(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024137762
(43)【公開日】2024-10-07
(54)【発明の名称】モータドライブ用AC-DC-ACコンバータ
(51)【国際特許分類】
H02M 7/12 20060101AFI20240927BHJP
H02M 7/483 20070101ALI20240927BHJP
【FI】
H02M7/12 M
H02M7/483
【審査請求】未請求
【請求項の数】30
【出願形態】OL
【外国語出願】
(21)【出願番号】P 2024030879
(22)【出願日】2024-03-01
(31)【優先権主張番号】18/188,725
(32)【優先日】2023-03-23
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(71)【出願人】
【識別番号】513132966
【氏名又は名称】ジーイー エナジー パワー コンバージョン テクノロジー リミテッド
【氏名又は名称原語表記】GE Energy Power Conversion Technology Ltd.
【住所又は居所原語表記】Thomson Houston Way, Off Technology Drive, Rugby, Warwickshire, CV21 1BD
(74)【代理人】
【識別番号】100105588
【弁理士】
【氏名又は名称】小倉 博
(74)【代理人】
【識別番号】100129779
【弁理士】
【氏名又は名称】黒川 俊久
(72)【発明者】
【氏名】ツィ・ヂォゥ
(72)【発明者】
【氏名】デュロ・ベーシック
【テーマコード(参考)】
5H006
5H770
【Fターム(参考)】
5H006BB05
5H006CA01
5H006CA02
5H006CA07
5H006DA04
5H006DB01
5H006DC05
5H770BA01
5H770CA02
5H770DA03
5H770DA32
5H770FA01
5H770JA10X
(57)【要約】
【課題】モータドライブ用AC-DC-ACコンバータを提供する。
【解決手段】 電源から電動モータに電力を供給するためのAC-DC-ACコンバータを紹介する。AC-DC-ACコンバータは、DCリンクを介して接続されたフロントエンドコンバータとモータエンドコンバータから構成され、DCリンク電圧はフロントエンドコンバータによって生成および制御される。
【選択図】
図3
【特許請求の範囲】
【請求項1】
電源から電動モータに電力を供給するためのAC-DC-ACコンバータであって、DCリンクを介して接続されたフロントエンドコンバータとモータエンドコンバータとを含み、前記フロントエンドコンバータはDCリンク電圧が一定になるように動作する、AC-DC-ACコンバータ。
【請求項2】
前記フロントエンドコンバータはハイブリッドモジュラーマルチレベル整流器であり、前記モータエンドコンバータはハイブリッドモジュラーマルチレベルコンバータまたはモジュラーマルチレベルコンバータである、請求項1に記載のAC-DC-ACコンバータ。
【請求項3】
前記ハイブリッドモジュラーマルチレベル整流器は、少なくとも1つのレッグを含み、各レッグは、AC接続および3つのDC接続に接続され、各レッグは、複数のダイオードのうちの少なくとも4つのダイオードと、2つのブランチとを含み、前記第1のブランチは、直列に接続された複数のサブモジュールのうちの少なくとも1つのサブモジュールを含み、前記第1のブランチは、第1のサブモジュールによって第1のダイオードアノードおよび第2のダイオードカソードに接続され、かつ前記AC接続に接続され、前記第2のブランチは、直列に接続された複数のサブモジュールのうちの少なくとも1つのサブモジュールを含み、前記第2のブランチは、第1のサブモジュールによって第3のダイオードアノードおよび第4のダイオードカソードに接続され、かつ前記AC接続に接続され、前記第1のダイオードカソードは前記第1のDC接続に接続され、前記第2のダイオードアノードおよび前記第3のダイオードカソードは前記第2のDC接続に接続され、前記第4のダイオードアノードは前記第3のDC接続に接続される、請求項2に記載のAC-DC-ACコンバータ。
【請求項4】
前記ハイブリッドモジュラーマルチレベル整流器は、少なくとも1つのレッグを含み、各レッグは、AC接続および3つのDC接続に接続され、各レッグは、複数のダイオードのうちの少なくとも4つのダイオードと、2つのブランチとを含み、各ブランチは、直列に接続された複数のサブモジュールのうちの少なくとも1つのサブモジュールを含み、前記AC接続は、第1のダイオードアノードおよび第2のダイオードカソードに接続され、前記第1のブランチは、直列に接続された複数のサブモジュールのうちの少なくとも1つのサブモジュールを含み、前記第1のブランチは、サブモジュールによって第1のダイオードカソードと第3のダイオードアノードに接続され、前記第2のブランチは、直列に接続された複数のサブモジュールのうちの少なくとも1つのサブモジュールを含み、前記第2のブランチは、サブモジュールによって第2のダイオードアノードと第4のダイオードカソードに接続され、前記第3のダイオードカソードは前記第1のDC接続に接続され、前記第1のブランチと前記第2のブランチは前記第2のDC接続に接続され、前記第4のダイオードアノードは前記第3のDC接続に接続される、請求項2に記載のAC-DC-ACコンバータ。
【請求項5】
前記ハイブリッドモジュラーマルチレベル整流器は、少なくとも1つのレッグを含み、各レッグは、AC接続および3つのDC接続に接続され、各レッグは、複数のダイオードのうちの少なくとも4つのダイオードと2つのブランチとを含み、各ブランチは、直列に接続された複数のサブモジュールのうちの少なくとも1つのサブモジュールを含み、前記AC接続は、第1のダイオードのアノードおよび第2のダイオードのカソードに接続され、前記第1のブランチは、直列に接続された複数のサブモジュールのうちの少なくとも1つのサブモジュールを含み、前記第1のブランチは、サブモジュールによって前記第1のDC接続に接続され、前記第1のダイオードと前記第3のダイオードの前記カソードに接続され、前記第2のブランチは、直列に接続された複数のサブモジュールのうちの少なくとも1つのサブモジュールを含み、前記第2のブランチは、サブモジュールによって前記第3のDC接続に接続され、かつ前記第2のダイオードと第4のダイオードのアノードに接続され、前記第3のダイオードアノードと前記第4のダイオードカソードは、前記第2のDC接続に接続される、請求項2に記載のAC-DC-ACコンバータ。
【請求項6】
各ブランチは、一端がそれぞれの前記ブランチの前記サブモジュールと直列に接続され、他端が前記AC接続、前記第2のDC接続、および前記ブランチがそれぞれ接続される前記ダイオードに接続されるインダクタを含む、請求項3に記載のAC-DC-ACコンバータ。
【請求項7】
前記ハイブリッドモジュラーマルチレベルコンバータは、少なくとも1つのレッグを含み、各レッグは、AC接続および3つのDC接続に接続され、各レッグは、直列に接続された複数の制御可能スイッチのうちの少なくとも4つの制御可能スイッチと2つのブランチとを含み、第1の制御可能スイッチの第1の端部は第1のDC接続に接続され、第2の制御可能スイッチの第1の端部は前記第1の制御可能スイッチの第2の端部に接続され、前記第2の制御可能スイッチの前記第2の端部は前記第2のDC接続に接続され、第3の制御可能スイッチの第1の端部は前記第2の制御可能スイッチの第2の端部および前記第2のDC接続に接続され、第4の制御可能スイッチの第1の端部は前記第3の制御可能スイッチの第2の端部に接続され、前記第4の制御可能スイッチの第2の端部は前記第3のDC接続に接続され、前記第1のブランチは、直列接続された複数のサブモジュールのうちの少なくとも1つのサブモジュールを含み、前記第1のブランチは、第1のサブモジュール(SM)によって、前記第1の制御可能スイッチの第2の端部および前記第2の制御可能スイッチの第1の端部に接続され、前記第1のブランチは、前記AC接続に接続され、前記第2のブランチは、直列に接続された複数のサブモジュールのうちの少なくとも1つのサブモジュールを含み、前記第2のブランチは、第1のサブモジュールによって、前記第3の制御可能スイッチの第2の端部および前記第4の制御可能スイッチの第1の端部に接続され、前記第2のブランチは、前記AC接続に接続される、請求項2に記載のAC-DC-ACコンバータ。
【請求項8】
前記ハイブリッドモジュラーマルチレベルコンバータは、少なくとも1つのレッグを含み、各レッグは、AC接続と3つのDC接続とに接続され、各レッグは、逆極性で直列に接続された複数の制御可能スイッチの組のうちの少なくとも制御可能スイッチの2つ組と、直列に接続された複数の制御可能スイッチのうちの少なくとも2つの制御可能スイッチとを含み、制御可能スイッチの前記第1の組の第1の制御可能スイッチの第1の端部は、第1のDC接続に接続され、制御可能スイッチの前記第1の組の第2の制御可能スイッチの第2の端部は制御可能スイッチの前記第1の組の前記第1の制御可能スイッチの前記第2の端部に接続され、第3の制御可能スイッチの第1の端部は制御可能スイッチの前記第1の組の前記第2の制御可能スイッチの前記第1の端部に接続され、前記第3の制御可能スイッチの前記第2の端部は、前記AC接続に接続され、制御可能スイッチの前記第2の組の第4の制御可能スイッチの第1の端部は、第3のDC接続に接続され、前記制御可能スイッチの前記第2の組の第5の制御可能スイッチの第2の端部は前記制御可能スイッチの前記第2の組の前記第4の制御可能スイッチの第2の端部に接続され、第6の制御可能スイッチの第2の端部は前記制御可能スイッチの前記第2の組の前記第5の制御可能スイッチの前記第1の端部に接続され、前記第6の制御可能スイッチの第1の端部は、前記AC接続に接続され、前記第1のブランチは、直列に接続された複数のサブモジュールのうちの少なくとも1つのサブモジュールを含み、前記第1のブランチは、第1のサブモジュールによって、制御可能スイッチの前記第1の組の前記第2の制御可能スイッチの前記第1の端部および前記第3の制御可能スイッチの前記第1の端部に接続され、前記第1のブランチは、前記第2のDC接続に接続され、前記第2のブランチは、直列に接続された複数のサブモジュールのうちの少なくとも1つのサブモジュールを含み、前記第2のブランチは、第1のサブモジュールによって、制御可能スイッチの前記第2の組の前記第5の制御可能スイッチの前記第1の端部および前記第6の制御可能スイッチの前記第2の端部に接続され、前記第2のブランチは、前記第2のDC接続に接続される、請求項2に記載のAC-DC-ACコンバータ。
