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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024137710
(43)【公開日】2024-10-07
(54)【発明の名称】ドライバ回路及び画像表示システム
(51)【国際特許分類】
   G09G 3/20 20060101AFI20240927BHJP
   G09G 3/36 20060101ALI20240927BHJP
【FI】
G09G3/20 670G
G09G3/20 623A
G09G3/36
G09G3/20 633P
G09G3/20 631V
【審査請求】未請求
【請求項の数】7
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2024007649
(22)【出願日】2024-01-22
(31)【優先権主張番号】P 2023047906
(32)【優先日】2023-03-24
(33)【優先権主張国・地域又は機関】JP
(71)【出願人】
【識別番号】320012037
【氏名又は名称】ラピステクノロジー株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110001519
【氏名又は名称】弁理士法人太陽国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】近藤 裕則
【テーマコード(参考)】
5C006
5C080
【Fターム(参考)】
5C006AA22
5C006AF12
5C006AF13
5C006AF24
5C006AF42
5C006AF51
5C006AF65
5C006BB15
5C006BC03
5C006BC12
5C006BC16
5C006BF06
5C006BF14
5C006BF24
5C006BF26
5C006BF27
5C080AA10
5C080BB05
5C080CC03
5C080DD09
5C080DD17
5C080JJ02
5C080JJ03
5C080JJ04
5C080KK02
5C080KK47
(57)【要約】
【課題】レジスタに記憶された設定データに基づいて表示データを表示パネルに表示する際に、異常検出のためのレジスタを設けることなく、記憶されている設定データに異常が発生した可能性があることを検出可能とする。
【解決手段】一時記憶部21は、設定データの一部を記憶する第1領域31と、設定データのその他の部分を記憶する第2領域32とに分かれている。第2領域32は、表示コマンドにおいて設定データが送信されてきている期間では、送信されてきた設定データを記憶し、表示コマンドにおいてRGBデータが送信されてきている期間では、第1領域31に記憶されているデータを複製して記憶する。比較回路23は、表示コマンドにおいてRGBデータが送信されてきている期間において、第1領域31に記憶されているデータと、第2領域32に記憶されているデータとを比較して、一致しない場合には、異常検出信号104を出力する。
【選択図】図6
【特許請求の範囲】
【請求項1】
設定データと表示データとが含まれる表示コマンドを受信して、前記設定データに基づいて表示データを表示パネルに表示させるドライバ回路であって、
表示コマンドに含まれる設定データを、次の設定データが送信されてくるまで一時的に記憶する一時記憶部と、前記一時記憶部に記憶されている設定データを記憶する反映段記憶部とを有する設定処理部と、
前記反映段記憶部に記憶されている設定データに基づいて、表示コマンドに含まれる表示データを表示パネルに表示させる出力回路と、を備え、
前記一時記憶部が、前記設定データの一部を記憶する第1領域と、前記第1領域に記憶される設定データ以外の部分を記憶する第2領域とに分かれており、
前記第2領域は、前記表示コマンドにおいて設定データが送信されてきている期間では、送信されてきた設定データを記憶し、前記表示コマンドにおいて表示データが送信されてきている期間では、前記第1領域に記憶されているデータを複製して記憶し、
前記設定処理部は、前記表示コマンドにおいて表示データが送信されてきている期間において、前記第1領域に記憶されているデータと、前記第2領域に記憶されているデータとを比較して、一致しない場合には、記憶されている設定データに異常が発生した可能性があることを示す異常検出信号を出力する比較回路をさらに有する、
ドライバ回路。
【請求項2】
前記第1領域は、前記設定データを保持するために並列に接続された複数の第1のフリップフロップ回路と、
前記表示コマンドにおいて設定データが送信されてきている期間では、送信されてきた設定データを前記複数の第1のフリップフロップ回路の入力端子に出力し、前記表示コマンドにおいて表示データが送信されてきている期間では、前記複数の第1のフリップフロップ回路の出力端子の値をそのまま入力端子に出力する複数の第1の切替回路とから構成され、
前記第2領域は、前記設定データを保持するために並列に接続された複数の第2のフリップフロップ回路と、
前記表示コマンドにおいて設定データが送信されてきている期間では、送信されてきた設定データを前記複数の第2のフリップフロップ回路の入力端子に出力し、前記表示コマンドにおいて表示データが送信されてきている期間では、前記第1領域の前記複数の第1のフリップフロップ回路の出力端子の値を前記複数の第2のフリップフロップ回路の入力端子に出力する複数の第2の切替回路とから構成されている、
請求項1記載のドライバ回路。
【請求項3】
前記第1領域は、前記設定データを保持するために直列に接続された複数の第1のフリップフロップ回路と、
前記表示コマンドにおいて設定データが送信されてきている期間では、送信されてきた設定データを前記複数の第1のフリップフロップ回路に順次出力し、前記表示コマンドにおいて表示データが送信されてきている期間では、前記複数の第1のフリップフロップ回路から出力される値をそのまま前記複数の第1のフリップフロップ回路に順次出力する第1の切替回路とから構成され、
