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特開2024-137651樹脂組成物の製造方法及び樹脂組成物の製造装置
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024137651
(43)【公開日】2024-10-07
(54)【発明の名称】樹脂組成物の製造方法及び樹脂組成物の製造装置
(51)【国際特許分類】
   B29B 7/48 20060101AFI20240927BHJP
   B29B 7/84 20060101ALI20240927BHJP
   B29B 7/72 20060101ALI20240927BHJP
   B29B 7/80 20060101ALI20240927BHJP
   B29C 48/40 20190101ALI20240927BHJP
   B29C 48/76 20190101ALI20240927BHJP
   B29C 48/92 20190101ALI20240927BHJP
   B29C 48/285 20190101ALI20240927BHJP
【FI】
B29B7/48
B29B7/84
B29B7/72
B29B7/80
B29C48/40
B29C48/76
B29C48/92
B29C48/285
【審査請求】未請求
【請求項の数】5
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023195268
(22)【出願日】2023-11-16
(31)【優先権主張番号】P 2023047221
(32)【優先日】2023-03-23
(33)【優先権主張国・地域又は機関】JP
(71)【出願人】
【識別番号】000003609
【氏名又は名称】株式会社豊田中央研究所
(71)【出願人】
【識別番号】000241500
【氏名又は名称】トヨタ紡織株式会社
(71)【出願人】
【識別番号】000241463
【氏名又は名称】豊田合成株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110001047
【氏名又は名称】弁理士法人セントクレスト国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】片桐 好秀
(72)【発明者】
【氏名】大嶋 文子
(72)【発明者】
【氏名】平井 隆行
(72)【発明者】
【氏名】岡本 浩孝
(72)【発明者】
【氏名】太田 征志
(72)【発明者】
【氏名】和田 卓
(72)【発明者】
【氏名】三宅 修平
(72)【発明者】
【氏名】浅井 利洋
(72)【発明者】
【氏名】内田 均
(72)【発明者】
【氏名】祖父江 史康
(72)【発明者】
【氏名】古川 欣史
(72)【発明者】
【氏名】水越 真央
【テーマコード(参考)】
4F201
4F207
【Fターム(参考)】
4F201AJ08
4F201AR06
4F201AR20
4F201BA01
4F201BC01
4F201BC13
4F201BK02
4F201BK13
4F201BK26
4F201BK36
4F201BK60
4F201BK63
4F201BK74
4F207AJ08
4F207AR06
4F207AR20
4F207KA01
4F207KA17
4F207KF12
4F207KK13
4F207KL43
4F207KL45
4F207KL47
4F207KM15
(57)【要約】
【課題】揮発性有機化合物の残存量が十分に低い樹脂組成物を効率よく製造することが可能な樹脂組成物の製造方法を提供すること。
【解決手段】脱揮助剤供給口11A及びBと揮発成分排出用の脱揮口12A及びBとが特定の条件を満たすように設けられたシリンダ1と、特定の位置にシールリングSR1~4を配置した特定のスクリュ構成を有するスクリュ2とを備える特定の混練押出機を準備する工程と;その混練押出機を用いてシリンダ1内に供給された原料を搬送、混練する搬送混練工程と;を含み、シリンダ1内の特定の領域A及びAのうちの少なくとも1箇所の領域において原料の充満率を70%以上とし、脱揮助剤供給口11A及びBからシリンダ1内の原料に対して脱揮助剤DAを供給し、かつ、脱揮口12A及びBから原料中に含まれていた揮発成分を排出させて樹脂組成物を得る、樹脂組成物の製造方法。
【選択図】図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
シリンダと、前記シリンダ内に配置されたスクリュとを備えるものであり、
前記シリンダが、少なくとも1つの脱揮助剤供給口と少なくとも1つの揮発成分排出用の脱揮口とを開口部として有し、かつ、前記脱揮助剤供給口と前記脱揮口が上流側から順に間隔を空けて並んで設けられている構造部分を少なくとも1つ有するものであり、
前記スクリュが、少なくとも1つの前記構造部分の前記脱揮助剤供給口が設けられた位置よりも上流側に位置する前記シリンダ内の供給口上流部と、該構造部分の前記脱揮助剤供給口及び前記脱揮口の間に位置する供給口下流部とにそれぞれシールリングが配置されたスクリュ構成を少なくとも1つ有するものであり、かつ、
前記シールリングが配置されている前記供給口上流部と前記供給口下流部の間の領域に、前記供給口上流部と前記供給口下流部の位置の基準となる前記脱揮助剤供給口以外に前記領域と前記シリンダの外部とが連通するような開口部が設けられていない、
混練押出機を準備する混練押出機準備工程と、
前記混練押出機を用い、前記スクリュにより前記シリンダ内に供給された樹脂組成物の原料を上流側から下流側に搬送しつつ混練する搬送混練工程と、
を含み、
前記搬送混練工程において、前記シールリングが配置されている前記供給口上流部と前記供給口下流部の間の前記シリンダ内の領域のうちの少なくとも1箇所の領域における前記原料の充満率を70%以上とし、前記脱揮助剤供給口から前記シリンダ内の前記原料に対して脱揮助剤を供給し、かつ、前記脱揮口から前記原料中に含まれていた揮発成分を排出させることにより樹脂組成物を得ることを特徴とする樹脂組成物の製造方法。
【請求項2】
前記搬送混練工程において、前記シールリングが配置されている前記供給口上流部と前記供給口下流部の間の前記シリンダ内の領域の前記原料の充満率を80%以上とすることを特徴とする樹脂組成物の製造方法。
【請求項3】
前記脱揮助剤が水であることを特徴とする請求項1に記載の樹脂組成物の製造方法。
【請求項4】
シリンダと、
前記シリンダ内に配置されたスクリュと、
前記スクリュを駆動させるためのスクリュ駆動装置と、
前記シリンダ内に原料を供給するための原料供給装置と、
前記シリンダ内に脱揮助剤を供給するための脱揮助剤供給装置と、
前記シリンダの温度を調節するための温度調節装置と、
前記スクリュ駆動装置、前記原料供給装置、前記脱揮助剤供給装置及び前記温度調節装置に電気的に接続されかつ前記各装置の運転を制御するための制御装置と、
を備える混練押出機からなり、
前記シリンダが、少なくとも1つの脱揮助剤供給口と少なくとも1つの揮発成分排出用の脱揮口とを開口部として有し、かつ、前記脱揮助剤供給口と前記脱揮口が上流側から順に間隔を空けて並んで設けられている構造部分を少なくとも1つ有するものであり、
前記スクリュが、少なくとも1つの前記構造部分の前記脱揮助剤供給口が設けられた位置よりも上流側に位置する前記シリンダ内の供給口上流部と、該構造部分の前記脱揮助剤供給口及び前記脱揮口の間に位置する供給口下流部とにそれぞれシールリングが配置されたスクリュ構成を少なくとも1つ有するものであり、
前記混練押出機は、前記シールリングが配置されている前記供給口上流部と前記供給口下流部の間の領域に、前記供給口上流部と前記供給口下流部の位置の基準となる前記脱揮助剤供給口以外に前記領域と前記シリンダの外部とが連通するような開口部が設けられていないという条件を満たすものであり、
前記混練押出機は、前記スクリュにより前記シリンダ内に供給された樹脂組成物の原料を上流側から下流側に搬送しつつ混練することで樹脂組成物を製造するために用いられる装置であり、
前記制御装置が、樹脂組成物の製造時に前記原料を上流側から下流側に搬送しつつ混練する際に、前記シールリングが配置されている前記供給口上流部と前記供給口下流部の間の前記シリンダ内の領域のうちの少なくとも1箇所の領域における前記原料の充満率を70%以上としながら、前記脱揮助剤供給口から前記シリンダ内の前記原料に対して脱揮助剤を供給し、かつ、前記脱揮口から前記原料中に含まれていた揮発成分を排出するように、前記スクリュ駆動装置、前記原料供給装置、前記脱揮助剤供給装置及び前記温度調節装置の運転を制御するものであること、
を特徴とする樹脂組成物の製造装置。
【請求項5】
前記混練押出機が前記脱揮口に接続された減圧装置を更に備えており、
前記制御装置は前記減圧装置にも電気的に接続されており、かつ、
前記制御装置が、樹脂組成物の製造時に、前記スクリュ駆動装置、前記原料供給装置、前記脱揮助剤供給装置及び前記温度調節装置の運転を制御するとともに前記減圧装置の運転を制御するものであること、
を特徴とする請求項4に記載の樹脂組成物の製造装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、樹脂組成物の製造方法並びに樹脂組成物の製造装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来より、樹脂組成物の分野においては、その組成物中に含まれる残留溶媒や残留モノマー等の揮発性有機化合物(VOC)を揮発させて除去するために、脱揮処理が可能な混練押出機を用いて、樹脂組成物を製造することが提案されている。なお、近年においては、環境保護の観点等から、樹脂組成物を再生利用することが社会的に強く要請されており、樹脂組成物をリサイクルして利用することが求められているが、このようなリサイクル樹脂組成物を製造する際にも、樹脂組成物中に含まれる揮発性有機化合物を除去するために、脱揮処理が可能な混練押出機を用いて、樹脂組成物を製造(再生)することが提案されている。
【0003】
このような脱揮処理が可能な混練押出機を用いて樹脂組成物を製造する方法としては、例えば、特許文献1(特開2021-62552号公報)に、(a)シリンダと、前記シリンダ内に回転自在に配備されたスクリュと、前記スクリュを回転させる回転駆動機構とを有し、上流側から溶融混練部、脱揮部が順次配置された押出機を準備する工程;(b)前記押出機の前記溶融混練部において熱可塑性樹脂を溶融させた溶融樹脂と添加剤とを混練する工程;(c)前記押出機の脱揮部の第1部において脱揮助剤を添加し混練することにより前記熱可塑性樹脂に前記脱揮助剤を分散させる工程、(d)前記押出機の脱揮部の第2部において減圧状態とすることにより前記脱揮助剤とともに前記熱可塑性樹脂と前記添加剤の混練物から揮発成分を除去する工程;を有する樹脂組成物の製造方法が開示されている。また、非特許文献1(株式会社日本製鋼所 広島製作所 樹脂機械事業部のリーフレット(NL-J0014-02)、「TEX水添加脱揮効果の紹介」、インターネット<URL:https://www.jsw.co.jp/ja/product/news/details/20211001000006.html>)においては、低粘度の樹脂に適したスクリュデザインとして、水添部分の前後にシールリングを設けた混練押出機を用いる技術が開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2021-62552号公報
【非特許文献】
【0005】
【非特許文献1】株式会社日本製鋼所 広島製作所 樹脂機械事業部のリーフレット(NL-J0014-02)、「TEX水添加脱揮効果の紹介」、インターネット<URL:https://www.ipros.jp/catalog/detail/557129/>
