(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024137752
(43)【公開日】2024-10-07
(54)【発明の名称】負荷転流形インバータの並列動作
(51)【国際特許分類】
H02M 7/12 20060101AFI20240927BHJP
H02M 7/493 20070101ALI20240927BHJP
【FI】
H02M7/12 W
H02M7/493
【審査請求】未請求
【請求項の数】15
【出願形態】OL
【外国語出願】
(21)【出願番号】P 2024027105
(22)【出願日】2024-02-27
(31)【優先権主張番号】18/188,548
(32)【優先日】2023-03-23
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
【公序良俗違反の表示】
(特許庁注:以下のものは登録商標)
1.JAVA
(71)【出願人】
【識別番号】515322297
【氏名又は名称】ゼネラル エレクトリック テクノロジー ゲゼルシャフト ミット ベシュレンクテル ハフツング
【氏名又は名称原語表記】General Electric Technology GmbH
【住所又は居所原語表記】Brown Boveri Strasse 8, 5400 Baden, Switzerland
(74)【代理人】
【識別番号】100105588
【弁理士】
【氏名又は名称】小倉 博
(74)【代理人】
【識別番号】110002848
【氏名又は名称】弁理士法人NIP&SBPJ国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】デサバトラ、スレードハル
(72)【発明者】
【氏名】レオナード、ジョン アンドリュー
【テーマコード(参考)】
5H006
5H770
【Fターム(参考)】
5H006BB05
5H006CA03
5H006CA12
5H006CA13
5H006DB01
5H006DC02
5H006DC05
5H770BA01
5H770CA02
5H770DA03
5H770DA22
5H770DA41
5H770HA02Y
5H770HA03Y
(57)【要約】
【解決方法】負荷転流形インバータの並列運転
【解決手段】
並列に接続された複数の負荷転流形インバータ(LCI)を含み、各LCIは、交流(AC)電圧を直流(DC)電圧に変換するソースブリッジであって、前記ソースブリッジは少なくとも1つの電流スイッチングデバイスを含む、ソースブリッジ、前記ソースブリッジからの前記DC電圧を可変周波数の交流電圧に変換する負荷ブリッジ、及び前記ソースブリッジを前記負荷ブリッジに結合するDCリンクを含み、各LCIは、前記DCリンクの電流が生成されるように、前記LCIの前記ソースブリッジの前記少なくとも1つの電流スイッチングデバイスを制御するためのそれぞれの電流調整器を含む、システム。
【選択図】
図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
システムであって、
並列に接続された複数の負荷転流形インバータ(LCI)を含み、各LCIは、
交流(AC)電圧を直流(DC)電圧に変換するソースブリッジであって、前記ソースブリッジは少なくとも1つの電流スイッチングデバイスを含む、ソースブリッジ、
前記ソースブリッジからの前記DC電圧を可変周波数の交流電圧に変換する負荷ブリッジ、及び
前記ソースブリッジを前記負荷ブリッジに結合するDCリンク
を含み、
各LCIは、前記DCリンクの電流が生成されるように、前記LCIの前記ソースブリッジの前記少なくとも1つの電流スイッチングデバイスを制御するためのそれぞれの電流調整器を含む、システム。
【請求項2】
前記電流スイッチングデバイスはシリコン制御整流器を含む、請求項1に記載のシステム。
【請求項3】
各LCIのDCリンクには同じ電流が生成される、請求項1に記載のシステム。
【請求項4】
各LCIは、それぞれの電流調整器から受け取った命令に応答して、LCIのソースブリッジの少なくとも1つの電流スイッチングデバイスをゲート制御するためのゲートドライバをさらに含む、請求項1に記載のシステム。
【請求項5】
各LCIのソースブリッジの少なくとも1つの電流スイッチングデバイスのゲーティングが、それぞれの電流調整器によって独立に制御される、請求項4に記載のシステム。
【請求項6】
各LCIは、それぞれの電流調整器に電圧及び/又は電流のフィードバックを提供するためのフィードバックシステムを含む、請求項1に記載のシステム。
【請求項7】
