(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024137705
(43)【公開日】2024-10-07
(54)【発明の名称】電力変換装置
(51)【国際特許分類】
H02M 3/28 20060101AFI20240927BHJP
H01F 30/10 20060101ALI20240927BHJP
【FI】
H02M3/28 H
H02M3/28 Y
H02M3/28 W
H01F30/10 M
H01F30/10 C
【審査請求】未請求
【請求項の数】6
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2024004105
(22)【出願日】2024-01-15
(31)【優先権主張番号】P 2023047489
(32)【優先日】2023-03-24
(33)【優先権主張国・地域又は機関】JP
(71)【出願人】
【識別番号】000144393
【氏名又は名称】株式会社三社電機製作所
(74)【代理人】
【識別番号】110003915
【氏名又は名称】弁理士法人岡田特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】服部 正蔵
【テーマコード(参考)】
5H730
【Fターム(参考)】
5H730AA14
5H730AS01
5H730BB26
5H730BB57
5H730BB82
5H730DD03
5H730DD04
5H730DD16
5H730EE02
5H730EE03
5H730EE13
5H730EE61
5H730EE75
5H730FG05
5H730ZZ16
(57)【要約】
【課題】構造設計を簡素化可能な電力変換装置を提供する。
【解決手段】電力変換装置100では、第1の1次側巻線12の第1の1次側巻き終わり端12bと第2の1次側巻線22の第2の1次側巻き終わり端22bとが接続されることにより、第1の1次側巻線12と第2の1次側巻線22とが直列に接続されている。2次側回路40を構成する第2及び第3トランジスタQ2、Q3だけでなく、第2及び第3トランジスタQ2、Q3に第1ゲート信号G1を入力する第1側ゲートラインGL1が2次側回路基板CBの第1側CB1に配置されている。さらに、2次側回路40を構成する第1及び第4トランジスタだけQ1、Q4でなく、第1及び第4トランジスタQ1、Q4に第2ゲート信号G2を入力する第2側ゲートラインGL2が2次側回路基板CBの第2側CB2に配置されている。
【選択図】
図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
第1コアと、前記第1コアに巻かれた第1の1次側巻線と、前記第1コアに巻かれた第1の2次側巻線と、を有する第1トランスと、
第2コアと、前記第2コアに巻かれた第2の1次側巻線と、前記第2コアに巻かれた第2の2次側巻線と、を有する第2トランスと、
前記第1の1次側巻線及び前記第2の1次側巻線に接続され、前記第1の1次側巻線及び前記第2の1次側巻線に交流電圧を供給する1次側回路と、
2次側回路基板に配置されており、前記第1トランス及び前記第2トランスにおいて生成された出力電圧を整流する2次側回路と、を備える電力変換装置であって、
前記第1トランスと前記第2トランスとは、前記2次側回路基板の平面視において前記2次側回路を挟んで回転対称に配置されており、
前記第1の1次側巻線は前記第1コアに第1の1次側巻き始め端から第1の1次側巻き終わり端に向かって巻かれており、前記第2の1次側巻線は前記第2コアに第2の1次側巻き始め端から第2の1次側巻き終わり端に向かって巻かれており、
前記第1の1次側巻線と前記第2の1次側巻線とが直列に接続されるように、前記第1の1次側巻き終わり端と前記第2の1次側巻き終わり端とが接続されており、前記第1の1次側巻き始め端は前記1次側回路の一端に接続されており、前記第2の1次側巻き始め端は前記1次側回路の他端に接続されており、
前記第1の2次側巻線は第1部分巻線と第2部分巻線とを有し、前記第1部分巻線と前記第2部分巻線とが直列になるように前記第1部分巻線の第1部分巻き終わり端と前記第2部分巻線の第2部分巻き始め端とが接続されており、
前記第2の2次側巻線は第3部分巻線と第4部分巻線とを有し、前記第3部分巻線と前記第4部分巻線とが直列になるように前記第3部分巻線の第3部分巻き終わり端と前記第4部分巻線の第4部分巻き始め端とが接続されており、
前記第1部分巻き終わり端と前記第2部分巻き始め端との第1接続部分と前記第3部分巻き終わり端と前記第4部分巻き始め端との第2接続部分とが接続されて前記出力電圧を出力する出力電圧線を構成しており、
前記2次側回路は、ソースが共通に接続される第1乃至第4トランジスタを有し、前記第1トランジスタのドレインは前記第2部分巻線の第2部分巻き終わり端に接続されており、前記第2トランジスタのドレインは前記第1部分巻線の第1部分巻き始め端に接続されており、前記第3トランジスタのドレインは前記第4部分巻線の第4部分巻き終わり端に接続されており、前記第4トランジスタのドレインは前記第3部分巻線の第3部分巻き始め端に接続されており、前記第2トランジスタ及び前記第3トランジスタは平面視において前記2次側回路基板における第1側に配置されており、かつ、前記第1トランジスタ及び前記第4トランジスタは前記2次側回路基板における平面視において前記第1側とは反対の第2側に配置されており、前記第2トランジスタ及び前記第3トランジスタのそれぞれのゲートには前記第1側に配置されている第1側ゲートラインから第1ゲート信号が入力されるように構成されており、前記第1トランジスタ及び前記第4トランジスタのそれぞれのゲートには前記第2側に配置されている第2側ゲートラインから第2ゲート信号が入力されるように構成されている、電力変換装置。
【請求項2】
平面視において前記2次側回路基板における前記第1側に配置されており、前記第1側ゲートラインに前記第1ゲート信号を供給する第1側ゲート駆動回路と、
平面視において前記2次側回路基板における前記第2側に配置されており、前記第2側ゲートラインに前記第2ゲート信号を供給する第2側ゲート駆動回路と、
をさらに備える、請求項1に記載の電力変換装置。
【請求項3】
前記1次側回路は、直列に接続された第5トランジスタ及び第6トランジスタを含む第1アームと、直列に接続された第7トランジスタ及び第8トランジスタを含む第2アームと有し、前記第1アームと前記第2アームとは並列に接続されてフルブリッジ回路を構成している、請求項1又は2に記載の電力変換装置。
【請求項4】
前記第1乃至第4部分巻線それぞれの巻き数は前記第1及び第2の1次側巻線それぞれの巻き数よりも少ない、請求項1又は2に記載の電力変換装置。
【請求項5】
前記第2コア、前記第2の1次側巻線及び前記第2の2次側巻線それぞれが前記第1コア、前記第1の1次側巻線及び前記第1の2次側巻線に対応するように同一に構成されている、請求項1又は2に記載の電力変換装置。
【請求項6】
前記1次側回路は、前記第1の1次側巻き始め端から前記第1の1次側巻き終わり端に向かって、かつ、前記第2の1次側巻き終わり端から前記第2の1次側巻き始め端に向かって電流が流れるように前記交流電圧が供給される第1モードと、前記第2の1次側巻き始め端から前記第2の1次側巻き終わり端に向かって、かつ、前記第1の1次側巻き終わり端から前記第1の1次側巻き始め端に向かって電流が流れるように前記交流電圧が供給される第2モードと、を切り替えるように制御されており、
前記2次側回路は、前記第1モードでは、前記第2部分巻き終わり端から前記第2部分巻き始め端に向かって、かつ前記第3部分巻き始め端から前記第3部分巻き終わり端に向かって電流が流れるように制御し、前記第2モードでは、前記第1部分巻き始め端から前記第1部分巻き終わり端に向かって、かつ前記第4部分巻き終わり端から前記第4部分巻き始め端に向かって電流が流れるように制御している、請求項1又は2に記載の電力変換装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は、電力変換装置に関する。
【背景技術】
【0002】
各種電子機器には電力変換装置が搭載されているものが存在する。電力変換装置は、入力電流と出力電流間で交流及び直流を変換する、また、入力電圧を異なる電圧に変換する装置である。具体的には、電力変換装置として、AC/DCコンバータ及びDC/DCコンバータ等が挙げられる。特許文献1の電力変換装置では、入力電圧を受ける1次側の回路部と、出力電圧を出力する2次側の回路部とを、トランスを用いて電気的に絶縁しつつ磁気的に接続している。また、トランスの2次側巻線に生じる電圧波形を同期整流回路を用いて整流している。同期整流回路を用いることで電力損失を抑制することができる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
特許文献1のような電力変換装置も各種電子機器と同様にトランジスタ及び配線の配置等の構造設計が複雑化しており、構造設計の簡素化が求められている。それゆえに、この発明の主たる目的は、構造設計を簡素化可能な電力変換装置を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0005】