【請求項9】
前記ハイブリッドモジュラーマルチレベルコンバータは、少なくとも1つのレッグを含み、各レッグは、AC接続および3つのDC接続に接続され、各レッグは、直列に接続された複数のスイッチのうちの少なくとも4つの制御可能スイッチと2つのブランチとを含み、第1のブランチは、直列に接続された複数のサブモジュールのうちの少なくとも1つのサブモジュールを含み、前記第1のブランチは、前記第1のDC接続に接続され、前記第1のブランチの第1のサブモジュールは、第1の制御可能スイッチの第1の端部および第3の制御可能スイッチの第1の端部に接続され、第2のブランチは、直列に接続された複数のサブモジュールのうちの少なくとも1つのサブモジュールを含み、前記第2のブランチは、前記第3のDC接続に接続され、記第2のブランチの第1のサブモジュールは、前記第2の制御可能スイッチの前記第2の端部および前記第4の制御可能スイッチの前記第2の端部に接続され、前記第1の制御可能スイッチの前記第2の端部および前記第2の制御可能スイッチの前記第1の端部は、前記第2のDC接続に接続され、前記第3の制御可能スイッチの前記第2の端部および前記第4の制御可能スイッチの前記第1の端部は、前記AC接続に接続される、請求項2に記載のAC-DC-ACコンバータ。
【請求項10】
各ブランチは、一端が各ブランチの直列に接続された前記サブモジュールと直列に接続され、他端が前記AC接続、前記第2のDC接続、および前記第1および第3のDC接続にそれぞれ接続されたインダクタを備える、請求項7に記載のAC-DC-ACコンバータ。
【請求項11】
前記ハイブリッドモジュラーマルチレベル整流器は、少なくとも2つのレッグを含み、前記少なくとも2つのレッグの第1のDC接続は一緒に接続され、前記少なくとも2つのレッグの第2のDC接続は一緒に接続され、前記少なくとも2つのレッグの第3のDC接続は一緒に接続され、前記少なくとも2つのレッグのAC接続は独立しており、少なくとも2相のAC接続を形成する、請求項3に記載のAC-DC-ACコンバータ。
【請求項12】
前記ハイブリッドモジュラーマルチレベルコンバータは、少なくとも2つのレッグを含み、前記少なくとも2つのレッグの第1のDC接続は一緒に接続され、前記少なくとも2つのレッグの第2のDC接続は一緒に接続され、前記少なくとも2つのレッグの第3のDC接続は一緒に接続され、前記少なくとも2つのレッグのAC接続は独立しており、2相または複数相のAC接続を形成する、請求項7に記載のAC-DC-ACコンバータ。
【請求項13】
全てのサブモジュールがハーフブリッジサブモジュールである、請求項8に記載のAC-DC-ACコンバータ。
【請求項14】
全てのサブモジュールがフルブリッジサブモジュールまたはハイブリッドフルブリッジサブモジュールである、請求項7に記載のAC-DC-ACコンバータ。
【請求項15】
全てのサブモジュールがハーフブリッジサブモジュールおよび/またはフルブリッジサブモジュールである、請求項3に記載のAC-DC-ACコンバータ。
【請求項16】
全てのサブモジュールがフルブリッジサブモジュールである、請求項5に記載のAC-DC-ACコンバータ。
【請求項17】
サブモジュールがハーフブリッジサブモジュール、フルブリッジサブモジュールまたはハイブリッドフルブリッジサブモジュールである、請求項3に記載のAC-DC-ACコンバータ。
【請求項18】
ハーフブリッジサブモジュールは、第1の制御可能スイッチの第2の端部および第2の制御可能スイッチの第1の端部に接続された第1の接続部と、第2の制御可能スイッチの第2の端部に接続された第2の接続部と、一方では第1の制御可能スイッチの第1の端部に接続され、他方では第2の接続部および第2の制御可能スイッチの第2の端部の両方に接続されたコンデンサと、を含む、請求項15に記載のAC-DC-ACコンバータ。
【請求項19】
フルブリッジサブモジュールが、第1の制御可能スイッチの第2の端部および第2の制御可能スイッチの第1の端部に接続された第1の接続部と、第3の制御可能スイッチの第2の端部および第4の制御可能スイッチの第1の端部に接続された第2の接続部と、一方では第1の制御可能スイッチおよび第3の制御可能スイッチの両方の第1の端部に接続され、他方では第2の制御可能スイッチおよび第4の制御可能スイッチの両方の第2の端部に接続されたコンデンサとを含む、請求項15に記載のAC-DC-ACコンバータ。
【請求項20】
ハイブリッドフルブリッジサブモジュールは、第1のダイオードアノードおよび第2の制御可能スイッチの第1の端部に接続された第1の接続部と、第3の制御可能スイッチの第2の端部および第4のダイオードカソードに接続された第2の接続部と、一方では第1のダイオードカソードおよび第3の制御可能スイッチの第1の端部に接続され、他方では第2の制御可能スイッチの第2の端部および第4のダイオードアノードに接続されたコンデンサと、を含む、請求項17に記載のAC-DC-ACコンバータ。
【請求項21】
制御可能スイッチは、少なくともトランジスタとフリーホイーリングダイオードとを含み、前記トランジスタソースと前記フリーホイーリングダイオードカソードが前記制御可能スイッチの前記第1の端部に接続され、前記トランジスタドレインと前記フリーホイーリングダイオードアノードが前記制御可能スイッチの前記第2の端部に接続され、前記トランジスタゲートが前記制御可能スイッチの前記制御端部に接続される、請求項18に記載のAC-DC-ACコンバータ。
【請求項22】
トランジスタは、絶縁ゲートバイポーラトランジスタ、特にSiCベースである、注入強化ゲートトランジスタ、または、特にSiベースである、金属-酸化膜-半導体電界効果トランジスタである、請求項21に記載のAC-DC-ACコンバータ。
【請求項23】
各制御可能スイッチは、シリコン制御整流器および逆並列フリーホイーリングダイオードを含むか、または各制御可能スイッチは、シリコン制御整流器および逆並列シリコン制御整流器を含む、請求項7に記載のAC-DC-ACコンバータ。
【請求項24】
電源から電動モータに電力を供給するためのAC-DC-ACコンバータであって、DCリンクを介して接続されたフロントエンドコンバータとモータエンドコンバータとを含み、前記フロントエンドコンバータはハイブリッドモジュラーマルチレベル整流器であり、前記モータエンドコンバータはハイブリッドマルチレベルコンバータであり、前記ハイブリッドモジュラーマルチレベル整流器は前記DCリンク電圧が一定になるように動作し、前記モータエンドコンバータはモータ起動時にDC/DCチョッパモードを備えるモジュラーマルチレベルコンバータモードで動作する、AC-DC-ACコンバータ。
【請求項25】
前記ハイブリッドモジュラーマルチレベルコンバータは、3レベルDC/DCチョッパモードによるモジュラーマルチレベルコンバータとして動作し、前記モジュラーマルチレベルコンバータチェーンリンクに可変DC電圧を供給する、請求項24に記載のAC-DC-ACコンバータ。
【請求項26】
前記ハイブリッドモジュラーマルチレベルコンバータは、2レベルDC/DCチョッパモードによるモジュラーマルチレベルコンバータとして動作し、前記モジュラーマルチレベルコンバータチェーンリンクに可変DC電圧を供給する、請求項24に記載のAC-DC-ACコンバータ。
【請求項27】
前記チェーンリンクDC電圧がモータ周波数の関数として制御される、請求項24に記載のAC-DC-ACコンバータ。
【請求項28】
前記チェーンリンクDC電圧がモータ速度の関数として制御される、請求項24に記載のAC-DC-ACコンバータ。
【請求項29】
前記チェーンリンクDC電圧がモータAC電圧の関数として制御される、請求項24に記載のAC-DC-ACコンバータ。
【請求項30】
前記モータエンドハイブリッドモジュラーマルチレベルコンバータは、前記モータが非始動時および定常運転時に通常のハイブリッドモジュラーマルチレベルコンバータモードで動作する、請求項24に記載のAC-DC-ACコンバータ。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、モジュラーマルチレベルコンバータに関し、より詳細には、特に始動時に電気モータをパワーアップするモジュラーマルチレベルコンバータに関する。
【背景技術】
【0002】
MMCベースのモータドライブは、さまざまな種類のモータに効率的に電力を供給し、駆動することができる。しかし、このようなモータ駆動では、特にモータの始動時にトルクを発生させる必要がある場合に問題が生じる。この課題のため、MMCベースのモータドライブは、ファンやポンプなどの低トルク用途に限定されてきた。
【0003】
「Review on low-frequency ripple suppression methods for MMCs for Medium-voltage drive applications」、IET Power Electron、2018年、Vol.11、Issue 15、ページ2403-2414 では、MMCベースのモータドライブがモータ起動時に低周波数動作する際の課題について述べている。その課題の1つは、MMCサブモジュールに現れる電圧リップルにある。
【0004】
サブモジュール(SM)のコンデンサ電圧リップルは、DCリンク電圧に比例し、モータ周波数または速度に反比例する。
【0005】
モータの始動時、周波数/回転数は低く、モータトルクは一定である。DCリンク電圧が定常運転時の電圧のままか同じである場合、電圧リップルは大きくなり、始動時には許容できない。
【0006】