各LCIの負荷ブリッジは、少なくとも1つの電流スイッチングデバイスを含み、前記システムは、出力電流が生成されるように、各LCIの負荷ブリッジの少なくとも1つの電流スイッチングデバイスを制御するための負荷ブリッジコントローラを含む、請求項1に記載のシステム。
【請求項8】
各LCIの負荷ブリッジによって同じ出力電流が生成される、請求項7に記載のシステム。
【請求項9】
前記システムによって供給される全電流は、前記複数のLCIによって生成される出力電流の合計に等しい、請求項8に記載のシステム。
【請求項10】
前記システムによって供給される全電流を受け取るための電気機械をさらに含む、請求項9に記載のシステム。
【請求項11】
駆動システムであって、
並列に接続された複数の負荷転流形インバータ(LCI)であって、各LCIは、
交流(AC)電圧を直流(DC)電圧に変換するソースブリッジであって、前記ソースブリッジは少なくとも1つの電流スイッチングデバイスを含む、ソースブリッジ、
前記ソースブリッジからの前記DC電圧を可変周波数の交流電圧に変換する負荷ブリッジであって、前記負荷ブリッジは少なくとも1つの電流スイッチングデバイスを含む、負荷ブリッジ、及び
前記ソースブリッジを前記負荷ブリッジを結合するDCリンク
を含み、
各LCIは、前記DCリンクの電流が生成されるように、前記LCIの前記ソースブリッジの前記少なくとも1つの電流スイッチングデバイスを制御するためのそれぞれの電流調整器を含み、各LCIのDCリンクには同じ電流が生成される、駆動システム。
【請求項12】
前記電流スイッチングデバイスはシリコン制御整流器を含む、請求項11に記載のシステム。
【請求項13】
各LCIは、それぞれの電流調整器から受け取った命令に応答して、LCIのソースブリッジの少なくとも1つの電流スイッチングデバイスをゲート制御するためのゲートドライバをさらに含む、請求項11に記載のシステム。
【請求項14】
各LCIのソースブリッジの少なくとも1つの電流スイッチングデバイスのゲーティングが、それぞれの電流調整器によって独立して制御される、請求項13に記載のシステム。
【請求項15】
各LCIは、それぞれの電流調整器に電圧及び/又は電流フィードバックを提供するためのフィードバックシステムを含む、請求項11に記載のシステム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、一般に、高出力電気機械の駆動システムに関する。特に、本開示は、高出力電気機械を駆動するための自己整流インバータ又は負荷転流形インバータの並列動作に関する。
【背景技術】
【0002】
負荷転流形インバータ(LCI)駆動システムは、さまざまな電気機械(ガスターボ機械、電気モータ、圧縮機、ポンプなど)の始動及び/又は動作に従来から使用されている。従来、LCIは、シリコン制御整流器(SCR)(サイリスタ)を使用して電気機械に電流源を供給しており、サイリスタは、電気機械の電流動作に基づいて、直流(DC)を多相交流(AC)に変換し、電気機械に交流を供給する。LCIドライブシステムは、強制整流モードとも呼ばれる始動動作モードと、自己整流モードとも呼ばれる「通常」動作モードとの両方で電気機械を動作させるように設計されている。可変周波数AC電源により、補助装置を必要とせずに電気機械を始動させることができる。
【発明の概要】
【0003】
以下に述べる全ての態様、例、特徴は、技術的に可能なあらゆる方法で組み合わせることができる。
【0004】
本開示の一態様はシステムを提供する。本システムは、並列に接続された複数の負荷転流形インバータ(LCI)を含み、各LCIは、交流(AC)電圧を直流(DC)電圧に変換するソースブリッジであって、前記ソースブリッジは少なくとも1つの電流スイッチングデバイスを含む、ソースブリッジ、前記ソースブリッジからの前記DC電圧を可変周波数の交流電圧に変換する負荷ブリッジ、及び前記ソースブリッジを前記負荷ブリッジに結合するDCリンクを含み、各LCIは、前記DCリンクの電流が生成されるように、前記LCIの前記ソースブリッジの前記少なくとも1つの電流スイッチングデバイスを制御するためのそれぞれの電流調整器を含む。
【0005】
本開示の別の態様は、先に記載された態様を含み、前記電流スイッチングデバイスはシリコン制御整流器を含んでいる。
【0006】
本開示の別の態様は、先に記載された複数の態様のうちのいずれかの態様を含み、各LCIのDCリンクには同じ電流が生成される。
【0007】
本開示の別の態様は、先に記載された複数の態様のうちのいずれかの態様を含み、各LCIは、それぞれの電流調整器から受け取った命令に応答して、LCIのソースブリッジの少なくとも1つの電流スイッチングデバイスをゲート制御するためのゲートドライバをさらに含む。
