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特開2024-137679炭素被覆リン酸鉄リチウム材料の製造方法
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  • 特開-炭素被覆リン酸鉄リチウム材料の製造方法 図1
  • 特開-炭素被覆リン酸鉄リチウム材料の製造方法 図2A
  • 特開-炭素被覆リン酸鉄リチウム材料の製造方法 図2B
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024137679
(43)【公開日】2024-10-07
(54)【発明の名称】炭素被覆リン酸鉄リチウム材料の製造方法
(51)【国際特許分類】
   C01B 25/45 20060101AFI20240927BHJP
【FI】
C01B25/45 Z
【審査請求】有
【請求項の数】11
【出願形態】OL
【外国語出願】
(21)【出願番号】P 2023215069
(22)【出願日】2023-12-20
(31)【優先権主張番号】112110482
(32)【優先日】2023-03-21
(33)【優先権主張国・地域又は機関】TW
(71)【出願人】
【識別番号】517232729
【氏名又は名称】台湾立凱電能科技股▲ふん▼有限公司
【氏名又は名称原語表記】Advanced Lithium Electrochemistry Co.,Ltd.
【住所又は居所原語表記】No. 2-1, Singhua Rd., Taoyuan Dist., Taoyuan City,330,Taiwan,
(74)【代理人】
【識別番号】110001139
【氏名又は名称】SK弁理士法人
(74)【代理人】
【識別番号】100130328
【弁理士】
【氏名又は名称】奥野 彰彦
(74)【代理人】
【識別番号】100130672
【弁理士】
【氏名又は名称】伊藤 寛之
(72)【発明者】
【氏名】王雅慧
(72)【発明者】
【氏名】蔡鋒諺
(57)【要約】      (修正有)
【課題】炭素被覆リン酸鉄リチウム材料の炭素含有量を確保し、同時に製品品質の安定性を向上させるために、スラリー温度を制御する炭素被覆リン酸鉄リチウム材料の製造方法を提供する。
【解決手段】以下のステップを含む製造方法。ステップ(a):第1スラリーと炭素源とリチウム源とを提供し、第1スラリーが鉄源とリン源とで形成される。ステップ(b):第1スラリーと炭素源とリチウム源とを混合して第2スラリーを形成し、バレル内で第2スラリーを第1温度で粉砕して第3スラリーを形成し、第1温度が25℃~40℃である。ステップ(c):第3スラリーを乾燥および焼結させ、炭素被覆リン酸鉄リチウム材料を形成し、炭素被覆リン酸鉄リチウム材料はコア層と被覆層とを備え、被覆層がコア層を被覆し、コア層は、リチウム源と鉄源とリン源とで構成され、被覆層は、炭素源で構成される。
【選択図】図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
炭素被覆リン酸鉄リチウム材料の製造方法であって、
第1スラリーと炭素源とリチウム源とを提供するステップ(a)であって、前記第1スラリーは鉄源とリン源とで形成されるステップ(a)と、
前記第1スラリーと前記炭素源と前記リチウム源とを混合して第2スラリーを形成し、バレル内で第2スラリーを第1温度で混合粉砕して第3スラリーを形成するステップ(b)であって、前記第1温度が25℃~40℃であるステップ(b)と、
前記第3スラリーを乾燥および焼結させ、前記炭素被覆リン酸鉄リチウム材料を形成するステップ(c)であって、前記炭素被覆リン酸鉄リチウム材料はコア層と被覆層とを備え、前記被覆層が前記コア層を被覆し、前記コア層は、前記リチウム源と前記鉄源と前記リン源とで構成され、前記被覆層は前記炭素源で構成されるステップ(c)と、を含むことを特徴とする炭素被覆リン酸鉄リチウム材料の製造方法。
【請求項2】
前記第1温度は液冷方式により維持される、ことを特徴とする請求項1に記載の炭素被覆リン酸鉄リチウム材料の製造方法。
【請求項3】
前記バレルは、第1空間と冷却水ジャケットとを備え、前記第1空間は、前記第2スラリーおよび前記第3スラリーを収容するように設けられ、前記冷却水ジャケットは、前記第1空間を取り囲むように設けられ、前記液冷方式は、前記冷却水ジャケットを介して冷却する、ことを特徴とする請求項2に記載の炭素被覆リン酸鉄リチウム材料の製造方法。
【請求項4】
