方向に延びる内腔を有し、前記スライダーの前記第1係合部に係合する第2係合部を内面に有する回転ノブと、
第1端と第2端を有し、前記第1端を含む第1部分と前記第2端を含む第2部分と前記第1部分と前記第2部分の間の中間部分とを有し、前記第1部分と前記第2部分が前記チューブの内腔に配置され、前記中間部分が前記ハンドル本体の内腔に配置された線状部材と、
前記ハンドル本体の内腔に配置され、前記線状部材の前記中間部分の少なくとも一部が当接した反転ガイドとを備え、
前記線状部材は、前記反転ガイドと当接する部分より前記第1端側の部分で、前記スライダーに固定されており、
前記反転ガイドは前記スライダーよりも近位側に配置され、前記軸方向の異なる位置で前記ハンドル本体に固定可能となっているカテーテルハンドル。
【請求項2】
前記反転ガイドに前記軸方向に延びる長穴が形成され、前記反転ガイドを固定するための固定具が前記長穴を貫通し前記ハンドル本体に嵌合または螺合されている請求項1に記載のカテーテルハンドル。
【請求項3】
前記ハンドル本体に前記軸方向に延びる長穴が形成され、前記反転ガイドを固定するための固定具が前記長穴を貫通し前記反転ガイドに嵌合または螺合されている請求項1に記載のカテーテルハンドル。
【請求項4】
前記ハンドル本体の内面に第3係合部が設けられ、前記反転ガイドに前記第3係合部に係合する第4係合部が設けられ、前記第3係合部と前記第4係合部の少なくとも一方が前記軸方向に並んで複数設けられている請求項1に記載のカテーテルハンドル。
【請求項5】
前記反転ガイドは、前記線状部材の前記中間部分が挿通され、近位側に凸となる形状で配置された反転用チューブと、前記反転用チューブを保持する保持部材とを有し、
前記保持部材が、前記軸方向の異なる位置で前記ハンドル本体に固定可能となっている請求項1に記載のカテーテルハンドル。
【請求項6】
前記反転用チューブは、一方端を含む第1区間と、他方端を含む第2区間と、前記第1区間と前記第2区間の間の第3区間を有し、
前記第3区間の少なくとも一部が前記保持部材によって保持され、
前記第1区間と前記第2区間は前記保持部材によって保持されておらず、前記反転用チューブが近位側に凸となる形状の平面視で、前記保持部材から遠位側に前記軸方向に略平行に延在している請求項5に記載のカテーテルハンドル。
【請求項7】
前記反転ガイドは可変部と基部を有し、前記可変部に前記線状部材の前記中間部の一部が当接し、前記基部が前記軸方向の異なる位置で前記ハンドル本体に固定可能となっており、
前記可変部は前記基部に対して前記軸方向に変位可能に設けられ、弾性部材によって近位側に付勢されている請求項1に記載のカテーテルハンドル。
【請求項8】
前記線状部材において、前記第1部分と前記第2部分は金属線材から構成され、前記中間部分は繊維ロープから構成されている請求項1に記載のカテーテルハンドル。
【請求項9】
前記第1係合部と前記第2係合部は、一方が凸部であり他方が溝である請求項1に記載のカテーテルハンドル。
【請求項10】
請求項1~9のいずれか一項に記載のカテーテルハンドルと、
前記カテーテルハンドルの遠位側に設けられたチューブとを有するカテーテル。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、カテーテルに用いられるハンドルと、それを備えたカテーテルに関するものである。
【背景技術】
【0002】
カテーテルは、通常、血管や消化管や尿管などの体腔に挿入するためのチューブと、チューブの近位側に設けられたハンドルとから構成されている。カテーテルには、手元側のハンドルを操作してチューブの遠位端部を屈曲できるように構成されたものが知られている。このようなカテーテルは、チューブの内腔にワイヤが配され、ワイヤの遠位端部がチューブの遠位端部に固定され、ワイヤの近位端部がハンドルに接続され、ハンドルを操作することによりチューブの遠位端部を屈曲できるようになっている。例えば、チューブの内腔にワイヤが2本配されたカテーテルでは、ハンドルを操作することにより、2本のワイヤの一方を近位側に引っ張ることでチューブの遠位端部を一方側に屈曲させ、他方を引っ張ることでチューブの遠位端部を他方側に屈曲させることができる。
【0003】
このようなカテーテルハンドルとして、例えば特許文献1には、先端部がカテーテルの先端領域に結合された2つの制御ワイヤを備えたカテーテルハンドルであって、ハウジングと、ハウジング内に配置され、ハウジング内で直線的に並進するように構成された摺動アセンブリと、ハウジングに対して回転自在に設けられた制御ノブを有し、前記2つの制御ワイヤの基端部がハウジング内に配置され、摺動アセンブリを直線的に並進させることによって摺動アセンブリが2つの制御ワイヤのそれぞれを別個に操作するように構成され、制御ノブを第1の回転方向へ回転させることによって、摺動アセンブリが先端側へ変位して2つの制御ワイヤの一方に張力をかけ、それによりカテーテルが第1の偏向方向に偏向し、制御ノブを第2の回転方向へ回転させることによって、摺動アセンブリが基端側へ変位して2つの制御ワイヤの他方に張力をかけ、それによりカテーテルが第2偏向方向に偏向するように構成されたカテーテルハンドルが開示されている。
【0004】
特許文献2には、カテーテルの遠位部分を偏向させるカテーテルハンドルであって、第1の直径を有し、第1のワイヤが連結される第1の回転部材と、前記第1の直径より小さい第2の直径を有し、第2のワイヤが連結される第2の回転部材とを有し、第2の回転部材は、第2の回転部材の中心点が第1の回転部材の中心点からずれるように、第1の回転部材に連結され、第1および第2の回転部材は、第1のワイヤを介した第1の回転部材の回転が、第2の回転部材および第2のワイヤを回転させて、カテーテルの遠位部分を偏向させるように構成されたカテーテルハンドルが開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特表2015-523892号公報
【特許文献2】特表2018-515215号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
上記のように、従来様々なカテーテルハンドルが提案されており、本発明の目的は、新規の構造を有し、ハンドルの遠位側に設けられたチューブを反応性良く操作することができるカテーテルハンドルとそれを備えたカテーテルを提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0007】
前記課題を解決することができた本発明のカテーテルハンドルおよび当該カテーテルハンドルを備えたカテーテルは、下記の通りである。
[1] カテーテルのチューブを操作するためのハンドルであって、
近位側から遠位側に軸方向に延びる内腔を有するハンドル本体と、
前記ハンドル本体の内腔に配置され、前記軸方向に延び、前記ハンドル本体に固定されたシャフトと、
