(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024137716
(43)【公開日】2024-10-07
(54)【発明の名称】樹脂ロール
(51)【国際特許分類】
B65H 75/38 20060101AFI20240927BHJP
B32B 27/20 20060101ALI20240927BHJP
B32B 7/027 20190101ALI20240927BHJP
B32B 7/022 20190101ALI20240927BHJP
B32B 7/025 20190101ALI20240927BHJP
C09J 7/35 20180101ALI20240927BHJP
H05K 3/46 20060101ALI20240927BHJP
【FI】
B65H75/38 J
B32B27/20 Z
B32B7/027
B32B7/022
B32B7/025
C09J7/35
H05K3/46 T
H05K3/46 B
【審査請求】未請求
【請求項の数】20
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2024009972
(22)【出願日】2024-01-26
(31)【優先権主張番号】P 2023046869
(32)【優先日】2023-03-23
(33)【優先権主張国・地域又は機関】JP
(71)【出願人】
【識別番号】000000066
【氏名又は名称】味の素株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110002147
【氏名又は名称】弁理士法人酒井国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】池平 秀
【テーマコード(参考)】
3F068
4F100
4J004
5E316
【Fターム(参考)】
3F068AA01
3F068BA00
3F068CA04
3F068EA01
4F100AA20B
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5E316AA02
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5E316GG28
5E316HH40
(57)【要約】
【課題】搬送時のズレの抑制及び樹脂組成物層の破損の抑制を両立し、良好な歩留まりを達成できる樹脂ロールの提供。
【解決手段】基材フィルムと、前記基材フィルムの一方の面上に設けられた無機充填材を含む熱硬化性樹脂組成物層と、前記熱硬化性樹脂組成物層の前記基材フィルムとは反対側の面上に設けられた保護フィルムと、を有する樹脂シートと、前記樹脂シートが巻き回されたコア芯と、を備え、前記熱硬化性樹脂組成物層が揮発性成分をさらに含み、前記保護フィルムを剥離して前記基材フィルムと接しない面を外気に露出した場合において、130℃で15分間加熱処理した後の前記熱硬化性樹脂組成物層の重量減少率が、0.7~5質量%であり、前記樹脂シート全体の平均密度が、1.3g/cm
3以上であり、前記樹脂シートの幅が、300mm以上であり、前記コア芯の幅をW
cとし、前記樹脂シートの幅をW
sとし、W
c/W
sをW
3とした場合、0.9≦W
3≦1.1である樹脂ロール。
【選択図】
図2
【特許請求の範囲】
【請求項1】
基材フィルムと、前記基材フィルムの一方の面上に設けられた無機充填材を含む熱硬化性樹脂組成物層と、前記熱硬化性樹脂組成物層の前記基材フィルムとは反対側の面上に設けられた保護フィルムと、を有する樹脂シートと、
前記樹脂シートが巻き回されたコア芯と、
を備え、
前記熱硬化性樹脂組成物層が揮発性成分をさらに含み、前記保護フィルムを剥離して前記基材フィルムと接しない面を外気に露出した場合において、130℃で15分間加熱処理した後の前記熱硬化性樹脂組成物層の重量減少率が、0.7~5質量%であり、
前記樹脂シート全体の平均密度が、1.3g/cm3以上であり、
前記樹脂シートの幅が、300mm以上であり、
前記コア芯の幅をWcとし、前記樹脂シートの幅をWsとし、Wc/WsをW3とした場合、0.9≦W3≦1.1である樹脂ロール。
【請求項2】
0.99<W3≦1.1である請求項1に記載の樹脂ロール。
【請求項3】
前記熱硬化性樹脂組成物層が、エポキシ樹脂をさらに含む、請求項1に記載の樹脂ロール。
【請求項4】
前記基材フィルム及び前記保護フィルムが、プラスチックフィルムである、請求項1に記載の樹脂ロール。
【請求項5】
前記基材フィルムの膜厚が、5μm~75μmであり、前記熱硬化性樹脂組成物層の膜厚が、5μm~250μmであり、前記保護フィルムの膜厚が、1μm~40μmである、請求項1に記載の樹脂ロール。
【請求項6】
前記基材フィルムの幅をWbとし、前記熱硬化性樹脂組成物層の幅をWrとし、Wb/WrをW1とした場合、0.9≦W1≦1.1であり、前記保護フィルムの幅をWpとし、Wp/WrをW2とした場合、0.9≦W2≦1.1である、請求項1に記載の樹脂ロール。
【請求項7】
前記熱硬化性樹脂組成物層の弾性率が、23℃で測定した場合、1GPa~10GPaである、請求項1に記載の樹脂ロール。
【請求項8】
前記樹脂シート全体の平均密度が、1.8g/cm3未満である、請求項1に記載の樹脂ロール。
【請求項9】
前記コア芯の直径が、50mm以上である、請求項1に記載の樹脂ロール。
【請求項10】
前記コア芯の密度が、0.8~1.2g/cm3である、請求項1に記載の樹脂ロール。
【請求項11】
前記コア芯の密度と前記樹脂シート全体の平均密度の差が、0.3~2.0g/cm3である、請求項1に記載の樹脂ロール。
【請求項12】
前記樹脂シートの幅が、1000mm以下である、請求項1に記載の樹脂ロール。
【請求項13】
前記樹脂シートの巻き取り長が、100m以下である、請求項1に記載の樹脂ロール。
【請求項14】
前記熱硬化性樹脂組成物層中の無機充填材の含有率が、全不揮発成分を100質量%とした場合において、50質量%以上である、請求項1に記載の樹脂ロール。
【請求項15】
前記熱硬化性樹脂組成物層中の無機充填材の含有率が、全不揮発成分を100質量%とした場合において、80質量%以下である、請求項1に記載の樹脂ロール。
【請求項16】
前記熱硬化性樹脂組成物層の硬化後の線熱膨張係数(CTE)が、25℃から150℃までの範囲において、50ppm/℃以下である、請求項1に記載の樹脂ロール。
【請求項17】
前記熱硬化性樹脂組成物層の硬化後の誘電正接(Df)が、5.8GHz、23℃で測定した場合、0.006以下である、請求項1に記載の樹脂ロール。
【請求項18】
前記熱硬化性樹脂組成物層が、プリント配線板の絶縁層形成用の樹脂組成物層である、請求項1に記載の樹脂ロール。
【請求項19】
樹脂ロールと固定部材とを備える樹脂シート搬出装置であって、
前記樹脂ロールが、
基材フィルムと、前記基材フィルムの一方の面上に設けられた無機充填材を含む熱硬化性樹脂組成物層と、前記熱硬化性樹脂組成物層の前記基材フィルムとは反対側の面上に設けられた保護フィルムと、を有する樹脂シートと、
前記樹脂シートが巻き回されたコア芯と、
を備え、
前記熱硬化性樹脂組成物層が揮発性成分をさらに含み、前記保護フィルムを剥離して前記基材フィルムと接しない面を外気に露出した場合において、130℃で15分間加熱処理した後の前記熱硬化性樹脂組成物層の重量減少率が、0.7~5質量%であり、
前記樹脂シート全体の平均密度が、1.3g/cm3以上であり、
前記樹脂シートの幅が、300mm以上であり、
前記コア芯の幅をWcとし、前記樹脂シートの幅をWsとし、Wc/WsをW3とした場合、0.9≦W3≦1.1であり、
前記固定部材が、
前記コア芯を軸支する軸支部と、前記コア芯及び前記コア芯に巻き回された前記樹脂シートからなる構造体の両端部に接触して、前記コア芯及び前記コア芯に巻き回された前記樹脂シート全体の軸方向の移動を制限する軸方向に対して垂直平面状の軸止部と、
を備える、樹脂シート搬出装置。
【請求項20】
基材フィルムと、前記基材フィルムの一方の面上に設けられた無機充填材を含む熱硬化性樹脂組成物層と、前記熱硬化性樹脂組成物層の前記基材フィルムとは反対側の面上に設けられた保護フィルムと、を有する樹脂シートと、
前記樹脂シートが巻き回されたコア芯と、
を備え、
前記熱硬化性樹脂組成物層が揮発性成分をさらに含み、前記保護フィルムを剥離して前記基材フィルムと接しない面を外気に露出した場合において、130℃で15分間加熱処理した後の前記熱硬化性樹脂組成物層の重量減少率が、0.7~5質量%であり、
前記樹脂シート全体の平均密度が、1.3g/cm3以上であり、
前記樹脂シートの幅が、300mm以上であり、
前記コア芯の幅をWcとし、前記樹脂シートの幅をWsとし、Wc/WsをW3とした場合、0.9≦W3≦1.1である樹脂ロールを使用する下記工程(1)~(4)を含むプリント配線板の製造方法。
(1)前記樹脂ロールから前記樹脂シートを搬出する工程
(2)前記樹脂シートから前記保護フィルムを剥離する工程
(3)前記保護フィルムを剥離した後の樹脂シートを、前記熱硬化性樹脂組成物層が内層基板と接合するように内層基板上に積層する工程
(4)前記熱硬化性樹脂組成物層を熱硬化して絶縁層を形成する工程
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、無機充填材を含む熱硬化性樹脂組成物層を有する樹脂シートが巻き回された樹脂ロールに関する。
【背景技術】
【0002】
プリント配線板の製造技術として、絶縁層と導体層を交互に積み重ねるビルドアップ方式による製造方法が知られている。ビルドアップ方式による製造方法において、一般に、絶縁層は、熱硬化性樹脂組成物を熱硬化させて形成される(特許文献1~3)。当該絶縁層は、樹脂組成物層を含む樹脂シートを用いて樹脂組成物層を回路基板に積層し、該樹脂組成物層を硬化させることにより形成することができる。樹脂シートは、基材フィルム、樹脂組成物層及び保護フィルムの3層構造を有することが一般的で、当該樹脂シートを工業的に生産又は使用するにあたり、樹脂シートをコア芯に巻き取った樹脂ロールの形で取り扱われることもある。当該樹脂ロールにおいては、樹脂組成物層に傷がつくのを抑制するために、(1)コア芯の幅を樹脂シートの幅よりも大きくする方法、(2)樹脂シートの端部に基材フィルムと保護フィルムだけの部分(いわゆる「耳」)を設ける方法、がある。しかし、(2)の方法では、耳の部分だけ基材フィルムと保護フィルムの消費量が増えるためコスト面から望ましくなく、(1)の方法が通常用いられている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2019-157027号公報
【特許文献2】特開2020-94213号公報
【特許文献3】特開2020-152780号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
近年、次世代高速通信のため、絶縁層を低誘電正接とする必要性がより一層増してきている。さらに、基板の大型化ニーズに伴う応力の増大に耐えるために、基板との膨張率差を抑え応力を低減できる熱膨張率が低い絶縁層材料が求められている。
【0005】
低熱膨張性と優れた誘電特性を担保する方法として、樹脂組成物層に無機充填材を多く含有させることが考えられる。しかし、樹脂組成物層に無機充填材を多く含有させた場合、樹脂ロールから樹脂シートを搬送する際に、搬送ロール部分において位置のズレが大きく発生することがあった。これは、無機充填材を高充填することによって樹脂シートの密度が大きくなったことにより、樹脂シートとコア芯の密度差が大きくなったことが原因であると考えられる。またこの位置ズレは、樹脂シートの幅が大きい場合に顕著である。
【0006】
本発明の課題は、搬送時のズレの抑制及び樹脂組成物層の破損の抑制を両立し、良好な歩留まりを達成できる樹脂ロールを提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明の課題を達成すべく、本発明者らは鋭意検討した結果、コア芯と樹脂シートの幅を揃え、かつ樹脂組成物層の残留溶剤の量を調整することで、搬送時のズレの抑制及び樹脂組成物層の破損の抑制を両立し、良好な歩留まりを達成できることを見出し、本発明を完成させるに至った。
【0008】
すなわち、本発明は以下の内容を含む。
[1] 基材フィルムと、前記基材フィルムの一方の面上に設けられた無機充填材を含む熱硬化性樹脂組成物層と、前記熱硬化性樹脂組成物層の前記基材フィルムとは反対側の面上に設けられた保護フィルムと、を有する樹脂シートと、
前記樹脂シートが巻き回されたコア芯と、
を備え、
前記熱硬化性樹脂組成物層が揮発性成分をさらに含み、前記保護フィルムを剥離して前記基材フィルムと接しない面を外気に露出した場合において、130℃で15分間加熱処理した後の前記熱硬化性樹脂組成物層の重量減少率が、0.7~5質量%であり、
前記樹脂シート全体の平均密度が、1.3g/cm3以上であり、
前記樹脂シートの幅が、300mm以上であり、
前記コア芯の幅をWcとし、前記樹脂シートの幅をWsとし、Wc/WsをW3とした場合、0.9≦W3≦1.1である樹脂ロール。
[2] 0.99<W3≦1.1である上記[1]に記載の樹脂ロール。
[3] 前記熱硬化性樹脂組成物層が、エポキシ樹脂をさらに含む、上記[1]又は[2]に記載の樹脂ロール。
[4] 前記基材フィルム及び前記保護フィルムが、プラスチックフィルムである、上記[1]~[3]のいずれかに記載の樹脂ロール。
[5] 前記基材フィルムの膜厚が、5μm~75μmであり、前記熱硬化性樹脂組成物層の膜厚が、5μm~250μmであり、前記保護フィルムの膜厚が、1μm~40μmである、上記[1]~[4]のいずれかに記載の樹脂ロール。
[6] 前記基材フィルムの幅をWbとし、前記熱硬化性樹脂組成物層の幅をWrとし、Wb/WrをW1とした場合、0.9≦W1≦1.1であり、前記保護フィルムの幅をWpとし、Wp/WrをW2とした場合、0.9≦W2≦1.1である、上記[1]~[5]のいずれかに記載の樹脂ロール。
[7] 前記熱硬化性樹脂組成物層の弾性率が、23℃で測定した場合、1GPa~10GPaである、上記[1]~[6]のいずれかに記載の樹脂ロール。
[8] 前記樹脂シート全体の平均密度が、1.8g/cm3未満である、上記[1]~[7]のいずれかに記載の樹脂ロール。
[9] 前記コア芯の直径が、50mm以上である、上記[1]~[8]のいずれかに記載の樹脂ロール。
[10] 前記コア芯の密度が、0.8~1.2g/cm3である、上記[1]~[9]のいずれかに記載の樹脂ロール。
[11] 前記コア芯の密度と前記樹脂シート全体の平均密度の差が、0.3~2.0g/cm3である、上記[1]~[10]のいずれかに記載の樹脂ロール。
[12] 前記樹脂シートの幅が、1000mm以下である、上記[1]~[11]のいずれかに記載の樹脂ロール。
[13] 前記樹脂シートの巻き取り長が、100m以下である、上記[1]~[12]のいずれかに記載の樹脂ロール。
[14] 前記熱硬化性樹脂組成物層中の無機充填材の含有率が、全不揮発成分を100質量%とした場合において、50質量%以上である、上記[1]~[13]のいずれかに記載の樹脂ロール。
[15] 前記熱硬化性樹脂組成物層中の無機充填材の含有率が、全不揮発成分を100質量%とした場合において、80質量%以下である、上記[1]~[14]のいずれかに記載の樹脂ロール。