この発明にかかる電力変換装置は、第1コアと、第1コアに巻かれた第1の1次側巻線と、第1コアに巻かれた第1の2次側巻線と、を有する第1トランスと、第2コアと、第2コアに巻かれた第2の1次側巻線と、第2コアに巻かれた第2の2次側巻線と、を有する第2トランスと、第1の1次側巻線及び第2の1次側巻線に接続され、第1の1次側巻線及び第2の1次側巻線に交流電圧を供給する1次側回路と、2次側回路基板に配置されており、第1トランス及び第2トランスにおいて生成された出力電圧を整流する2次側回路と、を備える電力変換装置であって、第1トランスと第2トランスとは、2次側回路基板の平面視において2次側回路を挟んで回転対称に配置されており、第1の1次側巻線は第1コアに第1の1次側巻き始め端から第1の1次側巻き終わり端に向かって巻かれており、第2の1次側巻線は第2コアに第2の1次側巻き始め端から第2の1次側巻き終わり端に向かって巻かれており、第1の1次側巻線と第2の1次側巻線とが直列に接続されるように、第1の1次側巻き終わり端と第2の1次側巻き終わり端とが接続されており、第1の1次側巻き始め端は1次側回路の一端に接続されており、第2の1次側巻き始め端は1次側回路の他端に接続されており、第1の2次側巻線は第1部分巻線と第2部分巻線とを有し、第1部分巻線と第2部分巻線とが直列になるように第1部分巻線の第1部分巻き終わり端と第2部分巻線の第2部分巻き始め端とが接続されており、第2の2次側巻線は第3部分巻線と第4部分巻線とを有し、第3部分巻線と第4部分巻線とが直列になるように第3部分巻線の第3部分巻き終わり端と第4部分巻線の第4部分巻き始め端とが接続されており、第1部分巻き終わり端と第2部分巻き始め端との第1接続部分と第3部分巻き終わり端と第4部分巻き始め端との第2接続部分とが接続されて出力電圧を出力する出力電圧線を構成しており、2次側回路は、ソースが共通に接続される第1乃至第4トランジスタを有し、第1トランジスタのドレインは第2部分巻線の第2部分巻き終わり端に接続されており、第2トランジスタのドレインは第1部分巻線の第1部分巻き始め端に接続されており、第3トランジスタのドレインは第4部分巻線の第4部分巻き終わり端に接続されており、第4トランジスタのドレインは第3部分巻線の第3部分巻き始め端に接続されており、第2トランジスタ及び第3トランジスタは平面視において2次側回路基板における第1側に配置されており、かつ、第1トランジスタ及び第4トランジスタは2次側回路基板における平面視において第1側とは反対の第2側に配置されており、第2トランジスタ及び第3トランジスタのそれぞれのゲートには第1側に配置されている第1側ゲートラインから第1ゲート信号が入力されるように構成されており、第1トランジスタ及び第4トランジスタのそれぞれのゲートには第2側に配置されている第2側ゲートラインから第2ゲート信号が入力されるように構成されている。
【0006】
この発明にかかる電力変換装置では、上記の構成によれば、第1トランス及び第2トランスが2次側回路を挟んで回転対称に配置されているとともに、第1の1次側巻き終わり端と第2の1次側巻き終わり端とが接続されていることにより第1の1次側巻線と第2の1次側巻線とが直列に接続されている。また、第1の2次側巻線と第2の2次側巻線とが並列に接続されている。このような構成を前提として、2次側回路を構成する第2及び第3トランジスタだけでなく、第2及び第3トランジスタに共通に第1ゲート信号を入力する第1側ゲートラインが2次側回路基板の第1側に配置されている。さらに、2次側回路を構成する第1及び第4トランジスタだけでなく、第1及び第4トランジスタに共通に第2ゲート信号を入力する第2側ゲートラインが2次側回路基板の第2側に配置されている。よって、2次側回路基板の第1側及び第2側それぞれにおいて複数のゲートラインを配置する必要がなく、ゲートラインの数を減らすことができる。これにより、電力変換装置におけるゲートラインの配置面積及び配置場所等の構造設計を簡素化可能である。
【発明の効果】
【0007】
この発明によれば、構造設計を簡素化可能な電力変換装置を提供することができる。
【0008】
この発明の上述の目的、その他の目的、特徴及び利点は、図面を参照して行う以下の発明を実施するための形態の説明から一層明らかとなろう。
【図面の簡単な説明】
【0009】
【
図1】この発明の実施の形態に係る電力変換装置の配置及び構成を示す模式図である。
【
図3】
図1の電力変換装置における第1モードでの電流の流れを示す電流経路図である。
【
図4】
図1の電力変換装置における第2モードでの電流の流れを示す電流経路図である。
【
図6】比較例に係る電力変換装置の配置及び構成を示す模式図である。
【
図8】
図6の電力変換装置における第1モードでの電流の流れを示す電流経路図である。
【
図9】
図6の電力変換装置における第2モードでの電流の流れを示す電流経路図である。
【
図10】巻線における巻き部分及びTapを示す模式図である。
【発明を実施するための形態】
【0010】
1.電力変換装置
この発明の実施の形態に係る電力変換装置100について図面を参照して以下に説明する。
図1は、この発明の実施の形態に係る電力変換装置の配置及び構成を示す模式図である。
図2は、
図1の電力変換装置の回路図である。
【0011】
電力変換装置100は、第1トランス10と、第2トランス20と、1次側回路30と、2次側回路40と、を備える。1次側回路30は、直流電圧から交流電圧を生成し、交流電圧を第1トランス10の第1の1次側巻線12及び第2トランス20の第2の1次側巻線22に供給する。第1の1次側巻線12及び第2の1次側巻線22に電流が流れることにより磁界が発生し、この磁界の電磁誘導により第1トランス10の第1の2次側巻線13及び第2トランス20の第2の2次側巻線23に電流が誘導される。これにより、巻線比に応じた出力電圧が第1の2次側巻線13及び第2の2次側巻線23から得られる。
【0012】
第1トランス10と第2トランス20とは、板状の2次側回路基板CBの平面視において2次側回路40を挟んで回転対称に配置されている。なお、2次側回路40は2次側回路基板CBに配置されている。そして、第1トランス10及び第2トランス20において、第1の1次側巻線12の第1の1次側巻き終わり端12bと第2の1次側巻線22の第2の1次側巻き終わり端22bとが接続されることにより、第1の1次側巻線12と第2の1次側巻線22とが直列に接続されている。また、第1トランス10の第1の2次側巻線13と第2トランス20の第2の2次側巻線23とが並列に接続されている。2次側回路40を構成する第2及び第3トランジスタQ2、Q3だけでなく、第2及び第3トランジスタQ2、Q3に共通に第1ゲート信号G1を入力する第1側ゲートラインGL1が2次側回路基板CBの第1側CB1に配置されている。さらに、2次側回路40を構成する第1及び第4トランジスタだけQ1、Q4でなく、第1及び第4トランジスタQ1、Q4に共通に第2ゲート信号G2を入力する第2側ゲートラインGL2が2次側回路基板CBの第2側CB2に配置されている。よって、2次側回路基板CBの第1側CB1及び第2側CB2それぞれにおいて複数のゲートラインを配置する必要がなく、ゲートラインの数を減らすことができる。これにより、電力変換装置100におけるゲートラインの配置面積及び配置場所等の構造設計を簡素化可能である。
【0013】
本実施の形態においてトランジスタとは、例えば、MOSFETトランジスタ(金属酸化膜半導体電界効果トランジスタ)である。ただし、MOSFETトランジスタに代えてIGBT(絶縁ゲート型バイポーラトランジスタ)等を用いることもできる。
【0014】
以下に、第1トランス10、第2トランス20、1次側回路30及び2次側回路40について説明する。また、以下において、2次側回路基板CBの平面を基準として上側を上方の向きとして、下側を下方の向きとして定義している。
【0015】
(1)第1トランス
第1トランス10は、第1コア11と、第1の1次側巻線12と、第1の2次側巻線13と、を有する。なお、ここでは図示していないが、第1トランス10はさらに放熱板を有することもできる。第1コア11として本実施の形態ではEIコアを例に挙げて説明する。第1コア11は、2次側回路基板CBの平面を基準として下方から上方に延びる、第1の1次側巻線12及び第1の2次側巻線13が巻かれる部分を少なくとも有する。つまり、第1コア11は、
図1の紙面裏側から紙面表側に向かう方向に沿って延びる部分を有することができる。そして、第1の1次側巻線12及び第1の2次側巻線13は紙面裏側から紙面表側に向かう方向に沿って延びる第1コア11に巻かれる。また、第1コア11は、
図1の紙面に沿う平面方向に延びており、当該平面方向に沿って巻線12、13が第1コア11に巻かれるという構成であってもよい。なお、本実施の形態に係る効果を達成可能であれば、第1コア11、巻線12、13の構成は限定されない。また、本実施の形態の2次側回路40が配置されている2次側回路基板CBは
図1の紙面に沿う平面方向に沿っている。また、第1の1次側巻線12及び第1の2次側巻線13の材質はこれに限定されないが、本実施の形態では銅を用いている。また、第1の1次側巻線12及び第1の2次側巻線13には特に銅板を用いている。本実施の形態の第1トランス10はいわゆる巻線型のトランスである。なお、第1の2次側巻線13としてはリッツ線及び単線等の容易に変形可能な線を適用しないことが好ましい。また、第1トランス10としてはプレーナトランスを用いることもできる。
【0016】
図1の例では、第1の1次側巻線12は、第1の1次側巻き始め端12aから第1の1次側巻き終わり端12bに下方から上方に向かって右巻きで第1コア11に巻かれている。また、第1の2次側巻線13は第1コア11に巻かれており、第1部分巻線14と第2部分巻線15とを有する。第1部分巻線14は、第1部分巻き始め端14aから第1部分巻き終わり端14bに向かって上方から下方に向かって右巻きで第1コア11に巻かれている。第2部分巻線15は、第2部分巻き始め端15aから第2部分巻き終わり端15bに向かって上方から下方に向かって右巻きで第1コア11に巻かれている。また、第1部分巻線14と第2部分巻線15とが直列になるように第1部分巻き終わり端14bと第2部分巻き始め端15aとが接続されている。
【0017】
第1の1次側巻線12は、第1の1次側巻き始め端12a及び第1の1次側巻き終わり端12bそれぞれから第1トランス10の外部に引き出されている。第1の2次側巻線13は、第1部分巻き始め端14a及び第2部分巻き終わり端15bそれぞれから第1トランス10の外部に引き出されている。さらに、第1の2次側巻線13は、第1部分巻き終わり端14bと第2部分巻き始め端15aとの第1接続部分16から第1トランス10の外部に引き出されている。
【0018】
第1部分巻線14と第2部分巻線15それぞれの巻き数は第1の1次側巻線12の巻き数よりも少ない。これにより、第1及び第2部分巻線14、15の長さを短くすることができるため、第1及び第2部分巻線14、15におけるインピーダンスを小さくすることができる。よって、第1トランス10における変換効率を向上して第1トランス10を高出力に構成することができる。
【0019】
また、第1の2次側巻線13が第1部分巻線14と第2部分巻線15とに分かれているため、近接効果の低減による銅損を低減することができる。結果として第1トランス10を高出力に構成することができる。なお、第1の2次側巻線13の分割数をさらに増やすことにより、近接効果をさらに抑制することができる。
【0020】
(2)第2トランス
第2トランス20は、第2コア21と、第2の1次側巻線22と、第2の2次側巻線23と、を有する。なお、ここでは図示していないが、第2トランス20はさらに放熱板を有することもできる。第2コア21として本実施の形態ではEIコアを例に挙げて説明する。第2コア21は、2次側回路基板CBの平面を基準として下方から上方に延びる、第2の1次側巻線22及び第2の2次側巻線23が巻かれる部分を少なくとも有する。つまり、第2コア21は、
