(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024137718
(43)【公開日】2024-10-07
(54)【発明の名称】低消費電力のシステムにおけるバッテリの充電の状態を推定する方法及びその推定方法を実装するシステム
(51)【国際特許分類】
G04C 10/00 20060101AFI20240927BHJP
G01R 31/367 20190101ALI20240927BHJP
G01R 31/3835 20190101ALI20240927BHJP
G01R 31/374 20190101ALI20240927BHJP
H02J 7/00 20060101ALN20240927BHJP
【FI】
G04C10/00 D
G01R31/367
G01R31/3835
G01R31/374
H02J7/00 X
【審査請求】有
【請求項の数】12
【出願形態】OL
【外国語出願】
(21)【出願番号】P 2024011721
(22)【出願日】2024-01-30
(31)【優先権主張番号】23162815.7
(32)【優先日】2023-03-20
(33)【優先権主張国・地域又は機関】EP
(71)【出願人】
【識別番号】591048416
【氏名又は名称】ウーテーアー・エス・アー・マニファクチュール・オロロジェール・スイス
(74)【代理人】
【識別番号】100083806
【弁理士】
【氏名又は名称】三好 秀和
(74)【代理人】
【識別番号】100111235
【弁理士】
【氏名又は名称】原 裕子
(74)【代理人】
【識別番号】100195257
【弁理士】
【氏名又は名称】大渕 一志
(72)【発明者】
【氏名】ノイルジャン、 ジョゼ
(57)【要約】 (修正有)
【課題】バッテリの充電又は放電の状態を推定する方法を実装するシステムを提供する。
【解決手段】携帯可能な物体等の低消費電力のシステム1のバッテリ又はセル2の充電又は放電の状態を推定する方法に関し、システムは、バッテリ又はセル2に接続された少なくとも1つの電力管理回路3と、電力管理回路3に接続されたモジュール4の処理ユニット14とを備えており、バッテリ又はセル2の充電又は放電の状態を推定する方法が実装されるときに、少なくとも1つのバッテリ電圧値が、電力管理回路3によってモジュール4の処理ユニット14に通信され、バッテリ2の充電又は放電の状態を制御するためのアルゴリズムが実行され、アルゴリズムは、バッテリ又はセル2の充電又は放電の状態を提供するように処理ユニット14に記憶される。
【選択図】
図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
携帯可能な物体等の低消費電力のシステム(1)のバッテリ又はセル(2)の充電又は放電の状態を推定する方法において、前記システムは、バッテリ又はセル(2)に接続された少なくとも1つの電力管理回路(3)と、前記電力管理回路(3)に接続されたモジュール(4)の処理ユニット(14)とを備えており、
バッテリ又はセル(2)の充電又は放電の状態を推定する方法が実装されるときに、少なくとも1つのバッテリ電圧値が、前記電力管理回路(3)によって前記モジュール(4)の前記処理ユニット(14)に通信され、前記バッテリ又はセル(2)の充電又は放電の状態を制御するためのアルゴリズムが実行され、前記アルゴリズムは、前記バッテリ又はセル(2)の充電又は放電の状態を提供するように前記処理ユニット(14)に記憶されることを特徴とする、方法。
【請求項2】
前記モジュール(4)の前記処理ユニット(14)は、電子モジュール(4)のマイクロコントローラユニット(14)であり、前記バッテリ又はセル(2)の充電又は放電の状態を推定するための方法が実装されるときに、前記マイクロコントローラユニット(14)は、電力管理集積回路(3)からのデータ及び/又はパラメータの通信によって起動され、前記マイクロコントローラユニット(14)がスイッチオンされると、前記電力管理集積回路の選択された充電モード又は選択された放電モードの関数として、前記バッテリ又はセル(2)の充電の状態又は前記バッテリ又はセル(2)の放電の状態を決定するために、前記バッテリ又はセルの充電又は放電の状態を制御するアためのルゴリズムが実行されることを特徴とする、請求項1に記載の方法。
【請求項3】
