IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

知財求人 - 知財ポータルサイト「IP Force」

▶ メトラー−トレド アクチェンゲゼルシャフトの特許一覧

特開2024-137800試料の取扱いおよび試料の熱力学分析を実行するための試料キャリア、試料貯槽、リフトフォークおよび関連するシステム
<>
  • 特開-試料の取扱いおよび試料の熱力学分析を実行するための試料キャリア、試料貯槽、リフトフォークおよび関連するシステム 図1a
  • 特開-試料の取扱いおよび試料の熱力学分析を実行するための試料キャリア、試料貯槽、リフトフォークおよび関連するシステム 図1b
  • 特開-試料の取扱いおよび試料の熱力学分析を実行するための試料キャリア、試料貯槽、リフトフォークおよび関連するシステム 図2
  • 特開-試料の取扱いおよび試料の熱力学分析を実行するための試料キャリア、試料貯槽、リフトフォークおよび関連するシステム 図3
  • 特開-試料の取扱いおよび試料の熱力学分析を実行するための試料キャリア、試料貯槽、リフトフォークおよび関連するシステム 図4
  • 特開-試料の取扱いおよび試料の熱力学分析を実行するための試料キャリア、試料貯槽、リフトフォークおよび関連するシステム 図5
  • 特開-試料の取扱いおよび試料の熱力学分析を実行するための試料キャリア、試料貯槽、リフトフォークおよび関連するシステム 図6
  • 特開-試料の取扱いおよび試料の熱力学分析を実行するための試料キャリア、試料貯槽、リフトフォークおよび関連するシステム 図7
  • 特開-試料の取扱いおよび試料の熱力学分析を実行するための試料キャリア、試料貯槽、リフトフォークおよび関連するシステム 図8
  • 特開-試料の取扱いおよび試料の熱力学分析を実行するための試料キャリア、試料貯槽、リフトフォークおよび関連するシステム 図9
< >
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024137800
(43)【公開日】2024-10-07
(54)【発明の名称】試料の取扱いおよび試料の熱力学分析を実行するための試料キャリア、試料貯槽、リフトフォークおよび関連するシステム
(51)【国際特許分類】
   G01N 1/00 20060101AFI20240927BHJP
   G01N 25/16 20060101ALI20240927BHJP
【FI】
G01N1/00 101B
G01N25/16 B
【審査請求】未請求
【請求項の数】15
【出願形態】OL
【外国語出願】
(21)【出願番号】P 2024039346
(22)【出願日】2024-03-13
(31)【優先権主張番号】23163070
(32)【優先日】2023-03-21
(33)【優先権主張国・地域又は機関】EP
(71)【出願人】
【識別番号】599082218
【氏名又は名称】メトラー-トレド ゲーエムベーハー
【住所又は居所原語表記】Im Langacher, 8606 Greifensee, Switzerland
(74)【代理人】
【識別番号】100118902
【弁理士】
【氏名又は名称】山本 修
(74)【代理人】
【識別番号】100106208
【弁理士】
【氏名又は名称】宮前 徹
(74)【代理人】
【識別番号】100196508
【弁理士】
【氏名又は名称】松尾 淳一
(74)【代理人】
【識別番号】100172041
【弁理士】
【氏名又は名称】小畑 統照
(72)【発明者】
【氏名】ウルス・ジョエリマン
(72)【発明者】
【氏名】サムエル・ケラー
(72)【発明者】
【氏名】ジョナス・ランゲネッガー
(72)【発明者】
【氏名】マイケル・リーバー
(72)【発明者】
【氏名】ファビアン・シュナイダー
(72)【発明者】
【氏名】ウルス・ヴェスト
(72)【発明者】
【氏名】ギアン・フーバー
【テーマコード(参考)】
2G040
2G052
【Fターム(参考)】
2G040AB07
2G040CA18
2G052CA04
2G052CA45
2G052CA48
2G052DA31
2G052DA32
2G052DA33
2G052GA20
(57)【要約】
【課題】試料を手作業で取り扱う必要なく、上に試料を準備して熱力学分析の測定位置に配置することを可能にする試料キャリアを提供すること。
【解決手段】試料キャリア(1)は、試料を受け入れるための、底部(111)と、少なくとも1つの側壁(113、114、152、153、154、155)と、接触面とを備える。側壁は、底部に対して上方へ延在する。接触面上に周囲のリム(121)が設けられている。試料キャリアは、相手方支持要素および試料キャリアを受け入れるための試料貯槽を備える試料取扱いシステムにおいて使用され得る。複数の試料貯槽が、試料貯槽棚上に配置され得る試料貯槽レールに結合される。試料キャリアは、さらに、熱力学分析を実行するためのシステムの一部になり得る。好ましくは、熱力学分析の実行するためのシステムは、試料取扱いシステムを備え、試料キャリアに配置された試料は、試料貯槽棚に配置された試料貯槽レールの試料貯槽に保管され、そこから、相手方支持要素の支援の下に試料支持体に移送される。
【選択図】図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
a.底部(111)と、
b.前記底部に対して上方へ延在する少なくとも1つの側壁(113、114、152、153、154、155)と
を備える試料キャリア(1)であって、
c.試料を受け入れるための上向きの接触面(122)であって、前記接触面上に周囲のリム(121)が設けられており、前記リムが、前記リムによって囲まれた領域に前記試料を受け入れて、前記底部に対する前記試料の位置を定めるためのものである、接触面(122)
をさらに備える試料キャリア(1)。
【請求項2】
前記少なくとも1つの側壁が、少なくとも2つの分離した側壁セグメント(113、114、152、153、154、155)を備え、前記試料キャリアの2つの対向側面の各々において、前記少なくとも2つの側壁セグメントのサブセットから、好ましくは少なくとも1つの突起(115、116、156、157)が横方向に片持ち梁式に突き出ている、請求項1に記載の試料キャリア。
【請求項3】
シム(12)をさらに備え、前記シムが、前記周囲のリム(121)と、好ましくは前記接触面(122)とを備える、請求項1または2に記載の試料キャリア。
【請求項4】
前記試料キャリア(1)がキャリアフレーム(15)を備え、前記キャリアフレームが、少なくとも1つの側壁(152、153、154、155)と、好ましくは少なくとも1つの突起(156、157)とを備え、前記シム(12)または底板が、前記底部(111)を通って延在して、かつ/または前記底部(111)を少なくとも部分的に定めて、支持体接触部(112)をもたらす、請求項1から3のいずれか一項に記載の試料キャリア。
【請求項5】
前記キャリアフレーム(15)が、前記シム(12)または前記底板と異なる材料から成り、好ましくは金属から成り、最も好ましくは鋼から成る、請求項4に記載の試料キャリア。
【請求項6】
カバー板(20)を備え、前記カバー板がその表面上に周囲のリム(201)を備え、前記周囲のリム(201)が、前記試料キャリア(1)の前記接触面(122)上に設けられた前記リム(121)によって囲まれた領域と一致する領域を囲み、それによって、前記カバー板が測定プローブ接触部をもたらす、請求項1から5のいずれか一項に記載の試料キャリア(1)。
【請求項7】
前記支持体接触部(112)と前記接触面(122)との間に配置された前記試料キャリアと、好ましくは測定プローブ接触部(212)とのすべての材料が、同一であるか、またはそれらの熱膨張係数の偏差が10%以下である、請求項1から6のいずれか一項に記載の試料キャリア(1)。
【請求項8】
請求項2から7のいずれか一項に記載の試料キャリアを持ち上げて搬送するためのリフトフォーク(4)であって、互いに横方向にオフセットした一対の歯また(41、42)を備え、前記対の歯またの間の横方向の距離が、突起部の対の間の最短距離よりも長く、同じ突起部の対の間の最長距離よりも短い、リフトフォーク(4)。
【請求項9】
請求項1から7のいずれか一項に記載の試料キャリアを保管するための試料貯槽であって、貯槽底部と、前記貯槽底部を少なくとも部分的に囲む貯槽側壁とを備え、前記貯槽側壁は、
a.上部が面取りされており、
b.好ましくは下部が垂直であり、
c.少なくとも1つの垂直間隙があるように、好ましくは少なくとも2つの垂直間隙があるように、少なくとも前面において中断されており、
d.前記側壁の距離および前記面取りは、試料キャリアが、前記試料貯槽の底部に配置されるとき、前記試料貯槽の内部の定められた位置に導かれるように設定される、
試料貯槽。
【請求項10】
請求項9に記載の試料貯槽を複数備える試料貯槽レールであって、すべての貯槽底部が単一の面に配置されるように、前記試料貯槽が並んで配置されており、
好ましくは、前記試料貯槽が同一の配向で一列に配置され、
前記試料貯槽レールが、好ましくは取っ手を備える、試料貯槽レール。
【請求項11】
階層的に配置された1つまたは複数のプラットフォームを備える試料貯槽棚であって、各プラットフォームは請求項10に記載の試料貯槽レールを受け入れるようにサイズ設定して成形されており、各プラットフォームが、好ましくは棚側壁を装備しており、前記棚側壁が、最も好ましくは、試料貯槽レールが前記1つまたは複数のプラットフォームのうち1つの上に配置される場合に少なくとも前記試料貯槽レールの取っ手の一部を受け入れるのに適する間隙を備える、試料貯槽棚。
【請求項12】
好ましくは請求項8に記載のリフトフォークである相手方支持要素と、請求項9に記載の試料貯槽とを備える試料取扱いシステムであって、前記相手方支持要素が、請求項1から7のいずれか一項に記載の試料キャリアを、前記試料貯槽に対して出し入れするために、前記試料キャリアにアクセスし、支持することができるように、前記試料貯槽の前記前面における前記少なくとも1つの垂直間隙の位置および大きさが前記相手方支持要素に適合されている、試料取扱いシステム。
【請求項13】
試料(30)の熱力学分析を実行するためのシステムであって、
a.熱力学分析機器と
b.請求項1から7のいずれか一項に記載の試料キャリア(1)と
を備えるシステムにおいて、