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
しかしながら、特許文献1や非特許文献1に記載されているような従来の樹脂組成物の製造方法は、得られる樹脂組成物中の揮発性有機化合物の残存量の低減の点で十分なものではなかった。
【0007】
本発明は、前記従来技術の有する課題に鑑みてなされたものであり、揮発性有機化合物の残存量が十分に低い樹脂組成物を効率よく製造することが可能な樹脂組成物の製造方法及びその方法に好適に利用することが可能な樹脂組成物の製造装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明者らは、前記目的を達成すべく鋭意研究を重ねた結果、シリンダと、前記シリンダ内に配置されたスクリュとを備え;前記シリンダが、少なくとも1つの脱揮助剤供給口と少なくとも1つの揮発成分排出用の脱揮口とを開口部として有し、かつ、前記脱揮助剤供給口と前記脱揮口が上流側から順に間隔を空けて並んで設けられている構造部分を少なくとも1つ有するものであり;前記スクリュが、少なくとも1つの前記構造部分の前記脱揮助剤供給口が設けられた位置よりも上流側に位置する前記シリンダ内の供給口上流部と、該構造部分の前記脱揮助剤供給口及び前記脱揮口の間に位置する供給口下流部にそれぞれシールリングが配置されたスクリュ構成を少なくとも1つ有するものであり;かつ、前記シールリングが配置されている前記供給口上流部と前記供給口下流部の間の領域に、前記供給口上流部と前記供給口下流部の位置の基準となる前記脱揮助剤供給口以外に前記領域と前記シリンダの外部とが連通するような開口部が設けられていない;という条件を満たす混練押出機を準備し、樹脂組成物の製造に前記混練押出機を用い、前記スクリュにより前記シリンダ内に供給された樹脂組成物の原料を上流側から下流側に搬送しながら混練する際に、前記シールリングが配置されている前記供給口上流部と前記供給口下流部の間の前記シリンダ内の領域のうちの少なくとも1箇所の領域における前記原料の充満率を70%以上とし、かつ、前記脱揮助剤供給口から前記シリンダ内の前記原料に対して脱揮助剤を供給しつつ前記脱揮口から前記原料中に含まれていた揮発成分を排出させることにより、揮発性有機化合物の残存量が十分に低い樹脂組成物を効率よくかつ確実に製造することが可能となることを見出し、本発明を完成するに至った。
【0009】
すなわち、本発明は以下の態様を提供する。
【0010】
[1]シリンダと、前記シリンダ内に配置されたスクリュとを備えるものであり、
前記シリンダが、少なくとも1つの脱揮助剤供給口と少なくとも1つの揮発成分排出用の脱揮口とを開口部として有し、かつ、前記脱揮助剤供給口と前記脱揮口が上流側から順に間隔を空けて並んで設けられている構造部分を少なくとも1つ有するものであり、
前記スクリュが、少なくとも1つの前記構造部分の前記脱揮助剤供給口が設けられた位置よりも上流側に位置する前記シリンダ内の供給口上流部と、該構造部分の前記脱揮助剤供給口及び前記脱揮口の間に位置する供給口下流部とにそれぞれシールリングが配置されたスクリュ構成を少なくとも1つ有するものであり、かつ、
前記シールリングが配置されている前記供給口上流部と前記供給口下流部の間の領域に、前記供給口上流部と前記供給口下流部の位置の基準となる前記脱揮助剤供給口以外に前記領域と前記シリンダの外部とが連通するような開口部が設けられていない、
混練押出機を準備する混練押出機準備工程と、
前記混練押出機を用い、前記スクリュにより前記シリンダ内に供給された樹脂組成物の原料を上流側から下流側に搬送しつつ混練する搬送混練工程と、
を含み、
前記搬送混練工程において、前記シールリングが配置されている前記供給口上流部と前記供給口下流部の間の前記シリンダ内の領域のうちの少なくとも1箇所の領域における前記原料の充満率を70%以上とし、前記脱揮助剤供給口から前記シリンダ内の前記原料に対して脱揮助剤を供給し、かつ、前記脱揮口から前記原料中に含まれていた揮発成分を排出させることにより樹脂組成物を得る、樹脂組成物の製造方法。
【0011】
[2]前記搬送混練工程において、前記シールリングが配置されている前記供給口上流部と前記供給口下流部の間の前記シリンダ内の領域の前記原料の充満率を80%以上とする、[1]に記載の樹脂組成物の製造方法。
【0012】
[3]前記脱揮助剤が水である、[1]又は[2]に記載の樹脂組成物の製造方法。
【0013】
[4]シリンダと、
前記シリンダ内に配置されたスクリュと、
前記スクリュを駆動させるためのスクリュ駆動装置と、
前記シリンダ内に原料を供給するための原料供給装置と、
前記シリンダ内に脱揮助剤を供給するための脱揮助剤供給装置と、
前記シリンダの温度を調節するための温度調節装置と、
前記スクリュ駆動装置、前記原料供給装置、前記脱揮助剤供給装置及び前記温度調節装置に電気的に接続されかつ前記各装置の運転を制御するための制御装置と、
を備える混練押出機からなり、
前記シリンダが、少なくとも1つの脱揮助剤供給口と少なくとも1つの揮発成分排出用の脱揮口とを開口部として有し、かつ、前記脱揮助剤供給口と前記脱揮口が上流側から順に間隔を空けて並んで設けられている構造部分を少なくとも1つ有するものであり、
前記スクリュが、少なくとも1つの前記構造部分の前記脱揮助剤供給口が設けられた位置よりも上流側に位置する前記シリンダ内の供給口上流部と、該構造部分の前記脱揮助剤供給口及び前記脱揮口の間に位置する供給口下流部とにそれぞれシールリングが配置されたスクリュ構成を少なくとも1つ有するものであり、
前記混練押出機は、前記シールリングが配置されている前記供給口上流部と前記供給口下流部の間の領域に、前記供給口上流部と前記供給口下流部の位置の基準となる前記脱揮助剤供給口以外に前記領域と前記シリンダの外部とが連通するような開口部が設けられていないという条件を満たすものであり、
前記混練押出機は、前記スクリュにより前記シリンダ内に供給された樹脂組成物の原料を上流側から下流側に搬送しつつ混練することで樹脂組成物を製造するために用いられる装置であり、
前記制御装置が、樹脂組成物の製造時に前記原料を上流側から下流側に搬送しつつ混練する際に、前記シールリングが配置されている前記供給口上流部と前記供給口下流部の間の前記シリンダ内の領域のうちの少なくとも1箇所の領域における前記原料の充満率を70%以上としながら、前記脱揮助剤供給口から前記シリンダ内の前記原料に対して脱揮助剤を供給し、かつ、前記脱揮口から前記原料中に含まれていた揮発成分を排出するように、前記スクリュ駆動装置、前記原料供給装置、前記脱揮助剤供給装置及び前記温度調節装置の運転を制御するものである、樹脂組成物の製造装置。
【0014】
[5]前記混練押出機が前記脱揮口に接続された減圧装置を更に備えており、
前記制御装置は前記減圧装置にも電気的に接続されており、かつ、
前記制御装置が、樹脂組成物の製造時に、前記スクリュ駆動装置、前記原料供給装置、前記脱揮助剤供給装置及び前記温度調節装置の運転を制御するとともに前記減圧装置の運転を制御するものである、[4]に記載の樹脂組成物の製造装置。
【0015】
なお、本発明の樹脂組成物の製造方法及び本発明の樹脂組成物の製造装置によって、上記目的が達成される理由は必ずしも定かではないが、本発明者らは以下のように推察する。すなわち、先ず、本発明者らが鋭意研究を重ね、前述の特許文献1及び非特許文献1に記載されているような技術について検討したところ、前記特許文献1に記載されているような技術では、脱揮助剤を添加した原料を混練する際にシリンダ内の圧力を十分に上げることができないため、脱揮ベントから真空ポンプ(減圧ポンプ)を利用して脱揮する前の段階から、原料中の脱揮助剤が気体状態となってしまうことに起因して、原料中に液状の脱揮助剤を十分に分散させることができず、揮発性有機化合物を十分に除去することができないのではないかと考えるに至った。更に、本発明者らは、前記非特許文献1に記載されているような混練押出機を利用した場合については、その混練押出機の利用条件(例えば、原料のシリンダ内への投入速度等)によっては、脱揮助剤を添加して混練する際のシリンダ内の圧力を必ずしも十分に上げることができず、これに起因して揮発性有機化合物を必ずしも十分に除去することができないのではないかと考えるに至った。このように、本発明者らは鋭意研究を重ねた結果、特許文献1や非特許文献1に記載されているような従来の樹脂組成物の製造方法においては、脱揮助剤を添加して混練する際のシリンダ内の圧力の点に問題点があるものと考えた。そして、このような問題点を考慮して、本発明においては、上述のような本発明にかかる特定の混練押出機を用い、かつ、前記シールリングが配置されている前記供給口上流部と前記供給口下流部の間の前記シリンダ内の領域(2つのシールリングで挟まれた領域:脱揮助剤を添加して脱揮助剤を含む原料を混練する領域)のうちの少なくとも1箇所の領域における原料の充満率を70%以上としている。これにより、前記脱揮助剤供給口から前記シリンダ内の前記原料に対して脱揮助剤を供給した際に、シリンダ内の該領域の圧力が十分に高く保たれ、混練押出機のシリンダ内への原料の投入速度に関係なく、当該領域において脱揮助剤が低圧のために揮発してしまうといった問題の発生が十分に抑制される。そのため、原料と脱揮助剤とを混練する際に、高圧条件下において液状の脱揮助剤と原料とを混練することが可能となり、脱揮助剤の液体状態を十分に保持させながら、原料(溶融した樹脂組成物の原料)中に、脱揮助剤をより十分に分散させてより均一に行き渡らせることが可能となり、前記供給口下流部のシールリングよりも更に下流の領域にある脱揮口から揮発成分(揮発性有機化合物と脱揮助剤等が揮発したガス)を脱揮する際に、揮発性有機化合物をより高い水準でより効率よく排出(脱揮)させることが可能となるため、これに起因して揮発性有機化合物の残存量が十分に低い樹脂組成物を効率よく製造することが可能となるものと本発明者らは推察している。
【発明の効果】
【0016】
本発明によれば、揮発性有機化合物の残存量が十分に低い樹脂組成物を効率よく製造することが可能な樹脂組成物の製造方法及びその方法に好適に利用することが可能な樹脂組成物の製造装置を提供することが可能となる。
【図面の簡単な説明】
【0017】
図1】本発明の樹脂組成物の製造方法に利用可能な混練押出機の好適な一実施形態の断面を模式的に示す概略断面図である。
図2】本発明の樹脂組成物の製造方法に利用可能な混練押出機の好適な他の実施形態の断面を模式的に示す概略断面図である。
図3】本発明の樹脂組成物の製造方法に利用可能な混練押出機の好適な別の実施形態の断面を模式的に示す概略断面図である。
図4】本発明の樹脂組成物の製造装置の好適な一実施形態の断面を模式的に示す概略断面図である。
図5】混練シミュレーションソフトウエア(日本製鋼所製、商品名:TEX-FAN)を利用して必要な運転条件を求める際の好適な手順の一例を示すフローチャートである。
図6】比較例1~2で利用した混練押出機の断面を模式的に示す概略断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0018】
以下、図面を参照しながら本発明の好適な実施形態について詳細に説明する。なお、以下の説明及び図面中、同一又は相当する要素には同一の符号を付し、重複する説明は省略する。
【0019】
[本発明の樹脂組成物の製造方法の好適な実施形態について]
(第一実施形態)
〈混練押出機準備工程〉
本発明においては、前記混練押出機準備工程において混練押出機を準備する。図1は、そのような本発明にかかる混練押出機の好適な一実施形態の断面を模式的に示す概略断面図である。なお、本明細書において、各構成物(スクリュのエレメント等)の位置関係を説明する際に、樹脂組成物の原料(溶融混練物を含む)の搬送方向(流動方向)に対して、「上流」および「下流」あるいは「上流側」および「下流側」という表現を使用する。
