(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024137660
(43)【公開日】2024-10-07
(54)【発明の名称】逆止弁および逆止弁の製造方法
(51)【国際特許分類】
F16K 15/03 20060101AFI20240927BHJP
【FI】
F16K15/03 Z
【審査請求】未請求
【請求項の数】8
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023201595
(22)【出願日】2023-11-29
(31)【優先権主張番号】P 2023045545
(32)【優先日】2023-03-22
(33)【優先権主張国・地域又は機関】JP
(71)【出願人】
【識別番号】000124096
【氏名又は名称】株式会社パイオラックス
(74)【代理人】
【識別番号】100109081
【弁理士】
【氏名又は名称】三木 友由
(72)【発明者】
【氏名】寺本 充輝
【テーマコード(参考)】
3H058
【Fターム(参考)】
3H058AA07
3H058BB29
3H058CD05
(57)【要約】
【課題】バネ部材を容易に組み付けることができる技術を提供する。
【解決手段】逆止弁10は、開口を有する筒部材12と、回転可能に設けられ、回転によって開口を閉じた状態と開いた状態をとる蓋部材14と、蓋部材を閉じる方向に付勢するバネ部材16と、を備える。バネ部材16は、コイル部と、コイル部の一端から延出して筒部材12に当接する第1アーム部と、コイル部の他端から延出して蓋部材14に当接する第2アーム部と、を有する。筒部材12は、蓋部材14を回転可能に支持する支持部を有する。筒部材12および蓋部材14の一方は、バネ部材を支持する支持軸部を有する。支持軸部は、離間して一対設けられ、コイル部の両端末に入る。
【選択図】
図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
開口を有する筒部材と、
前記筒部材に回転可能に支持され、回転によって前記開口を閉じた状態と開いた状態をとる蓋部材と、
前記蓋部材を閉じる方向に付勢するバネ部材と、を備え、
前記バネ部材は、
コイル部と、
前記コイル部の一端から延出して前記筒部材および前記蓋部材の一方に当接する第1アーム部と、
前記コイル部の他端から延出して前記筒部材および前記蓋部材の他方に当接する第2アーム部と、を有し、
前記筒部材および前記蓋部材の他方は、前記バネ部材を支持する支持軸部を有し、
前記支持軸部は、離間して一対設けられ、前記コイル部の両端末に入ることを特徴とする逆止弁。
【請求項2】
一対の前記支持軸部は、互いに接近する方向に突出し、
前記支持軸部の先端部は、前記バネ部材の前記支持軸部への取付方向に沿って前記支持軸部の突出高さが高くなるように傾斜し、
前記蓋部材は、
前記コイル部の収縮方向への前記第1アーム部の動きを制限する制限部と、
前記制限部に対向する壁部と、
前記制限部および前記壁部の間で前記制限部および前記壁部よりも凹んで設けられ、前記第1アーム部を収める凹部と、
前記制限部に隣接し、前記バネ部材の前記取付方向に向かって前記蓋部材の表面から離れるように傾斜するテーパ面と、
前記凹部および前記テーパ面は、前記コイル部の軸方向において、前記制限部を挟むように並んで位置することを特徴とする請求項1に記載の逆止弁。
【請求項3】
前記テーパ面は、両側の端部に沿って突出して形成された第1突条部および第2突条部を有し、
前記第1突条部は、前記凹部側に位置し、
前記第1突条部の前記取付方向の先端部は、前記テーパ面の頂部に達しないように形成されることを特徴とする請求項2に記載の逆止弁。
【請求項4】
前記蓋部材は、前記凹部に形成され、前記第1アーム部を受け止める第1当接部を有し、
前記第1当接部は、前記蓋部材の表面から突出して形成されることを特徴とする請求項2または3に記載の逆止弁。
【請求項5】
前記筒部材および前記蓋部材の一方は、前記第1アーム部を受け止める第1当接部を有し、
前記筒部材および前記蓋部材の他方は、
前記第1アーム部の中途部分を収め、前記蓋部材が閉じた状態で前記第1当接部よりも凹んで形成される凹部と、
前記蓋部材が閉じた状態で前記凹部から前記第1当接部よりも突出して設けられ、前記コイル部の収縮方向への前記第1アーム部の動きを制限する制限部と、
前記支持軸部が突出するように形成された支持壁と、を有し、
前記凹部は、前記制限部および前記支持壁の間に設けられることを特徴とする請求項1に記載の逆止弁。
