(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024137701
(43)【公開日】2024-10-07
(54)【発明の名称】熱処理炉および摺動ユニット
(51)【国際特許分類】
F27D 3/02 20060101AFI20240927BHJP
F27B 9/22 20060101ALI20240927BHJP
【FI】
F27D3/02
F27B9/22
【審査請求】未請求
【請求項の数】37
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2024002402
(22)【出願日】2024-01-11
(31)【優先権主張番号】P 2023045190
(32)【優先日】2023-03-22
(33)【優先権主張国・地域又は機関】JP
(71)【出願人】
【識別番号】000004064
【氏名又は名称】日本碍子株式会社
(71)【出願人】
【識別番号】591076109
【氏名又は名称】エヌジーケイ・キルンテック株式会社
(71)【出願人】
【識別番号】000237868
【氏名又は名称】エヌジーケイ・アドレック株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110000110
【氏名又は名称】弁理士法人 快友国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】山口 実
(72)【発明者】
【氏名】古宮山 常夫
(72)【発明者】
【氏名】小牧 毅史
(72)【発明者】
【氏名】岩田 晃和
(72)【発明者】
【氏名】成宮 一哉
【テーマコード(参考)】
4K050
4K055
【Fターム(参考)】
4K050AA02
4K050CA13
4K050CF03
4K050CG02
4K050CG18
4K050DA03
4K055AA05
4K055AA06
4K055AA07
4K055AA08
4K055CA04
4K055CA09
4K055CA10
4K055DA03
4K055HA12
(57)【要約】
【課題】上板部材が下板部材上を移動し易くすることができる技術を開示する。
【解決手段】熱処理炉は、搬入口および搬出口を備える炉体と、炉体の内部に配置される下板部材と、下板部材上に配置され、複数の被処理物が上下方向に積み重ねられた状態で複数の被処理物を載置可能である上板部材と、上下方向に下板部材と上板部材との間に挟まれており、下板部材に取り付けられている中間部材と、搬入口から搬出口に向かって前方向に上板部材を押圧するプッシャと、を備えている。上板部材は、下板部材上を前方向に移動する。上板部材と中間部材との間に作用する摺動抵抗は、上板部材と下板部材との間に作用する摺動抵抗よりも小さい。
【選択図】
図4
【特許請求の範囲】
【請求項1】
被処理物を熱処理する熱処理炉であって、
搬入口と、搬出口と、を備える炉体と、
前記炉体の内部に配置される下板部材と、
前記下板部材上に配置され、複数の前記被処理物が上下方向に積み重ねられた状態で前記複数の被処理物を載置可能である上板部材と、
前記上下方向に前記下板部材と前記上板部材との間に挟まれており、前記下板部材に取り付けられている中間部材と、
前記搬入口から前記搬出口に向かって前方向に前記上板部材を押圧するプッシャと、を備えており、
前記上板部材は、前記下板部材上を前記前方向に移動し、
前記上板部材と前記中間部材との間に作用する摺動抵抗は、前記上板部材と前記下板部材との間に作用する摺動抵抗よりも小さい、熱処理炉。
【請求項2】
前記上板部材に対する前記中間部材の動摩擦係数は、0.5以下である、請求項1に記載の熱処理炉。
【請求項3】
前記下板部材は、
前記上板部材と対向する第1対向面と、
前記第1対向面から凹む凹部と、を備えており、
前記中間部材は、
前記凹部に受け入れられる被受入部と、
前記第1対向面よりも前記上板部材側に突出している突出部と、を備えている、請求項1に記載の熱処理炉。
【請求項4】
前記突出部は、後端の角部に配置されている面取り部を備えている、請求項3に記載の熱処理炉。
【請求項5】
前記面取り部の前記前方向における長さは、前記面取り部の前記上下方向における長さの3倍以上かつ20倍以下である、請求項4に記載の熱処理炉。
【請求項6】
前記被受入部の前記前方向における長さは、前記凹部の前記前方向における長さよりも小さい、請求項3に記載の熱処理炉。
【請求項7】
前記凹部の前記前方向における前記長さから前記被受入部の前記前方向における前記長さを減算した長さは、前記凹部の前記前方向における前記長さの2%以下である、請求項6に記載の熱処理炉。
【請求項8】
前記突出部は、前記上板部材と対向する第2対向面を備えており、
前記第2対向面の算術平均粗さは、10マイクロメートル以下である、請求項3に記載の熱処理炉。
【請求項9】
前記中間部材の気孔率は、1%以下である、請求項1から8のいずれか一項に記載の熱処理炉。
【請求項10】
前記中間部材の前記気孔率は、前記上板部材の気孔率と前記下板部材の気孔率のそれぞれよりも小さい、請求項9に記載の熱処理炉。
【請求項11】
前記中間部材の曲げ強度は、150MPa以上かつ400MPa以下である、請求項10に記載の熱処理炉。
【請求項12】
前記上下方向に前記下板部材と前記上板部材との間に挟まれている複数の前記中間部材を備えており、
前記複数の中間部材は、前記前方向に並んでいる、請求項1から8のいずれか一項に記載の熱処理炉。
【請求項13】
前記中間部材は、遷移金属または貧金属を含むセラミックスからなる、請求項1から8のいずれか一項に記載の熱処理炉。
【請求項14】
前記セラミックスは、前記遷移金属を含む非酸化物系セラミックスを備える、請求項13に記載の熱処理炉。
【請求項15】
前記非酸化物系セラミックスは、TiB2、TiCN、またはMoSi2である、請求項14に記載の熱処理炉。
【請求項16】
前記セラミックスは、前記遷移金属または前記貧金属を含む酸化物系セラミックスを備える、請求項13に記載の熱処理炉。
【請求項17】
前記酸化物系セラミックスは、Cr2O3、Al2O3、またはAl6O13Si2である、請求項16に記載の熱処理炉。
【請求項18】
被処理物を熱処理する熱処理炉であって、
搬入口と、搬出口と、を備える炉体と、
前記炉体の内部に配置される下板部材と、
前記下板部材上に配置され、複数の前記被処理物が上下方向に積み重ねられた状態で前記複数の被処理物を載置可能である上板部材と、
前記上下方向に前記下板部材と前記上板部材との間に挟まれており、前記上板部材に取り付けられている中間部材と、
前記搬入口から前記搬出口に向かって前方向に前記上板部材を押圧するプッシャと、を備えており、
前記上板部材は、前記下板部材上を前記前方向に移動し、
前記下板部材と前記中間部材との間に作用する摺動抵抗は、前記下板部材と前記上板部材との間に作用する摺動抵抗よりも小さい、熱処理炉。
【請求項19】
前記下板部材に対する前記中間部材の動摩擦係数は、0.5以下である、請求項18に記載の熱処理炉。
【請求項20】
前記上板部材は、
前記下板部材と対向する第1対向面と、
前記第1対向面から凹む凹部と、を備えており、
前記中間部材は、
前記凹部に受け入れられる被受入部と、
前記第1対向面よりも前記下板部材側に突出している突出部と、を備えている、請求項18に記載の熱処理炉。
【請求項21】
前記突出部は、前端の角部に配置されている面取り部を備えている、請求項20に記載の熱処理炉。
【請求項22】
前記面取り部の前記前方向における長さは、前記面取り部の前記上下方向における長さの3倍以上かつ20倍以下である、請求項21に記載の熱処理炉。
【請求項23】
前記被受入部の前記前方向における長さは、前記凹部の前記前方向における長さよりも小さい、請求項20に記載の熱処理炉。
【請求項24】
前記凹部の前記前方向における前記長さから前記被受入部の前記前方向における前記長さを減算した長さは、前記凹部の前記前方向における前記長さの2%以下である、請求項23に記載の熱処理炉。
【請求項25】