[16] 前記熱硬化性樹脂組成物層の硬化後の線熱膨張係数(CTE)が、25℃から150℃までの範囲において、50ppm/℃以下である、上記[1]~[15]のいずれかに記載の樹脂ロール。
[17] 前記熱硬化性樹脂組成物層の硬化後の誘電正接(Df)が、5.8GHz、23℃で測定した場合、0.006以下である、上記[1]~[16]のいずれかに記載の樹脂ロール。
[18] 前記熱硬化性樹脂組成物層が、プリント配線板の絶縁層形成用の樹脂組成物層である、上記[1]~[17]のいずれかに記載の樹脂ロール。
[19] 樹脂ロールと固定部材とを備える樹脂シート搬出装置であって、
前記樹脂ロールが、
基材フィルムと、前記基材フィルムの一方の面上に設けられた無機充填材を含む熱硬化性樹脂組成物層と、前記熱硬化性樹脂組成物層の前記基材フィルムとは反対側の面上に設けられた保護フィルムと、を有する樹脂シートと、
前記樹脂シートが巻き回されたコア芯と、
を備え、
前記熱硬化性樹脂組成物層が揮発性成分をさらに含み、前記保護フィルムを剥離して前記基材フィルムと接しない面を外気に露出した場合において、130℃で15分間加熱処理した後の前記熱硬化性樹脂組成物層の重量減少率が、0.7~5質量%であり、
前記樹脂シート全体の平均密度が、1.3g/cm3以上であり、
前記樹脂シートの幅が、300mm以上であり、
前記コア芯の幅をWcとし、前記樹脂シートの幅をWsとし、Wc/WsをW3とした場合、0.9≦W3≦1.1であり、
前記固定部材が、
前記コア芯を軸支する軸支部と、前記コア芯及び前記コア芯に巻き回された前記樹脂シートからなる構造体の両端部に接触して、前記コア芯及び前記コア芯に巻き回された前記樹脂シート全体の軸方向の移動を制限する軸方向に対して垂直平面状の軸止部と、
を備える、樹脂シート搬出装置。
[20] 基材フィルムと、前記基材フィルムの一方の面上に設けられた無機充填材を含む熱硬化性樹脂組成物層と、前記熱硬化性樹脂組成物層の前記基材フィルムとは反対側の面上に設けられた保護フィルムと、を有する樹脂シートと、
前記樹脂シートが巻き回されたコア芯と、
を備え、
前記熱硬化性樹脂組成物層が揮発性成分をさらに含み、前記保護フィルムを剥離して前記基材フィルムと接しない面を外気に露出した場合において、130℃で15分間加熱処理した後の前記熱硬化性樹脂組成物層の重量減少率が、0.7~5質量%であり、
前記樹脂シート全体の平均密度が、1.3g/cm3以上であり、
前記樹脂シートの幅が、300mm以上であり、
前記コア芯の幅をWcとし、前記樹脂シートの幅をWsとし、Wc/WsをW3とした場合、0.9≦W3≦1.1ある樹脂ロールを使用する下記工程(1)~(4)を含むプリント配線板の製造方法。
(1)前記樹脂ロールから前記樹脂シートを搬出する工程
(2)前記樹脂シートから前記保護フィルムを剥離する工程
(3)前記保護フィルムを剥離した後の樹脂シートを、前記熱硬化性樹脂組成物層が内層基板と接合するように内層基板上に積層する工程
(4)前記熱硬化性樹脂組成物層を熱硬化して絶縁層を形成する工程
【発明の効果】
【0009】
本発明によれば、搬送時のズレの抑制及び樹脂組成物層の破損の抑制を両立し、良好な歩留まりを達成できる樹脂ロールを提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0010】
【
図1】
図1は、一実施形態における、樹脂ロールを設置した形態の樹脂シート搬出時における樹脂シート搬出装置の模式的な断面図を示す。
【発明を実施するための形態】
【0011】
以下、本発明をその好適な実施形態に即して詳細に説明する。ただし、本発明は、下記実施形態及び例示物に限定されるものではなく、本発明の特許請求の範囲及びその均等の範囲を逸脱しない範囲において任意に変更して実施され得る。
【0012】
本発明の樹脂ロールは、基材フィルムと、基材フィルムの一方の面上に設けられた無機充填材を含む熱硬化性樹脂組成物層と、熱硬化性樹脂組成物層の基材フィルムとは反対側の面上に設けられた保護フィルムと、を有する樹脂シートと、樹脂シートが巻き回されたコア芯と、を備え、前記熱硬化性樹脂組成物層が揮発性成分をさらに含み、前記保護フィルムを剥離して前記基材フィルムと接しない面を外気に露出した場合において、130℃で15分間加熱処理した後の前記熱硬化性樹脂組成物層の重量減少率が、0.7~5質量%であり、樹脂シート全体の平均密度が、1.3g/cm3以上であり、樹脂シートの幅が、300mm以上であり、コア芯の幅と樹脂シートの幅の差が、10%以下である。このような樹脂ロールを用いることにより、搬送時のズレ及び樹脂組成物層の破損を防止し、良好な歩留まりを達成できる。
【0013】
熱硬化性樹脂組成物層は、熱硬化性樹脂を含有する。熱硬化性樹脂としては、特に限定されないが、エポキシ樹脂、フェノール系樹脂、シアネートエステル樹脂、ベンゾオキサジン系樹脂等が挙げられる。
【0014】
熱硬化性樹脂組成物層は、一実施形態において、熱硬化性樹脂としてエポキシ樹脂を含有することが好ましい。エポキシ樹脂とは、エポキシ基を有するエポキシ当量5,000g/eq.以下の硬化性樹脂である。
【0015】
エポキシ樹脂としては、例えば、ビキシレノール型エポキシ樹脂、ビスフェノールA型エポキシ樹脂、ビスフェノールF型エポキシ樹脂、ビスフェノールS型エポキシ樹脂、ビスフェノールAF型エポキシ樹脂、ジシクロペンタジエン型エポキシ樹脂、トリスフェノール型エポキシ樹脂、ナフトールノボラック型エポキシ樹脂、フェノールノボラック型エポキシ樹脂、tert-ブチル-カテコール型エポキシ樹脂、ナフタレン型エポキシ樹脂、ナフトール型エポキシ樹脂、アントラセン型エポキシ樹脂、グリシジルアミン型エポキシ樹脂、グリシジルエステル型エポキシ樹脂、クレゾールノボラック型エポキシ樹脂、フェノールアラルキル型エポキシ樹脂、ビフェニル型エポキシ樹脂、線状脂肪族エポキシ樹脂、ブタジエン構造を有するエポキシ樹脂、脂環式エポキシ樹脂、複素環式エポキシ樹脂、スピロ環含有エポキシ樹脂、シクロヘキサン型エポキシ樹脂、シクロヘキサンジメタノール型エポキシ樹脂、ナフチレンエーテル型エポキシ樹脂、トリメチロール型エポキシ樹脂、テトラフェニルエタン型エポキシ樹脂、イソシアヌラート型エポキシ樹脂、フェノールフタルイミジン型エポキシ樹脂、グリシロール型エポキシ樹脂、アルキレンオキシ骨格含有エポキシ樹脂、フルオレン構造含有エポキシ樹脂等が挙げられる。エポキシ樹脂は、1種類単独で用いてもよく、2種類以上を組み合わせて用いてもよい。
【0016】
エポキシ樹脂には、温度20℃で液状のエポキシ樹脂(以下「液状エポキシ樹脂」ということがある。)と、温度20℃で固体状のエポキシ樹脂(以下「固体状エポキシ樹脂」ということがある。)とがある。熱硬化性樹脂組成物層は、エポキシ樹脂として、液状エポキシ樹脂のみを含んでいてもよく、或いは固体状エポキシ樹脂のみを含んでいてもよく、或いは液状エポキシ樹脂と固体状エポキシ樹脂との両方を含んでいてもよいが、液状エポキシ樹脂と固体状エポキシ樹脂との両方を含んでいることが特に好ましい。
【0017】
液状エポキシ樹脂としては、1分子中に2個以上のエポキシ基を有する液状エポキシ樹脂が好ましい。
【0018】
液状エポキシ樹脂としては、グリシロール型エポキシ樹脂、ビスフェノールA型エポキシ樹脂、ビスフェノールF型エポキシ樹脂、ビスフェノールAF型エポキシ樹脂、ナフタレン型エポキシ樹脂、グリシジルエステル型エポキシ樹脂、グリシジルアミン型エポキシ樹脂、フェノールノボラック型エポキシ樹脂、エステル骨格を有する脂環式エポキシ樹脂、シクロヘキサンジメタノール型エポキシ樹脂、環状脂肪族グリシジルエーテル、及びブタジエン構造を有するエポキシ樹脂、ジシクロペンタジエン型エポキシ樹脂、アルキレンオキシ骨格含有エポキシ樹脂、フルオレン構造含有エポキシ樹脂が好ましい。
【0019】
液状エポキシ樹脂の具体例としては、ナガセケムテックス社製の「EX-992L」、三菱ケミカル社製の「YX7400」、DIC社製の「HP4032」、「HP4032D」、「HP4032SS」(ナフタレン型エポキシ樹脂);三菱ケミカル社製の「828US」、「jER828EL」、「828EL」、「825」、「エピコート828EL」(ビスフェノールA型エポキシ樹脂);三菱ケミカル社製の「jER807」、「1750」(ビスフェノールF型エポキシ樹脂);三菱ケミカル社製の「jER152」(フェノールノボラック型エポキシ樹脂);三菱ケミカル社製の「630」、「630LSD」、「604」(グリシジルアミン型エポキシ樹脂);ADEKA社製の「ED-523T」(グリシロール型エポキシ樹脂);ADEKA社製の「EP-3950L」、「EP-3980S」(グリシジルアミン型エポキシ樹脂);ADEKA社製の「EP-4088S」(ジシクロペンタジエン型エポキシ樹脂);日鉄ケミカル&マテリアル社製の「ZX1059」(ビスフェノールA型エポキシ樹脂とビスフェノールF型エポキシ樹脂の混合品);ナガセケムテックス社製の「EX-721」(グリシジルエステル型エポキシ樹脂);ナガセケムテックス社製の「EX-991L」(アルキレンオキシ骨格含有エポキシ樹脂);ダイセル社製の「セロキサイド2021P」(エステル骨格を有する脂環式エポキシ樹脂);ダイセル社製の「PB-3600」、日本曹達社製の「JP-100」、「JP-200」(ブタジエン構造を有するエポキシ樹脂);日鉄ケミカル&マテリアル社製の「ZX1658」、「ZX1658GS」(液状1,4-グリシジルシクロヘキサン型エポキシ樹脂);大阪ガスケミカル社製の「EG-280」(フルオレン構造含有エポキシ樹脂);ナガセケムテックス社製「EX-201」(環状脂肪族グリシジルエーテル)等が挙げられる。
【0020】
固体状エポキシ樹脂としては、1分子中に3個以上のエポキシ基を有する固体状エポキシ樹脂が好ましく、1分子中に3個以上のエポキシ基を有する芳香族系の固体状エポキシ樹脂がより好ましい。
【0021】
固体状エポキシ樹脂としては、ビキシレノール型エポキシ樹脂、ナフタレン型エポキシ樹脂、ナフタレン型4官能エポキシ樹脂、ナフトールノボラック型エポキシ樹脂、クレゾールノボラック型エポキシ樹脂、ジシクロペンタジエン型エポキシ樹脂、トリスフェノール型エポキシ樹脂、ナフトール型エポキシ樹脂、ビフェニル型エポキシ樹脂、ナフチレンエーテル型エポキシ樹脂、アントラセン型エポキシ樹脂、ビスフェノールA型エポキシ樹脂、ビスフェノールAF型エポキシ樹脂、フェノールアラルキル型エポキシ樹脂、テトラフェニルエタン型エポキシ樹脂、フェノールフタルイミジン型エポキシ樹脂、フルオレン構造含有エポキシ樹脂が好ましい。
【0022】
固体状エポキシ樹脂の具体例としては、DIC社製の「HP4032H」(ナフタレン型エポキシ樹脂);DIC社製の「HP-4700」、「HP-4710」(ナフタレン型4官能エポキシ樹脂);DIC社製の「N-690」、「N-695」(クレゾールノボラック型エポキシ樹脂);DIC社製の「HP-7200」、「HP-7200HH」、「HP-7200H」、「HP-7200L」(ジシクロペンタジエン型エポキシ樹脂);DIC社製の「EXA-7311」、「EXA-7311-G3」、「EXA-7311-G4」、「EXA-7311-G4S」、「HP6000」、「HP6000L」(ナフチレンエーテル型エポキシ樹脂);日本化薬社製の「EPPN-502H」(トリスフェノール型エポキシ樹脂);日本化薬社製の「NC7000L」(ナフトールノボラック型エポキシ樹脂);日本化薬社製の「NC3000H」、「NC3000」、「NC3000L」、「NC3000FH」、「NC3100」(ビフェニル型エポキシ樹脂);日鉄ケミカル&マテリアル社製の「ESN475V」、「ESN4100V」(ナフタレン型エポキシ樹脂);日鉄ケミカル&マテリアル社製の「ESN485」(ナフトール型エポキシ樹脂);日鉄ケミカル&マテリアル社製の「ESN375」(ジヒドロキシナフタレン型エポキシ樹脂);三菱ケミカル社製の「YX4000H」、「YX4000」、「YX4000HK」、「YL7890」(ビキシレノール型エポキシ樹脂);三菱ケミカル社製の「YL6121」(ビフェニル型エポキシ樹脂);三菱ケミカル社製の「YX8800」(アントラセン型エポキシ樹脂);三菱ケミカル社製の「YX7700」(フェノールアラルキル型エポキシ樹脂);大阪ガスケミカル社製の「PG-100」、「CG-500」;三菱ケミカル社製の「YL7760」(ビスフェノールAF型エポキシ樹脂);三菱ケミカル社製の「YL7800」(フルオレン構造含有エポキシ樹脂);三菱ケミカル社製の「jER1010」(ビスフェノールA型エポキシ樹脂);三菱ケミカル社製の「jER1031S」(テトラフェニルエタン型エポキシ樹脂);日本化薬社製の「WHR991S」(フェノールフタルイミジン型エポキシ樹脂)等が挙げられる。これらは、1種類単独で用いてもよく、2種類以上を組み合わせて用いてもよい。
【0023】
エポキシ樹脂として、液状エポキシ樹脂と固体状エポキシ樹脂とを組み合わせて用いる場合、それらの質量比(液状エポキシ樹脂:固体状エポキシ樹脂)は、好ましくは10:1~1:50、より好ましくは5:1~1:20、さらに好ましくは2:1~1:10、特に好ましくは1:1~1:3である。
【0024】
エポキシ樹脂のエポキシ当量は、好ましくは50g/eq.~5,000g/eq.、より好ましくは60g/eq.~2,000g/eq.、さらに好ましくは70g/eq.~1,000g/eq.、さらにより好ましくは80g/eq.~500g/eq.である。エポキシ当量は、エポキシ基1当量あたりの樹脂の質量である。このエポキシ当量は、JIS K7236に従って測定することができる。
【0025】
エポキシ樹脂の重量平均分子量は、好ましくは100~5,000、より好ましくは250~3,000、さらに好ましくは400~1,500である。樹脂の重量平均分子量は、ゲルパーミエーションクロマトグラフィー(GPC)法により、ポリスチレン換算の値として測定できる。
【0026】
熱硬化性樹脂組成物層中のエポキシ樹脂の含有率は、特に限定されるものではないが、全不揮発成分を100質量%とした場合において、上限が、好ましくは50質量%以下、より好ましくは40質量%以下、さらに好ましくは30質量%以下、さらにより好ましくは20質量%以下、特に好ましくは15質量%以下であり、下限が、例えば0質量%以上、0.1質量%以上、好ましくは0.5質量%以上、より好ましくは1質量%以上、さらに好ましくは5質量%以上、さらにより好ましくは8質量%以上、特に好ましくは10質量%以上である。
【0027】
熱硬化性樹脂組成物層は、熱硬化性樹脂としてエポキシ樹脂を含む場合、任意成分としてさらにエポキシ樹脂硬化剤を含有していてもよい。エポキシ樹脂硬化剤は、1種類単独で用いてもよく、2種類以上を任意に組み合わせて用いてもよい。エポキシ樹脂硬化剤は、熱硬化性樹脂としてエポキシ樹脂が含まれる場合に、エポキシ樹脂と反応して硬化させる機能を有し得る。
【0028】
エポキシ樹脂硬化剤としては、特に限定されるものではないが、例えば、活性エステル系硬化剤、フェノール系硬化剤、カルボジイミド系硬化剤、酸無水物系硬化剤、アミン系硬化剤、ベンゾオキサジン系硬化剤、シアネートエステル系硬化剤、及びチオール系硬化剤等が挙げられる。エポキシ樹脂硬化剤は、一実施形態において、活性エステル系硬化剤、フェノール系硬化剤、及びカルボジイミド系硬化剤から選ばれる1種以上のエポキシ樹脂硬化剤を含むことが好ましく、活性エステル系硬化剤、フェノール系硬化剤から選ばれる1種以上のエポキシ樹脂硬化剤を含むことがより好ましい。エポキシ樹脂硬化剤は、一実施形態において、誘電正接をより低く抑える観点から、活性エステル系硬化剤を含むことが特に好ましい。また、エポキシ樹脂硬化剤は、一実施形態において、硬化性をより向上させる観点から、フェノール系硬化剤を含むことが特に好ましい。
