(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024137798
(43)【公開日】2024-10-07
(54)【発明の名称】ツールの移動距離表示機能を有する医療用手術装置
(51)【国際特許分類】
A61B 17/56 20060101AFI20240927BHJP
A61B 50/20 20160101ALI20240927BHJP
A61B 34/10 20160101ALI20240927BHJP
【FI】
A61B17/56
A61B50/20
A61B34/10
【審査請求】有
【請求項の数】10
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2024038525
(22)【出願日】2024-03-13
(31)【優先権主張番号】10-2023-0038819
(32)【優先日】2023-03-24
(33)【優先権主張国・地域又は機関】KR
(71)【出願人】
【識別番号】517402229
【氏名又は名称】キュレクソ インコーポレイテッド
【氏名又は名称原語表記】CUREXO, INC.
【住所又は居所原語表記】3rd & 4th Floor, 480, Wiryesunhwan-ro, Songpa-gu, Seoul, 05814, Republic of Korea
(74)【代理人】
【識別番号】110001737
【氏名又は名称】弁理士法人スズエ国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】チョ、ギュ・イル
(72)【発明者】
【氏名】キム、ボン・オー
(72)【発明者】
【氏名】キム、スー・ジョン
【テーマコード(参考)】
4C160
【Fターム(参考)】
4C160LL26
4C160LL28
4C160LL70
(57)【要約】 (修正有)
【課題】手術の過程でツールの目標移動距離を正確かつ迅速に知ることができるようにすることで、手術の精度を向上させるとともに、手術時間の短縮及び手術の使い勝手を向上させることができるツールの移動距離表示機能を有する医療用手術装置を提供する。
【解決手段】本発明に係るツールの移動距離表示機能を有する医療用手術装置は、ツールシャフトを備えた医療用ツールと、医療用ツールの挿入のために内部にツール装着孔が形成されたホルダー本体と、前記ホルダー本体に挿入される前記医療用ツールを支持するツール支持手段と、前記医療用ツールの移動距離を表示する移動距離表示手段、を含むことを特徴とする。
【選択図】
図2
【特許請求の範囲】
【請求項1】
ツールシャフトを備えた医療用ツールと、
前記医療用ツールを挿入するための内部にツール装着孔が形成されたホルダー本体と、
前記ホルダー本体に挿入される前記医療用ツールを支持するツール支持手段と、
前記医療用ツールの移動距離を表示する移動距離表示手段と、を含むことを特徴とするツールの移動距離表示機能を有する医療用手術装置。
【請求項2】
前記移動距離表示手段は、
前記ツールシャフトに形成されて前記ツールシャフトと連動する移動距離感知用変位部、及び
前記移動距離感知用変位部の変位を感知して表示する移動距離表示部、を含むことを特徴とする請求項1に記載のツールの移動距離表示機能を有する医療用手術装置。
【請求項3】
前記移動距離感知用変位部は、前記医療用ツールの前進方向に直径が徐々に増加する距離感知傾斜面を有する構造で前記ツールシャフトに形成され、
前記移動距離表示部は、前記距離感知傾斜面に測定端が接触して移動するように前記ホルダー本体に設けられ、前記距離感知傾斜面の高低に対応して移動距離を表示する距離表示ゲージを含むことを特徴とする請求項2に記載のツールの移動距離表示機能を有する医療用手術装置。
【請求項4】
前記距離表示ゲージは、端部に測定子を有するスピンドルが備えられたステムと、前記ステムに結合され、前記測定子の出没度合いに従って回転される指針と前記指針が回転される目盛板が組み込まれた表示ハウジングとを含むアナログ方式のダイヤルゲージ、又は、出没する測定子を備えたステムと、前記ステムに結合され、測定子の出没度合いに従って数字が表示される表示部とを有するデジタル方式のダイヤルゲージで構成されて、
前記ホルダー本体は、前記移動距離感知用変位部と対応する位置に前記ステムが設けられるように前記ツール装着孔と連通する締結ボスが形成されていることを特徴とする請求項3に記載のツールの移動距離表示機能を有する医療用手術装置。
【請求項5】
前記移動距離表示手段は、前記ホルダー本体に挿入された前記医療用ツールのツールシャフトの露出部位に形成され、複数の目盛りを有する軸目盛り部を含むことを特徴とする請求項1に記載のツールの移動距離表示機能を有する医療用手術装置。
【請求項6】
前記軸目盛り部は、前記ホルダー本体の後方の前記ツールシャフトの表面に位置するように形成されて、前記医療用ツールの所望の目標移動距離の設定時に、前記ホルダー本体の後方の端部に該当する前記目盛りを一致させる方式で設定できるように構成されたことを特徴とする請求項5に記載のツールの移動距離表示機能を有する医療用手術装置。
【請求項7】
前記医療用ツールは、前記ツールシャフトの前方に人工寛骨臼カップが結合され、その後方に打撃力を印加する打撃部が備えられ、股関節手術に用いられるインパクターで構成され、
前記ツール支持手段は、前記ツールシャフトを支持しながら動きを案内するツール支持案内部材を含むことを特徴とする請求項1乃至6の中のいずれか一項に記載のツールの移動距離表示機能を有する医療用手術装置。
【請求項8】
前記ホルダー本体に結合されるホルダー支持部材を含み、
