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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024137749
(43)【公開日】2024-10-07
(54)【発明の名称】芳香族アミン化合物の合成方法
(51)【国際特許分類】
   C07C 231/12 20060101AFI20240927BHJP
   C07C 237/40 20060101ALI20240927BHJP
   B01J 31/26 20060101ALI20240927BHJP
   C07B 61/00 20060101ALN20240927BHJP
【FI】
C07C231/12
C07C237/40
B01J31/26 Z
C07B61/00 300
【審査請求】未請求
【請求項の数】13
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2024026184
(22)【出願日】2024-02-26
(31)【優先権主張番号】P 2023046732
(32)【優先日】2023-03-23
(33)【優先権主張国・地域又は機関】JP
(71)【出願人】
【識別番号】000158312
【氏名又は名称】岩谷産業株式会社
(71)【出願人】
【識別番号】304020177
【氏名又は名称】国立大学法人山口大学
(74)【代理人】
【識別番号】100107984
【弁理士】
【氏名又は名称】廣田 雅紀
(74)【代理人】
【識別番号】100182305
【弁理士】
【氏名又は名称】廣田 鉄平
(74)【代理人】
【識別番号】100096482
【弁理士】
【氏名又は名称】東海 裕作
(74)【代理人】
【識別番号】100131093
【弁理士】
【氏名又は名称】堀内 真
(74)【代理人】
【識別番号】100150902
【弁理士】
【氏名又は名称】山内 正子
(74)【代理人】
【識別番号】100141391
【弁理士】
【氏名又は名称】園元 修一
(74)【代理人】
【識別番号】100221958
【弁理士】
【氏名又は名称】篠田 真希恵
(74)【代理人】
【識別番号】100192441
【弁理士】
【氏名又は名称】渡辺 仁
(72)【発明者】
【氏名】西形 孝司
(72)【発明者】
【氏名】川端 亮次
(72)【発明者】
【氏名】古西 香菜
【テーマコード(参考)】
4G169
4H006
4H039
【Fターム(参考)】
4G169AA06
4G169BA21A
4G169BA21B
4G169BB14B
4G169BB16A
4G169BB16B
4G169BC03B
4G169BC06A
4G169BC06B
4G169BE08B
4G169BE13A
4G169BE13B
4G169BE16A
4G169BE16B
4G169BE17A
4G169BE17B
4G169BE33A
4G169BE33B
4G169CB25
4H006AA02
4H006AB20
4H006AB92
4H006AC52
4H006BA02
4H006BA32
4H006BA51
4H006BC10
4H006BM30
4H006BM74
4H006BP10
4H006BU32
4H006BU46
4H006BV74
4H039CA71
4H039CD10
4H039CD20
(57)【要約】
【課題】芳香族アミン化合物の合成方法としては、クロスカップリング反応が用いられているが、入手が困難な遷移金属を含む触媒を用いることから、価格面及び残留金属の毒性の面からの課題があると共に、化学選択性の課題があった。また、芳香族求核置換反応(SnAr)も、温和な条件で、かつ金属触媒を用いることのない合成方法として古くから知られているが、ニトロ基のような電子吸引基が置換している基質を準備する必要があり、化学選択性の制御が困難であるという課題があった。さらに、遷移金属触媒を用いない合成方法では、特定の基質に限られるものであり、また高温を要するという課題があった。