図1の紙面裏側から紙面表側に向かう方向に沿って延びる部分を有することができる。そして、第2の1次側巻線22及び第2の2次側巻線23は紙面裏側から紙面表側に向かう方向に沿って延びる第2コア21に巻かれる。また、第2コア21は、
図1の紙面に沿う平面方向に延びており、当該平面方向に沿って巻線22、23が第2コア21に巻かれるという構成であってもよい。なお、本実施の形態に係る効果を達成可能であれば、第2コア21、巻線22、23の構成は限定されない。また、第2の1次側巻線22及び第2の2次側巻線23の材質はこれに限定されないが、本実施の形態では銅を用いている。また、第2の1次側巻線22及び第2の2次側巻線23には特に銅板を用いている。本実施の形態の第2トランス20はいわゆる巻線型のトランスである。なお、第2の2次側巻線23としてはリッツ線及び単線等の容易に変形可能な線を適用しないことが好ましい。また、第2トランス20としてはプレーナトランスを用いることもできる。
【0021】
図1の例では、第2の1次側巻線22は、第2の1次側巻き始め端22aから第2の1次側巻き終わり端22bに向かって上方から下方に向かって左巻きで第2コア21に巻かれている。また、第2の2次側巻線23は第2コア21に巻かれており、第3部分巻線24と第4部分巻線25とを有する。第3部分巻線24は、第3部分巻き始め端24aから第3部分巻き終わり端24bに向かって下方から上方に向かって左巻きで第2コア21に巻かれている。第4部分巻線25は、第4部分巻き始め端25aから第4部分巻き終わり端25bに向かって下方から上方に向かって左巻きで第2コア21に巻かれている。また、第3部分巻線24と第4部分巻線25とが直列になるように第3部分巻き終わり端24bと第4部分巻き始め端25aとが接続されている。
【0022】
第2の1次側巻線22は、第2の1次側巻き始め端22a及び第2の1次側巻き終わり端22bそれぞれから第2トランス20の外部に引き出されている。第2の2次側巻線23は、第3部分巻き始め端24a及び第4部分巻き終わり端25bそれぞれから第2トランス20の外部に引き出されている。さらに、第2の2次側巻線23は、第3部分巻き終わり端24bと第4部分巻き始め端25aとの第2接続部分26から第2トランス20の外部に引き出されている。第1の2次側巻線13の第1接続部分16と第2の2次側巻線23の第2接続部分26とは、それぞれの引き出し端を介して2次側出力(+)ラインVout(+)に共通に接続されている。2次側出力(+)ラインVout(+)(出力電圧線)からは、第1の2次側巻線13及び第2の2次側巻線23において誘起された出力電圧が出力される。
【0023】
第1の1次側巻き終わり端12bと第2の1次側巻き終わり端22bとがそれぞれの引き出し端を介して接続されることにより、第1の1次側巻線12と第2の1次側巻線22とが直列に接続されている。また、第1の1次側巻き始め端12aがその引き出し端を介して1次側回路30の第1ノード31aに接続され、かつ、第2の1次側巻き始め端22aがその引き出し端を介して1次側回路30の第2ノード32aに接続されている。
【0024】
第3部分巻線24と第4部分巻線25それぞれの巻き数は第2の1次側巻線22の巻き数よりも少ない。これにより、第3及び第4部分巻線24、25の長さを短くすることができるため、第3及び第4部分巻線24、25におけるインピーダンスを小さくすることができる。よって、第2トランス20における変換効率を向上して第2トランス20を高出力に構成することができる。
【0025】
また、第2の2次側巻線23が第3部分巻線24と第4部分巻線25とに分かれているため、近接効果の低減による銅損を低減することができる。結果として第2トランス20を高出力に構成することができる。なお、第2の2次側巻線23の分割数をさらに増やすことにより、近接効果をさらに抑制することができる。
【0026】
なお、本実施の形態では、第1トランス10と第2トランス20とは同一の構成である。同一の構成には、第1トランス10と第2トランス20とにおいて構成の差が少なく実質的に同一のものが含まれる。例えば以下が挙げられる。
(a)第1の1次側巻線12及び第2の1次側巻線22において巻き数、巻き方、長さ、幅等が実質的に同一。
(b)第1部分巻線14及び第3部分巻線24において巻き数、巻き方、長さ、幅等が実質的に同一。
(c)第2部分巻線15及び第4部分巻線25において巻き数、巻き方、長さ、幅等が実質的に同一。
(d)第1の1次側巻き始め端12aからの第1トランス10の外部への引き出し位置と第2の1次側巻き始め端22aからの第2トランス20の外部への引き出し位置が実質的に同一。
(e)第1の1次側巻き終わり端12bからの第1トランス10の外部への引き出し位置と第2の1次側巻き終わり端22bからの第2トランス20の外部への引き出し位置が実質的に同一。
(f)第1部分巻き始め端14aからの第1トランス10の外部への引き出し位置と第3部分巻き始め端24aからの第2トランス20の外部への引き出し位置が実質的に同一。
(g)第2部分巻き終わり端15bからの第1トランス10の外部への引き出し位置と第4部分巻き終わり端25bからの第2トランス20の外部への引き出し位置が実質的に同一。
(h)第1接続部分16からの第1トランス10の外部への引き出し位置と第2接続部分26からの第2トランス20の外部への引き出し位置が実質的に同一。
(i)第1コア11及び第2コア21において寸法及び材質等が実質的に同一。
【0027】
第1の1次側巻線12は、第1コア11に巻かれている巻き部分Rと、巻き部分Rから引き出される端部(以下、Tapという)と、を有する。巻き部分RとTapについて
図10を用いて説明する。
図10は、巻線における巻き部分及びTapを示す模式図である。巻線12、13、22、23はいずれも
図10と同様の巻き部分R及びTapを有する。巻線12、13、22、23は例えば銅板で形成されており、巻き部分RとTapとは連続的に形成されている。巻き部分Rは、巻線12、13(又は巻線22、23)のうち、第1コア11(又は第2コア21)に巻かれている部分である。また、Tapは、巻き部分Rに連続しており、巻き部分Rから引き出される部分である。Tapは、コア11、12には巻かれていない。ここで、巻き部分Rは、比較的に幅WRが大きい銅板が第1コア11(又は第2コア21)に巻かれることにより構成されている。一方、巻き部分Rから連続的に引き出されるTapは、比較的に幅WA、WBが細い銅板により構成されている。ここで、以下においてTapの長さとは、Tapが巻き部分Rから引き出される長さTA、TBである。長さTA、TBは、Tapが巻き部分Rから引き出される始点Sと、巻き部分Rから引き出される方向に当該始点Sから延びて終端に至る終点Eとの間の距離である。
【0028】
第1の1次側巻線12のTapは、第1の1次側巻き始め端12aから延びる端部であるTapと、第1の1次側巻き終わり端12bから延びる端部であるTapと、を有する。第1の1次側巻き始め端12aから延びるTapは、別途の配線を介して、あるいは別途の配線を介さずに、1次側回路30の例えば回路基板に接続されている。第1の1次側巻き終わり端12bから延びるTapは、別途の配線を介して、あるいは別途の配線を介さずに、第2トランス20の第2の1次側巻き終わり端22bから延びるTapに接続されている。第1の1次側巻き始め端12aから延びるTap及び第1の1次側巻き終わり端12bから延びるTapの巻き部分Rから引き出される長さTA(又はTB)は電力損失を抑制するために短い方が好ましい。
【0029】
同様に、第1の2次側巻線13は、第1コア11に巻かれている巻き部分Rと、巻き部分Rから引き出されるTapと、を有する。具体的に、第1の2次側巻線13のTapは、第1部分巻き始め端14aから延びるTapと、第1部分巻き終わり端14b及び第2部分巻き始め端15aから延びるTapと、第2部分巻き終わり端15bから延びるTapと、を有する。第1部分巻き始め端14aから延びるTap、第2部分巻き終わり端15bから延びるTapは別途の配線を介して、あるいは別途の配線を介さずに、2次側回路40の例えば回路基板に接続されている。第1部分巻き終わり端14b及び第2部分巻き始め端15aから延びるTapは、別途の配線を介して、あるいは別途の配線を介さずに、2次側出力(+)ラインVout(+)に接続されている。これらのTapの巻き部分Rから引き出される長さTA(又はTB)は電力損失を抑制するために短い方が好ましい。
【0030】
同様に、第2の1次側巻き始め端22aから延びるTapは、別途の配線を介して、あるいは別途の配線を介さずに、1次側回路30の例えば回路基板に接続されている。第2の1次側巻き終わり端22bから延びるTapは、別途の配線を介して、あるいは別途の配線を介さずに、第1トランス10の第1の1次側巻き終わり端12bから延びるTapに接続されている。また、第3部分巻き始め端24aから延びるTap、第4部分巻き終わり端25bから延びるTapは、別途の配線を介して、あるいは別途の配線を介さずに、2次側回路40の例えば回路基板に接続されている。第3部分巻き終わり端24b及び第4部分巻き始め端25aから延びるTapは、別途の配線を介して、あるいは別途の配線を介さずに、2次側出力(+)ラインVout(+)に接続されている。これらのTapの巻き部分Rから引き出される長さTA(又はTB)は電力損失を抑制するために短い方が好ましい。
【0031】
また、第1トランス10において、特に、第1部分巻き始め端14aから延びるTapの引き出される長さTA(又はTB)と、第2部分巻き終わり端15bから延びるTapの引き出される長さTA(又はTB)とは電力損失を抑制するために概ね同一であることが好ましい。また、第1トランス10において、第1部分巻き終わり端14bから延びるTapの引き出される長さTA(又はTB)と、第2部分巻き始め端15aから延びるTapの引き出される長さTA(又はTB)とは電力損失を抑制するために概ね同一であることが好ましい。同様に、第2トランス20において、特に、第3部分巻き始め端24aから延びるTapの引き出される長さTA(又はTB)と、第4部分巻き終わり端25bから延びるTapの引き出される長さTA(又はTB)とは電力損失を抑制するために概ね同一であることが好ましい。また、第2トランス20において、第3部分巻き終わり24bから延びるTapの引き出される長さTA(又はTB)と、第4部分巻き始め端25aから延びるTapの引き出される長さTA(又はTB)とは電力損失を抑制するために概ね同一であることが好ましい。
