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特開2024-137697飛行管理装置、飛行管理方法及び飛行管理プログラム
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024137697
(43)【公開日】2024-10-07
(54)【発明の名称】飛行管理装置、飛行管理方法及び飛行管理プログラム
(51)【国際特許分類】
   G08G 5/00 20060101AFI20240927BHJP
【FI】
G08G5/00 A
【審査請求】有
【請求項の数】13
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2024001437
(22)【出願日】2024-01-09
(62)【分割の表示】P 2023046357の分割
【原出願日】2023-03-23
(71)【出願人】
【識別番号】000208891
【氏名又は名称】KDDI株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110004222
【氏名又は名称】弁理士法人創光国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】田中 卓弥
【テーマコード(参考)】
5H181
【Fターム(参考)】
5H181AA26
5H181BB04
5H181FF13
5H181FF17
5H181MC15
5H181MC19
5H181MC22
5H181MC24
(57)【要約】
【課題】有事が発生した場所に向かって飛行する飛行装置が安定して通信できるようにする。
【解決手段】飛行管理装置1は、複数の飛行装置を管理するための飛行管理装置であって、災害又は緊急事態の少なくとも一方が発生した場所である有事発生場所を示す情報を取得する取得部121と、複数の飛行装置のうち、有事発生場所に向かって飛行している又は飛行する予定の第1飛行装置を特定する特定部122と、複数の飛行装置のうち、第1飛行装置とは異なる第2飛行装置が行う通信であって、第1飛行装置が行う通信と通信帯域を共有する通信の通信量を減少させるための制御信号を、第2飛行装置に送信する通信量制御部125と、を有する。
【選択図】図2

【特許請求の範囲】
【請求項1】
複数の飛行装置を管理するための飛行管理装置であって、
災害又は緊急事態の少なくとも一方が発生した場所である有事発生場所を示す情報を取得する取得部と、
前記複数の飛行装置のうち、前記有事発生場所に向かって飛行している又は飛行する予定の第1飛行装置を特定する特定部と、
前記複数の飛行装置のうち前記第1飛行装置とは異なる第2飛行装置が行う通信であって、前記第1飛行装置が行う通信と通信帯域を共有する通信の通信量を減少させるための制御信号を、前記第2飛行装置に送信する通信量制御部と、
を有し、
前記通信量制御部は、前記有事発生場所と前記第2飛行装置が飛行している又は飛行する予定の位置との間の位置関係に応じて異なる前記制御信号を前記第2飛行装置に送信する、
飛行管理装置。
【請求項2】
前記通信量制御部は、前記第1飛行装置が前記有事発生場所に向かって飛行していることを条件として、前記制御信号を前記第2飛行装置に送信する、
請求項1に記載の飛行管理装置。
【請求項3】
前記第1飛行装置が行う通信に対して、前記第2飛行装置が行う通信よりも高い優先度を割り当てる優先度割当部をさらに有し、
前記通信量制御部は、前記第2飛行装置が行う通信の前記優先度が、前記第1飛行装置が行う通信の前記優先度よりも低いことを条件として、前記制御信号を前記第2飛行装置に送信する、
請求項1又は2に記載の飛行管理装置。
【請求項4】
前記制御信号は、前記第2飛行装置が備える撮像装置による撮像を停止させることと、又は前記撮像装置によって撮像された撮像データの送信を停止させることと、の少なくとも一方を前記第2飛行装置に行わせる信号である、
請求項1又は2に記載の飛行管理装置。
【請求項5】
前記制御信号は、前記第2飛行装置が備える撮像装置によって撮像された撮像データの符号化形式又は記録形式の少なくとも一方を、第1形式から前記第1形式よりもデータ容量の小さい第2形式に変更させる信号である、
請求項1又は2に記載の飛行管理装置。
【請求項6】
前記制御信号は、前記第2飛行装置が通信に用いる通信回線を、前記第1飛行装置が行う通信に用いられる通信回線から、前記第1飛行装置が行う通信に用いられる通信回線とは異なる通信回線に変更させる信号である、
請求項1又は2に記載の飛行管理装置。
【請求項7】
前記第1飛行装置が行う通信と通信帯域を共有する通信を行う前記第2飛行装置を選択する選択部をさらに有し、
前記通信量制御部は、前記選択部が選択した前記第2飛行装置に前記制御信号を送信する、
請求項1又は2に記載の飛行管理装置。
【請求項8】
前記取得部は、前記第1飛行装置が飛行するための第1飛行経路を含む第1飛行計画情報と、前記第2飛行装置が飛行するための第2飛行経路を含む第2飛行計画情報と、を取得し、
前記選択部は、前記第1飛行計画情報及び前記第2飛行計画情報に基づいて、前記第1飛行装置及び前記第2飛行装置が通信帯域を共有するか否かを判定することにより、通信帯域を共有すると判定した前記第2飛行装置を選択する、
請求項7に記載の飛行管理装置。
【請求項9】
前記選択部は、前記第1飛行経路と前記第2飛行経路とが地図上の同一の領域を通過することを条件として、前記第1飛行装置及び前記第2飛行装置が通信帯域を共有すると判定する、
請求項8に記載の飛行管理装置。
【請求項10】