前記突出部は、前記下板部材と対向する第2対向面を備えており、
前記第2対向面の算術平均粗さは、10マイクロメートル以下である、請求項20に記載の熱処理炉。
【請求項26】
前記中間部材は、接着剤を介して前記上板部材に取り付けられている、請求項18から25のいずれか一項に記載の熱処理炉。
【請求項27】
前記中間部材の気孔率は、1%以下である、請求項18から25のいずれか一項に記載の熱処理炉。
【請求項28】
前記中間部材の前記気孔率は、前記上板部材の気孔率と前記下板部材の気孔率のそれぞれよりも小さい、請求項27に記載の熱処理炉。
【請求項29】
前記中間部材の曲げ強度は、150MPa以上かつ400MPa以下である、請求項28に記載の熱処理炉。
【請求項30】
前記上下方向に前記下板部材と前記上板部材との間に挟まれている複数の前記中間部材を備えており、
前記複数の中間部材は、前記前方向に並んでいる、請求項18から25のいずれか一項に記載の熱処理炉。
【請求項31】
前記中間部材は、遷移金属または貧金属を含むセラミックスからなる、請求項18から25のいずれか一項に記載の熱処理炉。
【請求項32】
前記セラミックスは、前記遷移金属を含む非酸化物系セラミックスを備える、請求項31に記載の熱処理炉。
【請求項33】
前記非酸化物系セラミックスは、TiB2、TiCN、またはMoSi2である、請求項32に記載の熱処理炉。
【請求項34】
前記セラミックスは、前記遷移金属または前記貧金属を含む酸化物系セラミックスを備える、請求項31に記載の熱処理炉。
【請求項35】
前記酸化物系セラミックスは、Cr2O3、Al2O3、またはAl6O13Si2である、請求項34に記載の熱処理炉。
【請求項36】
高温条件下で使用される摺動ユニットであって、
下板部材と、
前記下板部材上に配置されている上板部材と、
上下方向に前記下板部材と前記上板部材との間に挟まれており、前記下板部材に取り付けられている中間部材と、を備えており、
前記上板部材は、前記下板部材上を前方向に移動し、
前記上板部材と前記中間部材との間に作用する摺動抵抗は、前記上板部材と前記下板部材との間に作用する摺動抵抗よりも小さい、摺動ユニット。
【請求項37】
高温条件下で使用される摺動ユニットであって、
下板部材と、
前記下板部材上に配置されている上板部材と、
上下方向に前記下板部材と前記上板部材との間に挟まれており、前記上板部材に取り付けられている中間部材と、を備えており、
前記上板部材は、前記下板部材上を前方向に移動し、
前記下板部材と前記中間部材との間に作用する摺動抵抗は、前記下板部材と前記上板部材との間に作用する摺動抵抗よりも小さい、摺動ユニット。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本明細書に開示する技術は、熱処理炉および摺動ユニットに関する。
【背景技術】
【0002】
特許文献1には、被処理物を熱処理する熱処理炉が開示されている。この熱処理炉では、複数の被処理物が、上下方向に積み重ねられた状態で上板部材に載置されている。上板部材は、複数の被処理物が載置された状態でプッシャにより押圧されることにより、炉体の内部を搬送口から搬出口に向かって前方向に移動する。上板部材は、炉体の内部を移動しているとき、下板部材上を移動する。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
特許文献1のような熱処理炉では、上板部材が下板部材上を移動しやすいことが望まれる。
【0005】
本明細書は、上板部材が下板部材上を移動し易くすることができる技術を開示する。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本明細書に開示する技術の第1の態様では、熱処理炉は、被処理物を熱処理する。熱処理炉は、搬入口および搬出口を備える炉体と、炉体の内部に配置される下板部材と、下板部材上に配置され、複数の被処理物が上下方向に積み重ねられた状態で複数の被処理物を載置可能である上板部材と、上下方向に下板部材と上板部材との間に挟まれており、下板部材に取り付けられている中間部材と、搬入口から搬出口に向かって前方向に上板部材を押圧するプッシャと、を備えている。上板部材は、下板部材上を前方向に移動する。上板部材と中間部材との間に作用する摺動抵抗は、上板部材と下板部材との間に作用する摺動抵抗よりも小さい。
【0007】
上記の構成によれば、上板部材と中間部材との間に作用する摺動抵抗が上板部材と下板部材との間に作用する摺動抵抗よりも小さいため、熱処理炉が中間部材を備えていない構成と比較して、上板部材が下板部材上を移動し易くすることができる。
【0008】
また、本明細書に開示する技術の第18の態様では、熱処理炉は、被処理物を熱処理する。熱処理炉は、搬入口および搬出口を備える炉体と、炉体の内部に配置される下板部材と、下板部材上に配置され、複数の被処理物が上下方向に積み重ねられた状態で複数の被処理物を載置可能である上板部材と、上下方向に下板部材と上板部材との間に挟まれており、上板部材に取り付けられている中間部材と、搬入口から搬出口に向かって前方向に上板部材を押圧するプッシャと、を備えている。上板部材は、下板部材上を前方向に移動する。下板部材と中間部材との間に作用する摺動抵抗は、下板部材と上板部材との間に作用する摺動抵抗よりも小さい。
【0009】
上記の構成によれば、下板部材と中間部材との間に作用する摺動抵抗が下板部材と上板部材との間に作用する摺動抵抗よりも小さいため、熱処理炉が中間部材を備えていない構成と比較して、上板部材が下板部材上を移動し易くすることができる。
【0010】
また、本明細書に開示する技術の第36の態様では、摺動ユニットは、高温条件下で使用される。摺動ユニットは、下板部材と、下板部材上に配置されている上板部材と、上下方向に下板部材と上板部材との間に挟まれており、下板部材に取り付けられている中間部材と、を備えている。上板部材は、下板部材上を前方向に移動する。上板部材と中間部材との間に作用する摺動抵抗は、上板部材と下板部材との間に作用する摺動抵抗よりも小さい。
【0011】
上記の構成によれば、上板部材と中間部材との間に作用する摺動抵抗が上板部材と下板部材との間に作用する摺動抵抗よりも小さいため、摺動ユニットが中間部材を備えていない構成と比較して、上板部材が下板部材上を移動し易くすることができる。
【0012】
また、本明細書に開示する技術の第37の態様では、摺動ユニットは、高温条件下で使用される。摺動ユニットは、下板部材と、下板部材上に配置されている上板部材と、上下方向に下板部材と上板部材との間に挟まれており、上板部材に取り付けられている中間部材と、を備えている。上板部材は、下板部材上を前方向に移動する。下板部材と中間部材との間に作用する摺動抵抗は、下板部材と上板部材との間に作用する摺動抵抗よりも小さい。
【0013】
上記の構成によれば、下板部材と中間部材との間に作用する摺動抵抗が下板部材と上板部材との間に作用する摺動抵抗よりも小さいため、摺動ユニットが中間部材を備えていない構成と比較して、上板部材が下板部材上を移動し易くすることができる。
【図面の簡単な説明】
【0014】
【
図2】
図1のII-II線における熱処理炉の概略断面図である。
【
図3】第1実施例の被処理物と摺動ユニットの側面図である。
【
図6】第1実施例の変形例の摺動ユニットの上面図である。
【
図7】第1実施例の摺動ユニットの拡大断面図である。
【
図8】第1実施例の変形例の摺動ユニットの断面図である。
【
図9】第1実施例の変形例の下板部材と中間部材の断面図である。
【
図10】第1実施例の変形例の下板部材と中間部材の断面図である。
【
図11】第1実施例の変形例の摺動ユニットの上面図である。
【
図12】第2実施例の摺動ユニットの断面図である。
【
図13】第2実施例の上板部材と中間部材の下面図である。
【
図14】第2実施例の摺動ユニットの拡大断面図である。
【
図15】第3実施例の摺動ユニットの上面図である。
【
図16】第3実施例の変形例の摺動ユニットの上面図である。
【
図17】第4実施例の上板部材と中間部材の下面図である。