【請求項6】
前記筒部材および前記蓋部材の他方は、
一端が前記制限部の突出高さに揃っているテーパ面と、
前記テーパ面および前記凹部の間に位置し、前記テーパ面に沿って前記制限部まで延在するガイド壁と、を有することを特徴とする請求項5に記載の逆止弁。
【請求項7】
前記支持壁は、傾斜面を有し、
前記支持軸部は、突端に前記支持壁の傾斜面と同じ方向に傾斜する傾斜を有することを特徴とする請求項5または6に記載の逆止弁。
【請求項8】
開口を有する筒部材と、回転可能に設けられ、回転によって前記開口を閉じた状態と開いた状態をとる蓋部材と、前記蓋部材を閉じる方向に付勢するバネ部材と、を備えた逆止弁の製造方法であって、
前記バネ部材は、
コイル部と、
前記コイル部の一端から延出して前記筒部材に当接する第1アーム部と、
前記コイル部の他端から延出して前記蓋部材に当接する第2アーム部と、を有し、
前記第1アーム部を、前記筒部材および前記蓋部材の一方に形成されたテーパ面に当てて摺動させて前記筒部材の側面または前記蓋部材の表面側に形成された第1当接部に向かって移動させるステップと、
前記第1アーム部を、前記テーパ面の一端に連なる制限部に案内するステップと、
前記制限部に連なって前記制限部よりも凹んで形成された凹部に、前記第1アーム部を移動させるステップと、
前記コイル部を、前記筒部材および前記蓋部材の一方に離間して一対形成された支持軸部へ案内し、一対の前記支持軸部を前記コイル部の両端末に挿入するステップと、を含むことを特徴とする逆止弁の製造方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、配管に取り付けられる逆止弁およびその製造方法に関する。
【背景技術】
【0002】
特許文献1には、本体部と、本体部の開口部に開閉可能に組付けられる弁体と、弁体を閉じる方向に付勢するバネ部材とを備える燃料逆流防止弁が開示されている。バネ部材はコイル部と、コイル部の両端末から延出する一対の脚部とを有し、コイル部をねじることで付勢力を発揮する。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
特許文献1に記載の技術では、バネ部材がねじりコイルバネであるため、バネ部材のねじりに抗して組み付けられるが、その組み付け作業性の向上が求められていた。
【0005】
本発明の目的は、バネ部材を容易に組み付けることができる技術を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記課題を解決するために、本発明のある態様の逆止弁は、開口を有する筒部材と、筒部材に回転可能に支持され、回転によって開口を閉じた状態と開いた状態をとる蓋部材と、蓋部材を閉じる方向に付勢するバネ部材と、を備える。バネ部材は、コイル部と、コイル部の一端から延出して筒部材および蓋部材の一方に当接する第1アーム部と、コイル部の他端から延出して筒部材および蓋部材の他方に当接する第2アーム部と、を有する。筒部材および蓋部材の他方は、バネ部材を支持する支持軸部を有する。支持軸部は、離間して一対設けられ、コイル部の両端末に入る。
【0007】
本発明の別の態様は、逆止弁の製造方法である。この方法は、開口を有する筒部材と、回転可能に設けられ、回転によって開口を閉じた状態と開いた状態をとる蓋部材と、蓋部材を閉じる方向に付勢するバネ部材と、を備えた逆止弁の製造方法である。バネ部材は、コイル部と、コイル部の一端から延出して筒部材に当接する第1アーム部と、コイル部の他端から延出して蓋部材に当接する第2アーム部と、を有する。この製造方法は、第1アーム部を、筒部材および蓋部材の一方に形成されたテーパ面に当てて摺動させて筒部材の側面または蓋部材の表面側に形成された第1当接部に向かって移動させるステップと、第1アーム部を、テーパ面の一端に連なる制限部に案内するステップと、制限部に連なって制限部よりも凹んで形成された凹部に、第1アーム部を移動させるステップと、コイル部を、筒部材および蓋部材の一方に離間して一対形成された支持軸部へ案内し、一対の支持軸部をコイル部の両端末に挿入するステップと、を含む。
【発明の効果】
【0008】
本発明によれば、バネ部材を容易に組み付けることができる技術を提供できる。
【図面の簡単な説明】
【0009】
【
図3】
図3(a)は、蓋部材の正面図であり、
図3(b)は、蓋部材の上面図である。
【
図4】
図3(b)に示す線分A-Aの位置での逆止弁の断面図である。
【