【0029】
活性エステル系硬化剤としては、一般にフェノールエステル類、チオフェノールエステル類、N-ヒドロキシアミンエステル類、複素環ヒドロキシ化合物のエステル類等の、反応活性の高いエステル基を1分子中に2個以上有する化合物が好ましく用いられる。当該活性エステル化合物は、カルボン酸化合物及び/又はチオカルボン酸化合物とヒドロキシ化合物及び/又はチオール化合物との縮合反応によって得られるものが好ましい。特に耐熱性向上の観点から、カルボン酸化合物とヒドロキシ化合物とから得られる活性エステル化合物が好ましく、カルボン酸化合物とフェノール化合物及び/又はナフトール化合物とから得られる活性エステル化合物がより好ましい。カルボン酸化合物としては、例えば安息香酸、酢酸、コハク酸、マレイン酸、イタコン酸、フタル酸、イソフタル酸、テレフタル酸、ピロメリット酸等が挙げられる。フェノール化合物又はナフトール化合物としては、例えば、ハイドロキノン、レゾルシン、ビスフェノールA、ビスフェノールF、ビスフェノールS、フェノールフタリン、メチル化ビスフェノールA、メチル化ビスフェノールF、メチル化ビスフェノールS、フェノール、o-クレゾール、m-クレゾール、p-クレゾール、カテコール、α-ナフトール、β-ナフトール、1,5-ジヒドロキシナフタレン、1,6-ジヒドロキシナフタレン、2,6-ジヒドロキシナフタレン、ジヒドロキシベンゾフェノン、トリヒドロキシベンゾフェノン、テトラヒドロキシベンゾフェノン、フロログルシン、ベンゼントリオール、ジシクロペンタジエン型ジフェノール化合物、フェノールノボラック等が挙げられる。ここで、「ジシクロペンタジエン型ジフェノール化合物」とは、ジシクロペンタジエン1分子にフェノール2分子が縮合して得られるジフェノール化合物をいう。
【0030】
活性エステル系硬化剤としては、具体的には、ジシクロペンタジエン型活性エステル化合物、ナフタレン構造を含むナフタレン型活性エステル化合物、フェノールノボラックのアセチル化物を含む活性エステル化合物、フェノールノボラックのベンゾイル化物を含む活性エステル化合物が好ましく、中でもジシクロペンタジエン型活性エステル化合物、及びナフタレン型活性エステル化合物から選ばれる少なくとも1種であることがより好ましい。ジシクロペンタジエン型活性エステル化合物としては、ジシクロペンタジエン型ジフェノール構造を含む活性エステル化合物が好ましい。
【0031】
活性エステル系硬化剤の市販品としては、ジシクロペンタジエン型ジフェノール構造を含む活性エステル化合物として、「EXB9451」、「EXB9460」、「EXB9460S」、「HPC-8000L-65TM」、「HPC-8000-65T」、「HPC-8000H」、「HPC-8000H-65TM」(DIC社製);ナフタレン構造を含む活性エステル化合物として「HP-B-8151-62T」、「EXB-8100L-65T」、「EXB-9416-70BK」、「HPC-8150-62T」、「EXB-8」(DIC社製);りん含有活性エステル化合物として、「EXB9401」(DIC社製)、フェノールノボラックのアセチル化物である活性エステル化合物として「DC808」(三菱ケミカル社製)、フェノールノボラックのベンゾイル化物である活性エステル化合物として「YLH1026」、「YLH1030」、「YLH1048」(三菱ケミカル社製)、スチリル基及びナフタレン構造を含む活性エステル化合物として「PC1300-02-65MA」(エア・ウォーター社製)等が挙げられる。
【0032】
フェノール系硬化剤としては、耐熱性及び耐水性の観点から、ノボラック構造を有するフェノール系硬化剤が好ましい。また、被着体に対する密着性の観点から、含窒素フェノール系硬化剤が好ましく、トリアジン骨格含有フェノール系硬化剤がより好ましい。中でも、耐熱性、耐水性、及び密着性を高度に満足させる観点から、トリアジン骨格含有フェノールノボラック樹脂が好ましい。フェノール系硬化剤の具体例としては、例えば、明和化成社製の「MEH-7700」、「MEH-7810」、「MEH-7851」、日本化薬社製の「NHN」、「CBN」、「GPH」、日鉄ケミカル&マテリアル社製の「SN-170」、「SN-180」、「SN-190」、「SN-475」、「SN-485」、「SN-495」、「SN-375」、「SN-395」、DIC社製の「LA-7052」、「LA-7054」、「LA-3018」、「LA-3018-50P」、「LA-1356」、「TD2090」、「KA-1160」等が挙げられる。
【0033】
カルボジイミド系硬化剤としては、1分子内中に1個以上、好ましくは2個以上のカルボジイミド構造を有する硬化剤が挙げられ、例えば、テトラメチレン-ビス(t-ブチルカルボジイミド)、シクロヘキサンビス(メチレン-t-ブチルカルボジイミド)等の脂肪族ビスカルボジイミド;フェニレン-ビス(キシリルカルボジイミド)等の芳香族ビスカルボジイミド等のビスカルボジイミド;ポリヘキサメチレンカルボジイミド、ポリトリメチルヘキサメチレンカルボジイミド、ポリシクロヘキシレンカルボジイミド、ポリ(メチレンビスシクロヘキシレンカルボジイミド)、ポリ(イソホロンカルボジイミド)等の脂肪族ポリカルボジイミド;ポリ(フェニレンカルボジイミド)、ポリ(ナフチレンカルボジイミド)、ポリ(トリレンカルボジイミド)、ポリ(メチルジイソプロピルフェニレンカルボジイミド)、ポリ(トリエチルフェニレンカルボジイミド)、ポリ(ジエチルフェニレンカルボジイミド)、ポリ(トリイソプロピルフェニレンカルボジイミド)、ポリ(ジイソプロピルフェニレンカルボジイミド)、ポリ(キシリレンカルボジイミド)、ポリ(テトラメチルキシリレンカルボジイミド)、ポリ(メチレンジフェニレンカルボジイミド)、ポリ[メチレンビス(メチルフェニレン)カルボジイミド]等の芳香族ポリカルボジイミド等のポリカルボジイミドが挙げられる。
【0034】
カルボジイミド系硬化剤の市販品としては、例えば、日清紡ケミカル社製の「カルボジライトV-02B」、「カルボジライトV-03」、「カルボジライトV-04K」、「カルボジライトV-07」及び「カルボジライトV-09」;ランクセス社製の「スタバクゾールP」、「スタバクゾールP400」、「ハイカジル510」等が挙げられる。
【0035】
酸無水物系硬化剤としては、1分子内中に1個以上の酸無水物基を有する硬化剤が挙げられ、1分子内中に2個以上の酸無水物基を有する硬化剤が好ましい。酸無水物系硬化剤の具体例としては、無水フタル酸、テトラヒドロ無水フタル酸、ヘキサヒドロ無水フタル酸、メチルテトラヒドロ無水フタル酸、メチルヘキサヒドロ無水フタル酸、メチルナジック酸無水物、水素化メチルナジック酸無水物、トリアルキルテトラヒドロ無水フタル酸、ドデセニル無水コハク酸、5-(2,5-ジオキソテトラヒドロ-3-フラニル)-3-メチル-3-シクロヘキセン-1,2-ジカルボン酸無水物、無水トリメリット酸、無水ピロメリット酸、ベンソフェノンテトラカルボン酸二無水物、ビフェニルテトラカルボン酸二無水物、ナフタレンテトラカルボン酸二無水物、オキシジフタル酸二無水物、3,3’-4,4’-ジフェニルスルホンテトラカルボン酸二無水物、1,3,3a,4,5,9b-ヘキサヒドロ-5-(テトラヒドロ-2,5-ジオキソ-3-フラニル)-ナフト[1,2-C]フラン-1,3-ジオン、エチレングリコールビス(アンヒドロトリメリテート)、スチレンとマレイン酸とが共重合したスチレン・マレイン酸樹脂などのポリマー型の酸無水物などが挙げられる。酸無水物系硬化剤の市販品としては、新日本理化社製の「HNA-100」、「MH-700」、「MTA-15」、「DDSA」、「OSA」、三菱ケミカル社製の「YH-306」、「YH-307」、レゾナック社製の「HN-2200」、「HN-5500」、クレイバレー社製「EF-30」、「EF-40」「EF-60」、「EF-80」等が挙げられる。
【0036】
アミン系硬化剤としては、1分子内中に1個以上、好ましくは2個以上のアミノ基を有する硬化剤が挙げられ、例えば、脂肪族アミン類、ポリエーテルアミン類、脂環式アミン類、芳香族アミン類等が挙げられ、中でも、本発明の所望の効果を奏する観点から、芳香族アミン類が好ましい。アミン系硬化剤は、第1級アミン又は第2級アミンが好ましく、第1級アミンがより好ましい。アミン系硬化剤の具体例としては、4,4’-メチレンビス(2,6-ジメチルアニリン)、4,4’-ジアミノジフェニルメタン、4,4’-ジアミノジフェニルスルホン、3,3’-ジアミノジフェニルスルホン、m-フェニレンジアミン、m-キシリレンジアミン、ジエチルトルエンジアミン、4,4’-ジアミノジフェニルエーテル、3,3’-ジメチル-4,4’-ジアミノビフェニル、2,2’-ジメチル-4,4’-ジアミノビフェニル、3,3’-ジヒドロキシベンジジン、2,2-ビス(3-アミノ-4-ヒドロキシフェニル)プロパン、3,3-ジメチル-5,5-ジエチル-4,4-ジフェニルメタンジアミン、2,2-ビス(4-アミノフェニル)プロパン、2,2-ビス(4-(4-アミノフェノキシ)フェニル)プロパン、1,3-ビス(3-アミノフェノキシ)ベンゼン、1,3-ビス(4-アミノフェノキシ)ベンゼン、1,4-ビス(4-アミノフェノキシ)ベンゼン、4,4’-ビス(4-アミノフェノキシ)ビフェニル、ビス(4-(4-アミノフェノキシ)フェニル)スルホン、ビス(4-(3-アミノフェノキシ)フェニル)スルホン、等が挙げられる。アミン系硬化剤は市販品を用いてもよく、例えば、セイカ社製「SEIKACURE-S」、日本化薬社製の「KAYABOND C-200S」、「KAYABOND C-100」、「カヤハードA-A」、「カヤハードA-B」、「カヤハードA-S」、三菱ケミカル社製の「エピキュアW」等が挙げられる。
【0037】
ベンゾオキサジン系硬化剤の具体例としては、JFEケミカル社製の「JBZ-OP100D」、「ODA-BOZ」;昭和高分子社製の「HFB2006M」;四国化成工業社製の「P-d」、「F-a」などが挙げられる。
【0038】
シアネートエステル系硬化剤としては、例えば、ビスフェノールAジシアネート、ポリフェノールシアネート(オリゴ(3-メチレン-1,5-フェニレンシアネート))、4,4’-メチレンビス(2,6-ジメチルフェニルシアネート)、4,4’-エチリデンジフェニルジシアネート、ヘキサフルオロビスフェノールAジシアネート、2,2-ビス(4-シアネート)フェニルプロパン、1,1-ビス(4-シアネートフェニルメタン)、ビス(4-シアネート-3,5-ジメチルフェニル)メタン、1,3-ビス(4-シアネートフェニル-1-(メチルエチリデン))ベンゼン、ビス(4-シアネートフェニル)チオエーテル、及びビス(4-シアネートフェニル)エーテル等の2官能シアネート樹脂、フェノールノボラック及びクレゾールノボラック等から誘導される多官能シアネート樹脂、これらシアネート樹脂が一部トリアジン化したプレポリマーなどが挙げられる。シアネートエステル系硬化剤の具体例としては、ロンザ社製の「PT30」及び「PT60」(いずれもフェノールノボラック型多官能シアネートエステル樹脂)、「BA230」、「BA230S75」(ビスフェノールAジシアネートの一部又は全部がトリアジン化され三量体となったプレポリマー)等が挙げられる。
【0039】
チオール系硬化剤としては、例えば、トリメチロールプロパントリス(3-メルカプトプロピオネート)、ペンタエリスリトールテトラキス(3-メルカプトブチレート)、トリス(3-メルカプトプロピル)イソシアヌレート等が挙げられる。
【0040】
エポキシ樹脂硬化剤の反応基当量は、好ましくは50g/eq.~3000g/eq.、より好ましくは100g/eq.~1000g/eq.、さらに好ましくは100g/eq.~500g/eq.、特に好ましくは100g/eq.~300g/eq.である。反応基当量は、反応基1当量あたりのエポキシ樹脂硬化剤の質量である。
【0041】
熱硬化性樹脂組成物層中のエポキシ樹脂硬化剤の含有率は、特に限定されるものではないが、全不揮発成分を100質量%とした場合において、上限が、好ましくは50質量%以下、より好ましくは30質量%以下、さらに好ましくは25質量%以下、特に好ましくは20質量%以下であり、下限が、例えば、0質量%以上、0.01質量%以上であり得、好ましくは0.1質量%以上、より好ましくは1質量%以上、さらに好ましくは5質量%以上、特に好ましくは8質量%以上である。
【0042】
熱硬化性樹脂組成物層は、任意成分として硬化促進剤を含んでいてもよい。硬化促進剤は、熱硬化性樹脂の硬化を促進させる硬化触媒としての機能を有する。
【0043】
硬化促進剤としては、例えば、リン系硬化促進剤、ウレア系硬化促進剤、グアニジン系硬化促進剤、イミダゾール系硬化促進剤、金属系硬化促進剤、アミン系硬化促進剤等が挙げられる。硬化促進剤は、アミン系硬化促進剤又はイミダゾール系硬化促進剤を含むことが好ましい。硬化促進剤は、1種単独で用いてもよく、2種以上を組み合わせて用いてもよい。
【0044】
リン系硬化促進剤としては、例えば、テトラブチルホスホニウムブロマイド、テトラブチルホスホニウムクロライド、テトラブチルホスホニウムアセテート、テトラブチルホスホニウムデカノエート、テトラブチルホスホニウムラウレート、ビス(テトラブチルホスホニウム)ピロメリテート、テトラブチルホスホニウムハイドロジェンヘキサヒドロフタレート、テトラブチルホスホニウム2,6-ビス[(2-ヒドロキシ-5-メチルフェニル)メチル]-4-メチルフェノラート、ジ-tert-ブチルメチルホスホニウムテトラフェニルボレート等の脂肪族ホスホニウム塩;メチルトリフェニルホスホニウムブロマイド、エチルトリフェニルホスホニウムブロマイド、プロピルトリフェニルホスホニウムブロマイド、ブチルトリフェニルホスホニウムブロマイド、ベンジルトリフェニルホスホニウムクロライド、テトラフェニルホスホニウムブロマイド、p-トリルトリフェニルホスホニウムテトラ-p-トリルボレート、テトラフェニルホスホニウムテトラフェニルボレート、テトラフェニルホスホニウムテトラp-トリルボレート、トリフェニルエチルホスホニウムテトラフェニルボレート、トリス(3-メチルフェニル)エチルホスホニウムテトラフェニルボレート、トリス(2-メトキシフェニル)エチルホスホニウムテトラフェニルボレート、(4-メチルフェニル)トリフェニルホスホニウムチオシアネート、テトラフェニルホスホニウムチオシアネート、ブチルトリフェニルホスホニウムチオシアネート等の芳香族ホスホニウム塩;トリフェニルホスフィン・トリフェニルボラン等の芳香族ホスフィン・ボラン複合体;トリフェニルホスフィン・p-ベンゾキノン付加反応物等の芳香族ホスフィン・キノン付加反応物;トリブチルホスフィン、トリ-tert-ブチルホスフィン、トリオクチルホスフィン、ジ-tert-ブチル(2-ブテニル)ホスフィン、ジ-tert-ブチル(3-メチル-2-ブテニル)ホスフィン、トリシクロヘキシルホスフィン等の脂肪族ホスフィン;ジブチルフェニルホスフィン、ジ-tert-ブチルフェニルホスフィン、メチルジフェニルホスフィン、エチルジフェニルホスフィン、ブチルジフェニルホスフィン、ジフェニルシクロヘキシルホスフィン、トリフェニルホスフィン、トリ-o-トリルホスフィン、トリ-m-トリルホスフィン、トリ-p-トリルホスフィン、トリス(4-エチルフェニル)ホスフィン、トリス(4-プロピルフェニル)ホスフィン、トリス(4-イソプロピルフェニル)ホスフィン、トリス(4-ブチルフェニル)ホスフィン、トリス(4-tert-ブチルフェニル)ホスフィン、トリス(2,4-ジメチルフェニル)ホスフィン、トリス(2,5-ジメチルフェニル)ホスフィン、トリス(2,6-ジメチルフェニル)ホスフィン、トリス(3,5-ジメチルフェニル)ホスフィン、トリス(2,4,6-トリメチルフェニル)ホスフィン、トリス(2,6-ジメチル-4-エトキシフェニル)ホスフィン、トリス(2-メトキシフェニル)ホスフィン、トリス(4-メトキシフェニル)ホスフィン、トリス(4-エトキシフェニル)ホスフィン、トリス(4-tert-ブトキシフェニル)ホスフィン、ジフェニル-2-ピリジルホスフィン、1,2-ビス(ジフェニルホスフィノ)エタン、1,3-ビス(ジフェニルホスフィノ)プロパン、1,4-ビス(ジフェニルホスフィノ)ブタン、1,2-ビス(ジフェニルホスフィノ)アセチレン、2,2’-ビス(ジフェニルホスフィノ)ジフェニルエーテル等の芳香族ホスフィン等が挙げられる。