前記ツール装着孔は、内周面に前記ツール支持案内部材が載置するように形成された案内部材取付溝部と、前記ホルダー支持部材の設置のためのホルダー結束部材が設けられるように、前記案内部材取付溝部と接して形成された支持部材取付溝部と、前記医療用ツールの設置のために前記ツール装着孔の一側の端部に形成されるツール取付溝部を含むことを特徴とする請求項7に記載のツールの移動距離表示機能を有する医療用手術装置。
【請求項9】
前記ホルダー本体に加えられる衝撃力を吸収し緩衝するために前記ホルダー本体に設けられた衝撃低減装置、及び
前記衝撃低減装置の設置のために、前記ホルダー本体のツール装着孔の他側の端部に形成された衝撃低減装置挿入部、を含むことを特徴とする請求項8に記載のツールの移動距離表示機能を有する医療用手術装置。
【請求項10】
前記ツール取付溝部の内部に挿入された前記医療用ツールを拘束するために構成されたツール結束手段を備え、前記ツール結束手段は前記ツール取付溝部の内部と連通するように前記ホルダー本体に穿孔される結束孔と、前記結束孔を介して挿入されるツール結束部材と、前記ツール結束部材が引き込まれて係止するように前記医療用ツールに形成された係止部とを含むことを特徴とする請求項8に記載のツールの移動距離表示機能を有する医療用手術装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ツールの移動距離表示機能を有する医療用手術装置に関して、より詳細には、手術の過程でツールの目標移動距離を正確かつ迅速に知ることができるようにすることで、手術の精度を向上させるとともに、手術時間の短縮及び手術の使い勝手を向上させることができるツールの移動距離表示機能を有する医療用手術装置に関する。
【背景技術】
【0002】
一般に、関節疾患の手術治療には、関節内視鏡の手術、軟骨細胞の移植術などがあり、重症の疾患の場合は人工関節手術を受けるが、人工関節手術は医療人の手作業による手作業人工関節手術と、ロボットを用いた人工関節手術が代表的に施行されている。
【0003】
ロボットを用いた人工関節手術は、コンピュータに入力された情報に従ってロボットの位置可変型アームの末端に装着された切削装置のカッターを回転させ、関節部位の骨を切削し人工関節(インプラント)を装着する手術法で、ドリルのような切削ツール、拡孔のための拡孔器(reamer)と、圧入力を提供するためのインパクター(impactor)などを使用している。
【0004】
人工関節手術は人工膝関節手術が普遍化されており、近年では人工股関節手術も徐々に増えている。
【0005】
人工股関節手術は通常、股関節の寛骨臼(acetabulum)を拡孔器(reamer)を用いて前処理した後、人工寛骨臼カップ(acetabulum-cup)を挿入した後、インパクター(impactor)を用いて圧入して固定し、人工大腿骨頭(femoral head)を接続する方式で施行する。このとき、人工寛骨臼カップは、拡孔器によって前処理された寛骨臼の直径より大きいので、インフェクタを用いて圧入方式で挿入設置する。
【0006】
一方、前述の拡孔器(reamer)は、外観の形状が直線状構造で形成されたストレートリーマ(straight reamer)と、外観の形状が屈曲した形態で形成され、オフセットリーマなどと称される屈曲型拡孔器(offset reamer)などがある。
【0007】
そして、インパクターは、外観の形状が直線状の構造で形成されたストレートインパクター(straight impactor handle)と、外観の形状が屈曲した形態の屈曲型インパクター(curved impactor handle)等がある。
【0008】
一方、上述したようなストレートインパクター(straight impactor handle)及び屈曲型インパクター(curved impactor handle)のようなインペクタは、使用時に医療用ツールホルダーに設置された状態で医療人が打撃力を加えながら手術を施行することになる。
【0009】
そして、医療用ツールホルダーとしては、韓国登録特許第10-1609281号(登録日付:2016.03.30)に登録された「ツール、多機能ツール用部品のキット、多機能ツール用ロボットシステム」などの技術が提案されている。
【0010】
韓国登録特許第10-1609281号に係るロボットアームの端部に搭載される道具は、医療人がインパクターを打撃しながら人工股関節手術を行うことができるが、以下のような問題を伴う限界がある。
【0011】
例えば、韓国登録特許第10-1609281号に係る道具は、前記のようにインパクターを用いて人工寛骨臼カップを股関節の寛骨臼に圧入して設置するが、人工寛骨臼カップが寛骨臼の設定された目標点まで挿入されたか否かを確認することができず、安定した手術に障害の要因として作用し、手術の品質が低下し、手術時間が増加するだけでなく、医療人の疲労を増加させる短所がある。
【0012】
特に、通常の人工寛骨臼カップの直径が寛骨臼の直径より大きいので、打撃時に打撃力と位置を正確に設定しない場合、インパクターが後方へ押されるなどの要因により寛骨臼の挿入深さを正確に測定できないので、正確な手術がさらに難しい現状である。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0013】
【特許文献1】韓国登録特許第10-1609281号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0014】
本発明は前記内容に着目して提案されたものであり、手術の過程でツールの目標移動距離を正確かつ迅速に知ることができるようにすることで、手術の精度を向上させるとともに、手術時間の短縮及び手術の使い勝手を向上できるようにするツールの移動距離表示機能を有する医療用手術装置を提供することにその目的がある。
【課題を解決するための手段】
【0015】