前記冷却水ジャケットは、少なくとも2つの流路と第2空間とを備え、前記第2空間は、前記少なくとも2つの流路の間に連通され、かつ前記第1空間を取り囲み、前記少なくとも2つの流路は、前記第2空間に液体が流入または流出するように設けられる、ことを特徴とする請求項3に記載の炭素被覆リン酸鉄リチウム材料の製造方法。
【請求項5】
前記炭素源、前記リチウム源および前記第1スラリーは、ボールミル方式により粉砕する、ことを特徴とする請求項1に記載の炭素被覆リン酸鉄リチウム材料の製造方法。
【請求項6】
前記第2スラリーおよび前記第3スラリーはアルカリ性である、ことを特徴とする請求項1に記載の炭素被覆リン酸鉄リチウム材料の製造方法。
【請求項7】
前記鉄源は鉄粉であり、前記リン源はリン酸水溶液であり、前記第1スラリーは、前記鉄粉と前記リン酸水溶液とを反応させて形成する、ことを特徴とする請求項1に記載の炭素被覆リン酸鉄リチウム材料の製造方法。
【請求項8】
前記第3スラリーは噴霧乾燥方式により乾燥される、ことを特徴とする請求項1に記載の炭素被覆リン酸鉄リチウム材料の製造方法。
【請求項9】
前記第3スラリーが、550℃~750℃の焼結温度で焼結される、ことを特徴とする請求項1に記載の炭素被覆リン酸鉄リチウム材料の製造方法。
【請求項10】
前記第3スラリーは非酸化雰囲気で焼結される、ことを特徴とする請求項1に記載の炭素被覆リン酸鉄リチウム材料の製造方法。
【請求項11】
前記炭素被覆リン酸鉄リチウム材料の前記炭素重量含有率が1.0%~1.6%である、ことを特徴とする請求項1に記載の炭素被覆リン酸鉄リチウム材料の製造方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、正極材料の製造方法に関し、特に、炭素被覆リン酸鉄リチウム材料の製造方法に関する。
【背景技術】
【0002】
リチウムイオン電池は、良好なサイクル充放電特性および高いエネルギー密度により、エネルギー貯蔵の分野で広く使用されている。中でも、リン酸鉄リチウム(LiFePO)を正極材料に用いたリチウムイオン電池は、材料コストが安く、安全性が高いという特徴があり、開発の潜在力を持つ電池として注目されている。しかしながら、リン酸鉄リチウムのオリビン構造により、リチウムイオンの拡散性と電子伝導性が低く、リン酸鉄リチウムの応用が制限される。
【0003】
上記の欠点を考慮して、現在の産業のほとんどは、性能を改善するために、リン酸鉄リチウムを炭素コーティング(被覆)する。従来の炭素コーティング工程では、リチウム含有スラリーがアルカリ性であり且つ粉砕工程により温度が上昇するため、炭素源がこのアルカリ性かつ高温の環境下で容易に酸化、分解され、最終的に形成された炭素被覆リン酸鉄リチウム材料の炭素含有量が減少する。また、粉砕中の温度差異によってもスラリー中のリチウム塩の溶解度が変化し、それによって製造される炭素被覆リン酸鉄リチウム材料の品質安定性が低下する。そのため、従来の炭素被覆過程で製造された炭素被覆リン酸鉄リチウム材料は、炭素含有量が不足することが多く、品質も不安定である。
【0004】
このような事情に鑑みてなされたものであり、本発明では、炭素被覆リン酸鉄リチウム材料の炭素含有量を確保し、同時に製品品質の安定性を向上させるために、スラリー温度を制御する炭素被覆リン酸鉄リチウム材料の製造方法を提供する。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
本発明の目的は、炭素被覆リン酸鉄リチウム材料の炭素含有量を確保し、同時に製品品質の安定性を向上させるために、スラリー温度を制御する炭素被覆リン酸鉄リチウム材料の製造方法を提供することである。まず、炭素源(材料)と、リチウム源(材料)と、鉄源(材料)およびリン源(材料)で形成された第1スラリーとを提供する。次に、第1スラリーと炭素源(材料)とリチウム源(材料)とを混合して第2スラリーを形成し、そして、第2スラリーを25℃~40℃のバレル内で粉砕して第3スラリーを形成する。最後に、第3スラリーを乾燥および焼結させ、炭素被覆リン酸鉄リチウム材料を形成する。スラリー温度を特定の温度範囲内に制御することにより、スラリー中のリチウム源の溶解度の均一性(一致性)を確保することができ、同時にスラリー中の炭素源が高温環境下で酸化分解するのを防ぎ、炭素被覆リン酸鉄リチウム材料の炭素含有量を確保し、製品の品質を安定性が向上する。さらに、スラリー温度は例えば冷却水ジャケットを介した液冷などにより制御されており、冷却水ジャケットは、スラリーを収容するバレルの内部空間を取り囲むように配置され、温度の上昇と下降をスムーズ且つ均一に制御できるので、製品の品質の安定性をさらに向上させる。
【0006】