前記シャフトの外側に配置され、らせん状に延びる第1係合部を外面に有しており、前記シャフトに沿って前記軸方向に変位可能に設けられたスライダーと、
前記軸方向に延びる回転軸を有し、前記ハンドル本体に対して回転可能に設けられた回転ノブであって、前記軸方向に延びる内腔を有し、前記スライダーの前記第1係合部に係合する第2係合部を内面に有する回転ノブと、
第1端と第2端を有し、前記第1端を含む第1部分と前記第2端を含む第2部分と前記第1部分と前記第2部分の間の中間部分とを有し、前記第1部分と前記第2部分が前記チューブの内腔に配置され、前記中間部分が前記ハンドル本体の内腔に配置された線状部材と、
前記ハンドル本体の内腔に配置され、前記線状部材の前記中間部分の少なくとも一部が当接した反転ガイドとを備え、
前記線状部材は、前記反転ガイドと当接する部分より前記第1端側の部分で、前記スライダーに固定されており、
前記反転ガイドは前記スライダーよりも近位側に配置され、前記軸方向の異なる位置で前記ハンドル本体に固定可能となっているカテーテルハンドル。
[2] 前記反転ガイドに前記軸方向に延びる長穴が形成され、前記反転ガイドを固定するための固定具が前記長穴を貫通し前記ハンドル本体に嵌合または螺合されている[1]に記載のカテーテルハンドル。
[3] 前記ハンドル本体に前記軸方向に延びる長穴が形成され、前記反転ガイドを固定するための固定具が前記長穴を貫通し前記反転ガイドに嵌合または螺合されている[1]に記載のカテーテルハンドル。
[4] 前記ハンドル本体の内面に第3係合部が設けられ、前記反転ガイドに前記第3係合部に係合する第4係合部が設けられ、前記第3係合部と前記第4係合部の少なくとも一方が前記軸方向に並んで複数設けられている[1]~[3]のいずれかに記載のカテーテルハンドル。
[5] 前記反転ガイドは、前記線状部材の前記中間部分が挿通され、近位側に凸となる形状で配置された反転用チューブと、前記反転用チューブを保持する保持部材とを有し、前記保持部材が、前記軸方向の異なる位置で前記ハンドル本体に固定可能となっている[1]~[4]のいずれかに記載のカテーテルハンドル。
[6] 前記反転用チューブは、一方端を含む第1区間と、他方端を含む第2区間と、前記第1区間と前記第2区間の間の第3区間を有し、前記第3区間の少なくとも一部が前記保持部材によって保持され、前記第1区間と前記第2区間は前記保持部材によって保持されておらず、前記反転用チューブが近位側に凸となる形状の平面視で、前記保持部材から遠位側に前記軸方向に略平行に延在している[5]に記載のカテーテルハンドル。
[7] 前記反転ガイドは可変部と基部を有し、前記可変部に前記線状部材の前記中間部の一部が当接し、前記基部が前記軸方向の異なる位置で前記ハンドル本体に固定可能となっており、前記可変部は前記基部に対して前記軸方向に変位可能に設けられ、弾性部材によって近位側に付勢されている[1]~[6]のいずれかに記載のカテーテルハンドル。
[8] 前記線状部材において、前記第1部分と前記第2部分は金属線材から構成され、前記中間部分は繊維ロープから構成されている[1]~[7]のいずれかに記載のカテーテルハンドル。
[9] 前記第1係合部と前記第2係合部は、一方が凸部であり他方が溝である[1]~[8]のいずれかに記載のカテーテルハンドル。
[10] [1]~[9]のいずれかに記載のカテーテルハンドルと、前記カテーテルハンドルの遠位側に設けられたチューブとを有するカテーテル。
【発明の効果】
【0008】
本発明のカーテルハンドルおよびカテーテルは、回転ノブを回転させることにより、ハンドル内に設けられたスライダーを軸方向に変位させることができ、スライダーに線状部材が固定されている。線状部材は、遠位部である第1部分と第2部分がチューブの内腔に配置され、それらの間の中間部分がハンドル本体の内腔に配置され、線状部材の中間部分が反転ガイドに当接し反転ガイドで反転するように配置されている。そして、反転ガイドは、軸方向の異なる位置で前記ハンドル本体に固定可能となっている。そのため、反転ガイドの軸方向の固定位置を調整することで線状部材のテンションを調整することができ、線状部材を伸張させた状態で反転ガイドを固定することで、カテーテルハンドルの遠位側に設けられたチューブを反応性良く操作することができる。
【図面の簡単な説明】
【0009】
図1】カテーテルハンドルを備えたカテーテルの全体図を表す。
図2図1に示したカテーテルに設けられたカテーテルハンドルの内部構造の平面図を表す。
図3図2に示したカテーテルハンドルの内部構造であって、スライダーを軸方向に沿って一部切除した平面図を表す。
図4図2に示したカテーテルハンドルの内部構造からスライダーとシャフトを除いた平面図を表す。
図5図2に示したカテーテルハンドルのV-V断面図を表す。
図6図2に示したカテーテルハンドルの反転ガイド周りの拡大平面図を表す。
図7図6に示した反転ガイド周りのVII-VII断面図を表す。
図8図6に示した反転ガイド周りの変形例の拡大平面図を表す。
図9図8に示した反転ガイド周りのIX-IX断面図を表す。
図10図6に示した反転ガイド周りの変形例の拡大平面図を表す。
図11図10に示した反転ガイド周りのXI-XI断面図を表す。
【発明を実施するための形態】
【0010】
以下、下記実施の形態に基づき本発明のカテーテルハンドルと当該ハンドルを備えたカテーテルを具体的に説明するが、本発明はもとより下記実施の形態によって制限を受けるものではなく、前・後記の趣旨に適合し得る範囲で適当に変更を加えて実施することも勿論可能であり、それらはいずれも本発明の技術的範囲に包含される。なお、各図面において、便宜上、ハッチングや部材符号等を省略する場合もあるが、かかる場合、明細書や他の図面を参照するものとする。また、図面における種々部材の寸法は、本発明の特徴の理解に資することを優先しているため、実際の寸法とは異なる場合がある。
【0011】
図1を参照して、カテーテルハンドルを備えたカテーテルの全体を説明する。本発明の実施の形態に係るカテーテル31は、カテーテルハンドル1(以下、「ハンドル1」と称する場合がある)と、ハンドル1の遠位側に設けられたチューブ32とを有する。カテーテル31は、例えば、チューブ32を患者の血管や消化管などの体腔に挿入して、治療や検査に用いられる。
【0012】
本発明において、カテーテルの近位側とは、カテーテルの延在方向に対して使用者の手元側の方向を指し、遠位側とは近位側の反対方向、すなわち処置対象側の方向を指す。
【0013】
チューブ32は、可撓性を有する管状構造を有しており、例えば、ポリオレフィン樹脂(例えば、ポリエチレンやポリプロピレン)、ポリアミド樹脂(例えば、ナイロン)、ポリエステル樹脂(例えば、PET)、芳香族ポリエーテルケトン樹脂(例えば、PEEK)、ポリエーテルポリアミド樹脂、ポリウレタン樹脂、ポリイミド樹脂、フッ素系樹脂(例えば、PTFE、PFA、ETFE)等の合成樹脂や、ステンレス鋼、炭素鋼、ニッケルチタン合金等の金属から構成することができる。金属材料は、合成樹脂チューブ内に埋め込まれた金属線材としても用いることができる。チューブ32の軸方向(遠近方向)の長さは、ハンドル1の同方向の長さの数倍から数十倍程度長くなっており、例えば、500mm~1200mm程度である。チューブ32の外径は、例えば、0.6mm~5mm程度とすればよい。