前記目的を達成するために、本発明に係るツールの移動距離表示機能を有する医療用手術装置は、ツールシャフトを備えた医療用ツールと、前記医療用ツールを挿入するために内部にツール装着孔が形成されたホルダー本体と、前記ホルダー本体に挿入される前記医療用ツールを支持するツール支持手段と、前記医療用ツールの移動距離を表示する移動距離表示手段、を含むことを特徴とする。
【0016】
前記移動距離表示手段は、前記ツールシャフトに形成され、前記ツールシャフトと連動する移動距離感知用変位部と、前記移動距離感知用変位部の変位を感知して表示する移動距離表示部を含んで構成されることができる。
【0017】
前記移動距離感知用変位部は、前記医療用ツールの前進方向に直径が徐々に増加する距離感知傾斜面を有する構造で前記ツールシャフトに形成されることができる。
【0018】
前記移動距離表示部は、前記距離感知傾斜面に測定端が接触して移動するように前記ホルダー本体に設けられ、前記距離感知傾斜面の高低に対応して移動距離を表示する距離表示ゲージを含むことができる。
【0019】
前記距離表示ゲージは、端部に測定子を有するスピンドルが備えられたステムと、前記ステムに結合され、前記測定子の出没度合いに従って回転される指針と前記指針が回転される目盛板が組み込まれた表示ハウジングとを含むアナログ方式のダイヤルゲージ、あるいは、出没する測定子を備えたステムと、前記ステムに結合され測定子の出没度合いに従って数字が表示される表示部を有するデジタル方式のダイヤルゲージで構成されることができる。
【0020】
前記ホルダー本体は、前記移動距離感知用変位部と対応する位置に前記ステムが設けられるように前記ツール装着孔と連通する締結ボスを形成することができる。
【0021】
好ましくは、前記移動距離表示手段は、前記ホルダー本体に挿入された前記医療用ツールのツールシャフトの露出部位に形成され、複数の目盛りを有する軸目盛り部を含んで構成されることができる。
【0022】
軸目盛り部は前記ホルダー本体の後方の前記ツールシャフトの表面に位置するように形成されて、前記医療用ツールの所望の目標移動距離の設定時、前記ホルダー本体の後方の端部に該当する前記目盛りを一致させる方式で設定するように構成されることができる。
【0023】
前記医療用ツールは、前記ツールシャフトの前方に人工寛骨臼カップが結合され、その後方に打撃力を印加する打撃部が備えられ、股関節手術に用いられるインパクターで構成されることができる。
【0024】
前記ツール支持手段は、前記ツールシャフトを支持しながら動きを案内するツール支持案内部材を含むことができる。
【0025】
本発明に係るツールの移動距離表示機能を有する医療用手術装置は、前記ホルダー本体に結合されるホルダー支持部材を含み、前記ツール装着孔は、内周面に前記ツール支持案内部材が載置されるように形成される案内部材取付溝部と、前記ホルダー支持部材の設置のためのホルダー結束部材が設けられるように、前記案内部材取付溝部と接して形成された支持部材取付溝部と、前記医療用ツールの設置のために前記ツール装着孔の一側の端部に形成されるツール取付溝部、を含むことができる。
【0026】
そして、本発明に係るツールの移動距離表示機能を有する医療用手術装置は、前記ホルダー本体に加えられる衝撃力を吸収し緩衝するためにホルダー本体に設けられる衝撃低減装置、及び前記衝撃低減装置の設置のために前記ホルダー本体のツール装着孔の他側の端部に形成される衝撃低減装置挿入部を含んで構成されることができる。
【0027】
また、本発明に係るツールの移動距離表示機能を有する医療用手術装置は、前記ツール取付溝部の内部に挿入された前記医療用ツールを拘束するために構成されるツール結束手段を備え、前記ツール結束手段は、前記ツール取付溝部の内部と連通して前記ホルダー本体に穿孔される結束孔と、前記結束孔を介して挿入されるツール結束部材と、前記ツール結束部材が引き込まれて係止するように前記医療用ツールに形成された係止部を含むことができる。
【発明の効果】
【0028】
本発明に係るツールの移動距離表示機能を有する医療用手術装置によれば、医療用ツールの移動距離の認知のために移動距離を表示する移動距離表示手段を備えているので、手術の過程で医療人がツールの目標移動距離を正確かつ迅速に認識でき、手術の精度を向上させることができ、手術時間の短縮および手術の使い勝手を向上させることができる効果がある。
【0029】
特に、移動距離表示手段は人工寛骨臼カップの目標位置まで残った距離を移動距離表示部の目盛りとともに軸目盛り部の目盛りを通じて複数で確認できるので、正確性を担保でき、ダイヤルゲージで構成された移動距離表示部の故障が発生しても残った距離を医療人が便利に確認できるので、手術の精度、信頼性、使い勝手をさらに向上させる長所がある。
【図面の簡単な説明】
【0030】
【
図1】本発明の 一実施形態に係るツールの移動距離表示機能を有する医療用手術装置の技術的思想を説明するための概略的な構成図である。
【
図2】本発明の一実施形態に係るツールの移動距離表示機能を有する医療用手術装置を説明するための全体的な構成図である。
【
図3】本発明の一実施形態に係るツールの移動距離表示機能を有する医療用手術装置の主な構成を分離した分離斜視図である。
【
図4】本発明の一実施形態に係るツールの移動距離表示機能を有する医療用手術装置を示す断面図である。
【
図5】本発明の一実施形態に係るツールの移動距離表示機能を有する医療用手術装置の要部を示す切開斜視図である。
【
図6】本発明の一実施形態に係るツールの移動距離表示機能を有する医療用手術装置の作動状態を説明するための図であって、(a)は人工寛骨臼カップの挿入が完了した状態を、(b)は人工寛骨臼カップの目標位置(Impacting Depth)が設定された状態をそれぞれ示している。
【
図7a】
図3の「A」部のツールシャフト部分の分離状態を示す分離斜視図である。
【
