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  • 特開-光ケーブル切断確認用治具 図1
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024001377
(43)【公開日】2024-01-10
(54)【発明の名称】光ケーブル切断確認用治具
(51)【国際特許分類】
   G02B 6/00 20060101AFI20231227BHJP
【FI】
G02B6/00 A
【審査請求】未請求
【請求項の数】3
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022099956
(22)【出願日】2022-06-22
(71)【出願人】
【識別番号】000141060
【氏名又は名称】株式会社関電工
(74)【代理人】
【識別番号】100100516
【弁理士】
【氏名又は名称】三谷 惠
(72)【発明者】
【氏名】徳守 翔
(57)【要約】
【課題】 切断対象の光ケーブルの曲げを定量化でき、誤って切断対象以外の他の光ケーブルを切断することを防止できる光ケーブル切断確認用治具を提供することである。
【解決手段】 一方端部が半円に他方端部が方形に形成され半円の円周に光ケーブル17が掛けられる第1部材11と、一方端部が半円に他方端部が台形に形成され半円の円周に光ケーブル17が掛けられる第2部材12と、第1部材11の他方端部の一部から延伸して設けられた突起部14及び第2部材12の台形端部にそれぞれ設けられ半円の円周に掛けられた光ケーブル17を係止するための係止部15とを備え、第2部材12は第1部材11の半円の中心を回転中心軸とした回転軸18で第1部材11を回動可能に挟持し第1部材11となす角度を調整可能に保持して切断対象の光ケーブル17の曲げを定量化可能とする。
【選択図】 図2
【特許請求の範囲】
【請求項1】
一方端部が半円に他方端部が方形に形成され他方端部の一部から延伸して突起部が設けられ前記半円の円周に光ケーブルが掛けられる第1部材と、
一方端部が半円に他方端部が台形に形成され前記半円の円周に光ケーブルが掛けられ前記第1部材の半円の中心を回転中心軸とした回転軸で前記第1部材を回動可能に挟持し前記第1部材となす角度を調整可能に保持する第2部材と、
前記第1部材の前記突起部及び前記第2部材の台形端部に設けられ前記半円の円周に掛けられた光ケーブルを係止するための係止部とを備えたことを特徴とする光ケーブル切断確認用治具。
【請求項2】
前記第1部材と前記第2部材とがなす角度を表示する目盛を設けたことを特徴とする請求項1に記載の光ケーブル切断確認用治具。
【請求項3】
前記第1部材と前記第2部材とがなす角度を固定するためのロック機構を前記回転軸に設けたことを特徴とする請求項1または請求項2に記載の光ケーブル切断確認用治具。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、光ケーブルの接続断や接続切替の作業のときに切断対象の光ケーブルを確認する際に使用する光ケーブル切断確認用治具に関する。
【背景技術】
【0002】
光ケーブルは光信号を用いた通信線である。例えば、通信線である光ケーブルの切替工事では、クロージャーの中の切替対象の光ケーブルを切断し、新たな光ケーブルに繋ぎ変える作業がある。クロージャーの内部は光ケーブルが輻輳しているため、光ケーブルを切断する際には、事前に切断対象の光ケーブルの確認を行い、光ケーブルの誤切断の防止を図るようにしている。
【0003】
光ケーブルの確認は、光ケーブルの曲げによる漏洩光で判別を行うことが知られている(例えば、特許文献1参照)。例えば、切断対象の光ケーブルであることを確認するには、切断対象の光ケーブルに対し弱い曲げと強い曲げとの2回の曲げを行い、漏洩光の変動を確認することで切断対象ケーブルである確認を行っている。この切断対象の光ケーブル確認作業を行い切断対象の光ケーブルを特定した後に、切断対象ケーブルを切断している。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2009-86177号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかし、上述した弱い曲げ及び強い曲げは定量化されておらず、作業者の感覚となっており、曲げ量が不十分で切断対象の光ケーブルを判別できなかったり、曲げ過ぎて光ケーブルを破損させる場合がある。