【0045】
ウレア系硬化促進剤としては、例えば、1,1-ジメチル尿素;1,1,3-トリメチル尿素、3-エチル-1,1-ジメチル尿素、3-シクロヘキシル-1,1-ジメチル尿素、3-シクロオクチル-1,1-ジメチル尿素等の脂肪族ジメチルウレア;3-フェニル-1,1-ジメチル尿素、3-(4-クロロフェニル)-1,1-ジメチル尿素、3-(3,4-ジクロロフェニル)-1,1-ジメチル尿素、3-(3-クロロ-4-メチルフェニル)-1,1-ジメチル尿素、3-(2-メチルフェニル)-1,1-ジメチル尿素、3-(4-メチルフェニル)-1,1-ジメチル尿素、3-(3,4-ジメチルフェニル)-1,1-ジメチル尿素、3-(4-イソプロピルフェニル)-1,1-ジメチル尿素、3-(4-メトキシフェニル)-1,1-ジメチル尿素、3-(4-ニトロフェニル)-1,1-ジメチル尿素、3-[4-(4-メトキシフェノキシ)フェニル]-1,1-ジメチル尿素、3-[4-(4-クロロフェノキシ)フェニル]-1,1-ジメチル尿素、3-[3-(トリフルオロメチル)フェニル]-1,1-ジメチル尿素、N,N-(1,4-フェニレン)ビス(N’,N’-ジメチル尿素)、N,N-(4-メチル-1,3-フェニレン)ビス(N’,N’-ジメチル尿素)〔トルエンビスジメチルウレア〕等の芳香族ジメチルウレア等が挙げられる。
【0046】
グアニジン系硬化促進剤としては、例えば、ジシアンジアミド、1-メチルグアニジン、1-エチルグアニジン、1-シクロヘキシルグアニジン、1-フェニルグアニジン、1-(o-トリル)グアニジン、ジメチルグアニジン、ジフェニルグアニジン、トリメチルグアニジン、テトラメチルグアニジン、ペンタメチルグアニジン、1,5,7-トリアザビシクロ[4.4.0]デカ-5-エン、7-メチル-1,5,7-トリアザビシクロ[4.4.0]デカ-5-エン、1-メチルビグアニド、1-エチルビグアニド、1-n-ブチルビグアニド、1-n-オクタデシルビグアニド、1,1-ジメチルビグアニド、1,1-ジエチルビグアニド、1-シクロヘキシルビグアニド、1-アリルビグアニド、1-フェニルビグアニド、1-(o-トリル)ビグアニド等が挙げられる。
【0047】
イミダゾール系硬化促進剤としては、例えば、2-メチルイミダゾール、2-ウンデシルイミダゾール、2-ヘプタデシルイミダゾール、1,2-ジメチルイミダゾール、2-エチル-4-メチルイミダゾール、2-フェニルイミダゾール、2-フェニル-4-メチルイミダゾール、1-ベンジル-2-メチルイミダゾール、1-ベンジル-2-フェニルイミダゾール、1-シアノエチル-2-メチルイミダゾール、1-シアノエチル-2-ウンデシルイミダゾール、1-シアノエチル-2-エチル-4-メチルイミダゾール、1-シアノエチル-2-フェニルイミダゾール、1-シアノエチル-2-ウンデシルイミダゾリウムトリメリテイト、1-シアノエチル-2-フェニルイミダゾリウムトリメリテイト、2,4-ジアミノ-6-[2’-メチルイミダゾリル-(1’)]-エチル-s-トリアジン、2,4-ジアミノ-6-[2’-ウンデシルイミダゾリル-(1’)]-エチル-s-トリアジン、2,4-ジアミノ-6-[2’-エチル-4’-メチルイミダゾリル-(1’)]-エチル-s-トリアジン、2,4-ジアミノ-6-[2’-メチルイミダゾリル-(1’)]-エチル-s-トリアジンイソシアヌル酸付加物、2-フェニルイミダゾールイソシアヌル酸付加物、2-フェニル-4,5-ジヒドロキシメチルイミダゾール、2-フェニル-4-メチル-5-ヒドロキシメチルイミダゾール、2,3-ジヒドロ-1H-ピロロ[1,2-a]ベンズイミダゾール、1-ドデシル-2-メチル-3-ベンジルイミダゾリウムクロライド、2-メチルイミダゾリン、2-フェニルイミダゾリン等のイミダゾール化合物及びイミダゾール化合物とエポキシ樹脂とのアダクト体が挙げられる。
【0048】
イミダゾール系硬化促進剤としては、市販品を用いてもよく、例えば、四国化成工業社製の「1B2PZ」、「2MZA-PW」、「2PHZ-PW」、「C11Z-A」、三菱ケミカル社製の「P200-H50」等が挙げられる。
【0049】
金属系硬化促進剤としては、例えば、コバルト、銅、亜鉛、鉄、ニッケル、マンガン、スズ等の金属の、有機金属錯体又は有機金属塩が挙げられる。有機金属錯体の具体例としては、コバルト(II)アセチルアセトナート、コバルト(III)アセチルアセトナート等の有機コバルト錯体、銅(II)アセチルアセトナート等の有機銅錯体、亜鉛(II)アセチルアセトナート等の有機亜鉛錯体、鉄(III)アセチルアセトナート等の有機鉄錯体、ニッケル(II)アセチルアセトナート等の有機ニッケル錯体、マンガン(II)アセチルアセトナート等の有機マンガン錯体等が挙げられる。有機金属塩としては、例えば、オクチル酸亜鉛、オクチル酸スズ、ナフテン酸亜鉛、ナフテン酸コバルト、ステアリン酸スズ、ステアリン酸亜鉛等が挙げられる。
【0050】
アミン系硬化促進剤としては、例えば、トリエチルアミン、トリブチルアミン等のトリアルキルアミン、4-ジメチルアミノピリジン、ベンジルジメチルアミン、2,4,6,-トリス(ジメチルアミノメチル)フェノール、1,8-ジアザビシクロ(5,4,0)-ウンデセン等が挙げられる。
【0051】
アミン系硬化促進剤としては、市販品を用いてもよく、例えば、味の素ファインテクノ社製の「MY-25」等が挙げられる。
【0052】
熱硬化性樹脂組成物層中の硬化促進剤の含有率は、特に限定されるものではないが、全不揮発成分を100質量%とした場合において、上限が、好ましくは5質量%以下、より好ましくは1質量%以下、さらに好ましくは0.5質量%以下、特に好ましくは0.3質量%以下であり、下限が、例えば、0質量%以上、好ましくは0.001質量%以上、さらに好ましくは0.01質量%以上、特に好ましくは0.03質量%以上である。
【0053】
熱硬化性樹脂組成物層は、無機充填材を含有する。無機充填材は、粒子の状態で樹脂組成物層に含まれる。
【0054】
無機充填材の材料としては、無機化合物を用いる。無機充填材の材料としては、例えば、シリカ、アルミナ、アルミノシリケート、ガラス、コーディエライト、シリコン酸化物、硫酸バリウム、炭酸バリウム、タルク、クレー、雲母粉、酸化亜鉛、ハイドロタルサイト、ベーマイト、水酸化アルミニウム、水酸化マグネシウム、炭酸カルシウム、炭酸マグネシウム、酸化マグネシウム、窒化ホウ素、窒化アルミニウム、窒化マンガン、ホウ酸アルミニウム、炭酸ストロンチウム、チタン酸ストロンチウム、チタン酸カルシウム、チタン酸マグネシウム、チタン酸ビスマス、酸化チタン、酸化ジルコニウム、チタン酸バリウム、チタン酸ジルコン酸バリウム、ジルコン酸バリウム、ジルコン酸カルシウム、リン酸ジルコニウム、及びリン酸タングステン酸ジルコニウム等が挙げられる。これらの中でも、シリカ、アルミナ、アルミノシリケートが好適であり、シリカが特に好適である。シリカとしては、例えば、無定形シリカ、溶融シリカ、結晶シリカ、合成シリカ、中空シリカ等が挙げられる。また、シリカとしては球形シリカが好ましい。無機充填材は、1種類単独で用いてもよく、2種以上を任意の比率で組み合わせて用いてもよい。
【0055】
無機充填材の市販品としては、例えば、日鉄ケミカル&マテリアル社製の「SP60-05」、「SP507-05」;アドマテックス社製の「YC100C」、「YA050C」、「YA050C-MJE」、「YA010C」、「SC2500SQ」、「SO-C4」、「SO-C2」、「SO-C1」;デンカ社製の「UFP-30」、「DAW-03」、「FB-105FD」;トクヤマ社製の「シルフィルNSS-3N」、「シルフィルNSS-4N」、「シルフィルNSS-5N」;太平洋セメント社製の「セルスフィアーズ」、「MGH-005」;日揮触媒化成社製の「エスフェリーク」、「BA-1」などが挙げられる。
【0056】
無機充填材の平均粒径は、特に限定されるものではないが、好ましくは10μm以下、より好ましくは5μm以下、さらに好ましくは3μm以下、さらにより好ましくは2μm以下、特に好ましくは1μm以下である。無機充填材の平均粒径の下限は、特に限定されるものではないが、好ましくは0.01μm以上、より好ましくは0.05μm以上、さらに好ましくは0.1μm以上、特に好ましくは0.2μm以上である。無機充填材の平均粒径は、ミー(Mie)散乱理論に基づくレーザー回折・散乱法により測定することができる。具体的には、レーザー回折散乱式粒径分布測定装置により、無機充填材の粒径分布を体積基準で作成し、そのメディアン径を平均粒径とすることで測定することができる。測定サンプルは、無機充填材100mg、メチルエチルケトン10gをバイアル瓶に秤取り、超音波にて10分間分散させたものを使用することができる。測定サンプルを、レーザー回折式粒径分布測定装置を使用して、使用光源波長を青色及び赤色とし、フローセル方式で無機充填材の体積基準の粒径分布を測定し、得られた粒径分布からメディアン径として平均粒径を算出した。レーザー回折式粒径分布測定装置としては、例えば堀場製作所社製「LA-960」等が挙げられる。
【0057】
無機充填材の比表面積は、特に限定されるものではないが、好ましくは0.1m2/g以上、より好ましくは0.5m2/g以上、さらに好ましくは1m2/g以上、特に好ましくは3m2/g以上である。無機充填材の比表面積の上限は、特に限定されるものではないが、好ましくは100m2/g以下、より好ましくは70m2/g以下、さらに好ましくは50m2/g以下、さらにより好ましくは30m2/g以下、特に好ましくは10m2/g以下である。無機充填材の比表面積は、BET法に従って、比表面積測定装置(マウンテック社製Macsorb HM-1210)を使用して試料表面に窒素ガスを吸着させ、BET多点法を用いて比表面積を算出することで得られる。
【0058】
無機充填材は、耐湿性及び分散性を高める観点から、表面処理剤で処理されていることが好ましい。表面処理剤としては、例えば、フッ素含有シランカップリング剤、アミノシラン系カップリング剤、エポキシシラン系カップリング剤、メルカプトシラン系カップリング剤、シラン系カップリング剤、アルコキシシラン、オルガノシラザン化合物、チタネート系カップリング剤等が挙げられる。また、表面処理剤は、1種類単独で用いてもよく、2種類以上を任意に組み合わせて用いてもよい。
【0059】
表面処理剤の市販品としては、例えば、信越化学工業社製「KBM403」(3-グリシドキシプロピルトリメトキシシラン)、信越化学工業社製「KBM803」(3-メルカプトプロピルトリメトキシシラン)、信越化学工業社製「KBE903」(3-アミノプロピルトリエトキシシラン)、信越化学工業社製「KBM573」(N-フェニル-3-アミノプロピルトリメトキシシラン)、信越化学工業社製「SZ-31」(ヘキサメチルジシラザン)、信越化学工業社製「KBM103」(フェニルトリメトキシシラン)、信越化学工業社製「KBM-4803」(長鎖エポキシ型シランカップリング剤)、信越化学工業社製「KBM-7103」(3,3,3-トリフルオロプロピルトリメトキシシラン)等が挙げられる。
【0060】
表面処理剤による表面処理の程度は、無機充填材の分散性向上の観点から、所定の範囲に収まることが好ましい。具体的には、無機充填材100質量%は、0.2質量%~5質量%の表面処理剤で表面処理されていることが好ましく、0.2質量%~3質量%で表面処理されていることがより好ましく、0.3質量%~2質量%で表面処理されていることがさらに好ましい。
【0061】
熱硬化性樹脂組成物層中の無機充填材の含有率は、全不揮発成分を100質量%とした場合において、上限が、好ましくは90質量%以下、より好ましくは85質量%以下、さらに好ましくは80質量%以下、特に好ましくは75質量%以下であり、下限が、好ましくは1質量%以上、好ましくは10質量%以上、より好ましくは30質量%以上、さらに好ましくは40質量%以上、さらにより好ましくは50質量%以上、なお一層より好ましくは55質量%以上、特に好ましくは60質量%以上である。
【0062】
熱硬化性樹脂組成物層は、任意成分として熱可塑性樹脂を含んでいてもよい。ここで説明する熱可塑性樹脂は、下記で説明するエラストマー、マレイミド樹脂に該当するもの以外の成分である。
【0063】
熱可塑性樹脂としては、例えば、フェノキシ樹脂、ポリビニルアセタール樹脂、ポリオレフィン樹脂、ポリブタジエン樹脂、ポリイミド樹脂、ポリアミドイミド樹脂、ポリエーテルイミド樹脂、ポリスルホン樹脂、ポリエーテルスルホン樹脂、ポリフェニレンエーテル樹脂、ポリカーボネート樹脂、ポリエーテルエーテルケトン樹脂、ポリエステル樹脂等が挙げられる。中でも、本発明の効果を顕著に得る観点から、フェノキシ樹脂が好ましい。ここで説明するフェノキシ樹脂は、エポキシ樹脂に該当するもの以外の成分である。また、熱可塑性樹脂は、1種類単独で用いてもよく、又は2種類以上を組み合わせて用いてもよい。
【0064】
フェノキシ樹脂としては、例えば、ビスフェノールA骨格、ビスフェノールF骨格、ビスフェノールS骨格、ビスフェノールアセトフェノン骨格、ノボラック骨格、ビフェニル骨格、フルオレン骨格、ジシクロペンタジエン骨格、ノルボルネン骨格、ナフタレン骨格、アントラセン骨格、アダマンタン骨格、テルペン骨格、及びトリメチルシクロヘキサン骨格からなる群から選択される1種類以上の骨格を有するフェノキシ樹脂が挙げられる。フェノキシ樹脂の末端は、フェノール性水酸基、エポキシ基等のいずれの官能基でもよい。
【0065】
フェノキシ樹脂の具体例としては、三菱ケミカル社製の「1256」及び「4250」(いずれもビスフェノールA骨格含有フェノキシ樹脂);三菱ケミカル社製の「YX8100」(ビスフェノールS骨格含有フェノキシ樹脂);三菱ケミカル社製の「YX6954」(ビスフェノールアセトフェノン骨格含有フェノキシ樹脂);日鉄ケミカル&マテリアル社製の「FX280」及び「FX293」;三菱ケミカル社製の「YL7500BH30」、「YX6954BH30」、「YX7553」、「YX7553BH30」、「YL7769BH30」、「YL6794」、「YL7213」、「YL7290」、「YL7482」及び「YL7891BH30」;等が挙げられる。
【0066】
