(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024137731
(43)【公開日】2024-10-07
(54)【発明の名称】プリント配線板及びその製造方法
(51)【国際特許分類】
H05K 3/46 20060101AFI20240927BHJP
【FI】
H05K3/46 B
H05K3/46 T
【審査請求】未請求
【請求項の数】9
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2024018857
(22)【出願日】2024-02-09
(31)【優先権主張番号】P 2023048417
(32)【優先日】2023-03-24
(33)【優先権主張国・地域又は機関】JP
(71)【出願人】
【識別番号】000000066
【氏名又は名称】味の素株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110002147
【氏名又は名称】弁理士法人酒井国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】大山 秀樹
(72)【発明者】
【氏名】川嶋 愛
(72)【発明者】
【氏名】渡邊 真俊
【テーマコード(参考)】
5E316
【Fターム(参考)】
5E316AA02
5E316AA12
5E316AA32
5E316CC04
5E316CC08
5E316CC09
5E316CC10
5E316CC12
5E316CC16
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5E316DD17
5E316EE33
5E316FF17
5E316GG15
5E316GG17
5E316HH32
(57)【要約】
【課題】プラズマ処理による凹部の形成を効率的に行うことが可能なプリント配線板の製造方法を提供する。
【解決手段】内層基板上に絶縁層を形成する工程と、絶縁層にプラズマ処理を施して凹部を形成する工程と、を含む、プリント配線板の製造方法であって;絶縁層が、無機充填材を含む樹脂組成物の硬化物を含み、無機充填材が、10体積%以上の空孔率を有する無機充填材を含む、プリント配線板の製造方法。
【選択図】
図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
内層基板上に絶縁層を形成する工程と、
絶縁層にプラズマ処理を施して凹部を形成する工程と、を含む、プリント配線板の製造方法であって;
絶縁層が、無機充填材を含む樹脂組成物の硬化物を含み、
無機充填材が、10体積%以上の空孔率を有する無機充填材を含む、プリント配線板の製造方法。
【請求項2】
絶縁層に凹部を形成する工程の前に、絶縁層上に、凹部を形成する部分以外の部分を覆うマスク層を形成する工程を含む、請求項1に記載のプリント配線板の製造方法。
【請求項3】
絶縁層上に導体層を形成する工程を含む、請求項1に記載のプリント配線板の製造方法。
【請求項4】
導体層が、スパッタリング法によって形成される、請求項3に記載のプリント配線板の製造方法。
【請求項5】
空孔率を有する無機充填材が、5μm以下の平均粒径を有する、請求項1に記載のプリント配線板の製造方法。
【請求項6】
空孔率を有する無機充填材の空孔率が、40体積%以上である、請求項1に記載のプリント配線板の製造方法。
【請求項7】
空孔率を有する無機充填材が、無機酸化物を含む、請求項1に記載のプリント配線板の製造方法。
【請求項8】
樹脂組成物の硬化物が、1.8g/cm3以下の密度を有する、請求項1に記載のプリント配線板の製造方法。
【請求項9】
内層基板と、内層基板上に形成された絶縁層と、を備えるプリント配線板であって、
絶縁層が、無機充填材を含む樹脂組成物の硬化物を含み、
無機充填材が、10体積%以上の空孔率を有する無機充填材を含み、
絶縁層には、凹部が形成され、
凹部の面に、空孔率を有する無機充填材の粒子が削られて形成された面部が含まれる、プリント配線板。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、プリント配線板及びその製造方法に関する。
【背景技術】
【0002】
プリント配線板の製造技術として、絶縁層と導体層とを交互に積み重ねるビルドアップ方式による製造方法が知られている。ビルドアップ方式による製造方法において、一般に、絶縁層は樹脂組成物を硬化させた硬化物によって形成される(特許文献1~3)。絶縁層の線熱膨張係数(CTE)を低くしてプリント配線板の反りを抑制するため、絶縁層の形成には、無機充填材を含む樹脂組成物がしばしば用いられる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2022-60800号公報
【特許文献2】特開2022-66981号公報
【特許文献3】特開2022-039763号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
プリント配線板の絶縁層には、トレンチ及びビアホール等の凹部が形成されることがあった。絶縁層上に導体層を形成する方法としては、従来、炭酸ガスレーザーによるレーザー加工で凹部を形成し、酸化剤溶液を用いてスミアを除去する湿式デスミア処理を行った後、湿式の無電解めっきを行うことが一般的であった。ここで「スミア」とは、レーザー加工によって形成される樹脂残渣を表す。
【0005】
しかし、前記のような湿式プロセスは、廃液が発生するので、環境負荷の点で課題がある。そこで、近年は、湿式プロセスを乾式プロセスに置き換える技術の開発が求められている。
【0006】
乾式プロセスの一つとして、本発明者は、プラズマ処理によって絶縁層に凹部を形成する方法を検討した。プラズマ処理は、凹部内でのスミアの形成を抑制できること、凹部の寸法を小さくできること、廃液を生じないので環境負荷の軽減が可能であること、といった利点がある。一方で、プラズマ処理では、炭酸ガスレーザーを用いるレーザー加工と比較して、加工性が低いという課題があった。
【0007】
本発明は、前記の課題に鑑みて創案されたもので、プラズマ処理による凹部の形成を効率的に行うことが可能なプリント配線板の製造方法;及び、当該製造方法で製造できるプリント配線板;を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明者は、前記の課題を解決するべく鋭意検討した。その結果、本発明者は、特定の空孔率を有する無機充填材を含む樹脂組成物の硬化物で形成された絶縁層に、プラズマ処理によって効率的に凹部を形成できることを見出し、本発明を完成させた。
すなわち、本発明は、下記のものを含む。
【0009】
[1] 内層基板上に絶縁層を形成する工程と、
絶縁層にプラズマ処理を施して凹部を形成する工程と、を含む、プリント配線板の製造方法であって;
絶縁層が、無機充填材を含む樹脂組成物の硬化物を含み、
無機充填材が、10体積%以上の空孔率を有する無機充填材を含む、プリント配線板の製造方法。
[2] 絶縁層に凹部を形成する工程の前に、絶縁層上に、凹部を形成する部分以外の部分を覆うマスク層を形成する工程を含む、[1]に記載のプリント配線板の製造方法。
[3] 絶縁層上に導体層を形成する工程を含む、[1]又は[2]に記載のプリント配線板の製造方法。
[4] 導体層が、スパッタリング法によって形成される、[3]に記載のプリント配線板の製造方法。
[5] 空孔率を有する無機充填材が、5μm以下の平均粒径を有する、[1]~[4]のいずれか1項に記載のプリント配線板の製造方法。
[6] 空孔率を有する無機充填材の空孔率が、40体積%以上である、[1]~[5]のいずれか1項に記載のプリント配線板の製造方法。
[7] 空孔率を有する無機充填材が、無機酸化物を含む、[1]~[6]のいずれか1項に記載のプリント配線板の製造方法。
[8] 樹脂組成物の硬化物が、1.8g/cm3以下の密度を有する、[1]~[7]のいずれか1項に記載のプリント配線板の製造方法。
[9] 内層基板と、内層基板上に形成された絶縁層と、を備えるプリント配線板であって、
絶縁層が、無機充填材を含む樹脂組成物の硬化物を含み、
無機充填材が、10体積%以上の空孔率を有する無機充填材を含み、
絶縁層には、凹部が形成され、
凹部の面に、空孔率を有する無機充填材の粒子が削られて形成された面部が含まれる、プリント配線板。
【発明の効果】
【0010】
本発明によれば、プラズマ処理による凹部の形成を効率的に行うことが可能なプリント配線板の製造方法;及び、当該製造方法で製造できるプリント配線板;を提供できる。
【図面の簡単な説明】
【0011】
【
図1】
図1は、本発明の一実施形態に係る製造されたプリント配線板の一例の内層基板及び絶縁層を模式的に示す断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0012】
以下、本発明について実施形態及び例示物を示して説明する。ただし、本発明は、下記に示す実施形態及び例示物に限定されるものではなく、特許請求の範囲及びその均等の範囲を逸脱しない範囲において任意に変更して実施されうる。
【0013】
以下の説明において、「誘電率」とは、別に断らない限り「比誘電率」を表す。
【0014】
以下の説明において、用語「(メタ)アクリル」とは、アクリル、メタクリル及びその組み合わせを包含する。また、用語「(メタ)アクリレート」とは、アクリレート、メタクリレート及びその組み合わせを包含する。さらに、用語「(メタ)アクリロニトリル」とは、アクリロニトリル、メタクリロニトリル及びその組み合わせを包含する。
【0015】
<プリント配線板の製造方法の概要>
本発明の一実施形態に係るプリント配線板の製造方法は、
内層基板上に絶縁層を形成する工程(I)と、
絶縁層にプラズマ処理を施して凹部を形成する工程(III)と、
を含む。絶縁層は、無機充填材を含む樹脂組成物の硬化物を含む。そして、無機充填材は、特定の範囲の空孔率を有する無機充填材を含む。
【0016】
このような製造方法によれば、工程(III)においてプラズマ処理によって凹部を形成するときに、凹部の形成を効率的に行うことが可能である。よって、ビアホール及びトレンチ等の凹部を短時間で形成することができるから、プリント配線板の製造効率を高めることができる。また、この製造方法で製造されるプリント配線板においては、通常、絶縁層の比誘電率を低くすることができる。
【0017】
本実施形態に係るプリント配線板の製造方法は、前記の工程(I)及び工程(III)に組み合わせて、更に任意の工程を含んでいてもよい。例えば、プリント配線板の製造方法は、絶縁層に凹部を形成する工程(III)の前に、絶縁層上に、凹部を形成する部分以外の部分を覆うマスク層を形成する工程(II)を含んでいてもよい。また、例えば、プリント配線板の製造方法は、絶縁層に凹部を形成する工程(III)の後に、マスク層を除去する工程(IV)を含んでいてもよい。さらに、例えば、プリント配線板の製造方法は、絶縁層上に導体層を形成する工程(V)を含んでいてもよい。導体層を形成する工程(V)は、当該導体層を形成する方法に応じて、凹部を形成する工程(III)の前に行ってもよく、工程(III)の後に行ってもよい。
【0018】
<内層基板>
工程(I)で用いる「内層基板」とは、プリント配線板の基板となる部材であって、例えば、ガラスエポキシ基板、金属基板、ポリエステル基板、ポリイミド基板、BTレジン基板、熱硬化型ポリフェニレンエーテル基板等が挙げられる。また、該基板は、その片面又は両面に導体層を有していてもよく、この導体層はパターン加工されていてもよい。内層基板が備える導体層を、以下「基板導体層」ということがある。例えば、回路基板は、支持基板と、支持基板の表面に設けられた基板導体層とを備えていてもよい。この場合、内層基板の基板導体層は、通常、当該内層基板の主表面に露出している。このように基板の片面または両面に基板導体層(回路)が形成された内層基板は「内層回路基板」ということがある。また、プリント配線板を製造する際に、さらに絶縁層及び/又は導体層が形成されるべき中間製造物も、前記の「内層基板」に含まれる。プリント配線板が部品内蔵回路板である場合、部品を内蔵した内層基板を使用してもよい。
【0019】
<樹脂組成物>
工程(I)では、内層基板上に、樹脂組成物の硬化物を含む絶縁層を形成する。よって、絶縁層は、通常、樹脂組成物を用いて形成される。この樹脂組成物は、(A)無機充填材を含み、更に通常は(B)硬化性樹脂を含む。
【0020】
-(A)無機充填材-
(A)成分としての(A)無機充填材は、通常、粒子の状態で樹脂組成物に含まれ、その粒子状の形態を維持したまま硬化物に含まれる。(A)無機充填材の材料としては、無機化合物を用いうる。(A)無機充填材の材料としては、例えば、シリカ、アルミナ、ガラス、コーディエライト、シリコン酸化物、硫酸バリウム、炭酸バリウム、タルク、クレー、雲母粉、酸化亜鉛、ハイドロタルサイト、ベーマイト、水酸化アルミニウム、水酸化マグネシウム、炭酸カルシウム、炭酸マグネシウム、酸化マグネシウム、窒化ホウ素、窒化アルミニウム、窒化マンガン、ホウ酸アルミニウム、炭酸ストロンチウム、チタン酸ストロンチウム、チタン酸カルシウム、チタン酸マグネシウム、チタン酸ビスマス、酸化チタン、酸化ジルコニウム、チタン酸バリウム、チタン酸ジルコン酸バリウム、ジルコン酸バリウム、ジルコン酸カルシウム、リン酸ジルコニウム、及びリン酸タングステン酸ジルコニウム等が挙げられる。中でも、無機酸化物が好ましい。
【0021】
無機酸化物には、無機複合酸化物が包含される。無機複合酸化物とは、金属原子及び半金属原子からなる群より選ばれる2種類以上の原子を含む酸化物を表す。このような無機複合酸化物としては、ケイ素と、ケイ素以外の金属原子及び半金属原子からなる群より選ばれる1種類以上の原子との組み合わせを含む酸化物が好ましい。ケイ素と組み合わせる金属原子としては、アルミニウム、鉛、ニッケル、コバルト、銅、亜鉛、ジルコニウム、鉄、リチウム、マグネシウム、バリウム、カリウム、カルシウム、チタン、ホウ素、ナトリウム等が挙げられ、中でも、アルミニウムが特に好ましい。よって、無機複合酸化物としては、ケイ素及びアルミニウムを含む酸化物が好ましく、アルミノシリケートが特に好ましい。
【0022】
これらの(A)無機充填材の材料の中でも、無機酸化物が好ましく、シリカ、アルミナ及びアルミノシリケートが更に好ましく、シリカが特に好ましい。(A)無機充填材は、1種類を単独で用いてもよく、2種以上を組み合わせて用いてもよい。
【0023】
(A)無機充填材は、内部に空孔を有する無機充填材と、内部に空孔を有さない無機充填材とに分類できる。内部に空孔を有する無機充填材は、空孔を有するので、通常、0体積%より大きい空孔率を有する。本実施形態に係るプリント配線板の製造方法においては、(A)無機充填材が、(A-1)特定の範囲の空孔率を有する無機充填材を含む。この(A-1)特定の範囲の空孔率を有する無機充填材を、以下「(A-1)特定無機充填材」ということがある。
【0024】
(A-1)特定無機充填材の空孔率の範囲は、通常10体積%以上、好ましくは15体積%以上、更に好ましくは20体積%以上、更に好ましくは30体積%以上、更に好ましくは40体積%以上、更に好ましくは50体積%以上、特に好ましくは60体積%以上である。かかる範囲の空孔率を有する(A-1)特定無機充填材を(A)無機充填材が含む場合に、プラズマ処理による絶縁層への凹部の形成を効率的に行うことができ、更に通常は、絶縁層の比誘電率を低くできる。(A-1)特定無機充填材の空孔率の範囲の上限は、絶縁層の機械的強度の観点から、好ましくは95体積%以下、より好ましくは90体積%以下、特に好ましくは85体積%以下である。
【0025】
粒子の空孔率P(体積%)は、粒子の外面を基準とした粒子全体の体積に対する粒子内部に1個又は2個以上存在する空孔の合計体積の体積基準割合(空孔の合計体積/粒子の体積)として定義される。この空孔率Pは、粒子の実際の密度の測定値DM(g/cm3)、及び、粒子を形成する材料の物質密度の理論値DT(g/cm3)を用いて、下記式(X1)により算出できる。
【0026】
【0027】
(A-1)特定無機充填材の材料は、上述した(A)無機充填材の材料の範囲と同じでありうる。中でも、(A-1)特定無機充填材が含む材料は、無機酸化物が好ましく、シリカ、アルミナ及びアルミノシリケートが更に好ましく、シリカが特に好ましい。
【0028】
(A-1)特定無機充填材は、粒子内部に1個の空孔のみを有する単空孔粒子であってもよく、粒子内部に2個以上の空孔を有する多空孔粒子であってもよく、単空孔粒子と多空孔粒子との組み合わせであってもよい。
【0029】
(A-1)特定無機充填材の粒子は、一般に、当該粒子内に形成された空孔と、この空孔を囲む無機化合物で形成された外殻部とを有する。空孔は、外殻部によって粒子外部から区画されていてもよく、外殻部によって粒子外部から区画されずに粒子外部に連通していてもよい。空孔が粒子外部と連通した無機充填材としては、例えば、多孔質の無機充填材などが挙げられる。中でも、(A-1)特定無機充填材は、空孔が外部と連通していないことが好ましい。以下、粒子外部と連通してない空孔を有する無機充填材を「中空無機充填材」と呼ぶことがある。このような中空無機充填材の外殻部は、通常、空孔と粒子外部とを連通する孔を有さない無気孔の殻である。外殻部が無気孔であることは、透過型電子顕微鏡(TEM)で観察することにより確認できる。
【0030】
(A-1)特定無機充填材の平均粒径の範囲は、好ましくは50μm以下、より好ましくは20μm以下、更に好ましくは10μm以下である。(A-1)特定無機充填材の平均粒径が前記範囲にある場合、プラズマ処理による絶縁層への凹部の形成を特に効率的に行うことができ、更に通常は、絶縁層の比誘電率を効果的に低くできる。更に、絶縁層に形成される凹部の開口形状を意図した通りに精度良く形成する観点では、(A-1)特定無機充填材の平均粒径は、好ましくは5μm以下、より好ましくは4μm以下、特に好ましくは3μm以下である。(A-1)特定無機充填材の平均粒径の範囲の下限は、例えば、0.01μm以上、0.1μm以上、0.3μm以上などでありうる。
【0031】
粒子の平均粒径は、ミー(Mie)散乱理論に基づくレーザー回折・散乱法により測定することができる。具体的には、レーザー回折散乱式粒径分布測定装置により、粒子の粒径分布を体積基準で作成し、そのメディアン径を平均粒径とすることで測定することができる。無機充填材の測定サンプルは、無機充填材100mg、メチルエチルケトン10gをバイアル瓶に秤取り、超音波にて10分間分散させたものを使用することができる。測定サンプルを、レーザー回折式粒径分布測定装置を使用して、使用光源波長を青色及び赤色とし、フローセル方式で無機充填材の体積基準の粒径分布を測定し、得られた粒径分布からメディアン径として平均粒径を算出しうる。レーザー回折式粒径分布測定装置としては、例えば堀場製作所社製「LA-960」等が挙げられる。
【0032】
(A-1)特定無機充填材のBET比表面積の範囲は、好ましくは1m2/g以上、より好ましくは2m2/g以上、特に好ましくは5m2/g以上であり、好ましくは100m2/g以下、より好ましくは50m2/g以下、特に好ましくは30m2/g以下である。(A-1)特定無機充填材のBET比表面積が前記範囲にある場合、プラズマ処理による絶縁層への凹部の形成を効率的に行うことができ、更に通常は、絶縁層の比誘電率を低くできる。粒子のBET比表面積は、BET法に従って、比表面積測定装置(マウンテック社製Macsorb HM-1210)を使用して試料表面に窒素ガスを吸着させ、BET多点法を用いて比表面積を算出することで測定できる。
【0033】
(A-1)特定無機充填材は、市販品を用いてもよく、常法により製造したものを用いてもよい。(A-1)特定無機充填材は、1種類を単独で用いてもよく、2種類以上を組み合わせて用いてもよい。
【0034】
(A-1)特定無機充填材は、耐湿性及び分散性を高める観点から、表面処理剤で処理されていることが好ましい。表面処理剤としては、例えば、フッ素含有シランカップリング剤、アミノシラン系カップリング剤、エポキシシラン系カップリング剤、メルカプトシラン系カップリング剤、シラン系カップリング剤、アルコキシシラン、オルガノシラザン化合物、チタネート系カップリング剤等が挙げられる。表面処理剤は、1種類を単独で用いてもよく、2種類以上を任意に組み合わせて用いてもよい。
【0035】
表面処理剤の市販品としては、例えば、信越化学工業社製「KBM403」(3-グリシドキシプロピルトリメトキシシラン)、信越化学工業社製「KBM803」(3-メルカプトプロピルトリメトキシシラン)、信越化学工業社製「KBE903」(3-アミノプロピルトリエトキシシラン)、信越化学工業社製「KBM573」(N-フェニル-3-アミノプロピルトリメトキシシラン)、信越化学工業社製「SZ-31」(ヘキサメチルジシラザン)、信越化学工業社製「KBM103」(フェニルトリメトキシシラン)、信越化学工業社製「KBM-4803」(長鎖エポキシ型シランカップリング剤)、信越化学工業社製「KBM-7103」(3,3,3-トリフルオロプロピルトリメトキシシラン)等が挙げられる。
【0036】
表面処理剤による表面処理の程度は、分散性向上の観点から、特定の範囲に収まることが好ましい。具体的には、(A-1)特定無機充填材100質量%は、0.2質量%~20質量%の表面処理剤で表面処理されていることが好ましく、0.2質量%~16質量%の表面処理剤で表面処理されていることがより好ましく、0.3質量%~12質量%の表面処理剤で表面処理されていることがさらに好ましい。
【0037】
表面処理剤による表面処理の程度は、(A-1)特定無機充填材の単位表面積当たりのカーボン量によって評価することができる。(A-1)特定無機充填材の単位表面積当たりのカーボン量の範囲は、(A-1)特定無機充填材の分散性向上の観点から、0.02mg/m2以上が好ましく、0.1mg/m2以上がより好ましく、0.2mg/m2以上がさらに好ましい。一方、樹脂組成物の溶融粘度の上昇を防止する観点から、1.0mg/m2以下が好ましく、0.8mg/m2以下がより好ましく、0.5mg/m2以下がさらに好ましい。
【0038】