【0014】
チューブ32は内腔を有しており、内部に1つの内腔を有するシングルルーメン構造であっても、複数の内腔を有するマルチルーメン構造のいずれであってもよい。チューブ32は、複数の同軸の内腔が設けられたコアキシャル構造を有するものであってもよい。チューブ32の内腔には、チューブ32を操作するためのワイヤが配置される。ワイヤは、例えばチューブ32の遠位端部の曲がりを制御するために設けられる。この場合、ワイヤの遠位端部はチューブ32の遠位端部、例えばチューブ32の遠位側1/3の部分に固定されることが好ましい。チューブ32の内腔には、導線、光ファイバ、内視鏡などが配置されてもよく、ガイドワイヤや別の処置具を挿通するための内腔が設けられたり、薬剤や造影剤、任意の流体を流通させるための内腔が設けられてもよい。
【0015】
ハンドル1はチューブ32の近位側に設けられ、カテーテルとして組み立てた際には、チューブ32の内腔に配されたワイヤの近位端部がハンドル1に接続される。
【0016】
カテーテルハンドルの詳細について、図2図5を参照して説明する。図2は、図1に示したカテーテルに設けられたカテーテルハンドルの内部構造の平面図を表し、図3は、図2に示したカテーテルハンドルの内部構造であって、スライダーを軸方向に沿って一部切除した平面図を表し、図4は、図2に示したカテーテルハンドルの内部構造からスライダーとシャフトを除いた平面図を表し、図5は、図2に示したカテーテルハンドルのV-V断面図を表す。図2では、カテーテルハンドルのハウジングとなるハンドル本体と回転ノブを軸方向に沿って切除し、内部構造が見えるようにしたカテーテルハンドルの平面図が示されている。図5では、図2においてハンドル本体の切除された部分が点線で示されている。
【0017】
本発明の実施の形態に係るハンドル1は、軸方向xに延びる内腔を有するハンドル本体2と、ハンドル本体2の内腔に配置され、軸方向xに延び、ハンドル本体2に固定されたシャフト3と、ハンドル本体2の内腔であってシャフト3の外側に配置され、らせん状に延びる第1係合部21を外面に有し、シャフト3に沿って軸方向xに変位可能に設けられたスライダー4と、軸方向xに延びる回転軸を有し、ハンドル本体2に対して回転可能に設けられ、スライダー4の第1係合部21に係合する第2係合部22を内面に有する回転ノブ5とを有する。ハンドル1において、軸方向xとは、回転ノブ5の回転軸が延びる方向に相当し、軸方向xに対する一方側と他方側として、近位側と遠位側が定められる。また、軸方向xに対する直交方向として径方向が定められる。
【0018】
ハンドル本体2は、軸方向xに延びる内腔を有する(図4を参照)。ハンドル本体2の内腔は、軸方向xを中心とした円筒状に形成された部分を有することが好ましく、当該内腔の円筒状に形成された部分に回転ノブ5が配置されることが好ましい。回転ノブ5は、軸方向xに延びる回転軸を有し、ハンドル本体2に対して軸方向xを中心に回転可能に設けられる。回転ノブ5は、ハンドル本体2の内腔の少なくとも一部に配置されることが好ましく、軸方向xに対する一部のみが、ハンドル本体2の内腔に配置されることが好ましい。
【0019】
回転ノブ5は、軸方向xに延びる内腔を有する。回転ノブ5の内腔は、ハンドル本体2の内腔とともに、ハンドル1の内部空間を形成することが好ましい。回転ノブ5の内腔は、軸方向xを中心とした円筒状に形成された部分を有することが好ましい。回転ノブ5の内腔はハンドル本体2の内腔と軸方向xに連通し、回転ノブ5の内腔とハンドル本体2の内腔とが一体的にハンドル1の内部空間を形成し、当該内部空間にシャフト3やスライダー4が配置されることが好ましい。
【0020】
ハンドル本体2は、遠位側と近位側の少なくとも一方がオープンに形成され、オープンに形成されたハンドル本体2の遠位側または近位側から回転ノブ5が挿入され、回転ノブ5がハンドル本体2の内腔に配置されることが好ましい。一方、回転ノブ5は、ハンドル本体2に挿入され、ハンドル本体2の内腔に位置する近位側または遠位側がオープンに形成されることが好ましい。これにより、ハンドル本体2の内腔と回転ノブ5の内腔とから一体的にハンドル1の内部空間が形成される。図面に示したハンドル1では、ハンドル本体2の遠位側がオープンに形成され、回転ノブ5の近位側がオープンに形成され、回転ノブ5がハンドル本体2の遠位側からハンドル本体2の内腔に挿入されている。ハンドル1は、ハンドル本体2と回転ノブ5が外側に露出しており、例えば、一方の手でハンドル本体2を持って、もう一方の手で回転ノブ5を持ってハンドル本体2に対して回転させることにより、ハンドル1を操作することができる。
【0021】
ハンドル本体2の内腔には、シャフト3が軸方向xに延びるように配置される(図3を参照)。シャフト3はハンドル本体2に固定され、ハンドル本体2に対して回転したり移動しないように設けられる。シャフト3はハンドル本体2と一体的に形成されてもよい。シャフト3は、回転ノブ5の回転軸となる位置に配置されることが好ましい。シャフト3は、ハンドル本体2の内腔から回転ノブ5の内腔にかけて設けられることが好ましく、ハンドル本体2と回転ノブ5よりも遠位側および/または近位側に延びるように設けられてもよい。
【0022】
シャフト3の遠位側にはチューブ32が接続されることが好ましい。シャフト3とチューブ32の接続部は、ハンドル1の内部空間にあってもよく、ハンドル1の内部空間よりも遠位側にあってもよく、ハンドル1の外側にあってもよい。シャフト3はチューブ32と一体的に形成することもできる。
【0023】
シャフト3は、中実状に形成されてもよく、中空状に形成されてもよい。なお、シャフト3は中空状に形成され、シャフト3の内腔がチューブ32の内腔と連通していることが好ましい。これにより、シャフト3の内腔およびチューブ32の内腔を通して、カテーテル31の手元側から処置対象部に処置具を送達したり、薬剤や造影剤を注入することができる。処置具としては、電極カテーテル、アブレーションカテーテル、マッピングカテーテル、バルーンカテーテル、マイクロカテーテル、鉗子、レーザープローブ、ファイバースコープ、高周波処置具、電気水圧衝撃破砕プローブ等が挙げられる。シャフト3は、このような処置具の挿入を可能とするために、ハンドル1の外側に近位側開口を有することが好ましい。シャフト3は分岐部を有していてもよく、シャフト3の分岐部に切り替えコックが設けられていてもよい。これにより、例えば、処置具の挿入口と薬剤等の注入口とを分けて設けることができる。
【0024】