モータ始動時の電圧リップルを低減するために、高周波の高調波注入や可変DCリンク電圧を含む多くの方法が従来技術として検討され、まとめられている。通常、高調波注入は複雑であり、効果は限定的である。しかし、可変DCリンク電圧法は、より効果的であり、適切なトポロジーを用いれば比較的容易に実施できる。
【0007】
従来技術では、可変DCリンク電圧はフロントエンドコンバータでは生成されず、むしろモータエンドおよびフロントエンドコンバータと直列のDCリンクに外部DCチョッパを追加することで達成されていた。本発明の特に興味深い点は、DCリンク電圧Vdcを周波数に対して調整し、Vdc/fの比率を一定に保つと、電圧リップルが低く一定に保たれることである。このチョッパモータ起動のような低周波数動作において特に重要であり、モータ駆動用途における従来のMMCの問題、課題、限界を克服するものである。
【0008】
従来技術によってモータドライブ用途(motor drive applications:モータ駆動アプリケーション)のための間接的なAC-DC-AC変換(indirect AC-DC-AC conversion)の解決策が提供されているにもかかわらず、性能とコストの面で改善された代替手段が必要とされている。また、定常動作と起動動作(steady state and startup operation)の両方を満たすことができる、フロントエンドとモータエンドの両方のコンバータの最適化されたトポロジーも必要である。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0009】
【発明の概要】
【0010】
本発明の目的は、電源から電動モータに電力を供給するためのAC-DC-ACコンバータを提供することにある。このAC-DC-ACコンバータは、DCリンクを介して接続されたフロントエンドコンバータとモータエンドコンバータとを含み、フロントエンドコンバータは、DCリンク電圧が一定になるように動作する。
【0011】
本発明のさらに別の目的は、電源から電動モータに電力を供給するためのAC-DC-ACコンバータを提供することにある。このAC-DC-ACコンバータは、DCリンクを介して接続されたフロントエンドコンバータとモータエンドコンバータとを含み、フロントエンドコンバータはハイブリッドモジュラーマルチレベル整流器であり、モータエンドコンバータはハイブリッドマルチレベルコンバータであり、ハイブリッドモジュラーマルチレベル整流器(hybrid modular multilevel rectifier)は、DCリンク電圧が一定になるように動作し、モータエンドコンバータは、モータ起動時に3レベルDC/DCチョッパ及びMMCの機能を実行するモジュラーマルチレベルコンバータモードで動作する。
【0012】
この目的の変形に応じて(Depending on variants of this object)、モータエンドコンバータのチェーンリンクDC電圧は、モータ周波数、モータ速度、モータAC電圧の関数として制御される。
【0013】
本発明の別の目的は、電源から電動モータに電力を供給するためのAC-DC-ACコンバータを提供することにある。このAC-DC-ACコンバータは、DCリンクを介して接続されたフロントエンドコンバータとモータエンドコンバータと含み、フロントエンドコンバータはハイブリッドモジュラーマルチレベル整流器であり、モータエンドコンバータはハイブリッドマルチレベルコンバータであり、ハイブリッドモジュラーマルチレベル整流器は、DCリンク電圧が一定になるように動作し、モータエンドコンバータは、モータ起動時に2レベルDC/DCチョッパ及びMMCの機能(the functions of a two-level DC/DC chopper plus an MMC)を実行するモジュラーマルチレベルコンバータモードで動作する。
【0014】
繰り返しになるが、この目的の変形例に応じて、モータエンドコンバータのチェーンリンクDC電圧は、モータ周波数、モータ速度、またはモータAC電圧の関数として制御される。
【0015】
本発明はまた、ハイブリッドモジュラーマルチレベル整流器のさまざまな実施形態を対象としている。
【0016】
ハイブリッドモジュラーマルチレベル整流器の第1の実施形態は、少なくとも1つのレッグを含む。各レッグは、AC接続および3つのDC接続に接続される。各レッグは、複数のダイオードのうちの少なくとも4つのダイオードと、2つのブランチとを含む。第1のブランチは、直列に接続された複数のサブモジュールのうちの少なくとも1つのサブモジュールを含む。第1のブランチは、第1のサブモジュールによって第1のダイオードアノードおよび第2のダイオードカソードに接続され、さらにAC接続に接続される。第2のブランチは、直列に接続された複数のサブモジュールのうちの少なくとも1つのサブモジュールを含む。第2のブランチは、第1のサブモジュールによって第3のダイオードアノードおよび第4のダイオードカソードに接続され、さらにAC接続に接続される。第1のダイオードカソードは第1のDC接続に接続される。第2のダイオードアノードおよび第3のダイオードカソードは第2のDC接続に接続される。第4のダイオードアノードは第3のDC接続に接続される。
【0017】
ハイブリッドモジュラーマルチレベル整流器の第2の実施形態は、少なくとも1つのレッグを含む。各レッグは、AC接続および3つのDC接続に接続される。各レッグは、複数のダイオードのうちの少なくとも4つのダイオードと、2つのブランチとを含む。各ブランチは、直列に接続された複数のサブモジュールのうちの少なくとも1つのサブモジュールを含む。AC接続は、第1のダイオードアノードおよび第2のダイオードカソードに接続される。第1のブランチは、直列に接続された複数のサブモジュールのうちの少なくとも1つのサブモジュールを含む。第1のブランチは、サブモジュールによって第1のダイオードカソードと第3のダイオードアノードに接続される。第2のブランチは、直列に接続された複数のサブモジュールのうちの少なくとも1つのサブモジュールを含む。第2のブランチは、サブモジュールによって第2のダイオードアノードと第4のダイオードカソードに接続される。第3のダイオードカソードは第1のDC接続に接続される。第1のブランチと第2のブランチは第2のDC接続に接続される。第4のダイオードアノードは第3のDC接続に接続される。
【0018】
ハイブリッドモジュラーマルチレベル整流器の第3の実施形態は、少なくとも1つのレッグを備える。各レッグは、AC接続および3つのDC接続に接続される。各レッグは、複数のダイオードのうちの少なくとも4つのダイオードと、2つのブランチとを含む。各ブランチは、直列に接続された複数のサブモジュールのうちの少なくとも1つのサブモジュールを含む。AC接続は、第1のダイオードアノードおよび第2のダイオードカソードに接続される。第1のブランチは、直列に接続された複数のサブモジュールのうちの少なくとも1つのサブモジュールを含む。第1のブランチは、サブモジュールによって第1のDC接続に接続され、第1のダイオードのカソードと第3のダイオードに接続される。第2のブランチは、直列に接続された複数のサブモジュールのうちの少なくとも1つのサブモジュールを含む。第2のブランチは、サブモジュールによって第3のDC接続に接続され、第2のダイオードのアノードと第4のダイオードに接続される。第3のダイオードのアノードと第4のダイオードのカソードは、第2のDC接続に接続される。
【0019】
変形例では、ハイブリッドモジュラーマルチレベル整流器の各ブランチは、インダクタを含む。インダクタは一端がサブモジュールと直列に接続され、他端がAC接続、第2のDC接続、およびブランチが接続されるダイオードにそれぞれ接続される。
【0020】
ハイブリッドモジュラーマルチレベル整流器の他の実施形態は、異なる数のレッグを含む。言い換えれば、他の実施形態では、ハイブリッドモジュラーマルチレベル整流器の変形例は、少なくとも2つのレッグを含む。2つまたは複数のレッグの第1のDC接続は一緒に接続され、2つまたは複数のレッグの第2のDC接続は一緒に接続され、2つまたは複数のレッグの第3のDC接続は一緒に接続される。2つまたは複数のレッグのAC接続は独立している。これらは2相または複数相のAC接続を形成する。
【0021】
本発明はまた、ハイブリッドモジュラーマルチレベルコンバータの様々な実施形態を対象としている。
【0022】
第1の実施形態において、ハイブリッドモジュラーマルチレベルコンバータは、少なくとも1つのレッグを含む。各レッグは、AC接続と3つのDC接続とに接続される。各レッグは、複数の制御可能スイッチのうちの少なくとも4つの制御可能スイッチと、2つのブランチとを含む。第1の制御可能スイッチの第1の端部は、第1のDC接続に接続される。第1の制御可能なスイッチの第1の端部は第1のDC接続に接続される。第2の制御可能なスイッチの第1の端部は第1の制御可能なスイッチの第2の端部に接続される。第2の制御可能なスイッチの第2の端部は第2のDC接続に接続される。第3の制御可能なスイッチの第1の端部は第2の制御可能なスイッチの第2の端部および第2のDC接続に接続される。第4の制御可能なスイッチの第1の端部は第3の制御可能なスイッチの第2の端部に接続される。第4の制御可能なスイッチの第2の端部は第3のDC接続に接続される。第1のブランチは直列に接続された複数のサブモジュールのうちの少なくとも1つのサブモジュールを含む。第1のブランチは第1のサブモジュールによって第1の制御可能なスイッチの第2の端部および第2の制御可能なスイッチの第1の端部に接続される。第1のブランチはAC接続に接続される。第2のブランチは直列に接続された複数のサブモジュールのうちの少なくとも1つのサブモジュールを含む。第2のブランチは第1のサブモジュールによって第3の制御可能なスイッチの第2の端部および第4の制御可能なスイッチの第1の端部に接続される。第2のブランチはAC接続に接続される。
【0023】
第1の実施形態の好ましい実現態様では、サブモジュールは、DCリンク電圧がピーク/最大AC相電圧以下である用途のためのフルブリッジ構成またはハイブリッド構成の制御可能スイッチであり、DCリンク電圧がピーク/最大AC相電圧より大きい用途のためのハーフブリッジ構成の制御可能スイッチである。