【
図18】第4実施例の変形例の上板部材と中間部材の下面図である。
【
図19】第5実施例の摺動ユニットの上面図である。
【
図20】第5実施例の変形例の摺動ユニットの上面図である。
【0015】
以下に説明する実施例の主要な特徴を列記しておく。なお、以下に記載する技術要素は、それぞれ独立した技術要素であって、単独であるいは各種の組合せによって技術的有用性を発揮するものであり、出願時請求項記載の組合せに限定されるものではない。
【0016】
本明細書に開示する技術の第2の態様では、上記の第1の態様において、上板部材に対する中間部材の動摩擦係数は、0.5以下である。上記の構成によれば、上板部材が下板部材をより移動し易くすることができる。
【0017】
本明細書に開示する技術の第3の態様では、上記の第1または第2の態様において、下板部材は、上板部材と対向する第1対向面と、第1対向面から凹む凹部と、を備えている。中間部材は、凹部に受け入れられる被受入部と、第1対向面よりも上板部材側に突出している突出部と、を備えている。上記の構成によれば、簡素な構成により、上板部材が下板部材上をより移動し易くすることができる。
【0018】
本明細書に開示する技術の第4の態様では、上記の第3の態様において、突出部は、後端の角部に配置されている面取り部を備えている。上記の構成によれば、上板部材は、突出部の後端から前端に向かって下板部材上を移動する。面取り部が突出部の後端に配置されているため、上板部材が突出部の後端に引っかかることを抑制することができる。これにより、上板部材が下板部材上を移動し易くすることができる。
【0019】
本明細書に開示する技術の第5の態様では、上記の第4の態様において、面取り部の前方向における長さは、面取り部の上下方向における長さの3倍以上かつ20倍以下である。上記の構成によれば、上板部材が突出部の後端に引っかかることをより抑制することができる。これにより、上板部材が下板部材上をより移動し易くすることができる。
【0020】
本明細書に開示する技術の第6の態様では、上記の第3から第5の態様のいずれか1つにおいて、被受入部の前方向における長さは、凹部の前方向における長さよりも小さい。被受入部の前方向における長さが凹部の前方向における長さと同一である構成では、中間部材の熱膨張率が下板部材の熱膨張率よりも大きいとき、中間部材が下板部材と比較して大きく膨張しようとしても、下板部材は中間部材と同様には前後方向に膨張することができない。これにより、中間部材の被受入部と下板部材の凹部との間に熱応力が発生し、中間部材と下板部材が破損することがある。上記の構成によれば、中間部材は下板部材よりも大きく膨張することができ、中間部材と下板部材との間に発生する熱応力を小さくすることができる。これにより、中間部材と下板部材が破損することを抑制することができる。
【0021】
本明細書に開示する技術の第7の態様では、上記の第6の態様において、凹部の前方向における長さから被受入部の前方向における長さを減算した長さは、凹部の前方向における長さの2%以下である。凹部の前方向における長さから被受入部の前方向における長さを減算した長さが凹部の前方向における長さの2%よりも大きい構成では、中間部材の膨張に伴う中間部材の破損を抑制することができる。一方、凹部に比較的に大きな隙間が形成されていると、中間部材の前方向における長さを比較的に短く設定したことになる。荷重を受ける中間部材の面積が小さくなることにより、中間部材が摩耗し易くなる。上記の構成によれば、中間部材の膨張に伴う中間部材の破損を抑制しつつ、凹部の前方向における長さから被受入部の前方向における長さを減算した長さが凹部の前方向における長さの2%よりも大きい構成と比較して、中間部材が摩耗することを抑制することができる。
【0022】
本明細書に開示する技術の第8の態様では、上記の第3から第7の態様のいずれか1つにおいて、突出部は、上板部材と対向する第2対向面を備えている。第2対向面の算術平均粗さは、10マイクロメートル以下である。上記の構成によれば、上板部材と中間部材との間に作用する摺動抵抗をより小さくすることができる。これにより、上板部材が下板部材上をより移動し易くすることができる。
【0023】
本明細書に開示する技術の第9の態様では、上記の第1から第8の態様のいずれか1つにおいて、中間部材の気孔率は、1%以下である。上記の構成によれば、中間部材の気孔率が1%以下であることにより、中間部材の表面に気孔が形成され難くなる。このため、中間部材の表面が平滑な状態に維持される。これにより、上板部材と中間部材との間に作用する摺動抵抗をより小さくすることができる。
【0024】
本明細書に開示する技術の第10の態様では、上記の第9の態様において、中間部材の気孔率は、上板部材の気孔率と下板部材の気孔率のそれぞれよりも小さい。上記の構成によれば、上板部材と中間部材との間に作用する摺動抵抗をより小さくすることができ、中間部材が摩耗することを抑制することができる。
【0025】
本明細書に開示する技術の第11の態様では、上記の第10の態様において、中間部材の曲げ強度は、150MPa以上かつ400MPa以下である。上記の構成によれば、上板部材の重量により、中間部材が破損することを抑制することができる。
【0026】
本明細書に開示する技術の第12の態様では、上記の第1から第11の態様のいずれか1つにおいて、熱処理炉は、上下方向に下板部材と上板部材との間に挟まれている複数の前記中間部材を備えている。複数の中間部材は、前方向に並んでいる。上記の構成によれば、1個の細長い中間部材が使用される場合と比較して、中間部材に作用する曲げ応力を小さくすることができる。
【0027】
本明細書に開示する技術の第13の態様では、上記の第1から第12の態様のいずれか1つにおいて、中間部材は、遷移金属または貧金属を含むセラミックスからなる。上記の構成によれば、中間部材がセラミックス以外である構成と比較して、中間部材の耐熱性が高い。これにより、高温条件下で使用される熱処理炉において、中間部材が熱により破損することを抑制することができる。
【0028】
本明細書に開示する技術の第14の態様では、上記の第13の態様において、セラミックスは、遷移金属を含む非酸化物系セラミックスを備える。上記の構成によれば、中間部材が熱により破損することを抑制しつつ、上板部材が下板部材上を移動し易くすることができる。
【0029】
本明細書に開示する技術の第15の態様では、上記の第14の態様において、非酸化物系セラミックスは、TiB2、TiCN、またはMoSi2である。上記の構成によれば、中間部材の硬度を高くすることができるとともに、中間部材が熱により破損することをより抑制することができる。また、中間部材の摩擦係数を小さくすることができ、上板部材が下板部材上をより移動し易くすることができる。
【0030】
本明細書に開示する技術の第16の態様では、上記の第13の態様において、セラミックスは、遷移金属または貧金属を含む酸化物系セラミックスを備える。上記の構成によれば、中間部材の硬度を高くすることができるとともに、中間部材が熱により破損することを抑制することができる。また、中間部材の動摩擦係数を小さくすることができ、上板部材が下板部材上を移動し易くすることができる。
【0031】
本明細書に開示する技術の第17の態様では、上記の第16の態様において、酸化物系セラミックスは、Cr2O3、Al2O3、またはAl6O13Si2である。上記の構成によれば、中間部材の硬度をより高くすることができるとともに、中間部材が熱により破損することをより抑制することができる。また、上板部材と中間部材との間に作用する摺動抵抗を小さくすることができ、上板部材が下板部材上をより移動し易くすることができる。
【0032】
本明細書に開示する技術の第19の態様では、上記の第18の態様において、下板部材に対する中間部材の動摩擦係数は、0.5以下である。上記の構成によれば、上板部材が下板部材をより移動し易くすることができる。
【0033】
