(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024137699
(43)【公開日】2024-10-07
(54)【発明の名称】運転支援装置
(51)【国際特許分類】
B60W 50/08 20200101AFI20240927BHJP
B60W 40/09 20120101ALI20240927BHJP
G08G 1/16 20060101ALI20240927BHJP
B60K 28/02 20060101ALI20240927BHJP
【FI】
B60W50/08
B60W40/09
G08G1/16 C
B60K28/02
【審査請求】未請求
【請求項の数】9
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2024002373
(22)【出願日】2024-01-11
(31)【優先権主張番号】202310303713.4
(32)【優先日】2023-03-24
(33)【優先権主張国・地域又は機関】CN
(71)【出願人】
【識別番号】000005326
【氏名又は名称】本田技研工業株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110001379
【氏名又は名称】弁理士法人大島特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】大舘 正太郎
【テーマコード(参考)】
3D037
3D241
5H181
【Fターム(参考)】
3D037FA06
3D241BA26
3D241BA70
3D241DA51A
3D241DA51Z
3D241DD05A
3D241DD05Z
5H181AA01
5H181CC02
5H181CC03
5H181CC04
5H181CC12
5H181CC14
5H181CC27
5H181FF04
5H181FF27
5H181FF32
5H181LL04
5H181LL07
5H181LL08
5H181LL09
(57)【要約】
【課題】運転者にとって快適な運転支援制御を提供する。
【解決手段】運転支援装置3は、操舵操作子22に対する運転者の把持位置を検出する把持センサ35と、車両1の運転支援制御を実行する制御装置15と、を備え、制御装置15は、操舵操作子22に対する運転者の把持位置の傾向に関するデータである把持傾向データを記憶し、把持傾向データと把持センサ35の検出結果とに基づいて、運転者が操舵操作子22を利き手によって把持しているか否かを判定し、運転者が操舵操作子22を利き手によって把持していると判定した場合と、運転者が操舵操作子22を利き手によって把持していないと判定した場合と、において、運転支援制御の内容を異ならせる。
【選択図】
図5
【特許請求の範囲】
【請求項1】
運転支援装置であって、
運転者による車両の操舵操作を受け付ける操舵操作子と、
前記操舵操作子に設けられ、前記操舵操作子に対する運転者の把持位置を検出する把持センサと、
前記車両の運転支援制御を実行する制御装置と、を備え、
前記制御装置は、
前記運転支援制御の実行時における前記操舵操作子に対する運転者の把持位置の傾向に関するデータである把持傾向データを記憶し、
前記把持傾向データと前記把持センサの検出結果とに基づいて、運転者が前記操舵操作子を利き手によって把持しているか否かを判定し、
運転者が前記操舵操作子を利き手によって把持していると判定した場合と、運転者が前記操舵操作子を利き手によって把持していないと判定した場合と、において、前記運転支援制御の内容を異ならせる運転支援装置。
【請求項2】
前記制御装置は、
前記把持傾向データと前記把持センサの検出結果とに基づいて、運転者が前記操舵操作子を利き手によって片手で把持しているか否かと、運転者が前記操舵操作子を利き手とは反対側の手によって片手で把持しているか否かと、運転者が前記操舵操作子を両手で把持しているか否かと、を判定し、
運転者が前記操舵操作子を利き手によって片手で把持していると判定した場合と、運転者が前記操舵操作子を利き手とは反対側の手によって片手で把持していると判定した場合と、運転者が前記操舵操作子を両手で把持していると判定した場合と、において、前記運転支援制御の内容をそれぞれ異ならせる請求項1に記載の運転支援装置。
【請求項3】
前記制御装置は、
前記運転支援制御の実行中に、運転者が前記操舵操作子を利き手によって片手で把持していると判定し、且つ、所定の支援解除条件が成立した場合には、実行中の前記運転支援制御のうちの特定の制御を解除し、
前記運転支援制御の実行中に、運転者が前記操舵操作子を両手で把持していると判定し、且つ、前記支援解除条件が成立した場合には、実行中の前記運転支援制御のうちの前記特定の制御を継続する請求項2に記載の運転支援装置。
【請求項4】
前記制御装置は、
前記運転支援制御の実行中に、運転者が前記操舵操作子を利き手によって片手で把持していると判定した場合には、実行中の前記運転支援制御を継続し、
前記運転支援制御の実行中に、運転者が前記操舵操作子を利き手とは反対側の手によって片手で把持していると判定した場合には、実行中の前記運転支援制御の少なくとも一部を解除する請求項2に記載の運転支援装置。
【請求項5】
前記制御装置は、
前記運転支援制御として、前記車両を前走車に所定の車間距離を保って追従走行させる追従走行制御と、前記車両が車線内の走行位置を維持するように運転者による前記車両の操舵操作を支援する車線維持支援制御と、を実行可能に設けられ、
前記追従走行制御及び前記車線維持支援制御の同時実行中に、運転者が前記操舵操作子を利き手によって片手で把持していると判定した場合には、実行中の前記追従走行制御及び前記車線維持支援制御を継続し、