【0024】
第2の実施形態において、ハイブリッドモジュラーマルチレベルコンバータは、少なくとも1つのレッグを備える。各レッグは、AC接続および3つのDC接続に接続される。各レッグは、逆極性で直列に接続された複数の制御可能スイッチの組のうちの少なくとも2組の制御可能スイッチを含む。複数の制御可能スイッチのうちの少なくとも2組の制御可能スイッチは直列に接続される。第1の組の制御可能スイッチの第1の制御可能スイッチの第1の端部は第1のDC接続に接続される。第1の組の制御可能スイッチの第2の制御可能スイッチの第2の端部は第1の組の制御可能スイッチの第1の制御可能スイッチの第2の端部に接続される。第3の制御可能スイッチの第1の端部は第1の組の制御可能スイッチの第2の制御可能スイッチの第1の端部に接続される。第3の制御可能スイッチの第2の端部はAC接続に接続される。第2の組の制御可能スイッチの第4の制御可能スイッチの第1の端部は第3のDC接続に接続される。第2の組の制御可能スイッチの第5の制御可能スイッチの第2の端部は第2の組の制御可能スイッチの第4の制御可能スイッチの第2の端部に接続される。第6の制御可能スイッチの第2の端部は、第2の組の制御可能スイッチの第5の制御可能なスイッチの第1の端部に接続される。第6の制御可能スイッチの第1の端部はAC接続に接続される。第1のブランチは、直列に接続された複数のサブモジュールのうちの少なくとも1つのサブモジュールを含む。第1のブランチは、第1の組の制御可能スイッチの第2の制御可能スイッチの第1の端部と、第3の制御可能スイッチの第1の端部に、第1のサブモジュールによって接続される。第1のブランチは、第2のDC接続に接続される。第2のブランチは、直列に接続された複数のサブモジュールのうちの少なくとも1つのサブモジュールを含む。第2のブランチは、第1のサブモジュールによって、第2の組の制御可能スイッチの第5の制御可能スイッチの第1の端部と、第6の制御可能スイッチの第2の端部に接続される。第2のブランチは、第2のDC接続に接続される。
【0025】
第2の実施形態の好ましい実現態様では、サブモジュールはハーフブリッジ構成の制御可能スイッチである。
【0026】
第3の実施形態において、ハイブリッドモジュラーマルチレベルコンバータは、少なくとも1つのレッグを含む。各レッグは、AC接続および3つのDC接続に接続される。各レッグは、複数の制御可能スイッチのうちの少なくとも4つの制御可能スイッチと、2つのブランチとを含む。第1のブランチは、直列に接続された複数のサブモジュールのうちの少なくとも1つのサブモジュールを含む。第1のブランチは、第1のDC接続に接続される。第1のブランチの第1のサブモジュールは、第1の制御可能スイッチの第1の端部および第3の制御可能スイッチの第1の端部に接続される。第2のブランチは、直列に接続された複数のサブモジュールのうちの少なくとも1つのサブモジュールを含む。第2のブランチは、第3のDC接続に接続される。第2のブランチの第1のサブモジュールは、第2の制御可能スイッチの第2の端部および第4の制御可能スイッチの第2の端部に接続される。第1の制御可能スイッチの第2の端部および第2の制御可能スイッチの第1の端部は、第2のDC接続に接続される。第3の制御可能スイッチの第2の端部および第4の制御可能スイッチの第1の端部は、AC接続に接続される。
【0027】
第3の実施形態の好ましい実現態様では、サブモジュールは、DCリンク電圧がピーク/最大AC相電圧以下の用途ではフルブリッジ構成またはハイブリッド構成の制御可能スイッチであり、DCリンク電圧がピーク/最大AC相電圧より大きい用途ではハーフブリッジ構成の制御可能スイッチである。
【0028】
変形例では、ハイブリッドモジュラーマルチレベルコンバータの第2および第3の実施形態の各ブランチ、ならびにハイブリッドモジュラーマルチレベル整流器の第2および第3の実施形態の各ブランチにインダクタが含まれ、インダクタはブランチのサブモジュールとブランチが接続されるDC接続との間に接続される。
【0029】
別の変形例では、ハイブリッドモジュラーマルチレベルコンバータの第1の実施形態の各ブランチおよびハイブリッドモジュラーマルチレベル整流器の第1の実施形態の各ブランチにインダクタが含まれ、インダクタはブランチのサブモジュールとブランチが接続されるAC接続との間に接続される。
【0030】
ハイブリッドモジュラーマルチレベルコンバータの変形例の他の実施形態は、異なる数のレッグを含む。言い換えれば、他の実施形態では、ハイブリッドモジュラーマルチレベルコンバータの変形例は、少なくとも2つのレッグを含む。2つまたは複数のレッグの第1のDC接続は一緒に接続され、2つまたは複数のレッグの第2のDC接続は一緒に接続され、2つまたは複数のレッグの第3のDC接続は一緒に接続される。2つまたは複数のレッグのAC接続は独立している。これらは2相または複数相のAC接続を形成する。
【0031】
本発明の付加的な利点は、以下の詳細な説明から当業者には容易に明らかになるであろう。ここでは、本発明を実施するために企図された最良の態様を単に例示するために、本発明の好ましい実施形態のみを示し、説明する。理解されるように、本発明は、他の異なる実施形態が可能であり、その幾つかの細部は、全て本発明から逸脱することなく、様々な明白な点で変更が可能である。従って、図面および説明は、本質的に例示的なものとみなされ、制限的なものとはみなされない。
【図面の簡単な説明】
【0032】
本発明は、添付図面の図に例示的に示されており、限定するものではない。
【
図1】フロントエンドコンバータとしてハイブリッドモジュラーマルチレベル整流器(HMMR)を採用し、モータエンドコンバータとしてハイブリッドモジュラーマルチレベルコンバータ(HMMC)を採用した本発明の一実施形態を示している。
【
図2】第1のハイブリッドモジュラーマルチレベル整流器の変形例を示している。
【
図3】第2のハイブリッドモジュラーマルチレベル整流器の変形例を示している。
【
図4】第3のハイブリッドモジュラーマルチレベル整流器の変形例を示している。
【
図5】第1のハイブリッドモジュラーマルチレベルコンバータの変形例を示している。
【
図6】第2のハイブリッドモジュラーマルチレベルコンバータの変形例を示している。
【
図7】第3のハイブリッドモジュラーマルチレベルコンバータの変形例を示している。
【
図8】制御可能スイッチを備えたフルブリッジサブモジュールの変形例を示している。
【
図9】制御可能スイッチを備えたハイブリッドフルブリッジサブモジュールの変形例を示している。
【
図10】制御可能スイッチを備えたハーフブリッジサブモジュールの変形例を示している。
【
図11】バイポーラトランジスタに基づく制御可能スイッチを示す図である。
【
図12】MOSFETトランジスタに基づく制御可能スイッチを示している。
【
図13】シリコンベースの整流器に基づく制御可能スイッチを示している。
【
図14】2つのシリコンベースの整流器を用いた制御可能スイッチを示している。
【
図15】モータエンドコンバータとして採用され、マルチレベルMMC DC-ACコンバータと直列に接続された3レベルDC-DCチョッパ内の第1の電圧で動作する第1のハイブリッドモジュラーマルチレベルコンバーターの変形例における転流経路を示している。
【
図16】モータエンドコンバータとして採用され、マルチレベルMMC DC-ACコンバータと直列に接続された3レベルDC-DCチョッパ内の第2の電圧で動作する第1のハイブリッドモジュラーマルチレベルコンバータの変形例における転流経路を示している。
【
図17】モータエンドコンバータとして採用され、マルチレベルMMC DC-ACコンバータと直列に接続された3レベルDC-DCチョッパにおいて第3の電圧で動作する、第1のハイブリッドモジュラーマルチレベルコンバーターの変形例における転流経路を示している。
【
図18】モータエンドコンバータとして採用され、マルチレベルMMC DC-ACコンバータと直列に接続された2レベルDC-DCチョッパ内の第1の電圧で動作する第1のハイブリッドモジュラーマルチレベルコンバータの変形例における転流経路を示す図である。
【
図19】モータエンドコンバータとして採用され、マルチレベルMMCDC-ACコンバータと直列に接続された2レベルDC-DCチョッパ内の第2の電圧で動作する第1のハイブリッドモジュラーマルチレベルコンバータの変形例における転流経路を示している。
【発明を実施するための形態】
【0033】
以下に、本明細書の好ましい実施例を示す。なお、本明細書は以下の構成に限定されるものではない。
【0034】
本発明は、フロントエンドとしてハイブリッドモジュラーマルチレベル整流器(HMMR:hybrid modular multi-level rectifier)を、モータエンドコンバータとしてハイブリッドモジュラーマルチレベルコンバータ(HMMC:hybrid modular multi-level converter)を組み合わせて利用し、最適化する。
【0035】
バック・トゥ・バックHMMR-HMMCベースの間接AC-DC-ACトポロジー(back-to-back HMMR-HMMC based indirect AC-DC-AC topology)のフロントエンド整流器は、定常動作時および起動時にモータに電力/電流を供給しながら一定のDCリンク電圧を生成するのに有効である。本発明にとってさらに重要なことは、モータ駆動のHMMCの可変チェーンリンク(CL)DC電圧を供給してVCL/fの比率を一定に保ち、SMコンデンサの電圧リップルを低く一定に保つために、モータ起動時にモータエンドのHMMCモータ駆動をMMCかつDC/DCチョッパモード(an MMC plus DC/DC chopper mode)で動作させることができることである。この可変CL直流電圧は、従来技術のように外付けのDCチョッパを追加することなく実現される。さらに、2レベルまたは3レベルの2つのDC/DCチョッパモードが利用可能であり、これらは全て、モータエンドHMMCモータドライブ内の組み込みハードウェア(半導体スイッチ)で実現される。
【0036】