前記選択部は、前記第1飛行計画情報が含む飛行予定期間内のいずれかの日時において、前記第1飛行装置と前記第2飛行装置とが前記領域に位置することを条件として、前記第1飛行装置及び前記第2飛行装置が通信帯域を共有すると判定する、
請求項9に記載の飛行管理装置。
【請求項11】
前記選択部は、前記第1飛行計画情報が含む飛行予定期間内のいずれかの日時において、前記第1飛行装置と前記第2飛行装置とが同一の基地局と通信することを条件として、前記第1飛行装置及び前記第2飛行装置が通信帯域を共有すると判定する、
請求項8に記載の飛行管理装置。
【請求項12】
前記複数の飛行装置のうち、前記有事発生場所から基準距離以内の範囲を飛行している又は飛行する予定の前記第2飛行装置を選択する選択部をさらに有し、
前記通信量制御部は、前記選択部が選択した前記第2飛行装置に前記制御信号を送信する、
請求項1又は2に記載の飛行管理装置。
【請求項13】
複数の飛行装置の飛行を管理するための飛行管理方法であって、
プロセッサが実行する、
災害又は緊急事態の少なくとも一方が発生した場所である有事発生場所を示す情報を取得するステップと、
前記複数の飛行装置のうち、前記有事発生場所に向かって飛行している又は飛行する予定の第1飛行装置を特定するステップと、
前記複数の飛行装置のうち前記第1飛行装置とは異なる第2飛行装置が行う通信であって、前記第1飛行装置が行う通信と通信帯域を共有する通信の通信量を減少させるための制御信号を、前記第2飛行装置に送信するステップと、
を有し、
前記送信するステップにおいて、前記有事発生場所と前記第2飛行装置が飛行している又は飛行する予定の位置との間の位置関係に応じて異なる前記制御信号を前記第2飛行装置に送信する、
飛行管理方法。
【請求項14】
複数の飛行装置の飛行を管理するための飛行管理プログラムであって、
プロセッサに、
災害又は緊急事態の少なくとも一方が発生した場所である有事発生場所を示す情報を取得するステップと、
前記複数の飛行装置のうち、前記有事発生場所に向かって飛行している又は飛行する予定の第1飛行装置を特定するステップと、
前記複数の飛行装置のうち前記第1飛行装置とは異なる第2飛行装置が行う通信であって、前記第1飛行装置が行う通信と通信帯域を共有する通信の通信量を減少させるための制御信号を、前記第2飛行装置に送信するステップと、
を実行させ、
前記送信するステップにおいて、前記有事発生場所と前記第2飛行装置が飛行している又は飛行する予定の位置との間の位置関係に応じて異なる前記制御信号を前記第2飛行装置に送信する、
飛行管理プログラム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、飛行装置の飛行に関する情報を処理するための飛行管理装置、飛行管理方法及び飛行管理プログラムに関する。
【背景技術】
【0002】
特許文献1には、飛行装置から他の飛行装置までの距離が所定の距離以下になったことに応じて、飛行装置に他の飛行装置を回避する動作を行わせる方法が開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2019-207556号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
災害、緊急事態等の有事が発生した際に、飛行装置を有事が発生した場所である有事発生場所に飛行させ、飛行装置に情報収集、避難誘導、物資供給等の有事に関する作業を行わせるシステムが考案されている。飛行装置は、他の飛行装置との間で通信帯域を共有する無線通信により、サーバとの間で情報を送受信しながら飛行することがある。飛行装置は、飛行中に通信帯域が混雑すると、安定して無線通信を行うことができなくなるため、有事に関する作業を遂行できなくなるおそれがある。
【0005】
そこで、本発明はこれらの点に鑑みてなされたものであり、有事が発生した場所に向かって飛行する飛行装置が安定して通信できるようにすることを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明の第1の態様の飛行管理装置は、複数の飛行装置を管理するための飛行管理装置であって、災害又は緊急事態の少なくとも一方が発生した場所である有事発生場所を示す情報を取得する取得部と、前記複数の飛行装置のうち、前記有事発生場所に向かって飛行している又は飛行する予定の第1飛行装置を特定する特定部と、前記複数の飛行装置のうち前記第1飛行装置とは異なる第2飛行装置が行う通信であって、前記第1飛行装置が行う通信と通信帯域を共有する通信の通信量を減少させるための制御信号を、前記第2飛行装置に送信する通信量制御部と、を有し、前記通信量制御部は、前記有事発生場所と前記第2飛行装置が飛行している又は飛行する予定の位置との間の位置関係に応じて異なる前記制御信号を前記第2飛行装置に送信する。
【0007】
前記通信量制御部は、前記第1飛行装置が前記有事発生場所に向かって飛行していることを条件として、前記制御信号を前記第2飛行装置に送信してもよい。
【0008】
前記飛行管理装置は、前記第1飛行装置が行う通信に対して、前記第2飛行装置が行う通信よりも高い優先度を割り当てる優先度割当部をさらに有し、前記通信量制御部は、前記第2飛行装置が行う通信の前記優先度が、前記第1飛行装置が行う通信の前記優先度よりも低いことを条件として、前記制御信号を前記第2飛行装置に送信してもよい。
【0009】
前記制御信号は、前記第2飛行装置が備える撮像装置による撮像を停止させることと、又は前記撮像装置によって撮像された撮像データの送信を停止させることと、の少なくとも一方を前記第2飛行装置に行わせる信号であってもよい。
【0010】
前記制御信号は、前記第2飛行装置が備える撮像装置によって撮像された撮像データの符号化形式又は記録形式の少なくとも一方を、第1形式から前記第1形式よりもデータ容量の小さい第2形式に変更させる信号であってもよい。