前記第2領域は、前記設定データを保持するために直列に接続された複数の第2のフリップフロップ回路と、
前記表示コマンドにおいて設定データが送信されてきている期間では、送信されてきた設定データを前記複数の第2のフリップフロップ回路に順次出力し、前記表示コマンドにおいて表示データが送信されてきている期間では、前記第1領域の前記複数の第1のフリップフロップ回路から出力される値を前記複数の第2のフリップフロップ回路に順次出力する第2の切替回路とから構成されている、
請求項1記載のドライバ回路。
【請求項4】
前記第2領域は、前記表示コマンドにおいて表示データが送信されてきている期間では、前記第1領域に記憶されているデータを論理反転して記憶し、
前記比較回路は、前記表示コマンドにおいて表示データが送信されてきている期間において、前記第1領域に記憶されているデータと、前記第2領域に記憶されているデータを論理反転したデータとを比較して、一致しない場合には、記憶されている設定データに異常が発生した可能性があることを示す異常検出信号を出力する、
請求項1記載のドライバ回路。
【請求項5】
前記第1領域から読み出されたデータを論理反転して前記第2領域に出力する複数の第1のインバータ回路と、
前記第2領域から読み出されたデータを論理反転して前記比較回路に出力する複数の第2のインバータ回路と、をさらに備え、
前記第1領域は、前記設定データを保持するために並列に接続された複数の第1のフリップフロップ回路と、
前記表示コマンドにおいて設定データが送信されてきている期間では、送信されてきた設定データを前記複数の第1のフリップフロップ回路の入力端子に出力し、前記表示コマンドにおいて表示データが送信されてきている期間では、前記複数の第1のフリップフロップ回路の出力端子の値をそのまま入力端子に出力する複数の第1の切替回路とから構成され、
前記第2領域は、前記設定データを保持するために並列に接続された複数の第2のフリップフロップ回路と、
前記表示コマンドにおいて設定データが送信されてきている期間では、送信されてきた設定データを前記複数の第2のフリップフロップ回路の入力端子に出力し、前記表示コマンドにおいて表示データが送信されてきている期間では、前記第1領域の前記複数の第1のフリップフロップ回路の出力端子の値を前記複数の第1のインバータ回路により論理反転した値を前記複数の第2のフリップフロップ回路の入力端子に出力する複数の第2の切替回路とから構成されている、
請求項4記載のドライバ回路。
【請求項6】
前記第1領域から読み出されたデータを論理反転して前記第2領域に出力する第1のインバータ回路と、
前記第2領域から読み出されたデータを論理反転して前記比較回路に出力する複数の第2のインバータ回路と、をさらに備え、
前記第1領域は、前記設定データを保持するために直列に接続された複数の第1のフリップフロップ回路と、
前記表示コマンドにおいて設定データが送信されてきている期間では、送信されてきた設定データを前記複数の第1のフリップフロップ回路に順次出力し、前記表示コマンドにおいて表示データが送信されてきている期間では、前記複数の第1のフリップフロップ回路から出力される値をそのまま前記複数の第1のフリップフロップ回路に順次出力する第1の切替回路とから構成され、
前記第2領域は、前記設定データを保持するために直列に接続された複数の第2のフリップフロップ回路と、
前記表示コマンドにおいて設定データが送信されてきている期間では、送信されてきた設定データを前記複数の第2のフリップフロップ回路に順次出力し、前記表示コマンドにおいて表示データが送信されてきている期間では、前記第1領域の前記複数の第1のフリップフロップ回路から出力される値を前記第1のインバータ回路により論理反転した値を前記複数の第2のフリップフロップ回路に順次出力する第2の切替回路とから構成されている、
請求項4記載のドライバ回路。
【請求項7】
請求項1から6のいずれか1項に記載のドライバ回路と、
前記ドライバ回路に前記設定データと前記表示データとが含まれる前記表示コマンドを送信し、前記ドライバ回路から前記一時記憶部内のデータを比較した結果に基づいた前記異常検出信号を受信する制御回路と、
を備えた画像表示システム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、LCD(Liquid Crystal Display)等の液晶表示装置を駆動するためのドライバ回路(ドライバIC)に関する。
【背景技術】
【0002】
近年、パーソナルコンピュータや携帯電話装置等の各種情報処理装置は、表示デバイスとしてLCD等の液晶表示装置が用いられている。このような液晶表示装置に表示データを表示させるためには、液晶表示装置を駆動するためのドライバ回路(ドライバIC)が用いられている(例えば、特許文献1参照。)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2009-145492号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
上記のような液晶表示装置を駆動するためのドライバICでは、ライン毎に書き込まれる表示データとは別に、画像表示に必要なガンマカーブ設定等の各種設定を行うための設定データや、表示システムを維持するために必要な設定データが書き込まれ、内部のレジスタに保持されている。
【0005】
しかし、ESD(Electro Static Discharge)ノイズ等の発生により、ドライバICの内部のレジスタに書き込まれた設定データが変化したり破壊されたりした場合、表示画像に影響を及ぼして正常な画像表示が行われなくなってしまう可能性がある。
【0006】
そこで、このような画像表示の異常を防ぐために、ドライバIC内部に記憶されている設定データを、ドライバICに表示データを送信する外部装置が読み出して照合して、書き込んだはずの設定データから変化している場合に、再度設定データをドライバICに書き直すような方法が用いられる場合もある。
【0007】
