(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024137741
(43)【公開日】2024-10-07
(54)【発明の名称】レゼクトスコープ
(51)【国際特許分類】
A61B 17/42 20060101AFI20240927BHJP
【FI】
A61B17/42
【審査請求】未請求
【請求項の数】15
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2024022282
(22)【出願日】2024-02-16
(31)【優先権主張番号】63/454,160
(32)【優先日】2023-03-23
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(71)【出願人】
【識別番号】516236908
【氏名又は名称】オリンパス・ヴィンター・ウント・イベ・ゲゼルシャフト・ミット・ベシュレンクテル・ハフツング
【氏名又は名称原語表記】OLYMPUS WINTER & IBE GmbH
(74)【代理人】
【識別番号】110002147
【氏名又は名称】弁理士法人酒井国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】ブロックマン,クリスティアン
(72)【発明者】
【氏名】オフト,アンドレアス
(72)【発明者】
【氏名】マウフ,コティツァ
【テーマコード(参考)】
4C160
【Fターム(参考)】
4C160MM54
4C160NN30
(57)【要約】
【課題】洗浄液の体積流量が最適化され、同時に、治療中の観察条件を改善するために、特に層流がレゼクトスコープの遠位端部の前方に形成されるレゼクトスコープを作成すること。
【解決手段】本発明は、洗浄液の体積流量が最適化されると同時に、治療中の観察状態を改善するために、特に層流がレゼクトスコープの遠位端部の前方に形成されるレゼクトスコープを作成する。これは、外部チューブ(12)及び内部チューブ(21)を有するシャフトを有するレゼクトスコープ(10)によって達成される。内部チューブ(21)は流入部として機能し、外部チューブ(12)と内部との間の容積(27)は、洗浄液の流出部として機能する。内部チューブ(21)は、その遠位部分(28)及び近位部分(29)において異なる断面を有する。
【選択図】
図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
外部チューブ及び前記外部チューブ内に配置される内部チューブと、本体を備える搬送部と、を有するレゼクトスコープであって、
前記内部チューブが近位端部で前記本体に取り付けられ、少なくとも1つの光学系が前記内部チューブ内に配置され、前記内部チューブが流入部として形成され、前記外部チューブと前記内部チューブとの間の容積が洗浄液の流出部として形成される、レゼクトスコープにおいて、前記内部チューブの遠位領域の断面が前記内部チューブの近位領域の断面と異なり、前記遠位領域の前記断面、及び前記近位領域の前記断面が円形でないレゼクトスコープ。
【請求項2】
前記近位領域と前記遠位領域との間の前記内部チューブの中間領域の断面は、前記近位領域の前記断面形状から前記遠位領域の前記断面形状まで前記内部チューブに沿って連続的に変化する請求項1に記載のレゼクトスコープ。
【請求項3】
前記遠位領域及び/又は前記近位領域の前記断面は、ウエストを有し、
前記ウエストは、前記断面を2つの領域に分割し、
前記2つの領域は、光学系を受け入れるように機能する上部領域と、洗浄液を搬送するように機能する下部領域とである請求項1に記載のレゼクトスコープ。
【請求項4】
前記上部領域の断面領域は、前記下部領域の断面領域に、等しいか、小さいか、又は大きい請求項3に記載のレゼクトスコープ。
【請求項5】
前記上部領域の断面領域は、長円又は楕円形の形状であり、
前記上部領域の断面領域の長い対称軸が前記内部チューブを通る水平面と垂直に交差することより、前記洗浄液のためのチャネルが円形光学系と前記内部チューブの壁の上部との間に形成される請求項3に記載のレゼクトスコープ。
【請求項6】
前記内部チューブの前記遠位領域の前記断面は、電極支持体を電極と固定するための少なくとも1つの対向するアンダーカットを有する請求項1に記載のレゼクトスコープ。
