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特開2024-137775電動補助車両のモータを駆動するための駆動装置及び駆動方法
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  • 特開-電動補助車両のモータを駆動するための駆動装置及び駆動方法 図1
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024137775
(43)【公開日】2024-10-07
(54)【発明の名称】電動補助車両のモータを駆動するための駆動装置及び駆動方法
(51)【国際特許分類】
   B60L 7/14 20060101AFI20240927BHJP
   B60L 50/60 20190101ALI20240927BHJP
   B60L 9/18 20060101ALI20240927BHJP
   H02M 7/48 20070101ALI20240927BHJP
   B62M 6/45 20100101ALN20240927BHJP
   A61H 3/04 20060101ALN20240927BHJP
【FI】
B60L7/14
B60L50/60
B60L9/18 Z
H02M7/48 E
B62M6/45
A61H3/04
【審査請求】有
【請求項の数】17
【出願形態】OL
【外国語出願】
(21)【出願番号】P 2024032586
(22)【出願日】2024-03-04
(31)【優先権主張番号】112110513
(32)【優先日】2023-03-21
(33)【優先権主張国・地域又は機関】TW
(71)【出願人】
【識別番号】522466326
【氏名又は名称】亞福儲能股▲分▼有限公司
【氏名又は名称原語表記】APh ePower Co., Ltd.
(74)【代理人】
【識別番号】100204490
【弁理士】
【氏名又は名称】三上 葉子
(72)【発明者】
【氏名】蘇 修賢
(72)【発明者】
【氏名】黄 冠傑
(72)【発明者】
【氏名】曾 ▲ユン▼棋
【テーマコード(参考)】
4C046
5H125
5H770
【Fターム(参考)】
4C046AA24
4C046AA42
4C046DD02
4C046DD45
5H125AA17
5H125AC12
5H125BA00
5H125BB00
5H125CA08
5H125CB02
5H125CD04
5H125DD12
5H125EE22
5H125EE41
5H125EE52
5H770BA01
5H770CA06
5H770DA03
5H770DA10
5H770DA41
5H770HA02W
(57)【要約】      (修正有)
【課題】電動補助車両の走行距離を増加できる駆動装置及び駆動方法を提供する。
【解決手段】駆動装置は、バッテリモジュールと、トランスデューサと、制御回路とを含む。加速指令を受け取ったとき、制御回路は第1のモードに進入するようトランスデューサを制御する。第1のモードにおいて、トランスデューサは駆動電力をモータへ提供する。制動指令を受け取ったとき、制御回路は第2のモードに進入するようトランスデューサを制御する。第2のモードにおいて、トランスデューサはモータによって生成された誘導電力をバッテリモジュールへ提供する。加速指令も制動指令も受け取っておらず且つ使用者が電動補助車輛に加速力を加えていないとき、制御回路は第3のモードに進入するようトランスデューサを制御する。第3のモードにおいて、トランスデューサは誘導電力をバッテリモジュールへ提供する。
【選択図】図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
電動補助車輛のモータを駆動するための駆動装置であって、
駆動電力を格納するよう構成されたバッテリモジュールと、
前記バッテリモジュールと前記モータとに結合されたトランスデューサと、
前記トランスデューサに結合され、
加速指令を受け取ったとき、第1のモードの進入するよう前記トランスデューサを制御することで、前記トランスデューサに前記第1のモードにおいて前記モータへ前記駆動電力を提供させることと、
制動指令を受け取ったとき、第2のモードに進入するよう前記トランスデューサを制御することで、前記トランスデューサに前記第2のモードにおいて前記モータによって生成された誘導電力を前記バッテリモジュールへ提供させることと、
前記加速指令と前記制動指令を受け取っておらず且つ使用者が前記電動補助車輛に加速力を加えていないとき、第3のモードに進入するよう前記トランスデューサを制御することで、前記トランスデューサに前記第3のモードにおいて前記モータによって生成された前記誘導電力を前記バッテリモジュールへ提供させることと
を実行するよう構成された制御回路と
を含む、
駆動装置。
【請求項2】
前記バッテリモジュールがアルミニウムイオン電池である、
請求項1に記載の駆動装置。
【請求項3】
前記モータは第1の相ノードと第2の相ノードを備え、
前記制御回路は、第1のスイッチ信号と、第2のスイッチ信号と、第3のスイッチ信号と、第4のスイッチ信号とを提供し、
前記トランスデューサは、第1の上アームパワースイッチと、第1の下アームパワースイッチと、第2の上アームパワースイッチと、第2の下アームパワースイッチと、第1のバイパスダイオードと、第2のバイパスダイオードと、第3のバイパスダイオードとを含み、
前記第1の上アームパワースイッチの第1端子は前記バッテリモジュールの正極に結合され、前記第1の上アームパワースイッチの第2端子は前記第1の相ノードに結合され、前記第1の上アームパワースイッチの制御端子は第1のスイッチ信号を受け取り、
前記第1の下アームパワースイッチの第1端子は前記第1の相ノードに結合され、前記第1の下アームパワースイッチの第2端子は前記バッテリモジュールの負極に結合され、前記第1の下アームパワースイッチの制御端子は前記第2のスイッチ信号を受け取り、