【0020】
図1に示す実施形態の混練押出機は、シリンダ1と、シリンダ1内に配置されたスクリュ2と、シリンダ1の上流部に接続された原料供給のためのホッパ3とを備える二軸混練押出機(スクリュ式混練脱揮押出機)である(図1においては、便宜上、一方のシャフト(軸)側のスクリュのみを描いている)。なお、スクリュ2は、図示を省略した回転駆動機構に接続されており、シリンダ1内部において回転可能(回転自在)な状態となっている。また、図1に示す混練押出機は、シリンダ1の下流側の端部が図示を省略したダイスに接続されており、その使用時に、かかるダイスから溶融混練した樹脂組成物を押し出させて(吐出させて)、VOCを脱揮した樹脂組成物が得られるような設計としている。さらに、図1に示す形態の混練押出機においては、シリンダ1の全ての領域の外側に、図示を省略したヒータを設置しており、これにより原料の種類に応じて適宜設定した加熱温度(設定温度)に、シリンダを加熱して原料を溶融しつつ混練することが可能となるような設計としている。
【0021】
また、シリンダ1には、脱揮助剤DAを供給するための脱揮助剤供給口(DA供給口)11A及び11Bと、脱揮成分VOCを排出するための脱揮口(ベント口)12A及び12Bとが開口部として設けられている。なお、このようなDA供給口11A及び11Bは、それぞれ図示を省略した脱揮助剤DAの供給装置(例えば、脱揮助剤DAが水の場合、注水が可能な装置(注水装置))に接続されている。また、脱揮口12A及び12Bは、それぞれ図示を省略した減圧装置(真空ポンプ)に接続されている。また、図1においては、ホッパ3からの原料(樹脂組成物の原料)の供給のために、シリンダ1には原料供給のための開口部(原料供給口)13も設けられている。
【0022】
このように、シリンダ1には、開口部として、2つのDA供給口11A及び11B、2つの脱揮口(ベント口)12A及び12B、並びに、原料供給口13が設けられている。また、かかるシリンダ1は、2つのDA供給口と2つの脱揮口の配置関係から、上流側から下流側に向かってDA供給口11A、脱揮口12Aが順に間隔を空けて並んで設けられている構造部分と、その構造部分の更に下流側の領域において、上流側から下流側に向かってDA供給口11B、脱揮口12Bが順に間隔を空けて並んで設けられている構造部分を有するものとなっている。このような構造部分を有することにより、各構造部分において、DA供給口から導入された脱揮助剤DAと原料とを混練した後に、その混練物を脱揮口が設けられている領域に搬送して脱揮することが可能となり、後述するスクリュ構成等と相俟って、より高い水準で、より効率よく揮発成分として揮発性有機化合物VOCを脱揮口から排出(脱揮)することが可能となる。
【0023】
なお、シリンダ1の長さと直径の比(長さ/直径)は、VOCをより効率よく除去することが可能となるといった観点から、21~106であることが好ましい。また、シリンダ1の直径は、原料がペレット状である場合においても、そのペレットの混練に特に問題が生じず、混練中の発熱をより十分に抑制することが可能となるといった観点から、12~90mmであることが好ましい。
【0024】
また、スクリュ2は、シャフト(軸)に各種スクリュエレメント(スクリュセグメント:スクリュピース)を装着して形成されている。そして、スクリュ2は、シャフト(軸)に、フルフライトスクリュFSと、ニーディングディスクKD(図1中では符号としてKD1~3を利用)と、シールリングSR(図1中では符号としてSR1~4を利用)とが、図1に示すような並びで配置されたスクリュ構成(上流側から下流側に向かってFS、KD、FS,SR、KD、SR、FS、SR、KD、SR、FSの順で配置された構成)を有するものとなっている。なお、フルフライトスクリュFSは樹脂組成物の原料を上流側から下流側に搬送することを主目的に利用され、ニーディングディスクKDは原料の混練(溶融混練)のために利用され、シールリングSRは原料の流れを堰き止めてシリンダ内の原料の圧力を高めるために利用されている。
【0025】
ここで、スクリュ2の構成に関して、シールリングSR、ニーディングディスクKD、シールリングSRの順で配置されているスクリュ構成の部分における各シールリングが配置されている部分の位置関係を、シリンダ1のDA供給口11A及び脱揮口12Aの位置に基づいて説明すると、シールリングSRはDA供給口11Aが設けられた位置よりも上流側(DA供給口11Aの上流側の端部(上流端)よりも上流側)の位置に配置されている。また、シールリングSRはDA供給口11Aの設けられた位置よりも下流側(DA供給口11Aの下流側の端部(下流端)よりも下流側)の位置であって、かつ、DA供給口11Aと脱揮口12Aの間の位置に配置されている。すなわち、シリンダ1のDA供給口11A及び脱揮口12Aが並んで設けられている構造部分に着目して、シールリングSRの配置の位置関係を検討すると、スクリュ2は、シリンダ1のDA供給口11Aが設けられた位置よりも上流側にシールリングSRが配置(かかるシリンダ1内のシールリングSRが配置されているDA供給口11Aより上流側の部位を「供給口上流部」という)され、かつ、DA供給口11A及び脱揮口12Aの間(DA供給口11Aよりも下流)にシールリングSRが配置(かかるシリンダ1内のシールリングSRが配置されているDA供給口11Aより下流側の部位を「供給口下流部」という)されたスクリュ構成を有するものとなっている。一方、前記供給口上流部(基準となる脱揮助剤供給口よりも上流側のシールリングが配置される部位)と前記供給口下流部(基準となる脱揮助剤供給口よりも下流側のシールリングが配置される部位)の間の領域Aには、DA供給口11A(前記供給口上流部と前記供給口下流部の位置の基準となる開口部)以外に、かかる領域Aとシリンダ1の外部とを連通するような開口部が設けられていない(なお、ここにいうDA供給口11Aを基準とする「領域A」は、シールリングSRの下流側の端面を含む平面であってシリンダの軸と垂直な面(ニーディングディスクKDの上流端を含む平面であってシリンダの軸と垂直な面)と、シールリングSRの上流側の端面を含む平面であってシリンダの軸と垂直な面(ニーディングディスクKDの下流端を含む平面であってシリンダの軸と垂直な面)とに挟まれたシリンダ内の領域を意味する。このように、本明細書において「シールリングが配置されている前記供給口上流部と前記供給口下流部の間の前記シリンダ内の領域」は、その供給口上流部に配置されているシールリング(上流側のシールリング)の下流側の端面を含む平面であってシリンダの軸と垂直な面と、供給口下流部に配置されているシールリングの上流側の端面を含む平面であってシリンダの軸と垂直な方向の面とに挟まれたシリンダ内の領域を意味する)。また、シリンダ1のDA供給口11B及び脱揮口12Bが並んで設けられた構造部分に基づいて、シールリングSR3~4の配置位置に着目すると、本実施形態においては、DA供給口11Bが設けられた位置よりも上流側の供給口上流部(DA供給口11Bよりも上流側の部位)と、DA供給口11B及び脱揮口12Bの間であってDA供給口11Bよりも下流の供給口下流部(DA供給口11Bよりも下流側の部位)とに、シールリングSRとシールリングSRがそれぞれ配置されたスクリュ構成を有するものとなっている。また、かかるシールリングSR3~4に着目した場合のシリンダ1内の前記供給口上流部と前記供給口下流部の間の領域Aにも、DA供給口11B(前記供給口上流部と前記供給口下流部の位置の基準となる開口部)以外の開口部は設けられていない。そのため、図1に示す実施形態の混練押出機において、領域A及び領域Aは、脱揮助剤DA(好ましくは水)を添加(供給)して混練するゾーンとなる。このように、脱揮助剤DAを添加(供給)して混練するゾーンとなる、シールリングが配置されている前記供給口上流部と前記供給口下流部の間の前記シリンダ内の領域(A、A)を、以下、便宜上、場合により単に「DA添加混練領域」と称する。
【0026】
また、スクリュ2の直径Dは、特に制限されるものではないが、シリンダ1の直径の80~99.5%であることが好ましい。このようなシリンダ1の直径に対するスクリュ2の直径Dの比率が前記下限以上の場合には下限未満の場合と比較して樹脂組成物をより十分に混練することが可能となる傾向にあり、他方、前記上限以下の場合には上限を超えた場合と比較して、構成上、スクリュとシリンダの干渉がより生じ難いものとなるため(基本的に干渉が生じないため)、より安定的な処理を行うことが可能となる傾向にある。
【0027】
このようなスクリュ2としては、特に制限されるものではないが、スクリュの長さ(全長)をLとし、スクリュの直径(外径)をDとした場合に、スクリュのL/Dの値が20~105のものが好ましく、25~100のものがより好ましい。このようなL/Dの値が前記下限以上の場合には下限未満の場合と比較して、樹脂組成物をより十分に混練することが可能となる傾向にあり、他方、前記上限以下の場合には上限を超えた場合と比較して、混練トルクの過度な上昇を抑制することができ、より安定的な処理を行うことが可能となる傾向にある。なお、ここにいう「スクリュの長さ」は、スクリュエレメントが配置されている部分の総長、すなわち、複数のエレメントを組み合わせて形成されるスクリュとして機能する部位の搬送方向の全長をいう。
【0028】
また、スクリュ2において、シールリングSRの下流端とシールリングSRの上流端とに挟まれた範囲のスクリュの長さ(シールリングSRの下流端及びSRの上流端の間の長さ)Lと、スクリュの直径Dとの比(L/D)が2以上(より好ましくは5~50)であることが好ましい。また、シールリングSRの下流端とシールリングSRの上流端とに挟まれた範囲のスクリュの長さL(シールリングSRの下流端及びSRの上流端の間の長さ)と、スクリュの直径Dとの比(L/D)も、2以上(より好ましくは2~50)とすることが好ましい。このように、1つのDA供給口(11A又は11B)を基準として、その供給口上流部にあるシールリング(SR又はSR)の下流端と、その供給口下流部にあるシールリング(SR又はSR)の上流端とに挟まれた範囲のスクリュの長さ(L又はL)とスクリュの直径Dとの比(L/D又はL/D)は2以上(より好ましくは2~50)とすることが好ましい。このようなL/D又はL/Dの値が前記下限未満では脱揮助剤と樹脂組成物の混練が不十分となる傾向にある。なお、L/Dの値が前記上限以下の場合には上限を超えた場合と比較して混練トルクの過度な上昇をより抑制でき、より安定的な処理を行うことが可能となる傾向にある。
【0029】
さらに、このようなスクリュ2において、ニーディングディスクKDが配置されている領域(原料が最初に混練される領域となる)の長さ(搬送方向の距離)は、原料の種類等に応じて適宜設計すればよく、特に制限されるものではないが、領域A(DA添加混練領域)に溶融された状態の原料をより確実に供給することが可能となるように、スクリュの直径Dの1~30倍(より好ましくは2~25倍)の長さとすることが好ましい。
【0030】
なお、上記実施形態の混練押出機においては、脱揮口12Aの部位を通過して下流側に搬送される原料(溶融混練物)が脱揮口12Aよりも下流側に配置されているシールリングSRにより、堰き止められて搬送速度が遅くなるが、脱揮口12AとシールリングSRの位置関係、原料の供給速度、スクリュの回転速度等によっては、脱揮口12Aからシリンダ1の外部への流出してしまうといった問題が生じ得るため、脱揮口12Aの下流端からシールリングSRの上流端までの距離は、実際に採用する運転条件等との関係で、混練機の運転中に脱揮口12Aから溶融混練物が流出しないような長さに適宜設定することが望ましく、脱揮口と脱揮口よりも下流側のシールリングとの間の搬送方向の距離(例えば、脱揮口12Aの下流端の位置とシールリングSRの上流端の位置の間の距離)がスクリュの直径Dの1~30倍(より好ましくは3~25倍)であることが好ましい。