前記追従走行制御及び前記車線維持支援制御の同時実行中に、運転者が前記操舵操作子を利き手とは反対側の手によって片手で把持していると判定した場合には、実行中の前記追従走行制御及び前記車線維持支援制御の少なくとも一方を解除する請求項4に記載の運転支援装置。
【請求項6】
前記制御装置は、前記追従走行制御及び前記車線維持支援制御の同時実行中に、前記把持傾向データを収集する請求項5に記載の運転支援装置。
【請求項7】
前記把持傾向データは、
前記運転支援制御の実行中に運転者が前記操舵操作子を左手によって片手で把持した回数、頻度、又は時間を示す左手データと、
前記運転支援制御の実行中に運転者が前記操舵操作子を右手によって片手で把持した回数、頻度、又は時間を示す右手データと、を少なくとも含み、
前記制御装置は、
前記把持傾向データに基づいて、運転者の利き手を推定し、
運転者の利き手の推定結果と前記把持センサの検出結果とに基づいて、運転者が前記操舵操作子を利き手によって把持しているか否かを判定する請求項1~6のいずれか1項に記載の運転支援装置。
【請求項8】
前記把持傾向データは、前記運転支援制御の実行中に運転者が前記操舵操作子を両手で把持した回数、頻度、又は時間を示す両手データを更に含む請求項7に記載の運転支援装置。
【請求項9】
前記把持センサは、運転者の手が前記操舵操作子に接近するのに応じて静電容量が変化するように構成された静電容量センサを含む請求項1~6のいずれか1項に記載の運転支援装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、運転支援装置に関する。
【背景技術】
【0002】
近年、交通参加者の中の脆弱な立場にある人々に配慮し、このような人々に持続可能な輸送システムへのアクセスを提供する取り組みが活発化している。その実現に向けて、運転支援技術に関する開発を通して、交通の安全性や利便性をより一層改善する研究開発が注目されている。
【0003】
例えば、特許文献1には、運転支援制御として追従走行制御や車線維持支援制御を実行する運転支援装置が開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
運転者の操舵操作子(例えば、ステアリングホイール)に対する把持状態によって、運転者にとって快適な運転支援制御の内容は異なる。特に、運転者が操舵操作子を利き手によって把持している場合とそうでない場合とでは、運転者にとって快適な運転支援制御の内容は異なる。従来の運転支援装置では、運転者の利き手と運転支援制御の内容との関係が考慮されていなかった。そのため、運転者にとって快適な運転支援制御の提供に関して、改善の余地が残されていた。
【0006】
本発明は、以上の背景に鑑み、運転者が操舵操作子を利き手によって把持しているか否かに応じて、運転者にとって快適な運転支援制御を提供することを課題とし、延いては、持続可能な輸送システムの発展に寄与することを課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記課題を解決するために本発明のある態様は、運転支援装置(3)であって、運転者による車両(1)の操舵操作を受け付ける操舵操作子(22)と、前記操舵操作子に設けられ、前記操舵操作子に対する運転者の把持位置を検出する把持センサ(35)と、前記車両の運転支援制御を実行する制御装置(15)と、を備え、前記制御装置は、前記運転支援制御の実行時における前記操舵操作子に対する運転者の把持位置の傾向に関するデータである把持傾向データ(GD)を記憶し、前記把持傾向データと前記把持センサの検出結果とに基づいて、運転者が前記操舵操作子を利き手によって把持しているか否かを判定し、運転者が前記操舵操作子を利き手によって把持していると判定した場合と、運転者が前記操舵操作子を利き手によって把持していないと判定した場合と、において、前記運転支援制御の内容を異ならせる。
【0008】
この態様によれば、運転者が操舵操作子を利き手によって把持しているか否かに応じて、運転者にとって快適な運転支援制御を提供することができる。延いては、持続可能な輸送システムの発展に寄与することができる。
【0009】
上記の態様において、前記制御装置は、前記把持傾向データと前記把持センサの検出結果とに基づいて、運転者が前記操舵操作子を利き手によって片手で把持しているか否かと、運転者が前記操舵操作子を利き手とは反対側の手によって片手で把持しているか否かと、運転者が前記操舵操作子を両手で把持しているか否かと、を判定し、運転者が前記操舵操作子を利き手によって片手で把持していると判定した場合と、運転者が前記操舵操作子を利き手とは反対側の手によって片手で把持していると判定した場合と、運転者が前記操舵操作子を両手で把持していると判定した場合と、において、前記運転支援制御の内容をそれぞれ異ならせても良い。
【0010】
この態様によれば、運転者が操舵操作子を利き手によって片手で把持しているか否か、利き手とは反対側の手によって片手で把持しているか否か、及び、両手で把持しているか否かに応じて、運転者にとって快適な運転支援制御を提供することができる。
【0011】
上記の態様において、前記制御装置は、前記運転支援制御の実行中に、運転者が前記操舵操作子を利き手によって片手で把持していると判定し、且つ、所定の支援解除条件が成立した場合には、実行中の前記運転支援制御のうちの特定の制御を解除し、前記運転支援制御の実行中に、運転者が前記操舵操作子を両手で把持していると判定し、且つ、前記支援解除条件が成立した場合には、実行中の前記運転支援制御のうちの前記特定の制御を継続しても良い。
【0012】