【0011】
前記制御信号は、前記第2飛行装置が通信に用いる通信回線を、前記第1飛行装置が行う通信に用いられる通信回線から、前記第1飛行装置が行う通信に用いられる通信回線とは異なる通信回線に変更させる信号であってもよい。
【0012】
前記飛行管理装置は、前記第1飛行装置が行う通信と通信帯域を共有する通信を行う前記第2飛行装置を選択する選択部をさらに有し、前記通信量制御部は、前記選択部が選択した前記第2飛行装置に前記制御信号を送信してもよい。
【0013】
前記取得部は、前記第1飛行装置が飛行するための第1飛行経路を含む第1飛行計画情報と、前記第2飛行装置が飛行するための第2飛行経路を含む第2飛行計画情報と、を取得し、前記選択部は、前記第1飛行計画情報及び前記第2飛行計画情報に基づいて、前記第1飛行装置及び前記第2飛行装置が通信帯域を共有するか否かを判定することにより、通信帯域を共有すると判定した前記第2飛行装置を選択してもよい。
【0014】
前記選択部は、前記第1飛行経路と前記第2飛行経路とが地図上の同一の領域を通過することを条件として、前記第1飛行装置及び前記第2飛行装置が通信帯域を共有すると判定してもよい。
【0015】
前記選択部は、前記第1飛行計画情報が含む飛行予定期間内のいずれかの日時において、前記第1飛行装置と前記第2飛行装置とが前記領域に位置することを条件として、前記第1飛行装置及び前記第2飛行装置が通信帯域を共有すると判定してもよい。
【0016】
前記選択部は、前記第1飛行計画情報が含む飛行予定期間内のいずれかの日時において、前記第1飛行装置と前記第2飛行装置とが同一の基地局と通信することを条件として、前記第1飛行装置及び前記第2飛行装置が通信帯域を共有すると判定してもよい。
【0017】
前記飛行管理装置は、前記複数の飛行装置のうち、前記有事発生場所から基準距離以内の範囲を飛行している又は飛行する予定の前記第2飛行装置を選択する選択部をさらに有し、前記通信量制御部は、前記選択部が選択した前記第2飛行装置に前記制御信号を送信してもよい。
【0018】
本発明の第2の態様の飛行管理方法は、複数の飛行装置の飛行を管理するための飛行管理方法であって、プロセッサが実行する、災害又は緊急事態の少なくとも一方が発生した場所である有事発生場所を示す情報を取得するステップと、前記複数の飛行装置のうち、前記有事発生場所に向かって飛行している又は飛行する予定の第1飛行装置を特定するステップと、前記複数の飛行装置のうち前記第1飛行装置とは異なる第2飛行装置が行う通信であって、前記第1飛行装置が行う通信と通信帯域を共有する通信の通信量を減少させるための制御信号を、前記第2飛行装置に送信するステップと、を有し、前記送信するステップにおいて、前記有事発生場所と前記第2飛行装置が飛行している又は飛行する予定の位置との間の位置関係に応じて異なる前記制御信号を前記第2飛行装置に送信する。
【0019】
本発明の第3の態様の飛行管理プログラムは、複数の飛行装置の飛行を管理するための飛行管理プログラムであって、プロセッサに、災害又は緊急事態の少なくとも一方が発生した場所である有事発生場所を示す情報を取得するステップと、前記複数の飛行装置のうち、前記有事発生場所に向かって飛行している又は飛行する予定の第1飛行装置を特定するステップと、前記複数の飛行装置のうち前記第1飛行装置とは異なる第2飛行装置が行う通信であって、前記第1飛行装置が行う通信と通信帯域を共有する通信の通信量を減少させるための制御信号を、前記第2飛行装置に送信するステップと、を実行させ、前記送信するステップにおいて、前記有事発生場所と前記第2飛行装置が飛行している又は飛行する予定の位置との間の位置関係に応じて異なる前記制御信号を前記第2飛行装置に送信する。
【0020】
【発明の効果】
【0021】
本発明によれば、有事が発生した場所に向かって飛行する飛行装置が安定して通信できるという効果を奏する。
【図面の簡単な説明】
【0022】
図1】実施形態に係る飛行管理システムの模式図である。
図2】実施形態に係る飛行管理装置のブロック図である。
図3】有事用飛行装置及び通常飛行装置と有事発生場所との関係を説明するための模式図である。
図4】選択部が通信セルを用いて通常飛行装置を選択する方法を説明するための模式図である。
図5】通信量制御部が、通常飛行装置が通信に用いる通信回線を変更する方法を説明するための模式図である。
図6】実施形態に係る飛行管理装置が実行する飛行管理方法のフローチャートを示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0023】
[飛行管理システムの概要]
図1は、本実施形態に係る飛行管理システムの模式図である。飛行管理システムは、飛行管理装置1と、複数の飛行装置2と、を含む。飛行管理システムは、その他の端末、装置等を含んでもよい。
【0024】
飛行管理装置1は、複数の飛行装置2を管理及び制御するコンピュータである。飛行管理装置1は、単一の装置、又は複数の装置である。また、飛行管理装置1は、コンピュータ資源の集合であるクラウド上で動作する一又は複数の仮想的なサーバであってもよい。飛行管理装置1は、無線通信によって飛行装置2との間で情報を送受信する。
【0025】
飛行装置2は、所定の飛行経路を飛行するドローン等の無人飛行装置である。飛行装置2は、飛行管理装置1が実行する処理のうち少なくとも一部を実行することにより、飛行管理装置1として機能してもよい。
【0026】