図6】バネ部材の組付動作を説明するための図である。
【
図7】バネ部材の組付動作を説明するための図であり、
図6(b)よりもコイル部が支持軸部に向かって押し込まれた状態を示す図である。
【
図8】制限部を通り、円盤部の表面に沿った位置での組付途中の逆止弁の断面図である。
【
図11】バネ部材を外した第2実施例の逆止弁の部分斜視図である。
【
図12】バネ部材を外した第2実施例の逆止弁の上面図である。
【
図13】バネ部材の取付方向に沿って見た第2実施例の蓋部材の正面図である。
【
図14】バネ部材を組み付ける第2実施例の逆止弁の組み付け工程について説明するための図である。
【発明を実施するための形態】
【0010】
図1は、第1実施例の逆止弁10の斜視図である。また、
図2は、逆止弁10の分解図である。逆止弁10は、車両の燃料配管に取り付けられ、燃料タンクから燃料が逆流することを止める。逆止弁10は、車両の燃料配管に限られず、逆流を防止するための配管に設けられてよい。
【0011】
逆止弁10は、筒部材12、蓋部材14およびバネ部材16を備える。筒部材12は、略円筒状に形成され、燃料配管の先端部に固定される。筒部材12は、開口20、突条部22、支持部24および第1当接部26を有する。開口20は、筒部材12の一端に形成される。突条部22は、筒部材12の長手方向に沿って延び、筒部材12の外周面に一対設けられる。
【0012】
支持部24は、一対の突条部22にそれぞれ孔状に形成される。支持部24は、開口20よりも軸方向外側に張り出した位置に設けられる。一対の突条部22の間に第1当接部26が設けられる。第1当接部26は、平面状に形成され、開口20の端部から軸方向に沿って延在する。
【0013】
バネ部材16は、蓋部材14を閉じる方向に付勢する。バネ部材16は、コイル部50、第1アーム部52および第2アーム部54を有する。第1アーム部52は、コイル部50の一端から延出して筒部材12の第1当接部26に当接する。つまり、第1当接部26は、第1アーム部52を受け止める。第2アーム部54は、コイル部50の他端から延出して蓋部材14に当接する。第1アーム部52の先端部は屈曲しているが、第2アーム部54の先端部は屈曲していない。第1アーム部52および第2アーム部54は、蓋部材14を閉じた状態に維持するため筒部材12と蓋部材14に付勢する。
【0014】
蓋部材14は、回転可能に設けられ、回転によって開口20を閉じた状態と開いた状態をとる。蓋部材14について、新たな図面を参照しつつ説明する。
【0015】
図3(a)は、蓋部材14の正面図であり、
図3(b)は、蓋部材14の上面図である。また、
図4は、
図3(b)に示す線分A-Aの位置での逆止弁10の断面図である。蓋部材14は、円盤部30、突条部32、第2当接部34、軸部36、支持軸部38、支持壁40、支持壁41、凹部42、テーパ面44、制限部46、ガイド壁47、傾斜面48および段差部49を有する。
【0016】
円盤部30は、開口20の縁に嵌まる大きさに形成される。突条部32は、円盤部30の表面に対向して一対形成され、支持軸部38側から延出する。第2当接部34は、一対の突条部32の間に設けられ、第2アーム部54を受け止める。
【0017】
軸部36は、外向きに突出するように一対形成され、筒部材12の支持部24に挿入される。これにより、蓋部材14が筒部材12に支持されて回転可能になる。
【0018】
支持壁40および支持壁41は対向して配置される。支持壁40の外面には軸部36が形成される。支持軸部38は、支持壁40および支持壁41から対向方向内向きに突出して一対形成される。一対の支持軸部38は、離間して設けられ、コイル部50の両端末に入り、バネ部材16を支持する。
【0019】
支持壁40,41は上端に傾斜面48をそれぞれ有する。傾斜面48は、支持軸部38に向かって対向方向内向きに傾斜する。支持軸部38は、突端に支持壁40,41の傾斜面48と同じ方向に傾斜する傾斜を有する。同じ方向とは、第1当接部26に向かって一対の支持壁40,41の対向方向内向きに接近する方向である。これにより、支持壁40,41の傾斜面48と、支持軸部38の傾斜がコイル部50を支持軸部38に挿入する際のガイドとなり、バネ部材16を支持軸部38に取り付けやすくなる。
【0020】
テーパ面44は、制限部46に向かって傾斜しており、バネ部材16の第1アーム部52を筒部材12の第1当接部26に案内する。テーパ面44は、
図4に示すように、テーパ面44の一端44aが制限部46の突出高さに揃っている。これにより、第1アーム部52がテーパ面44から制限部46の上に案内される。