図1は、交流電源2からモータ3に電力を供給するAC-DC-ACコンバータ1が、ハイブリッドマルチレベルモジュラー整流器HMMR(hybrid multilevel modular rectifier HMMR)であるフロントエンドコンバータ10と、ハイブリッドマルチレベルモジュラーコンバータHMMC(hybrid multilevel modular converter HMMC)であるモータエンドコンバータ11とを含む、本発明の第1の実施形態を示している。フロントエンドコンバータ10の出力は、DCリンク4を介してモータエンドコンバータ11の入力に接続される。DCリンク4は直列に接続された2つの静電容量(キャパシタンス)4a,4bを含み、それぞれが同時にフロントエンドハイブリッドモジュラーマルチレベル整流器とモータエンドハイブリッドモジュラーマルチレベルコンバータのDC接続の組(a pair of DC connections)に接続される。
【0037】
AC-DC-ACコンバータ1は、フロントエンドコンバータ10内に構成される制御可能スイッチの制御およびスイッチングのための第1のコントローラ5aと、モータエンドコンバータ11内に構成される制御可能スイッチの制御およびスイッチングのための第2のコントローラ5bとを含む。実施形態によっては、第1の制御装置5aと第2の制御装置5bは、独立しているか、直接または間接的にリンクしているか、あるいは同一の制御ユニット内に統合されている。
【0038】
ハイブリッドマルチレベルモジュラー整流器(HMMR)は、
図2、
図3および
図4に示される3つの異なる変形例として存在し、本実施形態におけるフロントエンドコンバータ10として使用することができる。
【0039】
第1のハイブリッドモジュラーマルチレベル整流器と第2のハイブリッドモジュラーマルチレベル整流器は、DCリンク電圧が瞬時最大供給/ソースAC相電圧(instantaneous max supply / source AC phase voltage)より大きい用途に最適である。第3のハイブリッドモジュラーマルチレベル整流器は、DCリンク電圧が瞬時最大電源/ソースAC相電圧以下の用途に最適である。
【0040】
本実施形態におけるモータエンドコンバータ11としては、
図5、
図6および
図7に関連して後述する3種類のHMMC変形例を用いることができる。
【0041】
図2に示される第1のハイブリッドモジュラーマルチレベル整流器(HMMR)の変形例は、AC接続および3つのDC接続に接続された少なくとも1つのレッグ10を含む。各レッグ10は、複数のサブモジュールのうちの少なくとも1つのサブモジュールSMと2つのインダクタL1,L2とからなる第1のストリング14aと、複数のダイオードのうちの少なくとも4つのダイオードD1,D2,D3,D4を直列に接続して含む第2のストリング14bとを含む。
【0042】
第1のストリング14aは、2つのブランチ12a、12bを含み、第1のストリング14aの各ブランチは、インダクタL1、L2と、直列に接続された複数のサブモジュールのうちの少なくとも1つのサブモジュールSMとを含む。
【0043】
第1のストリング14aの第1のブランチ12aは、第1のインダクタL1を含み、第1のサブモジュールSMによって第2のストリング14bに接続され、第1のインダクタL1によってAC接続に接続される。
【0044】
第1のストリング14aの第2のブランチ12bは、第2のインダクタL2を含み、第1のサブモジュールSMによって第2のストリング14bに接続され、第2のインダクタL2によってAC接続に接続される。
【0045】
第2のストリング14bにおいて、第1のダイオードD1のカソードは、第1のDC接続に接続される。
【0046】
第1のダイオードD1アノードおよび第2のダイオードD2カソードは、第1のストリング14a、特に第1のストリング14aの第1のブランチ12aのサブモジュールSMに接続される。
【0047】
第2のダイオードD2のアノードと第3のダイオードのカソードは、第2のDC接続に接続される。
【0048】
第3のダイオードD3アノードと第4のダイオードD4カソードは、第1のストリング14a、特に第1のストリング14aの第2のブランチ12bのサブモジュールSMに接続される。
【0049】
第4のダイオードのアノードは第3のDC接続に接続される。
【0050】
第1のハイブリッドモジュラーマルチレベル整流器の変形例の他の実施形態は、異なる数のレッグを含む。言い換えれば、他の実施形態では、第1のハイブリッドモジュラーマルチレベル整流器の変形例は、少なくとも2つのレッグを含む。2つまたは複数のレッグの第1のDC接続は一緒に接続され、2つまたは複数のレッグの第2のDC接続は一緒に接続され、2つまたは複数のレッグの第3のDC接続は一緒に接続される。2つまたは複数のレッグのAC接続は独立している。これらは2相または複数相(two or multiple phases)のAC接続を形成する。
【0051】
各ブランチ12a、12bにおいて、サブモジュールSMは、フルブリッジサブモジュール(
図8に図示)、ハイブリッドフルブリッジサブモジュール(
図9に図示)、またはハーフブリッジサブモジュール(
図10に図示)、またはそれらの任意の組み合わせである。
【0052】
好ましい実施形態では、ハーフブリッジサブモジュールは、DCリンク電圧がピーク/最大AC相電圧より大きい用途に使用される。
【0053】
図3に示された第2のHMMRの変形例は、少なくとも1つのレッグ10を含み、各レッグはAC接続と3つのDC接続に接続される。
【0054】
各レッグ10は、直列に接続された複数のダイオードのうちの少なくとも2つのダイオードD1,D2を含む第1のストリング14cと、直列に接続された複数のダイオードのうちの少なくとも2つのダイオードD3,D4を含む第2のストリング14dと、複数のサブモジュールのうちの少なくとも1つのサブモジュールSMと、第2のストリング14dの2つのブランチ12a,12bのそれぞれに1つずつ設けられた2つのインダクタL1,L2とを含む。各ブランチ12a,12bは、インダクタL1,L2と、第2のストリング14dの直列の少なくとも1つのサブモジュールSMとを含む。
【0055】
第1のストリング14cは、直列に接続された複数のダイオードのうちの少なくとも第1のダイオードD1を含む。第1のストリング14cの第1のダイオードD1は、そのアノードがAC接続に接続され、そのカソードが第2のストリング14dに接続される。第1のストリング14cはまた、直列に接続された複数のダイオードのうちの少なくとも第2のダイオードD2を含む。第1のストリング14cの第2のダイオードD2は、そのカソードによってAC接続に接続され、そのアノードによって第2のストリング14dに接続される。
【0056】
第2のストリング14dにおいて、第1のDC接続は、直列に接続された複数のダイオードのうちの第3のダイオードD3のカソードに接続される。第3のダイオードD3のアノードは、第1のブランチ12aのサブモジュールSMおよび第1のストリング14cに接続される。より正確には、第3のダイオードD3のアノードは、第1のストリング14cの第1のダイオードD1のカソードに接続される。
【0057】
第2のストリング14dの第1のブランチインダクタL1と第2のブランチインダクタL2は、第2のDC接続に一緒に接続される。
【0058】
第3のDC接続は、直列に接続された複数のダイオードのうちの第4のダイオードD4のアノードに接続される。第4のダイオードD4のカソードは、第2のストリング14dの第2のブランチ12bのサブモジュールSMおよび第1のストリング14cに接続される。より正確には、第4のダイオードD4のカソードは、第1のストリング14cの第2のダイオードD2のアノードに接続される。
【0059】
第2のハイブリッドモジュラーマルチレベル整流器の変形例の他の実施形態は、異なる数のレッグを含む。言い換えれば、他の実施形態では、第2のハイブリッドモジュラーマルチレベル整流器の変形例は、少なくとも2つのレッグを含む。2つまたは複数のレッグの第1のDC接続は一緒に接続され、2つまたは複数のレッグの第2のDC接続は一緒に接続され、2つまたは複数のレッグの第3のDC接続は一緒に接続される。2つまたは複数のレッグのAC接続は独立している。これらは2相または複数相のAC接続を形成する。
【0060】
各ブランチ12a、12bにおいて、サブモジュールSMは、フルブリッジサブモジュール(
図8に図示)、ハイブリッドフルブリッジサブモジュール(
図9に図示)、またはハーフブリッジサブモジュール(
図10に図示)、またはそれらの任意の組み合わせである。
【0061】
好ましい実施形態では、サブモジュールは、DCリンク電圧がピーク/最大AC相電圧より大きい用途に使用されるハーフブリッジサブモジュールである。
【0062】
図4に示される第3のHMMRの変形例は、少なくとも1つのレッグ10を含み、各レッグはAC接続と3つのDC接続に接続される。
【0063】
各レッグは、直列に接続された複数のダイオードのうちの少なくとも2つのダイオードD1,D2を含む第1のストリング14eと、直列に接続された複数のダイオードのうちの少なくとも2つのダイオードD3,D4と、直列に接続された複数のサブモジュールのうちの少なくとも1つのサブモジュールSMと、第2のストリング14fの2つのブランチ12a,12bのうちの1つのブランチ12a,12bにそれぞれ設けられた2つのインダクタL1,L2とからなる第2のストリング14fとを含む。第2のストリング14fの各ブランチ12a,12bは、インダクタL1,L2と少なくとも1つのサブモジュールSMとを直列に接続して含む。
【0064】
第1のストリング14eにおいて、AC接続は、第1のダイオードD1アノードおよび第2のダイオードD2カソードに接続される。第1のダイオードD1カソードと第2のダイオードD2アノードは、共に第2のストリング14fに別々に接続される。
【0065】
第2のストリング14fにおいて、第1のインダクタL1を構成する第1のブランチ12aは、サブモジュールSMによって第1のDC接続に接続され、第1のインダクタL1によって第3のダイオードD3のカソードおよび第1のストリング14eに接続される。より正確には、第1のインダクタL1および第3のダイオードD3のカソードは、第1のダイオードD1のカソードに接続される。