【請求項7】
前記内部チューブの前記遠位領域の壁は、電気絶縁アタッチメントの解放可能な連結のために、少なくとも1つのレセプタクル、開口部、ラッチ手段、突起を有する請求項1に記載のレゼクトスコープ。
【請求項8】
前記遠位領域の長さは、60mm~210mm、90mm~190mm、90mm~120mm、又は160mm~190mmである請求項1に記載のレゼクトスコープ。
【請求項9】
前記内部チューブの前記近位領域の前記断面は、上部領域と、下部領域と、を有し、
前記上部領域は、円形であり、
前記下部領域は、2つの対向する直線状で平行の、又は凹状の断面側面を有する請求項1に記載のレゼクトスコープ。
【請求項10】
前記近位領域の長さは、24mm~200mm、又は90mm~170mmである請求項1に記載のレゼクトスコープ。
【請求項11】
前記近位領域及び前記遠位領域の前記上部領域が同じ断面形状を有し、並びに/又は前記近位領域及び前記遠位領域の前記下部領域が同じ断面形状を有する請求項1に記載のレゼクトスコープ。
【請求項12】
前記内部チューブの近位端部は、前記搬送部の前記本体に接続され、押圧され、又は接合される請求項1に記載のレゼクトスコープ。
【請求項13】
前記内部チューブの近位端部は、前記内部チューブを前記本体に押し付け得る圧入部を有する請求項1に記載のレゼクトスコープ。
【請求項14】
前記圧入部の断面は、上部領域と、下部領域と、を有し、
前記上部領域は、円形であり、
前記下部領域は、2つの対向する凹状の断面側面を有する請求項13に記載のレゼクトスコープ。
【請求項15】
前記圧入部の長さは、5mm~20mmである請求項13に記載のレゼクトスコープ。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、レゼクトスコープに関する。
【背景技術】
【0002】
レゼクトスコープは、泌尿器科及び婦人科における内視鏡用途に主に使用され、好ましくは、膀胱又は前立腺の領域における治療に使用される。しかしながら、これらの医療器具の適用分野は、これらの領域に限定されず、むしろすべての臓器、好ましくは、ヒトの腹部の治療も含む。
【0003】
標準的な設計では、一般的なタイプのレゼクトスコープは、搬送部を有する。疾患臓器の治療のために、外部チューブによって形成された細長いシャフトを通常有するレゼクトスコープが、開口部を通して患者の体内に挿入される。患者を治療及び/又は検査するための様々な医療器具が、このシャフト又は外部チューブ内に配置され得る。例えば、高周波手術用のレゼクトスコープでは、電極支持体の遠位端部でシャフトチューブに高周波交流を流し得る電極が、挿入されてもよい。疾患組織を切断するなど、患者に対して実施される治療のために、電極を有する電極支持体が、シャフトチューブに対して移動され得るように、その電極支持体をレゼクトスコープ上に配置する。
【0004】
電極支持体は、その近位端部によって、好ましくは、移動可能に、レゼクトスコープの搬送部に更に連結され、それによって電極の切断動作を実施するために、シャフト軸に沿って変位し得る。搬送部は、外部チューブに通常着脱可能に接続される。それは、ジョイントの長手方向動作のために電極支持体が連結される、長手方向移動可能なキャリッジ又は接触体を有する。搬送部に対するキャリッジの作動又は長手方向の変位は、オペレータによって通常実施される。この目的のために、オペレータは、2つのハンドル又はハンドル部を把持し、それらが、互いに移動し得るように、それらは、レゼクトスコープの異なるアセンブリに割り当てられる。最新技術によれば、搬送部又は電極支持体の動作は、搬送部の設計に応じて、ばねのばね力に抗して、又はばねのばね力を伴って行われ、これは、一般的な搬送部の場合、板ばね又はねじりばねとして通常設計され、ハンドルの間に配置される。
【0005】
上述の処置は体内で行われるので、外科医は、手術すべき領域を直接見ることができない。したがって、一般的なレゼクトスコープは、レゼクトスコープ又はシャフトに一体化された光学系若しくは光学ユニット、又はレンズユニットを有する。そのような光学系は、レゼクトスコープの細長いシャフト内に配置された1つ又は複数のレンズ又は光ガイドを通常備える。少なくとも1つのレンズを介して、画像は、体の中からシャフトを通ってレゼクトスコープの近位端部に伝送される。画像情報又は光のこの伝送は、シャフト内に軸方向に直列に配置された複数のロッドレンズによって、CCDチップなどの電子センサ手段によって、又は内視鏡のシャフト内に同様に配置された光ファイバなどの光ガイド手段によって達成される。