c.前記熱力学分析機器が、試料支持体(52)と、前記試料支持体(52)の方を向いた測定プローブ先端を有する測定プローブ(51)とを備え、
d.測定中に、前記試料キャリア(1)が前記試料支持体(52)と前記測定プローブ(51)との間に配置され、
e.好ましくは、前記試料キャリアの前記底部(111)が前記試料支持体(52)によって支持される一方で、前記測定プローブ先端が、前記試料または前記試料の最上部上にあるカバー板のいずれかと接触し、それによって、前記試料が、測定中に前記試料キャリア(1)に配置される、
システム。
【請求項14】
少なくとも前記試料キャリアの前記支持体接触部(112)が、前記測定プローブ(51)および前記試料支持体(52)の材料と同一の材料から成るか、または前記測定プローブ(51)および前記試料支持体(52)の材料の熱膨張係数との偏差が10%以下の熱膨脹係数を有する材料から成ることを特徴とする、請求項1から7のいずれか一項に記載の試料キャリア(1)を有する請求項13に記載のシステム。
【請求項15】
前記システムが、好ましくは請求項8に記載のリフトフォーク(4)である相手方支持要素と機能的に結合された駆動装置をさらに備え、前記駆動装置が、前記試料キャリアを保持することなどのために、前記相手方支持要素を移動するように構成されており、好ましくは、前記駆動装置が、前記リフトフォークを移動して前記リフトフォークの前記歯またの上に請求項2から15のいずれか一項に記載の試料キャリアの突起部を配置し、前記試料キャリアを持ち上げて、好ましくは請求項9に記載の試料貯槽から出すように構成され、前記駆動装置が、前記試料キャリアを、前記測定プローブ(51)と前記試料支持体(52)との間の測定位置に移動して、前記測定セルの中の前記試料支持体上に配置するようにさらに構成され、前記システムは、好ましくは試料高さ検知ユニットを備え、前記駆動装置が、前記試料を備える前記試料キャリアを、この試料高さ検知ユニットを通して移動するように構成され、それによって前記試料高さが測定され、それによって、前記熱力学分析機器の制御ユニットが、前記検知された試料高さに応じて前記測定プローブおよび/または前記試料支持体の位置を適合させる、請求項13または14に記載の試料(30)の熱力学分析を実行するためのシステム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
[0001]本開示は、一般に試料キャリアに関し、詳細には、熱力学分析において使用する試料キャリアおよび特許請求の範囲に記載される関連する事柄に関する。
【背景技術】
【0002】
[0002]熱力学分析では、試料は、通常、熱膨張係数が小さい材料で作製された測定プローブの下の、熱膨張係数が小さい材料で作製された試料支持体上に配置される。そのような材料の好ましい例は、それだけではないが、たとえば石英または石英ガラスを含む。次いで、試料は複数の異なる温度にさらされる。熱力学分析の使用における測定モードの1つには、たとえば試料の熱膨張係数の判定がある。そのために、試料が異なる温度にさらされている間に、試料支持体に対する測定プローブの変位が判定される。この測定モードでは、試料は、多くの場合、2つのディスクの間に配置される。
【0003】
[0003]他の例示的な測定モードでは、試料は、たとえば、測定プローブによって静的な力または動的な力をかけられる。
【0004】
[0004]通常、試料を手作業で準備する必要がある、すなわち、たとえば2つのディスクの間に試料を配置する必要があるという短所が見られる。試料は通常小さく、したがって扱うのが困難である。一例として、第1に、第1のディスクがピンセットでつかまれ、熱力学分析機器の内部の試料支持体上に配置される。第2に、ピンセットによって試料がディスク上に配置される。第3に、第2のディスクがピンセットでつかまれて、試料上に配置される。したがって、当業者なら、熱力学分析用の試料を準備して配置するのは厄介な作業であることを容易に認識するであろう。
【0005】
[0005]試料を、熱力学分析システムの測定位置に配置し、そこから取り出すのを、自動化するのが望ましいことが認められよう。DE102012105101は、分析システムに関するリフト/スイベルユニットの使用を提案している。しかしながら、DE102012105101は、上記リフト/スイベルユニットの具体的な設計、および試料ホルダまたは試料キャリアを特定の用途の状況で機能させるための設計方法には言及していない。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】独国特許発明第102012105101号明細書
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
[0006]本開示の目的は、冒頭で言及された対象事項を提供することである。態様において試料キャリアが提供され、これは、試料を手作業でさらに取り扱う必要なく、上に試料を準備して熱力学分析の測定位置に配置することを可能にするものである。他の態様では、試料を載せる試料キャリアは、意図された位置に試料が確実に配置され得るように成形され、設計される。その上、さらなる態様では、試料キャリアは、熱力学分析機器の内部に確実に受け入れられて配置されるように成形され、設計される。より具体的には、試料キャリア上の試料の安全な配置を可能にする機能や、機器内の試料キャリアの安全な配置を可能にする機能は、機器内の試料の位置を確実に規定するように設計される。熱力学分析の間、試料の加熱および冷却の温度は、一般的には-150℃から1600℃である。所与の機器において、試料の加熱または冷却の温度は、好ましくは-150℃から600℃、-80℃から600℃、20℃から1100℃、または20℃から1600℃である。いくつかの実施形態では、試料の機械的性質および寸法が、種々の温度および/または温度変化に対するそれらの変化において観測される。
【課題を解決するための手段】
【0008】
[0007]このことは、請求項1で説明される主題によって基本的に達成される。
[0008]開示される対象事項のさらなる効果および利点は、明示的に言及されるか否かにかかわらず、以下で提供される本開示を考慮すれば明らかになるであろう。
【0009】
[0009]したがって、底部と、底部に対して上方へ延在する少なくとも1つの側壁とを備える試料キャリアが開示される。特定の事例では、底部の断面は円形であり得る。試料キャリアは、試料を受け取るための接触面をさらに備える。接触面は、上向きであり、詳細には、試料キャリアの底部の上部または試料キャリアの底部の上に設けられている。リムによって囲まれた領域内に試料を受け入れるため、また底部に対する試料の位置を定めるための周囲のリムが、接触面上に設けられる。リムによって囲まれた上記領域は、詳細には窪んだ領域でよい。接触面は、試料キャリアの底部上に直接設けられてよく、または試料キャリアの底部に配置されたシムもしくは底部プレート上に設けられてもよい。したがって、そのようなシムまたは底部プレートは、試料キャリアの一部を形成する。リムは、試料を搬送する試料キャリアが保管および/または準備の位置から測定位置へ移動される間に、接触面上に配置された試料が意図された中央位置にとどまることを保証する。したがって、リムは、試料準備と、接触面上の、測定位置と異なる位置における詳細配置とを可能にする。リムによって囲まれた領域よりも試料の直径が小さい場合には、追加のリング状シムが用意され得る。この追加のリング状シムが、別のリムによって囲まれた領域に導入されることにより、問題の領域を縮小することができる。
【0010】
[0010]測定プローブは、試料または測定プローブ接触部と接触するべきであるので、試料が試料キャリアの中心にとどまることを保証するのは、多くの熱力学的測定にとって有利である。ほとんどの試料は、直径が数ミリメートルしかないので、まだ小さい変位が、意図された測定の障害を引き起こす可能性がある。一般的な試料の高さは0.1から10mmであり、直径は3から6mmである。好ましくは、試料キャリアの内径は、これを使用することが意図される最大の試料の直径よりも約1mm大きい。たとえば、一般的な試料用の試料キャリアの内径は、7mmよりも大きく、好ましくは約8mmである。
【0011】
[0011]周囲のリムは、試料キャリアに配置された試料と、試料キャリアの少なくとも1つの側壁との間に、距離をもたらす。これは、試料キャリアの内部に試料を配置することと、試料が側壁に接触しないこととを保証する。試料と側壁との間の接触は、熱力学特性の測定に影響を及ぼす可能性がある。好ましくは、周囲のリムの高さは、熱力学的測定のために試料キャリアに配置されるように意図された試料の高さよりも低い。好ましくは、リムと試料キャリアの少なくとも1つの側壁との間の最短距離は0.5mmよりも長く、最も好ましくは1mm以上である。このことは、試料が周囲のリムによって囲まれた領域に配置されるとき、試料と側壁との間の所望の距離を保証する。
【0012】
[0012]たとえば、周囲のリムの高さは0.5mm以下であり、好ましくは0.2から0.4mmであって、最も好ましくは約0.3mmである。これらの寸法は、試料を確実に配置するために十分に大きく、同時に、熱力学特性に及ぼす影響は十分に小さいことが認められた。
【0013】
[0013]本開示の文脈の範囲内で使用される試料キャリアの底部は、試料キャリアの底部の壁を意味することに留意されたい。
【0014】
[0014]最上部および底部のような表現は、試料キャリアは試料をその上に載せて搬送し、支持するように配置されなければならないので、当業者には明確に定義され、容易に想像できることが注目される。
【0015】
[0015]当業者なら、提案された試料キャリアは、試料が、試料キャリアの底部またはそこに置かれたシムもしくは底板の上に確実に配置して位置決めされることを可能にし、周囲のリムは、試料を搬送する試料キャリアが、試料の取扱いおよび熱力学分析機器内への配置のために、試料キャリア内の試料を混乱させたり、熱力学的測定を混乱させたりすることなく、移動するのを可能にすることを容易に認識するであろう。
【0016】
[0016]本開示の枠組みの範囲内で、「1つの(a)」または「1つの(an)」といった不定冠詞の使用は、単一性を規定したり、命名された部材または機能の多数の存在を除外したりするものではないことが注目される。したがって、そのような不定冠詞の使用は、「少なくとも1つの」または「1つまたは多数の」という意味に読み取られたい。