運転者が操舵操作子を両手で把持している場合には、運転者が緊張した状態で車両を運転している可能性が高い。このような場合に、制御装置は、支援解除条件が成立しても、実行中の運転支援制御のうちの特定の制御を継続する。これにより、緊張した状態にある運転者に対する運転支援を拡大し、運転者の緊張の緩和を促すことができる。
【0013】
上記の態様において、前記制御装置は、前記運転支援制御の実行中に、運転者が前記操舵操作子を利き手によって片手で把持していると判定した場合には、実行中の前記運転支援制御を継続し、前記運転支援制御の実行中に、運転者が前記操舵操作子を利き手とは反対側の手によって片手で把持していると判定した場合には、実行中の前記運転支援制御の少なくとも一部を解除しても良い。
【0014】
運転者が操舵操作子を利き手とは反対側の手によって片手で把持している場合には、運転者の運転に対する注意力が低下している可能性があり、とっさの操舵操作が遅れる可能性もある。このような場合に、制御装置は、実行中の運転支援制御の少なくとも一部を解除する。これにより、運転者に対する運転支援を制限し、運転者の注意を喚起することができる。そのため、利き手とは反対側の手による片手での把持を是正し、両手での把持に移行することを、運転者に促す効果が期待される。
【0015】
上記の態様において、前記制御装置は、前記運転支援制御として、前記車両を前走車に所定の車間距離を保って追従走行させる追従走行制御と、前記車両が車線内の走行位置を維持するように運転者による前記車両の操舵操作を支援する車線維持支援制御と、を実行可能に設けられ、前記追従走行制御及び前記車線維持支援制御の同時実行中に、運転者が前記操舵操作子を利き手によって片手で把持していると判定した場合には、実行中の前記追従走行制御及び前記車線維持支援制御を継続し、前記追従走行制御及び前記車線維持支援制御の同時実行中に、運転者が前記操舵操作子を利き手とは反対側の手によって片手で把持していると判定した場合には、実行中の前記追従走行制御及び前記車線維持支援制御の少なくとも一方を解除しても良い。
【0016】
追従走行制御及び車線維持支援制御の同時実行中には、車両前後方向の運転支援と車両左右方向の運転支援とが同時に行われているため、運転者の運転に対する注意力が低下しやすい。そこで、追従走行制御及び車線維持支援制御の同時実行中に、運転者が操舵操作子を利き手とは反対側の手によって片手で把持している場合には、制御装置は、追従走行制御及び車線維持支援制御の少なくとも一方を解除する。これにより、運転者に対する運転支援を制限し、運転者の注意を喚起することができる。
【0017】
上記の態様において、前記制御装置は、前記追従走行制御及び前記車線維持支援制御の同時実行中に、前記把持傾向データを収集しても良い。
【0018】
この態様によれば、追従走行制御及び車線維持支援制御の同時実行中における運転者の把持位置の傾向に基づいて、運転者が操舵操作子を利き手によって把持しているか否かを正確に判定することができる。
【0019】
上記の態様において、前記把持傾向データは、前記運転支援制御の実行中に運転者が前記操舵操作子を左手によって片手で把持した回数、頻度、又は時間を示す左手データと、前記運転支援制御の実行中に運転者が前記操舵操作子を右手によって片手で把持した回数、頻度、又は時間を示す右手データと、を少なくとも含み、前記制御装置は、前記把持傾向データに基づいて、運転者の利き手を推定し、運転者の利き手の推定結果と前記把持センサの検出結果とに基づいて、運転者が前記操舵操作子を利き手によって把持しているか否かを判定しても良い。
【0020】
この態様によれば、過去の把持位置のデータに基づいて、運転者の利き手を正確に推定することができる。そのため、運転者が操舵操作子を利き手によって把持しているか否かを正確に判定することができる。
【0021】
上記の態様において、前記把持傾向データは、前記運転支援制御の実行中に運転者が前記操舵操作子を両手で把持した回数、頻度、又は時間を示す両手データを更に含んでも良い。
【0022】
この態様によれば、過去の把持位置のデータに基づいて、運転者の利き手を更に正確に推定することができる。そのため、運転者が操舵操作子を利き手によって把持しているか否かを更に正確に判定することができる。
【0023】
上記の態様において、前記把持センサは、運転者の手が前記操舵操作子に接近するのに応じて静電容量が変化するように構成された静電容量センサを含んでも良い。
【0024】
この態様によれば、操舵操作子に対する運転者の把持位置を精度よく検出することができる。
【発明の効果】
【0025】
以上の態様によれば、運転者が操舵操作子を利き手によって把持しているか否かに応じて、運転者にとって快適な運転支援制御を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0026】
【
図1】本発明の一実施形態に係る運転支援装置が適用された車両を示す機能構成図
【
図2】本発明の一実施形態に係るステアリングホイールを示す正面図
【
図3】本発明の一実施形態に係る把持傾向データを示す表
【
図4】本発明の一実施形態に係るデータ収集処理を示すフローチャート
【
図5】本発明の一実施形態に係る制御変更処理を示すフローチャート
【発明を実施するための形態】
【0027】
<車両1>
まず、
図1を参照しつつ、本発明の一実施形態に係る運転支援装置3が適用された車両1について説明する。例えば、車両1は、自動車である。他の実施形態では、車両1は、自動車以外の車両(例えば、2輪車)であっても良い。
【0028】
車両1は、駆動装置5と、ブレーキ装置6と、ステアリング装置7と、HMI8(Human Machine Interface)と、運転操作子9と、ナビゲーション装置10と、外界センサ11と、車両センサ12と、運転者センサ13と、制御装置15と、を有する。以下、車両1の構成要素について順番に説明する。