ポリビニルアセタール樹脂としては、例えば、ポリビニルホルマール樹脂、ポリビニルブチラール樹脂が挙げられ、ポリビニルブチラール樹脂が好ましい。ポリビニルアセタール樹脂の具体例としては、積水化学工業社製のエスレックBHシリーズ、BXシリーズ(例えばBX-5Z)、KSシリーズ(例えばKS-1)、BLシリーズ、BMシリーズ;等が挙げられる。
【0067】
ポリオレフィン樹脂としては、例えば低密度ポリエチレン、超低密度ポリエチレン、高密度ポリエチレン、エチレン-酢酸ビニル共重合体、エチレン-アクリル酸エチル共重合体、エチレン-アクリル酸メチル共重合体等のエチレン系共重合樹脂;ポリプロピレン、エチレン-プロピレンブロック共重合体等のポリオレフィン系重合体等が挙げられる。
【0068】
ポリイミド樹脂の具体例としては、新日本理化社製の「リカコートSN20」及び「リカコートPN20」が挙げられる。
【0069】
ポリアミドイミド樹脂の具体例としては、東洋紡社製の「バイロマックスHR11NN」及び「バイロマックスHR16NN」が挙げられる。ポリアミドイミド樹脂の具体例としてはまた、レゾナック社製の「KS9100」、「KS9300」(ポリシロキサン骨格含有ポリアミドイミド)等の変性ポリアミドイミドが挙げられる。
【0070】
ポリエーテルスルホン樹脂の具体例としては、住友化学社製の「PES5003P」等が挙げられる。
【0071】
ポリスルホン樹脂の具体例としては、ソルベイアドバンストポリマーズ社製のポリスルホン「P1700」、「P3500」等が挙げられる。
【0072】
ポリエステル樹脂としては、例えばポリエチレンテレフタレート樹脂、ポリエチレンナフタレート樹脂、ポリブチレンテレフタレート樹脂、ポリブチレンナフタレート樹脂、ポリトリメチレンテレフタレート樹脂、ポリトリメチレンナフタレート樹脂、ポリシクロヘキサンジメチルテレフタレート樹脂等が挙げられる。
【0073】
熱可塑性樹脂の重量平均分子量は、本発明の効果を顕著に得る観点から、好ましくは8,000以上、より好ましくは10,000以上、特に好ましくは20,000以上であり、好ましくは70,000以下、より好ましくは60,000以下、特に好ましくは50,000以下である。
【0074】
熱硬化性樹脂組成物層中の熱可塑性樹脂の含有率は、特に限定されるものではないが、全不揮発成分を100質量%とした場合において、上限が、好ましくは50質量%以下、より好ましくは30質量%以下、さらに好ましくは10質量%以下、さらにより好ましくは5質量%以下、特に好ましくは3質量%以下であり、下限が、例えば、0質量%以上、0.1質量%以上、0.5質量%以上、1質量%以上等である。
【0075】
熱硬化性樹脂組成物層は、任意成分としてエラストマーを含んでいてもよい。ここで説明するエラストマーは、下記で説明するマレイミド樹脂に該当するもの以外の成分である。
【0076】
エラストマーは、柔軟性を有する樹脂であり、好ましくは、ゴム弾性を有する樹脂または他の成分と重合してゴム弾性を示す樹脂である。ゴム弾性としては、例えば、日本工業規格(JIS K7161)に準拠し、温度25℃、湿度40%RHにて、引っ張り試験を行った場合に、1GPa以下の弾性率を示す樹脂が挙げられる。
【0077】
一実施形態において、エラストマーは、分子内に、ポリブタジエン構造、ポリシロキサン構造、ポリ(メタ)アクリレート構造、ポリアルキレン構造、ポリアルキレンオキシ構造、ポリイソプレン構造、ポリイソブチレン構造、ポリカーボネート構造、ポリスチレン構造から選択される1種以上の構造を有する樹脂であることが好ましい。「(メタ)アクリレート」とは、メタクリレート及びアクリレートを指す。
【0078】
また、別の一実施形態において、エラストマーは、ガラス転移温度(Tg)が25℃以下の樹脂及び25℃以下で液状である樹脂から選択される1種以上であることが好ましい。ガラス転移温度(Tg)が25℃以下である樹脂のガラス転移温度は、好ましくは20℃以下、より好ましくは15℃以下である。ガラス転移温度の下限は特に限定されないが、通常-15℃以上とし得る。また、25℃で液状である樹脂としては、好ましくは20℃以下で液状である樹脂、より好ましくは15℃以下で液状である樹脂である。ガラス転移温度は、DSC(示差走査熱量測定)により測定しうる。
【0079】
エラストマーは、通常、有機溶剤に溶解しうる不定形の樹脂成分である。このエラストマーは、1種類を単独で用いてもよく、2種類以上を任意の比率で組み合わせて用いてもよい。
【0080】
エラストマーとしては、例えば、ポリブタジエン構造を含有する樹脂が挙げられる。ポリブタジエン構造は、主鎖に含まれていてもよく、側鎖に含まれていてもよい。また、ポリブタジエン構造は、一部又は全てが、水素添加されていてもよい。ポリブタジエン構造を含有する樹脂を「ポリブタジエン樹脂」ということがある。ポリブタジエン樹脂の具体例としては、クレイバレー社製の「Ricon 130MA8」、「Ricon 130MA13」、「Ricon 130MA20」、「Ricon 131MA5」、「Ricon 131MA10」、「Ricon 131MA17」、「Ricon 131MA20」、「Ricon 184MA6」(酸無水物基含有ポリブタジエン)、日本曹達社製の「GQ-1000」(水酸基、カルボキシル基導入ポリブタジエン)、「G-1000」、「G-2000」、「G-3000」(両末端水酸基ポリブタジエン)、「GI-1000」、「GI-2000」、「GI-3000」(両末端水酸基水素化ポリブタジエン)、ナガセケムテックス社製の「FCA-061L」(水素化ポリブタジエン骨格エポキシ樹脂)、等が挙げられる。また、ポリブタジエン樹脂の具体例としては、ヒドロキシル基末端ポリブタジエン、ジイソシアネート化合物及び四塩基酸無水物を原料とする線状ポリイミド(特開2006-37083号公報、国際公開第2008/153208号に記載のポリイミド)、フェノール性水酸基含有ブタジエン等が挙げられる。該ポリイミド樹脂のブタジエン構造の含有率は、好ましくは60質量%~95質量%、より好ましくは75質量%~85質量%である。該ポリイミド樹脂の詳細は、特開2006-37083号公報、国際公開第2008/153208号の記載を参酌することができ、この内容は本明細書に組み込まれる。
【0081】
エラストマーとしては、例えば、ポリ(メタ)アクリレート構造を含有する樹脂が挙げられる。ポリ(メタ)アクリレート構造を含有する樹脂を「ポリ(メタ)アクリル樹脂」ということがある。ポリ(メタ)アクリル樹脂の具体例としては、ナガセケムテックス社製のテイサンレジン、根上工業社製の「ME-2000」、「W-116.3」、「W-197C」、「KG-25」、「KG-3000」等が挙げられる。
【0082】
エラストマーとしては、例えば、ポリカーボネート構造を含有する樹脂が挙げられる。ポリカーボネート構造を含有する樹脂を「ポリカーボネート樹脂」ということがある。ポリカーボネート樹脂の具体例としては、旭化成社製の「T6002」、「T6001」(ポリカーボネートジオール)、クラレ社製の「C-1090」、「C-2090」、「C-3090」(ポリカーボネートジオール)等が挙げられる。またヒドロキシル基末端ポリカーボネート、ジイソシアネート化合物及び四塩基酸無水物を原料とする線状ポリイミドを使用することもできる。該ポリイミド樹脂のカーボネート構造の含有率は、好ましくは60質量%~95質量%、より好ましくは75質量%~85質量%である。該ポリイミド樹脂の詳細は、国際公開第2016/129541号の記載を参酌することができ、この内容は本明細書に組み込まれる。
【0083】
エラストマーとしては、例えば、ポリシロキサン構造を含有する樹脂が挙げられる。ポリシロキサン構造を含有する樹脂を「シロキサン樹脂」ということがある。シロキサン樹脂の具体例としては、信越シリコーン社製の「SMP-2006」、「SMP-2003PGMEA」、「SMP-5005PGMEA」、アミン基末端ポリシロキサンおよび四塩基酸無水物を原料とする線状ポリイミド(国際公開第2010/053185号、特開2002-12667号公報及び特開2000-319386号公報等)等が挙げられる。
【0084】
エラストマーとしては、例えば、ポリアルキレン構造又はポリアルキレンオキシ構造を含有する樹脂が挙げられる。ポリアルキレン構造を含有する樹脂を「アルキレン樹脂」ということがある。また、ポリアルキレンオキシ構造を含有する樹脂を「アルキレンオキシ樹脂」ということがある。ポリアルキレンオキシ構造は、炭素原子数2~15のポリアルキレンオキシ構造が好ましく、炭素原子数3~10のポリアルキレンオキシ構造がより好ましく、炭素原子数5~6のポリアルキレンオキシ構造が特に好ましい。アルキレン樹脂及びアルキレンオキシ樹脂の具体例としては、旭化成社製の「PTXG-1000」、「PTXG-1800」等が挙げられる。
【0085】
エラストマーとしては、例えば、ポリイソプレン構造を含有する樹脂が挙げられる。ポリイソプレン構造を含有する樹脂を「イソプレン樹脂」ということがある。イソプレン樹脂の具体例としては、クラレ社製の「KL-610」、「KL613」等が挙げられる。
【0086】
エラストマーとしては、例えば、ポリイソブチレン構造を含有する樹脂が挙げられる。ポリイソブチレン構造を含有する樹脂を「イソブチレン樹脂」ということがある。イソブチレン樹脂の具体例としては、カネカ社製の「SIBSTAR-073T」(スチレン-イソブチレン-スチレントリブロック共重合体)、「SIBSTAR-042D」(スチレン-イソブチレンジブロック共重合体)等が挙げられる。
【0087】
エラストマーとしては、例えば、ポリスチレン構造を含有する樹脂が挙げられる。ポリスチレン構造を含有する樹脂を「スチレン樹脂」ということがある。スチレン樹脂としては、例えば、スチレン-ブタジエン-スチレンブロック共重合体(SBS)、スチレン-イソプレン-スチレンブロック共重合体(SIS)、スチレン-エチレン-ブチレン-スチレンブロック共重合体(SEBS)、スチレン-エチレン-プロピレン-スチレンブロック共重合体(SEPS)、スチレン-エチレン-エチレン-プロピレン-スチレンブロック共重合体(SEEPS)、スチレン-ブタジエン-ブチレン-スチレンブロック共重合体(SBBS)、スチレン-ブタジエンジブロック共重合体、水素化スチレン-ブタジエンブロック共重合体、水素化スチレン-イソプレンブロック共重合体、水素化スチレン-ブタジエンランダム共重合体等が挙げられる。スチレン樹脂の具体例としては、水添スチレン系熱可塑性エラストマー「H1041」、「タフテックH1043」、「タフテックP2000」、「タフテックMP10」(旭化成社製);エポキシ化スチレン-ブタジエン熱可塑性エラストマー「エポフレンドAT501」、「CT310」(ダイセル社製);ヒドロキシル基を有する変成スチレン系エラストマー「セプトンHG252」(クラレ社製);カルボキシル基を有する変性スチレン系エラストマー「タフテックN503M」、アミノ基を有する変性スチレン系エラストマー「タフテックN501」、酸無水物基を有する変性スチレン系エラストマー「タフテックM1913」(旭化成社製);未変性スチレン系エラストマー「セプトンS8104」(クラレ社製);スチレン-エチレン/ブチレン-スチレンブロック共重合体「FG1924」(Kraton社製)が挙げられる。
【0088】
エラストマーの数平均分子量(Mn)は、好ましくは1,000以上、より好ましくは1500以上、さらに好ましくは3000以上、特に好ましくは5000以上であり、好ましくは1,000,000以下、より好ましくは900,000以下である。数平均分子量(Mn)は、GPC(ゲル浸透クロマトグラフィー)を使用して、ポリスチレン換算で測定できる。
【0089】
熱可塑性樹脂組成物層中のエラストマーの含有率は、特に限定されるものではないが、全不揮発成分を100質量%とした場合において、上限が、好ましくは50質量%以下、より好ましくは30質量%以下、さらに好ましくは20質量%以下、さらにより好ましくは10質量%以下、特に好ましくは8質量%以下であり、下限が、例えば、0質量%以上、0.1質量%以上、0.5質量%以上、1質量%以上等である。
【0090】
熱硬化性樹脂組成物層は、任意成分としてマレイミド樹脂を含んでいてもよい。マレイミド樹脂としては、特に限定されるものではないが、マレイミド基を1分子中に2個以上有する樹脂が好ましく、例えば、ダイマー酸骨格含有マレイミド樹脂、トリメチルインダン骨格含有マレイミド樹脂、ビフェニルアラルキル型マレイミド樹脂等が挙げられる。
【0091】
ダイマー酸骨格含有マレイミド樹脂は、例えば、ダイマー酸に由来する炭化水素骨格を有するビスマレイミド化合物である。ダイマー酸骨格を有するマレイミド樹脂は、例えば、少なくともダイマー酸型ジアミンとマレイン酸無水物とをイミド化反応させて得られるビスマレイミド化合物であり、さらに、ダイマー酸型ジアミンとテトラカルボン酸二無水物とマレイン酸無水物とをイミド化反応させて得られるビスマレイミド化合物を含む。
【0092】
ダイマー酸骨格含有マレイミド樹脂の市販品としては、例えば、Designer Molecules Inc.製の「BMI-689」、「BMI-1500」、「BMI-1700」、「BMI-3000J」、信越化学工業社製「SLK-6895-T90」等が挙げられる。ビフェニルアラルキル型マレイミド樹脂の市販品としては、日本化薬社製の「MIR-3000-70MT」等が挙げられる。トリメチルインダン骨格含有マレイミド樹脂は、例えば、発明協会公開技報公技番号2020-500211号に記載の方法又はそれに準ずる方法を用いて製造することができる。
【0093】
マレイミド樹脂のマレイミド基当量は、好ましくは30g/eq.~2500g/eq.、特に好ましくは75g/eq.~2000g/eq.である。マレイミド樹脂の重量平均分子量は、好ましくは100~20000、より好ましくは150~10000、特に好ましくは200~5000である。
【0094】
熱可塑性樹脂組成物層中のマレイミド樹脂の含有率は、特に限定されるものではないが、全不揮発成分を100質量%とした場合において、上限が、好ましくは50質量%以下、より好ましくは30質量%以下、さらに好ましくは20質量%以下、さらにより好ましくは10質量%以下、特に好ましくは5質量%以下であり、下限が、例えば、0質量%以上、0.1質量%以上、0.5質量%以上、0.8質量%以上等である。
【0095】
熱硬化性樹脂組成物層は、さらに任意の成分として添加剤を含んでいてもよい。添加剤としては、例えば、有機充填材、増粘剤、消泡剤、レベリング剤、密着性付与剤、難燃剤等が挙げられる。これらは、1種類を単独で用いてもよく、2種類以上を任意の比率で組み合わせて用いてもよい。
【0096】