本明細書に開示する技術の第20の態様では、上記の第18または第19の態様において、上板部材は、下板部材と対向する第1対向面と、第1対向面から凹む凹部と、を備えている。中間部材は、凹部に受け入れられる被受入部と、第1対向面よりも下板部材側に突出している突出部と、を備えている。上記の構成によれば、簡素な構成により、上板部材が下板部材上を移動し易くすることができる。
【0034】
本明細書に開示する技術の第21の態様では、上記の第20の態様において、突出部は、前端の角部に配置されている面取り部を備えている。上記の構成によれば、上板部材は、下板部材が突出部の前端から後端に向かって移動するように、下板部材上を移動する。面取り部が突出部の前端に配置されているため、下板部材が突出部の前端に引っかかることを抑制することができる。これにより、上板部材が下板部材上を移動し易くすることができる。
【0035】
本明細書に開示する技術の第22の態様では、上記の第21の態様において、面取り部の前方向における長さは、面取り部の上下方向における長さの3倍以上かつ20倍以下である。上記の構成によれば、下板部材が突出部の前端に引っかかることをより抑制することができる。これにより、上板部材が下板部材上をより移動し易くすることができる。
【0036】
本明細書に開示する技術の第23の態様では、上記の第20から第22の態様のいずれか1つにおいて、被受入部の前方向における長さは、凹部の前方向における長さよりも小さい。被受入部の前方向における長さが凹部の前方向における長さと同一である構成では、中間部材の熱膨張率が上板部材の熱膨張率よりも大きいとき、中間部材が上板部材と比較して大きく膨張しようとしても、上板部材は中間部材と同様には前後方向に膨張することができない。これにより、中間部材の被受入部と上板部材の凹部との間に熱応力が発生し、中間部材と上板部材が破損することがある。上記の構成によれば、中間部材は、上板部材よりも大きく膨張することができ、中間部材と上板部材との間に発生する熱応力を小さくすることができる。これにより、中間部材と上板部材が破損することを抑制することができる。
【0037】
本明細書に開示する技術の第24の態様では、上記の第23の態様において、凹部の前方向における長さから被受入部の前方向における長さを減算した長さは、凹部の前方向における長さの2%以下である。上記の構成によれば、凹部の前方向における長さから被受入部の前方向における長さを減算した長さが凹部の前方向における長さの2%よりも大きい構成では、中間部材の膨張に伴う中間部材の破損を抑制することができる。一方、凹部に比較的に大きな隙間が形成されていると、中間部材の前方向における長さを比較的に短く設定したことになる。荷重を受ける中間部材の面積が小さくなることにより、中間部材が摩耗し易くなる。上記の構成によれば、中間部材の膨張に伴う中間部材の破損を抑制しつつ、凹部の前方向における長さから被受入部の前方向における長さを減算した長さが凹部の前方向における長さの2%よりも大きい構成と比較して、中間部材が摩耗することを抑制することができる。
【0038】
本明細書に開示する技術の第25の態様では、上記の第20から第24の態様のいずれか1つにおいて、突出部は、下板部材と対向する第2対向面を備えている。第2対向面の算術平均粗さは、10マイクロメートル以下である。上記の構成によれば、下板部材と中間部材との間に作用する摺動抵抗をより小さくすることができる。これにより、上板部材が下板部材上をより移動し易くすることができる。
【0039】
本明細書に開示する技術の第26の態様では、上記の第18から第25の態様のいずれか1つにおいて、中間部材は、接着剤を介して上板部材に取り付けられている。上記の構成によれば、簡素な構成により、中間部材を上板部材に取り付けることができる。
【0040】
本明細書に開示する技術の第27の態様では、上記の第18から第26の態様のいずれか1つにおいて、中間部材の気孔率は、1%以下である。上記の構成によれば、第9の態様による効果と同様の効果を奏することができる。
【0041】
本明細書に開示する技術の第28の態様では、上記の第27の態様において、中間部材の気孔率は、上板部材の気孔率と下板部材の気孔率のそれぞれよりも小さい。上記の構成によれば、下板部材と中間部材との間に作用する摺動抵抗をより小さくすることができ、中間部材が摩耗することを抑制することができる。
【0042】
本明細書に開示する技術の第29の態様では、上記の第28の態様において、中間部材の曲げ強度は、150MPa以上かつ400MPa以下である。上記の構成によれば、第11の態様による効果と同様の効果を奏することができる。
【0043】
本明細書に開示する技術の第30の態様では、上記の第18から第29の態様のいずれか1つにおいて、熱処理炉は、上下方向に下板部材と上板部材との間に挟まれている複数の中間部材を備えている。複数の中間部材は、前方向に並んでいる。上記の構成によれば、第12の態様による効果と同様の効果を奏することができる。
【0044】
本明細書に開示する技術の第31の態様では、上記の第18から第30の態様のいずれか1つにおいて、中間部材は、遷移金属または貧金属を含むセラミックスからなる。上記の構成によれば、第13の態様による効果と同様の効果を奏することができる。
【0045】
本明細書に開示する技術の第32の態様では、上記の第31の態様において、セラミックスは、遷移金属を含む非酸化物系セラミックスを備える。上記の構成によれば、第14の態様による効果と同様の効果を奏することができる。
【0046】
本明細書に開示する技術の第33の態様では、上記の第32の態様において、非酸化物系セラミックスは、TiB2、TiCN、またはMoSi2である。上記の構成によれば、第15の態様による効果と同様の効果を奏することができる。
【0047】
本明細書に開示する技術の第34の態様では、上記の第31の態様において、セラミックスは、遷移金属または貧金属を含む酸化物系セラミックスを備える。上記の構成によれば、第16の態様による効果と同様の効果を奏することができる。
【0048】
本明細書に開示する技術の第35の態様では、上記の第34の態様において、酸化物系セラミックスは、Cr2O3、Al2O3、またはAl6O13Si2である。上記の構成によれば、中間部材の硬度をより高くすることができるとともに、中間部材が熱により破損することをより抑制することができる。また、下板部材と中間部材との間に作用する摺動抵抗を小さくすることができ、上板部材が下板部材上をより移動し易くすることができる。
【0049】
(第1実施例)
図1に示す第1実施例の熱処理炉10は、被処理物2を熱処理する。被処理物2は、匣鉢4と被処理物本体(図示省略)とを含む。匣鉢4は、略直方体形状の箱形状を有する。被処理物本体は、匣鉢4に収容されている。被処理物本体は、例えば、セラミックコンデンサの原料、および、リチウムイオン電池の正極材と負極材である。以下では、熱処理炉10の長手方向を前後方向と呼び、前後方向に直交する方向を左右方向と呼び、前後方向と左右方向に直交する方向を上下方向と呼ぶ。
【0050】
熱処理炉10は、炉体12と、複数のヒータ14と、摺動ユニット16と、プッシャ18と、搬送ローラ20と、を備えている。
【0051】
炉体12は、前後方向に延びる略直方体形状の断熱構造体である。炉体12は、天井壁24と、底壁26と、炉入口壁28と、炉出口壁30と、側壁32、34と、を備えている。天井壁24と、底壁26と、炉入口壁28と、炉出口壁30と、側壁32、34は、炉体12の内部空間36を画定している。天井壁24と底壁26は、前後方向に延びている。天井壁24は、底壁26よりも上側に配置されている。炉入口壁28は、天井壁24の後端と底壁26の後端に接続されている。炉入口壁28は、炉入口壁28を前後方向に貫通する搬入口28aを有する。内部空間36は、搬入口28aを介して炉体12の外部と連通している。炉出口壁30は、天井壁24の前端と底壁26の前端に接続されている。炉出口壁30は、炉出口壁30を前後方向に貫通する搬出口30aを有する。内部空間36は、搬出口30aを介して炉体12の外部と連通している。搬出口30aは、搬入口28aと前後方向に対向している。
