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特開2024-137782太陽光発電・蓄電システム及び発電方法
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024137782
(43)【公開日】2024-10-07
(54)【発明の名称】太陽光発電・蓄電システム及び発電方法
(51)【国際特許分類】
   H02S 10/20 20140101AFI20240927BHJP
【FI】
H02S10/20
【審査請求】未請求
【請求項の数】12
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2024036316
(22)【出願日】2024-03-08
(31)【優先権主張番号】P 2023047197
(32)【優先日】2023-03-23
(33)【優先権主張国・地域又は機関】JP
(71)【出願人】
【識別番号】322013937
【氏名又は名称】エナジーウィズ株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110001519
【氏名又は名称】弁理士法人太陽国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】宮本 佳樹
(72)【発明者】
【氏名】伊東 純也
(72)【発明者】
【氏名】酒井 啓行
【テーマコード(参考)】
5F251
【Fターム(参考)】
5F251JA13
5F251JA14
5F251JA28
(57)【要約】
【課題】本開示は、太陽電池の下方のスペースを有効活用すると共に太陽光発電システムの蓄電池の寿命を延ばすことが可能な太陽光発電・蓄電システム及び発電方法の提供を目的とする。
【解決手段】太陽光発電・蓄電システム10複数の太陽電池モジュール24がフレーム22により一体化され、架台26に設置された太陽電池アレイ20と、鉛直方向上方から見て太陽電池アレイ20と重なる領域に配置された蓄電池収容箱40と、蓄電池収容箱40に収容され、太陽電池アレイ20から出力される電力を蓄える蓄電池50と、を備える。
【選択図】図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
複数の太陽電池モジュールがフレームにより一体化され、架台に設置された太陽電池アレイと、鉛直方向上方から見て前記太陽電池アレイと重なる領域に配置された蓄電池収容箱と、前記蓄電池収容箱に収容され、前記太陽電池アレイから出力される電力を蓄える蓄電池と、
を備える、太陽光発電・蓄電システム。
【請求項2】
前記太陽電池アレイは、一方の縁が他方の縁よりも鉛直方向上方となるように傾斜して配置され、
前記蓄電池収容箱は、前記太陽電池アレイにおける前記一方の縁側に点検口を有している、
請求項1に記載の、太陽光発電・蓄電システム。
【請求項3】
前記蓄電池は、鉛蓄電池である、
請求項1に記載の、太陽光発電・蓄電システム。
【請求項4】
前記太陽電池アレイと前記蓄電池収容箱とを連結する連結部材をさらに備える、請求項1に記載の、太陽光発電・蓄電システム。
【請求項5】
前記太陽電池アレイと、前記蓄電池収容箱との最近接距離は、100mm以上5000mm以下とされている、請求項1に記載の、太陽光発電・蓄電システム。
【請求項6】
前記蓄電池は、1枚の太陽電池モジュールあたり0.05kWh以上の容量を有する、
請求項1に記載の、太陽光発電・蓄電システム。
【請求項7】
前記蓄電池収容箱は、鋼板製である、
請求項1に記載の、太陽光発電・蓄電システム。
【請求項8】
前記蓄電池収容箱の収容容積に対する前記蓄電池の体積の割合は、30%以上95%以下である、
請求項1に記載の、太陽光発電・蓄電システム。
【請求項9】
前記蓄電池収容箱は、接合対象と接合される接合部を箱体の外側に有する、
請求項1から請求項8のいずれか一項に記載の、太陽光発電・蓄電システム。
【請求項10】
前記接合部は、前記箱体を鉛直方向下方の固定対象に固定する据付部を含む、
請求項9に記載の、太陽光発電・蓄電システム。
【請求項11】
前記接合部は、前記箱体の側面上側に鉛直方向から見て前記据付部と重なる腕木部を有する、
請求項10に記載の、太陽光発電・蓄電システム。
【請求項12】
複数の太陽電池モジュールがフレームにより一体化され架台に設置された太陽電池アレイによる発電方法であって、鉛直方向上方から見て前記太陽電池アレイと重なる領域に蓄電池収容箱を配置し、
前記太陽電池アレイから出力される電力を蓄える蓄電池を前記蓄電池収容箱に収容した状態で発電する、発電方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、太陽光発電・蓄電システム及び発電方法に関する。
【背景技術】
【0002】
例えば特許文献1には傾斜させて設置した太陽電池モジュールを有し、太陽電池モジュールの下に植物栽培装置を設置する太陽光発電システムが開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2013-214644号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
本開示は、太陽電池アレイの下方のスペースを有効活用すると共に太陽光発電システムの蓄電池の寿命を延ばすことが可能な太陽光発電・蓄電システム及び発電方法の提供を目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0005】
第一態様の太陽光発電・蓄電システムは、複数の太陽電池モジュールがフレームにより一体化され、架台に設置された太陽電池アレイと、鉛直方向上方から見て前記太陽電池アレイと重なる領域に配置された蓄電池収容箱と、前記蓄電池収容箱に収容され、前記太陽電池アレイから出力される電力を蓄える蓄電池と、を備える。
【0006】