熱硬化性樹脂組成物層は、上述した不揮発成分以外に、揮発性成分として、有機溶剤を含有する。有機溶剤としては、その種類は特に限定されるものではない。有機溶剤としては、例えば、アセトン、メチルエチルケトン、メチルイソブチルケトン、シクロヘキサノン等のケトン系溶剤;酢酸メチル、酢酸エチル、酢酸ブチル、酢酸イソブチル、酢酸イソアミル、プロピオン酸メチル、プロピオン酸エチル、γ-ブチロラクトン等のエステル系溶剤;テトラヒドロピラン、テトラヒドロフラン、1,4-ジオキサン、ジエチルエーテル、ジイソプロピルエーテル、ジブチルエーテル、ジフェニルエーテル、アニソール等のエーテル系溶剤;メタノール、エタノール、プロパノール、ブタノール、エチレングリコール等のアルコール系溶剤;酢酸2-エトキシエチル、プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート、ジエチレングリコールモノエチルエーテルアセテート、エチルジグリコールアセテート、γ-ブチロラクトン、メトキシプロピオン酸メチル等のエーテルエステル系溶剤;乳酸メチル、乳酸エチル、2-ヒドロキシイソ酪酸メチル等のエステルアルコール系溶剤;2-メトキシプロパノール、2-メトキシエタノール、2-エトキシエタノール、プロピレングリコールモノメチルエーテル、ジエチレングリコールモノブチルエーテル(ブチルカルビトール)等のエーテルアルコール系溶剤;N,N-ジメチルホルムアミド、N,N-ジメチルアセトアミド、N-メチル-2-ピロリドン等のアミド系溶剤;ジメチルスルホキシド等のスルホキシド系溶剤;アセトニトリル、プロピオニトリル等のニトリル系溶剤;ヘキサン、シクロペンタン、シクロヘキサン、メチルシクロヘキサン等の脂肪族炭化水素系溶剤;ベンゼン、トルエン、キシレン、エチルベンゼン、トリメチルベンゼン等の芳香族炭化水素系溶剤等を挙げることができる。有機溶剤は、1種単独であっても、2種以上を任意の比率で組み合わせであってもよい。
【0097】
熱硬化性樹脂組成物層中の有機溶剤は、保護フィルムを剥離して基材フィルムと接しない面を外気に露出した場合において、130℃で15分間加熱処理した後の熱硬化性樹脂組成物層の重量減少率が、0.7~5質量%となる量で含まれる。重量減少率の下限は、好ましくは0.8質量%以上、より好ましくは0.9質量%以上である。重量減少率の上限は、好ましくは3質量%以下、より好ましくは2質量%以下、さらに好ましくは1.3質量%以下である。重量減少率は後述する実施例に記載の方法に従って測定することができる。
【0098】
熱硬化性樹脂組成物層の弾性率は、23℃で測定した場合、好ましくは1GPa以上、より好ましくは2GPa以上、特に好ましくは3GPa以上であり、好ましくは10GPa以下、より好ましくは8GPa以下、特に好ましくは7GPa以下である。
【0099】
熱硬化性樹脂組成物層の膜厚は、プリント配線板の薄型化という観点から、好ましくは300μm以下、より好ましくは250μm以下、さらに好ましくは200μm以下、さらにより好ましくは150μm以下、なお一層より好ましくは100μm以下、特に好ましくは80μm以下であり、熱硬化性樹脂組成物層の膜厚の下限は、特に限定されないが、通常、5μm以上、10μm以上、20μm以上、30μm以上、40μm以上、50μm以上等とし得る。
【0100】
熱硬化性樹脂組成物層の硬化後の線熱膨張係数(CTE)は、25℃から150℃までの範囲において、好ましくは100ppm/℃以下、より好ましくは70ppm/℃以下、さらに好ましくは50ppm/℃以下、さらにより好ましくは40ppm/℃以下、特に好ましくは35ppm/℃以下である。熱硬化性樹脂組成物層の硬化後の線熱膨張係数(CTE)は、例えば、下記の試験例6と同様の方法にて測定することができる。
【0101】
熱硬化性樹脂組成物層の硬化後の誘電正接(Df)は、5.8GHz、23℃で測定した場合、好ましくは0.010以下、より好ましくは0.007以下、さらに好ましくは0.006以下、さらにより好ましくは0.005以下、特に好ましくは0.004以下である。熱硬化性樹脂組成物層の硬化後の誘電正接(Df)は、例えば、下記の試験例7と同様の方法にて測定することができる。
【0102】
熱硬化性樹脂組成物層は、基材フィルム及び保護フィルムの除去後、熱硬化させることで絶縁材料とすることができる。したがって、熱硬化性樹脂組成物層は、絶縁層を形成するための樹脂組成物(絶縁層形成用の樹脂組成物層)であり得る。特に、プリント配線板の絶縁層を形成するための樹脂組成物層(プリント配線板の絶縁層形成用の樹脂組成物層)として好適に使用することができる。また、絶縁層上に形成される導体層(再配線層を含む)を形成するための当該絶縁層を形成するための樹脂組成物層(導体層を形成するための絶縁層形成用の樹脂組成物層)として好適に使用することができる。
【0103】
本発明の樹脂ロールは、基材フィルムが外側、保護フィルムが内側になるようにコア芯に樹脂シートが巻き回された形態であってもよく、また、基材フィルムが内側、保護フィルムが外側になるようにコア芯に樹脂シートが巻き回された形態であってもよい。好適な実施形態においては、本発明の樹脂ロールは、基材フィルムが外側、保護フィルムが内側になるようにコア芯に樹脂シートが巻き回された形態である。
【0104】
基材フィルム及び保護フィルムは、例えば、プラスチックフィルム、金属箔、離型紙等であればよく、プラスチックフィルムが好ましい。
【0105】
プラスチックフィルムとしては、例えば、ポリエチレンテレフタレートフィルム、ポリエチレンナフタレートフィルム等のポリエステル樹脂フィルム;ポリエチレンフィルム、ポリプロピレンフィルム等のポリオレフィン樹脂フィルム;ポリメチルメタクリレートフィルム等のアクリル樹脂フィルム;ポリカーボネート樹脂フィルム;トリアセチルセルロース樹脂フィルム;ポリエーテルサルファイド樹脂フィルム;ポリエーテルケトン樹脂フィルム;ポリイミド樹脂フィルム等が挙げられ、中でも、ポリエチレンテレフタレートフィルム、ポリエチレンナフタレートフィルム、ポリエチレンフィルム、ポリプロピレンフィルムであることが好ましい。
【0106】
基材フィルムとして使用するプラスチックフィルムは、ポリエステル樹脂フィルムがより好ましく、ポリエチレンテレフタレートフィルム、ポリエチレンナフタレートフィルムがさらに好ましい。保護フィルムとして使用するプラスチックフィルムは、ポリオレフィン樹脂フィルムがより好ましく、ポリプロピレンフィルム、ポリエチレンフィルムがさらに好ましい。
【0107】
プラスチックフィルムは、熱硬化性樹脂組成物層と接合する面にマット処理、コロナ処理、帯電防止処理等が施してあってもよい。
【0108】
基材フィルムとして使用するプラスチックフィルムは、熱硬化性樹脂組成物層と接合する面に離型層を有する離型層付きプラスチックフィルムであることが好ましい。離型層付きであれば、熱硬化性樹脂組成物層を熱硬化した後であっても基材フィルムを効率的に除去することができる。
【0109】
離型層付きプラスチックフィルムの離型層に使用する離型剤としては、例えば、PTFE(ポリテトラフルオロエチレン)、PFA(ペルフルオロアルコキシフッ素樹脂)、FEP(四フッ化エチレン・六フッ化プロピレン共重合体)、ETFE(エチレン・四フッ化エチレン共重合体)、ECTFE(エチレン・クロロトリフルオロエチレン共重合体)、PVDF(ポリフッ化ビニリデン)等のフッ素樹脂系離型剤;アルキド樹脂系離型剤、メラミン樹脂系離型剤、ポリオレフィン樹脂系離型剤、ウレタン樹脂系離型剤等の非フッ素系離型剤などが挙げられ、アルキド樹脂系離型剤が好ましく、非シリコーン系アルキド樹脂系離型剤がより好ましい。
【0110】
アルキド樹脂系離型剤の市販品としては、リンテック製の「X」、「SK-1」等のシリコーン含有アルキド樹脂系離型剤;リンテック製の「AL-5」、「AL-7」、「6050」、「6051」、「6052」、藤森工業(株)製の「NSP-4」等の非シリコーン系アルキド樹脂系離型剤が挙げられる。
【0111】
基材フィルムの密度は、好ましくは0.8g/cm3以上、より好ましくは1.0g/cm3以上、さらに好ましくは1.2g/cm3以上、特に好ましくは1.3g/cm3以上であり、その上限は、特に限定されるものではないが、例えば、2.5g/cm3以下、2.0g/cm3以下、1.5g/cm3以下であり得る。
【0112】
基材フィルムの膜厚は、特に限定されないが、好ましくは100μm以下、より好ましくは75μm以下、さらに好ましくは60μm以下、特に好ましくは50μm以下であり、基材フィルムの膜厚の下限は、特に限定されないが、好ましくは1μm以上、より好ましくは5μm以上、さらに好ましくは10μm以上、特に好ましくは20μm以上である。離型層付きプラスチックフィルムを使用する場合、離型層付きプラスチックフィルム全体の厚さが上記範囲であることが好ましい。
【0113】
保護フィルムの密度は、好ましくは2.5g/cm3以下、より好ましくは2.0g/cm3以下、さらに好ましくは1.5g/cm3以下、さらにより好ましくは1.3g/cm3以下、なお一層より好ましくは1.1g/cm3以下、特に好ましくは1.0g/cm3以下であり、その下限は、例えば、0.8g/cm3以上であり得る。
【0114】
保護フィルムの膜厚は、特に限定されないが、好ましくは100μm以下、より好ましくは40μm以下、さらに好ましくは30μm以下、特に好ましくは20μm以下であり、保護フィルムの膜厚の下限は、特に限定されないが、好ましくは0.5μm以上、より好ましくは1μm以上、さらに好ましくは5μm以上、特に好ましくは10μm以上である。
【0115】
基材フィルムの幅と熱硬化性樹脂組成物層の幅の差は、好ましくは20%以下、より好ましくは10%以下、さらに好ましくは5%以下である。基材フィルムの幅をWbとし、熱硬化性樹脂組成物層の幅をWrとし、Wb/WrをW1とした場合、好ましくは0.9≦W1≦1.1、より好ましくは0.93≦W1≦1.07、さらに好ましくは0.94≦W1≦1.06、さらにより好ましくは0.95≦W1≦1.05、なお一層より好ましくは0.97≦W1≦1.03、特に好ましくは0.99≦W1≦1.01である。
【0116】
保護フィルムの幅と熱硬化性樹脂組成物層の幅の差は、好ましくは20%以下、より好ましくは10%以下、さらに好ましくは5%以下である。保護フィルムの幅をWpとし、熱硬化性樹脂組成物層の幅をWrとし、Wp/WrをW2とした場合、好ましくは0.9≦W2≦1.1、より好ましくは0.93≦W2≦1.07、さらに好ましくは0.94≦W2≦1.06、さらにより好ましくは0.95≦W2≦1.05、なお一層より好ましくは0.97≦W2≦1.03、特に好ましくは0.99≦W2≦1.01である。基材フィルムの幅Wb、熱硬化性樹脂組成物層の幅Wr、及び保護フィルムの幅Wpは、互いに異なっていても同一でもよい。
【0117】
樹脂シート全体の平均密度は、1.3g/cm3以上であり、好ましくは1.35g/cm3以上、より好ましくは1.4g/cm3以上、さらに好ましくは1.45g/cm3以上、さらにより好ましくは1.5g/cm3以上、特に好ましくは1.55g/cm3以上であり、その上限は、好ましくは2.5g/cm3以下、より好ましくは2.0g/cm3以下、さらに好ましくは1.8g/cm3以下又は1.8g/cm3未満、さらにより好ましくは1.7g/cm3以下、特に好ましくは1.65g/cm3以下である。ここでいう樹脂シート全体の平均密度は、基材フィルム、熱硬化性樹脂組成物層、及び保護フィルムを含む樹脂シート全体の質量(g)を樹脂シート全体の体積(cm3)で除することで求められる密度(g/cm3)を意味する(すなわち、[樹脂シート全体の平均密度(g/cm3)]=[樹脂シート全体の質量(g)]/[樹脂シート全体の体積(cm3)])。
【0118】
樹脂シートの幅は、300mm以上であり、好ましくは320mm以上であり、上限は、好ましくは2000mm以下、より好ましくは1000mm以下、さらに好ましくは800mm以下、特に好ましくは600mm以下である。ここでいう樹脂シートの幅は、基材フィルムの幅、熱硬化性樹脂組成物層の幅、保護フィルムの幅のうち最大の幅である。
【0119】
樹脂シートは、例えば、ワニス状の樹脂組成物をそのまま、或いは有機溶剤に樹脂組成物を溶解してワニス状の樹脂組成物を調製し、これを、ダイコーター等を用いて基材フィルム上に塗布し、更に乾燥させて熱硬化性樹脂組成物層を形成させ、さらに形成された熱硬化性樹脂組成物層上に保護フィルムを圧着させることにより製造することができる。
【0120】
乾燥は、加熱、熱風吹きつけ等の公知の方法により実施してよい。乾燥条件は特に限定されないが、熱硬化性樹脂組成物層中の有機溶剤の含有量が、好ましくは10質量%以下、より好ましくは8質量%以下、さらに好ましくは5質量%以下、さらにより好ましくは3質量%以下、なお一層より好ましくは2質量%以下、特に好ましくは1.3質量%以下となるように乾燥させる。使用する樹脂組成物中の有機溶剤の沸点によっても異なるが、例えば30質量%~60質量%の有機溶剤を含む樹脂組成物を用いる場合、50℃~150℃で3分間~10分間乾燥させることにより、熱硬化性樹脂組成物層を形成することができる。
【0121】
コア芯の材料は、例えば、プラスチック、金属等であればよく、プラスチックであることが好ましい。コア芯の材料のプラスチックは、特に限定されるものではないが、例えば、ポリイミド樹脂、ポリエステル樹脂、ナイロン樹脂、ポリエーテルエーテルケトン樹脂、アクリル樹脂、ABS樹脂、ポリ塩化ビニル樹脂、フッ素樹脂、ウレタン樹脂、エポキシ樹脂、アクリル-ビニル樹脂、ポリエステルメラミン樹脂、ポリスチレン樹脂、ポリカーボネート樹脂等が挙げられる。
【0122】
コア芯の直径は、好ましくは30mm以上、さらに好ましくは40mm以上、特に好ましくは50mm以上であり、上限は、例えば、150mm以下である。
【0123】
コア芯の幅は、例えば300mm以上であり、好ましくは320mm以上であり、上限は、好ましくは2000mm以下、より好ましくは1000mm以下、さらに好ましくは800mm以下、特に好ましくは600mm以下である。
【0124】
コア芯の幅と樹脂シートの幅の差は、好ましくは10%以下、又は5%以下、より好ましくは3%以下、さらに好ましくは1%以下、特に好ましくは0.1%以下、最も好ましくは0.01%以下である。コア芯の幅をWcとし、樹脂シートの幅をWsとし、Wc/WsをW3とした場合、0.9≦W3≦1.1である。W3の下限は、好ましくは0.95以上又は0.97以上、より好ましくは0.98以上又は0.99以上、さらに好ましくは、0.991以上、0.995以上、0.998以上、0.999以上又は1以上である。W3の上限は、好ましくは1.05以下又は1.03以下、より好ましくは1.02以下又は1.01以下、さらに好ましくは1.009以下、1.005以下、1.002以下又は1.001以下である。樹脂シートの幅Wsは、基材フィルムの幅Wb、熱硬化性樹脂組成物層の幅Wr、保護フィルムの幅Wpのうち最大の幅である。Wb、Wr、Wpのうち、最大の幅が複数ある場合も、当該複数ある最大の幅をWsとする。
【0125】
コア芯の密度は、好ましくは0.8~1.4g/cm3、より好ましくは0.8~1.3g/cm3、さらに好ましくは0.8~1.2g/cm3、特に好ましくは0.9~1.1g/cm3である。
【0126】
樹脂ロールにおけるコア芯の密度と樹脂シート全体の平均密度の差は、好ましくは0.1g/cm3以上、より好ましくは0.2g/cm3以上、さらに好ましくは0.3g/cm3以上、さらにより好ましくは0.4g/cm3以上、特に好ましくは0.5g/cm3以上であり、上限は、好ましくは2.0g/cm3以下、より好ましくは1.5g/cm3以下、さらに好ましくは1.0g/cm3以下、さらにより好ましくは0.8g/cm3以下、特に好ましくは0.7g/cm3以下である。コア芯の密度と樹脂シート全体の平均密度の差は、樹脂シート全体の平均密度(g/cm3)からコア芯の密度(g/cm3)を減ずることで求められる密度差(g/cm3)を意味する。
【0127】
樹脂ロールにおけるコア芯に対する樹脂シートの巻き取り長は、好ましくは300m以下、より好ましくは100m以下、さらに好ましくは50m以下、特に好ましくは30m以下であり、下限は、特に限定されるものではないが1m以上、5m以上などであり得る。