【0006】
また、切断対象の光ケーブルを判別し特定した後、切断に至るまでに切断用工具(ニッパーやペンチ等)を段取りする際に、一時期、特定した光ケーブルから手や目を離すことになり、実際に切断するときに誤って他の光ケーブルを切断してしまうことがある。特定した光ケーブルにテープなどで目印を付けることも考えられるが、これでも、一時、目や手を離すことになり、かつテープを取り付けるという手間もかかるので効率的ではない。
【0007】
本発明の目的は、切断対象の光ケーブルの曲げを定量化でき、誤って切断対象以外の他の光ケーブルを切断することを防止できる光ケーブル切断確認用治具を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0008】
請求項1の発明に係る光ケーブル切断確認用治具は、一方端部が半円に他方端部が方形に形成され他方端部の一部から延伸して突起部が設けられ前記半円の円周に光ケーブルが掛けられる第1部材と、一方端部が半円に他方端部が台形に形成され前記半円の円周に光ケーブルが掛けられ前記第1部材の半円の中心を回転中心軸とした回転軸で前記第1部材を回動可能に挟持し前記第1部材となす角度を調整可能に保持する第2部材と、前記第1部材の前記突起部及び前記第2部材の台形端部に設けられ前記半円の円周に掛けられた光ケーブルを係止するための係止部とを備えたことを特徴とする。
【0009】
請求項2の発明に係る光ケーブル切断確認用治具は、請求項1の発明において、前記第1部材と前記第2部材とがなす角度を表示する目盛を設けたことを特徴とする。
【0010】
請求項3の発明に係る光ケーブル切断確認用治具は、請求項1または請求項2の発明において、前記第1部材と前記第2部材とがなす角度を固定するためのロック機構を前記回転軸に設けたことを特徴とする。
【発明の効果】
【0011】
請求項1の発明によれば、第1部材を第2部材で回転軸にて回動可能に挟持し、第1部材と第2部材となす角度を調整して、一方端部の半円の円周に掛けられた光ケーブルの曲率を調整し、弱い曲げと強い曲げとの2回の曲げを行うことができるので、切断対象の光ケーブルの曲げを定量化でき、曲げ過ぎて光ケーブルを破損させることがない。また、切断対象の光ケーブルとして特定した光ケーブルは、第1部材及び第2部材の係止部で係止するので、誤って切断対象以外の他の光ケーブルを切断してしまうことを防止できる。
【0012】
請求項2の発明によれば、請求項1の発明の効果に加え、第1部材と第2部材とがなす角度を表示する目盛を設けたので、一方端部の半円の円周に掛けられた光ケーブルの曲率を容易に把握できる。
【0013】
請求項3の発明によれば、請求項1または請求項2の発明の効果に加え、回転軸に設けたロック機構で第1部材と第2部材とがなす角度を固定できるので、切断対象の光ケーブルの曲げを固定できる。
【図面の簡単な説明】
【0014】
図1】本発明の第1実施形態に係る光ケーブル切断確認用治具の構成図
図2】本発明の第1実施形態の光ケーブル切断確認用治具の使用の仕方を示す平面図
図3】本発明の第2実施形態に係る光ケーブル切断確認用治具の構成図
図4】本発明の第2実施形態の光ケーブル切断確認用治具の使用の仕方を示す平面図
【発明を実施するための形態】
【0015】
以下、本発明の実施形態を説明する。図1は本発明の第1実施形態に係る光ケーブル切断確認用治具の構成図である。図1(a)は本発明の第1実施形態の第1部材11と第2部材12とを示す平面図であり、図1(a)の左側が第1部材11、右側が第2部材12である。
【0016】
