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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024137799
(43)【公開日】2024-10-07
(54)【発明の名称】集積回路素子
(51)【国際特許分類】
   H01L 21/336 20060101AFI20240927BHJP
   H01L 21/8238 20060101ALI20240927BHJP
【FI】
H01L29/78 301X
H01L27/092 C
【審査請求】未請求
【請求項の数】10
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2024038720
(22)【出願日】2024-03-13
(31)【優先権主張番号】10-2023-0036926
(32)【優先日】2023-03-21
(33)【優先権主張国・地域又は機関】KR
(71)【出願人】
【識別番号】390019839
【氏名又は名称】三星電子株式会社
【氏名又は名称原語表記】Samsung Electronics Co.,Ltd.
【住所又は居所原語表記】129,Samsung-ro,Yeongtong-gu,Suwon-si,Gyeonggi-do,Republic of Korea
(74)【代理人】
【識別番号】110000051
【氏名又は名称】弁理士法人共生国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】黄 仁 建
(72)【発明者】
【氏名】金 眞 範
(72)【発明者】
【氏名】金 孝 珍
(72)【発明者】
【氏名】李 商 文
(72)【発明者】
【氏名】南 勇 準
(72)【発明者】
【氏名】李 泰 衡
【テーマコード(参考)】
5F048
5F140
【Fターム(参考)】
5F048AC03
5F048BA01
5F048BB09
5F048BB13
5F048BD06
5F048BG13
5F140AB03
5F140AC01
5F140BA01
5F140BA02
5F140BA03
5F140BA06
5F140BA07
5F140BA08
5F140BA09
5F140BF01
5F140BF05
5F140BF07
5F140BF10
5F140BF11
5F140BF20
5F140BF21
5F140BG08
5F140BG11
5F140BG12
5F140BG14
5F140BG36
5F140BH06
5F140BK18
5F140CB04
(57)【要約】
【課題】信頼性を向上させた集積回路素子を提供する。
【解決手段】本発明の集積回路素子は、基板上に配置されたフィン型活性領域と、フィン型活性領域のフィン上面上に配置されてフィン上面から垂直方向に離隔されたナノシートと、フィン型活性領域上でナノシートを取り囲むゲートラインと、フィン型活性領域上に配置されてナノシートに接するソース/ドレイン領域と、を備え、ナノシートは、垂直方向に沿って順次に積層された第1外側半導体シート、コア半導体シート、及び第2外側半導体シートを含む多重膜シートからなる。
【選択図】図2A

【特許請求の範囲】
【請求項1】
基板上に配置されたフィン型活性領域と、
前記フィン型活性領域のフィン上面上に配置されて前記フィン上面から垂直方向に離隔されたナノシートと、
前記フィン型活性領域上で前記ナノシートを取り囲むゲートラインと、
前記フィン型活性領域上に配置されて前記ナノシートに接するソース/ドレイン領域と、を備え、
前記ナノシートは、前記垂直方向に沿って順次に積層された第1外側半導体シート、コア半導体シート、及び第2外側半導体シートを含む多重膜シートからなることを特徴とする集積回路素子。
【請求項2】
前記第1外側半導体シート及び前記第2外側半導体シートは、ドーピングされたSi層又はドーピングされていないSi層からなり、
前記コア半導体シートは、ドーピングされたSiGe層又はドーピングされていないSiGe層からなることを特徴とする請求項1に記載の集積回路素子。
【請求項3】
前記コア半導体シートは、ドーピングされたSiGe層又はドーピングされていないSiGe層からなり、
前記コア半導体シートにおけるGe含量比は、0原子%超20原子%以下であることを特徴とする請求項1に記載の集積回路素子。
【請求項4】
前記垂直方向における前記コア半導体シートの厚さは、前記ナノシートの厚さの20%~80%であることを特徴とする請求項1に記載の集積回路素子。
【請求項5】
基板上で第1水平方向に長く延びたフィン型活性領域と、
前記フィン型活性領域のフィン上面から垂直方向に離隔された位置で前記フィン上面に対面して前記フィン上面からの垂直距離がそれぞれ異なる複数のナノシートを含むナノシートスタックと、
前記フィン型活性領域上で前記第1水平方向に交差する第2水平方向に長く延びて前記フィン型活性領域上で前記複数のナノシートを取り囲むゲートラインと、
前記フィン型活性領域上で前記ゲートラインの両側に1つずつ配置されて前記複数のナノシートにそれぞれ接する一対のソース/ドレイン領域と、を備え、
前記複数のナノシートのそれぞれは、前記垂直方向に沿って順次に積層された第1外側半導体シート、コア半導体シート、及び第2外側半導体シートを含む多重膜シートからなることを特徴とする集積回路素子。
【請求項6】
前記複数のナノシートのそれぞれのうちの前記コア半導体シートは、SiGe層からなり、
前記コア半導体シートにおけるGe含量比は、0原子%超20原子%以下であることを特徴とする請求項5に記載の集積回路素子。
【請求項7】
基板の第1領域に配置された第1トランジスタ及び前記基板の第2領域に配置された第2トランジスタを備え、
前記第1トランジスタは、
前記基板上に配置された第1フィン型活性領域と、
前記第1フィン型活性領域上に配置され、垂直方向に沿って順次に積層された第1外側半導体シート、コア半導体シート、及び第2外側半導体シートを含む多重膜シートからなる第1タイプナノシートを含む第1ナノシートスタックと、
前記第1フィン型活性領域上で前記複数の第1タイプナノシートを取り囲む第1ゲートラインと、
前記第1フィン型活性領域上に配置されて前記複数の第1タイプナノシートに接する一対の第1ソース/ドレイン領域と、を含み、
前記第2トランジスタは、
前記基板上に配置された第2フィン型活性領域と、
前記第2フィン型活性領域上に配置され、前記第1タイプナノシートとは異なる構造を有する第2タイプナノシートを含む第2ナノシートスタックと、
前記第2フィン型活性領域上で前記複数の第2タイプナノシートを取り囲む第2ゲートラインと、
前記第2フィン型活性領域上に配置されて前記複数の第2タイプナノシートに接する一対の第2ソース/ドレイン領域と、を含むことを特徴とする集積回路素子。
【請求項8】
前記第1タイプナノシートにおいて、前記第1外側半導体シート及び前記第2外側半導体シートは、ドーピングされたSi層又はドーピングされていないSi層からなり、前記コア半導体シートは、ドーピングされたSiGe層又はドーピングされていないSiGe層からなり、
前記第2タイプナノシートは、ドーピングされたSi層又はドーピングされていないSi層からなり、SiGe層を含まない単一膜シートからなることを特徴とする請求項7に記載の集積回路素子。
【請求項9】
前記第1タイプナノシートは、前記垂直方向に沿って順次に積層された第1Si層、第1SiGe層、及び第2Si層を含む多重膜シートからなり、
前記第2タイプナノシートは、前記垂直方向に沿って順次に積層された第3Si層、第2SiGe層、及び第4Si層を含む多重膜シートからなり、
前記第1SiGe層におけるGe含量比と前記第2SiGe層におけるGe含量比とは、互いに異なることを特徴とする請求項7に記載の集積回路素子。
【請求項10】
前記第1タイプナノシートは、前記垂直方向に沿って順次に積層された第1Si層、第1SiGe層、及び第2Si層を含む多重膜シートからなり、
前記第2タイプナノシートは、前記垂直方向に沿って順次に積層された第3Si層、第2SiGe層、及び第4Si層を含む多重膜シートからなり、
前記第1SiGe層の厚さと前記第2SiGe層の厚さとは、互いに異なることを特徴とする請求項7に記載の集積回路素子。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、集積回路素子に係り、より詳細には、電界効果トランジスタ(field-effect transistor)を備えた集積回路素子に関する。
【背景技術】
【0002】
集積回路素子が小型化することにより、基板上に電界効果トランジスタの集積度を増加させる必要があり、それにより同じレイアウト領域上に積層された複数の水平ナノシートを含む水平ナノシート電界効果トランジスタ(hNSFET)が開発された。半導体素子の集積度が高くなり素子が小型化することにより、水平ナノシート電界効果トランジスタにおいて、速い動作速度のみならず動作に関する正確性も要求されている。これにより、水平ナノシート電界効果トランジスタの構造の最適化のための多様な研究が進められている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2020-13997号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