【解決手段】金属を含まない有機触媒とセシウム化合物との存在下で、アミド基を有する芳香族ハロゲン化物とアミン化合物とを室温で反応させることを特徴とする、芳香族アミン化合物の合成方法を提供する。
【選択図】なし
【特許請求の範囲】
【請求項1】
金属を含まない有機触媒とセシウム化合物との存在下で、アミド基を有する芳香族ハロゲン化物とアミン化合物とを室温で反応させることを特徴とする、芳香族アミン化合物の合成方法。
【請求項2】
アミド基を有する芳香族ハロゲン化物が、アミド結合を有する芳香族ヨード化物である、請求項1に記載の芳香族アミン化合物の合成方法。
【請求項3】
アミド基を有する芳香族ハロゲン化物が、ハロゲン化-N-フェニルベンズアミドである、請求項1に記載の芳香族アミン化合物の合成方法。
【請求項4】
アミン化合物が、アルキルアミン化合物である、請求項1に記載の芳香族アミン化合物の合成方法。
【請求項5】
アミン化合物が、n-ブチルアミンである、請求項4に記載の芳香族アミン化合物の合成方法。
【請求項6】
アミン化合物が、アルケニルアミン化合物である、請求項1に記載の芳香族アミン化合物の合成方法。
【請求項7】
アルキルアミン化合物又はアルケニルアミン化合物の炭素原子が酸素原子により置換している、請求項4又は6に記載の芳香族アミン化合物の合成方法。
【請求項8】
アルキルアミン化合物又はアルケニルアミン化合物の炭素原子が窒素原子により置換している、請求項4又は6に記載の芳香族アミン化合物の合成方法。
【請求項9】
金属を含まない有機触媒が、窒素含有化合物である、請求項1に記載の芳香族アミン化合物の合成方法。
【請求項10】
窒素含有化合物が、環状構造又は線状構造である、請求項9に記載の芳香族アミン化合物の合成方法。
【請求項11】
金属を含まない有機触媒が、ピリジンまたはその塩である、請求項10に記載の芳香族アミン化合物の合成方法。
【請求項12】
金属を含まない有機触媒が、ピリジンの塩酸塩である、請求項11に記載の芳香族アミン化合物の合成方法。
【請求項13】
セシウム化合物が、炭酸セシウム又は酢酸セシウムである、請求項1に記載の芳香族アミン化合物の合成方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、芳香族アミン化合物の合成方法に関するものであって、金属を含まない有機触媒とセシウム化合物との存在下で、芳香族ハロゲン化物とアミン化合物とを室温で反応させることを特徴とする芳香族アミン化合物の合成方法に関する。
【背景技術】
【0002】
芳香族アミン化合物は、医薬品、有機エレクトロルミネッセンス素子などの材料として幅広い用途において用いられている工業上の需要の高い化合物であり、数多くの化合物及び誘導体が開発されている。
【0003】
芳香族アミン化合物の合成方法としては、クロスカップリング反応が広く用いられている。芳香族アミン化合物の代表的な合成方法として、芳香族ハロゲン化物のアミノ化反応が知られており、特に、銅触媒を用いたゴールドベルグ反応やバックワルド・ハートウィグによるパラジウム触媒を用いたアミノ化反応が知られている。
【0004】
これらの反応は、芳香族化合物のハロゲンに対してオルト位、メタ位及びパラ位のいずれの位置においてもスムースに進行するものの、反応点が複数存在する場合には置換位置の化学選択性が問題となることが知られていた。この課題に対しては、芳香族化合物とハロゲンとの反応性の違いを利用したり、置換基を導入することにより置換位置の周辺の立体障害を少なくすることで反応を誘導したり、電子吸引基を配向基として用いることで化学選択性の制御が試みられている。
【0005】
また、これらの反応は金属触媒を用いることから、合成品に残留する金属の毒性を低減する必要があることや、触媒に用いられる金属が遷移金属である場合には入手が困難であるといった課題も挙げられており、さらに、これらの反応は高温での反応を必要とすることも課題として挙げられていた。
【0006】
芳香族アミン化合物の合成方法としては、芳香族求核置換反応(SnAr)も、温和な条件で、かつ金属触媒を用いることのない合成方法として古くから知られている。しかし、芳香族化合物の置換位置のオルト位やパラ位にニトロ基のような強力な電子吸引基が置換した化合物を準備する必要があり、さらに、複数の置換位置に対しての化学選択性の制御が困難であるという問題も挙げられている。
