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  • 特開-グリップ装着具 図1
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024013766
(43)【公開日】2024-02-01
(54)【発明の名称】グリップ装着具
(51)【国際特許分類】
   B62J 33/00 20060101AFI20240125BHJP
   B62K 21/26 20060101ALI20240125BHJP
【FI】
B62J33/00 A
B62K21/26
【審査請求】未請求
【請求項の数】5
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022116110
(22)【出願日】2022-07-21
(71)【出願人】
【識別番号】595042427
【氏名又は名称】株式会社コミネ
(74)【代理人】
【識別番号】100165179
【弁理士】
【氏名又は名称】田▲崎▼ 聡
(74)【代理人】
【識別番号】100163496
【弁理士】
【氏名又は名称】荒 則彦
(74)【代理人】
【識別番号】100142424
【弁理士】
【氏名又は名称】細川 文広
(74)【代理人】
【識別番号】100114937
【弁理士】
【氏名又は名称】松本 裕幸
(72)【発明者】
【氏名】阿知波 直哉
(72)【発明者】
【氏名】▲高▼橋 典義
【テーマコード(参考)】
3D013
【Fターム(参考)】
3D013CG02
3D013CG06
(57)【要約】
【課題】バイクライダーの手指を温めることができ、かつ、長時間にわたる運転時などにおいても掌等の疲労を軽減することができるグリップ装着具を提供する。
【解決手段】ハンドルバーのグリップに着脱可能に装着されるグリップ装着具10であって、中心軸Cに沿って軸方向に延び、中心軸Cと垂直な断面がC字状をなす装着本体1と、装着本体1に収容される加熱部2と、装着本体1から径方向外側に突出する掌ホルダー4と、を備える。
【選択図】図3
【特許請求の範囲】
【請求項1】
ハンドルバーのグリップに着脱可能に装着されるグリップ装着具であって、
中心軸に沿って軸方向に延び、前記中心軸と垂直な断面がC字状をなす装着本体と、
前記装着本体に収容される加熱部と、
前記装着本体から径方向外側に突出する掌ホルダーと、を備える、
グリップ装着具。
【請求項2】
前記掌ホルダーは、掌に接触させられる表面を有し、
前記表面は、凹曲面状に形成されている、
請求項1に記載のグリップ装着具。
【請求項3】
前記掌ホルダーは、前記装着本体のうち軸方向に沿うハンドル外側の部分から径方向外側に突出する、
請求項1または2に記載のグリップ装着具。
【請求項4】
当該グリップ装着具は、前記ハンドルバーの一対の前記グリップにそれぞれ装着され、
各グリップ装着具の前記加熱部に接続される各配線が、個別に電源と接続される、
請求項1または2に記載のグリップ装着具。
【請求項5】
前記装着本体の周方向の端部は、周方向の端部以外の部分よりも、径方向内側に入り込んでいる、
請求項1または2に記載のグリップ装着具。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、グリップ装着具に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、例えば冬季の運転時などにおいて、自動二輪車等のオートバイや自転車などに乗るバイクライダーの手指が冷えて、走行を続けることが苦痛になったり、ハンドル操作に影響したりする場合がある。このような場合に、例えば特許文献1に記載のグリップヒータ(グリップ装着具)をハンドルバーのグリップに取り付けることで、バイクライダーの手指を温めることができる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特許第6749670号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、長時間にわたる運転時などにおいては、グリップを把持するバイクライダーの掌、手首、腕等(以下、掌等と省略する)が疲れる場合がある。
【0005】
本発明は、バイクライダーの手指を温めることができ、かつ、長時間にわたる運転時などにおいても掌等の疲労を軽減することができるグリップ装着具を提供することを目的の一つとする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
〔本発明の態様1〕