【0006】
本明細書で特許請求されるレゼクトスコープでは、シャフトは、外部チューブと、内部チューブと、を有し、内部チューブの直径は、内部チューブが外部チューブ内で支持され得るように、外部チューブの直径よりも小さい。内部チューブは、光学系をシャフトの遠位端部にガイドする。
【0007】
外科医が治療中に光学系を介して治療する領域を明確に見えるようにするために、治療中に洗浄液がシャフトを通って体内に流される。この洗浄液は、例えば、レゼクトスコープ検査中に発生する組織片を洗い流すために使用されてもよい。更に、洗浄液は、例えば、光学系の視野から血液によって引き起こされる濁りを除去するように機能する。洗浄液は、流入部を通って内部チューブを介して体の内部に通常供給されるが、汚れた洗浄液は、流出部を通って吸引される。この流出は、外部チューブと内部チューブとの間の環状空間によって通常形成される。洗浄デバイス又はポンプは、レゼクトスコープ又はシャフトの近位端部に割り当てられ、これにより、洗浄液は、所定の圧力で体の内部に最初に供され、必要に応じて、わずかな負圧によって環状空間を通して再び排出され得る。
【0008】
手術中の良好な観察状態のために、洗浄液が、体腔に入るときに層流を形成することが不可欠であり、それは、シャフトの長手方向軸又は光学系の光軸に少なくともほぼ平行であり、電極の目視検査を可能にする。洗浄液が層流で流れず、更には乱流であるとすぐに、光学系を通す視界が極めて悪くなり、操作を実施し得ない可能性がある。層流を形成するために、洗浄液が内部チューブを、乱れることなく可能な限り長い距離にわたって流れ得ることが特に重要である。既知のレゼクトスコープでは、そのような外乱の1つは、内部チューブを通ってガイドされる電極支持体である。特に、電極のチューブ状支持体で乱れが発生すると、これは乱流をもたらし、最終的には、レゼクトスコープの遠位端部の前方の視界不良状態につながり得る。
【0009】
既知のレゼクトスコープの別の欠点は、内部チューブと外部チューブとの間の環状空間を通る体積流量が、外部チューブの内壁及び内部チューブの外壁に対する洗浄液の高い摩擦力のために極めて制限されることである。この体積流量、特に洗浄液の流出を増加させるためには内部チューブの直径を小さくすることが明らかである。しかしながら、これは、器具が内部チューブ、特に光学系を通過するための空間を少なくする。更に、内部チューブの断面の減少は、洗浄液の流入部の体積流量に悪影響を及ぼす。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0010】
本発明の目的は、洗浄液の体積流量が最適化され、同時に、治療中の観察条件を改善するために、特に層流がレゼクトスコープの遠位端部の前方に形成されるレゼクトスコープを作成することである。
【課題を解決するための手段】
【0011】
この問題を解決するためのレゼクトスコープは、請求項1の特徴を有する。したがって、レゼクトスコープは、患者の体組織を操作するための電極が配置される遠位端部に、シャフトを有する。このシャフトは、内部チューブが配置された外部チューブによって形成される。更に、レゼクトスコープは、本体を有する搬送部を有し、内部チューブは、近位端部を有する本体に取り付けられる。少なくとも1つの光学系は、内部チューブを通って通過可能であるか、又は配置される。更に、内部チューブは流入部として機能し、外部チューブと内部チューブとの間の容積は、洗浄液の流出部として機能する。内部チューブは、その遠位領域及び近位領域に異なる断面を有する。これに関して、遠位領域の断面も近位領域の断面も円形ではない。内部チューブのこの非円形断面形状は、内部チューブと外部チューブとの間の容積の増加をもたらし、これは、洗浄液の流れ抵抗に良好な効果をもたらす。更に、この断面形状は、光学系などの器具が内部チューブを通ってガイドされることと、同時に、内部チューブを通る洗浄液の層流が実現されることと、の両方を可能にする。
【0012】