飛行装置2は、災害又は緊急事態の少なくとも一方に関連する目的で飛行する有事用飛行装置2A(第1飛行装置)と、その他の目的で飛行する通常飛行装置2B(第2飛行装置)と、を含む。有事用飛行装置2Aは、災害又は緊急事態の少なくとも一方が発生した場所である有事発生場所に向かう飛行経路を飛行する。また、有事用飛行装置2Aは、有事発生場所に飛行する途中又は到達した後に、有事発生場所近傍の撮像、有事発生場所近傍にいる人に対する避難誘導、有事発生場所への物資の供給等の所定の作業を行ってもよい。
【0027】
通常飛行装置2Bは、所定の飛行経路を飛行する。通常飛行装置2Bは、例えば、撮像装置を有し、撮像装置が飛行中に撮像することによって生成された撮像データを無線通信によって飛行管理装置1又はその他の装置に送信する。災害又は緊急事態の少なくとも一方が発生したことに応じて、複数の通常飛行装置2Bのうち一又は複数の飛行装置2が有事用飛行装置2Aとして機能してもよい。
【0028】
本実施形態に係る飛行管理装置1が実行する処理の概要を以下に説明する。飛行管理装置1は、災害又は緊急事態の少なくとも一方が発生した場所である有事発生場所を示す有事情報を取得する(図1の(1))。飛行管理装置1は、例えば、有事情報を提供する情報提供装置から有事情報を取得し、又は情報端末において入力された有事情報を取得する。
【0029】
飛行管理装置1は、複数の飛行装置2のうち、有事発生場所に向かって飛行している又は飛行する予定の有事用飛行装置2Aを特定する(図1の(2))。飛行管理装置1は、例えば、所定の記憶部に予め記憶された有事用飛行装置2Aを示す情報に基づいて、有事用飛行装置2Aを特定する。
【0030】
飛行管理装置1は、複数の飛行装置2のうち、通信量制御の対象とする通常飛行装置2Bを選択する(図1の(3))。飛行管理装置1は、例えば、有事用飛行装置2Aが飛行中に行う通信と通信帯域を共有する通信を行う通常飛行装置2B(例えば、有事用飛行装置2Aと同一のメッシュ状の領域を通過する予定の通常飛行装置2B等)を選択する。
【0031】
飛行管理装置1は、通常飛行装置2Bが行う通信であって、有事用飛行装置2Aが行う通信と通信帯域を共有する通信の通信量を減少させるための制御信号を、通常飛行装置2Bに送信する(図1の(4))。
【0032】
制御信号は、例えば、通常飛行装置2Bが備える撮像装置による撮像を停止させたり、撮像データの送信を停止させたりすることにより、有事用飛行装置2Aが行う通信と通信帯域を共有する通信の通信量を減少させる信号であってもよい。また、制御信号は、例えば、通常飛行装置2Bが通信に用いる通信回線を、有事用飛行装置2Aが行う通信に用いられる通信回線とは異なる通信回線に変更させることにより、有事用飛行装置2Aが行う通信と通信帯域を共有する通信の通信量を減少させる信号であってもよい。
【0033】
このように飛行管理装置1は、通常飛行装置2Bに対して、有事用飛行装置2Aが行う通信と通信帯域を共有する通信の通信量を減少させるための制御信号を送信する。これにより、飛行管理装置1は、有事用飛行装置2Aが有事発生場所に向かって飛行する際に行う通信の通信帯域が混雑する事態を抑制できるため、有事用飛行装置2Aに安定して通信させることができる。
【0034】
[飛行管理装置1の構成]
図2は、本実施形態に係る飛行管理装置1のブロック図である。図2において、矢印は主なデータの流れを示しており、図2に示したもの以外のデータの流れがあってもよい。図2において、各ブロックはハードウェア(装置)単位の構成ではなく、機能単位の構成を示している。そのため、図2に示すブロックは単一の装置内に実装されてもよく、あるいは複数の装置内に分かれて実装されてもよい。ブロック間のデータの授受は、データバス、ネットワーク、可搬記憶媒体等、任意の手段を介して行われてもよい。
【0035】
飛行管理装置1は、記憶部11と、制御部12とを有する。記憶部11は、ROM(Read Only Memory)、RAM(Random Access Memory)、ハードディスクドライブ等を含む記憶媒体である。記憶部11は、制御部12が実行するプログラムを予め記憶している。また、記憶部11は、複数の飛行装置2それぞれが飛行している又は飛行する予定の飛行経路を含む飛行計画情報を予め記憶している。
【0036】
制御部12は、取得部121と、特定部122と、選択部123と、優先度割当部124と、通信量制御部125と、を有する。制御部12は、例えばCPU(Central Processing Unit)等のプロセッサであり、記憶部11に記憶されたプログラムを実行することにより、取得部121、特定部122、選択部123、優先度割当部124及び通信量制御部125として機能する。また、飛行装置2のプロセッサが、取得部121、特定部122、選択部123、優先度割当部124及び通信量制御部125の少なくとも一部として機能してもよい。
【0037】
飛行管理装置1が本実施形態に係る処理を実行するための構成を以下に説明する。図3は、有事用飛行装置2A及び通常飛行装置2Bと有事発生場所との関係を説明するための模式図である。
【0038】
取得部121は、災害又は緊急事態の少なくとも一方が発生した場所である有事発生場所を示す有事情報を取得する。有事情報は、例えば、火災、水災、建物倒壊等の有事が発生した、座標、住所又は地域を示す情報である。取得部121は、例えば、飛行管理装置1とは異なる情報提供装置から有事情報を取得し、又は情報端末において入力された有事情報を取得する。情報提供装置は、例えば、自治体、省庁又は民間企業が有事情報を提供するためのサーバである。情報端末は、例えば、飛行管理装置1を利用するユーザ(管理者、オペレータ等)が有事情報を入力するためのスマートフォン、タブレット端末、パーソナルコンピュータ等の端末である。
【0039】