ハンドルバーのグリップに着脱可能に装着されるグリップ装着具であって、中心軸に沿って軸方向に延び、前記中心軸と垂直な断面がC字状をなす装着本体と、前記装着本体に収容される加熱部と、前記装着本体から径方向外側に突出する掌ホルダーと、を備える、グリップ装着具。
【0007】
〔本発明の態様2〕
前記掌ホルダーは、掌に接触させられる表面を有し、前記表面は、凹曲面状に形成されている、態様1に記載のグリップ装着具。
【0008】
〔本発明の態様3〕
前記掌ホルダーは、前記装着本体のうち軸方向に沿うハンドル外側の部分から径方向外側に突出する、態様1または2に記載のグリップ装着具。
【0009】
〔本発明の態様4〕
当該グリップ装着具は、前記ハンドルバーの一対の前記グリップにそれぞれ装着され、各グリップ装着具の前記加熱部に接続される各配線が、個別に電源と接続される、態様1から3のいずれか1つに記載のグリップ装着具。
【0010】
〔本発明の態様5〕
前記装着本体の周方向の端部は、周方向の端部以外の部分よりも、径方向内側に入り込んでいる、態様1から4のいずれか1つに記載のグリップ装着具。
【発明の効果】
【0011】
本発明の前記態様のグリップ装着具によれば、バイクライダーの手指を温めることができ、かつ、長時間にわたる運転時などにおいても掌等の疲労を軽減することができる。
【図面の簡単な説明】
【0012】
図1図1は、本実施形態のグリップ装着具をハンドルバーのグリップに装着した状態を示す平面図である。
図2図2は、本実施形態のグリップ装着具をハンドルバーのグリップに装着した状態を示す斜視図である。
図3図3は、本実施形態のグリップ装着具を示す側面図である。
【発明を実施するための形態】
【0013】
本発明の一実施形態のグリップ装着具10について、図面を参照して説明する。
図1に示すように、本実施形態のグリップ装着具10は、自動二輪車等のオートバイや自転車などが備えるハンドルバー100のグリップ101に、着脱可能に装着される。なお自転車には、車載バッテリーを搭載した電動自転車等も含まれる。
【0014】
特に図示しないが、ハンドルバー100は、一対のグリップ101(左グリップ及び右グリップ)を有しており、グリップ装着具10は、各グリップ101にそれぞれ装着される。すなわち、グリップ装着具10は、ハンドルバー100に一対設けられる。
【0015】
図1及び図2においては、一対のグリップ装着具10(左側のグリップ装着具10及び右側のグリップ装着具10)のうち、右側のグリップ装着具10を図示している。一対のグリップ装着具10は、互いに左右対称形状を有する。
【0016】
図1図3に示すように、グリップ装着具10は、中心軸Cを中心とする略円筒状の装着本体1と、加熱部2と、配線3と、掌ホルダー4と、を備える。なお、装着本体1の中心軸Cは、グリップ装着具10の中心軸に相当する。
【0017】
本実施形態においては、中心軸Cが延びる方向を、軸方向と呼ぶ。グリップ装着具10がグリップ101に取り付けられた状態で、グリップ装着具10の中心軸Cとグリップ101の中心軸とは、互いに略同軸に配置される。
【0018】
軸方向のうち、ハンドルバー100の長手方向(左右方向)の中央部から両端部へ向かう方向を、ハンドル外側と呼ぶ。また軸方向のうち、ハンドルバー100の長手方向の両端部から中央部へ向かう方向を、ハンドル内側と呼ぶ。
【0019】
中心軸Cと直交する方向を径方向と呼ぶ。径方向のうち、中心軸Cに近づく方向を径方向内側と呼び、中心軸Cから離れる方向を径方向外側と呼ぶ。
また、中心軸C回りに周回する方向を周方向と呼ぶ。
【0020】
装着本体1は、中心軸Cに沿って軸方向に延びる。装着本体1は、中心軸Cと垂直な断面がC字状をなしている。すなわち、装着本体1は、周方向の一部が開口された略円筒状である。
【0021】
装着本体1は、弾性変形可能である。装着本体1は、開口部の周方向寸法を広げるように弾性変形させられることで、グリップ101に装着可能であり、かつ復元変形することにより、グリップ101のゴム製等の外周面に密着させられて、グリップ101と固定される。
【0022】
図3に示すように、装着本体1の周方向の端部1aは、周方向の端部1a以外の部分よりも、径方向内側に入り込んでいる。具体的に本実施形態では、装着本体1のうち周方向の両端部1a,1aが、周方向の両端部1a,1a以外の部分よりも、径方向内側に配置されている。より詳しくは、図3に示すように中心軸Cの軸方向から見て、装着本体1のうち周方向の端部1a以外の部分の内周面を含む図示しない仮想円に対して、装着本体1の周方向の端部1aが、周方向の端縁へ向かうに従い径方向内側に入り込んでいる。
【0023】
本実施形態では、装着本体1が、内層11と、外層12と、を有する。