【0032】
(3)1次側回路
1次側回路30は、第1の1次側巻線12及び第2の1次側巻線22に接続され、第1の1次側巻線12及び第2の1次側巻線22に交流電圧を供給する。本実施の形態では、1次側回路30は2次側回路基板CBとは別途の基板(図示せず)に配置されている。1次側回路30は、直列に接続された第5トランジスタQ5及び第6トランジスタQ6を含む第1アーム31と、直列に接続された第7トランジスタQ7及び第8トランジスタQ8を含む第2アーム32と有する。第1アーム31と第2アーム32とは並列に接続されてフルブリッジ回路を構成している。具体的に、第1アーム31と第2アーム32とは、1次側入力(+)ラインVin(+)と1次側入力(-)ラインVin(-)との間に並列に接続されている。
【0033】
第5トランジスタQ5のソースと第6トランジスタQ6のドレインとが接続されており、第5トランジスタQ5のドレインが1次側入力(+)ラインVin(+)に接続され、さらに第6トランジスタQ6のソースが1次側入力(-)ラインVin(-)に接続されている。第5トランジスタQ5のソースと第6トランジスタQ6のドレインとの接続部分である第1ノード31a(1次側回路30の一端)は第1の1次側巻き始め端12aとその引き出し端を介して接続されている。第1アーム31にはさらに第1キャパシタC1が含まれており、第1キャパシタC1は第5トランジスタQ5のドレインと第6トランジスタQ6のソースとの間に接続されている。
【0034】
また、第7トランジスタQ7のソースと第8トランジスタQ8のドレインとが接続されており、第7トランジスタQ7のドレインが1次側入力(+)ラインVin(+)に接続され、さらに第8トランジスタQ8のソースが1次側入力(-)ラインVin(-)に接続されている。第7トランジスタQ7のソースと第8トランジスタQ8のドレインとの接続部分である第2ノード32a(1次側回路30の他端)は第2の1次側巻き始め端22aとその引き出し端を介して接続されている。第2アーム32にはさらに第2キャパシタC2が含まれており、第2キャパシタC2は第7トランジスタQ7のドレインと第8トランジスタQ8のソースとの間に接続されている。
【0035】
第5トランジスタQ5のゲートには第3ゲート信号G3が入力され、第6トランジスタQ6のゲートには第4ゲート信号G4が入力され、第7トランジスタQ7のゲートには第5ゲート信号G5が入力され、第8トランジスタQ8のゲートには第6ゲート信号G6が入力される。第3乃至第6ゲート信号G3~G6は1次側ゲート駆動回路50により生成される。第3乃至第6ゲート信号G3~G6は1次側ゲート駆動回路50から第3乃至第6ゲートラインGL3~GL6を介して各ゲートに供給される。1次側ゲート駆動回路50は電力変換装置100に含まれていてもよいし、含まれていなくてもよい。本実施の形態では、1次側ゲート駆動回路50は2次側回路基板CBとは別途の基板(図示せず)に配置されている。
【0036】
このような1次側回路30では、第5及び第6トランジスタQ5、Q6と第7及び第8トランジスタQ7、Q8とが対となり交互にオン及びオフする。これにより1次側回路30はパルスとして直流電圧を細切れにし、第1及び第2キャパシタC1、C2を用いて当該直流電圧を平滑化することにより交流電圧を生成する。
【0037】
(4)2次側回路
2次側回路40は、第1の2次側巻線13及び第2の2次側巻線23において誘起された出力電圧を整流する。
図1に示すように、2次側回路40は2次側回路基板CBに配置されている。2次側回路40は、第1乃至第4トランジスタQ1~Q4を有する。第1乃至第4トランジスタQ1~Q4それぞれのソースが2次側出力(-)ラインVout(-)に共通に接続されている。
【0038】
第1トランジスタQ1のドレインが第2部分巻き終わり端15bとその引き出し端を介して接続されている。第2トランジスタQ2のドレインが第1部分巻き始め端14aとその引き出し端を介して接続されている。第3トランジスタQ3のドレインが第4部分巻き終わり端25bとその引き出し端を介して接続されている。第4トランジスタQ4のドレインが第3部分巻き始め端24aとその引き出し端を介して接続されている。第2及び第3トランジスタQ2、Q3と第1及び第4トランジスタQ1、Q4とが交互に駆動されるように、第2及び第3トランジスタQ2、Q3には第1ゲート信号G1が入力され、第1及び第4トランジスタQ1、Q4には第2ゲート信号G2が入力される。
【0039】
さらに、2次側回路基板CBには、2次側回路40に加えて、第2及び第3トランジスタQ2、Q3に共通に第1ゲート信号G1を入力するための第1側ゲートラインGL1と、第1及び第4トランジスタQ1、Q4に共通に第2ゲート信号G2を入力するための第2側ゲートラインGL2と、が配置されている。
【0040】
第1及び第2ゲート信号G1、G2は、2次側ゲート駆動回路60により生成されている。具体的に、2次側ゲート駆動回路60は第1側ゲート駆動回路61及び第2側ゲート駆動回路62を有している。第1側ゲート駆動回路61は第1ゲート信号G1を生成し、第1側ゲートラインGL1に第1ゲート信号G1を供給する。第2側ゲート駆動回路62は第2ゲート信号G2を生成し、第2側ゲートラインGL2に第2ゲート信号G2を供給する。2次側ゲート駆動回路60は電力変換装置100に含まれていてもよいし、含まれていなくてもよい。本実施の形態では、第1側及び第2側ゲート駆動回路61、62は、2次側回路基板CBとは別途の基板(図示せず)に配置されている。ただし、第1側及び第2側ゲート駆動回路61、62のうち終端回路は2次側回路基板CBに配置されていることが好ましい。つまり、第1乃至第4トランジスタQ1~Q4それぞれのゲートソース間に配置される、終端抵抗を有する終端回路は2次側回路基板CBに配置されていることが好ましい。終端回路は、終端抵抗に加えてコンデンサを有していてもよい。
【0041】
このような2次側回路40では、第1及び第4トランジスタQ1、Q4と第2及び第3トランジスタQ2、Q3とが対となり交互にオン及びオフする。これにより第2部分巻線15及び第3部分巻線24からの出力電圧と第1部分巻線14及び第4部分巻線25からの出力電圧とが交互に2次側出力(+)ラインVout(+)から出力され、結果として2次側出力(+)ラインVout(+)からは整流された出力電圧が出力される。
【0042】
(5)その他
電力変換装置100は、
図1に示すように異常検出器CTを備えていてもよい。異常検出器CTは、第1の1次側巻線12及び第2の1次側巻線22における電圧及び電流の異常を検出する。電力変換装置100では、第1の1次側巻線12と第2の1次側巻線22とが直列に接続されるため、第1の1次側巻線12及び第2の1次側巻線22における異常を検出するために複数の異常検出器CTを設ける必要がない。つまり、第1の1次側巻線12と第2の1次側巻線22に対して1つの異常検出器CTを設けるだけで、第1の1次側巻線12及び第2の1次側巻線22を含む経路における異常を検出することができる。
【0043】
(6)電力変換装置の各構成の配置及び接続
図1に示すように、第1トランス10と第2トランス20とは、板状の2次側回路基板CBの平面視において2次側回路40を挟んで回転対称に配置されている。本実施の形態では、第1トランス10と第2トランス20とは2次側回路基板CBの平面内の中心点を中心として回転対称の関係にある。
図1の紙面において2次側回路基板CBの左側に第1トランス10が配置され、2次側回路基板CBの中心点に対して第1トランス10に対して回転対称となるように2次側回路基板CBの右側に第2トランス20が配置されている。
【0044】
ここで、前述の通り、本実施の形態では、第1及び第2コア11、21は、
図1の紙面裏側から紙面表側に向かう方向に沿って延びている。第1及び第2の1次側巻線12、22及び第1及び第2の2次側巻線13、23は当該方向に沿って延びる第1及び第2コア11、21に巻かれている。そして、第1トランス10と第2トランス20とは、2次側回路基板CBの平面視において2次側回路基板CBの中心点を中心として回転対称の関係にある。つまり、第2トランス20は、2次側回路基板CBを上面から見た平面視において、第1トランス10の紙面裏側から紙面表側に向かう方向に延びる第1コア11、第1の1次側巻線12及び第1の2次側巻線13の配置態様を維持しつつ、2次側回路基板CBの中心点を中心として平面方向に沿って第1トランス10を180°回転したものと同一である。この場合、第1コア11の紙面裏側から紙面表側に向かう方向における第1の1次側巻線12及び第1の2次側巻線13のそれぞれの上下関係は、第2コア21の紙面裏側から紙面表側に向かう方向における第2の1次側巻線22及び第2の2次側巻線23それぞれの上下関係に対応している。例えば、紙面裏側から紙面表側に向かう方向において第1の2次側巻線13が第1の1次側巻線12の上方に位置している場合、紙面裏側から紙面表側に向かう方向において第2の2次側巻線23は第2の1次側巻線22の上方に位置している。
【0045】
また、第1及び第2コア11、21は、
図1の紙面に沿う平面方向に延びる部分を有することができる。第1及び第2の1次側巻線12、22及び第1及び第2の2次側巻線13、23は、
図1の平面方向に沿って延びる第1及び第2コア11、21に巻かれていてもよい。そして、第1トランス10と第2トランス20とは、2次側回路基板CBの平面視において2次側回路基板CBの中心点を中心として回転対称の関係にある。つまり、第2トランス20は、2次側回路基板CBを上面から見た平面視において、第1トランス10の平面方向に延びる第1コア11、第1の1次側巻線12及び第1の2次側巻線13の配置態様を維持しつつ、2次側回路基板CBの中心点を中心として平面方向に沿って第1トランス10を180°回転したものと同一である。この場合、第1コア11において、第1の2次側巻線13は第1側ゲート駆動回路61側(第1側CB1とも言える)に配置され、第1の1次側巻線12は第2側ゲート駆動回路62側(第2側CB2とも言える)に配置されている。一方、第2コア21において、第2の1次側巻線22は第1側ゲート駆動回路61側に配置され、第2の2次側巻線23は第2側ゲート駆動回路62側に配置されている。
【0046】
なお、本実施の形態に係る効果を達成可能であれば、第1及び第2トランス10、20の配置態様等は限定されない。