上述した目的を達成するために、本発明は、炭素被覆リン酸鉄リチウム材料の製造方法を提供する。炭素被覆リン酸鉄リチウム材料の製造方法は、第1スラリーと炭素源とリチウム源とを提供するステップ(a)であって、第1スラリーは鉄源およびリン源で形成されるステップ(a)と、第1スラリーと炭素源とリチウム源とを混合して第2スラリーを形成し、バレル内で第2スラリーを第1温度で粉砕して第3スラリーを形成し、第1温度が25℃~40℃であるステップ(b)と、第3スラリーを乾燥および焼結させて炭素被覆リン酸鉄リチウム材料を形成し、炭素被覆リン酸鉄リチウム材料がコア層と被覆層とを備え、被覆層がコア層を被覆し、コア層がリチウム源と鉄源とリン源とで形成され、被覆層が炭素源で形成されるステップ(c)とを含む。
【0007】
ある実施形態では、第1温度は液冷方式で維持される。
【0008】
ある実施形態では、バレルは第1空間と冷却水ジャケットとを備え、第1空間が第2スラリーおよび第3スラリーを収容するために構成され、冷却水ジャケットが第1空間を取り囲むように設けられ、且つ液冷方式は冷却水ジャケットを介して行う。
【0009】
ある実施形態では、冷却水ジャケットは少なくとも2つの流路および第2空間を備え、第2空間は少なくとも2つの流路の間に連通されかつ第1空間を取り囲み、少なくとも2つの流路は、第2空間に液体が流入および流出するように設けられる。
【0010】
ある実施形態では、炭素源、リチウム源および第1スラリーは、ボールミル方式で粉砕する。
【0011】
ある実施形態では、第2スラリーおよび第3スラリーはアルカリ性である。
【0012】
ある実施形態では、鉄源が鉄粉であり、リン源がリン酸水溶液であり、第1スラリーが鉄粉とリン酸水溶液とを反応させて形成する。
【0013】
ある実施形態では、第3スラリーは噴霧乾燥方式により乾燥される。
【0014】
ある実施形態では、第3スラリーは焼結温度で焼結させ、焼結温度が550℃~750℃である。
【0015】
ある実施形態では、第3スラリーは非酸化雰囲気で焼結される。
【0016】
ある実施形態では、炭素被覆リン酸鉄リチウム材料の炭素含有比率が1.0%~1.6%である。
【図面の簡単な説明】
【0017】
図1】本発明の実施形態における炭素被覆リン酸鉄リチウム材料の製造方法フローチャートである。
図2A】本発明の実施形態におけるバレルの立体構造概念図である。
図2B図2Aに示す本発明のA-A'線の断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0018】
本発明の特徴と利点を示すいくつかの典型的な実施形態について、後述の説明において詳細に記述する。本発明は異なる態様において様々な変更を加えることができ、いずれも本発明の範囲から逸脱することなく、かつその説明及び図面は本質的に説明するために用いられものであり、本発明を限定する意図はないことを理解されたい。本発明の広い範囲の数値範囲およびパラメータはいずれも近似値であるが、具体的な場合には可能な限り正確に数値を記載している。「第1」、「第2」、「第3」などの用語は、特許請求の範囲において異なる構成要素を記述するために用いられることができるが、これらの構成要素はこれらの用語によって限定されるべきではなく、実施形態において記述されたこれらの構成要素は異なる構成要素記号によって示されることを理解されたい。これらの用語は、異なる構成要素を区別するためのものである。例えば、第1構成要素は第2構成要素と称されることができ、同様に、第2構成要素も第1構成要素と称されることができ、実施形態の範囲から逸脱することがない。また、明細書の用語「および/または」とは、1つまたは複数の関連特徴のいずれ1つまたはその組合せを意味している。また、「約」という用語は、当業者によって一般に受け入れられる標準誤差範囲内の平均値を指す。操作/動作に関する実施形態において明確に定義しない限り、本明細書に記載されているすべての数値範囲、量、数値およびパーセントなど(例えば、角度、維持時間、温度、操作条件、割合及びそれに相当するパーセントなど)はいずれも、すべての実施形態において用語の「約」または「実質的に」に理解すべきである。内容に記載されない限り、本発明及び特許請求の範囲の数値はいずれも、必要に応じて変化しえる近似値に取ることができる。例えば、各パラメータは、少なくとも記載されている有効桁数に照らして、通常の丸めの原則を適用して解釈しても良い。また、本明細書での数値範囲は、一方の端点から他方の端点まで、または2つの端点の間の範囲として表することができる。本明細書に記載されているすべての範囲は、特に定義されていない限り、端点を含むことを留意されたい。
【0019】