無機充填材の単位表面積当たりのカーボン量は、表面処理後の無機充填材を溶剤(例えば、メチルエチルケトン(MEK))により洗浄処理した後に測定することができる。具体的には、溶剤として十分な量のMEKを表面処理剤で表面処理された無機充填材に加えて、25℃で5分間超音波洗浄する。上澄液を除去し、固形分を乾燥させた後、カーボン分析計を用いて無機充填材の単位表面積当たりのカーボン量を測定することができる。カーボン分析計としては、堀場製作所社製「EMIA-320V」等を使用することができる。
【0039】
(A-1)特定無機充填材の量(質量%)の範囲は、樹脂組成物中の不揮発成分を100質量%とした場合、好ましくは1質量%以上、より好ましくは3質量%以上、更に好ましくは5質量%以上、更に好ましくは6質量%以上、特に好ましくは10質量%以上であり、好ましくは90質量%以下、より好ましくは85質量%以下、更に好ましくは80質量%以下である。(A-1)特定無機充填材の量が前記範囲にある場合、プラズマ処理による絶縁層への凹部の形成を特に効率的に行うことができ、更に通常は、絶縁層の比誘電率を効果的に低くできる。
【0040】
(A-1)特定無機充填材の量(体積%)の範囲は、樹脂組成物中の不揮発成分を100体積%とした場合、好ましくは1体積%以上、より好ましくは3体積%以上、更に好ましくは5体積%以上、更に好ましくは7体積%以上、特に好ましくは10体積%以上であり、好ましくは90体積%以下、より好ましくは80体積%以下、更に好ましくは70体積%以下である。(A-1)特定無機充填材の量が前記範囲にある場合、プラズマ処理による絶縁層への凹部の形成を特に効率的に行うことができ、更に通常は、絶縁層の比誘電率を効果的に低くできる。
【0041】
樹脂組成物に含まれる各成分の体積基準の量(体積%)の範囲は、樹脂組成物に含まれる成分の質量から計算によって求められる。具体的には、質量を比重で割り算して各成分の体積を求め、そうして求めた各成分の体積から計算により体積基準の量(体積%)を求めることができる。
【0042】
(A-1)特定無機充填材の量(質量%)の範囲は、樹脂組成物中の(A)無機充填材の全量100質量%に対して、好ましくは1質量%~100質量%、より好ましくは3質量%~100質量%、更に好ましくは5質量%~100質量%、更に好ましくは10質量%~100質量%、特に好ましくは16体積%~100体積%である。(A-1)特定無機充填材の量が前記範囲にある場合、プラズマ処理による絶縁層への凹部の形成を特に効率的に行うことができ、更に通常は、絶縁層の比誘電率を効果的に低くできる。
【0043】
(A-1)特定無機充填材の量(体積%)の範囲は、樹脂組成物中の(A)無機充填材の全量100体積%に対して、好ましくは1体積%~100体積%、より好ましくは5体積%~100体積%、更に好ましくは8体積%~100体積%、更に好ましくは15体積%~100体積%、更に好ましくは50体積%~100体積%、更に好ましくは70体積%~100体積%、更に好ましくは90体積%~100体積%である。(A-1)特定無機充填材の量が前記範囲にある場合、プラズマ処理による絶縁層への凹部の形成を特に効率的に行うことができ、更に通常は、絶縁層の比誘電率を効果的に低くできる。
【0044】
(A-1)特定無機充填材の量は、樹脂組成物中の不揮発成分の体積100%に対し、(A-1)特定無機充填材が有する空孔の体積の割合が特定の範囲に収まるように設定されることが好ましい。以下、前記の(A-1)特定無機充填材が有する空孔の体積の割合を「(A-1)特定無機充填材の空孔の体積割合」ということがある。樹脂組成物中の不揮発成分の体積100%に対する(A-1)特定無機充填材の空孔の体積割合の具体的範囲は、好ましくは0.1体積%以上、より好ましくは0.5体積%以上、更に好ましくは1.0体積%以上、更に好ましくは1.5体積%以上、更に好ましくは4体積%以上、更に好ましくは6体積%以上、更に好ましくは10質量%以上であり、好ましくは50体積%以下、より好ましくは40体積%以下、さら好ましくは30体積%以下である。(A-1)特定無機充填材の空孔の体積割合が前記範囲にある場合、プラズマ処理による絶縁層への凹部の形成を特に効率的に行うことができ、更に通常は、絶縁層の比誘電率を効果的に低くできる。(A-1)特定無機充填材の空孔の体積は、(A-1)特定無機充填材の体積に空孔率を掛け算して求めることができる。
【0045】
(A)無機充填材は、上述した(A-1)特定無機充填材に組み合わせて、更に(A-2)任意の無機充填材を含んでいてもよい。(A-2)任意の無機充填材としては、例えば、内部に空孔を有さない無機充填材(中実無機充填材)、及び、空孔を有するが特定の範囲の空孔率を有さない無機充填材、が挙げられる。
【0046】
(A-2)任意の無機充填材の市販品としては、例えば、日鉄ケミカル&マテリアル社製の「SP60-05」、「SP507-05」;アドマテックス社製の「YC100C」、「YA050C」、「YA050C-MJE」、「YA010C」、「SC2500SQ」、「SO-C4」、「SO-C2」、「SO-C1」;デンカ社製の「UFP-30」、「DAW-03」、「FB-105FD」;トクヤマ社製の「シルフィルNSS-3N」、「シルフィルNSS-4N」、「シルフィルNSS-5N」;などが挙げられる。(A-2)任意の無機充填材は、1種類を単独で用いてもよく、2種類以上を組み合わせて用いてもよい。
【0047】
(A-2)任意の無機充填材の平均粒径の範囲は、好ましくは0.01μm以上、より好ましくは0.1μm以上、特に好ましくは0.3μm以上であり、好ましくは10μm以下、より好ましくは5μm以下、特に好ましくは3μm以下である。
【0048】
(A-2)任意の無機充填材のBET比表面積の範囲は、好ましくは0.1m2/g以上、より好ましくは0.5m2/g以上、特に好ましくは1m2/g以上であり、好ましくは100m2/g以下、より好ましくは70m2/g以下、特に好ましくは40m2/g以下である。
【0049】
(A-2)任意の無機充填材は、(A-1)特定無機充填材と同じく、表面処理剤で処理されていることが好ましい。
【0050】
(A-1)特定無機充填材及び(A-2)任意の無機充填材の両方を包含した(A)無機充填材全体に含まれる空孔の割合は、(A)無機充填材の空孔率(体積%)として求められる。(A)無機充填材の空孔率(体積%)は、(A)無機充填材の体積に占める空孔の割合を体積基準で表す代表値であり、「空孔の体積/(A)無機充填材の体積」で表される。(A)無機充填材の空孔率の具体的な範囲は、好ましくは0.1体積%以上、より好ましくは0.5体積%以上、更に好ましくは1.0体積%以上、更に好ましくは2.0体積%以上、更に好ましくは9体積%以上、特に好ましくは15体積%以上であり、好ましくは90体積%以下、より好ましくは80体積%以下、更に好ましくは70体積%以下である。
【0051】
(A-1)特定無機充填材及び(A-2)任意の無機充填材の両方を包含した(A)無機充填材全体の平均粒径の範囲は、好ましくは0.01μm以上、より好ましくは0.1μm以上、特に好ましくは0.3μm以上であり、好ましくは5μm以下、より好ましくは4μm以下、特に好ましくは3μm以下である。
【0052】
(A-1)特定無機充填材及び(A-2)任意の無機充填材の両方を包含した(A)無機充填材全体のBET比表面積の範囲は、好ましくは1m2/g以上、より好ましくは2m2/g以上、特に好ましくは5m2/g以上であり、好ましくは100m2/g以下、より好ましくは50m2/g以下、特に好ましくは30m2/g以下である。
【0053】
(A)無機充填材の量(質量%)の範囲は、樹脂組成物中の不揮発成分を100質量%とした場合、好ましくは10質量%以上、より好ましくは15質量%以上、更に好ましくは20質量%以上であり、好ましくは90質量%以下、より好ましくは85質量%以下、更に好ましくは80質量%以下である。(A)無機充填材の量が前記範囲にある場合、プラズマ処理による絶縁層への凹部の形成を特に効率的に行うことができ、更に通常は、絶縁層の比誘電率を効果的に低くできる。
【0054】
(A)無機充填材の量(体積%)の範囲は、樹脂組成物中の不揮発成分を100体積%とした場合、好ましくは20体積%以上、より好ましくは30体積%以上、更に好ましくは40体積%以上であり、好ましくは90体積%以下、より好ましくは80体積%以下、更に好ましくは70体積%以下である。(A)無機充填材の量が前記範囲にある場合、プラズマ処理による絶縁層への凹部の形成を特に効率的に行うことができ、更に通常は、絶縁層の比誘電率を効果的に低くできる。
【0055】
-(B)硬化性樹脂-
樹脂組成物は、通常、(B)成分としての(B)硬化性樹脂を含む。(B)硬化性樹脂は、熱硬化性樹脂及び光硬化性樹脂からなる群より選ばれうる。よって、(B)硬化性樹脂としては、熱硬化性樹脂のみを用いてもよく、光硬化性樹脂のみを用いてもよく、熱硬化性樹脂及び光硬化性樹脂を組み合わせて用いてもよい。また、(B)硬化性樹脂は、1種類を単独で用いてもよく、2種類以上を組み合わせて用いてもよい。
【0056】
熱硬化性樹脂としては、熱を加えられた場合に硬化可能な樹脂を用いることができる。熱硬化性樹脂の例としては、エポキシ樹脂、フェノール樹脂、活性エステル樹脂、シアネート樹脂、カルボジイミド樹脂、酸無水物樹脂、アミン樹脂、ベンゾオキサジン樹脂、チオール樹脂、及び、ラジカル重合性樹脂などが挙げられる。熱硬化性樹脂は、1種類を単独で用いてもよく、2種類以上を組み合わせて用いてもよい。中でも、熱硬化性樹脂は、エポキシ樹脂、フェノール樹脂、活性エステル樹脂、カルボジイミド樹脂及びラジカル重合性樹脂からなる群より選ばれる少なくとも1種類を含むことが好ましい。
【0057】
特に、絶縁層と当該絶縁層上に形成される導体層との密着性を高める観点からは、エポキシ樹脂と、そのエポキシ樹脂と反応して樹脂組成物を硬化させうる樹脂とを組み合わせて用いることが好ましい。エポキシ樹脂と反応して樹脂組成物を硬化させうる樹脂を、以下「硬化剤」と呼ぶことがある。硬化剤としては、例えば、フェノール樹脂、活性エステル樹脂、シアネート樹脂、カルボジイミド樹脂、酸無水物樹脂、アミン樹脂、ベンゾオキサジン樹脂、チオール樹脂などが挙げられる。中でも、フェノール樹脂、活性エステル樹脂、シアネート樹脂及びカルボジイミド樹脂が好ましく、フェノール樹脂、活性エステル樹脂及びカルボジイミド樹脂がより好ましい。また、硬化剤は、1種類を単独で用いてもよく、2種類以上を組み合わせて用いてもよい。
【0058】
エポキシ樹脂は、エポキシ基を有する硬化性樹脂である。エポキシ樹脂としては、例えば、ビキシレノール型エポキシ樹脂、ビスフェノールA型エポキシ樹脂、ビスフェノールF型エポキシ樹脂、ビスフェノールS型エポキシ樹脂、ビスフェノールAF型エポキシ樹脂、ジシクロペンタジエン型エポキシ樹脂、トリスフェノール型エポキシ樹脂、ナフトールノボラック型エポキシ樹脂、フェノールノボラック型エポキシ樹脂、tert-ブチル-カテコール型エポキシ樹脂、ナフタレン型エポキシ樹脂、ナフトール型エポキシ樹脂、アントラセン型エポキシ樹脂、グリシジルアミン型エポキシ樹脂、グリシジルエステル型エポキシ樹脂、クレゾールノボラック型エポキシ樹脂、フェノールアラルキル型エポキシ樹脂、ビフェニル型エポキシ樹脂、線状脂肪族エポキシ樹脂、ブタジエン構造を有するエポキシ樹脂、脂環式エポキシ樹脂、複素環式エポキシ樹脂、スピロ環含有エポキシ樹脂、シクロヘキサン型エポキシ樹脂、シクロヘキサンジメタノール型エポキシ樹脂、ナフチレンエーテル型エポキシ樹脂、トリメチロール型エポキシ樹脂、テトラフェニルエタン型エポキシ樹脂、イソシアヌラート型エポキシ樹脂、フェノールフタルイミジン型エポキシ樹脂等が挙げられる。エポキシ樹脂は、1種類を単独で用いてもよく、2種類以上を組み合わせて用いてもよい。
【0059】
エポキシ樹脂は、耐熱性に優れる硬化物を得る観点から、芳香族構造を含有するエポキシ樹脂を含むことが好ましい。芳香族構造とは、一般に芳香族と定義される化学構造であり、多環芳香族及び芳香族複素環をも含む。芳香族構造を含有するエポキシ樹脂としては、例えば、ビスフェノールA型エポキシ樹脂、ビスフェノールF型エポキシ樹脂、ビスフェノールS型エポキシ樹脂、ビスフェノールAF型エポキシ樹脂、ジシクロペンタジエン型エポキシ樹脂、トリスフェノール型エポキシ樹脂、ナフトールノボラック型エポキシ樹脂、フェノールノボラック型エポキシ樹脂、tert-ブチル-カテコール型エポキシ樹脂、ナフタレン型エポキシ樹脂、ナフトール型エポキシ樹脂、アントラセン型エポキシ樹脂、ビシキレノール型エポキシ樹脂、芳香族構造を有するグリシジルアミン型エポキシ樹脂、芳香族構造を有するグリシジルエステル型エポキシ樹脂、クレゾールノボラック型エポキシ樹脂、ビフェニル型エポキシ樹脂、芳香族構造を有する線状脂肪族エポキシ樹脂、芳香族構造を有するブタジエン構造を有するエポキシ樹脂、芳香族構造を有する脂環式エポキシ樹脂、複素環式エポキシ樹脂、芳香族構造を有するスピロ環含有エポキシ樹脂、芳香族構造を有するシクロヘキサンジメタノール型エポキシ樹脂、ナフチレンエーテル型エポキシ樹脂、芳香族構造を有するトリメチロール型エポキシ樹脂、芳香族構造を有するテトラフェニルエタン型エポキシ樹脂等が挙げられる。
【0060】
(B)硬化性樹脂は、エポキシ樹脂として、1分子中に2個以上のエポキシ基を有するエポキシ樹脂を含むことが好ましい。エポキシ樹脂の不揮発成分100質量%に対して、1分子中に2個以上のエポキシ基を有するエポキシ樹脂の割合は、好ましくは50質量%以上、より好ましくは60質量%以上、特に好ましくは70質量%以上である。
【0061】
エポキシ樹脂には、温度20℃で液状のエポキシ樹脂(以下「液状エポキシ樹脂」ということがある。)と、温度20℃で固体状のエポキシ樹脂(以下「固体状エポキシ樹脂」ということがある。)とがある。樹脂組成物は、エポキシ樹脂として、液状エポキシ樹脂のみを含んでいてもよく、或いは固体状エポキシ樹脂のみを含んでいてもよく、或いは液状エポキシ樹脂と固体状エポキシ樹脂とを組み合わせて含んでいてもよい。
【0062】
液状エポキシ樹脂としては、1分子中に2個以上のエポキシ基を有する液状エポキシ樹脂が好ましい。
【0063】
液状エポキシ樹脂としては、ビスフェノールA型エポキシ樹脂、ビスフェノールF型エポキシ樹脂、ビスフェノールAF型エポキシ樹脂、ナフタレン型エポキシ樹脂、グリシジルエステル型エポキシ樹脂、グリシジルアミン型エポキシ樹脂、フェノールノボラック型エポキシ樹脂、エステル骨格を有する脂環式エポキシ樹脂、シクロヘキサン型エポキシ樹脂、シクロヘキサンジメタノール型エポキシ樹脂、及びブタジエン構造を有するエポキシ樹脂が好ましい。
【0064】
液状エポキシ樹脂の具体例としては、DIC社製の「HP4032」、「HP4032D」、「HP4032SS」(ナフタレン型エポキシ樹脂);三菱ケミカル社製の「828US」、「828EL」、「jER828EL」、「825」、「エピコート828EL」(ビスフェノールA型エポキシ樹脂);三菱ケミカル社製の「jER807」、「1750」(ビスフェノールF型エポキシ樹脂);三菱ケミカル社製の「jER152」(フェノールノボラック型エポキシ樹脂);三菱ケミカル社製の「630」、「630LSD」、「604」(グリシジルアミン型エポキシ樹脂);ADEKA社製の「ED-523T」(グリシロール型エポキシ樹脂);ADEKA社製の「EP-3950L」、「EP-3980S」(グリシジルアミン型エポキシ樹脂);ADEKA社製の「EP-4088S」(ジシクロペンタジエン型エポキシ樹脂);日鉄ケミカル&マテリアル化学社製の「ZX1059」(ビスフェノールA型エポキシ樹脂とビスフェノールF型エポキシ樹脂の混合品);ナガセケムテックス社製の「EX-721」(グリシジルエステル型エポキシ樹脂);ダイセル社製の「セロキサイド2021P」(エステル骨格を有する脂環式エポキシ樹脂);ダイセル社製の「PB-3600」、日本曹達社製の「JP-100」、「JP-200」(ブタジエン構造を有するエポキシ樹脂);日鉄ケミカル&マテリアル製の「ZX1658」、「ZX1658GS」(液状1,4-グリシジルシクロヘキサン型エポキシ樹脂)等が挙げられる。これらは、1種類単独で用いてもよく、2種類以上を組み合わせて用いてもよい。
【0065】
固体状エポキシ樹脂としては、1分子中に3個以上のエポキシ基を有する固体状エポキシ樹脂が好ましく、1分子中に3個以上のエポキシ基を有する芳香族系の固体状エポキシ樹脂がより好ましい。
【0066】
固体状エポキシ樹脂としては、ビキシレノール型エポキシ樹脂、ナフタレン型エポキシ樹脂、ナフタレン型4官能エポキシ樹脂、ナフトールノボラック型エポキシ樹脂、クレゾールノボラック型エポキシ樹脂、ジシクロペンタジエン型エポキシ樹脂、トリスフェノール型エポキシ樹脂、ナフトール型エポキシ樹脂、ビフェニル型エポキシ樹脂、ナフチレンエーテル型エポキシ樹脂、アントラセン型エポキシ樹脂、ビスフェノールA型エポキシ樹脂、ビスフェノールAF型エポキシ樹脂、フェノールアラルキル型エポキシ樹脂、テトラフェニルエタン型エポキシ樹脂、フェノールフタルイミジン型エポキシ樹脂が好ましい。
【0067】
固体状エポキシ樹脂の具体例としては、DIC社製の「HP4032H」(ナフタレン型エポキシ樹脂);DIC社製の「HP-4700」、「HP-4710」(ナフタレン型4官能エポキシ樹脂);DIC社製の「N-690」(クレゾールノボラック型エポキシ樹脂);DIC社製の「N-695」(クレゾールノボラック型エポキシ樹脂);DIC社製の「HP-7200」、「HP-7200HH」、「HP-7200H」、「HP-7200L」(ジシクロペンタジエン型エポキシ樹脂);DIC社製の「EXA-7311」、「EXA-7311-G3」、「EXA-7311-G4」、「EXA-7311-G4S」、「HP6000」(ナフチレンエーテル型エポキシ樹脂);日本化薬社製の「EPPN-502H」(トリスフェノール型エポキシ樹脂);日本化薬社製の「NC7000L」(ナフトールノボラック型エポキシ樹脂);日本化薬社製の「NC3000H」、「NC3000」、「NC3000L」、「NC3000FH」、「NC3100」(ビフェニル型エポキシ樹脂);日鉄ケミカル&マテリアル社製の「ESN475V」、「ESN4100V」(ナフタレン型エポキシ樹脂);日鉄ケミカル&マテリアル社製の「ESN485」(ナフトール型エポキシ樹脂);日鉄ケミカル&マテリアル社製の「ESN375」(ジヒドロキシナフタレン型エポキシ樹脂);三菱ケミカル社製の「YX4000H」、「YX4000」、「YX4000HK」、「YL7890」(ビキシレノール型エポキシ樹脂);三菱ケミカル社製の「YL6121」(ビフェニル型エポキシ樹脂);三菱ケミカル社製の「YX8800」(アントラセン型エポキシ樹脂);三菱ケミカル社製の「YX7700」(フェノールアラルキル型エポキシ樹脂);大阪ガスケミカル社製の「PG-100」、「CG-500」;三菱ケミカル社製の「YX7760」(ビスフェノールAF型エポキシ樹脂);三菱ケミカル社製の「YL7800」(フルオレン型エポキシ樹脂);三菱ケミカル社製の「jER1010」(ビスフェノールA型エポキシ樹脂);三菱ケミカル社製の「jER1031S」(テトラフェニルエタン型エポキシ樹脂);日本化薬社製の「WHR991S」(フェノールフタルイミジン型エポキシ樹脂)等が挙げられる。これらは、1種類単独で用いてもよく、2種類以上を組み合わせて用いてもよい。
【0068】
エポキシ樹脂として、液状エポキシ樹脂と固体状エポキシ樹脂とを組み合わせて用いる場合、それらの質量比(液状エポキシ樹脂:固体状エポキシ樹脂)は、好ましくは20:1~1:20、より好ましくは10:1~1:10、特に好ましくは7:1~1:7である。
【0069】
エポキシ樹脂のエポキシ当量の範囲は、好ましくは50g/eq.~5,000g/eq.、より好ましくは60g/eq.~3,000g/eq.、さらに好ましくは80g/eq.~2,000g/eq.、特に好ましくは110g/eq.~1,000g/eq.である。エポキシ当量は、エポキシ基1当量あたりの樹脂の質量を表す。このエポキシ当量は、JIS K7236に従って測定することができる。
【0070】
エポキシ樹脂の重量平均分子量(Mw)の範囲は、好ましくは100~5,000、より好ましくは250~3,000、さらに好ましくは400~1,500である。樹脂の重量平均分子量は、ゲルパーミエーションクロマトグラフィー(GPC)法により、ポリスチレン換算の値として測定できる。
【0071】
エポキシ樹脂の量の範囲は、樹脂組成物中の不揮発成分を100質量%とした場合、好ましくは1質量%以上、より好ましくは2質量%以上、更に好ましくは5質量%以上であり、好ましくは50質量%以下、より好ましくは40質量%以下、更に好ましくは30質量%以下である。エポキシ樹脂の量が前記範囲にある場合、プラズマ処理による絶縁層への凹部の形成を特に効率的に行うことができ、更に通常は、絶縁層の比誘電率を効果的に低くできる。
【0072】
エポキシ樹脂の量の範囲は、樹脂組成物中の樹脂成分を100質量%とした場合、好ましくは5質量%以上、より好ましくは10質量%以上、更に好ましくは20質量%以上であり、好ましくは80質量%以下、より好ましくは70質量%以下、更に好ましくは60質量%以下である。樹脂組成物の樹脂成分とは、別に断らない限り、樹脂組成物の不揮発成分のうち、(A)無機充填材を除いた成分を表す。エポキシ樹脂の量が前記範囲にある場合、プラズマ処理による絶縁層への凹部の形成を特に効率的に行うことができ、更に通常は、絶縁層の比誘電率を効果的に低くできる。
【0073】