本発明は、上記従来技術に鑑みてなされたものであって、本発明の目的は、信頼性を向上させた集積回路素子を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0005】
上記目的を達成するためになされた本発明の一態様による集積回路素子は、基板上に配置されたフィン型活性領域と、前記フィン型活性領域のフィン上面上に配置されて前記フィン上面から垂直方向に離隔されたナノシートと、前記フィン型活性領域上で前記ナノシートを取り囲むゲートラインと、前記フィン型活性領域上に配置されて前記ナノシートに接するソース/ドレイン領域と、を備え、前記ナノシートは、前記垂直方向に沿って順次に積層された第1外側半導体シート、コア半導体シート、及び第2外側半導体シートを含む多重膜シートからなる。
【0006】
上記目的を達成するためになされた本発明の他の様態による集積回路素子は、基板上で第1水平方向に長く延びたフィン型活性領域と、前記フィン型活性領域のフィン上面から垂直方向に離隔された位置で前記フィン上面に対面して前記フィン上面からの垂直距離がそれぞれ異なる複数のナノシートを含むナノシートスタックと、前記フィン型活性領域上で前記第1水平方向に交差する第2水平方向に長く延びて前記フィン型活性領域上で前記複数のナノシートを取り囲むゲートラインと、前記フィン型活性領域上で前記ゲートラインの両側に1つずつ配置されて前記複数のナノシートにそれぞれ接する一対のソース/ドレイン領域と、を備え、前記複数のナノシートのそれぞれは、前記垂直方向に沿って順次に積層された第1外側半導体シート、コア半導体シート、及び第2外側半導体シートを含む多重膜シートからなる。
【0007】
上記目的を達成するためになされた本発明の更に他の様態による集積回路素子は、基板の第1領域に配置された第1トランジスタ及び前記基板の第2領域に配置された第2トランジスタを備え、前記第1トランジスタは、前記基板上に配置された第1フィン型活性領域と、前記第1フィン型活性領域上に配置され、垂直方向に沿って順次に積層された第1外側半導体シート、コア半導体シート、及び第2外側半導体シートを含む多重膜シートからなる第1タイプナノシートを含む第1ナノシートスタックと、前記第1フィン型活性領域上で前記複数の第1タイプナノシートを取り囲む第1ゲートラインと、前記第1フィン型活性領域上に配置されて前記複数の第1タイプナノシートに接する一対の第1ソース/ドレイン領域と、を含み、前記第2トランジスタは、前記基板上に配置された第2フィン型活性領域と、前記第2フィン型活性領域上に配置され、前記第1タイプナノシートとは異なる構造を有する第2タイプナノシートを含む第2ナノシートスタックと、前記第2フィン型活性領域上で前記複数の第2タイプナノシートを取り囲む第2ゲートラインと、前記第2フィン型活性領域上に配置されて前記複数の第2タイプナノシートに接する一対の第2ソース/ドレイン領域と、を含む。
【発明の効果】
【0008】
本発明の集積回路素子は、チャネル領域として異種の半導体物質を含む多重膜シートからなるナノシートを含む。本発明の集積回路素子によれば、異種の半導体物質の組成比及び/又は厚さを多様に制御することで、要求されるしきい値電圧を正確に制御することができる。従って、集積回路素子の信頼性を向上させることができる。
【図面の簡単な説明】
【0009】
図1】本発明の一実施形態による第1例の集積回路素子の一部構成の平面レイアウト図である。
図2A図1のX1-X1’線断面における一部構成を示す断面図である。
図2B図1のY1-Y1’線断面における一部構成を示す断面図である。
図2C図2Aの「EX1」で示す局所領域に含まれる一部構成要素の拡大断面図である。
図3】本発明の他の実施形態による集積回路素子を説明するための断面図であり、図1のX1-X1’線断面に対応する部分の一部構成を示す断面図である。
図4】本発明の一実施形態による第2例の集積回路素子を説明するための断面図であり、図2Aの「EX1」で示す局所領域に対応する領域に含まれる一部構成要素の拡大断面図である。
図5】本発明の一実施形態による第3例の集積回路素子を説明するための断面図であり、図2Aの「EX1」で示す局所領域に対応する領域に含まれる一部構成要素の拡大断面図である。
図6】本発明の一実施形態による第4例の集積回路素子のブロック図である。
図7】本発明の一実施形態による第4例の集積回路素子の一例を説明するための断面図であり、図1のX1-X1’線断面に対応する部分のそれぞれの一部構成を示す断面図である。
図8】本発明の一実施形態による第5例の集積回路素子の一例を説明するための断面図であり、図1のX1-X1’線断面に対応する部分のそれぞれの一部構成を示す断面図である。
図9A図8の「EX51」で示す局所領域に含まれる一部構成要素の拡大断面図である。
図9B図8の「EX52」で示す局所領域に含まれる一部構成要素の拡大断面図である。
図10】本発明の一実施形態による第6例の集積回路素子のブロック図である。
図11A】本発明の一実施形態による集積回路素子の製造方法を説明するための工程順序によって示す断面図であって、図1のX1-X1’線断面に対応する部分の工程順序による一部構成を示す断面図である。
図11B図1のY1-Y1’線断面に対応する部分の工程順序による一部構成を示す断面図である。
図11C図11Aの「EXA」で示す局所領域に含まれる一部構成要素の拡大断面図である。
図12A】本発明の一実施形態による集積回路素子の製造方法を説明するための工程順序によって示す断面図であって、図1のX1-X1’線断面に対応する部分の工程順序による一部構成を示す断面図である。
図12B図1のY1-Y1’線断面に対応する部分の工程順序による一部構成を示す断面図である。
図13A】本発明の一実施形態による集積回路素子の製造方法を説明するための工程順序によって示す断面図であって、図1のX1-X1’線断面に対応する部分の工程順序による一部構成を示す断面図である。
図13B図1のY1-Y1’線断面に対応する部分の工程順序による一部構成を示す断面図である。
図14A】本発明の一実施形態による集積回路素子の製造方法を説明するための工程順序によって示す断面図であって、図1のX1-X1’線断面に対応する部分の工程順序による一部構成を示す断面図である。
図14B図1のY1-Y1’線断面に対応する部分の工程順序による一部構成を示す断面図である。
図15A】本発明の一実施形態による集積回路素子の製造方法を説明するための工程順序によって示す断面図であって、図1のX1-X1’線断面に対応する部分の工程順序による一部構成を示す断面図である。
図15B図1のY1-Y1’線断面に対応する部分の工程順序による一部構成を示す断面図である。
図16A】本発明の一実施形態による集積回路素子の製造方法を説明するための工程順序によって示す断面図であって、図1のX1-X1’線断面に対応する部分の工程順序による一部構成を示す断面図である。
図16B図1のY1-Y1’線断面に対応する部分の工程順序による一部構成を示す断面図である。
図17A】本発明の一実施形態による集積回路素子の製造方法を説明するための工程順序によって示す断面図であって、図1のX1-X1’線断面に対応する部分の工程順序による一部構成を示す断面図である。
図17B図1のY1-Y1’線断面に対応する部分の工程順序による一部構成を示す断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0010】
以下、本発明を実施するための形態の具体例を、図面を参照しながら詳細に説明する。図面上の同じ構成要素については、同じ参照符号を使用し、それらについての重複説明は省略する。
【0011】
図1は、本発明の一実施形態による第1例の集積回路素子100の一部構成の平面レイアウト図である。図2Aは、図1のX1-X1’線断面における一部構成を示す断面図である。図2Bは、図1のY1-Y1’線断面における一部構成を示す断面図である。図2Cは、図2Aの「EX1」で示す局所領域に含まれる一部構成要素の拡大断面図である。図1及び図2A図2Cを参照して、ナノワイヤ又はナノシート状の活性領域と活性領域を取り囲むゲートを含むゲートオールアラウンド(gate-all-around)構造を有する電界効果トランジスタとを含む集積回路素子100について説明する。
【0012】
図1及び図2A図2Cを参照すると、集積回路素子100は、基板102と、基板102から垂直方向(Z方向)に突出したフィン型(fin-type)活性領域F1とを含む。フィン型活性領域F1は、第1水平方向(X方向)に沿って長く延びる。
【0013】
基板102は、Si若しくはGeのような半導体、或いはSiGe、SiC、GaAs、InAs、InGaAs、又はInPのような化合物半導体を含む。本明細書で使用する用語「SiGe」、「SiC」、「GaAs」、「InAs」、「InGaAs」、及び「InP」は、それぞれの用語に含まれる元素からなる材料を意味し、化学量論的関係を示す化学式ではない。基板102は、導電領域、例えば不純物がドーピングされたウェル(well)又は不純物がドーピングされた構造物を含む。
【0014】
基板102上には、フィン型活性領域F1のそれぞれの両側壁を覆う素子分離膜112が配置される。素子分離膜112は、酸化膜、窒化膜、又はそれらの組み合わせからなる。
【0015】
フィン型活性領域F1上にナノシートスタックNSS及びゲートライン160が配置される。ゲートライン160は、第1水平方向(X方向)に交差する第2水平方向(Y方向)に長く延びる。