【0029】
駆動装置5は、車両1に駆動力を付与する装置である。駆動装置5は、車両1を走行させるための駆動力を発生させる駆動源を含む。例えば、駆動源は、内燃機関及び/又は電動モータによって構成されている。
【0030】
ブレーキ装置6は、車両1に制動力を付与する装置である。例えば、ブレーキ装置6は、ブレーキロータにパッドを押し付けるブレーキキャリパと、ブレーキキャリパに油圧を供給する電動シリンダと、を含む。
【0031】
ステアリング装置7は、車輪17を転舵することで、車輪17の舵角を変える装置である。例えば、ステアリング装置7は、車輪17に接続されたラックアンドピニオン機構と、ラックアンドピニオン機構を駆動する電動モータと、を含む。
【0032】
HMI8は、車両1の乗員(例えば、運転者)に対して情報を提示すると共に、乗員による情報の入力を受け付ける装置である。HMI8は、タッチパネル19と、音声出力装置20と、を含む。タッチパネル19は、乗員に対して各種画面を表示すると共に、乗員による各種画面に対する入力操作を受け付ける。音声出力装置20は、音声ガイダンスや警告音等を出力する。
【0033】
運転操作子9は、運転者による運転操作を受け付ける装置である。運転操作子9は、運転者による車両1の操舵操作を受け付けるステアリングホイール22(操舵操作子の一例)と、運転者による車両1の加速操作を受け付けるアクセルペダル23と、運転者による車両1の制動操作を受け付けるブレーキペダル24と、を含む。なお、ステアリングホイール22の詳細は、後述する。
【0034】
ナビゲーション装置10は、車両1の目的地への経路案内等を行う装置である。ナビゲーション装置10は、人工衛星から受信したGNSS信号に基づいて、車両1の現在位置を特定する。ナビゲーション装置10は、車両1の現在位置と乗員がタッチパネル19に入力した車両1の目的地とに基づいて、車両1の目的地までの経路を設定する。
【0035】
外界センサ11は、車両1の外界の状態を検出する装置である。外界センサ11は、複数のカメラ26と、複数のレーダ27と、複数のライダ28(LiDAR)と、を含む。各カメラ26は、車両1の周囲に存在する物標(前走車等の周辺車両、歩行者、道路上の構造物、区画線等)の画像を撮影する。各レーダ27は、ミリ波等の電波を車両1の周囲に発射し、その反射波を捉えることにより、車両1の周囲に存在する物標の位置を検出する。各ライダ28は、赤外線等の光を車両1の周囲に照射し、その反射光を捉えることにより、車両1の周囲に存在する物標の位置を検出する。
【0036】
車両センサ12は、各種の車両状態を検出するセンサである。車両センサ12は、車両1の車速を検出する車速センサ30と、車両1の左右方向の加速度(横加速度)を検出する加速度センサ31と、運転者による車両1の操舵操作に応じて発生する操舵トルクを検出する操舵トルクセンサ32と、を含む。
【0037】
運転者センサ13は、運転者の状態を検出する装置である。運転者センサ13は、ドライバモニタカメラ34と、把持センサ35と、を含む。ドライバモニタカメラ34は、運転者の画像を撮影する。把持センサ35は、ステアリングホイール22に設けられ、ステアリングホイール22に対する運転者の把持位置を検出する。なお、把持センサ35の詳細は、後述する。
【0038】
制御装置15は、HMI8、運転操作子9、ナビゲーション装置10、外界センサ11、車両センサ12、及び、運転者センサ13と共に、運転支援装置3を構成している。
【0039】
制御装置15は、各種処理を実行するように構成されたコンピュータからなる電子制御装置(ECU)である。制御装置15は、演算処理装置(CPU、MPU等のプロセッサ)と、記憶装置(ROM、RAM等のメモリ)と、を含む。演算処理装置は、記憶装置から必要なソフトウェアを読み取り、読み取ったソフトウェアに従って所定の演算処理を実行する。制御装置15は、1つのハードウェアとして構成されていてもよく、複数のハードウェアからなるユニットとして構成されていてもよい。制御装置15は、CAN(Controller Area Network)等の通信ネットワークによって車両1の各構成要素に接続されており、車両1の各構成要素を制御する。
【0040】
制御装置15は、機能的な構成要素として、外界認識部37と、走行制御部38と、運転支援制御部39と、記憶部41と、を含む。制御装置15の機能的な構成要素の少なくとも一部は、LSI、ASIC、FPGA等のハードウェアによって実現されてもよく、ソフトウェア及びハードウェアの組み合わせによって実現されてもよい。
【0041】
外界認識部37は、外界センサ11の検出結果に基づいて、車両1の外界の状態を認識する。例えば、外界認識部37は、外界センサ11の検出結果に基づいて、車両1の周囲に存在する物標(前走車等の周辺車両、歩行者、道路上の構造物、区画線等)を認識する。
【0042】
走行制御部38は、運転者による運転操作子9に対する運転操作に応じて、車両1の走行を制御する。例えば、走行制御部38は、運転者によるステアリングホイール22に対する車両1の操舵操作に応じてステアリング装置7を制御し、車両1を旋回させる。走行制御部38は、運転者によるアクセルペダル23に対する車両1の加速操作に応じて駆動装置5を制御し、車両1を加速させる。走行制御部38は、運転者によるブレーキペダル24に対する車両1の制動操作に応じてブレーキ装置6を制御し、車両1を減速させる。
【0043】
運転支援制御部39は、外界認識部37の認識結果に基づいて、車両1の先進運転支援制御(ADAS:Advanced Driver Assistance Systems)を実行する。以下、先進運転支援制御のことを、「運転支援制御」と略称する。