図8】本発明の一実施形態に係るツールの移動距離表示機能を有する医療用手術装置のホルダー本体部分を示す分離斜視図である。
【
図9】本発明の一実施形態に係るツールの移動距離表示機能を有する医療用手術装置のホルダー本体に医療用ツールを装着する過程を説明するための図である。
【
図10a】本発明の一実施形態に係るツールの移動距離表示機能を有する医療用手術装置の衝撃低減装置を説明するための分離斜視図である。
【
図10b】本発明の一実施形態に係るツールの移動距離表示機能を有する医療用手術装置の衝撃低減装置の内部構造を説明するための透視図である。
【
図10c】本発明の一実施形態に係るツールの移動距離表示機能を有する医療用手術装置の衝撃低減装置の側面図である。
【
図10d】本発明の一実施形態に係るツールの移動距離表示機能を有する医療用手術装置の衝撃低減装置の弾性部材を拡大した図である。
【
図10e】本発明の一実施形態に係るツールの移動距離表示機能を有する医療用手術装置の衝撃低減装置の離脱防止部材を拡大した図である。
【
図10f】本発明の一実施形態に係るツールの移動距離表示機能を有する医療用手術装置の衝撃低減装置の部分切開斜視図である。
【
図10g】本発明の一実施形態に係るツールの移動距離表示機能を有する医療用手術装置の衝撃低減装置の使用状態を説明するための図であり、ハンマーがインパクターの打撃部を正常に打撃した状態を説明するための要部拡大図である。
【
図10h】本発明の一実施形態に係るツールの移動距離表示機能を有する医療用手術装置の衝撃低減装置の使用状態を説明するための図であり、ハンマーがインパクター打撃部に逸れて当たった状態を説明するための要部拡大図である。
【
図11】本発明の一実施形態に係るツールの移動距離表示機能を有する医療用手術装置の作用を説明するための概略的な構成図である。
【発明を実施するための形態】
【0031】
以下、本発明の好ましい実施形態を添付の図面に基づいて詳細に説明して、同一の構成要素については同一の参照番号を付して説明する。
【0032】
一方、各図における一般的な技術から、この分野の通常の知識を有する者が容易に知ることができる構成と、それに対する作用及び効果に対する詳細な説明は、簡略化または省略する。又、本発明がツールの移動距離表示機能を有する医療用手術装置に特徴を有するものであるので、それに関連する部分を中心に図示および説明し、残りの部分の説明は簡略化または省略する。本発明の一実施形態に係るツールの移動距離表示機能を有する医療用手術装置は、外科手術などに適用される様々な医療用ツールを保持しながら移動距離を測定する用途に活用することができるが、以下、人工股関節手術に用いられるインパクターに適用される例に基準として説明する。なお、以下、前方、前進方向は手術部位に向かう医療用ツールの方向を意味し、後方、後進方向は前方の反対方向を意味する。
【0033】
図1は、本発明の一実施形態に係るツールの移動距離表示機能を有する医療用手術装置の技術的思想を説明するための概略的な構成図であり、
図2は本発明の一実施形態に係るツールの移動距離表示機能を有する医療用手術装置を説明するための全体的な構成図として医療用手術装置の使用状態を概略的に示す斜視図である。
図3は本発明の一実施形態に係るツールの移動距離表示機能を有する医療用手術装置の主な構成を分離した分離斜視図であり、
図4は本発明の一実施形態に係るツールの移動距離表示機能を有する医療用手術装置を示す断面図である。
図5は本発明の一実施形態に係るツールの移動距離表示機能を有する医療用手術装置の要部を示す切開斜視図として距離表示ゲージは装着された状態と分離された状態をそれぞれ示している。
図6は本発明の一実施形態に係るツールの移動距離表示機能を有する医療用手術装置の作動状態を説明するための図であって、(a)は人工寛骨臼カップの挿入が完了した状態を、(b)は人工寛骨臼カップの目標位置(Impacting Depth)が設定された状態をそれぞれ示している。
【0034】
図1~
図6を参照すると、本発明の一実施形態に係るツールの移動距離表示機能を有する医療用手術装置は、手術の過程でツールの移動距離を正確かつ便利に知ることができるようにすることで、手術の精度を向上させるためのことで、特に人工股関節の手術時に人工寛骨臼カップが骨盤骨の挿入目標位置iまでの深さを容易に認識できるように具現したことに特徴がある。
【0035】
本発明の一実施形態に係るツールの移動距離表示機能を有する医療用手術装置は、ツールシャフトt11を備えた医療用ツールtと、医療用ツールの挿入のために内部にツール装着孔が形成されたホルダー本体1と、ホルダー本体に挿入される医療用ツールを支持するツール支持手段2と、医療用ツールtをホルダー本体1に結束するためのツール結束手段3、及びホルダー本体を医療用ロボットのアーム(図示せず)に設置するためのホルダー支持部材4を備えて、医療用ツールtの移動距離の認知のために移動距離を表示する移動距離表示手段9が備えられている。
【0036】
ここで、移動距離dは、人工寛骨臼カップcの設定目標位置(Impacting Depth)までの距離であるか、設定の目標位置iまで残った距離を意味する。
【0037】
前記移動距離表示手段9は、ツールシャフトt11に形成され、ツールシャフトと連動する移動距離感知用変位部91と、移動距離感知用変位部91の変位を感知して表示する移動距離表示部92で構成されている。
【0038】
そして、移動距離表示手段9は、移動距離感知用変位部91と移動距離表示部92とを備え、ツールシャフトt11の移動距離を効果的に表示できるものであれば、形態や構造に特に制限はないが、本実施形態においては、以下のように信頼性を確保できるように機械的接触方式で移動距離を検出して表示するように構成されている。
【0039】
例えば、移動距離感知用変位部91は、医療用ツールt1の前進方向に直径が徐々に増加する距離感知傾斜面911を有する構造でツールシャフトt11に形成されている。
