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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024137813
(43)【公開日】2024-10-07
(54)【発明の名称】粘度指数向上剤及び潤滑剤組成物
(51)【国際特許分類】
   C10M 145/04 20060101AFI20240927BHJP
   C10N 20/04 20060101ALN20240927BHJP
   C10N 40/02 20060101ALN20240927BHJP
   C10N 40/08 20060101ALN20240927BHJP
   C10N 40/04 20060101ALN20240927BHJP
   C10N 30/02 20060101ALN20240927BHJP
【FI】
C10M145/04
C10N20:04
C10N40:02
C10N40:08
C10N40:04
C10N30:02
【審査請求】未請求
【請求項の数】5
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2024040939
(22)【出願日】2024-03-15
(31)【優先権主張番号】P 2023048503
(32)【優先日】2023-03-24
(33)【優先権主張国・地域又は機関】JP
(71)【出願人】
【識別番号】000002288
【氏名又は名称】三洋化成工業株式会社
(72)【発明者】
【氏名】内藤 展洋
(72)【発明者】
【氏名】杉山 義光
【テーマコード(参考)】
4H104
【Fターム(参考)】
4H104BB06A
4H104CB02C
4H104EA03C
4H104EB07
4H104EB08
4H104EB09
4H104EB10
4H104EB13
4H104EB15
4H104LA01
4H104PA01
4H104PA02
4H104PA05
(57)【要約】
【課題】本発明の目的は、水-グリコール系作動液に代表される水系潤滑剤に対して、粘度指数向上効果が高い粘度指数向上剤及びそれを含む潤滑剤組成物を提供することである。
【解決手段】下記一般式(1)で示される単量体(a)と単量体(b)とを必須構成単量体として含む共重合体(A)を含有する粘度指数向上剤であって、単量体(b)が不飽和モノカルボン酸(塩)であり、前記共重合体(A)を構成する単量体中の前記単量体(b)の重量割合が共重合体(A)を構成する単量体の合計重量を基準として5~80重量%である粘度指数向上剤。
O-(AO)-H (1)
[Rは炭素数2~5の重合性不飽和基を表し、Aは炭素数2~4のアルキレン基を表し、AOは炭素数2~4のアルキレンオキシ基を表し、nはAOの平均付加モル数であり、2~200の数である]
【選択図】なし
【特許請求の範囲】
【請求項1】
下記一般式(1)で示される単量体(a)と単量体(b)とを必須構成単量体として含む共重合体(A)を含有する粘度指数向上剤であって、単量体(b)が不飽和モノカルボン酸(塩)であり、前記共重合体(A)を構成する単量体中の前記単量体(b)の重量割合が共重合体(A)を構成する単量体の合計重量を基準として5~80重量%である粘度指数向上剤。
O-(AO)-H (1)
[Rは炭素数2~5の重合性不飽和基を表し、Aは炭素数2~4のアルキレン基を表し、AOは炭素数2~4のアルキレンオキシ基を表し、nはAOの平均付加モル数であり、2~200の数である]
【請求項2】
前記共重合体(A)の重量平均分子量が5,000~1,000,000である請求項1に記載の粘度指数向上剤。
【請求項3】
請求項1又は2に記載の粘度指数向上剤及び水系潤滑剤を含有する潤滑剤組成物。
【請求項4】
さらに清浄剤、分散剤、酸化防止剤、油性向上剤、摩擦摩耗調整剤、極圧剤、消泡剤、抗乳化剤、腐食防止剤及びpH調整剤からなる群より選ばれる少なくとも1種の添加剤を含有してなる請求項3に記載の潤滑剤組成物。
【請求項5】
油圧作動油、ギア油又は軸受用油として用いられる請求項3に記載の潤滑剤組成物。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、粘度指数向上剤及び潤滑剤組成物に関する。
【背景技術】
【0002】
近年、CO排出量低減のために建設機械、工業用機械など種々の機械に対する燃費要求が厳しくなっている。一般的に作動油に使用される基油としては、安価であることから鉱物油が広く使われているが、省燃費化のために作動油の温度に対する粘度変化を低くする(高粘度指数化)ことで省燃費性を向上させることが知られており、そのために粘度指数向上剤が添加剤として使用されている(特許文献1)。
【0003】
一方、高温の熱源がある作業場や電気スパークの危険がある場所においては安全性の観点から特に難燃性作動油が使用されており、その中でも高い難燃性とコストの面から含水系作動油として水-グリコール系作動油が広く使用されている(特許文献2)。一般的に市販されている粘度指数向上剤は油溶性であるため、水-グリコール系作動油には溶解しない。そのため、高分子量のポリアルキレングリコールを増粘剤として添加することで高粘度指数化している。
【0004】
しかしながら、高分子量のポリアルキレングリコールは、水-グリコール系作動液に代表される水系潤滑剤に対して省燃費性に寄与する粘度指数向上効果が不十分であり、さらに熱安定性が低いという問題がある。
【0005】
そこで、ポリオキシアルキレン基を側鎖に有する重合体を用いて水系潤滑剤の潤滑性を高める技術が知られている(特許文献3及び4)。しかしながら、これらの重合体は粘度指数向上効果が不十分である問題がある。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】特許第5296545号公報
【特許文献2】特許第3233490号公報
【特許文献3】特開2012-51957号公報
【特許文献4】特開2013-237738号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
本発明の目的は、水-グリコール系作動液に代表される水系潤滑剤に対して、粘度指数向上効果が高い粘度指数向上剤及びそれを含む潤滑剤組成物を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明者等は、鋭意検討した結果、本発明に至った。
すなわち本発明は、下記一般式(1)で示される単量体(a)と単量体(b)とを必須構成単量体として含む共重合体(A)を含有する粘度指数向上剤であって、単量体(b)が不飽和モノカルボン酸(塩)であり、前記共重合体(A)を構成する単量体中の前記単量体(b)の重量割合が共重合体(A)を構成する単量体の合計重量を基準として5~80重量%である粘度指数向上剤;該粘度指数向上剤及び水系潤滑剤を含有する潤滑剤組成物である。
O-(AO)-H (1)