【0044】
運転支援制御部39は、運転支援制御として、追従走行制御(ACC:Adaptive Cruise Control)を実行可能に設けられている。運転支援制御部39は、ACCの実行時に、車両1を前走車に所定の車間距離を保って追従走行させるべく、駆動装置5及びブレーキ装置6を制御する。
【0045】
運転支援制御部39は、運転支援制御として、車線維持支援制御(LKAS;Lane Keeping Assistance System)を実行可能に設けられている。運転支援制御部39は、LKASの実行時に、車両1が車線内の走行位置を維持するように運転者による車両1の操舵操作を支援すべく、ステアリングホイール22及びステアリング装置7を制御する。
【0046】
運転支援制御部39は、運転支援制御として、衝突軽減ブレーキ制御(CMBS:Collision Mitigation Brake System)を実行可能に設けられている。運転支援制御部39は、CMBSの実行時に、車両1と車外の物体との衝突を軽減すべく、ブレーキ装置6を制御する。
【0047】
記憶部41は、運転支援制御のための各種データを記憶する。例えば、記憶部41は、運転支援制御の実行時におけるステアリングホイール22に対する運転者の把持位置の傾向に関するデータである把持傾向データGDを記憶する。なお、把持傾向データGDの詳細は、後述する。
【0048】
以下、説明の便宜上、制御装置15の機能的な構成要素を区別せずに、単に「制御装置15」と記載する。
【0049】
<ステアリングホイール22の構成>
次に、
図2を参照しつつ、ステアリングホイール22の構成について説明する。以下、単に「径方向」と記載する場合には、ステアリングホイール22の径方向を示し、単に「周方向」と記載する場合には、ステアリングホイール22の周方向を示す。
【0050】
ステアリングホイール22は、ステアリングホイール22の回転軸線A上に設けられる円柱状のハブ43と、径方向においてハブ43の外側に設けられる環状のリム44と、径方向に延びてハブ43とリム44を連結する複数のスポーク45~47と、を備えている。
【0051】
ハブ43は、ステアリング装置7に接続されたステアリングシャフト(図示せず)に一体回転可能に連結されている。これにより、ステアリングホイール22がステアリングシャフトに回転可能に支持されている。
【0052】
リム44は、ハブ43に対して径方向に間隔をおいて設けられている。他の実施形態では、リム44がハブ43に直接接続されることで、複数のスポーク45~47が省略されても良い。
【0053】
複数のスポーク45~47は、周方向に間隔をおいて設けられている。複数のスポーク45~47は、ハブ43から右方に延びる右側スポーク45と、ハブ43から左方に延びる左側スポーク46と、ハブ43から下方に延びる下側スポーク47と、を含む。右側スポーク45の後面(運転者側の面)には、矩形状の右側スイッチユニット49が設けられている。例えば、右側スイッチユニット49は、運転支援制御を開始/終了するためのスイッチや、運転支援制御の状態(例えば、ACCの設定車速)を変更するためのスイッチ等を含む。左側スポーク46の後面(運転者側の面)には、矩形状の左側スイッチユニット50が設けられている。例えば、左側スイッチユニット50は、空調装置(図示せず)を操作するためのスイッチや、ナビゲーション装置10を操作するためのスイッチ等を含む。
【0054】
<把持センサ35の構成及び作用>
次に、
図2を参照しつつ、把持センサ35の構成及び作用について説明する。
【0055】
把持センサ35は、第1右側静電容量センサ53と、第2右側静電容量センサ54と、第1左側静電容量センサ56と、第2左側静電容量センサ57と、を含む。以下、これらを区別しない場合には、「静電容量センサ53~54、56~57」と記載する。
【0056】
静電容量センサ53~54、56~57は、それぞれ、ステアリングホイール22に接近した物体と容量結合可能な電極によって構成されている。運転者の手がステアリングホイール22に接近するのに応じて、運転者の手と静電容量センサ53~54、56~57を構成する電極との距離が短くなると、静電容量センサ53~54、56~57の静電容量(検出値の一例)が上昇する。静電容量センサ53~54、56~57は、運転者の手がステアリングホイール22に接近するのに応じて、運転者の手がステアリングホイール22に対して非接触な状態で、静電容量が変化し始めるように構成されている。
【0057】
第1右側静電容量センサ53は、右側スポーク45に配置されている。第1右側静電容量センサ53は、右側スイッチユニット49の上縁に沿って左右方向に延びる第1延出部61と、第1延出部61の左端部(径方向における内側の端部)から上方に向けて屈曲され、ハブ43の上部外周に沿って延びる第2延出部62と、第1延出部61の右端部(径方向における外側の端部)から下方に向けて屈曲され、右側スイッチユニット49の右縁(外縁)に沿って延びる第3延出部63と、を有する。
【0058】
第2右側静電容量センサ54は、第1右側静電容量センサ53の下方において、右側スポーク45とハブ43とに跨って配置されている。第2右側静電容量センサ54は、右側スイッチユニット49の下縁に沿って左右方向に延びる上側延出部65と、上側延出部65の左端部(径方向における内側の端部)から下方に向けて屈曲され、ハブ43の下部外周に沿って延びる下側延出部66と、を含む。
【0059】
第1左側静電容量センサ56は、左側スポーク46に配置されている。第1左側静電容量センサ56は、第1右側静電容量センサ53と同様に、第1延出部61、第2延出部62、及び、第3延出部63を含む。
【0060】