図1図2Bを参照されたい。図1は、本発明の実施形態における炭素被覆リン酸鉄リチウム材料の製造方法フローチャートである。図2Aは、本発明の実施形態のバレルの立体構造概念図である。図2Bは、図2AのA-A'線の断面図である。本実施形態では、炭素被覆リン酸鉄リチウム材料の製造方法は以下のステップを含む。まず、ステップS1に示すように、第1スラリーと、炭素源と、リチウム源とを提供(用意)する。第1スラリーは鉄源とリン源とで形成される。本実施形態では、鉄源は例えば鉄粉であり、リン源は例えばリン酸(HPO)であり、且つ第1スラリーは例えば鉄粉とリン酸水溶液を反応させて形成する。より安定な第1スラリーを形成するには、反応時間は、例えば17時間~24時間である。炭素源は、例えば、グルコース、フルクトース、ガラクトース、スクロース、マルトースまたはラクトースなどの水溶性糖類が挙げられるが、本発明はこれに限定されない。リチウム源は、例えば、水酸化リチウム(LiOH)、炭酸リチウム(LiCO)、硝酸リチウム(LiNO)または塩化リチウム(LiCl)などのリチウム塩が挙げられるが、本発明はこれに限定されない。なお、リチウム源は、例えば、複数の異なるリチウム塩の組合せでもよく、本発明はこれに限定されない。
【0020】
次に、ステップS2に示すように、第1スラリーと炭素源とリチウム源とを混合して第2スラリーを形成し、バレル1内の第2スラリーを第1温度で粉砕して第3スラリーを形成する。ここで、第1温度が25℃~40℃であり、好ましくは、27℃~35℃である。本実施形態では、炭素源とリチウム源と第1スラリーとは、例えば、第2温度で混合して反応させることで第2スラリーを形成する。第2温度は、例えば、50℃以下であり、好ましくは、30℃~50℃である。第2スラリーは、例えば、ボールミル方式を用いて、9時間~12時間粉砕して第3スラリーを形成する。第3スラリーのメジアン粒径(D50)は例えば1.0μmである。第2スラリーおよび第3スラリーはアルカリ性である。なお、本発明の粉砕条件および第3スラリーのメジアン粒径(D50)はこれに限定されず、実際の需要に応じて調整することができる。
【0021】
本実施形態では、バレル1は、第1空間10と冷却水ジャケット20とを備える。第1空間10は、第2スラリーと第3スラリーとを収容するために設けられる。冷却水ジャケット20は、第1空間10を取り囲むように設けられる。第1温度は、冷却水ジャケット20により液冷方式で維持することができる。冷却水ジャケット20は、第2空間21と第1流路22と第2流路23とを備える。第2空間21は、第1流路22と第2流路23との間に接続され、かつ第1空間10を取り囲む。本実施形態では、第2空間21は、例えば、第1空間10と同心で、第1空間10を環状に取り囲む螺旋状の流路である。第1流路22および第2流路23は、第2空間21に液体が流入および流出できるように構成されている。本実施形態では、液体が第1流路22に沿って第2空間21に流入し、第2スラリーの熱が第1空間10から第2空間21に伝達し、第2空間21中の液体に吸収される。熱を吸収した液体が第2流路23に沿って流出する。バレル1の冷却水ジャケット20中の液体流動を介して、バレル1中の第2スラリーの温度が維持される。また、液体が流れる第2空間21は、スラリーを収容する第1空間10を取り囲むように設置されており、温度の上昇および下降をスムーズ且つ均一に制御でき、スラリー中のリチウム源の溶解度の均一性(一致性)を確保し、同時に、高温環境でのスラリー中の炭素源の酸化分解を防ぐことができる。本実施形態では、第1流路22および第2流路23は例えば垂直方向(Z軸方向)に沿ってバレル1の上部および下部に配置されている。別の実施形態では、第1流路22は、液体が第2空間21に流入するように構成され、第2流路23は、液体が第2空間21から流出するように構成され、第1流路22および第2流路23は例えばいずれもバレル1の上部に配置される。別の実施形態では、第1流路22は、液体が第2空間21に流入するように構成され、第2流路23は、液体が第2空間21から流出するように構成され、第1流路22および第2流路23は例えばいずれもバレル1の下部に配置される。また、別の実施形態では、第1流路22は、液体が第2空間21に流入するように構成され、第2流路23は、液体が第2空間21から流出するように構成され、2つの第1流路22はそれぞれ垂直方向(Z軸方向)に沿ってバレルの上部および下部(バレルの上部空間および下部空間)に配置され、且つ2つの第2流路23も垂直方向(Z軸方向)に沿ってバレルの上部および下部(バレルの上部空間および下部空間)に配置されるが、その詳細を省略する。なお、本発明では、第2空間21に液体の流入および流出するための流路の数や構成は限定されず、その詳細を省略する。本実施形態では、バレル1は、例えば、供給口30と排出口40と蓋部材50を備え、供給口30と排出口40はそれぞれ第1空間10に連通する。