シャフト3の外側には、スライダー4が配置されている。スライダー4はハンドル1の内部空間に配置され、ハンドル本体2の内腔から回転ノブ5の内腔にかけて配置されている(図2および図3を参照)。スライダー4は、シャフト3に対して径方向の外側に配置されており、従って、スライダー4には、軸方向xに延び、スライダー4を軸方向xに貫通する貫通穴が設けられ、この貫通穴にシャフト3が挿通されていることが好ましい。
【0025】
スライダー4は、シャフト3に沿って軸方向xに変位可能に設けられており、すなわち、ハンドル1の内部空間を軸方向xに移動可能に設けられている。スライダー4は、軸方向xの長さが、ハンドル1の内部空間におけるシャフト3の軸方向xの長さよりも短く形成されていることが好ましく、またハンドル1の内部空間の軸方向xの長さよりも短く形成されていることが好ましい。
【0026】
スライダー4は、回転ノブ5を軸方向xを中心として回転させることにより、軸方向xに変位するように形成されている。そのために、スライダー4の外面にらせん状に延びる第1係合部21が形成され、回転ノブ5の内面に第1係合部21に係合する第2係合部22が形成されている。
【0027】
第1係合部21は、スライダー4の外面、すなわちスライダー4の径方向の外方側の面に、らせん状に延びるように形成される。詳細には、第1係合部21は、ハンドル1の軸方向xを軸としたらせん状に延びるようにスライダー4の外面に形成され、好ましくは、円筒状に形成されたスライダー4の外面に形成される。第1係合部21は、連続的に形成されても、断続的に形成されてもよい。第1係合部21は、近位側から遠位側に向かって、右回りのらせん状に形成されてもよく、左回りのらせん状に形成されてもよい。
【0028】
第2係合部22は、回転ノブ5の内面、すなわち回転ノブ5の径方向の内方側の面に、第1係合部21に係合可能に形成される(図3および図4を参照)。第2係合部22は、回転ノブ5の内面にらせん状に延びるように形成され、詳細には、ハンドル1の軸方向xを軸としたらせん状に延びるように形成される。第2係合部22は、好ましくは、円筒状に形成された回転ノブ5の内面に形成される。第2係合部22は、連続的に形成されても、断続的に形成されてもよい。
【0029】
上記のようにスライダー4の外面に第1係合部21が形成され、回転ノブ5の内面に第2係合部22が形成されることにより、回転ノブ5を軸方向xを中心として回転させることにより、スライダー4をハンドル1の内部空間において軸方向xに移動させることができる。すなわち、らせん状に形成された第1係合部21と第2係合部22によって、回転ノブ5の軸方向xを中心とした回転移動をスライダー4の軸方向xの平行移動へと変換させることができる。
【0030】
第1係合部21と第2係合部22は、連続的または断続的にらせん状に1周以上延びるように形成されてもよく、1周未満となるように形成されてもよい。なお、第1係合部21と第2係合部22の少なくとも一方は、連続的または断続的にらせん状に1周以上延びるように形成されることが好ましく、2周以上延びるように形成されることがより好ましく、3周以上延びるように形成されることがさらに好ましい。一方、第1係合部21と第2係合部22の他方は、連続的または断続的にらせん状に1周未満となるように形成されてもよく、例えば、らせん状に半周のみ延びるように設けられてもよい。図面に示したハンドル1では、スライダー4に設けられた第1係合部21が、らせん状に1周以上延びるように形成され、回転ノブ5に設けられた第2係合部22が、らせん状に1周未満延びるように形成されている。
【0031】
第1係合部21と第2係合部22は、凸部と溝の組み合わせにより形成することができる。すなわち、第1係合部21と第2係合部22は、一方が凸部であり他方が溝であることが好ましい。なお、溝として第1係合部21または第2係合部22が形成される場合、溝はらせん状に連続的に延びるように形成されることが好ましい。溝は、有底溝であってもよく、貫通溝であってもよいが、スライダー4または回転ノブ5の強度を確保する点から、溝は有底溝であることが好ましい。一方、凸部として第1係合部21または第2係合部22が形成される場合は、凸部は連続的に延びるらせん状に設けられても、断続的に延びるらせん状に設けられてもよい。図面では、スライダー4に設けられた第1係合部21が凸部(凸条)として形成され、回転ノブ5に設けられた第2係合部22が溝として形成されている。
【0032】
ハンドル1の内部空間には、近位側で屈曲し、両端が遠位側に延びる線状部材6が設けられる(図3を参照)。遠位側に延びた線状部材6の両端はチューブ32の内腔に配置される。これについて詳しく説明すると、線状部材6は、一方側の端として第1端を、他方側の端として第2端を有し、第1端を含む部分が第1部分6A、第2端を含む部分が第2部分6B、第1部分6Aと第2部分6Bの間の部分が中間部分6Cと規定される。第1端と第2端は、線状部材6をまっすぐに延ばしたときの一方端と他方端として規定される。そして、線状部材6を中間部分6Cで屈曲させ、屈曲部を含む中間部分6Cの少なくとも一部がハンドル本体2の内腔に配置され、第1部分6Aと第2部分6Bの少なくとも一部がチューブ32の内腔に配置される。
【0033】
線状部材6は、第1部分6Aと第2部分6Bがチューブ32を制御するためのワイヤとなる。第1部分6Aの遠位端部、すなわち第1端を含むその近傍部分と、第2部分6Bの遠位端部、すなわち第2端を含むその近傍部分は、チューブ32の遠位端部に固定されることが好ましい。この場合、ハンドル1を操作して、第1部分6Aを近位側に引っ張ることにより、チューブ32の遠位端部を一方側に曲げることができ、第2部分6Bを近位側に引っ張ることにより、チューブ32の遠位端部を他方側に曲げることができる。第1部分6Aの遠位端部は、例えば第1部分6Aの第1端から近位側に100mm以内の部分として規定することができ、第2部分6Bの遠位端部は、例えば第2部分6Bの第2端から近位側に100mm以内の部分として規定することができる。チューブ32の遠位端部は、例えばチューブ32の遠位端から近位側に100mm以内の部分として規定することができる。
【0034】
線状部材6は、ハンドル1の内部空間で、シャフト3またはチューブ32の内腔からその外側に延出し、線状部材6の中間部分6Cが、回転ノブ5の内腔からハンドル本体2の内腔にかけて延在することが好ましい。より好ましくは、線状部材6は、スライダー4が最も遠位側に変位した状態で、スライダー4の遠位端よりも遠位側で、ハンドル1の内部空間で、シャフト3またはチューブ32の内腔からその外側に延出している。
【0035】
線状部材6は、スライダー4と軸方向xに重なる部分において、スライダー4の内腔すなわち軸方向xに延びる貫通穴に配置されることが好ましい。従って、スライダー4の貫通穴の内面とシャフト3との間には、軸方向xに延びる隙間(スライダー4を軸方向xに貫通する隙間)が形成され、当該隙間に線状部材6が配置されることが好ましい。