しかし、このような方法を用いる場合には、ドライバIC側だけでなく外部装置側にも設定データを読み出して照合するシステムが必要となり、システムが肥大化するという弊害がある。
【0008】
また、ドライバIC内に異常検出用のフリップフロップ回路を搭載して、この異常検出用のフリップフロップ回路に保持されている値を監視することによりESDノイズ等が発生して設定データが破壊されていないかを監視する方法が用いられる場合もある。このような方法では、異常が検出されると、外部装置に異常の発生を通知して、外部装置から再度設定データをドライバICに書き直すことになる。
【0009】
しかし、このような方法を用いる場合には、異常検出の確率を上げるためには、異常検出用のフリップフロップ回路の数を増やす必要あり、ドライバICの回路規模が増大してしまうという弊害がある。
【0010】
そこで、本発明の目的は、レジスタに記憶された設定データに基づいて表示データを表示パネルに表示する際に、異常検出のためのレジスタを設けることなく、記憶されている設定データに異常が発生した可能性があることを検出することができるドライバ回路及び画像表示システムを提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0011】
上記課題を解決するために、本発明のドライバ回路は、設定データと表示データとが含まれる表示コマンドを受信して、前記設定データに基づいて表示データを表示パネルに表示させるドライバ回路であって、
表示コマンドに含まれる設定データを、次の設定データが送信されてくるまで一時的に記憶する一時記憶部と、前記一時記憶部に記憶されている設定データを記憶する反映段記憶部とを有する設定処理部と、
前記反映段記憶部に記憶されている設定データに基づいて、表示コマンドに含まれる表示データを表示パネルに表示させる出力回路と、を備え、
前記一時記憶部が、前記設定データの一部を記憶する第1領域と、前記第1領域に記憶される設定データ以外の部分を記憶する第2領域とに分かれており、
前記第2領域は、前記表示コマンドにおいて設定データが送信されてきている期間では、送信されてきた設定データを記憶し、前記表示コマンドにおいて表示データが送信されてきている期間では、前記第1領域に記憶されているデータを複製して記憶し、
前記設定処理部は、前記表示コマンドにおいて表示データが送信されてきている期間において、前記第1領域に記憶されているデータと、前記第2領域に記憶されているデータとを比較して、一致しない場合には、記憶されている設定データに異常が発生した可能性があることを示す異常検出信号を出力する比較回路をさらに有する。
【図面の簡単な説明】
【0012】
図1】本発明の第1の実施形態の画像表示システムの全体構成を示すブロック図である。
図2】比較例としてのドライバIC10Aの構成を説明するためのブロック図である。
図3図2に示したドライバIC10Aにおける各種信号及びデータ内容が変化する様子を示すタイミングチャートである。
図4】システム動作には使用されていない期間40における一時記憶部21Aの記憶領域を利用してノイズ検知を行うようにしたことを説明するための図である。
図5】本発明の第1の実施形態におけるドライバIC10の構成を示すブロック図である。
図6図5に示した本発明の第1の実施形態のドライバIC10における一時記憶部21の構成の詳細を示すブロック図である。
図7】切替信号101がLレベルの場合に、図6に示した設定処理部15における動作を説明するための図である。
図8】切替信号101がLレベルからHレベルに変化した場合に、図6に示した設定処理部15における動作を説明するための図である。
図9】ESD等のノイズが発生していない場合の正常時において、本発明の第1の実施形態のドライバIC10における各種信号及びデータ内容が変化する様子を示すタイミングチャートである。
図10】ESD等のノイズが発生した場合の異常時において、本発明の第1の実施形態のドライバIC10における各種信号及びデータ内容が変化する様子を示すタイミングチャートである。
図11図6に示した第1領域31と、第2領域32の具体的な回路構成例を示す図である。
図12】切替信号101がLレベルからHレベルに変化した場合における、第1領域31と、第2領域32の動作を説明するための図である。
図13図6に示した第1領域31と、第2領域32の具体的な回路構成の他の例を第1領域31A、第2領域32Aとして示す図である。
図14】本発明の第2の実施形態におけるフリップフロップ回路を並列接続した構成の第1領域31、第2領域32の具体的な回路構成例を示す図である。
図15】本発明の第2の実施形態におけるフリップフロップ回路を直列接続した構成の第1領域31、第2領域32の具体的な回路構成例を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0013】
次に、本発明の実施の形態について図面を参照して詳細に説明する。
【0014】
[第1の実施形態]
図1は本発明の第1の実施形態の画像表示システムの全体構成の概略を示すブロック図である。
【0015】
本実施形態の画像表示システムは、表示パネル100に対して画像を表示する構成となっており、ソースドライバ10、ゲートドライバ30、タイミングコントローラ20を備えている。
【0016】
表示パネル100は、例えば、アクティブマトリクス型の液晶表示装置であり、薄膜トランジスタ等の画素トランジスタを備えた表示画素90がマトリクス状に配列されている。表示パネル100は、各表示画素90を行方向に接続する走査ラインと列方向に接続する信号ラインとを備えている。ゲートドライバ30は、各走査ラインを順次選択状態とし、ソースドライバ10により各信号ラインに所定の信号電圧を印加して、選択状態にある表示画素90に対して表示データに応じた信号電圧を書き込むことにより、各表示画素90における液晶の配向状態を制御して所望の画像を表示するように構成されている。
【0017】