前記第2の上アームパワースイッチの第1端子は前記バッテリモジュールの前記正極に結合され、前記第2の上アームパワースイッチの第2端子は前記第2の相ノードに結合され、前記第2の上アームパワースイッチの制御端子は前記第3のスイッチ信号を受け取り、
前記第2の下アームパワースイッチの第1端子は前記第2の相ノードに結合され、前記第2の下アームパワースイッチの第2端子は前記バッテリモジュールの前記負極に結合され、前記第2の下アームパワースイッチの制御端子は前記第4のスイッチ信号を受け取り、
前記第1のバイパスダイオードのカソードは前記第1の上アームパワースイッチの前記第1端子に結合され、前記第1のバイパスダイオードのアノードは前記第1の上アームパワースイッチの前記第2端子に結合され、
前記第2のバイパスダイオードのカソードは前記第1の下アームパワースイッチの前記第1端子に結合され、前記第2のバイパスダイオードのアノードは前記第1の下アームパワースイッチの前記第2端子に結合され、
前記第3のバイパスダイオードのカソードは前記第2の下アームパワースイッチの前記第1端子に結合され、前記第3のバイパスダイオードのアノードは前記第2の下アームパワースイッチの前記第2端子に結合される、
請求項1に記載の駆動装置。
【請求項4】
前記第1のモードにおいて、
前記第1の上アームパワースイッチは前記第1のスイッチ信号のデューティサイクルに基づいてスイッチ動作を実行し、
前記第1の下アームパワースイッチは遮断に維持され、
前記第2の上アームパワースイッチは遮断に維持され、
前記第2の下アームパワースイッチは導通に維持される、
請求項3に記載の駆動装置。
【請求項5】
前記第1のモードにおいて、
前記第1の上アームパワースイッチが導通された期間中、前記第1の上アームパワースイッチ、前記第1の相ノードと前記第2の相ノードとの間の等価インダクタ、及び第2の下アームパワースイッチは、前記駆動電力を伝送するための第1の伝送経路を形成し、
前記第1の上アームパワースイッチが遮断された期間中、前記等価インダクタ、前記第2の下アームパワースイッチ、及び前記第2のバイパスダイオードは、前記等価インダクタが前記誘導電力を提供する第2の伝送経路を形成する、
請求項4に記載の駆動装置。
【請求項6】
前記第2のモードにおいて、
前記第1の上アームパワースイッチは遮断に維持され、
前記第1の下アームパワースイッチは前記第2のスイッチ信号のデューティサイクルに基づいてスイッチ動作を実行し、
前記第2の上アームパワースイッチは前記第3のスイッチ信号のデューティサイクルに基づいてスイッチ動作を実行し、前記第3のスイッチ信号は前記第2のスイッチ信号と同一であり、
前記第2の下アームパワースイッチは遮断される、
請求項3に記載の駆動装置。
【請求項7】
前記第2のモードにおいて、
前記第1の下アームパワースイッチと前記第2の上アームパワースイッチが導通された期間中、前記第2の上アームパワースイッチ、前記第1の相ノードと前記第2の相ノードとの間の等価インダクタ、及び第1の下アームパワースイッチは、前記等価インダクタの逆相励磁電力を伝送する第3の伝送経路を形成し、
前記第1の下アームパワースイッチと前記第2の上アームパワースイッチが遮断された期間中、前記等価インダクタ、前記第1のバイパスダイオード、及び前記第3のバイパスダイオードは、前記等価インダクタによって提供される誘導電力を伝送するための第4の伝送経路を形成する、
請求項6に記載の駆動装置。
【請求項8】
前記第3のモードにおいて、
前記第1の上アームパワースイッチは遮断に維持され、
前記第1の下アームパワースイッチは前記第2のスイッチ信号のデューティサイクルに基づいてスイッチ動作を実行し、
前記第2の上アームパワースイッチは遮断に維持され、
前記第2の下アームパワースイッチは遮断に維持される、
請求項3に記載の駆動装置。
【請求項9】
前記第3のモードにおいて、
前記第1の下アームパワースイッチが導通された期間中、前記第1の下アームパワースイッチ、前記第1の相ノードと前記第2の相ノードとの間の等価インダクタ、及び第3のバイパスダイオードは、前記等価インダクタによって提供される前記誘導電力を伝送するための第5の伝送経路を形成し、
前記第1の下アームパワースイッチが遮断された期間中、前記等価インダクタ、前記第1のバイパスダイオード、及び前記第3のバイパスダイオードは、前記等価インダクタによって提供される前記誘導電力を伝送するための第6の伝送経路を形成する、
請求項8に記載の駆動装置。
【請求項10】
前記制御回路は、前記バッテリモジュールによって提供されるフィードバック電流値を感知し、
前記フィードバック電流値が保護電流値以上であるとき、前記制御回路は動作停止するよう前記トランスデューサを制御し、
前記フィードバック電流値が前記保護電流値未満であるとき、前記制御回路は前記モータの相変化を判定する、
請求項1に記載の駆動装置。
【請求項11】
前記制御回路は、前記電動補助車輛の移動速度を感知し、
前記移動速度が設定速度以上であるとき、前記制御回路は前記第3のモードに進入するよう前記トランスデューサを制御する、
請求項1に記載の駆動装置。
【請求項12】
前記移動速度が前記設定速度未満であるとき、前記制御回路は前記使用者によって前記電動補助車輛に加えられたトルク値を検出し、
前記トルク値が設定トルク値以上であるとき、前記制御回路は前記第1のモードに進入するよう前記トランスデューサを制御し、
前記トルク値が前記設定トルク値未満であるとき、前記制御回路は前記第3のモードに進入するよう前記トランスデューサを制御する、
請求項11に記載の駆動装置。
【請求項13】
モータと、駆動電力を格納するバッテリモジュールと、トランスデューサとを含む電動補助車輛を駆動するめの駆動方法であって、
前記電動補助車輛をスタートさせることと、
受け取った指令を判定することと、
加速指令を受け取ったとき、第1のモードに進入するよう前記トランスデューサを制御することで、前記トランスデューサに前記第1のモードにおいて前記モータによって生成された駆動電力を提供させることと、