図2に示すように、側壁32、34は、左右方向に離れて配置されている。側壁32、34は、天井壁24と、底壁26と、炉入口壁28(
図1参照)と、炉出口壁30(
図1参照)に接続されている。
【0052】
図1に示すように、炉体12は、複数の隔壁40をさらに備えている。複数の隔壁40は、前後方向に並んでいる。複数の隔壁40は、天井壁24から下方向に延びている。複数の隔壁40は、内部空間36を複数の空間に分割している。
【0053】
内部空間36は、熱処理空間42と、冷却空間44と、を備えている。熱処理空間42は、天井壁24と、底壁26と、炉入口壁28と、側壁32、34と、冷却空間44との境界に配置される隔壁40により画定されている。熱処理空間42は、炉体12の後部に配置されている。熱処理空間42には、複数のヒータ14が配置されている。複数のヒータ14は、前後方向に並んで配置されている。複数のヒータ14が発熱すると、熱処理空間42が加熱される。これにより、熱処理空間42内の被処理物2が加熱される。熱処理空間42の温度は、例えば、500度以上、好ましくは600度以上、より好ましくは700度以上である。また、熱処理空間42の温度は、例えば、1500度以下、好ましくは1400度以下、より好ましくは1300度以下である。
【0054】
冷却空間44は、炉体12の前部に配置されている。冷却空間44は、天井壁24と、底壁26と、炉出口壁30と、側壁32、34と、熱処理空間42との境界に配置される隔壁40により画定されている。冷却空間44には、冷却パイプ(図示省略)が配置されている。水または空気が冷却パイプ内を循環することにより、冷却空間44が冷却される。これにより、冷却空間44内の被処理物2が冷却される。
【0055】
摺動ユニット16は、複数の被処理物2といった重量物を高温条件下で搬送する(摺動する)ときに摺動抵抗を小さくするために使用される。摺動ユニット16は、複数の下板部材50と、複数のガイド部材52(
図2参照)と、複数の上板部材54と、複数の中間部材56(
図3参照)と、を備えている。複数の下板部材50は、熱処理空間42に配置されている。下板部材50は、前後方向に延びる板形状を有している。下板部材50は、セラミックスからなる。複数の下板部材50は、前後方向に並んで配置されている。
図3に示すように、複数の下板部材50は、左右方向にも並んで配置されている。下板部材50は、上面60を備えている。下板部材50は、上面60が上下方向に直交するように、即ち、前後方向と左右方向に沿う平面上に位置するように配置されている。複数の下板部材50は、上面60が同一平面上に位置するように配置されている。
【0056】
ガイド部材52は、前後方向に延びる略直方体形状を有する。ガイド部材52は、セラミックスからなる。
図2に示すように、複数のガイド部材52は、左右方向に離れて配置されている。本実施例では、左右方向に隣接するガイド部材52の間には、6個の下板部材50が配置されている。ガイド部材52は、上面62を備えている。ガイド部材52は、上面62が上下方向に直交するように配置されている。複数のガイド部材52は、上面62が同一平面上に位置するように配置されている。ガイド部材52の上面62は、下板部材50の上面60よりも上側に配置されている。
【0057】
上板部材54は、搬送板に対応する。上板部材54は、平板形状を有している。上板部材54は、セラミックスからなる。上板部材54は、上面64を備えている。上板部材54は、上面64に複数の被処理物2を載置可能である。上板部材54は、上面64の単位面積1m
2あたりに、600kg以上の被処理物2を載置可能である。複数の(本実施例では6個の)被処理物2は、上面64に上下方向に積み重ねられている。また、
図3に示すように、複数の被処理物2は、1個の上板部材54の上面64に左右方向に複数列に(本実施例では2列に)並んでいる。変形例では、複数の被処理物2は、1個の上板部材54の上面64に前後方向に複数列に並んでいてもよい。複数の被処理物2は、上面64に載置されている。
【0058】
上板部材54は、下板部材50上に配置されている。上板部材54は、下板部材50の上面60と上下方向に対向している。上板部材54は、中間部材56を介して下板部材50に支持されている。複数の(本実施例では2個)上板部材54は、左右方向に隣接するガイド部材52の間に配置されている。2個の上板部材54の左右方向の幅の合計は、左右方向に隣接するガイド部材52の間の間隔よりも僅かに小さい。2個の上板部材54において、一方の上板部材54は、一方のガイド部材52に右側から当接しており、他方の上板部材54は、他方のガイド部材52に左側から当接している。上板部材54は、プッシャ18(
図1参照)に押圧されることにより、炉体12の内部空間36を前方向に移動する。上板部材54が熱処理空間42内を移動するときには、被処理物2は、熱処理される。また、上板部材54が冷却空間44内を移動するときには、被処理物2は、冷却される。上板部材54は、ガイド部材52により前方向に案内されながら、下板部材50上を移動する。
【0059】
図3に示すように、中間部材56は、上下方向に下板部材50と上板部材54との間に挟まれている。中間部材56は、略直方体形状を有する。中間部材56は、下板部材50に取り付けられている。中間部材56は、下板部材50に支持されている。上板部材54は、中間部材56と接触しながら下板部材50上を移動する。
【0060】
図1に示すように、プッシャ18は、搬入口28aの近傍において、熱処理炉10の外部に配置されている。プッシャ18は、上板部材54を前方向に押圧するように構成されている。本実施例では、プッシャ18は、左右方向に並ぶ6個の上板部材54を同時に前方向に押圧する。これにより、6個の上板部材54は、搬入口28aから内部空間36内に移動し、内部空間36内の複数の上板部材54は、6個の上板部材54の移動により前方向に押し出される。プッシャ18による上板部材54の押圧が繰り返されることにより、上板部材54は、搬入口28aから内部空間36内に搬入され、熱処理空間42と冷却空間44を順番に通過した後、搬出口30aから炉体12の外部に搬出される。なお、プッシャ18の構成はよく知られているため、その詳細な構成の説明は省略する。
【0061】
複数の搬送ローラ20は、冷却空間44に配置されている。搬送ローラ20は、例えば、金属材料またはセラミックスからなる。複数の搬送ローラ20は、前後方向に間隔を有して配置されている。搬送ローラ20の両端は、回転可能に側壁32、34に支持されている。複数の搬送ローラ20は、プッシャ18により上板部材54が前方向に押圧されると、上板部材54との間に作用する摩擦により回転する。上板部材54は、冷却空間44内で、複数の搬送ローラ20上を前方向に移動する。
【0062】
図4に示すように、1個の下板部材50は、複数の(本実施例では3個の)凹部70を備えている。凹部70は、下板部材50の上面60から下方向に凹んでいる。3個の凹部70は、前後方向に離れて配置されている。3個の凹部70は、前後方向に一列に並んでいる。下板部材50を前後方向と上下方向に沿う平面で切断したとき、凹部70は、前後方向に延びる略長方形状を有する。また、
図5に示すように、最も前側に位置する凹部70は、下板部材50の前面から離れており、最も後側に位置する凹部70は、下板部材50の後面から離れている。最も前側に位置する凹部70と下板部材50の前面との間の長さと、最も後側に位置する凹部70と下板部材50の後面との間の長さのそれぞれは、5mm以上、好ましくは10mm以上である。また、凹部70は、下板部材50の左面と右面のそれぞれから離れている。凹部70と下板部材50の左面との間の長さと、凹部70と下板部材50の右面との間の長さのそれぞれは、例えば、5mm以上かつ20mm以下である。下板部材50を下方向に見たとき、凹部70は、前後方向に延びる略長方形状を有する。複数の凹部70の前後方向の幅の合計は、例えば、下板部材50の前後方向の幅の50%以上かつ95%以下である。なお、前後方向に並ぶ凹部70の個数は、3個に限られず、例えば、2個であってもよく、4個以上であってもよい。また、変形例では、