活性エステル樹脂としては、一般にフェノールエステル類、チオフェノールエステル類、N-ヒドロキシアミンエステル類、複素環ヒドロキシ化合物のエステル類等の、反応活性の高いエステル基を1分子中に2個以上有する化合物が好ましく用いられる。活性エステル樹脂は、エポキシ樹脂と組み合わせた場合にエポキシ樹脂と反応して樹脂組成物を硬化させうるので、「活性エステル系硬化剤」ということがある。当該活性エステル樹脂は、カルボン酸化合物及び/又はチオカルボン酸化合物とヒドロキシ化合物及び/又はチオール化合物との縮合反応によって得られるものが好ましい。特に耐熱性向上の観点から、カルボン酸化合物とヒドロキシ化合物とから得られる活性エステル樹脂が好ましく、カルボン酸化合物とフェノール化合物及び/又はナフトール化合物とから得られる活性エステル樹脂がより好ましい。カルボン酸化合物としては、例えば安息香酸、酢酸、コハク酸、マレイン酸、イタコン酸、フタル酸、イソフタル酸、テレフタル酸、ピロメリット酸等が挙げられる。フェノール化合物又はナフトール化合物としては、例えば、ハイドロキノン、レゾルシン、ビスフェノールA、ビスフェノールF、ビスフェノールS、フェノールフタリン、メチル化ビスフェノールA、メチル化ビスフェノールF、メチル化ビスフェノールS、フェノール、o-クレゾール、m-クレゾール、p-クレゾール、カテコール、α-ナフトール、β-ナフトール、1,5-ジヒドロキシナフタレン、1,6-ジヒドロキシナフタレン、2,6-ジヒドロキシナフタレン、ジヒドロキシベンゾフェノン、トリヒドロキシベンゾフェノン、テトラヒドロキシベンゾフェノン、フロログルシン、ベンゼントリオール、ジシクロペンタジエン型ジフェノール化合物、フェノールノボラック等が挙げられる。ここで、「ジシクロペンタジエン型ジフェノール化合物」とは、ジシクロペンタジエン1分子にフェノール2分子が縮合して得られるジフェノール化合物をいう。
【0074】
具体的には、活性エステル樹脂としては、ジシクロペンタジエン型活性エステル樹脂、ナフタレン構造を含むナフタレン型活性エステル樹脂、フェノールノボラックのアセチル化物を含む活性エステル樹脂、フェノールノボラックのベンゾイル化物を含む活性エステル樹脂が好ましく、中でもジシクロペンタジエン型活性エステル樹脂、及びナフタレン型活性エステル樹脂から選ばれる少なくとも1種であることがより好ましい。ジシクロペンタジエン型活性エステル樹脂としては、ジシクロペンタジエン型ジフェノール構造を含む活性エステル樹脂が好ましい。
【0075】
活性エステル樹脂の市販品としては、例えば、ジシクロペンタジエン型ジフェノール構造を含む活性エステル樹脂として、「EXB9451」、「EXB9460」、「EXB9460S」、「EXB-8000L」、「EXB-8000L-65M」、「EXB-8000L-65TM」、「HPC-8000L-65TM」、「HPC-8000」、「HPC-8000-65T」、「HPC-8000H」、「HPC-8000H-65TM」(DIC社製);ナフタレン構造を含む活性エステル樹脂として「HP-B-8151-62T」、「EXB-8100L-65T」、「EXB-8150-60T」、「EXB-8150-62T」、「EXB-9416-70BK」、「HPC-8150-60T」、「HPC-8150-62T」、「EXB-8」(DIC社製);りん含有活性エステル樹脂として、「EXB9401」(DIC社製);フェノールノボラックのアセチル化物である活性エステル樹脂として「DC808」(三菱ケミカル社製);フェノールノボラックのベンゾイル化物である活性エステル樹脂として「YLH1026」、「YLH1030」、「YLH1048」(三菱ケミカル社製);スチリル基及びナフタレン構造を含む活性エステル樹脂として「PC1300-02-65MA」(エア・ウォーター社製)等が挙げられる。
【0076】
活性エステル樹脂の量の範囲は、樹脂組成物中の不揮発成分を100質量%とした場合、好ましくは1質量%以上、より好ましくは5質量%以上、更に好ましくは10質量%以上であり、好ましくは50質量%以下、より好ましくは40質量%以下、更に好ましくは30質量%以下である。活性エステル樹脂の量が前記範囲にある場合、プラズマ処理による絶縁層への凹部の形成を特に効率的に行うことができ、更に通常は、絶縁層の比誘電率を効果的に低くできる。
【0077】
活性エステル樹脂の量の範囲は、樹脂組成物中の樹脂成分を100質量%とした場合、好ましくは10質量%以上、より好ましくは20質量%以上、更に好ましくは30質量%以上であり、好ましくは70質量%以下、より好ましくは60質量%以下、更に好ましくは50質量%以下である。活性エステル樹脂の量が前記範囲にある場合、プラズマ処理による絶縁層への凹部の形成を特に効率的に行うことができ、更に通常は、絶縁層の比誘電率を効果的に低くできる。
【0078】
エポキシ樹脂と活性エステル樹脂とを組み合わせて用いる場合、本発明の効果を顕著に得る観点から、エポキシ樹脂と活性エステル樹脂との質量比(活性エステル樹脂/エポキシ樹脂)は、特定の範囲にあることが好ましい。質量比(活性エステル樹脂/エポキシ樹脂)の具体的範囲は、好ましく0.1以上、より好ましくは0.4以上、更に好ましくは0.8以上であり、好ましくは2.0以下、より好ましくは1.6以下、更に好ましくは1.2以下である。
【0079】
フェノール樹脂としては、ベンゼン環、ナフタレン環等の芳香環に結合した水酸基を1分子中に1個以上、好ましくは2個以上有する化合物を用いうる。フェノール樹脂は、エポキシ樹脂と組み合わせた場合にエポキシ樹脂と反応して樹脂組成物を硬化させうるので、「フェノール系硬化剤」ということがある。耐熱性及び耐水性の観点からは、ノボラック構造を有するフェノール樹脂が好ましい。また、密着性の観点からは、含窒素フェノール樹脂が好ましく、トリアジン骨格含有フェノール樹脂がより好ましい。中でも、耐熱性、耐水性、及び密着性を高度に満足させる観点から、トリアジン骨格含有フェノールノボラック樹脂が好ましい。フェノール樹脂の具体例としては、例えば、明和化成社製の「MEH-7700」、「MEH-7810」、「MEH-7851」、日本化薬社製の「NHN」、「CBN」、「GPH」、日鉄ケミカル&マテリアル社製の「SN-170」、「SN-180」、「SN-190」、「SN-475」、「SN-485」、「SN-495」、「SN-375」、「SN-395」、DIC社製の「LA-7052」、「LA-7054」、「LA-3018」、「LA-3018-50P」、「LA-1356」、「TD2090」、「TD-2090-60M」等が挙げられる。
【0080】
フェノール樹脂の量の範囲は、樹脂組成物中の不揮発成分を100質量%とした場合、好ましくは0.1質量%以上、より好ましくは0.5質量%以上、更に好ましくは1質量%以上であり、好ましくは30質量%以下、より好ましくは20質量%以下、更に好ましくは10質量%以下である。フェノール樹脂の量が前記範囲にある場合、プラズマ処理による絶縁層への凹部の形成を特に効率的に行うことができ、更に通常は、絶縁層の比誘電率を効果的に低くできる。
【0081】
フェノール樹脂の量の範囲は、樹脂組成物中の樹脂成分を100質量%とした場合、好ましくは0.1質量%以上、より好ましくは1質量%以上、更に好ましくは2質量%以上であり、好ましくは30質量%以下、より好ましくは20質量%以下、更に好ましくは10質量%以下である。フェノール樹脂の量が前記範囲にある場合、プラズマ処理による絶縁層への凹部の形成を特に効率的に行うことができ、更に通常は、絶縁層の比誘電率を効果的に低くできる。
【0082】
カルボジイミド樹脂としては、1分子内中に1個以上、好ましくは2個以上のカルボジイミド構造を有する化合物を用いうる。カルボジイミド樹脂は、エポキシ樹脂と組み合わせた場合にエポキシ樹脂と反応して樹脂組成物を硬化させうるので、「カルボジイミド系硬化剤」ということがある。カルボジイミド樹脂の具体例としては、テトラメチレン-ビス(t-ブチルカルボジイミド)、シクロヘキサンビス(メチレン-t-ブチルカルボジイミド)等の脂肪族ビスカルボジイミド;フェニレン-ビス(キシリルカルボジイミド)等の芳香族ビスカルボジイミド等のビスカルボジイミド;ポリヘキサメチレンカルボジイミド、ポリトリメチルヘキサメチレンカルボジイミド、ポリシクロヘキシレンカルボジイミド、ポリ(メチレンビスシクロヘキシレンカルボジイミド)、ポリ(イソホロンカルボジイミド)等の脂肪族ポリカルボジイミド;ポリ(フェニレンカルボジイミド)、ポリ(ナフチレンカルボジイミド)、ポリ(トリレンカルボジイミド)、ポリ(メチルジイソプロピルフェニレンカルボジイミド)、ポリ(トリエチルフェニレンカルボジイミド)、ポリ(ジエチルフェニレンカルボジイミド)、ポリ(トリイソプロピルフェニレンカルボジイミド)、ポリ(ジイソプロピルフェニレンカルボジイミド)、ポリ(キシリレンカルボジイミド)、ポリ(テトラメチルキシリレンカルボジイミド)、ポリ(メチレンジフェニレンカルボジイミド)、ポリ[メチレンビス(メチルフェニレン)カルボジイミド]等の芳香族ポリカルボジイミド等のポリカルボジイミドが挙げられる。カルボジイミド樹脂の市販品としては、例えば、日清紡ケミカル社製の「カルボジライトV-02B」、「カルボジライトV-03」、「カルボジライトV-04K」、「カルボジライトV-07」及び「カルボジライトV-09」;ラインケミー社製の「スタバクゾールP」、「スタバクゾールP400」、「ハイカジル510」等が挙げられる。
【0083】
カルボジイミド樹脂の量の範囲は、樹脂組成物中の不揮発成分を100質量%とした場合、好ましくは0.1質量%以上、より好ましくは0.5質量%以上、更に好ましくは1質量%以上であり、好ましくは30質量%以下、より好ましくは20質量%以下、更に好ましくは10質量%以下である。カルボジイミド樹脂の量が前記範囲にある場合、プラズマ処理による絶縁層への凹部の形成を特に効率的に行うことができ、更に通常は、絶縁層の比誘電率を効果的に低くできる。
【0084】
カルボジイミド樹脂の量の範囲は、樹脂組成物中の樹脂成分を100質量%とした場合、好ましくは0.1質量%以上、より好ましくは1質量%以上、更に好ましくは2質量%以上であり、好ましくは30質量%以下、より好ましくは20質量%以下、更に好ましくは10質量%以下である。カルボジイミド樹脂の量が前記範囲にある場合、プラズマ処理による絶縁層への凹部の形成を特に効率的に行うことができ、更に通常は、絶縁層の比誘電率を効果的に低くできる。
【0085】
シアネート樹脂としては、1分子内中に1個以上、好ましくは2個以上のシアネート基を有する化合物を用いうる。シアネート樹脂は、エポキシ樹脂と組み合わせた場合にエポキシ樹脂と反応して樹脂組成物を硬化させうるので、「シアネート系硬化剤」ということがある。シアネート樹脂としては、例えば、ビスフェノールAジシアネート、ポリフェノールシアネート(オリゴ(3-メチレン-1,5-フェニレンシアネート))、4,4’-メチレンビス(2,6-ジメチルフェニルシアネート)、4,4’-エチリデンジフェニルジシアネート、ヘキサフルオロビスフェノールAジシアネート、2,2-ビス(4-シアネート)フェニルプロパン、1,1-ビス(4-シアネートフェニルメタン)、ビス(4-シアネート-3,5-ジメチルフェニル)メタン、1,3-ビス(4-シアネートフェニル-1-(メチルエチリデン))ベンゼン、ビス(4-シアネートフェニル)チオエーテル、及びビス(4-シアネートフェニル)エーテル等の2官能シアネート樹脂、フェノールノボラック及びクレゾールノボラック等から誘導される多官能シアネート樹脂、これらシアネート樹脂が一部トリアジン化したプレポリマーなどが挙げられる。シアネート樹脂の具体例としては、ロンザジャパン社製の「PT30」及び「PT60」(いずれもフェノールノボラック型多官能シアネート樹脂)、「BA230」、「BA230S75」(ビスフェノールAジシアネートの一部又は全部がトリアジン化され三量体となったプレポリマー)等が挙げられる。
【0086】
酸無水物樹脂としては、1分子内中に1個以上、好ましくは2個以上の酸無水物基を有する化合物を用いうる。酸無水物樹脂は、エポキシ樹脂と組み合わせた場合にエポキシ樹脂と反応して樹脂組成物を硬化させうるので、「酸無水物系硬化剤」ということがある。酸無水物樹脂の具体例としては、無水フタル酸、テトラヒドロ無水フタル酸、ヘキサヒドロ無水フタル酸、メチルテトラヒドロ無水フタル酸、メチルヘキサヒドロ無水フタル酸、メチルナジック酸無水物、水素化メチルナジック酸無水物、トリアルキルテトラヒドロ無水フタル酸、ドデセニル無水コハク酸、5-(2,5-ジオキソテトラヒドロ-3-フラニル)-3-メチル-3-シクロヘキセン-1,2-ジカルボン酸無水物、無水トリメリット酸、無水ピロメリット酸、ベンソフェノンテトラカルボン酸二無水物、ビフェニルテトラカルボン酸二無水物、ナフタレンテトラカルボン酸二無水物、オキシジフタル酸二無水物、3,3’-4,4’-ジフェニルスルホンテトラカルボン酸二無水物、1,3,3a,4,5,9b-ヘキサヒドロ-5-(テトラヒドロ-2,5-ジオキソ-3-フラニル)-ナフト[1,2-C]フラン-1,3-ジオン、エチレングリコールビス(アンヒドロトリメリテート)、スチレンとマレイン酸とが共重合したスチレン・マレイン酸樹脂などのポリマー型の酸無水物などが挙げられる。酸無水物樹脂の市販品としては、例えば、新日本理化社製の「HNA-100」、「MH-700」、「MTA-15」、「DDSA」、「OSA」;三菱ケミカル社製の「YH-306」、「YH-307」;日立化成社製の「HN-2200」、「HN-5500」;クレイバレイ社製「EF-30」、「EF-40」「EF-60」、「EF-80」等が挙げられる。
【0087】
アミン樹脂としては、1分子内中に1個以上、好ましくは2個以上のアミノ基を有する化合物を用いうる。アミン樹脂は、エポキシ樹脂と組み合わせた場合にエポキシ樹脂と反応して樹脂組成物を硬化させうるので、「アミン系硬化剤」ということがある。アミン樹脂としては、例えば、脂肪族アミン類、ポリエーテルアミン類、脂環式アミン類、芳香族アミン類等が挙げられ、中でも、芳香族アミン類が好ましい。アミン樹脂は、第1級アミン又は第2級アミンが好ましく、第1級アミンがより好ましい。アミン樹脂の具体例としては、4,4’-メチレンビス(2,6-ジメチルアニリン)、4,4’-ジアミノジフェニルメタン、4,4’-ジアミノジフェニルスルホン、3,3’-ジアミノジフェニルスルホン、m-フェニレンジアミン、m-キシリレンジアミン、ジエチルトルエンジアミン、4,4’-ジアミノジフェニルエーテル、3,3’-ジメチル-4,4’-ジアミノビフェニル、2,2’-ジメチル-4,4’-ジアミノビフェニル、3,3’-ジヒドロキシベンジジン、2,2-ビス(3-アミノ-4-ヒドロキシフェニル)プロパン、3,3-ジメチル-5,5-ジエチル-4,4-ジフェニルメタンジアミン、2,2-ビス(4-アミノフェニル)プロパン、2,2-ビス(4-(4-アミノフェノキシ)フェニル)プロパン、1,3-ビス(3-アミノフェノキシ)ベンゼン、1,3-ビス(4-アミノフェノキシ)ベンゼン、1,4-ビス(4-アミノフェノキシ)ベンゼン、4,4’-ビス(4-アミノフェノキシ)ビフェニル、ビス(4-(4-アミノフェノキシ)フェニル)スルホン、ビス(4-(3-アミノフェノキシ)フェニル)スルホン、等が挙げられる。アミン樹脂の市販品としては、例えば、セイカ社製「SEIKACURE-S」;日本化薬社製の「KAYABOND C-200S」、「KAYABOND C-100」、「カヤハードA-A」、「カヤハードA-B」、「カヤハードA-S」;三菱ケミカル社製の「エピキュアW」;住友精化社製「DTDA」等が挙げられる。
【0088】
ベンゾオキサジン樹脂は、エポキシ樹脂と組み合わせた場合にエポキシ樹脂と反応して樹脂組成物を硬化させうるので、「ベンゾオキサジン系硬化剤」ということがある。ベンゾオキサジン樹脂の具体例としては、JFEケミカル社製の「JBZ-OP100D」、「ODA-BOZ」;昭和高分子社製の「HFB2006M」;四国化成工業社製の「P-d」、「F-a」などが挙げられる。
【0089】
チオール樹脂は、エポキシ樹脂と組み合わせた場合にエポキシ樹脂と反応して樹脂組成物を硬化させうるので、「チオール系硬化剤」ということがある。チオール樹脂としては、例えば、トリメチロールプロパントリス(3-メルカプトプロピオネート)、ペンタエリスリトールテトラキス(3-メルカプトブチレート)、トリス(3-メルカプトプロピル)イソシアヌレート等が挙げられる。
【0090】
硬化剤の活性基当量の範囲は、好ましくは50g/eq.~3000g/eq.、より好ましくは100g/eq.~1000g/eq.、さらに好ましくは100g/eq.~500g/eq.、特に好ましくは100g/eq.~300g/eq.である。活性基当量は、活性基1当量あたりの硬化剤の質量である。
【0091】
エポキシ樹脂のエポキシ基数を1とした場合、硬化剤の活性基数の範囲は、好ましくは0.1以上、より好ましくは0.2以上、更に好ましくは0.5以上であり、好ましくは5.0以下、より好ましくは4.0以下、更に好ましくは3.0以下である。「エポキシ樹脂のエポキシ基数」とは、樹脂組成物中に存在するエポキシ樹脂の不揮発成分の質量をエポキシ当量で割り算した値を全て合計した値を表す。また、「硬化剤の活性基数」とは、樹脂組成物中に存在する硬化剤の不揮発成分の質量を活性基当量で割り算した値を全て合計した値を表す。
【0092】
硬化剤の量の範囲は、樹脂組成物中の不揮発成分を100質量%とした場合、好ましくは1質量%以上、より好ましくは5量%以上、更に好ましくは10質量%以上であり、好ましくは70質量%以下、より好ましくは60質量%以下、更に好ましくは50質量%以下である。硬化剤の量が前記範囲にある場合、プラズマ処理による絶縁層への凹部の形成を特に効率的に行うことができ、更に通常は、絶縁層の比誘電率を効果的に低くできる。
【0093】
硬化剤の量の範囲は、樹脂組成物中の樹脂成分を100質量%とした場合、好ましくは10質量%以上、より好ましくは20質量%以上、更に好ましくは30質量%以上であり、好ましくは80質量%以下、より好ましくは70質量%以下、更に好ましくは60質量%以下である。硬化剤の量が前記範囲にある場合、プラズマ処理による絶縁層への凹部の形成を特に効率的に行うことができ、更に通常は、絶縁層の比誘電率を効果的に低くできる。
【0094】
ラジカル重合性樹脂としては、エチレン性不飽和結合を有する化合物を用いうる。よって、ラジカル重合性樹脂は、エチレン性不飽和結合を含むラジカル重合性基を有しうる。ラジカル重合性基としては、例えば、ビニル基、アリル基、3-シクロヘキセニル基、3-シクロペンテニル基、2-ビニルフェニル基、3-ビニルフェニル基、4-ビニルフェニル基等の不飽和炭化水素基;アクリロイル基、メタクリロイル基、マレイミド基(2,5-ジヒドロ-2,5-ジオキソ-1H-ピロール-1-イル基)等のα,β-不飽和カルボニル基等が挙げられる。ラジカル重合性樹脂が1分子内中に含むラジカル重合性基の数は、1個でもよいが、2個以上が好ましい。ラジカル重合性樹脂は、1種類を単独で用いてもよく、2種類以上を組み合わせて用いてもよい。
【0095】
好ましいラジカル重合性樹脂としては、例えば、スチレン系ラジカル重合性樹脂が挙げられる。スチレン系ラジカル重合性樹脂は、芳香族炭素原子に直接結合した1個以上、好ましくは2個以上のビニル基を有する化合物でありうる。スチレン系ラジカル重合性樹脂としては、例えば、ジビニルベンゼン、2,4-ジビニルトルエン、2,6-ジビニルナフタレン、1,4-ジビニルナフタレン、4,4’-ジビニルビフェニル、1,2-ビス(4-ビニルフェニル)エタン、2,2-ビス(4-ビニルフェニル)プロパン、ビス(4-ビニルフェニル)エーテル等の、低分子量(分子量1000未満)のスチレン系化合物;ビニルベンジル変性ポリフェニレンエーテル樹脂、スチレン-ジビニルベンゼン共重合体等の、高分子量(分子量1000以上)のスチレン系化合物;等が挙げられる。
【0096】
スチレン系ラジカル重合性樹脂としては、ビニルフェニル基を有する変性ポリフェニレンエーテル樹脂が好ましい。ビニルフェニル基には、2-ビニルフェニル基、3-ビニルフェニル基、4-ビニルフェニル基、又はこれらの芳香族炭素原子にさらに1個以上のアルキル基が結合した基が包含されうる。中でも、スチレン系ラジカル重合性樹脂としては、下記式(B-1)で表される樹脂が好ましい。
【0097】
【0098】
(式(B-1)において、
R11及びR12は、それぞれ独立して、アルキル基を示し;
R13、R14、R21、R22、R23及びR24は、それぞれ独立して、水素原子、又はアルキル基を示し;
R31及びR32は、それぞれ独立して、ビニルフェニル基を示し;
Y1は、単結合、-C(Ry)2-、-O-、-CO-、-S-、-SO-、又は-SO2-を示し;
Ryは、それぞれ独立して、水素原子、又はアルキル基を示し;
Y2は、単結合、又はアルキレン基を示し;
pは、0又は1を示し;
q及びrは、それぞれ独立して、1以上の整数を示す。
q単位及びr単位は、それぞれ、単位毎に同一であってもよいし、異なっていてもよい。)
【0099】
式(B-1)において、R11及びR12は、それぞれ独立して、アルキル基を示し、好ましくは、メチル基である。
【0100】
式(B-1)において、R13及びR14は、それぞれ独立して、水素原子、又はアルキル基を示し、好ましくは、水素原子である。
【0101】
式(B-1)において、R21及びR22は、それぞれ独立して、水素原子、又はアルキル基を示し、好ましくは、水素原子、又はメチル基であり、より好ましくは、メチル基である。
【0102】
式(B-1)において、R23及びR24は、それぞれ独立して、水素原子、又はアルキル基を示し、好ましくは、水素原子、又はメチル基である。
【0103】
式(B-1)において、R31及びR32は、それぞれ独立して、ビニルフェニル基を示す。
【0104】
式(B-1)において、Y2は、単結合、又はアルキレン基を示す。アルキレン基とは、直鎖、分枝鎖、及び/又は環状の2価の脂肪族飽和炭化水素基を意味する。アルキレン基は、好ましくは炭素原子数1~14のアルキレン基であり、より好ましくは炭素原子数1~10のアルキレン基であり、特に好ましくは炭素原子数1~6のアルキレン基である。アルキレン基としては、例えば、-CH2-、-CH2-CH2-、-CH(CH3)-、-CH2-CH2-CH2-、-CH2-CH(CH3)-、-CH(CH3)-CH2-、-C(CH3)2-等が挙げられる。好ましくは、Y2が、アルキレン基(特に好ましくは-CH2-)である。
【0105】
式(B-1)において、Y1は、単結合、-C(Ry)2-、-O-、-CO-、-S-、-SO-、又は-SO2-を示し、好ましくは、単結合、-C(Ry)2-、又は-O-であり、特に好ましくは単結合である。Ryは、それぞれ独立して、水素原子、又はアルキル基を示し、好ましくは、水素原子、又はメチル基である。
【0106】
式(B-1)において、pは、0又は1を示し、好ましくは1である。
【0107】
式(B-1)において、q及びrは、それぞれ独立して、1以上の整数を示し、好ましくは、1~200の整数であり、より好ましくは、1~100の整数である。
【0108】