【0007】
最近、遷移金属触媒を用いない、芳香族ヨード化合物とマグネシウムジアリールアミドとのカップリング反応が報告されたが、特定の基質に用いられる反応であると共に、反応の進行には185℃という高温を要するものである。
【先行技術文献】
【非特許文献】
【0008】
【非特許文献1】Shirakawa et al., Electron-Catalyzed Coupling of Magnesium Amides with Aryl Iodides Chem.Eur.J.2018,24,4519-4522
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
芳香族アミン化合物の合成方法としては、主としてクロスカップリング反応が用いられているが、入手が困難な遷移金属を含む触媒を用いることから、価格面及び残留金属の毒性の面からの課題があると共に、化学選択性の課題があった。また、芳香族求核置換反応(SnAr)も、温和な条件で、かつ金属触媒を用いることのない合成方法として古くから知られているが、ニトロ基のような電子吸引基が置換している基質を準備する必要があり、化学選択性の制御が困難であるという課題があった。さらに、遷移金属触媒を用いない合成方法では、特定の基質に限られるものであり、また高温を要するという課題があった。
【課題を解決するための手段】
【0010】
出願人らは、金属を含まない有機触媒とセシウム化合物との存在下で、アミド基を有する芳香族ハロゲン化物とアミン化合物とを室温で反応させることで、芳香族アミン化合物が合成できることを見出したことに基づいて、本発明を完成させた。
【0011】
すなわち、本発明は、以下に示す事項に関する。
[1] 金属を含まない有機触媒とセシウム化合物との存在下で、アミド基を有する芳香族ハロゲン化物とアミン化合物とを室温で反応させることを特徴とする、芳香族アミン化合物の合成方法。
[2] アミド基を有する芳香族ハロゲン化物が、アミド結合を有する芳香族ヨード化物である、[1]に記載の芳香族アミン化合物の合成方法。
[3] アミド基を有する芳香族ハロゲン化物が、ハロゲン化-N-フェニルベンズアミドである、[1]に記載の芳香族アミン化合物の合成方法。
[4] アミン化合物が、アルキルアミン化合物である、[1]に記載の芳香族アミン化合物の合成方法。
[5] アミン化合物が、n-ブチルアミンである、[4]に記載の芳香族アミン化合物の合成方法。
[6] アミン化合物が、アルケニルアミン化合物である、[1]に記載の芳香族アミン化合物の合成方法。
[7] アルキルアミン化合物又はアルケニルアミン化合物の炭素原子が酸素原子により置換している、[4]又は[6]に記載の芳香族アミン化合物の合成方法。
[8] アルキルアミン化合物又はアルケニルアミン化合物の炭素原子が窒素原子により置換している、[4]又は[6]に記載の芳香族アミン化合物の合成方法。
[9] 金属を含まない有機触媒が、窒素含有化合物である、[1]に記載の芳香族アミン化合物の合成方法。
[10] 窒素含有化合物が、環状構造又は線状構造である、[9]に記載の芳香族アミン化合物の合成方法。
[11] 金属を含まない有機触媒が、ピリジンまたはその塩である、[10]に記載の芳香族アミン化合物の合成方法。
[12] 金属を含まない有機触媒が、ピリジンの塩酸塩である、[11]に記載の芳香族アミン化合物の合成方法。
[13] セシウム化合物が、炭酸セシウム又は酢酸セシウムである、[1]に記載の芳香族アミン化合物の合成方法。
【発明の効果】
【0012】
本発明によれば、入手が困難で毒性のある遷移金属等の金属を含まない有機触媒をセシウム化合物と共に用い、室温で反応させることで、希少資源や大量のエネルギーを必要とすることなく、芳香族アミン化合物を合成することができる。さらに、本発明によれば、芳香族化合物の有するアミド基に対してオルト位を選択的にアミノ化することができることから、化学選択性の高い芳香族アミン化合物の合成方法を提供できる。