【0008】
本開示の別の態様は、先に記載された複数の態様のうちのいずれかの態様を含み、各LCIのソースブリッジの少なくとも1つの電流スイッチングデバイスのゲーティングが同期されている。
【0009】
本開示の別の態様は、先に記載された複数の態様のうちのいずれかの態様を含み、各LCIは、それぞれの電流調整器に電圧及び電流のフィードバックを提供するためのフィードバックシステムを含む。
【0010】
本開示の別の態様は、先に記載された複数の態様のうちのいずれかの態様を含み、各LCIの負荷ブリッジは、少なくとも1つの電流スイッチングデバイスを含み、前記システムは、出力電流が生成されるように、LCIの負荷ブリッジの少なくとも1つの電流スイッチングデバイスを制御するための負荷ブリッジコントローラを含む。
【0011】
本開示の別の態様は、先に記載された複数の態様のうちのいずれかの態様を含み、各LCIの負荷ブリッジによって同じ出力電流が生成される。
【0012】
本開示の別の態様は、先に記載された複数の態様のうちのいずれかの態様を含み、前記システムによって供給される全電流は、前記複数のLCIによって生成される出力電流の合計に等しい。
【0013】
本開示の別の態様は、先に記載された複数の態様のうちのいずれかの態様を含み、前記システムは、前記システムによって供給される全電流を受け取るための電気機械をさらに含む。
【図面の簡単な説明】
【0014】
本開示のこれらの特徴及び他の特徴は、本開示の様々な実施形態を示す添付の図面と併せて説明される本開示の様々な態様の以下の詳細な説明から、更に容易に理解することができる。
【
図1】本開示の実施形態による複数の負荷転流形インバータ(LCI)システムの並列配置を含む電気機械用の駆動システムの概略図である。
【
図2】本開示の実施形態による
図1の駆動システムを詳細に示す図である。
【0015】
本開示の図面は必ずしも一定の縮尺で示されていないことに留意されたい。図面は、本開示の典型的な態様のみを示すことを意図しており、したがって、本開示の範囲を限定するものとみなされるべきではない。図面において、同様の番号は、図面の全体に渡って同様の要素を表す。
【発明を実施するための形態】
【0016】
先ず初めに、本開示を明確に説明するためには、例示の実施形態の関連する機械の構成要素に言及し説明するときに、特定の用語を選択することが必要になる。用語の選択をする場合、可能な限り、一般的な業界用語が、その業界で受け入れられている意味と一致する態様で使用され、採用される。特に明記しない限り、上記の用語は、本出願の文脈及び特許請求の範囲と一致する広い解釈が与えられるべきである。当業者は、多くの場合、特定の構成要素がいくつかの異なる用語又は重複する用語を使用して言及される場合があることを理解することができる。本明細書において単一の部品として説明されているものは、別の文脈では、複数の構成要素を含むことがあり、また、複数の構成要素を含むものとして言及されることがある。あるいは、本明細書において複数の構成要素を含むものとして説明されているものは、他の箇所では単一の部品として言及されることがある。
【0017】
明細書で使用される用語は、特定の実施形態のみを説明することを目的としており、本開示を限定することを意図するものではない。本明細書において、単数形「1つ(a)」、「1つ(an)」、及び「この(the)」は、文脈が明らかに複数形を含むことを示していない限り、複数形を含むことも意図している。更に、「第1」、「第2」、及び「第3」という用語は、ある構成要素を別の構成要素と区別するために互換可能に使用することができ、個々の構成要素の位置及び重要度を意味することを意図しているのではない。「含む、有する、備える(comprises)」及び/又は「含んでいる、有している、備えている(comprising)」は、本明細書で使用される場合、言及された特徴、整数、工程、動作、要素、及び/又は構成要素が存在していることを特定しているが、1つ又は他の特徴、整数、工程、動作、要素、構成要素、及び/又はそれらのグループの存在及び追加を排除しないことが更に理解される。「任意選択の」又は「任意選択で」は、その後に記述されるイベントが発生しても発生しなくてもよいこと、又はその後に記述される特徴が存在しても存在しなくてもよいこと、及びその記述が、イベントが発生する例、その特徴が存在する例、そのイベントが発生ない例、又はその特徴が存在しない例を含むことを意味する。
【0018】