式(B-1)で表される樹脂の具体例としては、例えば、下記式(B-1-1)で表される樹脂が挙げられる。式(B-1-1)で表される樹脂としては、例えば、三菱ガス化学社製の「OPE-2St 1200」、「OPE-2St 2200」(ビニルベンジル変性ポリフェニレンエーテル樹脂)が挙げられる。
【0109】
【0110】
別の好ましいラジカル重合性樹脂としては、例えば、マレイミド系ラジカル重合性樹脂が挙げられる。マレイミド系ラジカル重合性樹脂は、1個以上、好ましくは2個以上のマレイミド基を有する化合物でありうる。マレイミド系ラジカル重合性樹脂は、脂肪族アミン骨格を含む脂肪族マレイミド化合物であってもよく、芳香族アミン骨格を含む芳香族マレイミド化合物であってもよい。中でも、マレイミド系ラジカル重合性樹脂としては、下記式(B-2)で表される樹脂が好ましい。
【0111】
【0112】
(式(B-2)において、
Raは、それぞれ独立して、水素原子、又はアルキル基を示し;
環E、環F及び環Gは、それぞれ独立して、置換基を有していてもよい芳香環を示し;
Zは、それぞれ独立して、単結合、-C(Rz)2-、-O-、-CO-、-S-、-SO-、-SO2-、-CONH-、又は-NHCO-を示し;
Rzは、それぞれ独立して、水素原子、又はアルキル基を示し;
sは、1以上の整数を示し;
tは、それぞれ独立して、0又は1を示し;
uは、それぞれ独立して、0、1、2又は3を示す。
s単位、t単位及びu単位は、それぞれ、単位毎に同一であってもよいし、異なっていてもよい。)
【0113】
式(B-2)において、Raは、それぞれ独立して、水素原子、又はアルキル基を示し、好ましくは、水素原子、又はメチル基であり、より好ましくは水素原子である。
【0114】
式(B-2)において、環E、環F及び環Gは、それぞれ独立して、置換基を有していてもよい芳香環を示し、好ましくは、置換基を有していてもよいベンゼン環であり、より好ましくは、アルキル基及びアリール基から選ばれる基で置換されていてもよいベンゼン環であり、特に好ましくは、無置換のベンゼン環である。
【0115】
式(B-2)において、Zは、それぞれ独立して、単結合、-C(Rz)2-、-O-、-CO-、-S-、-SO-、-SO2-、-CONH-、又は-NHCO-を示し、好ましくは、単結合、-C(Rz)2-、又は-O-であり、より好ましくは、単結合、又は-C(Rz)2-であり、特に好ましくは、単結合である。Rzは、それぞれ独立して、水素原子、又はアルキル基を示し、好ましくは、水素原子、又はメチル基である。
【0116】
式(B-2)において、sは、1以上の整数を示し、好ましくは1~10の整数であり、更に好ましくは2~10の整数である。
【0117】
式(B-2)において、tは、それぞれ独立して、0又は1を示し、好ましくは、0である。
【0118】
式(B-2)において、uは、それぞれ独立して、0、1、2又は3を示し、好ましくは、0、1又は2であり、より好ましくは、0又は1であり、特に好ましくは1である。
【0119】
式(B-2)で表される樹脂の具体例としては、例えば、下記式(B-2-1)で表される樹脂が挙げられる。式(B-2-1)で表される樹脂としては、例えば、大和化成工社製「BMI-2300」等が挙げられる。式(B-2-1)において、vは、1又は2を表す。
【0120】
【0121】
更に別の好ましいラジカル重合性樹脂としては、例えば、(メタ)アクリル系ラジカル重合性樹脂が挙げられる。(メタ)アクリル系ラジカル重合性樹脂は、1個以上、好ましくは2個以上のアクリロイル基及び/又はメタクリロイル基を有する化合物でありうる。(メタ)アクリル系ラジカル重合性樹脂としては、例えば、シクロヘキサン-1,4-ジメタノールジ(メタ)アクリレート、シクロヘキサン-1,3-ジメタノールジ(メタ)アクリレート、トリシクロデカンジメタノールジ(メタ)アクリレート、ネオペンチルグリコールジ(メタ)アクリレート、1,4-ブタンジオールジ(メタ)アクリレート、1,6-ヘキサンジオールジ(メタ)アクリレート、1,8-オクタンジオールジ(メタ)アクリレート、1,9-ノナンジオールジ(メタ)アクリレート、1,10-デカンジオールジ(メタ)アクリレート、トリメチロールプロパントリ(メタ)アクリレート、トリメチロールエタントリ(メタ)アクリレート、グリセリントリ(メタ)アクリレート、ペンタエリスリトールテトラ(メタ)アクリレート等の低分子量(分子量1000未満)の脂肪族(メタ)アクリル酸エステル化合物;ジオキサングリコールジ(メタ)アクリレート、3,6-ジオキサ-1,8-オクタンジオールジ(メタ)アクリレート、3,6,9-トリオキサウンデカン-1,11-ジオールジ(メタ)アクリレート、ポリエチレングリコールジ(メタ)アクリレート、ポリプロピレングリコールジ(メタ)アクリレート、9,9-ビス[4-(2-アクリロイルオキシエトキシ)フェニル]フルオレン、エトキシ化ビスフェノールAジ(メタ)アクリレート、プロポキシ化ビスフェノールAジ(メタ)アクリレート等の低分子量(分子量1000未満)のエーテル含有(メタ)アクリル酸エステル化合物;トリス(3-ヒドロキシプロピル)イソシアヌレートトリ(メタ)アクリレート、トリス(2-ヒドロキシエチル)イソシアヌレートトリ(メタ)アクリレート、エトキシ化イソシアヌル酸トリ(メタ)アクリレート等の低分子量(分子量1000未満)のイソシアヌレート含有(メタ)アクリル酸エステル化合物;(メタ)アクリル変性ポリフェニレンエーテル樹脂等の高分子量(分子量1000以上)のアクリル酸エステル化合物等が挙げられる。(メタ)アクリル系ラジカル重合性樹脂の市販品としては、例えば、新中村化学工業社製の「A-DOG」(ジオキサングリコールジアクリレート)、共栄社化学社製の「DCP-A」(トリシクロデカンジメタノールジアクリレート)、「DCP」(トリシクロデカンジメタノールジメタクリレート)、日本化薬株式会社の「KAYARAD R-684」(トリシクロデカンジメタノールジアクリレート)、「KAYARAD R-604」(ジオキサングリコールジアクリレート)、SABICイノベーティブプラスチックス社製の「SA9000」、「SA9000-111」(メタクリル変性ポリフェニレンエーテル)等が挙げられる。
【0122】
更に別の好ましいラジカル重合性樹脂としては、例えば、アリル系ラジカル重合性樹脂が挙げられる。アリル系ラジカル重合性樹脂は、1個以上、好ましくは2個以上のアリル基を有する化合物でありうる。アリル系ラジカル重合性樹脂としては、例えば、ジフェン酸ジアリル、トリメリット酸トリアリル、フタル酸ジアリル、イソフタル酸ジアリル、テレフタル酸ジアリル、2,6-ナフタレンジカルボン酸ジアリル、2,3-ナフタレンカルボン酸ジアリル等の芳香族カルボン酸アリルエステル化合物;1,3,5-トリアリルイソシアヌレート、1,3-ジアリル-5-グリシジルイソシアヌレート等のイソシアヌル酸アリルエステル化合物;2,2-ビス[3-アリル-4-(グリシジルオキシ)フェニル]プロパン等のエポキシ含有芳香族アリル化合物;ビス[3-アリル-4-(3,4-ジヒドロ-2H-1,3-ベンゾオキサジン-3-イル)フェニル]メタン等のベンゾオキサジン含有芳香族アリル化合物;1,3,5-トリアリルエーテルベンゼン等のエーテル含有芳香族アリル化合物;ジアリルジフェニルシラン等のアリルシラン化合物等が挙げられる。アリル系ラジカル重合性樹脂の市販品としては、例えば、日本化成社製の「TAIC」(1,3,5-トリアリルイソシアヌレート)、日触テクノファインケミカル社製の「DAD」(ジフェン酸ジアリル)、和光純薬工業社製の「TRIAM-705」(トリメリット酸トリアリル)、日本蒸留工業社製の商品名「DAND」(2,3-ナフタレンカルボン酸ジアリル)、四国化成工業社製「ALP-d」(ビス[3-アリル-4-(3,4-ジヒドロ-2H-1,3-ベンゾオキサジン-3-イル)フェニル]メタン)、日本化薬社製の「RE-810NM」(2,2-ビス[3-アリル-4-(グリシジルオキシ)フェニル]プロパン)、四国化成社製の「DA-MGIC」(1,3-ジアリル-5-グリシジルイソシアヌレート)等が挙げられる。
【0123】
ラジカル重合性樹脂のエチレン性不飽和結合当量は、好ましくは20g/eq.~3000g/eq.、より好ましくは50g/eq.~2500g/eq.、さらに好ましくは70g/eq.~2000g/eq.、特に好ましくは90g/eq.~1500g/eq.である。エチレン性不飽和結合当量は、エチレン性不飽和結合1当量あたりのラジカル重合性樹脂の質量を表す。
【0124】
ラジカル重合性樹脂の重量平均分子量(Mw)は、好ましくは40000以下、より好ましくは10000以下、さらに好ましくは5000以下、特に好ましくは3000以下である。下限は、特に限定されるものではないが、例えば、150以上でありうる。
【0125】
ラジカル重合性樹脂の量の範囲は、樹脂組成物中の不揮発成分を100質量%とした場合、好ましくは1質量%以上、より好ましくは10質量%以上、更に好ましくは20質量%以上であり、好ましくは80質量%以下、より好ましくは60質量%以下、更に好ましくは40質量%以下である。ラジカル重合性樹脂の量が前記範囲にある場合、プラズマ処理による絶縁層への凹部の形成を特に効率的に行うことができ、更に通常は、絶縁層の比誘電率を効果的に低くできる。
【0126】
ラジカル重合性樹脂の量の範囲は、樹脂組成物中の樹脂成分を100質量%とした場合、好ましくは50質量%以上、より好ましくは70質量%以上、更に好ましくは90質量%以上であり、好ましくは99質量%以下、より好ましくは97質量%以下である。ラジカル重合性樹脂の量が前記範囲にある場合、プラズマ処理による絶縁層への凹部の形成を特に効率的に行うことができ、更に通常は、絶縁層の比誘電率を効果的に低くできる。
【0127】
光硬化性樹脂としては、露光された場合に硬化可能な樹脂を用いることができる。光硬化性樹脂の例としては、ラジカル重合性樹脂が挙げられる。光硬化性樹脂は、1種類を単独で用いてもよく、2種類以上を組み合わせて用いてもよい。光硬化性樹脂としてのラジカル重合性樹脂として、熱硬化性樹脂の項で説明したものを用いてもよい。また、アルカリ性現像液による現像を可能とする観点では、光硬化性樹脂としてのラジカル重合性樹脂として、エチレン性不飽和結合及びカルボキシル基を有する樹脂が好ましい。
【0128】
(B)硬化性樹脂の量の範囲は、樹脂組成物中の不揮発成分を100質量%とした場合、好ましくは5質量%以上、より好ましくは10質量%以上、更に好ましくは20質量%以上であり、好ましくは90質量%以下、より好ましくは80質量%以下、更に好ましくは70質量%以下である。(B)硬化性樹脂の量が前記範囲にある場合、プラズマ処理による絶縁層への凹部の形成を特に効率的に行うことができ、更に通常は、絶縁層の比誘電率を効果的に低くできる。
【0129】
(B)硬化性樹脂の量の範囲は、樹脂組成物中の樹脂成分を100質量%とした場合、好ましくは60質量%以上、より好ましくは70質量%以上、更に好ましくは80質量%以上であり、好ましくは99質量%以下、より好ましくは98質量%以下、更に好ましくは97質量%以下である。(B)硬化性樹脂の量が前記範囲にある場合、プラズマ処理による絶縁層への凹部の形成を特に効率的に行うことができ、更に通常は、絶縁層の比誘電率を効果的に低くできる。
【0130】
-(C)有機粒子-
樹脂組成物は、(A)~(B)成分に組み合わせて、更に任意の成分を含んでいてもよい。例えば、樹脂組成物は、任意の成分として(C)有機粒子を含んでいてもよい。(C)成分としての(C)有機粒子には、(A)~(B)成分に該当する成分は含めない。(C)有機粒子は、樹脂組成物中に粒子状の形態で存在し、通常は、その粒子状の形態を維持したまま硬化物に含まれる。
【0131】
(C)有機粒子は、有機材料を含むので、通常は、(A)無機充填材よりも高い柔軟性を有することができる。よって、(C)有機粒子によれば、樹脂組成物の硬化物の応力に対する耐性を高めることができる。
【0132】
(C)有機粒子としては、粒子全体が均一な組成を有する粒子を用いてもよいが、不均一な組成を有する粒子を用いてもよい。例えば、シェル部と、このシェル部内に形成された内蔵部とを有する複層粒子が好ましい。また、複層粒子は、シェル部及び内蔵部以外の部分を含んでいてもよい。例えば、複層粒子は、内蔵部内に更に任意の部分を含んでいてもよい。また、例えば、複層粒子は、シェル部と内蔵部との間に任意の層を含んでいてもよい。通常、内蔵部はシェル部によって覆われるので、複層粒子は、内蔵部の組成に依らず樹脂組成物中に高度に分散させることができ、したがって、内蔵部の組成の自由度を高めることができる。よって、絶縁層に適した組成を有する内蔵部を採用できるので、絶縁層の特性を良好にできる。ここでいう複層粒子は、必ずしもシェル部と内蔵部とが明確に区別できるもののみを指しているわけではなく、シェル部と内蔵部との境界が不明瞭なものも含み、内蔵部はシェル部で完全に被覆されていなくてもよい。
【0133】
複層粒子のシェル部は、通常、ポリマーによって形成される。シェル部を形成するポリマーは、1種類のモノマーの重合体としてのホモポリマーであってもよく、2種類以上のモノマーの共重合体としてのコポリマーであってもよい。シェル部を形成するポリマー及びそのモノマーの種類は、(C)有機粒子の凝集を抑制して樹脂組成物中に良好に分散できるものを選択することが好ましい。具体的な種類は、(B)硬化性樹脂の組成に依存しうるが、モノマーの好ましい例としては、(メタ)アクリル酸メチル、(メタ)アクリル酸エチル、(メタ)アクリル酸ブチル、(メタ)アクリル酸シクロヘキシル、(メタ)アクリル酸オクチル、(メタ)アクリル酸グリシジル等の(メタ)アクリル酸エステル;(メタ)アクリル酸;N-メチルマレイミド、N-フェニルマレイミド等のN-置換マレイミド;マレイミド;マレイン酸、イタコン酸等のα,β-不飽和カルボン酸;スチレン、4-ビニルトルエン、α-メチルスチレン等の芳香族ビニル化合物;(メタ)アクリロニトリル等が挙げられる。これらのモノマーは、1種類を単独で用いてもよく、2種類以上を組み合わせて用いてもよい。
【0134】
複層粒子の内蔵部は、シェル部に含まれるものとは異なる有機材料を含むことが好ましい。このように有機材料を含む内蔵部を備えた複層粒子は、内蔵部に相当するコア部と、このコア部を覆うシェル部とを備えうるので、「コアシェル粒子」と呼ぶことがある。中でも、内蔵部は、ゴム成分を含むことが好ましい。内蔵部にゴム成分を含む複層粒子を(C)有機粒子が含む場合、樹脂組成物の硬化物を含む絶縁層の衝撃耐性(耐衝撃性)を効果的に良好にできる。ゴム成分としては、例えば、日本工業規格(JIS K7161)に準拠して温度25℃湿度40%RHにて引っ張り試験を行った場合に、1GPa以下の弾性率を示す樹脂を用いうる。また、ゴム成分としては、例えば、好ましくは0℃以下、より好ましくは-10℃以下、更に好ましくは-20℃以下、特に好ましくは-30℃以下のガラス転移温度を有する樹脂を用いうる。ガラス転移温度は、DSC(示差走査熱量測定)により昇温速度10℃/分で測定しうる。これらのゴム成分は、例えば、分子内に、ポリブタジエン構造、ポリシロキサン構造、ポリ(メタ)アクリレート構造、ポリアルキレン構造、ポリアルキレンオキシ構造、ポリイソプレン構造、ポリイソブチレン構造、及びポリカーボネート構造から選択される1種以上の構造を有する樹脂でありうる。
【0135】
ゴム成分の具体例としては、ポリジメチルシロキサン等のシリコーン系エラストマー;ポリブタジエン、ポリイソプレン、ポリクロロブタジエン、エチレン-酢酸ビニル共重合体、スチレン-ブタジエン共重合体、スチレン-イソプレン共重合体、スチレン-イソブチレン共重合体、アクリロニトリル-ブタジエン共重合体、イソプレン-イソブチレン共重合体、イソブチレン-ブタジエン共重合体、エチレン-プロピレン-ジエン三元共重合体、エチレン-プロピレン-ブテン三元共重合体等のオレフィン系熱可塑性エラストマー;ポリ(メタ)アクリル酸プロピル、ポリ(メタ)アクリル酸ブチル、ポリ(メタ)アクリル酸シクロヘキシル、ポリ(メタ)アクリル酸オクチル等のアクリル系熱可塑性エラストマー等の熱可塑性エラストマー等が挙げられる。さらに、ゴム成分には、ポリオルガノシロキサンゴム等のシリコーン系ゴムを混合してもよい。
【0136】
ゴム成分を含む複層粒子において、ゴム成分の量の範囲は、好ましくは40質量%以上、より好ましくは50質量%以上、更に好ましくは60質量%以上である。上限に特段の制限は無いが、内蔵部をシェル部で十分に被覆する観点から、例えば、95質量%以下、90質量%などでありうる。
【0137】
ゴム成分を含む内蔵部を備えた複層粒子は、例えば、ゴム成分を含むコア粒子を用意する工程と、コア粒子に含まれるゴム成分と共重合可能なモノマー成分をグラフト共重合させてシェル部を形成する工程と、を含む製造方法によって製造できる。また、ゴム成分を含む内蔵部を備えた複層粒子は、市販品を用いてもよい。市販品としては、例えば、チェイルインダストリーズ社製の「CHT」;UMGABS社製の「B602」;ダウ・ケミカル日本社製の「パラロイドEXL-2602」、「パラロイドEXL-2603」、「パラロイドEXL-2655」、「パラロイドEXL-2311」、「パラロイド-EXL2313」、「パラロイドEXL-2315」、「パラロイドKM-330」、「パラロイドKM-336P」、「パラロイドKCZ-201」;三菱レイヨン社製の「メタブレンC-223A」、「メタブレンE-901」、「メタブレンS-2001」、「メタブレンW-450A」「メタブレンSRK-200」;カネカ社製の「カネエースM-511」、「カネエースM-600」、「カネエースM-400」、「カネエースM-580」、「カネエースMR-01」;アイカ工業社製のスタフィロイド「AC3832」、「AC3816N」、等が挙げられる。
【0138】
(C)有機粒子は、1種類を単独で用いてもよく、2種類以上を組み合わせて用いてもよい。
【0139】
(C)有機粒子は、表面処理剤で処理されていてもよい。(C)有機粒子のための表面処理剤としては、例えば、塩酸、硝酸、硫酸等の無機酸;酢酸、プロピオン酸、酪酸、アクリル酸等のカルボン酸、p-トルエンスルホン酸、エチルスルホン酸、ドデシルベンゼンスルホン酸等のスルホン酸、ポリオキシエチレンアルキルエーテルリン酸等のリン酸、ホスホン酸、ホスフィン酸等の有機酸;テトラエトキシシラン、メチルトリメトキシシラン、フェニルトリメトキシシラン、3-(メタ)アクリロキシプロピルトリメトキシシラン、8-(メタ)アクリロキシオクチルトリメトキシシラン等のシランカップリング剤;エチルイソシアネート等のイソシアネート系化合物等が挙げられる。
【0140】
(C)有機粒子の平均粒径は、(A-1)特定無機充填材の平均粒径よりも小さいことが好ましい。(C)有機粒子の具体的な平均粒径は、好ましくは0.01μm以上、より好ましくは0.05μm以上、さらに好ましくは0.10μm以上であり、好ましくは5μm以下、より好ましくは2μm以下、さらに好ましくは1μm以下である。(C)有機粒子の平均粒径は、ゼータ電位粒度分布測定装置を用いて測定できる。
【0141】
(C)有機粒子の量(質量%)の範囲は、樹脂組成物中の不揮発成分を100質量%とした場合、0質量%であってもよく、0質量%より大きくてもよく、好ましくは0.01質量%以上、より好ましくは0.1質量%以上、更に好ましくは0.2質量%以上であり、好ましくは10質量%以下、より好ましくは5質量%以下、更に好ましくは1質量%以下である。
【0142】
(C)有機粒子の量(質量%)の範囲は、樹脂組成物中の樹脂成分を100質量%とした場合、0質量%であってもよく、0質量%より大きくてもよく、好ましくは0.1質量%以上、より好ましくは0.5質量%以上、更に好ましくは1.0質量%以上であり、好ましくは20質量%以下、より好ましくは10質量%以下、更に好ましくは5質量%以下である。
【0143】
-(D)高分子樹脂-
樹脂組成物は、任意の成分として(D)高分子樹脂を含んでいてもよい。(D)成分としての(D)高分子樹脂には、(A)~(C)成分に該当する成分は含めない。(D)高分子樹脂は、通常、当該(D)高分子樹脂以外の樹脂成分と相溶した状態で存在し、その相溶した状態を維持したまま硬化物に含まれる。(D)高分子樹脂を用いる場合、絶縁層の柔軟性を高めることができる。
【0144】
(D)高分子樹脂は、通常、大きい分子量を有する。具体的には、(D)高分子樹脂の重量平均分子量Mwの範囲は、好ましくは5,000より大きく、より好ましくは8,000以上、さらに好ましくは10,000以上、特に好ましくは20,000以上であり、好ましくは100,000以下、より好ましくは70,000以下、さらに好ましくは60,000以下、特に好ましくは50,000以下である。
【0145】
(D)高分子樹脂としては、例えば、フェノキシ樹脂、ポリイミド樹脂、ポリビニルアセタール樹脂、ポリオレフィン樹脂、ポリブタジエン樹脂、ポリアミドイミド樹脂、ポリエーテルイミド樹脂、ポリスルホン樹脂、ポリエーテルスルホン樹脂、ポリフェニレンエーテル樹脂、ポリカーボネート樹脂、ポリエーテルエーテルケトン樹脂、ポリエステル樹脂等が挙げられる。(D)高分子樹脂は、1種類単独で用いてもよく、又は2種類以上を組み合わせて用いてもよい。
【0146】
フェノキシ樹脂としては、例えば、ビスフェノールA骨格、ビスフェノールF骨格、ビスフェノールS骨格、ビスフェノールアセトフェノン骨格、ノボラック骨格、ビフェニル骨格、フルオレン骨格、ジシクロペンタジエン骨格、ノルボルネン骨格、ナフタレン骨格、アントラセン骨格、アダマンタン骨格、テルペン骨格、及びトリメチルシクロヘキサン骨格からなる群から選択される1種類以上の骨格を有するフェノキシ樹脂が挙げられる。フェノキシ樹脂の末端は、フェノール性水酸基、エポキシ基等のいずれの官能基でもよい。フェノキシ樹脂の具体例としては、三菱ケミカル社製の「1256」及び「4250」(いずれもビスフェノールA骨格含有フェノキシ樹脂);三菱ケミカル社製の「YX8100」(ビスフェノールS骨格含有フェノキシ樹脂);三菱ケミカル社製の「YX6954」(ビスフェノールアセトフェノン骨格含有フェノキシ樹脂);新日鉄住金化学社製の「FX280」及び「FX293」;三菱ケミカル社製の「YL7500BH30」、「YX6954BH30」、「YX7553」、「YX7553BH30」、「YL7769BH30」、「YL6794」、「YL7213」、「YL7290」、「YL7482」及び「YL7891BH30」;等が挙げられる。