【0031】
また、スクリュ2において、シールリングSRの下流端とシールリングSRの上流端の間の長さ(搬送方向の距離)は、揮発成分の除去速度の観点から、スクリュの直径Dの2~30倍(より好ましくは4~25倍)であることが好ましい。
【0032】
さらに、スクリュ2において、シールリングSRの上流端の位置と、原料供給口の下流端の位置との間の長さ(搬送方向の距離)Lは、スクリュの直径Dの3~30倍(より好ましくは5~25倍)であることが好ましい。
【0033】
なお、ホッパ3やダイス等の他の構成は特に制限されず、公知のものを適宜利用でき、目的に応じた機能を発揮できるように適宜配置すればよい。
【0034】
以上、説明したような図1に示す実施形態の混練押出機は、シリンダ1として、2つの脱揮助剤供給口(11A、11B)と、2つの揮発成分排出用の脱揮口(12A、12B)とを開口部として有し、かつ、脱揮助剤供給口と脱揮口が上流側から順に間隔を空けて並んで設けられている構造部分を2つ有するシリンダを利用し、かつ、
スクリュ1として、前記各構造部分中の脱揮助剤供給口および脱揮口の位置をそれぞれ基準としてスクリュ構成を考慮した場合に、前記脱揮助剤供給口が設けられた位置よりも上流側に位置する前記シリンダ内の供給口上流部と、前記脱揮助剤供給口及び前記脱揮口の間に位置する供給口下流部とにそれぞれシールリングが配置されたスクリュ構成を2つ有するものを利用している。
【0035】
このようなシリンダ1を用いるとともに、シールリングSR1~4の配置位置を上述のような位置としたスクリュ2を用い、かつ、DA供給口により脱揮助剤の導入が可能な領域であってかつシールリングSRで挟まれたシリンダ1内の領域(DA添加混練領域:領域A及びA)のうちの少なくとも1箇所の領域(領域A及び/又はA)における原料の充満率を70%(体積%)以上することで、その領域において樹脂組成物の原料と脱揮助剤DAとを高圧条件下で混練することが可能となり、混練時に脱揮助剤DAが前記領域内で気体状態(揮発した状態)となってしまうことを高度に抑制することが可能となるため、液体状態が十分に維持された脱揮助剤DAと樹脂組成物の原料とを前記領域内において混練することが可能となって、前記領域内での混練時に原料中に脱揮助剤DAをより十分に分散させてより均一に行き渡らせることでき、前記供給口下流部に配置されたシールリング(下流側シーリング)よりも更に下流の領域にある脱揮口において、揮発性有機化合物VOCをより高い水準でより効率よく脱揮させることが可能となる。
【0036】
〈搬送混練工程〉
第一実施形態においては、上述のような図1に示す混練押出機を準備した後、かかる混練押出機を用いて、前記搬送混練工程を施す。
【0037】
図1に示す実施形態の混練押出機を用い、これを運転して前記搬送混練工程を施す場合、先ず、シリンダ1を設定温度に加熱しながら、ホッパ3を介して樹脂組成物の原料をシリンダ内に投入すると、その投入された原料がフルフライトスクリュSFにより図1に示す搬送方向に向かって搬送され、ニーディングディスクKDが配置されている領域に到達し、ニーディングディスクKDが配置されている領域において、原料の最初の溶融混練が行われる。次いで、溶融混練された原料(溶融混練物)はニーディングディスクKDに隣接した下流側のフルフライトスクリュSFによりシールリングSRが配置されている部位(DA供給口11Aの供給口上流部)に運ばれた後、シールリングSRの配置されている部位を通過し、領域A(ニーディングディスクKDが配置されている領域:第一のDA添加混練領域)内に搬送されて、ニーディングディスクKDにより混練される。このような領域Aでの混練に際しては、DA供給口11Aより脱揮助剤DA(好ましくは水)を添加して、溶融した原料と液状の脱揮助剤DAとを混練する。そして、液状の脱揮助剤DAが添加混練された溶融混練物(溶融した原料)が領域Aの下流側のシールリングSRの配置されている部位(供給口下流部)を通過すると、シールリングSRに隣接して、その下流側に配置されたフルフライトスクリュSFにより、さらに下流側に向かってその溶融した原料が搬送されるが、この際に、脱揮口12Aに接続された真空ポンプ(図示省略)の運転により、脱揮口(ベント口)12Aの近傍の領域(ベント部)の圧力(溶融混練物の内圧)を低圧(好ましくは1~100kPa程度)とすることができ、これにより、脱揮口12Aの近傍に存在する溶融混練物中から脱揮助剤DAを気化させるとともに揮発性有機化合物を揮発させることも可能となり、それらの揮発した成分を脱揮口12Aから排出することができる。なお、脱揮助剤の利用により、ベント部において原料中の脱揮助剤が気化して膨張し、原料の表面積が拡大されるため、その原料の高温の表面から内部の揮発成分が揮発して除去される作用が向上し、脱揮する際に、より効率よく揮発性有機化合物を揮発させることができる。そして、このように脱揮した後の原料は、続いてシールリングSRが配置されている領域に搬送された後、シールリングSRの配置されている領域を通過し、領域A(ニーディングディスクKDが配置されている領域:第二のDA添加混練領域)内に運搬され、ニーディングディスクKDにより混練される。なお、領域Aにおいては、DA供給口11Bより脱揮助剤DA(好ましくは水)を添加し、溶融した原料と脱揮助剤DAとを混練する。その後、脱揮助剤DAを添加された溶融混練物(溶融した原料)が領域Aの下流側のシールリングSRの配置されている領域を通過すると、シールリングSRに隣接して、その下流側に配置されたフルフライトスクリュSFにより、さらに下流側に向かって搬送される。そして、このような搬送により、脱揮口12Bの配置されている位置を通過する際に、脱揮口12Bに接続された真空ポンプ(図示省略)の運転により、少なくとも脱揮口12Bの近傍の領域の圧力を低圧とすることができ、これにより脱揮口12Bの近傍に存在する原料から脱揮助剤と揮発性有機化合物を揮発させることが可能となり、これを脱揮口12Bから排出させることができる。このようにして、揮発成分(揮発性有機化合物を含む)を脱揮した後、脱揮後の溶融混練物はそのままシリンダの出口まで搬送される。このようにしてシリンダ内において上流側から下流側に原料を搬送しつつ混練した後においては、原料をシリンダの出口まで搬送し、その出口部分に接続されたダイス(図示省略)から、これを外部に押し出して、樹脂組成物を得ることができる。このように、前記混練押出機を用い、これを運転することで、スクリュ2によりシリンダ1内に供給された樹脂組成物の原料を上流側から下流側に搬送しつつ混練して樹脂組成物を得ることができる。
【0038】
このような工程において、シリンダ内に供給する前記樹脂組成物の原料としては特に制限されず、少なくとも1種の樹脂を含むものであればよい。このような樹脂としては、熱可塑性樹脂であることが好ましく、例えば、ポリオレフィン系樹脂(ポリエチレン、ポリプロピレン等)、ポリアミド系樹脂、ポリエステル系樹脂、ポリカーボネート系樹脂、アクリル系樹脂、スチレン系樹脂、塩化ビニル系樹脂、ポリフェニレンスルフィド、ポリフェニレンオキシド、熱可塑性エラストマ等が挙げられる。なお、樹脂組成物中に含有させる樹脂は1種を単独で用いてもよく、あるいは、2種以上を組み合わせてもよい。また、このような樹脂組成物の原料としては、樹脂組成物を再利用するために、廃棄される製品から取り出した樹脂組成物を利用してもよい。また、前記樹脂組成物において樹脂以外の成分は特に制限されず、各種フィラー、顔料等、目的とする樹脂組成物の設計に応じて公知の成分を適宜利用できる。なお、前記原料に関して、フィラー等の成分を含まない単独の樹脂からなる形態のものを樹脂組成物として利用してもよい(フィラー等を含まない単独の樹脂であっても、不純物としてのモノマー等の揮発性有機化合物(揮発性の低分子量有機物)を含む樹脂の組成物と認識できるためである)。更に、このような樹脂組成物の原料の形態は特に制限されないが、溶融混練をさせることがより容易となることから、ペレット状、パウダー状(粉体状)のものを利用することが好ましい。
【0039】
また、脱揮助剤DAとしては、特に制限されるものではなく、水、アルコール、低級脂肪族炭化水素等の公知の成分を適宜利用できるが、作業安全性がより高度なものとなるといった観点からは、水がより好ましい。また、脱揮助剤DAとして水を用いる場合、その水には添加剤が含まれていてもよい。
【0040】
また、前記搬送混練工程においては、前記シールリングが配置されている前記供給口上流部と前記供給口下流部の間の前記シリンダ内の領域(DA添加混練領域)のうちの少なくとも1箇所の領域において(DA添加混練領域が複数存在する場合にはそのうちの少なくとも1箇所の領域において、他方、DA添加混練領域がシリンダ内に1箇所にのみ存在しており複数箇所に存在しない場合には、その1箇所のDA添加混練領域において)、前記原料の充満率を70%以上(より好ましくは80%以上、更に好ましくは85~100%)とする必要がある。このような原料の充満率が前記下限未満では、揮発性有機化合物の残存量を十分に低減させることができず、所望の樹脂組成物を得ることができなくなる。なお、本発明において「原料の充満率」としては、混練シミュレーションソフトウエア(日本製鋼所製、商品名:TEX-FAN)を用いて解析することで求められる、前記DA添加混練領域の全容積(スクリュの体積を除いた空間部分の全容積)に対して原料が充満している割合(充満率:体積%)の値を採用する。また、このような充満率は、混練押出機の設計に応じて運転(原料の投入速度等を含む)を制御することで調整することが可能である。なお、本発明においては、シリンダ内のDA添加混練領域の少なくとも1箇所において前記原料の充満率が70%以上となればよいが、より高い水準で揮発性有機化合物の残留物を除去(低減)することが可能となることから、シリンダ内に存在する全てのDA添加混練領域(図1の実施形態では領域A及びAの全て)において、前記原料の充満率を70%以上とすることがより好ましい。
【0041】
さらに、前記搬送混練工程においては、前記DA添加混練領域であってかつ前記原料の充満率が70%以上となっている領域において、その領域に流入してくる樹脂組成物の原料(溶融混練物)の該領域での滞留時間が10秒以上(より好ましくは20秒以上、更に好ましくは30秒以上600秒以下)となるように、混練押出機の設計に応じて、混練押出機の運転(原料の投入量等を含む)を制御することが好ましい。前記DA添加混練領域における原料の滞留時間を前記範囲とすることで、樹脂組成物の熱分解を抑制しながらより効率的にVOCを除去することが可能となる。なお、このような滞留時間(前記領域に流入してから流出するまでの間の前記原料の滞留時間)は、混練シミュレーションソフトウエア(日本製鋼所製、商品名:TEX-FAN)を用いて解析することで求められる値を採用する。
【0042】
また、前記搬送混練工程においては、前記DA添加混練領域におけるシリンダ内における原料(溶融樹脂組成物)の内圧を、前記DA添加混練領域の温度における脱揮助剤の蒸気圧よりも高い圧力とすることが好ましく、例えば、脱揮助剤が水でありかつ加熱温度が170℃である場合には、水の飽和蒸気圧が0.792MPaであることから、これよりも高い圧力とすることが好ましい。このように、前記DA添加混練領域の樹脂組成物の内圧を脱揮助剤の蒸気圧よりも高い圧力として脱揮助剤を供給(注入)することで、脱揮助剤の揮発を十分に抑制して液体状態を保持し易くなるため、十分な量の液状の脱揮助剤を樹脂組成物内に分散させて混練することが可能となる。
【0043】
また、前記DA添加混練領域に存在する原料(溶融樹脂組成物)に添加する脱気助剤の量は、原料の種類等に応じて適宜調整すればよく、特に制限されるものではないが、混練トルクの過度な上昇を抑制しながらより効率的にVOC除去することが可能となるといった観点から、前記DA添加混練領域中の原料100質量部に対して0.01~20質量部(より好ましくは0.01~15質量部、更に好ましくは0.01~0.5質量部、特に好ましくは0.02~0.3質量部)とすることが好ましい。