ここで、ソースドライバ10及びゲートドライバ30は、タイミングコントローラ20により動作タイミングが制御されている。タイミングコントローラ20は、外部から供給される映像信号に基づいて、表示パネル100に所定の画像表示を行うための制御信号をソースドライバ10及びゲートドライバ30に各々供給することにより、所定のタイミングで表示画素90の画素電極に所定の電圧を印加して、表示パネル100に映像信号に基づく画像を表示させる制御を行う。
【0018】
ここで、ソースドライバ10は、タイミングコントローラ20から、設定データと表示データ(RGBデータ)とが含まれる表示コマンドを受信して、この設定データに基づいて表示データを表示パネル100に表示させるドライバIC(ドライバ回路)により構成される。よって、本実施形態における以降の説明においては、ソースドライバ10をドライバIC10として説明する。
【0019】
本実施形態のドライバIC10について説明する前に、比較例として、本発明を適用しない場合のドライバIC10Aについて図2を参照して説明する。また、図2に示したドライバIC10Aにおける各種信号及びデータ内容が変化する様子を図3のタイミングチャートに示す。
【0020】
ドライバIC10Aは、設定データと表示データとが含まれる表示コマンド103をタイミングコントローラ20から受信して、表示コマンド103中の設定データに基づいて表示データを表示パネル100に表示させるドライバ回路である。
【0021】
この比較例のドライバIC10Aは、図2に示されるように、インタフェース回路(I/F)11と、コマンド解析部12と、切替回路13、RGB処理部14と、設定処理部15Aと、出力回路16とから構成されている。
【0022】
インタフェース回路11は、タイミングコントローラ20からの表示コマンド103を受信して、受信した表示コマンド103をコマンド解析部12及び切替回路13にそれぞれ転送している。
【0023】
ここで、表示コマンドは、図3に示すように、RGBデータと設定データとがライン単位で設定されたものとなっている。ここで、1ライン分のデータは、例えば20バイトのデータにより構成されている。コマンド解析部12は、インタフェース回路11から転送されてきた表示コマンド103を解析して、設定データが含まれるライン部分とRGBデータが含まれるライン部分とを区別して、そのラインに含まれるデータのデータ種別を示す信号を切替信号101として出力する。また、コマンド解析部12は、表示コマンド103における各ラインの区切りに同期した信号をEOL(End Of Line)信号102として出力する。
【0024】
具体的には、コマンド解析部12は、図3に示すように、転送されてきた表示コマンド103が設定データの区間では切替信号101をロウレベル(以下、Lレベルと略す。)とし、転送されてきた表示コマンド103がRGBデータの区間では切替信号101をハイレベル(以下、Hレベルと略す。)とする。
【0025】
なお、図3に示された表示コマンド103では、設定データの後に複数のRGBデータが送信されるような構成となっている。そして、ある設定データと次の設定データとの間のRGBデータは、ある設定データによる設定内容に基づいて画像表示を行うような仕様となっている。
【0026】
切替回路13は、例えばマルチプレクサにより構成され、コマンド解析部12から出力される切替信号101がLレベルの場合には、インタフェース回路11から転送されてきた表示コマンド103を設定処理部15Aに出力する。また、切替回路13は、コマンド解析部12から出力される切替信号101がHレベルの場合には、インタフェース回路11から転送されてきた表示コマンド103をRGB処理部14に出力する。
【0027】
RGB処理部14は、切替回路13から出力されてきたRGBデータに対する画像処理を行って出力回路16に転送する。
【0028】
設定処理部15Aは、表示コマンド103に含まれる設定データを、次の設定データが送信されてくるまで一時的に記憶する一時記憶部21Aと、一時記憶部21Aに記憶されている設定データを記憶する反映段記憶部22とを有する。設定処理部15Aでは、切替回路13から出力された設定データは、まず一時記憶部21Aに記憶され、表示コマンド103の1ライン分のタイミング後に反映段記憶部22に記憶される。
【0029】
出力回路16は、反映段記憶部22に記憶されている設定データに基づいて、RGB処理部14から転送されてきたRGBデータを表示パネル100に表示させる。
【0030】
図3のタイミングチャートを参照すると、表示コマンド103に含まれる設定データが「ABCD」という内容であったとする。すると、この「ABCD」という設定データはまず一時記憶部21Aに記憶され、時刻T1において切替信号101がHレベルとなったタイミングで反映段記憶部22にも記憶されることになる。そして、出力回路16は、反映段記憶部22に記憶された「ABCD」という設定データに基づいて、RGB処理部14からのRGBデータを表示パネル100に表示するような動作を行う。
【0031】
その後、表示コマンド103から「EFGH」という設定データが送信されてくると、同様にして、この「EFGH」という設定データはまず一時記憶部21Aに記憶され、時刻T2において切替信号101がHレベルとなったタイミングで反映段記憶部22にも記憶されることになる。そして、出力回路16は、反映段記憶部22に記憶された「EFGH」という設定データに基づいて、RGB処理部14からのRGBデータを表示パネル100に表示するような動作を行う。
【0032】
このように設定処理部15Aでは、設定データを一時記憶部21Aに記憶してから反映段記憶部22に記憶するようにしているのは、表示コマンド103から新たな設定データが送信されてきたとしても、反映段記憶部22に記憶されている設定データをすぐに変更することはできないからである。なぜならば、表示コマンド103から新たな設定データが送信されてきたタイミングにおいても、出力回路16は、それ以前のRGBデータに基づいて表示パネル100に対する画像表示処理をおこなっているからである。そして、その画像表示処理は、以前の設定データに基づいて実行される必要があるからである。