【0036】
ハンドル本体2の内腔には、線状部材6の中間部分6Cでの屈曲をガイドするための反転ガイド7が設けられ、線状部材6の中間部分6Cの少なくとも一部が反転ガイド7に当接している。反転ガイド7は、ハンドル本体2に固定され、ハンドル1の操作の際、ハンドル本体2に対して回転したり移動したりしないように設けられる。反転ガイド7は、軸方向xに対して、スライダー4よりも近位側に設けられ、詳細には、スライダー4が最も近位側に変位した状態で、スライダー4の近位端よりも近位側に設けられる。
【0037】
線状部材6は、ハンドル1の内部空間において、反転ガイド7より第1端側(第1部分6A側)の部分と反転ガイド7より第2端側(第2部分6B側)の部分とが連動して、軸方向xに変位可能となっている。線状部材6は、反転ガイド7より第1端側の部分が反転ガイド7と当接している部分を介して反転ガイド7より第2端側の部分と繋がっているため、反転ガイド7より第1端側の部分が近位側に変位することにより、反転ガイド7より第2端側の部分が遠位側に変位することができ、反転ガイド7より第1端側の部分が遠位側に変位することにより、反転ガイド7より第2端側の部分が近位側に変位することができる。
【0038】
第1部分6Aと第2部分6Bは全部がチューブ32に配置されてもよく、一部のみがチューブ32に配置されてもよい。中間部分6Cは、全部がハンドル1の内部空間に配置されてもよく、一部のみがハンドル1の内部空間に配置されてもよい。図3では、中間部分6Cが第1部分6Aと第2部分6Bとハンドル1の内部空間で接続部16で接続されているが、このように、第1部分6Aと第2部分6Bは、チューブ32からハンドル1の内部空間、具体的には回転ノブ5の内腔にかけて延びていることが好ましく、線状部材6の軸方向xへの変位に関わらず、第1部分6Aと第2部分6Bの一部が回転ノブ5の内腔に位置することが好ましい。第1部分6Aと第2部分6Bは、ハンドル本体2の内腔にかけて延びていてもよい。
【0039】
中間部分6Cは、ハンドル本体2の内腔において近位側に屈曲して配置されている。中間部分6Cは、線状部材6のうち、線状部材6の軸方向xの変位によって反転ガイド7に当接する部分を全て含むことが好ましい。換言すれば、反転ガイド7に当接するのは、線状部材6のうち中間部分6Cであることが好ましい。また、中間部分6Cは、線状部材6の軸方向xの変位に関わらず、一部が回転ノブ5の内腔に位置することが好ましい。
【0040】
中間部分6Cが第1部分6Aまたは第2部分6Bと接続した接続部16は、スライダー4が最も遠位側に変位した状態で、スライダー4の遠位端よりも遠位側に位置することが好ましい。このように接続部16が位置することにより、スライダー4の軸方向xへの変位に関わらず、接続部16がスライダー4の遠位端よりも遠位側に位置することとなる。そのため、スライダー4を軸方向xに変位させたときに、接続部16がスライダー4に接触することが抑えられ、スライダー4をスムーズに軸方向xに変位させることができる。
【0041】
線状部材6は、線状部材6の反転ガイド7との当接部分より第1端側の部分で、スライダー4に固定されている。図3では、スライダー4に設けられた固定具17で、線状部材6がスライダー4に固定されている。これにより、回転ノブ5を軸方向xを中心として回転させると、スライダー4が軸方向xに変位し、それに合わせて線状部材6の反転ガイド7より第1端側の部分を軸方向xに変位させることができるとともに、線状部材6の反転ガイド7より第2端側の部分をそれとは反対の軸方向xに変位させることができる。具体的には、スライダー4が近位側に変位すると、それに合わせて線状部材6の反転ガイド7より第1端側の部分が近位側に変位し、線状部材6の反転ガイド7より第2端側の部分が遠位側に変位する。スライダー4が遠位側に変位すると、それに合わせて線状部材6の反転ガイド7より第1端側の部分が遠位側に変位し、線状部材6の反転ガイド7より第2端側の部分が近位側に変位する。これにより、チューブ32の内腔に配置された線状部材6の第1部分6Aと第2部分6Bを近位側に引いたり遠位側に押し込むことができ、例えばチューブ32の遠位端部の曲がりを制御したりすることができる。例えば、回転ノブ5を手元側から見て右回りに回転させることにより、チューブ32の遠位端部を一方側に曲げ、回転ノブ5を手元側から見て左回りに回転させることにより、チューブ32の遠位端部を他方側に曲げることができる。
【0042】
線状部材6は、スライダー4の内面に固定されることが好ましい。図3では、スライダー4の内面に線状部材6の固定具17が設置され、この固定具17に線状部材6が固定されているが、線状部材6は、スライダー4の内面に接着剤等で直接固定されてもよい。スライダー4の内面に線状部材6を直接固定する場合は、固定具17はなくてもよい。線状部材6の固定具17またはスライダー4の内面への固定方法としては、接着剤による接着、溶着、嵌合、カシメ、結索、ネジ止め等が挙げられる。
【0043】
なお、図面には示されていないが、スライダー4は内層と外層を有し、線状部材6が内層と外層の間に配置されてもよい。この場合、線状部材6は、内層と外層の間に挟まれることで、スライダー4に固定されることとなる。
【0044】
線状部材6のスライダー4への固定部は、スライダー4が最も遠位側に変位した状態で、線状部材6がシャフト3またはチューブ32の内腔からその外側に延出する地点よりも近位側に位置することが好ましい。換言すれば、線状部材6は、スライダー4が最も遠位側に変位した状態において、スライダー4への固定部よりも遠位側の位置で、シャフト3またはチューブ32の内腔からその外側に延出することが好ましい。
【0045】
線状部材6は、スライダー4が最も近位側に変位した状態で、反転ガイド7との当接部分より第1端側の部分が、スライダー4に固定されている。このように線状部材6をスライダー4に固定することで、スライダー4の軸方向xの変位に関わらず、線状部材6が反転ガイド7との当接部分より第1端側の部分でスライダー4に固定されることとなる。一方、線状部材6は、反転ガイド7との当接部分より第2端側の部分でスライダー4に固定されないことが好ましく、詳細には、線状部材6は、スライダー4が最も近位側に変位した状態で、反転ガイド7との当接部分より第2端側の部分が、スライダー4に固定されないことが好ましい。
【0046】
線状部材6は、ハンドル1を組み立てる際、線状部材6が近位側に屈曲し反転ガイド7に当接した状態で、ハンドル1の内部空間でできるだけ弛むことなく伸張して設置されることが望ましい。これにより、スライダー4を軸方向xに変位させたときに、線状部材6が反応性良く軸方向xに変位しやすくなる。具体的には、線状部材6の反転ガイド7より第1端側(第1部分6A側)の部分と反転ガイド7より第2端側(第2部分6B側)の部分とが、スライダー4の動きに連動して、軸方向xに互いに逆方向に反応性良く変位しやすくなる。その結果、ハンドル1の遠位側に設けられたチューブ32を反応性良く操作することが可能となる。