この太陽光発電・蓄電システムでは、蓄電池が、鉛直方向上方から見て太陽電池アレイと重なる領域に配置された蓄電池収容箱に収容されている。ここで、太陽光線の光エネルギーの一部は、太陽電池アレイにより電気エネルギーに変換される。また、太陽電池モジュールは、太陽光線の熱エネルギーを吸収し、熱のエネルギーの約半分は空に再放出される。さらに、太陽電池モジュールと蓄電池収容箱の間に風が吹き込むことにより、熱の多くが取り除かれる。太陽電池アレイにより太陽光線が遮られる場合には、太陽光線が遮られた領域の温度上昇は抑制される。
【0007】
したがって、本態様に係る太陽光発電・蓄電システムによれば、蓄電池収容箱の温度上昇が抑制されるため、蓄電池の温度が上昇することによる蓄電池の劣化が抑制される。
【0008】
また、この太陽光発電・蓄電システムでは、太陽電池アレイが、複数の太陽電池モジュールがフレームにより一体化され、架台に設置されている。このため、太陽電池モジュールが地面又は建築物等に直に設置される場合と比べて、太陽電池アレイの鉛直方向下方にスペースがある。ここで、本態様に係る太陽光発電・蓄電システムは、蓄電池収容箱及び蓄電池が上方から見て太陽電池アレイと重なる領域に配置される。
【0009】
したがって、本態様に係る太陽光発電・蓄電システムによれば、太陽電池モジュールアレイの鉛直方向下方のスペースを、蓄電池を配置するスペースとして用いることができる。
【0010】
第二態様の太陽光発電・蓄電システムは、第一態様に記載の太陽光発電・蓄電システムにおいて、前記太陽電池アレイは、一方の縁が他方の縁よりも鉛直方向上方となるように傾斜して配置され、前記蓄電池収容箱は、前記太陽電池アレイにおける前記一方の縁側に点検口を有している。
【0011】
この態様に係る太陽光発電・蓄電システムでは、太陽電池アレイは、一方の縁が他方の縁よりも鉛直方向上方となるように傾斜して配置されるため、太陽電池アレイの一方の縁側では、他方の縁側よりも鉛直方向下方のスペースの高さが大きい。また、この態様に係る太陽光発電・蓄電システムでは、蓄電池収容箱の点検口が、太陽電池アレイの一方の縁側にある。
【0012】
したがって、本態様に係る太陽光発電・蓄電システムによれば、蓄電池収容箱を点検する場合に、点検口にアクセスする作業者が、太陽電池アレイと接触しにくくなる。
【0013】
第三態様の太陽光発電・蓄電システムは、第一態様又は第二態様に記載の太陽光発電・蓄電システムにおいて、前記蓄電池は、鉛蓄電池である。
【0014】
鉛蓄電池は、使用環境温度が25℃より高いと、寿命が短くなる。温度と寿命の関係は、温度10℃の上昇で寿命は約半分になる。
【0015】
本開示の技術によれば、蓄電池収容箱の温度上昇が抑制されることにより、空調設備によるエネルギーの消費を抑制することが可能である。特に蓄電池が鉛蓄電池の場合には空調設備を使わず太陽電池アレイの遮熱効果のみにより蓄電池の劣化が運用上問題のない程度まで抑制される。
【0016】
第四態様の太陽光発電・蓄電システムは、第一態様から第三態様のいずれか一態様に記載の太陽光発電・蓄電システムにおいて、前記太陽電池アレイと前記蓄電池収容箱とを連結する連結部材をさらに備える。
【0017】
この態様に係る太陽光発電・蓄電システムでは、連結部材により太陽電池アレイが蓄電池収容箱と連結されている。このため、本態様に係る太陽光発電・蓄電システムによれば、蓄電池収容箱及び蓄電池が太陽電池アレイに対する重しとなる。このため、太陽電池アレイが強風により架台から外れること、又は太陽電池アレイが強風により架台から外れた場合に太陽電池アレイが飛散することを抑制することができる。
【0018】
第五態様の太陽光発電・蓄電システムは、第一態様から第四態様のいずれか一態様に記載の太陽光発電・蓄電システムにおいて、前記太陽電池アレイと、前記蓄電池収容箱との最近接距離は、100mm以上5000mm以下とされている。
【0019】
この態様に係る太陽光発電・蓄電システムでは、太陽電池アレイと蓄電池収容箱との最近接距離は、100mm以上5000mm以下とされているため、太陽電池アレイによる遮熱の効果が大きくなる。このため、本態様に係る太陽光発電・蓄電システムでは、寿命劣化の抑制が大きくなる。
【0020】
第六態様の太陽光発電・蓄電システムは、第一態様から第五態様のいずれか一態様に記載の太陽光発電・蓄電システムにおいて、前記蓄電池は、1枚の太陽電池モジュールあたり0.05kWh以上の容量を有する。
【0021】
この態様に係る太陽光発電・蓄電システムでは、蓄電池が、1枚の太陽電池モジュールあたり0.05kWh以上の容量を有するため、本態様に係る太陽光発電・蓄電システムでは、太陽電池の下方のスペースを有効に活用できる。
【0022】
第七態様の太陽光発電・蓄電システムは、第一態様から第六態様のいずれか一態様に記載の太陽光発電・蓄電システムにおいて、前記蓄電池収容箱は、鋼板製である。
【0023】
この態様に係る太陽光発電・蓄電システムでは、蓄電池収容箱は、鋼板製のため、耐火性を有する。このため、本態様に係る太陽光発電・蓄電システムでは、万が一蓄電池が発火した場合に太陽電池アレイに類焼しない。
【0024】
第八態様の太陽光発電・蓄電システムは、第一態様から第七態様のいずれか一態様に記載の太陽光発電・蓄電システムにおいて、前記蓄電池収容箱の収容容積に対する前記蓄電池の体積の割合は、30%以上95%以下である。
【0025】
この態様に係る太陽光発電・蓄電システムでは、蓄電池収容箱の収容容積に対する蓄電池の体積の割合は、30%以上95%以下であるため、太陽電池アレイで発電された電流の蓄電池への入力や蓄電池から負荷への電流の出力により発生する熱の蓄積が抑制される。このため、本態様に係る太陽光発電・蓄電システムでは、蓄電池の劣化が抑制できる。
【0026】
第九態様の太陽光発電・蓄電システムは、第一態様から第八態様のいずれか一態様に記載の太陽光発電・蓄電システムにおいて、前記蓄電池収容箱は、接合対象と接合される接合部を箱体の外側に有する。
【0027】