【0016】
ナノシートスタックNSSは、フィン型活性領域F1から垂直方向(Z方向)に離隔された位置でフィン上面FTに対面する。本明細書で使用する用語「ナノシート」は、電流が流れる方向に実質的に垂直な断面を有する導電性構造体を意味する。ナノシートは、ナノワイヤを含むものと理解されなければならない。ナノシートスタックNSSは、それぞれフィン型活性領域F1のフィン上面FT上でそれぞれ垂直方向(Z方向)にオーバーラップする第1ナノシートN1、第2ナノシートN2、及び第3ナノシートN3を含む。
【0017】
ゲートライン160は、ナノシートスタックNSSに含まれる第1ナノシートN1、第2ナノシートN2、及び第3ナノシートN3を取り囲む。フィン型活性領域F1とゲートライン160とが交差する領域でトランジスタTR1が形成される。一実施形態において、トランジスタTR1は、NMOSトランジスタである。他の実施形態において、トランジスタTR1は、PMOSトランジスタである。
【0018】
ナノシートスタックNSSに含まれる第1ナノシートN1、第2ナノシートN2、及び第3ナノシートN3は、フィン上面FTからの垂直距離(Z方向距離)がそれぞれ異なる。フィン型活性領域F1のフィン上面FT上に配置されるナノシートスタックNSS及びゲートライン160のそれぞれの数は、特に制限されない。例えば、1個のフィン型活性領域F1上には、1個又は複数のナノシートスタックNSSと、1本又は複数のゲートライン160とが配置される。図2A及び図2Bには、1個のナノシートスタックNSSが3枚のナノシート、即ち第1ナノシートN1、第2ナノシートN2、及び第3ナノシートN3を含む場合を例示するが、1個のナノシートスタックNSSを構成するナノシートの数は、特に制限されない。例えば、1個のナノシートスタックNSSは、それぞれ1枚、2枚、又は4枚以上のナノシートを含む。
【0019】
第1ナノシートN1、第2ナノシートN2、及び第3ナノシートN3は、それぞれチャネル領域を構成する。一実施形態において、第1ナノシートN1、第2ナノシートN2、及び第3ナノシートN3は、垂直方向(Z方向)に沿って実質的に同じ厚さを有する。他の実施形態において、第1ナノシートN1、第2ナノシートN2、及び第3ナノシートN3のうちの少なくとも一部は、垂直方向(Z方向)に沿って互いに異なる厚さを有する。
【0020】
ナノシートスタックNSSに含まれる第1ナノシートN1、第2ナノシートN2、及び第3ナノシートN3は、それぞれ垂直方向(Z方向)に沿って順次に積層された第1外側半導体シートS1、コア半導体シートS2、及び第2外側半導体シートS3を含む多重膜シートからなる。第1ナノシートN1、第2ナノシートN2、及び第3ナノシートN3のそれぞれで、第1外側半導体シートS1の上面はコア半導体シートS2の底面に接し、コア半導体シートS2の上面は第2外側半導体シートS3の底面に接する。
【0021】
多重膜シートにおいて、コア半導体シートS2の構成物質は、第1外側半導体シートS1及び第2外側半導体シートS3のそれぞれの構成物質とは異なる物質からなる。一実施形態において、第1ナノシートN1、第2ナノシートN2、及び第3ナノシートN3のそれぞれで、第1外側半導体シートS1及び第2外側半導体シートS3はドーピングされたSi層又はドーピングされていないSi層からなり、コア半導体シートS2はドーピングされたSiGe層又はドーピングされていないSiGe層からなる。コア半導体シートS2がSiGe層からなる場合、コア半導体シートS2内におけるGe含量比は、約0原子%超約20原子%以下の範囲内で選択される値を有する。
【0022】
一実施形態において、第1ナノシートN1、第2ナノシートN2、及び第3ナノシートN3は、それぞれp型ドープ剤又はn型ドープ剤でドーピングされる。p型ドープ剤はB(boron)及びGa(gallium)のうちから選択され、n型ドープ剤はP(phosphorus)、As(arsenic)及びSb(antimony)のうちから選択されるが、それらに限定されるものではない。
【0023】
一実施形態において、第1ナノシートN1、第2ナノシートN2、及び第3ナノシートN3のそれぞれで、第1外側半導体シートS1、コア半導体シートS2、及び第2外側半導体シートS3のそれぞれの厚さは、互いに同一である。他の実施形態において、第1ナノシートN1、第2ナノシートN2、及び第3ナノシートN3のそれぞれで、第1外側半導体シートS1、コア半導体シートS2、及び第2外側半導体シートS3のうちの少なくとも一部は、互いに異なる厚さを有する。
【0024】
図2Cに例示したように、垂直方向(Z方向)に、第1外側半導体シートS1は第1厚さTH1を有し、コア半導体シートS2は第2厚さTH2を有し、第2外側半導体シートS3は第3厚さTH3を有する。一実施形態において、第1厚さTH1、第2厚さTH2、及び第3厚さTH3は、互いに同一である。他の実施形態において、第1厚さTH1、第2厚さTH2、及び第3厚さTH3のうちの少なくとも一部は、互いに異なる厚さを有する。
【0025】
一実施形態において、第1ナノシートN1、第2ナノシートN2、及び第3ナノシートN3のうちから選択される1枚のナノシートで、コア半導体シートS2の第2厚さTH2は、選択された1枚のナノシートの垂直方向(Z方向)の厚さの約20%~約80%である。例えば、垂直方向(Z方向)に、第1ナノシートN1、第2ナノシートN2、及び第3ナノシートN3は約4nm~約8nmの範囲内で選択される厚さを有し、第1ナノシートN1、第2ナノシートN2、及び第3ナノシートN3のそれぞれに含まれるコア半導体シートS2は約1nm~約6nmの範囲内で選択される厚さを有するが、それに限定されるものではない。
【0026】
一実施形態において、1つのナノシートスタックNSSに含まれる第1ナノシートN1、第2ナノシートN2、及び第3ナノシートN3は、それぞれ第1水平方向(X方向)に互いに同じサイズを有する。他の実施形態において、1枚のナノシートスタックNSSに含まれる第1ナノシートN1、第2ナノシートN2、及び第3ナノシートN3のうちの少なくとも一部は、第1水平方向(X方向)に、互いに異なる大きさを有する。例えば、第1水平方向(X方向)に、第1ナノシートN1、第2ナノシートN2、及び第3ナノシートN3のうちのフィン上面FTに比較的近い第1ナノシートN1及び第2ナノシートN2のそれぞれの長さは、フィン上面FTから最も遠い第3ナノシートN3の長さよりも長い。
【0027】
ゲートライン160は、メインゲート部分160M及び複数のサブゲート部分160Sを含む。メインゲート部分160Mは、ナノシートスタックNSSの上面を覆い、第2水平方向(Y方向)に長く延びる。複数のサブゲート部分160Sは、メインゲート部分160Mに一体に連結され、第1ナノシートN1、第2ナノシートN2、及び第3ナノシートN3のそれぞれの間、及びフィン上面FTと第1ナノシートN1との間にそれぞれ1つずつ配置される。
【0028】
ゲートライン160は、それぞれ金属、金属窒化物、金属炭化物、又はそれらの組み合わせからなる。金属は、Ti、W、Ru、Nb、Mo、Hf、Ni、Co、Pt、Yb、Tb、Dy、Er、及びPdのうちから選択される。金属窒化物は、TiN及びTaNのうちから選択される。金属炭化物は、TiAlCである。一実施形態において、ゲートライン160は、それぞれ金属窒化膜、金属膜、導電性キャッピング膜、及びギャップフィル(gap-fill)金属膜が順次に積層された構造を有する。金属窒化膜及び金属膜は、Ti、Ta、W、Ru、Nb、Mo、及びHfのうちから選択される少なくとも1つの金属を含む。ギャップフィル金属膜は、W、Al、又はそれらの組み合わせからなる。ゲートライン160は、それぞれ少なくとも1つの仕事関数金属含有膜を含む。少なくとも1つの仕事関数金属含有膜は、Ti、W、Ru、Nb、Mo、Hf、Ni、Co、Pt、Yb、Tb、Dy、Er、及びPdのうちから選択される少なくとも1つの金属を含む。一実施形態において、ゲートライン160は、それぞれ第1仕事関数金属含有膜、第2仕事関数金属含有膜、及びギャップフィル金属膜のうちから選択される少なくとも2層を含む積層構造からなる。例えば、第1仕事関数金属含有膜は、TiN膜からなる。第2仕事関数金属含有膜は、第1TiN膜、TiAlC膜、及び第2TiN膜の組み合わせからなる。一実施形態において、ゲートライン160は、それぞれTiN膜、TiAlC/TiN/Wの積層構造、TiN/TaN/TiAlC/TiN/Wの積層構造、又はTiN/TaN/TiN/TiAlC/TiN/Wの積層構造を含む。しかし、ゲートライン160のそれぞれの構成物質は、前記例示したものに限定されるものではなく、本発明の技術的思想の範囲内で多様な変形及び変更が可能である。
【0029】
図2Aに例示したように、ゲートライン160の両側で、フィン型活性領域F1の上面に一対のリセスR1が形成される。図2Aには、一対のリセスR1のそれぞれの最低面の垂直レベルがフィン型活性領域F1のフィン上面FTの垂直レベルよりも低い場合を例示するが、本発明の技術的思想は、それに限定されない。一対のリセスR1のそれぞれの最低面の垂直レベルは、フィン型活性領域F1のフィン上面FTの垂直レベルと同一であるか又は類似し得る。本明細書で使用する用語「垂直レベル」は、基板102の主面102Mから垂直方向(Z方向又は-Z方向)に沿う距離を意味する。
【0030】