取得部121は、記憶部11に予め記憶された、飛行管理装置1が管理する複数の飛行装置2それぞれの飛行計画情報を取得する。飛行計画情報は、飛行管理装置1によって生成された情報であってもよく、飛行管理装置1とは異なる装置によって生成された情報であってもよい。
【0040】
飛行計画情報は、飛行装置2が飛行する予定の飛行経路と、飛行装置2が飛行経路を飛行する予定の飛行予定期間と、飛行装置2が飛行経路を介して到達する予定の目的地と、を含む。飛行予定期間は、例えば、飛行装置2が飛行を開始する予定の開始予定日時と、飛行装置2が有事発生場所に到達する予定の到達予定日時と、を含む。さらに飛行予定期間は、飛行装置2が飛行経路上の各位置を通過する予定の日時を含んでもよい。取得部121は、飛行する予定のない飛行装置2の飛行計画情報を取得しなくてもよい。
【0041】
取得部121が取得した複数の飛行装置2それぞれの飛行計画情報のうち、後述の特定部122が特定する有事用飛行装置2Aの飛行計画情報を第1飛行計画情報といい、後述の選択部123が選択する通常飛行装置2Bの飛行計画情報を第2飛行計画情報という。第1飛行計画情報が含む飛行経路を第1飛行経路P1といい、第2飛行計画情報が含む飛行経路を第2飛行経路P2という。
【0042】
特定部122は、飛行管理装置1が管理する複数の飛行装置2のうち有事発生場所に向かって飛行している又は飛行する予定の飛行装置2である有事用飛行装置2A(第1飛行装置)を特定する。特定部122は、例えば、複数の飛行装置2のうち、記憶部11に予め記憶された有事用飛行装置2Aを示す情報(一又は複数の有事用飛行装置2Aを識別するための識別情報のリスト等)が示す飛行装置2を、有事用飛行装置2Aとして特定する。
【0043】
また、特定部122は、取得部121が取得した複数の飛行装置2それぞれの飛行計画情報に基づいて、有事用飛行装置2Aを特定してもよい。この場合に、特定部122は、例えば、複数の飛行装置2のうち、飛行計画情報が示す目的地が有事発生場所である飛行装置2を、有事用飛行装置2Aとして特定する。
【0044】
選択部123は、複数の飛行装置2のうち、有事発生場所に向かって飛行する有事用飛行装置2Aが行う通信と通信帯域を共有する通信を行ういずれかの飛行装置2である一又は複数の通常飛行装置2B(第2飛行装置)を選択する。1つの通信帯域における単位時間あたりの通信量には限りがあるため、通常飛行装置2Bによって有事用飛行装置2Aと通信帯域を共有する通信が多く行われると、有事発生場所に向かって飛行している有事用飛行装置2Aの通信が不安定になる可能性がある。特に有事が発生した状況では平常時よりも多くの通信が行われる傾向があるため、通信帯域が逼迫しやすい。
【0045】
選択部123は、取得部121が取得した第1飛行計画情報及び第2飛行計画情報に基づいて、有事用飛行装置2Aと通常飛行装置2Bとが通信帯域を共有するか否かを判定する。選択部123は、例えば、地図をメッシュ状(網目状)に区切った領域であるメッシュ領域と、無線通信の基地局と通信可能な範囲である通信セルと、のどちらかを用いて、有事用飛行装置2Aと通常飛行装置2Bとが通信帯域を共有するか否かを判定する。
【0046】
第1に、選択部123がメッシュ領域Rを用いて通常飛行装置2Bを選択する方法を説明する。図3は、選択部123がメッシュ領域Rを用いて通常飛行装置2Bを選択する方法を表している。メッシュ領域Rは、例えば、地図(地球上の地理的位置)を、100メートル、500メートル等の所定の辺の長さを有する矩形状に区切った領域である。メッシュ領域Rは、矩形状に限られず、その他の形状であってもよい。
【0047】
選択部123は、第1飛行計画情報が含む第1飛行経路P1が通過する複数のメッシュ領域R(例えば、第1飛行経路P1と交わる複数のメッシュ領域R)を特定する。また、選択部123は、第2飛行計画情報が含む第2飛行経路P2が通過する複数のメッシュ領域R(例えば、第2飛行経路P2と交わる複数のメッシュ領域R)を特定する。
【0048】
選択部123は、第1飛行経路P1及び第2飛行経路P2それぞれが通過する複数のメッシュ領域Rを比較する。選択部123は、第1飛行経路P1のいずれかの位置において、第1飛行経路P1及び第2飛行経路P2が同一のメッシュ領域Rを通過することを条件として、有事用飛行装置2A及び通常飛行装置2Bが通信帯域を共有すると判定する。
【0049】
一方、選択部123は、第1飛行経路P1の全ての位置において、第1飛行経路P1及び第2飛行経路P2が同一のメッシュ領域Rを通過しないことを条件として、有事用飛行装置2A及び通常飛行装置2Bが通信帯域を共有しないと判定する。これにより、飛行管理装置1は、有事用飛行装置2A及び通常飛行装置2Bの飛行経路の位置関係に基づいて、有事用飛行装置2Aと通常飛行装置2Bとが通信帯域を共有するか否かを判定できる。
【0050】
また、選択部123は、第1飛行計画情報が含む飛行予定期間内のいずれかの日時において、有事用飛行装置2Aと通常飛行装置2Bとが同一のメッシュ領域Rに位置することを条件として、有事用飛行装置2A及び通常飛行装置2Bが通信帯域を共有すると判定してもよい。これにより、飛行管理装置1は、特定の日時に有事用飛行装置2Aに近付く通常飛行装置2Bのみを選択し、通信量制御の対象とする通常飛行装置2Bを絞り込むことができる。
【0051】
第2に、選択部123が通信セルCを用いて通常飛行装置2Bを選択する方法を説明する。図4は、選択部123が通信セルCを用いて通常飛行装置2Bを選択する方法を説明するための模式図である。図4は、第1飛行経路P1及び第2飛行経路P2と、複数の基地局それぞれの通信セルCと、の関係を表している。
【0052】