制動指令を受け取ったとき、第2のモードに進入するよう前記トランスデューサを制御することで、前記トランスデューサに前記第2のモードにおいて前記モータによって生成された誘導電力を前記バッテリモジュールへ提供させることと、
前記加速指令と前記制動指令を受け取っておらず且つ使用者が電動補助車両に加速力を加えていないとき、第3のモードに進入するよう前記トランスデューサを制御することで、前記トランスデューサに前記第3のモードにおいて前記モータによって生成された誘導電力を前記バッテリモジュールへ提供させることと
を含む、
駆動方法。
【請求項14】
前記バッテリモジュールがアルミニウムイオン電池である、
請求項13に記載の駆動方法。
【請求項15】
前記バッテリモジュールによって提供されるフィードバック電流値を感知することと、
前記フィードバック電流値が保護電流値以上であるとき、動作停止するよう前記トランスデューサを制動することと、
前記フィードバック電流値が前記保護電流値未満であるとき、前記モータの相変化を判定することと
を更に含む、
請求項13に記載の駆動方法。
【請求項16】
前記電動補助車輛の移動速度を感知することと、
前記移動速度が設定速度以上であるとき、前記第3のモードに進入するよう前記トランスデューサを制御することと
を更に含む、
請求項13に記載の駆動方法。
【請求項17】
前記移動速度が前記設定速度未満であるとき、前記使用者によって前記電動補助車輛に加えられたトルク値を検出することと、
前記トルク値が設定トルク値以上であるとき、前記第1のモードに進入するよう前記トランスデューサを制御することと、
前記トルク値が設定トルク値未満であるとき、前記第3のモードに進入するよう前記トランスデューサを制御することと
を更に含む、
請求項16に記載の駆動方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は駆動装置及び駆動方法に関するものであり、特に、電動補助車両のモータを駆動するための駆動装置及び駆動方法に関するものである。
【背景技術】
【0002】
現在の電動補助車両(電動歩行器、電動補助自転車など)は、制動段階の間にモータの電力を電源端子へ再充電する。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
しかし、上記動作は、制動段階中、及び、使用者が力(例えば、推力又は踏力)を施したときにのみ、電力を回復することができる。現在の電動補助車両は走行時に、制動段階中、及び、使用者が力を施す段階を除く他の段階中に、電力を回復することができない。このため、使用者が電動補助車両に加速力を加えないとき、電動補助車両の走行距離は限られてしまう。
【課題を解決するための手段】
【0004】
本発明は、電動補助車両の走行距離を増加させることのできる、電動補助車両のモータを駆動するための駆動装置及び駆動方法を提供する。
【0005】
本発明の駆動装置は、電動補助車両のモータを駆動するために用いられる。駆動装置は、バッテリモジュールと、トランスデューサと、制御回路とを含む。バッテリモジュールは駆動電力を格納する。トランスデューサはバッテリモジュールとモータとに結合される。制御回路はトランスデューサに結合される。加速指令を受け取ったとき、制御回路は第1のモードに進入するようトランスデューサを制御することで、トランスデューサに第1のモードにおいてモータへ駆動電力を提供させる。制動指令を受け取ったとき、制御回路は第2のモードに進入するようトランスデューサを制御することで、トランスデューサに第2のモードにおいてモータによって生成された誘導電力をバッテリモジュールへ提供させる。加速指令も制動指令も受け取っておらず且つ使用者が電動補助車両に加速力を加えていないとき、制御回路は第3のモードに進入するようトランスデューサを制御することで、トランスデューサに第3のモードにおいてモータによって生成された誘導電力をバッテリモジュールへ提供させる。
【0006】
本発明の駆動方法は、電動補助車両を駆動するために用いられる。電動補助車両は、モータと、バッテリモジュールと、トランスデューサとを含む。バッテリモジュールは駆動電力を格納する。駆動方法は、電動補助車両をスタートさせることと、受け取った指令を判定することと、加速指令を受け取ったとき、第1のモードに進入するようトランスデューサを制御することで、トランスデューサに第1のモードにおいて駆動電力をモータへ提供させることと、制動指令を受け取ったとき、第2のモードに進入するようトランスデューサを制御することで、トランスデューサに第2のモードにおいてモータによって生成された誘導電力をバッテリモジュールへ提供させることと、加速指令も制動指令も受け取っておらず且つ使用者が電動補助車両に加速力を加えていないとき、第3のモードに進入するようトランスデューサを制御することで、トランスデューサに第3のモードにおいてモータによって生成された誘導電力をバッテリモジュールへ提供させることとを含む。
【発明の効果】
【0007】
上記に基づき、制動指令を受け取ったとき、トランスデューサは第2のモードにおいて、モータによって生成された誘導電力をバッテリモジュールへ提供し、これによりバッテリモジュールを充電する。加速指令も制動指令も受け取っていないとき、トランスデューサは第3のモードにおいて、モータによって生成された誘導電力をバッテリモジュールへ提供し、これによりバッテリモジュールを充電する。換言すれば、バッテリモジュールを第2のモードと第3のモードの両方において充電することができる。このようにして、電動補助車両の走行距離を増加させることができる。
【0008】
本発明の上述した特徴及び利点をより理解しやすくするため、図面と併せて実施形態を以下に詳細に説明する。
【図面の簡単な説明】
【0009】
図1】本発明の第1の実施形態による電動補助車両のブロック図である。