一対のリセスR1上には、一対のソース/ドレイン領域130が配置される。一対のソース/ドレイン領域130は、フィン型活性領域F1上でゲートライン160の両側に1つずつ配置される。一対のソース/ドレイン領域130は、第1ナノシートN1、第2ナノシートN2、及び第3ナノシートN3のそれぞれに接する。一対のソース/ドレイン領域130は、第1ナノシートN1、第2ナノシートN2、及び第3ナノシートN3のそれぞれを構成する第1外側半導体シートS1、コア半導体シートS2、及び第2外側半導体シートS3に接する。
【0031】
トランジスタTR1がPMOSトランジスタ領域である場合、一対のソース/ドレイン領域130は、p型ドープ剤でドーピングされたSiGe層からなる。トランジスタTR1がNMOSトランジスタ領域である場合、一対のソース/ドレイン領域130は、n型ドープ剤でドーピングされたSi層又はn型ドープ剤でドーピングされたSiC層からなる。p型ドープ剤及びn型ドープ剤のそれぞれの例は、上述した通りである。
【0032】
ナノシートスタックNSSを構成する第1ナノシートN1、第2ナノシートN2、及び第3ナノシートN3とゲートライン160との間には、ゲート誘電膜152が介在する。ゲート誘電膜152は、第1ナノシートN1、第2ナノシートN2、及び第3ナノシートN3のそれぞれを取り囲む部分と、メインゲート部分160Mの側壁を覆う部分とを含む。ゲート誘電膜152は、第1ナノシートN1、第2ナノシートN2、及び第3ナノシートN3のそれぞれの第1外側半導体シートS1及び第2外側半導体シートS3に接し、第1ナノシートN1、第2ナノシートN2、及び第3ナノシートN3のそれぞれのコア半導体シートS2から垂直方向(Z方向)に離隔される。
【0033】
ゲート誘電膜152は、インターフェース膜と誘電膜との積層構造からなる。インターフェース膜は、誘電率が約9以下の低誘電物質膜、例えばシリコン酸化膜、シリコン酸窒化膜、又はそれらの組み合わせからなる。一実施形態において、インターフェース膜は省略される。誘電膜は、シリコン酸化膜よりも誘電定数が大きい物質からなる。例えば、誘電膜は、約10~25の誘電定数を有する。誘電膜は、ハフニウム酸化物からなるが、それに限定されるものではない。
【0034】
図2Aに例示したように、ゲートライン160のそれぞれの両側壁は、外側絶縁スペーサ118で覆われる。外側絶縁スペーサ118は、フィン型活性領域F1及び素子分離膜112の上で第2水平方向(Y方向)に沿って長く延びる。外側絶縁スペーサ118は、ナノシートスタックNSSの上面上でメインゲート部分160Mの両側壁を覆う部分と、素子分離膜112上でゲートライン160を覆う部分とを含む。外側絶縁スペーサ118は、ゲート誘電膜152を挟んでゲートライン160から離隔される。外側絶縁スペーサ118は、シリコン窒化物、シリコン酸化物、SiCN、SiBN、SiON、SiOCN、SiBCN、SiOC、又はそれらの組み合わせからなる。本明細書で使用する用語「SiCN」、「SiBN」、「SiON」、「SiOCN」、「SiBCN」、及び「SiOC」は、それぞれの用語に含まれる元素からなる材料を意味し、化学量論的関係を示す化学式ではない。
【0035】
第1ナノシートN1、第2ナノシートN2、及び第3ナノシートN3のそれぞれの間、及びフィン型活性領域F1と第1ナノシートN1との間で、複数のサブゲート部分160Sのそれぞれの両側壁は、ゲート誘電膜152を挟んで一対のソース/ドレイン領域130から離隔される。一対のソース/ドレイン領域130は、それぞれ第1水平方向(X方向)に、ナノシートスタックNSS及び複数のサブゲート部分160Sに対面する。
【0036】
ゲートライン160、ゲート誘電膜152、及び外側絶縁スペーサ118のそれぞれの上面は、キャッピング絶縁パターン164で覆われる。キャッピング絶縁パターン164は、シリコン窒化膜からなる。ゲートライン160のメインゲート部分160Mは、外側絶縁スペーサ118を挟んで一対のソース/ドレイン領域130から離隔される。
【0037】
一対のソース/ドレイン領域130は、絶縁ライナー142で覆われる。絶縁ライナー142は、一対のソース/ドレイン領域130のそれぞれの表面と外側絶縁スペーサ118とをコンフォーマルに覆う。絶縁ライナー142は、SiN、SiCN、SiBN、SiON、SiOCN、SiBCN、SiOC、SiO2、又はそれらの組み合わせからなる。絶縁ライナー142は、ゲート間絶縁膜144で覆われる。ゲート間絶縁膜144は、シリコン酸化膜、シリコン窒化膜、SiON、SiOCN、又はそれらの組み合わせからなる。
【0038】
図1及び図2A図2Cを参照して説明した集積回路素子100は、トランジスタTR1のチャネル領域として第1ナノシートN1、第2ナノシートN2、及び第3ナノシートN3を含むナノシートスタックNSSを含み、第1ナノシートN1、第2ナノシートN2、及び第3ナノシートN3は、それぞれ垂直方向(Z方向)に沿って順次に積層された第1外側半導体シートS1、コア半導体シートS2、及び第2外側半導体シートS3を含む多重膜シートからなる。多重膜シートで、コア半導体シートS2の構成物質は、第1外側半導体シートS1及び第2外側半導体シートS3のそれぞれの構成物質とは異なる物質からなる。集積回路素子100において、トランジスタTR1のしきい値電圧を調節するために、多重膜シートに含まれる第1外側半導体シートS1、コア半導体シートS2、及び第2外側半導体シートS3のそれぞれを構成する半導体物質の組成比及び/又は厚さを多様に変化させる。例えば、第1外側半導体シートS1及び第2外側半導体シートS3がドーピングされたSi層又はドーピングされていないSi層からなる場合、コア半導体シートS2は、ドーピングされたSiGe層又はドーピングされていないSiGe層からなる。この際、SiGe層におけるGe含量比を制御するか、或いは第1ナノシートN1、第2ナノシートN2、及び第3ナノシートN3のそれぞれで、SiGe層の相対的な厚さを制御してトランジスタTR1のしきい値電圧を所望の範囲に調節する。一実施形態において、コア半導体シートS2がSiGe層からなる場合、SiGe層におけるGe含量比が大きくなるほど、トランジスタTR1のしきい値電圧は低くなる。一実施形態において、コア半導体シートS2がSiGe層からなる場合、SiGe層の厚さが厚くなるほど、トランジスタTR1のしきい値電圧は低くなる。上述したように、第1ナノシートN1、第2ナノシートN2、及び第3ナノシートN3のそれぞれで、コア半導体シートS2の構成物質の組成比及び/又は相対的な厚さを制御することで、トランジスタTR1で要求されるしきい値電圧を正確に制御することができる。従って、集積回路素子100の信頼性を向上させることができる。
【0039】
図3は、本発明の他の実施形態による集積回路素子100Aを説明するための断面図であり、図1のX1-X1’線断面に対応する部分の一部構成を示す断面図である。図3において、図1及び図2A図2Cと同じ参照符号は同じ部材を示し、ここではそれらについての重複説明を省略する。
【0040】
図3を参照すると、集積回路素子100Aは、図1及び図2A図2Cを参照して説明した集積回路素子100と略同じ構成を有する。但し、集積回路素子100Aは、一対のソース/ドレイン領域130上に配置された一対のソース/ドレインコンタクト184を更に含む。一対のソース/ドレインコンタクト184は、それぞれソース/ドレイン領域130上で垂直方向(Z方向)に長く延びる。ソース/ドレイン領域130とソース/ドレインコンタクト184との間には、金属シリサイド膜182が介在する。一対のソース/ドレイン領域130は、それぞれ金属シリサイド膜182を挟んでソース/ドレインコンタクト184から離隔される。一対のソース/ドレインコンタクト184は、それぞれ金属シリサイド膜182を介してソース/ドレイン領域130に連結される。一対のソース/ドレインコンタクト184は、それぞれゲート間絶縁膜144及び絶縁ライナー142を垂直方向(Z方向)に貫通してソース/ドレイン領域130の内部まで延びるコンタクトホール180Hの内部を満たす。一対のソース/ドレイン領域130は、それぞれソース/ドレインコンタクト184の底部を取り囲む。
【0041】
一実施形態において、一対のソース/ドレインコンタクト184は、それぞれ金属、導電性金属窒化物、又はそれらの組み合わせからなる。例えば、一対のソース/ドレインコンタクト184は、それぞれW、Mo、Cu、Al、Ti、Ta、TiN、TaN、それらの合金、又はそれらの組み合わせからなる。一実施形態において、金属シリサイド膜182は、チタンシリサイドからなるが、それに限定されるものではない。
【0042】
図4は、本発明の一実施形態による第2例の集積回路素子200を説明するための断面図であり、図2Aの「EX1」で示す局所領域に対応する領域に含まれる一部構成要素の拡大断面図である。図4において、図1及び図2A図2Cと同じ参照符号は同じ部材を示し、ここではそれらについての重複説明を省略する。
【0043】
図4を参照すると、集積回路素子200は、図1及び図2A図2Cを参照して説明した集積回路素子100と略同じ構成を有する。集積回路素子200は、図2A図2Cを参照して説明したように、第1ナノシートN1、第2ナノシートN2、及び第3ナノシートN3を含むナノシートスタックNSSを含む。但し、集積回路素子200において、第1ナノシートN1、第2ナノシートN2、及び第3ナノシートN3は、それぞれ垂直方向(Z方向)に沿って順次に積層された第1外側半導体シートS21、コア半導体シートS22、及び第2外側半導体シートS23を含む多重膜シートからなる。第1ナノシートN1、第2ナノシートN2、及び第3ナノシートN3のそれぞれで、第1外側半導体シートS21の上面はコア半導体シートS22の底面に接し、コア半導体シートS22の上面は第2外側半導体シートS23の底面に接する。