【0033】
具体的には、図3に示した表示コマンド103から「EFGH」という設定データが送信されてきたタイミングにおいても、反映段記憶部22にはまだ「ABCD」という設定データが記憶されている必要があるからである。もしも、表示コマンド103から「EFGH」という設定データが送信されてきたタイミングで、反映段記憶部22に記憶されている設定データを「ABCD」から「EFGH」に即座に変更したとすると、本来は「ABCD」という設定データに基づいて画像表示されるはずのRGBデータが「EFGH」という設定データに基づいて画像表示されてしまうことになるからである。
【0034】
よって、表示コマンド103から新たな設定データが送信されてきても反映段記憶部22にすぐに記憶するのではなく、まず一時記憶部21Aに記憶してから反映段記憶部22に記憶するようになっている。
【0035】
上記のように設定処理部15Aでは、一時記憶部21Aは設定データを一時記憶するが、その設定データが反映段記憶部22に記憶された後は、次の設定データが表示コマンド103から送信されてくるまで利用されていない。そのため、本実施形態では、図4に示すように、システム動作には使用されていない期間40における一時記憶部21Aの記憶領域を利用して、ノイズ検知を行うようにする。
【0036】
このような本発明の第1の実施形態におけるドライバIC10の構成を図5のブロック図に示す。
【0037】
図5に示した本実施形態のドライバIC10は、図2に示した比較例のドライバIC10Aに対して、設定処理部15Aを設定処理部15に置き換えた構成となっている。そして、設定処理部15は、図2に示した設定処理部15Aに対して、一時記憶部21Aが一時記憶部21に置き換えられ、比較回路23が追加された構成となっている。
【0038】
なお、図5中に示した構成要素うち、図2に示した構成要素と同じ符号の構成要素については、同じものであるためその説明は省略する。
【0039】
本実施形態のドライバIC10では、設定処理部15の比較回路23から異常検出信号104がタイミングコントローラ20に出力されている。タイミングコントローラ20は、この異常検出信号104を入力することにより、ESDノイズ等により設定処理部15内に記憶されている設定データに異常が発生した可能性があることを把握して、設定データをドライバIC10に再度書き直すような処理を実行する。
【0040】
つまり、この異常検出信号104は、ESDノイズ等が発生したことにより、設定処理部15内に記憶されている設定データに異常が発生した可能性があることを示す信号である。
【0041】
このように、タイミングコントローラ20は、ドライバIC10に設定データと表示データとが含まれる表示コマンドを送信し、ドライバIC10から一時記憶部21内のデータを比較した結果に基づいた異常検出信号104を受信する制御回路として機能する。
【0042】
図5に示した本実施形態のドライバIC10における一時記憶部21の構成の詳細を図6のブロック図に示す。
【0043】
本実施形態における一時記憶部21は、設定データの一部を記憶する第1領域31と、第1領域31に記憶される設定データ以外の部分を記憶する第2領域32とに分かれている。
【0044】
例えば、第1領域31は、20バイトの設定データのうち前半の10バイト分を記憶し、第2領域32は、20バイトの設定データのうち後半の10バイト分を記憶する。
【0045】
そして、第2領域32は、表示コマンド103において設定データが送信されてきている期間では、送信されてきた設定データを記憶し、表示コマンド103においてRGBデータが送信されてきている期間では、第1領域31に記憶されているデータを複製して記憶する。
【0046】
そして、比較回路23は、表示コマンド103においてRGBデータが送信されてきている期間において、第1領域31に記憶されているデータと、第2領域32に記憶されているデータとを比較して、一致しない場合には、異常検出信号104をタイミングコントローラ20に出力する。
【0047】
ここで、表示コマンド103においてRGBデータが送信されてきている期間とは、切替信号101がHレベルである期間を意味する。また、表示コマンド103において設定データが送信されてきている期間とは、切替信号101がLレベルである期間を意味する。
【0048】
なお、一時記憶部21には、切替信号101とEOL信号102との論理積を演算するアンド回路33が設けられている。アンド回路33の出力は、クロック信号として第1領域31及び第2領域32に出力される。
【0049】
次に、図6に示した本実施形態の設定処理部15における動作について図7図8を参照して説明する。
【0050】
図7は、切替信号101がLレベルの場合、つまり、表示コマンド103において設定データが送信されてきている期間における動作を示すものである。図8は、切替信号101がLレベルからHレベルに変化した場合、つまり、表示コマンド103においてRGBデータが送信されてきている期間における動作を示すものである。
【0051】
まず、図7に示すように、表示コマンド103において新たな設定データが送信されてきた場合、切替信号101はLレベルとなる。そのため、例えば、設定データが「ABCD」という内容であった場合、設定データのうち「AB」という部分は第1領域31に記憶され、設定データのうち「CD」という部分は第2領域32に記憶される。
【0052】
その後、図8に示すように、表示コマンド103においてRGBデータが送信されてきて、切替信号101がLレベルからHレベルに変化した場合、第1領域31に記憶された「AB」という設定データと、第2領域32に記憶された「CD」という設定データは、反映段記憶部22に取り込まれて記憶される。また、第1領域31に記憶された「AB」という設定データは、第2領域32に複製されて記憶される。
【0053】
そして、切替信号101がHレベルとなったことにより、比較回路23は、第1領域31に記憶されたデータと、第2領域32に記憶されたデータとの比較を行う。そして、比較回路23は、比較した2つのデータが一致すれば異常検出信号104を出力せず、比較した2つのデータが一致しなければ異常検出信号104を出力する。