この太陽光発電・蓄電システムは、蓄電池収容箱が接合対象と接合される接合部を箱体の外側に有している。このため、この太陽光発電・蓄電システムによれば、蓄電池収容箱の箱体の外側に接合部を有していない場合と比べて、蓄電池収容箱を接合対象と固定しやすい。
【0028】
第十態様の太陽光発電・蓄電システムは、第九態様に記載の太陽光発電・蓄電システムにおいて、前記接合部は、前記箱体を鉛直方向下方の固定対象に固定する据付部を含む。
【0029】
この太陽光発電・蓄電システムは、蓄電池収容箱が鉛直方向下方の固定対象に固定する据付部を有している。このため、この太陽光発電・蓄電システムによれば、蓄電池収容箱が据付部を有していない場合と比べて、蓄電池収容箱の設置作業の効率を向上させることができる。
【0030】
第十一態様の太陽光発電・蓄電システムは、第十態様に記載の太陽光発電・蓄電システムにおいて、前記接合部は、前記箱体の側面上側に鉛直方向から見て前記据付部と重なる腕木部を有する。
【0031】
この太陽光発電・蓄電システムは、据付部と鉛直方向に重なる腕木部を箱体の側面上側に有しているため、固定対象に固定された蓄電池収容箱の上に、さらに他の蓄電池収容箱を重ね、該蓄電池収容箱の据付部と、腕木部とを接合することで組み合わせることができる。したがって、この太陽光発電・蓄電システムによれば、複数個の蓄電池収容箱を組み合わせて配置することができる。
【0032】
第十二態様の発電方法は、複数の太陽電池モジュールがフレームにより一体化され架台に設置された太陽電池アレイによる発電方法であって、鉛直方向上方から見て前記太陽電池アレイと重なる領域に蓄電池収容箱を配置し、前記太陽電池アレイから出力される電力を蓄える蓄電池を前記蓄電池収容箱に収容した状態で発電する。
【0033】
この発電方法では、蓄電池が、鉛直方向上方から見て太陽電池アレイと重なる領域に配置された蓄電池収容箱に収容されている。ここで、太陽光線の光エネルギーの一部は、太陽電池アレイにより電気エネルギーに変換される。また、太陽電池モジュールは太陽の熱エネルギーを吸収し、熱のエネルギーの約半分は空に再放出される。さらに、太陽電池モジュールと蓄電池収容箱の間に風が吹き込むことにより、熱の多くが取り除かれる。このため、太陽電池アレイにより太陽光線が遮られる場合には、太陽光線が遮られた領域の温度上昇は抑制される。
【0034】
したがって、本態様に係る発電方法によれば、蓄電池収容箱の温度上昇が抑制されるため、蓄電池の温度が上昇することによる蓄電池の劣化が抑制される。
【0035】
また、この発電方法では、太陽電池アレイが、複数の太陽電池がフレームにより一体化され、架台に設置されている。このため、太陽電池モジュールが地面又は建築物等に直に設置される場合と比べて、太陽電池アレイの鉛直方向下方にスペースがある。ここで、本態様に係る発電方法は、蓄電池収容箱及び蓄電池が上方から見て太陽電池アレイと重なる領域に配置される。
【0036】
したがって、本態様に係る発電方法によれば、太陽電池アレイの鉛直方向下方のスペースを、蓄電池を配置するスペースとして用いることができる。
【発明の効果】
【0037】
本開示によれば、太陽電池の下方のスペースを有効活用すると共に太陽光発電システムの蓄電池の寿命を延ばすことが可能な太陽光発電・蓄電システム及び発電方法が提供される。
【図面の簡単な説明】
【0038】
図1】本開示の第一実施形態に係る太陽光発電・蓄電システムの側面図である。
図2】本開示の第一実施形態に係る太陽光発電・蓄電システムの上面図である。
図3】本開示の第一実施形態に係る太陽光発電・蓄電システムの背面図である。
図4】本開示の第一実施形態に係る太陽光発電・蓄電システムにおいて、架台、太陽電池アレイ、蓄電池収容箱、及び蓄電池が複数設けられた場合を示す図である。
図5】本開示の第二実施形態に係る太陽光発電・蓄電システムにおいて、蓄電池収容箱を示す背面図である。
図6】本開示の第二実施形態に係る太陽光発電・蓄電システムにおいて、蓄電池収容箱を示す側面図である。
図7】本開示の第二実施形態に係る太陽光発電・蓄電システムにおいて、蓄電池収容箱が、積み重ねられると共に、側方に並べられた様子を示す図である。
図8】本開示の第二実施形態に係る蓄電池収容箱が、架台、太陽電池アレイと共に組み合わされた様子を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0039】
以下、本開示の実施形態の一例を、図面を参照しつつ説明する。なお、各図面において、同一又は等価な構成要素及び部品には同一の参照符号を付与している。また、図面の寸法比率は、説明の都合上誇張されており、実際の比率とは異なる場合がある。
【0040】
また、各図に示す矢印Hは、鉛直方向であって太陽光発電・蓄電システム10の上方向を示し、矢印Wは、水平方向であって太陽光発電・蓄電システム10の幅方向を示し、矢印Dは、水平方向であって太陽光発電・蓄電システム10の奥行方向を示す。
【0041】
[第一実施形態]
(構成)
図1から図3に示されるように、本開示に係る太陽光発電・蓄電システム10は、架台26に設置された太陽電池アレイ20と、蓄電池収容箱40と、蓄電池50とを備える。
【0042】
太陽電池アレイ20は、複数の太陽電池モジュール24と、フレーム22と、架台26とを有し、太陽光を受けて発電する太陽電池モジュール24が、フレーム22によって一体化された状態で架台26に設置されている。なお、太陽電池モジュール24は、太陽電池セルを複数組み合わせて形成された、太陽光発電における最小単位の発電ユニットを指す。また、本実施形態における、「太陽電池アレイ」、「太陽電池モジュール」の語は、一例としてJIS C 8960:2012によって定義される構成を含む。本実施形態では太陽電池アレイ20における、太陽電池モジュール24の個数及び配置は、適宜決定されるが、一例として、図2に示されるように、4つの太陽電池モジュール24が、縦横方向に2つずつ並べられて配置される。なお、本実施形態における太陽電池モジュール24の大きさは、一例として幅1800mm×奥行1100mmとされている。また、本実施形態に係る太陽電池モジュール24の出力は、一例として0.4kWとされている。