【0040】
そして、移動距離感知用変位部91は、距離感知傾斜面911を有する構造であれば、形態、構造などに特に制限はないが、本実施形態においては略円錐状に形成されている。このとき、距離感知傾斜面911の傾きは、ツールシャフトt11が1mm移動する場合、距離表示ゲージの指針が1mm変化するように形成されている。
【0041】
移動距離表示部92は、距離感知傾斜面911に測定端が接触して移動するようにホルダー本体1に設けられ、距離感知傾斜面911の高低に対応して移動距離を表示する距離表示ゲージで構成される。
【0042】
前記距離表示ゲージは、端部に測定子923を有するスピンドル922が備えられたステム921と、ステム921に結合され、測定子923の出没(上下移動)度合いに従って回転される指針924と指針が回転する目盛板925が組み込まれた表示ハウジング926と、を含むアナログ方式のダイヤルゲージで構成されている。そして、アナログ方式のダイヤルゲージは、周知のように表示ハウジング926の内部でスピンドル922の動きに対応して指針924を回転させるラック及びピニオンのようなギア部(図示せず)及びスパイラルスプリング(図示せず)を含む指針駆動部(図示せず)が内蔵されたもので周知の構成であるので、具体的な図示を省略する。
【0043】
そして、前記距離表示ゲージは、図面で示していないが、端部に測定子を有するスピンドルを備えたステムと、ステムに結合され、測定子の出没度合いに従って数字が表示される表示部を有するデジタル方式のダイヤルゲージ(図示せず)で構成されることができる。
【0044】
また、移動距離表示手段9は、感知された移動距離を手術制御用端末や手術ロボットの制御部に送信できるように構成することができる。
【0045】
ホルダー本体1は、
図5に示すように、移動距離感知用変位部91と対応する位置にステム921が設けられるようにツール装着孔12と連通する締結ボス115が突出して形成されている。
【0046】
一方、前記移動距離表示手段9は、ツールシャフトt11の移動距離を様々な位置で認知することができ、距離表示ゲージと共に重複して誤りなく認知及び確認できるように医療用ツールtに軸目盛り部93が形成されている。
【0047】
軸目盛り部93は、ホルダー本体1に挿入された医療用ツールtのツールシャフトt11の露出部位に形成される複数の目盛り931と、距離を表示するアラビア数字とを備える。
【0048】
好ましくは、軸目盛り部93は、ホルダー本体1の後方のツールシャフトt11に位置するように形成されたことで、医療用ツールの所望の目標移動距離の設定時、ホルダー本体1の後方の端部(ホルダー本体の後方の先端の線上)に目標移動距離に該当する目盛りを一致させる方式で引いて設定することができる。
【0049】
医療用ツールtは、ツールシャフトt11を有する医療用ツールであれば特に制限はないが、インパクターt1が適用された例を基準として説明する。そして、インパクターt1は、外観の形状が直線状の構造で形成されたストレートインパクター(straight impactor handle)が適用できるが、本実施形態においては、外観の形状が屈曲した形態の屈曲型インパクター(curved impactor handle)が適用された例を基準として説明する。
【0050】
屈曲型インパクターは、略棒状に形成され、ホルダー本体1に挿入される直線構造のツールシャフトt11と、このツールシャフトの一側に延びるツール屈曲部t12と、ツールシャフトの他側の端部に設けられ、手術時にハンマーの打撃力が印加されるキャップ状の打撃部t13を備える。
【0051】
屈曲型インパクターは、ツールシャフトt11に移動可能に挿入され、後述するホルダー本体1のツール取付溝部15に結合され、後述する係止部33が形成されたインパクター固定部材5が備えられている。
【0052】
図7aは
図3の「A」部のツールシャフト部の分離状態を示す分離斜視図であり、
図7bは
図4の「A」部の拡大図であり、
図7cは
図4の「B」部の拡大図である。
図8は本発明の一実施形態に係るツールの移動距離表示機能を有する医療用手術装置のホルダー本体部分を示す分離斜視図であり、
図9は本発明の一実施形態に係るツールの移動距離表示機能を有する医療用手術装置のホルダー本体に医療用ツールを装着する過程を説明するための図である。
【0053】
図7aを参照すると、インパクター固定部材5は、ツールシャフトt11に挿入され、後述する係止部33が形成される円筒体51と、円筒体51の外側に突出する止め輪52を備える。
【0054】
ホルダー本体1は、
図4乃至
図8に示すように、医療用ツールtを固定するハウジングの機能を果たす構成要素であり、中空柱体11に医療用ツールの挿入のために内部にツール装着孔12が長手方向に形成された構造となっている。
【0055】
中空柱体11は、パイプ形状を有するホルダー本体111と、ホルダー本体の後方部位に衝撃低減装置8の外径部分が無理嵌めする程度の内径を有する衝撃低減装置挿入部が形成された衝撃低減装置取付部112と、衝撃低減装置8に外力が作用しても後方に押さないように内径が縮小されたレデューシング部113が形成されている。
【0056】
前記ツール装着孔12には、
図7c及び
図8に示すように、内周面にツール支持案内部材21が載置するように形成される案内部材取付溝部13と、ホルダー支持部材4の設置のためのホルダー結束部材16が設けられるように案内部材取付溝部13と接して形成される支持部材取付溝部14, 及び医療用ツールの挿入のためにツール装着孔12の一側の端部に形成されるツール取付溝部15が形成されている。
【0057】
前記支持部材取付溝部14は、後述するボルト161の挿入のためにボルト頭挿入溝とねじ部挿入溝を有するボルト挿入孔141と、ボルト挿入孔に接して挿入するピン挿入孔142で構成されている。