好ましくは、本発明は、近位領域と遠位領域との間の内部チューブの中間領域の断面が、近位領域の断面形状から遠位領域の断面形状まで内部チューブに沿って連続的に変化することを実現する。近位断面形状から遠位断面形状へのこの連続的な移行は、流体の層流挙動をもたらす。更に、電極を有する電極支持体は、内部チューブの外壁上に特に確実で容易に配置され、又はシャフト軸に沿って前後に移動され得る。
【0013】
特に、遠位領域及び/又は近位領域の断面は、ウエストを有し、ウエストは、その断面を2つの領域に分割し、その領域は、すなわち、好ましくは光学系を収容するように機能する上部領域と、好ましくは洗浄液を搬送するように機能する下部領域と、である。このウエストは、内部チューブの内側空間が、光学系の受入れ、洗浄液の輸送に、特に適していることを示しているが、この形状はまた、内部チューブと外部チューブとの間の容積の増加をもたらす。上部領域は、光学系を収容するように、まさに寸法決めされると考えられる。更に、ウエストは、内部チューブ内のその位置に光学系を固定する。ウエストは、光学系の下部領域への滑り込みを防止する。同様に、ウエストは、洗浄液又は別の器具を保持するための流路として、下部領域と上部領域とを明確に画定又は分離する。ウエストの厚さ又はウエストの幅は様々であってもよく、例えば、ウエストの2つの側面が互いに接触するか、又は少なくともほぼ接触することが考えられる。
【0014】
本発明の一実施形態は、内部チューブの上部領域の断面領域が、下部領域の断面領域に、等しくても、小さくても、又は大きくてもよい。したがって、内部チューブを通過し得るレゼクトスコープのタイプ、又は光学系及び任意の他の器具の性質に応じて、内部チューブの様々な断面形状が考えられる。
【0015】
本発明の特定の更なる発展形態は、上部領域の断面領域が長円又は楕円形の形状であり、断面領域の対称性の長軸が内部チューブを通る水平面と垂直に交差し、これにより、液体用のチャネル、特に三日月形のチャネルが、円形光学系と内部チューブの壁の上部領域との間に形成されることを実現し得る。更に、洗浄液のための内部チューブを通る自由通路面積を増加させるために、上部領域の断面が更に広げることが考えられる。したがって、三日月形のチャネルの形成は、洗浄液の改善された流れ挙動をもたらし、最終的に、レゼクトスコープの遠位端部の前方に好適な層流をもたらすことが示されている。
【0016】
本発明は、特に、内部チューブの遠位領域の断面が、電極支持体を電極で固定するための少なくとも1つ、好ましくは2つの対向するアンダーカットを有することを更に実現する。電極支持体のチューブ状支持体は、これらのアンダーカットに連結され得る。連結は、例えば、プッシュオン又はクリックオン動作であってもよい。特に、フォーク形状であるか、又は少なくとも2つの平行な支持体チューブを有する電極支持体は、洗浄液の流れの挙動を乱すことなく、特に省スペースで内部チューブの外壁に連結され得る。電極支持体を内部チューブ又は搬送部に取り付けることも、電極支持体を遠位方向から内部チューブに押し付けるだけでよいので、特に信頼性が高く、単純である。アンダーカットは、電極支持体をその軸方向の位置合わせで固定するが、依然として軸方向に前後に移動し得る。
【0017】
本発明によれば、内部チューブの遠位領域、特に遠位領域の壁は、電気絶縁アタッチメント、特に絶縁インサートの着脱可能な連結について、少なくとも1つのレセプタクル、特に開口部、ラッチ手段、突起などを有することが更に考えられる。これにより、高周波の交流電圧を受けた電極が外部チューブに接触することを防止する。この目的のために、アタッチメントは、外部チューブの領域内で電極と近位端部との間に位置するように、内部チューブの遠位端部に配置される。内部チューブへのアタッチメントの着脱可能な連結により、例えば、清掃又は保守の目的で、アタッチメントは、容易で、確実に分解され、又は組み立てられ得る。
【0018】
本発明の1つの可能な実施形態は、遠位領域の長さが60mm~210mm、好ましくは、90mm~190mm、90mm~120mm又は160mm~190mmであることを実現し得る。近位領域の長さは、24mm~200mm、好ましくは、90mm~170mmであってもよい。中間領域の長さは、相応に寸法決めされる。更に、前述の領域は他の長さを有し得ることに留意されたい。
【0019】