【0017】
[0017]なおまた、本出願の状況では、語「接する」および「隣接する」は同義語と見なされることが注意される。
【0018】
[0018]実施形態において、試料キャリアは、少なくとも1つの側壁から横方向に片持ち梁式に突き出る少なくとも1つの突起をさらに備える。突起は、試料キャリアを、機器における適切な相手方支持要素および/または試料キャリアを取り扱うためのツール上に、支持することを可能にする。相手方支持要素は、好ましくはリフトフォークである。さらなる態様では、突起と相手方支持要素とが、共同で、試料キャリアを機器に対して一意の位置へと押し進め、上記一意の位置において試料キャリアを確実に保持するようにさらに形成され得る。好ましくは、試料キャリアの少なくとも1つの突起は、2つの反対の横方向に延在し得る。この実施形態では、少なくとも1つの突起が、好ましくは試料キャリアの底部に対して平行に延在する。2つの反対の横方向に延在する少なくとも1つの突起の部分は、以下では「突起部」と称される。突起部は、たとえば突起がリング形であるなら同一の突起の一部であり得、または、2つの個別の突起の一部であり得る。この実施形態には、試料キャリアの両方の翼を平行に押し上げることにより、簡単に持ち上げることができるという利点がある。したがって、相手方支持要素はフォークまたは類似の受動装置であり、これによって、試料キャリアが円滑に持ち上げられ得、試料支持体をつかむために非常に正確な相対動作が必要とされる場合にも、クランプ装置を閉じることによって、または突起と相手方支持要素との衝突によって生じる可能性がある衝撃の危険性はわずかである。衝撃によって、試料キャリアに配置された試料が意図せずに混乱することにより、試料の測定が不可能になる危険性が増大する。底部に対して平行に延在する突起は、相手方支持要素と試料キャリアとの衝突の危険性がさらに低下するという利点を有する。底部に対して平行に延在する突起は、適切な相手方支持要素とともに、試料キャリアを、支持しながら移動することにより、相手方支持要素に対して中心に置くことをさらに可能にする。
【0019】
[0019]実施形態において、少なくとも1つの突起は、反対の横方向に延在する2つの翼によって形成される。翼は、試料キャリアの底部に対して平行に延在する突起である。好ましくは、翼の底部は平坦である。2つの翼を使用すると、試料を試料キャリアに配置しやすくする、部分的に中断された側壁を有する試料キャリアを構成することが可能になる。
【0020】
[0020]さらなる態様では、少なくとも1つの側壁が少なくとも2つの個別の側壁セグメントを備え得る。好ましくは、試料キャリアの2つの対向側面の各々において、2つの側壁セグメントのサブセットから横方向に片持ち梁式に突き出る少なくとも1つの突起がある。特定の実施形態では、正確に2つの個別の側壁セグメントが設けられてよく、すなわち、試料キャリアの2つの対向面の各々に一方の側壁セグメントが設けられてよい。この実施形態では、試料は、試料キャリアの側壁によって部分的にしか遮蔽されないので、環境に対してより直接的に暴露される。これは、熱力学的測定の所要時間を短縮することができる。
【0021】
[0021]少なくとも底部の部分領域は、少なくとも試料キャリアの底部の頂面から少なくとも試料キャリアの底部の上記部分領域における試料キャリアの底部の底面まで延在する支持体接触部として構成され得る。少なくとも支持体接触部は、室温で、より好ましくは-150℃から1100℃の温度範囲において、50×10-6/K以下、好ましくは10×10-6/K以下の線膨張率を有する材料から成り得る。上記材料は、それだけではないが、石英ガラスまたは石英、またはサファイアおよびAlOxなどのセラミックスなどを含み得る。AlOxは、質量の少なくとも96%の酸化アルミニウムを含むセラミックとして、当業者によって理解されている。一例では、AlOxは、本文献の優先権主張日までに、https://htc-ceramics.com/materiali/alox-g/?lang=enによってAlOx Gとして規定された材料でよい。他の材料は、それだけではないが、サファイアまたはインバールを含み得る。インバールは、64重量%の鉄および36重量%のニッケルから成る合金であり、熱膨張係数が小さいことで知られている。試料キャリアの底部の線膨張係数が小さければ、熱力学的測定の精度が向上する。いくつかの実施形態では、室温における試料の熱力学的特性が要求され、したがって、この温度の近くで、試料キャリアの底部の熱膨張係数が小さければ十分である。しかしながら、試料キャリアが多種多様な測定にうまく適合するのが望ましく、したがって提案された広い温度範囲にわたって小さい熱膨張係数を有する材料が望ましい。
【0022】
[0022]試料キャリアが、1100℃までの温度の状況での熱力学的測定プロセスにおける使用に適するなら、少なくとも支持体接触部は、石英または石英ガラスから成り得る。試料キャリアが、1100℃よりも高く一般的には1600℃未満の温度の状況での熱力学的測定プロセスにおける使用に適するなら、少なくとも支持体接触部は、好ましくはAlOxであるセラミックから、またはサファイアから成り得る。
【0023】
[0023]支持体接触部は、試料キャリアの底部の全体にわたって延在することがある。なおまた、支持体接触部は、少なくとも1つの側壁および少なくとも1つの突起と一体化して、すなわちシームレスに、1つの部品で、またはモノリシックに設けられることもある。これには、試料キャリアの別々の部分に熱膨張の差がないという利点がある。
【0024】
[0024]実施形態において、試料キャリアの底部と少なくとも1つの側壁とが一体的に設けられ、すなわち、単一部品で、および/またはシームレスに、および/またはモノリシックに設けられ、支持体接触部を一体的に含む。好ましくは、底部および少なくとも1つの側壁とともに、少なくとも1つの突起も一体的に備わっている。好ましくは、上記特定の実施形態では、試料キャリアの底部、支持体接触部および少なくとも1つの側壁は、室温で、より好ましくは-150℃から1100℃の温度範囲において、50×10-6/K以下、より好ましくは10×10-6/K以下の線膨張係数を有する同一の材料から成り、詳細には全体的に成る。好ましくは、少なくとも1つの突起は、底部および少なくとも1つの側壁と同一の材料から成る。これには、試料キャリアの別々の部分に熱膨張の差がないという利点がある。
【0025】
[0025]室温で、より好ましくは-150℃から1100℃の温度範囲において、50×10-6/K以下、好ましくは10×10-6/K以下の線膨張率を有する材料のすべての参照について、材料は、より詳細には、たとえば石英ガラスまたは石英の場合には、室温で、より好ましく-150℃から1100℃の温度範囲において、1×10-6/K以下の線膨張係数を有する。
【0026】
[0026]試料キャリアは、シムをさらに備えることがある。シムは周囲のリムを備える。シムは、好ましくは、室温で、より好ましくは-150℃から1100℃の温度範囲において、50×10-6/K以下、好ましくは10×10-6/K以下の線膨張率を有する材料から成る。この要件を満たす特定の材料の例は、上記に示されている。さらに、シムは、少なくとも支持体接触部と同一の材料から成り得る。工作機械にクランプする必要があるのはシムのみであるので、別個のシムを設けることは、製造において周囲のリムを機械加工するのに有利であり得る。シムの外輪郭は、底部および少なくとも1つの側壁に対するシムの位置が定められるように、好ましくは、少なくとも1つの側壁および/または底部によって定められる形状に対して相補的である。リムによって囲まれた領域を、試料に対して適合させるために、追加のリング状シムがシムとともに使用され得る。
【0027】
[0027]好ましい実施形態では、シムは接触面および周囲のリムを備える。これには、試料の溶解または分解が必ずしも試料キャリアの底部を汚すわけではないという利点がある。この実施形態では、シムは、好ましくは一体の部品である。シムは、好ましくはディスク状であるか、またはリムを有するプレートである。リムによって囲まれた領域を、試料に対して適合させるために、追加のリング状シムが、この実施形態のシムとともに使用され得る。
【0028】
[0028]別の好ましい実施形態では、シムは好ましくは周囲のリムを備え、試料キャリアの底部によって接触面が与えられる。シムは、この実施形態ではリング状である。これには、シムが容易に製造され得、したがって、多種多様な大きさで提供され得るという利点がある。別の実施形態では、リムによって囲まれた領域を試料に適合させるために、リング状のシムが、1つまたは複数の追加のリング状のシムとともに使用される。
【0029】
[0029]さらなる事例では、シムは、試料キャリアの底部に取外し可能に配置され得る。これは、シムが、たとえば異なる寸法の周囲のリムを有する別のシムと置換され得、したがって、試料キャリアが、シムを変更するだけで、異なる試料の大きさに容易に適合され得るという利点をもたらす。試料の大きさに対するさらなる適合を可能にするために、追加のリング状のシムが使用され得る。シムの外輪郭は、底部および少なくとも1つの側壁に対するシムの位置が定められるように、好ましくは、少なくとも1つの側壁および/または底部によって定められる形状に対して相補的である。
【0030】
[0030]さらに別の態様では、シムは、試料キャリアの底部および少なくとも1つの側壁と同一の材料から成り得、または底部、少なくとも1つの側壁の材料の熱膨張係数からの偏差が10%以下の熱膨張係数を有する材料から成り得る。好ましくは、少なくとも1つの突起は、底部および少なくとも1つの側壁と同一の材料から成る。しかしながら、他の実施形態では、シムおよび試料キャリアの底部は、少なくとも1つの側壁の材料および好ましくは少なくとも1つの突起の材料の熱膨張係数未満の熱膨張係数を有する材料から成り得る。好ましくは、シムおよび試料キャリアの底部は、1×10-6/K未満の熱膨張係数を有する材料から成り得、少なくとも1つの側壁、および好ましくは少なくとも1つの突起は、室温で、より好ましくは-150℃から1100℃の温度範囲において、1×10-6/Kから50×10-6/K、より好ましくは1×10-6/Kから10×10-6/Kの熱膨張係数を有する材料から成り得る。これは、試料キャリアの底部および/またはシムよりも複雑な形状寸法を有する、少なくとも側壁、および好ましくは少なくとも1つの突起用に、試料キャリアの底部およびシムの材料よりも機械加工がより容易な材料が選ばれ得るという利益をもたらす。