前記バッテリ又はセル(2)の充電又は放電の状態を制御するための前記アルゴリズムが、定義された期間にわたって自動的に実行され、かつマイクロコントローラユニット(14)によって制御されることを特徴とする、請求項1に記載の方法。
【請求項4】
前記システム(1)の温度センサが、前記処理ユニット(14)へのパラメータとして通信するために、前記システム(1)の動作中に温度値を前記電力管理回路(3)に提供して、前記バッテリ又はセル(2)の充電又は放電の状態を制御するための前記アルゴリズムが、充電又は放電されているバッテリ又はセルの温度及び動作モードに応じて、前記バッテリ又はセル(2)の充電又は放電の状態を提供することを可能にすることを特徴とする、請求項1に記載の方法。
【請求項5】
マイクロコントローラユニット(14)は、前記バッテリ又はセル(2)の充電又は放電の状態を制御するための前記アルゴリズムを実行し、第1の機能ブロック(24)において、前記アルゴリズムは、前記バッテリ又はセルの実際の充電又は放電データに対して数学的回帰を実行し、その後で前記回帰の係数をルックアップテーブルに記憶することを特徴とする、請求項4に記載の方法。
【請求項6】
前記数学的回帰は、いくつかの温度レベルで及びいくつかの充電又は放電電流によって、前記バッテリ又はセルの実際の充電又は放電データに対して実行され、前記数学的回帰の係数は、前記ルックアップテーブルに記憶され、かつ測定温度に対して補間されることを特徴とする、請求項5に記載の方法。
【請求項7】
前記第1の機能ブロック(24)の出力は、DC充電電圧(CV)の位相を管理するための第2の機能ブロック(34)に供給され、第3の機能ブロック(44)が、前記第1の機能ブロック(24)の出力及び前記第2の機能ブロック(34)の出力に接続され、かつDC電流及びDC電圧のモード状態によって制御されることにより、充電又は放電の状態を定義し、前記第3の機能ブロック(44)は、バッテリ電圧の数学的回帰を用いて充電モード(CV)とメインモードとの間の切換を行うことを特徴とする、請求項5に記載の方法。
【請求項8】
充電電流から放電電流への遷移は、前記バッテリ又はセル電圧に対して過電圧又は不足電圧のアーチファクトを生成し、前記遷移前の充電又は放電の以前の状態は、前記第3の機能ブロック(44)に続く第4の機能ブロック(54)における測定によって事前に定義された固定時間にわたって維持され、最後に、第5の機能ブロック(54)に続く第6の機能ブロック(64)において、スライディング平均によってフィルタリングが実行されることを特徴とする、請求項7に記載の方法。
【請求項9】
請求項1に記載の方法を実装するシステム(1)において、前記システムは、バッテリ又はセル(2)に接続された少なくとも1つの電力管理回路(3)と、前記電力管理回路(3)に接続されたモジュール(4)の処理ユニット(14)とを備えることを特徴とする、システム(1)。
【請求項10】
前記モジュール(4)の前記処理ユニット(14)は、時計モジュール(4)のマイクロコントローラユニット(14)であることを特徴とする、請求項9に記載のシステム(1)。
【請求項11】
前記電力管理回路(3)に接続された温度センサ(6)を備えることを特徴とする、請求項9に記載のシステム(1)。
【請求項12】
ガルバニ充電器又は誘導充電器に由来する外部エネルギー源(5)を備えることを特徴とする、請求項9に記載のシステム(1)。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、低消費電力のシステムにおけるバッテリの充電又は放電の状態を推定する方法に関する。低消費電力のシステムは、リチウム電池等のバッテリ又はセルによって電力を供給され得る電子又は電気機械式時計又は腕時計等の携帯可能な物体を含んでもよい。
【0002】
本発明は、バッテリの充電又は放電の状態を推定する方法を実装するシステムにさらに関する。
【背景技術】
【0003】
例えば、自動車用途において、温度又は他のパラメータを考慮してバッテリの充電の状態を制御することは従来から知られているが、自動車産業においては、バッテリの容量が大きく、充電の状態SOC(state of charge)を推定するシステムの自己消費が無視できるため、バッテリの充電の状態を推定する用途の開発は容易である。
【0004】