【0147】
ポリイミド樹脂の具体例としては、信越化学工業社製「SLK-6100」、新日本理化社製の「リカコートSN20」及び「リカコートPN20」等が挙げられる。
【0148】
ポリビニルアセタール樹脂としては、例えば、ポリビニルホルマール樹脂、ポリビニルブチラール樹脂が挙げられ、ポリビニルブチラール樹脂が好ましい。ポリビニルアセタール樹脂の具体例としては、電気化学工業社製の「電化ブチラール4000-2」、「電化ブチラール5000-A」、「電化ブチラール6000-C」、「電化ブチラール6000-EP」;積水化学工業社製のエスレックBHシリーズ、BXシリーズ(例えばBX-5Z)、KSシリーズ(例えばKS-1)、BLシリーズ、BMシリーズ;等が挙げられる。
【0149】
ポリオレフィン樹脂としては、例えば低密度ポリエチレン、超低密度ポリエチレン、高密度ポリエチレン、エチレン-酢酸ビニル共重合体、エチレン-アクリル酸エチル共重合体、エチレン-アクリル酸メチル共重合体等のエチレン系共重合樹脂;ポリプロピレン、エチレン-プロピレンブロック共重合体等のポリオレフィン系重合体等が挙げられる。
【0150】
ポリブタジエン樹脂としては、例えば、水素化ポリブタジエン骨格含有樹脂、ヒドロキシ基含有ポリブタジエン樹脂、フェノール性水酸基含有ポリブタジエン樹脂、カルボキシ基含有ポリブタジエン樹脂、酸無水物基含有ポリブタジエン樹脂、エポキシ基含有ポリブタジエン樹脂、イソシアネート基含有ポリブタジエン樹脂、ウレタン基含有ポリブタジエン樹脂、ポリフェニレンエーテル-ポリブタジエン樹脂等が挙げられる。
【0151】
ポリアミドイミド樹脂の具体例としては、東洋紡社製の「バイロマックスHR11NN」及び「バイロマックスHR16NN」が挙げられる。ポリアミドイミド樹脂の具体例としてはまた、日立化成社製の「KS9100」、「KS9300」(ポリシロキサン骨格含有ポリアミドイミド)等の変性ポリアミドイミドが挙げられる。
【0152】
ポリエーテルスルホン樹脂の具体例としては、住友化学社製の「PES5003P」等が挙げられる。
【0153】
ポリスルホン樹脂の具体例としては、ソルベイアドバンストポリマーズ社製のポリスルホン「P1700」、「P3500」等が挙げられる。
【0154】
ポリフェニレンエーテル樹脂の具体例としては、SABIC製「NORYL SA90」等が挙げられる。ポリエーテルイミド樹脂の具体例としては、GE社製の「ウルテム」等が挙げられる。
【0155】
ポリカーボネート樹脂としては、例えば、ヒドロキシ基含有カーボネート樹脂、フェノール性水酸基含有カーボネート樹脂、カルボキシ基含有カーボネート樹脂、酸無水物基含有カーボネート樹脂、イソシアネート基含有カーボネート樹脂、ウレタン基含有カーボネート樹脂等が挙げられる。ポリカーボネート樹脂の具体例としては、三菱瓦斯化学社製の「FPC0220」、旭化成ケミカルズ社製の「T6002」、「T6001」(ポリカーボネートジオール)、クラレ社製の「C-1090」、「C-2090」、「C-3090」(ポリカーボネートジオール)等が挙げられる。
【0156】
ポリエーテルエーテルケトン樹脂の具体例としては、住友化学社製の「スミプロイK」等が挙げられる。
【0157】
ポリエステル樹脂としては、例えば、ポリエチレンテレフタレート樹脂、ポリエチレンナフタレート樹脂、ポリブチレンテレフタレート樹脂、ポリブチレンナフタレート樹脂、ポリトリメチレンテレフタレート樹脂、ポリトリメチレンナフタレート樹脂、ポリシクロヘキサンジメチルテレフタレート樹脂等が挙げられる。
【0158】
(D)高分子樹脂の量の範囲は、樹脂組成物中の不揮発成分を100質量%とした場合、0質量%であってもよく、0質量%より大きくてもよく、好ましくは0.01質量%以上、より好ましくは0.1質量%以上、更に好ましくは0.5質量%以上であり、好ましくは20質量%以下、より好ましくは10質量%以下、更に好ましくは5質量%以下である。
【0159】
樹脂組成物中の(D)高分子樹脂の量は、樹脂組成物中の樹脂成分を100質量%とした場合、0質量%であってもよく、0質量%より大きくてもよく、好ましくは0.1質量%以上、より好ましくは1質量%以上、更に好ましくは2質量%以上であり、好ましくは30質量%以下、より好ましくは20質量%以下、更に好ましくは10質量%以下である。
【0160】
-(E)難燃剤-
樹脂組成物は、任意の成分として(E)難燃剤を含んでいてもよい。(E)成分としての(E)難燃剤には、(A)~(D)成分に該当する成分は含めない。(E)難燃剤によれば、絶縁層の難燃性を向上させることができる。
【0161】
(E)難燃剤としては、例えば、ホスファゼン化合物、有機リン系難燃剤、有機系窒素含有リン化合物、窒素化合物、シリコーン系難燃剤、金属水酸化物等が挙げられる。(E)難燃剤は、1種類を単独で用いてもよく、2種類以上を組み合わせて用いてもよい。
【0162】
(E)難燃剤としては、例えば、大塚化学社製の「SPH-100」、「SPS-100」、「SPB-100」、「SPE-100」(ホスファゼン類);伏見製薬所社製の「FP-100」、「FP-110」、「FP-300」、「FP-400」(ホスファゼン類);三光社製の「HCA-NQ」、「HCA-HQ」、「HCA-HQ-HST」(ホスフィン酸エステル(フェノール性水酸基含有));大八化学工業社製の「PX-200」、「PX-201」、「PX-202」、「CR-733S」、「CR-741」、「CR-747」(リン酸エステル)等が挙げられる。
【0163】
(E)難燃剤の量の範囲は、樹脂組成物中の不揮発成分を100質量%とした場合、0質量%であってもよく、0質量%より大きくてもよく、好ましくは0.01質量%以上、より好ましくは0.1質量%以上、更に好ましくは0.2質量%以上であり、好ましくは10質量%以下、より好ましくは5質量%以下、更に好ましくは2質量%以下である。
【0164】
樹脂組成物中の(E)難燃剤の量は、樹脂組成物中の樹脂成分を100質量%とした場合、0質量%であってもよく、0質量%より大きくてもよく、好ましくは0.1質量%以上、より好ましくは0.5質量%以上、更に好ましくは1質量%以上であり、好ましくは20質量%以下、より好ましくは10質量%以下、更に好ましくは5質量%以下である。
【0165】
-(F)硬化促進剤-
樹脂組成物は、任意の成分として、(F)硬化促進剤を含んでいてもよい。(F)成分としての(F)硬化促進剤には、上述した(A)~(E)成分に該当する成分は含めない。(F)硬化促進剤は、(B)硬化性樹脂の硬化を促進させる硬化触媒としての機能を有する。
【0166】
(F)硬化促進剤としては、(B)硬化性樹脂の種類に応じて適切なものを用いうる。例えば、(B)硬化性樹脂がエポキシ樹脂を含む場合、そのエポキシ樹脂の硬化を促進させうる(F)硬化促進剤としては、例えば、リン系硬化促進剤、ウレア系硬化促進剤、グアニジン系硬化促進剤、イミダゾール系硬化促進剤、金属系硬化促進剤、アミン系硬化促進剤等が挙げられる。(F)硬化促進剤は、1種類を単独で用いてもよく、2種類以上を組み合わせて用いてもよい。
【0167】
リン系硬化促進剤としては、例えば、テトラブチルホスホニウムブロマイド、テトラブチルホスホニウムクロライド、テトラブチルホスホニウムアセテート、テトラブチルホスホニウムデカノエート、テトラブチルホスホニウムラウレート、ビス(テトラブチルホスホニウム)ピロメリテート、テトラブチルホスホニウムハイドロジェンヘキサヒドロフタレート、テトラブチルホスホニウム2,6-ビス[(2-ヒドロキシ-5-メチルフェニル)メチル]-4-メチルフェノラート、ジ-tert-ブチルジメチルホスホニウムテトラフェニルボレート等の脂肪族ホスホニウム塩;メチルトリフェニルホスホニウムブロマイド、エチルトリフェニルホスホニウムブロマイド、プロピルトリフェニルホスホニウムブロマイド、ブチルトリフェニルホスホニウムブロマイド、ベンジルトリフェニルホスホニウムクロライド、テトラフェニルホスホニウムブロマイド、p-トリルトリフェニルホスホニウムテトラ-p-トリルボレート、テトラフェニルホスホニウムテトラフェニルボレート、テトラフェニルホスホニウムテトラp-トリルボレート、トリフェニルエチルホスホニウムテトラフェニルボレート、トリス(3-メチルフェニル)エチルホスホニウムテトラフェニルボレート、トリス(2-メトキシフェニル)エチルホスホニウムテトラフェニルボレート、(4-メチルフェニル)トリフェニルホスホニウムチオシアネート、テトラフェニルホスホニウムチオシアネート、ブチルトリフェニルホスホニウムチオシアネート等の芳香族ホスホニウム塩;トリフェニルホスフィン・トリフェニルボラン等の芳香族ホスフィン・ボラン複合体;トリフェニルホスフィン・p-ベンゾキノン付加反応物等の芳香族ホスフィン・キノン付加反応物;トリブチルホスフィン、トリ-tert-ブチルホスフィン、トリオクチルホスフィン、ジ-tert-ブチル(2-ブテニル)ホスフィン、ジ-tert-ブチル(3-メチル-2-ブテニル)ホスフィン、トリシクロヘキシルホスフィン等の脂肪族ホスフィン;ジブチルフェニルホスフィン、ジ-tert-ブチルフェニルホスフィン、メチルジフェニルホスフィン、エチルジフェニルホスフィン、ブチルジフェニルホスフィン、ジフェニルシクロヘキシルホスフィン、トリフェニルホスフィン、トリ-o-トリルホスフィン、トリ-m-トリルホスフィン、トリ-p-トリルホスフィン、トリス(4-エチルフェニル)ホスフィン、トリス(4-プロピルフェニル)ホスフィン、トリス(4-イソプロピルフェニル)ホスフィン、トリス(4-ブチルフェニル)ホスフィン、トリス(4-tert-ブチルフェニル)ホスフィン、トリス(2,4-ジメチルフェニル)ホスフィン、トリス(2,5-ジメチルフェニル)ホスフィン、トリス(2,6-ジメチルフェニル)ホスフィン、トリス(3,5-ジメチルフェニル)ホスフィン、トリス(2,4,6-トリメチルフェニル)ホスフィン、トリス(2,6-ジメチル-4-エトキシフェニル)ホスフィン、トリス(2-メトキシフェニル)ホスフィン、トリス(4-メトキシフェニル)ホスフィン、トリス(4-エトキシフェニル)ホスフィン、トリス(4-tert-ブトキシフェニル)ホスフィン、ジフェニル-2-ピリジルホスフィン、1,2-ビス(ジフェニルホスフィノ)エタン、1,3-ビス(ジフェニルホスフィノ)プロパン、1,4-ビス(ジフェニルホスフィノ)ブタン、1,2-ビス(ジフェニルホスフィノ)アセチレン、2,2’-ビス(ジフェニルホスフィノ)ジフェニルエーテル等の芳香族ホスフィン等が挙げられる。
【0168】
ウレア系硬化促進剤としては、例えば、1,1-ジメチル尿素;1,1,3-トリメチル尿素、3-エチル-1,1-ジメチル尿素、3-シクロヘキシル-1,1-ジメチル尿素、3-シクロオクチル-1,1-ジメチル尿素等の脂肪族ジメチルウレア;3-フェニル-1,1-ジメチル尿素、3-(4-クロロフェニル)-1,1-ジメチル尿素、3-(3,4-ジクロロフェニル)-1,1-ジメチル尿素、3-(3-クロロ-4-メチルフェニル)-1,1-ジメチル尿素、3-(2-メチルフェニル)-1,1-ジメチル尿素、3-(4-メチルフェニル)-1,1-ジメチル尿素、3-(3,4-ジメチルフェニル)-1,1-ジメチル尿素、3-(4-イソプロピルフェニル)-1,1-ジメチル尿素、3-(4-メトキシフェニル)-1,1-ジメチル尿素、3-(4-ニトロフェニル)-1,1-ジメチル尿素、3-[4-(4-メトキシフェノキシ)フェニル]-1,1-ジメチル尿素、3-[4-(4-クロロフェノキシ)フェニル]-1,1-ジメチル尿素、3-[3-(トリフルオロメチル)フェニル]-1,1-ジメチル尿素、N,N-(1,4-フェニレン)ビス(N’,N’-ジメチル尿素)、N,N-(4-メチル-1,3-フェニレン)ビス(N’,N’-ジメチル尿素)〔トルエンビスジメチルウレア〕等の芳香族ジメチルウレア等が挙げられる。
【0169】
グアニジン系硬化促進剤としては、例えば、ジシアンジアミド、1-メチルグアニジン、1-エチルグアニジン、1-シクロヘキシルグアニジン、1-フェニルグアニジン、1-(o-トリル)グアニジン、ジメチルグアニジン、ジフェニルグアニジン、トリメチルグアニジン、テトラメチルグアニジン、ペンタメチルグアニジン、1,5,7-トリアザビシクロ[4.4.0]デカ-5-エン、7-メチル-1,5,7-トリアザビシクロ[4.4.0]デカ-5-エン、1-メチルビグアニド、1-エチルビグアニド、1-n-ブチルビグアニド、1-n-オクタデシルビグアニド、1,1-ジメチルビグアニド、1,1-ジエチルビグアニド、1-シクロヘキシルビグアニド、1-アリルビグアニド、1-フェニルビグアニド、1-(o-トリル)ビグアニド等が挙げられる。
【0170】
イミダゾール系硬化促進剤としては、例えば、2-メチルイミダゾール、2-ウンデシルイミダゾール、2-ヘプタデシルイミダゾール、1,2-ジメチルイミダゾール、2-エチル-4-メチルイミダゾール、1,2-ジメチルイミダゾール、2-エチル-4-メチルイミダゾール、2-フェニルイミダゾール、2-フェニル-4-メチルイミダゾール、1-ベンジル-2-メチルイミダゾール、1-ベンジル-2-フェニルイミダゾール、1-シアノエチル-2-メチルイミダゾール、1-シアノエチル-2-ウンデシルイミダゾール、1-シアノエチル-2-エチル-4-メチルイミダゾール、1-シアノエチル-2-フェニルイミダゾール、1-シアノエチル-2-ウンデシルイミダゾリウムトリメリテイト、1-シアノエチル-2-フェニルイミダゾリウムトリメリテイト、2,4-ジアミノ-6-[2’-メチルイミダゾリル-(1’)]-エチル-s-トリアジン、2,4-ジアミノ-6-[2’-ウンデシルイミダゾリル-(1’)]-エチル-s-トリアジン、2,4-ジアミノ-6-[2’-エチル-4’-メチルイミダゾリル-(1’)]-エチル-s-トリアジン、2,4-ジアミノ-6-[2’-メチルイミダゾリル-(1’)]-エチル-s-トリアジンイソシアヌル酸付加物、2-フェニルイミダゾールイソシアヌル酸付加物、2-フェニル-4,5-ジヒドロキシメチルイミダゾール、2-フェニル-4-メチル-5-ヒドロキシメチルイミダゾール、2,3-ジヒドロ-1H-ピロロ[1,2-a]ベンズイミダゾール、1-ドデシル-2-メチル-3-ベンジルイミダゾリウムクロライド、2-メチルイミダゾリン、2-フェニルイミダゾリン等のイミダゾール化合物及びイミダゾール化合物とエポキシ樹脂とのアダクト体が挙げられる。イミダゾール系硬化促進剤の市販品としては、例えば、四国化成工業社製の「1B2PZ」、「2E4MZ」、「2MZA-PW」、「2MZ-OK」、「2MA-OK」、「2MA-OK-PW」、「2PHZ」、「2PHZ-PW」、「Cl1Z」、「Cl1Z-CN」、「Cl1Z-CNS」、「C11Z-A」;三菱ケミカル社製の「P200-H50」等が挙げられる。
【0171】
金属系硬化促進剤としては、例えば、コバルト、銅、亜鉛、鉄、ニッケル、マンガン、スズ等の金属の、有機金属錯体又は有機金属塩が挙げられる。有機金属錯体の具体例としては、コバルト(II)アセチルアセトナート、コバルト(III)アセチルアセトナート等の有機コバルト錯体、銅(II)アセチルアセトナート等の有機銅錯体、亜鉛(II)アセチルアセトナート等の有機亜鉛錯体、鉄(III)アセチルアセトナート等の有機鉄錯体、ニッケル(II)アセチルアセトナート等の有機ニッケル錯体、マンガン(II)アセチルアセトナート等の有機マンガン錯体等が挙げられる。有機金属塩としては、例えば、オクチル酸亜鉛、オクチル酸錫、ナフテン酸亜鉛、ナフテン酸コバルト、ステアリン酸スズ、ステアリン酸亜鉛等が挙げられる。
【0172】
アミン系硬化促進剤としては、例えば、トリエチルアミン、トリブチルアミン等のトリアルキルアミン、4-ジメチルアミノピリジン、ベンジルジメチルアミン、2,4,6,-トリス(ジメチルアミノメチル)フェノール、1,8-ジアザビシクロ(5,4,0)-ウンデセン等が挙げられる。アミン系硬化促進剤としては、市販品を用いてもよく、例えば、味の素ファインテクノ社製の「MY-25」等が挙げられる。
【0173】
(F)硬化促進剤の量の範囲は、樹脂組成物中の不揮発成分を100質量%とした場合、0質量%であってもよく、0質量%より大きくてもよく、好ましくは0.01質量%以上、より好ましくは0.02質量%以上、更に好ましくは0.05質量%以上であり、好ましくは5質量%以下、より好ましくは1質量%以下、更に好ましくは0.5質量%以下である。
【0174】
(F)硬化促進剤の量の範囲は、樹脂組成物中の樹脂成分を100質量%とした場合、0質量%であってもよく、0質量%より大きくてもよく、好ましくは0.01質量%以上、より好ましくは0.05質量%以上、更に好ましくは0.1質量%以上であり、好ましくは5質量%以下、より好ましくは2質量%以下、更に好ましくは1質量%以下である。
【0175】
-(G)重合開始剤-
樹脂組成物は、任意の成分として、(G)重合開始剤を含んでいてもよい。(G)成分としての(G)重合開始剤には、上述した(A)~(F)成分に該当する成分は含めない。(G)重合開始剤は、1種類を単独で用いてもよく、2種類以上を組み合わせて用いてもよい。
【0176】
(G)重合開始剤の種類は、(B)硬化性樹脂の種類に応じて選択しうる。例えば、(B)硬化性樹脂がラジカル重合性樹脂を含む場合には、(G)重合開始剤として、ラジカル重合開始剤を用いることが好ましい。ラジカル重合開始剤としては、例えば、過酸化物系ラジカル重合開始剤、アゾ系ラジカル重合開始剤等が挙げられる。中でも、過酸化物系ラジカル重合開始剤が好ましい。
【0177】
過酸化物系ラジカル重合開始剤としては、例えば、1,1,3,3-テトラメチルブチルハイドロパーオキサイド等のハイドロパーオキサイド化合物;tert-ブチルクミルパーオキサイド、ジ-tert-ブチルパーオキサイド、ジ-tert-ヘキシルパーオキサイド、ジクミルパーオキサイド、1,4-ビス(1-tert-ブチルパーオキシ-1-メチルエチル)ベンゼン、2,5-ジメチル-2,5-ビス(tert-ブチルパーオキシ)ヘキサン等のジアルキルパーオキサイド化合物;ジラウロイルパーオキサイド、ジデカノイルパーオキサイド、ジシクロヘキシルパーオキシジカーボネート、ビス(4-tert-ブチルシクロヘキシル)パーオキシジカーボネート等のジアシルパーオキサイド化合物;tert-ブチルパーオキシアセテート、tert-ブチルパーオキシベンゾエート、tert-ブチルパーオキシイソプロピルモノカーボネート、tert-ブチルパーオキシ-2-エチルヘキサノエート、tert-ブチルパーオキシネオデカノエート、tert-ヘキシルパーオキシイソプロピルモノカーボネート、tert-ブチルパーオキシラウレート、(1,1-ジメチルプロピル)2-エチルパーヘキサノエート、tert-ブチル2-エチルパーヘキサノエート、tert-ブチル3,5,5-トリメチルパーヘキサノエート、tert-ブチルパーオキシ-2-エチルヘキシルモノカーボネート、tert-ブチルパーオキシマレイン酸等のパーオキシエステル化合物;等が挙げられる。
【0178】
(G)重合開始剤の市販品としては、例えば、日油社製の「パーブチルC」、「パーブチルA」、「パーブチルP」、「パーブチルL」、「パーブチルO」、「パーブチルND」、「パーブチルZ」、「パーブチルI」、「パークミルP」、「パークミルD」、「パーヘキシルD」、「パーヘキシルA」、「パーヘキシルI」、「パーヘキシルZ」、「パーヘキシルND」、「パーヘキシルO」、「パーヘキシルPV」等が挙げられる。
【0179】
(G)重合開始剤の量の範囲は、樹脂組成物中の不揮発成分を100質量%とした場合、0質量%であってもよく、0質量%より大きくてもよく、好ましくは0.01質量%以上、より好ましくは0.02質量%以上、更に好ましくは0.1質量%以上であり、好ましくは5質量%以下、より好ましくは1質量%以下、更に好ましくは0.5質量%以下である。
【0180】
(G)重合開始剤の量の範囲は、樹脂組成物中の樹脂成分を100質量%とした場合、0質量%であってもよく、0質量%より大きくてもよく、好ましくは0.01質量%以上、より好ましくは0.1質量%以上、更に好ましくは0.5質量%以上であり、好ましくは10質量%以下、より好ましくは5質量%以下、更に好ましくは2質量%以下である。
【0181】
-(H)任意の添加剤-
樹脂組成物は、任意の成分として、(H)任意の添加剤を含んでいてもよい。(H)任意の添加剤には、上述した(A)~(G)成分に該当する成分は含めない。(H)任意の添加剤としては、例えば、有機銅化合物、有機亜鉛化合物、有機コバルト化合物等の有機金属化合物;フタロシアニンブルー、フタロシアニングリーン、アイオディングリーン、ジアゾイエロー、クリスタルバイオレット、酸化チタン、カーボンブラック等の着色剤;ハイドロキノン、カテコール、ピロガロール、フェノチアジン等の重合禁止剤;シリコーン系レベリング剤、アクリルポリマー系レベリング剤等のレベリング剤;ベントン、モンモリロナイト等の増粘剤;シリコーン系消泡剤、アクリル系消泡剤、フッ素系消泡剤、ビニル樹脂系消泡剤等の消泡剤;ベンゾトリアゾール系紫外線吸収剤等の紫外線吸収剤;尿素シラン等の接着性向上剤;トリアゾール系密着性付与剤、テトラゾール系密着性付与剤、トリアジン系密着性付与剤等の密着性付与剤;ヒンダードフェノール系酸化防止剤等の酸化防止剤;スチルベン誘導体等の蛍光増白剤;フッ素系界面活性剤、シリコーン系界面活性剤等の界面活性剤;リン酸エステル系分散剤、ポリオキシアルキレン系分散剤、アセチレン系分散剤、シリコーン系分散剤、アニオン性分散剤、カチオン性分散剤等の分散剤;ボレート系安定剤、チタネート系安定剤、アルミネート系安定剤、ジルコネート系安定剤、イソシアネート系安定剤、カルボン酸系安定剤、カルボン酸無水物系安定剤等の安定剤;第三級アミン類等の光重合開始助剤;ピラリゾン類、アントラセン類、クマリン類、キサントン類、チオキサントン類等の光増感剤;が挙げられる。(H)任意の添加剤は、1種類を単独で用いてもよく、2種以上を組み合わせて用いてもよい。
【0182】
-(I)溶剤-