【0058】
前記ホルダー結束部材16は、ボルト挿入孔141に挿入されるボルト161と、ホルダー支持ロッド41とホルダー本体1との間に挿入される止めピン162で構成されている。
【0059】
そして、ホルダー本体1にはボルト161の締結時にボルトを挿入できるボルト引込孔19がボルト挿入孔141と同軸をなすように下方に穿孔されており、ホルダー支持ロッド41の下端が載置するロッド載置面18が平坦に形成されている。
【0060】
一方、ツール支持手段2は、ホルダー本体1に挿入される医療用ツールを支持する構成要素として、ツールシャフトt11を支持しながら動きを案内するツール支持案内部材21を備える。
【0061】
ツール支持案内部材21は、ツール装着孔12に備えられた案内部材取付溝部13の内周面に外周面が結合され、内周面にツールシャフトt11が挿入される滑り支持体で構成されている。ここで、滑り支持体は軸受で構成されてもよいが、本実施形態においては通常のオイルレスブッシュなどと称される複数の滑りブッシュが設けられている。
【0062】
一方、ホルダー支持部材4は、ホルダー本体1の支持機能を果たすように一側がホルダー本体1に結合され、他側が医療用ロボットのアーム等に設けられる構成要素である。
【0063】
前記ホルダー支持部材4は、ホルダー本体1に一端が結合されるホルダー支持ロッド41と、ホルダー支持ロッド41の他端に形成される連結板42と、連結板42に結束するアーム接続部材43を備える。
【0064】
ホルダー支持ロッド41は、傾斜して形成された棒状の部材であり、下端がホルダー本体1のロッド載置面18に載置した状態で、上述したボルト161及び止めピン162により係合されるものであり、上述したボルト挿入孔141及びピン挿入孔142と対応する位置にボルト締結孔412及びピン挿入孔413が形成されている。
【0065】
一方、ツール結束手段3は、ツール取付溝部15の内部に挿入された医療用ツールtを拘束するための構成要素であり、医療用ツールの結束及び解除動作が可能であれば特に制限なく構成することができるが、本実施形態においては、構造が簡潔かつ単純で、様々な医療用ツールを互換的に脱着できるように構成したことに特徴がある。
【0066】
前記ツール結束手段3は、
図7a、
図7c、
図8に示すようにツール取付溝部15の内部と連通するようにホルダー本体1の回りに穿孔される複数の結束孔31と、この結束孔31を介して挿入されるツール結束部材32、及びツール結束部材32が引っ掛かって係止するように医療用ツールtに形成される係止部33とを備える。
【0067】
ツール結束部材32は、結束孔31に締結されるねじ部321と、このねじ部321の端部に形成され、係止部33に挿入される係止突部322で構成されている。
【0068】
係止部33は、インパクター固定部材5に形成されるものであり、円筒体51の内側端部に凹入される流入溝331と、この流入溝に略「¬」字状に屈曲して延びる係止溝332を備える。
【0069】
上述したツール結束手段3を用いた医療用ツールtの装着過程を
図9を参照して簡単に説明すると、
図9の(a)部分に示すようにツール結束部材32の係止突部322が流入溝331と一致するように整列し、
図9の(b)部分に示すように医療用ツールt1を圧入して流入溝331の内側と進入させた後、
図9の(c)部分に示すように、略30°程度の角度で係止溝332に沿って回転させると、弾性押圧部の弾性力によって係止溝332の凹状端部333に引き込まれるので、医療用ツールt1は離脱しなくて安定して固定される。
【0070】
一方、前記ツール取付溝部15は、
図7a及び
図8に示すように内部に挿入された医療用ツールを安定的に結束するために弾性力を印加する弾性押圧部7を備えている。
【0071】
弾性押圧部7は、ツール取付溝部15に流入した医療用ツールt部分に弾性力を提供する圧縮コイルスプリング71と、この圧縮コイルスプリング71から印加される弾性力により医療用ツールを押圧する加圧リング72を備える。
【0072】
添付の図面、
図10a乃至
図10hは、本発明の一実施形態に係るツールの移動距離表示機能を有する医療用手術装置の衝撃低減装置を説明するための図であり、
図10aは分離斜視図であり、
図10bは内部構造を説明するための透視図であり、
図10cは側面図であり、
図10dは弾性部材を拡大した図であり、
図10eは離脱防止部材を拡大した図であり、
図10fは部分切開斜視図である。
図10g及び
図10hは衝撃低減装置の使用状態を説明するための図であり、
図10gはハンマーがインパクターの打撃部を正常に打撃した状態を説明するための要部拡大図であり、
図10hはハンマーがインパクター打撃部に逸れて当たった状態を説明するための要部拡大図である。
【0073】
図10a乃至
図10hを参照すると、本発明の一実施形態に係るツールの移動距離表示機能を有する医療用手術装置は、ホルダー本体1、衝撃低減装置設置部112に設けられ、ホルダー本体1に加えられる衝撃力を吸収して緩衝する衝撃低減装置8が構成されている。
【0074】
衝撃低減装置8は、衝撃低減装置本体81と、衝撃吸収部材82と、離脱防止部材83と、気密部材84とを備えたものであり、医療用ツールに異常な衝撃力が印加されても、これを吸収して緩衝することにより、ホルダー本体1、医療用ツールt等の損傷や手術に悪影響が及ばないようにする作用を行う。
【0075】
衝撃低減装置本体81は、基本骨格の機能を果たす部分であり、インパクターt1のような医療用ツールが挿入されるホルダー本体1に設けられる構成要素であり、医療用ツールのツールシャフトt11が挿入されるツール挿入孔812が形成されている。
【0076】