粉砕アセンブリ(図示せず)は、第1空間10に連通するために、例えば供給口30と排出口40とに接続される。混合粉砕過程では、第2スラリーは、例えば、排出口40を介して、第1空間10から排出され、粉砕アセンブリに供給され、粉砕ステップで粉砕され、その後、供給口30を介して、粉砕アセンブリから排出され、第1空間10に供給され、混合および冷却を行う。これによって、混合粉砕過程中にスラリーを継続的に冷却することができ、温度がスムーズ且つ均一に制御され、製品の品質の安定性が向上する。蓋部材50は、例えば、第1空間10の上方に配置され、第1空間10を垂直方向(Z軸方向)から遮蔽することで、工程中のスラリーへの不純物および異物の混入を防ぐことができる。本実施形態では、蓋部材50は、例えば、貫通孔51をさらに備え、前記貫通孔51は、固体のリチウム塩を第1空間10に投入するために用いられる。貫通孔51は、第1空間10にリチウム塩を投入するか、または第1空間10に温度計を入れて内部スラリーの温度を測定するなど、複数に設けられてもよく、且つ直径が行ってもよい。本発明はこれに限定されない。なお、第2温度が50℃以下に制御されるように、炭素源、リチウム源および第1スラリーは、例えば、バレル1内で混合して反応させて第2スラリーを形成してもよい。
【0022】
最後に、ステップS3に示すように、第3スラリーを乾燥および焼結させ、炭素被覆リン酸鉄リチウム材料を形成する。炭素被覆リン酸鉄リチウム材料は、コア層と被覆層とを備え、被覆層はコア層を被覆し、コア層はリチウム源と鉄源とリン源とで構成され、被覆層は炭素源で構成される。本実施形態では、前ステップの生成物は、例えば、噴霧乾燥方式で乾燥され、且つ例えば非酸化雰囲気および550℃~750℃の温度下で7時間~15時間の焼結を行う。炭素被覆リン酸鉄リチウム材料の炭素含有比率は、例えば、1.0%~1.6%である。なお、本発明の乾燥方式、焼結条件および炭素被覆リン酸鉄リチウム材料の炭素含有比率はこれに限定されず、実際の需要に応じて調整することができる。
【0023】
以下、実施例を用いて本発明炭素被覆リン酸鉄リチウム材料の製造過程および効果を詳細に説明する。
【0024】
第1実施例:
第1スラリーと、炭素源と、リチウム源とを提供する。第1スラリーは、5585gの鉄粉と11529gの85%リン酸水溶液と40Lの脱イオン水とをバレル内で20時間反応させて形成する。本実施例では、炭素被覆リン酸鉄リチウム材料の目標重量が1578gであり、目標炭素含有比率(目標炭素重量含有率)が1.30%であり、炭素被覆リン酸鉄リチウム材料中の炭素重量が第3スラリー中の炭素重量の50%(すなわち、焼結工程では50%の炭素重量が損耗した)であるため、41.0gの炭素を投入する必要がある。本実施例の炭素源がグルコースであり、分子中の炭素原子の質量割合が40%であるため、41.0gの炭素重量を満たすためには102.5gのグルコースを提供する必要がある。リチウム源が1197gの水酸化リチウム(LiOH)および1847gの炭酸リチウム(LiCO)である。5585gの鉄粉は100モルの鉄を含有し、11529gの85%リン酸水溶液は100モルのリンを含有し、1197gの水酸化リチウムおよび1847gの炭酸リチウムは全部で100モルのリチウムを含有し、これによって、100モルのリン酸鉄リチウム(LiFePO)を生成することができる。
【0025】
次に、102.5gのグルコース、1197gの水酸化リチウムおよび1847gの炭酸リチウムを、撹拌している第1スラリーに添加して反応させて第2スラリーを形成する。ボールミル方式により第2スラリーを粉砕して第3スラリーを形成する。粉砕中、第2スラリーの温度は、バレルの冷却水ジャケットにより液冷方式で25℃に維持される。第3スラリーのメジアン粒径が1.0μmである。
【0026】
最後に、第3スラリーを乾燥および焼結し、炭素被覆リン酸鉄リチウム材料を形成する。噴霧乾燥方式により乾燥させ、且つ窒素雰囲気および550℃~750℃の温度で10時間の焼結を行って炭素被覆リン酸鉄リチウム材料を形成した。第1実施例の炭素被覆リン酸鉄リチウムをBET比表面積測定法により分析したところ、比表面積が9.60cm/gであることが分かった。元素分析装置により第1実施例の炭素被覆リン酸鉄リチウムを分析したところ、炭素含有比率が1.15%であることが分かった。
【0027】
第1比較例:
第1比較例は、第1実施例の製造過程と概ね同じであるが、混合および粉砕の時、第1比較例の第2スラリーの温度が45℃に維持される。第1比較例の炭素被覆リン酸鉄リチウムをBET比表面積測定法により分析したところ、比表面積が8.58cm/gであることが分かった。元素分析装置により第1比較例の炭素被覆リン酸鉄リチウムを分析したところ、炭素含有比率が1.02%であることが分かった。