樹脂組成物は、上述した(A)~(H)成分といった不揮発成分に組み合わせて、更に任意の揮発性成分として、(I)溶剤を含んでいてもよい。(I)溶剤としては、通常、有機溶剤を用いる。有機溶剤としては、例えば、アセトン、メチルエチルケトン、メチルイソブチルケトン、シクロヘキサノン等のケトン系溶剤;酢酸メチル、酢酸エチル、酢酸ブチル、酢酸イソブチル、酢酸イソアミル、プロピオン酸メチル、プロピオン酸エチル、γ-ブチロラクトン等のエステル系溶剤;テトラヒドロピラン、テトラヒドロフラン、1,4-ジオキサン、ジエチルエーテル、ジイソプロピルエーテル、ジブチルエーテル、ジフェニルエーテル、アニソール等のエーテル系溶剤;メタノール、エタノール、プロパノール、ブタノール、エチレングリコール等のアルコール系溶剤;酢酸2-エトキシエチル、プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート、ジエチレングリコールモノエチルエーテルアセテート、エチルジグリコールアセテート、γ-ブチロラクトン、メトキシプロピオン酸メチル等のエーテルエステル系溶剤;乳酸メチル、乳酸エチル、2-ヒドロキシイソ酪酸メチル等のエステルアルコール系溶剤;2-メトキシプロパノール、2-メトキシエタノール、2-エトキシエタノール、プロピレングリコールモノメチルエーテル、ジエチレングリコールモノブチルエーテル(ブチルカルビトール)等のエーテルアルコール系溶剤;N,N-ジメチルホルムアミド、N,N-ジメチルアセトアミド、N-メチル-2-ピロリドン等のアミド系溶剤;ジメチルスルホキシド等のスルホキシド系溶剤;アセトニトリル、プロピオニトリル等のニトリル系溶剤;ヘキサン、シクロペンタン、シクロヘキサン、メチルシクロヘキサン等の脂肪族炭化水素系溶剤;ベンゼン、トルエン、キシレン、エチルベンゼン、トリメチルベンゼン等の芳香族炭化水素系溶剤等を挙げることができる。(I)溶剤は、1種類を単独で用いてもよく、2種類以上を組み合わせて用いてもよい。
【0183】
(I)溶剤の量は、特に限定されるものではないが、樹脂組成物中の全成分を100質量%とした場合、例えば、60質量%以下、40質量%以下、30質量%以下、20質量%以下、15質量%以下、10質量%以下等でありえ、0質量%であってもよい。
【0184】
-樹脂組成物の製造方法-
樹脂組成物は、例えば、樹脂組成物に含まれうる成分を混合することによって、製造することができる。上述した成分は、一部又は全部を同時に混合してもよく、順に混合してもよい。各成分を混合する過程で、温度を適宜設定してもよく、よって、一時的に又は終始にわたって、加熱及び/又は冷却してもよい。また、各成分を混合する過程において、撹拌又は振盪を行ってもよい。
【0185】
-樹脂組成物の特性-
上述した樹脂組成物を硬化させることにより、硬化物を得ることができる。前記の硬化の際、通常、樹脂組成物層には熱が加えられるから、樹脂組成物に含まれる成分のうち、(I)溶剤等の揮発性成分は硬化時の熱によって揮発しうる。よって、樹脂組成物の硬化物は、樹脂組成物の不揮発成分又はその反応生成物を含みうる。
【0186】
本実施形態に係る製造方法では、前記の硬化物を含む絶縁層を備えたプリント配線板を製造できる。樹脂組成物の硬化物は、(A-1)特定無機充填材が有する空孔を含むので、通常、小さい密度を有する。樹脂組成物の硬化物の密度の具体的範囲は、好ましくは1.8g/cm3以下、より好ましくは1.7g/cm3以下、更に好ましくは1.6g/cm3以下である。下限は、特に制限はなく、例えば、0.6g/cm3以上、0.7g/cm3以上、0.8g/cm3以上、0.9g/cm3以上などでありうる。このような範囲の密度を有する硬化物によれば、耐衝撃性に優れる絶縁層を得ることができる。
【0187】
樹脂組成物の硬化物の密度は、プリント配線板の絶縁層から採取した硬化物を用いて測定できる。また、試料が硬化前の樹脂組成物である場合、その樹脂組成物を硬化させて得た試料を用いて測定してもよい。樹脂組成物の硬化条件は、プリント配線板の製造方法において樹脂組成物を硬化させるのと同じ条件を採用しうる。一例において、樹脂組成物を190℃90分の条件で硬化させて得た硬化物を用いて密度を測定してもよい。密度は、25℃の条件において測定しうる。具体的な測定方法は、後述する実施例の方法を採用しうる。
【0188】
耐衝撃性に優れる絶縁層を得る観点から、樹脂組成物の硬化物は特定範囲の引張弾性率を有することが好ましい。樹脂組成物の硬化物の引張弾性率の具体的範囲は、好ましくは8GPa以上、より好ましくは9GPa以上、更に好ましくは10GPa以上であり、好ましくは16GPa以下、より好ましくは15GPa以下、更に好ましくは14GPa以下である。
【0189】
樹脂組成物の硬化物の引張弾性率は、プリント配線板の絶縁層から採取した硬化物を用いて測定できる。また、試料が硬化前の樹脂組成物である場合、その樹脂組成物を硬化させて得た試料を用いて測定してもよい。樹脂組成物の硬化条件は、プリント配線板の製造方法において樹脂組成物を硬化させるのと同じ条件を採用しうる。一例において、樹脂組成物を190℃90分の条件で硬化させて得た硬化物を用いて引張弾性率を測定してもよい。引張弾性率は、JIS K7127に準拠して25℃において測定しうる。具体的な測定方法は、後述する実施例の方法を採用しうる。
【0190】
樹脂組成物の硬化物は、(A-1)特定無機充填材が有する空孔を含むので、通常、低い比誘電率を有することができる。一例において、硬化物の比誘電率は、好ましくは3.3未満、より好ましくは3.2以下、更に好ましくは3.1以下、更に好ましくは3.0以下であり、3.0未満が特に好ましい。下限は、特段の制限は無く、例えば、1.5以上、2.0以上などでありうる。
【0191】
樹脂組成物の硬化物の比誘電率は、プリント配線板の絶縁層から採取した硬化物を用いて測定できる。また、試料が硬化前の樹脂組成物である場合、その樹脂組成物を硬化させて得た試料を用いて測定してもよい。樹脂組成物の硬化条件は、プリント配線板の製造方法において樹脂組成物を硬化させるのと同じ条件を採用しうる。一例において、樹脂組成物を190℃90分の条件で硬化させて得た硬化物を用いて比誘電率を測定してもよい。比誘電率は、空洞共振摂動法により、測定周波数5.8GHz、測定温度23℃の条件で測定しうる。具体的な測定方法は、後述する実施例の方法を採用しうる。
【0192】
樹脂組成物の硬化物は、通常、優れた耐衝撃性を有することができる。具体的には、内層基板上に硬化物によって絶縁層を形成した場合に、衝撃による絶縁層の内層基板からの剥離を抑制することができる。一例において、実施例において後述する方法によって内層基板上に硬化物によって絶縁層を形成して評価基板片を得て、落下試験を行った場合に、絶縁層の剥離が生じる評価基板片の割合を、好ましくは25%以下、より好ましくは20%以下にできる。特には、落下試験によって絶縁層の剥離が生じる評価基板片を無くすことができることが更に好ましい。
【0193】
<樹脂シート>
工程(I)における絶縁層の形成に用いるために、樹脂組成物を樹脂シートの形態で用意してもよい。樹脂シートは、支持体と、該支持体上に設けられた樹脂組成物層と、を含む。樹脂組成物層は、樹脂組成物を含み、好ましくは樹脂組成物のみを含む。
【0194】
樹脂組成物層の厚さは、プリント配線板の薄型化、及び当該樹脂組成物の硬化物が薄膜であっても絶縁性に優れた硬化物を提供できるという観点から、好ましくは100μm以下、より好ましくは50μm以下、更に好ましくは40μm以下である。樹脂組成物層の厚さの下限は、特に限定されないが、1μm以上、5μm以上等でありうる。
【0195】
支持体としては、例えば、プラスチック材料からなるフィルム、金属箔、離型紙が挙げられ、プラスチック材料からなるフィルム、金属箔が好ましい。
【0196】
支持体としてプラスチック材料からなるフィルムを使用する場合、プラスチック材料としては、例えば、ポリエチレンテレフタレート(以下「PET」と略称することがある。)、ポリエチレンナフタレート(以下「PEN」と略称することがある。)等のポリエステル、ポリカーボネート(以下「PC」と略称することがある。)、ポリメチルメタクリレート(PMMA)等のアクリル、環状ポリオレフィン、トリアセチルセルロース(TAC)、ポリエーテルサルファイド(PES)、ポリエーテルケトン、ポリイミド等が挙げられる。中でも、ポリエチレンテレフタレート、ポリエチレンナフタレートが好ましく、安価なポリエチレンテレフタレートが特に好ましい。
【0197】
支持体として金属箔を使用する場合、金属箔としては、例えば、銅箔、アルミニウム箔等が挙げられ、銅箔が好ましい。銅箔としては、銅の単金属からなる箔を用いてもよく、銅と他の金属(例えば、スズ、クロム、銀、マグネシウム、ニッケル、ジルコニウム、ケイ素、チタン等)との合金からなる箔を用いてもよい。
【0198】
支持体は、樹脂組成物層と接合する面にマット処理、コロナ処理、帯電防止処理を施してあってもよい。
【0199】
支持体として、樹脂組成物層と接合する面に離型層を有する離型層付き支持体を使用してもよい。離型層付き支持体の離型層に使用する離型剤としては、例えば、アルキド樹脂、ポリオレフィン樹脂、ウレタン樹脂、及びシリコーン樹脂からなる群から選択される1種以上の離型剤が挙げられる。離型層付き支持体は、市販品を用いてもよく、例えば、アルキド樹脂系離型剤を主成分とする離型層を有するPETフィルムである、リンテック社製の「SK-1」、「AL-5」、「AL-7」、東レ社製の「ルミラーT60」、帝人社製の「ピューレックス」、ユニチカ社製の「ユニピール」等が挙げられる。
【0200】
支持体の厚さは、特に限定されないが、5μm~75μmの範囲が好ましく、10μm~60μmの範囲がより好ましい。なお、離型層付き支持体を使用する場合、離型層付き支持体全体の厚さが上記範囲であることが好ましい。
【0201】
一実施形態において、樹脂シートは、さらに必要に応じて、任意の層を含んでいてもよい。斯かる任意の層としては、例えば、樹脂組成物層の支持体と接合していない面(即ち、支持体とは反対側の面)に設けられた、支持体に準じた保護フィルム等が挙げられる。保護フィルムの厚さは、特に限定されるものではないが、例えば、1μm~40μmである。保護フィルムを積層することにより、樹脂組成物層の表面へのゴミの付着やキズを抑制することができる。
【0202】
樹脂シートは、例えば、液状(ワニス状)の樹脂組成物をそのまま、或いは溶剤に樹脂組成物を溶解して液状(ワニス状)の樹脂組成物を調製し、これを、ダイコーター等の塗布装置を用いて支持体上に塗布し、更に乾燥させて樹脂組成物層を形成させることにより製造することができる。
【0203】
溶剤としては、樹脂組成物の成分として説明した(I)溶剤と同様のものが挙げられる。溶剤は1種類を単独で使用してもよく、2種類以上を組み合わせて使用してもよい。
【0204】
乾燥は、加熱、熱風吹きつけ等の方法により実施してよい。乾燥条件は、特に限定されないが、樹脂組成物層中の溶剤の含有量が通常10質量%以下、好ましくは5質量%以下となるように乾燥させる。樹脂組成物中の溶剤の沸点によっても異なるが、例えば30質量%~60質量%の溶剤を含む樹脂組成物を用いる場合、50℃~150℃で3分間~10分間乾燥させることにより、樹脂組成物層を形成することができる。
【0205】
樹脂シートは、ロール状に巻きとって保存することが可能である。樹脂シートが保護フィルムを有する場合、通常は、保護フィルムを剥がすことによって当該樹脂シートが使用可能となる。
【0206】
<工程(I).絶縁層の形成>
本実施形態に係るプリント配線板の製造方法は、内層基板上に絶縁層を形成する工程(I)を含む。通常、工程(I)は、内層基板上に樹脂組成物を含む樹脂組成物層を形成する工程(I-1)と、樹脂組成物層を硬化させる工程(I-2)と、を含む。
【0207】
工程(I-1)では、通常、内層基板の主表面上に樹脂組成物層を形成する。内層基板の主表面とは、絶縁層が設けられる内層基板の表面を表す。例えば、樹脂組成物層は、内層基板上に樹脂組成物を塗布することと、必要に応じて樹脂組成物を乾燥させることと、を含んでいてもよい。好ましくは、工程(I-1)では、内層基板と樹脂シートを積層して、内層基板上に樹脂組成物層を形成する。
【0208】
内層基板と樹脂シートの積層は、内層基板と樹脂シートの樹脂組成物層とが接合するように行いうる。例えば、支持体側から樹脂シートを内層基板に加熱圧着することにより前記の積層を行うことができる。樹脂シートを内層基板に加熱圧着する部材(以下、「加熱圧着部材」ともいう。)としては、例えば、加熱された金属板(SUS鏡板等)又は金属ロール(SUSロール等)が挙げられる。なお、加熱圧着部材を樹脂シートに直接プレスするのではなく、内層基板の表面凹凸に樹脂シートが十分に追随するよう、耐熱ゴム等の弾性材を介してプレスするのが好ましい。
【0209】
内層基板と樹脂シートの積層は、真空ラミネート法により実施してよい。真空ラミネート法において、積層条件は、例えば、以下の通りである。加熱圧着温度は、好ましくは60℃~160℃、より好ましくは80℃~140℃の範囲である。加熱圧着圧力は、好ましくは0.098MPa~1.77MPa、より好ましくは0.29MPa~1.47MPaの範囲である。加熱圧着時間は、好ましくは20秒間~400秒間、より好ましくは30秒間~300秒間の範囲である。積層は、好ましくは圧力26.7hPa以下の減圧条件下で実施される。
【0210】
積層は、市販の真空ラミネーターによって行うことができる。市販の真空ラミネーターとしては、例えば、名機製作所社製の真空加圧式ラミネーター、ニッコー・マテリアルズ社製のバキュームアップリケーター、バッチ式真空加圧ラミネーター等が挙げられる。
【0211】
積層の後に、常圧下(大気圧下)、例えば、加熱圧着部材を支持体側からプレスすることにより、積層された樹脂シートの平滑化処理を行ってもよい。平滑化処理のプレス条件は、上記積層の加熱圧着条件と同様の条件とすることができる。平滑化処理は、市販のラミネーターによって行うことができる。なお、積層と平滑化処理は、上記の市販の真空ラミネーターを用いて連続的に行ってもよい。
【0212】
工程(I-2)では、樹脂組成物層を硬化させる。樹脂組成物層を硬化させることにより、樹脂組成物の硬化物を含む絶縁層を得ることができる。通常、得られる絶縁層は、樹脂組成物の硬化物のみを含む。樹脂組成物層の硬化は、熱硬化、光硬化等のように、樹脂組成物に適した方法で行いうる。樹脂組成物層の具体的な硬化条件は、プリント配線板の絶縁層を形成するに際して通常採用される条件を使用してよい。
【0213】
熱硬化性の樹脂組成物を用いる場合、樹脂組成物の硬化は、熱硬化として進行しうる。よってこの場合、工程(I-2)は、樹脂組成物層を熱硬化させることを含みうる。熱硬化条件は、樹脂組成物の種類によっても異なりうる。例えば、硬化温度は、好ましくは120℃~240℃、より好ましくは150℃~220℃、さらに好ましくは170℃~210℃である。また、硬化時間は、好ましくは5分間~120分間、より好ましくは10分間~100分間、さらに好ましくは15分間~100分間でありうる。
【0214】
樹脂組成物層を熱硬化させる場合、プリント配線板の製造方法は、その熱硬化の前に、樹脂組成物層を硬化温度よりも低い温度にて予備加熱することを含むことが好ましい。例えば、樹脂組成物層を熱硬化させるのに先立ち、通常50℃~150℃、好ましくは60℃~140℃、より好ましくは70℃~130℃の温度にて、樹脂組成物層を通常5分間以上、好ましくは5分間~150分間、より好ましくは15分間~120分間、さらに好ましくは15分間~100分間予備加熱してもよい。
【0215】
他方、光硬化性の樹脂組成物を用いる場合、樹脂組成物の硬化は、光硬化として進行しうる。よってこの場合、工程(I-2)は、樹脂組成物層を光硬化させることを含みうる。光硬化条件は、樹脂組成物の種類によっても異なりうる。例えば、樹脂組成物層に活性光線を照射する露光処理によって、照射部の樹脂組成物層を光硬化させうる。活性光線としては、例えば、紫外線、可視光線、電子線、X線等が挙げられ、特に紫外線が好ましい。紫外線の照射量は、例えば、10mJ/cm2~1000mJ/cm2である。支持体を備える樹脂シートを用いた場合、支持体を通して露光を行ってもよく、支持体を剥離した後に露光を行ってもよい。
【0216】
露光処理では、フォトマスクを通して樹脂組成物層に活性光線を照射してもよい。通常、フォトマスクは、活性光線を透過させうる透光部と活性光線を遮りうる遮光部とを備える。よって、フォトマスクを用いる場合、透光部を通して樹脂組成物層の所望の部分に選択的に露光を行うことができる。フォトマスクを用いた露光方法には、フォトマスクをワークに接触させて露光を行う接触露光法と、接触させずに平行光線を使用して露光を行う非接触露光法とがあり、どちらを用いてもよい。
【0217】
工程(I-2)は、露光処理の後に、現像処理を行うことを含んでいてもよい。現像処理によれば、光硬化されていない部分(非露光部)を除去して、絶縁層に孔を形成することができる。現像は、通常、ウェット現像により行う。ウェット現像において、現像液としては、例えば、アルカリ性水溶液、水系現像液、有機溶剤等の、安全かつ安定であり操作性が良好な現像液が用いられる。なかでも、アルカリ水溶液による現像工程が好ましい。現像方法としては、例えば、スプレー、揺動浸漬、ブラッシング、スクラッピング等の方法が採用されうる。
【0218】
さらに、樹脂組成物層を光硬化させた場合には、光硬化及び現像の後で、必要に応じて、ポストベーク処理を行ってもよい。ポストベーク処理としては、例えば、高圧水銀ランプによる紫外線照射処理、クリーンオーブンを用いた加熱処理、などが挙げられる。紫外線照射処理は、例えば、0.05J/cm2~10J/cm2程度の照射量で行いうる。また、加熱処理は、例えば、好ましくは150℃~250℃で20分間~180分間の範囲、より好ましくは160℃~230℃で30分間~120分間の範囲で行いうる。
【0219】
絶縁層の厚みとしては、好ましくは100μm以下、より好ましくは50μm以下、さらに好ましくは40μm以下であり、好ましくは1μm以上、より好ましくは5μm以上である。
【0220】
支持体を備える樹脂シートを用いて絶縁層を形成した場合、プリント配線板の製造方法は、適切なタイミングで支持体を除去することを含んでいてもよい。通常、支持体は、工程(I-1)の後に除去される。例えば、工程(I-1)と工程(I-2)との間に支持体を除去してもよい。また、例えば、工程(I-2)の後に支持体を除去してもよい。
【0221】
<工程(II).マスク層の形成>
本実施形態に係るプリント配線板の製造方法は、工程(I)の後に、必要に応じて、絶縁層上にマスク層を形成する工程(II)を含んでいてもよい。この工程(II)は、通常、工程(III)の前に行われる。マスク層は、一般に、絶縁層の凹部を形成する部分以外の部分を選択的に覆うように形成される。よって、絶縁層の凹部を形成する部分にはマスク層が無く、絶縁層は露出しうる。よって、工程(III)におけるプラズマ処理によってマスク層が無い絶縁層の部分を選択的に削って、当該部分に適切なパターン形状を有する凹部を形成できる。「パターン形状」とは、別に断らない限り、厚み方向から見た形状を表す。
【0222】
マスク層は、通常、感光性のレジストによって形成できる。マスク層は、例えば、前記のレジストを含むレジスト層を備えたドライフィルムを用いて形成してもよい。ドライフィルムを用いてマスク層を形成する場合、工程(II)は、絶縁層上にドライフィルムを積層する工程(II-1)、及びフォトマスクを用いてドライフィルムに露光及び現像を行ってマスク層を形成する工程(II-2)、を含んでいてもよい。
【0223】
工程(II-1)で用いられるドライフィルムとしては、レジスト層を備えたフィルムを用いうる。レジスト層は、露光及び現像により凹部に対応したパターン形状を有する孔を形成できるものを用いることができる。中でも、プラズマ処理に対して耐性があるレジスト層が好ましい。かかるレジスト層としては、例えば、ノボラック樹脂、アクリル樹脂等の樹脂を含むレジスト層を用いうる。レジスト層の厚みとしては、凹部の加工性を向上させる観点から、好ましくは10μm以上、より好ましくは15μm以上、さらに好ましくは20μm以上であり、好ましくは100μm以下、より好ましくは70μm以下、さらに好ましくは50μm以下である。ドライフィルムは、必要に応じて、プラスチックフィルム層等の保護層を備えていてもよい。
【0224】
絶縁層とドライフィルムとの積層は、通常、絶縁層とレジスト層とが接合するように行う。絶縁層とドライフィルムとの積層条件は、工程(I-1)における内層基板と樹脂シートとの積層条件と同様でありうる。
【0225】
工程(II-1)の後、ドライフィルムに露光及び現像を行う工程(II-2)を行う。工程(II-2)における露光は、通常、フォトマスクを通してドライフィルムに活性エネルギー線を照射することを含む。フォトマスクとしては、一般に、活性エネルギー線を透過させることができる透光部と、活性エネルギー線を遮ることができる遮光部と、を有する部材を用いうる。この際、透光部及び遮光部の一方(通常は、遮光部)は、絶縁層に形成する凹部のパターン形状と同じパターン形状を有する。このフォトマスクを通してドライフィルムに活性エネルギー線を照射すると、遮光部に対応するレジスト層の部分(非露光部)は活性エネルギー線が当たらないが、それ以外の部分(露光部)には透光部を通って活性エネルギー線が当たる。よって、レジスト層には、露光部及び非露光部の一方(通常は、非露光部)によって、凹部のパターン形状と同じパターン形状を有する潜像が形成される。
【0226】
活性エネルギー線としては、例えば、紫外線、可視光線、電子線、X線等が挙げられ、紫外線が好ましい。紫外線の照射量及び照射時間は、レジスト層に応じて適切に設定しうる。露光方法としては、例えば、フォトマスクをドライフィルムに密着させて露光する接触露光法、フォトマスクをドライフィルムに密着させずに平行光線を使用して露光する非接触露光法などが挙げられる。ドライフィルムが保護層を備える場合、当該保護層は、通常、後述する現像よりも前に剥離される。
【0227】
露光後、現像を行うことで、レジスト層の露光部及び非露光部の一方(通常は、非露光部)が除去されるので、絶縁層の凹部を形成する部分以外の部分を選択的に覆うマスク層を形成できる。現像は、ウェット現像、ドライ現像のいずれを行ってもよい。現像の方式としては、例えば、ディップ方式、パドル方式、スプレー方式、ブラッシング方式、スクラッピング方式等が挙げられる。
【0228】
<工程(III).凹部の形成>