【0044】
第1外側半導体シートS21、コア半導体シートS22、及び第2外側半導体シートS23に関する更に詳細な構成は、図2A図2Cを参照して、第1外側半導体シートS1、コア半導体シートS2、及び第2外側半導体シートS3について説明したものと同一である。但し、垂直方向(Z方向)において、第1外側半導体シートS21は第1厚さTH21を有し、コア半導体シートS22は第2厚さTH22を有し、第2外側半導体シートS23は第3厚さTH23を有する。ここで、第2厚さTH22は、第1厚さTH21及び第3厚さTH23のそれぞれよりも薄い。一実施形態において、第1厚さTH21及び第3厚さTH23は同一である。他の実施形態において、第1厚さTH21及び第3厚さTH23は、互いに異なる。
【0045】
図5は、本発明の一実施形態による第3例の集積回路素子300を説明するための断面図であり、図2Aの「EX1」で示す局所領域に対応する領域に含まれる一部構成要素の拡大断面図である。図5において、図1及び図2A図2Cと同じ参照符号は同じ部材を示し、ここではそれらについての重複説明を省略する。
【0046】
図5を参照すると、集積回路素子300は、図1及び図2A図2Cを参照して説明した集積回路素子100と略同じ構成を有する。集積回路素子300は、図2A図2Cを参照して説明したように、第1ナノシートN1、第2ナノシートN2、及び第3ナノシートN3を含むナノシートスタックNSSを含む。但し、集積回路素子300において、第1ナノシートN1、第2ナノシートN2、及び第3ナノシートN3は、それぞれ垂直方向(Z方向)に沿って順次に積層された第1外側半導体シートS31、コア半導体シートS32、及び第2外側半導体シートS33を含む多重膜シートからなる。第1ナノシートN1、第2ナノシートN2、及び第3ナノシートN3のそれぞれで、第1外側半導体シートS31の上面はコア半導体シートS32の底面に接し、コア半導体シートS32の上面は第2外側半導体シートS33の底面に接する。
【0047】
第1外側半導体シートS31、コア半導体シートS32、及び第2外側半導体シートS33に関する更に詳細な構成は、図2A図2Cを参照して、第1外側半導体シートS1、コア半導体シートS2、及び第2外側半導体シートS3について説明したものと同一である。但し、垂直方向(Z方向)において、第1外側半導体シートS31は第1厚さTH31を有し、コア半導体シートS32は第2厚さTH32を有し、第2外側半導体シートS33は第3厚さTH33を有する。ここで、第2厚さTH32は、第1厚さTH31及び第3厚さTH33のそれぞれよりも厚い。一実施形態において、第1厚さTH31及び第3厚さTH33は、同一である。他の実施形態において、第1厚さTH31及び第3厚さTH33は、互いに異なる。
【0048】
図6は、本発明一実施形態による第4例の集積回路素子400のブロック図である。
【0049】
図6を参照すると、集積回路素子400は、第1領域AR41及び第2領域AR42を有する基板102を含む。第1領域AR41及び第2領域AR42は、基板102のそれぞれ異なる領域を指称する。
【0050】
一実施形態において、第1領域AR41及び第2領域AR42は、互いに異なるしきい値電圧が要求される領域である。一例において、第1領域AR41及び第2領域AR42は、NMOSトランジスタ領域である。他の例において、第1領域AR41及び第2領域AR42は、PMOSトランジスタ領域である。更に他の例において、第1領域AR41はNMOSトランジスタ領域であり、第2領域AR42はPMOSトランジスタ領域である。更に他の例において、第1領域AR41はPMOSトランジスタ領域であり、第2領域AR42はNMOSトランジスタ領域である。
【0051】
一実施形態において、第1領域AR41及び第2領域AR42は、互いに異なる機能を遂行する領域である。第1領域AR41及び第2領域AR42は、互いに離隔された領域であるか又は互いに連結された領域である。
【0052】
一実施形態において、第1領域AR41及び第2領域AR42はそれぞれNMOSトランジスタ領域であり、第1領域AR41は第2領域AR42におけるしきい値電圧よりも低いしきい値電圧が要求される低電圧NMOSトランジスタ領域であり、第2領域AR42は第1領域AR41におけるしきい値電圧よりも高いしきい値電圧が要求される高電圧NMOSトランジスタ領域である。他の実施形態において、第1領域AR41及び第2領域AR42はそれぞれPMOSトランジスタ領域であり、第1領域AR41は第2領域AR42におけるしきい値電圧よりも低いしきい値電圧が要求される低電圧PMOSトランジスタ領域であり、第2領域AR42は第1領域AR41におけるしきい値電圧よりも高いしきい値電圧が要求される高電圧PMOSトランジスタ領域である。本明細書で使用する用語「低電圧」及び「高電圧」は、相対的な用語であって、他の定義がない限り「低電圧」は比較対象の電圧よりも低い電圧を意味し、「高電圧」は比較対象の電圧よりも高い電圧を意味する。
【0053】
一実施形態において、第1領域AR41及び第2領域AR42は、それぞれ独立してロジックセル領域、メモリセル領域、又は周辺回路領域である。
【0054】
一実施形態において、第1領域AR41は、しきい値電圧が比較的低く、スイッチング速度の速いトランジスタが形成される領域である。一実施形態において、第1領域AR41及び第2領域AR42のうちの少なくとも1つは、単位メモリセルがマトリックス状に配列されたセルアレイ領域である。一実施形態において、第1領域AR41及び第2領域AR42のうちの少なくとも1つは、ロジックセル領域又はメモリセル領域である。ロジックセル領域は、カウンタ(counter)、バッファ(buffer)のような所望の論理的機能を遂行する標準セル(standardcells)であって、トランジスタ、レジスタのような複数の回路素子(circuitelements)を含む多様な種類の論理セルを含む。論理セルは、例えばAND、NAND、OR、NOR、XOR(exclusiveOR)、XNOR(exclusiveNOR)、INV(inverter)、ADD(adder)、BUF(buffer)、DLY(delay)、FIL(filter)、マルチプレクサ(MXT/MXIT)、OAI(OR/AND/INVERTER)、AO(AND/OR)、AOI(AND/OR/INVERTER)、Dフリップフロップ、リセットフリップフロップ、マスタースレーブフリップフロップ(master-slaverflip-flop)、ラッチ(latch)などを構成するが、それらに限定されるものではない。メモリセル領域は、SRAM、DRAM、MRAM、RRAM、及びPRAMのうちの少なくとも1つのメモリセル領域である。
【0055】
図1図5を参照して説明した集積回路素子(100、100A、200、300)、及びそれらから本発明の技術的思想の範囲内で変形及び変更された構造を有する集積回路素子は、それぞれ図6に例示する第1領域AR41及び第2領域AR42のうちの少なくとも1つの領域に形成される。一実施形態において、図6に例示する第1領域AR41及び第2領域AR42には、それぞれ図1及び図2A図2Cを参照して説明した集積回路素子100のトランジスタTR1を含み、第1領域AR41及び第2領域AR42にそれぞれ含まれるトランジスタTR1のチャネル領域を構成する第1ナノシートN1、第2ナノシートN2、及び第3ナノシートN3のそれぞれのコア半導体シートS2は、SiGe層からなる。但し、第1領域AR41に配置されたトランジスタTR1のコア半導体シートS2を構成するSiGe層におけるGe含量比と第2領域AR42に配置されたトランジスタTR1のコア半導体シートS2を構成するSiGe層におけるGe含量比とは、互いに異なる。例えば、第1領域AR41に配置されたトランジスタTR1で要求されるしきい値電圧が第2領域AR42に配置されたトランジスタTR1で要求されるしきい値電圧よりも低い場合、第1領域AR41に配置されたトランジスタTR1のコア半導体シートS2を構成するSiGe層におけるGe含量比は、第2領域AR42に配置されたトランジスタTR1のコア半導体シートS2を構成するSiGe層におけるGe含量比よりも大きくなる。
【0056】
図7は、本発明の一実施形態による第4例の集積回路素子400Aの一例を説明するための断面図であり、図1のX1-X1’線断面に対応する部分のそれぞれの一部構成を示す断面図である。図7において、図1図2A図2C、及び図6と同じ参照符号は同じ部材を示し、ここではそれらについての重複説明を省略する。
【0057】
図7を参照すると、集積回路素子400Aの基板102は、第1領域AR41及び第2領域AR42を有する。基板102の第1領域AR41には第1トランジスタTR41が配置され、基板102の第2領域AR42には第2トランジスタTR42が配置される。
【0058】