【0031】
[0031]さらなる実施形態では、試料キャリアはキャリアフレームを備え得る。そしてまた、キャリアフレームは、少なくとも1つの側壁、および好ましくは少なくとも1つの突起を備える。シムは、試料キャリアの底部を通って延在し、かつ/または試料キャリアの底部を少なくとも部分的に定め、支持体接触部をもたらす。同一の実施形態を説明するとき、別の態様では、少なくとも1つのシムは、キャリアフレームの開放底部に挿入される挿入物であると言える。好ましくは、シムは接触面を備える。
【0032】
[0032]さらなる実施形態では、試料キャリアはキャリアフレームを備え得る。そしてまた、キャリアフレームは、少なくとも1つの側壁、および好ましくは少なくとも1つの突起を備える。底板が試料キャリアの接触面を形成する一方で、リング状シムが周囲のリムを形成するように、リング状シムが底板上に配置される。接触面を備える底板は、試料キャリアの底部を通って延在し、かつ/または試料キャリアの底部を少なくとも部分的に定め、支持体接触部をもたらす。同一の実施形態を説明するとき、別の態様では、少なくとも1つの底板は、キャリアフレームの開放底部に挿入される挿入物であると言える。底板およびシムの外輪郭は、好ましくは、底部および少なくとも1つの側壁に対する底板およびシムシムの位置が定められるように、好ましくは、少なくとも1つの側壁および/または底部によって定められる形状に対して相補的である。別の実施形態では、底板の輪郭はシムの輪郭に対して相補的であり、底板の外輪郭またはシムの外輪郭のいずれかが、少なくとも1つの側壁および/または底部によって定められる形状に対して相補的である。この実施形態では、底板に対するシムの位置は、底板の相補的な形状および共通の位置によって定められ、シムは、側壁および/または底部に対する底板またはシムのいずれかの相補的な形状によって定められる。
【0033】
[0033]キャリアフレームを使用すると、シムおよび/または底板の材料は、試料支持体との相互作用および熱膨張特性に基づいて選択する一方で、キャリアフレームの材料は、機械的性質および構成の容易さを求めて選択することが可能になる。底板とリング状のシムとの分離が可能なモジュール式システムにより、ユーザは、当の試料に試料キャリアを容易に適合させることができ、生産が容易になる。好ましくは、試料キャリアの側壁は、シムおよび/または底板を導いて中心に置くのに適するものである。
【0034】
[0034]以前に説明された実施形態の、より具体的な態様では、キャリアフレームは、開口を囲む、試料キャリアの底部のリム部を備え得る。開口は、詳細には、試料キャリアの底部を通る、中央に設けられた中心開口部である。シムまたは底板は、プラグ状であって、ペグ部を備えてよく、ペグ部は、開口と、試料キャリアの底部のリム部を担持する最上部の担持部とに受け入れられ、これらを通って延在する。より具体的な態様では、ペグ部は、リム部の最上部から底面を超えて延在する。
【0035】
[0035]試料キャリアがキャリアフレームを備え、分離したシムまたは分離した底板上に支持体接触部が設けられる実施形態では、キャリアフレームは、シムまたは底板と異なる材料から成り得る。好ましくは、キャリアフレームは金属から成り、最も好ましくは鋼から成る。鋼などの金属は、熱力学的測定中に生じる温度に耐性がある一方で、効率的かつ十分な精度で所望の形状にされ得る。キャリアフレームは、測定区間の一部ではないので、その材料は、小さい熱膨張係数または周知の熱膨張係数を有するものに限定されない。測定区間は、測定プロセス中の、試料支持体と測定プローブとの間の距離である。測定中には測定区間になる測定プローブ接触部の下の領域におけるカバー板は、存在する場合には、支持体接触部と接触面との間の試料キャリアの一部である。試料キャリアのこれらの部分のほかに、測定区間に配置されるのは試料のみである。
【0036】
[0036]小さい線膨張係数を有する支持体接触部を用意する際に、試料支持体に対する測定プローブの変位から得られた測定結果は、たとえば試料の熱膨張に可能な限り精密に対応する。最高の精度は、認識されるように、試料はもちろん別として、測定プローブと試料支持体との間に配置される要素が、測定プローブおよび試料支持体と同一の材料から成るとき達成される。そうでなければ、測定結果の数的補正が必要になることがあり、この補正は、試料は別として、測定プローブと試料支持体との間に配置される各要素の熱膨張係数が、測定プローブおよび試料支持体の熱膨張係数に近いほどより正確になる。
【0037】
[0037]別の態様では、試料キャリアはカバー板を備える。カバー板の表面には周囲のリムが設けられており、このカバー板のリムによって囲まれた領域は、試料キャリアの接触面上に設けられたリムによって囲まれた領域と一致する。カバー板のリムによって囲まれた領域は、詳細には窪んだ領域でよい。カバー板上に測定プローブ接触部が設けられる。したがって、リムによって囲まれた領域の断面形状と一致する断面形状を有する試料は、試料キャリアおよびカバー板の接触面のリムの内側に配置して固定され得る。カバー板は、たとえば、加熱された試料が測定プローブに張り付くのを防止するのに役立ち得る。カバー板のリムは、試料キャリアが取り扱われるとき、試料キャリアが試料を滑らせるのを防止する。
【0038】
[0038]接触面を備える試料キャリアを使用することには、試料支持体が、接触面によって、試料による汚染に対して保護され、また、接触面が、試料支持体によって生成される力を、試料上に均等に分配することをさらに保証するという利点がある。カバー板があると、これらの利益は測定プローブにも与えられ、測定プローブは、カバー板によって、試料による汚染に対して保護され、測定プローブの力が全体の試料にわたって均等に分配される。
【0039】
[0039]実施形態において、カバー板は、試料キャリアの底部と材料と同一の材料、または試料キャリアの底部の材料の熱膨張係数からの偏差が10%以下の熱膨張係数を有する材料から成り得る。
【0040】
[0040]他の実施形態では、試料キャリアは、シムまたは底板を備える試料キャリアでよい。カバー板は、シムもしくは底板と同一の材料、またはシムの材料の熱膨張係数からの偏差が10%以下の熱膨張係数を有する材料から成り得る。これは、カバー板が、さらに、試料キャリアの底部と材料と同一の材料、または試料キャリアの底部の材料の熱膨張係数からの偏差が10%以下の熱膨張係数を有する材料から成る事例を含み得る。
【0041】
[0041]好ましい実施形態では、支持体接触部と接触面との間に配置される試料キャリア、および好ましくは測定プローブ接触部のすべての材料は、同一であるか、またはそれらの熱膨張係数の偏差が10%以下である。この実施形態では、測定区間における、試料の一部でないすべての材料は同一である。これによって、測定に対する、試料キャリアに起因する影響を、特に容易なやり方で補正することが可能になる。
【0042】
[0042]本明細書で開示される主題は、別の態様ではリフトフォークに関する。リフトフォークは、2つの反対の横方向に延在する少なくとも1つの突起を備える試料キャリアを保持するのに適する。好ましくは、リフトフォークは、2つの翼を備える試料キャリアを保持するのに適する。リフトフォークは、互いに横方向にオフセットされた一対の歯またを備える。対の歯またの間の横方向の距離は、突起部の対の間の最短距離よりも長く、同じ突起部の対の間の最長距離よりも短い。歯またの高さは、好ましくは試料キャリアのそれぞれの突起部の下の隙間よりも低く、それによって、この隙間は、試料キャリアの底部の支持体接触部によって定められる面の上のそれぞれの突起部の下側の高さである。この構成で、リフトフォークは、試料キャリアを持ち上げて、熱力学分析機器の内部に配置し、そこから取り出すのに適する。リフトフォークは、いくつかの態様において、手動操作用のリフトフォークであり得、この範囲において分離した機器であり得る。他の実施形態では、リフトフォークは、駆動装置を介して機器に結合され得、これによって、熱力学分析機器に対する試料の自動的な出し入れが可能になる。
【0043】
[0043]好ましくは、歯またの長さは、少なくとも1つの突起が対向面において横に延在する方向に対して垂直な方向において測定された、リフトフォークが対象とする試料キャリアの少なくとも1つの突起の長さとほぼ同一である。
【0044】
[0044]好ましくは、歯または、U字形の接続部によって接続される。U字形は、歯またによって定められる面に対して垂直に上昇する。この実施形態では、試料キャリアがその少なくとも1つの突起を歯またの上に置いて配置されているとき、少なくとも1つの突起がU字形の接続部と接触するので、U字形の接続部は試料キャリアに対するリミットストップを形成する。U字形の接続部の高さは、好ましくは、リフトフォークおよび対応する試料キャリアが使用されることを意図された試料の最大高さよりも高い。これには、リフトフォークがカバー板と衝突する危険性が最小化され、また、試料高さ検知ユニットを用いて試料の高さを判定するとき、U字形の接続部が基準または照合として使用され得るという利点がある。
【0045】
[0045]好ましくは、突起部の間の最短距離および最長距離は、それらが延在する反対方向に沿ったラインに沿って測定される。
【0046】
[0046]リフトフォークは、相手方支持要素の一例である。他の例は、試料キャリアの少なくとも1つの突起を留めるため、または少なくとも1つの側壁を把持するための把持手段であり得る、把持手段または保持手段を備える。把持手段のほかにも、側壁または突起のいずれかに作用する吸引カップまたはフックなどの保持手段によって、試料キャリアを保持するさらなるやり方が使用され得る。
【0047】
[0047]本明細書で開示される主題は、別の態様では、能動的な相手方支持要素に関する。能動的な相手方支持要素は、たとえば吸引カップなどの把持手段または保持手段を備えることができる。能動的な相手方支持要素は、試料キャリアを保持するためのアクチュエータを備える。そのような能動的な相手方支持要素を使用すると、試料キャリアの形状に対する要件を引き下げる。それによって、より小さい試料キャリアが使用され得ることにより、加熱システムに対する要件を引き下げ、測定時間の短縮も可能になる。
【0048】