【0054】
次に、図5に示した本実施形態のドライバIC10における各種信号及びデータ内容が変化する様子を図9図10のタイミングチャートに示す。図9は、ESD等のノイズが発生していない場合の正常時のタイミングチャートである。そして、図10は、ESD等のノイズが発生した場合の異常時のタイミングチャートである。
【0055】
ESDノイズ等のノイズが発生していない正常時では、図9に示すように、表示コマンド103から送信されてきた「ABCD」という設定データは、第1領域31、第2領域32にそれぞれ「AB」、「CD」というように分かれて記憶される。
【0056】
そして、時刻T3において切替信号101がHレベルになると、第1領域31に記憶されていた「AB」という設定データと、第2領域32に記憶されていた「CD」という設定データは、反映段記憶部22に記憶される。そして、そのタイミングにおいて、第1領域31に記憶されていた「AB」という設定データが、第2領域32に複製されて記憶される。その結果、第1領域31の記憶内容と第2領域32の記憶内容とは同じものとなる。
【0057】
その後、表示コマンド103から新たな設定データである「EFGH」が送信されてくるまで、第2領域32は、第1領域31の記憶データを複製して記憶し続ける。
【0058】
そして、比較回路23は、切替信号101がHレベルになると、第1領域31の記憶内容と、第2領域32の記憶内容とを比較するが、図9では、常に同じ内容となっているため異常検出信号104は出力されない。
【0059】
次に、ESD等のノイズが発生した場合の異常時の動作について図10のタイミングチャートを参照して説明する。
【0060】
図10に示したタイミングチャートでは、ESDノイズにより、第1領域31の記憶内容が「AB」から「AA」に変化してしまっている。そのため、比較回路23は、第1領域31の記憶内容と、第2領域32の記憶内容とが一致していないと判定して、異常検出信号104を出力しているのが分かる。なお、第1領域31の記憶内容である「AA」が第2の領域32に複製された後は、第1領域31の記憶内容と、第2領域32の記憶内容とは一致するため、異常検出信号104は出力されなくなる。
【0061】
また、図10では、同様に、ESDノイズにより、第2領域32の記憶内容が「EF」から「EE」に変化してしまった場合でも、異常検出信号104が出力される様子が示されている。
【0062】
次に、図6に示した第1領域31と、第2領域32の具体的な回路構成例を図11に示す。
【0063】
図11を参照すると、第1領域31は、複数のフリップフロップ回路41、43と、複数の切替回路42、44とから構成されている。
【0064】
複数のフリップフロップ回路41、43は、設定データを保持するために並列して接続されている。そして、複数のフリップフロップ回路41は、設定データのうちの前半部分を保持するために設けられ、複数のフリップフロップ回路43は、設定データのうちの後半部分を保持するために設けられている。
【0065】
例えば、設定データが20バイト、つまり160ビットである場合、フリップフロップ回路41、43は、それぞれ、80個ずつ設けられている。
【0066】
そして、複数の切替回路42、44は、表示コマンド103において設定データが送信されてきている期間では、送信されてきた設定データを複数のフリップフロップ回路41、43の入力端子にそれぞれ出力する。また、複数の切替回路42、44は、表示コマンド103においてRGBデータが送信されてきている期間では、複数のフリップフロップ回路41、43の出力端子の値をそのまま入力端子にそれぞれ出力する。
【0067】
つまり、切替回路42、44は、切替信号101がLレベルの場合には、送信されてきた設定データを複数のフリップフロップ回路41、43の入力端子にそれぞれ出力する。そして、切替回路42、44は、切替信号101がHレベルの場合には、フリップフロップ回路41、43の出力端子の値をそのまま入力端子に出力する。
【0068】
そして、図11に示されるように、第2領域32は、複数のフリップフロップ回路51、53と、複数の切替回路52、54とから構成されている。
【0069】
複数のフリップフロップ回路51、53は、設定データを保持するために並列して接続されている。そして、複数のフリップフロップ回路51は、設定データのうちの前半部分を保持するために設けられ、複数のフリップフロップ回路53は、設定データのうちの後半部分を保持するために設けられている。
【0070】
そして、複数の切替回路52、54は、表示コマンド103において設定データが送信されてきている期間では、送信されてきた設定データをフリップフロップ回路51、53の入力端子にそれぞれ出力する。また、複数の切替回路52、54は、表示コマンド103においてRGBデータが送信されてきている期間では、第1領域31の複数のフリップフロップ回路41、43の出力端子の値を複数のフリップフロップ回路51、53の入力端子にそれぞれ出力する。
【0071】
つまり、切替回路52、54は、切替信号101がLレベルの場合には、送信されてきた設定データを複数のフリップフロップ回路51、53の入力端子にそれぞれ出力する。そして、切替回路52、54は、切替信号101がHレベルの場合には、フリップフロップ回路41、43の出力端子の値を複数のフリップフロップ回路51、53の入力端子にそれぞれ出力する。
【0072】
第1領域31、第2領域32は、上記のような構成となっていることにより、切替信号101がLレベルの場合には、図11に示すように、「ABCD」という設定データのうち、「A」というデータは複数のフリップフロップ回路41に保持される。また、「B」というデータは複数のフリップフロップ回路43に保持される。また、「C」というデータは複数のフリップフロップ回路51に保持され、「D」というデータは複数のフリップフロップ回路53に保持される。
【0073】