【0043】
架台26は、図1に示されるように、複数の柱28と、枠体30とを有し、太陽電池アレイ20が載せられる部材である。枠体30は、図2及び図3に示されるように、上方から見て略長方形の環状に形成されている。この枠体30は、図示しない基礎を介して地面Gに設置された柱28によって持ち上げられた状態で固定されており、図1に示されるように、その上面に太陽電池アレイ20が載せられ、フレーム22が枠体30に固定される。なお、以後の説明において、「固定」とは、物と物とが、互いに動かない状態とされたことを指す。
【0044】
また、図1に示されるように架台26は、太陽光発電・蓄電システム10における前方(図1における紙面右側、北半球地域においては、南方)が低く、その反対側が高くなるように傾斜して配置されている。言い換えれば、本実施形態における架台26は、地面Gに対して太陽電池アレイ20の一方(後方)の縁が他方(前方)の縁よりも鉛直方向上方となるように傾斜して配置される。この傾斜の角度については、太陽電池アレイ20に対して太陽光線SLの入射角度が垂直に近づくように太陽光発電・蓄電システム10を設置する地域・地形に応じて適宜設定されるが、一例として、水平面に対して30度とされる。
【0045】
蓄電池収容箱40は、鉛直方向上方から見て太陽電池アレイ20と重なる領域に配置されている。蓄電池収容箱40は、太陽電池アレイ20と重なればどのような設置方法でもよい。例えば、柱28に固定してもよい。この実施形態では、蓄電池収容箱40は、図1から図3に示されるように、太陽電池アレイ20に対して鉛直方向下方において、地面Gに直接あるいは基礎の上に置かれている。また言い換えれば、蓄電池収容箱40は、図1から図3に示されるように、太陽電池アレイ20により太陽光線SLが遮られた領域、すなわち太陽電池アレイ20により形成された陰SHの領域に配置されている。蓄電池収容箱40が地面Gに直接あるいは基礎の上に設置されることにより、蓄電池50を柱28に固定するよりも柱の耐荷重に対する制約が少なく、蓄電池50の容量を大きくすることができる。なお、本実施形態において、太陽光線SLが遮られた領域とは、一例として東京都の夏至の日において太陽光線SLが4時26分から19時01分まで(日の出から日没まで)遮られる地面G上の領域とする。
【0046】
なお、蓄電池収容箱40は、後述するように蓄電池50を収容すると共に、蓄電池50を他の部材と電気的に接続可能とされ、内部に雨水が浸入しない程度に対候性を有していれば、どのような箱体でもよい。本実施形態では、一例として蓄電池収容箱40は、側面(図3における左右両側の面)に電線52が通される通し穴46が形成され、内部に電線52と接続される銅バー44が配置されている。なお、銅バー44と接続される電線52が通された通し穴46は、蓄電池収容箱40の内部に雨水が浸透しないよう、充填剤によって電線52の周囲に生じる隙間を塞がれている。
【0047】
また、蓄電池収容箱40は、一例として、図1に示されるように、太陽光発電・蓄電システム10における後方(図1における紙面左側、北半球地域においては、北方)に、蓄電池収容箱40に収容された蓄電池50の点検のため、作業者Mによって開閉される点検口42が形成されている。また図3では、一例として点検口を閉じる片開きの扉が示されており、点検口42は、片開きの扉によって、点検時以外の発電時などには閉じられている。
【0048】
なお、太陽電池アレイ20と、蓄電池収容箱40との最近接距離は、適宜設定されるが、本実施形態では一例として100mm以上5000mm以下とされている。より具体的には、太陽電池アレイ20と、蓄電池収容箱40との最近接距離は、100、200、500、1000、2500、5000mmが挙げられる。この最近接距離は、蓄電池収容箱40の温度上昇を抑制することを重要とする場合は、より低い値が適宜設定される。
【0049】
また、蓄電池収容箱40は、風雨などにより容易に破損しなければ、特に材料を限定されないが、火災予防上の観点から耐火性を有する鋼板製とされている。
【0050】
本開示では蓄電池収容箱40が空調設備を有していても有していなくてもよい。本実施形態における蓄電池収容箱40は、空調設備を有していないものとする。言い換えれば、蓄電池収容箱40は、太陽光発電・蓄電システム10の稼働時において、内部の温度を空調設備により制御されていない状態とする。太陽電池アレイ20による遮熱効果により蓄電池収容箱40による温度上昇の抑制効果が十分であれば、空調設備を有しないことにより、空調に要する電力の消費を抑制することが可能となる。
【0051】
本実施形態では、蓄電池収容箱40は、一例として太陽電池アレイ20のフレーム22と連結部材60で連結されている。この連結部材60は、太陽電池アレイ20のフレーム22と蓄電池収容箱40とを連結すれば、鎖等の可撓性部材、型鋼等の剛性部材のいずれの部材を用いて連結してもよく、また、個数及び連結箇所についても適宜設定される。本実施形態では、一例として、連結部材60は、対候性を有するロープによって連結されている。特に蓄電池50が鉛蓄電池の場合、リチウムイオン電池に比べ同じ容量でも重量が大きく、太陽電池アレイ20が強風により飛散することを防ぐ効果が大きい。また、この効果のため、太陽電池アレイ20を設置する架台26の高さを高くすることが可能となり、影の影響、積雪時の雪の影響を受けにくくすることができる。
【0052】
蓄電池50は、蓄電池収容箱40の内部に収容され、図3に示されるように、銅バー44によって電線52と電気的に接続されている。この蓄電池50は、太陽電池アレイ20から出力された電力を蓄える(蓄電する)二次電池である。この蓄電池50は、充電及び放電を繰り返し可能とされていればどのような二次電池でもよいが、太陽光発電・蓄電システム10が設置される地域において、夏季の気温により故障しない程度の対候性を有している二次電池が望ましい。本実施形態では、蓄電池50は、一例として、複数のセルが電気的に直列に接続された、鉛蓄電池である。なお、本実施形態における蓄電池50は、複数の蓄電池50が直列又は並列に接続されたアレイも含む。なお、本説明において、「直列又は並列に接続」とは、直列に接続される場合のみ、並列に接続される場合のみ、及び直列かつ並列に接続される場合のいずれも含む。