【発明を実施するための形態】
【0013】
以下、本発明を具体的に説明する。
【0014】
本発明は、金属を含まない有機触媒とセシウム化合物との存在下で、アミド基を有する芳香族ハロゲン化物とアミン化合物とを室温で反応させることを特徴とする、芳香族アミン化合物の合成方法であり、下記の化学反応式で例示されるものである。
【化1】
上記化学反応式においては、金属を含まない有機触媒としてのピリジン塩酸塩とセシウム化合物としての炭酸セシウムとの存在下で、アミド基を有する芳香族ハロゲン化物(1)として2-ヨード-N-フェニルベンズアミドを、アミン化合物(2)としてn-ブチルアミンを用い、ジクロロメタン(DCM)中で、室温で20時間反応させることで、芳香族アミン化合物(3)を合成する反応である。
【0015】
金属を含まない有機触媒としては、窒素含有化合物を例示することができる。窒素含有化合物としては、ピリジン、ピペリジンのように窒素原子が環状構造の一部を構成している化合物でも、トリエチルアミン、ジメチルアミン、エチルアミンのように窒素原子が鎖状構造の一部を構成している化合物でもよい。窒素原子が環状構造又は線状構造の一部を構成している化合物は塩として形成されてもよい。
【0016】
窒素原子が環状構造の一部を構成している化合物の中では、ピリジンが最も触媒効率が高く、ピリジンの塩酸塩やカンファースルホン酸塩がより好ましい。ピペリジンについても、同様に、塩酸塩が好ましい。一方、5員環のピロールでは高い触媒効率は得られなかった。
【0017】
窒素原子が鎖状構造の一部を構成している化合物としては、3級アミンであるトリエチルアミン及び2級アミンであるジメチルアミンの塩酸塩が高い触媒効率を示したが、1級アミンであるエチルアミンの塩酸塩については低い触媒効率であった。
【0018】
金属を含まない有機触媒としては、窒素含有化合物以外として酸触媒を例示することができる。酸触媒としては、酢酸、アミノ酸(アラニン)、カンファースルホン酸などを挙げることができるが、触媒効率としては窒素含有化合物の方が優れている。
【0019】
本発明の合成方法に用いられるセシウム化合物としては、炭酸セシウム、酢酸セシウムなどを挙げることができる。
【0020】
本発明の合成方法において、金属を含まない有機触媒及びセシウム化合物を用いることにより、アミド基のメタ位及びパラ位では反応が進行せず、オルト位にのみ反応が進行し、高い化学選択性が確認された。
【0021】
本発明の合成方法に用いられるアミン化合物としては、特に制限はないが、アルキルアミン、アルケニルアミン及び環構造を有するアミン化合物を例示することができる。なお、環構造を有するアミン化合物や、嵩高い構造を有するアミン化合物は、芳香族化合物の有するアミド基との立体障害から、高い収率が得られにくいおそれがある。
【0022】
アルキルアミンとしてはn-ブチルアミンなどを挙げることができ、アルケニルアミンとしてはアリルアミンなどを挙げることができ、環構造を有するアミン化合物としてはp-トルイジンなどを挙げることができるが、n-ブチルアミンが好ましい。また、アルキルアミン及びアルケニルアミンは、炭素鎖中の炭素原子が窒素原子又は酸素原子で置換していてもよく、窒素原子で置換したアミン化合物としてはジメチルアミノエチルアミンなどが挙げられ、酸素原子で置換したアミン化合物としてはエチルオキシプロピルアミンなどが挙げられる。
【0023】
アミド基を有する芳香族ハロゲン化物としては、特に制限されるものではないが、ハロゲン化-N-フェニルベンズアミド類が好ましい。なお、ハロゲン化-N-フェニルベンズアミドのフェニル基の置換基としては特に制限はないが、シアノ基やニトロ基のような強力な電子吸引基が置換している場合には、アミノ化の効率が低くなるおそれがある。また、本発明の合成方法では、ハロゲン化-N-フェニルベンズアミドのフェニル基にハロゲンが置換した化合物を用いても、アミド基に対してオルト位にあるハロゲン基のみがアミノ化され、高い化学選択性が確認された。
【実施例0024】
以下に実施例等により本発明を具体的に説明するが、本発明はこれらによって何ら限定されるものではない。