時計用途において、スマートウォッチの充電の状態は、100ポイントの充電の状態に3つの異なる温度を乗じたものに対するバッテリ電圧のルックアップテーブルを用いて近似される。この解決策は、ROM型メモリのメモリフットプリントが大きいという点と、温度及び絶対精度に関する方法の精度が低いという点で制限される。さらに、充電と放電との間の緩和時間等のバッテリの電気化学的現象に対する補償がない。再充電位相はカウンタによって推定される。充電及び放電サイクルによるバッテリの緩和及びヒステリシスの効果を管理するために、多くの周辺コードを記述する必要がある。
【0005】
バッテリの充電の状態を推定するための最も適切な解決策は、これまでのところ、バッテリから引き出された又は収集されたエネルギーをカウントする回路であるクーロンカウンタを使用することである。しかしながら、超低消費電力の腕時計の設計では、この電子回路はエネルギーの面で非常に高価であり、超低消費電力のシステムとは相容れない。
【0006】
時計用途におけるバッテリ電源は、完全に充電されたときの最大バッテリ電圧(端子電圧)に制限されなければならず、腕時計又は時計の電子回路に電力を供給するために利用可能なバッテリを損傷しないように、最小バッテリ電圧値(カットオフ電圧)を下回ることができない。ある程度までバッテリを充電するために、ガルバニ又は誘導充電を使用することもできる。
【0007】
時計用途又は例えばGPSシステム等のスポーツ活動中に人が着用するシステムを含む用途では、バッテリの充電の状態を推定するために上記のようなクーロンカウンタがしばしば使用される。しかしながら、この種のカウンタは、その電力消費がかなり大きく、低電力又は低消費の腕時計又は時計には使用できない。例えば時計ケース内に配置される低電力回路の全ての構成要素は、低消費電力でなければならず、その結果、バッテリの充電の状態は、バッテリから読み出され又は測定された電圧レベルが、バッテリのカットオフ電圧に等しく設定され得る下限電圧に近づくか又は等しくなるときに、バッテリからの電子回路への電力供給を中断し、完全に充電されたときに、バッテリの端子電圧に近い電圧を生成するように制御される。
【0008】
米国特許第10,700,539号明細書には、バッテリの充電の状態を検出するためにバッテリの出力電圧に関する時系列情報を取得するディスプレイ及びコントローラを備える電子装置が記載されている。この特許には、数学的回帰を実行してルックアップテーブルを生成し、それをマイクロコントローラユニットにインポートすることが記載されている。このように、ルックアップテーブルは、マイクロコントローラユニットに入った後に考慮されるため、当該バッテリの充電の状態を正確に制御することができないという欠点がある。
【発明の概要】
【0009】
そこで、本発明は、バッテリ又はセルの充電又は放電の状態を推定する方法を提案するものであり、この方法は、マイクロコントローラユニットであり得る処理ユニットで直接実行される数学的回帰によって、充電又は放電の状態を決定するための情報を迅速に提供する。
【0010】
これにより、完全に電子回路又はモジュールの動作点を迅速に適合させることが可能となり、上記従来技術の欠点を克服する。本発明は、電圧の測定をより容易かつさらに高精度に行うことを可能にし、上記従来技術の欠点を克服する。
【0011】
この目的のために、本発明は、独立請求項1に記載の低消費電力の充電及び放電制御システムによって実行されるバッテリ又はセルの充電又は放電の状態を推定する方法に関する。
【0012】
推定方法の具体的なステップは、従属請求項 2~8に記載されている。
【0013】
この目的のために、本発明は、独立請求項9に記載のバッテリ又はセルの充電又は放電の状態を推定するための低消費電力の方法を実装するための充電又は放電制御システムにさらに関する。
【0014】
制御システムの特定の実装形態は、請求項 10~12に記載されている。
【0015】
バッテリ又はセルの充電又は放電の状態を推定するための低消費電力の方法の1つの利点は、好ましくは時計である携帯可能な物体のマイクロコントローラユニットで直接決定が実行されることであり、これにより、バッテリ又はセルの充電又は放電の状態を迅速に提供することが可能になる。
【0016】
携帯可能な物体、特に腕時計のバッテリ又はセルの充電又は放電の状態を制御するためのアルゴリズムは、マイクロコントローラユニットに、好ましくは、電子モジュールに組み込まれる。これにより、バッテリの充電又は放電の状態を直接制御して結果を迅速に提供することが可能になる。