衝撃低減装置本体81は、略円筒状に形成されており、内部にインパクターt1のような医療用ツールのツールシャフトt11が挿入されるようにツール挿入孔812が形成されている。
【0077】
ツール挿入孔812は、後述する第1及び第2離脱防止突部8312、8322が挿入されるように対応する形状を有し、第1及び第2離脱防止突部との間に気密部材84の挿入と弾性部材821の挿入のための隙間dが設けられるように、第1及び第2離脱防止突部8312、8322の直径よりも内径の寸法が拡張した形態で形成されている。例えば、ツール挿入孔812は、3つの板ばねが挿入されるように、3つの平らな穴平面部8121と、穴平面部8121とを連結する3つの曲面頂部8122とを有する略三角柱形状の穴で形成されている。
【0078】
そして、衝撃低減装置本体81は、ツール挿入孔812に接した前後面に締結ねじ89を締結するための締結孔815が形成されている。
【0079】
一方、衝撃吸収部材82は、衝撃低減装置本体81に配置され、医療用ツールに作用する衝撃を吸収する構成要素であり、ツールシャフトt11に加えられる衝撃を吸収するように衝撃低減装置本体81に組み込まれる弾性部材821で構成されている。
【0080】
弾性部材821は、ツールシャフトt11から伝達される斜線方向の衝撃力を吸収して緩衝することができれば、特に制限なく様々な形状と構造に形成することができるが、本実施形態においては、ツールシャフトt11は丸棒状であるということを考慮して、ツールシャフトの外面と接触して衝撃力を吸収するように凸状に形成された複数の板ばねからなることに主な特徴がある。
【0081】
好ましくは、板ばねは、両端に形成された係止部8211と、係止部8211との間にツール挿入孔812の中心方向に凸状に突出する凸部8212を有する構造で形成されたもので、長方形状の板材を曲げ成形する方式で加工して形成することができる。そして、板ばねは、弾性を有する素材であれば特に制限なく選択して作製することができるが、本実施形態においては衛生性、耐久性に優れたステンレス金属薄板を用いて製造する。
【0082】
一方、離脱防止部材83は、衝撃吸収部材82の離脱を防止するように衝撃低減装置本体81に設けられる構成要素であって、衝撃低減装置本体81の両端である一端及び他端に接続される第1離脱防止フランジ831と第2離脱防止フランジ832で構成されている。
【0083】
第1離脱防止フランジ831は、衝撃低減装置本体82の一端に結束され、ツール挿入孔812と連通する貫通孔8313が形成された第1結束部8311と、この第1結束部8311の内面に突出して、板ばねの一端が離脱しないように支持する第1離脱防止突部8312を備える。
【0084】
そして、第1結束部8311は、略円板形状を有する本体の中央に貫通孔8313が形成され、衝撃低減装置本体81との締結のための複数の締結孔8314が等角度で穿孔されている。
【0085】
第2離脱防止フランジ832は、衝撃低減装置本体81の他端に結束され、略円板形状を有する本体にツール挿入孔812と連通する貫通孔8323が形成された第2結束部8321と、この第2結束部8321の内面に突出して板ばねの他端が離脱しないように支持する第2離脱防止突部8322とを備える。
【0086】
第2結束部8321は、第1結束部8311と同様に、円板状の本体に貫通孔と複数の締結孔8323とが形成された構造となっている。
【0087】
前記第1及び第2離脱防止突部8312、8322は、第1及び第2離脱防止フランジ831、832が衝撃低減装置本体81に結束した状態で係止部8211が挿入して収容される隙間dが設けられるように貫通孔8313、8323の周縁部に沿って突出している。
【0088】
特に、第1及び第2離脱防止突部8312、8322は、板ばねの収縮及び膨張時に係止部の動きを案内するように平面構造のガイド平面部8315、8325が形成されたことに特徴がある。
【0089】
気密部材84は、離脱防止部材83と衝撃低減装置本体81との接続部位の気密を保つための構成要素として、通常のOリングと称される気密リングが設けられている。
【0090】
一方、
図2の未説明符号r2は、ホルダー支持部材が接続されるように手術ロボットのアームに備えられるアーム連結部である。
【0091】
以下、本発明の一実施形態に係るツールの移動距離表示機能を有する医療用手術装置の作用を簡単に説明する。
【0092】
図11は本発明の一実施形態に係るツールの移動距離表示機能を有する医療用手術装置の作用を説明するための概略的な構成図であり、ここでbは股関節骨であり、mは股関節の位置を感知するために取り付けられたマーカー(Pelvis Marker)であり、oは股関節の位置を追跡するための位置追跡カメラ(OTS Camera)である。
【0093】
図1乃至
図11を参照すると、人工股関節手術の施行過程は、通常、股関節の寛骨臼(acetabulum)を拡孔器(reamer)を用いて切削等の前処理した後、人工寛骨臼カップ(c、acetabulum-cup)を挿入した後、インパクターを用いて圧入して固定し、人工大腿骨頭(femoral head)を接続する方式で施行する。
【0094】
このために、まず、ホルダー本体1のホルダー支持部材4を人工関節手術ロボットのアームに組み立て、医療用ツールとして拡孔器(図示せず)を装着し、回転動作を通じて股関節の寛骨臼を切削する。
【0095】
このような切削などの前処理施術が終了すると、ホルダー本体1から拡孔器を分離してインパクターt1を組み立てる。インパクターt1の組み立ては、ツールシャフトt11をツール装着孔12に挿入し、ツール結束手段3を用いて結束する方式で施行され、
図9の(a)部分に示すようにツール結束部材32の係止突部322が流入溝331と一致するように整列し、
図9の(b)部分に示すように医療用ツールt1を圧入して流入溝331の内側と進入させた後、