【0044】
また、前記搬送混練工程において、シリンダ内への樹脂組成物の原料の供給速度は、特に制限されるものではないが、1~1000kg/h(より好ましくは2~800kg/h)とすることが好ましい。このような原料の供給速度が前記下限以上の場合には下限未満の場合と比較して処理速度の向上の点でより高い効果が得られる傾向にあり、他方、前記上限以下の場合には上限を超えた場合と比較してVOCの除去率の向上の点でより高い効果が得られる傾向にある。
【0045】
このように、図1に示す実施形態の混練押出機を用い、スクリュ2によりシリンダ1内に供給された樹脂組成物の原料を上流側から下流側に搬送しつつ混練する工程において、前記DA添加混練領域(シールリングSRが配置されている前記供給口上流部と前記供給口下流部の間のシリンダ内の領域:図1中の領域A、領域A)のうちの少なくとも一方又は双方の前記原料の充満率を70%以上とし、かつ、脱揮助剤供給口(11A、11B)からシリンダ1内の前記原料に対して脱揮助剤DAを供給しつつ、脱揮口(12A、12B)から前記原料中に含まれていた揮発成分を排出させることで、揮発性有機化合物が十分に高い水準で脱揮された樹脂組成物を得ることができる。
【0046】
以上、図1に基づいて、本発明の樹脂組成物の製造方法の好適な実施形態について説明したが、本発明の樹脂組成物の製造方法は上記実施形態に限定されるものではない。以下、図2及び図3に基づいて、本発明の樹脂組成物の製造方法の好適な他の実施形態について説明する。
【0047】
(第二実施形態)
第二実施形態においては、混練押出機準備工程において、図2に示すような形態の混練押出機を準備する以外は、基本的に、前記第一実施形態と同様の工程を採用することができ、これにより所望の樹脂組成物を得ることが可能である。
【0048】
図2に示す実施形態の混練押出機は、シールリングSRの上流端の位置と原料供給口の下流端の位置との間の長さ(搬送方向の距離)L、及び、2つのDA供給口11A及び11B、2つの脱揮口(ベント口)12A及び12Bの配置の位置関係、及び、領域A及びA(DA添加混練領域)におけるスクリュ構成をニーディングディスクKDとフライトスクリュとを組み合わせた構成としている以外は、基本的に、図1に示す実施形態の混練押出機と同様のものである。なお、図2に示す実施形態において、スクリュ構成は、上流側から下流側に向かってFS、KD、FS,SR、KD、FS、KD、SR、FS、SR、KD、FS、KD、SR、FSの順で配置された構成である。
【0049】
ここで、図2に示す実施形態の混練押出機においては、図1に示す実施形態と比較してシールリングSRの上流端の位置と原料供給口の下流端の位置との間の長さがより長くなっているが、シールリングSRの上流端の位置と、原料供給口の下流端の位置との間の長さ(搬送方向の距離)Lは、前述の範囲と同様の範囲(スクリュの直径Dの3~30倍(より好ましくは5~25倍)の範囲)に入るように構成させており、これにより、領域Aよりも上流側の領域において、前記原料を十分に溶融した溶融混練物を得ることができる。なお、シールリングSRの上流端と原料供給口の下流端との間の長さをより長くすることで、沸点が低いVOCを予め除去することが可能となる点で利点がある。
【0050】
また、図2に示す実施形態の混練押出機においては、第一実施形態と比較して、2つのDA供給口11A及び11B、2つの脱揮口(ベント口)12A及び12Bの配置の位置関係が変更されているが、これは、図2に示す実施形態において、図1に示す実施形態と比較してシールリングSRの上流端と原料供給口の下流端との間の長さがより長くなっていることに起因するものである。このように、脱揮助剤DAの供給を行うことが可能となる位置に2つのDA供給口11A及び11Bを配置し、かつ、揮発成分の排気(除去)を行うことが可能となる位置に2つの脱揮口(ベント口)12A及び12Bを配置するように適宜設計したものを適宜利用することができる(用いる各種構成物に応じて、所望の機能が得られるように、DA供給口11A及び11Bや脱揮口12A及び12Bの配置する位置は適宜変更してもよい)。
【0051】
また、図2に示す実施形態の混練押出機においては、2箇所のDA添加混練領域(領域A及びA)において、それぞれスクリュ構成をニーディングディスクKDとフライトスクリュFSとを組み合わせた構成としている。なお、DA添加混練領域のL/Dの大きさが同じ2つの混練機を準備した場合において、該領域のスクリュにニーディングディスクKDとフライトスクリュFSを組み合わせた場合と、該領域のスクリュをニーディングディスクKDのみで構成させた場合とを比較すると、フライトスクリュFSを組み合わせた場合には、DA添加混練領域での原料の滞留時間が短くなり、DA添加混練領域における原料の充満率が低下する傾向にあるが、脱揮助剤を広範囲に拡散させることが可能となる傾向にある。そのため、混練押出機の運転中に、DA添加混練領域における原料の充満率を70%以上とするといった条件を満たすことが可能となるような範囲で、DA添加混練領域におけるスクリュ構成中に適切な範囲でフライトスクリュFSを用いる構成としてもよい。なお、この場合においても、原料の滞留時間等の条件は、図1に示す実施形態において説明した好適な条件を満たすようにすることが好ましい。
【0052】
このような図2に示す実施形態の混練押出機を用いた場合においても、前記搬送混練工程において採用する条件(その好適な条件を含む)は、基本的に、前記第一実施形態において説明したものと同様の条件を採用でき、図2に示す実施形態の混練押出機を用い、スクリュ2によりシリンダ1内に供給された樹脂組成物の原料を上流側から下流側に搬送しつつ混練する工程において、前記DA添加混練領域のうちの少なくとも一方又は双方の前記原料の充満率を70%以上とし、かつ、脱揮助剤供給口(11A、11B)からシリンダ1内の前記原料に対して脱揮助剤DAを供給しつつ、脱揮口(12A、12B)から前記原料中に含まれていた揮発成分を排出させることで、揮発性有機化合物が十分に高い水準で脱揮された樹脂組成物を得ることができる。
【0053】
(第三実施形態)
第三実施形態においては、混練押出機準備工程において、図3に示すような形態の混練押出機を準備する以外は、基本的に、前記第一実施形態と同様の工程を採用することができ、これにより所望の樹脂組成物を得ることが可能である。
【0054】
図3に示す実施形態の混練押出機は、脱揮助剤供給口11Bを設けていない以外は、基本的に、図2に示す実施形態の混練押出機と同様のものである。なお、図3に示す実施形態の混練押出機は、脱揮助剤供給口11Bを設けていないため、領域Aで脱揮助剤DAが供給されることはないが、脱揮口12Aから揮発成分を脱揮させた原料(溶融混練物)を領域Aに流入させて、領域Aにおいて、原料を高温かつ高圧の条件で混練できるため、かかる領域Aを通過後の原料中から残留していた揮発成分を脱揮口12Bから除去することができる。
【0055】
なお、このような図3に示す実施形態の混練押出機を用いた場合においても、前記搬送混練工程において採用する条件(その好適な条件を含む)は、基本的に、前記第一実施形態において説明したものと同様の条件を採用でき、図3に示す実施形態の混練押出機を用い、スクリュ2によりシリンダ1内に供給された樹脂組成物の原料を上流側から下流側に搬送しつつ混練する工程において、前記DA添加混練領域(領域A)の前記原料の充満率を70%以上とし、かつ、脱揮助剤供給口(11A)からシリンダ1内の前記原料に対して脱揮助剤DAを供給しつつ、脱揮口(12A、12B)から前記原料中に含まれていた揮発成分を排出させることで、揮発性有機化合物が十分に高い水準で脱揮された樹脂組成物を得ることができる。
【0056】
以上、図1~3に基づいて、本発明の樹脂組成物の製造方法の好適な実施形態について説明したが、本発明の樹脂組成物の製造方法は上記実施形態に限定されるものではない。例えば、上記実施形態の樹脂組成物の製造方法においてはいずれも脱揮口が2つ設けられた形態の混練押出機を用いているが、本発明において、混練押出機は、
シリンダと、前記シリンダ内に配置されたスクリュとを備え、
前記シリンダが、少なくとも1つの脱揮助剤供給口と少なくとも1つの揮発成分排出用の脱揮口とを開口部として有し、かつ、前記脱揮助剤供給口と前記脱揮口が上流側から順に間隔を空けて並んで設けられている構造部分を少なくとも1つ有するものであり、
前記スクリュが、少なくとも1つの前記構造部分の前記脱揮助剤供給口が設けられた位置よりも上流側に位置する前記シリンダ内の供給口上流部と、該構造部分の前記脱揮助剤供給口及び前記脱揮口の間に位置する供給口下流部とにそれぞれシールリングが配置されたスクリュ構成を少なくとも1つ有するものであり、かつ、
前記供給口上流部と前記供給口下流部の間の領域に、前記供給口上流部と前記供給口下流部の位置の基準となる前記脱揮助剤供給口以外に前記領域と前記シリンダの外部とを連通する開口部が設けられていないもの;
とすればよく、脱揮口の数は2つでなくてもよい。すなわち、脱揮口は少なくとも1つ設けられていればよく、原料の種類等に応じて、その数を1つとしても、あるいは、複数(2以上)としてもよい。同様に脱揮助剤供給口も少なくとも1つ設けられていればよく、その数は特に制限されず、1つとしても、あるいは、複数(2以上)としてもよい。
【0057】
また、本発明に利用するスクリュは、前記脱揮助剤供給口と前記脱揮口が上流側から順に間隔を空けて並んで設けられている構造部分の少なくとも1つの前記脱揮助剤供給口を基準とした供給口上流部と供給口下流部とにそれぞれシールリングが配置されたスクリュ構成を少なくとも1つ有するものであればよく、そのようなスクリュ構成の部分の数は特に制限されるものではないが、その数を1つとしてもよく(図3に示す形態の混練押出機においては1つ)、あるいは、2つ以上(なお、図1及び図2に示す形態の混練押出機においては2つ)としてもよい。
【0058】
[本発明の樹脂組成物の製造装置の好適な実施形態について]
本発明の樹脂組成物の製造装置は、前述の通りであり、前記本発明の樹脂組成物の製造方法に好適に利用可能なものである。すなわち、本発明の樹脂組成物の製造装置は、前記本発明の樹脂組成物の製造方法において、混練押出機準備工程において準備する混練押出機として好適に利用可能なものである。
【0059】
ここで、本発明の樹脂組成物の製造装置は、搬送混練工程において、前記シールリングが配置されている前記供給口上流部と前記供給口下流部の間の前記シリンダ内の領域のうちの少なくとも1箇所の領域における前記原料の充満率を70%以上としながら、前記脱揮助剤供給口から前記シリンダ内の前記原料に対して脱揮助剤を供給し、かつ、前記脱揮口から前記原料中に含まれていた揮発成分を排出するように制御するための制御装置を備えるものであり、かかる制御装置により、シールリングが配置されている前記供給口上流部と前記供給口下流部の間の前記シリンダ内の領域のうちの少なくとも1箇所の領域における前記原料の充満率等を制御している。
【0060】
以下、本発明の樹脂組成物の製造装置の好適な一実施形態を図4を参照しながら説明する。
【0061】
図4に示す実施形態の樹脂組成物の製造装置は、図1に示す実施形態の混練押出機の好適な一形態である。また、図4に示す形態の装置は、図1と同様に二軸混練押出機であり、図4では、図1と同様に、便宜上、一方のシャフト(軸)側のスクリュのみを描いている。
【0062】