図6に示すように、1個の下板部材50は、1個の凹部70のみを備えていてもよい。このとき、凹部70は、前後方向に細長い形状を有している。また、凹部70の前後方向の幅は、下板部材50の前後方向の幅よりも僅かに短い。
【0063】
図4に示すように、複数の(本実施例では3個の)中間部材56が、1個の下板部材50に取り付けられている。下板部材50に取り付けられる中間部材56の個数は、1個の下板部材50が備えている凹部70の個数と同一である。中間部材56は、凹部70内で下板部材50に支持されている。3個の中間部材56は、前後方向に一列に並んでいる。複数の中間部材56の前後方向の幅の合計は、例えば、下板部材50の前後方向の幅の50%以上かつ95%以下である。なお、前後方向に並ぶ中間部材56の個数は、3個に限られず、例えば、2個であってもよく、4個以上であってもよい。また、変形例では、
図6に示すように、1個の中間部材56のみが1個の下板部材50に取り付けられていてもよい。このとき、中間部材56は、前後方向に細長い板形状を有している。また、中間部材56の前後方向の幅は、下板部材50の前後方向の幅よりも僅かに短い。
【0064】
中間部材56は、セラミックスからなる。中間部材56のセラミックスの種類は、下板部材50のセラミックスの種類と、上板部材54のセラミックスの種類のそれぞれと異なる。中間部材56のセラミックスは、遷移金属または貧金属を含む。中間部材56のセラミックスは、例えば、遷移金属を含む非酸化物系セラミックスを備えている。遷移金属を含む非酸化物系セラミックスは、例えば、TiB2、TiCN、またはMoSi2である。また、中間部材56のセラミックスは、例えば、遷移金属または貧金属を含む酸化物系セラミックスを備えている。遷移金属または貧金属を含む酸化物系セラミックスは、例えば、Cr2O3、Al2O3、またはAl6O13Si2である。これにより、中間部材56の硬度を高くすることができる。また、中間部材56の耐熱性と耐摩耗性を維持しつつ、上板部材54と中間部材56との間に作用する摺動抵抗を低くすることができる。
【0065】
中間部材56の気孔率は、下板部材50の気孔率と上板部材54の気孔率のそれぞれよりも小さい。本明細書では、気孔率とは、見かけ気孔率のことをいう。見かけ気孔率は、部材の外部と連通する孔の合計の体積を、孔を含む部材の体積で除算した値に、100を乗算することにより算出される。また、中間部材56の気孔率は、例えば、1%以下、好ましくは0.5%以下、より好ましくは0.1%以下である。これにより、中間部材56の表面に気孔が形成され難くなり、中間部材56の表面を平滑な状態に維持することができる。また、中間部材56の強度を高めることができる。
【0066】
中間部材56の曲げ強度は、下板部材50の曲げ強度と上板部材54の曲げ強度よりも大きい。本明細書では、曲げ強度は、4点曲げ強度のことをいう。部材の4点曲げ強度は、部材の両端近傍を下側から支持した状態で、部材の中央近傍の2箇所を上側から下方向に押圧し、部材が破損したときの荷重を用いて算出される。中間部材56の曲げ強度は、例えば、150MPa(150×106N/m2)以上、好ましくは200MPa(200×106N/m2)以上、より好ましくは、250MPa(250×106N/m2)以上である。また、中間部材56の曲げ強度は、例えば、400MPa(400×106N/m2)以下であり、好ましくは350MPa(350×106N/m2)以下であり、より好ましくは300MPa(300×106N/m2)以下である。これにより、中間部材56が上板部材54の重量と上板部材54上に載置される複数の被処理物2の重量により破損することを抑制することができる。例えば、中間部材56の曲げ強度は、150MPa以上かつ400MPa以下であり、200MPa以上かつ350MPa以下であり、250MPa以上かつ300MPa以下である。
【0067】
図7に示すように、中間部材56は、被受入部74と、突出部76と、を備えている。被受入部74は、凹部70に受け入れられている。被受入部74は、凹部70内に配置されている。被受入部74は、凹部70の形状に対応する形状を有する。被受入部74の上下方向の長さは、例えば、5mm以上かつ20mm以下である。被受入部74の前後方向の長さL1は、凹部70の前後方向の長さL2よりも短い。このため、前後方向において、凹部70内には、空隙78が形成される。空隙78が形成されることにより、中間部材56の熱膨張率が下板部材50の熱膨張率よりも大きいときでも、被受入部74が凹部70内で下板部材50よりも大きく前後方向に熱膨張することができる。この結果、中間部材56が熱膨張により下板部材50に押し付けられることを抑制することができ、中間部材56と下板部材50との間に発生する熱応力を小さくすることができる。これにより、中間部材56と下板部材50が破損することを抑制することができる。空隙78の前後方向の長さL3は、長さL1から長さL2を減算した値と同一である。長さL3は、長さL2の2%以下であり、好ましくは長さL2の1%以下であり、より好ましくは長さL2の0.5%以下である。これにより、熱膨張による中間部材56と下板部材50の破損を抑制することができる。また、荷重を受ける中間部材56の面積が小さくなることを抑制することができ、中間部材56が摩耗することを抑制することができる。
【0068】
図4に示すように、突出部76は、被受入部74の上端に接続されている。突出部76は、被受入部74から上方向に突出している。突出部76は、下板部材50の上面60よりも上板部材54側に突出している。突出部76は、下板部材50の外部に配置されている。突出部76は、略直方体形状を有する。突出部76の上下方向の長さは、例えば、5mm以上かつ20mm以下である。突出部76の上下方向の長さは、被受入部74の上下方向の長さと略同一である。
図7に示すように、突出部76の前後方向の長さL4は、被受入部74の前後方向の長さL1の長さと略同一である。変形例では、
図8に示すように、長さL4は、長さL1よりも長くてもよい。このとき、突出部76の下面の一部は、下板部材50の上面60と当接している。
【0069】
図7に示すように、突出部76は、上面80を備えている。上面80は、中間部材56の上面に対応する。上面80は、上板部材54と上下方向に対向している。上面80は、上板部材54と面で当接する。上板部材54は、上面80上を前方向に摺動する。上面80は、研磨されていてもよく、研磨されていなくてもよい。上面80の算術平均粗さは、例えば、10マイクロメートル以下、好ましくは5マイクロメートル以下、より好ましくは2マイクロメートル以下である。これにより、上板部材54は、上面80上をスムースに摺動することができる。なお、上面80の算術平均粗さは、1マイクロメートル以下であってもよい。
【0070】
上板部材54に対する中間部材56の上面80の動摩擦係数は、例えば、0.5以下、好ましくは0.4以下、より好ましくは0.35以下である。これにより、上板部材54は、上面80上をスムースに摺動することができる。なお、上板部材54に対する中間部材56の上面80の動摩擦係数は、0.3以下であってもよい。
【0071】
上板部材54と中間部材56との間に作用する摺動抵抗は、上板部材54と下板部材50との間に作用する摺動抵抗よりも小さい。これにより、中間部材56が上板部材54と下板部材50との間に挟まれていない構成と比較して、上板部材54はスムースに前方向に移動することができる。
【0072】
図7に示すように、突出部76は、面取り部82を備えている。面取り部82は、突出部76の後端に位置する角部84に配置されている。面取り部82は、突出部76の後端をC面取りすることにより形成される。変形例では、面取り部82は、突出部76の後端をR面取りすることにより形成されてもよい。面取り部82は、上面80に接続されている。面取り部82の前後方向の長さL5は、例えば、10mmから20mmである。面取り部82の上下方向の長さL6は、例えば、1mmから3mmである。長さL5は、長さL6の3倍以上、好ましくは長さL6の5倍以上である。また、長さL5は、長さL6の20倍以下、好ましくは長さL6の10倍以下である。面取り部82により、上板部材54は、突出部76の角部84に引っかかることなく、突出部76の上面80上を前方向に摺動することができる。例えば、長さL5は、長さL6の3倍以上かつ20倍以下であり、長さL6の5倍以上かつ10倍以下である。また、長さL5は、突出部76の前後方向の長さL4の5%以上、好ましくは15%以上である。長さL6は、突出部76の上下方向の長さL7の50%以下である。