[0048]さらに、本明細書で開示される主題は、受動的な相手方支持要素に関する。受動的な相手方支持要素は、たとえば試料キャリアを支持するためのフックまたは表面を備えることができる。受動的な相手方支持要素は、それ自体を、試料キャリアを保持するように試料キャリアに対して特定のやり方で位置決めする。そのような受動的な相手方支持要素を使用することにより、相手方支持要素に対する要件を引き下げるが、正確に位置決めすることができなければならない。試料キャリアを保持するためのアクチュエータの動作を回避することにより、試料キャリアの中の試料を倒す可能性のある衝撃が防止される。リフトフォークは、受動的な相手方支持要素の一例である。
【0049】
[0049]本明細書で開示される主題は、別の態様では、試料キャリアを保管および検査するための試料貯槽に関する。試料貯槽は、貯槽底部および貯槽側壁を備える。貯槽側壁は、貯槽底部を少なくとも部分的に囲む。貯槽側壁は上部が面取りされており、好ましくは下部において垂直である。少なくとも1つの垂直間隙があるように、好ましくは少なくとも2つの垂直間隙があるように、貯槽側壁は少なくとも前面において中断される。側壁の距離および面取りは、試料キャリアが、試料貯槽の底部に配置されるとき、試料貯槽の内部の定められた位置に導かれるように設定される。そのような試料貯槽を使用すると、一方では試料キャリアを貯蔵することが可能になる。さらに、試料貯槽は、試料キャリアを、明確に定められた位置に用意するので、試料処理の自動化が容易になる。試料キャリアを試料貯槽の中に配置し、試料貯槽を、好ましくリフトフォークである受動的な相手方支持要素などの相手方支持要素の助力を得て再び持ち上げることにより、相手方支持要素と試料キャリアの所望の相対位置が確立される。グリッパなどの能動的な相手方支持要素が使用される場合、試料貯槽の中で試料支持体を下降させるときにかかる抵抗が、試料貯槽と、妥当な場合にはそれに取り付けられた熱力学的機器とに対して、相手方支持要素の座標系を調節するために使用され得る。
【0050】
[0050]側壁の垂直の下部は、試料貯槽が取り扱われるときに試料キャリアが転倒するのを防ぐことができる。リフトフォークなどの相手方支持要素の整列を定めるには、単一の間隙で十分である。しかしながら、リフトフォークの2つの歯またなど、試料キャリアの底部の直径と同じだけ横方向に延在する相手方支持要素の場合には、試料キャリアを整列させるために、相手方支持要素のそれぞれの歯またもしくは類似の把持手段または保持手段について1つずつ、複数の、特に2つの間隙を使用すると、より多く面取りされた側壁を設けることが可能になり、したがって好ましい。
【0051】
[0051]少なくとも1つの垂直間隙により、好ましくはリフトフォークの歯またである相手方支持要素の把持手段または保持手段を、貯槽底部によって定められた面に対して垂直な第1の動きや、貯槽底部によって定められた面に対して平行であって前面に対して垂直な第2の動きで、試料貯槽に対して出し入れすることが、好ましくは可能になる。
【0052】
[0052]本明細書で開示される主題は、別の態様では試料貯槽レールに関する。試料貯槽レールは複数の試料貯槽を備える。試料貯槽は並んで配置され、すべての貯槽底部が単一の平面に配置される。好ましくは、試料貯槽レールは少なくとも1つの取っ手を装備している。好ましくは、試料貯槽は一列に配置され、それによって同一の配向になる。
【0053】
[0053]配向は、好ましくは少なくとも1つの垂直間隙によって定められる。この場合、試料貯槽の各々に対する第2の動きは互いに平行である。別の実施形態では、試料貯槽は円状セグメントに配置され、この円の中心に向けて配向される。この場合、試料貯槽の各々に対する第2の動きは、共通の中心に対する半径方向の動きである。
【0054】
[0054]試料貯槽レールを使用すると、試料キャリアを好都合な位置に準備して、測定機器まで一緒に移送することが可能になる。これによって自動化が容易になる。試料貯槽の底部を単一の平面に配置すると、すべての試料貯槽の垂直方向の動きが同一になり得るので、自動化が容易になる。第2の動きが互いに平行になるか、または共通の中心に対して半径方向になるように、試料貯槽を配置すると、第2の動きが、すべての試料貯槽について同一になり、また、別の第3の軸上のものにしかならないので、自動化がさらに容易になる。
【0055】
[0055]本明細書で開示される主題は、別の態様では試料貯槽棚に関する。試料貯槽棚は、階層的に配置された1つまたは複数のプラットフォームを備える。それぞれのプラットフォームが、試料貯槽レールを受け入れるように成形され、かつサイズ設定されている。それぞれのプラットフォームが、好ましくは棚側壁を装備している。最も好ましくは、棚側壁のうち少なくともいくつかが、1つまたは複数のプラットフォームのうちの1つに配置される場合に少なくとも試料貯槽レールの取っ手の一部を受け入れるのに適する間隙を備える。
【0056】
[0056]試料貯槽レールを階層的に配置すると、すべての場合において、試料キャリアを上へ移動させて取り出すことが可能になる。試料貯槽棚上に試料貯槽レールを配置するには、一般に、レールを下方へ動かすだけでよく、したがって、レールが棚の一部または別のレールにぶつかって、試料キャリアに配置された試料が転倒するかまたはカバー板を失ってしまう危険性を最小化する。棚側壁を設けることは、プラットフォーム上のレールを安定させて、自動試料処理システムにとって有利な所定の配置を保証するための、容易なやり方である。側壁に貯槽レールの取っ手用の間隙を設けると、一方では、取っ手を、棚に配置された他の試料貯槽レールに対するアクセスを妨げない位置に配置することが可能になり、他方では、間隙の中に取っ手を部分的に配置することにより、第2の動きの方向に対する試料貯槽レールの位置を定めて確保することが可能になる。
【0057】
[0057]好ましくは、試料貯槽レールにおける各試料貯槽の第2の動きは、互いに平行である。この場合、試料貯槽棚は階段状の形状を有する。プラットフォームのすべてが同一の形状を有し得、したがって、ユーザは、複数の貯槽レールのうち1つをどのプラットフォームに配置するかを、入れ替えることができる。これによって試料管理が容易になる。
【0058】
[0058]好ましくは、試料貯槽棚は、プラットフォームの下に焼戻しダクトを備える。焼戻しダクトは、流体が所望の温度で循環することを可能にする。それによって、試料貯槽棚のプラットフォーム上に配置された試料貯槽レールの試料貯槽の中の試料キャリアに配置された試料の温度が制御され得る。これによって、温度制御は、試料が測定に先立って保管され得る時間を長くすることができるので、自動化が可能になる。
【0059】
[0059]本明細書で開示される主題は、別の態様では試料取扱いシステムに関する。試料取扱いシステムは、相手方支持要素および試料貯槽を備える。好ましくは、試料貯槽は試料貯槽レールの一部であり、試料取扱いシステムは試料貯槽レールを備える。好ましくは、試料貯槽は試料貯槽棚上に配置された試料貯槽レールの一部であり、試料取扱いシステムは、試料貯槽レールおよび試料貯槽棚を備える。試料貯槽の前面における少なくとも1つの垂直間隙の位置および大きさは、相手方支持要素が、試料貯槽に対して試料キャリアを出し入れするためにアクセスし、支持することができるように、相手方支持要素に対して適合される。相手方支持要素の位置合わせ不良が所望の公差よりも大きければ、試料貯槽と衝突する可能性があるので、少なくとも1つの垂直間隙を所望の公差で設けることによって、相手方支持要素の位置合わせ不良またはその動きの範囲が検知され得る。位置合わせ不良を検知するための手段として、衝突を検知するのではなく、相手方支持要素は、たとえば電気回路を閉じることにより、または反射光を観測することによって、貯槽側壁の接近または存在を検知するセンサを装備してもよい。
【0060】
[0060]好ましくは、試料貯槽は、相手方支持要素としてのリフトフォークと、少なくとも2つの突起部を備える試料キャリアとを備える、試料取扱いシステムの一部である。この場合、少なくとも1つの間隙により、リフトフォークの歯または、貯槽底部によって定められた面に対して垂直な第1の動きと、貯槽底部によって定められた面に対して平行であって前面に対して垂直な第2の動きとによって、試料貯槽に対する出入りの動きが可能になる。この実施形態では、試料は、歯またを、第2の動きで、下部の位置から試料貯槽の中へ動かすことによって、試料貯槽から持ち上げられ得る。リフトフォークの歯または、突起部の下にある。第1の動きで歯またを上の方の位置に持ち上げると、歯またが突起部と接触することにより、全体の試料キャリアが持ち上げられて、所望の空間に移送され得る。歯また上でその理想位置に対して少し移動している試料キャリアが試料貯槽へと下げられると想定すると、試料キャリアは貯槽側壁の面取りされた部分に接触することになる。面取りによって、試料キャリアが試料貯槽にうまく整列するまで、歯また上の突起部の滑り運動が生じる。歯またの動きは、間隙によって限定されるので、これも試料貯槽とうまく整列する。したがって、歯またと試料キャリアも、この挿入動作の後に、互いにうまく整列する。
【0061】
[0061]好ましい実施形態では、試料取扱いシステムがさらに備える試料キャリアが、好ましくは試料貯槽棚上に配置され得る試料貯槽レールの一部である試料貯槽の中に配置され得る。相手方支持要素は、好ましくは、リフトフォークまたは試料キャリアの側壁に対して作用するのに適するグリッパまたは吸引カップなどの能動的な相手方支持要素である。試料取扱いシステムは、好ましくは駆動装置を備える。相手方支持要素と、試料キャリアの少なくとも1つの突起および/または側壁とは、相手方支持要素が、試料キャリアを支持し、取り扱うことができるように、互いに対して適合される。試料貯槽の前面の少なくとも1つの間隙と相手方支持要素とは、試料キャリアが試料貯槽の中に配置されるとき、相手方支持要素が試料キャリアの少なくとも1つの突起および/または少なくとも1つの側壁にアクセスすることができるように、互いに対して適合される。試料貯槽の位置は、試料貯槽レールに対して定められる。試料貯槽レールの位置は、好ましくは共通の取付けベースによって、相手方支持要素に対して定められる。好ましくは、相手方支持要素は、取付けベースに取り付けられている駆動装置に取り付けられ、試料貯槽レールは、取付けベースに取り付けられた試料貯槽棚のプラットフォームに対して既知のやり方で配置される。この試料取扱いシステムによって、駆動装置によって自動的に移動される相手方支持要素の支援の下に、試料キャリアを試料貯槽に配置し、試料貯槽から取り出すことが可能になる。