図4に示す形態の樹脂組成物の製造装置は、シリンダ1と;シリンダ1内に配置されたスクリュ2と;シリンダ1の原料供給のための開口部に設置されたホッパ3と;ホッパ3を介してシリンダ1内に原料を供給するための原料供給装置としてのフィーダー30(本実施形態では、原料供給用のスクリュ30aと、スクリュ30aを駆動させるためのモータ30bとを備えるフィーダーとしている)と;スクリュ2を駆動させるためのスクリュ駆動装置(スクリュ2に接続された回転駆動機構)としてのモータ4と;シリンダ1内に脱揮助剤DAを供給するためのDA供給装置5(脱揮助剤DAの供給装置)と;脱揮口から脱揮成分を排出するための減圧装置(真空ポンプ)6と;シリンダ1の温度を調節するための温度調節装置7と;シリンダの温度を測定するための温度計8と;減圧装置6とシリンダの脱揮口(12A又は12B)とを連結する配管内の圧力を測定するための圧力計(圧力センサ)9と;フィーダー30が備えるモータ30b、スクリュ2を駆動させるためのスクリュ駆動装置としてのモータ4、DA供給装置5、減圧装置(真空ポンプ)6、温度調節装置7、温度計8及び圧力計9と電気的に接続された制御装置(コントローラ)10とを備える二軸混練押出機からなるものである。なお、このような二軸混練押出機は、前記スクリュにより前記シリンダ内に供給された樹脂組成物の原料を上流側から下流側に搬送しつつ混練することで樹脂組成物を製造するために用いられる装置である。
【0063】
このような図4に示す形態の樹脂組成物の製造装置は、シリンダ1と、シリンダ1内に配置されたスクリュ2とを備える二軸混練押出機(スクリュ式混練脱揮押出機)であり、そのシリンダ1及びスクリュ2については、シリンダ1の開口部の位置や種類、スクリュ2の構成等を含めて、全ての条件を図1に示す形態において説明したものと同様の条件を採用している(例えば、2つのDA供給口11A及び11B、2つの脱揮口(ベント口)12A及び12B、並びに、原料供給口13等の開口部、領域A及びAの条件、スクリュ構成等のスクリュの条件等は前述の図1に示す形態のものと同様である)。そのため、シリンダ1及びスクリュ2についての説明(符号の説明を含む)は省略する。なお、ホッパ3についても、図1に示す形態において説明したものと同様のものを利用できる。
【0064】
図4に示すフィーダー30は、ホッパ3を介してシリンダ1内に原料を供給するための原料供給装置として利用されるものであり、原料供給用のスクリュ30a(原料の供給速度を調整するためのスクリュ)と、スクリュ30aを駆動させるためのモータ30bとを備えるものである。なお、図4に示す実施形態の混練押出機においては、このようなフィーダー(原料供給装置)のモータ30bの運転の制御(モータ30bの回転数の制御)により、シリンダ内への原料の供給速度を適宜制御することを可能としている。このようなフィーダーとしては、特に制限されず、公知のものを適宜利用できる。なお、このようなフィーダー30としては、市販のものを利用してもよい。また、図4に示す形態の混練押出機においては、フィーダー30のモータ30bが制御装置10に電気的に接続されており、これにより、制御装置10によるモータ30bの運転の制御を可能としている。また、このようなフィーダー30は、質量計を備えるものとしてもよい。このように質量計を利用する場合には、質量データに基づいてフィーダー30内の原料の量を管理でき、フィーダー30内の原料の量や、ホッパ3を介してシリンダ内に供給する原料の供給速度等をより正確に制御することが可能となる。そのため、質量計を備える形式のフィーダー30を利用する場合には、フィーダー30内の原料の量の管理のために、制御装置10に前記質量計で測定した質量データを入力して、制御装置10により、フィーダー内の原料の量を併せて管理してもよい。
【0065】
また、モータ4は、スクリュ2を駆動させるためのスクリュ駆動装置(回転駆動機構)として機能するものであり、スクリュ2に接続されている。このようなスクリュ駆動装置としてのモータ4としては、特に制限されず、混練押出機の分野において利用されている公知のものを適宜利用できる。また、図4に示す形態においては、モータ4が制御装置10に電気的に接続されているが、これにより、制御装置10によるモータ4の運転の制御(モータの回転数の制御)を可能としている。
【0066】
さらに、2つのDA供給装置5は、それぞれDA供給口(11A又は11B)から脱揮助剤DAをシリンダ1内に供給するために利用されるものである。そのため、各DA供給装置5は、それぞれDA供給口(11A又は11B)を介してシリンダ1内に脱揮助剤DAを供給可能なようにシリンダに接続されている。このようなDA供給装置5としては、特に制限されるものではないが、例えば、脱揮助剤DAが水である場合、貯水用の容器と、かかる容器に接続された注水用のギアポンプを備えたもの(注水装置)を利用してもよい。また、DA供給装置5としては、公知のものを適宜利用できる。例えば、前述のようなギアポンプを利用する場合、そのギアポンプとして公知のもの(市販品等であってもよい)を適宜利用できる。なお、ギアポンプを利用する形態のDA供給装置5を利用する場合、そのギアを回転させるモータの駆動(運転)を制御することで注水量を所望の量に制御可能である。また、図4に示す形態の混練押出機においては、DA供給装置5が制御装置10に電気的に接続されているが、これにより、制御装置10によるDA供給装置5の運転の制御(例えばギアポンプのモータの回転数の制御)が可能となるとともに、DA供給装置5の運転状況に関するデータ(制御データ)の制御装置10への入力を可能としている。なお、このような運転状況に関するデータは容器内の脱揮助剤のDAの量の管理のために好適に利用可能である。
【0067】
また、2つの減圧装置6はそれぞれ、脱揮口(12A又は12B)の近傍の領域(ベント部)の圧力を低圧にするために利用するものである。このような減圧装置6は特に制限されるものではなく、いわゆるベント式押出機の分野において利用されている公知のもの(公知の真空ポンプ等)を適宜利用できる。ここで、図4に示す形態においては、減圧装置6が制御装置10に電気的に接続されているが、これにより、制御装置10により減圧装置6(真空ポンプ等)の運転の制御(例えば、真空ポンプの駆動用モータの回転等の制御)を可能としている。
【0068】
また、温度調節装置7は、それぞれの配置位置において、シリンダを加熱又は冷却するために利用するものである。このような温度調節装置7は、シリンダを加熱等することが可能となるように、シリンダ1の外側に配置されている。このような温度調節装置7としては、特に制限されず、押出機の分野において利用されている公知の加熱・冷却手段(例えば、ヒータからなるもの(ヒータの運転時には加熱をし、運転停止時には自然放冷させることで、加熱・冷却手段として利用してもよい)、ヒータ等の加熱手段と放熱フィン等の冷却手段とからなるもの、熱媒体(加熱液体又は冷却液体)を循環させて所望の箇所を加熱又は冷却できるように構成したもの、等)を適宜利用できる。
【0069】
さらに、温度計8は、シリンダの温度を測定するために利用されるものである。このような温度計8としては特に制限されず、公知の温度計測機器(市販品であってもよい)を適宜利用できる。なお、このような温度計8は制御装置10に接続されており、これにより、温度計により求められた温度データの制御装置10への入力を可能としている。
【0070】
また、圧力計(圧力センサ)9は、脱揮口(12A又は12B)と減圧装置6(真空ポンプ)を連結する配管内の圧力の状態を測定するために利用している。このような圧力計9としては、特に制限されず、公知のものを適宜利用することができる。
【0071】
制御装置10は、フィーダー30(特にフィーダー30中のモータ30b)、モータ4、DA供給装置5、減圧装置(真空ポンプ)6、温度調節装置7、温度計8及びに電気的に接続されている。このような制御装置10は、樹脂組成物の製造時に原料を上流側から下流側に搬送しつつ混練する際に、前記DA添加混練領域(シールリングSRが配置されている前記供給口上流部と前記供給口下流部の間のシリンダ内の領域:領域A、領域A)のうちの少なくとも一方又は双方の前記原料の充満率を70%以上としながら、前記脱揮助剤供給口からシリンダ1内の前記原料に対して脱揮助剤DAを供給し、かつ、前記脱揮口から前記原料中に含まれていた揮発成分を排出するように、スクリュ駆動装置であるモータ4、原料供給装置であるフィーダー30(より詳しくはフィーダー30中のモータ30b)、DA供給装置5及び温度調節装置7の運転を制御するために利用する装置である。
【0072】
このような制御装置10は、上記各装置の運転の制御を所望のものとすることが可能なものであればよく、例えば、必要なCPU、ROM、RAM、制御に必要な各種演算をするために必要なプログラム(このようなプログラムは、例えば、前記ROMに記録させて利用してもよく、あるいは、別の記録媒体に記録させて利用してもよい)等の公知の周辺装置を適宜組み合わせて構成させたコンピュータよりなるものとしてもよい。なお、その具体的な構成は特に制限されず、上述のような各装置の運転の制御を実行するために、CPU及びメモリ等からなるハードと、必要な演算を実行させるためにメモリ等に格納(インストール)されたコンピュータプログラム(ソフト)とを備えるものを利用してもよい。なお、このようなCPUとしては、例えば、中央処理装置、処理装置、演算装置、プロセッサ、マイクロプロセッサ、マイクロコンピュータ、DSP(Digital Signal Processor)等が挙げられる。
【0073】
ここで、制御装置10において、スクリュ駆動装置であるモータ4、原料供給装置であるフィーダー30(より詳しくはフィーダー30中のモータ30b)、DA供給装置5及び温度調節装置7の運転の制御のために必要な演算を実行させるためのコンピュータプログラム(ソフト)としては、例えば、樹脂組成物の製造時に原料を上流側から下流側に搬送しつつ混練する際に、原料の種類やスクリュ構成等に応じて、前記DA添加混練領域(シールリングSRが配置されている前記供給口上流部と前記供給口下流部の間のシリンダ内の領域:領域A、領域A)のうちの少なくとも一方又は双方の前記原料の充満率を70%以上としながら、前記脱揮助剤供給口からシリンダ1内の前記原料に対して脱揮助剤DAを供給し、かつ、前記脱揮口から前記原料中に含まれていた揮発成分を排出できるようにするために必要な、モータ4の運転条件、原料の供給速度に関連するモータ30bの運転条件、シリンダの温度条件、等を予め求めておき、実際の運転時に、温度計8により測定された温度データ等のコンピュータへの入力により、予め求めた条件を満たすように、各種装置を運転するようにプログラムされたコンピュータプログラムを利用することを好適な一例として挙げることができる。なお、予め必要な条件を求めるための方法は、特に制限されず、例えば、混練シミュレーションソフトウエア(日本製鋼所製、商品名:TEX-FAN)を利用して、混練押出機の構造等に応じて、前記DA添加混練領域(シールリングSRが配置されている前記供給口上流部と前記供給口下流部の間のシリンダ内の領域:領域A、領域A)のうちの少なくとも一方又は双方の前記原料の充満率を70%以上としながら、前記脱揮助剤供給口からシリンダ1内の前記原料に対して脱揮助剤DAを供給し、かつ、前記脱揮口から前記原料中に含まれていた揮発成分を排出できるようにするために必要な運転条件を求めればよい。このような必要な運転条件(制御条件)を求めるための具体的な方法を、以下、図5を利用して簡単に説明する。なお、図5に示すフローは、図4に示す混練押出機のシリンダ内のDA添加混練領域である領域Aおよび領域Aの双方の原料の充満率を70%以上とする場合の運転条件を求めるための好適な手順の一例である。
【0074】