【0021】
ガイド壁47は、テーパ面44および凹部42の間に位置し、テーパ面44の縁から立設するように形成され、テーパ面44に沿って制限部46まで延在する。このガイド壁47は、第1アーム部52を制限部46まで案内できる。第1アーム部52の先端がテーパ面44を摺動しているときに、制限部46に達する前に凹部42に落ち込まないようにできる。
【0022】
制限部46は、
図4に示すようにテーパ面44と第1当接部26の間に位置する。制限部46は、凹部42に入った第1アーム部52の移動、とくにコイル部50の収縮方向への移動を制限する。凹部42は、
図3(a)に示すように、制限部46および支持壁40の間に凹んで設けられる。凹部42は、第1アーム部52を収める空間を形成する。これにより、凹部42に入った第1アーム部52の動きが制限部46および支持壁40の間で制限される。
【0023】
図4に破線で示すように、凹部42は、第1アーム部52の中途部分を収め、蓋部材14が閉じた状態で第1当接部26よりも凹んで形成される。また、制限部46は、蓋部材14が閉じた状態で凹部42から第1当接部26よりも突出して設けられる。制限部46は、テーパ面44の一端44aと同じ高さなので、第1アーム部52がテーパ面44によって案内されて制限部46に達すると、スムーズに第1当接部26へ移動できる。また、凹部42は制限部46に連なって位置するため、第1アーム部52は制限部46の上に乗ってから凹部42へスムーズに移動できる。
【0024】
図5は、逆止弁10の拡大斜視図である。一対の支持軸部38は、コイル部50の両端末に入り込んでいる。第1アーム部52は、第1当接部26に付勢して反力を受けている。第1アーム部52の中途部分は凹部42に収まっている。テーパ面44およびガイド壁47は、制限部46に連設している。
【0025】
段差部49は、ガイド壁47から支持壁40に亘って段差を形成する。段差部49は、凹部42に連なっている。
【0026】
図6は、バネ部材16の組付動作を説明するための図である。
図7は、バネ部材16の組付動作を説明するための図であり、
図6(b)よりもコイル部50が支持軸部38に向かって押し込まれた状態を示す。
図8は、制限部46を通り、円盤部30の表面に沿った位置での組付途中の逆止弁10の断面図である。
図8(a)は
図6(a)に示す組付途中の逆止弁10の断面を示し、
図8(b)は
図7(a)に示す組付中の逆止弁10の断面を示す。
【0027】
図6(a)に示すように、蓋部材14は、筒部材12に先に組み付けられている。作業者は、第1アーム部52の先端部52aをテーパ面44に当てて、コイル部50を支持軸部38に向かって押し込む。
【0028】
図6(a)および
図8(a)では、第1アーム部52の先端部52aが、テーパ面44から制限部46の上に移動しており、第1アーム部52が制限部46に載った状態になっている。第1アーム部52は、ガイド壁47によって、コイル部50の軸方向への移動が制限されており、制限部46の上に達するとその制限が解除される。コイル部50が押し込まれるときに、第2アーム部54の先端部は、第2当接部34に当たって摺動する。第2アーム部54が第2当接部34に当たった状態で第1アーム部52がテーパ面44を摺動することで、作業者は、バネ部材16の弾性力に抗して第1アーム部52をセット位置に向かわせることができる。
【0029】
図6(b)には、第1アーム部52の先端部52aが制限部46を乗り越えて第1当接部26に当接している。制限部46は、第1当接部26よりも高くなっているため、第1アーム部52の先端部52aは、制限部46から第1当接部26にスムーズに移動する。コイル部50は、支持軸部38に向かって移動している。第1アーム部52の中途部分は、制限部46の上に乗っている。コイル部50がガイド壁47に当たった状態であり、コイル部50が圧縮している。
【0030】
図7(a)では、コイル部50が一対の支持壁40,41の間に位置する状態を示す。第1アーム部52がガイド壁47を越えて制限部46に乗った状態になると、ガイド壁47によって圧縮されたコイル部50が伸長し、第1アーム部52の中途部分が制限部46から凹部42に移動する。コイル部50は傾斜面48によって支持軸部38に向かって案内される。
図8(b)に示すように、第1アーム部52が凹部42に入り込み、コイル部50の軸方向の移動が制限されており、制限部46によってコイル部50の収縮方向への移動が制限されている。