ある要素又は層が、別の要素又は層「に接触する」、「に係合されている」、「に接続されている」、又は「に結合されている」ものとして言及されている場合、ある要素又は層は、他の要素又は層に、直接的に接触する、係合する、接続する、結合する、又は取り付けられるものであってもよいし、介在する要素又は層が存在していてもよい。対照的に、ある要素が、別の要素又は層「に直接的に接触」、「に直接的に結合」、「に直接的に接続」、又は「に直接的に結合」しているものとして言及されている場合、介在する要素又は層は存在していない。要素間の関係を説明するために使用される他の言葉は、同じように解釈されるべきである(例えば、「間に」と「直接的に間に」、「隣接する」と「直接的に隣接する」など)。本明細書において、「及び/又は」という用語は、列挙された関連する複数の項目のうちの1つ以上の項目のあらゆる組合せを含む。本明細書では、「結合する」及び「取り付ける」という動詞形は、互いに交換して使用することができる。
【0019】
図1は、本開示の実施形態による電気機械102用の駆動システム100の概略図である。図示されるように、駆動システム100は、並列に配置された複数の負荷転流形インバータ(LCI)システム104(例えば、104-1、104-2)を含んでいる。駆動システム100には、2つのLCIシステム104が示されているが、駆動システム100に、(例えば、電気機械102の電流及び電力(例えば、トルク)の要件に応じて)3つ以上のLCIシステム104が含まれていてもよい。
図1では、電気機械102は同期モータ(例えば、定常状態において、電気機械102のシャフトの回転が供給電流の周波数と同期する交流(AC)電気モータ)として示されている。
【0020】
実施形態によれば、駆動システム100は、電力源、更には様々な産業機械(電気機械102など)に供給される速度及びトルクを制御するための始動コンバータ、連続使用駆動装置、又は同様のシステムとして使用することができる。駆動システム100が始動コンバータである場合(例えば、回転機械(例えば、ガスターボマシン)が概ね静止位置から最初に始動する場合)、駆動システム100は可変速AC駆動システムとして機能することができる。同様に、駆動システム100は、連続使用駆動装置として動作することができる。例えば、駆動システム100は、電気機械102の定格トルクで、例えば、ゼロ付近から電気機械102の最適定格速度まで連続的に動作させることができる。また、駆動システム100は、高い始動及び加速トルク能力を含むことができ、この能力は、例えば、大型コンベヤ、金属加工、ロッド、バー、及びワイヤミル、並びに様々な押出、混合、粉砕、及び圧縮機用途に有用である。特定の実施形態では、駆動システム100は高出力能を含むこともでき、駆動システム100は、電気機械102のトルク及び速度が制御されるように電気機械102の電流及び力率の両方を制御することができる。例えば、電気機械102は三相同期機械とすることができ、駆動システム100は、例えば、44メガワット(MW)以上と評価されている1つ以上の電気機械102を起動又は連続的に駆動するために使用することができる。
【0021】
図1及び
図2を参照すると、各LCIシステム104は、3相AC電圧をDC電圧に変換するソースコンバータとして構成されるソースブリッジ106(例えば、106-1、106-2)と、ソースブリッジ106によって供給されるDC電圧を可変周波数の3相交流電圧に変換して電気機械102に供給する負荷インバータとして構成される負荷ブリッジ108(例えば、108-1、108-2)とを含んでいる。各LCIシステム104のソースブリッジ106と負荷ブリッジ108は、それぞれのDCリンクリアクトル110(例えば、110-1、110-2)によって相互接続されている。一般に、LCIシステム104のソースブリッジ106は、電気機械102に供給される電流(及びトルク)の量を変化させるように制御することができ、LCIシステム104の負荷ブリッジ108は、電気機械102に供給される電力の周波数を変化させるように制御することができる。
【0022】
各LCIシステム104のソースブリッジ106は、DCリンクリアクトル110を通って負荷ブリッジ108に流れる電流I(例えば、I1、I2)を生成する。各LCIシステム104のDCリンクリアクトル110は、ソースブリッジ106によって負荷ブリッジ108に送られる電流Iを平滑化するインダクタンスを与えるものである。例えば、各LCIシステム104のDCリンクリアクトル110は、入力電力がACからDCに整流される際にソースブリッジ106と負荷ブリッジ108との間に流れる可能性のあるリップル電流を制限することができる。動作においては、各LCIシステム104では、ソースブリッジ106が、ソースブリッジ106からDCリンクリアクトル110を通じて負荷ブリッジ108に流れる電流Iの大きさを調整する。駆動システム100によって電気機械102に供給される全電流ITotalは、LCIシステム104によって生成される電流I1,I2の合計に等しい。