[Rは炭素数2~5の重合性不飽和基を表し、Aは炭素数2~4のアルキレン基を表し、AOは炭素数2~4のアルキレンオキシ基を表し、nはAOの平均付加モル数であり、2~200の数である]
【発明の効果】
【0009】
本発明の粘度指数向上剤を用いれば、粘度指数が良好な潤滑剤組成物を提供できるという効果を奏する。また、本発明の潤滑剤組成物は粘度指数が高いという効果を奏する。
【発明を実施するための形態】
【0010】
本発明の粘度指数向上剤は、下記一般式(1)で示される単量体(a)と単量体(b)とを必須構成単量体として含む共重合体(A)を含有する粘度指数向上剤であって、単量体(b)が不飽和モノカルボン酸(塩)であり、前記共重合体(A)を構成する単量体中の前記単量体(b)の重量割合が共重合体(A)を構成する単量体の合計重量を基準として5~80重量%である。
本発明においては、共重合体(A)中に構成単量体として単量体(b)を前記量含有することにより、共重合体(A)が水系潤滑剤中で、高温では(A)中の単量体(a)由来の側鎖が広がり水系潤滑剤の粘度の低下を抑制し、低温では単量体(b)由来のカルボン酸(塩)基が表面に出るように単量体(a)由来の側鎖が丸まり水系潤滑剤の粘度上昇を抑えることにより、粘度指数が高くなると推察される。
O-(AO)-H (1)
[Rは炭素数2~5の重合性不飽和基を表し、Aは炭素数2~4のアルキレン基を表し、AOは炭素数2~4のアルキレンオキシ基を表し、nはAOの平均付加モル数であり、2~200の数である]
【0011】
<共重合体(A)>
本発明において、共重合体(A)は下記一般式(1)で表される単量体(a)と単量体(b)とを必須構成単量体として含む。単量体(b)は不飽和モノカルボン酸(塩)である。ここで、「モノカルボン酸(塩)」は「モノカルボン酸及び/又はモノカルボン酸塩」を意味する。
O-(AO)-H (1)
[Rは炭素数2~5の重合性不飽和基を表し、Aは炭素数2~4のアルキレン基を表し、AOは炭素数2~4のアルキレンオキシ基を表し、nはAOの平均付加モル数であり、2~200の数である]
【0012】
一般式(1)において、Rは炭素数2~5の重合性不飽和基を表す。
炭素数2~5の重合性不飽和基としては、例えば、炭素数2~5のアルケニル基{例えば、ビニル基、アリル基、ホモアリル基(3-ブテニル基)、2-ブテニル基、メタリル基(2-メチル-1-プロペニル基)、3-メチル-3-ブテニル基、3-メチル-2-ブテニル基、2-メチル-3-ブテニル基、2-メチル-2-ブテニル基及び1,1-ジメチル-2-プロペニル基等}、アクリロイル基、メタクリロイル基、クロトン酸からOHを除いた残基等が挙げられる。これらのうち、粘度指数の観点から、炭素数2~5のアルケニル基が好ましく、より好ましくはアリル基、メタリル基、3-メチル-2-ブテニル基、2-メチル-3-ブテニル基及び1,1-ジメチル-2-プロペニル基、さらに好ましくはアリル基である。
一般式(1)において、Aは炭素数2~4のアルキレン基を表す。
炭素数2~4のアルキレン基としては、エチレン基、プロピレン基及びブチレン基等が挙げられる。
一般式(1)において、AOは炭素数2~4のオキシアルキレン基を表す。
炭素数2~4のオキシアルキレン基としては、エチレンオキシ基、プロピレンオキシ基及びブチレンオキシ基等が挙げられる。
AOとしては、基剤(水系潤滑剤)溶解性の観点から、エチレンオキシ基(以下においてEOと略記することがある)及びピロピレンオキシ基(以下においてPOと略記することがある)が好ましく、さらに好ましくはエチレンオキシ基である。
【0013】
一般式(1)において、nは前記AOの平均付加モル数であり、2~200の数であり、好ましくは5~190の数であり、更に好ましくは20~180の数である。
なお、分子中に複数あるAOは同一であっても異なっていてもよい。
nが2以上である場合のAOとして、EOとPOとのモル比(EO/PO)は、基剤(水系潤滑剤)溶解性の観点から、好ましくは10/90~100/0である。
【0014】
一般式(1)で表される単量体(a)の具体例としては、ポリエチレングリコールモノアリルエーテル(以下においてアリルアルコールのEO付加物ともいう)、ポリエチレングリコールモノメタリルエーテル、ポリエチレングリコールモノ(3-メチル-3-ブテニル)エーテル、ポリエチレングリコールモノ(3-メチル-2-ブテニル)エーテル、ポリエチレングリコールモノ(2-メチル-3-ブテニル)エーテル、ポリエチレングリコールモノ(2-メチル-2-ブテニル)エーテル、ポリエチレングリコールモノ(1,1-ジメチル-2-プロペニル)エーテル、ポリエチレングリコールポリプロピレングリコールモノアリルエーテル(以下においてアリルアルコールのEOPO付加物ともいう)、ポリプロピレングリコールモノアリルエーテル(以下においてアリルアルコールのPO付加物ともいう)、ポリエチレングリコールポリプロピレングリコールモノ(3-メチル-3-ブテニル)エーテル及びポリプロピレングリコールモノ(3-メチル-3-ブテニル)エーテル等が挙げられる。
一般式(1)で表される単量体(a)としては、粘度指数の観点から、好ましくはポリエチレングリコールモノアリルエーテル、ポリエチレングリコールモノメタリルエーテル、ポリエチレングリコールモノ(3-メチル-3-ブテニル)エーテル、ポリエチレングリコールモノ(3-メチル-2-ブテニル)エーテル、ポリエチレングリコールモノ(2-メチル-3-ブテニル)エーテル、ポリエチレングリコールモノ(2-メチル-2-ブテニル)エーテル、ポリエチレングリコールモノ(1,1-ジメチル-2-プロペニル)エーテル、ポリエチレングリコールポリプロピレングリコールモノアリルエーテル及びポリプロピレングリコールモノアリルエーテルであり、更に好ましくはポリエチレングリコールモノアリルエーテル、ポリエチレングリコールポリプロピレングリコールモノアリルエーテル及びポリプロピレングリコールモノアリルエーテルである。
【0015】
単量体(a)の数平均分子量(Mn)は、粘度指数向上効果及び熱安定性の観点から、100~15,000が好ましく、更に好ましくは200~10,000である。
なお、単量体(a)のMnは、ゲルパーミエーションクロマトグラフィーにより以下の条件で測定することができる。
<単量体(a)のMnの測定条件>
装置:「HLC-8320」[東ソー(株)製]
カラム:「TSK Gel guard column PWXL」「TSK Gel G6000PWXL」「TSK Gel G3000PWXL」[東ソー(株)製]
測定温度:40℃
試料溶液:0.5(w/v)%酢酸ナトリウム(水/メタノール=70/30(体積比))
溶液注入量:50μl
検出装置:屈折率検出器
基準物質:標準ポリエチレングリコール8点(分子量:1,046,000、580,000、290,000、101,000、49,390、27,000、3,870、1,010)
【0016】