本実施形態に係るプリント配線板の製造方法は、工程(I)の後で、絶縁層にプラズマ処理を施して凹部を形成する工程(III)を含む。工程(III)では、プラズマ処理によって絶縁層が削られるので、絶縁層に凹部を形成できる。形成される凹部は、内層基板とは反対側の絶縁層の面に形成された凹み部分であり、周囲の面よりも凹んで形成された部分でありうる。よって、凹部は、内層基板とは反対側の絶縁層の面に開口を有する。この凹部は、絶縁層を貫通していなくてもよく、絶縁層を貫通していてもよい。絶縁層を貫通しない凹部としては、例えば、トレンチが挙げられる。また、絶縁層を貫通する凹部としては、例えば、ビアホールが挙げられる。この凹部を厚み方向から見た形状に制限は無く、例えば、円形状でもよく、溝状でもよい。
【0229】
プラズマ処理によれば、凹部におけるスミアの発生を抑制できる。よって、このようにプラズマ処理による凹部の形成を含む本実施形態のプリント配線板の製造方法は、湿式デスミア処理を省略できるので、環境負荷の軽減が可能である。また、プラズマ処理によれば絶縁層に含まれる(A)無機充填材の粒子が削られるが、上述した樹脂組成物の硬化物を含む絶縁層は、(A)無機充填材が(A-1)特定無機充填材を含むので、(A)無機充填材を削るための時間を短縮できる。よって、プラズマ処理の加工速度を向上させることができるから、凹部の形成に要する時間を短くできるので、凹部の形成を効率的に行うことが可能である。
【0230】
プラズマ処理は、プラズマ発生装置内にガスを導入することで発生させたプラズマで、絶縁層の表面を処理することによって実施しうる。プラズマの発生方法としては、例えば、マイクロ波によりプラズマを発生させるマイクロ波プラズマ、高周波を用いた高周波プラズマ、大気圧下で発生させる大気圧プラズマ、真空下で発生させる真空プラズマ等が挙げられ、真空下で発生させる真空プラズマが好ましい。また、工程(III)で用いるプラズマは、高周波で励起するRFプラズマであることが好ましい。
【0231】
プラズマ化する気体としては、絶縁層に凹部を形成できるものを用いることができる。このような気体としては、O2;フッ素系ガス;Ar、N2等の不活性ガス;などが挙げられる。フッ素系ガスとは、フッ素原子を含有するガスを表し、例えば、CF4、C4F6、C4F8、CH2F2、CHF3等のフルオロカーボンガス;SF6、NF3などが挙げられる。フッ素系ガスの中でも、C4F8及びSF6が好ましい。これらの気体は、1種類を単独で用いてもよく、2種類以上を組み合わせて用いてもよい。中でも、O2及びフッ素系ガスからなる群より選ばれる1種類以上を含む気体が好ましい。さらには、O2と、フッ素系ガスとを含む混合ガスがより好ましい。その中でも、O2及びCF4を含む混合ガス;O2、CF4及びArを含む混合ガス;O2及びC4F8を含む混合ガス;O2、C4F8及びArを含む混合ガス;O2及びSF6を含む混合ガス;並びに、O2、SF6及びArを含む混合ガス;が更に好ましい。さらにその中でも、O2及びC4F8を含む混合ガス;並びに、O2及びSF6を含む混合ガス;が好ましい。とりわけ、O2及びSF6を含む混合ガスが特に好ましい。
【0232】
2種類以上の気体を含む混合ガスを用いてプラズマを発生させる場合、それらの気体の混合比は、適切な範囲に調整することが好ましい。
【0233】
例えば、O2を含む混合ガスを用いる場合、全ガス量100%に対するO2の量は、sccm基準で、好ましくは1%以上、より好ましくは5%以上、更に好ましくは10%以上である。上限は、好ましくは90%以下、より好ましくは80%以下、更に好ましくは70%以下であり、50%以下であってもよい。一例において、O2及びフッ素系ガスを組み合わせて含む混合ガス、並びに、O2、フッ素系ガス及び不活性ガスを組み合わせて含む混合ガスにおいて、O2の量が前記範囲にあることが好ましい。
【0234】
例えば、フッ素系ガスを含む混合ガスを用いる場合、全ガス量100%に対するフッ素系ガスの量は、sccm基準で、好ましくは5%以上、より好ましくは10%以上、更に好ましくは20%以上であり、30%以上、40%以上、50%以上、60%以上であってもよい。上限は、好ましくは95%以下、より好ましくは90%以下である。一例において、O2及びフッ素系ガスを組み合わせて含む混合ガス、並びに、O2、フッ素系ガス及び不活性ガスを組み合わせて含む混合ガスにおいて、フッ素系ガスの量が前記範囲にあることが好ましい。
【0235】
例えば、不活性ガスを含む混合ガスを用いる場合、全ガス量100%に対する不活性ガスの量は、sccm基準で、好ましくは1%以上、より好ましくは2%以上、更に好ましくは5%以上であり、好ましくは40%以下、より好ましくは30%以下、更に好ましくは20%以下である。一例において、O2、フッ素系ガス及び不活性ガスを組み合わせて含む混合ガスにおいて、不活性ガスの量が前記範囲にあることが好ましい。
【0236】
例えば、O2及びフッ素系ガスを含む混合ガスにおいて、sccm基準の混合比「フッ素系ガス/O2」は、好ましくは0.01以上、より好ましくは0.1以上、更に好ましくは1.0以上であり、好ましくは30以下、より好ましくは20以下、更に好ましくは10以下である。
ここで、「sccm」は、気体の流量の単位であり、1分間当たりに流れる気体の量を、その気体が0℃、1atmである場合の体積(cm3)で示す。
【0237】
プラズマ処理におけるチャンバー容器内の圧力は、好ましくは50Pa以上、より好ましくは75Pa以上、さらに好ましくは100Pa以上であり、好ましくは300Pa以下、より好ましくは250Pa以下、さらに好ましくは200Pa以下である。
【0238】
プラズマ処理における照射時間は、1分以上が好ましく、2分以上がより好ましく、3分以上がさらに好ましい。上限については、特に限定されないが、20分以下が好ましく、15分以下がさらに好ましく、10分以下がより好ましい。
【0239】
プラズマ処理によれば、開口寸法の小さい凹部を形成することができる。凹部の開口寸法とは、内層基板とは反対側の絶縁層の面に形成される凹部の開口の寸法をいう。例えば、凹部が溝状のパターン形状を有するトレンチである場合、開口寸法とは当該トレンチの開口の幅を表す。また、例えば、凹部が丸穴状のビアホールである場合、開口寸法とは当該ビアホールの開口の直径を表す。開口寸法の具体的な範囲は、好ましくは50μm以下、より好ましくは40μm以下、更に好ましくは30μm以下、更に好ましくは20μm以下である。下限は、特に限定されないが、1μm以上でありうる。
【0240】
前記のプラズマ処理によれば、凹部を速やかに形成できる。凹部を形成する加工速度は、エッチングレートによって表すことができる。エッチングレートとは、単位時間当たりに削られる絶縁層の厚みを表し、形成される凹部の深さをプラズマの照射時間で割り算して求めることができる。一例において、前記のエッチングレートは、好ましくは0.4μm/min以上、より好ましくは0.4μm/minより大きく、更に好ましくは0.55μm/min以上、更に好ましくは0.7μm/minより大きく、大きいほど好ましい。
【0241】
従来は、無機充填材の粒子を削るために長時間を要していたので、特性(例えば、線熱膨張係数等の機械物性、誘電特性の電気特性)の改善のために無機充填材を多く含む樹脂組成物を採用した場合に、エッチングレートは特に小さい傾向があった。よって、それらの特性とエッチングレートとの両方を改善することは、従来、困難であった。これに対し、本実施形態に係る製造方法によれば、前記の物性とエッチングレートとの両方の改善が可能である利点がある。この利点を有効に活用する観点では、(A-1)特定無機充填材等の(A)無機充填材を多く含む樹脂組成物を用いて本実施形態に係る製造方法を実施することが好ましい。
【0242】
<工程(IV).マスク層の除去>
工程(II)において絶縁層上にマスク層が形成された場合、工程(III)におけるプラズマ処理によってマスク層は削られうるが、そのマスク層の一部は絶縁層上に残留することがある。工程(III)でプラズマ処理が施された絶縁層上にマスク層が残留している場合、プリント配線板の製造方法は、マスク層を除去する工程(IV)を含んでいてもよい。マスク層の除去方法は、マスク層の種類に応じた適切な方法を採用しうる。例えば、マスク層は、水酸化ナトリウム溶液等のアルカリ性の剥離液を使用して除去してもよい。
【0243】
<工程(V).導体層の形成>
本実施形態に係るプリント配線板の製造方法は、絶縁層上に導体層を形成する工程(V)を含むことが好ましい。工程(V)は、工程(III)の後に行ってもよい。プリント配線板の製造方法が工程(IV)を含む場合、工程(V)は、工程(IV)より後に行ってもよい。
【0244】
導体層に使用する導体材料は、特に限定されない。例えば、導体層は、金、白金、パラジウム、銀、銅、アルミニウム、コバルト、クロム、亜鉛、ニッケル、チタン、タングステン、鉄、スズ及びインジウムからなる群から選択される1種以上の金属を含む。導体層は、単金属層であってもよく、合金層であってもよい。合金層としては、例えば、上記の群から選択される2種以上の金属の合金(例えば、ニッケル・クロム合金、銅・ニッケル合金及び銅・チタン合金)から形成された層が挙げられる。中でも、導体層形成の汎用性、コスト、及びパターニングの容易性の観点から、クロム、ニッケル、チタン、アルミニウム、亜鉛、金、パラジウム、銀若しくは銅の単金属層、又はニッケル・クロム合金、銅・ニッケル合金、銅・チタン合金の合金層が好ましく、クロム、ニッケル、チタン、アルミニウム、亜鉛、金、パラジウム、銀若しくは銅の単金属層、又はニッケル・クロム合金の合金層がより好ましく、銅の単金属層が更に好ましい。
【0245】
導体層は、単層構造を有していてもよく、異なる種類の金属若しくは合金からなる単金属層又は合金層を2層以上備える複層構造を有していてもよい。導体層が複層構造である場合、絶縁層と接する層は、クロム、亜鉛若しくはチタンの単金属層、又はニッケル・クロム合金の合金層であることが好ましい。
【0246】
導体層の厚さは、回路基板のデザインによるが、通常3μm~35μm、好ましくは5μm~30μmである。
【0247】
導体層の形成方法に制限は無い。導体層の形成方法としては、例えば、メッキ法、スパッタリング法、及びそれらを組み合わせた方法などが挙げられる。中でも、廃液による環境負荷を軽減する観点、及び、絶縁層と導体層との密着性を高める観点から、スパッタリング法が好ましい。
【0248】
スパッタリング法により導体層を形成する場合、通常、スパッタによって絶縁層上に導体シード層を形成した後、更にスパッタにより該導体シード層上に導体スパッタ層を形成する。また、スパッタによる導体シード層の形成前に、逆スパッタによって絶縁層の表面をクリーニングしてもよい。逆スパッタに用いるガスとしては、Arガス、O2ガス、N2ガスが好ましい。導体シード層がCu及びCu合金である場合は、Arガス;O2ガス;又は、Ar及びO2の混合ガスが好ましい。また、導体シード層がTiである場合は、Arガス;N2ガス;又は、Ar及びN2の混合ガスが好ましい。更に、シード層がCr及びCr合金(ニクロムなど)である場合は、Arガス;O2ガス;又は、Ar及びO2の混合ガスが好ましい。スパッタは、マグネトロンスパッタ、ミラートロンスパッタ等の各種スパッタ装置を用いて行うことができる。導体シード層を形成する金属としては、例えば、Cr、Ni、Ti、ニクロム等が挙げられる。特にCr、Tiが好ましい。導体シード層の厚みは、好ましくは5nm以上、より好ましくは10nm以上であり、好ましくは1000nm以下、より好ましくは500nm以下である。導体スパッタ層を形成する金属としては、例えば、Cu、Pt、Au、Pd等が挙げられる。特にCuが好ましい。導体スパッタ層の厚みは、好ましくは50nm以上、より好ましくは100nm以上であり、好ましくは3000nm以下、より好ましくは1000nm以下である。
【0249】
導体層には、パターン形成を行ってもよい。パターン形成の方法としては、例えば、サブトラクティブ法、セミアディティブ法等の方法を用いることができる。
【0250】
また、支持体として金属箔を備える樹脂シートを用いる場合、当該金属箔を用いて導体層を形成してもよい。例えば、金属箔を備えた樹脂シートを内層基板と積層した場合、その金属箔を導体層として用いてもよい。具体例を挙げると、金属箔を備える樹脂シートを内層基板と積層し、その樹脂シートの樹脂組成物層を硬化させて絶縁層を得ることにより、絶縁層上への導体層としての金属箔の形成が達成されうる。この金属箔は、例えば、サブトラクティブ法、モディファイドセミアディティブ法などの方法によって所望のパターン形状を有するように加工を行ってもよい。
【0251】
金属箔を用いて導体層を形成した場合、工程(III)よりも前に、凹部を形成すべき部分の金属箔を除去することが好ましい。例えば、凹部を形成すべき部分の金属箔を、塩化銅エッチング溶液及び塩化鉄エッチング溶液等のエッチング液を用いたエッチングにより除去してもよい。この金属箔の除去により、プラズマ処理による絶縁層への凹部の形成を円滑に行うことができる。前記の金属箔の除去は、工程(II)より前に行ってもよい。
【0252】
<プリント配線板に係るその他の事項>
本実施形態に係るプリント配線板の製造方法は、上述した工程を繰り返し行ってもよい。例えば、工程(I)~(V)を繰り返し行って、絶縁層と導体層とを交互に備える多層構造のプリント配線板(多層プリント配線板)を製造してもよい。
【0253】
また、本実施形態に係るプリント配線板の製造方法は、上述した工程に組み合わせて更に任意の工程を含んでいてもよい。例えば、プリント配線板の製造方法は、工程(III)で絶縁層を形成した後に絶縁層の表面に粗化処理を施す工程を含んでいてもよい。粗化処理としては、絶縁層の表面を酸化剤溶液に接触させることを含む方法が挙げられる。しかし、環境負荷の軽減の観点、及び、本実施形態の利点を有効に活用する観点では、プリント配線板の製造方法は、絶縁層の表面に粗化処理を施す工程を含まないことが好ましい。
【0254】
<プリント配線板>
上述した製造方法によれば、内層基板と、内層基板上に形成された絶縁層と、を備えるプリント配線板を製造できる。このプリント配線板において、絶縁層には、ビアホール及びトレンチ等の凹部が形成されている。また、プリント配線板の製造方法が、絶縁層上に導体層を形成する工程(V)を含む場合、製造されるプリント配線板は、絶縁層上に導体層を備える。
【0255】
絶縁層が(A-1)特定無機充填材を含む樹脂組成物の硬化物を含むので、当該絶縁層内には、空孔が含まれる。この空孔を含むことにより、絶縁層は、通常、低い比誘電率を有することができる。絶縁層の具体的な比誘電率の範囲は、例えば、上述した樹脂組成物の硬化物の比誘電率の範囲と同じでありうる。絶縁層の比誘電率は、後述する実施例の方法で測定できる。
【0256】
絶縁層が(A-1)特定無機充填材に由来する空孔を含むので、絶縁層は、通常、小さい密度を有することができる。絶縁層の具体的な密度の範囲は、例えば、上述した樹脂組成物の硬化物の密度の範囲と同じでありうる。絶縁層の密度は、後述する実施例の方法で測定できる。
【0257】
絶縁層は、特定範囲の引張弾性率を有することが好ましい。絶縁層の引張弾性率の範囲は、例えば、上述した樹脂組成物の硬化物の引張弾性率の範囲と同じでありうる。絶縁層の引張弾性率は、後述する実施例の方法で測定できる。
【0258】
また、前記のように空孔を含む絶縁層は、優れた耐衝撃性を有することができる。具体的には、内層基板上に形成された絶縁層は、衝撃による内層基板からの剥離を抑制することができる。一例において、実施例において後述する方法によって内層基板上に形成された絶縁層を備える評価基板片について落下試験を行った場合に、絶縁層の剥離が生じる評価基板片の割合を、好ましくは25%以下、より好ましくは20%以下にできる。特には、落下試験によって絶縁層の剥離が生じる評価基板片を無くすことができることが更に好ましい。
【0259】
図1は、本発明の一実施形態に係る製造されたプリント配線板10の一例の内層基板100及び絶縁層200を模式的に示す断面図である。
図1に示すように、上述した製造方法によれば、内層基板100及び絶縁層200を備えるプリント配線板10を製造できる。絶縁層200には、内層基板100とは反対側の絶縁層200の面200Uに開口310を有する凹部300が形成されている。
【0260】
凹部300の面には、一般に、側面300S及び底面300Bが含まれる。
図1においては、凹部300としてトレンチが形成された例を示す。
図1に示すように凹部300が絶縁層200を貫通しないトレンチである場合、凹部300の側面300S及び底面300Bは樹脂組成物の硬化物で形成される。なお、凹部が絶縁層を貫通するビアホールである場合、凹部の側面は樹脂組成物の硬化物で形成され、凹部の底面は内層基板によって形成される。多くの場合、ビアホールは内層基板の基板導体層(図示せず)上に形成されるから、ビアホールの底面は基板導体層によって形成されていることが多い。
【0261】
絶縁層200が、樹脂組成物の硬化物を含むので、当該絶縁層200は、(A-1)特定無機充填材の粒子400を含む。これらの粒子400が内部に空孔410を含むから、凹部300の形成を効率的に行うことができる効果、絶縁層200の比誘電率を低くできる効果等の効果を得ることができる。
【0262】
プラズマ処理によっては、(A-1)特定無機充填材の粒子400が削られうる。よって、側面300S及び底面300Bといった凹部300の面には、(A-1)特定無機充填材の粒子400が削られて形成された面部420又は430が含まれうる。例えば、プラズマ処理によって粒子400が削られて内部の空孔410が外部に連通した場合、空孔410に由来した窪みを有する無機化合物の面部420が形成されうる。また、例えば、プラズマ処理によって粒子400が削られるが内部の空孔410が外部に連通しない場合、窪みの無い無機化合物の面部430が形成されうる。一般に、レーザー加工によっては無機充填材の粒子は削られないから、前記のように(A-1)特定無機充填材の粒子400が削られて形成された面部420又は430を含むプリント配線板10は、上述した製造方法によって初めて実現できる構造を有するものと言える。
【0263】
<半導体装置>
上述したプリント配線板は、半導体装置の製造に用いることができる。この半導体装置は、プリント配線板を備える。かかる半導体装置は、例えば、プリント配線板の導通箇所に、部品(半導体チップ)を実装することを含む方法によって製造ができる。「導通箇所」とは、「プリント配線板における電気信号を伝える箇所」であって、その場所は表面であっても、埋め込まれた箇所であってもいずれでも構わない。
【0264】
半導体装置としては、電気製品(例えば、コンピューター、携帯電話、デジタルカメラ及びテレビ等)及び乗物(例えば、自動二輪車、自動車、電車、船舶及び航空機等)等に供される各種半導体装置が挙げられる。
【実施例0265】
以下、実施例を示して本発明について具体的に説明する。ただし、本発明は、これらの実施例に限定されるものではない。以下の説明において、量を表す「部」及び「%」は、別途明示のない限り、それぞれ「質量部」及び「質量%」を意味する。また、特に指定が無い場合の温度条件及び圧力条件は、室温(25℃)及び大気圧(1atm)であった。
【0266】
<合成例1.中空無機充填材1の製造>
20L反応槽に、メタノール4kg、固形分25%テトラメチルアンモニウムヒドロキシド水溶液33g、ドデシルトリメチルアンモニウムクロライド68g、ヘキサン40gを入れて撹拌し、溶解して、メタノール溶液を得た。そのメタノール溶液に、イオン交換水12kgを添加し、ヘキサンの乳化滴を析出させた。その後、テトラメトキシシラン85gをゆっくりと加え、室温(25℃)で5時間撹拌した後、12時間熟成させた。次いで、得られた白色沈殿物を、アドバンテック製ろ紙(5C)でろ過した後、10Lの水で洗浄し、100℃の温度条件で5時間乾燥し、シリカ粒子の乾燥粉末を得た。
【0267】
得られた乾燥粉末を、高速昇温電気炉(モトヤマ社製「SK-2535E」)を用いて、エアーフロー(3L/min)しながら1℃/分の速度で600℃まで昇温し、600℃で2時間焼成することにより有機成分を除去し、中空シリカ前駆体粒子を得た。この中空シリカ前駆体粒子50gをアルミナ製るつぼに移し、前記電気炉を用いて、空気下1000℃で72時間焼成することで、中空シリカ粒子(平均粒径2.0μm、空孔率20%)を得た。
【0268】
1Lガラス容器にトルエン150g、中空シリカ粒子50g、N-フェニル-3-アミノプロピルトリメトキシシラン(信越化学工業社製「KBM-573」)5gを入れ、撹拌しながら110℃で12時間反応させて、中空シリカ粒子の表面処理を行った。その後、反応後の溶液をメンブランフィルター(アドバンテック製、PTFE、孔径0.2μm)でろ過した後、得られた粉末をエタノールにより洗浄した。さらに、粉末を100℃で12時間乾燥させることにより、表面処理をした中空シリカ粒子を得た。以下、このようにして得られた表面処理後の中空シリカ粒子を「中空無機充填材1」と呼ぶ。
【0269】
<合成例2.中空無機充填材2の製造>
20L反応槽に、水16kg、固形分25%テトラメチルアンモニウムヒドロキシド水溶液66g、ドデシルトリメチルアンモニウムクロライド68g、及びカチオン性アクリルポリマー粒子(平均粒径0.75μm)144gを入れて撹拌して、水溶液を得た。その水溶液に、テトラメトキシシラン136gをゆっくりと加え、室温(25℃)で5時間撹拌した後、12時間熟成させた。次いで、得られた白色沈殿物を、孔径0.2μmのメンブランフィルターでろ過した後、10Lの水で洗浄し、100℃の温度条件で5時間乾燥して、コアシェル型シリカ粒子の乾燥粉末を得た。前記のコアシェル型シリカ粒子は、ポリマー粒子をコア、シリカ粒子をシェルとして含んでいた。
【0270】
得られたコアシェル型シリカ粒子の乾燥粉末を、高速昇温電気炉(モトヤマ社製「SK-2535E」)を用いて、エアーフロー(3L/min)しながら1℃/分の速度で600℃まで昇温し、600℃で2時間焼成することにより有機成分を除去し、中空シリカ前駆体粒子を得た。この中空シリカ前駆体粒子50gをアルミナ製るつぼに移し、前記電気炉を用いて、空気下1000℃で72時間焼成することで中空シリカ粒子(平均粒径2.0μm、空孔率70%)を得た。
【0271】