【0025】
[試験例1]
触媒の最適化
アミド基を有する芳香族ハロゲン化物として2-ヨード-N-フェニルベンズアミド(1.0当量)、アミン化合物としてn-ブチルアミン(3.0当量)を用い、炭酸セシウム(3.0当量)の存在下で、有機触媒を用い、ジクロロメタン(0.25M)中で、室温で20時間反応させた。芳香族アミン化合物としての2-(ブチルアミノ)-N-フェニルベンズアミドの合成をNMRで確認することで、それぞれの有機触媒の触媒効率を得た。結果を表1に示す。
【表1】
【0026】
[試験例2]
アミン化合物の基質範囲
アミド基を有する芳香族ハロゲン化物として2-ヨード-N-フェニルベンズアミド(1.0当量)を用い、有機触媒としてのピリジン塩酸塩(5mol%)とセシウム化合物としての炭酸セシウム(3.0当量)との存在下で、以下のアミン化合物を、ジクロロメタン(0.25M)中で、室温で20時間反応させた。芳香族アミン化合物としての2位がアミノ化されたN-フェニルベンズアミドの合成をNMRで確認することで、アミン化合物の基質範囲を確認した。結果を表2に示す。
【表2】
【0027】
[実施例1]
2-(ブチルアミノ)-N-フェニルベンズアミドの合成
【化2】
攪拌子を入れた5mLスクリューバイアルに2-ヨード-N-フェニルベンズアミド(1)(161.6mg、0.5mmol)を入れ、バイアルのねじ口の部分にシーリングした。もう一方の5mLスクリューバイアルにピリジン塩酸塩(28.9mg、0.25mmol)を入れた。グローブボックス内で2-ヨード-N-フェニルベンズアミド(1)入れたスクリューバイアルに炭酸セシウム(488.7mg、1.5mmol)、n-ブチルアミン(2)(0.25mL、2.5mmol)及びジクロロメタン(1.8mL)を入れた。ピリジン塩酸塩(28.9mg、0.25mmol)を入れたスクリューバイアルにジクロロメタン(2.0mL)を入れ溶かした後、ここから0.2mL(0.025mmol)取り出し、先ほどのスクリューバイアルに(0.5M溶液)加え、キャップ、シーリングをした後、室温下で20時間撹拌した。粗生成物をジクロロメタン、酢酸エチルでシリカろ過した。エバポレーションした後、シリカゲルクロマトグラフィー(hexane/AcOEt=20:1、v/v)で精製して減圧乾燥することで、生成物(3)(133.5mg、0.497mmol,99%)を得た。
H-NMR(CDCl、500MHz)δ: 7.72 (s,1H), 7.72 (s, 1H) , 7.48 (dd, J = 1.5 and 7.9 Hz, 1H), 7.72 (s, 1H) , 7.42-7.33(m, 4H) , 7.15(t, J = 7.4 Hz, 1H) , 6.73 (d, J = 8.1 Hz, 1H) , 6.63 (t, J = 7.5Hz, 1H) , 3.16 (t, J = 7.1 Hz, 2H) , 1.66 (quint, J = 7.3, 2H) , 1.45 (sext, J= 7.4 Hz, 2H), 0.95 (t, J = 7.4 Hz, 3H)
13C-NMR(CDCl、125MHz)δ: 168.3,150.3, 138.0, 133.4, 129.2, 127.5, 124.5, 120.8, 114.9,114.6, 112.0, 42.9,31.4, 20.5, 14.0
【0028】
[実施例2]
2-(ブチルアミノ)-5-ヨード-N-フェニルベンズアミドの合成
【化3】
2,5-ジヨード-N-フェニルベンズアミド(0.5mmol、1.0当量)を攪拌子を入れた5mLスクリューバイアルに入れ、ねじ口の部分にシーリングした。その後、このスクリューバイアルをグローブボックス内で開封し、炭酸セシウム(1.5mmol、3.0当量)、n-ブチルアミン(2.5mmol、5.0当量)、ピリジン(1.0mL、0.5M)を入れた。キャップした後、シーリングし、室温下で20時間撹拌した。反応後シリカろ過を行い、フラッシュカラムクロマトグラフィー(hexane/AcoEt=20:1)により精製し、化合物3を収率90%(177.4mg、0.45mmol)で得た。