単量体(b)は、不飽和モノカルボン酸(塩)であり、例えば、(メタ)アクリル酸、クロトン酸、これら不飽和モノカルボン酸のアルカリ金属(リチウム、ナトリウム、カリウムなど)塩、アンモニウム塩、これらの2種以上の併用などが挙げられる。不飽和モノカルボン酸塩としては、完全中和塩であっても、部分中和塩であってもよい。
これらのうち単量体(a)との重合性の観点から、好ましくは、(メタ)アクリル酸(塩)及びクロトン酸(塩)であり、更に好ましくは(メタ)アクリル酸(塩)である。
なお、発明において、「(メタ)アクリル酸」とは、「アクリル酸及び/又はメタクリル酸」を意味する。また、「酸(塩)」とは、「酸及び/又は酸塩」を意味する。
共重合体(A)中に含まれる単量体(b)において、カルボン酸の中和度{カルボン酸塩基のモル数/(カルボン酸基及びカルボン酸塩基の合計モル数)×100}は、粘度指数向上効果の観点から、50~100が好ましく、更に好ましくは60~100である。
【0017】
本発明において、共重合体(A)は、下記一般式(2)で示される単量体(c)を構成単量体として含んでもよい。
【0018】
【化1】
[一般式(2)においてRは水素原子又はメチル基を表し、-X-は-O-又は-NH-で表される基を表し、Rは炭素数2~4のアルキレン基を表し、ROは炭素数2~4のアルキレンオキシ基を表し、Rは炭素数1~32の直鎖又は分岐アルキル基を表し、pは0~20の整数であり、pが2以上の場合のRは同一でも異なっていてもよい。]
【0019】
一般式(2)において、Rは水素原子又はメチル基を表し、粘度指数向上効果の観点から、メチル基が好ましい。
-X-は-O-又は-NH-で表される基を表し、粘度指数向上効果の観点から、-O-で表される基が好ましい。
Oは炭素数2~4のアルキレンオキシ基を表し、炭素数2~4のアルキレンオキシ基としては、エチレンオキシ基、プロピレンオキシ基、ブチレンオキシ基等が挙げられ、基油溶解性の観点から、エチレンオキシ基が好ましい。
pはRO(アルキレンオキシ基)の繰り返し単位を表し、0~20の整数であり、粘度指数向上効果の観点から、0~1が好ましく、さらに好ましくは0である。
は炭素数1~32の直鎖又は分岐アルキル基を表し、例えば、メチル基、エチル基、n-プロピル基、イソプロピル基、n-ブチル基、イソブチル基、tert-ブチル基、sec-ブチル基、n-ペンチル基、イソペンチル基、n-ヘキシル基、イソヘキシル基、n-ヘプチル基、イソヘプチル基、n-オクチル基、イソオクチル基、2-エチルヘキシル基、n-ノニル基、イソノニル基、n-デシル基、イソデシル基、n-ウンデシル基、イソウンデシル基、n-ドデシル基、イソドデシル基、ウンデシル基、ドデシル基、イソドデシル基、テトラデシル基、ペンタデシル基、ヘキサデシル基、ヘプタデシル基、オクタデシル基、ノナデシル基、エイコシル基、ドコシル基、テトラコシル基、ヘキサコシル基、オクタコシル基、トリアコンチル基、ドトリアコンチル基、2-デシルテトラデシル基、2-ドデシルヘキサデシル基、2-テトラデシルオクタデシル基等が挙げられる。
としては、粘度指数向上効果の観点から、炭素数1~20の直鎖又は分岐アルキル基が好ましく、更に好ましくは炭素数1~16の直鎖又は分岐アルキル基である。
【0020】
単量体(c)として、p=0のものとしては、例えば、(メタ)アクリル酸メチル、(メタ)アクリル酸エチル、(メタ)アクリル酸n-プロピル、(メタ)アクリル酸イソプロピル、(メタ)アクリル酸n-ブチル、(メタ)アクリル酸イソブチル、(メタ)アクリル酸sec-ブチル、(メタ)アクリル酸tert-ブチル、(メタ)アクリル酸n-ペンチル、(メタ)アクリル酸イソペチル、(メタ)アクリル酸ヘキシル、(メタ)アクリル酸ヘプチル、(メタ)アクリル酸オクチル、(メタ)アクリル酸2-エチルヘキシル、(メタ)アクリル酸ノニル、(メタ)アクリル酸デシル、(メタ)アクリル酸イソデシル、(メタ)アクリル酸ウンデシル、(メタ)アクリル酸ドデシル、(メタ)アクリル酸イソドデシル、(メタ)アクリル酸テトラデシル、(メタ)アクリル酸ペンタデシル、(メタ)アクリル酸ヘキサデシル、(メタ)アクリル酸ヘプタデシル、(メタ)アクリル酸オクタデシル、(メタ)アクリル酸ノナデシル、(メタ)アクリル酸エイコシル、(メタ)アクリル酸ドコシル、(メタ)アクリル酸テトラコシル、(メタ)アクリル酸ヘキサコシル、(メタ)アクリル酸オクタコシル、(メタ)アクリル酸トリアコンチル、(メタ)アクリル酸ドトリアコンチル、(メタ)アクリル酸2-デシルテトラデシル、(メタ)アクリル酸2-ドデシルヘキサデシル、(メタ)アクリル酸2-テトラデシルオクタデシル等が挙げられる。
【0021】
単量体(c)として、p=1のものとしては、例えば、メトキシエチル(メタ)アクリレート、エトキシエチル(メタ)アクリレート、プロピルオキシエチル(メタ)アクリレート、ブチルオキシエチル(メタ)アクリレート、ペンチルオキシエチル(メタ)アクリレート、ヘキシルオキシエチル(メタ)アクリレート、ヘプチルオキシエチル(メタ)アクリレート、オクチルオキシエチル(メタ)アクリレート、ノニルオキシエチル(メタ)アクリレート、デシルオキシエチル(メタ)アクリレート、ウンデシルオキシエチル(メタ)アクリレート、ドデシルオキシエチル(メタ)アクリレート等が挙げられる。
【0022】
単量体(c)として、p=2以上のものとしては、例えば、ヒドロキシエチル(メタ)アクリレートにエチレンオキサイドが1~19モル付加物したものに炭素数1~32のアルキル基がエーテル基を介して結合した構造を有する化合物{例えば、メトキシポリエチレングリコール(エチレンオキシ単位の繰り返し数2~20)(メタ)アクリレート、エトキシポリエチレングリコール(エチレンオキシ単位の繰り返し数2~20)(メタ)アクリレート、プロピルオキシポリエチレングリコール(エチレンオキシ単位の繰り返し数2~20)(メタ)アクリレート、ブトキシポリエチレングリコール(エチレンオキシ単位の繰り返し数2~20)(メタ)アクリレート、ペンチルオキシポリエチレングリコール(エチレンオキシ単位の繰り返し数2~20)(メタ)アクリレート、ヘキシルオキシポリエチレングリコール(エチレンオキシ単位の繰り返し数2~20)(メタ)アクリレート、ヘプチルオキシポリエチレングリコール(エチレンオキシ単位の繰り返し数2~20)(メタ)アクリレート、オクチルオキシポリエチレングリコール(エチレンオキシ単位の繰り返し数2~20)(メタ)アクリレート、デシルオキシポリエチレングリコール(エチレンオキシ単位の繰り返し数2~20)(メタ)アクリレート、ドデシルオキシポリエチレングリコール(エチレンオキシ単位の繰り返し数2~20)(メタ)アクリレート等}等が挙げられる。
なお、本発明において、「(メタ)アクリレート」は「メタクリレート及び/又はアクリレート」を意味し、「(メタ)アクリル」は「メタクリル及び/又はアクリル」を意味する。
【0023】
単量体(c)としては、粘度指数向上効果の観点から、p=1以下であるものが好ましく、更に好ましくはp=0であるものであり、特に好ましくは炭素数1~16のアルキル基を有するアルキル(メタ)アクリレートである。