【0062】
[0062]別の態様では、本明細書で開示される主題は、試料の熱力学分析を実行するためのシステムに関する。このシステムは、熱力学分析機器と、上記で説明された任意の種類の試料キャリアとを備える。熱力学分析機器は、試料支持体と、試料支持体の方を向いた測定プローブ先端を有する測定プローブとを備える。試料キャリアは、測定中は、試料支持体と測定プローブとの間に配置される。好ましい実施形態では、測定中は、試料キャリアの底部が試料支持体によって支持され、測定プローブ先端は、試料キャリアに配置された試料、または試料キャリアに配置された試料の最上部にあるカバー板のいずれかと接触する。
【0063】
[0063]一実施形態では、システムがさらに備える相手方支持要素は、試料キャリアの少なくとも1つの突起を受け入れるように構成して配置される。2つの翼を備える試料キャリアの場合には、試料キャリアの2つの対向する翼の各々が、相手方支持要素を形成する2つの歯またのうち1つ上に配置され得る。試料キャリアの突起が相手方支持要素によって受け取られるとき、試料キャリアに配置された試料は、測定プローブ先端と試料支持体との間の接続線上に配置される。
【0064】
[0064]一実施形態では、システムがさらに備える配置の相手方支持要素は、試料キャリアを受け入れるように構成して配置される。試料キャリアが配置の相手方支持要素によって受け取られたとき、試料キャリアに配置された試料は、測定プローブ先端と試料支持体との間の接続線上に配置される。
【0065】
[0065]一実施形態では、システムがさらに備える配置の相手方支持要素は、試料キャリアの少なくとも1つの突起を受け入れるように構成して配置される。2つの翼を備える試料キャリアの場合には、試料キャリアの2つの対向する翼の各々が、配置の相手方支持要素を形成する2つの歯またのうち1つ上に配置され得る。試料キャリアの突起が配置の相手方支持要素によって受け取られたとき、試料キャリアに配置された試料は、測定プローブ先端と試料支持体との間の接続線上に配置される。
【0066】
[0066]配置の相手方支持要素により、熱力学分析機器の内部の所望位置において試料キャリアを保持することが可能になる。配置の相手方支持要素は、試料キャリアを熱力学分析機器の中に移動させたものと同一の支持要素であり得、または別の相手方支持要素であり得る。アクチュエータがなければ測定条件下の信頼性が向上するので、配置の相手方支持要素は、好ましくは受動的な相手方支持要素である。
【0067】
[0067]一実施形態では、少なくとも支持体接触部と、好ましくは、存在する場合には試料キャリアのカバー板とは、測定プローブおよび/もしくは試料支持体と同一の材料、または測定プローブおよび/もしくは試料支持体の材料の熱膨張係数からの偏差が10%以下の熱膨張係数を有する材料から成る。好ましい実施形態では、測定プローブの材料は試料支持体の材料であり、どちらも試料キャリアの底部の材料およびカバー板の材料と同じものである。好ましい実施形態の1つでは、測定中に、測定区間内にあるように意図された試料キャリアのすべての部分が、試料支持体および測定プローブと同一の材料で作製されている。こうすることにより、試料キャリアが、測定中に、試料支持体または測定プローブの一部であるかのように作用するので、結果の解釈が容易になる。
【0068】
[0068]好ましい実施形態では、試料の熱力学分析を実行するためのシステムは、試料取扱いシステムを備える。好ましい実施形態では、試料の熱力学分析を実行するためのシステムは、試料キャリアが備わっている試料貯槽を備える。最も好ましくは、試料キャリアは、相手方支持要素を用いて、好ましくは受動的な相手方支持要素を用いて、最も好ましくはリフトフォークの形態で、駆動装置を用いて、試料貯槽から試料支持体へと、およびその逆方向に移動される。別の実施形態では、試料キャリアは、好ましくは把持装置または吸引カップの形態の能動的な相手方支持要素と駆動装置とを用いて、試料貯槽から試料支持体へと、およびその逆方向に移動される。したがって、ユーザが機器の内部の試料支持体上に試料を手で配置する必要性はない。別の実施形態では、ユーザは、リフトフォークなどの受動的な相手方支持要素または能動的な相手方支持要素である相手方支持要素を、好ましくは駆動装置ではなく手で移動する。こうすると、ユーザは、あらかじめ機器の外部で試料を準備して測定を容易にし、支援を受けながら制御を向上させることができる。
【0069】
[0069]最も好ましくは、試料キャリアは、相手方支持要素および駆動装置を用いて、試料貯槽から試料支持体へ、試料支持体から廃棄物位置へと移動される。相手方支持要素は、能動的なものまたは受動的なものであり得る。廃棄物位置は、好ましくは、試料キャリアが試料支持体から取り外された後に配置される、第2の試料貯槽、貯蔵所、または面である。試料キャリアを、測定のための試料貯槽から、測定後には外の廃棄物位置に配置することにより、ユーザは、測定済みの試料を容易に検知することができる。さらに、ユーザは、測定中に、空の試料貯槽を、衝突の危険性なく補充することができる。
【0070】
[0070]好ましい実施形態では、試料の熱力学分析を実行するためのシステムは、試料高さ検知ユニットを備える。試料キャリアを試料高さ検知ユニットまで移送するために、相手方支持要素と、好ましくは駆動装置とが装備される。試料高さ検知ユニットは、好ましくは相手方支持要素の駆動装置のユニットの中で試料の高さを検知するのに適する。好ましくは、この情報は、熱力学分析を実行するためにシステムの制御ユニットに送信され、制御ユニットは、少なくとも試料キャリアが試料支持体に配置される前に、この情報を使用して測定プローブを制御する。好ましくは、試料高さ検知ユニットは光ゲートであって、駆動装置が、相手方支持要素の支援の下に、試料キャリアを、光ゲートを通して垂直方向に移動することができるように、配置される。試料の高さは、光ゲートが中断を検知する前後の駆動装置の位置によって判定され得る。相手方支持要素に対する試料キャリアの底部の位置が既知であるので、たとえば試料キャリアを下から移動して光ゲートを通し、光信号の第1の中断と、この場合の駆動装置の位置とを検知するか、または、反対に、試料キャリアを下方へ移動して、光信号が出現する第1の場合を検知することによって、試料キャリアの上端のみを検知するために、光ゲートが使用され得る。好ましい実施形態では、試料高さは、試料キャリアをその全長に沿って光ゲートを通して移動させ、駆動装置の位置の変化または信号が中断されている期間および動きの速度のいずれかを測定することにより、試料キャリアの下端と上端の両方を検知することによって測定される。試料キャリアの底部の理論位置および測定された上端位置から計算された試料高さを、両端を測定することによって判定された試料高さと比較することによって、駆動装置および相手方支持要素の絶対座標系における意図しないオフセットを検知するのを支援することができる。
【0071】
[0071]好ましい実施形態では、試料の熱力学分析を実行するためのシステムが備える駆動装置は、好ましくは受動的な相手方支持要素である相手方支持要素と、最も好ましくはリフトフォークと、機能的に結合されている。駆動装置は、試料キャリアを保持することなどのために、相手方支持要素を移動するように構成されている。好ましくは、駆動装置は、リフトフォークを移動し、リフトフォークの歯またの上に、少なくとも2つの突起部を有する試料キャリアの突起部を配置して、試料キャリアを持ち上げるように構成される。駆動装置は、好ましくは試料貯槽から試料キャリアを移動するように構成される。駆動装置は、試料キャリアを、測定プローブと試料支持体との間の測定位置に移動して、試料支持体または測定セルにおける配置の相手方支持要素の上に配置するようにさらに構成されている。このシステムは、好ましくは試料高さ検知ユニットを備え、試料を備える試料キャリアが、駆動装置によって、試料高さ検知ユニットを通って移動される。それによって、試料高さが測定され得る。熱力学分析機器の制御ユニットは、好ましくは、検知された試料高さに応じて測定プローブおよび/または試料支持体の位置を適合させる。
【0072】
[0072]別の好ましい実施形態では、試料の熱力学分析を実行するためのシステムが備える駆動装置は、好ましくはグリッパである能動的な相手方支持要素と、機能的に結合されている。駆動装置は、試料キャリアを保持することなどのために、相手方支持要素を移動するように構成されている。好ましくは、駆動装置は、能動的な相手方支持要素が試料キャリアの少なくとも1つの側壁を保持して試料キャリアを持ち上げることができるように、能動的な相手方支持要素を移動するように構成される。駆動装置は、好ましくは試料貯槽から試料キャリアを移動するように構成される。駆動装置は、試料キャリアを、測定プローブと試料支持体との間の測定位置に移動して、試料支持体または測定セルにおける配置の相手方支持要素の上に配置するようにさらに構成されている。このシステムは、好ましくは試料高さ検知ユニットを備え、試料を備える試料キャリアが、駆動装置によって、試料高さ検知ユニットを通って移動される。それによって、試料高さが測定され得る。熱力学分析機器の制御ユニットは、好ましくは、検知された試料高さに応じて測定プローブおよび/または試料支持体の位置を適合させる。
【0073】
[0073]上記で開示された機能および実施形態は互いに組み合わされ得ることが理解される。本開示によって当業者には明白かつ明らかである本開示および特許請求された対象事項の範囲内で、さらなる実施形態が考えられることがさらに認識されよう。
【0074】
[0074]次に、本開示の主題が、添付図面に示される選択された例示的な実施形態によって、より詳細に説明される。
【図面の簡単な説明】
【0075】
図1a】本明細書で説明されたタイプの、カバー板を伴う試料キャリアの例示的な実施形態の拡大分解図である。試料は、試料キャリアの接触面とカバー板との間に設置されている。
図1b】本明細書で説明されたタイプの、カバー板を伴う試料キャリアの第2の例示的な実施形態の側面図である。試料は、試料キャリアの接触面とカバー板との間に設置されている。
図2図1aのデバイスの組み立てられた状態を示す断面図である。