第2左側静電容量センサ57は、第1左側静電容量センサ56の下方において、左側スポーク46とハブ43とに跨って配置されている。第2左側静電容量センサ57は、第2右側静電容量センサ54と同様に、上側延出部65及び下側延出部66を含む。
【0061】
運転者の右手がリム44の右上部44R1を把持すると、第1右側静電容量センサ53の静電容量が基準値以上に上昇する。この場合、制御装置15は、運転者の右手がリム44の右上部44R1を把持していると推定する。言い換えると、把持センサ35は、運転者の右手がリム44の右上部44R1を把持していることを検出する。
【0062】
運転者の右手がリム44の右中央部44R2を把持すると、第1右側静電容量センサ53及び第2右側静電容量センサ54の静電容量が基準値以上に上昇する。この場合、制御装置15は、運転者の右手がリム44の右中央部44R2を把持していると推定する。言い換えると、把持センサ35は、運転者の右手がリム44の右中央部44R2を把持していることを検出する。
【0063】
運転者の右手がリム44の右下部44R3を把持すると、第2右側静電容量センサ54の静電容量が基準値以上に上昇する。この場合、制御装置15は、運転者の右手がリム44の右下部44R3を把持していると推定する。言い換えると、把持センサ35は、運転者の右手がリム44の右下部44R3を把持していることを検出する。
【0064】
以上のように、第1右側静電容量センサ53及び第2右側静電容量センサ54の少なくとも一方の静電容量が基準値以上に上昇すると、把持センサ35は、運転者の右手がリム44の右上部44R1、右中央部44R2、又は右下部44R3(以下、「リム44の右側部分44R」と総称する)を把持していることを検出する。同様に、第1左側静電容量センサ56及び第2左側静電容量センサ57の少なくとも一方の静電容量が基準値以上に上昇すると、把持センサ35は、運転者の左手がリム44の左上部44L1、左中央部44L2、又は左下部44L3(以下、「リム44の左側部分44L」と総称する)を把持していることを検出する。
【0065】
以下、運転者の右手がリム44の右側部分44Rを把持していることを把持センサ35が検出しておらず、且つ、運転者の左手がリム44の左側部分44Lを把持していることを把持センサ35が検出している状態のことを、「左側検出状態」と称する。また、運転者の右手がリム44の右側部分44Rを把持していることを把持センサ35が検出しており、且つ、運転者の左手がリム44の左側部分44Lを把持していることを把持センサ35が検出していない状態のことを、「右側検出状態」と称する。また、運転者の右手がリム44の右側部分44Rを把持していることを把持センサ35が検出しており、且つ、運転者の左手がリム44の左側部分44Lを把持していることを把持センサ35が検出している状態のことを、「両側検出状態」と称する。
【0066】
<把持傾向データGD>
次に、
図3を参照しつつ、前述の把持傾向データGDについて説明する。前述のように、把持傾向データGDは、運転支援制御の実行時におけるステアリングホイール22に対する運転者の把持位置の傾向に関するデータである。車両1の運転者として複数のユーザが登録されている場合、把持傾向データGDは、車両1の運転者として登録された各ユーザのIDと紐付けられていると良い。
【0067】
把持傾向データGDは、左手カウント値CL(左手データの一例)と、右手カウント値CR(右手データの一例)と、両手カウント値CB(両手データの一例)と、を含む。左手カウント値CLは、運転支援制御の実行中に運転者がステアリングホイール22を左手によって片手で把持した回数を示す。右手カウント値CRは、運転支援制御の実行中に運転者がステアリングホイール22を右手によって片手で把持した回数を示す。両手カウント値CBは、運転支援制御の実行中に運転者がステアリングホイール22を両手で把持した回数を示す。
【0068】
<データ収集処理>
次に、
図4を参照しつつ、把持傾向データGDを収集するためのデータ収集処理について説明する。
【0069】
データ収集処理が開始されると、制御装置15は、運転者の認証を行うことで、車両1の運転者として登録された複数のユーザのうちのどのユーザが現在の運転者であるかを特定する(ステップST1)。例えば、制御装置15は、ドライバモニタカメラ34が撮影した運転者の画像に基づいて、運転者の認証を行っても良い。または、制御装置15は、各ユーザが所持する携帯端末と通信を行うことで、運転者の認証を行っても良い。なお、車両1の運転者として登録されたユーザが1人しか存在しない場合には、運転者の認証は省略されても良い。
【0070】
次に、制御装置15は、ACCとLKASを同時に実行しているか否かを判定する(ステップST2)。ACCとLKASの少なくとも一方を実行していない場合(ステップST2:No)、制御装置15は、所定の時間ごとに、ステップST2の判定を繰り返す。
【0071】
ACCとLKASを同時に実行している場合(ステップST2:Yes)、制御装置15は、把持センサ35の検出結果に基づいて、把持センサ35の検出状態が左側検出状態であるか否かを判定する(ステップST3)。把持センサ35の検出状態が左側検出状態である場合(ステップST3:Yes)、制御装置15は、左手カウント値CLを1つ増加させ(ステップST4)、データ収集処理を終了する。
【0072】
把持センサ35の検出状態が左側検出状態でない場合(ステップST3:No)、制御装置15は、把持センサ35の検出結果に基づいて、把持センサ35の検出状態が右側検出状態であるか否かを判定する(ステップST5)。把持センサ35の検出状態が右側検出状態である場合(ステップST5:Yes)、制御装置15は、右手カウント値CRを1つ増加させ(ステップST6)、データ収集処理を終了する。