【0024】
本発明において、共重合体(A)は、前記単量体(a)~(c)以外の単量体を構成単量体として含んでいてもよく、例えば、窒素原子含有単量体(d)、水酸基含有単量体(e)、リン原子含有単量体(f)等が挙げられる。各単量体はそれぞれ1種を用いてもよく、2種以上を併用しても良い。
【0025】
窒素原子含有単量体(d)としては、以下の単量体(d1)~(d4)が挙げられる。
アミド基含有単量体(d1):
(メタ)アクリルアミド、モノアルキルアミノアルキル(メタ)アクリルアミド[窒素原子に炭素数1~4のアルキル基が1つ結合したアミノアルキル基(炭素数2~6)を有するもの;例えばN-メチルアミノエチル(メタ)アクリルアミド、N-エチルアミノエチル(メタ)アクリルアミド、N-イソプロピルアミノ-n-ブチル(メタ)アクリルアミド及びN-n-又はイソブチルアミノ-n-ブチル(メタ)アクリルアミド等]、ジアルキルアミノ(メタ)アクリルアミド[窒素原子に炭素数1~4のアルキル基が2つ結合したもの;例えばN,N-ジメチル(メタ)アクリルアミド、N,N-ジエチル(メタ)アクリルアミド、N,N-ジイソプロピル(メタ)アクリルアミド及びN,N-ジ-n-ブチル(メタ)アクリルアミド等]、ジアルキルアミノアルキル(メタ)アクリルアミド[窒素原子に炭素数1~4のアルキル基が2つ結合したアミノアルキル基(炭素数2~6)を有するもの;例えばN,N-ジメチルアミノエチル(メタ)アクリルアミド、N,N-ジエチルアミノエチル(メタ)アクリルアミド、N,N-ジメチルアミノプロピル(メタ)アクリルアミド及びN,N-ジ-n-ブチルアミノブチル(メタ)アクリルアミド等]、N-ビニルカルボン酸アミド[N-ビニルホルムアミド、N-ビニルアセトアミド、N-ビニル-n-又はイソプロピオニルアミド及びN-ビニルヒドロキシアセトアミド等]等のアミド基のみに窒素原子を有するものが挙げられる。
【0026】
ニトロ基含有単量体(d2):
4-ニトロスチレン等が挙げられる。
【0027】
1~3級アミノ基含有単量体(d3):
1級アミノ基含有ビニル単量体{炭素数3~6のアルケニルアミン[(メタ)アリルアミン及びクロチルアミン等]、アミノアルキル(炭素数2~6)(メタ)アクリレート[アミノエチル(メタ)アクリレート等]};
2級アミノ基含有ビニル単量体{モノアルキルアミノアルキル(メタ)アクリレート[窒素原子に炭素数1~6のアルキル基が1つ結合したアミノアルキレン基(炭素数2~6)を有するもの、例えばt-ブチルアミノエチル(メタ)アクリレート及びメチルアミノエチル(メタ)アクリレート等]、炭素数6~12のジアルケニルアミン[ジ(メタ)アリルアミン等]};
3級アミノ基含有ビニル単量体{ジアルキルアミノアルキル(メタ)アクリレート[窒素原子に炭素数1~6のアルキル基が2つ結合したアミノアルキル基(炭素数2~6)を有するもの;例えばジメチルアミノエチル(メタ)アクリレート及びジエチルアミノエチル(メタ)アクリレート等]、窒素原子を有する脂環式(メタ)アクリレート[モルホリノエチル(メタ)アクリレート等]、芳香族ビニル系単量体[N,N-ジフェニルアミノエチル(メタ)アクリルアミド、N,N-ジメチルアミノスチレン、4-ビニルピリジン、2-ビニルピリジン、N-ビニルピロール、N-ビニルピロリドン及びN-ビニルチオピロリドン等]}、及びこれらの塩酸塩、硫酸塩、リン酸塩又は低級アルキル(炭素数1~8)モノカルボン酸(酢酸及びプロピオン酸等)塩等が挙げられる。
【0028】
ニトリル基含有単量体(d4):
(メタ)アクリロニトリル等が挙げられる。
【0029】
窒素原子含有ビニル単量体(d)のうち好ましいのは、(d1)及び(d3)であり、更に好ましいのは、N,N-ジフェニルアミノエチル(メタ)アクリルアミド、ジメチルアミノエチル(メタ)アクリルアミド、ジエチルアミノエチル(メタ)アクリルアミド、ジメチルアミノプロピル(メタ)アクリルアミド、ジメチルアミノエチル(メタ)アクリレート及びジエチルアミノエチル(メタ)アクリレートである。
【0030】
水酸基含有単量体(e)としては、具体的には以下のものが挙げられる。
水酸基含有芳香族単量体(p-ヒドロキシスチレン等)、ヒドロキシアルキル(炭素数2~6)(メタ)アクリレート[2-ヒドロキシエチル(メタ)アクリレート、及び2-又は3-ヒドロキシプロピル(メタ)アクリレート等]、モノ-又はジ-ヒドロキシアルキル(炭素数1~4)置換(メタ)アクリルアミド[N,N-ジヒドロキシメチル(メタ)アクリルアミド、N,N-ジヒドロキシプロピル(メタ)アクリルアミド、N,N-ジ-2-ヒドロキシブチル(メタ)アクリルアミド等]、ビニルアルコール、炭素数3~12のアルケノール[(メタ)アリルアルコール、クロチルアルコール、イソクロチルアルコール、1-オクテノール及び1-ウンデセノール等]、炭素数4~12のアルケンモノオール又はアルケンジオール[1-ブテン-3-オール、2-ブテン-1-オール及び2-ブテン-1,4-ジオール等]、ヒドロキシアルキル(炭素数1~6)アルケニル(炭素数3~10)エーテル(2-ヒドロキシエチルプロペニルエーテル等)、多価(3~8価)アルコール(グリセリン、ペンタエリスリトール、ソルビトール、ソルビタン、ジグリセリン、糖類及び蔗糖等)のアルケニル(炭素数3~10)エーテル又は(メタ)アクリレート[蔗糖(メタ)アリルエーテル等]等が挙げられる。
【0031】
リン原子含有単量体(f)としては、以下の単量体(f1)~(f2)が挙げられる。
【0032】
リン酸エステル基含有単量体(f1):
(メタ)アクリロイロキシアルキル(炭素数2~4)リン酸エステル[(メタ)アクリロイロキシエチルホスフェート及び(メタ)アクリロイロキシイソプロピルホスフェート]及びリン酸アルケニルエステル[リン酸ビニル、リン酸アリル、リン酸プロペニル、リン酸イソプロペニル、リン酸ブテニル、リン酸ペンテニル、リン酸オクテニル、リン酸デセニル及びリン酸ドデセニル等]等が挙げられる。
【0033】
ホスホノ基含有単量体(f2):
(メタ)アクリロイルオキシアルキル(炭素数2~4)ホスホン酸[(メタ)アクリロイルオキシエチルホスホン酸等]及びアルケニル(炭素数2~12)ホスホン酸[ビニルホスホン酸、アリルホスホン酸及びオクテニルホスホン酸等]等が挙げられる。
【0034】
リン原子含有単量体(f)のうち好ましいのは(f1)であり、更に好ましいのは(メタ)アクリロイロキシアルキル(炭素数2~4)リン酸エステルであり、特に好ましいのは(メタ)アクリロイロキシエチルホスフェートである。
【0035】
重合体(A)は、以下の単量体(h)~(n)を構成単量体としてもよい。
【0036】
脂肪族炭化水素単量体(h):
炭素数2~20のアルケン(エチレン、プロピレン、ブテン、イソブチレン、ペンテン、ヘプテン、ジイソブチレン、オクテン、ドデセン及びオクタデセン等)及び炭素数4~12のアルカジエン(ブタジエン、イソプレン、1,4-ペンタジエン、1,6-ヘプタジエン及び1,7-オクタジエン等)等が挙げられる。