【0031】
図7(b)では、コイル部50は支持軸部38の突端に当たって圧縮している。支持軸部38の突端は傾斜しているため、コイル部50はその傾斜に沿って圧縮される。コイル部50が支持軸部38に入ると、復元して
図5に示す組み付けが完了した状態になる。
【0032】
図9は、第2実施例の逆止弁100の斜視図である。また、
図10は、第2実施例の逆止弁100の部分斜視図である。逆止弁100は、筒部材112、蓋部材114、バネ部材116、取付部材118、リテーナ58およびシール部材を備える。
図5に示す第1実施例の逆止弁10のバネ部材16が、蓋部材14に軸支されてバネ部材16の第1アーム部52が筒部材12に当接するのに対し、第2実施例の逆止弁100のバネ部材116は、筒部材112に軸支されてバネ部材116の第1アーム部52が蓋部材114に当接する。このように、主に各構成の配置が異なっている。
【0033】
バネ部材116は、コイル部50、第1アーム部52および第2アーム部54を有する。バネ部材116は、蓋部材114を閉じる方向に付勢する。第1アーム部52は、コイル部50の一端から延出して蓋部材114の第1当接部126に当接する。つまり、第1当接部126は、第1アーム部52を受け止める。第2アーム部54は、コイル部50の他端から延出して筒部材112の第2当接部134に当接する。
【0034】
取付部材118は、筒部材112よりも大径のフランジを有し、燃料配管に取り付けられる。リテーナ58は、シール部材を保持し、複数の係止爪58aによって蓋部材114に係止する。シール部材は、閉状態の蓋部材114および筒部材112の開口縁に当接して、筒部材112の開口20を閉塞する。筒部材112および蓋部材114の構成について新たな図面を参照しつつ説明する。
【0035】
図11は、バネ部材116を外した逆止弁100の部分斜視図である。
図12は、バネ部材116を外した逆止弁100の上面図である。シール部材60は、筒部材112の開口縁および蓋部材114に当接している。シール部材60は、蓋部材114の裏面側の外周縁に貼り付くように設けられる。
【0036】
筒部材112は、支持部64、台座部66、支持軸部138を有する。支持部64は、蓋部材114を回転可能に支持する。支持軸部138は、離間して一対設けられ、台座部66から互いに接近する方向に突出し、コイル部50の両端末に入ってバネ部材116を支持する。台座部66も対向して一対設けられる。
【0037】
図12に示す支持軸部138の先端部138aは、バネ部材116の支持軸部138への取付方向70に沿って支持軸部138の突出高さが高くなるように傾斜する。バネ部材116の取付方向70は、一対の支持軸部138の対向方向に直交し、蓋部材114の表面56に沿った方向である。一対の支持軸部138の対向方向は、コイル部50の中心軸方向と同じ向きである。支持軸部138の突出高さは、対向する支持軸部138に向かう高さである。
【0038】
蓋部材114は、第1当接部126、壁部140、凹部142、テーパ面144、制限部146および軸部62を有する。蓋部材114について新たな図面を参照しつつ説明する。
【0039】
図13は、バネ部材116の取付方向70に沿って見た蓋部材114の正面図である。軸部62は、筒部材112の支持部64に軸支される。制限部146は、壁面を構成し、壁部140と平行に立設する。壁部140および制限部146は対向して設けられる。制限部146は、テーパ面144の側壁に位置する。
【0040】
図13に示すように、凹部142は、制限部146および壁部140の間で制限部146および壁部140よりも凹んで設けられる。凹部142により、第1アーム部52を収めて、第1アーム部52の動きを制限できる。
【0041】
第1当接部126は、凹部142に形成され、第1アーム部52を受け止める。第1当接部126は、蓋部材114の表面56から突出して形成される。これにより、ねじれたコイル部50の復元を抑え、弾性力を高めることができる。
【0042】
テーパ面144は、制限部146に隣接し、バネ部材116の取付方向70に向かって表面56から離れるように傾斜する。すなわち、テーパ面144は、支持軸部138に接近するにしたがって低くなるよう傾斜する。テーパ面144は、バネ部材116を組み付ける際に第1アーム部52のガイドとして機能するとともに、第1アーム部52に回転トルクを付与する。
【0043】