1Lガラス容器にトルエン150g、中空シリカ粒子50g、N-フェニル-3-アミノプロピルトリメトキシシラン(信越化学工業社製「KBM-573」)5gを入れ、撹拌しながら110℃で12時間反応させて、中空シリカ粒子の表面処理を行った。その後、反応後の溶液をメンブランフィルター(アドバンテック製、PTFE、孔径0.2μm)でろ過した後、得られた粉末をエタノールにより洗浄した。さらに、粉末を100℃で12時間乾燥させることにより、表面処理をした中空シリカ粒子を得た。以下、このようにして得られた表面処理後の中空シリカ粒子を「中空無機充填材2」と呼ぶ。
【0272】
<実施例1>
(樹脂ワニス1の製造)
ビフェニル型エポキシ樹脂(日本化薬社製「NC-3000-L」、エポキシ当量約269g/eq.)10部、液状1,4-グリシジルシクロヘキサン(日鉄ケミカル&マテリアル社製「ZX1658」、エポキシ当量約135g/eq.)10部、ビキシレノール型エポキシ樹脂(三菱ケミカル社製「YX4000H」、エポキシ当量約185g/eq.)10部、活性エステル化合物(DIC社製「HPC-8000-65T」、活性基当量約223g/eq.、固形分65%のトルエン溶液)50部、トリアジン骨格含有フェノール系硬化剤(DIC社製「LA-3018-50P」、水酸基当量約151g/eq.、固形分50%の2-メトキシプロパノール溶液)6部、フェノキシ樹脂(三菱ケミカル社製「YX7553BH30」、固形分30質量%のMEKとシクロヘキサノンの1:1溶液)10部、カルボジイミド化合物(日清紡ケミカル社製「V-03」、活性基当量約216g/eq.、固形分50質量%のトルエン溶液)10部、中空無機充填材1(シランカップリング剤で表面処理された中空シリカ粒子、平均粒径2.0μm、空孔率20体積%)176部、リン系難燃剤(三光社製「HCA-HQ-HS」、10-(2,5-ジヒドロキシフェニル)-10-ヒドロ-9-オキサ-10-フォスファフェナンスレン-10-オキサイド)1部、ゴム粒子(アイカ工業社製「スタフィロイドAC3816N」、平均粒径0.5μm)1部、硬化促進剤(4-ジメチルアミノピリジン(DMAP)、固形分5質量%のMEK溶液)5部、メチルエチルケトン25部、及び、シクロヘキサノン15部を混合し、高速回転ミキサーで均一に分散して、樹脂ワニス1を調製した。
【0273】
(樹脂シート1の製造)
支持体として、離型処理を施された離型面を有するポリエチレンテレフタレートフィルム(リンテック社製「AL5」、厚さ38μm)を用意した。支持体の離型面上に、樹脂組成物層の厚みが40μmとなるように樹脂ワニスを均一に塗布し、80℃~120℃(平均100℃)で5分間乾燥させて、支持体及び樹脂組成物層を備える樹脂シート1を得た。
【0274】
<実施例2>
中空無機充填材1の量を、176部から80部に変更した。また、樹脂組成物に、シランカップリング剤(信越化学工業社製「KBM-573」)で表面処理された球形シリカ(アドマテックス社製「SO-C2」、平均粒径0.5μm)120部を追加した。以上の事項以外は実施例1と同様の方法により、樹脂ワニス2及び樹脂シート2の製造を行った。
【0275】
<実施例3>
中空無機充填材1の量を、176部から32部に変更した。また、樹脂組成物に、シランカップリング剤(信越化学工業社製「KBM-573」)で表面処理された球形シリカ(アドマテックス社製「SO-C2」、平均粒径0.5μm)180部を追加した。以上の事項以外は実施例1と同様の方法により、樹脂ワニス3及び樹脂シート3の製造を行った。
【0276】
<実施例4>
176部の中空無機充填材1を、30部の中空無機充填材2(シランカップリング剤で表面処理された中空シリカ粒子、平均粒径2.0μm、空孔率70体積%)に変更したこと以外は実施例1と同様の方法により、樹脂ワニス4及び樹脂シート4の製造を行った。
【0277】
<実施例5>
176部の中空無機充填材1を、25部の中空無機充填材2(シランカップリング剤で表面処理された中空シリカ粒子、平均粒径2.0μm、空孔率70体積%)に変更した。また、樹脂組成物に、シランカップリング剤(信越化学工業社製「KBM-573」)で表面処理された球形シリカ(アドマテックス社製「SO-C2」、平均粒径0.5μm)120部を追加した。以上の事項以外は実施例1と同様の方法により、樹脂ワニス5及び樹脂シート5の製造を行った。
【0278】
<実施例6>
176部の中空無機充填材1を、25部の中空無機充填材3に変更した。ここで、中空無機充填材3は、シランカップリング剤(信越化学工業社製「KBM-573」)で表面処理された中空シリカ粒子(平均粒径16.0μm、空孔率80体積%)を表す。また、樹脂組成物に、シランカップリング剤(信越化学工業社製「KBM-573」)で表面処理された球形シリカ(アドマテックス社製「SO-C2」、平均粒径0.5μm)100部を追加した。以上の事項以外は実施例1と同様の方法により、樹脂ワニス6及び樹脂シート6の製造を行った。
【0279】
<実施例7>
中空無機充填材1の量を、176部から16部に変更した。また、樹脂組成物に、シランカップリング剤(信越化学工業社製「KBM-573」)で表面処理された球形シリカ(アドマテックス社製「SO-C2」、平均粒径0.5μm)200部を追加した。以上の事項以外は実施例1と同様の方法により、樹脂ワニス7及び樹脂シート7の製造を行った。
【0280】
<実施例8>
176部の中空無機充填材1を、50部の中空無機充填材4に変更したこと以外は実施例1と同様の方法により、樹脂ワニス8及び樹脂シート8の製造を行った。中空無機充填材4は、シランカップリング剤(信越化学工業社製「KBM-573」)で表面処理された中空シリカ粒子(平均粒径0.5μm、空孔率50体積%)を表す。
【0281】
<実施例9>
176部の中空無機充填材1を、20部の中空無機充填材4(シランカップリング剤で表面処理された中空シリカ粒子、平均粒径0.5μm、空孔率50体積%)に変更したこと以外は実施例1と同様の方法により、樹脂ワニス9及び樹脂シート9の製造を行った。
【0282】
<実施例10>
176部の中空無機充填材1を、7.5部の中空無機充填材4(シランカップリング剤で表面処理された中空シリカ粒子、平均粒径0.5μm、空孔率50体積%)に変更したこと以外は実施例1と同様の方法により、樹脂ワニス10及び樹脂シート10の製造を行った。
【0283】
<実施例11>
176部の中空無機充填材1を、50部の中空無機充填材4(シランカップリング剤で表面処理された中空シリカ粒子、平均粒径0.5μm、空孔率50体積%)に変更した。また、樹脂組成物に、シランカップリング剤(信越化学工業社製「KBM-573」)で表面処理された球形シリカ(アドマテックス社製「SO-C2」、平均粒径0.5μm)100部を追加した。以上の事項以外は実施例1と同様の方法により、樹脂ワニス11及び樹脂シート11の製造を行った。
【0284】
<実施例12>
176部の中空無機充填材1を、30部の中空無機充填材4(シランカップリング剤で表面処理された中空シリカ粒子、平均粒径0.5μm、空孔率50体積%)に変更した。また、樹脂組成物に、シランカップリング剤(信越化学工業社製「KBM-573」)で表面処理された球形シリカ(アドマテックス社製「SO-C2」、平均粒径0.5μm)100部を追加した。以上の事項以外は実施例1と同様の方法により、樹脂ワニス12及び樹脂シート12の製造を行った。
【0285】
<実施例13>
176部の中空無機充填材1を、30部の中空無機充填材4(シランカップリング剤で表面処理された中空シリカ粒子、平均粒径0.5μm、空孔率50体積%)に変更した。また、樹脂組成物に、シランカップリング剤(信越化学工業社製「KBM-573」)で表面処理された球形シリカ(アドマテックス社製「SO-C2」、平均粒径0.5μm)60部を追加した。以上の事項以外は実施例1と同様の方法により、樹脂ワニス13及び樹脂シート13の製造を行った。
【0286】
<実施例14>
176部の中空無機充填材1を、20部の中空無機充填材4(シランカップリング剤で表面処理された中空シリカ粒子、平均粒径0.5μm、空孔率50体積%)に変更した。また、樹脂組成物に、シランカップリング剤(信越化学工業社製「KBM-573」)で表面処理された球形シリカ(アドマテックス社製「SO-C2」、平均粒径0.5μm)180部を追加した。以上の事項以外は実施例1と同様の方法により、樹脂ワニス14及び樹脂シート14の製造を行った。
【0287】
<実施例15>
(樹脂ワニス15の製造)
ポリフェニルメタンマレイミド樹脂(大和化成工社製「BMI-2300」、マレイミド当量約186g/eq.)45部、ラジカル重合性樹脂(三菱ガス化学社製「OPE-2st 1200」、数平均分子量1200)45部、フェノキシ樹脂(三菱ケミカル社製「YX7553BH30」、固形分30質量%のMEKとシクロヘキサノンの1:1溶液)10部、中空無機充填材1(シランカップリング剤で表面処理された中空シリカ粒子、平均粒径2.0μm、空孔率20体積%)220部、重合開始剤(日油社製「パーヘキシル」、固形分10質量%のMEK溶液)10部、メチルエチルケトン25部、及びトルエン15部を混合し、高速回転ミキサーで均一に分散して、樹脂ワニス15を調製した。
【0288】
(樹脂シート15の製造)
支持体として、離型処理を施された離型面を有するポリエチレンテレフタレートフィルム(リンテック社製「AL5」、厚さ38μm)を用意した。支持体の離型面上に、樹脂組成物層の厚みが40μmとなるように樹脂ワニスを均一に塗布し、80℃~120℃(平均100℃)で5分間乾燥させて、支持体及び樹脂組成物層を備える樹脂シート15を得た。
【0289】
<比較例1>
176部の中空無機充填材1を、シランカップリング剤(信越化学工業社製「KBM-573」)で表面処理された球形シリカ(アドマテックス社製「SO-C2」、平均粒径0.5μm)220部に変更したこと以外は実施例1と同様の方法により、樹脂ワニス16及び樹脂シート16の製造を行った。
【0290】
<評価用硬化物の作製>
離型剤処理を施された離型剤処理面と離型剤処理を施されていない離型剤未処理面とを有するPETフィルム(リンテック社製「501010」、厚み38μm、240mm角)を用意した。このPETフィルムの離型剤未処理面に、ガラス布基材エポキシ樹脂両面銅張積層板(パナソニック社製「R5715ES」、厚み0.7mm、255mm角)を重ね、四辺をポリイミド接着テープ(幅10mm)で固定した。
【0291】
ガラス布基材エポキシ樹脂両面銅張積層板を固定されたPETフィルムと、上述した樹脂シートとを、PETフィルムの離型剤処理面と樹脂シートの樹脂組成物層とが接合するように重ね、バッチ式真空加圧ラミネーター(名機製作所社製、MVLP-500)を用いてラミネートした。ラミネートは、30秒間減圧して気圧を13hPa以下とし、その後30秒間、100℃、圧力0.74MPaでプレスすることにより行った。
【0292】
次いで、樹脂シートの支持体を剥離し、190℃のオーブンに投入後、90分間の硬化条件で樹脂組成物層を熱硬化させた。熱硬化後、ポリイミド接着テープを剥がし、ガラス布基材エポキシ樹脂両面銅張積層板を外し、更にPETフィルム(リンテック社製「501010」)も剥離して、シート状の評価用硬化物を得た。
【0293】
<試験例1:密度の測定>
評価用硬化物の密度(g/cm3)を、メトラー・トレド社製分析天秤「XP105」(比重測定キット使用)を用いて測定した。
【0294】
<試験例2:弾性率の測定>
評価用硬化物について、日本工業規格(JIS K7127)に準拠し、25℃において、テンシロン万能試験機(エー・アンド・デイ社製)を用いて、硬化物の引っ張り試験を行い、引張弾性率(GPa)を測定した。3本の試験片について測定を行い、平均値を算出した。
【0295】
<試験例3:比誘電率Dkの測定>
評価用硬化物を切断して、長さ80mm、幅2mmの評価サンプルを得た。この評価サンプルについて、分析装置(アジレントテクノロジーズ(Agilent Technologies)社製「HP8362B」)を用いた空洞共振摂動法により、測定周波数5.8GHz、測定温度23℃にて、比誘電率を測定した。3本の試験片について測定を行い、平均値を算出した。得られた比誘電率について、以下の基準で評価した。
優:比誘電率が3.0未満。
可:比誘電率が3.0以上3.3未満。
不可:比誘電率が3.3以上。
【0296】
<試験例4:エッチングレートの測定>
(1)銅張積層板の用意:
内層基板として、両面に銅箔層を有するガラス布基材エポキシ樹脂両面銅張積層板(銅箔の厚さ18μm、基板厚み0.8mm、パナソニック社製「R-1515A」、255×340mmサイズ)を用意した。
【0297】
(2)樹脂シートのラミネート:
樹脂シートを、バッチ式真空加圧ラミネーター(ニッコー・マテリアルズ社製の2ステージビルドアップラミネーター「CVP700」)を用いて、樹脂シートの樹脂組成物層と内層基板とが接するように、内層基板の両面にラミネートした。ラミネートは、30秒間減圧して気圧を13hPa以下とし、100℃、圧力0.74MPaにて30秒間圧着させることにより実施した。次いで、100℃、圧力0.5MPaにて60秒間熱プレスを行った。
【0298】
(3)樹脂シートの熱硬化:
樹脂シートがラミネートされた内層基板を、100℃のオーブンに投入後30分間加熱し、次いで180℃のオーブンに移し替えた後30分間加熱した。前記の加熱により、樹脂組成物層が熱硬化して、絶縁層が形成された。その後、支持体を剥離して、絶縁層/内層基板/絶縁層の層構成を有する積層板Aを得た。
【0299】
(4)ドライフィルムのパターン形成:
レジスト層(厚さ20μm)と、ポリエチレンテレフタレートフィルムで形成された保護層と、を備えたドライフィルム(ニッコー・マテリアルズ社製、「ALPHO 20A263」)を用意した。前記積層板Aの絶縁層の表面に、前記のドライフィルムを、絶縁層とレジスト層とが接合するように積層した。積層は、バッチ式真空加圧ラミネーター(名機製作所社製「MVLP-500」)を用いて、30秒間減圧して気圧を13hPa以下にした後、圧力0.1MPa、温度70℃にて、20秒間加圧して行った。その後、レジスト層に形成すべきトレンチパターンに対応した透光部を有するガラスマスクを、ドライフィルムの保護層上に置いた。UVランプにより、ガラスマスクを介してレジスト層に照射強度150mJ/cm2にてUV照射を行った。UV照射後、保護層を剥離した。レジスト層に30℃の1%炭酸ナトリウム水溶液を用いて噴射圧0.15MPaにて30秒間スプレー処理して、現像を行った。その後、水洗を行って、配線幅20μmのトレンチパターンを有するレジスト層としてのマスク層を形成した。ここで「トレンチパターン」とは、絶縁層に形成するべきトレンチの平面形状に合わせてレジスト層に形成された孔部を表す。よって、レジスト層は、トレンチパターンが形成された部分では絶縁層を覆わず、トレンチパターン以外の部分において選択的に絶縁層を覆っていた。
【0300】
(5)プラズマ加工:
真空プラズマエッチング装置(ニッシン社製M120W)を使用したプラズマ処理により、絶縁層に幅20μmのトレンチを形成して、プリント配線板を得た。前記のプラズマ処理は、CF4/O2を混合比1:7(sccm)で用いて、圧力120Pa、加工時間10分間の条件で行った。
【0301】
(6)プラズマ処理のエッチングレート(加工速度)の評価:
得られたプリント配線板について、FIB-SEM複合装置(SIIナノテクノロジー社製「SMI3050SE」)を用いて断面観察を行い、トレンチの深さを測定した。測定した深さを加工時間で割り算して、エッチングレート(μm/min)を算出した。算出されたエッチングレートを、以下の基準で評価した。エッチングレートが大きいほど、トレンチの形成の効率に優れることを表す。
優:エッチングレートが0.7μm/minより大きい。
可:エッチングレートが0.4μm/minより大きく0.7μm/min以下。
不可:エッチングレートが0.4μm/min以下。
【0302】
<試験例5:耐衝撃性の評価>
(1)内層基板の用意:
ガラス布基材エポキシ樹脂両面銅張積層板(銅箔の厚さ18μm、基板の厚さ0.8mm、パナソニック社製「R1515A」)の両面をマイクロエッチング剤(メック社製「CZ8101」)にて1μmエッチングして銅表面の粗化処理を行い、内層基板を得た。
【0303】
(2)樹脂シートのラミネート:
バッチ式真空加圧ラミネーター(ニッコー・マテリアルズ社製、2ステージビルドアップラミネーター「CVP700」)を用いて、実施例および比較例で得られた樹脂シートを、樹脂組成物層が内層基板と接するように、内層基板の両面にラミネートした。ラミネートは、30秒間減圧して気圧を13hPa以下に調整した後、100℃、圧力0.7MPaにて30秒間圧着させることにより実施した。次いで、100℃、圧力0.5MPaにて60秒間熱プレスを行って、支持体/樹脂組成物層/内層基板/樹脂組成物層/支持体の層構成を有する中間基板を得た。
【0304】
(3)樹脂組成物層の硬化:
中間基板を、180℃、90分の熱硬化条件により、樹脂組成物層を加熱硬化して、絶縁層を形成した。その後、支持体を剥離して、絶縁層/内層基板/絶縁層の層構成を有する評価用基板を得た。
【0305】
(4)落下試験:
評価用基板を10mm×10mmのサイズに切断し評価基板片を得た。評価基板片を、重さ200gの円筒形の重りの円底部に固定した。その後、鉄鋼円板(厚み20mm、直径200mm、SS400製)上に、前記の重りを、1.5mの高さから、評価基板片を下にして自由落下させる落下試験を行った。
【0306】
(5)耐衝撃性の評価:
前記の落下試験を、5個の評価基板片について実施した。落下試験後の評価基板片を観察し、下記の基準によって、耐衝撃性を判定した。耐衝撃性に優れることは、自由落下によって加えられる衝撃によっても絶縁層の剥離が生じ難いことを表す。よって、耐衝撃性に優れることは、絶縁層が、衝撃による剥離に対して高い耐性を有することを表す。
「優」:落下試験後の5個の基板片の全てに剥離が見られないもの。
「可」:落下試験後の5個の基板片のうち、1サンプルのみ剥離が見られるもの。
「不可」:落下試験後の5個の基板片のうち、2サンプル以上に剥離が見られるもの。
【0307】
<実施例1~15及び比較例1の結果>
上述した実施例1~15及び比較例1の結果を、下記の表1~4に示す。下記の表1~4において、略称の意味は、以下の通りである。
比重:各試薬の固形分の比重[g/cm3]。
N.V.:固形分濃度。
【0308】
【0309】
【0310】
【0311】
【0312】
<顕微鏡による観察結果>
実施例1~7及び15で製造されたプリント配線板のトレンチの顕微鏡観察を行った。観察の結果、実施例1~5、7及び15では、ドライフィルムに形成されたトレンチパターンと同じパターン形状を有するトレンチを形成できていた。よって、実施例1~5、7及び15では、高い精度でトレンチの開口形状を制御できていることが確認された。
他方、実施例6では、トレンチのパターン形状とドライフィルムに形成されたトレンチパターンのパターン形状とにずれが生じていた。よって、実施例6では、形成されたトレンチの開口形状の精度は低かった。実施例6では他の実施例よりも大きい平均粒径を有する中空無機充填材を用いたことから、このように精度が低くなったと考えられる。
【0313】
また、実施例1~7及び15におけるトレンチの観察の結果、いずれに実施例でも、トレンチの底面及び側面に、中空無機充填材の粒子が削られて形成された面部が確認された。
【0314】
<導体層の形成試験>
実施例1~7及び15で製造されたプリント配線板からレジスト層を除去し、乾燥した後、絶縁層上に銅によって導体層を形成した。導体層の形成は、スパッタリング装置を用いたスパッタリング法と、電解めっき法と、を行った。
【0315】
スパッタリング法で形成された導体層を剥離する剥離試験を行ったところ、1.0kgf/cm以上の剥離強度が得られた。いずれの実施例でも導体層を剥離するために大きな力を要したことから、高い密着性が得られることが確認された。
【0316】
他方、めっき法で形成された導体層を剥離する剥離試験を行ったところ、実施例1~7では1.0kgf/cm以上の剥離強度が得られ、高い密着性を確認できたが、実施例15では剥離するために要する力として、0.3kgf/cmの剥離強度が得られ、実施例1~7よりも小さかった。よって、めっき法で形成された導体層との密着性の点では、実施例1~7が実施例15よりも優れることが確認された。
【0317】
<プラズマ処理の条件の検証実験>
以下、実施例1で製造した樹脂シート1を用いて、プラズマ処理においてプラズマ化する気体によってエッチングレートがどのように影響されるかを検証する実験を行った。
【0318】
<実施例16>
樹脂シート1を用いて、プラズマ処理のガスの条件をCF4/O2を混合比CF4:O2=1:7(sccm)で用いるように変更したこと以外は、実施例1と同じ方法によって試験例4によるプラズマ加工およびプラズマ処理のエッチングレート(加工速度)の評価を行った。
【0319】
<実施例17>
樹脂シート1を用いて、プラズマ処理のガスの条件をCF4/O2/Arを混合比CF4:O2:Ar=7:1:1(sccm)で用いるように変更したこと以外は、実施例1と同じ方法によって試験例4によるプラズマ加工およびプラズマ処理のエッチングレート(加工速度)の評価を行った。
【0320】
<実施例18>
樹脂シート1を用いて、プラズマ処理のガスの条件をC4F8/O2を混合比C4F8:O2=7:1(sccm)で用いるように変更したこと以外は、実施例1と同じ方法によって試験例4によるプラズマ加工およびプラズマ処理のエッチングレート(加工速度)の評価を行った。
【0321】
<実施例19>
樹脂シート1を用いて、プラズマ処理のガスの条件をC4F8/O2/Arを混合比C4F8:O2:Ar=7:1:1(sccm)で用いるように変更したこと以外は、実施例1と同じ方法によって試験例4によるプラズマ加工およびプラズマ処理のエッチングレート(加工速度)の評価を行った。
【0322】
<実施例20>
樹脂シート1を用いて、プラズマ処理のガスの条件をSF6/O2を混合比SF6:O2=7:1(sccm)で用いるように変更したこと以外は、実施例1と同じ方法によって試験例4によるプラズマ加工およびプラズマ処理のエッチングレート(加工速度)の評価を行った。
【0323】
<実施例1及び16~20の結果>
上述した実施例1及び16~20の結果を、下記の表に示す。
【0324】