【0023】
図2に詳細に示されているように、各ソースブリッジ106は、3相AC電圧の各相に対して、上側レグ112(例えば、112-1、112-2)及び下側レグ114(例えば、114-1、114-2)を含み、各ソースブリッジ106の上側レグ112及び下側レグ114は、1つ又は複数(例えば、6つ)の電流スイッチングデバイス116を含んでいる。実施形態によれば、電流スイッチングデバイス116は、例えば、シリコン制御整流器(SCR)(サイリスタ)を含むことができる。各LCIシステム104のソースブリッジ106の電流スイッチングデバイス116のゲーティングは、それぞれのゲートドライバ118(例えば、118-1、118-2)によって作動する。
【0024】
図示の例では、各ソースブリッジ106の上側レグ112及び下側レグ114は、6個の電流スイッチングデバイス116を含んでいる。電流スイッチングデバイス116は、順次(例えば、60度ごとに)切り替えられて、6パルス波形を生成する。
【0025】
AC入力が30度ずれた2つのLCIシステム104を並列に配置することにより、12パルス出力が得られる。このような12パルス出力は高調波出力が少ない(例えば、電力出力の効率がよくなり、電気機械102のトルクコギングが低減される)。追加のLCIシステムを(対応する位相シフトを行う変圧器とともに)LCIシステム104に並列に設けて、「24パルス」以上のソースブリッジ106を提供することができる。
【0026】
ソースブリッジ106と同様に、各負荷ブリッジ108は、3相AC電圧の各相に対して、上側レグ120(例えば、120-1、120-2)及び下側レグ122(例えば、122-1、122-2)を含み、負荷ブリッジ108の上側レグ120及び下側レグ122は、1つ又は複数(例えば、6個)の電流スイッチングデバイス116を含んでいる。各LCIシステム104の負荷ブリッジ108の電流スイッチングデバイス116のゲーティングは、LCIシステム104のそれぞれのゲートドライバ118によって作動し、ソースブリッジ106によって出力されたDC電圧を可変周波数の3相交流電圧に変換し、電気機械102に供給する。
【0027】
図1に示すように、電源変圧器132の一次巻線130は、三相ACバス134(例えば、2080Vrms以上)に接続されている。電源変圧器132は、3相二次巻線136、138の2つのセットを有し、二次巻線136はデルタ(Δ)接続し、二次巻線138はワイ(Y)接続することができる。これにより、二次巻線136、138の電圧に30度の位相シフトが生じ、駆動システム100によって発生する高調波電流の大部分が除去される。実施形態によれば、LCIシステム104-1は、デルタ接続された二次巻線136に接続され、LCIシステム104-2は、ワイ接続された二次巻線138に接続されている。
【0028】
実施形態によれば、駆動システム100は、LCIシステム104のソースブリッジ106及び負荷ブリッジ108の電流スイッチングデバイス116のゲーティング(例えば、どの電流スイッチングデバイス116をいつゲーティングするか)を制御するために、ゲートドライバ118にゲーティング命令を供給する単一のコントローラ140(
図1)をさらに含んでいる。また、各LCIシステム104は、LCIシステム104の様々な電圧値及び/又は電流値に関するフィードバックをコントローラ140に提供するための電圧・電流フィードバックシステム142(例えば、142-1、142-2)を含んでいる。一部の実施形態では、コントローラ140は、高速インターフェース144(例えば、高速シリアルインターフェース)を通じて、LCIシステム104のゲートドライバ118及び電圧・電流フィードバックシステム142と通信することができる。
【0029】
駆動システム100では、各LCIシステム104のソースブリッジ106によって生成される電流Iは、コントローラ140のそれぞれの電流調整器146(例えば、146-1、146-2)によって独立に制御される。コントローラ140に結合された速度調整器148は、電気機械102の速度(したがってトルク)を監視する及び制御するために設けられている。速度調整器148は、電気機械102の速度を表す信号Sを、電気機械102の所望の速度を表す信号S’と比較し、電気機械102を所望の速度で作動させるために駆動システム100から必要とされる全電流I
Totalを示す信号をコントローラ140に出力する。続いて、コントローラ140は、全電流I
Totalの必要値を駆動システム100のLCIシステム104の数で割って、その結果を各電流調整器146に送る。