【0037】
脂環式炭化水素単量体(i):
シクロヘキセン、(ジ)シクロペンタジエン、ピネン、リモネン、ビニルシクロヘキセン及びエチリデンビシクロヘプテン等が挙げられる。
【0038】
芳香族炭化水素系単量体(j):
スチレン、α-メチルスチレン、ビニルトルエン、2,4-ジメチルスチレン、4-エチルスチレン、4-イソプロピルスチレン、4-ブチルスチレン、4-フェニルスチレン、4-シクロヘキシルスチレン、4-ベンジルスチレン、インデン、4-クロチルベンゼン及び2-ビニルナフタレン等が挙げられる。
【0039】
ビニルエステル、ビニルエーテル、ビニルケトン類(k):
炭素数2~12の飽和脂肪酸のビニルエステル(酢酸ビニル、プロピオン酸ビニル、酪酸ビニル及びオクタン酸ビニル等)、炭素数1~12のアルキル、アリール又はアルコキシアルキルビニルエーテル(メチルビニルエーテル、エチルビニルエーテル、プロピルビニルエーテル、ブチルビニルエーテル、2-エチルヘキシルビニルエーテル、フェニルビニルエーテル、ビニル-2-メトキシエチルエーテル及びビニル-2-ブトキシエチルエーテル等)及び炭素数1~8のアルキル又はアリールビニルケトン(メチルビニルケトン、エチルビニルケトン及びフェニルビニルケトン等)等が挙げられる。
【0040】
エポキシ基含有単量体(l):
グリシジル(メタ)アクリレート及びグリシジル(メタ)アリルエーテル等が挙げられる。
【0041】
ハロゲン元素含有単量体(m):
塩化ビニル、臭化ビニル、塩化ビニリデン、塩化(メタ)アリル及びハロゲン化スチレン(ジクロロスチレン等)等が挙げられる。
【0042】
不飽和ポリカルボン酸のエステル(n):
不飽和ポリカルボン酸のアルキル、シクロアルキル又はアラルキルエステル[不飽和ジカルボン酸(マレイン酸、フマール酸及びイタコン酸等)の炭素数1~8のアルキルジエステル(ジメチルマレエート、ジメチルフマレート、ジエチルマレエート及びジオクチルマレエート)]等が挙げられる。
【0043】
共重合体(A)を構成する単量体中の単量体(a)の重量割合は、共重合体(A)を構成する単量体の合計重量に基づいて、粘度指数の観点から、5~95重量%が好ましく、更に好ましくは10~90重量%であり、特に好ましくは20~85重量%である。
共重合体(A)を構成する単量体中の単量体(b)の重量割合は、共重合体(A)を構成する単量体の合計重量に基づいて、5~80重量%であり、基剤(水系潤滑剤)への溶解性の観点から、好ましくは7~75重量%であり、更に好ましくは10~70重量%である。
本発明において、共重合体(A)を構成する単量体中の単量体(a)及び単量体(b)の合計重量割合は、共重合体(A)を構成する単量体の合計重量に基づいて、10重量%以上が好ましく、より好ましくは50重量%以上であり、更に好ましくは60重量%以上である。
単量体(a)及び単量体(b)の合計重量割合が上記範囲であると、粘度指数がより高くなる傾向がある。
【0044】
共重合体(A)を構成する単量体中の単量体(a)と単量体(b)との重量比(a/b)は、6/94~99/1が好ましく、より好ましくは10/90~95/5であり、更に好ましくは20/80~90/10である。
前記比率(a/b)が6/94以上であると粘度指数向上効果が高い傾向があり、99/1以下であると熱安定性が良好である傾向がある。
【0045】
共重合体(A)を構成する単量体中の単量体(c)の重量割合は、共重合体(A)を構成する単量体の合計重量に基づいて、基剤への溶解性の観点から、60重量%以下が好ましく、更に好ましくは30重量%以下であり、特に好ましくは20重量%以下である。
【0046】
共重合体(A)を構成する単量体中の単量体(d)の重量割合は、共重合体(A)を構成する単量体の合計重量に基づいて、粘度指数向上効果及び基剤への溶解性の観点から、60重量%以下が好ましく、更に好ましくは30重量%以下であり、特に好ましくは20重量%以下である。
【0047】
共重合体(A)を構成する単量体中の単量体(e)の重量割合は、共重合体(A)を構成する単量体の合計重量に基づいて、粘度指数向上効果及び基剤への溶解性の観点から、60重量%以下が好ましく、更に好ましくは30重量%以下であり、特に好ましくは20重量%以下である。
【0048】
共重合体(A)を構成する単量体中の単量体(c)、(d)及び(e)の合計重量割合は、共重合体(A)を構成する単量体の合計重量に基づいて、粘度指数向上効果及び基剤への溶解性の観点から、90重量%以下が好ましく、更に好ましくは50重量%以下であり、特に好ましくは20重量%以下である。
【0049】
共重合体(A)を構成する単量体中の(f)の重量割合は、共重合体(A)を構成する単量体の合計重量に基づいて、粘度指数向上効果の観点から、30重量%以下が好ましく、更に好ましくは20重量%以下であり、特に好ましくは10重量%以下である。
【0050】
共重合体(A)を構成する単量体中の単量体(h)~(n)の合計重量割合は、共重合体(A)を構成する単量体の合計重量に基づいて、粘度指数向上効果の観点から、20重量%以下が好ましく、更に好ましくは10重量%以下であり、特に好ましくは5重量%以下である。
【0051】
共重合体(A)の溶解性パラメータ(以下においてSP値と略記することがある)は、基油溶解性の観点から、9.5~14.0(cal/cm1/2が好ましく、更に好ましくは9.7~13.0(cal/cm1/2、より好ましくは10.0~12.0(cal/cm1/2である。
なお、本発明におけるSP値は、Fedors法(Polymer Engineering and Science,February,1974,Vol.14、No.2、P147~154)の152頁(Table.5)に記載の数値(原子又は官能基の25℃における蒸発熱及びモル体積)を用いて、同153頁の数式(28)により算出される値を意味する。具体的には、Fedors法のパラメータである下記表1に記載のΔe及びviの数値から、分子構造内の原子及び原子団の種類に対応した数値を用いて、下記数式に当てはめることで算出することができる。
SP値=(ΣΔe/Σv1/2
【0052】
【表1】
【0053】
本発明において、共重合体(A)のSP値は、前記SP値の算出方法を用いて(A)を構成する各単量体に由来する構成単位((A)を構成する各単量体に含まれるビニル基が重合反応により単結合となった構造)のSP値を算出し、仕込み時の各構成単量体の重量分率に基づいて相加平均した値を意味する。例えば、単量体がメタクリル酸メチルの場合、メタクリル酸メチルに由来する構成単位は、原子団として、CHが2個、CHが1個、Cが1個、COが1個なので、下記数式により、メタクリル酸メチルに由来する構成単位のSP値は9.933(cal/cm1/2であることが分かる。同様に計算して、メタクリル酸エチルに由来する構成単位のSP値は9.721(cal/cm1/2であることがわかる。
ΣΔe=1125×2+1180+350+4300=8080