内層11は、例えば樹脂製であり、周方向の一部が開口された略円筒状をなす。内層11は、装着本体1のうち径方向内側の層を構成する。内層11の内周面は、グリップ101の外周面と接触する。内層11は、内層11の内周面から径方向内側に突出する突起11aを有する。突起11aは、例えば、軸方向に延びるリブ状等に形成されている。
【0024】
外層12は、例えばゴム製であり、周方向の一部が開口された略円筒状をなす。外層12は、装着本体1のうち径方向外側の層を構成する。外層12の周方向の端部及び軸方向の端部には、それぞれ、折り返された舌片12aが設けられている。グリップ装着具10の製造時において、各舌片12aは、折り返されることで内層11の内周面上に配置され、接着や溶着等により内層11の内周面に固定される。
【0025】
本実施形態において、加熱部2は、電気式のヒータである。加熱部2は、シート状をなしており、装着本体1の内層11と外層12との間に配置される。具体的に、加熱部2は、内層11と外層12との間で、軸方向及び周方向に広がって配置される。すなわち、加熱部2は、装着本体1に収容される。
【0026】
配線3は、加熱部2と電気的に接続される。図1及び図2に示すように、本実施形態では配線3が、装着本体1の軸方向に沿うハンドル内側の端部から、グリップ装着具10の外部に引き出されている。
【0027】
一対のグリップ装着具10の各加熱部2に接続される各配線3は、個別に図示しない電源と接続される。具体的に、前記電源としては、例えば、オートバイや自転車などに搭載される車載バッテリーや、バイクライダーが携帯する携帯バッテリー等が挙げられる。また配線3は、例えばUSBコネクタ等を介して着脱可能に、電源と電気的に接続される。
【0028】
図1図3に示すように、掌ホルダー4は、装着本体1から径方向外側に突出する。本実施形態では掌ホルダー4が、軸方向及び径方向に広がる板状をなしており、具体的には略台形板状をなす。掌ホルダー4の一対の板面(表面4a及び裏面4b)は、周方向を向く。
【0029】
掌ホルダー4は、例えば樹脂製である。本実施形態では掌ホルダー4が、装着本体1の内層11と一体に形成されている。ただしこれに限らず、掌ホルダー4は、例えば2層構造を有しており、表面4a側の上層が例えばゴム製とされ、裏面4b側の下層が例えば樹脂製とされていてもよい。この場合、掌ホルダー4の上層は、装着本体1の外層12と一体に形成されていてもよい。掌ホルダー4の下層は、装着本体1の内層11と一体に形成されていてもよい。
【0030】
掌ホルダー4は、装着本体1のうち軸方向に沿うハンドル外側の部分から径方向外側に突出する。本実施形態では掌ホルダー4が、装着本体1のうち少なくとも軸方向のハンドル外側の端部(外端部)から径方向外側に突出している。より詳しくは、掌ホルダー4は、装着本体1の軸方向のハンドル外側の端部から軸方向の中央部までの間(すなわち、装着本体1の軸方向全長のうち略半分の長さ)にわたって、配置されている。掌ホルダー4は、装着本体1のうち軸方向に沿うハンドル内側の端部(内端部)以外の部分に配置されている。
【0031】
掌ホルダー4の軸方向寸法は、掌ホルダー4の径方向内側の端部では、径方向内側へ向かうに従い徐々に大きくなる。
詳しくは、掌ホルダー4の軸方向に沿うハンドル内側の端縁のうち、径方向内側の端部は、径方向内側へ向かうに従いハンドル内側に向けて延びている。掌ホルダー4のハンドル内側の端縁のうち径方向内側の端部は、凹曲線状をなしている。
【0032】
また、掌ホルダー4の軸方向寸法は、掌ホルダー4の径方向外側の端部では、径方向外側へ向かうに従い徐々に小さくなる。
詳しくは、掌ホルダー4の軸方向に沿うハンドル内側の端縁のうち、径方向外側の端部は、径方向外側へ向かうに従いハンドル外側に向けて延びている。掌ホルダー4のハンドル内側の端縁のうち径方向外側の端部は、凸曲線状をなしている。また、掌ホルダー4の軸方向に沿うハンドル外側の端縁のうち、径方向外側の端部は、径方向外側へ向かうに従いハンドル内側に向けて延びている。掌ホルダー4のハンドル外側の端縁のうち径方向外側の端部は、凸曲線状をなしている。
【0033】
また、掌ホルダー4の軸方向寸法は、掌ホルダー4のうち径方向の両端部間に位置する中央部においては、径方向に沿って一定である。
【0034】
掌ホルダー4は、表面4aと、裏面4bと、を有する。
表面4aは、凹曲面状に形成されている。具体的に、図3に示すように軸方向から見て、表面4aは、凹曲線状をなしている。表面4aのうち径方向内側の端部は、装着本体1の外層12の外周面と接するように(共通の接線を有するように)、滑らかに接続されている。図2に示すように、掌ホルダー4の表面4aは、バイクライダーの掌105に接触させられる。バイクライダーの掌105は、運転時に、表面4a上に載せられて保持される。