図1及び
図2に示されている実施形態では、例えば、コントローラ140は、電流調整器146-1、146-2の各電流調整器に同じ値のI
Total/2を送る(例えば、I
1=I
2=I
Total/2)。
【0030】
さらに理解されるように、各電流調整器146は、それぞれのLCIシステム104内の電流ループを独立して制御するように構成されている。ソースブリッジ106は、点弧角の管理及び調整によって制御され、DCリンクリアクトル110の電圧を変化させることによってDCリンクリアクトル110の電流を制御する。同様に、負荷ブリッジ108は、点弧角の管理及び調整によって制御され、電力出力を最大化し、出力力率(すなわち、出力された電圧と電流との間の位相角)を制御することができる。本明細書において、点弧角という用語は、電気機械102におけるAC電圧波形の角度であって、負荷ブリッジ108の電流スイッチングデバイス116がゲート制御される角度を表すことができる。
【0031】
電圧・電流フィードバックシステム142-1は、LCIシステム104-1内の様々な電圧値及び電流値に関するフィードバックを電流調整器146-1に提供する。同様に、電圧・電流フィードバックシステム142-2は、LCIシステム104-2の様々な電圧値及び電流値に関するフィードバックを電流調整器146-2に提供する。電圧・電流フィードバックシステム142は、ソースブリッジ106及び負荷ブリッジ108の各ブリッジのAC側に配置され、ACライン電流及びACライン電圧を測定することができる。
【0032】
実施形態によれば、電流調整器146-1、146-2は、互いに完全に独立して動作する。動作においては、電圧・電流フィードバックシステム142-1から受け取った電流フィードバックに基づいて、電流調整器146-1は、DCリンクリアクトル110-1に必要な電流I1(例えば、ITotal/2)を供給するために、ソースブリッジ106-1の電流スイッチングデバイス116-1をゲート制御するタイミングを決定し、ゲートドライバ118-1に命令する。同様に、電圧・電流フィードバックシステム142-2から受け取った電流フィードバックに基づいて、電流調整器146-2は、電流調整器146-1とは独立して、DCリンクリアクトル110-2に必要な電流I2(例えば、ITotal/2)を供給するために、ソースブリッジ106-2の電流スイッチングデバイス116-2をゲート制御するタイミングを決定し、ゲートドライバ118-2に命令する。これによって、有利なことに、電流調整器146-1と146-2との間に循環電流が確実に流れないようにすることができる。さらに、独立した複数の電流調整器146を使用することにより、各LCIシステム104のソースブリッジ106は、ソースブリッジ106を実装するために使用される構成要素の種類及び関連するケーブル配線とは無関係に、DCリンクリアクトル110に同じ電流を供給する。
【0033】
ソースブリッジ106とは異なり、駆動システム100のLCIシステム104の負荷ブリッジ108は、独立して制御することができない。実施形態によれば、これらの負荷ブリッジ108は同じ負荷(例えば、電気機械102)に接続されるので、単一の負荷ブリッジ制御ルーチンを使用することができる。例えば、負荷ブリッジコントローラ152は、各負荷ブリッジ108の負荷出力電圧及び出力電流I1、I2(I1=I2)に関して、LCI104の電圧・電流フィードバックシステム142からフィードバックを受け取るように構成することができる。このフィードバックと、負荷ブリッジ108によって出力される全負荷電流(ITotal=I1+I2)に基づいて、負荷ブリッジコントローラ152は、電気機械102’に最大トルクを供給するために、負荷ブリッジ108-1、108-2の電流スイッチングデバイス116-1、116-2をいつゲート制御するか(どの電流スイッチングデバイス116-1、116-2をゲート制御するか、及び電流スイッチングデバイス116-1、116-2をいつゲート制御するか)を決定する。負荷ブリッジコントローラ152は、続いて、負荷ブリッジ108-1、108-2の同じ電流スイッチングデバイス116-1、116-2が同期して同時にゲート制御されるように、両方のゲートドライバ118-1、118-2に同じゲーティング命令を送る。このように、両負荷ブリッジ108-1、108-2は両方とも、同一のゲーティング命令に基づいて同一の方法でゲート制御される。
【0034】