【0047】
上記のように線状部材6を設置することを容易にするために、反転ガイド7は、軸方向xの異なる位置でハンドル本体2に固定可能となっている。なお、軸方向xの異なる位置とは、軸方向xに互いに異なる複数の位置を意味する。このように反転ガイド7を構成することにより、ハンドル1を組み立てる際、線状部材6を近位側に屈曲させた状態で反転ガイド7に当接させてハンドル1の内部空間に設置し、反転ガイド7の軸方向xの位置を調整することで、線状部材6を伸張させた状態で反転ガイド7を固定することができる。また、反転ガイド7の軸方向xの固定位置が調整可能となっており、これにより線状部材6のテンションを調整できるように構成されているため、線状部材6は、反転ガイド7の軸方向xの固定位置に関わらず、軸方向xに対してほぼ同じ角度でハンドル本体2の内腔で延在する。そのため、反転ガイド7の軸方向xの固定位置に関わらず、スライダー4を軸方向xに変位させたときに線状部材6が反転ガイド7に引っ掛かることなくスムーズに導入されやすくなる。
【0048】
反転ガイド7が軸方向xの異なる位置でハンドル本体2に固定可能とされるために、反転ガイド7とハンドル本体2は例えば次のように構成されることが好ましい。すなわち、図6および図7に示すように、反転ガイド7に軸方向xに延びる長穴13が形成され、反転ガイド7を固定するための固定具15が長穴13を貫通しハンドル本体2に嵌合または螺合されていることが好ましい。図6には、ハンドル1の内部における反転ガイド7とハンドル本体2の内面の平面図が示され、図7には、図6におけるVII-VII断面図が示されている。図7では、シャフト3が省略して示されている。図6および図7では、固定具15としてネジが用いられており、固定具15がハンドル本体2に螺合されている。
【0049】
固定具15が反転ガイド7の長穴13を貫通し、反転ガイド7が固定具15によってハンドル本体2に押し付けられることにより、反転ガイド7がハンドル本体2に固定される。また、固定具15を緩めることで、固定具15が長穴13に存在する範囲で、反転ガイド7を軸方向xに移動することができる。なお、固定具15はピンであってもよく、この場合は固定具15がハンドル本体2に嵌合される。
【0050】
ハンドル本体2の内面に第3係合部23が設けられ、反転ガイド7には第3係合部23に係合する第4係合部24が設けられ、第3係合部23と第4係合部24の少なくとも一方が軸方向xに並んで複数設けられていることが好ましい。このようにハンドル本体2と反転ガイド7にそれぞれ第3係合部23と第4係合部24が設けられることにより、反転ガイド7を、軸方向xの異なる位置でハンドル本体2に安定して固定することができる。
【0051】
図6および図7では、ハンドル本体2の内面に第3係合部23が軸方向xに並んで複数設けられている。ハンドル本体2の第3係合部23は凹部として形成され、反転ガイド7の第4係合部24は凸部として形成されている。第4係合部24の凸部を第3係合部23の凹部に係合することにより、反転ガイド7を、軸方向xの異なる位置でハンドル本体2に安定して固定することができる。なお、第3係合部23を凸部として形成し、第4係合部24を凹部として形成することもできる。
【0052】
反転ガイド7が軸方向xの異なる位置でハンドル本体2に固定可能とされるために、反転ガイド7とハンドル本体2は、例えば図8および図9に示すように構成されてもよい。すなわち、ハンドル本体2に軸方向xに延びる長穴14が形成され、反転ガイド7を固定するための固定具15が長穴14を貫通し反転ガイド7に嵌合または螺合されていてもよい。図8には、ハンドル1の内部における反転ガイド7とハンドル本体2の内面の平面図が示され、図9には、図8におけるIX-IX断面図が示されている。図9では、シャフト3が省略して示されている。図8および図9では、固定具15としてネジが用いられており、固定具15が反転ガイド7に螺合されている。
【0053】
固定具15がハンドル本体2の長穴14を貫通し、反転ガイド7が固定具15によってハンドル本体2に押し付けられることにより、反転ガイド7がハンドル本体2に固定される。また、固定具15を緩めることで、固定具15が長穴14に存在する範囲で、反転ガイド7を軸方向xに移動することができる。なお、固定具15はピンであってもよく、この場合は固定具15が反転ガイド7に嵌合される。
【0054】
図8および図9においても、ハンドル本体2の内面に第3係合部23が設けられ、反転ガイド7に、第3係合部23に係合する第4係合部24が設けられ、第3係合部23と第4係合部24の少なくとも一方が軸方向xに並んで複数設けられていることが好ましい。このようにハンドル本体2と反転ガイド7にそれぞれ第3係合部23と第4係合部24が設けられることにより、反転ガイド7を、軸方向xの異なる位置でハンドル本体2に安定して固定することができる。第3係合部23と第4係合部24は、上記に説明したように、凹部と凸部の組み合わせで形成することができる。
【0055】
図6図9に示されるように、反転ガイド7は、線状部材6の中間部分6Cが挿通される反転用チューブ8と、反転用チューブ8を保持する保持部材9とを有することが好ましい。反転用チューブ8は近位側に凸となる形状(例えば、U字状、弧状、半円状)で配置され、反転用チューブ8がそのような形状で保持されるように保持部材9が設けられる。そして、保持部材9が、軸方向xの異なる位置でハンドル本体2に固定可能となっていることが好ましい。この場合、線状部材6の中間部分6Cが反転用チューブ8の内面に当接することとなる。このように反転ガイド7が構成されることにより、スライダー4を軸方向xに変位させたときに、線状部材6を反転ガイド7においてスムーズに遠位側にUターンさせることができる。
【0056】
反転用チューブ8は可撓性を有しており、例えば、ポリオレフィン樹脂(例えば、ポリエチレンやポリプロピレン)、ポリアミド樹脂(例えば、ナイロン)、ポリエステル樹脂(例えば、PET)、芳香族ポリエーテルケトン樹脂(例えば、PEEK)、ポリエーテルポリアミド樹脂、ポリウレタン樹脂、ポリイミド樹脂、フッ素系樹脂(例えば、PTFE、PFA、ETFE)等の合成樹脂から構成されることが好ましい。なかでも、反転用チューブ8は滑り性の高い樹脂から構成されることが好ましく、フッ素系樹脂またはポリオレフィン樹脂から構成されることが好ましく、フッ素系樹脂から構成されることがより好ましい。
【0057】