【0066】
第2のインダクタL2を構成する第2のストリング14fの第2のブランチ12bは、サブモジュールSMによって第3のDC接続に接続され、第2のインダクタL2によって第2のストリング14fの第4のダイオードD4のアノードおよび第1のストリング14eに接続される。より正確には、第2のインダクタL2および第2のストリング14fの第4のダイオードD4のアノードは、第2のストリング14fの第2のダイオードD2のアノードに接続される。
【0067】
第2のストリング14fの第3のダイオードD3のアノードとダイオードD4のカソードは、共に第2のDC接続に接続される。
【0068】
第3のハイブリッドモジュラーマルチレベル整流器の変形例の他の実施形態は、異なる数のレッグを含む。言い換えれば、他の実施形態では、第3のハイブリッドモジュラーマルチレベル整流器の変形例は、少なくとも2つのレッグを含む。2つまたは複数のレッグの第1のDC接続は一緒に接続され、2つまたは複数のレッグの第2のDC接続は一緒に接続され、2つまたは複数のレッグの第3のDC接続は一緒に接続される。2つまたは複数のレッグのAC接続は独立している。これらは2相または複数相のAC接続を形成する。
【0069】
各ブランチ12a、12bにおいて、サブモジュールSMは、フルブリッジサブモジュール(
図8に図示)、ハイブリッドフルブリッジサブモジュール(
図9に図示)、またはハーフブリッジサブモジュール(
図10に図示)、またはそれらの任意の組み合わせである。
【0070】
好ましい実施形態では、サブモジュールは、DCリンク電圧がピーク/最大AC相電圧以下の用途に使用されるフルブリッジまたはハイブリッドサブモジュールである。
【0071】
ハイブリッドモジュラーマルチレベルコンバータの第1の変形例を
図5に示す。これは、AC接続および3つのDC接続に接続された少なくとも1つのレッグ11aを含む。各レッグ11aは、直列に接続された複数の制御可能スイッチのうちの少なくとも4つの制御可能スイッチSW1、SW2、SW3、SW4を含む第1のストリング13aと、2つのブランチ12a、12bから成る第2のストリング13bとを含み、各ブランチ12a、12bは、複数のサブモジュール(
図5では12aまたは12bの各ブランチに2つ示されている)のうちの少なくとも1つのサブモジュールSMと、直列に接続されたインダクタL1またはL2とを含む。
【0072】
本明細書において、インダクタは、インダクタンス、またはインダクタンス成分を持つインピーダンスを示す素子として、より広い意味で理解される。インダクタンスは本質的なものでも寄生的なもの(intrinsic or parasitic)でもよい。
【0073】
各制御可能スイッチSW1、SW2、SW3、SW4は、それぞれa、b、cと表示された第1の端部、第2の端部、および制御端部を含む。
【0074】
第1の制御可能スイッチSW1は、第1の端部によって第1のDC接続に接続され、第2の端部によって第2の制御可能スイッチSW2の第1の端部および第2のストリング13bに接続される。
【0075】
第2の制御可能スイッチSW2の第2の端部は、第2のDC接続と第3の制御可能スイッチSW3の第1の端部の両方に接続される。第3の制御可能スイッチSW3の第2の端部は、第4の制御可能スイッチSW4の第1の端部および第2のストリング13bに接続される。
【0076】
第4の制御可能スイッチSW4の第2の端部は、第3のDC接続に接続される。
【0077】
第2のストリング13bの第1のブランチ12aは、第1のサブモジュールSMによって第1のストリング13aに、特に第1の制御可能スイッチSW1の第2の端部および第2の制御可能スイッチSW2の第1の端部に接続される。
【0078】
第2のストリング13bの第2のブランチ12bは、第1のサブモジュールSMによって第1のストリング13aに、特に第3の制御可能スイッチSW3の第2の端部および第4の制御可能スイッチSW4の第1の端部に接続される。
【0079】
第1のブランチ12aと第2のブランチ12bは、それぞれのインダクタL1、L2を介してAC接続に接続される。
【0080】
第1のハイブリッドモジュラーマルチレベルコンバータの変形例の他の実施形態は、異なる数のレッグを含む。言い換えれば、他の実施形態では、第1のハイブリッドモジュラーマルチレベルコンバータの変形例は、少なくとも2つのレッグを含む。2つまたは複数のレッグの第1のDC接続は一緒に接続され、2つまたは複数のレッグの第2のDC接続は一緒に接続され、2つまたは複数のレッグの第3のDC接続は一緒に接続される。2つまたは複数のレッグのAC接続は独立している。これらは2相または複数相のAC接続を形成する。
【0081】
各ブランチ12a、12bにおいて、サブモジュールSMは、フルブリッジサブモジュール(
図8に図示)、ハイブリッドフルブリッジサブモジュール(
図9に図示)、またはハーフブリッジサブモジュール(
図10に図示)、またはそれらの任意の組み合わせである。
【0082】
好ましい実施形態では、フルブリッジサブモジュールまたはハイブリッドフルブリッジサブモジュールは、DCリンク電圧がピーク/最大AC相電圧以下の用途で使用され、ハーフブリッジサブモジュールは、DCリンク電圧がピーク/最大AC相電圧より大きい用途で使用される。
【0083】
ハイブリッドモジュラーマルチレベルコンバータの第2の変形例が
図6に示されている。これは、AC接続と3つのDC接続に接続された少なくとも1つのレッグ11bを含む。
【0084】
各レッグ11bは、2つのブランチ12a、12bを含む第1のストリング13cを含み、各ブランチは、複数のサブモジュールSMのうちの少なくとも1つのサブモジュールSM(
図6では12a、12bの各ブランチに2つずつ示されている)と、逆極性で直列に接続された複数の制御可能スイッチの組のうちの少なくとも2つの制御可能スイッチSW1,SW2,SW4,SW5と、直列に接続されたインダクタL1またはL2を含む第2のストリング13dと、各スイッチSW3,SW6の位置で直列に接続された複数の制御可能スイッチのうちの少なくとも2つの制御可能スイッチSW3,SW6を含む第2のストリング13dとを含む。
【0085】
各制御可能スイッチSW1、SW2、SW3、SW4、SW5、SW6は、それぞれa、b、cとラベル付けされた第1の端部、第2の端部、および制御端部を含む。
【0086】
第1のストリング13cにおいて、制御可能スイッチの第1の組の第1の制御可能スイッチSW1の第1の端部は、第1のDC接続に接続される。第1の組の制御可能スイッチの第1の制御可能スイッチSW1の第2の端部は、第1の組の制御可能スイッチの第2の制御可能スイッチSW2の第2の端部に接続される。
【0087】
制御可能スイッチの第1の組の第2の制御可能スイッチSW2の第1の端部は、第1のブランチ12aの第1のサブモジュールSMに接続され、第2のストリング13dに接続される。
【0088】
制御可能スイッチの第2の組の第4の制御可能スイッチSW4の第1の端部は、第3のDC接続に接続される。第2の組の制御可能スイッチの第4の制御可能スイッチSW4の第2の端部は、第2の組の制御可能スイッチの第5の制御可能スイッチSW5の第2の端部に接続される。制御可能スイッチの第2の組の第5の制御可能スイッチSW5の第1の端部は、第2のブランチ12bの第1のサブモジュールSMに接続され、また、第2のストリング13dに接続される。
【0089】
第1のブランチ12aのインダクタL1と第2のブランチ12bのインダクタL2は、共に第2のDC接続に接続される。
【0090】
第2のストリング13dにおいて、第3の制御可能スイッチSW3の第1の端部は、第1のストリング13c、特に第1の制御可能スイッチの組の第2の制御可能スイッチSW2の第1の端部、および第1のブランチ12aの第1のサブモジュールSMに接続される。
【0091】
第6の制御可能スイッチSW6の第2の端部は、第1のストリング13c、特に第2の制御可能スイッチの組の第5の制御可能スイッチSW5の第1の端部、および第2のブランチ12bの第1のサブモジュールSMに接続される。
【0092】
第3の制御可能スイッチSW3の第2の端部と第6の制御可能スイッチSW6の第1の端部は、共にAC接続に接続される。
【0093】
第2のハイブリッドモジュラーマルチレベルコンバータの変形例の他の実施形態は、異なる数のレッグを含む。言い換えれば、他の実施形態では、第2のハイブリッドモジュラーマルチレベルコンバータの変形例は、少なくとも2つのレッグを含む。2つまたは複数のレッグの第1のDC接続は一緒に接続され、2つまたは複数のレッグの第2のDC接続は一緒に接続され、2つまたは複数のレッグの第3のDC接続は一緒に接続される。2つまたは複数のレッグのAC接続は独立している。これらは、2相または複数相のAC接続を形成する。各ブランチ12a、12bにおいて、サブモジュールSMは、フルブリッジサブモジュール(
図8に図示)、ハイブリッドフルブリッジサブモジュール(
図9に図示)、またはハーフブリッジサブモジュール(
図10に図示)、またはそれらの任意の組み合わせである。
【0094】
好ましい実施形態では、サブモジュールSMは、
図10に示されるように、ハーフブリッジサブモジュールである。
【0095】
第2のHMMCは、DCリンク電圧が瞬時最大供給/ソースAC相電圧未満のアプリケーションに最適である。また、2番目のHMMCバリエーションは、独自の設計により、部品数/デバイス数が最も少なく、低コストに最適化されている。
【0096】
ハイブリッドモジュラーマルチレベルコンバータの第3の変形例が
図7に示されている。これは、AC接続と3つのDC接続に接続された少なくとも1つのレッグ11cを含む。
【0097】
各レッグ11cは、直列に接続された複数の制御可能スイッチのうちの少なくとも2つの制御可能スイッチSW1,SW2にそれぞれ接続された2つのブランチを含む第1のストリング13eと、複数の制御可能スイッチのうちの少なくとも2つの制御可能スイッチSW3,SW4を含む第2のストリング13fとを含む。各ブランチ12a,12bは、直列接続された複数のサブモジュール(