【0047】
第1トランス10からは第1の1次側巻線12の第1の1次側巻き始め端12a及び第1の1次側巻き終わり端12bからの引き出し端が引き出されている。また、第1トランス10からは第1の2次側巻線13の第1部分巻き始め端14a、第2部分巻き終わり端15b及び第1接続部分16の引き出し端が引き出されている。第1の1次側巻き始め端12a及び第1の1次側巻き終わり端12bからの引き出し端とは回転対称となるように、第2トランス20から第2の1次側巻線22の第2の1次側巻き始め端22a及び第2の1次側巻き終わり端22bからの引き出し端が引き出されている。また、第1部分巻き始め端14a、第2部分巻き終わり端15b及び第1接続部分16の引き出し端とは回転対称となるように、第2トランス20から第2の2次側巻線23の第3部分巻き始め端24a、第4部分巻き終わり端25b及び第2接続部分26の引き出し端が引き出されている。
【0048】
2次側回路基板CBの平面視において、第2及び第3トランジスタQ2、Q3は第1、第4トランジスタQ1及びQ4よりも第1側CB1に配置されている。また、第1側ゲートラインGL1は、第1、第4トランジスタQ1及びQ4よりも第1側CB1に配置されており、本実施の形態では第2及び第3トランジスタQ2、Q3よりも第1側CB1に配置されている。そして、2次側回路基板CBの第1側CB1において第2及び第3トランジスタQ2、Q3のゲートは第1側ゲートラインGL1と接続されている。これにより、第2及び第3トランジスタQ2、Q3のゲートは第1側ゲート駆動回路61から供給される第1ゲート信号G1を第1側ゲートラインGL1を介して入力される。また、前述の通り、第2トランジスタQ2のドレインが第1部分巻き始め端14aとその引き出し端を介して接続され、第3トランジスタQ3のドレインが第4部分巻き終わり端25bとその引き出し端を介して接続されている。第2及び第3トランジスタQ2、Q3のソースが2次側出力(-)ラインVout(-)に接続されている。
【0049】
また、2次側回路基板CBの平面視において、第1及び第4トランジスタQ1、Q4は第2及び第3トランジスタQ2、Q3よりも第2側CB2に配置されている。また、第2側ゲートラインGL2は、第2及び第3トランジスタQ2、Q3よりも第2側CB2に配置されており、本実施の形態では第1、第4トランジスタQ1及びQ4よりも第2側CB2に配置されている。そして、2次側回路基板CBの第2側CB2において第1及び第4トランジスタQ1、Q4のゲートは第2側ゲートラインGL2と接続されている。これにより、第1及び第4トランジスタQ1、Q4のゲートは第2側ゲート駆動回路62から供給される第2ゲート信号G2を第2側ゲートラインGL2を介して入力される。また、前述の通り、第1トランジスタQ1のドレインが第2部分巻き終わり端15bとその引き出し端を介して接続され、第4トランジスタQ4のドレインが第3部分巻き始め端24aとその引き出し端を介して接続されている。第1及び第4トランジスタQ1、Q4のソースが2次側出力(-)ラインVout(-)に接続されている。
【0050】
また、第1の1次側巻き終わり端12bと第2の1次側巻き終わり端22bとがそれぞれの引き出し端を介して接続され、第1の1次側巻き始め端12a及び第2の1次側巻き始め端22aが1次側回路30と接続されている。また、第1の2次側巻線13の第1接続部分16と第2の2次側巻線23の第2接続部分26とは、それぞれの引き出し端を介して2次側出力(+)ラインVout(+)に共通に接続されている。
【0051】
2.発明に係る電力変換装置の動作
上記の電力変換装置100の動作について
図3~
図5を用いて説明する。
図3は、
図1の電力変換装置における第1モードでの電流の流れを示す電流経路図である。
図4は、
図1の電力変換装置における第2モードでの電流の流れを示す電流経路図である。
図5は、第1乃至第6ゲート信号の波形図である。
【0052】
電力変換装置100では、第1モードと第2モードとが切り替えられるように動作している。第1モードでは、第1の1次側巻線12から第2の1次側巻線22に電流が流れ、第2部分巻線15及び第3部分巻線24に誘導起電力が発生して2次側出力(+)ラインVout(+)に出力電圧が出力される。第2モードでは、第2の1次側巻線22から第1の1次側巻線12に電流が流れ、第1部分巻線14及び第4部分巻線25に誘導起電力が発生して2次側出力(+)ラインVout(+)に出力電圧が出力される。各モードについて以下に説明する。
【0053】
(1)第1モード
1次側回路30は、
図5に示す第3乃至第6ゲート信号G3~G6が時系列的に入力されることにより、第1モードと第2モードとが交互に切り替えられるように制御されている。例えば時刻t2~時刻t3の第1モードでは、第3及び第6ゲート信号G3、G6はハイレベルの信号であり、第4及び第5ゲート信号G4、G5はローレベルの信号である。例えば時刻t4~時刻t5の第2モードでは第3乃至第6ゲート信号G3~G6の信号レベルが第1モードとは入れ替わる。
【0054】
図3に示すように、第1モードにおいて上記第3乃至第6ゲート信号G3~G6が第5乃至第8トランジスタQ5~Q8に入力される。これにより、第5及び第8トランジスタQ5、Q8がオンし、第6及び第7トランジスタQ6、Q7がオフする。第5トランジスタQ5のドレインに1次側入力(+)ラインVin(+)からの1次側入力(+)が入力され、第8トランジスタQ8のソースに1次側入力(-)ラインVin(-)からの1次側入力(-)が入力される。これにより、第1モードでは、1次側入力(+)ラインVin(+)から第5トランジスタQ5を介して第1の1次側巻線12から第2の1次側巻線22に電流が流れる。具体的に、第1の1次側巻き始め端12aから第1の1次側巻き終わり端12bに向かって電流が流れ、さらに第1の1次側巻き終わり端12bから第2の1次側巻き終わり端22bに向かって電流が流れ、さらに第2の1次側巻き終わり端22bから第2の1次側巻き始め端22aに向かって電流が流れるように第1の1次側巻線12及び第2の1次側巻線22に交流電圧が供給される。そして、第2の1次側巻線22を出た電流は第8トランジスタQ8を介して1次側入力(-)ラインVin(-)に流れ出る。
【0055】
2次側回路40は、
図5に示す第1及び第2ゲート信号G1、G2が時系列的に入力されることにより、第1モードと第2モードとが交互に切り替えられるように制御されている。例えば時刻t2~時刻t3の第1モードでは、第1ゲート信号G1はローレベルの信号であり、第2ゲート信号G2はハイレベルの信号である。例えば時刻t4~時刻t5の第2モードでは第1及び第2ゲート信号G1、G2の信号レベルが第1モードとは入れ替わる。
【0056】
図3に示すように、第1モードにおいて上記第1及び第2ゲート信号G1、G2が第1乃至第4トランジスタQ1~Q4に入力される。これにより、第1及び第4トランジスタQ1、Q4がオンし、第2及び第3トランジスタQ2、Q3がオフする。ここで、第1の1次側巻線12には第1の1次側巻き始め端12aから第1の1次側巻き終わり端12bに向かって電流が流れている。これにより、第1トランジスタQ1に接続されている第2部分巻線15には誘導起電力が発生し、第2部分巻き終わり端15bから第2部分巻き始め端15aに向かって電流が流れる。また、第2の1次側巻線22には第2の1次側巻き終わり端22bから第2の1次側巻き始め端22aに向かって電流が流れている。これにより、第4トランジスタQ4に接続されている第3部分巻線24には誘導起電力が発生し、第3部分巻き始め端24aから第3部分巻き終わり端24bに向かって電流が流れる。第2部分巻き始め端15aと第3部分巻き終わり端24bとは2次側出力(+)ラインVout(+)に接続されており、第2部分巻線15及び第3部分巻線24において発生した誘導起電力が2次側出力(+)ラインVout(+)から出力電圧として出力される。
【0057】
(2)第2モード
図5に示すように、例えば時刻t4~時刻t5の第2モードでは、第3及び第6ゲート信号G3、G6はローレベルの信号であり、第4及び第5ゲート信号G4、G5はハイレベルの信号である。
【0058】
図4に示すように、第2モードにおいて上記第3乃至第6ゲート信号G3~G6が1次側回路30の第5乃至第8トランジスタQ5~Q8に入力される。これにより、第5及び第8トランジスタQ5、Q8がオフし、第6及び第7トランジスタQ6、Q7がオンする。第7トランジスタQ7のドレインに1次側入力(+)ラインVin(+)からの1次側入力(+)が入力され、第6トランジスタQ6のソースに1次側入力(-)ラインVin(-)からの1次側入力(-)が入力される。これにより、第2モードでは、1次側入力(+)ラインVin(+)から第7トランジスタQ7を介して第2の1次側巻線22から第1の1次側巻線12に電流が流れる。具体的に、第2の1次側巻き始め端22aから第2の1次側巻き終わり端22bに向かって電流が流れ、さらに第2の1次側巻き終わり端22bから第1の1次側巻き終わり端12bに向かって電流が流れ、さらに第1の1次側巻き終わり端12bから第1の1次側巻き始め端12aに向かって電流が流れるように第1の1次側巻線12及び第2の1次側巻線22に交流電圧が供給される。そして、第1の1次側巻線12を出た電流は第6トランジスタQ6を介して1次側入力(-)ラインVin(-)に流れ出る。
【0059】
図5に示すように、時刻t4~時刻t5の第2モードでは、第1ゲート信号G1はハイレベルの信号であり、第2ゲート信号G2はローレベルの信号である。
【0060】
図4に示すように、第2モードにおいて上記第1及び第2ゲート信号G1、G2が2次側回路40の第1乃至第4トランジスタQ1~Q4に入力される。これにより、第1及び第4トランジスタQ1、Q4がオフし、第2及び第3トランジスタQ2、Q3がオンする。ここで、第1の1次側巻線12には第1の1次側巻き終わり端12bから第1の1次側巻き始め端12aに向かって電流が流れている。これにより、第2トランジスタQ2に接続されている第1部分巻線14には誘導起電力が発生し、第1部分巻き始め端14aから第1部分巻き終わり端14bに向かって電流が流れる。また、第2の1次側巻線22には第2の1次側巻き始め端22aから第2の1次側巻き終わり端22bに向かって電流が流れている。これにより、第3トランジスタQ3に接続されている第4部分巻線25には誘導起電力が発生し、第4部分巻き終わり端25bから第4部分巻き始め端25aに向かって電流が流れる。第1部分巻き終わり端14bと第4部分巻き始め端25aとは2次側出力(+)ラインVout(+)に接続されており、第1部分巻線14及び第4部分巻線25において発生した誘導起電力が2次側出力(+)ラインVout(+)から出力電圧として出力される。