【0035】
裏面4bは、凸曲面状に形成されている。具体的に、図3に示すように軸方向から見て、裏面4bは、凸曲線状をなしている。
【0036】
バイクライダーがグリップ装着具10を握ったときに、バイクライダーの手の親指は、掌ホルダー4よりも軸方向のハンドル内側に配置される。これによりバイクライダーは、親指と他の指とにより、グリップ装着具10を介してグリップ101を周方向の略全周にわたって握り込むことができる。
【0037】
以上説明した本実施形態のグリップ装着具10によれば、装着本体1の内部に加熱部2が収納(内蔵)されているため、例えば冬季の運転時などにおいて、バイクライダーが装着本体1を把持することにより手指が温められ、爽快な運転をサポートすることができる。詳しくは、バイクライダーの手指が冷えて走行を続けることが苦痛になったり、ハンドル操作に影響したりするような不具合を抑制できる。
【0038】
そして本実施形態では、装着本体1から径方向外側に突出する掌ホルダー4が設けられている。バイクライダーが、運転時に掌ホルダー4に掌105をあてがうことで、グリップ101の把持力を軽減したり、軽い力でアクセル操作を行なったりすることが可能になる。このため、長時間にわたる運転時などにおいても、バイクライダーの掌105等の疲労を軽減することができる。
【0039】
また本実施形態では、掌ホルダー4のうち、バイクライダーの掌105に接触させられる表面4aが、凹曲面状に形成されている。
この場合、バイクライダーの凸曲面状の掌105が表面4aに密着しやすくなるため、ハンドル操作性や疲労軽減効果などを向上することができる。
【0040】
また本実施形態では、掌ホルダー4が、装着本体1のうち軸方向に沿うハンドル外側の部分から径方向外側に突出する。
この場合、バイクライダーの手の親指がグリップ101を握り込むことを、掌ホルダー4が阻害してしまうようなことが抑えられる。掌ホルダー4による上述の作用効果が得られつつ、操作性を良好に維持することができる。
【0041】
また本実施形態では、グリップ装着具10が、ハンドルバー100の一対のグリップ101にそれぞれ装着されており、各グリップ装着具10の加熱部2に接続される各配線3が、個別に電源(図示省略)と接続されている。
この場合、一対のグリップ101(左グリップ及び右グリップ)に取り付けられる各グリップ装着具10の各加熱部2が、別々に電源と接続されるため、各加熱部2の発熱量を高く確保することができる。このため、バイクライダーの左手及び右手の各手指を効率よく温めることができる。
また、一対のグリップ装着具10の各加熱部2を、個別にON-OFFする(加熱状態と非加熱状態とを切り替える)ことができる。
【0042】
また本実施形態では、装着本体1の周方向の端部1aが、周方向の端部1a以外の部分よりも、径方向内側に入り込んでいる。
この場合、装着本体1をグリップ101に装着したときに、装着本体1の周方向の端部1aがグリップ101に押し当てられ、密着させられる。これにより、装着本体1がグリップ101に安定して固定され、固定力(嵌合力)が高められる。
【0043】
なお、本発明は前述の実施形態に限定されず、例えば下記に説明するように、本発明の趣旨を逸脱しない範囲において構成の変更等が可能である。
【0044】
前述の実施形態では、一対のグリップ装着具10の各加熱部2に接続される各配線3が、個別に電源と接続される例を挙げたが、これに限らない。一対のグリップ装着具10の各加熱部2に接続される各配線3が、互いに接続された状態で、電源と繋がっていてもよい。
【0045】
前述の実施形態では、加熱部2が電気式のヒータである例をあげたが、これに限らない。特に図示しないが、例えば、加熱部が、装着本体1に収容されるチューブ等の流路を有しており、この流路にエンジンの排熱等を流通させることで、加熱部に加熱機能を付与してもよい。
【0046】
本発明は、本発明の趣旨から逸脱しない範囲において、前述の実施形態及び変形例等で説明した各構成を組み合わせてもよく、また、構成の付加、省略、置換、その他の変更が可能である。また本発明は、前述した実施形態等によって限定されず、特許請求の範囲によってのみ限定される。
【産業上の利用可能性】
【0047】
本発明のグリップ装着具によれば、バイクライダーの手指を温めることができ、かつ、長時間にわたる運転時などにおいても掌等の疲労を軽減することができる。したがって、産業上の利用可能性を有する。
【符号の説明】
【0048】
1…装着本体、1a…端部、2…加熱部、3…配線、4…掌ホルダー、4a…表面、10…グリップ装着具、100…ハンドルバー、101…グリップ、105…掌、C…中心軸
図1
図2
図3