図2】本発明の1つの実施形態による駆動方法のフロー図である。
図3】本発明の1つの実施形態による駆動装置とモータの等価回路図である。
図4】本発明の1つの実施形態による第1のモードの動作の概略図である。
図5】本発明の1つの実施形態による第2のモードの動作の概略図である。
図6】本発明の1つの実施形態による第3のモードの動作の概略図である。
図7】本発明の第2の実施形態による電動補助車両のブロック図である。
図8A図7に示した駆動方法のフロー図である。
図8B図7に示した駆動方法のフロー図である。
【発明を実施するための形態】
【0010】
以下に、本発明の実施形態の一部を図面を参照して詳細に説明する。以下では、異なる図における同一の符号は同一の要素を表すと見なされるべきである。実施形態は本発明の一部にすぎず、本発明の全ての潜在的な実施の様態を開示するものではない。実施形態は本発明の範囲内の単なる実施例にすぎない。
【0011】
図1を参照し、図1は本発明の第1の実施形態による電動補助車両のブロック図である。電動補助車両10は、例えば、電動歩行器、電動補助自転車といった車両であってよい。本実施形態において、電動補助車両10は、駆動装置100とモータMTRとを含む。駆動装置100はモータMTRを駆動するために用いられる。本実施形態のモータMTRは、例えば、ブラシレスDC(BLDC)モータであってよいが、本発明は本実施形態のモータを限定しない。モータMTRは電動補助車両10のタイヤを駆動してよい。このため、電動補助車両10はモータMTRの回転に基づいて走行することができる。
【0012】
本実施形態において、駆動装置100は、バッテリモジュール110と、トランスデューサ120と、制御回路130とを含む。バッテリモジュール110は駆動電力PDRを格納する。本実施形態において、バッテリモジュール110はアルミニウムイオン電池である。アルミニウムイオン電池は高い充放電率(Cレート)を有する。このため、バッテリモジュール110は急速充電の利点を達成することができる。
【0013】
トランスデューサ120は、バッテリモジュール110とモータMTRとに結合される。制御回路130は、受け取った指令に基づいてトランスデューサ120を制御する。本実施形態において、加速指令IT1を受け取ったとき、制御回路130は第1のモードに進入するようトランスデューサ120を制御する。第1のモードにおいて、トランスデューサ120は駆動電力PDRをモータMTRへ提供する。このため、電動補助車両10の移動速度を増加させることができる。
【0014】
制動指令IT2を受け取ったとき、制御回路130は第2のモードに進入するようトランスデューサ120を制御する。第2のモードにおいて、トランスデューサ120はモータMTRの回転速度を低下させる。トランスデューサ120は、モータMTRによって生成された誘導電力PSEをバッテリモジュール110へ提供する。本実施形態において、加速指令IT1と制動指令IT2は電動補助車両10の使用者の操作によって提供されてよい。
【0015】
また、加速指令IT1も制動指令IT2も受け取っておらず且つ使用者が電動補助車両10に加速力を加えていないとき、電動補助車両10は自然に減速する。制御回路130は、第3のモードに進入するようトランスデューサ120を制御する。第3のモードにおいて、トランスデューサ120はモータMTRによって生成された誘導電力PSEをバッテリモジュール110へ提供する。
【0016】
ここで言及すべき点として、制動指令IT2を受け取ったとき、トランスデューサ120は第2のモードにおいてモータMTRによって生成された誘導電力PSEをバッテリモジュール110へ提供し、これによりバッテリモジュール110を充電する。加速指令IT1も制動指令IT2も受け取っておらず且つ使用者が電動補助車両10に加速力を加えていないとき、トランスデューサ120は第3のモードにおいてモータMTRによって生成された誘導電力PSEをバッテリモジュール110へ提供し、これによりバッテリモジュール110を充電する。換言すれば、電動補助車両10が自然に減速しているか制動しているときでもバッテリモジュール110を充電することができ、バッテリモジュール110の充電時間が増加する。このようにして、電動補助車両10の走行距離を増加させることができる。
【0017】
本実施形態において、制御回路130は、例えば、中央処理装置(CPU)、又は他のプログラム可能な汎用又は特殊用途向けマイクロプロセッサ、デジタルシグナルプロセッサ(digital signal processor、DSP)、プログラマブルコントローラ、特定用途向け集積回路(application-specific integrated circuit、ASIC)、プログラマブルロジックデバイス(programmable logic device、PLD)、又は他の類似のデバイス、又はコンピュータプログラムをロードして実行することのできるデバイスの組合せである。
【0018】
図1図2を同時に参照されたい。図2は、本発明の1つの実施形態による駆動方法のフロー図である。駆動方法S100は電動補助車両10に適合される。本実施形態において、駆動方法S100はステップS110~S150を含む。ステップS110にて、電動補助車両10をスタートさせる。ステップS120にて、制御回路130は受け取った指令を判定する。ステップS120にて加速指令IT1を受け取った場合、制御回路130は、ステップS130にて、第1のモードに進入するようトランスデューサ120を制御する。このため、トランスデューサ120は駆動電力PDRをモータMTRへ提供する。
【0019】
ステップS120にて制動指令IT2を受け取ったとき、制御回路130は、ステップS140において、第2のモードに進入するようトランスデューサ120を制御する。このため、トランスデューサ120はモータMTRによって生成された誘導電力PSEをバッテリモジュール110へ提供する。ステップS120にて加速指令IT1も制動指令IT2も受け取っておらず且つ使用者が電動補助車両10に加速力を加えていないとき、制御回路130は、ステップS150において、第3のモードに進入するようトランスデューサ120を制御する。このため、トランスデューサ120はモータMTRによって生成された誘導電力PSEをバッテリモジュール110へ提供する。