【0017】
有利なことに、アルゴリズムがマイクロコントローラユニットで動作するとき、クーロンカウンタが使用されないため、バッテリ又はセルの充電又は放電の状態を決定するために消費される電流が大幅に減少する。これらの条件下では、本発明のバッテリ又はセルの充電又は放電の状態を決定するために消費される電力は非常に少ない。
【0018】
さらに、アルゴリズムの数学的回帰をマイクロコントローラユニットで直接実装することにより、マイクロコントローラユニットのメモリフットプリントが減少する。
【0019】
本発明のマイクロコントローラユニットのアルゴリズムを使用する別の利点は、バッテリ又はセルの温度及び充電と放電との間の切り替え(ヒステリシス及び緩和現象)によって引き起こされるバッテリ又はセル電圧についてのアーチファクトを補償することである。
【図面の簡単な説明】
【0020】
バッテリ又はセルの充電又は放電の状態を推定するための低電力又は低消費の方法及びその方法を実装するためのシステムの目的、利点及び特徴は、図面を参照して与えられる以下の非限定的な説明において明らかになる。
【
図1】本発明によるバッテリ又はセルの充電又は放電の状態を推定するための方法を実装するためのバッテリ又はセルの充電又は放電の状態を制御するための低消費電力のシステムを示す。
【
図2】本発明による腕時計モジュール等の電子モジュールのマイクロコントローラユニットであって、バッテリ又はセルの充電又は放電の状態を少ない電力消費で制御するために、バッテリ又はセルの充電又は放電の状態を制御するアためのルゴリズムが組み込まれたものを示す。
【
図3】異なる温度における低電力消費制御システムにおけるバッテリ又はセルの充電曲線を示す。
【
図4】異なる温度における低電力消費制御システムにおけるバッテリ又はセルの放電曲線を示す。
【発明を実施するための形態】
【0021】
以下の説明は、低消費電力の腕時計等の携帯可能な物体のバッテリ又はセルの充電又は放電の状態を推定する方法、及び腕時計のバッテリ又はセルの充電又は放電の状態を正確に制御するように推定方法を実装するシステムについて説明する。好ましくは、腕時計は、リチウムバッテリの形態のエネルギー源を備えている。しかしながら、他のセルの種類も想定され得る。
【0022】
本発明は、
図1に示すような低電力バッテリ又はセルの充電又は放電の状態を制御又は推定するシステムを指すことに留意されたい。制御又は推定システム1は、バッテリ又はセル2によって電力が供給され、電力管理回路3及び処理ユニット14を備えたモジュール4を備えた携帯可能な物体であってもよい。この方法が実装されると、電力管理回路3は、少なくともバッテリ2の電圧を含むデータ及び/又はパラメータをモジュールの処理ユニット14に通信して、セル2の充電又は放電の状態を制御するためのアルゴリズムを実行する。このアルゴリズムは処理ユニットに記憶される。
【0023】
処理ユニットは、好ましくは、マイクロコントローラユニット14であってもよく、携帯可能な物体は、超低消費電力であり、かつマイクロコントローラユニット14を備えた腕時計モジュール4を備えた電子又は電気機械式腕時計又は時計であってもよい。この電力は、腕時計のバッテリ又はセル2の充電又は放電の状態を推定する方法のために腕時計システムの動作状態において消費されてもよい。
【0024】
低消費電力の電子又は電気機械式腕時計又は時計のための推定システム1の通常動作中に、数μAの電流消費があり得る。
【0025】
携帯可能な物体等の超低消費電力のシステム1のバッテリ又はセル2の充電又は放電の状態を推定する方法は、好ましくは、腕時計又は電子又は電気機械式時計のために実装される。
【0026】
腕時計又は時計のバッテリ又はセル2の充電又は放電を推定するシステム1は、PMICと呼ばれる電力管理集積回路3に接続された少なくともバッテリ又はセル2を備える。通常、この集積回路3は、セル2の充電又は放電の状態を制御するためのアルゴリズムが記憶されたマイクロコントローラユニット14を備える腕時計モジュール4と直接通信することができる。電力管理集積回路3によって実行される通信は、腕時計モジュール4のマイクロコントローラユニット14に記憶されたアルゴリズムを実行するための制御パラメータを含む。マイクロコントローラユニット14におけるアルゴリズムの実行について、バッテリ又はセルの充電又は放電の状態を推定する方法の