【0053】
なお、蓄電池50は、太陽電池アレイ20から出力された電力を蓄えることが可能であれば、容量については特に限定されないが、モジュール毎に0.05kWh以上であればモジュール毎に蓄電池50を設置すれば短周期の太陽光出力平準化が可能であり好ましい。さらに0.3kWh以上であれば長周期の太陽光出力平準化が可能であり好ましい。さらに1.8kWh以上であれば下げ代不足対策にも用いることが可能であり好ましい。本実施形態では一例として、4.8kWhの容量を有する。言い換えれば、蓄電池50は、太陽電池モジュール24が12時間、太陽電池アレイ20が3時間発電した場合と同等の容量を有している。
【0054】
また、蓄電池50は、蓄電池収容箱40に収容可能とされていれば、その大きさについては特に限定されないが、本実施形態では一例として、蓄電池収容箱40の収容容積に対する蓄電池50の体積の割合は、30%以上95%以下とされている。より具体的には、蓄電池収容箱40の収容容積に対する蓄電池50の体積の割合は、35、50、65、80、95%が挙げられる。この割合は、蓄電池収容箱40内における蓄電池50の放熱性を重要とする場合には、より低い値が、蓄電池収容箱40内におけるスペースを有効活用することを重要とする場合は、より高い値が適宜設定される。
【0055】
なお、上述の説明及び図1から図3において、架台26、太陽電池アレイ20、蓄電池収容箱40、及び蓄電池50は、それぞれ一つずつ示されていたが、本実施形態における太陽光発電・蓄電システム10は、これに限られない。例えば、図4に示されるように、架台26、太陽電池アレイ20、蓄電池収容箱40、及び蓄電池50は、それぞれが複数設けられていてもよい。図4において、太陽電池アレイ20は、一例として隣り合う太陽電池アレイ20と直列又は並列に接続される。また、蓄電池50は、一例として隣り合う蓄電池50と直列又は並列に接続される。この場合における、架台26、太陽電池アレイ20、蓄電池収容箱40、及び蓄電池50の個数は、一例としてそれぞれ625個、209個、836個であり、複数の太陽電池アレイ20全体の出力は、1000kWであり、複数の蓄電池全体の容量は、1003kWhである。また、太陽電池アレイ20及び蓄電池50は、互いに電力変換装置(パワーコンディショナ)を用い接続されていてもよい。
【0056】
続いて、本実施形態における太陽光発電・蓄電システム10の作用及び効果を説明する。
【0057】
(作用及び効果)
本実施形態に係る太陽光発電・蓄電システム10では、蓄電池50が、鉛直方向上方から見て太陽電池アレイ20と重なる領域に配置された蓄電池収容箱40に収容されている。ここで、太陽光線SLの光エネルギーの一部は、太陽電池アレイ20により電気エネルギーに変換される。また、太陽電池モジュール24は太陽光線SLの熱エネルギーを吸収し、熱のエネルギーの約半分は空に再放出される。さらに、太陽電池モジュール24と蓄電池収容箱40の間に風が吹き込むことにより、熱の多くが取り除かれる。このため、太陽電池アレイ20により太陽光線SLが遮られる場合には、太陽光線SLが遮られた領域の温度上昇は抑制される。
【0058】
したがって、本実施形態に係る太陽光発電・蓄電システム10によれば、蓄電池収容箱40の温度上昇が抑制されるため、蓄電池50の温度が上昇することによる蓄電池50の劣化が抑制される。
【0059】
また、本実施形態に係る太陽光発電・蓄電システム10では、太陽電池アレイ20が、複数の太陽電池モジュール24がフレーム22により一体化され、架台26に設置されている。このため、太陽電池アレイ20が地面G又は建築物等に直に設置される場合と比べて、太陽電池アレイ20の鉛直方向下方にスペースがある。ここで、本実施形態に係る太陽光発電・蓄電システム10は、蓄電池収容箱40及び蓄電池50が上方から見て太陽電池アレイ20と重なる陰SHの領域に配置される。
【0060】
したがって、本実施形態に係る太陽光発電・蓄電システム10によれば、太陽電池モジュール24の鉛直方向下方のスペースを、蓄電池50を配置するスペースとして用いることができる。
【0061】
また、本実施形態に係る太陽光発電・蓄電システム10では、太陽電池アレイ20は、後方の縁が前方の縁よりも鉛直方向上方となるように傾斜して配置されるため、太陽電池アレイ20の後方側では、前方側よりも鉛直方向下方のスペースの高さが大きい。また、この態様に係る太陽光発電・蓄電システム10では、蓄電池収容箱40の点検口42が、太陽電池アレイ20の後方側にある。
【0062】
したがって、本実施形態に係る太陽光発電・蓄電システム10によれば、蓄電池収容箱40を点検する場合に、点検口42にアクセスする作業者Mが、太陽電池アレイ20と接触しにくくなる。
【0063】
また、本実施形態に係る太陽光発電・蓄電システム10では、蓄電池50が鉛蓄電池とされている。鉛蓄電池は、使用環境温度が25℃より高いと、寿命が短くなる。温度と寿命の関係は、温度10℃の上昇で寿命は約半分になる。
【0064】
本開示の技術によれば、蓄電池収容箱40の温度上昇が抑制されることにより、空調設備によるエネルギーの消費を抑制することが可能である。特に蓄電池50が鉛蓄電池の場合には空調設備を使わず太陽電池アレイ20の遮熱効果のみにより蓄電池50の劣化が運用上問題のない程度まで抑制される。
【0065】
本開示では、蓄電池50の電池種は特定されず、リチウムイオン電池であってもよい。リチウムイオン電池は種類により温度と寿命の関係は異なるが、例として温度10℃の上昇で寿命は約半分になる。また、マンガン酸リチウムを正極に用いたリチウムイオン電池では約50℃以上において劣化が加速する。