凹部142およびテーパ面144は、コイル部50の軸方向において、制限部146を挟むように並んで位置する。これにより、第1アーム部52をテーパ面144から凹部142へ移動しやすくできる。
【0044】
テーパ面144は、両側の端部に沿って突出して形成された第1突条部144aおよび第2突条部144bを有する。第1突条部144aは、凹部側に位置する。第1突条部144aおよび第2突条部144bによって、第1アーム部52がテーパ面144をスライドする際にテーパ面144から外れないようにガイドできる。
【0045】
第1突条部144aの取付方向70の先端部72は、テーパ面144の頂部74に達しないように形成される。つまり、第1突条部144aは、テーパ面144の中途で途切れるように形成される。テーパ面144の頂部74は、取付方向70の先端側に位置する。一方、第2突条部144bは、テーパ面144の頂部74まで形成され、第1突条部144aよりも頂部74側に長く形成される。これにより、バネ部材116の第1アーム部52がテーパ面144に案内される途中で、凹部142側に落ちやすくできる。また、第1アーム部52が第2突条部144bを越えて落ちにくくできる。
【0046】
第1突条部144aの突出高さは、第2突条部144bの突出高さよりも低い。これにより、第1アーム部52が第2突条部144bを越えにくくできる。
【0047】
図10に示すように、凹部142は、第1アーム部52を収める。制限部146は、コイル部50の収縮方向への第1アーム部52の動きを制限する。コイル部50の収縮方向とは、壁部140から制限部146に向かう方向である。
【0048】
図14は、バネ部材116を組み付ける逆止弁100の組み付け工程について説明するための図である。
図14(a)では、コイル部50が取付方向70に沿って支持軸部138へ押し込まれる様子を示す。
【0049】
コイル部50が支持軸部138に接近するとともに、第1アーム部52がテーパ面144に沿ってスライドする。第1アーム部52は、第1突条部144aおよび第2突条部144bによってテーパ面144から落ちないようにガイドされる。
【0050】
図14(b)に示すように、第1アーム部52は、テーパ面144の傾斜によって登るように案内され、コイル部50をねじるように作用する。これにより、コイル部50に容易に蓄圧でき、取付後のバネ部材116の弾性力を高めることができる。
【0051】
第1アーム部52が第1突条部144aの先端部72よりも頂部74側に位置すると、第1突条部144aが干渉せずにテーパ面144から凹部142側に移動可能となる。このとき、コイル部50が一対の支持軸部138に当たって縮み、支持軸部138を受け入れて伸びる。このコイル部50の伸びる動作によって、第1アーム部52が凹部142に向かって移動して第1当接部126に当接する。テーパ面144および凹部142が、コイル部50の軸方向において、制限部146を挟むように並んで位置するため、コイル部50が支持軸部138に取り付けられる際の伸縮動作によって第1アーム部52がテーパ面144から凹部142に移動できる。これにより、バネ部材116の組み付けを容易にできる。
【0052】
本発明は上述の各実施例に限定されるものではなく、当業者の知識に基づいて各種の設計変更等の変形を各実施例に対して加えることも可能であり、そのような変形が加えられた実施例も本発明の範囲に含まれうる。
【0053】
例えば、実施例では、第1アーム部52を第1当接部26に案内する構成が蓋部材14に設けられる態様を示したが、この態様に限られず、第1アーム部52を第1当接部26に案内する構成が筒状部材12に設けられてよい。例えば、支持軸部38、支持壁40,41、テーパ面44、制限部46、ガイド壁47および凹部42が筒状部材12の外周面に設けられてよい。この変形例では、第1アーム部52の先端部52aは、テーパ面44から制限部46を通って第1当接部26に案内され、第1アーム部52の中途部分は凹部42に収まる。この態様によってもテーパ面44を利用して第1アーム部52を第1当接部26に案内しつつバネ部材16を捻ることができる。
【符号の説明】
【0054】
10 逆止弁、 12 筒部材、 14 蓋部材、 16 バネ部材、 20 開口、 22 突条部、 24 支持部、 26 第1当接部、 30 円盤部、 32 突条部、 34 第2当接部、 36 軸部、 38 支持軸部、 40,41 支持壁、 42 凹部、 44 テーパ面、 46 制限部、 47 ガイド壁、 48 傾斜面、 49 段差部、 50 コイル部、 52 第1アーム部、 52a 先端部、 54 第2アーム部。