【0073】
把持センサ35の検出状態が右側検出状態でない場合(ステップST5:No)、制御装置15は、把持センサ35の検出結果に基づいて、把持センサ35の検出状態が両側検出状態であるか否かを判定する(ステップST7)。把持センサ35の検出状態が両側検出状態である場合(ステップST7:Yes)、制御装置15は、両手カウント値CBを1つ増加させ(ステップST8)、データ収集処理を終了する。
【0074】
把持センサ35の検出状態が両側検出状態でない場合(ステップST7:No)、制御装置15は、左手カウント値CL、右手カウント値CR、及び、両手カウント値CBを増加させることなく、データ収集処理を終了する。
【0075】
以上のように、制御装置15は、ACCとLKASの同時実行中に、把持傾向データGDを収集する。
【0076】
<制御変更処理>
次に、
図5を参照しつつ、運転支援制御の内容を変更するための制御変更処理について説明する。なお、制御変更処理は、上述のデータ収集処理の後にデータ収集処理と連続して実行されても良いし、データ収集処理とは別個に実行されても良い。
【0077】
なお、制御変更処理のステップST11及びステップST12の内容は、上述のデータ収集処理のステップST1及びステップST2の内容と同様であるため、説明を省略する。また、制御変更処理がデータ収集処理の後にデータ収集処理と連続して実行される場合、制御変更処理のステップST11及びステップST12は省略されても良い。
【0078】
ACCとLKASを同時に実行している場合(ステップST12:Yes)、制御装置15は、把持傾向データGDに基づいて、運転者の利き手を推定する(ステップST13)。例えば、制御装置15は、左手カウント値CLと右手カウント値CRのうちの大きい方に対応する運転者の手を、運転者の利き手と推定する。なお、運転者の利き手を推定できない場合(例えば、左手カウント値CLと右手カウント値CRが同数である場合)、制御装置15は、後述するステップST14~ST20を実行することなく、制御変更処理を終了すると良い。
【0079】
次に、制御装置15は、ステップST13における運転者の利き手の推定結果と把持センサ35の検出結果とに基づいて、運転者がステアリングホイール22を利き手によって片手で把持しているか否かを判定する(ステップST14)。より詳細には、ステップST13で推定された運転者の利き手の左右と把持センサ35の検出状態の左右が合致している場合(例えば、ステップST13で推定された運転者の利き手が右手であり、且つ、把持センサ35の検出状態が右側検出状態である場合)、制御装置15は、運転者がステアリングホイール22を利き手によって片手で把持していると判定する。それ以外の場合、制御装置15は、運転者がステアリングホイール22を利き手によって片手で把持していないと判定する。
【0080】
運転者がステアリングホイール22を利き手によって片手で把持していると判定した場合(ステップST14:Yes)、制御装置15は、運転支援制御として第1支援制御を実行する(ステップST15)。第1支援制御において、制御装置15は、実行中の運転支援制御(即ち、ACCとLKAS)を継続する。但し、第1支援制御の実行中に所定の支援解除条件が成立した場合、制御装置15は、実行中の運転支援制御のうちの特定の制御を解除する。例えば、第1支援制御の実行中に車両1の横加速度が所定の基準加速度以上になった場合に、制御装置15は、運転者の承認を得て、LKASを解除する。
【0081】
運転者がステアリングホイール22を利き手によって片手で把持していないと判定した場合(ステップST14:No)、制御装置15は、ステップST13における運転者の利き手の推定結果と把持センサ35の検出結果とに基づいて、運転者がステアリングホイール22を利き手とは反対側の手(以下、「非利き手」と称する)によって片手で把持しているか否かを判定する(ステップST16)。より詳細には、ステップST13で推定された運転者の利き手の左右と把持センサ35の検出状態の左右が逆である場合(例えば、ステップST13で推定された運転者の利き手が右手であり、且つ、把持センサ35の検出状態が左側検出状態である場合)、制御装置15は、運転者がステアリングホイール22を非利き手によって片手で把持していると判定する。それ以外の場合、制御装置15は、運転者がステアリングホイール22を非利き手によって片手で把持していないと判定する。
【0082】
運転者がステアリングホイール22を非利き手によって片手で把持していると判定した場合(ステップST16:Yes)、制御装置15は、運転支援制御として第2支援制御を実行する(ステップST17)。第2支援制御において、制御装置15は、実行中の運転支援制御(即ち、ACCとLKAS)の少なくとも一部を解除する。例えば、第2支援制御において、制御装置15は、ACCとLKASの一方を解除する。その際に、制御装置15は、非利き手による片手把持が原因でACCとLKASの一方が解除されることを、HMI8を介して運転者に通知すると良い。
【0083】
運転者がステアリングホイール22を非利き手によって片手で把持していないと判定した場合(ステップST16:No)、制御装置15は、把持センサ35の検出結果に基づいて、運転者がステアリングホイール22を両手で把持しているか否かを判定する(ステップST18)。より詳細には、把持センサ35の検出状態が両側検出状態である場合、制御装置15は、運転者がステアリングホイール22を両手で把持していると判定する。それ以外の場合、制御装置15は、運転者がステアリングホイール22を両手で把持していないと判定する。
【0084】