図7では12aまたは12bの各ブランチに2つずつ示されている)のうちの少なくとも1つのサブモジュールSMと、12aまたは12bのそれぞれのブランチに設けられたインダクタL1,L2とを含む。
【0098】
第1のストリング13eにおいて、第1のブランチ12aは、第1のインダクタL1によって第1のDC接続に接続される。第1のブランチ12aは、第1のサブモジュールSMによって、第1の制御可能スイッチSW1の第1の端部および第2のストリング13fに接続される。
【0099】
また、第1のストリング13eにおいて、第2のブランチ12bは、第2のインダクタL2によって第3のDC接続に接続される。第2のブランチ12bは、第1のサブモジュールSMによって、第2の制御可能スイッチSW2の第2の端部および第2のストリング13fに接続される。
【0100】
依然として第1のストリング13eにおいて、第1の制御可能スイッチSW1の第2の端部は、第2の制御可能スイッチSW2の第1の端部および第2のDC接続に接続される。
【0101】
第2のストリング13fは、各スイッチ位置SW3,SW4において直列に接続された複数の制御可能スイッチのうちの少なくとも2つの制御可能スイッチSW3,SW4を含む。第3の制御可能スイッチSW3の第1の端部は、第1のストリング13e、特に第1の制御可能スイッチSW1の第1の端部、および第1のブランチ12aの第1のサブモジュールに接続される。
【0102】
第4の制御可能スイッチSW4の第2の端部は、第1のストリング13e、特に第2の制御可能スイッチSW2の第2の端部、および第2のブランチ12bの第1のサブモジュールに接続される。
【0103】
第3の制御可能スイッチSW3の第2の端部と第4の制御可能スイッチSW4の第1の端部はAC接続に接続される。
【0104】
第3のハイブリッドモジュラーマルチレベルコンバータの変形例の他の実施形態は、異なる数のレッグを含む。言い換えれば、他の実施形態では、第3のハイブリッドモジュラーマルチレベルコンバータの変形例は、少なくとも2つのレッグを含む。2つまたは複数のレッグの第1のDC接続は一緒に接続され、2つまたは複数のレッグの第2のDC接続は一緒に接続され、2つまたは複数のレッグの第3のDC接続は一緒に接続される。2つまたは複数のレッグのAC接続は独立している。これらは2相または複数相のAC接続を形成する。
【0105】
ブランチ12a、12bのいずれにおいても、サブモジュールSMは、フルブリッジサブモジュール(
図8に図示)、ハイブリッドフルブリッジサブモジュール(
図9に図示)、またはハーフブリッジサブモジュール(
図10に図示)、またはそれらの任意の組み合わせである。
【0106】
好ましい実施形態では、フルブリッジサブモジュールまたはハイブリッドサブモジュールは、DCリンク電圧がピーク/最大AC相電圧以下の用途で使用され、ハーフブリッジサブモジュールは、DCリンク電圧がピーク/最大AC相電圧より大きい用途で使用される。
【0107】
次に、サブモジュールSMのさまざまな変形例について説明する。
【0108】
第1のサブモジュールの変形例は、
図8に示されるように、フルブリッジ構成の制御可能スイッチで構築される。これは、2つの接続部、4つの制御可能スイッチSW1_SM、SW2_SM、SW3_SM、SW4_SM、およびコンデンサC_SMを含む。
【0109】
各制御可能スイッチSW1_SM、SW2_SM、SW3_SM、SW4_SMは、それぞれa、b、cと表示された第1の端部、第2の端部、および制御端部を含む。
【0110】
第1のサブモジュール接続は、第1の制御可能スイッチSW1_SMの第2の端部と、第2の制御可能スイッチSW2_SMの第1の端部に接続される。
【0111】
第2の接続は、第3の制御可能スイッチSW3_SMの第2の端部と、第4の制御可能スイッチSW4_SMの第1の端部に接続される。
【0112】
コンデンサC_SMの第1の端部は、第1の制御可能スイッチSW1_SMと第3の制御可能スイッチSW3_SMの両方の第1の端部に接続される。コンデンサC_SMの第2の端部は、第2の制御可能スイッチSW2_SMと第4の制御可能スイッチSW4_SMの両方の第2の端部に接続される。
【0113】
第2の変形例では、サブモジュールSMは、フルブリッジ構成の4つの制御可能スイッチの代わりに、
図9に示されるように、ダイオードを備えたフルブリッジ構成の2つの制御可能スイッチに基づくハイブリッドサブモジュールである。
【0114】
ハイブリッドサブモジュールは、本質的に、第1および第4の制御可能スイッチSW1_SM、SW4_SMがダイオードD1_SM、D4_SMに置き換えられた通常のサブモジュールに対応する。分かりやすくするために、
図8の命名規則が維持されている。ハイブリッドサブモジュールは、2つの接続部、2つの制御可能スイッチSW2_SM、SW3_SM、2つのダイオードD1_SM、D4_SM、およびコンデンサC_SMを含む。
【0115】
第1の接続は、第1のダイオードD1_SMのアノードと、第2の制御可能スイッチSW2_SMの第1の端部に接続される。
【0116】
第2の接続は、第3の制御可能スイッチSW3_SMの第2の端部と第4のダイオードD4_SMのカソードに接続される。
【0117】
コンデンサC_SMの第1の接続部は、一方が第1のダイオードD1_SMのカソードに接続され、他方が第3の制御可能スイッチSW3_SMの第1の端部に接続される。コンデンサC_SMの別の接続は、第2の制御可能スイッチSW2_SMの第2の端部と第4のダイオードD4_SMアノードに接続される。
【0118】
第3の変形例では、サブモジュールSMは、
図10に示されるように、ハーフブリッジ構成の制御可能スイッチである。
【0119】
それは、2つの接続部、2つの制御可能スイッチSW1_SM、SW2_SM、およびコンデンサC_SMを含む。第1の接続部は、第1の制御可能スイッチSW1_SMの第2の端部と、第2の制御可能スイッチSW2_SMの第1の端部に接続される。第2の接続部は、第2の制御可能スイッチSW2_SMの第2の端部に接続される。
【0120】
コンデンサC_SMは、一方では第1の制御可能スイッチSW1_SMの第1の端部に接続され、他方では第2の接続部と第2の制御可能スイッチSW2_SMの第2の端部の両方に接続される。
【0121】
図11および
図12は、制御可能スイッチSW_SMの例示的な実施形態を示す。制御可能スイッチSW_SMは、上述した実施形態で構成された制御可能スイッチSW1、SW2、SW3、SW4、SW5、SW6 SW1_SM、SW2_SM、SW3_SM、またはSW4_SMのいずれかとすることができる。
【0122】
制御可能スイッチSW_SMは、それぞれa、b、cとラベル付けされた第1の端部、第2の端部、および制御端部を含み、第1の端部はバイポーラトランジスタT_SMのコレクタ/ソースに接続され、第2の端部は前記バイポーラトランジスタT_SMのエミッタ/ドレインに接続される。フリーホイールダイオード(freewheeling diode)D_SMは、そのアノードがトランジスタT_SMのドレインに接続され、そのカソードがトランジスタT_SMのソースに接続されるように接続される。制御端部はトランジスタT_SMゲートに接続される。
【0123】
制御可能スイッチSW_SMの他の実施形態は、並列、直列、または並列と直列の組み合わせで接続された少なくとも2つのトランジスタを含む。
【0124】
図11に図示したトランジスタT_SMはバイポーラトランジスタである。しかしながら、例えば
図12に示されるようなMOSFET(「Metal Oxide Silicon Field Effect Transistor」の頭字語)やIEGT(「Injection Enhanced Gate Transistor」の頭字語)のように、他の種類のトランジスタを使用することもできる。
【0125】
図13および
図14は、制御可能スイッチSW_SWのさらに他の例示的な実施形態を示す。制御可能スイッチSW_SWは、上述した実施形態で構成された制御可能スイッチSW1、SW2、SW3、SW4、SW5、SW6のいずれでもよい。
【0126】
図13および
図14に示す制御可能スイッチSW_SWは、逆並列フリーホイーリングダイオードに接続されたSCR(「silicon-controlled rectifier:シリコン制御整流器」の頭文字)を含む。
【0127】
図13は、SCR1_SWとラベル付けされたシリコン制御整流器とフリーホイーリングダイオードD_SWとを含むSCRベースの制御可能スイッチSW_SWの第1の実施形態を示す。SCRベースの制御可能スイッチSW_SWの第1の端部は、シリコン制御整流器SCR1_SWのアノードおよびフリーホイーリングダイオードD_SWのカソードに接続される。SCRベースの制御可能スイッチSW_SWの第2の端部は、SCR SCR1_SWのカソードおよびフリーホイーリングダイオードD_SWのアノードに接続される。SCRベースの制御可能スイッチSW_SWの制御端部は、シリコン制御整流器SCR1_SWのゲートに接続される。
【0128】
図14は、SCR1_SWおよびSCR2_SWとラベル付けされた2つのシリコン制御整流器(silicon-controlled rectifiers)を含むSCRベースの制御可能スイッチSW_SWの第2の実施形態を示す。
【0129】
SCRベースの制御可能スイッチSW_SWの第1の端部は、第1のシリコン制御整流器SCR1_SWのアノードに接続され、第2のシリコン制御整流器SCR2_SWのカソードに接続される。
【0130】
SCRベースの制御可能スイッチSW_SWの第2の端部は、第1シリコン制御整流器SCR1_SWのカソードと第2シリコン制御整流器SCR2_SWのアノードに接続される。
【0131】