そして、複数のフリップフロップ回路41、43、51、53にそれぞれ保持された、「A」、「B」、「C」、「D」というデータは反映段記憶部22にも出力される。
【0074】
次に、切替信号101がLレベルからHレベルに変化した場合の様子を図12に示す。
【0075】
切替信号101がLレベルからHレベルに変化したことにより、第1領域31では、切替回路42、44は、フリップフロップ回路41、43の出力端子の値をそのまま入力端子に出力する。その結果、複数のフリップフロップ回路41では「A」というデータを保持し続け、複数のフリップフロップ回路43では、「B」というデータを保持し続ける。
【0076】
そして、切替信号101がLレベルからHレベルに変化したことにより、第2領域32では、切替回路52、54は、フリップフロップ回路41、43の出力端子の値を複数のフリップフロップ回路51、53の入力端子にそれぞれ出力する。その結果、複数のフリップフロップ回路51には「A」というデータが複製され、複数のフリップフロップ回路53には、「B」というデータが複製される。
【0077】
なお、切替信号101がLレベルからHレベルに変化したことにより、比較回路23は、第1領域31のフリップフロップ回路41、43から出力される「A」、「B」というデータと、第2領域32のフリップフロップ回路51、53から出力される「A」、「B」というデータとを比較して、そのデータどうしが一致しなければ異常検出信号104を出力する。
【0078】
次に、図6に示した第1領域31と、第2領域32の具体的な回路構成の他の例を第1領域31A、第2領域32Aとして図13に示す。
【0079】
図13を参照すると、第1領域31Aは、複数のフリップフロップ回路41、43と、切替回路42とから構成されている。
【0080】
複数のフリップフロップ回路41、43は、設定データを保持するために直列に接続されている。そして、複数のフリップフロップ回路41は、設定データのうちの前半部分を保持するために設けられ、複数のフリップフロップ回路43は、設定データのうちの後半部分を保持するために設けられている。
【0081】
切替回路42は、表示コマンド103において設定データが送信されてきている期間では、送信されてきた設定データを複数のフリップフロップ回路41、43に順次出力する。また、切替回路42は、表示コマンド103においてRGBデータが送信されてきている期間では、複数のフリップフロップ回路41,43から出力される値をそのまま複数のフリップフロップ回路41、43に順次出力する。
【0082】
そして、図13に示されるように、第2領域32Aは、複数のフリップフロップ回路51、53と、切替回路52とから構成されている。
【0083】
複数のフリップフロップ回路51、53は、設定データを保持するために直列に接続されている。そして、複数のフリップフロップ回路51は、設定データのうちの前半部分を保持するために設けられ、複数のフリップフロップ回路53は、設定データのうちの後半部分を保持するために設けられている。
【0084】
切替回路52は、表示コマンド103において設定データが送信されてきている期間では、送信されてきた設定データを複数のフリップフロップ回路51、53に順次出力する。また、切替回路52は、表示コマンド103においてRGBデータが送信されてきている期間では、第1領域31Aの複数のフリップフロップ回路41、43から出力される値を複数のフリップフロップ回路51、53に順次出力する。
【0085】
図13に示した第1領域31A、第2領域32Aの回路構成によれば、図11に示した第1領域31、第2領域32の回路構成と比較して、1つの切替回路42、1つの切替回路52のみで構成可能となり、回路構成が簡易化するという利点を有している。
【0086】
なお、上記で説明した実施形態では、第1領域31、31A、及び第2領域32、32Aをフリップフロップ回路により構成した場合を用いて説明したが、RAM等の記憶素子を用いて構成することも可能である。
【0087】
そして、本実施形態では、本来のシステム動作において使用されている一時記憶部21を用いてESDノイズ等のノイズの発生を検出するようにしているため、ノイズの発生を検出するためのフリップフロップ回路等のレジスタを設ける必要がない。そのため、本実施形態によれば、異常検出のためのレジスタを設けることなく、記憶されている設定データに異常が発生した可能性があることが検出可能となる。つまり、回路構成と回路面積を大幅に増加させることなく、ノイズ検出が可能となる。
【0088】
さらに、本実施形態によれば、もともと反映段記憶部22に近接配置される一時記憶部21を用いてノイズ検出を行うようにしているため、反映段記憶部22に記憶されている設定データがノイズの影響により変化したことをより高い精度で検出することが可能となる。
【0089】
[第2の実施形態]
次に、本発明の第2の実施形態の画像表示システムについて説明する。
【0090】
本実施形態の画像表示システムは、上記で説明した第1の実施形態に対して、一時記憶部21内の回路構成が図14、又は図15に示すようになっている点のみが異なっている。そのため、本実施形態の画像表示システムの説明では、上記で説明した第1の実施形態と異なる回路構成のみについて説明する。
【0091】
上記で説明した第1の実施形態の画像表示システムでは、表示コマンドにおいて表示データが送信されている期間において、第1領域31に記憶されているデータを複製して第2領域32に記憶させ、第1領域31に記憶されているデータと第2領域32に記憶されているデータとが一致しない場合には、異常が発生したと判定して異常検出信号104を出力するような構成であった。
【0092】