反転用チューブ8は、一方端を含む第1区間8Aと、他方端を含む第2区間8Bと、第1区間8Aと第2区間8Bの間の第3区間8Cを有し、第3区間8Cの少なくとも一部が保持部材9によって保持されており、第1区間8Aと第2区間8Bは保持部材9によって保持されておらず、第1区間8Aと第2区間8Bが保持部材9から遠位側に軸方向xに略平行に延在していることが好ましい。このように反転用チューブ8が設けられることにより、スライダー4を軸方向xに変位させたときに、線状部材6をスムーズに反転用チューブ8に挿入したり、反転用チューブ8から延出させたりすることができる。すなわち、反転用チューブ8の第1区間8Aと第2区間8Bが軸方向xに略平行に延在することにより、線状部材6が、反転用チューブ8の一方端または他方端から遠位側に向かって軸方向xに略平行に延在しやすくなる。また、反転用チューブ8の第1区間8Aと第2区間8Bは保持部材9によって保持されないため、線状部材6が軸方向xに対して斜めに延びても、第1区間8Aと第2区間8Bがそれに追従して曲がることができる。そのため、スライダー4を軸方向xに変位させたときに、線状部材6をスムーズに反転用チューブ8に出し入れすることができる。
【0058】
なお、反転用チューブ8の一方端と他方端は反転用チューブ8の延在方向に基づき定められ、反転用チューブ8が近位側に凸となる形状で保持された状態で、第1区間8Aと第2区間8Bは第3区間8Cよりも遠位側に位置する。従って、第1区間8Aと第2区間8Bは、保持部材9に保持されずに、保持部材9から遠位側に延在する区間として規定される。また、第1区間8Aと第2区間8Bが軸方向xに略平行に延在しているとは、第1区間8Aと第2区間8Bが、線状部材6による負荷がかからない状態で、反転用チューブ8が近位側に凸となる形状の平面視で、軸方向xに略平行に延在することを意味する。
【0059】
反転用チューブ8の第1区間8Aと第2区間8Bが軸方向xに略平行に延在する形態として、反転用チューブ8の第1区間8Aと第2区間8Bは、軸方向xに対して±10°以内の角度で延在していることが好ましく、軸方向xに対して±5°以内の角度で延在していることが好ましい。前記角度のプラスとマイナスは、時計回り方向と反時計回り方向を表す。また、反転用チューブ8の第1区間8Aと第2区間8Bの長さは、反転用チューブ8の外径の1倍以上が好ましく、2倍以上がより好ましく、また10倍以下が好ましく、7倍以下がより好ましい。
【0060】
反転ガイド7は軸方向xに変位可能に設けられ、弾性部材によって近位側に付勢されていてもよい。このように形成された反転ガイド7の構成例を図10および図11に示した。図10には、ハンドル1の内部における反転ガイド7とハンドル本体2の内面の平面図が示され、図11には、図10におけるXI-XI断面図が示されている。図11では、シャフト3が省略して示されている。図10図11には、図6図7に示した反転ガイド7の変形例が示されている。
【0061】
図10および図11において、反転ガイド7は可変部10と基部11を有し、可変部10に線状部材6の中間部分6Cの一部が当接し、基部11が軸方向xの異なる位置でハンドル本体2に固定可能となっている。可変部10は基部11に対して軸方向xに変位可能に設けられ、弾性部材12によって近位側に付勢されている。可変部10は基部11上に設けられ、線状部材6の中間部分6Cの屈曲部が可変部10に当接することが好ましい。線状部材6は、基部11に当接する部分を有していてもよい。このように反転ガイド7が形成されることにより、スライダー4を軸方向xに変位させたときに線状部材6に撓みが生じにくくなる。あるいは、線状部材6に撓みが生じても、反転ガイド7によって線状部材6が近位側に引っ張られて、線状部材6の撓みが解消されやすくなる。その結果、ハンドル1の操作性を高めることができる。
【0062】
図10および図11では、弾性部材12として圧縮コイルバネが設けられており、圧縮コイルバネが基部11と可変部10の間に設けられている。圧縮コイルバネの遠位端が基部11に当接し、近位端が可変部10に当接することにより、可変部10が基部11に対して近位側に付勢されている。弾性部材12としては、圧縮コイルバネ以外にも、板バネ、竹の子バネ、皿バネ等を用いることができる。また、スポンジなどの弾性圧縮可能な材料を基部11と可変部10の間に配置することで、可変部10を近位側に付勢してもよい。あるいは、引張コイルバネによって可変部10を近位側に引っ張ることにより、可変部10を近位側に付勢してもよい。
【0063】
図10および図11に示すように、反転ガイド7が反転用チューブ8と保持部材9から構成される場合は、保持部材9が可変部10と基部11を有し、反転用チューブ8が可変部10とともに軸方向xに変位可能となっていることが好ましい。この場合、可変部10が弾性部材12によって近位側に付勢されることにより、反転用チューブ8が可変部10とともに近位側に付勢され、線状部材6の撓みが抑えられる。
【0064】
線状部材6の構成材料について説明する。線状部材6としては、ステンレス鋼、炭素鋼、ニッケルチタン合金等の金属線材や、ポリアミド樹脂(例えば、ナイロン)、ポリオレフィン樹脂(例えば、ポリエチレンやポリプロピレン)、ポリエステル樹脂(例えば、PET)、芳香族ポリエーテルケトン樹脂(例えば、PEEK)、ポリイミド樹脂、芳香族ポリアミド樹脂(例えば、アラミド)、フッ素系樹脂(例えば、PTFE、PFA、FEP、ETFE)等の合成樹脂から形成された樹脂線材(すなわち繊維材料)を用いることができる。これらの金属線材や樹脂線材は、モノフィラメント構造を有していてもよく、マルチフィラメント構造を有していてもよい。線状部材6は、コイル状の金属や合成樹脂によって形成された筒体によって被覆されていてもよい。
【0065】
線状部材6の第1部分6Aと第2部分6Bと中間部分6Cは、同じ材料から構成されてもよく、異なる材料から構成されてもよい。なお、中間部分6Cは、第1部分6Aと第2部分6Bとは異なる材料から構成されていることが好ましい。中間部分6Cは反転ガイド7で比較的小さい屈曲半径で屈曲させることができるように、曲げやすい材料から構成されることが好ましい。一方、第1部分6Aと第2部分6Bは、チューブ32の内腔に配置され、ハンドル1での線状部材6の軸方向xの動きが、第1部分6Aと第2部分6Bを介してチューブ32の遠位端部まで好適に伝わることが求められることから、比較的剛性の高い材料から構成されることが好ましく、中間部分6Cよりも屈曲性は求められない。従って、中間部分6Cは、第1部分6Aと第2部分6Bよりも曲げ剛性が小さいことが好ましい。
【0066】
第1部分6Aと第2部分6Bと中間部分6Cの曲げ剛性は、例えばJIS L 1913:2010の剛軟度試験に従い測定し、その結果から曲げ剛性の大小を比較することができる。あるいは、カトーテック社製の一本曲げ試験機KES-FB2-SHや純曲げ試験機KES-FB2-Sなどの曲げ試験機を用いて測定し、曲げ剛性の大小を比較することもできる。
【0067】
線状部材6の中間部分6Cは繊維ロープから構成されることが好ましい。これにより、中間部分6Cの強度を確保しつつ、中間部分6Cを反転ガイド7でスムーズに屈曲させやすくなる。繊維ロープは、撚糸を撚り合わせてストランドとし、さらにこれを撚り合わせるなどして形成される。そのため、繊維ロープは、表面に撚り合わせによる大きな凹凸が形成され、反転ガイド7との接触面積を減らすことができ、反転ガイド7における滑り性を高めることができる。また、中間部分6Cの軸方向xへの剛性を確保しやすくなり、中間部分6Cが撓むのを抑えることができる。