【0073】
被受入部74の形状と突出部76の形状のそれぞれは、上記の形状に限られない。例えば、
図9に示すように、中間部材56を上下方向と左右方向に沿う平面で切断したとき、被受入部74は、略台形形状を有しており、突出部76は、略長方形状を有していてもよい。この場合、中間部材56を上下方向と左右方向に沿う平面で切断したとき、下板部材50の凹部70は、被受入部74の形状に対応する形状(即ち、略台形形状)を有する。中間部材56は、下板部材50に対して中間部材56を前後方向に相対的に移動させることにより、下板部材50に取り付けられる。また、
図10に示すように、中間部材56を上下方向と左右方向に沿う平面で切断したとき、被受入部74は、略台形形状を有しており、突出部76は、略半円形状を有していてもよい。この場合、中間部材56を上下方向と左右方向に沿う平面で切断したとき、下板部材50の凹部70は、被受入部74の形状に対応する形状(即ち、略半円形状)を有する。中間部材56は、下板部材50に対して中間部材56を前後方向に相対的に移動させることにより、下板部材50に取り付けられる。さらに、
図11に示すように、被受入部74と突出部76のそれぞれは、略円柱形状を有していてもよい。
図11では、被受入部74が破線により図示されている。この場合、被受入部74の外周面の直径は、突出部76の外周面の直径よりも小さい。また、下板部材50の凹部70は、被受入部74の形状に対応する形状(即ち、略円柱形状)を有している。中間部材56は、中間部材56を下板部材50の凹部70に上側から差し込むことにより、下板部材50に取り付けられる。
【0074】
第1実施例において、下板部材50の上面60は、「第1対向面」の一例である。突出部76の上面80は、「第2対向面」の一例である。
【0075】
(第2実施例)
第2実施例を説明する。第2実施例では、第1実施例と異なる点のみ説明する。第2実施例では、
図12に示すように、中間部材56は、上板部材54に取り付けられている。第2実施例の中間部材56の材質と気孔率と曲げ強度のそれぞれは、第1実施例の中間部材56の材質と気孔率と曲げ強度のそれぞれと略同一である。下板部材50は、凹部70を備えていない。
【0076】
図13に示すように、1個の上板部材54は、複数の(本実施例では9個の)凹部170を備えている。凹部170は、上板部材54の下面172から上方向に凹んでいる。なお、下面172は、下板部材50の上面60(
図12参照)と対向している。3個の凹部170は、前後方向に離れて配置されている。3個の凹部170は、前後方向に一列に並んでいる。また、3個の凹部170からなる群が、左右方向に離れて配置されている。最も前側に位置する凹部170は、上板部材54の前面から離れており、最も後側に位置する凹部170は、上板部材54の後面から離れている。最も前側に位置する凹部170と上板部材54の前面との間の長さと、最も後側に位置する凹部170と上板部材54の後面との間の長さのぞれぞれは、5mm以上、好ましくは10mm以上である。また、最も左側に位置する凹部170は、上板部材54の左面から離れており、最も右側に位置する凹部170は、上板部材54の右面から離れている。最も左側に位置する凹部170と上板部材54の左面との間の長さと、最も右側に位置する凹部70と下板部材50の右面との間の長さのそれぞれは、例えば、5mm以上かつ20mm以下である。凹部170の形状は、第1実施例の凹部70の形状と略同一であり、凹部170の寸法は、第1実施例の凹部70の寸法と略同一である。複数の凹部170の前後方向の幅の合計は、例えば、上板部材54の前後方向の幅の50%以上かつ95%%以下である。前後方向に並ぶ凹部170の個数と、左右方向に並ぶ凹部170の個数のそれぞれは、3個に限られず、例えば、2個以下であってもよく、4個以上であってもよい。
【0077】
複数の(本実施例では9個の)中間部材56が、1個の上板部材54に取り付けられている。上板部材54に取り付けられる中間部材56の個数は、1個の上板部材54が備えている凹部170の個数と同一である。中間部材56は、接着剤を介して上板部材54に取り付けられている。3個の中間部材56は、前後方向に離れて配置されている。3個の中間部材56は、前後方向に一列に並んでいる。また、3個の中間部材56からなる群が、左右方向に離れて配置されている。複数の中間部材56の前後方向の幅の合計は、例えば、上板部材54の前後方向の幅の50%以上かつ95%以下である。なお、前後方向に並ぶ中間部材56の個数と、左右方向に並ぶ中間部材56の個数のそれぞれは、3個に限られず、例えば、2個以下であってもよく、4個以上であってもよい。
【0078】
図14に示すように、中間部材56の被受入部74は、凹部170に受け入れられている。被受入部74は、凹部170の形状に対応する形状を有する。被受入部74の前後方向の長さL1は、凹部170の前後方向の長さL12よりも短い。なお、凹部170の前後方向の長さL12は、第1実施例の凹部70の前後方向の長さL2と略同一である。このため、前後方向において、凹部170内には、空隙178が形成される。このため、中間部材56の熱膨張率が上板部材54の熱膨張率よりも大きいときでも、被受入部74が上板部材54よりも凹部170内で前後方向に熱膨張することができる。この結果、中間部材56が熱膨張により上板部材54に押し付けられることを抑制することができ、中間部材56と上板部材54との間に発生する熱応力を小さくすることができる。これにより、中間部材56と上板部材54が破損することを抑制することができる。空隙178の前後方向の長さL13は、長さL1から長さL12を減算した値と同一である。長さL13は、第1実施例の空隙78の前後方向の長さL3と略同一である。長さL13は、長さL12の2%以下であり、好ましくは長さL12の1%以下であり、より好ましくは長さL12の0.5%以下である。これにより、熱膨張による中間部材56と上板部材54の破損を抑制することができる。また、荷重を受ける中間部材56の面積が小さくなることを抑制することができ、中間部材56が摩耗することを抑制することができる。
【0079】
中間部材56の突出部76は、被受入部74の下端に接続されている。突出部76は、被受入部74から下方向に突出している。突出部76は、上板部材54の下面172よりも下板部材50(
図12参照)側に突出している。突出部76は、上板部材54の外部に配置されている。突出部76の前後方向の長さL4は、被受入部74の前後方向の長さL1の長さと略同一である。変形例では、長さL4は、長さL1よりも長くてもよい。即ち、中間部材56の形状は、
図8に示される中間部材56の形状と略同一である。このとき、突出部76の上面の一部は、上板部材54の下面172と当接している。
【0080】
突出部76は、下面180を備えている。下面180は、中間部材56の下面に対応する。下面180は、下板部材50と上下方向に対向している。下面180は、下板部材50と面で当接する。中間部材56は、下板部材50の上面60上を前方向に摺動する。下面180は、研磨されていてもよく、研磨されていなくてもよい。下面180の算術平均粗さは、例えば、10マイクロメートル以下、好ましくは5マイクロメートル以下、より好ましくは2マイクロメートル以下である。これにより、中間部材56は、下板部材50の上面60上をスムースに摺動することができる。なお、下面180の算術平均粗さは、1マイクロメートル以下であってもよい。
【0081】