選択部123は、第1飛行計画情報が含む第1飛行経路P1の各位置が含まれる複数の通信セルCを特定する。また、選択部123は、第2飛行計画情報が含む第2飛行経路P2の各位置が含まれる複数の通信セルCを特定する。
【0053】
選択部123は、第1飛行経路P1及び第2飛行経路P2それぞれの位置が含まれる複数の通信セルCを比較する。選択部123は、第1飛行計画情報が含む飛行予定期間内のいずれかの日時において、有事用飛行装置2Aと通常飛行装置2Bとが同一の基地局と通信すること(有事用飛行装置2A及び通常飛行装置2Bの位置が同一の通信セルCに含まれること)を条件として、有事用飛行装置2A及び通常飛行装置2Bが通信帯域を共有すると判定する。
【0054】
一方、選択部123は、選択部123は、第1飛行計画情報が含む飛行予定期間内の全ての日時において、有事用飛行装置2Aと通常飛行装置2Bとが同一の基地局と通信しないこと(有事用飛行装置2A及び通常飛行装置2Bの位置が同一の通信セルCに含まれないこと)を条件として、有事用飛行装置2A及び通常飛行装置2Bが通信帯域を共有しないと判定する。これにより、飛行管理装置1は、有事用飛行装置2A及び通常飛行装置2Bの飛行経路の位置関係に基づいて、有事用飛行装置2Aと通常飛行装置2Bとが通信帯域を共有するか否かを判定できる。
【0055】
選択部123は、メッシュ領域R又は通信セルCに基づいて有事用飛行装置2Aが行う通信と通信帯域を共有すると判定した通常飛行装置2Bを選択する。選択部123は、ここに示した具体的な方法に限られず、その他の方法で有事用飛行装置2Aが行う通信と通信帯域を共有する通信を行う通常飛行装置2Bを選択してもよい。
【0056】
選択部123は、取得部121が取得した第2飛行計画情報に基づいて、有事用飛行装置2Aが行う通信と通信帯域を共有する通信を行う一又は複数の通常飛行装置2Bのうち、有事発生場所から所定の基準距離以内の範囲を飛行している又は飛行する予定の通常飛行装置2Bを選択してもよい。基準距離は、所定の値(500メートル、1000メートル等)、又はユーザ(管理者、オペレータ等)が利用する情報端末において指定された値である。これにより、飛行管理装置1は、有事発生場所から遠い範囲では通常飛行装置2Bの通信に与える影響を抑えながら、有事発生場所に近い範囲では有事用飛行装置2Aが行う通信の通信帯域が混雑しないように制御することができる。
【0057】
優先度割当部124は、特定部122が特定した有事用飛行装置2Aが行う通信に対して、選択部123が選択した通常飛行装置2Bが行う通信よりも高い優先度を割り当てる。優先度は、後述の通信量制御部125が通信量制御を行うか否かを切り替えるために用いる値である。
【0058】
通信量制御部125は、選択部123が選択した通常飛行装置2Bが行う通信であって、特定部122が特定した有事用飛行装置2Aが行う通信と通信帯域を共有する通信の通信量を減少させるための制御信号を生成する。制御信号は、有事用飛行装置2Aが行う通信の通信量を減少させることなく、通常飛行装置2Bが行う通信の通信量を減少させるための信号である。制御信号の対象となる通信は、例えば、優先度割当部124によって有事用飛行装置2Aが行う通信よりも低い優先度を割り当てられた通常飛行装置2Bが行う通信である。
【0059】
制御信号は、通常飛行装置2Bが撮像した撮像データに係る通信量を低減すること、又は通常飛行装置2Bが通信に用いる通信回線を変更することにより、通常飛行装置2Bが行う通信の通信量を減少させる。
【0060】
通常飛行装置2Bが撮像した撮像データに係る通信量を低減させる場合に、通信量制御部125は、例えば、通常飛行装置2Bが備える撮像装置による撮像を停止させることと、又は通常飛行装置2Bが備える撮像装置によって撮像された撮像データの送信を停止させることと、の少なくとも一方を通常飛行装置2Bに行わせる制御信号を生成する。
【0061】
また、通信量制御部125は、例えば、通常飛行装置2Bが備える撮像装置によって撮像された撮像データの符号化形式又は記録形式の少なくとも一方を、第1形式から第1形式よりもデータ容量の小さい第2形式に変更させる制御信号を生成してもよい。この場合に、制御信号は、例えば、撮像データのフレームレート数、解像度、ビットレート等、データ容量に係る設定を変更する信号である。
【0062】
通信量制御部125は、生成した制御信号を、選択部123が選択した通常飛行装置2Bに送信する。通常飛行装置2Bは、飛行管理装置1から受信した制御信号に従って、撮像装置による撮像を停止し、撮像データの送信を停止し、又は撮像データの符号化形式若しくは記録形式を変更する。通常飛行装置2Bは、撮像データの送信を停止している間に撮像した撮像データを通常飛行装置2Bが備える記憶部に一時的に記憶させ、撮像データの送信の停止が解除されたことに応じて記憶部に記憶された撮像データの送信を行ってもよい。これにより、飛行管理装置1は、通常飛行装置2Bが撮像した撮像データに係る通信量を低減するため、有事用飛行装置2Aが有事発生場所に向かって飛行する際に行う通信の通信帯域が混雑する事態を抑制することができる。
【0063】
図5は、通信量制御部125が、通常飛行装置2Bが通信に用いる通信回線を変更する方法を説明するための模式図である。図5の例では、有事用飛行装置2A及び通常飛行装置2Bは、通信量制御が行われる前には、同一の第1通信キャリアの通信回線を用いて通信を行う。通常飛行装置2Bは、第1通信キャリアに加えて、第1通信キャリアとは異なる第2通信キャリアの通信回線を用いて通信するための通信部を備えている。
【0064】
通信量制御部125は、通常飛行装置2Bが通信に用いる通信回線を、有事用飛行装置2Aが行う通信に用いられる通信回線(例えば、第1通信キャリアの通信回線)から、当該通信回線とは異なる通信回線(例えば、第2通信キャリアの通信回線)に変更させる制御信号を生成する。