【0066】
本開示の技術によれば、蓄電池収容箱40の温度上昇が抑制されることにより、空調設備によるエネルギーの消費を抑制することが可能である。リチウムイオン電池では、高温において寿命も問題だけでなく異常発熱などの不具合が起こる可能性があり、太陽電池アレイ20の遮熱効果だけでなく空調設備を使うことが好ましい。
【0067】
また、本実施形態に係る太陽光発電・蓄電システム10では、連結部材60により太陽電池アレイ20が蓄電池収容箱40と連結されている。
【0068】
このため、本実施形態に係る太陽光発電・蓄電システム10によれば、蓄電池収容箱40及び蓄電池50が太陽電池アレイ20に対する重しとなる。このため、太陽電池アレイ20が強風により架台26から外れた場合に太陽電池アレイ20が飛散することを抑制することができる。また、連結部材60を剛性部材とした場合には、太陽電池アレイ20が強風により架台26から外れることを抑制することができる。
【0069】
また、鉛蓄電池は、リチウムイオン電池に比べ同じ容量でも重量が大きいことから、蓄電池50が鉛蓄電池の場合、太陽電池アレイ20が強風により飛散することを防ぐ効果を大きくすることができる。したがって、太陽電池アレイ20を設置する架台26の高さを高くすることが可能となり、影の影響、積雪時の雪の影響を受けにくくすることができる。
【0070】
また、本実施形態に係る太陽光発電・蓄電システム10では、蓄電池収容箱40との最近接距離は、100mm以上5000mm以下とされているため、遮熱の効果が大きくなる太陽電池モジュール24が風の影響を受けにくい高さとすることが可能となる。このため、本実施形態に係る太陽光発電・蓄電システム10では、寿命劣化の抑制が大きくなる。
【0071】
この態様に係る太陽光発電・蓄電システム10では、蓄電池50が、1枚の太陽電池モジュール24あたり0.05kWh以上の容量を有するため、本実施形態に係る太陽光発電・蓄電システム10では、太陽電池の下方のスペースを有効に活用できる。
【0072】
また、本実施形態に係る太陽光発電・蓄電システム10では、蓄電池収容箱40は、鋼板製のため、耐火性を有する。このため、本態様に係る太陽光発電・蓄電システム10では、万が一蓄電池50が発火した場合に太陽電池アレイ20に類焼しない。
【0073】
また、本実施形態に係る太陽光発電・蓄電システム10では、蓄電池収容箱40の収容容積に対する蓄電池50の体積の割合は、30%以上95%以下であるため、太陽電池アレイ20で発電された電流の蓄電池50への入力や蓄電池50から負荷への電流の出力により発生する熱の蓄積が抑制される。このため、本態様に係る太陽光発電・蓄電システム10では、蓄電池50の劣化が抑制できる。
【0074】
また、本実施形態に係る発電方法では、蓄電池50が、鉛直方向上方から見て太陽電池アレイ20と重なる領域に配置された蓄電池収容箱40に収容されている。ここで、太陽光線SLの光エネルギーは、太陽電池アレイ20により電気エネルギー変換される。また、太陽電池モジュール24は太陽光線SLの熱エネルギーを吸収し、熱のエネルギーの約半分は空に再放出される。さらに、太陽電池モジュール24と蓄電池収容箱40の間に風が吹き込むことにより、熱の多くが取り除かれる。そのため、太陽電池アレイ20により太陽光線SLが遮られる場合には、太陽光線SLが遮られた領域の温度上昇は抑制される。
【0075】
したがって、本実施形態に係る発電方法によれば、蓄電池収容箱40の温度上昇が抑制されるため、蓄電池50の温度が上昇することによる蓄電池50の劣化が抑制される。
【0076】
また、本実施形態に係る発電方法では、太陽電池アレイ20が、複数の太陽電池モジュール24がフレーム22により一体化され、架台26に設置されている。このため、太陽電池モジュール24が地面又は建築物等に直に設置される場合と比べて、太陽電池アレイ20の鉛直方向下方にスペースがある。ここで、本実施形態に係る発電方法は、蓄電池収容箱40及び蓄電池50が上方から見て太陽電池アレイ20と重なる領域に配置される。
【0077】
したがって、本実施形態に係る発電方法によれば、太陽電池アレイ20の鉛直方向下方のスペースを、蓄電池50を配置するスペースとして用いることができる。
【0078】
(変形例)
なお、上述の説明では、太陽電池アレイ20の後方の縁が前方の縁よりも鉛直方向上方となるように傾斜して配置されていたが、本実施形態に係る太陽光発電・蓄電システム10は、これに限らない。例えば、太陽電池アレイ20は、側方から見て傾斜していない(地面Gに対して水平に)配置とされていてもよい。
【0079】
また、上述の説明では、太陽電池アレイ20と蓄電池収容箱40とを連結する連結部材60が設けられていたが、本実施形態に係る太陽光発電・蓄電システム10は、これに限らない。すなわち、太陽電池アレイ20と、蓄電池収容箱40とは、連結部材60によって連結されていない形態とされていてもよい。
【0080】
また、上述の説明では、点検口42は、一例として太陽光発電・蓄電システム10における後方(図1における紙面左側、北半球地域においては、北方)に形成されていたが、本実施形態に係る太陽光発電・蓄電システム10は、これに限らない。すなわち、点検口42は、太陽光発電・蓄電システム10における前方(北半球地域においては、南方)、側方(北半球地域においては、東西方)又は鉛直方向上方に形成されていてもよい。
【0081】
また、上述の説明では、太陽電池アレイ20の個数、蓄電池収容箱40及び蓄電池50の個数が同数とされていたが、本実施形態に係る太陽光発電・蓄電システム10は、これに限らない。例えば、1つの太陽電池アレイ20に対して蓄電池収容箱40及び蓄電池50が複数配置されていてもよく、1つの蓄電池収容箱40に対して蓄電池50が複数配置されていてもよい。さらに、複数の太陽電池アレイ20に対し、蓄電池収容箱40および蓄電池50が1つ配置されていてもよい。
【0082】