【0020】
図3を参照し、図3は本発明の1つの実施形態による駆動装置とモータの等価回路図である。本実施形態において、図3はモータMTRの等価回路を示す。モータMTRは等価インダクタL1~L3を含む。等価インダクタL1~L3はそれぞれモータMTRの三相コイルの等価素子のうちの1つに対応する。モータMTRは相ノードNDA~NDCを有する。等価インダクタL1は誘導電力EAを有する。等価インダクタL2は誘導電力EBを有する。等価インダクタL3は誘導電力ECを有する。
【0021】
本実施形態において、制御回路130はトランスデューサ120を制御するためのスイッチ信号SSW1~SSW6を提供する。トランスデューサ120は、キャパシタC1と、上アームパワースイッチSWU1~SWU3と、下アームパワースイッチSWD1~SWD3と、バイパスダイオードD1~D6とを含む。上アームパワースイッチSWU1の第1端子はバッテリモジュール110の正極に結合される。上アームパワースイッチSWU1の第2端子は相ノードNDAに結合される。上アームパワースイッチSWU1の制御端子はスイッチ信号SSW1を受け取る。下アームパワースイッチSWD1の第1端子は相ノードNDAに結合される。下アームパワースイッチSWD1の第2端子はバッテリモジュール110の負極に結合される。下アームパワースイッチSWD1の制御端子はスイッチ信号SSW2を受け取る。
【0022】
上アームパワースイッチSWU2の第1端子はバッテリモジュール110の正極に結合される。上アームパワースイッチSWU2の第2端子は相ノードNDBに結合される。上アームパワースイッチSWU2の制御端子はスイッチ信号SSW3を受け取る。下アームパワースイッチSWD2の第1端子は相ノードNDBに結合される。下アームパワースイッチSWD2の第2端子はバッテリモジュール110の負極に結合される。下アームパワースイッチSWD2の制御端子はスイッチ信号SSW4を受け取る。
【0023】
上アームパワースイッチSWU3の第1端子はバッテリモジュール110の正極に結合される。上アームパワースイッチSWU3の第2端子は相ノードNDCに結合される。上アームパワースイッチSWU3の制御端子はスイッチ信号SSW5を受け取る。下アームパワースイッチSWD3の第1端子は相ノードNDCに結合される。下アームパワースイッチSWD3の第2端子はバッテリモジュール110の負極に結合される。下アームパワースイッチSWD3の制御端子はスイッチ信号SSW6を受け取る。
【0024】
バイパスダイオードD1のカソードは上アームパワースイッチSWU1の第1端子に結合される。バイパスダイオードD1のアノードは上アームパワースイッチSWU1の第2端子に結合される。バイパスダイオードD2のカソードは下アームパワースイッチSWD1の第1端子に結合される。バイパスダイオードD2のアノードは下アームパワースイッチSWD1の第2端子に結合される。バイパスダイオードD3のカソードは上アームパワースイッチSWU2の第1端子に結合される。バイパスダイオードD3のアノードは上アームパワースイッチSWU2の第2端子に結合される。バイパスダイオードD4のカソードは下アームパワースイッチSWD2の第1端子に結合される。バイパスダイオードD4のアノードは下アームパワースイッチSWD2の第2端子に結合される。バイパスダイオードD5のカソードは上アームパワースイッチSWU3の第1端子に結合される。バイパスダイオードD5のアノードは上アームパワースイッチSWU3の第2端子に結合される。バイパスダイオードD6のカソードは下アームパワースイッチSWD3の第1端子に結合される。バイパスダイオードD6のアノードは下アームパワースイッチSWD3の第2端子に結合される。
【0025】
本実施形態において、上アームパワースイッチSWU1~SWU3と下アームパワースイッチSWD1~SWD3は、それぞれN型電界効果トランジスタ(field-effect transistor、FET)によって実施される。上アームパワースイッチSWU1~SWU3と下アームパワースイッチSWD1~SWD3は、それぞれN型MOSFETによって実施される。バイパスダイオードD1~D6は、それぞれ上アームパワースイッチSWU1~SWU3と下アームパワースイッチSWD1~SWD3に設けられてよい。いくつかの実施形態において、上アームパワースイッチSWU1~SWU3と下アームパワースイッチSWD1~SWD3は、それぞれNPNバイポーラトランジスタ(bipolar transistor、BJT)によって実施される。
【0026】
異なるモードにおけるトランスデューサ120の実施の詳細を実施例で以下に説明する。
【0027】
図3図4を同時に参照されたい。図4は、本発明の1つの実施形態による第1のモードの動作の概略図である。図4は、相ノードNDAとNDBに関連付く第1のモードの動作の概略図を示す。本実施形態において、相ノードNDAとNDBとの間の等価インダクタL12が存在する。等価インダクタL12は誘導電力EABを有する。等価インダクタL12は、図3の等価インダクタL1とL2の直列等価インダクタであってよい。
【0028】
第1のモードにおいて、上アームパワースイッチSWU1はスイッチ信号SSW1のデューティサイクルに基づいてスイッチ動作を行う。上アームパワースイッチSWU2と下アームパワースイッチSWD1は遮断に維持される。下アームパワースイッチSWD2は導通に維持される。例えば、下アームパワースイッチSWD1はスイッチ信号SSW2の低電圧レベルに基づいて遮断に維持される。上アームパワースイッチSWU2は、スイッチ信号SSW3の低電圧レベルに基づいて遮断に維持される。下アームパワースイッチSWD2はスイッチ信号SSW4の高電圧レベルに基づいて導通に維持される(「ON」と標記)。