しかし、表示コマンドから送信されてきた設定データが「1111・・・1」というような全てが「1」のデータであった場合、第1領域31、第2領域32に記憶されるデータも全て「1111・・・1」となる。そのため、ESDノイズ等のノイズの発生により記憶領域のデータが「0」から「1」に変化するような異常が発生した場合でも、このような異常の発生を検知することができない。同様に、表示コマンドから送信されてきた設定データが「0000・・・0」というような全てが「0」のデータであった場合、第1領域31、第2領域32に記憶されるデータも全て「0000・・・0」となる。そのため、ESDノイズ等のノイズの発生により記憶領域のデータが「1」から「0」に変化するような異常が発生した場合でも、このような異常の発生を検知することができない。
【0093】
そこで、本実施形態では、一次記憶部21において、第1領域31に記憶されているデータを単に第2領域32に複製して記憶させるのではなく、第2領域32は、表示コマンドにおいて表示データが送信されてきている期間では、第1領域31に記憶されているデータを論理反転して記憶するようにしている。
【0094】
そして、比較回路23は、表示コマンドにおいて表示データが送信されてきている期間において、第1領域31に記憶されているデータと、第2領域32に記憶されているデータを論理反転したデータとを比較して、一致しない場合には、記憶されている設定データに異常が発生した可能性があることを示す異常検出信号104を出力する。
【0095】
本実施形態を、フリップフロップ回路を並列接続した構成の図12に示したような第1領域31、第2領域32に適用した場合の回路構成例を図14に示す。
【0096】
図14に示した回路構成は、図11に示したような回路構成に対して、複数のインバータ回路61~64が追加された構成となっている。
【0097】
複数のインバータ回路61、62は、第1領域31から読み出されたデータを論理反転して第2領域32に出力する。また、複数のインバータ回路63、64は、第2領域32から読み出されたデータを論理反転して比較回路23に出力する。
【0098】
そして、複数の切替回路52、54は、表示コマンド103においてRGBデータが送信されてきている期間では、第1領域31の複数のフリップフロップ回路41、43の出力端子の値を複数のインバータ回路61、62により論理反転した値を複数のフリップフロップ回路51、53の入力端子にそれぞれ出力する。
【0099】
本実施形態の第1領域31においても、複数のフリップフロップ回路41では「A」というデータを保持し続け、複数のフリップフロップ回路43では、「B」というデータを保持し続ける。しかし、第2領域32では、複数のフリップフロップ回路51には「A」を論理判定したデータが複製され、複数のフリップフロップ回路53には、「B」というデータを論理反転したデータが複製される。なお、図14では、A」を論理判定したデータを「/A(Aバー)」として表現し、「B」を論理判定したデータを「/B(Bバー)」として表現する。例えば、「A」というデータが「10110110・・・1」というデータであった場合、複数のフリップフロップ回路51には「01001001・・・0」というデータが保持される。
【0100】
このような回路構成となっていることにより、本実施形態の画像表示システムによれば、設定データが「111・・・1」又は「0000・・・0」のようなデータであっても、異常検出用のデータがかならず「1」、「0」の両方の値を含む状態となる。その結果、本実施形態によれば、ESDノイズ等のノイズの発生により記憶領域のデータが「1」から「0」に変化するような異常が発生した場合でも、「0」から「1」に変化するような異常が発生した場合のいずれの場合の異常をも検出可能となる。そのため、本実施形態によれば、上記で説明した第1の実施形態に対して、より異常検出の際の検出精度を高くすることが可能となる。
【0101】
さらに、本実施形態を、フリップフロップ回路を直列接続した構成の図13に示したような第1領域31A、第2領域32Aに適用した場合の回路構成例を図15に示す。
【0102】
図15に示した回路構成は、図13に示したような回路構成に対して、1つのインバータ回路65及び複数のインバータ回路63、64が追加された構成となっている。
【0103】
インバータ回路65は、第1領域31Aから読み出されたデータを論理反転して第2領域32Aに出力する。また、複数のインバータ回路63、64は、第2領域32Aから読み出されたデータを論理反転して比較回路23に出力する。
【0104】
また、図15に示した回路中における切替回路52は、表示コマンド103においてRGBデータが送信されてきている期間では、第1領域31Aの複数のフリップフロップ回路41、43から出力される値をインバータ回路65により論理反転した値を複数のフリップフロップ回路51、53に順次出力する。
【0105】
このような回路構成によっても、本実施形態の画像表示システムによれば、設定データが「111・・・1」又は「0000・・・0」のようなデータであっても、異常検出用のデータがかならず「1」、「0」の両方の値を含む状態となる。その結果、本実施形態によれば、ESDノイズ等のノイズの発生により記憶領域のデータが「1」から「0」に変化するような異常が発生した場合でも、「0」から「1」に変化するような異常が発生した場合のいずれの場合の異常をも検出可能となる。そのため、本実施形態によれば、上記で説明した第1の実施形態に対して、より異常検出の際の検出精度を高くすることが可能となる。
【符号の説明】
【0106】
10 ドライバIC(ソースドライバ)
11 インタフェース回路(I/F)
12 コマンド解析部
13 切替回路
14 RGB処理部
15、15A 設定処理部
16 出力回路
20 タイミングコントローラ
21、21A 一時記憶部
22 反映段記憶部
23 比較回路
30 ゲートドライバ
31、31A 第1領域
32、32A 第2領域
33 アンド回路
41、43 フリップフロップ回路
42、44 切替回路
51、53 フリップフロップ回路
52、54 切替回路
61~65 インバータ回路
90 表示画素
100 表示パネル
101 切替信号
102 EOL信号
103 表示コマンド
104 異常検出信号
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12
図13
図14
図15