これらの変形例においても、上述の説明と同様に、太陽電池の下方のスペースを有効活用すると共に太陽光発電システムの蓄電池50の寿命を延ばすことが可能な太陽光発電・蓄電システム10を得ることができる。
【0083】
続いて、本開示に係る第二実施形態の太陽光発電・蓄電システム110について、図5から図8を適宜に参照しながら説明する。
【0084】
[第二実施形態]
(構成)
図5及び図6は、本実施形態における太陽光発電・蓄電システム110における蓄電池収容箱140を示す図である。本実施形態に係る蓄電池収容箱140は、略直方体を成す箱体であり、覆い部材141と、据付部162と、腕木部164と、を有する。
【0085】
蓄電池収容箱140は、一例として略直方体の各辺をそれぞれ繋ぐ柱材148が組み合わされて形成されている。より具体的には、蓄電池収容箱140における各辺、すなわち、幅方向、前後方向及び上下方向に延びる4本の部材が、それぞれ組み合わされることにより形成された柱材148が蓄電池収容箱140の箱体の形状を支える。なお、柱材148における各部材はどのように組み合わされてもよいが、一例として、L字状の部材(いわゆるLアングル)が、それぞれ溶接されて形成されている。
【0086】
また、図6に示されるように、蓄電池収容箱140のうち、後側の面(図6における右側の面)を除く他の面は、板材149によって柱材148同士の間が覆われている。これにより、図6に示されるように、蓄電池150の配置及び収容が可能とされている。
【0087】
覆い部材141は、図5及び図6に示されるように、蓄電池収容箱140の後側面をそれぞれ覆う板材149であり、柱材148にねじ止めによって接合される。なお、以後の説明において「接合」とは、物又は物の部分と他の物又は他の物の部分とを留め合わせることを指す。接合は、固定の一態様と捉えてもよく、一又は複数の接合による固定の手段と捉えてもよい。また、図5及び図6に示されるように、覆い部材141は、一例として、蓄電池収容箱140に取り付けられた状態で後方に膨らんだ膨出部143を有している。膨出部143には、図5及び図6に示されるように、蓄電池150の端子が入り込んでいる。言い換えれば、本実施形態において、蓄電池150の端子は、柱材148よりも後方に位置している。
【0088】
なお、本実施形態に係る蓄電池収容箱140は、覆い部材141を取り外すことにより作業者Mが蓄電池150を点検することができる。言い換えれば、本実施形態において蓄電池収容箱140の点検口142は、覆い部材141によって閉じられている。
【0089】
据付部162は、本実施形態における接合部の一例であり、蓄電池収容箱140における箱体の外側に設けられた、蓄電池収容箱140を基礎部材80と接合する構成部である。据付部162は、図5及び図6に示されるように、一例として蓄電池収容箱140における上下方向の下方において、前後方向(図5における左右方向)の両側に向かって突き出す部材である。より具体的には、据付部162は、柱材148の下端において、L字状の部材が、蓄電池収容箱140の下端の高さに合わせて、前後方向に向かってそれぞれ突き出すように設けられている。また、据付部162には、図6に示されるように、ボルトなどの締結部材を通すための穴が空けられている。なお、据付部162は、どのような部材を組み合わせて設けられていてもよいが、一例として、柱材148の下端に溶接されている。
【0090】
また、蓄電池収容箱140は、蓄電池収容箱140と基礎部材80とは、ボルトなどの締結部材を用いて接合されることによって基礎部材80と固定される。基礎部材80としては、一例として地面Gに固定されたH形鋼等が用いられる。基礎部材80は、直接地面Gに固定されていてもよく、鉄板等の補強部材を介して地面Gに固定されていてもよい。また、蓄電池収容箱140は、対候性、耐腐食性等の強度が保たれるようであれば、基礎部材80を介さず直接的に地面Gに固定されていてもよい。すなわち、基礎部材80は、本実施形態における接合対象の一例であり、固定対象の一例でもある。
【0091】
腕木部164は、蓄電池収容箱140における箱体の外側に設けられた、本実施形態における接合部の一例である。腕木部164は、図5及び図6に示されるように、一例として蓄電池収容箱140における側面の上側において、前後方向(図5における左右方向)の両側に向かって突き出す部材である。より具体的には、腕木部164は、柱材148の上端において、L字状の部材が、蓄電池収容箱140の上端の高さに合わせて、前後方向に向かって突き出すように設けられている。また、腕木部164には、図6に示されるように、ボルトなどの締結部材を通すための穴が空けられている。なお、腕木部164は、どのような部材を組み合わせて設けられていてもよいが、一例として、柱材148の上端に溶接されている。
【0092】
また、図6に示されるように、本実施形態における腕木部164及び据付部162は、鉛直方向から見て据付部162と重なる位置に設けられている。
【0093】
また、図6に示されるように、本実施形態において、蓄電池150は、左右方向に並んで3個収容されており、銅バー144によって電気的に直列に接続されている。また、本実施形態においても、蓄電池150は、隣に配置された他の蓄電池収容箱140に収容されている蓄電池150と電気的に接続されている。
【0094】
なお、図7に示されるように、本実施形態における蓄電池収容箱140は、鉛直方向に重ねることが可能とされている。より具体的には、下側の蓄電池収容箱140に重ねられた上側の蓄電池収容箱140は、据付部162が、下側の蓄電池収容箱140の腕木部164に対して接合される。なお、下側の蓄電池収容箱140における腕木部164と、上側の蓄電池収容箱140における据付部162とは、ボルトなどの締結部材を用いて結合される。すなわち、図7における上側の蓄電池収容箱140に対して、下側の蓄電池収容箱140は、本実施形態における接合対象の一例であり、下側の蓄電池収容箱140における腕木部164は、上側の蓄電池収容箱140における固定対象の一例でもある。
【0095】