好ましくは、内部チューブの近位領域の断面は、上部領域と、下部領域と、を有し、上部領域は、丸く、好ましくは円形であり、下部領域は、2つの対向する直線状で平行の、又は凹状の断面側面を有することが更に考えられる。近位領域におけるこれらの直線状又は凹状の断面側面は、電極支持体の近位端部を搬送部の本体にガイドするために特に有利であることが判明している。この断面形状が、内部チューブの近位領域に限定されるので、この形状は、内部チューブの遠位領域における層流の形成に影響しない。わずかに凹んだ側面では、流れの断面を過度に制限することなく、電極支持体とチューブとの間に大きな間隙を形成することも可能である。直線状の側面とは異なり、凹状の側面は、本体に押し込まれたときに好ましい方向になる。これは、それらがアップセット時に流れ断面内に内向きに曲がる一方で、真っ直ぐな側面でランダムな内向き又は外向きの曲がりが起こり得ることを意味する。内部チューブの近位領域の断面のこのキーホール状の形状に加えて、この領域は、電極支持体を特に有利に本体に近づけるように等しく機能すると同時に、光学系及び洗浄液を遠位端部に移送するように機能する、他の形状を有することも考えられる。
【0020】
近位及び遠位断面の上部領域が同じ断面形状を有すること、及び/又は近位及び遠位断面の下部領域が同じ断面形状を有することが更に考えられる。断面形状のこの柔軟な設計により、様々な用途のための内部チューブの様々な実施形態が考えられる。
【0021】
本発明の別の好ましい実施形態は、内部チューブの近位端部が搬送部の本体に固定的に接続され、好ましくは、押圧され、共に、溶接若しくは栓をされ、溶接若しくは接合されることを実現してもよい。特に、内部チューブの近位端部は、内部チューブを本体に加圧し得る圧入部を有することが考えられる。加圧形成の1つの可能な方法は、ハイドロフォーミング(hydroforming)である。このプロセスでは、近位端部又は圧入部を有する内部チューブは、搬送部の本体内にガイドされ、高い圧力を受ける。高い圧力の印加によって、内部チューブ又は圧入部が膨張して本体内に加圧される。これにより、内部チューブと本体との間に極めて安定した接続を、簡易で、安価に行い得る。ハイドロフォーミングを使用して加圧するとき、必要に応じて、チューブと本体との間に嵌合形状(チューブが径方向に加圧される本体内のアンダーカット)を作成することによって溶接を省略し得る。
【0022】
内部チューブを本体内に加圧するために、圧入部の断面が上部領域及び下部領域を有し、上部領域が丸く、好ましくは円形であり、下部領域が円弧によって互いに接続された2つの対向する凹状断面側面を有するように実現し得る。これらの凹状の断面側面は、内部チューブ又は圧入部を本体内にガイドし、そこでそれを加圧するために特に適していることが示されている。更に、この断面形状は、上記で既に詳述した利点を提供する。本発明によれば、この圧入部の長さは、5mm~20mm、好ましくは10mmであることが考えられる。
【0023】
本発明の好ましい実施形態を、図面を参照して以下に詳細に説明する。
【図面の簡単な説明】
【0024】
【発明を実施するための形態】
【0025】
手持ち式電気外科デバイスの可能な実施形態、すなわちレゼクトスコープ10は、
図1に高度に図式化した形態で示している。レゼクトスコープ10は、細長いチューブ状のシャフト又は外部チューブ12を有する搬送部11を有する。この外部チューブ12は、
図1に破線で示しており、近位端部で搬送部11の本体13に取付け可能である。
【0026】
本体13に加えて、搬送部11は、ハンドルユニット14を有する。搬送部11は、特に着脱可能なハンドル15を有し得る。本明細書に示す搬送部11の実施形態では、把持手段16が接触体17に割り当てられている。把持手段16は、接触体17にしっかりとねじ込まれることが考えられる。
【0027】
接触体17は、チューブ状の光学ガイド18上で摺動可能にガイドされる。接触体17が、レゼクトスコープ10の長手方向、又は外部チューブ12の長手方向軸に沿って、光学ガイド18上で前後に移動し得るので、接触体17はキャリッジとも呼ばれる。光学ガイド18の遠位端部は、本体13に接続可能である一方で、光学ガイドプレート19は、光学ガイド18の近位端部に取り付けられる。チューブ状の光学ガイド18は、光学ガイド18が近位からアクセス可能であるように、光学ガイドプレート19を通って延在する。