第1領域AR41に配置された第1トランジスタTR41は、図1及び図2A図2Cを参照して、トランジスタTR1について説明したものと同じ構成を有する。第1トランジスタTR41において、チャネル領域を提供するナノシートスタックNSSに含まれる第1ナノシートN1、第2ナノシートN2、及び第3ナノシートN3は、それぞれ第1外側半導体シートS1、コア半導体シートS2、及び第2外側半導体シートS3を含む多重膜シートからなる。本明細書において、第1領域AR41に配置された第1トランジスタTR41を構成する第1ナノシートN1、第2ナノシートN2、及び第3ナノシートN3は第1タイプナノシートと称され、第1領域AR41に配置されたフィン型活性領域F1は第1フィン型活性領域と称され、第1領域AR41に配置されたゲートライン160は第1ゲートラインと称され、第1領域AR41に配置されたソース/ドレイン領域130は第1ソース/ドレイン領域と称される。
【0059】
第2領域AR42に配置された第2トランジスタTR42は、図2A図2Cに例示するナノシートスタックNSSの代わりに、ナノシートスタックNSS4を含むことを除き、図1及び図2A図2Cを参照して、トランジスタTR1について説明したものと略同じ構成を有する。
【0060】
第2領域AR42に配置された第2トランジスタTR42において、チャネル領域を提供するナノシートスタックNSS4は、フィン型活性領域F4のフィン上面FT4上でそれぞれ垂直方向(Z方向)にオーバーラップする第1ナノシートN41、第2ナノシートN42、及び第3ナノシートN43を含む。第1ナノシートN41、第2ナノシートN42、及び第3ナノシートN43は、フィン上面FT4からの垂直距離(Z方向距離)がそれぞれ異なる。フィン型活性領域F4に関する詳細な構成は、図1及び図2A図2Cを参照して、フィン型活性領域F1について説明したものと同一である。
【0061】
ナノシートスタックNSS4を構成する第1ナノシートN41、第2ナノシートN42、及び第3ナノシートN43は、図2A図2Cを参照して、第1ナノシートN1、第2ナノシートN2、及び第3ナノシートN3について説明したものと略同じ構成を有する。但し、第1ナノシートN41、第2ナノシートN42、及び第3ナノシートN43は、それぞれSi層からなる単一膜シートからなる。一実施形態において、第1ナノシートN41、第2ナノシートN42、及び第3ナノシートN43は、それぞれn型ドープ剤でドーピングされたSi層からなる単一膜シートからなる。他の実施形態において、第1ナノシートN41、第2ナノシートN42、及び第3ナノシートN43は、それぞれp型ドープ剤でドーピングされたSi層からなる単一膜シートからなる。第1ナノシートN41、第2ナノシートN42、及び第3ナノシートN43は、それぞれSiGe層を含まない。
【0062】
本明細書において、第2領域AR42に配置された第2トランジスタTR42を構成する第1ナノシートN41、第2ナノシートN42、及び第3ナノシートN43は第2タイプナノシートと称され、第2領域AR42に配置されたフィン型活性領域F4は第2フィン型活性領域と称され、第2領域AR42に配置されたゲートライン160は第2ゲートラインと称され、第2領域AR42に配置されたソース/ドレイン領域130は第2ソース/ドレイン領域と称される。
【0063】
図7に例示する集積回路素子400Aにおいて、第1領域AR41に配置された第1トランジスタTR41のしきい値電圧は、第2領域AR42に配置された第2トランジスタTR42のしきい値電圧よりも低い。
【0064】
他の実施形態において、図7に例示するものとは異なり、第2領域AR42に配置された第2トランジスタTR42のチャネル領域は、第1領域AR41に配置された第1トランジスタTR41のチャネル領域を提供するナノシートスタックNSSについて説明したものと同じ構造を有する。即ち、第1領域AR41に配置された第1トランジスタTR41及び第2領域AR42に配置された第2トランジスタTR42は、それぞれチャネル領域として、第1ナノシートN1、第2ナノシートN2、及び第3ナノシートN3を含むナノシートスタックNSSを含み、第1及び第2トランジスタ(TR41、TR42)のそれぞれのチャネル領域を提供する第1ナノシートN1、第2ナノシートN2、及び第3ナノシートN3は、それぞれ垂直方向(Z方向)に沿って順次に積層された第1外側半導体シートS1、コア半導体シートS2、及び第2外側半導体シートS3を含む多重膜シートからなる。ここで、第1及び第2トランジスタ(TR41、TR42)のそれぞれのチャネル領域を提供する第1ナノシートN1、第2ナノシートN2、及び第3ナノシートN3のそれぞれに含まれるコア半導体シートS2はいずれもSiGe層からなり、第1領域AR41に配置された第1トランジスタTR41のチャネル領域を構成するコア半導体シートS2におけるGe含量比と第2領域AR42に配置された第2トランジスタTR42のチャネル領域を構成するコア半導体シートS2におけるGe含量比とは、互いに異なる。
【0065】
例えば、第1及び第2トランジスタ(TR41、TR42)のそれぞれのチャネル領域を提供する第1ナノシートN1、第2ナノシートN2、及び第3ナノシートN3のそれぞれに含まれるコア半導体シートS2はいずれもSiGe層からなり、第1領域AR41に配置された第1トランジスタTR41のチャネル領域を構成するコア半導体シートS2におけるGe含量比は、第2領域AR42に配置された第2トランジスタTR42のチャネル領域を構成するコア半導体シートS2におけるGe含量比よりも大きくなる。このように構成することにより、第1領域AR41に配置された第1トランジスタTR41のしきい値電圧は第2領域AR42に配置された第2トランジスタTR42のしきい値電圧よりも低くなる。
【0066】
図8は、本発明の一実施形態による第5例の集積回路素子500の一例を説明するための断面図であり、図1のX1-X1’線断面に対応する部分のそれぞれの一部構成を示す断面図である。図9Aは、図8の「EX51」で示す局所領域に含まれる一部構成要素の拡大断面図であり、図9Bは、図8の「EX52」で示す局所領域に含まれる一部構成要素の拡大断面図である。
【0067】
図8図9A、及び図9Bにおいて、図1図2A図2C図6、及び図7と同じ参照符号は同じ部材を示し、ここではそれらについての重複説明を省略する。
【0068】
図8図9A、及び図9Bを参照すると、集積回路素子500は、図7を参照して説明した集積回路素子400Aと略同じ構成を有する。集積回路素子500の基板102は、第1領域AR41及び第2領域AR42を有する。但し、集積回路素子500において、基板102の第1領域AR41には第1トランジスタTR51が配置され、基板102の第2領域AR42には第2トランジスタTR52が配置される。
【0069】
第1トランジスタTR51及び第2トランジスタTR52は、それぞれ図1及び図2A図2Cを参照してトランジスタTR1について説明したものと略同じ構成を有する。但し、第1トランジスタTR51はチャネル領域を提供するナノシートスタックNSS51を含み、第2トランジスタTR52はチャネル領域を提供するナノシートスタックNSS52を含む。
【0070】
第1領域AR41に配置された第1トランジスタTR51のナノシートスタックNSS51は第1ナノシートN51A、第2ナノシートN52A、及び第3ナノシートN53Aを含み、第1ナノシートN51A、第2ナノシートN52A、及び第3ナノシートN53Aは、それぞれ垂直方向(Z方向)に沿って順次に積層された第1外側半導体シートS51A、コア半導体シートS52A、及び第2外側半導体シートS53Aを含む多重膜シートからなる。本明細書において、第1領域AR41に配置された第1トランジスタTR51を構成する第1ナノシートN51A、第2ナノシートN52A、及び第3ナノシートN53Aは、第1タイプナノシートと称される。
【0071】
第2領域AR42に配置された第2トランジスタTR52のナノシートスタックNSS52は第1ナノシートN51B、第2ナノシートN52B、及び第3ナノシートN53Bを含み、第1ナノシートN51B、第2ナノシートN52B、及び第3ナノシートN53Bは、それぞれ垂直方向(Z方向)に沿って順次に積層された第1外側半導体シートS51B、コア半導体シートS52B、及び第2外側半導体シートS53Bを含む多重膜シートからなる。本明細書において、第2領域AR42に配置された第2トランジスタTR52を構成する第1ナノシートN51B、第2ナノシートN52B、及び第3ナノシートN53Bは、第2タイプナノシートと称される。
【0072】
第1領域AR41に配置された第1外側半導体シートS51A及び第2外側半導体シートS53Aと、第2領域AR42に配置された第1外側半導体シートS51B及び第2外側半導体シートS53Bとは、それぞれドーピングされたSi層又はドーピングされていないSi層からなる。そして、第1領域AR41に配置されたコア半導体シートS52Aと、第2領域AR42に配置されたコア半導体シートS52Bとは、それぞれドーピングされたSiGe層又はドーピングされていないSiGe層からなる。ドーピングされたSi層及びドーピングされたSiGe層に関する更に詳細な構成は、図2A図2Cを参照して上述した通りである。
【0073】
第1領域AR41に配置されたコア半導体シートS52Aの第1厚さTH52Aと、第2領域AR42に配置されたコア半導体シートS52Bの第2厚さTH52Bとは、互いに異なる。例えば、第1厚さTH52A及び第2厚さTH52Bは、約1nm~約6nmの範囲内で選択される互いに異なる値を有する。図8図9A、及び図9Bは、第1厚さTH52Aが第2厚さTH52Bよりも厚い構成を例示する。このように構成することにより、第1領域AR41に配置された第1トランジスタTR51のしきい値電圧は第2領域AR42に配置された第2トランジスタTR52のしきい値電圧よりも低くなる。