Σv=33.5×2+16.1-19.2+18.0=81.9
δ=(8080/81.9)1/2=9.933(cal/cm1/2
重合体がメタクリル酸メチル50重量%とメタクリル酸エチル50重量%との重合物である場合、重合体のSP値は、下記の通り各単量体に由来する構成単位のSP値の重量分率に基づいて相加平均することにより算出される。
重合体のSP値=(9.933×50+9.721×50)/100=9.827
重合体(A)のSP値は、使用する単量体、重量分率を適宜調整することにより所望の範囲にすることができる。具体的には、アルキル基の炭素数の長い単量体を多く使用することでSP値を小さくすることができ、アルキル基の炭素数の短い単量体を多く使用することでSP値を大きくすることができる。なお、単量体(b)が不飽和モノカルボン酸塩である場合は、不飽和モノカルボン酸であるものとして単量体及び共重合体(A)のSP値を算出するものとする。
【0054】
共重合体(A)の重量平均分子量(以下においてMwと略記する)は、粘度指数向上効果の観点から、好ましくは5,000~1,000,000であり、更に好ましくは10,000~500,000である。
共重合体(A)の分子量分布(Mw/Mn)は、粘度指数向上効果の観点から、好ましくは4.0~30.0であり、更に好ましくは4.5~28.0であり、最も好ましくは5.0~25.0である。
なお、共重合体(A)のMw、分子量分布(Mw/Mn)はゲルパーミエーションクロマトグラフィーにより以下の条件で測定することができる。
<共重合体(A)のMw、Mw/Mnの測定条件>
装置:「HLC-8320」[東ソー(株)製]
カラム:「TSK Gel guard column PWXL」「TSK Gel G6000PWXL」「TSK Gel G3000PWXL」[東ソー(株)製]
測定温度:40℃
試料溶液:0.5(w/v)%酢酸ナトリウム(水/メタノール=70/30(体積比))
溶液注入量:50μl
検出装置:屈折率検出器
基準物質:標準ポリエチレングリコール8点(分子量:1,046,000、580,000、290,000、101,000、49,390、27,000、3,870、1,010)
【0055】
共重合体(A)100g中の水酸基のモル数は、基油溶解性及び粘度指数向上効果の観点から、0.0003~0.5mol/100gが好ましく、更に好ましくは0.001~0.1mol/100g、特に好ましくは0.01~0.05mol/100gである。
水酸基のモル数は、例えば、単量体(a)及び単量体(e)由来の水酸基であり、(A)を製造する際の仕込み量、NMR等により確認することができる。
【0056】
共重合体(A)100g中のカルボン酸(塩)基のモル数は、基油溶解性及び粘度指数向上効果の観点から、0.05~1.5mol/100gが好ましく、更に好ましくは0.1~1.0mol/100g、特に好ましくは0.2~0.8mol/100gである。
カルボン酸(塩)基のモル数は、例えば、単量体(b)由来のカルボン酸(塩)基であり、(A)を製造する際の仕込み量、NMR等により確認することができる。
【0057】
共重合体(A)は、公知の製造方法によって得ることができ、具体的には前記の単量体を溶剤中で重合触媒存在下に溶液重合することにより得る方法が挙げられる。
溶剤としては、水、イソプロピルアルコール、酢酸、ジメチルホルムアミド、エチレングリコール及びこれらの混合物等が挙げられる。
前記の水は、水道水でも良いが、イオン交換水、限外濾過水、逆浸透水、蒸留水等の純水及び超純水のようなイオン性不純物を極力除去したものであることが好ましい。
重合工程で用いる前記共重合体(A)の構成単量体の合計重量と溶剤との重量比(単量体:溶剤)は、溶剤を使用することによる効果を十分発揮する観点より、好ましくは20:80~50:50であり、更に好ましくは25:75~45:55である。
重合開始剤としては、過硫酸アンモニウム、過硫酸ナトリウム、過硫酸カリウムなどの過硫酸塩、ペルオキソ二硫酸、t-ブチルハイドロパーオキサイド等の水溶性有機過酸化物等が挙げられる。
前記重合開始剤の使用量は、共重合体(A)として最適な分子量を得る観点から、重合体(A)の構成単量体の合計重量に基づいて、好ましくは0.001~20重量%、更に好ましくは0.005~10重量%、特に好ましくは0.01~5重量%、最も好ましくは0.05~3重量%である。
前記重合工程は、連鎖移動剤を添加してもよい。連鎖移動剤としては、特に限定なく、例えば分子内に1つ又は2つ以上のアミノ基を有する化合物[例えばアンモニア及びアミン(炭素数が1~30の化合物であり、例えばメチルアミン、ジメチルアミン、トリエチルアミン及びプロパノールアミン)]、次亜リン酸ナトリウム及び分子内に1つ又は2つ以上のチオール基を有する化合物等が挙げられる。
これらの内で分子量制御の観点から好ましくは、次亜リン酸ナトリウム及び分子内に1つ又は2つ以上のチオール基を有する化合物である。
【0058】
分子内にチオール基を有する化合物には、以下の(1)~(2)のもの、これらの塩[アルカリ金属(例えばリチウム、ナトリウム及びカリウム)塩、アルカリ土類金属(例えばマグネシウム及びカルシウム)塩、アンモニウム塩、炭素数1~20のアミン塩及び無機酸(例えば塩酸、硫酸、硝酸及びリン酸)塩]及びこれらの混合物等が含まれる。
【0059】
(1)1価チオール
炭素数1~20の脂肪族チオール(例えばメタンチオール、エタンチオール、プロパンチオール、n-オクタンチオール、n-ドデカンチオール、ヘキサデカンチオール、n-オクタデカンチオール、2-メルカプトエタノール、メルカプト酢酸、3-メルカプトプロピオン酸、1-チオグリセロール、チオグリコール酸モノエタノールアミン、1-チオグリセロール、チオグリコール酸モノエタノールアミン、チオマレイン酸、システイン及び2-メルカプトエチルアミン)、炭素数5~20の脂環式チオール(例えばシクロペンタンチオール及びシクロヘキサンチオール)及び炭素数6~12の芳香(脂肪)族チオール(例えばベンゼンチオール、ベンジルメルカプタン及びチオサリチル酸)等が挙げられる。
【0060】
(2)多価チオール
ジチオール[炭素数2~40の脂肪族ジチオール(例えばエタンジチオール、ジエチレンジチオール、トリエチレンジチオール、プロパンジチオール、1,3-又は1,4-ブタンジチオール、1,6-ヘキサンジチオール及びネオペンタンジチオール等)、炭素数5~20の脂環式ジチオール(例えばシクロペンタンジチオール及びシクロヘキサンジチオール)及び炭素数6~16の芳香族ジチオール(例えばベンゼンジチオール及びビフェニルジチオール)等が挙げられる。
【0061】
鎖移動剤を使用する場合の使用量は、重合体(A)として最適な分子量を得る観点から、重合体(A)の構成単量体の合計重量に基づいて、好ましくは0.001~10重量%、更に好ましくは0.005~5重量%、特に好ましくは0.01~3重量%、最も好ましくは0.05~1重量%である。
【0062】