下板部材50に対する中間部材56の下面180の動摩擦係数は、例えば、0.5以下、好ましくは0.4以下、より好ましくは0.35以下である。これにより、中間部材56は、下板部材50の上面60上をスムースに摺動することができる。なお、下板部材50に対する中間部材56の下面180の動摩擦係数は、0.3以下であってもよい。
【0082】
下板部材50と中間部材56との間に作用する摺動抵抗は、上板部材54と下板部材50との間に作用する摺動抵抗よりも小さい。これにより、中間部材56が上板部材54と下板部材50との間に挟まれていない構成と比較して、中間部材56は上板部材54とともにスムースに前方向に移動することができる。
【0083】
突出部76は、面取り部182を備えている。面取り部182は、突出部76の前端に位置する角部184に配置されている。面取り部182は、突出部76の前端をC面取りすることにより形成される。変形例では、面取り部182は、突出部76の前端をR面取りすることにより形成されてもよい。面取り部182は、下面180に接続されている。面取り部182の前後方向の長さL15は、例えば、10mmから20mmである。面取り部182の上下方向の長さL16は、例えば、1mmから3mmである。長さL15は、長さL16の3倍以上、好ましくは長さL16の5倍以上である。また、長さL15は、長さL16の20倍以下、好ましくは長さL16の10倍以下である。面取り部182により、中間部材56は、下板部材50が突出部76の角部184に引っかかることなく、下板部材50の上面60上を前方向に摺動することができる。例えば、長さL15は、長さL16の3倍以上かつ20倍以下であり、長さL16の5倍以上かつ10倍以下である。また、長さL15は、突出部76の前後方向の長さL4の5%以上、好ましくは15%以上である。長さL16は、突出部76の上下方向の長さL7の50%以下である。
【0084】
被受入部74の形状と突出部76の形状のそれぞれは、上記の形状に限られない。例えば、中間部材56を上下方向と左右方向に沿う平面で切断したとき、被受入部74は、略台形形状を有しており、突出部76は、略長方形状を有していてもよい。即ち、中間部材56の形状は、
図9に示される中間部材56の形状と略同一であってもよい。中間部材56は、上板部材54に対して中間部材56を前後方向に相対的に移動させることにより、上板部材54に取り付けられる。また、中間部材56を上下方向と左右方向に沿う平面で切断したとき、被受入部74は、略台形形状を有しており、突出部76は、略半円形状を有していてもよい。即ち、中間部材56の形状は、
図10に示される中間部材56の形状と略同一であってもよい。中間部材56は、上板部材54に対して中間部材56を前後方向に相対的に移動させることにより、上板部材54に取り付けられる。さらに、被受入部74と突出部76のそれぞれは、略円柱形状を有していてもよい。即ち、中間部材56の形状は、
図11に示される中間部材56の形状と略同一であってもよい。中間部材56は、中間部材56を上板部材54の凹部170に下側から差し込むことにより、上板部材54に取り付けられる。
【0085】
第2実施例において、上板部材54の下面172は、「第1対向面」の一例である。突出部76の下面180は、「第2対向面」の一例である。
【0086】
(第3実施例)
第3実施例を説明する。第3実施例では、第1実施例と異なる点のみ説明する。
図15に示すように、複数の中間部材56のそれぞれは、尖部356を備えている。尖部356は、中間部材56の後端に位置している。尖部356は、平面視すると尖った形状を有する。尖部356の左右方向の幅は、前方向に向かうにつれて徐々に大きくなる。尖部356の左面と右面との間の角度A1が小さい構成では、尖部356が破損し易くなり、角度A1が大きい構成では、摩耗粉等の異物が尖部356に沿って移動しくなる。このため、例えば、角度A1が60度以上であることにより、尖部356が破損することが抑制される。また、角度A1が120度以下であることにより、摩耗粉等の異物が、尖部356に沿って前方向に移動し易くなり、異物が尖部356、即ち、中間部材56の後端に溜まることが抑制される。角度A1は、例えば、60度以上かつ90度以下であってもよい。
【0087】
変形例では、
図16に示すように、1個の中間部材56のみが1個の下板部材50に取り付けられている構成において、尖部356が、中間部材56の後端に位置していてもよい。
【0088】
(第4実施例)
第4実施例を説明する。第4実施例では、第2実施例と異なる点のみ説明する。
図17に示すように、複数の中間部材56のそれぞれは、尖部456を備えている。尖部456は、中間部材56の前端に位置している。尖部456は、平面視すると尖った形状を有する。尖部456の左右方向の幅は、後方向に向かうにつれて徐々に大きくなる。尖部456の左面と右面との間の角度A2が小さい構成では、尖部456が破損し易くなり、角度A2が大きい構成では、摩耗粉等の異物が尖部456に沿って移動し易くなる。このため、例えば、角度A2が60度以上であることにより、尖部456が破損することが抑制される。また、角度A2が120度以下であることにより、摩耗粉等の異物が、尖部456に沿って後方向に移動し易くなり、異物が尖部456、即ち、中間部材56の前端に溜まることが抑制される。角度A2は、例えば、60度以上かつ90度以下であってもよい。
【0089】
変形例では、
図18に示すように、3個の中間部材56が、左右方向に並んだ状態で上板部材54に取り付けられている構成において、尖部456が、各中間部材56の前端に位置していてもよい。
【0090】
(第5実施例)
第5実施例を説明する。第5実施例では、第1実施例と異なる点のみ説明する。
図19に示すように、複数の中間部材56のそれぞれは、テーパ部556を備えている。テーパ部556は、中間部材56の前端に位置している。中間部材56を上側から見たときに、テーパ部556は、略台形形状を有する。テーパ部556の左右方向の幅は、後方向に向かうにつれて徐々に大きくなる。テーパ部556のテーパ角A3は、テーパ部556の左面と右面との間の角度の半分の角度である。テーパ角A3は、例えば、10度以上かつ45度以下である。テーパ角A3が10度以上であることにより、中間部材56の上面上の摩耗粉等の異物が中間部材56の上面から中間部材56の右側と左側に脱落し易くなる。テーパ角A3が45度以下であることにより、テーパ角A3が45度を超える構成と比較してテーパ部556の前後方向の長さが長くなることから、異物が中間部材56の上面から脱落し易くなる。
【0091】
変形例では、
図20に示すように、1個の中間部材56のみが1個の下板部材50に取り付けられている構成において、テーパ部556が、中間部材56の前端に位置していてもよい。
【0092】
(変形例)
一実施形態では、複数の中間部材56は、1個の凹部70、170に配置されていてもよい。この場合、複数の中間部材56は、互いに前後方向に当接していてもよい。
【0093】
以上、本明細書に開示の技術の具体例を詳細に説明したが、これらは例示にすぎず、特許請求の範囲を限定するものではない。特許請求の範囲に記載の技術には、以上に例示した具体例を様々に変形、変更したものが含まれる。また、本明細書または図面に説明した技術要素は、単独であるいは各種の組合せによって技術的有用性を発揮するものであり、出願時請求項記載の組合せに限定されるものではない。また、本明細書または図面に例示した技術は複数目的を同時に達成するものであり、そのうちの一つの目的を達成すること自体で技術的有用性を持つものである。
【符号の説明】
【0094】
2 :被処理物
10 :熱処理炉
12 :炉体
16 :摺動ユニット
18 :プッシャ
28a :搬入口
30a :搬出口
42 :熱処理空間
50 :下板部材
52 :ガイド部材
54 :上板部材
56 :中間部材
60、62、64、80:上面
70、170:凹部
74 :被受入部
76 :突出部
78、178:空隙
82、182:面取り部
84、184:角部
172、180:下面
L1、L2、L3、L4、L5、L6、L7、L12、L13、L15、L16:長さ