第1部材11は、図1(a)に示すように、上側の一方端部が半円に形成され、その半円の中心位置には回転軸13が突出して設けられている。回転軸13は第2部材12の穴16に嵌挿される。また、第1部材11の下側の他方端部は方形に形成され、その他方端部の一部から延伸して突起部14が設けられている。後述するように、一方端部の半円の円周に光ケーブルが掛けられ、掛けられた光ケーブルは突起部14に設けられた係止部15aで係止される。
【0017】
第2部材12も第1部材11と同様に、図1(a)に示すように、上側の一方端部が半円に形成され、その半円の円周に光ケーブルが掛けられる。第2部材12の他方端部は、図1(a)に示すように台形に形成されている。そして、第1部材11と同様に、一方端部の半円の円周に掛けられた光ケーブルは台形端部に設けられた係止部15bにて係止される。
【0018】
第2部材12の半円の中心位置には、第1部材11の回転軸13が嵌挿される穴16が設けられ、この穴16に第1部材11の回転軸13が嵌挿される。第2部材12は空洞内に第1部材11を収納するように装着される。
【0019】
図1(b)は本発明の第1実施形態の第1部材11と第2部材12とを結合させ光ケーブル切断確認用治具を形成した状態を示す平面図である。第2部材12の穴16に第1部材11の回転軸13が嵌挿し、第2部材12の本体部分が外側に位置するように、第2部材12の本体部分で第1部材11を収納して第1部材11は第2部材12に装着される。これにより、第2部材12は半円の中心位置を回転中心軸として第1部材11を回動可能に挟持し、第1部材11となす角度を調整可能に保持する。図1(b)では第1部材11と第2部材12とがなす角度は0°である場合を示している。
【0020】
図1(c)は図1(b)に示した本発明の第1実施形態の光ケーブル切断確認用治具に切断対象となる光ケーブル17を掛けた状態を示す平面図である。図1(c)では第1部材11と第2部材12とがなす角度は0°である場合を示している。なお、第1部材11と第2部材12とがなす角度が0°である場合は、第1部材11の半円の円周及び第2部材12の半円の円周に掛けられた光ケーブル17は、図1(c)に示すように、半円から外れて第1部材11の方形及び第2部材12の台形の直線部に掛けられた状態となる。
【0021】
第2部材12は第1部材11となす角度を調整可能に保持していることから、回転軸13を回転させることにより、第1部材11と第2部材12となす角度を変化させることできる。これにより、光ケーブル切断確認用治具に掛けられた光ケーブル17の曲率を変化さることができ、切断対象の光ケーブル17に対し弱い曲げと強い曲げとの2回の曲げを加えることができる。
【0022】
図2は本発明の第1実施形態の光ケーブル切断確認用治具の使用の仕方を説明する平面図である。図2(a)は第1部材11を第2部材12に対し90°回転させた状態を示す平面図、図2(b)は第1部材11を第2部材12に対し180°回転させた状態を示す平面図である。
【0023】
図1(c)に示す光ケーブル切断確認用治具に切断対象となる光ケーブル17を掛けた状態、つまり、第1部材11と第2部材12とがなす角度が0°である状態から、第1部材11を第2部材12に対し90°回転させると、図2(a)に示すように、光ケーブル17の曲率は回転角90°に対応した曲率となる。一方、第1部材11を第2部材12に対し180°回転させると、図2(b)に示すように、光ケーブル17の曲率は回転角180°に対応した曲率となる。回転角90°に対応した曲率は回転角180°に対応した曲率より小さいので、回転角90°に対応した曲率にて光ケーブル17の弱い曲げを実現し、回転角180°に対応した曲率にて光ケーブル17の強い曲げを実現する。
【0024】
光ケーブル17に対し弱い曲げと強い曲げとの2回の曲げを行うと、その曲げによる漏洩光の変化により切断対象の光ケーブル17であるか否かの判別ができるので、漏洩光が変化した場合は光ケーブル切断確認用治具に掛けられた光ケーブル17が切断対象ケーブルであると特定できる。
【0025】