前記重合工程の後、必要により中和剤を用いて、重合体を完全もしくは部分中和塩としてもよい。
中和剤としては、水酸化カリウム、水酸化ナトリウム、水酸化アンモニウム及びアンモニア等が挙げられる。
重合工程は、温度制御の容易さ、安全性及び重合活性を良好にする観点から、85~110℃にて行われることが好ましく、90~105℃で行われることが更に好ましい。
共重合体(A)が共重合体である場合の重合形態としては、ランダム付加重合体又は交互共重合体のいずれでもよく、また、グラフト共重合体又はブロック共重合体のいずれでもよい。
【0063】
本発明の粘度指数向上剤は、ハンドリング性の観点から、共重合体(A)を基剤(水系潤滑剤、後述の水及び水-グリコール等)中に高濃度に含む溶液であってもよい。
粘度指数向上剤中の共重合体(A)の含有量は、ハンドリング性の観点から、粘度指数向上剤の重量を基準として、25~70重量%が好ましく、更に好ましくは35~70重量%である。
粘度指数向上剤中の基剤の含有量は、ハンドリング性の観点から、粘度指数向上剤の重量を基準として、30~75重量%が好ましく、更に好ましくは30~65重量%である。
【0064】
本発明の粘度指数向上剤は、水系潤滑剤用の粘度指数向上剤として有用であり、難燃性を目的とした加工液、作動液等に用いられる粘度指数向上剤として有用であり、特に基材に水を含む油圧作動液、ギア油及び軸受用油の粘度指数向上剤として有用である。
【0065】
<潤滑剤組成物>
本発明の潤滑剤組成物は、前記本発明の粘度指数向上剤及び水系潤滑剤を含有する潤滑剤組成物である。
【0066】
<水系潤滑剤>
本発明において、水系潤滑剤とは、一般的に難燃性作動液として知られている水を含む作動液に用いられているような水溶液型潤滑剤又はW/O型潤滑剤を意味する。
水系潤滑剤としては、例えば、水を基剤とする潤滑剤、水とグリコール系化合物との混合物(水-グリコール)を基剤とする潤滑剤等が挙げられる。
グリコール系化合物としては、炭素数2~12のものが含まれ、例えば、エチレングリコール、プロピレングリコール、ブチレングリコール、ヘキシレングリコール、ジエチレングリコール、ジプロピレングリコール、ジブチレングリコール、ジヘキシレングリコール、トリメチレングリコール、トリエチレングリコール、トリプロピレングリコール等が挙げられる。
グリコール系化合物は1種を単独で用いても良いし、2種以上のものを混合して使用することもできる。
水-グリコール(水とグリコール系化合物の混合物)において、グリコール系化合物の含有量は、水-グリコール(水とグリコール系化合物の混合物)の重量を基準として、20~80重量%が好ましく、更に好ましくは25~75重量%である。
水-グリコール(水とグリコール系化合物の混合物)において、水の含有量は、水-グリコール(水とグリコール系化合物の混合物)の重量を基準として、20~80重量%が好ましく、更に好ましくは25~75重量%である。
【0067】
本発明の潤滑剤組成物中の共重合体(A)の含有量は、難燃性の観点から、1~40重量%が好ましく、更に好ましくは5~30重量%である。
【0068】
本発明の潤滑剤組成物中の基剤(水又は水-グリコール)の含有量は、難燃性の観点から、60~99重量%が好ましく、更に好ましくは70~95重量%である。
【0069】
本発明において、潤滑剤組成物は、清浄剤、分散剤、酸化防止剤、油性向上剤、摩擦摩耗調整剤、極圧剤、消泡剤、抗乳化剤、腐食防止剤及びpH調整剤からなる群より選ばれる少なくとも1種の添加剤を含有してもよい。
【0070】
(1)清浄剤:
塩基性、過塩基性又は中性の金属塩[スルフォネート(石油スルフォネート、アルキルベンゼンスルフォネート及びアルキルナフタレンスルフォネート等)の過塩基性又はアルカリ土類金属塩等]、サリシレート類、フェネート類、ナフテネート類、カーボネート類、フォスフォネート類及びこれらの混合物;
【0071】
(2)分散剤:
コハク酸イミド類(ビス-又はモノ-ポリブテニルコハク酸イミド類)、マンニッヒ縮合物及びボレート類等;
(3)酸化防止剤:
ヒンダードフェノール類及び芳香族2級アミン類等;
(4)油性向上剤:
長鎖脂肪酸及びそれらのエステル(オレイン酸及びオレイン酸エステル等)、長鎖アミン及びそれらのアミド(オレイルアミン及びオレイルアミド等)等;
(5)摩擦摩耗調整剤:
モリブデン系及び亜鉛系化合物(モリブデンジチオフォスフェート、モリブデンジチオカーバメート及びジンクジアルキルジチオフォスフェート等)等;
(6)極圧剤:
硫黄系化合物(モノ又はジスルフィド、スルフォキシド及び硫黄フォスファイド化合物)、フォスファイド化合物及び塩素系化合物(塩素化パラフィン等)等;
(7)消泡剤:
シリコン系化合物、金属石けん、脂肪酸エステル及びフォスフェート化合物等;
(8)抗乳化剤:
4級アンモニウム塩(テトラアルキルアンモニウム塩等)、硫酸化油及びフォスフェート(ポリオキシエチレン含有非イオン性界面活性剤のフォスフェート等)等;
(9)腐食防止剤:
窒素原子含有化合物(ベンゾトリアゾール及び1,3,4-チオジアゾリル-2,5-ビスジアルキルジチオカーバメート等)等;
(10)pH調整剤
水酸化カリウム、水酸化ナトリウム等のアルカリ金属またはアルカリ土類金属の水酸化物等が挙げられる。pH調整剤の含有量は、潤滑剤組成物の重量を基準として0.1~3重量%が好ましく、更に好ましくは0.2~2重量%である。
【0072】
潤滑剤組成物の40℃動粘度は、20.0~75.0mm/secであることが好ましく、更に好ましくは30.0~55.0mm/secである。
【0073】
なお、動粘度は、JIS K2283(原油及び石油製品-動粘度試験方法及び粘度指数算出方法、1956年(2000年改正))の動粘度試験方法において得られる値である。
【0074】
本発明の潤滑剤組成物は、水系潤滑剤として有用であり、例えば、難燃性を目的とした加工液、作動液等として有用であり、特に油圧作動液、ギア油及び軸受用油として有用である。
【実施例0075】
以下、実施例により本発明を詳細に説明するが、本発明はこれらに限定されるものではない。なお、以下において「部」は重量部を意味する。
【0076】
<製造例1 (a-1)の製造>
ステンレス製加圧反応装置にアリルアルコール210部と水酸化カリウム2部を仕込み、窒素置換後に、90~110℃でエチレンオキサイド796部を3時間で圧入した。同温度でさらに10時間反応後、酢酸で中和してアリルアルコールのEO5モル付加物(a-1)を得た。なお、生成物のMnを前記の方法で測定した。
【0077】
<製造例2 (a-2)の製造>
ステンレス製加圧反応装置に製造例1で製造した(a-1)63部と水酸化カリウム2部を仕込み、窒素置換後に、90~110℃でエチレンオキサイド950部を3時間で圧入した。同温度でさらに10時間反応後、酢酸で中和してアリルアルコールのEO100モル付加物(a-2)を得た。なお、生成物のMnを前記の方法で測定した。
【0078】
<製造例3 (a-3)の製造>