【0065】
通信量制御部125は、生成した制御信号を、選択部123が選択した通常飛行装置2Bに送信する。通常飛行装置2Bは、飛行管理装置1から受信した制御信号に従って、通信回線を変更する。これにより、飛行管理装置1は、有事用飛行装置2A及び通常飛行装置2Bが互いに近付いたとしても異なる通信回線を用いて通信を行うようになるため、有事用飛行装置2Aが有事発生場所に向かって飛行する際に行う通信の通信帯域が混雑する事態を抑制することができる。
【0066】
通信量制御部125は、有事用飛行装置2Aが有事発生場所に向かって飛行していることを条件として、制御信号を通常飛行装置2Bに送信してもよい。これにより、飛行管理装置1は、有事用飛行装置2Aが飛行を開始する前には通信量制御を行わないため、通常飛行装置2Bの通信に与える影響を減らすことができる。
【0067】
通信量制御部125は、有事発生場所と通常飛行装置2Bが飛行している又は飛行する予定の位置との間の位置関係に応じて異なる制御信号を生成してもよい。この場合に、通信量制御部125は、例えば、有事発生場所と第2飛行経路P2との最短距離が所定の閾値以上である場合に、通常飛行装置2Bが通信に用いる通信回線を変更するための制御信号を生成する。一方、通信量制御部125は、例えば、有事発生場所と第2飛行経路P2との最短距離が所定の閾値未満である場合に、通常飛行装置2Bが撮像した撮像データに係る通信量を低減するための制御信号を生成する。これにより、飛行管理装置1は、有事発生場所と通常飛行装置2Bの位置との関係に応じて異なる通信量制御を行うことができる。
【0068】
[飛行管理方法のフロー]
図6は、本実施形態に係る飛行管理装置1が実行する飛行管理方法のフローチャートを示す図である。取得部121は、災害又は緊急事態の少なくとも一方が発生した場所である有事発生場所を示す有事情報を取得する(S11)。取得部121は、記憶部11に予め記憶された、飛行管理装置1が管理する複数の飛行装置2それぞれの飛行計画情報を取得する(S12)。
【0069】
特定部122は、飛行管理装置1が管理する複数の飛行装置2のうち有事発生場所に向かって飛行している又は飛行する予定の飛行装置2である有事用飛行装置2A(第1飛行装置)を特定する(S13)。
【0070】
選択部123は、複数の飛行装置2のうち、有事発生場所に向かって飛行する有事用飛行装置2Aが行う通信と通信帯域を共有する通信を行ういずれかの飛行装置2である一又は複数の通常飛行装置2B(第2飛行装置)を選択する(S14)。優先度割当部124は、特定部122が特定した有事用飛行装置2Aが行う通信に対して、選択部123が選択した通常飛行装置2Bが行う通信よりも高い優先度を割り当てる。
【0071】
通信量制御部125は、選択部123が選択した通常飛行装置2Bが行う通信であって、特定部122が特定した有事用飛行装置2Aが行う通信と通信帯域を共有する通信の通信量を減少させるための制御信号を生成する(S15)。制御信号の対象となる通信は、例えば、優先度割当部124によって有事用飛行装置2Aが行う通信よりも低い優先度を割り当てられた通常飛行装置2Bが行う通信である。
【0072】
通信量制御部125は、生成した制御信号を、選択部123が選択した通常飛行装置2Bに送信する(S16)。制御信号は、通常飛行装置2Bが撮像した撮像データに係る通信量を低減すること、又は通常飛行装置2Bが通信に用いる通信回線を変更することにより、通常飛行装置2Bが行う通信の通信量を減少させる。
【0073】
[実施形態の効果]
本実施形態に係る飛行管理装置1は、通常飛行装置2Bに対して、有事用飛行装置2Aが行う通信と通信帯域を共有する通信の通信量を減少させるための制御信号を送信する。これにより、飛行管理装置1は、有事用飛行装置2Aが有事発生場所に向かって飛行する際に行う通信の通信帯域が混雑する事態を抑制できるため、有事用飛行装置2Aに安定して通信させることができる。
【0074】
なお、本発明により、国連が主導する持続可能な開発目標(SDGs)の目標9「産業と技術革新の基盤をつくろう」に貢献することが可能となる。
【0075】
以上、本発明を実施の形態を用いて説明したが、本発明の技術的範囲は上記実施の形態に記載の範囲には限定されず、その要旨の範囲内で種々の変形及び変更が可能である。例えば、装置の全部又は一部は、任意の単位で機能的又は物理的に分散・統合して構成することができる。また、複数の実施の形態の任意の組み合わせによって生じる新たな実施の形態も、本発明の実施の形態に含まれる。組み合わせによって生じる新たな実施の形態の効果は、もとの実施の形態の効果を併せ持つ。
【0076】
飛行管理装置1のプロセッサは、図6に示す飛行管理方法に含まれる各ステップ(工程)を実行する。すなわち、飛行管理装置1のプロセッサは、図6に示す飛行管理方法を実行するためのプログラムを実行することによって、図6に示す飛行管理方法を実行する。図6に示す飛行管理方法に含まれるステップは一部省略されてもよく、ステップ間の順番が変更されてもよく、複数のステップが並行して行われてもよい。
【符号の説明】
【0077】
1 飛行管理装置
11 記憶部
12 制御部
121 取得部
122 特定部
123 選択部
124 優先度割当部
125 通信量制御部
2 飛行装置
2A 有事用飛行装置
2B 通常飛行装置

図1
図2
図3
図4
図5
図6
【手続補正書】
【提出日】2024-09-10
【手続補正1】
【補正対象書類名】特許請求の範囲
【補正対象項目名】全文
【補正方法】変更
【補正の内容】
【特許請求の範囲】
【請求項1】
複数の飛行装置を管理するための飛行管理装置であって、