【0061】
3.比較例に係る電力変換装置
(1)構成
次に、比較例に係る電力変換装置について以下に説明する。
図6は、比較例に係る電力変換装置の配置及び構成を示す模式図である。
図7は、
図6の電力変換装置の回路図である。上記の発明に係る電力変換装置100と異なる点を中心に説明し、同じ構成には同一の符号番号を付している。
【0062】
本実施の形態に係る
図1の電力変換装置100では第1の1次側巻き終わり端12bと第2の1次側巻き終わり端22bとが接続されているが、比較例に係る電力変換装置1では第1の1次側巻き終わり端12bと第2の1次側巻き始め端22aとが接続されている。また、本実施の形態に係る電力変換装置100では第2及び第3トランジスタQ2、Q3には第1ゲート信号G1が入力され第1及び第4トランジスタQ1、Q4には第2ゲート信号G2が入力されるが、比較例に係る電力変換装置1では第2及び第4トランジスタQ2、Q4には第1ゲート信号G1が入力され第1及び第3トランジスタQ1、Q3には第2ゲート信号G2が入力される。
【0063】
本実施の形態に係る電力変換装置100では2次側回路基板CBの平面視の第1側CB1において第2及び第3トランジスタQ2、Q3及び第1側ゲートラインGL1が配置されており、第2側CB2において第1及び第4トランジスタQ1、Q4及び第2側ゲートラインGL2が配置されている。一方、比較例に電力変換装置1では、2次側回路基板CBの平面視において、第2及び第3トランジスタQ2、Q3は第1側CB1に配置されており、第1及び第4トランジスタQ1、Q4は第2側CB2に配置されている。また、比較例に電力変換装置1では、第2トランジスタQ2に第1ゲート信号G1を入力するための第1の第1側ゲートラインGL1a及び第3トランジスタQ3に第2ゲート信号G2を入力するための第2の第1側ゲートラインGL1bが2次側回路基板CBの第1側CB1に配置されている。さらに、第4トランジスタQ4に第1ゲート信号G1を入力するための第1の第2側ゲートラインGL2a及び第1トランジスタQ1に第2ゲート信号G2を入力するための第2の第2側ゲートラインGL2bが2次側回路基板CBの第2側CB2に配置されている。
【0064】
第1の第1側ゲート駆動回路61aは第1ゲート信号G1を生成し、第1の第1側ゲートラインGL1aに第1ゲート信号G1を供給する。第2の第1側ゲート駆動回路61bは第2ゲート信号G2を生成し、第2の第1側ゲートラインGL1bに第2ゲート信号G2を供給する。第1の第2側ゲート駆動回路62aは第1ゲート信号G1を生成し、第1の第2側ゲートラインGL2aに第1ゲート信号G1を供給する。第2の第2側ゲート駆動回路62bは第2ゲート信号G2を生成し、第2の第2側ゲートラインGL2bに第2ゲート信号G2を供給する。
【0065】
(2)比較例に係る電力変換装置の動作
比較例に係る電力変換装置1の動作について
図7、
図8を用いて説明する。
図7は、
図6の電力変換装置における第1モードでの電流の流れを示す電流経路図である。
図8は、
図6の電力変換装置における第2モードでの電流の流れを示す電流経路図である。
【0066】
比較例に係る電力変換装置1では、第1モード及び第2モードにおいて上記と同様に
図5に示す第1乃至第6ゲート信号G1~G6が第1乃至第8トランジスタQ1~Q8に入力される。これにより、第1モードでは、第1、第3、第5、第8トランジスタQ1、Q3、Q5、Q8がオンし、第2、第4、第6、第7トランジスタQ2、Q4、Q6、Q7がオフする。逆に、第2モードでは、第1、第3、第5、第8トランジスタQ1、Q3、Q5、Q8がオフし、第2、第4、第6、第7トランジスタQ2、Q4、Q6、Q7がオンする。
【0067】
第1モードでは、第1の1次側巻線12には第1の1次側巻き始め端12aから第1の1次側巻き終わり端12bに向かって電流が流れている。これにより、第1トランジスタQ1に接続されている第2部分巻線15には誘導起電力が発生し、第2部分巻き終わり端15bから第2部分巻き始め端15aに向かって電流が流れる。また、第2の1次側巻線22には第2の1次側巻き始め端22aから第2の1次側巻き終わり端22bに向かって電流が流れている。これにより、第3トランジスタQ3に接続されている第4部分巻線25には誘導起電力が発生し、第4部分巻き終わり端25bから第4部分巻き始め端25aに向かって電流が流れる。第2部分巻き始め端15aと第4部分巻き始め端25aとは2次側出力(+)ラインVout(+)に接続されており、第2部分巻線15及び第4部分巻線25において発生した誘導起電力が2次側出力(+)ラインVout(+)から出力電圧として出力される。
【0068】
また、第2モードでは、第1の1次側巻線12には第1の1次側巻き終わり端12bから第1の1次側巻き始め端12aに向かって電流が流れている。これにより、第2トランジスタQ2に接続されている第1部分巻線14には誘導起電力が発生し、第1部分巻き始め端14aから第1部分巻き終わり端14bに向かって電流が流れる。また、第2の1次側巻線22には第2の1次側巻き終わり端22bから第2の1次側巻き始め端22aに向かって電流が流れている。これにより、第4トランジスタQ4に接続されている第3部分巻線24には誘導起電力が発生し、第3部分巻き始め端24aから第3部分巻き終わり端24bに向かって電流が流れる。第1部分巻き終わり端14bと第3部分巻き終わり端24bとは2次側出力(+)ラインVout(+)に接続されており、第1部分巻線14及び第3部分巻線24において発生した誘導起電力が2次側出力(+)ラインVout(+)から出力電圧として出力される。
【0069】
4.本実施の形態に係る電力変換装置における効果
(a)ゲートラインの配置面積及び配置場所等の構造設計の簡素化等
本実施の形態に係る電力変換装置100の構成によれば、第1トランス10及び第2トランス20が2次側回路を40挟んで回転対称に配置されているとともに、第1の1次側巻き終わり端12bと第2の1次側巻き終わり端22bとが接続されていることにより第1の1次側巻線12と第2の1次側巻線22とが直列に接続されている。また、第1の2次側巻線13と第2の2次側巻線23とが並列に接続されている。そして、2次側回路40を構成する第2及び第3トランジスタQ2、Q3だけでなく、第2及び第3トランジスタQ2、Q3に共通に第1ゲート信号G1を入力する第1側ゲートラインGL1が2次側回路基板CBの第1側CB1に配置されている。さらに、2次側回路40を構成する第1及び第4トランジスタQ1、Q4だけでなく、第1及び第4トランジスタQ1、Q4に共通に第2ゲート信号G2を入力する第2側ゲートラインGL2が2次側回路基板CBの第2側CB2に配置されている。よって、2次側回路基板CBの第1側CB1及び第2側CB2それぞれにおいて複数のゲートラインを配置する必要がなく、ゲートラインの数を減らすことができる。つまり、本実施の形態では2次側回路基板CBの第1側CB1には第2及び第3トランジスタQ2、Q3に対応して共通の第1側ゲートラインGL1が配置されているのに対して、比較例では2次側回路基板CBの第1側CB1には第2及び第3トランジスタQ2、Q3それぞれに対応して第1の第1側ゲートラインGL1a及び第2の第1側ゲートラインGL1bが配置されている。また、本実施の形態では2次側回路基板CBの第2側CB2には第1及び第4トランジスタQ1、Q4に対応して共通の第2側ゲートラインGL2が配置されているのに対して、比較例では2次側回路基板CBの第2側CB2には第1及び第4トランジスタQ1、Q4それぞれに対応して第1の第2側ゲートラインGL2a及び第2の第2側ゲートラインGL2bが配置されている。このように、本実施の形態では第1乃至第4トランジスタQ1~Q4のそれぞれが複数のゲートラインそれぞれを介して複数のゲート信号の入力を受ける場合よりもゲートラインの数を減らすことができ、電力変換装置100におけるゲートラインの配置面積及び配置場所等の構造設計を簡素化可能である。
【0070】
前述の通り、第1の1次側巻き終わり端12bと第2の1次側巻き終わり端22bとが接続されていることにより、第2及び第3トランジスタQ2、Q3の両方を2次側回路基板CBの第1側CB1に配置することができる。さらに、第2及び第3トランジスタQ2、Q3には第1側ゲートラインGL1から共通の第1ゲート信号G1が供給される。よって、第2トランジスタQ2と第2トランジスタQ3との間に絶縁のための空間(隙間)を設けることなく、第2及び第3トランジスタQ2、Q3を第1側CB1に一列に配置することができるとともに、第1側ゲートラインGL1も直線状に配置することができる。同様に、第1及び第4トランジスタQ1、Q4の両方を2次側回路基板CBの第2側CB2に配置することができる。さらに、第1及び第4トランジスタQ1、Q4には第2側ゲートラインGL2から共通の第2ゲート信号G2が供給される。よって、第1トランジスタQ1と第4トランジスタQ4との間に絶縁のための空間(隙間)を設けることなく、第1及び第4トランジスタQ1、Q4を第2側CB2に一列に配置することができるとともに、第2側ゲートラインGL2も直線状に配置することができる。前述のように平面視においてトランジスタ間に絶縁のための空間(隙間)を設ける必要がない。よって、第1~第4トランジスタQ1~Q4が配置された2次側回路基板CBをコンパクトに構成することができる。また、当該空間(隙間)に別の配線等を配置できる等の設計の自由度が向上する。
【0071】
以上より、ゲートラインの配置面積、配置場所等の構造設計の簡素化、2次側回路基板CBのコンパクト化等により、2次側回路基板CB以外の大電流が流れる例えば第1及び第2トランス10、20等に電力変換装置100内の配置領域を割きつつ、電力変換装置100全体をコンパクト化することができる。
【0072】
(b)第1、第2トランスの設計の容易化等