ステンレス製加圧反応装置に製造例2で製造した(a-2)503部と水酸化カリウム2部を仕込み、窒素置換後に、90~110℃でエチレンオキサイド497部を3時間で圧入した。同温度でさらに10時間反応後、酢酸で中和してアリルアルコールのEO200モル付加物(a-3)を得た。なお、生成物のMnを前記の方法で測定した。
【0079】
<製造例4 (a-4)の製造>
ステンレス製加圧反応装置にアリルアルコール60部と水酸化カリウム6部を仕込み、窒素置換後に、90~110℃でプロピレンオキサイド6000部を5時間で圧入した。同温度でさらに10時間反応後、酢酸で中和してアリルアルコールのPO100モル付加物(a-4)を得た。なお、生成物のMnを前記の方法で測定した。
【0080】
<製造例5 (a-5)の製造>
ステンレス製加圧反応装置に製造例1で製造した(a-1)57部と水酸化カリウム2部を仕込み、窒素置換後に、90~110℃でエチレンオキサイド586部、プロピレンオキサイド357部を3時間で圧入した。同温度でさらに10時間反応後、酢酸で中和してアリルアルコールのEO70モルPO30モル付加物(a-5)を得た。なお、生成物のMnを前記の方法で測定した。
【0081】
<実施例1~8、比較例1~4>
撹拌機、温度センサー、冷却管、窒素導入管、滴下ロート及びマントルヒーターを備えた4つ口フラスコにイオン交換水100部を投入した。別のガラス製ビーカーに表2記載の種類及び量の単量体、連鎖移動剤、及び重合開始剤を投入し、20℃で撹拌、混合して単量体溶液を調製し、滴下ロートに投入した。反応容器の気相部の窒素置換(酸素濃度100ppm以下)を行った後、系内温度を95~105℃に保ちながら4時間かけて単量体溶液を滴下した。滴下終了してから1時間同じ温度で熟成した後、60℃以下に冷却した。冷却後、48重量%水酸化ナトリウム水溶液で中和し、固形分が35重量%になるように水を加えて共重合体(A)を含有する粘度指数向上剤(R1)~(R8)、(S1)~(S4)を得た。得られた粘度指数向上剤中の共重合体(A1)~(A8)及び(A’1)~(A’4)のMwを上記の方法で測定した結果を表2に示す。
【0082】
【表2】
なお、表2において、共重合体(A)100g中の水酸基のモル数、カルボン酸(塩)基のモル数は(A)を製造する際の仕込み量から算出した。
【0083】
表2~4に記載の単量体(a)~(e)、連鎖移動剤、重合開始剤、ポリエーテルは下記のものを用いた。
(a-1):アリルアルコールのEO5モル付加物、Mn=278、SP値:10.86
(a-2):アリルアルコールのEO100モル付加物、Mn=4458、SP値:9.47
(a-3):アリルアルコールのEO200モル付加物、Mn=8858、SP値:9.42
(a-4):アリルアルコールのPO100モル付加物、Mn=5858、SP値:873
(a-5):アリルアルコールのEO70モルPO30モル付加物、Mn=4878、SP値:9.19
(b-1):アクリル酸ナトリウム(アクリル酸を重合に使用した後、水酸化ナトリウムで中和したもの。なお、(A)のSP値の算出においては、アクリル酸のSP値:14.04を用いて、アクリル酸の重量分率に基づいて算出した。)
(c-1):アクリル酸メチル(炭素数1)
(c-2):アクリル酸ブチル(炭素数4)
(c-3):アクリル酸ドデシル(炭素数12)
(c-4):アクリル酸2-n-デシルテトラデシル(炭素数24)
(d-1):N,N-ジメチルアミノエチルアクリレート
(e-1):ヒドロキシエチルアクリレート
連鎖移動剤:X-1:3-メルカプトプロピオン酸
重合開始剤:Z-1:ペルオキソ二硫酸アンモニウム
市販ポリエーテル:ニューポール75H90000、Mn=14000
【0084】
<共重合体(A)の水への溶解性>
粘度指数向上剤(R1)~(R8)及び(S1)~(S4)の外観を目視で観察し、以下の評価基準で水溶解性を評価した。
[評価基準]
○:外観が均一であり、共重合体の不溶解物がない
×:外観が不均一であり、共重合体の不溶解物が認められる
【0085】
<実施例9~16及び比較例5~7(潤滑油組成物の評価)>
撹拌装置を備えたステンレス製容器において、表3に記載の配合量になるように粘度指数向上剤、水及びプロピレングリコールを配合して、40℃動粘度が46.0mm/sになるように潤滑油組成物を調製した。さらに水酸化ナトリウムでpHを10.5になるように調製した。
得られた潤滑油組成物の80℃動粘度、100℃動粘度、粘度指数、低温粘度(-20℃)、pHを以下の方法で測定した。結果を表3に示す。
【0086】
【表3】
【0087】
<実施例17~21及び比較例8~9(潤滑油組成物の評価)>
撹拌装置を備えたステンレス製容器において、表4に記載の配合量になるように粘度指数向上剤、及び水を配合して、40℃動粘度が46.0mm/sになるように潤滑油組成物を調製した。さらに水酸化ナトリウムでpHを10.5になるように調製した。
得られた潤滑油組成物の40℃動粘度、80℃動粘度、粘度指数及びpHを以下の方法で測定した。100℃動粘度は40℃及び80℃動粘度から以下の方法で計算した。結果を表4に示す。また、比較例9のポリエーテルは80℃が曇点以上になって白濁して不均一になったため、動粘度の測定をしなかった。
【0088】
【表4】
【0089】
<潤滑油組成物の粘度指数の計算方法>
ASTM D 445の方法で40℃と100℃における動粘度を測定し、ASTM D 445の方法で計算した。数値が大きいほど粘度指数向上効果が高いことを意味する。
【0090】
<潤滑油組成物の80℃動粘度測定法>
ASTM D 445の方法で80℃における動粘度を測定した。数値が大きいほど粘度指数向上効果が高いことを意味する。
【0091】
<潤滑油組成物の低温粘度(-20℃)の測定方法>
JPI-5S-26-99の方法で-20℃での粘度を測定した。数値が小さいほど低温粘度が低く、低温特性が高いことを意味する。
【0092】
<pHの測定方法>
潤滑油組成物を20℃で保持し、富士フイルム和光純薬株式会社製pH標準液(pH7、pH9)で校正したpHメータを用いて分析した。
【0093】
<100℃動粘度の算出方法>
温度に対する40℃動粘度及び80℃動粘度の対数をプロットし、その傾きと切片から100℃の時の動粘度を計算した。
【0094】
表3及び4の結果から、本発明の粘度指数向上剤は、粘度指数向上効果が高いことがわかる。さらに、低温粘度も低く、粘度指数向上剤として優れていることがわかる。
【産業上の利用可能性】
【0095】
本発明の粘度指数向上剤は、水系潤滑剤用の粘度指数向上剤として有用であり、難燃性を目的とした加工液、作動液等に用いられる粘度指数向上剤として有用であり、特に基材に水を含む油圧作動液、ギア油及び軸受用油の粘度指数向上剤として有用である。また、本発明の潤滑剤組成物は、水系潤滑剤として有用であり、例えば、難燃性を目的とした加工液、作動液等として有用であり、特に油圧作動液、ギア油及び軸受用油として有用である。