図3】本明細書で説明されるいくつかの実施形態による、試料キャリアのキャリアフレームを示す図である。
図4図3のフレームの接続に使用するように意図されたプラグ状シムの例示的な実施形態を示す図である。
図5】本明細書で説明される試料キャリアを取り扱うためのリフトフォークを示す図である。
図6】本明細書で開示された試料キャリアを示す図である。試料は、測定プローブと試料支持体との間に受け入れられて設置されている。
図7図7aは試料貯槽を示す図である。図7bは試料貯槽を示す図である。
図8】試料貯槽棚上の2つの試料貯槽レールを示す図である。
図9】試料取扱いシステムを備える、熱力学分析を実行するためのシステムを示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0076】
[0075]図面は高度に模式的なものであり得、指示目的のために必要でない詳細は、理解および描写の容易さのために省略されている可能性があることが理解される。図面は、選択された例示の実施形態のみを示し、示されない実施形態も、十分に、本明細書で開示された対象事項および/または特許請求された対象事項の範囲内にあり得ることがさらに理解される。
【0077】
[0076]図1aは、試料キャリア1およびカバー板20の第1の実施形態の分解図を示すものであり、試料30が設置されている。試料キャリア1は、2つの部分から成る試料キャリアであり、試料キャリアボウル11およびシム12を備える。試料キャリアボウル11は、試料キャリア1の底部111を形成し、底部111から上方に延在する2つの側壁セグメント113および114と、側壁セグメント113から、試料キャリア1の第1の横方向へ横に延在する1つの突起115と、側壁セグメント114から、突起115が延在する第1の方向と反対の、試料キャリア1の第2の横方向へ横に延在するさらなる1つの突起116とを備える。この非限定的な実施形態では、底部111は、試料30の熱力学分析が実行されるとき熱力学分析機器の試料支持体と接触するように意図された支持体接触部112をさらに用意して含む。試料キャリア1は、シム12をさらに備える。シム12は、キャリアボウル11の中に受け入れられるように意図され、寸法設定されている。試料キャリアは、上に試料30を配置するように基本的に意図されており、シム12は試料キャリアの上向きの接触面122を備える。シム12の接触面122上には、リム121がさらに設けられている。リム121は、試料30を受け入れるように意図された窪んだ領域を囲む。提供された実施形態では、リム121の内径は、円筒状の試料30の直径と少なくとも基本的に等しい。したがって、試料30の終端は、リム121によって囲まれた領域の内部に受け入れられ、横方向の変位に関する限り、そこで位置的に固定されることになる。リム121を、試料キャリアボウル11上に直接設けるのではなく、分離したシム上に設けると、シム12を、異なるリム径を有するシムで置換することが可能になり、したがって、試料キャリアボウル11が異なるサイズの試料に対して使用され得る。示された試料キャリア1のカバー板20は、試料を受け入れるように意図してカバー板20の表面上に設けられた窪んだ領域を囲むリム201(図2参照)も備える。この非限定的な実施形態では、カバー板20は、試料30の熱力学分析が実行されるとき熱力学分析機器の測定プローブと接触するように意図された測定プローブ接触部212をさらに用意して含む。試料30を受け入れた図1aの試料キャリア1の断面図が、図2に示されている。図2は、少なくとも1つの突起の反対方向に延在する2つの部分の間の最短距離117a、および少なくとも1つの突起の同一部分の間の最長距離117bも示す。示された事例では、2つの突起115、116は、反対方向に延在する翼の形態である。したがって、翼115、116の各々が、少なくとも1つの突起のそれぞれの部分を形成する。
【0078】
[0077]図1bは、本明細書で説明されたタイプの試料キャリア1の第2の例示的な実施形態を示す。図1bは、試料キャリア1の側面図を示す。試料キャリア1は、キャリアボウル11およびカバー板20を備え、試料キャリア1の接触面とカバー板20との間に試料30が設置されている。図1bの試料キャリア1は、突起115および116がないことが、図1aの試料キャリア1と異なる。代わりに、図1bの試料キャリア1の側壁113および114は、この実施形態では、少し窪んだクランプ領域113aを備える。クランプ機構を備える相手方支持要素は、この試料キャリア1を保持することができる。他の実施形態では、側壁113および114は、特定のクランプ領域113aを備えることなく試料キャリア1の把持および保持を可能にするように、十分に堅く構成される。
【0079】
[0078]図3および図4は、本明細書で開示された試料キャリアのさらなる実施形態の概要を合同して説明するものである。図3は、試料キャリアフレーム15を示す。試料キャリアフレーム15は、同様に、図1および図2に関連して概説された試料キャリアボウルと、キャリアフレーム底部151と、側壁セグメント152、153、154および155と、試料キャリアの側壁セグメントから反対方向へ横に延在する突起または翼156および157とを備える。試料キャリアフレーム15のキャリアフレーム底部151を通る開口158が設けられ、キャリアフレーム底部151のリム部159によって囲まれている。試料キャリアを形成するために、試料キャリアフレーム15は、図4に示されるプラグ状のシム12を補充される。プラグ状のシム12は、ペグ部125と、周方向に延在する担持部126とを備える。ペグ部125は、キャリアフレーム底部151の開口158の中へ延在するかまたは開口158を通るように意図されており、担持部126は、キャリアフレーム底部151のリム部159を担持するように意図されている。それ故に、試料キャリアフレーム15とプラグ状のシム12とは、意図されたように一緒に組み立てられたとき、共同で試料キャリアを形成する。プラグ状のシム12の、底面は支持体接触部112を形成し、リム121を有する頂面は試料を受けるための接触面として働く。この試料キャリアの底部はプラグ状のシムによって形成されており、少なくとも1つの側壁が試料キャリアフレーム15の側壁セグメント152~155によって形成されている。この実施形態では、測定結果が得られるのは、支持体接触部112と、それぞれ試料の上端またはカバー板20との間でしかないので、試料キャリアフレーム15は測定結果に影響を及ぼさないことに注意することが重要である。したがって、設計者は、試料キャリアフレーム15に適用可能な材料に関してより大きな選択の自由を有し、プラグ状のシム12よりも、安価で、および/または機械加工が容易な材料を自由に選択できる。
【0080】
[0079]図5は、試料キャリアを取り扱うためのツール4を示す。参照符号1は試料キャリアを指示し、試料30は、基本的に、試料キャリアの支持体接触部とカバー板の測定プローブ接触部との間に設置される。ツール4は、基本的に、横方向に間隔をおいて配置された2つの歯また41および42を備えるリフトフォークである。歯また41および42は、間に試料キャリアの下部の一部を受け入れるように、互いに間隔をおいて配置されている。2つの歯またの間の自由空間は、試料キャリアの底部の幅または直径と少なくとも同じくらいの大きさであると言える。2つの歯またの間の自由空間は、突起にわたって測定された全体の距離よりも小さいとさらに言える。試料キャリアの底部の幅または直径は、好ましくは、図2に示されるように、突起部の間の最短距離117aに等しい。突起にわたって測定された全体の距離は、好ましくは、図2に示されるように、同じ突起部の間の最長距離117bである。歯また41および42は突起の下に配置されてよく、リフトフォークは、歯また41および42がそれぞれの突起の底面と接触するように持ち上げられ得る。歯また41および42の長さは、突起が対向面上を横に延在する方向に対して垂直な方向で測定された試料キャリアの突起の長さとほぼ同一である。歯また41および42は、歯また41、42によって定められた面に対して垂直に上昇するU字形の接続部によって接続される。それによって、歯また41、42が所望のやり方で突起部と接触するとき、突起がU字形の接続部と接触するので、U字形の接続部は試料キャリアに対するリミットストップを形成する。U字形の接続部の高さは、好ましくは、このシステムが使用されることを意図された試料の最大高さよりも高い。それによって、リフトフォークがカバー板と衝突する危険性が最小化され、また、試料高さ検知ユニットを用いて試料の高さを判定するとき、U字形の接続部が基準または照合として使用され得る。
【0081】
[0080]このように、リフトフォーク4は、試料を設置された試料キャリアを持ち上げて別の位置まで移動することができる。同様に、試料を設置された試料キャリアは、リフトフォーク4によって、熱力学分析機器の測定セルの中に配置され、これから取り出され得る。リフトフォーク4は、相手方支持要素の一例である。リフトフォーク4は、手動ツールの一部であり得、取っ手が取り付けられていて、ユーザによる持ち上げて配置する動作を可能にする。好ましい実施形態では、リフトフォーク4は駆動装置に取り付けられており、駆動装置は、リフトフォーク4を所望のやり方で移動させて、試料キャリアを上昇させたりかつ取り扱ったりする。別の実施形態では、リフトフォーク4は、ユーザが、手で、フォーク4を試料キャリアとともに既定の経路に沿って既定の範囲内で移動させることを可能にするレールシステムまたは取扱いアームなどの誘導システムの一部である。
【0082】