【0068】
繊維ロープは、破断を防止する点から高強度の繊維材料から構成されることが好ましく、いわゆるスーパー繊維から構成されることが好ましい。スーパー繊維としては、例えば、アラミド繊維、超高分子量ポリエチレン繊維、ポリアリレート繊維、超高強力ポリビニルアルコール繊維、ポリパラフェニレンベンゾビスオキサゾール(PBO)繊維、ポリフェニレンサルファイド(PPS)繊維等が挙げられる。スーパー繊維は、例えば、引張強度が1GPa以上、好ましく2GPa以上であり、弾性率が25GPa以上、好ましく50GPa以上であることが好ましい。
【0069】
線状部材6の第1部分6Aと第2部分6Bは金属線材から構成されることが好ましい。これにより、チューブ32の内腔に配置された第1部分6Aと第2部分6Bを近位側に引いたり遠位側に押し込むことにより、チューブ32の遠位端部の曲がり等を反応性良く制御することが容易になる。第1部分6Aと第2部分6Bは、金属材料から構成されたワイヤーロープであってもよい。
【0070】
線状部材6の外径は、例えば100μm~1500μm程度とすることができる。なお、ここで説明した外径は、断面形状が円形の場合は直径を意味し、断面形状が非円形の場合は長径と短径の平均値を表す。長径は、断面形状の外縁の長軸方向の長さ(外縁の最大径)を意味し、短径とは、長軸方向に対して垂直方向となる短軸方向の長さのうちの最も長くなる長さを意味する。
【0071】
中間部分6Cの外径は、第1部分6Aの外径と第2部分6Bの外径よりも大きいことが好ましい。中間部分6Cの外径をある程度大きく形成することで、スライダー4を軸方向xに変位させたときに、中間部分6Cがスライダー4や回転ノブ5に巻き込まれたり、引っ掛かったりすることが起こりにくくなる。
【0072】
中間部分6Cが、第1部分6Aと第2部分6Bとは異なる材料から構成される場合、接続部16における中間部分6Cと第1部分6Aの接合および中間部分6Cと第2部分6Bの接合は、接着、溶着、カシメ、結索等により行うことができる。
【0073】
ハンドル1は、回転ノブ5を軸方向xを中心として回転させた際に、スライダー4が回転ノブ5とともに回転しないようにするために、次のように構成されることが好ましい。すなわち、図2図3および図5に示すように、スライダー4の外面に第5係合部25が設けられ、ハンドル本体2の内面に第5係合部25と係合する第6係合部26が設けられ、第5係合部25と第6係合部26の少なくとも一方が軸方向xに延びるように形成されていることが好ましい。これにより、スライダー4が軸方向xを中心に回転することなく、スライダー4を軸方向xに沿って変位させることができる。
【0074】
第5係合部25と第6係合部26は、凸部と溝の組み合わせにより形成することができる。すなわち、第5係合部25と第6係合部26は、一方が凸部であり他方が溝であることが好ましい。図面に示したハンドル1では、スライダー4の外面に設けられた第5係合部25が凸部として形成され、ハンドル本体2の内面に設けられた第6係合部26が溝として形成されている。
【0075】
溝として形成される第5係合部25または第6係合部26は、軸方向xに延びるように形成されることが好ましく、軸方向xに連続的に延びるように形成されることがより好ましい。溝は、有底溝であってもよく、貫通溝であってもよいが、スライダー4またはハンドル本体2の強度を確保する点から、溝は有底溝であることが好ましい。一方、凸部として形成される第5係合部25または第6係合部26は、軸方向xに延びるように形成されてもよく、そうでなくてもよい。
【0076】
図面に示されるように、第5係合部25が凸部として形成され、第6係合部26が溝として形成される場合、スライダー4の外面に第5係合部25として形成された凸部は、スライダー4において、第1係合部21よりも近位側に配置されることが好ましい。ハンドル本体2の内面に第6係合部26として形成された溝の少なくとも一部は、反転ガイド7よりも遠位側に配置されることが好ましい。
【0077】
なお、図面には示されていないが、スライダー4の外面に第5係合部25として溝が形成される場合は、当該溝は、スライダー4において、第1係合部21と軸方向xに重なる位置に形成されてもよく、第1係合部21よりも近位側に形成されてもよい。この場合、ハンドル本体2の内面に第6係合部26として形成された凸部は、少なくとも一部が、反転ガイド7よりも遠位側に配置されることが好ましい。
【0078】
以上、本発明のカテーテルハンドルについて説明したが、本発明のカテーテルハンドルは、チューブの内腔で線状部材の第1部分と第2部分を遠位側または近位側に変位させるものであれば、チューブの遠位端部の曲がりを制御するものに限定されない。例えば、カテーテルハンドルを操作することによって、線状部材の第1部分および/または第2部分をチューブの遠位端から出し入れできるものであってもよい。あるいは、線状部材の第1部分の遠位端部や第2部分の遠位端部にナイフやスネアなどの処置具を取り付け、カテーテルハンドルを操作することによって、第1部分の遠位端部や第2部分の遠位端部に取り付けた処置具がチューブの遠位端から出し入れできるものであってもよい。
【0079】
本発明のカーテルハンドルおよびカテーテルは、反転ガイドの軸方向の固定位置を調整することで線状部材のテンションを調整することができるため、線状部材を伸張させた状態で反転ガイドを固定することで、カテーテルハンドルの遠位側に設けられたチューブを反応性良く操作することができる。また、このように反転ガイドの軸方向の固定位置を調整できることにより、チューブに必要なテンションやチューブの遠位端部の変位量を簡便に最適化することができる。そのため、例えば、長さや径が異なるチューブをハンドルに接続したり、チューブに付属品が加わった場合にも、ハンドル側で線状部材のテンションを調整することにより、チューブの操作性を高めることができる。
【符号の説明】
【0080】
1:カテーテルハンドル
2:ハンドル本体
3:シャフト
4:スライダー
5:回転ノブ
6:線状部材、6A:第1部分、6B:第2部分、6C:中間部分
7:反転ガイド
8:反転用チューブ
9:保持部材
10:可変部
11:基部
12:弾性部材
13:(保持部材の)長穴
14:(ハンドル本体の)長穴
15:(反転ガイド用の)固定具
16:接続部
17:(線状部材用の)固定具
21:第1係合部
22:第2係合部
23:第3係合部
24:第4係合部
25:第5係合部
26:第6係合部
31:カテーテル
32:チューブ
図1
図2
図3
図4
図5
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図11