【0128】
樹脂ロールは、例えば、樹脂シート搬出装置に設置して使用される。
【0129】
図1は、一実施形態における、樹脂ロールを設置した形態の樹脂シート搬出時における樹脂シート搬出装置100の模式的な断面図を示す。
図1の断面図は、軸方向に対して垂直面の断面図である。
図2は、
図1のA-A線矢視断面図を示す。
【0130】
樹脂シート搬出装置100は、樹脂ロール10を設置した形態において、
図1及び2に示すように、上記で説明したようなコア芯12とコア芯12に巻き回された樹脂シート11aを備える樹脂ロール10、軸支部21と軸止部22とを備える固定部材20、搬送ロール30等を備える。
【0131】
コア芯12に巻き回された樹脂シート11aは、樹脂シート搬出時において、
図1に示すように、樹脂シート搬出装置100の樹脂ロール10から巻き出される。巻き出された樹脂シート11bは、樹脂ロール10から搬送ロール30まで搬出され、搬送ロール30と接触するようにして搬出方向を変える。
【0132】
固定部材20の軸支部21は、
図2に示すように、軸止部22の平面に対して垂直方向に出っ張った形状をしており、1組の固定部材20の軸支部21を、それぞれ、円柱状のコア芯12の両端部の中央に形成された凹部に嵌め入れて、コア芯12を回転可能に固定することで、コア芯12を軸支する。軸支部21の形状はコア芯12を軸支できる限りにおいて特に限定されない。
【0133】
固定部材20の軸止部22は、
図2に示すように、軸方向に対して垂直平面状であり、コア芯12及びコア芯12に巻き回された樹脂シート11aからなる構造体の両端部に接触して、コア芯12及びコア芯12に巻き回された樹脂シート11a全体の軸方向の移動を制限するいわゆるフランジとして機能する。
【0134】
本発明の樹脂ロールは、下記工程(1)~(4)を含むプリント配線板の製造方法に使用することができる。
(1)樹脂ロールから樹脂シートを搬出する工程
(2)樹脂シートから保護フィルムを剥離する工程
(3)保護フィルムを剥離した後の樹脂シートを、熱硬化性樹脂組成物層が内層基板と接合するように内層基板上に積層する工程
(4)熱硬化性樹脂組成物層を熱硬化して絶縁層を形成する工程
【0135】
工程(2)における保護フィルムの剥離は、手動で剥離してもよく、自動剥離装置により機械的に剥離してもよい。工程(2)における保護フィルムの剥離方法としては、例えば、保護フィルムを固定した状態で熱硬化性樹脂組成物層及び基材フィルムを搬送して、保護フィルムを剥がす方法、熱硬化性樹脂組成物層及び基材フィルムを固定した状態で保護フィルムを引っ張って、保護フィルムを剥がす方法、保護フィルムを引っ張りながら熱硬化性樹脂組成物層及び基材フィルムを搬送して、保護フィルムを剥がす方法等が挙げられるが、熱硬化性樹脂組成物層に損傷を与えずに、熱硬化性樹脂組成物層から保護フィルムを剥がすことができる限りにおいて、これらに限定されない。
【0136】
工程(3)で用いる内層基板とは、プリント配線板の基板となる部材であって、例えば、ガラスエポキシ基板、金属基板、ポリエステル基板、ポリイミド基板、BTレジン基板、熱硬化型ポリフェニレンエーテル基板等が挙げられる。また、該基板は、その片面又は両面に導体層を有していてもよく、この導体層はパターン加工されていてもよい。基板の片面または両面に導体層(回路)が形成された内層基板は内層回路基板ともいわれることがある。またプリント配線板を製造する際に、さらに絶縁層及び/又は導体層が形成されるべき中間製造物も本発明でいう内層基板に含まれる。プリント配線板が部品内蔵回路板である場合、部品を内蔵した内層基板を使用してもよい。
【0137】
工程(3)における保護フィルムを剥離した後の樹脂シートの内層基板への積層は、例えば、基材フィルム側から樹脂シートを内層基板に加熱圧着することにより行うことができる。樹脂シートを内層基板に加熱圧着する部材(以下、「加熱圧着部材」ともいう。)としては、例えば、加熱された金属板(SUS鏡板等)又は金属ロール(SUSロール)等が挙げられる。なお、加熱圧着部材を樹脂シートに直接プレスするのではなく、内層基板の表面凹凸に樹脂シートが十分に追随するよう、耐熱ゴム等の弾性材を介してプレスするのが好ましい。
【0138】
工程(3)における積層は、真空ラミネート法により実施してよい。真空ラミネート法において、加熱圧着温度は、好ましくは60℃~160℃、より好ましくは80℃~140℃の範囲であり、加熱圧着圧力は、好ましくは0.098MPa~1.77MPa、より好ましくは0.29MPa~1.47MPaの範囲であり、加熱圧着時間は、好ましくは20秒間~400秒間、より好ましくは30秒間~300秒間の範囲である。工程(3)の積層は、好ましくは圧力26.7hPa以下の減圧条件下で実施され得る。
【0139】
工程(3)における積層は、市販の真空ラミネーターによって行うことができる。市販の真空ラミネーターとしては、例えば、名機製作所社製の真空加圧式ラミネーター、ニッコー・マテリアルズ社製のバキュームアップリケーター、バッチ式真空加圧ラミネーター等が挙げられる。
【0140】
工程(3)において、積層の後に、常圧下(大気圧下)、例えば、加熱圧着部材を基材フィルム側からプレスすることにより、積層された樹脂シートの平滑化処理を行ってもよい。平滑化処理のプレス条件は、上記積層の加熱圧着条件と同様の条件とすることができる。平滑化処理は、市販のラミネーターによって行うことができる。なお、積層と平滑化処理は、上記の市販の真空ラミネーターを用いて連続的に行ってもよい。
【0141】
基材フィルムは、工程(3)と工程(4)の間に除去してもよく、工程(4)の後に除去してもよい。
【0142】
工程(4)において、熱硬化性樹脂組成物層を熱硬化して、樹脂組成物の硬化物からなる絶縁層を形成する。熱硬化性樹脂組成物層の熱硬化条件は特に限定されず、プリント配線板の絶縁層を形成するに際して通常採用される条件を使用してよい。
【0143】
例えば、熱硬化性樹脂組成物層の熱硬化条件は、樹脂組成物層に含まれる成分の種類等によっても異なるが、一実施形態において、硬化温度は好ましくは120℃~240℃、より好ましくは150℃~220℃、さらに好ましくは170℃~210℃である。硬化時間は好ましくは5分間~120分間、より好ましくは10分間~100分間、さらに好ましくは15分間~100分間とすることができる。
【0144】
熱硬化性樹脂組成物層を熱硬化させる前に、熱硬化性樹脂組成物層を硬化温度よりも低い温度にて予備加熱してもよい。例えば、熱硬化性樹脂組成物層を熱硬化させるのに先立ち、50℃~120℃、好ましくは60℃~115℃、より好ましくは70℃~110℃の温度にて、熱硬化性樹脂組成物層を5分間以上、好ましくは5分間~150分間、より好ましくは15分間~120分間、さらに好ましくは15分間~100分間予備加熱してもよい。
【0145】
プリント配線板を製造するに際しては、上記工程(1)~(4)に加えて、(5)絶縁層に穴あけする工程、(6)絶縁層を粗化処理する工程、(7)導体層を形成する工程をさらに実施してもよい。これらの工程(5)~工程(7)は、プリント配線板の製造に用いられる、当業者に公知の各種方法に従って実施してよい。また、必要に応じて、工程(1)~工程(7)の絶縁層及び導体層の形成を繰り返して実施し、多層配線板を形成してもよい。
【0146】
工程(5)は、絶縁層に穴あけする工程であり、これにより絶縁層にビアホール、スルーホール等のホールを形成することができる。工程(5)は、絶縁層の形成に使用した樹脂組成物の組成等に応じて、例えば、ドリル、レーザー、プラズマ等を使用して実施してよい。ホールの寸法や形状は、プリント配線板のデザインに応じて適宜決定してよい。
【0147】
工程(6)は、絶縁層を粗化処理する工程である。通常、この工程(6)において、スミアの除去も行われる。粗化処理の手順、条件は特に限定されず、プリント配線板の絶縁層を形成するに際して通常使用される公知の手順、条件を採用することができる。例えば、膨潤液による膨潤処理、酸化剤による粗化処理、中和液による中和処理をこの順に実施して絶縁層を粗化処理することができる。
【0148】
粗化処理に用いる膨潤液としては特に限定されないが、アルカリ溶液、界面活性剤溶液等が挙げられ、好ましくはアルカリ溶液であり、該アルカリ溶液としては、水酸化ナトリウム溶液、水酸化カリウム溶液がより好ましい。市販されている膨潤液としては、例えば、アトテックジャパン社製の「スウェリング・ディップ・セキュリガンスP」、「スウェリング・ディップ・セキュリガンスSBU」等が挙げられる。膨潤液による膨潤処理は、特に限定されないが、例えば、30℃~90℃の膨潤液に絶縁層を1分間~20分間浸漬することにより行うことができる。絶縁層の樹脂の膨潤を適度なレベルに抑える観点から、40℃~80℃の膨潤液に絶縁層を5分間~15分間浸漬させることが好ましい。
【0149】
粗化処理に用いる酸化剤としては、特に限定されないが、例えば、水酸化ナトリウムの水溶液に過マンガン酸カリウム又は過マンガン酸ナトリウムを溶解したアルカリ性過マンガン酸溶液が挙げられる。アルカリ性過マンガン酸溶液等の酸化剤による粗化処理は、60℃~100℃に加熱した酸化剤溶液に絶縁層を10分間~30分間浸漬させて行うことが好ましい。また、アルカリ性過マンガン酸溶液における過マンガン酸塩の濃度は5質量%~10質量%が好ましい。市販されている酸化剤としては、例えば、アトテックジャパン社製の「コンセントレート・コンパクトCP」、「ドージングソリューション・セキュリガンスP」等のアルカリ性過マンガン酸溶液が挙げられる。
【0150】
また、粗化処理に用いる中和液としては、酸性の水溶液が好ましく、市販品としては、例えば、アトテックジャパン社製の「リダクションソリューション・セキュリガントP」が挙げられる。
【0151】
中和液による処理は、酸化剤による粗化処理がなされた処理面を30℃~80℃の中和液に5分間~30分間浸漬させることにより行うことができる。作業性等の点から、酸化剤による粗化処理がなされた対象物を、40℃~70℃の中和液に5分間~20分間浸漬する方法が好ましい。
【0152】
一実施形態において、粗化処理後の絶縁層表面の算術平均粗さ(Ra)は、特に限定されるものではないが、好ましくは500nm以下、より好ましくは400nm以下、さらに好ましくは300nm以下である。下限については特に限定されるものではなく、例えば、1nm以上、2nm以上等とし得る。また、粗化処理後の絶縁層表面の二乗平均平方根粗さ(Rq)は、好ましくは500nm以下、より好ましくは400nm以下、さらに好ましくは300nm以下である。下限については特に限定されるものではなく、例えば、1nm以上、2nm以上等とし得る。絶縁層表面の算術平均粗さ(Ra)及び二乗平均平方根粗さ(Rq)は、非接触型表面粗さ計を用いて測定することができる。
【0153】
工程(7)は、導体層を形成する工程であり、絶縁層上に導体層を形成する。導体層に使用する導体材料は特に限定されない。好適な実施形態では、導体層は、金、白金、パラジウム、銀、銅、アルミニウム、コバルト、クロム、亜鉛、ニッケル、チタン、タングステン、鉄、スズ及びインジウムからなる群から選択される1種以上の金属を含む。導体層は、単金属層であっても合金層であってもよく、合金層としては、例えば、上記の群から選択される2種以上の金属の合金(例えば、ニッケル・クロム合金、銅・ニッケル合金及び銅・チタン合金)から形成された層が挙げられる。中でも、導体層形成の汎用性、コスト、パターニングの容易性等の観点から、クロム、ニッケル、チタン、アルミニウム、亜鉛、金、パラジウム、銀若しくは銅の単金属層、又はニッケル・クロム合金、銅・ニッケル合金、銅・チタン合金の合金層が好ましく、クロム、ニッケル、チタン、アルミニウム、亜鉛、金、パラジウム、銀若しくは銅の単金属層、又はニッケル・クロム合金の合金層がより好ましく、銅の単金属層が更に好ましい。
【0154】
導体層は、単層構造であっても、異なる種類の金属若しくは合金からなる単金属層又は合金層が2層以上積層した複層構造であってもよい。導体層が複層構造である場合、絶縁層と接する層は、クロム、亜鉛若しくはチタンの単金属層、又はニッケル・クロム合金の合金層であることが好ましい。
【0155】
導体層の厚さは、所望のプリント配線板のデザインによるが、一般に3μm~35μm、好ましくは5μm~30μmである。
【0156】
一実施形態において、導体層は、メッキにより形成してよい。例えば、セミアディティブ法、フルアディティブ法等の従来公知の技術により絶縁層の表面にメッキして、所望の配線パターンを有する導体層を形成することができ、製造の簡便性の観点から、セミアディティブ法により形成することが好ましい。以下、導体層をセミアディティブ法により形成する例を示す。
【0157】
まず、絶縁層の表面に、無電解メッキによりメッキシード層を形成する。次いで、形成されたメッキシード層上に、所望の配線パターンに対応してメッキシード層の一部を露出させるマスクパターンを形成する。露出したメッキシード層上に、電解メッキにより金属層を形成した後、マスクパターンを除去する。その後、不要なメッキシード層をエッチング等により除去して、所望の配線パターンを有する導体層を形成することができる。
【0158】
上記で説明したプリント配線板は、プリント配線板を含む半導体装置に用いることができる。
【0159】
半導体装置としては、電気製品(例えば、コンピューター、携帯電話、デジタルカメラ及びテレビ等)及び乗物(例えば、自動二輪車、自動車、電車、船舶及び航空機等)等に供される各種半導体装置が挙げられる。
【実施例0160】
以下、本発明を実施例により具体的に説明する。本発明はこれらの実施例に限定されるものではない。なお、以下において、量を表す「部」及び「%」は、別途明示のない限り、それぞれ「質量部」及び「質量%」を意味する。特に温度及び圧力の指定が無い場合の温度条件及び圧力条件は、それぞれ、室温(25℃)及び常圧(1atm)である。
【0161】
<合成例1:エラストマーAの合成>
反応容器に、2官能性ヒドロキシ基末端ポリブタジエン(日本曹達社製「G-3000」、数平均分子量=3000、ヒドロキシ基当量=1800g/eq.)69gと、芳香族炭化水素系混合溶剤(出光石油化学社製「イプゾール150」)40gと、ジブチル錫ラウレート0.005gとを入れ、混合して均一に溶解させた。均一になったところで60℃に昇温し、更に撹拌しながらイソホロンジイソシアネート(エボニックデグサジャパン社製「IPDI」、イソシアネート基当量=113g/eq.)8gを添加し、約3時間反応を行った。
【0162】
次いで反応物に、クレゾールノボラック樹脂(DIC社製「KA-1160」、水酸基当量=117g/eq.)23gと、エチルジグリコールアセテート(ダイセル社製)60gとを添加し、攪拌しながら150℃まで昇温し、約10時間反応を行った。FT-IRによって2250cm-1のNCOピークの消失の確認を行った。NCOピークの消失の確認をもって反応の終点とみなし、反応物を室温まで降温した。そして、反応物を100メッシュの濾布で濾過して、ブタジエン構造及びフェノール性水酸基を有するエラストマー(フェノール性水酸基含有ブタジエン樹脂:不揮発成分50質量%)を得た。エラストマーAの数平均分子量は5900、ガラス転移温度は-7℃であった。
【0163】
<合成例2:マレイミドAの合成>