【0028】
表一を参照されたい。表一は、第1実施例および第1比較例のスラリー温度(℃)並びに形成された炭素被覆リン酸鉄リチウムの比表面積(cm/g)および炭素含有量(炭素重量含有率、%)を示している。目標炭素含有比率1.30%と比較すると、第1実施例で形成された炭素被覆リン酸鉄リチウムの炭素含有量の損耗率が11.5%であり、第1比較例で形成された炭素被覆リン酸鉄リチウムの炭素含有量の損耗率が21.5%であることが分かった。これにより、スラリー温度が25℃である第1実施例の炭素損耗程度は、スラリー温度が45℃である第1比較例よりも小さく、且つ第1実施例の炭素被覆リン酸鉄リチウムの比表面積は、第1比較例よりも大きいことが分かる。言い換えれば、冷却水ジャケットにより液冷方式でスラリー温度を25℃~40℃に制御することで、スラリー中のリチウム源の溶解度の均一性(一致性)を確保でき、同時に、高温環境でスラリー中の炭素源の酸化分解を防ぎ、炭素被覆リン酸鉄リチウム材料の炭素含有量を確保でき、製品の品質の安定性が向上することができる。

【0029】
第2実施例:
第1スラリーと、炭素源と、リチウム源とを提供する。第1スラリーは、5585gの鉄粉、11529gの85%リン酸水溶液および40Lの脱イオン水をバレル内で20時間反応させて形成した。本実施例では、炭素被覆リン酸鉄リチウム材料の目標重量が1578gであり、目標炭素含有比率(目標炭素重量含有率)が1.40%であり、炭素被覆リン酸鉄リチウム材料中の炭素重量が第3スラリー中の炭素重量の50%(すなわち、焼結過程で50%の炭素重量が損耗した)であるため、44.2gの炭素を投入する必要がある。また、本実施例の炭素源がグルコースであり、分子中の炭素原子の質量割合が40%であり、44.2gの炭素重量を満たすためには、110.5gのグルコースを提供する必要がある。リチウム源は、1197gの水酸化リチウム(LiOH)および1847gの炭酸リチウム(LiCO)である。5585gの鉄粉は、100モルの鉄を含有し、11529gの85%リン酸水溶液は、100モルのリンを含有し、1197gの水酸化リチウムおよび1847gの炭酸リチウムは全部で100モルのリチウムを含有し、これによって、100モルのリン酸鉄リチウム(LiFePO)を生成することができる。
【0030】
次に、110.5gのグルコース、1197gの水酸化リチウムおよび1847gの炭酸リチウムを、撹拌している第1スラリーに添加して反応させて第2スラリーを形成する。ボールミル方式により第2スラリーを粉砕して第3スラリーを形成する。粉砕中、第2スラリーの温度がバレルの冷却水ジャケットにより液冷方式で27℃に維持された。第3スラリーのメジアン粒径が1.0μmである。
【0031】
最後に、第3スラリーを乾燥および焼結させ、炭素被覆リン酸鉄リチウム材料を形成する。噴霧乾燥方式により乾燥させ、且つ窒素雰囲気下で550℃~750℃の温度で10時間の焼結を行って炭素被覆リン酸鉄リチウム材料を形成した。第2実施例の炭素被覆リン酸鉄リチウムをBET比表面積測定法で分析したところ、比表面積が9.40cm/gであることが分かった。第2実施例の炭素被覆リン酸鉄リチウムを元素分析装置により分析したところ、炭素含有比率(炭素重量含有率)が1.25%であることが分かった。
【0032】
第2比較例:
第2比較例は、第2実施例の製造過程と概ね同じであるが、混合および粉砕の時、第2比較例の第2スラリーの温度が45℃に維持された。第2比較例の炭素被覆リン酸鉄リチウムをBET比表面積測定法で分析したところ、比表面積が9.04cm/gであることが分かった。第2比較例の炭素被覆リン酸鉄リチウムを元素分析装置により分析したところ、炭素含有比率(炭素重量含有率)が1.11%であることが分かった。
【0033】
表二を参照されたい。表二は、第2実施例および第2比較例のスラリー温度(℃)並びに形成された炭素被覆リン酸鉄リチウムの比表面積(cm/g)および炭素含有量(炭素重量含有率、%)を示している。目標炭素含有比率(目標炭素重量含有率)1.40%と比較すると、第2実施例で形成された炭素被覆リン酸鉄リチウムの炭素含有量の損耗率が10.7%であり、第2比較例で形成された炭素被覆リン酸鉄リチウムの炭素含有量の損耗率が20.7%である。これにより、スラリー温度が27℃である第2実施例の炭素損耗程度は、スラリー温度が45℃である第2比較例よりも小さく、且つ第2実施例の炭素被覆リン酸鉄リチウムの比表面積は、第2比較例よりも大きい。また、スラリー温度が27℃である第2実施例の炭素損耗程度は、スラリー温度が25℃である第1実施例よりも小さい。言い換えれば、冷却水ジャケットにより液冷方式でスラリー温度を27℃~40℃に制御することによって、スラリー中のリチウム源の溶解度の均一性(一致性)を確保し、同時に、高温環境でスラリー中の炭素源の酸化分解を防ぎ、炭素被覆リン酸鉄リチウム材料の炭素含有量を確保でき、製品の品質の安定性が向上することができる。