H-NMR(CDCl);7.71(d,J = 2.0 Hz, 1H), 7.67 (brs 1H), 7.54-7.52(m, 3H) , 7.37(t, J = 7.5 Hz, 3H) , 7.16(t, J = 7.4 Hz, 1H) , 6.49 (d, J = 8.8 Hz, 1H) , 3.11 (t, J = 5.2 Hz, 2H) , 1.62(quint, J = 7.1, 2H) , 1.43 (sext, J = 7.4 Hz, 2H), 0.94 (t, J = 7.4 Hz, 3H)
13C-NMR(CDCl)δ: 166.9, 149.5, 141.4,137.6, 135.7, 129.2, 124.9, 120.9, 117.5,114.3, 74.0, 42.8, 31.2, 20.4, 14.0
【0029】
[実施例3-1]
2-ブチルアミノ-N-(4-ヨード-フェニル)ベンズアミドの合成
【化4】
2-ヨード-N-(4-ヨード-フェニル)ベンズアミド(0.5mmol、1.0当量)を攪拌子を入れた5mLスクリューバイアルに入れ、ねじ口の部分にシーリングした。その後、このスクリューバイアルをグローブボックス内で開封し、炭酸セシウム(1.5mmol、3.0当量)、n-ブチルアミン(2.5mmol、5.0当量)、ピリジン塩酸塩(5mol%、0.025mmol)及びジクロロメタン(0.5mL、1.0M)を入れた。キャップした後、シーリングし、室温下で20時間撹拌した。反応後シリカろ過を行い、フラッシュカラムクロマトグラフィー(hexane/AcoEt=10:1)により精製し化合物3を収率86%(170.1mg、0.43mmol)で得た。
H-NMR(CDCl)δ: 7.98(t,J = 1.7Hz, 1H), 7.68 (brs. 1H), 7.51(dd, J = 1.4 and 8.2Hz, 1H) , 7.47(d, J =7.9Hz, 1H) , 7.44 (dd, J = 1.4 and 7.9 Hz, 1H) , 7.63 (brs. 1H) , 7.36-7.33 (m,1H) , 7.08 (t, J = 7.9Hz, 1H) , 6.73 (d, J = 8.3Hz, 1H), 6.62 (t, J = 7.9 Hz, 1H), 3.16 (t, J = 9.9Hz, 2H), 1.66(quin, J = 7.1Hz, 2H), 1.46 (sext, J = 7.1Hz,2H), 0.96(t, J = 7.5Hz, 3H)
13C-NMR(CDCl)δ: 168.2, 150.4, 139.2,133.7, 133.4, 130.6, 129.3, 127.5, 119.8,114.6, 114.3, 112.1, 94.3, 42.9, 31.4,20.5, 14.0
【0030】
[実施例3-2]
2-ブチルアミノ-N-(3-ヨード-フェニル)ベンズアミドの合成
【化5】
2-ヨード-N-(3-ヨード-フェニル)ベンズアミド(0.5mmol、1.0当量)を攪拌子を入れた5mLスクリューバイアルに入れ、ねじ口の部分にシーリングした。その後、このスクリューバイアルをグローブボックス内で開封し、炭酸セシウム(1.5mmol、3.0当量)、n-ブチルアミン(2.5mmol、5.0当量)、ピリジン塩酸塩(5mol%、0.025mmol)及びジクロロメタン(0.5mL、1.0M)を入れた。キャップした後、シーリングし、室温下で20時間撹拌した。反応後シリカろ過を行い、フラッシュカラムクロマトグラフィー(hexane/AcoEt=10:1)により精製し化合物3を収率70%(138.2mg、0.35mmol)で得た。
H-NMR(CDCl)δ: 7.70(brs,1H), 7.66 (d. J = 8.8 Hz, 2H), 7.45(d, J = 7.9Hz, 1H) , 7.40(brs, 1H) , 7.36 -7.32 (m, 3H) , 6.73 (d, J = 8.5 Hz, 1H) , 6.62 (t, J = 7.3 Hz, 1H) , 3.16 (t, J= 6.7Hz, 2H) , 1.65 (quin, J = 7.3 Hz, 2H), 1.45 (sext, J = 7.3 Hz, 2H) , 0.95(t, J = 7.4Hz, 3H)