図2を参照して以下に説明する。このアルゴリズムの目的は、バッテリ又はセル2の充電又は放電の状態を携帯可能な物体のユーザに迅速に提供することである。
【0027】
バッテリ又はセル2の充電又は放電の状態を推定する方法は、定義された期間の間、自動的に実装され得る。
【0028】
バッテリ又はセル2の充電、又はさらにバッテリ又はセルの放電を推定するシステム1は、マイクロコントローラユニット14に記憶された処理アルゴリズムによってバッテリ又はセルの充電又は放電の状態を直接かつ迅速に決定するためにパラメータとして時計モジュール4のマイクロコントローラユニット14に送信されるように、温度値を電力管理集積回路3に供給する温度センサ6をさらに備えてもよい。さらに、外部エネルギー源5が電力管理集積回路3との直接接続でシステム1に接続され得る。この外部エネルギー源5は、ガルバニ充電器又は誘導充電器であってもよい。
【0029】
図2は、バッテリ又はセルの充電又は放電の状態を制御するアためのルゴリズムが実行される際の全ての処理要素を備えたマイクロコントローラユニット14を示す。第1の機能ブロック24は、バッテリ電圧Vbat及び充電又は放電モードを考慮する。好ましくは、この第1の機能ブロック24は、バッテリの温度及び動作モード(充電又は放電)をさらに考慮することができる。
【0030】
このアルゴリズムは、好ましくは、いくつかの温度レベルで及びいくつかの充電又は放電電流によって、バッテリ又はセルの実際の充電又は放電データに対して実行される数学的回帰を実装する。次いで、回帰の係数がルックアップテーブルに記憶され、測定温度に対して補間される。
【0031】
第1の機能ブロック24の出力は、数学的回帰の初期点としてDC充電電圧(CV;charging voltage)の位相を管理するために第2の機能ブロック34に提供される。DC電圧モードでの充電は、最大充電電流に対するバッテリの充電電流Icpのパーセンテージと、直流(DC)及びDC電圧(CV)の位相又はモードの状態とを使用する。バッテリ電圧がCV DC電圧モードではもはや変化せず、腕時計に供給されるべきエネルギー、例えば充電の状態(SOC)の約15%がまだある場合、充電の状態は、充電電流による数学的回帰によって推定される。
【0032】
充電又は放電の状態セレクタとして定義される第3の機能ブロック44は、第1の機能ブロック24の出力及び第2の機能ブロック34の出力に接続され、DC電流及びDC電圧モード状態によって制御される。このブロック44は、バッテリ電圧からのSOCの数学的回帰によって、CV充電モードと他のモードとの間でSOC値を切り替える役割を果たす。
【0033】
充電電流から放電電流への切り替えは、バッテリのSOCとは完全に無関係な過電圧又は不足電圧のアーチファクトをバッテリ電圧について生成する効果を有する。これは、バッテリ内の電気化学的現象(電荷拡散)によるものである。これらのアーチファクトを「除去」するために、SOC値は、第4の機能ブロック54における測定によって定義される一定時間にわたり、遷移前の以前の状態に維持される。
【0034】
バッテリの充電/放電遷移では、SOC値は、SOCの状態(充電又は放電)を反映しない小さな上昇又は下降を生じている。これが第6の機能ブロック64でSOC値をスライディング平均でフィルタリングする理由である。
【0035】
提案したアルゴリズムは、以下の利点を提供する。
- メモリフットプリントがよりコンパクトになる。
- 温度精度が向上する。
- 緩和現象が考慮される。
- 充電のCV DC電圧位相が考慮される。
- コードがシミュレーションされ、その開発及びパラメータの調整が高速化される。
- コードは自動的に生成される。
【0036】
図3は異なる温度における充電曲線を示す。充電曲線はそれぞれのDC-CV遷移領域を示すが、これらは非常に異なっており、バッテリ温度に依存する。
【0037】
図4は放電曲線を示しており、これらは高温よりも低温で電圧が速く低下することを示している。低エネルギー領域では、バッテリ電圧は非常に急速に低下する。
【0038】
充電又は放電の状態を推定するためのシステムの他の実装形態が、請求項によって定義された本発明の範囲を逸脱することなく、当業者によって構想され得ることは言うまでもない。
【外国語明細書】