【0074】
一実施形態において、第1領域AR41に配置されたコア半導体シートS52Aを構成するSiGe層におけるGe含量比と、第2領域AR42に配置されたコア半導体シートS52Bを構成するSiGe層におけるGe含量比とは、同一である。例えば、第1領域AR41に配置されたコア半導体シートS52Aを構成するSiGe層におけるGe含量比、及び第2領域AR42に配置されたコア半導体シートS52Bを構成するSiGe層におけるGe含量比は、それぞれ約0原子%超過約20原子%以下の範囲内で選択される同じ値を有する。
【0075】
他の実施形態において、第1領域AR41に配置されたコア半導体シートS52Aを構成するSiGe層におけるGe含量比は、第2領域AR42に配置されたコア半導体シートS52Bを構成するSiGe層におけるGe含量比よりも大きくなる。このように構成することにより、第1領域AR41に配置された第1トランジスタTR51のしきい値電圧は第2領域AR42に配置された第2トランジスタTR52のしきい値電圧よりも低くなる。
【0076】
図10は、本発明の一実施形態による第6例の集積回路素子600のブロック図である。
【0077】
図10を参照すると、集積回路素子600は、第1領域AR61、第2領域AR62、及び第3領域AR63を有する基板102を含む。第1領域AR61、第2領域AR62、及び第3領域AR63は、基板102のそれぞれ異なる領域を指称する。
【0078】
第1領域AR61、第2領域AR62、及び第3領域AR63は、それぞれ異なるしきい値電圧が要求される領域である。一実施形態において、第1領域AR61、第2領域AR62、及び第3領域AR63のうちの少なくとも1つは、NMOSトランジスタ領域である。他の実施形態において、第1領域AR61、第2領域AR62、及び第3領域AR63のうちの少なくとも1つは、PMOSトランジスタ領域である。
【0079】
第1領域AR61、第2領域AR62、及び第3領域AR63は、それぞれ異なる機能を遂行する領域である。第1領域AR61、第2領域AR62、及び第3領域AR63のうちの少なくとも一部は、互いに離隔された領域であるか又は互いに連結された領域である。
【0080】
一実施形態において、第1領域AR61、第2領域AR62、及び第3領域AR63は、それぞれNMOSトランジスタ領域である。その場合、第1領域AR61は第2領域AR62よりも低いしきい値電圧が要求される低電圧NMOSトランジスタ領域であり、第3領域AR63は第1領域AR61よりも高いしきい値電圧が要求される高電圧NMOSトランジスタ領域であり、第2領域AR62は、第1領域AR61よりも高いが、第3領域AR63よりも低いしきい値電圧が要求される中間電圧NMOSトランジスタ領域である。
【0081】
他の実施形態において、第1領域AR61、第2領域AR62、及び第3領域AR63は、それぞれPMOSトランジスタ領域である。その場合、第1領域AR61は第2領域AR62よりも高いしきい値電圧が要求される高電圧PMOSトランジスタ領域であり、第3領域AR63は第1領域AR1よりも低いしきい値電圧が要求される低電圧PMOSトランジスタ領域であり、第2領域AR62は、第1領域AR61よりも低く、第3領域AR63よりも高いしきい値電圧が要求される中間電圧PMOSトランジスタ領域である。
【0082】
一実施形態において、第1領域AR61、第2領域AR62、及び第3領域AR63は、それぞれ独立してロジックセル領域、メモリセル領域、又は周辺回路領域である。
【0083】
一実施形態において、第1領域AR61、第2領域AR62、及び第3領域AR63のうちの少なくとも1つは、しきい値電圧が比較的高く、スイッチング速度が速くないにしても信頼性の高いトランジスタが形成される領域である。一実施形態において、第1領域AR61、第2領域AR62、及び第3領域AR63のうちの少なくとも1つは、外部のデータを集積回路素子600の内部回路に入力するか、又は集積回路素子600の内部回路からデータを外部に出力する機能を遂行する周辺回路が形成された周辺回路領域である。一実施形態において、第1領域AR61、第2領域AR62、及び第3領域AR63のうちの少なくとも1つは、入出力(I/O)回路装置の一部を構成する。
【0084】
他の実施形態において、第1領域AR61、第2領域AR62、及び第3領域AR63のうちの少なくとも1つは、しきい値電圧が比較的低く、スイッチング速度の速いトランジスタが形成される領域である。一実施形態において、第1領域AR61、第2領域AR62、及び第3領域AR63のうちの少なくとも1つは、単位メモリセルがマトリックス状に配列されたセルアレイ領域である。一実施形態において、第1領域AR61、第2領域AR62、及び第3領域AR63のうちの少なくとも1つは、ロジックセル領域又はメモリセル領域である。
【0085】
図1図9Bを参照して説明した本発明による集積回路素子(100、100A、200、300、400、400A、500)、及びそれらから本発明の技術的思想の範囲内で変形及び変更された構造を有する集積回路素子は、それぞれ図10に例示する第1領域AR61、第2領域AR62、及び第3領域AR63のうちの少なくとも1つの領域に形成される。
【0086】
図11A図17Bは、本発明の一実施形態による集積回路素子の製造方法を説明するための工程順序によって示す断面図である。更に具体的に、図11A図12A図13A図14A図15A図16A、及び図17Aは、図1のX1-X1’線断面に対応する部分の工程順序による一部構成を示す断面図である。図11B図12B図13B図14B図15B図16B、及び図17Bは、図1のY1-Y1’線断面に対応する部分の工程順序による一部構成を示す断面図である。図11Cは、図11Aの「EXA」で示す局所領域に含まれる一部構成要素の拡大断面図である。図11A図17Bを参照して、図1及び図2A図2Cに例示する集積回路素子100の例示的な製造方法を説明する。図11A図17Bにおいて、図1及び図2A図2Cと同じ参照符号は同じ部材を示し、ここではそれらに関する詳細な説明を省略する。
【0087】
図11A図11B、及び図11Cを参照すると、基板102上に複数の犠牲半導体層104と複数のナノシート半導体層NSとを一層ずつ交互に積層した積層構造を形成した後、積層構造上にマスクパターンMPを形成する。
【0088】
複数のナノシート半導体層NSは、第1外側半導体シートS1、コア半導体シートS2、及び第2外側半導体シートS3を含む多重膜シートからなる。マスクパターンMPは、シリコン酸化膜M1及びシリコン窒化膜M2の二重層構造からなる。
【0089】
複数の犠牲半導体層104及び複数のナノシート半導体層NSは、エッチング選択比が互いに異なる半導体材料からなる。一実施形態において、複数のナノシート半導体層NSのそれぞれにおいて、第1外側半導体シートS1及び第2外側半導体シートS3はドーピングされたSi層又はドーピングされていないSi層からなり、コア半導体シートS2はドーピングされたSiGe層又はドーピングされていないSiGe層からなる。コア半導体シートS2がSiGe層からなる場合、コア半導体シートS2内におけるGe含量比は、約0原子%超過約20原子%以下の範囲内で選択される値を有する。複数の犠牲半導体層104はそれぞれSiGe層からなり、複数の犠牲半導体層104を構成するSiGe層における含量比は、コア半導体シートS2内におけるGe含量比よりも大きくなる。一実施形態において、複数の犠牲半導体層104を構成するSiGe層におけるGe含量比は、約25原子%~約60原子%、例えば約30原子%~約40原子%の範囲内で選択される一定値を有する。複数の犠牲半導体層104を構成するSiGe層内におけるGe含量は、必要に応じて多様に選択される。
【0090】
図12A及び図12Bを参照すると、マスクパターンMPをエッチングマスクとして用いて複数の犠牲半導体層104、複数のナノシート半導体層NS、及び基板102のそれぞれの一部をエッチングして基板102から垂直方向(Z方向)上側に突出して第1水平方向(X方向)に長く延びるフィン型活性領域F1を形成する。フィン型活性領域F1の上部には、複数の犠牲半導体層104と複数のナノシート半導体層NSとが一層ずつ交互に積層された積層構造と、マスクパターンMPとが残留する。
【0091】
その後、フィン型活性領域F1のそれぞれの間の空間を充填してマスクパターンMPに形成された開口を満たす予備素子分離膜112Pを形成し、予備素子分離膜112Pの上面とマスクパターンMPの上面とが共面をなすように、予備素子分離膜112Pが形成された結果物をCMP(chemical mechanical polishing)工程で平坦化する。予備素子分離膜112Pの構成物質は、図2Bを参照して、素子分離膜112の構成物質について説明したものと同一である。
【0092】
図13A及び図13Bを参照すると、図12A及び図12Bの結果物で、予備素子分離膜112Pのリセス工程を遂行して低くなった上面を有する素子分離膜112を形成し、マスクパターンMPを除去して複数のナノシート半導体層NSのうちの最上層のナノシート半導体層NSの上面を露出させる。素子分離膜112の最上面の垂直レベルは、フィン型活性領域F1のフィン上面FTの垂直レベルと同一であるか又は低い。