災害又は緊急事態の少なくとも一方が発生した場所である有事発生場所を示す情報を取得する取得部と、
前記複数の飛行装置のうち、前記有事発生場所に向かって飛行している又は飛行する予定の第1飛行装置を特定する特定部と、
前記複数の飛行装置のうち前記第1飛行装置とは異なる第2飛行装置が行う通信であって、特定の通信帯域において単位時間あたりの通信量を前記第1飛行装置が行う通信と共有する通信の通信量を減少させるための制御信号を、前記第2飛行装置に送信する通信量制御部と、
を有し、
前記通信量制御部は、前記有事発生場所と前記第2飛行装置が飛行している又は飛行する予定の位置との間の位置関係に応じて異なる前記制御信号を前記第2飛行装置に送信する、
飛行管理装置。
【請求項2】
前記通信量制御部は、前記第1飛行装置が前記有事発生場所に向かって飛行していることを条件として、前記制御信号を前記第2飛行装置に送信する、
請求項1に記載の飛行管理装置。
【請求項3】
前記第1飛行装置が行う通信に対して、前記第2飛行装置が行う通信よりも高い優先度を割り当てる優先度割当部をさらに有し、
前記通信量制御部は、前記第2飛行装置が行う通信の前記優先度が、前記第1飛行装置が行う通信の前記優先度よりも低いことを条件として、前記制御信号を前記第2飛行装置に送信する、
請求項1又は2に記載の飛行管理装置。
【請求項4】
前記制御信号は、前記第2飛行装置が備える撮像装置による撮像を停止させることと、又は前記撮像装置によって撮像された撮像データの送信を停止させることと、の少なくとも一方を前記第2飛行装置に行わせる信号である、
請求項1又は2に記載の飛行管理装置。
【請求項5】
前記制御信号は、前記第2飛行装置が備える撮像装置によって撮像された撮像データの符号化形式又は記録形式の少なくとも一方を、第1形式から前記第1形式よりもデータ容量の小さい第2形式に変更させる信号である、
請求項1又は2に記載の飛行管理装置。
【請求項6】
前記制御信号は、前記第2飛行装置が通信に用いる通信回線を、前記第1飛行装置が行う通信に用いられる通信回線から、前記第1飛行装置が行う通信に用いられる通信回線とは異なる通信回線に変更させる信号である、
請求項1又は2に記載の飛行管理装置。
【請求項7】
前記通信帯域において単位時間あたりの通信量を前記第1飛行装置が行う通信と共有する通信を行う前記第2飛行装置を選択する選択部をさらに有し、
前記通信量制御部は、前記選択部が選択した前記第2飛行装置に前記制御信号を送信する、
請求項1又は2に記載の飛行管理装置。
【請求項8】
前記取得部は、前記第1飛行装置が飛行するための第1飛行経路を含む第1飛行計画情報と、前記第2飛行装置が飛行するための第2飛行経路を含む第2飛行計画情報と、を取得し、
前記選択部は、前記第1飛行計画情報及び前記第2飛行計画情報に基づいて、前記第1飛行装置及び前記第2飛行装置が前記通信帯域において単位時間あたりの通信量を共有するか否かを判定することにより、前記第2飛行装置を選択する、
請求項7に記載の飛行管理装置。
【請求項9】
前記選択部は、前記第1飛行経路と前記第2飛行経路とが地図上の同一の領域を通過することを条件として、前記第1飛行装置及び前記第2飛行装置が前記通信帯域において単位時間あたりの通信量を共有すると判定する、
請求項8に記載の飛行管理装置。
【請求項10】
前記選択部は、前記第1飛行計画情報が含む飛行予定期間内のいずれかの日時において、前記第1飛行装置と前記第2飛行装置とが前記領域に位置することを条件として、前記第1飛行装置及び前記第2飛行装置が前記通信帯域において単位時間あたりの通信量を共有すると判定する、
請求項9に記載の飛行管理装置。
【請求項11】
前記選択部は、前記第1飛行計画情報が含む飛行予定期間内のいずれかの日時において、前記第1飛行装置と前記第2飛行装置とが同一の基地局と通信することを条件として、前記第1飛行装置及び前記第2飛行装置が前記通信帯域において単位時間あたりの通信量を共有すると判定する、
請求項8に記載の飛行管理装置。
【請求項12】
複数の飛行装置の飛行を管理するための飛行管理方法であって、
プロセッサが実行する、
災害又は緊急事態の少なくとも一方が発生した場所である有事発生場所を示す情報を取得するステップと、
前記複数の飛行装置のうち、前記有事発生場所に向かって飛行している又は飛行する予定の第1飛行装置を特定するステップと、
前記複数の飛行装置のうち前記第1飛行装置とは異なる第2飛行装置が行う通信であって、特定の通信帯域において単位時間あたりの通信量を前記第1飛行装置が行う通信と共有する通信の通信量を減少させるための制御信号を、前記第2飛行装置に送信するステップと、
を有し、
前記送信するステップにおいて、前記有事発生場所と前記第2飛行装置が飛行している又は飛行する予定の位置との間の位置関係に応じて異なる前記制御信号を前記第2飛行装置に送信する、
飛行管理方法。
【請求項13】
複数の飛行装置の飛行を管理するための飛行管理プログラムであって、
プロセッサに、
災害又は緊急事態の少なくとも一方が発生した場所である有事発生場所を示す情報を取得するステップと、
前記複数の飛行装置のうち、前記有事発生場所に向かって飛行している又は飛行する予定の第1飛行装置を特定するステップと、
前記複数の飛行装置のうち前記第1飛行装置とは異なる第2飛行装置が行う通信であって、特定の通信帯域において単位時間あたりの通信量を前記第1飛行装置が行う通信と共有する通信の通信量を減少させるための制御信号を、前記第2飛行装置に送信するステップと、
を実行させ、
前記送信するステップにおいて、前記有事発生場所と前記第2飛行装置が飛行している又は飛行する予定の位置との間の位置関係に応じて異なる前記制御信号を前記第2飛行装置に送信する、
飛行管理プログラム。