第1実施形態によれば、第1部材11と第2部材12となす角度を調整して光ケーブル17の曲率を調整できるので、第1部材11と第2部材12となす角度を異なる所定角度にすることにより、弱い曲げと強い曲げとの2回の曲げを行うことができる。従って、弱い曲げと強い曲げの判断に個人差が無くなり、切断対象の光ケーブルの曲げを定量化でき、曲げ過ぎて光ケーブル17を破損させることを防止できる。また、切断対象の光ケーブルとして特定した光ケーブル17は、第1部材11及び第2部材12の係止部15a、15bで係止したままとすることで、切断対象の光ケーブル17であることが明確になり、誤って切断対象以外の他の光ケーブルを切断してしまうことを防止できる。
【0026】
図3は本発明の第2実施形態に係る光ケーブル切断確認用治具の構成図、図4は本発明の第2実施形態の光ケーブル切断確認用治具の使用の仕方を説明する平面図である。この第2実施形態は、図1及び図2に示した第1実施形態に対し、第1部材11と第2部材12とがなす角度を表示する目盛18及び目盛18の角度を指し示す角度指示部19を追加して設けたものである。図1及び図2に示した第1実施形態と同一要素には同一符号を付し重複する説明は省略する。
【0027】
図3(a)は本発明の第1実施形態の第1部材11と第2部材12とを示す平面図であり、図3(a)の左側が第1部材11、右側が第2部材12である。図3(b)は本発明の第1実施形態の第1部材11と第2部材12とを結合させ光ケーブル切断確認用治具を形成した状態を示す平面図、図3(c)は図3(b)に示した本発明の第1実施形態の光ケーブル切断確認用治具に切断対象となる光ケーブル17を掛けた状態を示す平面図である
図3(a)、図3(b)、図3(c)において、第2部材12には目盛18が設けられている。また、第1部材11には第1部材11が第2部材12に対してなす角度を指し示す角度指示部19が設けられている。目盛18は第1部材11が第2部材12に対してなす角度を示す目盛であり、図3(b)、図3(c)では第1部材11が第2部材12に対してなす角度は0°である場合を示している。
【0028】
図4(a)は第1部材11を第2部材12に対し90°回転させた状態を示す平面図、図4(b)は第1部材11を第2部材12に対し180°回転させた状態を示す平面図である。図4(a)に示すように、第1部材11を第2部材12に対し90°回転させた状態であるから、第1部材11の角度指示部19は第2部材12の目盛の90°を指し示している。同様に、図4(b)に示すように、第1部材11を第2部材12に対し180°回転させた状態であるから、第1部材11の角度指示部19は第2部材12の目盛の180°を指し示している。
【0029】
第2実施形態によれば、第1実施形態の効果に加え、第1部材11が第2部材12に対してなす角度を表示する目盛18及び目盛18の角度を指し示す角度指示部19を設けたので、ケーブル切断確認用治具に掛けられた光ケーブル17の曲率を容易に把握できる。
【0030】
以上述べた第1実施形態及び第2実施形態の回転軸13にロック機構を設けるようにしてもよい。このロック機構により第1部材11と第2部材12とがなす角度を固定する。このロック機構は、例えば、回転軸13を1回目の押し操作でロックが掛かり2回目の押し操作でロックが解除されるように構成する。このロック機構により、第1部材11と第2部材12とがなす角度を固定できるので、切断対象の光ケーブル17の曲げを確実に固定できる。
【0031】
以上、本発明のいくつかの実施形態を説明したが、これらの実施形態は、例として提示したものであり、発明の範囲を限定することは意図していない。これら新規な実施形態は、その他の様々な形態で実施されることが可能であり、発明の要旨を逸脱しない範囲で、種々の省略、置き換え、変更を行うことができる。これら実施形態やその変形は、発明の範囲や要旨に含まれるとともに、特許請求の範囲に記載された発明とその均等の範囲に含まれる。
【符号の説明】
【0032】
11…第1部材
12…第2部材
13…回転軸
14…突起部
15…係止部
16…穴
17…光ケーブル
18…目盛
19…角度指示部
図1
図2
図3
図4