【0029】
上アームパワースイッチSWU1が導通された(「ON」と標記)期間TP1中、上アームパワースイッチSWU1、等価インダクタL12、及び下アームパワースイッチSWD2は駆動電力PDRを伝送するための伝送経路P1を形成する。伝送経路P1は励磁回路である。このため、期間TP1中、励磁電流IMが徐々に増加する。等価インダクタL12を流れる電流IABの電流値も徐々に増加する。
【0030】
上アームパワースイッチSWU1が遮断された(「OFF」と標記)期間TP2中、等価インダクタL12、下アームパワースイッチSWD2、及びバイパスダイオードD2は、等価インダクタL12によって提供される誘導電力EABを伝送するための伝送経路P2を形成する。励磁電流IMは生成されない。このため、等価インダクタL12を流れる期間TP2中、電流IABの電流値は増加しない。このため、スイッチ信号SSW1のデューティサイクルが大きいほど、等価インダクタL12を流れる電流値は増加する。第1のモードにおいて、スイッチ信号SSW1のデューティサイクルはモータMTRの出力サイズを決定できることが分かる。
【0031】
本実施形態において、スイッチ信号SSW1は第1のモードにおいてパルス幅変調(PWM)信号であってよい。スイッチ信号SSW1のパルス幅が広いほど、モータMTRの出力は大きくなる。スイッチ信号SSW1のパルス幅が狭いほど、モータMTRの出力は少なくなる。
【0032】
図3図5を同時に参照されたい。図5は、本発明の1つの実施形態による第2のモードの動作の概略図である。図5は、相ノードNDAとNDBに関連付く第2のモードの動作の概略図を示す。第2のモードにおいて、上アームパワースイッチSWU1は遮断に維持される。下アームパワースイッチSWD1は、スイッチ信号SSW2のデューティサイクルに基づいてスイッチ動作を行う。上アームパワースイッチSWU2はスイッチ信号SSW3のデューティサイクルに基づいてスイッチ動作を行う。下アームパワースイッチSWD2は遮断に維持される。スイッチ信号SSW3はスイッチ信号SSW2と同一である。スイッチ信号SSW2とSSW3は第2のモードにおいてそれぞれPWM信号であってよい。
【0033】
下アームパワースイッチSWD1と上アームパワースイッチSWU2が導通された(「ON」と標記)期間TP3中、上アームパワースイッチSWU2、等価インダクタL12、及び下アームパワースイッチSWD1は、等価インダクタL12の逆相励磁電力を伝送する伝送経路P3を形成する。励磁電力IMの電流値は徐々に増加する。等価インダクタL12を流れる電流IABの電流値は徐々に増加する。なお、等価インダクタL12に位置する伝送経路P3の方向は、等価インダクタL12に位置する伝送経路P1(図4を参照)の方向とは逆である。換言すれば、第2のモードにおいて等価インダクタL12を流れる電流IABは、第1のモードにおいて等価インダクタL12を流れる電流IABとは逆である。このため、逆相励磁電力(例えば、誘導電力EAB)は第1のモードにおいてモータMTRによって生成される運動エネルギーに抵抗する。このため、第2のモードにおいて、期間TP3中、下アームパワースイッチSWD1と上アームパワースイッチSWU2は導通され、電動補助車両10は制動を行う。
【0034】
下アームパワースイッチSWD1と上アームパワースイッチSWU2は遮断された「OFF」と標記)期間TP4中、等価インダクタL12とバイパスダイオードD1とD3は、等価インダクタL12によって提供される誘導電力EABを伝送するための伝送経路P4を形成する。伝送経路P4の励磁電力IMの方向は、伝送経路P3の励磁電力IMの方向とは逆である。加えて、励磁電力IMの電流値は0へと徐々に減少する。なお、誘導電力EABは伝送経路P4を介してバッテリモジュール110へと流れ戻る。このため、期間TP4中、バッテリモジュール110は充電される。
【0035】
加えて、期間TP4中、等価インダクタL12を流れる電流IABの電流値は0へと徐々に減少する。期間TP3中に電流IABの電流値と時間tによって形成される面積は、第2のモードにおいて消費される電力に関係する。期間TP4中に電流IABの電流値と時間tによって形成される面積は、第2のモードにおいて回復される電力に関係する。期間TP4中に電流IABの電流値と時間によって形成される面積は、期間TP3中に電流IABの電流値と時間によって形成される面積以上である。このため、第2のモードにおいて回復される電力は第2のモードにおいて消費される電力以上である。換言すれば、第2のモードにおいて、バッテリモジュール110は実際には駆動電力PDRを消費しない。
【0036】
図3図6を同時に参照されたい。図6は、本発明の1つの実施形態による第3のモードの動作の概略図である。図6は、相ノードNDAとNDBに関連付く第3のモードの動作の概略図を示す。第3のモードにおいて、上アームパワースイッチSWU1とSWU2と下アームパワースイッチSWD2は遮断に維持される。下アームパワースイッチSWD1は、第2のスイッチ信号SSW2のデューティサイクルに基づいてスイッチ動作を行う。
【0037】
下アームパワースイッチSWD1が導通された(「ON」と標記)期間TP5中、下アームパワースイッチSWD1、等価インダクタL12、及びバイパスダイオードD4は、等価インダクタL12によって提供される誘導電力EABを伝送するための伝送経路P5を形成する。下アームパワースイッチSWD1が遮断された(「OFF」と標記)期間TP6中、等価インダクタL12とバイパスダイオードD1とD4は、誘導電力EABを伝送するための伝送経路P6を形成する。伝送経路P6は伝送経路P4と同一である。このため、期間TP6中、バッテリモジュール110は充電される。
【0038】