運転者がステアリングホイール22を両手で把持していると判定した場合(ステップST18:Yes)、制御装置15は、運転支援制御として第3支援制御を実行する(ステップST19)。第3支援制御において、制御装置15は、実行中の運転支援制御(即ち、ACCとLKAS)を継続する。また、第3支援制御中に前述の支援解除条件が成立した場合であっても、制御装置15は、実行中の運転支援制御のうちの特定の制御を継続する。例えば、第3支援制御の実行中に車両1の横加速度が前述の基準加速度以上になった場合であっても、制御装置15は、LKASを解除せずに継続する。
【0085】
運転者がステアリングホイール22を両手で把持していないと判定した場合(ステップST18:No)、運転者がステアリングホイール22を把持していない可能性が高い。そこで、制御装置15は、運転者にステアリングホイール22を把持することを促すための把持促進制御を実行する(ステップST20)。把持促進制御において、制御装置15は、HMI8を介して、ステアリングホイール22を把持することを運転者に促す。
【0086】
<効果>
以上のように、制御装置15は、運転者がステアリングホイール22を利き手によって片手で把持していると判定した場合(ステップST14:Yes)と、運転者がステアリングホイール22を利き手によって片手で把持していないと判定した場合(ステップST14:No)と、において、運転支援制御の内容を異ならせている(ステップST15、ST17、ST19)。これにより、運転者がステアリングホイール22を利き手で把持しているか否かに応じて、運転者にとって快適な運転支援制御を提供することができる。そのため、運転者と運転支援制御との親和性を高めることができる。
【0087】
<変形例>
上記実施形態では、制御装置15は、制御変更処理のステップST14において、運転者がステアリングホイール22を利き手によって片手で把持しているか否かを判定している。他の実施形態では、制御装置15は、制御変更処理のステップST14において、運転者がステアリングホイール22を少なくとも利き手によって(即ち、利き手によって片手で又は両手で)把持しているか否かを判定しても良い。つまり、「運転者がステアリングホイール22を利き手によって把持しているか否かを判定すること」には、「運転者がステアリングホイール22を利き手によって片手で把持しているか否かを判定すること」と「運転者がステアリングホイール22を少なくとも利き手によって把持しているか否かを判定すること」の両方が含まれる。
【0088】
上記実施形態では、制御装置15は、制御変更処理のステップST13において、左手カウント値CLと右手カウント値CRのみに基づいて、運転者の利き手を推定している。他の実施形態では、制御装置15は、制御変更処理のステップST13において、左手カウント値CLと、右手カウント値CRと、両手カウント値CBとに基づいて、運転者の利き手を推定しても良い。例えば、制御装置15は、左手カウント値CLと右手カウント値CRのうちで、カウント総数(左手カウント値CLと右手カウント値CRと両手カウント値CBの合計)に対して所定の基準割合(例えば、50%)以上を占めている方に対応する運転者の手を、運転者の利き手と推定しても良い。
【0089】
上記実施形態では、制御装置15は、制御変更処理において、ACC及び/又はLKASの内容を変更している。他の実施形態では、制御装置15は、制御変更処理において、ACC及びLKAS以外の運転支援制御(例えば、CMBS)の内容を変更しても良い。
【0090】
上記実施形態では、把持傾向データGDは、運転支援制御の実行中に運転者がステアリングホイール22を片手又は両手で把持した回数を示すデータ(左手カウント値CL、右手カウント値CR、及び、両手カウント値CB)を含んでいる。他の実施形態では、把持傾向データGDは、運転支援制御の実行中に運転者がステアリングホイール22を片手又は両手で把持した頻度又は時間を示すデータを含んでいても良い。
【0091】
上記実施形態では、把持センサ35は、ステアリングホイール22の右側部と左側部に静電容量センサ53~54、56~57を2個ずつ備えている。他の実施形態では、把持センサ35は、ステアリングホイール22の右側部と左側部に静電容量センサを1個ずつ備えていても良いし、3個以上ずつ備えていても良い。例えば、上記実施形態における第1右側静電容量センサ53及び第1左側静電容量センサ56の第3延出部63が第1延出部61及び第2延出部62に対して別体化されることで、把持センサ35がステアリングホイール22の右側部と左側部に静電容量センサを3個ずつ備えていても良い。
【0092】
上記実施形態では、把持センサ35は、ステアリングホイール22のハブ43、右側スポーク45、及び、左側スポーク46に静電容量センサ53~54、56~57を備えている。他の実施形態では、把持センサ35は、ステアリングホイール22のリム44に静電容量センサを備えていても良い。
【0093】
上記実施形態では、環状のリム44を有するステアリングホイール22が操舵操作子として用いられている。他の実施形態では、環状のリム44を有しない操作子(例えば、操縦桿)が操舵操作子として用いられても良い。
【0094】
以上で具体的な実施形態の説明を終えるが、本発明は上記実施形態や変形例に限定されることなく、幅広く変形実施することができる。
【符号の説明】
【0095】
1 :車両
3 :運転支援装置
15 :制御装置
22 :ステアリングホイール(操舵操作子の一例)
35 :把持センサ
53 :第1右側静電容量センサ
54 :第2右側静電容量センサ
56 :第1左側静電容量センサ
57 :第2左側静電容量センサ
GD :把持傾向データ
CL :左手カウント値(左手データの一例)
CR :右手カウント値(右手データの一例)
CB :両手カウント値(両手データの一例)