さらに、本実施の形態の電力変換装置100では同一の構成からなる2つの第1トランス10及び第2トランス20を用いており、第1トランス10と第2トランス20とを異なる構成とする必要がない。第1トランス10と第2トランス20とが同一の構成であるため、第1トランス10及び第2トランス20を制御する1次側回路30及び2次側回路40の設計が容易である。これらにより、第1トランス10と第2トランス20とを区別する必要がなく管理が容易であるとともに、電力変換装置100の設計が容易であり、製造時間を短縮することができる。なお、上述の通り、本実施の形態では、第1トランス10と第2トランス20とを2次側回路基板CBの平面視において2次側回路40を挟んで回転対称に配置することにより、第1トランス10及び第2トランス20として同一の構成の物を用いることができるようにしている。これにより、第1トランス10、2次側回路基板CB及び第2トランス20からなるユニットを用いて、複数のユニットの量産性、組立性等を向上することができる。また、各ユニットごとに設計仕様、性能評価、製造及び管理等の手間を異ならせる必要が無いため、当該手間を省略することができる。さらに、第1トランス10と第2トランス20とを回転対称に配置することにより、第1トランス10及び2次側回路40間の距離と、第2トランス20及び2次側回路40間の距離とを比較的に短くすることができ1つのユニットをコンパクトに設計することも可能である。また、1つのユニットを重さの観点、配線の配置の観点等において2次側回路40を中心としてバランスよく設計可能である。
【0073】
(c)第1、第2トランスの回転対称の配置の効果について
本実施の形態において、第1トランス10と第2トランス20とが2次側回路基板CBの平面視において2次側回路40を挟んで回転対称に配置されている点の効果についてさらに説明する。本実施の形態では、所定の第1方向に沿って第1トランス10、2次側回路基板CB及び第2トランス20の各構造物を順に配置している。よって、本実施の形態における各構造物の配置は、第2トランス20を2次側回路40を中心として第1トランス10に対して例えば90°等の回転対称とは別の位置に配置するものとは異なる。そして、本実施の形態では、第1トランス10、2次側回路基板CB及び第2トランス20が第1方向に並んで配置されることにより1つのユニットが構成されている。ここで、本実施の形態では、1つのユニットは平面視(上面視)において長方形状である。第1方向は、これに限定されないが、1つのユニットの例えば長手方向である。なお、第1方向と直交する方向が第2方向である。第2方向は、これに限定されないが前記1つのユニットの例えば短手方向である。そのため、本実施の形態の1つのユニットの場合、第1トランス10と第2トランス20とを回転対称とは異なる位置に配置した1つのユニットと比較して、1つのユニットの第2方向の長さを短くすることができる。よって、複数のユニットを第2方向に沿って配置する場合に、複数のユニットの第2方向の長さを短く、つまりコンパクトにすることができる。
【0074】
このように複数のユニットを第2方向に配置することにより、コンパクト性を維持しつつ、出力が異なる各種の製品を容易に作ることができる。例えば、シリーズ製品として、5kW、10kW、15kW等の各種の出力を得るための複数の電力変換装置の製品を準備する必要があるとする。例えば1つのユニットで5kWの出力を得ることができる場合、5kWの製品では1つのユニットを用い、10kWの製品では2つのユニットを第2方向に接続し、15kWの製品では3つのユニットを第2方向に接続する。よって、出力に応じて複数個の同一のユニットを第2方向に接続して組み合立てることにより、シリーズ製品を容易に形成することができる。つまり、同一ユニットの増減によりシリーズ製品を容易に準備することができる。よって、シリーズ製品の量産性、組立性等を向上可能である。また、シリーズ製品の出力が異なる製品それぞれにおいて設計仕様を異ならせる手間の省略、その性能評価の手間の省略、仕様の異なる製品を製造する手間、管理する手間の省略等が可能である。
【0075】
なお、1つのユニットの形状は長方形状に限定されず、正方形状であってもよい。また、第1方向が平面方向に沿っており、第2方向が鉛直方向であってもよい。この場合、鉛直方向に積層した複数のユニットからなる製品の鉛直方向の高さを比較的に低く、コンパクトに形成することができる。
【0076】
また、第1トランス10と第2トランス20とが2次側回路40を挟んで回転対称に配置された複数のユニットにおいて、第1トランス10、2次側回路基板CB及び第2トランス20が第1方向に並んで配置されている。これにより、各ユニットの冷却構造を簡素化可能である。つまり、第1方向に沿った1つの冷却通路を用いて第1トランス10、2次側回路基板CB及び第2トランス20を1度に冷却可能である。冷却は、例えば一例であるが、風を用いることができる。1つの冷却通路は、例えばファンからの風を供給する1つのダクトにより形成することができる。一方、本実施の形態とは異なり、例えば各ユニットにおいて第2トランス20を2次側回路40を中心として第1トランス10に対して例えば90°等の回転対称とは異なる位置に配置する場合、第1トランス10用の冷却通路に加えて、第2トランス20用の冷却通路が必要となる。つまり、少なくとも2つのダクトが必要となる。
【0077】
さらに、第1トランス10と第2トランス20とは2次側回路40を挟んで回転対称に配置された複数のユニットが第2方向に配置されている。この場合、各ユニットの第1トランス10は2次側回路40に対して第1方向の一方側に位置するように、かつ、各ユニットの第2トランス20は2次側回路40に対して第1方向の他方側に位置するように配置されている。複数のユニットを第2方向に接続することにより、複数の第1トランス10は第1方向の一方側に位置し、複数の第2トランス20は第1方向の他方側に位置し、複数の2次側回路40は第1方向の一方側と他方側との間の中央部に位置する。このような配置により、複数の第1トランス10間の配線、複数の第2トランス20間の配線、複数の2次側回路40間の配線等が容易である。
【0078】
(d)Tapの長さについて
次に、Tapの長さTA(又はTB)について検討する。
(d-1)Tapの長さを短くすることについて
本実施の形態では、第1の1次側巻線12、第1の2次側巻線13、第2の1次側巻線22、第2の2次側巻線23のTapは、前述の通り電力損失を抑制するために短い方が好ましい。ここで、本実施の形態における電力変換装置においては、第1及び第2トランス10、20だけでなく、2次側回路40及びTapにも低圧大電流が流れる可能性がある。低圧(低電圧)は、これに限定されないが、例えば、30V以下である。また、低圧(低電圧)は、これに限定されないが、0Vより大きい。大電流は、これに限定されないが、例えば、100A以上である。また、大電流は、これに限定されないが、例えば、50000A以下である。このような低圧大電流がTapに流れる場合、Tapの長さTA(又はTB)が長い場合には電力損失が大きくなり易い。そのため、Tapの長さTA(又はTB)を短くすることにより電力損失を抑制することが可能である。特に、各巻線12、13、22、23において巻き部分Rには比較的に大きな電流が流れるため、
図10に示すように当該巻き部分Rは比較的に幅WRが大きい例えば銅板を円形状に巻くことにより形成されている。Tapを巻き部分Rから引き出す場合、本実施の形態では、寸法設計の制約上、巻き部分Rの銅板に比べて銅板の幅WA、WBを細くすることが要求される。つまり、巻き部分RからTapまで銅板で連続的に形成しつつ、Tapの幅WA、WBは巻き部分Rの幅WRよりも細くする必要がある。このようにTapの幅WA、WBが細い場合には抵抗が高くなり電力損失が大きくなり易い。しかし、前述の通りTapの長さTA(又はTB)を短くすることにより、幅WA、WBが細い場合であっても電力損失を抑制することが可能である。
【0079】
ここで、前述のとおり第1トランス10と第2トランス20とを2次側回路40を挟んで回転対称に配置することにより、第1トランス10と2次側回路40との間の距離、第2トランス20と2次側回路40との間の距離を比較的に短くすることができる。つまり、回転対称の配置は電力損失の抑制にも資すると言うことができる。
【0080】
(d-2)Tapの長さのバランスについて
次に、Tapの長さTA(又はTB)のバランスについて検討する。本実施の形態では、第1トランス10において、第1部分巻き始め端14aから延びるTapの引き出される長さTA(又はTB)と、第2部分巻き終わり端15bから延びるTapの引き出される長さTA(又はTB)とを概ね同一にすることができる。ここで、
図5に示すように、時刻t2~時刻t3、時刻t6~時刻t7は第1モードであり、第5及び第8トランジスタQ5、Q8がオンし、第6及び第7トランジスタQ6、Q7がオフする。そして、第1モードでは、第1及び第4トランジスタQ1、Q4がオンし、第2及び第3トランジスタQ2、Q3がオフする。
【0081】
また、時刻t4~時刻t5は第2モードであり、第5及び第8トランジスタQ5、Q8がオフし、第6及び第7トランジスタQ6、Q7がオンする。そして、第2モードでは、第1及び第4トランジスタQ1、Q4がオフし、第2及び第3トランジスタQ2、Q3がオンする。
【0082】
さらに、第1モードと第2モードとの間である時刻t1~時刻t2、時刻t3~時刻t4、時刻t5~時刻t6はデッドタイムであり、第5乃至第8トランジスタQ5~Q8がオフする。一方、このデッドタイムの少なくとも一部において、第1及び第2ゲート信号G1、G2はハイレベルの信号である。このとき、第1乃至及び第4トランジスタQ1~Q4がオンし、2次側回路40には電流が流れている。
【0083】
そして、第1トランス10に着目すると、第1モードでは、第2部分巻線15に誘導起電力に基づく電流が流れ、第1部分巻線14には電流が流れない。また、第2モードでは、第1部分巻線14に誘導起電力に基づく電流が流れ、第2部分巻線15には電流が流れない。また、デッドタイムでは、第1及び第2部分巻線14、15の両方に誘導起電力に基づく電流が流れる。このデッドタイムにおいて第1及び第2部分巻線14、15に流れる電流割合を概ね均等にすることが電力損失を抑制する観点から好ましい。ここで、電力損失は電流Iの2乗に抵抗Rを乗算(I2×R)したものに相当する。よって、例えば、第1及び第2部分巻線14、15のうちいずれか一方に流れる電流が大きい場合は、第1及び第2部分巻線14、15に均等に電流が流れる場合よりも電力損失が大きくなる傾向がある。そして、第1部分巻き始め端14aから延びるTapの引き出される長さTA(又はTB)と、第2部分巻き終わり端15bから延びるTapの引き出される長さTA(又はTB)とが異なる場合、それぞれのTapの引き出される長さTA(又はTB)の違いによりTapに流れる電流量が異なる。これにより、それぞれのTapの長さTA(又はTB)が異なる場合にはそれぞれのTapに均等に電流が流れる場合よりも電力損失が大きくなる傾向がある。そこで、第1部分巻き始め端14aから延びるTapの引き出される長さTA(又はTB)と、第2部分巻き終わり端15bから延びるTapの引き出される長さTA(又はTB)とを概ね同一にすることにより、電力損失を抑制することが好ましい。