トランスデューサ120が第3のモードに進入した期間(即ち、期間TP5とTP6)中、電動補助車両10は使用者に加速力を加えることを可能とする。このため、誘導電力EABを増加させることができる。誘導電力EABが増加するにつれ、等価インダクタL12を流れる電流IABの電流値も増加する。このため、期間TP6中、電動補助車両10は加速力を取得し、トランスデューサ120は十分な誘導電力EABでバッテリモジュール110を充電する。
【0039】
図3図7図8A図8Bを同時に参照されたい。図7は、本発明の第2の実施形態による電動補助車両のブロック図である。図8A図8Bは、図7に示した駆動方法のフロー図である。本実施形態において、電動補助車両20は駆動装置200とモータMTRとを含む。駆動装置200はモータMTRを駆動するために用いられる。
【0040】
本実施形態において、駆動装置200は、バッテリモジュール110と、トランスデューサ120と、制御回路230とを含む。バッテリモジュール110は駆動電力PDRを格納する。本実施形態において、バッテリモジュール110はアルミニウムイオン電池である。このため、バッテリモジュール110は急速充電の利点を達成する。トランスデューサ120は、バッテリモジュール110とモータMTRとに結合される。制御回路230はトランスデューサ120に結合される。制御回路230は、受け取った指令、又は、電動補助車両20の現在の使用状態に基づいて、トランスデューサ120を制御する。トランスデューサ120の回路は図3に示されており、よってここでは繰り返し説明しない。
【0041】
本実施形態において、駆動方法S200は電動補助車両20に適合される。本実施形態において、駆動方法S200はステップS201~S217を含む。ステップS201にて、電動補助車両20をスタートさせる。ステップS202にて、制御回路230はバッテリモジュール110によって提供されたフィードバック電流値IBを感知する。本実施形態において、フィードバック電流値IBはバッテリモジュール110によって提供される駆動電力PDRの電流値に関係する。ステップS203にて、制御回路230は、フィードバック電流値IBが待機値と等しいか否かを判定する。フィードバック電流値IBが待機値と等しい場合、電動補助車両20は待機状態にあり、走行をまだ開始していない。このため、制御回路230はステップS202の動作に戻る。
【0042】
ステップS203にて、フィードバック電流値IBが待機値と等しくない場合、制御回路230は、ステップS204にて、フィードバック電流値IBが保護電流値IS以上であるか否かを判定する。フィードバック電流値IBが保護電流値IS以上である場合、駆動装置200に異常が発生した可能性がある。このため、ステップS205にて、制御回路230は動作停止するようトランスデューサ120を制御する。ステップS205にて、制御回路230は上アームパワースイッチSWU1~SWU3及び下アームパワースイッチSWD1~SWD3を遮断する。
【0043】
更に、ステップS204にて、フィードバック電流値IBが保護電流値IS未満である場合、駆動装置200は通常に動作している。このため、ステップS206にて、制御回路230はモータMTRの相変化を判定する。ステップS206にて、電動補助車両20はモータMTRの相変化PHを感知してよい。
【0044】
例えば、電動補助車両20はホールセンサ(未図示)を含む。ホールセンサはモータMTRの相変化PHを感知する。ホールセンサがモータMTRの相変化を感知しない場合、電動補助車両20はモータMTRの検相を行う。電動補助車両20は、例えば6ステップ方形波を用いてモータMTRの検相を行う。
【0045】
ステップS207にて、制御回路230は相変化PHに基づいて電動補助車両20の移動速度SPを取得する。例えば、使用者は電動補助車両20の設定ギヤを決定してよい。設定ギヤが高いほど、電動補助車両20の提供するアシスト力は大きくなる。設定ギヤが低いほど、電動補助車両20の提供するアシスト力は小さくなる。最低ギヤにおいて、電動補助車両20はアシスト力を提供しない。
【0046】
ステップS209にて、制御回路230は、制動指令IT2を受け取ったか否かを判定する。制動指令IT2を受け取った場合、ステップS210にて、制動回路230は第2のモードに進入するようトランスデューサ120を制御する。第2のモードにおけるトランスデューサ120と制御回路230との連携の実施は図1図5の実施形態において明確に説明されており、よってここでは繰り返し説明しない。
【0047】
ステップS211にて、制御回路230はフィードバック電流値IBに応じてスイッチ信号SSW1~SSW6のデューティサイクルを調整する。相ノードNDAとNDBを例とし、第2のモードにおいて、フィードバック電流値IBが第2のモードの定格値未満である場合、制御回路230はスイッチ信号SSW1とSSW3のデューティサイクルを増加させる。また、フィードバック電流値IBが第2のモードの定格値よりも大きい場合、制御回路230はスイッチ信号SSW2とSSW3のデューティサイクルを減少させる。ステップS211の後、制御回路230はステップS202の動作に戻る。
【0048】
ステップS209に戻り、制動指令IT2を受け取っていない場合、ステップ212にて、制御回路230は現在の設定ギヤが最低ギヤであるか否かを判定する。設定ギヤが最低ギヤである場合、電動補助車両20はアシスト力を提供しない。このため、電動補助車両20は自然に減速してバッテリモジュール110を充電する。ステップ213にて、制御回路230は第3のモードに進入するようトランスデューサ120を制御する。このため、電動補助車両20はアシスト力を提供することなく自然に減速し、バッテリモジュール110を充電する。第3のモードにおけるトランスデューサ120と制御回路230との連携の実施は図1図6の実施形態において明確に説明されており、よってここでは繰り返し説明しない。
【0049】