【0093】
図14A及び図14Bを参照すると、図13A及び図13Bの結果物上に、ダミーゲート構造物DGSと、ダミーゲート構造物DGSの両側壁を覆う外側絶縁スペーサ118とを形成する。ダミーゲート構造物DGSは、図1Aに例示する複数のゲートライン160に対応する位置で、第2水平方向(Y方向)に沿って連続して長く延設される。
【0094】
ダミーゲート構造物DGSは、それぞれ酸化膜D112、ダミーゲート層D114、及びキャッピング層D116が順次に積層された構造を有する。一実施形態において、ダミーゲート層D114はポリシリコン膜からなり、キャッピング層D116はシリコン窒化膜からなる。
【0095】
その後、ダミーゲート構造物DGS及び外側絶縁スペーサ118をエッチングマスクとして用いて複数の犠牲半導体層104及び複数のナノシート半導体層NSのそれぞれの一部を除去し、複数のナノシート半導体層NSから複数のナノシートスタックNSSを形成する。複数のナノシートスタックNSSは、それぞれ第1~第3ナノシート(N1、N2、N3)をむ。複数のナノシートスタックNSSのそれぞれの間で露出するフィン型活性領域F1の一部領域をエッチングしてフィン型活性領域F1の上部に複数のリセスR1を形成する。複数のリセスR1を形成するために、フィン型活性領域F1を乾式、湿式、又はそれらの組み合わせを用いてエッチングする。
【0096】
その後、ナノシートスタックNSSの両側で、フィン型活性領域F1上に複数のソース/ドレイン領域130を形成する。複数のソース/ドレイン領域130を形成するために、複数のリセスR1の底面で、露出するフィン型活性領域F1の表面と、第1~第3ナノシート(N1、N2、N3)のそれぞれの側壁とから半導体物質をエピタキシャル成長させる。一実施形態において、複数のソース/ドレイン領域130を形成するために、元素半導体前駆体を含む原料物質を使用してLPCVD(low-pressure chemical vapor deposition)工程、SEG(selective epitaxial growth)工程、又はCDE(cyclic deposition and etching)工程を遂行する。
【0097】
一実施形態において、複数のソース/ドレイン領域130がn型ドープ剤でドーピングされたSi層からなる場合、複数のソース/ドレイン領域130を形成するために、Siソースとしてシラン(SiH)、ジシラン(Si)、トリシラン(Si)、ジクロロシラン(SiHCl)などを使用する。n型ドープ剤は、P(phosphorus)、As(arsenic)、及びSb(antimony)のうちから選択される。
【0098】
他の実施形態において、複数のソース/ドレイン領域130がp型ドープ剤でドーピングされたSiGe層からなる場合、複数のソース/ドレイン領域130を形成するために、Siソース及びGeソースを使用する。Siソースとしてシラン(SiH)、ジシラン(Si)、トリシラン(Si)、ジクロロシラン(SiHCl)などを使用する。Geソースとしてゲルマン(GeH)、ジゲルマン(Ge)、トリゲルマン(Ge)、テトラゲルマン(Ge10)、ジクロロゲルマン(GeCl)などを使用する。p型ドープ剤は、B(boron)及びGa(gallium)のうちから選択される。
【0099】
図15A及び図15Bを参照すると、図14A及び図14Bの結果物で、複数のソース/ドレイン領域130のそれぞれの表面、外側絶縁スペーサ118の表面、及び素子分離膜112の露出表面を覆う絶縁ライナー142を形成し、絶縁ライナー142上にゲート間絶縁膜144を形成する。その後、キャッピング層D116を除去し、外側絶縁スペーサ118、絶縁ライナー142、及びゲート間絶縁膜144を平坦化してダミーゲート層D114の上面を露出させる。その後、露出したダミーゲート層D114及びその下部の酸化膜D112を除去して複数のゲート空間GSを設け、複数のゲート空間GSを通じて複数のナノシートスタックNSSを露出させる。その後、得られた結果物上に残っている複数の犠牲半導体層104を、ゲート空間GSを通じて除去し、複数のゲート空間GSのそれぞれを、第1ナノシートN1、第2ナノシートN2、及び第3ナノシートN3のそれぞれの間の空間、並びに第1ナノシートN1とフィン上面FTとの間の空間まで拡張する。
【0100】
一実施形態において、複数の犠牲半導体層104を選択的に除去するために、第1ナノシートN1、第2ナノシートN2、及び第3ナノシートN3と複数の犠牲半導体層104とのエッチング選択比差を利用する。複数の犠牲半導体層104を選択的に除去するために、液相又は気相のエッチング液を使用する。一実施形態において、複数の犠牲半導体層104を選択的に除去するために、CHCOOH基盤のエッチング液、例えばCHCOOH、HNO、及びHFの混合物からなるエッチング液、又はCHCOOH、H、及びHFの混合物からなるエッチング液を利用するが、例示するものに限定されるものではない。
【0101】
図16A及び図16Bを参照すると、図15A及び図15Bの結果物で、露出した表面をコンフォーマルに覆うゲート誘電膜152を形成する。ゲート誘電膜152は、第1ナノシートN1、第2ナノシートN2、及び第3ナノシートN3のそれぞれの露出表面を覆う部分、フィン型活性領域F1のそれぞれの露出表面を覆う部分、外側絶縁スペーサ118の露出表面を覆う部分、並びに素子分離膜112の露出表面を覆う部分を含む。ゲート誘電膜152を形成するためにALD(atomic layer deposition)工程を利用する。
【0102】
図17A及び図17Bを参照すると、ゲート誘電膜152上で、複数のゲート空間GS(図14A図14D参照)を満たすゲートライン160を形成し、ゲート空間GSの一部が再び空スペースになるように、ゲート誘電膜152及びゲートライン160のそれぞれの一部を除去する。この際、再び空スペースになったゲート空間GSで、露出した外側絶縁スペーサ118の一部も共に除去される。その後、ゲート誘電膜152、ゲートライン160、及び外側絶縁スペーサ118のそれぞれの上面を覆うキャッピング絶縁パターン164を形成する。
【0103】
図3に例示する集積回路素子100aを製造するために、図17A及び図17Bの結果物において、ゲート間絶縁膜144及び絶縁ライナー142のそれぞれの一部を除去して複数のソース/ドレイン領域130のそれぞれの一部領域を露出させる複数のコンタクトホール180Hを形成し、複数のコンタクトホール180Hを通じて複数のソース/ドレイン領域130のそれぞれの上部に金属シリサイド膜182を形成し、複数のコンタクトホール180Hを満たす複数のソース/ドレインコンタクト184を形成する。
【0104】
上述の通り、図11A図17Bに基づいて図1図3に例示する集積回路素子(100、100A)の例示的な製造方法を説明したが、図11A図17Bに基づいて説明したものを参照して、本発明の技術的思想の範囲内で多様な変形及び変更を付け加え、図4図10に例示する集積回路素子(200、300、400、400A、500、600)、又はそれらから本発明の技術的思想の範囲内で多様に変形及び変更された多様な構造を有する集積回路素子を容易に製造可能であるということを、当業者であれば容易に理解するであろう。
【0105】
以上、本発明の実施形態について図面を参照しながら詳細に説明したが、本発明は上述の実施形態に限定されるものではなく、本発明の技術的思想から逸脱しない範囲内で多様に変更実施することが可能である。
【符号の説明】
【0106】
100、100A,200、300、400、400A、500、600 集積回路素子
102 基板
102M 主面
104 犠牲半導体層
112 素子分離膜
112P 予備素子分離膜
118 外側絶縁スペーサ
130 ソース/ドレイン領域
142 絶縁ライナー
144 ゲート間絶縁膜
152 ゲート誘電膜
160 ゲートライン
160M メインゲート部分
160S サブゲート部分
164 キャッピング絶縁パターン
180H コンタクトホール
182 金属シリサイド膜
184 ソース/ドレインコンタクト
AR41、AR61 第1領域
AR42、AR62 第2領域
AR63 第3領域
D112 酸化膜
D114 ダミーゲート層
D116 キャッピング層
DGS ダミーゲート構造物
F1、F4 (第1、第2)フィン型活性領域
FT、FT4 フィン上面
GS ゲート空間
M1 シリコン酸化膜
M2 シリコン窒化膜
MP マスクパターン
N1、N41、N51A、N51B 第1ナノシート
N2、N42、N52A、N52B 第2ナノシート
N3、N43、N53A、N53B 第3ナノシート
NS ナノシート半導体層
NSS、NSS4、NSS51、NSS52 ナノシートスタック
R1 リセス
S1、S51A、S51B 第1外側半導体シート
S2、S52A、S52B コア半導体シート
S3、S53A、S53B 第2外側半導体シート
TR1 トランジスタ
TR41、TR51 第1トランジスタ
TR42、TR52 第2トランジスタ

図1
図2A
図2B
図2C
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9A
図9B
図10
図11A
図11B
図11C
図12A
図12B
図13A
図13B
図14A
図14B
図15A
図15B
図16A
図16B
図17A
図17B