SCRベースの制御可能スイッチSW_SWの制御端部は、両方のシリコン制御整流器SCR1_SW、SCR2_SWのゲートに直接または間接的に接続される。例えば、シリコン制御整流器の一方を直接接続し、他方を信号処理手段を介して接続することができる。このような信号処理手段は、固定継続時間または可変継続時間のいずれかの継続時間だけ信号を遅延させるように、またはコマンド信号の受信時にパルス幅変調信号の放出をトリガするように構成することができる。信号処理手段は、受信した多重化信号に基づいてコマンド信号を生成するように構成することができる。本発明の範囲から逸脱することなく、他の信号処理手段を使用することができる。
【0132】
図15に示される実施形態では、モータエンドコンバータが
図5に示される第1の実施形態によるHMMCである場合に、特定の制御方式がモータエンドコンバータ11のレッグ11aに適用される。
【0133】
HMMCは、3つのDC接続を介してDCリンクから供給される電圧からモータに電力を供給するためのAC電圧を生成する。第1のDC接続は第1レベルの+Vdc/2電圧,第2の接続は第2レベルのVmid=0電圧,第3の接続は第3レベルの-Vdc/2電圧である。異なる継続時間(デューティ比)の3レベル電圧に接続することにより、モータエンドコンバータ11の第1の部分(制御可能スイッチSW1、SW2、SW3、SW4)は、3レベルDC/DCコンバータ/チョッパとして機能する。モータエンドコンバータ11HMMCは、可変DC電圧を生成するために、これらのDC接続を切り替えることができ、その後、MMCモードで動作するモータエンドコンバータ11の第2部分(サブモジュールSMs)によって変換され、モータ3に必要なAC電圧を生成する。交流電圧の生成に使用されるDC接続に応じて、異なる制御方式が必要となる。制御方式は、
図5に示される第2のコントローラ5bを介して、各HMMC制御可能スイッチの制御端部に命令することにより適用される。
【0134】
交流電圧を生成するのに必要な直流電圧がVdc/2に等しい場合、モータエンドコンバータ11は、第1のDC接続Vdc/2電圧と第2のDC接続Vmid電圧とを接続することによって入力電圧が生成されるように指令される。この直流電圧は、第2のレッグ13bのブランチ12a、12b間にVdc/2電圧をもたらす。「チョップされた」直流電圧は、次に、モータ3に供給される交流電圧を生成するために、ブランチ12a、12bのそれぞれに構成されたサブモジュールSMによってMMC動作モードで変換される。
【0135】
そのために、第1の制御可能スイッチSW1と第3の制御可能スイッチSW3は導通(「オン」)状態に指令され、第2の制御可能スイッチSW2と第4の制御可能スイッチSW4は非導通状態(non-conducting can state)に指令される。
【0136】
そして、第1のDC接続とAC接続との間の第1の導電経路が、第1の制御可能スイッチSW1と第1のブランチ12aとを介して形成される。第2のDC接続とAC接続との間の第2の導電経路は、第3の制御可能スイッチSW3と第2のブランチ12bとを介して形成される。
図15は、第1の導電経路および第2の導電経路をダッシュドットパターンを有する線(一点鎖線)として図示している。
【0137】
交流電圧を生成するために必要な直流電圧がV=0に等しい場合、モータエンドコンバータ11は、入力電圧が第2のDC接続を接続することによって生成されるように指令される。第2のDC接続はVmid=0の電圧である。「チョップ」された直流電圧は、モータ3に供給される交流電圧を生成するために、ブランチ12a、12bのそれぞれに含まれるサブモジュールSMによってMMC動作モードで変換される。
【0138】
そのために、第1の制御可能スイッチSW1と第4の制御可能スイッチSW4は非導通状態(「オフ」)に指令され、第2の制御可能スイッチSW2と第3の制御可能スイッチSW3は導通状態(「オン」)に指令される。そして、第2のDC接続とAC接続との間の第1の導電経路が、第2の制御可能スイッチSW2と第1のブランチ12aとを介して形成される。第2のDC接続とAC接続との間の第2の導電経路は、第3の制御可能スイッチSW3と第2のブランチ12bとを介して形成される。
図16は、第1の導電路と第2の導電路とをダッシュドットパターンを有する線(一点鎖線)として図示している。
【0139】
交流電圧を生成するのに必要な電圧が-Vdc/2に等しい場合、モータエンドコンバータ11は、第2の直流接続電圧と第3の直流接続電圧とを接続することによって入力電圧が生成されるように指令される。この直流電圧は、第2のレッグ13bのブランチ12a、12b間に-Vdc/2電圧をもたらす。「チョップされた」直流電圧は、次に、モータ3に供給される交流電圧を生成するために、ブランチ12a、12bのそれぞれに構成されたサブモジュールSMによってMMC動作モードで変換される。
【0140】
そのために、第2の制御可能スイッチSW2と第4の制御可能スイッチSW4は導通状態(「オン」)に指令され、一方、第1のトランジスタ制御可能スイッチSW1と第3の制御可能スイッチSW3は非導通状態(「オフ」)に指令される。次に、第2のDC接続とAC接続との間の第1の導電経路が、第2の制御可能スイッチSW2と第1のブランチ12aとを介して形成される。第3のDC接続とAC接続との間の第2の導電経路は、第4の制御可能スイッチSW4と第2のブランチ12bとを介して形成される。
図17は、第1の導電経路および第2の導電経路をダッシュドットパターンを有する線(一点鎖線)として図示している。
【0141】
モータ3に供給される交流電圧に応じて、3つの制御方式のいずれかが適用されるようにモータエンドコンバータが指令される。
【0142】
図18および
図19に示される別の実施形態では、モータ側HMMC11は、モータ側から見てチェーンリンク(CL)に可変DC電圧を発生させるために、従来のMMCに加えて、起動時にDC/DC変換のための2レベル(2L)チョッパモードで動作することができる。チェーンリンク(CL)は、第2のストリング13bのブランチ(12a、12b)として理解される。これは、CLにおける直流電圧が可変であり、CLを流れる電流が一定であることと等価である。モータ側から見たチェーンリンク(CL)における直流電圧を変化させ、VCL/fの比を一定に保つことにより、サブモジュールコンデンサの電圧リップルは、起動時、および非起動時や定常動作を含む全動作範囲を通じて一定値に制御される。
【0143】
制御可能スイッチSW1、SW2、SW3、SW4によって2レベルDC/DC変換を行う可変DCリンク電圧を供給するために、代替制御方式が適用される。可変DCリンク電圧は、次にサブモジュールSMによってMMC動作モードで変換され、モータ3に供給される必要なAC電圧を生成する。
図18と
図19は、モータエンド(ME)HMMCがMMC+2LDC/DCチョッパモードで動作する場合に、2つの電圧レベルを達成するための異なる導電経路(different conducting paths)を示している。
【0144】
交流電圧を生成するのに必要な直流電圧がVdcに等しいとき、モータエンドコンバータ11は、第3のDC接続-Vdc/2電圧と第1のDC接続Vdc/2電圧を接続するように指令される。直流電圧は、CLブランチ12a、12bを横切るVdc電圧(Vdc voltage across the CL branches 12a, 12b)となる。
【0145】
そのために、第1の制御可能スイッチSW1と第4の制御可能スイッチSW4は導通状態(「オン」)に指令され、第2の制御可能スイッチSW2と第3の制御可能スイッチSW3は非導通状態(「オフ」)に指令される。そして、第1の制御可能スイッチSW1と第1のブランチ12aを介して第1の導電路が形成される。第2の導電路は、第4の制御可能スイッチSW4と第2のブランチ12bを介して形成される。
図18は、2つの導電路をダッシュドットパターンを有する線(一点鎖線)として図示している。
【0146】
交流電圧を生成するのに必要な直流電圧がV=0に等しいとき、モータエンドコンバータ11は、2つの異なる経路(two different paths)を介して第2のVmid接続を接続するように指令される。
【0147】
そのために、第1の制御可能スイッチSW1と第4の制御可能スイッチSW4は非導通状態(「オフ」)に指令され、第2の制御可能スイッチSW2と第3の制御可能スイッチSW3は導通状態(「オン」)に指令される。そして、第2の制御可能スイッチSW2と第1のブランチ12aを介して第1の導電路が形成される。第2の導電路は、第3の制御可能スイッチSW3と第2のブランチ12bを介して形成される。
図19は、第1の導電路と第2の導電路とをダッシュドットパターンを有する線(一点鎖線)として図示している。
【0148】
上記のようなAC-DC-ACコンバータは、特にドライブ用途において、モータ始動時の低周波数におけるMMCの大きな電圧リップルを克服する能力のおかげで有利である。モータの始動時に、低周波数で小さく一定のコンデンサ電圧リップルを提供することができる。
【0149】
また、体積と設置面積の両方がコンパクトで、重量が軽く、損失が少なく電力密度が高い(従来技術のものより効率が高い)という利点もある。
【0150】
HMMRがフロントエンドコンバータとして使用されるため、AC-DC-ACコンバータは、フロントエンドコンバータによって生成・維持される一定のDCリンク電圧と、MMCかつDC/DCチョッパモードで動作するモータエンドHMMCコンバータによって生成される可変チェーンリンクDC電圧も供給する。可変チェーンリンクDC電圧は、低周波数モータ始動時には一定のDC電流でモータ速度または周波数に比例する。
【符号の説明】
【0151】
1:AC-DC-ACコンバータ 2:AC電源 3:モータ 4:DCリンク 4a、4b:静電容量 5a:第1のコントローラ 5b:第2のコントローラ 10:フロントエンドコンバータ 11:モータエンドコンバータ 11a、11b、11c:レッグ 12a、12b:ブランチ 13a:第1のストリング 13b:第2のストリング 13c:第1のストリング 13d:第2のストリング 13e:第1のストリング 13f:第2のストリング D1,D2,D3,D4:ダイオード L1、L2:インダクタ SM:サブモジュール SW1、SW2、SW3、SW4、SW5、SW6:制御可能スイッチ
【外国語明細書】