当業者には理解されるように、本開示は、コンピュータプログラム製品を利用することができるシステム、方法、又は制御として具体化することができる。したがって、本開示は、ハードウェアの実施形態、ソフトウェアの実施形態(ファームウェア、常駐ソフトウェア、マイクロコードなどを含む)、又はソフトウェア及びハードウェアの態様を組み合わせた実施形態が含まれており、これらはすべて、本明細書において、一般に、「回路」、「モジュール」、又は「システム」と呼ぶことができる。さらに、本開示は、媒体に具現化されたコンピュータ使用可能プログラムコードを有する任意の有形的表現媒体に具現化された、コンピュータプログラムで可能な制御の形態をとることができる。
【0035】
1つ又は複数のコンピュータ使用可能媒体又はコンピュータ読取可能媒体の任意の組み合わせを利用することができる。コンピュータ使用可能媒体又はコンピュータ読取可能媒体は、例えば、電子的、磁気的、光学的、電磁的、赤外線、又は半導体のシステム、装置、デバイス、又は伝搬媒体とすることができるが、これらに限定されることはない。コンピュータ可読媒体のより具体的な例(考えられる全てのものが含まれているわけではない)としては、1本又は複数本のワイヤを有する電気接続体、ポータブルコンピュータディスケット、ハードディスク、ランダムアクセスメモリ(RAM)、リードオンリーメモリ(ROM)、消去可能プログラマブルリードオンリーメモリ(EPROM又はフラッシュメモリ)、光ファイバ、ポータブルコンパクトディスク・リードオンリーメモリ(CD-ROM)、光学記憶装置、伝送媒体(インターネット若しくはイントラネットを支えるものなど)、又は磁気記憶装置が挙げられる。コンピュータ使用可能媒体又はコンピュータ読取可能媒体は、プログラムが印刷された紙又は他の適切な媒体もあり得ることに留意されたい。これは、プログラムを、例えば、紙又は他の媒体を光学的にスキャニングすることによって電子的に取り込み、その後、コンパイルし、翻訳し、必要に応じて、適切な方法で他の処理が行われ、コンピュータのメモリに格納することができるからである。本開示では、コンピュータ使用可能媒体又はコンピュータ読取可能媒体は、命令実行システム、装置、又はデバイスによって使用されるプログラム、又は命令実行システム、装置、又はデバイスとともに使用されるプログラムを含む、記憶する、通信する、伝播する、又は運ぶことができる任意の媒体とすることができる。コンピュータ使用可能媒体は、ベースバンド又は搬送波の一部として、コンピュータ使用可能プログラムコードが具現化された伝搬データ信号を含むことができる。コンピュータ使用可能プログラムコードは、任意の適切な媒体(無線、有線、光ファイバケーブル、RFなどを含むがこれらに限定されることはない)を使用して伝送することができる。
【0036】
本開示の動作を実行するためのコンピュータプログラムコードは、オブジェクト指向プログラミング言語(Java、Smalltalk、C++など)及び従来の手続き型プログラミング言語(「C」プログラミング言語又は同様のプログラミング言語など)を含む1つ又は複数のプログラミング言語の任意の組み合わせで記述することができる。プログラムコードは、全てをユーザのコンピュータ上で実行されてもよいし、ユーザのコンピュータ上で部分的に実行されてもよいし、ユーザのコンピュータ上で部分的に実行されるとともにリモートコンピュータ上で部分的に実行されてもよいし、全てをリモートコンピュータ又はサーバ上で実行してもよい。後者のシナリオでは、リモートコンピュータは、任意のタイプのネットワーク(ローカルエリアネットワーク(LAN)又はワイドエリアネットワーク(WAN)を含む)を通じてユーザのコンピュータに接続することができ、(例えば、インターネットサービスプロバイダを使用してインターネットを通じて)外部のコンピュータに接続することもできる。
【0037】
本明細書において、本開示は、本開示の実施形態による方法、装置(システム)及びコンピュータプログラム製品のフローチャート図及び/又はブロック図を参照して説明される。フローチャート図及び/又はブロック図の各ブロック、並びにフローチャート図及び/又はブロック図のブロックの組合せは、コンピュータプログラム命令によって実施できることが理解される。これらのコンピュータプログラム命令は、汎用コンピュータ、特殊用途コンピュータ、又は他のプログラマブルデータ処理装置のプロセッサに提供され、この命令は、コンピュータ又は他のプログラマブルデータ処理装置のプロセッサによって実行され、フローチャート及び/又はブロック図の1つのブロック又は複数のブロックで指定された機能/動作を実施するための手段を作成するような機械を生成することができる。
【0038】