図5は、図4に示す混練押出機を利用して、樹脂組成物の製造時に原料を上流側から下流側に搬送しつつ混練する際に、前記DA添加混練領域(シールリングSRが配置されている前記供給口上流部と前記供給口下流部の間のシリンダ内の領域:領域A、領域A)の双方の前記原料の充満率を70%以上としながら、前記脱揮助剤供給口からシリンダ1内の前記原料に対して脱揮助剤DAを供給し、かつ、前記脱揮口から前記原料中に含まれていた揮発成分を排出できるようにする場合に、必要となる混練押出機中の各種装置の運転条件を求める際に行う手順の好適な一実施形態を示した図面(フローチャート)である。このような運転条件を求める際の演算は、図5に示すフローでは、混練シミュレーションソフトウエア(日本製鋼所製、商品名:TEX-FAN)による演算を可能としたコンピュータを用いて行う。
【0075】
図5に示すフローにおいては、ステップS101において、先ず、混練シミュレーションソフトウエアにより演算を行うコンピュータ内の演算部に、混練押出機の装置構成(シリンダの構成、スクリュ径、およびスクリュ構成等)の情報を入力するとともに、樹脂組成物の原料となる成分の物性(樹脂のPVT特性)を入力する。
【0076】
次に、ステップS102において、前記演算部に、混練押出機を利用する場合に、所望の領域を所望の充満率とするために採用する予定の条件(混練条件)として、下記条件(A)~(C):
[条件(A)]スクリュ2の回転数(モータ4の回転数、原料の混練・搬送の際の特定の領域での原料の滞留時間に影響する数値となる)
[条件(B)]フィーダーのモータ30bの回転数(原料供給用のスクリュ30aの回転数:原料の供給速度を制御するため値)
[条件(C)]シリンダ1の温度
の値を入力して、演算部において、混練シミュレーションソフトウエア(日本製鋼所製、商品名:TEX-FAN)による混練シミュレーションの演算を実行する。なお、ステップS102における前記条件(A)~(C)の入力値としては、特に制限されず、当業者がDA添加混練領域の原料の充満率を所望の値(70%以上)とするために必要となるであろうと推定した値を入力すればよい。
【0077】
次いで、ステップS103において、演算結果として出力されたシミュレーションの結果(内容)に基づいて、搬送混練工程において、DA添加混練領域(領域A、領域A)の原料の充満率がいずれも70%以上の所望の値となっているか否かを判定する。このようなステップS103での判定の結果、原料の充満率が所望の値となっていない場合には、ステップS104に進み、所望の値となっている場合にはステップS105に進む。
【0078】
ここで、ステップS103での判定の結果、ステップS104に進んだ場合、そのステップS104において、前回のシミュレーション結果(演算結果)に基づいて、上記条件(A)~(C)の入力値のうちの少なくとも1つについて、前回のシミュレーション時(演算時)に採用(入力)した値とは異なる新たな値を入力し、混練シミュレーションの演算を実行する。このような条件(A)~(C)の入力値のうちの少なくとも1つについての新たな値の入力は、混練シミュレーションの結果に基づいて、原料の充満率を所望の値(70%以上)とするために最適な値となるであろうと推定される値を入力すればよい。なお、このような新たな値の入力は、当業者が混練シミュレーションの演算結果から所望の結果となるように計算した値を入力することにより行ってもよく、あるいは、これまでの演算結果を解析してDA添加混練領域(領域A、領域A)の原料の充満率を所望の値とするために必要となるであろう値を演算するような別の演算部をコンピュータ内に設けて、その別の演算部で求められた値を、混練シミュレーションソフトウエアにより演算を行う演算部に入力することで行ってもよい。
【0079】
そして、ステップS103での判定の結果、DA添加混練領域(領域A、領域A)の原料の充満率がいずれも70%以上の所望の値となっている場合、その際に採用した条件等から、スクリュ駆動装置であるモータ4、原料供給装置であるフィーダー30(より詳しくはフィーダー30中のモータ30b)、DA供給装置5及び温度調節装置7の運転条件を入手し、演算を終了する。
【0080】
なお、このような図5に示すようなフローを、DA添加混練領域の原料の充満率の所望の値の設定値を適宜変えて、同じ原料に対して、複数回実行することで、様々な充満率の条件を満たすための運転条件を予め入手することができる。このようにして、様々な充満率の条件を満たすための運転条件を予め入手した場合には、それらの運転条件のデータに基づいて、所望の充満率の数値を制御装置10に入力した場合に、制御装置10において、その充満率の数値を満たすために必要となる各装置の運転条件を自動的に演算して、その運転条件を満たすように各装置の運転の制御を行うようなコンピュータプログラムを作成して、制御装置10を構成するコンピュータのメモリに格納してもよい。これにより、所望の充満率の数値を制御装置10に入力することで、各装置の制御を効率よく行うことも可能となる。
【0081】
このように、制御装置10を、上述のようにして求められた運転条件を満たすように各装置の運転を制御するためのコンピュータプログラムが格納されたコンピュータからなるものとすれば、樹脂組成物の製造に際して、制御装置10により、DA添加混練領域(領域A、領域A)の原料の充満率がいずれも70%以上の所望の値となるように、各装置の運転を制御することができる。なお、各装置の運転の制御の際には、例えば、温度計8により求められたシリンダの温度データが自動的に制御装置10に入力されるようにして、その温度の変化状況に応じて、シリンダの温度が必要な温度となるように温度調節装置7の運転を制御してもよい。
【0082】
また、このような各装置の運転を制御する際には、前記DA添加混練領域の前記原料の充満率を70%以上の所望の値とするとともに、前記脱揮助剤供給口からシリンダ1内の前記原料に対して脱揮助剤DAを供給し、かつ、前記脱揮口から前記原料中に含まれていた揮発成分を排出するように、DA供給装置5の運転、及び、減圧装置6の運転も制御装置10により制御する。なお、このようなDA供給装置5の運転の制御や、減圧装置6の運転の制御を行うために、制御装置10を、目的とする脱揮助剤の供給量及び供給速度の条件や、減圧装置6により脱揮口(12A及び12B)の近傍の領域(ベント部)の所望の圧力(溶融混練物の内圧)の条件を設定した場合に、それらの設定条件を満たすようにDA供給装置5および減圧装置6の運転の制御を行えるようにプログラムしたコンピュータプログラムを備えるものとすることが好ましい。なお、このような運転制御のためのコンピュータプログラムは、ベント式押出機の分野において利用されている、公知のDA供給装置5(例えばギアモータ)の制御方法や、公知の減圧装置6の制御方法を応用して、所望の供給量や所望の圧力に調整できるように適宜作成すればよい。また、例えば、圧力計(圧力センサ)9により測定された圧力のデータを制御装置10に入力して、その値に応じて測定部位の圧力が所望の大きさとなるように、減圧装置6の運転状況(例えば真空ポンプの駆動用モータの回転数)を変化させるように、制御装置10内の演算部を構成させて、圧力が所望の値を維持できるように、減圧装置6の運転を制御してもよい。
【0083】
このような図4に示す実施形態の樹脂組成物の製造装置は、これを用いることで、前記本発明の樹脂組成物の製造方法を実行することができる。そのため、本発明の樹脂組成物の製造装置は、前述の通り、前記本発明の樹脂組成物の製造方法に好適に利用可能なものであるといえる。なお、図4に示す実施形態の樹脂組成物の製造装置は、図1に示す実施形態の樹脂組成物を製造するための装置の好適な実施形態の一つであり、原料の搬送混練工程中に、混練押出機を構成する各装置の運転の制御(原料の投入量等を含む)を、前述のような制御装置10により行う以外は、基本的に図1に示す実施形態の装置を利用した樹脂組成物の製造方法において説明した条件と同様の条件を採用して樹脂組成物を製造することができることから、原料の搬送混練工程等、図4に示す実施形態の樹脂組成物の製造装置を利用した具体的な樹脂組成物の製造方法の説明は省略する(なお、図4において具体的に記載したフィーダー30、モータ4、DA供給装置5、減圧装置6、温度調節装置7等を利用して、前述のように、それらの運転を制御装置10で制御する以外は、基本的に、図1に示す実施形態の混練押出機を利用した場合に採用している条件と同様にして搬送混練工程を施せばよく、工程の好適な条件等も、図1に示す実施形態の装置を利用した場合の工程において説明した条件等と同様の条件を採用できる)。
【0084】
以上、図4に示す実施形態の樹脂組成物の製造装置について説明したが、本発明の樹脂組成物の製造装置は、上記実施形態に限定されるものではなく、シリンダと;前記シリンダ内に配置されたスクリュと;前記スクリュを駆動させるためのスクリュ駆動装置と;前記シリンダ内に原料を供給するための原料供給装置と;前記シリンダ内に脱揮助剤を供給するための脱揮助剤供給装置と;前記シリンダの温度を調節するための温度調節装置と;前記スクリュ駆動装置、前記原料供給装置、前記脱揮助剤供給装置及び前記温度調節装置に電気的に接続されかつ前記各装置の運転を制御するための制御装置と;を備える混練押出機からなり、
前記シリンダが、少なくとも1つの脱揮助剤供給口と少なくとも1つの揮発成分排出用の脱揮口とを開口部として有し、かつ、前記脱揮助剤供給口と前記脱揮口が上流側から順に間隔を空けて並んで設けられている構造部分を少なくとも1つ有するものであり、
前記スクリュが、少なくとも1つの前記構造部分の前記脱揮助剤供給口が設けられた位置よりも上流側に位置する前記シリンダ内の供給口上流部と、該構造部分の前記脱揮助剤供給口及び前記脱揮口の間に位置する供給口下流部とにそれぞれシールリングが配置されたスクリュ構成を少なくとも1つ有するものであり、
前記混練押出機は、前記シールリングが配置されている前記供給口上流部と前記供給口下流部の間の領域に、前記供給口上流部と前記供給口下流部の位置の基準となる前記脱揮助剤供給口以外に前記領域と前記シリンダの外部とが連通するような開口部が設けられていないという条件を満たすものであり、
前記混練押出機は、前記スクリュにより前記シリンダ内に供給された樹脂組成物の原料を上流側から下流側に搬送しつつ混練することで樹脂組成物を製造するために用いられる装置であり、
前記制御装置が、樹脂組成物の製造時に前記原料を上流側から下流側に搬送しつつ混練する際に、前記シールリングが配置されている前記供給口上流部と前記供給口下流部の間の前記シリンダ内の領域のうちの少なくとも1箇所の領域における前記原料の充満率を70%以上としながら、前記脱揮助剤供給口から前記シリンダ内の前記原料に対して脱揮助剤を供給し、かつ、前記脱揮口から前記原料中に含まれていた揮発成分を排出するように、前記スクリュ駆動装置、前記原料供給装置、前記脱揮助剤供給装置及び前記温度調節装置の運転を制御するものである、装置であればよく、他の構成は特に制限されるものではない。
【実施例0085】
以下、実施例及び比較例に基づいて本発明をより具体的に説明するが、本発明は以下の実施例に限定されるものではない。なお、以下に示す実施例及び比較例においては、原料として、いずれも同一のペレット状のリサイクルポリプロピレン(自動車および家電から分離回収したもの)を利用した。
【0086】
(実施例1)