[0081]図6は、熱力学分析を実行するためのシステムの詳細を示す。試料30を設置された試料キャリア1が、測定プローブ51と試料支持体52との間に受け入れられている。明示的には示されていないが、測定プローブ51および試料支持体52には、測定プローブ51と試料支持体52との相対変位および/または互いに対して作用する力に基本的に依拠する測定出力を生成するトランスデューサが接続されていることが、当業者によく知られており、留意されるべきである。測定プローブ51は、試料30の最上部に配置されたカバー板20の測定プローブ接触部と接触する。試料支持体52は、試料キャリアの支持体接触部112と接触する。上記で概説されたように、カバー板20がある場合には、支持体接触部112から接触面(122)への進路に沿った、測定プローブ接触部212までの、試料キャリアのすべての部品が、それぞれ、測定プローブ51および試料支持体52の材料に相当する材料または測定プローブ51および試料支持体52の材料の熱膨張係数からの偏差が過大でない熱膨張係数を有する材料から作製され得ることが注目される。測定プローブ51および試料支持体52は、通常、石英ガラスまたはセラミックまたは石英から作製される。石英ガラスおよび石英は、熱膨張係数を1×10-6未満に抑制し、これは大抵の他の材料の熱膨張係数よりも少なくとも1桁小さい。好ましくは、ユーザは、測定プロセス中に生じることが意図された最高温度に基づいて試料支持体52および測定プローブ51を選択する。最高温度が1100℃未満であれば石英や石英ガラスが好ましく、1100℃以上であれば、好ましい材料はAlOxおよびサファイアなどのセラミックスである。また、カバー板20は、測定プローブ51および試料支持体52の材料に相当する材料または測定プローブ51および試料支持体52の材料の熱膨張係数からの偏差が過大でない熱膨張係数を有する材料から作製され得る。したがって、認識されるように、試料30を設置された試料キャリアが、測定プローブ51および試料支持体52とともに加熱または冷却されると、測定セルの中で、測定プローブ51および試料支持体52が接続されているトランスデューサが、測定プローブ51と試料支持体52との間の相対変位および/またはこの変位の原因となる力を感知することになり、相対変位は、試料の、測定プローブ51と試料支持体52との間の接続線に沿った熱膨張または熱収縮と等しい。しかしながら、カバー20および試料キャリアの支持体接触部112が、測定プローブ51および試料支持体52の材料と異なる材料から作製されている場合には、測定値が、それによって生じる付加的な膨張または収縮に対して数的に補正されてよい。
【0083】
[0082]熱力学分析は、試料の熱膨張係数に関するもの以外の測定モードを含み得ることが注目される。しかしながら、これらすべての測定モードにおいて、熱力学分析は、試料キャリアの前述の利点、詳細には、測定セルに対して試料をより容易に出し入れすることができるという利点を活用する。
【0084】
[0083]図7aおよび図7bが示す試料貯槽61は、本発明による試料取扱いシステム6に使用され得、先行する図に示された試料キャリア1のうち任意のものを保持するのに適する。試料貯槽61は、貯槽底部611および貯槽側壁612を備える。貯槽底部611は、表された例では、基本的に長方形の形状を有し、平坦である。貯槽側壁612は、貯槽底部611に対して垂直である。貯槽側壁612は、3つの垂直間隙613a、613b、613cと、そのうちの1つである613bの反対側の薄くなった部分613dとを備える。貯槽側壁612は上部612aが面取りされており、下部612bにおいて垂直である。図7bにより明瞭に見られるように、試料貯槽61は、内部に試料キャリア1を配置するように適合されている。図7bが示す試料貯槽61は、内部に2つの翼116を備える試料キャリア1を有する。貯槽側壁612は、試料キャリア1が貯槽底部611上に配置されるとき、突起によって形成された翼116の位置が貯槽側壁612によって定められるように、寸法設定され、面取りされる。それによって、試料貯槽61に対する試料キャリア1の位置が定められる。試料貯槽61の前面は、相手方支持要素に適合した垂直間隙によって定められる。示された実施形態では、613a、613cの2つの間隙があって、相手方支持要素の一実施形態であるリフトフォークの歯またの試料貯槽に対する出し入れを可能にする。図7bにおいて明瞭に見られるように、垂直間隙613aおよび613cは、試料キャリア1の翼116の下のボリュームへの開口を生成するように位置決めされる。薄くなった部分613dの反対側には、垂直間隙613aと613cとの間に配置された中央の垂直間隙613bがある。薄くなった部分613dと中央の垂直間隙613bの両方が、試料キャリア1の側壁部の間の空間と整列する。中央の垂直間隙613bおよび貯槽側壁612の薄くなった部分によって、ユーザが、試料キャリア1に対して試料30出し入れするために利用可能な空間が増大する。したがって、貯槽側壁612のそのような中央の垂直間隙613bおよび薄くなった部分を設けると、ユーザが、試料貯槽61の中に配置された試料キャリアに試料30を都合よく配置することが可能になる。見られるように、2つの垂直間隙613aおよび613cによって、リフトフォークの歯または、貯槽底部によって定められた面に対して垂直な第1の動きと、貯槽底部によって定められた面に対して平行であって前面に対して垂直な第2の動きとによる、試料貯槽61に対する出入りが可能になる。
【0085】
[0084]図8は、試料貯槽棚63における2つの試料貯槽レール62を示す。試料貯槽レール62の各々が、複数の試料貯槽61と、各終端における取っ手621とを備える。試料貯槽61は並んで配置されており、それらの各々について定められた第2の動きは互いに平行であって、すべての貯槽底部611が同一の面にある。貯槽棚63には2つの段がある。それぞれの段が、両端の棚側壁631によって境界を定められている。棚側壁631は、それぞれが、取っ手621の一部が配置される間隙632を備える。示された実施形態では、両方の段が裏壁をさらに備える。それによって、試料貯槽棚63の段上に配置された試料貯槽レール62は、4つの側において、試料貯槽棚63によって囲まれている。試料貯槽61によって定められる前面への動きは、棚側壁631の間隙632に配置されている取っ手621によって妨げられる。したがって、試料貯槽棚63から試料貯槽レール62を取り出すための唯一のやり方は、上へ持ち上げることによるものである。
【0086】
[0085]図9は、試料取扱いシステム6を備える、熱力学分析を実行するためのシステム3を示す図を示す。熱力学分析を実行するためのシステム3は、試料支持体および測定プローブを備える。試料キャリアに配置された試料が、試料支持体上に、また測定プローブの下に配置されて示されている。測定中に試料を加熱・冷却するための炉が、試料支持体の上のフードに配置される。このフードは測定のために下降され、それによって、試料、試料キャリア、試料支持体および測定プローブが、炉の中に入る。この測定システムの本体には、試料取扱いシステム6が取り付けられている。示された実施形態では、試料取扱いシステム6は、2つの試料貯槽レール62が備わっている試料貯槽棚63を備える。それぞれの試料貯槽レール62が、10個の試料貯槽61を備える。すべての試料貯槽61の中に、試料30を備える試料キャリア1が配置されている。試料取扱いシステム6の第1の基部に、試料貯槽棚63が取り付けられている。試料取扱いシステム6の第1の基部にはハンドレスト65がさらに取り付けられていて、ユーザが、試料貯槽61の中に試料30を配置するのを容易にする。示された実施形態では、試料貯槽棚63の前に、またハンドレスト65の近隣に、試料準備位置66が配置されている。これによって快適さが向上し、試料キャリア1に試料30を配置するのが容易になる。最後に、測定システムの本体に、試料高さ検知ユニットとして使用される光ゲート64が取り付けられる。第1の基部は、測定システムの本体に取り付けられた取付け部に対して、第2の横方向に移動され得、第2の横方向は、試料貯槽の第2の動きの方向に対して平行である。リフトフォーク4は第2の基部のアームに取り付けられており、このアームは第2の基部の軸のまわりで回転することができる。リフトフォーク4自体が、アームの終端に配置された第2の軸のまわりで回転することができる。これによって、リフトフォーク4の歯またの配向を制御することができる。熱力学分析を実行するようにシステムを制御することによって、駆動装置が制御され得る。駆動装置は、第1の基部を第2の横方向に移動させることができる。駆動装置は、第2の基部を垂直方向にさらに移動させることができる。最後に、駆動装置は、アームおよびリフトフォーク4をそれぞれの軸のまわりで回転させて、試料キャリアを第1の横方向に変位させることができる。したがって、熱力学分析を実行するためのシステム3によって、測定位置において試料貯槽棚63と試料支持体52との間に試料30を備える試料キャリア1の自動的な取扱いが可能になる。試料高さ検知ユニット64により、測定プロセスと、測定プローブ51の開始および下降とを最適化することが可能になる。試料準備位置66を含んで組み込まれたハンドレスト65により、ユーザは、試料を試料取扱いシステムにおいて直接的に楽に準備することができる。試料貯槽レール62に取っ手があるので、遠隔箇所において準備することも可能になる。
【0087】
[0086]本開示の対象事項が例示的な実施形態によって説明されてきたが、これらは特許請求される発明の範囲を制限するようには意図されていないことが理解される。特許請求の範囲は、本明細書で明示的に示されていない実施形態または開示されていない実施形態を対象として含み、本開示の教示を実行する例示的なモードにおいて開示されたものから逸脱する実施形態も、特許請求の範囲によってなお対象として含まれることが理解されよう。
【符号の説明】
【0088】
1 試料キャリア
3 熱力学分析を実行するためのシステム
4 リフトフォーク
6 試料取扱いシステム
11 試料キャリアボウル
12 シム
15 キャリアフレーム
20 カバー板
30 試料
41、42 リフトフォークの歯また
51 測定プローブ
52 試料支持体
111 試料キャリアの底部
112 支持体接触部
113 試料キャリアの側壁
114 側壁セグメント
115 突起
116 翼
117a 突起部の間の最短距離
117b 突起部の間の最長距離
121 リム
122 接触面
125 シムのペグ部
126 シムの最上部の担持部
151 キャリアフレームの底部
152~155 試料キャリアの側壁、側壁セグメント
156 突起
157 翼
158 底部開口
159 試料キャリアの底部のリム部
201 カバー板の周囲のリム
212 測定プローブ接触部
61 試料貯槽
611 貯槽底部
612 貯槽側壁
612a 面取りされた上部
612b 垂直な下部
613 垂直な間隙
614 側壁の距離および面取り
62 試料貯槽レール
621 取っ手
63 試料貯槽棚
631 棚側壁
632 取っ手の少なくとも一部を受け入れるのに適する間隙
64 光ゲート
65 ハンドレスト
66 試料準備位置
図1a
図1b
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
【外国語明細書】