これらのコンピュータプログラム命令は、コンピュータ可読媒体に記憶することもでき、コンピュータ又は他のプログラム可能なデータ処理装置に特定の方法で機能するように命令することができ、コンピュータ可読媒体に記憶された命令によって、製品(フローチャート及び/又はブロック図の1つのブロック又は複数のブロックで指定された機能/動作を実施する命令手段を含む)が生成される。
【0039】
図中のフローチャート及びブロック図は、本開示の様々な実施形態によるシステム、方法、及びコンピュータプログラム製品の可能な実装についてのアーキテクチャ、機能、及び動作を示す。これに関して、フローチャート又はブロック図の各ブロックは、指定された論理機能を実装するための1つ又は複数の実行可能命令を構成する、モジュール、セグメント、又はコードの部分を表すことができる。また、一部の代替的な実装形態では、ブロックに記載された機能は、図に記載された順序とは異なる順序で実行されてもよいことに留意すべきである。例えば、連続するように示されている2つのブロックは、実際には、実質的に同時に実行されてもよいし、ブロックは、関係する機能に応じて、時には逆の順序で実行されてもよい。また、当業者であれば、処理を記述する追加のブロックを加えてもよいことを認識することができる。また、ブロック図及び/又はフローチャート図の各ブロック、並びにブロック図及び/又はフローチャート図のブロックの組合せは、指定された機能又は動作を実行する特別な目的のハードウェアベースのシステム、又は特別な目的のハードウェアとコンピュータ命令との組合せによって実装できることに留意されたい。
【0040】
本明細書で説明するように、様々なシステム及び構成要素は、データを「決定」又は「取得」するものとして説明されている。対応するデータは、任意のソリューションを使用して取得できることが理解される。例えば、対応するシステム/コンポーネントは、データを生成すること、及び/又はデータを生成するために使用すること、1つ又は複数のデータストア(例えば、データベース)からデータを検索すること、別のシステム/コンポーネント(例えば、センサ)からデータを受け取ることなどができる。データが特定のシステム/コンポーネントによって生成されていない場合、図示示されたシステム/コンポーネントとは別に、データを生成してシステム/コンポーネントに提供する及び/又はシステム/コンポーネントによりアクセスできるようにデータを記憶する別のシステム/コンポーネントを実装できることが理解される。
【0041】
本明細書及び特許請求の範囲を通じて使用される近似を表す文言は、関連する基本的機能に変化をもたらすことなく、差し支えない程度に変動し得る任意の量的表現を修飾するために適用することができる。したがって、1つの又は複数の用語(「およそ」、「約」、及び「実質的に」など)によって修飾された値は、明記された厳密な値に限定されるものではない。少なくとも一部の例では、近似を表す文言は、値を測定するための機器の精度に対応する場合がある。ここに記載されたこと並びに本明細書及び特許請求の範囲を通して、範囲の限定を組み合わせること及び/又は置き換えることが可能である。文脈又は文言が特に指示しない限り、このような範囲は識別され、それに包含される全ての部分範囲を含む。範囲の特定の値に適用される「約」又は「およそ」は、当該範囲の両端の値に適用され、値を測定する機器の精度に特に依存しない限り、言及された値の+/-10%を示すことができる。
【0042】
特許請求の範囲におけるミーンズプラスファンクション又はステッププラスファンクションの要素すべての、対応する構造、材料、動作、及び均等物は、具体的に請求された他の請求要素と組み合わせてその機能を実施するための、一切の構造、材料、又は動作を包含することを意図している。本開示の記載は、例示及び説明の目的で提示されており、可能な全てのものを含んでいることも、開示された形態で本開示に限定することも意図するものではない。当業者には、本開示の範囲及び趣旨から逸脱することなく多くの修正及び変形が明らかである。本開示の原理及び実際の用途を最適に説明し、他の当業者が本開示を理解し、特定の使用に適するような実施形態の様々な修正を考えることができるように、本実施形態が選択され、かつ記載された。
【符号の説明】
【0043】
100 駆動システム
102 電気機械
104 LCIシステム
106 ソースブリッジ
108 負荷ブリッジ
110 DCリンクリアクトル
112 上側レグ
114 下側レグ
116 電流スイッチングデバイス
118 ゲートドライバ
120 上側レグ
122 下側レグ
130 一次巻線
132 電源変圧器
134 ACバス
136 二次巻線
138 二次巻線
140 コントローラ
142 電流フィードバックシステム
144 高速インターフェース
146 電流調整器
148 速度調整器
152 負荷ブリッジコントローラ
【外国語明細書】