二軸押出機(日本製鋼所製、商品名:TEX30、スクリュの長さLとスクリュの直径(外径)Dの比(L/D)=77、スクリュの 最大外径(スクリュの直径):30mm(公称値)、シリンダ の内径(シリンダの直径):32mm)を用いて、前記リサイクルポリプロピレンからなる原料の混練を行って、樹脂組成物(ペレット状)を得た。なお、シリンダやスクリュの設計は、図1に示したものと同様のものとなるように設計し(上流側から下流側に向かってFS、KD、FS,SR、KD、SR、FS、SR、KD、SR、FSの順で配置されたスクリュ構成とし)、シールリングSR1~4としては直径30~31mmのものを利用し、シールリングの配置位置においてシールリングとシリンダの内径との隙間が0.5~1mmとなるようにした。また、二軸押出機において、図1に示す領域Aの部分のスクリュの長さLとスクリュの直径(外径)Dの比(L/D)を7とし、領域Aの部分のスクリュの長さLとスクリュの直径(外径)Dの比(L/D)を7とし、シールリングSRの上流端の位置と原料供給口の下流端の位置との間の長さLを847.5mmとした。更に、スクリュ2において、シールリングSRの下流端とシールリングSRの上流端の間の長さを465mmとし、ニーディングディスクKDにより構成されている部分のスクリュの長さと直径の比(長さ/直径)を7.5とした。また、原料の混練に際しては、シリンダの温度を170℃とし、スクリュ回転数を150rpmとし、原料のシリンダへの供給速度を5kg/hとし、脱揮助剤DAとして水を利用し、脱揮助剤供給口11Aからの注水量をシリンダ1中の原料100質量部に対して14質量部とし、脱揮助剤供給口11Bからの注水量をシリンダ1中の原料100質量部に対して14質量部とした(なお、注水量は樹脂組成物の供給速度と水の供給速度との比から求められる量を採用した)。さらに、原料の混練に際しては、脱揮口(ベント口)12A及び12Bに接続した水封式真空ポンプによりシリンダ内を減圧して、脱揮口から揮発成分を除去した。なお、2箇所のDA添加混練領域(領域A及びA)について、混練シミュレーションソフトウエア(日本製鋼所製、商品名:TEX-FAN)を用いて解析して、原料の充満率を求めたところ、各領域(A及びA)における原料の充満率(体積%)はいずれも100%であった。
【0087】
なお、実施例1において、原料の混練に際して採用した、シリンダの温度:170℃、スクリュ回転数:150rpm、原料のシリンダへの供給速度:5kg/hといった混練条件は、図5に示した手順(フローチャート)を採用して、混練シミュレーションソフトウエア(日本製鋼所製、商品名:TEX-FAN)を用いて2箇所のDA添加混練領域(領域A及びA)における原料の充満率(体積%)をいずれも100%とするために必要となる混練条件(原料の供給速度等)を解析して求めたものを利用した。また、原料の混練に際しては、シリンダの温度が170℃となり、スクリュ回転数が150rpmとなり、原料のシリンダへの供給速度が5kg/hとなるように、原料の供給を行うための原料供給装置(図1においては図示省略:図4を参照すると、図4に示すフィーダー30に相当する装置)、スクリュ駆動装置(スクリュを回転させる回転駆動機構:図1においては図示省略:図4を参照すると、図4に示すモータ4に相当する装置)、シリンダ内の温度を調整するためのヒータ(図1においては図示省略:図4を参照すると、図4に示す温度調節装置7に相当する装置)の運転を、これらに電気的に接続されたコンピュータ(図1においては図示省略:図4を参照すると、図4に示す制御装置10に相当する装置)で制御した。また、脱揮助剤供給口11Aからの注水量が上記条件を満たすように、図1において図示省略している脱揮助剤を供給するための装置(図4を参照すると、図4に示すDA供給装置5に相当する装置)の運転も、かかる装置に電気的に接続されたコンピュータ(図1においては図示省略:図4を参照すると、図4に示す制御装置10に相当する装置)で制御した。さらに、原料の混練に際しては、脱揮口(ベント口)12A及び12Bに接続した水封式真空ポンプ(図1においては図示省略:図4を参照すると、図4に示す減圧装置6に相当するような装置)の運転も、水封式真空ポンプに電気的に接続されたコンピュータ(図1においては図示省略:図4を参照すると、図4に示す制御装置10に相当する装置)で制御し、これによりシリンダ内の圧力を減圧した。
【0088】
(実施例2)
シリンダやスクリュの設計を、図2に示したものと同様のものとなるように変更し(なお、スクリュ構成は、上流側から下流側に向かってFS、KD、FS、SR、KD、FS、KD、SR、FS、SR、KD、FS、KD、SR、FSの順で配置されたスクリュ構成とした)、領域Aの部分のスクリュの長さ(図1のLに相当)とスクリュの直径(外径)Dの比(L/D)を8.25に変更し、領域Aの部分のスクリュの長さ(図1のLに相当)とスクリュの直径(外径)Dの比(L/D)を6.25に変更し、シールリングSRの上流端の位置と原料供給口の下流端の位置との間の長さ(図1のLに相当する部分の長さ)を1267.5mmに変更し、領域A中に配置したフライトスクリュFSの長さと直径の比(長さ/直径)を1.25とし、領域A中に配置したフライトスクリュFSの長さと直径の比を1.25とし、ニーディングディスクKDにより構成されている部分のスクリュの長さと直径の比(長さ/直径)を8とした以外は、実施例1と同様にして、原料の混練を行い、樹脂組成物を得た。領域A及びAの原料の充満率(体積%)を実施例1と同様にして求めたところ、領域Aにおける原料の充満率は93%であり、領域Aにおける原料の充満率は87%であった。
【0089】
(実施例3)
シリンダやスクリュの設計を、図3に示したものと同様のものとなるように変更し(なお、脱揮助剤供給口11Bを形成しなかった以外は、図2に示すものと同様の設計となる)、注水を脱揮助剤供給口11Aのみから行った以外は、実施例2と同様にして原料の混練を行い、樹脂組成物を得た。注水を行った領域Aにおける原料の充満率(体積%)を実施例1と同様にして求めたところ、その充満率は93%であった。
【0090】
(比較例1)
シリンダやスクリュの設計を、図6に示したものと同様のものとなるように変更し(なお、スクリュ構成は、上流側から下流側に向かってFS、KD、FS、SR、KD、FS、SR、FS、SR、KD、FS、SR、FSの順で配置されたスクリュ構成とした。ここにおいて、実施例1と比較して領域A及びAのそれぞれのスクリュ長さ及び直径の比(L/DおよびL/Dに相当)は変更せずに、領域A中のスクリュ構成を、ニーディングディスクKDとフライトスクリュFSとからなるものに変更し、領域A中のスクリュ構成を、ニーディングディスクKDとフライトスクリュFSとからなるものに変更した)、領域A中に配置したフライトスクリュFSの長さと直径の比(長さ/直径)を6.5とし、領域A中に配置したフライトスクリュFSの長さと直径の比(長さ/直径)を6.5とした以外は、実施例1と同様にして原料の混練を行い、樹脂組成物を得た。領域A及びAの原料の充満率(体積%)を実施例1と同様にして求めたところ、領域Aにおける原料の充満率は34%であり、領域Aにおける原料の充満率は34%であった。
【0091】
(比較例2)
原料のシリンダへの供給速度を15kg/hに変更した以外は、比較例1と同様にして原料の混練を行って樹脂組成物を得た。領域A及びAの原料の充満率(体積%)を実施例1と同様にして求めたところ、領域Aにおける原料の充満率は48%であり、領域Aにおける原料の充満率は48%であった。
【0092】
[実施例1~3及び比較例1~2で得られた樹脂組成物の特性の評価]
原料のリサイクルポリプロピレン(ペレット状)と、実施例1~3及び比較例1~2において得られた樹脂組成物(ペレット状)をそれぞれそのまま用いて、それらの測定用の試料(20~50mg)をそれぞれ準備した。そして、加熱脱着(TD)-ガスクロマトグラフ質量分析装置(装置構成:ゲステル社製 TDU、および、アジレント社製の商品名:7890B GC-5977B MSD)を用いて、前記試料を80℃で10分間加熱した際に発生するガス成分(揮発した有機化合物:揮発性有機化合物)を分析した。なお、TDによる加熱発生ガスは、冷却注入口(CIS、インサートにTenax-TA充填、温度:-50℃)で濃縮捕集した後に、昇温速度:720℃/分の条件でCISを-50℃から300℃まで急速に加熱してカラム(アジレント社製、商品名:HP-5MS UI、長さ30m、内径0.25mm、膜厚0.25μm)で分離した。カラムのキャリアガスとしてはHe(流速:1.5mL/分)を用い、カラムの温度は昇温速度:10℃/分の条件で0℃から300℃まで昇温した。そして、カラムで分離された成分を、質量分析計(電子イオン化法、イオン源温度:230℃、MS四重極温度:150℃、スキャン範囲のm/z値:28.7-600)で検出した。そして、m/z値が33~600の範囲のトータルイオンカレント(TIC)クロマトグラムの積分値を試料中に含まれる揮発性有機化合物の量と定義して、原料(混練前のペレット)と各実施例等で得られた樹脂組成物(混練後のペレット)の試料ごとに、その試料1mgあたりに含まれる揮発性有機化合物の量をそれぞれ求めて、揮発性有機化合物の除去率(原料から除去された揮発性有機化合物の割合)を、下記計算式(1):
[揮発性有機化合物の除去率(%)]=(M-M)/M (1)
(式(1)中、Mは原料の試料1mgあたりに含まれる揮発性有機化合物の量(脱揮前の原料中の揮発性有機化合物の量)を示し、Mは実施例等で得られた混練後の樹脂組成物(混練後のペレット)の試料1mgあたりに含まれる揮発性有機化合物の量(脱揮後に得られた樹脂組成物に残留している揮発性有機化合物の量)を示す。)
を計算することにより求めた。得られた結果を表1に示す。
【0093】
なお、表1には、水を注入した領域A内に配置されているスクリュLの長さとスクリュ直径Dの比(L/D)と、水を注入した領域A内に配置されているスクリュLの長さとスクリュ直径Dの比(L/D)を併せて示すとともに、水を注入した領域Aと、水を注入した領域Aにおける原料の充満率(体積%)を併せて示す。
【0094】
【表1】
【0095】
表1に示した結果から明らかなように、脱揮助剤(水)を添加混練する領域(実施例1~2:領域A及び領域A、実施例3:領域A)における原料(溶融混練物)の充満率を70%以上とする本発明の樹脂組成物の製造方法に相当する方法を採用した実施例1~3においては、脱揮工程において原料中の揮発性有機化合物(VOC)が高い水準(除去率が85%以上の高い水準)で効率よく除去されており、かかる方法によればVOCの残存量が十分に低い樹脂組成物を効率よく製造することが可能であることが確認された。これに対して、脱揮助剤(水)を添加混練する領域における原料(溶融混練物)の充満率がいずれも70%未満となっていた比較例1~2で採用した方法においては、VOCの除去率が48%以下となっており、揮発性有機化合物(VOC)を十分に脱揮して除去することができなかった。
【産業上の利用可能性】
【0096】
以上説明したように、本発明によれば、揮発性有機化合物の残存量が十分に低い樹脂組成物を効率よく製造することが可能な樹脂組成物の製造方法及びその方法に好適に利用することが可能な樹脂組成物の製造装置を提供することが可能となる。したがって、本発明の樹脂組成物の製造方法は、例えば、VOCを除去したリサイクル樹脂組成物を製造するための方法や、VOCを除去して脱臭した樹脂組成物を得るための方法等として有用である。
【符号の説明】
【0097】
1…シリンダ、2…スクリュ、3:ホッパ、4…スクリュ2の駆動用のモータ、5…脱揮助剤供給装置、6…減圧装置(真空ポンプ)、7…温度調節装置、8…温度計、9…圧力計(圧力センサ)、10…制御装置(コントローラ)、11A及びB…脱揮助剤供給口、12A及びB…揮発成分排出用の脱揮口、13…原料供給のための開口部(原料供給口)、30…フィーダー、30a…原料供給用のスクリュ、30b…原料供給用のスクリュ駆動用のモータ、FS…フルフライトスクリュ、KD1~3…ニーディングディスク、SR1~4…シールリング、DA…脱揮助剤、VOC…揮発性有機化合物。
図1
図2
図3
図4
図5
図6
【手続補正書】
【提出日】2024-04-09
【手続補正1】
【補正対象書類名】特許請求の範囲
【補正対象項目名】請求項2
【補正方法】変更
【補正の内容】
【請求項2】
前記搬送混練工程において、前記シールリングが配置されている前記供給口上流部と前記供給口下流部の間の前記シリンダ内の領域の前記原料の充満率を80%以上とすることを特徴とする請求項1に記載の樹脂組成物の製造方法。