【0084】
さらに、第1部分巻き始め端14aから延びるTapの引き出される長さTA(又はTB)と、第2部分巻き終わり端15bから延びるTapの引き出される長さTA(又はTB)とが異なるとする。この場合、それぞれのTapの引き出される長さTA(又はTB)の違いによりTapに流れる電流量が異なる。そのため、第1部分巻き始め端14aに接続されている第2トランジスタQ2におけるサージ電圧と第2部分巻き終わり端15bに接続されている第1トランジスタQ1におけるサージ電圧とが異なる場合がある。例えば、第1部分巻き始め端14aから延びるTapに流れる電流量が第2部分巻き終わり端15bから延びるTapに流れる電流量よりも大きいとする。この場合、第2トランジスタQ2におけるサージ電圧が第1トランジスタQ1におけるサージ電圧と比較して大きくなる傾向にある。サージ電圧が大きくなりすぎるとトランジスタの故障等を招く。よって、このことからも、第1部分巻き始め端14aから延びるTapの引き出される長さTA(又はTB)と、第2部分巻き終わり端15bから延びるTapの引き出される長さTA(又はTB)とを概ね同一にすることが好ましい。ここで、サージ電圧とは、第1モード、第2モード及びデッドタイムが切り替わる際に第1乃至第4トランジスタQ1~Q4のオン及びオフが切り替わることにより生じる電圧である。
【0085】
第2トランス20においてもTapの長さTA(又はTB)のバランスが取れていることが好ましい。本実施の形態では、第2トランス20において、第3部分巻き始め端24aから延びるTapの引き出される長さTA(又はTB)と、第4部分巻き終わり端25bから延びるTapの引き出される長さTA(又はTB)とを概ね同一にすることができる。そして、第2トランス20に着目すると、第1モードでは、第3部分巻線24に誘導起電力に基づく電流が流れ、第4部分巻線25には電流が流れない。また、第2モードでは、第4部分巻線25に誘導起電力に基づく電流が流れ、第3部分巻線24には電流が流れない。また、デッドタイムでは、第3及び第4部分巻線24、25の両方に誘導起電力に基づく電流が流れる。このデッドタイムにおいて第3及び第4部分巻線24、25に流れる電流割合を概ね均等にすることが電力損失を抑制する観点から好ましい。よって、第3部分巻き始め端24aから延びるTapの引き出される長さTA(又はTB)と、第4部分巻き終わり端25bから延びるTapの引き出される長さTA(又はTB)とを概ね同一にすることにより、電力損失を抑制することが好ましい。
【0086】
また、前述と同様に、サージ電圧によるトランジスタの故障等を抑制するために、第3部分巻き始め端24aから延びるTapの引き出される長さTA(又はTB)と、第4部分巻き終わり端25bから延びるTapの引き出される長さTA(又はTB)とを概ね同一にすることが好ましい。
【0087】
5.変形例
なお、以上のように、本発明の実施の形態は、前記記載で開示されているが、本発明は、これに限定されるものではない。
すなわち、本発明の技術的思想及び目的の範囲から逸脱することなく、以上説明した実施の形態に対し、機序、形状、材質、数量、位置又は配置等に関して、様々の変更を加えることができるものであり、それらは、本発明に含まれるものである。
【0088】
<A>第1トランスと第2トランスとの関係について
上記の実施の形態では、第1トランス10と第2トランス20とは同一の構成である。しかし、2次側回路40にゲート信号を入力するゲートラインの数を少なくできるのであれば、第1トランス10と第2トランス20とは、電気設計上及び磁気設計上において問題の無い範囲であれば異なる構成であってもよい。電気設計上の問題が無いとは、例えば、第1トランス10と第2トランス20との電流バランスが図れており、また、それぞれの電流密度の関係において第1トランス10と第2トランス20との間に悪影響が無いこと等を意味する。磁気設計上の問題が無いとは、例えば第1トランス10及び第2トランス20の飽和密度及び漏れ磁束等の関係において第1トランス10と第2トランス20との間に悪影響が無いこと等を意味する。例えば、第1トランス10及び第2トランス20のいずれかにおいてN次巻き線(N=3、4・・・)が追加されても良い。
【0089】
<B>1次側回路について
上記の実施の形態では、1次側回路30は、第5、第6トランジスタQ5、Q6を含む第1アーム31と第7、第8トランジスタQ7、Q8を含む第2アーム32とが並列に接続されてフルブリッジ回路を構成している。しかし、1次側回路30は直流電圧から交流電圧を生成できればよく、第5~第8トランジスタQ5~Q8を有するフルブリッジ回路に限定されない。例えば、1次側回路30はPWM制御回路であってもよい。PWM制御回路は例えば抵抗、キャパシタ及びオペアンプ等により構成することができる。
【0090】
<C>第1側及び第2側ゲート駆動回路について
上記の実施の形態では、第1側及び第2側ゲート駆動回路61、62は、2次側回路基板CBとは別途の基板(図示せず)に配置されている。しかし、第1側及び第2側ゲート駆動回路61、62は2次側回路基板CBに配置されていてもよい。この場合、第1側ゲート駆動回路61は2次側回路基板CBの第1側CB1に配置され、第2側ゲート駆動回路62は2次側回路基板CBの第2側CB2に配置される。例えば、第1側ゲート駆動回路61は、第2及び第3トランジスタQ2、Q3ととともに第1側ゲートラインGL1を挟むように第2及び第3トランジスタQ2、Q3及び第1側ゲートラインGL1よりも第1側CB1寄りにおいて2次側回路基板CBに配置される。また、例えば、第2側ゲート駆動回路62は、第1及び第4トランジスタQ1、Q4ととともに第2側ゲートラインGL2を挟むように第1及び第4トランジスタQ1、Q4及び第2側ゲートラインGL2よりも第2側CB2寄りにおいて2次側回路基板CBに配置される。
【0091】
上述の通り2次側回路基板CBの第1側CB1には第1側ゲートラインGL1のみが配置されているため、第1側ゲートラインGL1に第1ゲート信号G1を供給するために第1側CB1には第1側ゲート駆動回路61のみを配置すればよい。同様に、2次側回路基板CBの第2側CB2には第2側ゲートラインGL2のみが配置されているため、第2側ゲートラインGL2に第2ゲート信号G2を供給するために第2側CB2には第2側ゲート駆動回路62のみを配置すればよい。これらにより、複数のゲート信号それぞれを形成するために複数のゲートライン及び複数のゲート駆動回路を形成する場合よりもゲートラインの数及びゲート駆動回路の数を減らすことができる。よって、電力変換装置100における、ゲートラインの配置面積及び配置場所等、さらにゲート駆動回路の配置面積及び配置場所等の構造設計を簡素化可能である。
【0092】
<D>コアについて
上記の実施の形態では、第1コア11及び第2コア21はEIコアであるが、コアはこれに限定されず、例えばEEコア、EERコア、UUコア等であってもよい。
【0093】
<E>巻線の巻き方について
第1トランス10及び第2トランス20において電気設計上及び磁気設計上において問題の無い範囲であれば、上記の実施の形態での第1の1次側巻線12、第1の2次側巻線13、第2の1次側巻線22、第2の2次側巻線23の巻き方とは異なる巻き方であってもよい。例えば、第1の1次側巻線12は、第1の1次側巻き始め端12aから第1の1次側巻き終わり端12bに上方から下方に向かって右巻きで第1コア11に巻かれていてもよい。第1部分巻線14は、第1部分巻き始め端14aから第1部分巻き終わり端14bに向かって下方から上方に向かって右巻きで第1コア11に巻かれていてもよい。第2部分巻線15は、第2部分巻き始め端15aから第2部分巻き終わり端15bに向かって下方から上方に向かって右巻きで第1コア11に巻かれていてもよい。また、第2の1次側巻線22は、第2の1次側巻き始め端22aから第2の1次側巻き終わり端22bに向かって下方から上方に向かって左巻きで第2コア21に巻かれていてもよい。第3部分巻線24は、第3部分巻き始め端24aから第3部分巻き終わり端24bに向かって上方から下方に向かって左巻きで第2コア21に巻かれていてもよい。第4部分巻線25は、第4部分巻き始め端25aから第4部分巻き終わり端25bに向かって上方から下方に向かって左巻きで第2コア21に巻かれていてもよい。
【符号の説明】
【0094】
1 :電力変換装置
10 :第1トランス
11 :第1コア
12 :第1の1次側巻線
12a、12b :第1の1次側巻き始め端、第1の1次側巻き終わり端
13 :第1の2次側巻線
14 :第1部分巻線
14a、14b :第1部分巻き始め端、第1部分巻き終わり端
15 :第2部分巻線
15a、15b :第2部分巻き始め端、第2部分巻き終わり端
16 :第1接続部分
20 :第2トランス
21 :第2コア
22 :第2の1次側巻線
22a、22b :第2の1次側巻き始め端、第2の1次側巻き終わり端
23 :第2の2次側巻線
24 :第3部分巻線
24a、24b :第3部分巻き始め端、第3部分巻き終わり端
25 :第4部分巻線
25a、25b :第4部分巻き始め端、第4部分巻き終わり端
26 :第2接続部分
30 :1次側回路
31、32 :第1、第2アーム
31a、32a :第1、第2ノード
40 :2次側回路
50 :1次側ゲート駆動回路
60 :2次側ゲート駆動回路
61 :第1側ゲート駆動回路
61a :第1の第1側ゲート駆動回路
61b :第2の第1側ゲート駆動回路
62 :第2側ゲート駆動回路
62a :第1の第2側ゲート駆動回路
62b :第2の第2側ゲート駆動回路
100 :電力変換装置
C1、C2 :第1、第2キャパシタ
CB :2次側回路基板
CB1 :第1側
CB2 :第2側
CT :異常検出器
G1~G6 :第1~第6ゲート信号
GL1 :第1側ゲートライン
GL1a :第1の第1側ゲートライン
GL1b :第2の第1側ゲートライン
GL2 :第2側ゲートライン
GL2a :第1の第2側ゲートライン
GL2b :第2の第2側ゲートライン
GL3~GL6 :第3~第6ゲートライン
Q1~Q8 :第1~第8トランジスタ
Vin(+) :1次側入力(+)ライン
Vin(-) :1次側入力(-)ライン
Vout(-) :2次側出力(-)ライン
Vout(+) :2次側出力(+)ライン