発明協会公開技報公技番号2020-500211号の合成例1と同様の方法で、下記式で表されるマレイミドA(n=1.47、Mw/Mn=1.81)を合成し、マレイミドAのMEK溶液(不揮発成分70質量%)を得た。
【0164】
【0165】
<実施例1>
(1)樹脂ワニスの調製
ビスフェノールA型エポキシ樹脂(三菱ケミカル社製「828EL」、エポキシ当量約180g/eq.)3部、ナフチレンエーテル型エポキシ樹脂(DIC社製「HP-6000L」、エポキシ当量約213g/eq.)4部、ビキシレノール型エポキシ樹脂(三菱ケミカル社製「YX4000H」、エポキシ当量190g/eq.)3部、フェノール系硬化剤(DIC社製「KA-1160」、クレゾールノボラック樹脂、水酸基当量117g/eq.)3部、活性エステル系硬化剤(DIC社製「HPC-8000-65T」、活性基当量223g/eq.、固形分65質量%のトルエン溶液)11部、カルボジイミド系硬化剤(日清紡ケミカル社製「カルボジライトV-03」、活性基当量約216g/eq.、固形分50質量%のトルエン溶液)1部、アミノシラン系カップリング剤(信越化学工業社製「KBM-573」)で表面処理された球形シリカ(アドマテックス社製「SO-C2」、平均粒径0.5μm、比表面積5.8m2/g)50部、フェノキシ樹脂(三菱ケミカル社製「YX7553BH30」、固形分30質量%のMEKとシクロヘキサノンの1:1溶液)3部、硬化促進剤(4-ジメチルアミノピリジン、DMAP)0.05部、メチルエチルケトン15部を、高速回転ミキサーで均一に分散して、ワニス状の樹脂組成物を調製した。
【0166】
(2)樹脂シートの作製
基材フィルムとして、非シリコーン系離型剤(リンテック(株)製「AL-5」)で離型処理した二軸延伸ポリエチレンテレフタレート(PET)フィルム(東レ(株)製「ルミラーT6AM」、厚さ38μm)を用意した。該基材フィルムの離型面に、ダイコーターにて、上記工程(1)で調製したワニス状の樹脂組成物を塗布し、80℃~110℃(平均100℃)にて5分間乾燥させ、樹脂組成物層を形成した。樹脂組成物層の厚さは70μmであった。次いで、樹脂組成物層と接合するように保護フィルムを設けた。保護フィルムとしては、両面が粗面である二軸延伸ポリプロピレン(OPP)フィルム(王子エフテックス(株)製「HS413」、厚さ15μm)を使用した。次いで350mm幅に裁断し、樹脂シートを得た。
【0167】
(3)樹脂ロールの作製
上記工程(2)で得た樹脂シートを保護フィルムが内側になるようにABS製のコア芯(直径70mm、350mm幅)に巻き取ることで、樹脂ロールを得た(巻き取り長20m)。
【0168】
<実施例2>
工程(2)において、樹脂シートとして、樹脂組成物層が480mm幅、基材フィルムと保護フィルムが500mm幅の樹脂シート(幅以外は実施例1工程(2)の樹脂シートと同一)を使用し、工程(3)において、コア芯幅を350mm幅から500mm幅に変更した以外は、実施例1と同様にして、樹脂ロールを得た。
【0169】
<実施例3>
工程(1)において、硬化促進剤(4-ジメチルアミノピリジン(DMAP))0.05部の代わりに、硬化促進剤(1-ベンジル-2-フェニルイミダゾール、四国化成工業社製「1B2PZ」)を0.05部使用し、ビスマレイミド樹脂(Designer Molecules Inc.製「BMI-689」)1部をさらに加えた以外は、実施例1と同様にして、樹脂ロールを得た。
【0170】
<実施例4>
工程(1)において、硬化促進剤(4-ジメチルアミノピリジン(DMAP))0.05部の代わりに、硬化促進剤(1-ベンジル-2-フェニルイミダゾール、四国化成工業社製「1B2PZ」)を0.05部使用し、フェノキシ樹脂(三菱ケミカル社製「YX7553BH30」、固形分30質量%)3部の代わりに、合成例1で得られたエラストマーA(固形分50質量%)を2部使用し、ビスマレイミド樹脂(Designer Molecules Inc.製「BMI-689」)1部をさらに加えた以外は、実施例1と同様にして、樹脂ロールを得た。
【0171】
<実施例5>
工程(1)において、硬化促進剤(4-ジメチルアミノピリジン(DMAP))0.05部の代わりに、硬化促進剤(1-ベンジル-2-フェニルイミダゾール、四国化成工業社製「1B2PZ」)を0.05部使用し、フェノキシ樹脂(三菱ケミカル社製「YX7553BH30」、固形分30質量%)3部の代わりに、合成例1で得られたエラストマーA(固形分50質量%)を14部使用し、マレイミド化合物(Designer Molecules Inc.製「BMI-689」)1部をさらに加え、表面処理された球形シリカ(アドマテックス社製「SO-C2」)の使用量を50部から80部に変更した以外は、実施例1と同様にして、樹脂ロールを得た。
【0172】
<実施例6>
工程(1)において、硬化促進剤(4-ジメチルアミノピリジン(DMAP))0.05部の代わりに、硬化促進剤(1-ベンジル-2-フェニルイミダゾール、四国化成工業社製「1B2PZ」)を0.05部使用し、マレイミド化合物(Designer Molecules Inc.製「BMI-689」)4部をさらに加え、表面処理された球形シリカ(アドマテックス社製「SO-C2」)の使用量を50部から60部に変更した以外は、実施例1と同様にして、樹脂ロールを得た。
【0173】
<実施例7>
工程(1)において、硬化促進剤(4-ジメチルアミノピリジン(DMAP))0.05部の代わりに、硬化促進剤(1-ベンジル-2-フェニルイミダゾール、四国化成工業社製「1B2PZ」)を0.05部使用し、ビフェニルアラルキル型マレイミド樹脂(日本化薬社製「MIR-3000-70MT」、固形分70%のMEK/トルエン混合溶液)2部をさらに加え、表面処理された球形シリカ(アドマテックス社製「SO-C2」)の使用量を50部から52部に変更した以外は、実施例1と同様にして、樹脂ロールを得た。
【0174】
<実施例8>
工程(1)において、硬化促進剤(4-ジメチルアミノピリジン(DMAP))0.05部の代わりに、硬化促進剤(1-ベンジル-2-フェニルイミダゾール、四国化成工業社製「1B2PZ」)を0.05部使用し、合成例2で得られたマレイミドA(固形分70%)2部をさらに加え、表面処理された球形シリカ(アドマテックス社製「SO-C2」)の使用量を50部から52部に変更した以外は、実施例1と同様にして、樹脂ロールを得た。
【0175】
<実施例9>
工程(1)において、硬化促進剤(4-ジメチルアミノピリジン(DMAP))0.05部の代わりに、硬化促進剤(1-ベンジル-2-フェニルイミダゾール、四国化成工業社製「1B2PZ」)を0.05部使用し、ビスマレイミド樹脂(Designer Molecules Inc.製「BMI1500」)1部をさらに加え、表面処理された球形シリカ(アドマテックス社製「SO-C2」)の使用量を50部から52部に変更した以外は、実施例1と同様にして、樹脂ロールを得た。
【0176】
<実施例10>
工程(1)において、表面処理された球形シリカ(アドマテックス社製「SO-C2」)の使用量を50部から30部に変更し、工程(3)において、コア芯幅を350mm幅から380m幅に変更した以外は、実施例1と同様にして、樹脂ロールを得た。
【0177】
<実施例11>
工程(1)において、フェノキシ樹脂(三菱ケミカル社製「YX7553BH30」、固形分30質量%)3部の代わりに、合成例1で得られたエラストマーA(固形分50質量%)を2部使用し、工程(2)において、保護フィルムとして、二軸延伸ポリプロピレン(OPP)フィルム(王子エフテックス(株)製「HS413」、厚さ15μm)の代わりに、低密度ポリエチレン(PE)フィルム(タマポリ社製「GF-1」、厚さ25μm)を使用した以外は、実施例1と同様にして、樹脂ロールを得た。
【0178】
<実施例12>
工程(1)において、フェノキシ樹脂(三菱ケミカル社製「YX7553BH30」、固形分30質量%)3部の代わりに、合成例1で得られたエラストマーA(固形分50質量%)を2部使用し、工程(2)において、保護フィルムとして、二軸延伸ポリプロピレン(OPP)フィルム(王子エフテックス(株)製「HS413」、厚さ15μm)の代わりに、二軸延伸ポリエチレンテレフタレート(PET)フィルム(東レ(株)製「ルミラーT6AM」、厚さ25μm)を使用した以外は、実施例1と同様にして、樹脂ロールを得た。
【0179】
<比較例1>
工程(3)において、コア芯幅を350mm幅から400m幅に変更した以外は、実施例1と同様にして、樹脂ロールを得た。
【0180】
<比較例2>
工程(1)において、表面処理された球形シリカ(アドマテックス社製「SO-C2」)の使用量を50部から5部に変更し、工程(3)において、コア芯幅を350mm幅から400m幅に変更した以外は、実施例1と同様にして、樹脂ロールを得た。
【0181】
<比較例3>
工程(1)において、表面処理された球形シリカ(アドマテックス社製「SO-C2」)の使用量を50部から100部に変更した以外は、実施例1と同様にして、樹脂ロールを得た。
【0182】
<試験例1:加熱処理による樹脂組成物層の重量減少率の測定>
実施例及び比較例の工程(2)で作製した樹脂シートを10cm×10cmに裁断し、これらを十分に乾燥したシリカゲルと一緒にデシケーターに入れ、30分放置した。その後、保護フィルムを剥離した状態で樹脂シートの質量(g)を測定し、その値をα1(g)とした。次に、樹脂シートを130℃のオーブンで15分加熱して、先ほど同様シリカゲルと一緒にデシケーター中で30分放冷した後に再度樹脂シートの質量(g)を測定し、その値をα2(g)とした。また、基材フィルムのみを10cm×10cmに裁断し、それを30分間デシケーターで放置した後、基材フィルムの質量(g)を測定し、その値をβ(g)とした。下記式(A)から樹脂シートを130℃で15分加熱処理した時の樹脂組成物層の重量減少率A(質量%)の値を算出した。
【0183】
【0184】
<試験例2:樹脂シートの密度の測定>
実施例及び比較例の工程(2)で作製した樹脂シート全体の平均密度(g/cm3)、及び工程(3)で使用したコア芯の密度(g/cm3)を、それぞれ、メトラー・トレド社製分析天秤XP105(比重測定キット使用)を用いて測定した。樹脂シートは3cm×3cmに裁断したものを、コア芯は2cm×2cmに断裁したものを、それぞれN=3で測定し、平均値を採用した。
【0185】
<試験例3:樹脂組成物層の弾性率の測定>
実施例及び比較例の工程(2)で作製した樹脂シートから、保護フィルムと基材フィルムを剥離して樹脂組成物層を得た。オリエンテック社製引張試験機「RTC-1250A」を用いて引張試験測定を行い、23℃における樹脂組成物層の弾性率を測定した。測定は5回行い、平均値を算出した。
【0186】
<試験例4:搬送ズレの評価>
実施例及び比較例の工程(3)で作製した樹脂ロールを、
図2に示すようにコア芯と樹脂シート全体の軸方向の移動を制限する固定部材を備える樹脂シート搬出装置に設置し、樹脂シート搬出装置の樹脂ロールから毎秒15cmの速度で樹脂シートを巻き出し、搬送ロールにかけ、
図2に示すように搬送ロールにかけた時点の搬送ロール部分における樹脂シート端部の位置を確認し、さらに10m分引き出した時点で、搬送ロール部分の樹脂シート端部の位置を確認し、以下の評価基準に基づき評価した。
【0187】
評価基準
「〇」:最初に搬送ロールにかけた時点の搬送ロール部分における樹脂シート端部の位置に対する10m分引き出した時点の樹脂シート端部の位置の軸方向のズレが、5mm未満だった場合
「△」:最初に搬送ロールにかけた時点の搬送ロール部分における樹脂シート端部の位置に対する10m分引き出した時点の樹脂シート端部の位置の軸方向のズレが、5mm以上10mm未満だった場合
「×」:最初に搬送ロールにかけた時点の搬送ロール部分における樹脂シート端部の位置に対する10m分引き出した時点の樹脂シート端部の位置の軸方向のズレが、10mm以上だった場合
【0188】
<試験例5:樹脂組成物層の傷つきやすさの評価>
実施例及び比較例の工程(3)で作製した樹脂ロールを、
図2に示すようにコア芯と樹脂シート全体の軸方向の移動を制限する固定部材を備える樹脂シート搬出装置に設置し、樹脂シート搬出装置の樹脂ロールから毎秒15cmの速度で樹脂シートを巻き出し、搬送ロールにかけ、10m分引き出した時点で、
図2に示す搬送ロール部分の樹脂シートを肉眼にて観察し、以下の評価基準に基づき評価した。
【0189】
評価基準
「〇」:樹脂シートの樹脂組成物層端部に外観上欠けが生じていない場合
「×」:樹脂シートの樹脂組成物層端部に外観上欠けが生じていた場合
【0190】
<試験例6:線熱膨張係数(CTE)の測定及び評価>
実施例及び比較例の工程(2)で作製した樹脂シートを200℃にて90分間加熱して樹脂組成物層を熱硬化させた後、基材フィルムを剥離し、評価用硬化物を得た。評価用硬化物を、幅5mm、長さ15mmの試験片に切断した。該試験片について、熱機械分析装置((株)リガク製「Thermo Plus TMA8310」)を用いて、引張加重法にて熱機械分析を行った。詳細には、試験片を前記熱機械分析装置に装着した後、荷重1g、昇温速度5℃/分の測定条件にて連続して2回測定した(1回目は200℃まで昇温し、2回目は260℃まで昇温した。)。そして2回目の測定において、25℃から150℃までの範囲における平面方向の線熱膨張係数(ppm/℃)を算出し、以下の評価基準に基づき評価した。
【0191】
評価基準
「〇」:線熱膨張係数が35ppm/℃以下の場合
「△」:線熱膨張係数が35ppm/℃超50ppm/℃以下の場合
「×」:線熱膨張係数が50ppm/℃超の場合、又は硬化物が脆く測定不能(比較例3)の場合
【0192】
<試験例7:誘電正接(Df)の測定及び評価>
実施例及び比較例の工程(2)で作製した樹脂シートを、200℃にて90分間加熱して、樹脂組成物層を熱硬化させた。その後、基材フィルムを剥離して、樹脂組成物の硬化物を得た。この硬化物を、幅2mm、長さ80mmの試験片に切断した。該試験片について、アジレントテクノロジーズ社製「HP8362B」を用いて、空洞共振摂動法により、測定周波数5.8GHz、測定温度23℃にて誘電正接(Df)を測定した。3本の試験片について測定を行った。
【0193】
評価基準
「×」:誘電正接が0.006超の場合、又は硬化物が脆く測定不能(比較例3)の場合
「△」:誘電正接が0.004超0.006以下の場合
「〇」:誘電正接が0.004以下の場合
【0194】
実施例及び比較例で得られた樹脂ロールの詳細、並びに試験例の測定結果及び評価結果を下記表1にまとめる。
【0195】
【0196】
表1に示す通り、基材フィルムと、前記基材フィルムの一方の面上に設けられた無機充填材を含む熱硬化性樹脂組成物層と、前記熱硬化性樹脂組成物層の前記基材フィルムとは反対側の面上に設けられた保護フィルムと、を有する樹脂シートと、前記樹脂シートが巻き回されたコア芯と、を備え、前記熱硬化性樹脂組成物層が揮発性成分をさらに含み、前記保護フィルムを剥離して前記基材フィルムと接しない面を外気に露出した場合において、130℃で15分間加熱処理した後の前記熱硬化性樹脂組成物層の重量減少率が、0.7~5質量%であり、前記樹脂シート全体の平均密度が、1.3g/cm3以上であり、前記樹脂シートの幅が、300mm以上であり、前記コア芯の幅と前記樹脂シートの幅の差が、10%以下である樹脂ロールを用いることにより、搬送時のズレの抑制及び樹脂組成物層の破損の抑制を両立し、良好な歩留まりを達成できることがわかる。