また、図7及び図8に示されるように、本実施形態における蓄電池収容箱140は、水平方向に並べられた状態で、結合部材166を介して接合される。より具体的には、結合部材166は、各蓄電池収容箱140における据付部162と隣り合う蓄電池収容箱140における据付部162、又は各蓄電池収容箱140における腕木部164と隣り合う蓄電池収容箱140における腕木部164とを結合する。
【0096】
なお、結合部材166は、隣り合う蓄電池収容箱140同士を連結することが可能とされていればどのような部材でもよいが、一例として、両端にねじ止め用の貫通孔を有する棒材が用いられる。また、結合部材166は、蓄電池収容箱140同士をより多く連結させる観点から水平方向の長さは、好ましくは400mm以下、より好ましくは300mm以下、さらに好ましくは200mm以下、特に好ましくは150mm以下である。
【0097】
なお、その他の構成は、第一実施形態と同様である。すなわち、本実施形態においても、上下方向に重ねられ、幅方向に並べられた蓄電池収容箱140は、図8に示されるように、鉛直方向上方から見て太陽電池アレイ20と重なる領域に配置されている。また、本実施形態においては、第一実施形態における電線52及び通し穴46の図示及び説明を省略しているが、第一実施形態と同様に太陽光発電・蓄電システム110は、電線52及び通し穴46を有している。
【0098】
(作用及び効果)
本実施形態に係るこの太陽光発電・蓄電システム110は、蓄電池収容箱140が接合対象と接合される据付部162及び腕木部164を箱体の外側に有している。このため、この太陽光発電・蓄電システム110によれば、蓄電池収容箱140の箱体の外側に据付部162及び腕木部164を有していない場合と比べて、蓄電池収容箱140を接合対象と固定しやすい。
【0099】
また、本実施形態に係る太陽光発電・蓄電システム110は、蓄電池収容箱140を鉛直方向下方の固定対象と固定する据付部162を有している。このため、この太陽光発電・蓄電システム110によれば、蓄電池収容箱140が据付部162を有していない場合と比べて、蓄電池収容箱140の設置作業の効率を向上させることができる。
【0100】
また、本実施形態に係る太陽光発電・蓄電システム110は、蓄電池収容箱140の側面上側に据付部162と鉛直方向に重なる腕木部164を有しているため、固定対象に固定された蓄電池収容箱140の上に、さらに他の蓄電池収容箱140を重ね、該蓄電池収容箱140の据付部162と、腕木部164とを接合することで組み合わせることができる。したがって、この太陽光発電・蓄電システム110によれば、複数個の蓄電池収容箱140を組み合わせて配置することができる。
【0101】
なお、本実施形態においても、第一実施形態と同様の作用及び効果を得ることができる。
【0102】
(変形例)
なお、本実施形態の説明において、上側の蓄電池収容箱140は、下側の蓄電池収容箱140とは同じ形状とされていたが、本実施形態に係る太陽光発電・蓄電システム110は、これに限られない。例えば、上側の蓄電池収容箱140を、太陽光パネルの角度に合わせて、前方が低くなるように傾斜した形状とされていてもよい。言い換えれば、本実施形態における太陽光発電・蓄電システム110によれば、複数の形状の蓄電池収容箱140を組み合わせることができる。
【0103】
また、上述の説明において、据付部162及び腕木部164は、いずれも蓄電池収容箱140における箱体から前方又は後方に向けて延出していたが、本実施形態に係る太陽光発電・蓄電システム110は、これに限られない。例えば、蓄電池収容箱140を側方に並べて設置する例において、隣り合う蓄電池収容箱140同士の間隔が、蓄電池収容箱140の設置作業において支障がない程度に開いていれば、据付部162及び腕木部164は、蓄電池収容箱140から側方に延出してもよい。
【0104】
また、上述の説明において、腕木部164が、据付部162と鉛直方向に重なるように設けられていたが、本実施形態に係る太陽光発電・蓄電システム110は、これに限られない。例えば、蓄電池収容箱140を図7に示されるように上下方向に積み重ねない場合には、腕木部164と据付部162とが鉛直方向に重ならなくてもよい。また、蓄電池収容箱140を図7に示されるように上下方向に積み重ねない場合には、蓄電池収容箱140は、腕木部164を有していなくてもよい。
【0105】
また、上述の説明では、蓄電池収容箱140が接合部の一例として鉛直方向下方の固定対象と固定される据付部162を有していたが、本実施形態に係る太陽光発電・蓄電システム110は、これに限られない。例えば、蓄電池収容箱140に対して側方に配置される接合対象と蓄電池収容箱140とが接合される場合、接合部は、蓄電池収容箱140における箱体の外側にあれば、具体的な位置を限定されない。
【0106】
これらの変形例においても、上述の説明と同様の作用及び効果を得ることができる。また、これらの変形例においても、第一実施形態と同様の作用及び効果を得ることができる。
【0107】
以上、添付図面を参照しながら本開示の実施形態を説明したが、本開示の属する技術の分野における通常の知識を有する者であれば、特許請求の範囲に記載された技術的思想の範疇内において、各種の変更例又は応用例に想到し得ることは明らかであり、これらについても、当然に本開示の技術的範囲に属するものと了解される。
【符号の説明】
【0108】
10、110 太陽光発電・蓄電システム
20 太陽電池アレイ
22 フレーム
24 太陽電池モジュール
26 架台
28 柱
30 枠体
40、140 蓄電池収容箱
42、142 点検口
44 銅バー
46 通し孔
50、150 蓄電池
52 電線
60、160 連結部材
141 覆い部材
143 膨出部
148 柱材
149 板材
162 据付部(接合部の一例)
164 腕木部(接合部の一例)
166 結合部材
SL 太陽光線
G 地面
M 作業者
SH 陰
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8