13C-NMR(CDCl);δ: 168.2, 150.4, 138.1,137.8, 133.6, 127.5, 122.5, 114.6, 114.4,112.1, 87.7, 42.9, 31.3, 20.5, 14.0
【0031】
[実施例3-3]
2-ブチルアミノ-N-(2-ヨード-フェニル)ベンズアミドの合成
【化6】
2-ヨード-N-(2-ヨード-フェニル)ベンズアミド(0.5mmol、1.0当量)を攪拌子を入れた5mLスクリューバイアルに入れ、ねじ口の部分にシーリングした。その後、このスクリューバイアルをグローブボックス内で開封し、炭酸セシウム(1.5mmol、3.0当量)、n-ブチルアミン(2.5mmol、5.0当量)、ピリジン(1.0mL、0.5M)を入れた。キャップした後、シーリングし、室温下で20時間撹拌した。反応後シリカろ過を行い、フラッシュカラムクロマトグラフィー(hexane/AcoEt=10:1)により精製し化合物3を収率94%(186.3mg、0.47mmol)で得た。
H-NMR(CDCl)δ: 8.27(dd, J = 1.6 and 8.2 Hz,1H), 8.12(brs, 1H), 7.81 (dd. J = 1.4 and 8.0 Hz, 1H),7.63(dd, J = 1.7 and 8.2Hz, 1H) , 7.63(brs, 1H) , 7.40 - 7.34 (m, 2H) , 6.88-6.84(m, 1H) , 6.74 (d, J = 8.3 Hz, 1H) , 6.67-6.64 (m, 1H) , 3.17 (q, J = 7.1 Hz,2H), 1.67 (quin, J = 7.3 Hz, 2H) , 1.46(sext, J = 7.4Hz, 2H), 0.95 (t, J =7.4Hz, 3H)
13C-NMR(CDCl)δ: 168.1, 150.7, 139.0.138.6, 133.8, 129.3, 127.7, 126.0, 122.2, 114.7, 114.0,112.1, 90.9. 42.9, 31.4,20.5, 14.1
【0032】
[実施例4]
2-(p-トルイジノ)-N-フェニルベンズアミドの合成
【化7】
2-ヨード-N-フェニルベンズアミド(0.5mmol、1.0当量)、p-トルイジン(2.5mmol、5.0当量)を攪拌子を入れた5mLスクリューバイアルに入れ、ねじ口の部分にシーリングした。その後、このスクリューバイアルをグローブボックス内で開封し、リン酸3カリウム(1.0mmol、2.0当量)、酢酸セシウム(0.5mmol、1.0当量)、ピリジン(0.5mL、1.0M)を入れた。キャップした後、シーリングし、80℃下で24時間撹拌した。反応後シリカろ過を行い、フラッシュカラムクロマトグラフィー(hexane/AcoEt=20:1)により精製し化合物3を収率79%(115.2mg、0.38mmol)で得た。
H-NMR(CDCl)δ: 9.06(s, 1H), 7.86 (s, 1H), 7.56 (d. J = 8.5 Hz, 3H), 7.38(t, J = 7.6Hz, 2H) , 7.31-7.27(m,2H) , 7.16 (t, J= 7.5Hz, 1H) , 7.13-7.08 (m, 4H) , 6.81 - 6.77 (m, 1H) , 2.32 (s,3H)
13C-NMR(CDCl)δ: 167.9, 146.7, 138.6.137.8, 132.8, 132.7, 130.0, 129.2, 127.6, 124.8, 121.9, 120.7, 117.9, 117.7, 115.4.20.9
【産業上の利用可能性】
【0033】
金属を含まない有機触媒を用いて芳香族アミン化合物を合成することができることから、合成過程で触媒として用いた遷移金属等の金属の残渣の問題がなく、医薬品や電子材料系など幅広い用途での適用が可能となる。