【0028】
把持手段16又は接触体17は、ばね要素20を介して光学ガイドプレート19に接続される。このばね要素20は、搬送部11の設計に応じて、引張ばね又は圧縮ばねであってもよい。
【0029】
本体13から出発して、チューブ状の内部チューブ21が遠位方向に延在する。電極支持体22は、内部チューブ21と平行に延在する。この電極支持体22は、本体13を通ってガイドされ、少なくとも1つの近位接触部によって接触体17に機械的に着脱可能に連結される。遠位端部において、電極支持体22は、電極23を有する。この電極23には、RF電圧が印加され得る。電極23での熱プラズマ形成によって、疾患組織は、操作され、又は切断され得る。これを行うために、オペレータは、把持手段16を搬送部11に対して移動させる。電極支持体22を安定させるために、これは、ガイド24によって内部チューブ21上にガイドされ得る。
【0030】
動作を実施するために、ロッド状光学系26は、内部チューブ21を通って、又は光学ガイド18を通ってガイドされる。ここでは見えないが、この光学系26の遠位端部は、外科医が組織の操作を見ることができるように電極23に向けられている。この光学系26は、ロッドレンズ系又は光ファイバであってもよい。光学系26の近位端部には、
図1に示すように、接眼レンズ25又はカメラがある。
【0031】
図示しないが、リング状の絶縁アタッチメントが、内部チューブ12の遠位端部に除去可能に関連付けられる。この絶縁アタッチメントは、電極23を外部チューブ12から電気的に絶縁するように機能する。絶縁アタッチメントを電気的に絶縁するために、絶縁アタッチメントは、プラスチック又はセラミックで作られてもよい。
【0032】
手術中に、手術すべき領域の外科医の視界が血液又は組織粒子によって妨げられないようにするために、この領域に洗浄液を供給し得る。この目的のために、洗浄液は、内部チューブ21を通過し、内部チューブ21の遠位端部から光学系26に平行に出現する。洗浄液を再び体の内部から除去するために、洗浄液は、図示していない吸引デバイス又はポンプによって内部チューブ21と外部チューブ12との間の容積27を通って吸い出され得る。負圧を生成することによって、洗浄液は、容積27を介して除去され得る。
【0033】
図2において、内部チューブ21は、高度に図式化した形態で示している。この内部チューブ21は、遠位領域28と、近位領域29と、中間領域30と、を有する。本発明の本質は、内部チューブ21の遠位領域28の断面が、近位領域29の断面とは異なることである。断面は、中間領域30において互いに連続的につながっている。更に、内部チューブ21、特に
図2に示すように、遠位領域28は、アンダーカット31を有する。このアンダーカット31は、
図2では見えない内部チューブ21の反対側の壁半分にも形成され、電極支持体22を、そのガイド24と共に収容するように機能する。この場合、2つのチューブ32及びガイド24を有する電極支持体22は、アンダーカット31内で径方向に固定され、軸方向に移動可能であるように、内部チューブ21の上に押し込まれる。アンダーカット31が内部チューブ21の全長にわたって延在する内部チューブ21の実施形態も考えられる。
【0034】
図3には、内部チューブ21の遠位領域28の断面を示している。電極支持体22の外部チューブ12、光学系26、及び2つのチューブ32の断面も示している。この概略図から、内部チューブ21の遠位領域28の断面は、ウエスト33を有するか、又はウエストが付けられていることが分かる。このウエスト33は、断面を上部領域34と下部領域35とに分離する。
図3から既に分かるように、上部領域34の形状は、円形であるが、下部領域35は、長円である。円形上部領域34は、光学系26を収容するために好適なサイズである。内部チューブ21の下部領域は、洗浄液が近位領域29から電極23に流れることを可能にするように設計されている。利用可能な容積及び電極支持体22の外部装着のために、洗浄液は、少なくとも内部チューブ21の遠位領域28において、ほぼ干渉することなく下部領域35を通って流れることができ、これにより、その流れは、内部チューブ21内で、したがってチューブ21の外側でも既に層状に挙動する。層流は、光学系26の前方の観察条件に特に有利である。
【0035】