図9の(c)部分に示すように、略30°程度の角度で係止溝332に沿って回転させると、弾性押圧部の弾性力により係止溝332の凹状端部333に引き込まれるので、医療用ツールt1は逸脱しなくて安定して固定される。
【0096】
一方、インパクターt1の組み立てが完了すると、
図11に示すように前方に人工寛骨臼カップを設置し、ハンマーを用いてインパクターt1の打撃部t13を打撃してツールシャフトt1を前方に移動させて、股関節の寛骨臼に人工寛骨臼カップ(c、acetabulum-cup)を圧入する過程を行うことができる。このとき、ホルダー本体1は手術ロボットのアームに固定されているので移動せずに打撃力を加えられたインパクターt1が打撃方向に移動される。
【0097】
インパクターt1の打撃手術の過程は、
図10gに示すように、ユーザがハンマーを用いて打撃部t13に打撃力を加える方式で施行され、ハンマーの打撃方向がインパクターの長手方向である軸方向と同軸を成す場合、安定した施術が行われるが、
図10hに示すようにハンマーの打撃方向がインパクターの軸方向とずれて斜線方向(逸れて当たった場合)で衝撃力がインパクターに印加される場合、ホルダー本体1及びインパクターt1の変形、損傷及び破損を誘発することがありますが、衝撃低減装置8がホルダー本体1に設けられているので、衝撃吸収作用を行うことで前記の問題を未然に防止することができる。
【0098】
そして、前記の衝撃低減装置8の衝撃吸収作用は、
図10hに示すようにツールシャフトt1がツール挿入孔812に挿入されているので、ハンマーが逸れて当たった場合、ツールシャフトt11に斜線方向への変位力が発生する。 これと同時に、ツールシャフトの外周面が弾性部材821に変位力を作用するとともに凸部8212が収縮しながら衝撃力を吸収して緩衝する方式で行われる。
【0099】
一方、前記のようにインパクターt1を打撃して股関節の寛骨臼に人工寛骨臼カップcを圧入する過程をより具体的に説明すると、手術運営ソフトウェアで手術ロボットと位置追跡カメラo及びマーカーmの感知作用を基にして計算された手術位置に手術ロボットのアームを移動させてインパクトを定位置にする。 このとき、インパクトtは股関節の寛骨臼に挿入すべき人工寛骨臼カップcの設定目標位置(
図1のImpacting Depth参照)までの残り距離が分かるように、
図6の(b)に示すようにツールシャフトt11の位置を調整する。
【0100】
このようにツールシャフトt11が後方に目標位置だけ移動すると、距離感知傾斜面911の表面に接触した測定子923が押されるので、アナログ方式のダイヤルゲージの指針924が目盛表示板925の該当の目標位置距離に該当する目盛りを指示し、軸目盛り部93の目盛り931も同じ目標位置距離を指示することになる。
【0101】
このような状態で、使用者がハンマーを用いて打撃部t13に打撃力を加えて、ツールシャフトを含む人工寛骨臼カップcを前方に移動させることになるが、この時股関節の寛骨臼の進入部位に存在する干渉物(残本、皮膚組織等)に当たってツールシャフトが後方に押されるようになるが、移動距離表示部92の目盛りや軸目盛り部93の目盛り931を確認しながら打撃力を繰り返し印加し、人工寛骨臼カップcが目標位置i(
図1参照)に圧入して載置させる。
【0102】
前述したように人工寛骨臼カップcの目標位置まで残った距離を移動距離表示部92の目盛りと軸目盛り部93の目盛り931の2つで確認できるので、精度を担保でき、アナログ方式のダイヤルゲージで構成された移動距離表示部92の故障が発生しても、残りの距離をユーザが便利に確認できる長所がある。
【0103】
一方、前述したような手術の過程で患者の移動や動きが位置追跡カメラo及びマーカーmによって感知される場合、手術ロボットのアーム位置を補正して位置を並べ替えた後に施行することができる。
【0104】
以上に記載した「含む」、「構成する」または「有する」等の用語は、特に反対の記載がない限り、当該構成要素が内在できることを意味するものであり、他の構成要素を除外するものではなくて、他の構成要素をさらに含むことができると解釈されるべきである。技術的または科学的用語を含むすべての用語は、別の定義がない限り、本発明が属する技術分野で通常の知識を有する者によって一般に理解されるのと同じ意味を有する。辞典に定義された用語のように一般的に使用される用語は、関連技術の文脈上の意味と一致すると解釈されるべきであり、本発明で明確に定義されない限り、理想的または過度に形式的な意味として解釈されない。
【0105】
以上説明した本発明の一実施形態に係るツールの移動距離表示機能を有する医療用手術装置の構成及び動作について説明したが、これは例示的なものであり、本技術分野に通常の知識を有する者は本発明の技術的思想を逸脱しない範囲で前述した実施形態の一部を置換および変形することが可能であることが理解できるはずだ。
【0106】
したがって、本発明の保護範囲は、特許請求の範囲に記載された発明およびその均等物に及ぶことが理解されるべきである。
【符号の説明】
【0107】
1:ホルダー本体
11:中空柱体
12:ツール装着工
13:案内部材取付溝部
14:支持部材取付溝部
15:ツール取付溝部
16:ホルダー結束部材
2:ツール支持手段
21:ツール支持案内部材
3:ツール結束手段
31:結束孔
32:ツール結束部材
33:係止部
4:ホルダー支持部材
41:ホルダー支持ロッド
42:連結板
43:アーム接続部材
5:インパクター固定部材
7: 弾性押圧部
71:圧縮コイルスプリング
72:加圧リング
8:衝撃低減装置
81:衝撃低減装置本体
82:衝撃吸収部材
83:離脱防止部材
84:機密部材
9:移動距離表示手段
91:移動距離感知用変位部
92:移動距離表示部
93:軸目盛り部
t:医療用ツール
t1:インパクター
t11:ツールシャフト