次に、ステップS211にて、制御回路230はフィードバック電流値IBに応じてスイッチ信号SSW1~SSW6のデューティサイクルを調整する。相ノードNDAとNDBを例とし、第2のモードにおいて、フィードバック電流値IBが第3のモードの定格値未満である場合、制御回路230はスイッチ信号SSW2のデューティサイクルを増加させる。また、フィードバック電流値IBが第3のモードの定格値よりも大きい場合、制御回路230はスイッチ信号SSW2のデューティサイクルを減少させる。ステップS211の後、制御回路230はステップS202の動作に戻る。
【0050】
ステップS212に戻り、設定ギヤが最低でない場合、ステップS214にて、制御回路230は電動補助車両20の移動速度SPが設定速度SS未満であるか否かを判定する。設定速度SSは、例えば電動補助車両20の最高標準速度である(例えば時速25キロメートルであるが、本発明はこれに限定されない)。移動速度SPが設定速度SS以下である場合、移動速度SPは最大仕様速度よりも高い。ステップS213にて、制御回路230は第3のモードに進入するようトランスデューサ120を制御する。このため、電動補助車両20はアシスト力を提供することなく自然に減速し、バッテリモジュール110を充電する。制御回路230は第3のモードにおいてステップS211の動作を実行する。ステップS211の後、制御回路230はステップS202の動作に戻る。
【0051】
移動速度SPが設定速度SS未満である場合、ステップS215にて、制御回路230は使用者によって電動補助車両20に加えられたトルク値TQを検出する。例えば、電動補助車両20は電動補助自転車である。ステップS215にて、制御回路230は使用者によって電動補助車両20のクランクに加えられたトルク値TQを検出する。ステップS216にて、制御回路230は、トルク値TQが設定トルク値TS未満であるか否かを判定する。トルク値TQが設定トルク値TS未満である場合、使用者は減速することを必要としている。このため、電動補助車両20はアシスト力を提供することなく自然に減速し、バッテリモジュール110を充電する。制御回路230は、第3のモードにおいてステップS211の動作を実行する。
【0052】
更に、トルク値TQが設定トルク値TS以上である場合、使用者は加速することを必要としている。このため、使用者の負担を軽減するため、ステップS217において、制御回路230は第1のモードに進入するようトランスデューサ120を制御する。制御回路230は、第1のモードにおいてステップS211の動作を実行する。相ノードNDAとNDBを例とし、第1のモードにおいて、フィードバック電流値IBが第1のモードの定格値未満である場合、制御回路230はスイッチ信号SSW2のデューティサイクルを増加させる。更に、フィードバック電流値IBが第1のモードの定格値よりも大きい場合、制御回路230はスイッチ信号SSW2のデューティサイクルを減少させる。ステップS211の後、制御回路230はステップS202の動作に戻る。
【0053】
なお、制御回路230は、設定ギヤ、移動速度SP、及びトルク値TQのうちの少なくとも1つ(例えば、ステップS212、S214、及びS216のうちの少なくとも1つ)に基づいて、第3のモードに進入するようトランスデューサ120を能動的に制御する。このため、トランスデューサ120がモータMTRによって生成された誘導電力PSEをバッテリモジュール110へ提供する機会が大幅に増加する。
【0054】
いくつかの実施形態において、電動補助車両20は設定ギヤの制御方法を有さなくてよく、ステップS208とS212は省略されてよい。いくつかの実施形態において、電動補助車両20が電動補助自転車以外の車両である場合、ステップS215とS216は省略されてよい。
【0055】
上記に基づき、制動指令を受け取ったとき、トランスデューサは第2のモードにおいて、モータによって生成された誘導電力をバッテリモジュールへ提供し、これによりバッテリモジュールを充電する。加速指令も制動指令も受け取っていないとき、トランスデューサは第3のモードにおいて、モータによって生成された誘導電力をバッテリモジュールへ提供し、これによりバッテリモジュールを充電する。換言すれば、第2のモードと第3のモードの両方においてバッテリモジュールを充電することができる。このようにして、電動補助車両の走行距離を増加させることができる。加えて、バッテリモジュールはアルミニウムイオン電池である。アルミニウムイオン電池は高い充放電率を有する。このため、バッテリモジュールは急速充電の利点を達成することができる。
【0056】
本発明を上記実施形態を参照して説明したが、当業者にとって、本発明の精神から逸脱することなく、説明した実施形態に改変を加えることができることは明らかであろう。従って、本発明の範囲は上記の詳細な説明ではなく添付の特許請求の範囲によって定義される。
【産業上の利用可能性】
【0057】
本発明の駆動装置及び駆動方法は、電動補助車両のモータを駆動するのに好適である。
【符号の説明】
【0058】
10、20:電動補助車輛
100、200:駆動同地
110:バッテリモジュール
120:トランスデューサ
130:制御回路
230:制御回路
C1:キャパシタ
D1~D6:バイパスダイオード
EA、EB、EC、EAB、PSE:誘導電力
IAB:電流
IB:フィードバック電流値
IM:励磁電流
IT1:加速指令
IT2:制動指令
L1~L3、L12:等価インダクタ
MTR:モータ
NDA~NDC:相ノード
P1、P2、P3、P4、P5、P6:伝送経路
PDR:駆動電力
PH:相変化
S100、S200:駆動方法
SP:移動速度
SS:設定速度
SSW1~SSW6:スイッチ信号
SWD1~SWD3:下アームパワースイッチ
SWU1~SWU3:上アームパワースイッチ
t:時間
TP1、TP2、TP3、TP4、TP5、TP6:期間
TQ:トルク値
TS:設定トルク値
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8A
図8B
【外国語明細書】