内部チューブ21の遠位領域28のウエスト形状から生じる別の利点は、外部チューブ12と内部チューブ21との間の容積27が増加することである。円形の内部チューブと比較して、ウエスト33は、洗浄液の流れが近位領域29に戻り得る空間を形成する。更に、電極支持体22のチューブ32は、この領域内でガイドされ得る。電極支持体22及び/又はチューブ32は、ここでは断面で示されている。外部チューブ32と、電気絶縁体36及び導体37との両方が見える。
【0036】
上述したように、内部チューブ21の近位領域29の断面は、様々な形状を有する。この形状を
図4に模式的に示す。内部チューブ21の近位領域29もまた、上部領域38と、下部領域39と、を有することが分かる。上部領域38は、上部領域34と同じ方法で、すなわち光学系26を収容するように形成されるが、下部領域39は、2つの直線状並びに平行な断面側面40を有し、あるいは、これらの側面40が凹状であることも考えられる。直線状の側面40は、近位領域29内でチューブ32をガイドするために特に有利であることが判明し、チューブ32又は電極支持体22は、
図5に示すように、下方に向けられたS字形ストローク41を描く。チューブ32の近位端部が搬送部11の本体13を通ってガイドされ得るように、このS字形ストローク41は、電極支持体22が位置する平面を変位させる。
【0037】
図6には、内部チューブ21の全長に沿った断面又は図を示している。このことから、遠位領域28の断面形状は、中間領域30を介して近位領域29の断面形状に連続的に移行することが分かる。領域28から領域30までの長さは、レゼクトスコープ10の異なる実施形態では異なっていてもよい。例えば、遠位領域28の長さは、60mm~210mm、好ましくは、90mm~190mm、90mm~120mm、又は160mm~190mmであり、近位領域29の長さは、24mm~200mm、好ましくは90mm~170mmであることが考えられる。中間領域30の長さは、それに対応して寸法決めされる。
【0038】
直線状断面側面40の代替として、これらの側面が凹状であることも考えられる。このような実施形態を
図7に示す。断面側面40のこの凹状の設計は、下部領域39のサイズを縮小する。同様に、これは、外部チューブ12と内部チューブ21との間の容積27を増加させる。この断面形状の別の利点は、内部チューブ21を本体13に取り付けることである。内部チューブ21を本体13内に取り付けるために、近位領域29を最初に本体13内に押し込まなければならない。
図7に示す断面形状により、内部チューブ21を本体13内に、良好に固定し得る。
図7から、別の有利な特徴、すなわち、長円又は楕円形であることも明らかになる。ここで、長円又は楕円形は、断面領域の長い対称軸42が内部チューブ21を通る水平面と垂直に交差するように設置される。結果として、三日月形状のチャネル43が、光学系26と内部チューブ21のアンダーカット31との間に形成される。このチャネル43により、追加の洗浄液が内部チューブ32を通って流れることを可能にする。
【0039】
内部チューブ21を本体13内に固定するために、近位領域29が本体13に接続されることが実現される。内部チューブ21を本体13に接続するための特に有利な方法は、ハイドロフォーミングである。このプロセスでは、例えば、
図7に示す断面形状を有する近位領域29の後部、いわゆる圧入部44が、高い圧力を受ける。これにより、内部チューブ21の壁が本体13の開口部に加圧される。その後、構成要素は、引き続き互いに溶接される。内部チューブ21を本体13に接合するための他のプロセスも考えられる。
【符号の説明】
【0040】
10 レゼクトスコープ
11 搬送部
12 外部チューブ
13 本体
14 ハンドルユニット
15 ハンドル
16 把持手段
17 接触体
18 光学ガイド
19 光学ガイドプレート
20 ばね要素
21 内部チューブ
22 電極支持体
23 電極
24 ガイド要素
25 接眼レンズ
26 光学系
27 容積
28 遠位領域
29 近位領域
30 中間領域
31 アンダーカット
32 チューブ
33 ウエスト
34 上部領域
35 下部領域
36 絶縁体
37 導体
38 上部領域
39 下部領域
40 断面側面
41 S字形ストローク
42 対称軸
43 チャネル
44 圧入部