【0034】
第3実施例:
第1スラリー、炭素源およびリチウム源を提供する。第1スラリーは、5585gの鉄粉、11529gの85%リン酸水溶液および40Lの脱イオン水をバレル内で20時間反応させて形成した。本実施例では、炭素被覆リン酸鉄リチウム材料の目標重量が1578gであり、目標炭素含有比率(目標炭素重量含有率)が1.40%であり、炭素被覆リン酸鉄リチウム材料中の炭素重量が第3スラリー中の炭素重量の50%(すなわち、焼結過程で50%炭素重量が損耗した)であるため、44.2gの炭素を投入する必要がある。また、本実施例の炭素源は、グルコースであり、分子中の炭素原子の質量割合が40%であり、44.2gの炭素重量を満たすために、110.5gのグルコースを提供する必要がある。リチウム源は、1197gの水酸化リチウム(LiOH)および1847gの炭酸リチウム(LiCO)である。5585gの鉄粉は、100モルの鉄を含有し、11529gの85%リン酸水溶液は、100モルのリンを含有し、1197gの水酸化リチウムおよび1847gの炭酸リチウムは全部で100モルのリチウムを含有し、これによって、100モルのリン酸鉄リチウム(LiFePO)を生成することができる。
【0035】
次に、110.5gのグルコース、1197gの水酸化リチウムおよび1847gの炭酸リチウムを、撹拌している第1スラリーに添加して反応させ、第2スラリーを形成した。ボールミル方式により第2スラリーを粉砕して第3スラリーを形成した。粉砕中、第2スラリーの温度は、バレルの冷却水ジャケットにより液冷方式で25℃に維持された。第3スラリーのメジアン粒径が1.0μmである。
【0036】
最後に、第3スラリーを乾燥および焼結させ、炭素被覆リン酸鉄リチウム材料を形成する。噴霧乾燥方式により乾燥させ、且つ窒素雰囲気で550℃~750℃の温度で10時間の焼結を行って炭素被覆リン酸鉄リチウム材料を形成する。第3実施例の炭素被覆リン酸鉄リチウムをBET比表面積測定法で分析したところ、比表面積が9.82cm/gであることが分かった。第3実施例の炭素被覆リン酸鉄リチウムを元素分析装置により分析したところ、炭素含有比率が1.24%であることが分かった。
【0037】
第4実施例:
第4実施例は、第3実施例の製造過程と概ね同じであるが、混合および粉砕の時、第4実施例の第2スラリーの温度が35℃に維持された。第4実施例の炭素被覆リン酸鉄リチウムをBET比表面積測定法で分析したところ、比表面積が10.08cm/gであることが分かった。第4実施例の炭素被覆リン酸鉄リチウムを元素分析装置により分析したところ、炭素含有比率が(炭素重量含有率)1.28%であることが分かった。
【0038】
表三を参照されたい。表三は、第3実施例および第4実施例のスラリー温度(℃)並びに形成された炭素被覆リン酸鉄リチウムの比表面積(cm/g)および炭素含有量(炭素重量含有率、%)を示している。目標炭素含有比率(目標炭素重量含有率)1.40%と比較すると、第3実施例で形成された炭素被覆リン酸鉄リチウムの炭素含有量の損耗率が11.4%であり、第4実施例で形成された炭素被覆リン酸鉄リチウムの炭素含有量の損耗率が8.6%である。これにより、スラリー温度が35℃である第4実施例の炭素損耗程度は、スラリー温度が25℃である第3実施例よりも小さく、且つ第4実施例の炭素被覆リン酸鉄リチウムの比表面積は、第3実施例よりも大きい。言い換えれば、冷却水ジャケットにより液冷方式でスラリー温度を27℃~35℃に制御することで、スラリー中のリチウム源の溶解度の均一性(一致性)を確保し、同時に、高温環境でスラリー中の炭素源の酸化分解を防ぎ、炭素被覆リン酸鉄リチウム材料の炭素含有量を確保し、製品の品質の安定性が向上することができる。
【0039】
第5実施例:
第1スラリー、炭素源およびリチウム源を提供する。第1スラリーは、5585gの鉄粉、11529gの85%リン酸水溶液および40Lの脱イオン水をバレル内で20時間反応させて形成した。本実施例では、炭素被覆リン酸鉄リチウム材料の目標重量が1578gであり、目標炭素含有比率(目標炭素重量含有率)が1.20%であり、且つ炭素被覆リン酸鉄リチウム材料中の炭素重量が第3スラリー中の炭素重量の50%(すなわち、焼結過程で50%炭素重量が損耗した)であるため、37.9gの炭素を投入する必要がある。また、本実施例の炭素源がグルコースであり、分子中の炭素原子の質量割合が40%であり、37.9gの炭素重量を満たすためには94.7gのグルコースを提供する必要がある。リチウム源は、1197gの水酸化リチウム(LiOH)および1847gの炭酸リチウム(LiCO)である。5585gの鉄粉は、100モルの鉄を含有し、11529gの85%リン酸水溶液は、100モルのリンを含有し、1197gの水酸化リチウムおよび1847gの炭酸リチウムは全部で100モルのリチウムを含有し、これによって、100モルのリン酸鉄リチウム(LiFePO)を生成することができる。
【0040】
次に、94.7gのグルコース、1197gの水酸化リチウムおよび1847gの炭酸リチウムを、撹拌している第1スラリーに添加して反応させ、第2スラリーを形成する。ボールミル方式により第2スラリーを粉砕して第3スラリーを形成する。粉砕中、第2スラリーの温度がバレルの冷却水ジャケットにより液冷方式で25℃に維持された。第3スラリーのメジアン粒径が1.0μmである。
【0041】
最後に、第3スラリーを乾燥および焼結させ、炭素被覆リン酸鉄リチウム材料を形成する。噴霧乾燥方式により乾燥させ、且つ窒素雰囲気で550℃~750℃の温度で10時間の焼結を行って炭素被覆リン酸鉄リチウム材料を形成した。第5実施例の炭素被覆リン酸鉄リチウムをBET比表面積測定法により分析したところ、比表面積が8.97cm/gであることが分かった。第5実施例の炭素被覆リン酸鉄リチウムを元素分析装置により分析したところ、炭素含有比率が1.10%であることが分かった。
【0042】
第6実施例:
第6実施例は、第5実施例の製造過程と概ね同じであるが、混合および粉砕の時、第6実施例の第2スラリーの温度が35℃に維持された。第6実施例の炭素被覆リン酸鉄リチウムをBET比表面積測定法により分析したところ、比表面積が9.34cm/gであることが分かった。第6実施例の炭素被覆リン酸鉄リチウムを元素分析装置により分析したところ、炭素含有比率が1.11%であることが分かった。
【0043】
表四を参照されたい。表四は、第5実施例および第6実施例のスラリー温度(℃)並びに形成された炭素被覆リン酸鉄リチウムの比表面積(cm/g)および炭素含有量(炭素重量含有率、%)を示している。目標炭素含有比率1.20%と比較すると、第5実施例で形成された炭素被覆リン酸鉄リチウムの炭素含有量の損耗率が8.3%であり、第6実施例で形成された炭素被覆リン酸鉄リチウムの炭素含有量の損耗率が7.5%である。これにより、スラリー温度が35℃である第6実施例の炭素損耗程度は、スラリー温度が25℃である第5実施例よりも小さく、且つ第6実施例の炭素被覆リン酸鉄リチウムの比表面積は、第5実施例よりも大きい。言い換えれば、冷却水ジャケットにより液冷方式でスラリー温度を27℃~35℃に制御することで、スラリー中のリチウム源の溶解度の均一性(一致性)を確保し、同時に、高温環境でスラリー中の炭素源の酸化分解を防ぎ、炭素被覆リン酸鉄リチウム材料の炭素含有量を確保し、製品の品質の安定性が向上することができる。
【0044】
上述したように、本発明は、炭素被覆リン酸鉄リチウム材料の炭素含有量を確保し、同時に製品品質の安定性を向上させるために、スラリー温度を制御する炭素被覆リン酸鉄リチウム材料の製造方法を提供する。まず、炭素源と、リチウム源と、鉄源およびリン源で形成された第1スラリーとを提供する。次に、第1スラリーと炭素源とリチウム源とを混合して第2スラリーを形成し、そして、第2スラリーを25℃~40℃のバレル内で粉砕して第3スラリーを形成する。最後に、第3スラリーを乾燥および焼結させ、炭素被覆リン酸鉄リチウム材料を形成する。スラリー温度を特定の温度範囲内に制御することにより、スラリー中のリチウム源の溶解度の均一性(一致性)を確保することができ、同時にスラリー中の炭素源が高温環境下で酸化分解するのを防ぎ、炭素被覆リン酸鉄リチウム材料の炭素含有量を確保し、製品の品質を安定性が向上する。さらに、スラリー温度は例えば冷却水ジャケットを介した液冷などにより制御されており、冷却水ジャケットは、スラリーを収容するバレルの内部空間を取り囲むように配置され、温度の上昇と下降をスムーズ且つ均一に制御できるので、製品の品質の安定性をさらに向上させることができる。
【0045】
本発明は、当業者なら様々な修正を加えることができるが、特許請求の範囲によって定義される範囲から逸脱することはない。
【符号の説明】
【0046】
1:バレル
10:第1空間
20:冷却水ジャケット
21:第2空間
22:第1流路
23:第2流路
30:供給口
40:排出口
50:蓋部材
A-A':線
S1、S2、S3:ステップ
X、Y、Z:軸
図1
図2A
図2B
【外国語明細書】